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首藤参考人 お
手元の「明日の
NHK」の二十八ページでございます。
ラジオ関係設備資金計画の減価償却引当金のところでございます。三十三年度は四億五千六百三十万計上してございます。これは実は昨年度の必要額は六億五千万
ばかり必要であったのでございますけれ
ども、昨年度は実は
料金の改訂をいたさなければならない状態にございましたけれ
ども、一時これを取りやめたのでございます。従いまして、三十三年度におきましては一〇〇%の償却ができませんでした。それでやむを得ず七〇%に切り下げざるを得なかったわけでございます。従って四億五千六百万というのは、実はその三割が償却不足になっている
数字でございます。それで今三十四年度からは通常の償却に戻そうという
考えでございます。従いましてそれが三十四年度から、七億、八億と、こういうふうに資産がふえて参りますので、ふえて参るということになっておるわけでございます。ただいま申しましたのは普通償却でございますが、別に特別償却として計上してございますが、これは非常に老朽化しております設備、たとえば地方の局舎にいたしましても、スタジオにいたしましても、非常に老朽化しておりまして、たとえばスタジオにいたしましても、音が漏れるというような状況が非常に多いわけでございます。それからまた機械類にいたしましても、これは
NHKの局は全国百数十局ございますが、それが戦時中あるいは戦後に非常にふえたものでございます。戦後技術が非常に進歩して参りまして、ことに
民間放送開始前後からは非常に新しい能率のいい機械が実はできたわけでございます。一例を申しますと、たとえば送信塔であります。
アンテナでございますが、ただいままで
NHKの
アンテナの大部分は昔式の
アンテナで、やぐらを二つ立てまして、そこへ線を引いて、それから出しているというような昔の式のものであります。これは非常に電力の消耗がはなはだしい半面、
電波の到達が非常に制約されまして、能率が悪いわけであります。ところが、最近できております
アンテナは新しいものでございますが、鉛管柱と申しまして、一本の鉛管の柱を立てまして、それから
電波を出しておる。近ごろできます
民間放送にいたしましても、あるいは最近作っております
NHKの局にしても、みなこれでございます。これは非常に電力が要らない半面、
電波の到達距離が非常に遠いところまでいくというような点があるわけでございます。そういうような面、あるいは
放送機にいたしましても、昔作りましたものは非常に型式が古うございまして、電力をたくさん食う、真空管を非常にいためやすいというような点もあります。これらのものをただいままでは補修いたしまして、
放送には差しつかえないという
程度に
努力をしてやっておりますけれ
ども、もう限界にきておるわけでございます。それで、なぜこういう状況になって参りましたかと申しますと、従来のこの
料金収入では、難聴地域を解消するとか、そういうようないろいろな、もっと先にやらなければならない仕事がどんどん出て参るわけであります。従って新しい局を作るとか、そういうところに追われまして、そういうところを補修する財源が、従来の
料金では出てこないという点がございまして、やむを得ず今日に至ったわけでございます。そこで今日に至りまして、もうすでに、先ほど申しましたようにこの状態は続け得られないという状態になって参りましたので、これを五カ年間で取りかえようという
考えでございます。たとえば、
数字について申し上げますと、
放送機については、全国調べますとこういうものが七十二台ございます。以下各項目別に詳しく調べましてリストができておるわけでありますが、それらのものを計画的に五カ年間で取りかえようという計画でございます。そういたしますと、それを取りかえす
経費といたしまして七十二億九千万が五カ年間で必要になって参るわけであります。そのほかに、資産として残りませんで、いわゆる修繕というふうなものが約六億、合計いたしますと、五カ年間で七十八億九千万という金が要るわけであります。これは先ほど申しましたように、五カ年間で計画的に取りかえていこうというわけでございます。それで、その七十八億九千万のうち、先ほど申し上げました減価償却引当金というものが、そのお
手元の二十八ページに書いてございますが、三十九億三千万ございます。これが
一つの財源になるわけであります。それから先ほど申しました三十三年度に償却をやむを得ず切り下げたわけであります。それを取り戻さなければならぬわけであります。その取り戻す金額は一億三千七百三十万円、それから別に従来持っております財産、固定資産のうち、もうこれは処分してよかろうと思われるもの四千六百四十万、これだけが財源になるわけであります。そうしますと残りの二十三億三千万というものが特別償却という形においてこれを取りかえよう、新しい原資をこれに求めようという計画になっておるわけであります。