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1959-03-24 第31回国会 衆議院 地方行政委員会 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年三月二十四日(火曜日)     午前十時四十一分開議  出席委員    委員長 鈴木 善幸君    理事 亀山 孝一君 理事 纐纈 彌三君    理事 渡海元三郎君 理事 丹羽喬四郎君    理事 吉田 重延君 理事 門司  亮君       相川 勝六君    天野 光晴君       飯塚 定輔君    富田 健治君       野原 正勝君    太田 一夫君       佐野 憲治君    北條 秀一君  出席政府委員         警察庁長官   柏村 信雄君         警  視  監         (警察庁刑事局         長)      中川 董治君         警  視  監         (警察庁保安局         長)      木村 行藏君         自治政務次官  黒金 泰美君  委員外出席者         総理府事務官         (自治庁税務局         市町村課長)  鎌田 要人君     ————————————— 三月二十日  駐留軍及び自衛隊所在市町村に対する助成交付  金等に関する請願綾部健太郎紹介)(第二  五九八号)  同(纐纈彌三君紹介)(第二五九九号)  同(鈴木正吾紹介)(第二六〇〇号)  同外三件(楯兼次郎君紹介)(第二六○一号)  同(中村高一君紹介)(第二六〇二号)  同(野原正勝紹介)(第二六〇三号)  同(三木武夫紹介)(第二六〇四号)  同(山本幸一紹介)(第二六〇五号)  同(本名武紹介)(第二六七二号)  同(三浦一雄君外六名紹介)(第二六七三号)  同(小泉純也君紹介)(第二七一一号)  同(關谷勝利紹介)(第二七一二号)  同外二件(山本幸一紹介)(第二七一三号)  同(岡部得三紹介)(第二七五八号)  同(前田郁紹介)(第二七五九号)  同(松岡嘉兵衛紹介)(第二七六〇号)  同(三池信紹介)(第二七六一号)  電柱広告等路上広告物禁止制限に関する請願  (片島港君紹介)(第二六○六号)  新市町村職員給与改善等に関する請願阪上  安太郎紹介)(第二六〇七号)  同外一件(太田一夫紹介)(第二六○八号)  同(阪上安太郎紹介)(第二七一四号)  大規模償却資産に対する固定資産税課税改正  に関する請願秋田大助紹介)(第二六七四  号)  同(田中龍夫紹介)(第二六七五号)  同(篠田弘作紹介)(第二七一五号)  質屋営業法の一部改正に関する請願外五件(八  木徹雄紹介)(第二七一六号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方自治及び地方財政に関する件  警察に関する件      ————◇—————
  2. 鈴木善幸

    鈴木委員長 これより会議を開きます。 まず警察に関する件について調査を進めます。 この際警察庁長官並びに刑事局長より発言を求 められておりますので、順次これを許します。 柏村警察庁長官
  3. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 先般亀山委員より御質問のご ざいました最近の犯罪の趨勢、傾向につきまし て、御説明を申し上げたいと思います。 まず一般犯罪についてでございますが、昭和三 十三年中におきまする犯罪の総発生件数は三百 九十二万四千九百三十六件でございまして、こ のうち特別法犯が二百四十八万四千六七十七件 を占めており、刑法犯は百四十四万三百五十九 件になっております。昭和三十三年の全刑法犯発生を前年の百四十二万六千二十九件に比較 いたしますると、一万四千二百三十件、約一・ 一%の増加でありまして、わずかでございます るが、むしろ上昇いたしておるという状況でご ざいます。最近の刑法犯発生状況を見まする に、ここ数年は増加の一途をたどっておるので ありまして、昭和三十三年におきまする発生昭和二十五年以降におきまして最高のものとな っておるわけであります。  次に主要犯罪について申し上げますと、昭和三 十三年の主要犯罪のうち、殺人強盗放火、強 姦等凶悪犯は一万五千八百三十三件、前年に比 べまして二千六百三十九件、二〇%の大増加を来 たしておるわけであります。窃盗罪につきまして は、九十九万六百二件でございまして、これはむ しろ前年に比べまして一万四千四百九十九件、〇 ・二%の減ということになっておりまして、ここ 二、三年のうち、窃盗につきましては多少減少傾向を示しておるわけであります。窃盗がこうい うふうに減少を示している反面におきまして、先 ほど申し上げました凶悪犯が非常に大幅に増加し たほか、傷害暴行、脅迫、恐喝といういわゆる 粗暴犯はますます増加傾向にありまして、昭和 三十三年は十六万六千五百五十四件で、前年に比 して二万三千二百六十件、一六%の増加となって おるわけであります。その凶悪犯罪について、こ れを殺人強盗放火強姦別に見ますると、殺 人は昭和三十三年は二千六百八十三件でありまし て、前年に比べて百五十九件、六%の増、強盗は 五千四百四十二件で、前年に比べまして四百十三 件、八%の増、放火は千七百二十件で、前年に比 べて二百二十件、一三%の増、いずれも増加をい たしておるのでありますが、特に性的犯罪、なか んずく強姦罪に至りましては、昭和三十一年来急 増の状況にございまして、昭和三十三年は五千九 百八十八件、前年に比べて千八百六十七件、四五 %の増ということで、戦後最高を示しておる状況 でございます。  次に犯罪傾向について申し上げますが、第一 に罪犯の手段、方法並びに犯罪態様等について 見ますると、犯罪常習化巧妙化複雑化の傾 向が見られるわけであります。常習者によります る犯罪が多くなっておりますので、犯行が計画的 に行われていると認められるものが多いわけであ ります。証拠の隠滅とか、現場擬装、アリバイ 工作等はますます巧妙をきわめ、たとえば現場に 指紋を残さないとか、侵入口逃走口等擬装物色状況擬装などはきわめて常識化した感がご ざいます。また最近は、犯罪広域化組織化傾向が一段と進んでいることも注目される傾向で あります。凶悪犯につきましては、その内容が非 常に悪質化しており、強盗の機会に殺人強姦等 に容易に移行するという悪質な犯行が目立ってお るのであります。すなわち強盗殺人強盗傷人強盗強姦等のいわゆる凶悪強盗発生は、昭和三 十三年におきましては千九百九十八件でございま して、前年に比べて百六十八件、九%も増加いた しており、昭和三十年の二千八十五件に次いで戦 後第二の発生となっておる状況でございます。  凶悪犯の中におきます少年犯罪者、これは年令 十四年以上二十年未満の者でありますが、少年犯 罪者の占める比率が特に著しく増加をいたしてお るわけでありまして、これを年度別に見ますと、 少年凶悪犯総数におきましては、昭和三十一年 が四千四百七十九人、三十二年が五千四百六十五 人、三十三年が七千四百九十五人というふうに急 増いたしておるわけであります。少年凶悪犯の各罪におきましては、殺人昭和三十二年が三百七人、三十三年が三百五十九人、それから強姦に至りましては、三十二年が二千八百二十三人でありますのに対して、三十三年は四千六百五人で六三%の増ということになっておるわけであります。放火は三十二年が百六十二人、三十三年が百八十二人、強盗におきましては三十二年が二千百七十三人、三十三年が二千三百七十八人となっております。強姦事件におきましては、昭和三十三年の少年犯罪者が三十二年に比して六三%も増加するという著しい傾向でございまして、特に成年、少年を通じての強姦罪の五四%を少年が占めておるという状況でございます少年凶悪犯全体におきます各罪の少年犯罪者比率を見ますと、昭和三十二年は、少年凶悪犯全体を一〇〇%といたしますと、殺人が五%、強姦が五一%、放火が二%、強盗四二%でありましたが、三十三年は殺人四%、強姦六一%、放火四%、強盗三一%というふうになっておりまして、少年強盗事件の全少年凶悪犯において占める比率は、昭和三十二年の四二%が三十三年は三一%となり、約一〇%減少しているのに対しまして、強姦事件は三十二年の五一%が三十三年には六一%となって一〇%も増加しているという注目すべき傾向が見られるわけであります。  これについての検挙状況を申し上げますと、凶悪犯検挙率でございますが、昭和三十年は九一・四%、三十一年が八九・九%、三十二年が八九・二%、三十三年が九〇%というふうに、最近大体九〇%前後のところを示しておるわけでございます検挙対策といたしましては、捜査技術の向上、捜査共助体制確立強化警察装備の充実、捜査資料収集整備防犯関係団体との連絡強化科学捜査部門拡充等を考えておる次第でございます。  以上、簡単でございますが、最近の犯罪情勢について御説明を申し上げた次第でございます
  4. 中川董治

