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1959-03-06 第31回国会 衆議院 逓信委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年三月六日(金曜日)     午前十時三十四分開議  出席委員    委員長 淺香 忠雄君    理事 秋田 大助君 理事 進藤 一馬君   理事 橋本登美三郎君 理事 粟山  博君    理事 片島  港君 理事 森本  靖君       木村 武雄君    藏内 修治君       武知 勇記君    服部 安司君       渡邊 本治君    小沢 貞孝君       金丸 徳重君    栗原 俊夫君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 寺尾  豊君  出席政府委員         郵政政務次官  廣瀬 正雄君         郵政事務官         (電波監理局         長)      濱田 成徳君  委員外出席者         郵政事務官         (電波監理局次         長)      莊   宏君         参  考  人         (日本放送協会         会長)     野村 秀雄君         参  考  人         (日本放送協会         副会長)    溝上 けい君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     前田 義徳君         参  考  人         (日本放送協会         企画局長)   春日 由三君         参  考  人         (日本放送協会         経理局長)   首藤憲太郎君         専  門  員 吉田 弘苗君     ————————————— 三月六日  委員小松幹君辞任につき、その補欠として栗原  俊夫君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  放送法第三十七条第二項の規定に基き、国会の  承認を求めるの件(内閣提出承認第一号)      ————◇—————
  2. 淺香忠雄

    ○淺香委員長 これより会議を開きます。  放送法第三十七条第二項の規定に基き、国会承認を求めるの件を議題とし審査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。金丸徳重君。
  3. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 私は、三十四年度日本放送協会予算関係全般についてお伺いをいたしたいのでありますが、その前提といいますか、あるいはその前の問題としまして、昨日お願いいたしておきました日本放送協会の内部的なアドヴアイス機関といいますか、経営審議会あるいは放送番組審議会などについての活動の模様、それからそれらについての結果と申しますか、それらを受けまして協会御当局がどういう措置をおとりになっておられるかについて大体のところを承わって、これからの私のお尋ねについての参考にさしていただきたいと思います。
  4. 前田義徳

    前田参考人 お答え申し上げます。私からは主として番組審議会運営の問題を中心に御説明申し上げたいと思います。  番組審議会は、実は昭和二十五年NHKとしては作ったわけでございます。放送法に基いてNHKには定款がありまして、その定款の二十八条に基きまして、昭和二十五年の十月番組審議会を作りました。その後テレビジョン放送が始まりましたので、この二十五年十月に作った番組審議会をさらに拡大いたしております。これが昭和二十八年の一月でございまして、最初の十二名から十九名にふえております。それからまた、常にNHKといたしましては番組審議会の強化によって放送番組内容充実と、それから放送法によって課せられた不偏不党、あるいは自律をもととする番組運営という面をはっきりさせるために、その後昭和三十一年には二十一名に増員いたしましたし、また三十二年十一月にはこれを四十二名に増員いたしまして、その中に三つの部会を設けるという方向をとりました。この部会は、報道部会芸能部会教育部会でございます。さらに昨年の三月、この三部会中心にして総員四十一名に増員されまして、そうして新たに番組審議会運営規程を作りました。この運営規程は、先ほど申し上げましたように、この番組審議会NHK定款二十八条によって会長諮問機関であるという建前をまず明らかにいたしまして、その次にはこの諮問方法と、それから諮問以外の問題についても規程を設けまして、審議会会長諮問に応じて放送番組編成に関する重要事項について審議するという一つの原則を置きました。審議会審議した事柄について会長答申するわけでありますが、その諮問された事項に対する審議のほかに、建議、あるいはまた放送番組編成方法その他について会長勧告することができるという二項をつけ加えております。これは私ども立場から申し上げまして、単に会長の便宜的な諮問機関であるというような印象を与えることを避けると同時に、二十五年発足以来の番組審議会自主性を実質的に大幅に尊重いたしまして、番組審議会のあらゆる御議論、あらゆる考え方NHKが虚心に受け入れて、番組改善方向に一段と努力いたしたいという考え方からでございます。しかも、諮問に対する答申建議勧告に対しては、会長はこれを慎重に検討して、その処理の結果を番組審議会報告するという自律的な義務をつけ加えております。  そういう形で番組審議会運営しておるわけでありますが、ここでもう一つ申し上げておきたいことは、従来は、発足当時の昭和二十五年以降の番組審議会の性格は、単に諮問機関であるという見地から会長がこれを運営する可能性を持っていたのであります。会長がこれを招集し、会長諮問事項を出すという形をとりましたが、去年の十一月以降はさらに一段と番組審議会自主性を尊重いたしまして、番組審議会会長が必要に応じてこれを招集し、そしてNHK会長以下当面関係の各理事、各局長に対して、番組審議会判定いかんによっては常にその出席を求めて説明を要求するということに、大幅に広げて参っております。ただ、番組審議会は各界の一流の忙しい代表者方々からできておりますので、その庶務的な事務NHK編成局においてこれを代行するという形をとっております。従来の番組審議会運営の成果はどうかと申しますと、端的に申し上げまして、去年の十一月新しく今まで御説明したような番組審議会運営になるまでは、必ずしも非常にひんぱんに開かれていたということは申し上げられません。しかし去年の十一月以降、特に今年度に入りまして番組審議会運営は非常にひんぱんになりまして、そして審議会の御答申あるいは御建議、御勧告に対して、ここ一年余りの間NHK番組編成方針はかなりその結果を尊重してこれを訂正するということをやっております。明年度予算の中でも、新しい事業計画に基いて番組審議会の御審議をいただいて、四月六日からラジオ、テレビの両面にわたって新しい番組スケジュールを実施いたしますが、この中でたとえば気象通報の問題、あるいはまた社会的に重要な放送番組の実施を、たとえば従来非常におそい時間に行なっていたというようなものを一般にゴールデン・アワーといわれる時間に繰り上げてやるというようなことを、番組審議会の御意見に基いて実施するという方向に踏み切っております。  それでは一体、この番組審議会会長諮問機関であるという建前と、これは金丸先生も触れられて御質問いただいたわけでありますが、経営委員会との関係あるいは会長自体との関係はどうなるかということになりますと、これは内部的にはNHKを代表する最高意思決定経営委員会によって行わなければなりませんので、事務的に申し上げますと、私どもがまず編成方針番組内容というものを理事会決定いたしまして、さらにそれを経過的に番組審議会諮問いたしまして、そうして最終的に執行機関として決定したものをあらためて経営委員会に出しまして、経営委員会の御検討を経て最終決定をするという建前をとっております。この点では番組審議会が実質的には非常な効果を上げておると思いますが、番組審議会は現在のところ建前として定款に基く会長諮問機関であり、NHK最高意思決定機関経営委員会でありますので、執行機関たる会長と、それからまた放送法からは今日のところははずれておりますが、番組審議会の機能と、NHK最高意思決定機関である経営委員会との間には、かつてこれまで一度も番組の問題について摩擦を起したことはございません。今後も私どもは今まで通り何らの摩擦を起すことなく、十分慎重に運営していただけるということを確信いたしております。  それからこの番組審議会は、同時に現在のところは総会部会を交互に開いておりますが、その部会は、教育部会にいたしましても、あるいは芸能部会にいたしましても、報道部会にいたしましても、非常に熱心な専門家のお集まりであり、私どもは単に会議の場で番組問題を論ずるばかりではなしに、個々のそれぞれの審議委員が時に応じ折に触れてNHKの現場にもおいでいただいて、その日々の活動をごらんいただき、それに対してもいろいろな御意見をいただいておるような次第でございます。  あらまし番組審議会運営中心として御質問に対する御説明を申し上げますと、以上のようになっております。
  5. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 私が三十一年度報告基礎にいたしまして、はなはだ申しわけなかったのでありますが、古い資料によりまして若干心配を持っておった点は、ただいまの御説明によって、三十一年ごろとは内容も格段に充実せられ、活動状況も非常に活発になってこられていることを承わりまして、安心をいたした気持を持つのであります。ことに昨年十一月以来と申しますか、今、問題になっておりますところの放送法審議せられる過程におきましては、一そうこの方面の充実にあるいは活動に期待されている面が、御説明の節々によくわかりました。将来に向って、ますますそのような方向をとっていただくことは私は大へん大切なことだと思うのであります。そこで今度の予算にお出しになっておられます中で、新しいもくろみといたしまして、放送内容充実計画に相当の経費をお使いになっておられるようであります。こうした計画をお進めになるにつきましては、やはり今の放送番組審議会人たち意見が強く出され、またそれをお取り上げになっておられるかどうかについてお伺いをいたします。
  6. 前田義徳

    前田参考人 この点につきましては、今度の番組関係に関する予算編成基礎的な考え方は従来とは全く一変いたしております。従来は、簡単に事務的に御説明申し上げますと、番組の数と放送時間というものを中心にして番組費の積み上げを行なって参りました。しかし明年度以降は、ラジオにおいては第一、第二放送とも時間を延長しない。今年度通り第一放送は午前五時から午後十二時まで、第二放送は午前五時半から午後十二時まで、これに対してテレビジョンの方は、総合テレビジョンは大体年度内に二時間の増加教育テレビジョン年度内に二時間半の増加、それからFM実験放送年度内に二時間ふやすという建前をとっておりますが、ラジオに関する限りは、番組内容向上を主眼とした予算の組み方をいたしたいと考えて、ただいま御討議を願っているわけでございます。この考え方は、去年以降数度にわたって開かれた放送番組審議会総会並びに部会要望をも十分取り入れたものでございます。たとえば芸能部会におきましては、どこか所属のわからないような出演者、それからたとえば歌謡曲で申し上げるならば、単にレコードで名前が売れているからという程度出演者出演させて、番組内容向上することは不可能であろう。やはりその道の第一流の人を、少くともNHKとしては番組出演者考える必要があるではないかというようなこと。あるいはまた報道部門につきましても、放送記者の根本的な訓練を行なって、少くとも日本報道界に範をたれるような取材方法取材態度、あるいは編成方針を実施すべきであるというような御意見。それからまた教育教養を強化するためには、やはりその道の第一流方々に御出演と御援助を願って、教育教養放送内容を一そう充実させることが必要であるというような御意見。それからまた国内番組といえども国際性を失ってはいけない、このことがむしろ今日以後のNHKの重大な責任ではないか、平和を確保していくためには、少くともすべての聴取者が国際的なつながりを持つ感覚を持って今後日本社会生活を行なっていけるような、そういう措置をも番組編成に当っては考えるべきであるというような例を今申し上げたのですが、そういう御意見にも従いまして、ただいま申しましたように、明年度番組費予算編成基礎は、時間増に基く増ではなくて、内容向上を目標とするものであるというような御示唆をいただきまして、私どももこれは当然であるという考えのもとに、御審議願っておる予算案を提出した次第でございます。
  7. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 もう一点、私のお尋ねを進める上の前提としてお伺いいたしたいのでありますが、実は三十一年度の決算を拝見いたしますと、当時は五億何千万の黒字を出しておるようであります。それが三十二年、三十三年には、つまり今年度におきましてはすでに赤字を組まなければならないような状況になっている。なぜこういうふうに状態が悪化して参ったのか、その主たる原因を二、三あげていただきたいと思います。
  8. 首藤憲太郎