    中川(董)政府委員 過般の当委員会におきまして渡海委員から御質疑がありました急行雲仙号内における暴行事件につきまして、その際要旨をお答えいたしたわけでありますが、本年の一月二十八日午後七時四十分ごろ、長崎市館内町三十三番地松島隆則が泥酔の上、折から長崎県内の祝祭を終え、長崎駅発午後五時四十五分の急行雲仙号に乗車いたしまして、福岡に向う途中にありましたフェドレンコ・ソ連大使及びロジェッキン二等書記官並びに右両氏と行動を共にしておりました日ソ協会西日本支部連合会理事緒方用光氏——三十六才の方ですが、この三名が同列車内食堂で食事中のテーブルに近づき、大使及びロジェッキン氏に続いて立ち去ろうとした緒方用光民を引きとめ、会社のお客さんだから一緒についていかなければならないといって緒方氏が断わったのに対しまして、アメリカ人と飲んで日本人と飲めぬのか、アメリカ人にペこペこするなと言いながら緒方氏の左腕をつかんで、いすに押えつけて素手で同人の左のほおを一回なぐった上、同列車の車掌の連絡によって鳥栖駅から同列車に乗り込み、同駅で松島を下車させようとした鉄道公安官川原芳太郎氏の左ほお右手拳をもって二回殴打し、全治七日間を要する打撲傷を与え、さらに同日午後九時ごろ同列車博多駅停車中、博多駅で松島を下車させようとした川原公安官に援助した博多鉄道公安官室勤務鉄道公安官今村正人氏の大腿部を三回足げりにした事件について、同日午後十一時五十分ごろ福岡警察博多警察署において身柄の引き継ぎを受け、引き続き身柄を拘束して取締べの上、同三十日午前十時、身柄とともに福岡地方検察庁暴行罪傷害罪公務執行妨害罪により送致し、同三十一日勾留となり、博多警察署に留置して引き続き取調べを行なったのでありますが、同犯行思想的背景を有する計画的なものではなく、全く偶発的に敢行されたものであると認められるのであります。なお、右松島被疑者は、本年二月七日公訴を提起されまして、福岡地方裁判所で審理されることになっているのであります。  以上が渡海委員からの御質疑に対する、この暴行事件のその後の状況の要点でございます。  次に、過般の当委員会選挙違反取締りについて、中井委員から調査してその結果を報告するようお話のあった件について御報告いたします。  第一点でありますが、山口熊毛田布施選挙における選挙違反取締りについてであります。この町長選挙は、昨年十二月一日に告示され、同月九日に選挙が施行されたのでありますが、その選挙違反取締りについては所轄山口警察において、選挙期日前にすでに警告三件、検挙一件の取締りを行なっております。このほか二百円入りの封筒を選挙人宅に投入した容疑の事件が二件ありまして、被疑者発見に努めておりますが、現在までのところ被疑者を確認するに至っておりませんので、引き続き捜査中であります。また同様事犯が他にあるかにつきまして捜査いたしましたが、発見いたしておりません。  なお、夜警組職務質問や尾行が行われたということにつきましては、投票日の前日に当る十二月八日午前二時ごろ、田布施巡査部長派出所へ、婦人運動員から自宅を見張っている者があるとの電話届出があり、警察官が現場におもむいたところ、他派の運動員がおり、選挙違反が行われないよう監視しているとのことであったので、警告して引き取らせておるのであります。  運動員をトラックであちこちの部落に配って回ったということにつきましては、十二月六日、婦人運動員十一名を貨物自動三輪車に乗せ、戸別訪問に行かせる目的で無許可輸送していた運転手職務質問により検挙し、運動員に対しては警告の上引き取らせております。運動員が、そろいの折詰弁当を持っていたということにつきましては、十二月六日平生署の刑事が、田布施麻郷小学校校庭折詰弁当を食べている運動員四名を職務質問したところ、個々面接に来たということでありましたが、調べてみると、戸別訪問にわたるおそれがありましたので、警告して引き取らせた事案がありました。その際の弁当は六十円程度のそろいの弁当であったので、捜査しましたところ、この弁当選挙事務所で渡されたものだと申し立てております。  選挙事務所前に置いてあった自転車の空気が抜かれ、オートバイのタイヤが切られたということにつきまして、選挙運動期間中にその事実は認められませんが、選挙が終り、本年になって一月二日、町長宅の新年宴会に参集した者の軽自動車について、空気を抜かれたり、ガソリンのキャップをはずされたりした事案発生しております。本件は、親告罪の器物損壊罪に相当するものと認められますが、関係者は告訴を欲せず、被害も供述しない状況であります。  その他熊毛町の三丘温泉候補者を囲んで女を主として宴会があったとか、今度の選挙で町内に流れた金は七、八百万円で、一票当り七、八百円だったそうだなどの風評につきましても捜査いたしましたが、事実の発見に至っておりません。  第二に、新潟県長岡市の市長選挙は本年一月八日告示され、同月十八日施行された選挙でありますが、この選挙運動期間中に自由妨害事案があったにかかわらず、警察においては取締りが徹底していないとの御質疑でありましたが、調査いたしましたところ、選挙運動期間最終日である一月十七日、立会演説会場において選挙の自由を妨害した被疑者木内昇現行犯で逮捕したのでありますが、同人は、当日の別の立会演説会場における暴行被疑事件被疑者でもあることが当該事件捜査中に判明いたしましたので、この両事件を立件し捜査の上、身柄とともに一月十九日所轄地方検察庁長岡支部に送致しております。  第三に、本年三月一日施行されました宮城県知事選挙について、三浦農林大臣宮城県下において地元の人々から陳情を受けた際、選挙違反にわたる言動があったのではないかとの趣旨の御質問がありましたが、宮城警察におきまして内査を遂げましたところ、農林大臣町長等から陳情を受けた際演説をした事実は認められるのでありますが、その演説内容において選挙違反にわたる内容があったとは認められないのであります。  以上過般の委員会の御質疑に対する報告を終ります。
  5. 鈴木善幸

    鈴木委員長 質疑の通告がありますので順次これを許します。北條秀一君。
  6. 北條秀一

    北條委員 私、時間がありませんので小さなことですが、今警察庁長官から犯罪報告がありましたが、これに関連いたしまして、売春防止法が実施されてから一年近くなるのでありますが、これに関する報告は漏れておったと思います。これが今もしわかりましたらお知らせ願いたい。なぜこういうことを聞くかというと、実は婦人補導院建設に当りまして、これは昨年中にできなくてはならないのですが、その建設用地が不適当なために非常にもんちゃくを起しまして、やっとこの正月になって八王子市に決定をいたしたのでございます。目下建設中なのでありますが、聞くところによると、福岡にしても、大阪にしても、施設は非常にりっぱですけれども中はがらんどうだということです。中ががらんどうだということはきわめてけっこうなことでありますが、どうも売春というものが非常に陰険な様相を示しておるのではないか。先ほど強姦が非常にふえて、戦後最高の四五%増というような話がございましたが、そういうような事情もございますので、この際おわかりのところだけを一つお知らせ願いたいと思います。
  7. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 先般の亀山委員の御要求に応じましてお答えいたしましたのは一般犯罪についてでございまして、売春事案状況につきましても当然御報告申すべき問題だと思います。保安局長が参っておりますので保安局長から御答弁いたさせます。
  8. 木村行藏

    木村(行)政府委員 売春防止法が昨年の四月から全面的に施行されまして、刑罰法令も実施になったわけであります。その関係から、大体警察で扱っておりますところのその後の検挙状況を御報告申し上げたいと思います。  昨年の四月から十二月までの九カ月間の検挙総数でございますが、件数にいたしまして一万六千七百四十一件、人数にいたしまして一万五千六百七十二名でございます。その内容を申しますと、一番多いのは売春婦による勧誘でございまして、俗に言います客引きでございます。これは売春防止法の第五条にひっかかるいわゆる街娼違反事項であります。これが八千九百五十件、人数にいたしまして八千九百十名、五四%、半分以上は街娼による違反事件がいまだに相当多いという状況でございます。次に多いのはポン引きなどによる周旋でございます。これは法の第六条に違反する事件でございまして、件数にいたしまして二千九百二十八件、人数にいたしまして一千三百四人、一五%、一割五分でございます。次に大体同じぐらいの数でございますが、旅館業者などによる場所提供、非常に悪質な事犯ではございますが、これは法第十一条に違反する事件であります。件数にいたしまして二千五百十三件、人数にいたしまして二千三百六十一名、全体の一五%になっております。次に多いのは暴力団関係者と旧集娼地業者の両方が結びついて売春事犯を犯しておる。これもきわめて悪質な最近の新しい傾向でございますが、これが法第十二条の違反でございまして、件数にいたしまして千三百六十件、人数にいたしまして千三百四人、八%でございます。そのほかの児童福祉関係などの法律に違反したものが、たとえば児童福祉法第三十四条違反によるところの、児童に淫行をさせるような行為をあえてしたこの違反事件が二百二十一件、二百六十九人でございまして、全体の三%弱。それから職業安定法六十三条に違反する事件で、人身売買事犯でございます。これは四百四件、三百七十二名、三%程度じゃないかと思います。その他残りでございます。  大体四月以降全面的に法が施行されましてから、警察も法の精神に従いまして相当強力に取締りをいたしておりますけれども、なかなか最近の事犯が非常に巧妙で潜在しておりますし、また悪質化しておりますので、相当苦慮しているような状況でございます政府におきましては、売春対策審議会がございまして、この審議会警察庁次長もメンバーになっておりまして、審議会とたびたび売春防止に関する推進を協議いたしておるのでございます。さらに最近の情勢に応じてもっと掘り下げていろいろ研究し、対策を推進して参りたいという状況から、小委員会を第一委員会と第二委員会を作りまして、第一委員会は主として法制面についてざらに掘り下げて研究を進める、第二委員会現行法運用するこの運用面について、いろいろ問題点を掘り下げまた研究を進めていく、こういう状況でございまして、この売春防止に対してもさらに総合的に力を注いでおるような状況でございます
  9. 北條秀一

    北條委員 売春関係犯罪の起るのは地理的にかなり頻度といいますか、非常にたくさん発するところと発しないところがあると思うのです。従って、それは統計で見ればわかるのですが、頻度の非常に高いところには、警察庁の方では当然それだけの手当がしてあると思うのです。そういうことについての資料を、もしわかりましたならば説明していただきたい。なければ後刻それを出していただきたい。
  10. 木村行藏

    木村(行)政府委員 確かに頻度の高いところと、また比較的そうでないとろと差がございますけれども、手元に統計を持っておりませんので、また後ほど調査して御報告申し上げます。
  11. 北條秀一

    北條委員 わかりました。
  12. 鈴木善幸

  13. 太田一夫

    太田委員 選挙違反関係についてちょっとお尋ねをいたしたいのですが、最近問題になっております皇太子御成婚による恩赦ですが、すでに刑の確定した者に対して個別にほとんどこれを恩赦しようというような報道が流されておりますが、これに対して警察庁としての所見を一つ承わりたい。
  14. 中川董治

    中川(董)政府委員 ただいま御質疑の、恩赦法運用につきましては、法務省所管事項に属するのでありますが、私どもは、選挙違反取締りとも関連がありますので、いろいろ僕らの意見も言っておったのですが、私の承知しておる限りにおきましては、恩赦法によりますと、大赦をかりにやる場合におきましては政令を用いる。この政令を用いる大赦のごときは、今回の場合には考えないように私仄聞しておるのであります。そのほかにその政令を用いないで現行恩赦法に基きまして、更生委員会意見に基きまして、個々の確定した被告人に対しまして特赦等の道があるわけですが、これは刑事政策という見地からも御検討がある問題と思いますが、この刑事政策という見地からの検討は、いろいろ法務省所管として現在御研究のように伺っておりますけれども、選挙違反を全部棒引きしてしまうというような大赦とかなんとかというようなことにつきましては、所管法務省におかれましても、そういうことを考えていらっしゃらないように私仄聞いたしておるのであります。いずれにいたしましても、恩赦法につきましては法務省所管でございますので、私から申し上げるのはいかがかと思いますが、私が知っている限りのことをお答えいたした次第であります。
  15. 太田一夫

    太田委員 法務省所管だから知ったことでないよということは、皆さん方警察庁としての所管、責務の点からいっても、他人のことだから知らない、他の所管のことだからわれわれは関知しないのだというのでは、少し責任の点からいいまして問題があるように思うわけです。だから、近く選挙もあるわけですから、将来の選挙違反防止のためにも、こうあるべきだという確固たる見解があってしかるべきだと思いますが、御相談なさったことはないのですか。
  16. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 ただいまのお話のように、選挙の公正、公明を期するということは、民主国家としてそうなければならないことであろうと思うのであります。警察といたしましても、公明選挙の実現ということにできるだけの協力をいたして参っておりますし、従いまして、選挙運動におきます違反事案につきましては、厳正にこれを取り締る態度をもって臨んでおるわけでございます。従いまして、しいて警察意見を求められるならば、これはわれわれもちろん非公式にいろいろ関係当局とも話し合っておることでございますが、われわれとしては、現在以降行われておりますような選挙運動においての違反者が、今度の恩赦によって全く責任を負わなくなるというようなことは好まないことでございまして、従いまして、ただいま刑事局長が申しましたような大赦等の措置が行われないことを望んでおる状況でございまして、こういう点は法務省所管といえども、われわれとしてはわれわれの意見を申し述べておるわけでございます
  17. 太田一夫

    太田委員 念のためにもうちょっとはっきりさせていただきますと、中川局長は、意見はいろいろしたがとおっしゃいましたが、いろいろ言っているという意見の中には、恩赦があってしかるべきだというのと、しかるべきでないという二つの意見もあるのかと推測されるわけですが、いろいろ言っているというそのいろいろの内容について、もうちょっと伺いたい。
  18. 中川董治

    中川(董)政府委員 これは申し上げますが、私どもは公務員の生活をいたしておりまして、各省に所管があるものですから、各省の所管に関することについてあまり言うことは僣越だという趣旨を申し上げたのでございまして、別に他意はございませんので御了承願いたいことが一つ。それから、いろいろ意見を言いますいろいろというのは、積極、消極といういろいろではないのでありまして、ただいま長官からお答えがありましたように、公職選挙法という法律が厳然としてございまして、その厳然とした法律の趣旨を没却するような恩赦運用ということは認めない、こういう趣旨の意見を申しておるのでございます
  19. 太田一夫

    太田委員 その辺のところが大へん明らかになってきたように思いますが、公職選挙法の趣旨を没却しないものならば認める。こういうことになりますと、あなたの方のその認めるという限界はどの辺だという見解を持っておられますか、あるとすればお答えを願いたい。
  20. 中川董治

    中川(董)政府委員 恩赦制度というのは御案内かと思いますけれども、刑事政策の一環といたしまして、すでに確定判決を受けた者に対して、たとえば殺人なら殺人犯罪で確定判決を受けた者に対しまして、その確定判決を最後まで執行するということも一つの刑罰権の発動として有力な方法でございますが、当該被告人に対しまして、この場合は減刑して無期にした方が刑事政策見地から正しい、こういうことがあり得るのでございます。そういった見地恩赦法運用ということは、いろいろ恩赦法という制度からいってやや当然なことだと思うのでございますが、ただいま長官も申されましたように、たとえば選挙違反を全部大赦にするとか、こういった事柄になりますと、公職選挙法の規定した趣旨がこの際没却されますし、それから現在法務省もそういうことを考えておりませんので、そういうことについては行われることがない。こういう確信のもとに、現行恩赦制度の適正な運用ということを中心にして意見を申しておる次第でございます
  21. 太田一夫

    太田委員 簡明にこれを表現いたしますと、警察庁当局としては、今回の恩赦については、選挙違反に関する限りは公職選挙法の趣旨を尊重する意味において適用されることはまことに好ましくない、反対であるという確固たる方針を立てていらっしゃるとわれわれ理解してよろしいか。
  22. 中川董治

    中川(董)政府委員 お話しになりましたようにわれわれ考えております。
  23. 太田一夫

    太田委員 従って、それは法務省所管ではあるけれども、警察庁当局といたしましては、機会あるごとに一つの意見として、関係当事者の意見として強力に主張される所存でございますいね。
  24. 中川董治

    中川(董)政府委員 その意見を持っておりまして、そのように処置しております。
  25. 太田一夫

    太田委員 次に最近公職選挙違反容疑と思われる点について少し御見解を承わりたいと思うのですが、それは特に地方公務員法三十六条違反が各地に頻発をいたしておることであります。三十六条によって職員の政治活動禁止がなされておりますけれども、実際はこれが空文に帰しておるのじゃないか。表面立って公式の席上では言われないが、公式に準ずる非公式の会合、特に一党一派の方だけがお集まりになった席上におきましては、地方公務員も非常に端的に違反行為をしておる事実があるわけであります。そういう点を、最近行われました知事選ないしは各地におきます地方選挙の中から顕著な例として感じとられたことはないでしょうか。
  26. 中川董治

    中川(董)政府委員 選挙が施行されます際に、国家公務員または地方公務員が政治活動をして、結果において選挙に影響を与えよう、こういうことが終戦後の状況として、だんだん好ましくない傾向にあるということはわれわれ看取しております。これに対する対策でございますが、国家公務員及び地方公務員が公職選挙法に定める制限に違反した場合、たとえば買収行為だとか、そういった場合においては刑罰がありますので、警察といたしましては、これに対して厳重な取締りを加えております。厳重な取締りを加えた結果、公務員であって公職選挙違反の罪に問われた者も相当数に上っております。ところが、地方公務員の方であって公職選挙法には違反しない。たとえば戸別訪問はしない、買収はしない、文書図画の制限違反はしない。それ以外の、公職選挙法の違反ならざる政治活動をする者につきましては現行地方公務員法は、任命権者によるところの懲戒制度を設けておりますけれども、原則的には罰則を設けておりませんので、その限りにおきましては、警察作用に基いてこれを取り締ることは不可能でございます。ところが、そういう行為をやっておる者のうちには、公職選挙法に触れる行為をする者もございますので、これにつきましては厳重な取締りを加えまして、その結果検挙された者も相当数にあるわけでございます
  27. 太田一夫

    太田委員 中川局長のおっしゃるように、相当数検挙されていればいいが、実は相当数免れておるように思うのです。特に土木費の使途を中心といたしますところの地方における利益誘導、職権を利用しますところの買収行為は、実は公然たる事実になっております。たとえば特定の候補者を支持する土木業者には指名をするけれども、それ以外の特定の候補者を支持するがごとき風評のある請負業者は、今まで指名をしておったが、今後は絶対にさせない。こういうことが公然と業者の会合で、そういう権力を持つ者から言われておる。こういうことがあったとすればあなたたちは、公職選挙法と地方公務員法と両方にひっかかるわけですが、いかなる取扱いをされるおつもりであるか。
  28. 中川董治

    中川(董)政府委員 その種のことが起りやすいので、われわれ警察といたしましては、そういう関係違反の容疑の発見に努めております。そしてその内容は、事案内容によって取扱いはもちろん異にいたしますけれども、それが利害誘導の行為である場合におきましては、公職選挙法の違反としてもちろん検挙いたします。それに至らない状況でありますならば、その内容に応じて違反する者につきましては摘発していく、こういうことに相なるのでございます
  29. 太田一夫

    太田委員 具体的容疑の発見に努めておるとおっしゃいますが、たとえば、何々の選挙において、あるところの土木出張所長はかくのごときことを言うたといううわさがあった場合、実際にそれをお調べになったことがあるのですか、実例をお尋ねします。
  30. 中川董治