    首藤参考人 第一の原因と申しますか、要因は、三十一年ごろまではラジオ受信者が非常に順調に計画通りふえておったわけなんでございます。それが三十一年ごろを頂点といたしまして、受信者普及状態がやや飽和状態に近づいた。それから幾分ずつふえてはおりますが、下降線をたどってきている。大体八〇%という頂点がその辺で達せられた。従って収入が、六十七円という受信料ではその辺が一つ頂点になったという点が第一点でございます。  それから支出の方について申しますと、いわゆる難聴地域の解消とか、そういうふうな面の解決手段、たとえば中継局を作るとか、あるいは増力をするとか、そういう状態が相変らず存在しておる。そこで、そういう仕事は従来と同じように行われておった。従って、それらに対する運営費というものは、従来と同じような程度において増高したという点。  それからもう一点は、この三十一年以降におきまして——ただいま話が出ました放送時間でございますが、明年度以降は放送時間は現行の時間で今後五カ年間の計画におきましてはふやさない計画にいたしてございます。反面内容充実するということにただいま計画しておるわけでございますが、地方の要望その他が非常に強うございまして、ローカル放送の時間もその後に実はふやしたわけであります。そういたしますと、その時間をふやしたことに対する人員の増、人件費その他運営費というものがかかって参るという点が大体大きな問題になっております。それで今日におきましては、この放送時間につきましても、あるいはローカル放送にいたしましても、時間をふやすという手段はこの際やめまして、内容充実するという、いわば人手を食うという物理的な充実という面をここでもやめる、これで大体の目的が達せられたということでございますので、本年度以降は現行でやっていくという立場をとっておるわけでございます。そのようになりましたおもな原因は、あらましそういうところかと考えております。
  9. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 今の支出増の方は、なるほどもっともだというふうには私はすぐ了解できない程度のもの——なるほどふえていることはふえていると思います。しかし支出の増は非常に大きなべース・アップをしたとか、あるいは非常に定員をふやしたとかいうふうな、なるほどそれじゃかなりふえただろう、支出が増すであろうというふうに思われるような大きな問題はお取り上げになっておらないようであります。やはり一番大きな原因は、収入増の方が頭打ちをしたというふうなことにも思われるのであります。そこがどういうふうになっているといいますか、三十一年度までは黒字できた、三十一年度におきましては五億何千万の剰余金を出しておるという報告を受けております。三十二年度がどういうことになりましたか、三十三年度はすでに赤字を組まなければならぬという点が、従来のようにどんどん契約者が増してきたのが思うように増さなくなった、つまり収入増が思うようにふえない、それに対して当然増といいますか、世間の要望に沿うための支出増が若干あったというだけのようであります。そうしますと、なぜことし料金を上げなければならないという原因を作り出したかについてまだちょっと納得できない、やはり将来に向って料金を上げなければならないような条件を作り出しておりまする点、納得しかねる面があるのでありますが、わかりやすくお話が願えればありがたいと思います。
  10. 首藤憲太郎

    首藤参考人 先ほど御説明申し上げました点、なお若干補足させていただきますと、放送時間につきましては、その後に全中と申しますか全国放送を三十分、それからローカル放送を三十分ふやしたわけであります。これで一応現在の第一、第二放送によるサービス時間というものは目的を達した。この全中三十分、ローカル三十分という時間の延長が経費的に大きくその後出てきた。先ほども申し上げました難聴地域を解決するための局を作るとか増力をしたという面と、それから、そのほかにやはり職員の待遇が非常に劣っておりますので、これを若干でも改善をして参りました点が、やはり若干の支出増になっておる。それからまた、今回も提出してございますが、設備が非常に老朽化しておりますので、その補修とか改善とかいうものに意外な金を食っておったという点がございます。それで、実は協会受信料昭和二十九年に現行の六十七円に改訂されたのでございまして、その当時におきまして、これらの要素を考えまして受信料を算定いたしたのでございますが、その当時におきましてやはり八十五円程度のものはどうしても必要だという算定が実は出て参ったわけでございます。しかしながら、当時やはり受信者負担最小限度に食いとめなければならぬという考えをもちまして、六十七円という線に落ちついたわけでございます。これが全部の原因ではございませんが、それもやはり一つ要因になっておる、かように考えるわけであります。  それから今回八十五円に値上げをお願いいたしておりますもとと申しますか、その状況を御説明さしていただきますと、そのようにして参りまして、昭和三十三年度に参りましたわけでございますが、昭和三十三年度におきましてすでにもう現行受信料ではとてもむずかしいという状況になったのでございます。これは先ほど申し上げましたように、昭和三十三年度ころから受信者増加頭打ちになったという点が一番大きな原因でございますが、しかしながら、やはりそういう社会的な要望というものに対して、最小限度事業はいたさなければならぬという考えもございます。それで昭和三十三年度予算では、それらの最小限度のものをやはり実行いたす、しかしながらこれらはほんとうの当面の最小限度のものということで、実は事業計画を作ったのでございますが、それにいたしましても、とうてい収入がこれについていけなかったわけでございます。そこでやむを得ず、昭和三十三年度予算におきましては減価償却の率を引き下げる、あるいは借入金放送債券の期日が参りましたものをさらに繰り延べるとかいうふうな応急的手段によりまして、三十三年度予算を実は作ったわけなのでございます。事実上は赤字を内包した予算ということになっておるわけでございます。そうして三十四年度に引き続いて参りまして、さて三十四年度におきまして受信者が一体どういう状況になるだろうかということを、いろいろなデータにより算定いたしてみますと、三十三年度までは大体三十万程度まではふえて参ったわけでございます。ところが、もうすでに三十四年度ころからはずっと減るわけでございまして、お手元の表にも記述してございますように、三十四年度は約十万くらいだろう、こう思われるのでございます。さらに今後の五カ年間の予測をしてみますと、三十五年度で十三万、三十六年度十一万、三十七年度九万というところへ参りまして、三十七年度くらいのところでもう大体飽和点になる。それからはもうほとんどふえないのではないか、こういうふうに考えるのでございます。さて、そういたしまして五カ年計画考えまして、なお今後五カ年の支出というものを算定いたしました結果がこの八十五円という数字になったのでございますが、もっと具体的に申し上げますと、三十四年度受信者の増が十万六千と算定してございますが、この十万六千による新しい増収が受信料といたしまして一億二千三百万ばかり入って参ります。これは自然増加収入になるわけでございます。ところが反面、三十三年度から引き続いて自然増加になってくる経費がございます。これはもちろん業務上常に節約をやっておるわけでございますが、それをやりましても、なおかつ約十億ばかりの自然増加がございます。その内訳を申し上げますと、そのうち約五億というものは三十三年度に生じました赤字の取り戻しでございます。この赤字が表面に出てくるわけでございます。これを埋めなければならない金額が約五億でございます。正確に申し上げますと四億九千九百六十二万九千円でございますが、そのほかに先ほど申し上げました自然増加経費がございます。この金額は三十三年度から三十四年度に至る自然増加経費でございまして、これが五億六千六百万円でございます。その内訳のおもなものを申しますと、そのうち約四千万円は受信者がふえますので、その受信者受信料収入経費等でございます。これは自然的にふえるものでございます。それから三十三年度に新設しました放送局設備増加経費でございます。そういうふうなものが一億五千二百万円ございます。それから職員給与でございますが、昇給によりまして職員給与増加自然増加になって参ります。これが社会保険料ども全部入れまして二億四千二百万円になっております。それから協会も設立以来もはや三十余年になりまして、そろそろ職員の中に定年退職者が出て参りつつあるわけでございます。これも年々ふえておるわけでございますが、三十四年度におきましては前年度よりも四千万円これがふえるわけでございます。それから設備がふえますに従いまして、減価償却費もふえて参るわけでございます。これの増加が七千五百万円でございます。それから先ほど申しましたように、赤字借入金で埋めたというような状況でございますので、借入金利息負担がふえて参ります。これが千八百万円でございます。その合計いたしましたものが先ほど申し上げました三十四年度に至る自然増加経費として五億六千七百万ばかりになるわけでございます。これは避けることのできない自然増加経費でございます。その前に申し上げました赤字の取り戻しと両方合せますと、十億六千六百万円というものが来年度にこのままの形で出て参るわけでございます。これが自然増加経費と、一方先ほど申し上げました自然増加収入が一億二千三百万ございますが、現在の規模におきましてこのまま予算を組むといたしますと、収入には先ほど申し上げました一億二千三百万がふえて支出が反面十億六千六百万がふえる、そうしますと現在のこのままの形においてすでにバランスがとれない。現在このままの形でたとえば予算を組むといたしますと、この仕事をやるための受信料に換算しますと、七十二円二十銭という受信料でなければ現在のこのままの形においても予算が組めないという状況になるわけでございます。さらに、昨年来必要としております最小限のNHKとしてやらなければならぬ仕事がございます。その第一が老朽設備改善でございます。それらのものを入れると、二十五億三千二百万円最小限出て参ります。そういたしますと、やはり八十五円というのは最小限度としてどうしてもやらなければならぬことでございます。
  11. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 大へん御丁寧なお答えをちょうだいしてありがたいのでありますが、ただ、今のお話の中の、今までの赤字を消すための金五億を自然増と考えられることが適当かいなかということ、しかもこれを将来に向って経常的に入ってくるところの料金値上げによらんとする考え方が果していいかどうかということは、これは私は後にまたとくと承わりたいのであります。  今の御説明の中でも、結局は新しい施設をするための一億五千万、あるいは人件費の自然の増、これはよくわかるのであります。二億四千万、これは一番大きなことのように思われます。こういうことは、なるほど何とかしてカバーしていかなければならないことに思われるのであります。そこで、今の八十五円に値上げすることのよしあしということは後のことといたしまして、きのう資料をお願いいたしておきました普及率の問題、これも私のお尋ねをする前提として承わっておきたい事項一つであるのでありますが、今までの説明によりまして、大体施設が充備せられて難聴地域が解消される、そこで、ほとんど全部の人口といいますか、世帯がラジオの利益を受けることになる、こういうふうに私どもも期待いたしまするし、協会の方でもそれをねらって大いに努力なさっておられると信ずるのであります。それにもかかわらず、今御配付をいただきましたこの資料によりましても、なるほど八〇何%、あるいは九〇%をオーバーするような場所もたくさんあるようであります。けれども、また中には、鹿児島県でありまするとか、高知県でありまするとか、六〇%台を記録しておって、遅々として進まぬようなところがたくさん見受けられるのであります。こういうところはどういうふうにお考えになっておられるのか。また、こういうところの契約者の増といいますか、普及率の向上に向ってどういう努力をなさっておられるのか。あらゆる努力をなさっておられるのにもかかわらず、なおかつこういうことで、加入率といいますか、普及率はこの辺が頭打ちだと、こう考えられておられるのかどうか、その点を一つ承わりたいのであります。
  12. 首藤憲太郎

    首藤参考人 この低普及地域のうち、たとえば九州などではやはり民情的になかなか普及しにくい面もございますが、反面、非常に離島と申しますか、島の多いところがございます。その島の多いところには電灯もないというところも意外に多いのでございます。そういうところは、これはもともと普及させることが無理だという地域もございます。案外離島というものは九州に多いのでございます。それが九州の方が普及しにくい一因にはなっておりますが、その他やはりこの表から申しましても、九州は普及率が悪いという点につきましては、われわれといたしましても非常な努力をしておるわけでございます。そのためには、特別の組織も作りまして、東京からも応援を出しましてやっておるのでございますが、順次多少ずつでも以前よりふえては参っておりますけれども、まだなかなかほかのところに追いつかないところがございます。ただ、われわれとしましては、やはり全国の皆さんに聞いていただきたいという建前と、もう一つは、われわれの財政収入の面から考えまして、やはりこういうところはいま一そう努力しまして、もっと普及率を上げなければならぬという考えでございますし、今後とも努力をするつもりでございます。
  13. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 なるほど今の熊本でありますとか長崎でありますとかいうところは離島が多いのであります。従って、この方面における普及率が低いということも今の御説明でわかるのであります。しかし鹿児島であるとか、宮崎県などは島はないのであります。それにもかかわらず非常に普及率が低い。これは私は、協会の努力に欠けるところがあるか、あるいはその地帯における民度と申しますか、経済力と申しますか、ラジオに対する関心が低いというか、何か原因が、今御説明になった以外のところにあるように思われるのでありますが、これらにつきましては、先ほどの御説明の中で、普及率はすでに頭打ちだ、こういう御説明になっておられまするから、果してそうであるかどうかをここで一応念のために承わるために、もう一度御説明願いたいと思います。
  14. 首藤憲太郎

    首藤参考人 特別の原因と申しましても、これはなかなかむずかしいのでございます。これは九州だけじゃないのでございますけれども、やはり地形による電波状況が不利であるという点もございましょうし、もう一つは、やはり九州の民度と申しますか、これは昔からそういうふうなものがあります。これはわれわれとしましても、低普及地域開発実施要領という特別の対策を立てまして、そういうところに対して努力をしておるわけでございます。従いまして、すでに昔の状況から申しますとやはり向上はしておるわけでございますが、そうしましても、ほかの地域、たとえば北陸とかあるいは関東とかいうところよりは、やはりテンポがおくれておるという状況でありまして、非常に困難な状況でありますが、特別の、こうこういう理由だという面につきましては、やはり受信者がなかなか興味を持ってくれない、あるいはラジオを聞いてくれないという点が根本なんでございます。われわれとしましては、今後努力する一番必要な点は、やはりこういう地域の開発に努力をいたしまして、普及率をふやしていくという点が必要なんじゃないか、こう考えておるわけなんでございます。
  15. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 放送法の七条によれば、「協会は、公共の福祉のために、あまねく日本全国において受信できるように放送を行うことを目的とする。」という、このあまねくというのは、一体地理的な難聴地帯の解消ということだけなのか、あるいはまた、これは階層的に経済力の弱いものに対しても聞かせるようにするのか、私はこのあまねく全国という意味がわからないのです。しかし、これは解釈の仕方はどっちでもいいですが、ともかく、だれもみんなが必要な水とか空気と同じように電波の恩恵を享受させなければいけないと思うのです。そこで、この七条の目的を達するために協会はどういうふうにしているか、どうせんとしているかということを聞きたいのです。これは放送番組とも関係があるが、ローカル放送というんですか、そういうものにもっと力を入れなければならないじゃないかということを私は考えるわけです。よく政治の民主化には地方自治を発展させることが基盤であるということが言われるわけですが、放送等においてもこの地方問題、地方教育、文化、産業、経済、政治、こういうようなものをもっと豊かに取り入れるというような方法を講ずることによっても、また聴取者というか加入者をふやすことができるということになりはしないか、こういうように考えるわけです。こういう点について、先ほど経理局長ですか、放送番組の時間は動かさぬということを言っておられるのですが、これは放送番組編成ですか何の編成ですか、それの基本問題だと思うのです。私は放送文化の中央集権という言葉がいいかどうか知りませんが、そういうことに反対して、やはり民主化の基盤であるローカル色豊かなものを盛り込むような工合にしなければならない、こういうように考えるわけです。これは方針ですから、会長からお答えをいただきたい。それが一点です。  それからもう一つは、経済的にもあと一〇何%かの人々はなかなか入れることが困難だということが一つ原因ではないかと思うのです。これはむずかしい問題があると思うのですが、ここで料金改訂の段階になって一律八十五円という問題よりは、むしろ三階層ぐらいに分けて、所得の高い者は二カ月に二百円、その次の階層の者は三カ月に二百円、その次の階層の者は四カ月に二百円、そうすると平均は七十円になるのですが、平均はいいところに持っていけばいいし、徴収の仕方はどうにでもできると思う。そういう階層的な聴取料を取るというようなことについて検討してみたことがあるかどうか、これは一体困難なことかどうか。大臣はいないが、政務次官の月額八十五円と、生活保護に近い者の月額八十五円とはどえらい違いになると思うのです。そういうように階層的に分けて取ろうというようなことを検討してみたことがあるかどうか、そういうことをやったならばなぜまずいか、このことを一つお答えをいただくことが第二点。  それから第三点としては、私は広島県かどこか視察したときに、なかなかうまいことをやっているなということに気がついたのですが、広島県放送文化普及委員会常任委員藤井吾平という人が出てきて、何をやるかというと、ラジオを聞けない人にラジオをあっちから寄付をもらってきたり、こっちから何とかしたり、古いものを持っていったりしてあてがって、何とか聞かせるようにやっている。これは広島県ほか中国五県だけで、全国どこにもないでしょうが、私たちはこんなことで一生懸命やっているということをいろいろ御意見を伺ったわけです。こういうものを放送局中心にしてやっておりますから、官民合同でやっておりますというようなことですが、そういうような具体的な組織をお考えになっておるかどうか。何もこれをまねしろということではないのですが、具体的に何か普及率を上げたいという方針があるかどうか。この三点についてお尋ねしたいと思います。
  16. 野村秀雄

    ○野村参考人 第一点について私の考えを申し上げます。  私は地方の文化が向上し、これがよく民主化するというときにおきまして民主政治というものが発展し伸張するものだ、かように考えております。政治も経済も文化も東京に集中し、偏在することは、決して健全な姿とは思いません。地方の文化、経済が振興し、発達し、地方住民が繁栄するようになって、国全体が発展し、またそれが文化の向上となり、民主化の拡充となるものと考えております。従って、私は数年前アメリカの地方政治を見に行ったとき、よい地方新聞のあるところにはよい地方政治があるということを痛感したのであります。東京に帰って、東京の新聞の人にも言い、地方の新聞の人にも言っておきました。地方政治をよくしようと思えば、どうしても地方新聞がよくなければならぬ。地方政治のいいところにはまた地方新聞がよく伸びるのだということを申したのでありますが、その当時は、この放送のことについてそれだけの興味を持たなかったから、そのアメリカの民間放送がどうあったかということは全然存じませんが、私NHKに入ってから、まず私が大きい声で唱えたのは、この地方文化、地方経済の発展振興のためにローカル放送改善し、充実していかねばならぬ、これをぜひ実現するように努力してもらいたい、もとよりこれについては電波事情もあり、財政事情もあって、今すぐにどうということはできないかしらぬけれども、その事情の許す範囲においてはぜひ地方文化の振興、地方経済の発展、地方住民の繁栄のためにローカル放送をよくしていくように努めてもらいたいということを、まっ先に協会の要人諸君にも話したような次第であります。今後この点においては、今申したように電波事情の許す限り、経済事情の許す限りローカル放送改善充実をいたして、地方住民の皆さんの御期待に沿いたい、かように考えております。
  17. 溝上けい

    ○溝上参考人 普及率の改善の問題について、技術的な問題でございますが、多少補足して申し上げます。  だいぶ前から全国の普及率が一番悪いのは鹿児島でありまして、第二番が高知県でありまして、これはわれわれ常に気にしておりましたが、ほかの新聞その他の関係、そういうふうなデータからいっても、そういう順序が出ておるように、あの当時ちょっと考えました。それで、これは若干われわれとしてやむを得ない地方的な理由もあるのじゃないかと思いますけれども、当時は鹿児島もまだ十キロになっておりません。高知も十キロでございませんでした。それでまず一番最初に、鹿児島は、御承知のように鹿児島の放送局を十キロに増力をいたしまして、出力の改善をしました。その後十キロの改善ということについても若干調べましたが、効果が相当あったと思います。しかし依然としてこの表に出ておりますが、それだけによって格段の改善をすることも困難というような結果になっておるわけであります。それから高知につきましても、これは昨年やはり十キロをようやく完成をいたしました。実はこの周波数はどっちかというと、技術的にいってあまりいい周波数ではないものですから百パーセントの効果を上げておりませんが、今後は在来以上に山間の方にも電波が届くようになっておりますから、ある程度改善は見られると思います。しかし経過的にいって、そういうような——宮崎県につきましては、ちょっと今はっきり申し上げられませんが、高知と鹿児島につきまして、そういうような経過をたどっております。  それから集金制度につきましては、これは実はわれわれの方といたしましても、現在の集金制度が必ずしもこれで満点とは思っておりませんので、いわばやむを得ずいろいろな経費の点その他の関係から、総合的にこの際はやはりこのままでいきたいという希望で予算は組んでおりますが、しかし問題点が多々あることはよくわかっておりますので、お話のような点も含めまして、いろいろ研究したいと思っております。今のところ階層別にどういうふうにするかということを具体的に研究して案を持っているという段階ではございません。
  18. 前田義徳

    前田参考人 ただいまの御質問に対してお答えいたしますが、私ども実は内部的にはそういうものを作ってやっております。はっきり申し上げますと、年間を通じて、ことに番組面等が主になりましてその地方にふさわしい番組を現地に持って参りまして、番組面から地方の聴取意欲に適合していくやり方を、年間計画として毎年やっております。そういう点だけでは実は効果が上りがたいわけなんですが、たとえばいろいろな人気番組の持ち出しにつきましても、今年度以降は人口稠密の地帯だけを目標にしないという考え方で、低普及地域によりよい公開番組を持っていくという方針を立てて、着々実施いたしております。それから、私どもの場合は学校放送につきましては無電灯地帯その他に対しまして、過去数年間に計画的にトランジスター・ラジオを学校または公共団体に寄贈いたしまして、その面からの無電灯地帯の開発にもできる限りの努力を払って参ってきております。
  19. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 小澤委員の関連質問はまだこれからたくさんあるようでございますが、ちょうど私の質問の核心にも触れて参りますし、適時に関連質問をしていただくことといたしまして、今私がお尋ねしたい点は、頭打ちと言われますけれども、たとえば新潟県におけるがごとき、あるいは富山県におけるがごとき、埼玉県におけるがごとき、この表を見ましても九〇%をオーバーして九四%というような地帯も見られるのであります。こういうところにおいてこそ、頭打ちだ、これ以上どう努力してもいたし方がないのだということが言い得ましても、六一、二%あるいは六〇%といったようなところにおいては、私は決して頭打ちという表現は当らないのではないか、こう思うのでありますが、この点いかがでありましょうか。今のような努力を重ね、方法を講ずるならば、なお今後においては契約者は増すであろうと想像されるのでありますが、その点お伺いをいたします。
  20. 首藤憲太郎

    首藤参考人 この低普及地域の開発につきましては、お説の通りわれわれも一番重視しておりまして、具体的には低普及地域開発対策実施要領というのを内部的に作りまして、実施しております。具体的には普及率が六〇%以下のところを対象にしまして、その土地のメーカー、ラジオ商、電力会社、そういうところと提携しまして、協議会を作り、そういうものの協力を得まして、たとえば販売会、催しもの、映画会をするとか、先ほど申しました番組に興味を持たせる手段としておもしろい番組をその地方に持っていくとか、そういうふうなことを現にやっております。来年度は一そうこれに力を尽したいと思いまして、各地方局に来年度は五カ所程度低普及特別地区というものを作りまして、具体的にこれをやっていこう、そのための開発経費として、この予算におきまして三十四年度約六百万円を計上して努力を尽すつもりでございます。  頭打ちと申します言葉につきまして、いささかわれわれとしましても言葉が足りぬ点があったかと思います。頭打ちと申しますのは、これ以上ふえないと考えておるわけでございませんで、全国約千八百万世帯というものを一応対象にしまして、数字にしまして八〇%をこしたというところから、平均的な点から見まして頭打ちと申しておるのでありまして、地域的にはまだ開発の余地がある、またそうしなければならぬ、かように考えております。
  21. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 結局まだ努力の余地あり。それから努力の余地の中に、もし今の高知県なり鹿児島県なり、あるいはその他の低普及率のところの、低普及率にとどまっておる原因一つ料金が高いからとか、あるいは料金負担が気にかかって伸びないというような事実があるか、それについてお尋ねをいたします。
  22. 首藤憲太郎

    首藤参考人 料金が高いからという苦情も、中には従来われわれの集金人が聞いておった例もないとは言えない状況らしゆうございますけれども聴取者全体の声としまして具体的にそういう話は、個々には聞いておりますが、まだそれを理由にお払いにならないというケースは、今のところ割合少いと考えておるのでありますけれども、絶無とは言えぬかと思っております。
  23. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 料金にこだわっている点が絶無ではないというお答えであります。私もそう思っておりました。全体の生活費から考えますというと、月額六十何円というふうなものは決してそう負担しがたいものとも思えないのでありますが、しかし地方にいきますと、わずか十円なり十五円なりのものが、かなり何とはなしの負担に感ずるものなのであります。卵一個売って子供のノートを買うとか、鉛筆を買うとかいうような生活状態を続けておるところにおきましては、十円、二十円というふうなものがやはり何とはなしに気にかかる。それが積り積って一年を計算し、三年を計算することによって、やはりラジオには入れないのだ、ラジオはがまんした方がいいのだという気持を起す程度が、地方においてはかなり高いように私には思われるのであります。そういうような面も、この普及率が、ある地方においては非常に高くなる、ある地方においてはなお伸び悩んでおることの一つ原因であると思うのでありますが、もう一点、やはりテレビが普及されて以来、かなりラジオに影響を持ち始めたと私どもはしろうと考えで思うのでありますが、最近の統計を拝見いたしますると、非常に取り消しの数が増しておるようであります。本年度の見込みをいたしましても、百二十何万でありましたか、正確な記録が今調べても見つからぬのでありますが、それくらいの取り消しの数がある。もちろんそれに対する新規増もありまして、差引十万六千という純増を見るような計算にはなっておるのでありますが、あまりにもこの取り消しの数が多い。この取り消しの数の中には、あるいは移転その他によってやむを得ず甲地において取り消し、乙地において新しく加入するというものもあろうと思うのでありますが、しかしこの中には、テレビに転換したとかなんとかいうものもあるのじゃないか、それがこのような大きな数字に記録されているのじゃないかと思うのでありますが、実情はどういうものでありましょうか、お伺いをいたします。
  24. 首藤憲太郎