    中川(董)政府委員 これは犯罪捜査の要領なんでございますが、いろんなうわさが出て参りまして、そのうわさというものをたんねんに収集いたします。うわさだけで直ちに人を逮捕したり、人の宅を捜索することは適当でございませんので、うわさというものが真実なりやいなやという裏づけという関係を私どもは内査に努めております。内査に努めました結果、たとえば公職選挙法に定める犯罪を犯したと疑うに足る相当の理由があるものにつきましては、必要に基き逮捕もいたします。捜査もいたします。たとえば過般の知事選挙におきまして、統一選挙は別として、あっちこっちで知事選挙が行われておるようなわけでありますが、そういうような場合に摘発した事例は持っております。
  31. 太田一夫

    太田委員 たとえばこういうことをおやりになったことがありますか。ある地方において、ある県土木なら県土木の管轄の中で、土建業者の協力会というものがどこでもできておる。協力会のメンバーが、あるときは非常に順調に請負工事の指名に入って、工事の遂行をやっていた。ところが、選挙を境にしてその前後からこれがぴたりとなくなってしまった。それは業者に能力がなかったわけでは決してない。力がないわけではない。会社がなくなったわけでもない。けれども、なくなってしまった。これは幾らも例があります。Aという土建会社はこういう状態に指名を受けてきた、Bという土建会社はこういうふうで間歇的な様相ができて、ここでぴたりととまった、こうなったとか、こういうことをお調べになりますと——その業者に、あなたはなぜここでそれをおやめになったか。逆にいうならば、なぜ県なら県の土木工事をあなたはおやりにならないのかと聞いてみると、やりたくてしょうがないが、実はこういうことでということに相なるのですが、統計にでも請負の実情を表わしてみて、そこから推理をされてみたことがあるか。そういう捜査方法をおとりになったことがありますか。
  32. 中川董治

    中川(董)政府委員 ただいま御設例の事例は、地方公共団体の出納事務その他についての監査行為との関連があろうかと思います。これは当委員会は御専門なんですけれども、地方公共団体の金銭出納監査につきましては、監査の制度を地方公共団体はお持ちでございますので、その監査機関が活発に御活動なさって、そういう監査をなさっていくものだということをまず考えるのであります。その監査作用を大いにやっていただいて、ほんとうにきれいな地方自治ができることをもちろん期待するわけでございますが、その間に犯罪が、たとえば今御設例のような場合と同じようなことで涜職がある。こういうようなことがだんだん推理されて参りました場合におきましては、そういうことを内偵を進めて参りまして、涜職という事案発見いたしますならば涜職罪の捜査を進める、こういうことに相なろうかと思うのであります。御設例の事案は、いろいろ監査の方法で入っていく場合が地方公共団体では比較的多い。金銭の涜職がある、金銭の授受がある、こういうことになれば刑法に定める犯罪でございますので、これは警察としては涜職罪として捜査する、こういうことになるわけでございます
  33. 太田一夫

    太田委員 監査とかどうとかいうことではないのです。公職選挙法の公明選挙推進の立場から、地方の土木費予算の使い方を一つ見てみようという、公明選挙推進の方法と犯罪捜査のやり方です。あなたはさっきうわさは収集するということをおっしゃった。うわさは収集したけれども、それではなかなかやれないとおっしゃった。それはうわさだけではやれないでしょう。現実に証拠として残るのは、今私は一つの例を言っただけで、ある土木工事なら土木工事の請負工事を見ると、特定業者にはぴたりととまることがある。それはうわさにぴたりと当るはずなんです。たとえば、反対派の自民党公認の候補者以外の候補者に力を入れたためにぴたっととまった。こういううわさがあったときに、うわさだけでは、あなたの言われる通りやれないでしょう。しかし、何かに現われる。ぴたりととまったことは、向うの工事請負の状況をずっと分析すれば出てくるのですから、そこまではなかなかやれないのですか、やれるですか、やったことがありますかということを伺っておる。
  34. 中川董治

    中川(董)政府委員 これは一つ御理解願いたいのですが、公明選挙ということを広く考えますと、すべて選挙全体が大へん清くなるということが理想だと思うのですけれども、私どものやり得る限度は、犯罪と定めてあることだけしかできないのであります。今御設例の場合をずっと私考えて参りますと、その場合に考えられる犯罪というのは、買収ということは直接は浮ばぬようでございます。それから利害誘導ということになりますと、公職選挙法の罰則は威迫ということまでいかないといかないようでございます。そうすると、あとは地方公共団体の行政ということになりまして、これは先ほど私申しましたように、金銭出納事務でありますので、監査の対象にはもちろんなり得る。それから地方公共団体は監査制度をもちろん地方自治法等によって設けられておるので、これを期待せざるを得ないと思います。われわれが公明選挙ということに対して国民の一人として大いに期待いたしますけれども、警察活動としてこれをやる部面につきましては、公職選挙法なり刑法なりその他の特別法によって犯罪と定めてある事項を行なったと疑うに足る資料でないと困る。御説例のような場合において犯罪が起りがちであるということは、私理解できるのでありますが、御設例そのものがずばり犯罪だということは、現行法律上はできないと理解いたすのであります。
  35. 太田一夫

    太田委員 そういう理解もあろうかと思いますが、実際上あなたたちの機構におきましては、五十円の卵どんぶりをどこかで三人で食べたといううわさがありましたときに、どうも食べたらしいと明らかになれば、三人を呼んで、あなたたちは何月何日ここでこういうものを食べたではないか。その中の一人が何々派の運動員だから買収されたんじゃないか、こういうことがうわさになる。従って幾つかのうわさがあるそのうわさというものは収集するけれども、公務員の地位を利用する利害誘導罪になるかどうかということは、なかなかわからないとおっしゃることは公務員に対して特に地方公務員などのそういう大きな金銭上の権力を持っておる土木関係、そういうような人たちに対してあなた方は何か手心を加えておるのじゃないか、このような気がするのですが、その点はいかがですか。
  36. 中川董治

    中川(董)政府委員 手心は全然加えておりません。公明にやるということしか考えておりません。
  37. 太田一夫

    太田委員 そういうことにぜひがんばって下さい。あなたを激励しますよ。ところが、うわさは収集したがなかなかやれない。一般の肩書きのない人たちはやられるが、事務所長とか課長とかなんとかはやれないということではいけませんから、これはやはり平等にやって下さい。  それからもう一つは、公職選挙法二百二十五条に関係することだと思うのですが、最近こういうことが行われておる。これは私は非常に新しいケースとして御勘考いただきたいのですが、特定の政党に所属する方が二人ある選挙に出ようと、どちらも推薦をされて本人も出ようとして出てきた。そうすると、一つの首長選挙としますと、二人じゃとにかく同じ政党だから困るわけです、どちらか一人しか当選できないのですから。そうすると政党は、どちらを公認すべきかという問題が起きるわけです。公認、非公認の問題はその政党の自由だろうと思いますが、公認するまでの過程において猛烈なある威力を用いて、二百二十五条違反自由妨害の行いが顕著に出てくる場合がある。たとえばつい最近保革連合という新しい言葉が出てきた通りに、その候補者が非常に筋がいい、そのためにその候補者は保守の候補者であったけれども、革新の労働組合、社会党が一緒になってあとから押そうということになると、今度は自民党の系統の方たちが、特に社会党や何かに推薦を受けるようなことだったら、将来そこの天下は社会党に移る可能性があるから、そのような者をわが党においては公認することはできないというような弾圧をかけてこられる。そういうことが現実に出てきておる。最近ちょいちょい出ておる新しいケースなんですが、それはどうなんですか。政党の内部のことだから、あなたたちは関係ないですか。これは二百二十五条違反じゃありませんか、その点いかがですか。
  38. 中川董治

    中川(董)政府委員 私どもが関係ありますのは、犯罪になる場合だけしか関係ありませんので、犯罪になる場合は、二百二十五条について申しますならば、「用水、小作、債権、寄附その他特殊の利害関係を利用して選挙人、公職の候補者」を威迫したとき、こういう場合しか関係できないのであります。ここに定める犯罪の構成要件を充足する事犯につきましては、警察は厳重なる取締りをやるという考えでございます
  39. 太田一夫

    太田委員 この威力というのは、かりにある政党の特定のグループの顔役が威力を加えたって威力じゃないですか。二百二十五条の一号の「威力を加え」というその威力とは何であるかお答え願いたい。
  40. 中川董治

    中川(董)政府委員 私はいろいろ御設例を伺っておりまして、二百二十五条の三号に比較的近いのじゃないか、該当するとすれば三号関係かと思いまして、三号について御答弁申し上げたのでありますが、一号の「暴行若しくは威力」といいますのは、刑法法典で用いておりますが、有形、無形の力をもって威力を加える。この法律に定める威力という概念に該当するような行為が出ました場合におきましては、もちろん取締りの対象になります。
  41. 太田一夫

    太田委員 だから候補者になろうとする者に威力を加えて、そうして選挙自由妨害ということをやる。天下の公党がそのようなことをやるのであったらまことにもって我田引水、小さな我利我欲の政党になるわけですから、天下の公党というわけにいかない。しかも公明選挙をやろうということで、お互いの政党の合意によってこの公職選挙法も成立をして、可決決定をされておる。これはお互いに守らなければならない。してみれば、この二百二十五条の第一号の「暴行」ということは、現実的ですから物理学的現象があるでしょう。「威力を加え」ということはおどかせばいいんでしょう。社会党なんかに色目を使うやつはもう絶対応援しないぞ、ひどい目にあわせるぞといってふるえ上らせれば威力でしょう。最近そのような傾向がある、威力を加えて自由を妨害するという事例があるのですが、その点はどうなんです。
  42. 中川董治