    首藤参考人 取り消しが最近ふえてきておりますにつきましては、われわれもこれを非常に深刻に考えておるわけでございます。この取り消しにつきましては、廃止の理由がいろいろございまして、機械が故障したから故障期間聞かないのだという方、それから機械を譲ったり売ってしまったからという方、割合にそういう方があるのでございます。それからそのほかに、今おっしゃいましたテレビをつけたからラジオはもう聞かないのだというふうな方もございます。それで最近統計をとってみたのでございますが、三十二年十二月の調べでございますが、その廃止のうち、機械をもう売ってしまった、あるいは譲ったからという理由で取り消された方が全体の取り消しのうちの一四%でございます。それから機械が故障したからという理由で廃止された方が三七%、その他いろいろの理由があるのでございますが、その他いろいろの理由による廃止が二七%で、残り二二%がテレビをつけたからラジオなんか聞かないのだという理由でおやめになっています。それでこれに対しましては、われわれといたしましても、実際にラジオを聞いておられるかどうかという点につきましてそれ以上のせんさくをすることはむずかしいのでございますけれども、大体の趨勢を見ますと、従来テレビを始めましてから今日までの状況を見ますと、テレビをつけました当座は、やはりテレビは珍しいので、テレビばかり見ておられる。ところが二年、三年たちますと、やはりテレビはテレビ、ラジオラジオというふうに興味が出て参りまして、またラジオに戻ってきておられるという現象が出ております。最近アメリカの調べを見ましても、アメリカにもそういう現象が出ているというふうな状況でございます。われわれの従来までのテレビを設置しました場所につきましても、やはりそういうふうな傾向が出ておるわけでございます。そこで人情としまして、やはりテレビをつけましてから当座の間は、テレビばかりに集中していってラジオを聞かない、だから廃止するという方もあることは事実でございますけれども、われわれとしましては、番組にさらに興味を持っていただく工夫をし、努力する限りにおきまして、やはりそれらの方がまたラジオを聞くことに興味をお持ちになっていただく方に返っていただくという今後の努力目標があり、またそういう傾向は現在まで出ておると考えておるわけでございます。
  25. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 今の二二%の数字を見込まれておることにつきまして、私も少くともその程度の数字はあるのではないか、こう思っておりました。しかしそれも一時的現象であって、将来に向っては必ずしもそういうことにはならぬのではないかというお話であります。そうであれば大へんけっこうであります。しかしながら、もしそうであるといたしますと、先ほどお示しになった、本年度が十万六千、来年度は十三万、再来年度は十一万で、その次が九万というふうな純増の数というものは、今のテレビの二二%の影響を将来そう心配するものではないのだというお考えとは少し相矛盾するように思われる。しかしこれは見込みでありますから後刻の問題といたしまして、以上で私が前提としてお伺いいたしたいと思った点は大体わかりました。  これから私は値上げの問題につきましてお伺いをいたして参るのでありますが、先般御説明をいただきました昭和三十四年度収支予算事業計画及び資金計画についての協会からの御説明でありますが、その末尾にこういうことがございました。「三十三年度におきましては、止むを得ざる理由により、赤字予算編成しなければなりませんでしたが、その際「協会の財政を一日も早く健全な姿に立帰らすべきである。」との御激励をいただきましたことを、銘記いたしておるものでございます。今後、再びNHKをその危うきに陥し入れることのないことを誓ってこの予算編成いたしました。」こういうふうに表明せられております。私はこの一語に非常な感動を覚えたのであります。会長のお人柄ともあわせ考えさしていただきまして、このような悲壮な決意をお持ちになって今度の三十四年度予算編成をお進めになったということにつきましては、私はさもありなんと御同感申したいのであります。ただしかし、それだけに、そういうような重大な決意を持ってお運びになり、今後においてはこういう不健全と見られるような事態を再び起さないように、かたい決意を持ってやられるということについては敬意を表する次第でありますが、そういう中においてなお今後の値上げの了解を政府に求むるの決意をなさったについては、あらゆる工夫を講じて、もう万策尽きてやむにやまれずしてこの挙に出られた、こう思いたいのであります。またそうであろうかと思うのでありますが、今までお伺いいたしたところによりますと、必ずしも万策尽きた、もうこれより以外にはないのだというまでに言い切れるかどうかについて、私は若干心配を持つのであります。普及率の問題にいたしましてもしかり。普及率を向上させるということにつきましては、むしろ料金の値上げは逆行するものであるといわなければなりませんし、また先ほど触れられましたところの、これまでの赤字の解消を経営費としてお考えになっておられるような考え方についても、私はいかがかと思われます。またこの予算の中に出て参りますところの三十四年度において計画なさっておられるいろいろの問題についても、たとえば国際放送について多額の経費をつぎ込もうと計画しておられるようなこと、あるいは老朽施設などについて多額の金をつぎ込もうとする御計画、そうしたものが果してこの料金値上げによって恒常的に入ってくるところのものに頼らなければならなかったかどうか。また政府の当然の義務として放送協会の方につぎ込むといいますか、給付すべき政府の責任の経費をなおこの値上げの方に頼っておるような事態というものが、ほんとうに万やむを得ずして計画なさったのかどうかについて、若干の疑い、心配を持つのであります。それをお伺いいたす前に、私はこれは政府の方にお伺いたしたいのでありますが、NHKラジオ聴取料といいますか、これは性質をどうお考えになっておりますか。当初、日本放送協会が出発いたしました当時におきましては比較的単純であった。従って聴取料といいますか、施設認可の手数料と申しますか、そういったものの性格も割合に端的に考え得たのでありましょうが、今は民放が普及されておるような事態において、必ずしも日本放送協会発足当時の単純な考え方をもってしては世人を納得させ得ないような面が多々出て参っておるのではないかと思われます。これらにつきましてどういうふうにお考えになっておられますか、お伺いをいたしたいと思います。
  26. 寺尾豊

    ○寺尾国務大臣 御質疑の点はまことにごもっともな御意見である、かように考えております。ただNHKの使命と申しますか、放送法第七条に示されておりまするように、公共放送として公共の福祉のためにあまねく日本全国において聴取できるように放送を行うことを目的とする、これは私はNHKに対してのいわゆる至上命令的な、表現はまことに悪いのですけれども、全くNHKとしてはこのことに対しての全責任を負って立っておる、こういうことが申し上げられると思うのであります。従いまして、これは古垣会長当時からでありますが、やはりNHKがほとんどまだ民放の生まれない当時から今の経営に当ってのいろいろのNHK運営等を、今日から考えてみますると、これほど将来民放も出、あるいはまたテレビジョンといったような新しい放送が生まれてきて、その使命がかくも大きくなるということはおそらく予想していなかったのではないか。かたがた、もう三十幾年かになるのでありますから、今御指摘のような老朽陳腐化というような、なかなか専門の言葉ですが、老朽施設というようなものも地方の局、現地を視察いたしてみますると、ただに建物が狭隘なというばかりでなくして、その施設というものがほとんど陳腐化しておる、また比較的新しいものでありましても、その後の技術の進歩というものが非常に急テンポであるものですから、そういうふうなことに対する——全国的に施設が老朽になってしまった、こういうものに対するかってからのたとえばこれの減価償却、こういうものが比較的私は注意が足りない、率直にいってそういう点に対する準備というものが足りなかった点もありはしないか。そのところへもってきて、申し上げるようなテレビの出現というようなことがありましたので、これは詳しく申し上げますと非常に時間のかかることでありますけれども、三十三年度予算を組みますときに六十七円というものではとうていやっていけない、あるいは八十五円あるいは百円という説がすでに三十三年度にいろいろ論議をされたのでありますけれども、時の客観情勢、経済事情、あるいは大衆の生活状態、こういうものを勘案をいたしまして、どうしてもこの際は値上げをすることができないのだ、従って今回は借入金によってまかなっておけ、しかしこの次には一つ値上げというものは何とか認めようから、こういうことで、野村会長もそのときのいろいろの激励の言葉——金丸委員が最後にお示しになったこの言葉に感激をされたことと思うのであります。ことに今度の計画概要にも書いてありますように、教育教養番組の強化並びに中波の放送網の完成、あるいは難聴地域の解消、しかも老朽陳腐化しておるというものは早急にこれを改善をいたしませんとりっぱな放送というものができない、それからFM放送というものもやはり混信その他を防ぐということにおいて研究もしていかなければならない、お示しのように国際放送の拡充をしなければならない、ことにまた国際放送につきましては、いろいろ意見があるところでありますが、しかし一応現行法の九条においてNHKは左の事業を行うことができるという中に、国際放送を行うことができるということを書いてあるわけであります。従ってNHKとしては、やはり国際放送を行なって、そしていわゆる列強との親善あるいは貿易の振興、文化の交流、あるいは外地にいる在留邦人の慰安、こういうものはやはり政府の命令のみならず、NHK自体がもはやこれを行わなければならぬのじゃないか、こういう考え方から行なっておるとわれわれは解釈をいたしておりますが、ただ政府の命令をいたしましたものについては、政府がその費用を支払うということがはっきり出ております。そのはっきり出ております中には政府の編成をした予算の範囲内で交付金を出す、こういうことになっておるのでありまして、今度は、この三十四年度はそれが九千三百万何がし、こういうことになっておりますが、NHKはこれに対して多額のNHK自身の費用を出して国際放送を拡充していく、こういうことになっております。しかしこのことはいろいろ論議がありまして、これはNHKに国際放送を政府が命じたということであれば全額交付すべきじゃないかという論もございますけれども、しかし私ども考えといたしましては、こうした公共放送であってみれば、国際放送をやるということもやはり国民のためにこれはNHKが公共放送として行うのであって、それによって日本の地位が向上をする、あるいはまた貿易が伸展をするということになれば、日本国民全体にそれがいい結果をもたらす。     〔委員長退席、進藤委員長代理着席〕 こういうことにおいて、ある程度のことはNHKとしてはこの国際放送に力を入れる、金を使うということは、聴取者もまた一応了承ができるところであるまいか、こういう考え方も持っておるわけであります。資金その他の数字的な御説明経理局長がいたすといたしましても、他の新聞購読料等と比較いたしましても、またこれを歴史的経緯から見ましても、聴取料というものは非常に遅々として、これは非常ながまんをしてきたのではないか。これは私の言い過ぎかもしれませんけれども、そういうような事情もあり、三十三年の経緯もございまして、今回はもう最小限度の——いろいろNHKに課せられたこれらの問題を解決をするためには最小限度、一部では百円という意見もございましたけれども、野村会長御自身がそういうようなことでなく、必要最小限度、あらゆる合理化をする、節約をする。そういったような面で、金丸先生の御指摘のように、ほんとうにもう会長以下が真剣に経営の合理化をして、そして全従業員がNHKの使命に挺進をするという形において、いわゆる最小限度が八十五円だ、こういう結果が出たのであります。従って、政府といたしましては、三十三年度の際のいきさつもあり、またいろいろ内容等を検討いたし、また党といたしましても、政調会あるいは総務会等で十分検討をいたしました結果、この程度の聴取料の値上げはやむを得ないだろう、こういうことで御審議をお願いする、さようなことになった次第でございますので、この点は一つ一応御了承を賜わり、詳細な点につきましては、NHKの方の経理局長から御説明を申し上げたい、かように考えます。
  27. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 大臣から値上げのやむを得ざる事情を御説明いただいたのでありますが、私はそれより前に、今のNHK料金というものが非常に複雑な内容を持っておるように思われるものですから、政府の見解として一体あの料金の性格は何なのか、どうお考えになっておるかを承わりたかったのであります。私のお尋ねの仕方が下手だったので、あるいは御了解いただけなかったかもしれませんけれども、たとえば全然民放だけを聞いておって、そしてNHKには何らお世話にはならないというふうなものについても料金が取られておりまするし、それからまた一台持っておるものにも、また大きなうちでもって、三機、五機備え付けておる家庭においても一つ料金のようでありまするし、それからきのうもここで問題になりました農村放送なんかにおきましては全く放送の聴取の施設ではない、電話の施設に便乗して放送を聴取しておるというようなものに対してまでも聴取料金が徴収されておる。そういうふうに非常にめんどうな内容を持っておるものですから、これは一体どういうふうに観念なさっておられるか、それを一応承わりたい、こういうことであります。
  28. 寺尾豊

    ○寺尾国務大臣 私がむしろ御質問の中心を誤まったことと思いますが、このNHK料金問題というものは非常に問題であり、また重大である。従って、今回の放送法の改正案を提出するその検討の途上におきましても、この料金問題をどうするかというようなことが非常に論議をされたことも御承知の通りと思います。それから、その料金を取る内容と申しますか、さまざまな現実の問題を検討いたしましても、今御指摘のようないろいろな問題点があることは、数日来小澤委員等によっても強く御主張、また御質疑があっか通りでございます。従いまして、この料金というものについての考え方、この契約をすることによって料金を取る、しかもそれは御指摘のように非常に千差万別である、実態の非常にさまざまな状態において一律に取っていくというようなことについては論があると同時に、料金として、NHK自身で徴収するという形がいいのか、あるいはまたこれを一つの法的に規制をして、一種の税金といったような形で取るのがよろしいかという問題については、いろいろの論議や意見があるところと思います。従いまして、今の形においては、極端に申し上げますれば、こういうふうないろいろの矛盾というものも確かにございますので、こういったような問題は、この放送法改正案を御提案申し上げるときにも申し上げましたけれども、今回はきわめて重大な料金問題についてはこれを現状のままとした。従って、料金については、今後これを十分検討して適正な料金体系というものを打ち立てる、こういうことを申し上げたわけであります。ただ、NHKという事業体の活動をまかなうに必要な財源を全国の受信者負担をする、こういうことに私どもは解釈をいたしておるわけであります。これはいわゆる契約の形というものはとっておりますけれども、サービスといったようなことだけには考えていない、こういう根本的な考え方とでも申しましょうか、やはり公共放送としてのNHKの今の財源というものを聴取者に求めるという一つのきめ方がいいか悪いかという問題になれば、これはまた相当深刻な論議も生まれてこようじゃないか。一方御指摘のように、民放というものがあって、これは全然聴取料を取らない。そういうことで、経営に必要な財源を聴取者に求めておるという考え方に立っておりますから、この問題を根本的に検討するということになれば、今申し上げますように、非常な御意見が出てくる。そういうために料金というものはこれを根本的に再検討する必要があるということにもなっているかと思いますが、非常にむずかしい問題ではないか。ただ、現行法においては今の形を一応とって、できるだけ生活保護法といったようなものの適用を受けておる被保護者というようなもの——ことしは四万三千といったようなものに一つの減免をしたというようなことで、そういうふうな一つの階級にはできるだけそういう措置をしたい。ただ、昨日も申し上げましたように、有線放送関係のらっぱというような問題になりますと、これは今回減免の範囲の中に入れることができなかったので非常に残念ではありますけれども、そういうことを入れることによってだんだんそれが拡大される、連鎖反応を起すというようなことから考えますと、また資金計画というようなものにも非常に大きな影響を及ぼしてくる。こういったようないろいろ困難な場面にも遭遇するということで、実はNHK自身としても非常にやりたいにはやりたいけれども、それが今日の段階ではやりかねる。こういうような料金の問題につきましては、将来に非常に問題を残しておるということはいなめない事実だと思いますが、さような事情でございますので、一応今日の場合におきまする料金体系につきましては御了承願いたい、かように考えております。
  29. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 私は根本の問題についてもなお大臣からお考えを承わりたいのですが、今日の段階におきましては公共放送経費を国の財政によってまかなわんとするか、それとも今のような世間一般の聴取料にたよらんとするか、根本の問題につきましてはなかなか大へんだと思います。ここでどうということにはいかないかもしれませんが、かりに今のような状況聴取者の出すところの料金によって経営をしていくということにいたしましても、一体聴取者が出すものは何なんだということをお伺いしておるのであります。政府当局はどういうふうにこれを観念なさって、特に今回の値上げをよろしいとおきめになられたか、こういうことをお伺いしたかったのであります。世間は、料金であれば料金でよろしい、税金にかわるべきものであれば税金と考えてもよろしいとまで考えているかもしれませんが、税金と考えるならば、税金としてやはり公平を期してもらいたいでしょう。手数料と考えるならば、また手数料としてそれなりの考え方で出発してもらいたいと思います。また聴取者として国際放送にも協力しなければならないとか、あるいは被生活保護者などに対しても若干の協力をしなければならないというような考えをも持たなければならないということであれば、それなりに言って下さればそうも観念いたしましょう、そう思っておるかもしれません。いずれにいたしましても、そのいずれなんだ、今までは二十何年間やってきたところの惰性で、何かいろいろごちゃごちゃしてきたけれども、納めろということであれば一つ納めましょうということであった。今度この機会に料金を値上げいたします、そうして今までの料金値上げのときと違いまして、民放の問題、テレビの問題が生じてきて、ラジオ界には新しい空気といいますか、新しい面が広がってきておるわけであります。そういう新しい空気、新しい面のもとにいろいろの問題を考え直していかなければならないときと相なったと思いまするので、ここで一つ納めるところの聴取料というものは一体何なのか、こういうことを端的にお伺いいたしたいのであります。
  30. 濱田成徳

    ○濱田政府委員 NHK受信料の性格はなかなか表現が困難のように思います。これはイギリスのBBCの場合のようにいわゆる受信機の認可料というような性格ではありません。ライセンス・フィーというようなものではないと思います。それから電波使用料というようなものでもないと思います。私ども考えでは、放送法の第七条によりますところのNHK目的、かような大きな目的を持ってNHKが設立されておる、その目的を達成するために、NHKを維持するいろいろな費用、あるいはその目的を、日本国としてあるいは日本国民の総体が力を集めて、かような国民的放送事業体を維持し、そして公共の福祉に適せしめるために運用するに必要ないろいろな経費、サービス等の実現可能なために拠出する維持費のようなものであろうと考えております。
  31. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 NHKの業務といいますか、業態といいますか、そういうものを維持するための費用を分担するという意味における聴取料だ、こう観念されておるということでありますか、大体そういうことでありますか。
  32. 濱田成徳

    ○濱田政府委員 大体仰せのような考えでありますが、言葉は不十分かつ完全でないかもしれませんが、税金ではなく、認可料でもありませんから、NHK目的を果すために必要な諸経費を、受信設備を備えた人々がNHKと契約をしてそれを拠出することを約束する、そしてNHKの経営が可能ならしめるようにする。そういう意味のものでありますから、ただいま仰せのような維持費のごときものと考えていいんだろうと、私は考えております。
  33. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 非常にむずかしいものだと思いますが、しかしそれだけに何かはっきりした考え方といいますか、ねらいをつけておきませんと、いろいろな面に問題を引き起して参ることは、すでに当委員会におきましてもいろいろな機会において各委員から発表された意見の中に出て参りました。ことに現場における実際維持費を分担する人たち、あるいは分担を願うといいますか、具体的にいいますと料金をもらいにいく人たちにとっては非常に苦しい場面に陥ると思うのであります。有線放送においてたびたび問題にされておるのでありますが、その他の面におきましてもたびたび起きて参ると思います。これにつきましてNHK当局はどういうふうにお考えになっておりましょう、お伺いをいたします。
  34. 莊宏

    ○莊説明員 受信料はそもそも何かという御質問でございまして、これはまことにむずかしい問題であります。現在私ども考えておりますところは、先ほど大臣及び局長から申し上げた通りでございまして、要するに、ただいまの受信料は税金ではもちろんない、それから国が法権力によって取る手数料でもない、かように考えます。しからば現行法の上から一体どういうことだということになりますと、結局契約料金ということを申し上げる以外に手はないと存じます。しかしながら契約料金とは申しましても、通常の契約において給付、反対給付という関係においての料金というのとはだいぶ変っている面がございます。その点は先生よく御承知の通りに、現在の放送法によりますと、サービスを現に受けていようといまいと、とにかくNHK放送を受信し得る設備さえあれば契約をしなければならないという契約締結の強制をやっております。それで、この点通常の契約と大いに趣きを異にしていると考えます。  そこで、こういうような非常にむずかしい制度を現在の放送法が定めているゆえんのものは何であるかということになってくると思うのでありますが、結局現在の放送法は、日本国民のためにNHKというものがどうしても必要である、こういうことをまず考え、その必要なNHKを存立させ、維持させていくためには金が要る。その金を調達する方法をどこに求めたらよいかということを考えた結果、いろいろ手はあるでございましょうけれども、結局従来日本で行われてきた契約制度というものを導入いたしまして、非常にむずかしい契約料金というものができ上っておる、かように考えざるを得ないと存じます。それで、理論的には確かにいろいろむずかしい問題がございますので、大臣からもお話がございましたように、私どもも十分検討して、よりよい案があるならばそれに変えなければなりませんでしょうと考えております。しかしながら、先般御審議いただきました放送法の改正案においてこれに手を触れておらなかったのは、現在としてはこれにかわるべきいい手段が発見できなかった、こういう状況でございます。
  35. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 契約料金、これもはっきりはしないのでありますが、そういう言葉をお使いになっておりますし、そしてそれは従来からの行きがかりもあり、伝統をも導入してという、私はこれは大へんおもしろい言葉だと思います。従来からそういうしきたりで来たのだから、それ以外にいい方法が見つからぬので、ばく然とはしておる、明確ではないけれども、それにたよらざるを得なかったということであります。確かにそうでもあろうと思いますが、私は放送協会が出発する当時の実際の放送業務の実態というものから考えて、契約料金あるいは施設をすることの認可をするのだという手数料的な考え方でもよかったと思います。そしてそれが長い間行われてきたけれども、今日は全くその当時とは様相を一変しておるのです。アンテナを立てて大きな機械を持ち込んで、だれが見てもまさにここに放送聴取者ありと見得るような状況から全く脱却してしまって、小さな携帯用のラジオが町にはんらんしておる。そして山の上でもどこでも勝手に聞けるんだというような事態となっていることばかりでなしに、公共放送以外に民放が実現いたしまして、あらゆるところでその聴取を勧誘しておるという事態になってきておる今日におきましては、その出発当時の契約料金的観念にとらわれぬで、新しい観念をこれこそ導入しなければならないように思うのであります。それらについていろいろ検討なさっておるだろうと思いますが、検討なさった方向などについて一つお示しを願えますれば、私たち、なるほどそういうふうにいろいろな面において、こうすればこういう問題があり、ああすればここに難点ありというふうで、こういうふうな、ことにばく然たる不明確の観念のままにこの重大な値上げ問題がぶつからざるを得なかったということについても納得できるかもわかりません。それについていかがでございましょうか。
  36. 莊宏