    中川(董)政府委員 私ども法律の解釈運用等につきましては、判例その他を基礎にして運用せざるを得ないのであります。御設例の暴行につきましては、御理解いただいたのでありますが、威力の点につきましては、威力という言葉は相当刑罰法令に用いられたこともありますけれども、判例等の趣旨に基いて解釈いたしまして、その判例等の認める威力の状態に至るものでありますれば、取締りの対象になるわけでございます
  43. 太田一夫

    太田委員 中川刑事局長にお尋ねいたしますが、新判例はお作りにならないですか、お伺いいたします。
  44. 中川董治

    中川(董)政府委員 三権分立でございますので、裁判所の判例等を中心に考えて運用するのが当然であろうと思います。
  45. 太田一夫

    太田委員 自民党の地方行政委員の皆さん方に文句があるわけではないのですが、二人の候補者が立った場合、自民党としてはどちらも非常によかった、これはお互いにやりなさいということで考えていたところが、一方の候補者の方に革新陣営がはっきりついたら、そういうことならわが党の勢力のためによろしくないからというので、その候補につく系統の党員であろうとシンパであろうと、保守勢力と考えられるような有力者に対して威圧を加えて、君らがその候補者を応援するなら社会党を応援することと同じことなんだ、やめなければちょっと考えがあるぞ、こういうおどかしをかけて威力を用いた、こういう例があるのです。これは新例だと思いますから、新例をお開きになる意思がおありになるなら、これからもさらによく御研究の上、そういう場合に対処していただきたいと思うのです。公明選挙ですから、その思想からいいました場合に、あまり好ましくない場合は、好ましくないとはっきり私は言ってほしいと思うのです。お答えがなければ別に答弁を求めません。
  46. 中川董治

    中川(董)政府委員 われわれいろいろと、選挙が施行されます場合においていろいろな事案が起る。こういうことについては常に関心を持っておるわけですが、その威力ということの解釈につきましては、私は一応研究したつもりでございますが、さらに勉強を加えまして、その威力の意味を十分理解いたしまして、その取締りに遺憾なきを期したいと思っております。いろいろ各地で違反ないし違反に近い事案があるようでありますが、一番根本問題は、そういう事案が行われても警察から発見されないで済むということが少くないのでございます。今の問題に限りませず、ほかの問題につきましても。そういう問題につきましては、これは国民各層の御協力によりまして、いろいろな事案警察の視点に入る、こういう努力を重ねて参りたいと思っております。
  47. 太田一夫

    太田委員 心から警察庁当局が、厳正中立、公明正大な立場をとって、公職選挙法の公明な、そして強力な推進勢力とならんことを特に希望しまして、私の質問を終りたいと思います。
  48. 鈴木善幸

    鈴木委員長 亀山孝一君。
  49. 亀山孝一

    亀山委員 先ほど警察庁長官から、最近の犯罪の趨勢の御報告があったと思いますが、私ちょうど折あしく席におりませんで、詳細にこれを伺うことができませんでしたので、あるいは重複するかもしれませんけれども、若干の点につきましてお伺いをしたいと思います。  その一つは、最近の青少年犯罪がどういう傾向をたどっておるか。われわれの承知しておる範囲では、暴力犯、婦人に対する犯罪等で相当著しく増加をしておるのではないか、そういう点を考えております。いま一つは、青少年犯罪中で、最近女の青少年、これの犯罪が著しく増しておるというようなことを聞いております。そういう点についての状況。   [委員長退席、吉田(重)委員長代   理着席〕  それから、この委員会でもたびたび御質問申し上げておるのですが、現在十八才未満の青少年犯罪に対して、現行のやり方でいいかどうかという点についての当局のお考えをお伺いしたい。  それから第二は、われわれが最も憂慮している問題は麻薬の問題であります。かってヒロポン中毒に対しては警察庁を中心とする政府当局の御努力で、一時百万といわれたヒロポン中毒患者の問題が相当抑止されておりますことはまことに喜びにたえません。けれども、いろいろわれわれの聞いているところでは、依然としてこのヒロポン的な中毒患者及び犯罪者が相当多い。ことに国際犯罪といわれる麻薬犯罪につきましては、なかなか容易ならざる情勢があるやに聞いております。こういう点について、一つどういう状況かお伺いしたい。  それからさらに、この委員会でも先般小委員会を作りまして、交通事故の防止ということにつきまして、小委員会の答申も出ておるのでありますが、最近交通整理の問題もだいぶんその緒についたというように考えます。けれども依然として交通事故は跡を断たない。こういう問題に対して警察当局はどうお考えになるか。これらの趨勢とこれが事故防止の問題について警察庁当局から、長官及び各局長でけっこうですから、御担任のところでなるべく詳細にお伺いしたい。
  50. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 ただいまの御質問に対しまして、私から一応概括的に申し上げてみたいと思います。  先ほども犯罪の最近の傾向につきまして、少年犯罪にも若干触れましたが、三十三年におきまする犯罪少年、これは刑法犯についてだけでございますが、総数が十二万四千三百七十九名でございまして、前年に比べまして九%増となっております。また、三十二年は十一万四千三百二名でございまして、三十一年度に比べまして一三%の増、累年増加の一途をたどっておるわけでございます。しかも、その増加率が非常に大きくなっておる。少年犯罪の一番多かったのは、昭和二十六年でございまして、十三万三千六百五十六名という数を数えたのでありますが、それから漸減の方向に向い、また最近数年間非常な勢いでふえておる。それで第二の山を築こうとしておる状況でございます。  件数においてそういう状況でございますが、さらに憂うべき点は、窃盗犯罪が前年に比べてむしろ五%減少しているにかかわらず、こういうふうに全体の数字としてふえたということは、結局、凶悪犯あるいは粗暴犯というようなものが非常な勢いでふえているということを物語るものでございます。特に強姦、わいせつというものの増加は非常な勢いでございまして、前年に比べまして、強姦において六三%、わいせつにおいて六六%の増という状況でございます。また先ほども申し上げましたが、全強姦犯の被疑者の中で、少年の占める割合が五四%、前年が五三%、これは両方とも非常に大きい率でありますが、前年よりもさらに上回っているという状況でございます殺人強盗強姦放火を含めました凶悪犯が全体で七千四百九十五名でございますが、前年に比して二七%の増ということになっております。また暴行傷害、脅迫、強喝の粗暴犯というものは三万七千七百五十四名、前年に比しまして二八%増加しておるという状況でございます。  また、さらにもう一つ憂うべき傾向といたしまして、年令層別にこれを見ますと、刑法犯全体につきましても十八才以上二十才未満の者の前年に対する増加率が三%でございますが、十四才以上十六才未満の者が一一%、十六才以上十八才未満の者に至っては一五%という増加率を示しておる。すなわち低年層において増加率が非常に多くなっておるということがいえると思います。この年少少年層の増加率を罪種別に見ますと、凶悪犯において四六%、粗暴犯において三六%、性犯におきまして六四%というきわめて高い率を示しておるわけでございます。特に強姦につきましては、十四才以上十六才未満の者が七八%、十六才以上十八才未満の者が六二%というふうになっておるわけでございます。  これに対しまして、警察といたしましても少年の補導、環境の浄化、また非行要因の検討でありますとか、少年警察関係の者の教養の徹底、また補導室でありますとか、保護施設等の物的設備の整備充実、関係機関との協力というようなことに意を用いておるわけでございますが、遺憾ながら、趨勢はただいま申し上げたような状況をたどっております。今後も大いに努力して参りたいと思っておるわけでございます。  女子青少年犯罪が目立っておるということについても、私どももそういうことを耳にいたしておりますが、ただいまここに統計的な資料を持ち合しておりませんので、御了承願いたいと思います。  それから麻薬関係でございますが、御指摘のようにヒロポンにつきましては、数年前各方面の御協力を得まして、警察といたしましても徹底的な取締り、また指導に当って参りまして、これは非常な実績をおさめたように思います。しかしながら、なおまだヒロポンの施用というものが一部に牢固として残っておりますので、この取締りも怠るわけには参りませんが、数としては、少くとも良家の、初め何も悪い考えでなしに勉強したいというようなことで入っていった者の害は、ほとんどないという状況に相なっておりますが、麻薬につきましては、二十九年から三十二年まではむしろ漸減の方向にあったわけでございます。麻薬犯罪検挙状況でございますが、三十九年が千五百四十二件、千六百八十二人、三十年が千四百十一件、千五百三十三人、三十一年が千百九十三件、千三百十七人、三十二年が千二百二件、千三百十四人、この辺までは著しい減少ではございません。減少ないし停滞の格好でございましたが、三十三年になりまして、件数において千六百七十三件、千七百六十七人というふうに激増いたしまして、戦後最高検挙を記録しておるわけでございます。前年の三十二年に比較いたしますと、件数で三九%、人員で三四%以上の著しい増加となっておるわけであります。もちろん、こういう捜査の困難な事案でございますので、警察において非常に力を入れたために検挙が多くなったという状況もあるかと思いますけれども、何と申しましてもこの麻薬犯罪というのは、こうした検挙に現われてくる以外に、非常に多くの隠れたものが存在しておるように思うわけでございまして、今後とも一そうの努力をいたして参りたいと思っておるわけでございます。この麻薬犯罪増加した原因はどういうところにあるかと考えますのに、そうした隠れた麻薬中毒者が非常に増加しておる。それから国際的な交流が非常にひんぱんになって参りまして、麻薬の密輸事犯増加をして参っておる。それから国内におきます麻薬密売者が増加し、特に暴力団等の資金源としての麻薬密売事犯増加をしておる。しかもその組織が非常に巧妙になって参ってきておるわけであります。これに対する対策といたしまして、もちろん警察として、厚生省とも連絡を保って取締りを強化して参るということは当然のことでございますが、さらに広く考えますれば、中毒者の医療更生の道を講ずる。それから麻薬の害悪に対する広報活動というようなものも必要になってくるのではないかというふうに思うのであります。警察の態勢といたしましては、麻薬犯罪取締りに対する関心を高める、これはむしろ専従員のみならず、全警察官に対して一般的に関心を高揚していくということが必要であろうと思います。また専門的な係官につきましては、麻薬犯捜査の技術の研究、指導を徹底する。それから海空港等を管轄する警察であるとか、あるいは麻薬犯の多発する主要府県警察取締り態勢を、陣容、技術ともに強化をして参る。また先ほど申し上げましたが、関係機関との密接な連絡を保持するということが必要であろうと思うわけでありますが、先ほども申し上げましたように、非常に国際的な関連を持ち、また国内的にも秘匿された組織において暗躍しておる連中でありますので、捜査には相当の隘路がありますけれども、今後ともこの点十分に決意をもって取締りを進め、関係機関との連絡を緊密にいたして参りたい。  交通事故の関係につきましては、保安局長からお答えいたします。
  51. 木村行藏

    木村(行)政府委員 最近の交通状況は、ことにいろいろな悪条件が重なっておりますので、すでに御案内の通り交通事故はものすごくふえております。その概況を申し上げますと、特に昨年一年の状況を申し上げたいと思いますが、交通事故の総件数は十六万八千七百九十九、一昨年に比較しまして一割五分の増であります。一昨年も戦後最大の交通事故といわれておりましたけれども、それよりもさらに一割五分もふえております。非常なふえ方であります。死者は八千二百四十八名、傷者が十四万五千四百三十二名、死者のふえ方が九%、約一割でございます。傷者は一七%、二割近く一昨年よりも昨年はふえております。損害の額が三十四億に及んでおります。いろいろな物的損害あるいは車の破損による損害、これが三十四億で、一六%の対前年度比増でございます。これを一日平均にいたしますと、大体死者において一日二十三人、ですから一時間に一人どこかで交通事故で死んでおるというような状況であります。非常に嘆かわしいことであると思います。傷者は一日平均三百九十八名、約四百名で、死傷者両方合せまして一日四百三十一名、一時間平均十八人、二十人近くの者が全国で死んだりけがをしたりというような状況であります。  これらの事故のうち大きいものは原動機付自転車であります。最近これは非常にふえておりますし、比較的免許も取りやすいものですから、しかも乱暴に運転する若い者が多うございまして、この原動機付自転車の事故が、昨年は一昨年に比較しまして四〇%、四割増であります。非常なふえ方でございます。それから軽自動車の関係が昨年は一昨年よりも三二%増、約三割ふえておるような状況です。その次に多いのは貨物自動車でありまして、これが昨年は二七%増の状況を示しております。この三つが非常に大きいのでありますが、そのほかに小型の乗用車、これが二・五%増の事故のふえ方であります。こういうふうな状況でございまして、このいろんな事故の多い種別は、ただいま申し上げた通りでありますけれども、自動車が毎年ふえております。非常なふえ方でありまして、全国で月平均二万四千台、東京都内だけで五千台ないし六千台毎月ふえているような状況であります。それに対応するところの道路は、必ずしもうまく整備されていない。幅員も拡張されていないというような追っつかない状況でありますし、また交通一般の道徳も、いまだ高揚していない面がたくさんありまして、交通全体の秩序が必ずしも確立しておりません。そういう面もありまして、交通状況は非常にむずかしい状況にあるのではないかと思います。  これらの状況に対しまして、警察といたしましては、昨年特に神風タクシーを取り上げまして、関係各省とタイアップしまして、この神風タクシーによるところの非常に悲惨な事故、また数の多い事故というものを防ぐように、警察の面においても努力し、また関係省とも協力して参ったのでありますが、これは昨年一年におきまして一六%の事故の減少になりまして、ほかの面がどんどんふえているのに、神風タクシーの面においては、昨年においては一割六分事故が減っている、こういう状況でございます。それから騒音防止運動というものを展開しまして、これも御案内の通り、最初の予定したよりもある程度の効果を上げ得たのではないかと思います。  今後に残された問題といたしましては、現在の既設の道路の通行許容量といいますか、自動車などの通っていくところのキャパシティ、この許容量をできるだけふやしていくようないろんな措置をとっていく必要があるのじゃないか、これが比較的早手回しではないかという感じがいたすのであります。たとえば東京都内で言いますと、札ノ辻から赤羽橋に至る札ノ辻停留所、また三田二丁目の停留所で若干の犠牲を払っていただいて、あの方面の路面を撤去しますと、これは第一京浜と第二京浜が、一度に非常におびただしい数の自動車があそこに集中して都心に来ますので、あそこで非常な事故が起きています。事故の増加率が多いわけです。あるいは銀座の路面電車というような問題も、もちろん東京都といたしまして非常に大きな問題でありますけれども、運輸省の所管しておりますところの都市交通審議会で何回か審議いたしまして、方向といたしましては撤去するような方向にだんだん傾きつつあるのではないかと思います。こういう道路の交通許容量の拡大というものが事故を防止する大きな問題であります。これはもちろん警察の問題よりも、ほかの省の問題あるいはほかの庁の問題である場合が多いのでありますけれども、警察といたしましても非常に関心が深いので、こういう面については非常に強く要望しておるような状況でございます。それから交差点におけるところの交通規制の方法あるいは今後作られるところの道路の構造というものについても、警察の立場からいろいろ建設省その他に意見を申し伝えて、事故防止の観点から、カーブの工合あるいは路面の傾きの工合、いろんな面についても警察の立場から言える面は言っておるような状況であります。あるいは混合交通の分離、なるべく通行の区分を合理的にいたしまして、混合交通をできれば少しずつでもだんだん減らす方向に持っていって、交通の流れがスムーズにいくようにする。そうしてその事故を防ぐというような面について、やはりいろんな会合の場合に意見を強く申し述べておるのであります。  それから交通環境の整備という問題についても、いろいろ協力しまた推進いたしておるわけであります。たとえば都内における交通に障害を与えるような広告物の撤去という問題についても、昨年東京都で条例を作りまして、署長の許可を得て規制するということで、運転に障害を与えないような広告物のその面における環境整備ということをやって参っておるわけであります。あるいは放置物件の取締り、あるいは自動車のパーキングの問題、パーキング・メーターが最近銀座、丸ノ内にできましたけれども、これなどもやはり路上駐車というものを合理的に秩序あるごとくにいたしまして、その面から交通事故の防止あるいは交通の流れの円滑化ということを期して参っております。それから御案内の通り、都内あるいは主要な都市において、道路の掘り返し工事が非常に多うございます。たとえば都内で言いますと、一日平均ほとんど二千カ所くらいの交通の掘り返し工事がございますが、これらについても、ガスあるいは水道あるいは道路そのものの工事、あるいは軌道の工事というものを、なるべく合理的に一括してできれば、それだけ工事の数が減らせるのでありますので、これらの工事の調整というものについても、関係省といろいろタイアップしていたしておるわけであります。  その他交通事故の違反取締りということは相当きつくいたしております。また、今後考えられる問題といたしましては、道路交通取締法というものが十年前にできまして、交通状況が非常に変っておりますので、同法の検討というようなこともいたしておるような状況であります。
  52. 亀山孝一

    亀山委員 ただいま詳細な御説明を伺いまして了承いたしましたが、まず第一点の青少年犯罪に対して、いろいろ伺うとまことにゆゆしき問題です。どうかこの点を警察庁におかれて、今の青少年犯罪の趨勢というものを大いにPRしていただいて、世の識者及び父兄に注意を喚起し、同時にこういう誘惑の道に入りやすい方法を何とかして追放するようにPRしていただきたい。  そこで私は最近見るのですが、週刊雑誌とかいろいろな雑誌あるいはテレビ等を見ておりますと、よくもああいうようなわいせつな雑誌が世に出ているなと、心配せざるを得ないのがたくさんあります。テレビあたりごらんになりますと、単にこういう青少年犯罪のわいせつの問題だけではありません。いわゆるいろいろな犯罪を示唆するようなテレビが最近多い。この間何か一週間のテレビに、九つも殺人犯が出ていたということを言っていましたが、事実でしょう。どうかこういう雑誌あるいはテレビ、ラジオ等に対して、警察当局が今のように青少年犯罪、ことに公娼廃止の後とはいいながら、暴行関係あるいは婦人関係が多いということをよく警告されるといい。あるいはあとの麻薬犯罪あるいは交通問題でも、今お述べになったことを、一般犯罪の趨勢というような白書式のものではなくして、別々に取り上げられて、一般にやはり周知せしむることがいいのではないか。ぜひこの方法をおとり願いたいと思うのですが、長官のお考えはいかがですか。
  53. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 ただいま非常に貴重な御意見をいただきましてありがとうございました。私どもも、青少年問題にいたしましても、麻薬犯罪にいたしましても、あるいは交通問題にいたしましても、ようやく世間もこういうことに相当の関心を持ち始めた状況でございますし、こういう機会にできるだけ御趣旨のような方策を講じまして、明るい社会を建設するということに努めていきたい、そして警察の責務を十分果し得るようにいたしたいと考えております。
  54. 亀山孝一