    ○莊説明員 この受信料制度につきましては、現在の放送法日本放送協会放送を受信し得る設備をしている者は協会と契約をしなければならない、こういう定め方でございまして、そしてただいま申し上げました条文には結局上半分、下半分、こう二つの部分があるわけでございます。従いまして、上半分、すなわちNHK放送を受信し得る設備をなしたる者はというところについていろいろの変化が考えられるわけであります。簡単に言いますと二つあるわけであります。NHK放送を受信し得る者はということと、およそ放送を受信し得る者はという、受信し得る設備をした者に大分けにしまして二つあると考えられる。それから下半分の、協会と受信契約をしなければならないということにつきましても、契約制度をそのままにやっていくところもありますし、また一般ヨーロッパ各国とNHKのようなものがあるところでいたしますように、国に向って受信機設置の許可を求めて許可料を国に払わなければならないというようなやり方もあります。それから、さらに協会に金を納めなければならないということをいきなり言い切るやり方もあると思います。そこらあたりの上と下との組み合せがいろいろあるわけでありますが、それらのうち一番議論になっていると申しますか、普通言われておりますやり方について申し上げますと、まず第一に、およそ受信機を持っている者はすべて国の受信許可をもらわなければいけない、そうして受信許可をもらえば毎月幾らかの金を国に払わなければいけない、こういうやり方、これはイギリス流のやり方であります。こうなりますと、一たん金は受信者から国庫の収入になるわけでございます。そうして国庫からNHKに金が出るということになります。すなわちNHKとしましては、財政的には国のまるかかえという格好になります。この点については、言論報道機関であるNHKをそのような国の金縛りにすることがいいかどうかという問題があるわけでございます。そこまで踏み切ることは、まだできなかったわけでございます。さらにわが国といたしましては、御承知のごとく昭和二十五年の電波法が施行されるまでは、およそ受信設備日本人が持つ場合は——送信機のみならず受信設備についても、自由には持てない。すべて国の許可が要る。逓信大臣の許可制になっておりました。それを電波法の制定に伴いまして、受信機については許可が要らないということにしたわけでございます。従いまして、何人も自由に受信機を買ってきて受信ができるという姿をもう一度電波法以前の姿、無線電信法時代の姿に引き戻して、およそラジオの受信をしようとする人は郵便局あたりに届け出て受信許可をもらわなければいけないというふうにすることは、非常に世間に抵抗があるのではなかろうか、かように考えまして、ここにも問題があったわけでございます。  それからもう一つ、今度は、およそ設備をした者はNHKに金を納めなければならないという規定を作ったらどうか、これは現在の契約強制よりもさらに上をいく強制的な負担を国民に課すわけであります。財産を、自分の持っているお金をNHKにいやおうなしに納めなければならない。いきなり財産の移転をそこで義務づけてしまうというようなことでありまして、これにも法律上いろいろ問題があるのではないか、かように考えたわけでございます。しかもその場合において、NHK放送を受信し得る設備をした者はというならば、あるいはまだ問題は少いかもわかりませんが、およそ受信設備をした者は、NHKを聞いていようといまいと、NHKにいやおうなしに金を納めなければならない直接の義務がそこで発生してしまうということは、いかにも制度として法律的にも問題があるのじゃなかろうか。そういうようなことが、検討中の問題でございます。結論は、まだどれがどれといって一番いいというようなことは出ておりません。
  37. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 なかなかむずかしい問題でもありましょうし、今日までいろいろ検討されたにもかかわらず、ついに結論が出ないということでありますが、今後なお続けられなければならないことと思います。  そこで私は、これは協会御当局の方にお尋ね申したいのでありますが、この料金の性格がそうしたものであるだけに、いろいろなところにいろいろな問題を引き起しておって、そうして、それがもしかするというと、料金の徴収不能になる一つ原因になることをもおそれますし、あるいはやめていく人を多からしむる。先ほど百二十万人もやめられる人たちがあって、その中の三七%かは機械が古くなったからということで取り消されるというような御説明もあったのでありますが、機械が単に古くなったからやめていくというようなことではなしに、何かこの性格が不明瞭、不明確なものに対して、たといわずかでも料金を出すことの釈然たらざるがゆえのものも出てきはしないかというような点も考えられます。それから、たびたびここで問題になりましたような有線放送関係などにつきましては、非常に不合理な面も出て参ります。これらについて、具体的にその料金徴収に当っておられる協会御当局としては、どういうふうな方法を講じたならば、そういう世間を納得せしめながら今の協会目的を達成する——先ほどの維持料といいますか、維持料がたくさん得られるようなことになるかについて御検討なさったことがございましょうか。これも、今までの御検討の経過や結果について承われれば幸いだと思います。
  38. 前田義徳

    前田参考人 この問題につきましては、テレビが発足し、商業放送発足いたしましたあとで、私どもも十分その対策を考えながら、聴取者皆さんの御理解を得べく努力を続けておりますし、またその努力の方法はどうあった方が一番よろしいかという方法も、研究して参っております。結論的に申し上げると、まだ確たる確信を持って、こうすれば百パーセント御理解いただけるというところまでは実は参っておりません。しかし実情を申し上げますと、法律的な問題は別といたしまして、私どもの経営の基礎は、公衆の福祉の増進と文化の向上にある、これに対して商業放送は、事業体として営利を追求するところにあり、従って広告放送が許されておる。この建前から、少くとも私どもといたしましては、現行放送法に基く料金の徴収に全力を注ぐべきであるという建前に立ちまして、まず、この全国難聴地域並びにローカル難聴地域の解消を促進しなければいけないということを考えております。現在のところ、全国難聴地域は、第一放送につきましてはまだ〇・三%の地域が残っております。それから第二放送につきましては三%がまだ残されております。それからまたローカル難聴地域につきましても、そのローカル地域の聴取者方々が、ローカル地域そのものの報道あるいはいろいろな直接関係ある社会番組も聞き得ないという状態にあるところもございます。これらの問題を少くとも今年度を第一年度とする五カ年計画のうちで、できれば今後三カ年間に、技術的にこれをまず解消して参りたいという考え方を持っております。それからまた、テレビの影響によって一時的にもせよ、ラジオから離れるという方々に対しましては、番組編成上、ラジオとテレビの番組の間にどういう態度をとるべきであるかということを、実はここ二年ばかり検討して参りまして、明年度からは、過去二年の経験に基いて、新しい番組編成方針を打ち出して参りたい、こう考えております。テレビの普及状況を見ますと、大体大都会に集中される傾向がありまして、現在の置局の現状から申しましても、それが全国的に山間僻地にも到達するという現状ではございません。そういう意味で、テレビの番組は一面都市集中化、都市的傾向を持っておるのに対して、従来のラジオの編式方針を一段としぼりまして、少くともラジオにおいては都市的な傾向をできるだけ少くしていく。全国的にどの地域においても、同じ感じ方、同じ生活環境の中で公約数を出し得るような番組編成して参りたい、こう考えております。こういう意味で、まず機械的にあるいは電力の強化という方法をとりながら、全国普及を一段と進めていくと同時に、番組編成上、ラジオから興味を失うことがないように、ラジオの必要性がはっきりあるということを打ち出していくことが、私たちの任務だと考えております。こういう幾つかの方法を総合的に 今年度もとっておりましたが、明年度からは一段とその施策を進めて参りたい、こういうように実は考えております。
  39. 莊宏

    ○莊説明員 恐縮でございますが、先ほどの御説明にちょっと補足をさせていただきたいと思います。  NHKに納めなければならないというやり方をやりました場合には、もう一つ実は問題がございます。といいますのは、法律でNHKに納めなければならないということを言い切っただけでは、NHKとしては金は集まってこない。受信者自身は、自分で機械を備えた場合に、NHKに納めなければならぬと法律に書いてあるが、取りたければNHK取りにこいといって、みんな黙ってじっとすわり込んでおられたのでは、NHKは金の取りようかございません。従いまして、納めなければならないという規定をかりに作りました場合、そういう場合には、少くとも設置者に対してどこかへ届出をしなければならないという届出義務を課さないと、集金が実際上不可能になるわけでございます。従いまして、届出義務を課すということになりますと、先ほど申し上げました許可を求めなければならないというやり方と非常に似てくるわけでございます。そこらあたりにも技術的にいろいろ問題があるわけでございます。
  40. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 今、前田さんから丁寧な御説明を承わりましたが、私のお伺いいたしたかった点は、端的に申しまして、今の聴取料金が、公平なようで非常に不公平ではないか、不公平であるということが、非常に聴取料を集める上において困難さを増してくるのじゃないか、こう思うから、その聴取料の公平を期する上において、徴収を楽にする意味において、何らか方法考えられたかどうかということでございます。たとえて申しますと、今の聴取料金は、東京でも鹿児島の山の中でも同じ六十七円でありますか、そういうことになっておるのです。果してそれがいいことかどうか。電話などは東京と地方との維持料が違っておる。そういう面で、違わせ得るのではないか。違わせることによって一そう公平が保たれるのではないかということ。あるいは六畳一間に間借りをしておる家庭が、子供の勉強のために簡単な機械を備え付けておく、それも月六十七円である。ところが、豪壮な邸宅においてりっぱな機械を備えて、お台所から応接間から、一ぱい何種類かの機械を備えておっても、しかもそれでも六十七円で事足りるというようなこと。あるいは、一方では純然たる家庭においてのみ聞くのだ、しかし一方は営業用に大いに効果を発揮しておる、収益を上げることの種にしておるのだというようなものについても、同様一カ月六十七円である。ひどいのは、ここで口にするのもいやなんですけれども、あの有線放送などは、放送聴取の施設じゃない。たまたま電話の施設に便乗して放送を聞くというのにすぎない。にもかかわらず、今はそれを六十七円の料金を納めなければならないような状態に置いておる。こういうことは不公平ではないか。その不公平であることが、先ほど維持料に協力してもらうのだ、経営に協力してもらうのだというふうなための経費といたしましても、少し下手なやり方ではないか。もっと何かいい方法がありそうなものである。そういうことについて御検討なさったかどうか、今後なさるお考えがあるかどうかを承わりたかったのであります。もう一度一つお聞かせをいただきたい。
  41. 前田義徳

    前田参考人 その点は、私どもも種々考慮をめぐらしていることは事実でございますが、ただ私ども考え方といたしましては、NHK事業体は、いわゆる社会福祉を目的とするものでなく、また富裕税的な考え方で聴取料をちょうだいすることも適当でないという考え方を、実は持っているわけでございます。それからまた、かりに現在の立場を多少変えるといたしましても、その標準をどこに置くべきか、また聴取料の徴収の手続、方法、あるいは人件費、あるいは総体的な聴取料の割引の限度を何によってきめるべきかというようなことは、実際問題として非常に困難な問題でございます。従って私どもは、社会福祉事業団ではなく、放送法に基く社会福祉を増進するための事業体であるという建前に立ちまして、従って料金につきましても、できるだけその最低の基礎において、生活費の最低部分を全国的に画一的に考えていくという建前をとることが現実上必要であるという考え方も、実は持っているわけでございます。しかし、今日以後こういうような問題がただ画一的に考えていくことで済み得るかどうか、やっていけるかどうか。要するに聴取者の皆さんのお気持がそれでぴったり割り切っていただけるかどうかという問題につきましては、今後とも研究して参りたい、こう考えております。
  42. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 放送協会は社会福祉事業団体ではない、だからそういうことを考えるわけには参らぬというお話でありますが、ただ、ことしの計画によりますと、そういうことにもかかわらず、保護家庭などについては今まででも相当の社会福祉的貢献をなさっておられる。三十四年度においてはさらにその範囲を拡充されようとしておるのですから、やはり私はそういう気持は持っておられると了解せざるを得ない。片一方には料金を免除して、それも決して国の負担においてやられておるのではないので、他の料金負担者の負担においてなされておる。私はそれについては反対なんです。別の意見を後に申し上げたいと思いますが、そういうこともやっておられますから、それをさらに発展していきますと、やはり多額の料金負担し得る者については、また多大の効果を発揮しておるところの聴取者については、それだけのことをしてもらってもよろしいのではないかという考えを持つものであります。それは、なるほど端的に単一料金でいくよりも、地帯的に、あるいは生活程度によってとかいうようなものさしを複雑にいたすことの困難であることは確かに私もわかります。しかしながら、その困難を免れておるところに現在問題を複雑にし、今後に多くの困難な事態をかもし出す原因があるのではないかと思う。それを一つやはり踏み越えて、どうしたならば公平であり、どうしたならば負担を楽にできるかということについての根本的な問題に取っ組んでもらって、できるだけその方向に進む必要があるのではないかと思うのです。ことに、私はけさから問題にいたしておりましたように、日本全国を見てみますと、まだ六一、二%のような普及率のところもたくさんあるのでありまして、その方面に対する努力は、なるほど難聴地帯を解消する、施設をよくするのだということも一つではございましょうけれども、そうした聴取料金にこだわって、あるいは聴取料金の徴収方法にこだわっている感じというものが若干でも影響しておるのではないかと思われるものですから、それに対してやはり考えをめぐらしていかなければならぬと思う。  それで、一つ政府の方にお伺いいたしますが、政府といたしましてはこの問題をどういうふうに御検討なさっておられて、どう御処理なさろうとしておられますか。特に有線放送などについて、果してあれが法律的に考えても合法といえるかどうか疑わしいような問題をもかかえている際でありますから、この点について、たとえば有線放送などについては一括して何ぼの料金として、個々の人にとりましてはきわめて低料なる聴取料金になり得るような方法考えられる意思ありやいなやということをお伺いいたしたい。
  43. 寺尾豊