    亀山委員 内閣に何か青少年問題協議会というのがあるそうですが、そういう点を通じられて、一つできるだけすみやかにお願いしたいと思うのだが、われわれ委員会でもそういう問題を取り上げて、法務委員会関係もありましょうが、警察関係の本委員会で十分そういう点を検討して、今のうちに方策を立てなければいかぬのじゃないか、こういう気がします。  次に、麻薬問題に対して今お話がありましたが、御承知のように、犯罪の裏には各と麻薬があると昔からいわれている。公娼廃止になって以来、麻薬というものがいわゆるやみの連中を縛りつけるいいひもになっているということを特に聞くのですが、ことにわれわれが最も憂慮にたえぬのは国際犯罪です。こういう問題を一つ——これは厚生省所管かもしれませんけれども、今後十分機構を整備されるなり、また中毒患者に対する措置等をお考えになっていただきたいと思うのだが、今麻薬中毒患者といわれるのは、数はどのくらいありますか。
  55. 木村行藏

    木村(行)政府委員 おおむね四万人であります。
  56. 亀山孝一

    亀山委員 表面に出ているのは四万人でしょうが、かつてヒロポンは百万といわれた。それほど多くはないでしょうが、五、六万見当でしょう。中毒患者というのは、私が申し上げるまでもなく、なかなかこれは治癒しにくい。アメリカの精神病院は麻薬中毒患者のために作ったといわれておるくらいですから、十分御注意願いたい。  それから次に交通事故の問題、今伺いまして非常に驚きました。これはこの前から言っているのですが、あの運転手の免許を十八才以上にしておられるのだが、これをどうしてもいろいろな事情で十八才以上にしなければならぬといろのならば、交通事故に対しては一般刑法を適用する。われわれはこの前もるる指摘したように、十八才から二十才までの連中は、自分たちは犯罪にならないのだというような意識を持っているから、今の事故が多いのはこの年令層です。ですから、これを十八才を二十才に上げるということは、私はあまり賛成しないのだが、しかし、十八才以上二十才までの者をいわゆる少年犯としない、交通事故に対しては成人と同じにする。あたかも商法において、未成年者の営業に対して普通の成年者と同じように取り扱っているような規定を置くべきだと思うのだが、その点の研究はどうですか。
  57. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 確かに御指摘のように、十八才から二十才までの少年の交通事故というのは相当多いわけであります。しかし、これはまた社会のいろいろな要請に基いて、あるいは店員であるとか、そういうようなことから二十才以上でなければ免許を与えないということもいかがかと思います。従いまして、今お話しのように、そのことに関しては責任をとるべきだという意見もきわめて尊重すべきものだと思いますし、目下道路交通取締法の全面的検討とあわせまして検討を続けておるわけであります。
  58. 亀山孝一

    亀山委員 次に、私どもは今保安局長から伺って、交通事故の多い点について、これはあながち自動車関係ばかりをいじめるわけにはいかない。歩行者にも相当の責任がある。歩行者に対して交通の問題をよく自覚せしめるという点もお考え願いたいのだが、この前の委員会のときにも、いわゆる交通取締り警察官でない警察官も、路上において適宜注意されたらどうかということを申し上げた。ところが、それから半年ばかりは励行していたが、最近見ると、忘れちゃっている。ときどき小学校の児童の道路横断に対して、交通取締りでない警察官が交通整理をしているのを見ると、私どもはほほえましくなり、うれしくなる。あれを子供だけではなくて、一般の歩行者に対しても十分注意してもらいたいし、ことにわれわれが東京都内なりあるいは地方へ参りましても思うことは、自動車、自転車の置き方です。あの置き方を見ていると、まるで道路よりもむしろ自動車置場、自転車置場、交通を考えていないような置き方をしている。これは一朝火災でもあったときはどうするんだと、われわれ冷汗を流すことがある。そういう点は、いわゆる交通取締り警察官だけでなくて、もう少し一般の警察官、ことにいわゆる白バイというものがスピードその他自動車だけをやっておられるけれども、これは適宜今の道路の問題とか、歩行者に対しても穏やかに注意してやるというようなことをぜひお考えいただきたいと思いますが、これはどうですか。一つ保安局長から御答弁願います。
  59. 木村行藏

    木村(行)政府委員 確かに今お話しの通り、歩行者の関係した事故が相当多うございまして、先ほどは省きましたけれども、件数としては全事故の四分の一、二割五分は歩行者が原因になっております。死傷の関係ではむしろ全事故の三分の一は歩行者でございます。もちろん自動車あるいは原動機自転車というものがそれよりも事故の原因としては多いのですけれども、歩行者も三分の一ないし四分の一という大きな事故の原因になっていることでありますので、歩行者にも交通秩序、交通ルールを守ってもらう。交通道義の高揚については、春、夏の安全運動だけでなく、いろいろ指導して参りたいと思いますが、特に先生の言われるように、交通警察官だけではとても手が回らないほど交通警察は大へんな負担になっておりますので、外勤警察官あるいは一般の警察官にも、できるだけ幅広く交通取締りなり交通指導という面について推進して参ることを私どもは努めて参りたいと考えております。
  60. 亀山孝一

    亀山委員 どうかぜひそういう点について御留意願いたいと思います。  ついでに一つ保安局長に念を押しておきたい。これはこの問題ではありませんけれども、中川刑事局長は知っておられると思うのですが、銃砲刀剣取締り改正の際に、われわれ附帯決議として火薬の問題を取り上げた。最近の火災の状況を見ると、火薬に関するもの、いわゆる花火工場、これの火災というものが相当多い、これの被害も多い。そこであの附帯決議をつけたのだが、その後警察庁当局と通産省当局といろいろ話し合いをされておりますし、いろいろ事情も伺っておりますけれども、ぜひ次の国会までにはこの一火薬の取締りを徹底してもらいたい。先般当委員会でつけた附帯決議の趣旨に沿うようにやってもらいたいと思う。その点保安局長、ぜひ来国会までにやり得るように努力されるかどうか、ついでに念を押しておきたい。
  61. 木村行藏

    木村(行)政府委員 附帯決議の御趣旨に従い、また、ただいまの御意見の線に沿うて、できるだけ努力して参りたいと思います。
  62. 亀山孝一

    亀山委員 最後に一つ警察庁長官に希望をかねてお願いをしたいと思います。それは警察官の待遇問題であります。今度国家予算におきましても、警察官の宿舎、あるいは今まで陰になって警察官に協力してくれました駐在署の警察官の妻に対しても、ある程度のことを考えてやる。けれども、黙々として働いております警察官に対して、いわゆる厚生問題及びこれらの待遇に対しても十分考えてやらなければいかぬ。これは社会党の諸君におかれても、この点に対しては絶えずわれわれとともに強調して参ったのだが、それに対してどういうお考えを持っておられるか、この際一つお伺いしたい。
  63. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 警察官の待遇改善、特に厚生施設の充実ということにつきましては、年来のわれわれの祈願でございます。また、諸先生方にも非常に御尽力いただきまして、来年度におきましてはただいまお話しのように待機宿舎であるとか、あるいは駐在所の警察官の家族に対する謝金であるとか、また、間接的ではありますが、増員ということも非常な勤務過重を緩和する意味において、私は待遇改善の結果をもたらすものであろうと思います。こうしたことから、警察をあげて非常に明るい気持を持ち、また感謝の念に満ちておるわけでございますが、まだまだこれで十分とは申せないと思いますので、引き続きこの面につきましては、特に重点事項の一つとして努力を続けて参りたいと考えております。
  64. 吉田重延

    ○吉田(重)委員長代理 門司君。
  65. 門司亮

    ○門司委員 警察関係で二、三聞いておきたい。今交通問題を言われておりますが、運転手の処罰問題、二重行政がけしからぬという問題は長いのですが、これは事実上どういうことですか。現在私の手元に来ておるものを見てみますと、人身事故でありますが、免許の停止期間が百五十日であって罰金が四万円、こういうことなんです。そうしますと、計算すると、この運転手は三年くらいかからなければ消却ができない。五カ月休んで、そうして罰金を四万円納めるということになると、事実上仕事を取り上げられると同じようなことになる。問題になるのは、こういう両方の処罰が一体よろしいかどうかということであって、刑事責任を果した場合に、行政上の処分をどうしても受けなければならないということが一体あるかどうか、これについて警察の考え方はどうか。交通違反取締り、スピード違反などでも、ひどいのは一週間くらいの停止があって、罰金が二万円から二千円くらいは必ず来ている。両方一緒に判決が出るのでなくて、行政処置が先に出て、あとから裁判所から来る。あるいは裁判所の方が先になって、行政処置があとになる。こういうちぐはぐなものがずつて出てきている。交通のそうした事故に対する裁量がどういう形で行われているのか、運転手自身は大体見当がつくと思う。罰金がこのくらい来ればこのくらいの刑が来る、このくらいの刑が来ればこのくらいの罰金が来るだろうということは、見当がつくと思う。しかし、実際から見てみると、そういう取扱いがおかしいんです。これについて片方だけの処罰というわけにいかぬのですかね。これはどうしても両方罰しなければまずいものかどうか。
  66. 木村行藏