    ○寺尾国務大臣 この問題は非常にむずかしい問題であり、またむずかしいからといって、御指摘のようにこういう矛盾というものをそのままに放置するということは適当でない、かように考えます。ただ、今回の三十四年度計画を立てますに際しましては、この減免をするということに対して、生活保護を受けておる被保護者に対してのみこれを行なった、その他図書館等に行なったということで、これがついに御指摘のようないろいろの矛盾が解明できなかったということは遺憾であると思います。しかし、この問題は、料金の根本的問題ともまた離れて、相当深刻な問題でございますから、これを私どもは続いて十分検討をして参りまして、これらの問題に善処し、何とか公正な形に持っていくように努力をいたしていきたい、かように考えております。
  44. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 これは荘さん、事務当局として何か御研究になっておられるかどうか。大臣の答弁を補足してと言っては失礼ですけれども、大臣の政治的答弁以外に、事務的にほんとうに取っ組んで研究をなさっておられるんじゃないかと思うものですから、その取っ組んだ努力の実情をここで一つ御披露いただければ非常にありがたいのですが……。
  45. 莊宏

    ○莊説明員 有線放送料金も、はなはだ難問でございます。従来から両院の委員会でしばしば御質問がありまして、そのたびごとに非常に困っておるわけでございますが、結局のところ、毎回繰り返し御答弁申し上げておりますごとく、また昨日NHK側から小澤先生の御質問にお答え申し上げたごとく、ああいう考え以外に現在としては一歩も出ることができないというのが正直なところでございます。と申しますのは、あまりにこの影響が大き過ぎるのであります。確かに協会の財政の根本をゆるがすような問題になると思いまして、ただいまのところ、有線放送については免除する、あるいは半分に下げるとかいうことは、ちょっと踏み切れないように考えておる次第であります。
  46. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 非常に大事を踏んでおられるのでありますが、協会の財政に影響を及ぼすような方法ということを私は発見して、惜しいのであります。きのうの御発表によりますと、聴取者は三十三万あるそうでありますが、なるほどその三十三万の聴取者を全面的に免除するとかなんとかということは財政的にいって不可能であるにいたしましても、しかし、何らかそれに合理性を持たせるような方法というものは考えていかぬと、幾らなんでもひどいじゃないかと思うのです。それを財政上影響があるからといって、今のままでほおかぶりしていくことは、これはきのうも問題にされたのでありますが、そのほかの問題にも大きく火をつけてしまうといいますか、問題を発展さしてしまうことにもなる。そして同時に、このことは比較的ほかの地帯性を考えるとか、あるいは生活程度についてものさしを変えるとかということ以外に、それほど大きく影響せずに便法が考えられそうに思う。根本的に聴取施設には法律的にも非常に問題があろうと私は思う。だがしかし、これは専門家のあなた方の方で御研究になっておると思うので、しろうとの私が法律論を持ち出してここで申し上げようとは思いませんけれども、何か釈然とせぬものがある。こういう点について、なるほどこれは特別なるものとして扱うんだという方向、お考え方を早くしておいていただきませんと困る問題になりはせぬかと思うから、しつこくお尋ねをしておりますと同時に、そこからさらに今の真の公平を期する意味における聴取料の制度、あるいは料金収納のもう少し気楽さをねらう意味における料金制度についての根本をお考えをいただくようにお願いしなければならないと思います。そうして、そういうあらゆる努力を傾けて協会財政を考えたにもかかわらず、なおかつ経営が赤字になる、そこで料金を改訂しよう——改訂といえば、この際は値上げということになろうかと思うのであります。私は料金を値上げすることばかりが必ずしも協会の財政を楽ならしむるもとではないと思います。料金を引き下げることによって普及率を上げて、あるいは料金収納費を軽減して、かえって案外協会の財政は楽になる面もあろうかとまで思っておるものでありますから、ここで端的に料金を値上げするということが協会財政を楽ならしめることではないという意味におきましても、やはりそうしたあらゆる面から御検討をいただかなければならないと思います。現段階において料金を値上げするということは、いろいろな面において差しさわりを生じてくる。ことに何らの問題がない場合におきましても、今の社会の状態からいいますと問題を引き起す。いわんや根本の問題においてその性格があいまいだと、その収納方法が非常に問題を引き起しやすいような条件を多分にかかえ込んでおるにおいては、料金値上げということは、よほどの手を打ち、考えをめぐらしぬいた後でなければいけないと思っておるのであります。今後さらに各委員からそれらについて触れて参ることと思いますが、私にお答えいただけなかった点についても、今後あらゆる機会において御検討、お考えをお漏らしいただければ、私もまた納得するところがあろうかと思います。  さらに今度は、ことしの計画についてのこの料金値上げによって増収を行わんとするところの内容を見てみますと、これは必ずしも料金値上げによらなければならないかどうかに疑いを持つものも出て参ります。たとえば、幾つかあげているようでありますが、放送計画及び老朽施設改善計画に八億六千四百三十万円をお使いになるような計画ではありますけれども、なるほどこの中には現在の契約者がサービスを改善し、内容をよからしめるための経費も入っておるかもしれません。そういうものは、料金が足りない場合におきましては料金値上げによることもやむを得ないかもしれません。しかしこの中には、そうではなしに、臨時経費として、言ってみまするならば、借り入れ資金によってとりあえず措置をしておいて、長期にわたってこれをなしくずしに償還していく方がより合理的であろうというものもたくさんあろうかと思います。この大事なときに料金値上げにたよらんとするのは、方途をやすきに求めるという以外にはないように思われる。これらについてほかに道がなかったのか。とりあえずの借入金なりあるいは放送債券その他によってまかなっておいて、そうして今後増収されるべき料金によって長期間にわたって少しずつ返すというよりよき道をお考えになられたかどうか。また、なってもできなかったとしますれば、どういう点にそれがあったかというような点をお伺いいたしたいのであります。同様に、先ほど問題にいたしました国際放送拡充計画などにつきましても、これはどう考えましても、私は聴取者が聴取料金によってこれに協力すべき性質のものではないと思います。これに約二億近い金が三十四年度においそは費されることになっておりますが、これも適切なものかどうかについては深く疑いを持つものでございます。そのほか、先ほどお答えの中にもありました社会福祉制度としては考えたくはないのだというお考えを持っておるにつけましても、この計画の九番にあげておるところの料金免除範囲の拡張、このために相当額を費すというようなことについては、私はどうかと思われるのであります。むしろ五十数万、六十万に達すると報告せられるところの今日までの料金免除者に対して、料金免除者が負担すべきものは、むしろ国の厚生施設の方で考えてもらうべきではないか、こうも考える。こう考えてみますると、かなりの経費について他の財源によるべきものが発見されるのであります。これをあえて三十四年度料金改訂の財源に何ゆえにたよろうとしたか、また、たよらなければならなかったかについて御説明をいただきたいと思います。
  47. 首藤憲太郎

    首藤参考人 第一の設備関係でございますが、先ほど仰せになりました設備改善の約十四億でございますが、これはたびたび御説明申し上げておりますように、もう非常に老朽陳腐化しておるものを実は取りかえるものでございます。そのほかに中継局を作りましたり、あるいは難聴のところに対しまして増力をいたしましたり、そういうふうな計画も来年度いたしてございますが、それらのものは新しい設備をもって新しいサービスをするんだという思想をもちまして、この金額は六億五千万でございますが、これは外部資金による計画にいたしてございます。そして、それを今後計画的になしくずしに返していく、こういうことにいたしてございます。それでこの老朽設備につきましては取りかえるわけでございまして、今後これは具体的には償却不足ということになるわけですけれども、これを外部資金に求めます場合には、今後の財政計画におきましてこれが償還能力が実は出て参らないわけでございます。それで、それを手当する方法といたしまして、不用資産と申しますよりも、この際工夫して資産を処分して金にかえたらいいじゃないかと思われるものも研究いたしまして、それらの資産も売る。それから普通償却の引当金もこれに充てまして、そうしまして残りました約六億程度のものを実は特別償却といたしまして受信料負担さしていただくというふうに考えておるわけでございます。で、これは三十三年度におきましても、この老朽陳腐化しました設備はとてもこのままでは持ちこたえられませんので、三十三年度には五カ年計画の第一年度として実は実行いたしたのでございますが、しかしながら三十三年度におきましては値上げをいたしませんでした関係上、やむを得ずこれは実は借入金でやりました。しかしこの借入金に対しましては、この六十七円の受信料ではとうてい償還能力が出て参りませんので、今年度からこれはやはり特別償却ということで、受信料で五カ年間に限りまして取りかえさしていただくという計画にいたしたのでございます。この設備につきましても研究いたしまして、十分調査いたしまして、もうこれはどうにも猶予できないというものに実はしぼったわけでございますので、この際何もかも取りかえようというふうなことでもございませんし、その点につきましては十分意を用いておるわけでございます。  それから受信料の免除の問題でございますが、仰せの通り、社会福祉的な要素は全然考えていないというわけではございません。現に今度も生活保護法による保護者というものに拡大さしていただいたわけでございます。しかしながら、これをどこに線を引くかという点につきましては、実は慎重に考えたのでございます。それで、たとえば恵まれない方というところを対象に一応考えてみますと、たとえば長期に療養しておられる病人とか、あるいは盲人の方とか、いろいろ出て参るわけでございます。これらの者から連鎖しまして生じますものの原資を計算いたしますと、たとえば盲人だけでも数億になります、さらに病人なんかを加えますと数十億というのが現実の数になって参ります。そこでいろいろ考えました結果、一つの線を引く、そういうような連鎖の生じないような線を現在の段階において一応引いてみようというので、考えました結果——現在生活保護法という法律があるわけなんです。生活保護法の被保護者というところに一応線を引きまして、拡大しました場合には一応の線が引けるという考えで、これはとりあえず措置をやったわけでございます。この問題につきましては、将来とも仰せの趣旨を十分研究いたしまして、これは研究課題としていきたい、かように考えております。
  48. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 私がお伺いしたいのは、設備関係などについて借入金なんかでおやりになるための努力をなさったかどうかということであります。まあ、これは金がある限りにおきましては、借入金などでやらぬ方がよろしいことはよくわかるのであります。しかし今この財政困難なときにおいて、将来にわたってなしくずしで返してもよろしい、理論の立つものについてはそういう方法をおとりになるべきではなかったか、こう思います。  もう一点、この福祉関係のことについては、厚生省その他に向ってこれを国の負担においてやるべきであり、やってほしいのだという折衝をなさったかどうかを承わりたいのであります。
  49. 首藤憲太郎

    首藤参考人 今の厚生的なものにつきまして、国家に対しましてそういうふうな要求をしたかというお尋ねのように思いますが、ただいまのところ、具体的な要求はまだいたしておりません。  それから外部資金の問題でございますけれども、そういう建前で実は当初にそういう工夫をいたしました。いたしましたけれども、この老朽いたしましたものが長年の累積でございまして、これを外部資金でやりますと、どういたしましても将来に返還能力が財政的に出て参らないわけでてございます。そこでやむを得ずさしあたり必要な面にしぼりまして、それを特別償却いたしました。それで別に、先ほど申し上げました新しいサービスになるもの、増力をするとかこういうようなものは、もちろん外部資金によって、今後なしくずしに返していこう、現在も、また今後ともそういう考えでございます。
  50. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 今の問題について、政府はどういうふうにお考えになっておられますか。
  51. 廣瀬正雄

    ○廣瀬政府委員 NHK予算編成に当り、また提出につきまして、別にさようなお話は承わらなかったのでございますけれども、さような階層に対しまして生活保護の適用をいたすというその仕事は厚生省の所管でございますが、さような観点からNHKがやることは妥当だと私は考えております。
  52. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 今後こういう点が盛んに問題になろうと思う。そこで関係省としての郵政大臣は、NHKの財政を救済する、より困難ならしめないというためにあらゆる努力をともに傾倒するという意味において、関係方面への折衝は一つ続けていただきたい。最も警戒すべき、最も避けなければならない料金改訂というところまで持ち込まれてきておるところのNHKの財政である。その中において、片一方において大きな抜け穴があった——抜け穴があったとはあなた方は決してお考えにならぬかもしれないが、われわれから見まして何かもったいない金が出されているような気がするのであります。それについて今後一そうの努力をしていただきたい。それにもかかわらず、なおやむを得なかったということであって、初めて私は契約者を納得させることができるのではないかと思うのであります。  時間がだいぶ過ぎてしまいましたので、私はこれ以上言いませんが、ただもう一点残った点といたしまして、先ほどの特別償却金でありますか、七億何千万円か六億何千万円計上されておるようであります。これは何年間か続けて計上された結果済むと、あとの財源というものはどうなるお見込みでありましょうか。その点を承わりたい。
  53. 首藤憲太郎

    首藤参考人 これは五カ年間で特別償却を実施いたしますので、五カ年で一応終了いたします。そのあとには昨日も申し上げましたように、一応通常の状態に戻りますので、それからあと特別償却の措置は必要なくなる、こういうふうに考えております。そういたしますと、五年後に原資が不要になってくるということになります。それに対しましてわれわれの考えといたしましては、借入金の返還がずっとございます。この借入金の返還に、もしそのときに情勢が許すならば充てるとか、あるいは現在まだチャンネル・プランもきまっておりませんので、具体的計画は立ちかねておりますけれども、FM放送が今後どういうふうな計画になって参りますか、そのFM放送の具体的計画いかんによりましては、あるいはその方面の資金に充当されることもあり得るのじゃないか。また従業員の待遇につきましては、その時分には非常に人間もふえて参ります。それから協会も創設いたしまして三十年になりますので、入社しましてからずっと勤めまして定年退職になるという人間が、そろそろ出始めているのでございます。そうしたものもその時分から相当にふえて参りますので、そのときの財政状況によりましては、あるいはそういうふうな原資にも充てる道があるのではないか、かようにも考えておりますが、これはいずれにいたしましてもそのときの状況によって御相談させていただきたい、かように考えておるわけであります。
  54. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 そうすると、金が余ったので特別償却の方に回した。それが済んでしまうというと、あと使い道はよくわからぬが、そのころになるとあるいはFMの方で金が要るかもしれぬし、その他の事項で金が要るかもしれぬから、そのときのことを見越しているんだ、こういうふうに考えてよろしいのでありますか。従って、私は他に財源があるとしますならば、その特別償却に向けるべきところの財源というものは要らなかったのだ、現段階においてはそう理解せざるを得ないのであります。借入金その他で間に合う——償却ですから借り入れも要らぬ。延ばしておけばよいのですから、将来に向ってまだはっきり使い道のないものをこの際とっておくというお考えに出発しておるように思わざるを得ないのでありますが、念のためにお伺いいたします。
  55. 首藤憲太郎

    首藤参考人 特別償却につきましては、これは将来必要なものでございませんで、実はもう焦眉の急で現在やらなければならぬ面なのであります。従いまして、現在においてこれを必要とするという意味におきまして特別償却を実施したいと考えておるのであります。  それから、五年後の問題につきましては、これはそのときに余るという前提は必ずしも考えておりません。たとえば受信者が今後どういうふうになるか、先ほどのお話のように今後また普及がさらに進みまして、ただいま考えております以上の普及率を得ました場合には、これはそのときの財源としまして、この原資というものが浮いてくることも考えられます。そのときにはそのときの状況において——これはわれわれの予算は毎年御審議をいただくのでありまして、その事業計画に応じた料金というものを御審議願っておるわけであります。従いまして、そのときの状況に応じまして、料金の単価というものはその財政状態において考えるべきものではないかというふうにも考えます。それこれ考えますと、必ずしもこれは将来に余しておく金ではございませんで、今われわれとして必要なことは、現在において特別償却し、五年後のそのときにはそのときの財政状況に応じてこれはまた御審議を願う。料金というものもまたそのとき考えるべきものではないか、こんなふうに考えておるのであります。
  56. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 料金にたよってはおるけれども、臨時的必要に応じての面であるから、将来もしこれが要らなくなるならば料金は引き下げる考えにも立っておる、こういうことでございます。そういうことが適切であるかどうかはまた今後の問題になりますが、一応これで私の質問は終らしていただきます。
  57. 進藤一馬

    ○進藤委員長代理 粟山君。
  58. 粟山博

    ○粟山委員 金丸委員料金の性格について掘り下げた質問をされたのでありますが、過去の社団法人であったNHK、それは個人の財産をも含んでおったはずである。それが時世の推移と国情の発展、変化等にかんがみまして、この国会において新たに法律を要求せられ、その法律の成立によって現在のいわゆる特殊法人というふうに性格が変ってきておる、かように考える。郵政大臣がお留守だから、次官にその点についてどうお考えになるか。また政務次官が何なら、むしろ直接その仕事に携わっておられるNHKのどなたかに承わればよいかと思うが、いかがでしょう。
  59. 莊宏

    ○莊説明員 NHKは確かに社団法人でございました。昭和二十五年、現在の放送法によりましてそれが改組されまして、新しい放送法による法人として出発したわけでございます。
  60. 粟山博

    ○粟山委員 今日のNHK目的というものは、書かれたものにきわめてはっきりしておる。時間もないからくどくどと申し上げませんが、この放送が国民に最大限に普及されてエフィシェンシーをもたらす。それから第二には、放送が不偏不党である。真実及び自律を保障することによって放送による表現の自由を獲得する。さらに三項目において、きわめて大きく、そしてはっきり表現されておることは、放送に携わる方々は職責を明らかにすることによって、放送が健全な民主主義の発達に貢献するというように、きわめて簡単にこの大きな使命を締めくくって表現されておる。これは、味わえばまことにけっこうな味がしみ込まれるのであって、簡単にして要は尽きておると私は思う。そこで、料金を六十七円から八十五円に値上げする、これは国民の多数の間には、たばこを一日に二つ、少くとも三つ四つ吸う人があるのだから、そういうたばこの好きな人からいえば十七、八円の値上りというものは何でもないというような方もありましょう。しかしながら、たばこも節約しなくちゃならぬという人々も、この進んだ文化の恩典にはぜひとも均霑したいという考えで、無理にも一台のテレビをセコハンなり古物なりを買って持っているという方が少くないと思う。従って、放送テレビのようなものは、これはわれわれが日々食事をしておる、その食事は満腹になればいいということのみに苦労されている人もあり、趣味なり興味なりというようなもので毎日考える人もあると思う。一週間に二度くらい好きなものを食ってみたいというような考えのある人も、いろいろあると思う。国民として、人間として生きるためには食事は絶対欠かすことはできないということにおけるその緊密なる関係は、今日の放送において、テレビジョンにおいてイコールであるという観念において、私はこれは迎えてもいい、その必要性は迫っていると思う。ところで、さらにまた今日の国際情勢から考えまするならば、国内においての国民に対する満足を得ることばかりでなく、近方ないし遠方、世界各地にこの機構と人的陣容を活用して、つまり国家の興隆と民族の発展と文化の向上と、他民族に劣らぬところの発展を考えて積極性を持たなければならぬ。これなくしてはこの必要性が、日本は単に米とみそ汁でいいというだけでは済まぬ、それとはまた違う、もっと多角的であり、もっと真剣なものを要求しておる。そういう意味におきまして私は、社団法人からこれが私有財産を含まざるところの、今の法律によってこの性格の今日のNHKがあることは当然だと思う。たまたま、たくさんな民放ができまして、さらにテレビジョンのごときにおいても実に世界にまれなる多数のテレビジョンが準備されつつある。私はこの可否を言うのじゃありません。民間の事業は、これはもう何といったって利潤を考えなくちゃならぬ。利潤を考えないものの存在はあり得ない。ところが、NHK仕事はインタレストというものを考える必要がない。ベネフィットを考える必要がない。配当とかを考える必要がない。それ自体がそのものの向上発展と内容充実と、積極性を持ったところの民族の運命を盛り上げていくところの大きな目的にさおさしていけばよろしい。従って、私はいろいろな面から考えると、十八円上げてお前たちは何に使うのか、どうするのか、今赤字を抱いて、赤字を克服するという非常な熱意と決意のもとにおられることはけっこうだ、こう言って社会党の方々も非常に寛大なお気持で、快くこれを御承認あるであろうと私は想像しておったのであります。そういう点から考えまして、私はここで常識的判断からいいますると、この今日の時勢の国民生活の上から、趣味によるところの消費財などの日々の消費の状態から見て、社会党さんも御了解あるものと私は信じております。しかしなお、これにむだがあってはいかぬぞ、むだのないようにせい、科学技術も進歩すれば今まで金のかかった機械が要らなくなって、金のかからない機械で間に合うのだ、こういう点が金丸さんの方の考え方です。これは大いに考えて、なるべく金のかからない簡単な機械でいくというのは発明の権威なのだ。そうして人手が少くて操作ができる、こういう点においても大いに練達堪能の人材がそろっておるNHKでありまするから、これは十分お考えになって、そういう面で日々に新たに、積極性を把握する上にこの進歩した科学技術を利用して、そうして予算面に余裕を持たせる。しかし、これはもう今非常な金が要るんだけれども、どうしても国際的に国内的に考えて、これは大きな資本を投じなければいかぬ。金が要るんだ。とにかく購買費というものが要るんだ。その購買費を投入してもらわないときには、これはいわゆる借入金においてまかなうもよし、今まで借りていたものを返さなくてもよし、銀行にいって、こういうような重要性があるのだからもう二、三年待ってくれと言われても、私は了としますが、ずいぶんやかましい森本君なんかも、そういうことがはっきりしておればこの舌鋒をゆるめると私は思う。そういうわけで、私は大きな期待を持って、どうか早くこれを通して、そしていろいろな面で積極的に御奮発を願いたい。委員会で要求してあった資料をきょう突然ちょうだいして見ますと、これはどうも非常に大事なことであるが、放送番組審議会運営状況についてというような簡単な項目だけで、名前は日々新聞で拝見しておるようなおえら方の集まりである。ところが、この問答というものはきわめて簡潔である。簡潔であるが、詳細の速記録を拝見すれば、それはわれわれが非常にこの委員会で傾聴すべきうんちくある専門的なものが伺えるかもしれぬけれども、これだけでは実は参考資料になりません、ということを一言申し上げておく。しかし、これには簡単であるけれども、実はかんかんがくがくであり、微に入り細にわたって、今日の国民生活においていたずらに感情を刺激し、いたずらに風俗を乱すことなく、いたずらに国民生活にショックを与えるようなことのない、そういう思いやりから十分な御検討があると私は考えておる。人間というものは、私なんか病気して考えたが、いかに脳を刺激することが食糧以上に健康に影響があるか、こういうことを考えるときに、このうるさいほどに錯綜しておる電波、NHKだ、民放だ、テレビだ、これが文化の姿なりといって、一億国民の健康を害し、健全なる精神の発育に何らかの支障を与えるようなことであってはこれは重大な問題だ。私は、日本というものは戦後の復興は目に見るものにおいては顕著な発達があるけれども、半面においては非難を受けるものがあると思う。それは第一線の国会議員であるかもしれないけれども、われわれのごとく四十年の政治生活からながめて、私は批判せざるを得ないものの多くの存在が、日本国民の真の健康と真の発展を阻害しているものがあるということに痛切な遺憾を感じている一人である。しかも、これは外面的のことになりますけれども、この放送の任務はきわめて重く、使命は重大なものであるということを考えますときにおいて、私はこの料金の性格は、女か男か、あるいは公的のものか私的のものか、南か北か、東か西かという議論をするよりも、これが通過いたしました暁においては、もりもり皆さんの有する実力、天分と、長い間の御経験とその卓識によって、タレントによって、国民の負託にそむかないように積極性を持って当られんことを希望いたしまして、これは御返答がなくともよろしゅうございます、すぐれたる皆様の陣容に対して敬意を表して一言申し上げた次第であります。
  61. 進藤一馬

    ○進藤委員長代理 次会は来たる十一日水曜日午前十時より理事会、午前十時三十分より委員会を開くこととし、本日はこれにて散会いたします。     午後一時三十五分散会