    木村(行)政府委員 交通法規に違反して交通事故を起した場合に、処罰として刑事処分と行政処分と、現在の法制の建前では併科することになっておるわけであります。確かに併科を受けて、刑事処罰と行政処分、罰金あるいは停止、免許の取り消しというように、いろいろ併科されることになっておる点、御本人に対しては相当きつい罰ではないかと思いますけれども、ただ、交通事故による被害が非常に人身に及ぼす影響も大きいので、単に刑事罰だけでは目的を達せられない、行政処分というものを通じて不適当な運転者は取り消しをしたり、あるいは一定の期間停止をさせる、罰金を課して制裁をする。そういう社会防衛の立場からいいまして、やはり併存が必要ではないかと思うのであります。ただしかし、これを社会通念あるいは社会常識から考えて妥当な結論を出す必要がありますので、県の三人の公安委員による聴聞会にかけて合理的に結論を出すことにいたしておるわけでございます
  67. 門司亮

    ○門司委員 そんないいかげんなことを言ってもだめです。聴聞会の法律は私が起案して作ったので知っている。六カ月以上でなければ聴聞会にかけない。六カ月以上は最近非常に少くなっている。聴聞会にかけるのはめんどうだ、そういうずるいことを警察はやっている。われわれがあの法律をこしらえるときには、こういうものについては全部一応聴聞会にかけて妥当な線を出す、運転手の言い分も十分聞け、一方的な査定でなく、そういう事情にならなければならない状態であったかどうかということを十分聞き、弁明の余地を与えて公正妥当な取締りをしてもらいたいというような趣旨であったと思う。ところが、そういうことをすると、何万件もあるものを、三人では朝から晩までやっても片づかぬからというので、事務の運営上極力六カ月以上にしぼってはどうかということで妥協した法律案である。あなたの方がそういう意見なら全部聴聞会にかけてもらいたい。やれぬというのでああいうふうに直したのです。聴聞会にかけられるのは、六カ月以上の停止処分を受けるもの以外にないはずである。今言ったように百五十日、五カ月仕事ができない。しかるに罰金が四万円である。四万円の罰金なら働きながら払える。ところが、この人は五カ月働けない。基本給の高いところはまだよい。低い歩合制度のところなど、ほとんど生活費だけで、五カ月というものは、たとい勤めておってもどうにもならぬ。だから、罰金を払うにしてもこれはなかなか大へんな仕事である。こういう二重の苦痛をさせないということで、やはり運転手の更生をはかっていくことが一つの問題である。この罰金を仰せつけられるから、罰金をかせぐために一生懸命にやる。これは事実上の経験を言えといえば私は申し上げてもよいが、警視庁のおまわりさんを引ずってひどい目に会った運転手もいる。停止をさせられ、罰金を押しつけられ、やっと解除になってきょうから一生懸命かせごうという日に、上野の駅で乗り逃げをされ、おまわりさんとけんかしておまわりさんを引ずっていったという事故である。上野の駅で、客が料金を払わないで汽車に乗って逃げて行ったというので、とめてはいけないところに車をとめていた。それでおまわりさんがドアに手をかけた。ところが、運転手はわからなかったのでそれを引ずっていったという。そういう運転手の心理的な問題もあるから、この問題は今のような御答弁だけではいけないと思う。  もう一つの問題は、こういうことである。自家用車であって自分が車を運転している人は、その人の責任であるが、雇われて一定の給料で働いているのは、収益の半分以上を事業主が取っている。ところが、処罪の方は何ら影響がなくて、働いている者だけに影響がある。車がいたんでも、車は保険で直せる。稼働している運転手だけがひどい目にあう。こういう行政処置がよろしいかどうかということは問題だと思う。会社や工場等における事故の場合は、会社、工場が一切責任を負わなければならぬ。運転手の場合だけは事業主がちっとも責任を負わないで、やった者だけが責任を負う。これが二重になっていることがよろしいかどうかということは相当考えるべきものではないかと思う。そういう点で、今のような御答弁で満足するわけに参りません。  時間もおそいので、この点はあとでまたこういう問題についても協議をしておきたいと思いますが、問題になりますのは、その厳罰主義で臨んで事故が減るというような消極的なことでは、私は事故は減らぬと思う。事故を減らそうとするなら、もう少し積極的に施設の面を考えてやる。行政面をもう少し考えてやる。道路行政と交通行政と運輸行政の三つがうまくいっていないというのは事実なんですししかし、その中にあって、あなた方の分野であると考えられるのは、たとえば自動車の幅と道路の幅、これによって制限をすることができないかどうか。ばかばかしく大きなものがあの狭いところを走っている。これはバスなどにこんなことを言うと、バス業者から怒られるかもしれないが、たとえば市内を走っている車などで、外車のばかばかしく幅の広いのがよく小さい道路に入ってきて無理をしておる。従って、道路の幅と車の幅というものに対しての交通上の何か制限はできないか。これが一つであります。それからもう一つ聞いておきたいと思うことは、歩行者に対する事故が非常に多いのだが、これは非常に問題がある。それから例の先ほどお話のありました混合交通の問題についても、非常に問題がある。それは今日の道路の状態は、道路が、車の通るまん中だけしか舗装されておらない。だから結局自転車その他が左寄りなら左寄りを通ればいいのだが、そこが舗装されていないででこぼこで通りにくい。だから勢い車道に入ってくる。これはやむを得ない現象だと思う。そういうものに対して警察は何をやっておるか。これは建設省の仕事だから、土木関係の仕事だからそっちでやってもらいたいというわけにいかない。そういうものをそのままの姿にしておいて、取締りの面だけを厳重にしてみたところで事故はなくならないのです。そういうものに対して警察が今日までとってきた処置というものはどういうものか。都の道路局なりあるいは建設省との間に十分な話し合いができておるかどうか。こういう点については、もし今日まで何か措置がとられておるというならお話しを願いたいと思います。
  68. 木村行藏

    木村(行)政府委員 確かに厳罰主義だけでは事故は防げない。また若干無理な点もあると思いますけれども、ただいまお話のありましたように労務管理の問題が非常に大きな問題になっておることは、私どもも重々承知しておりまして、これは陸運局あるいは運輸省にも絶えずその面についていろいろ私たちがタッチした実情を訴え、その面についての合理化の方向へ所管官庁の努力を要望して参っておるわけであります。それからまた、ただいま自動車の幅と道路の幅との関係において規制することができないかという御質問でありますが、現行法ではもちろんできませんが、道路の幅員の問題あるいは歩道の問題あるいは舗装の問題、いろいろな面において道路交通の円滑化あるいは危険防止という点については、建設省その他関係省に非常に関係が深いものですから、中央においては、私たちが関係省にいろいろな面について絶えず訴え、また事故防止対策協議会というものが政府機関として外郭団体としてありますので、その面において正式にいろいろ意見をあるいは書面で出して要望しておるのであります。また、地方におきましては、府県の公安委員会警察本部あるいは交通課などが、県知事あるいは道路管理者たる市町村長、土木部、土木出張所という方面に対して、たとえば橋梁の状況なり、危険の度合いなり、あるいは積載量なり、いろいろな面について具体的に、地方においても、むしろうるさがられるくらい強く関係方面について、その面の切り開きを要望しておるのであります。
  69. 門司亮

    ○門司委員 要望されておるだけで、一向実効は上っておりませんが、これ以上きょうは聞きません。  もう一つ交通関係で聞いておきたいと思います。交通事故の問題で、今の自動車の運転をやっております諸君に、今のような姿でなくして、個々に営業をやらしたらどうか、これはかなり私は考究を要する問題があろうかと思います。こんなことをくどく申し上げる必要はないかと思いますが、使われておるから一日のかせぎ高を五千円、七千円あるいは八千円もかせがなければ三万円くらいの給料にならないということです。これはハンカチ・タクシーをやっておる運転手に聞いてみますと、小さな車を買って自分でやれば、一日に三千五百円あればよろしい、そうすれば償却ができる。それでも一カ月三万五千円から四万円にいくと、こう言う。そうすると、そこに無理がありはせぬかと思う。これはあなた方の管轄じゃありませんが、タクシー業者というものは、一台の権利金が百五十万円とか二百万円とかいわれておる。こういうばかばかしい現象がある。従って、これは個人に許可してしまえば、そんなに運転手も無理をしない。自分の車で自分が一切の責任を負わなければならぬということになれば、そんなに事故は起きないと思う。できるだけ事故は少くすると思う。うしろからしりをひっぱたく者がおりませんから、私はそういうことはないと思う。そうすれば非常に車がふえるという一説もありますけれども、私は、そんなことはないと思う。戦前の状態を見たって、そんなにむやみにはふえておらない。ここまでくればむしろこういう方法の方がよろしいのではないかと思うことと、同時に事業自体から見ても、自動車の運転ということは個人でやれる仕事であって、大企業のように使われる者と使う者がいなければ成り立たぬ仕事じゃない。個人でやれる仕事なんです。営業の自由を認めている今日の日本の憲法のもとでは、やはりこれはある程度認めたらどうかと思うのです。その点に対する検討あるいは研究がされておるなら、ごく簡単にお話しを願いたいと思います。
  70. 木村行藏

    木村(行)政府委員 個人営業に対する許可の可能性というような問題でございますが、これはむずかしい問題でございまして、確かに門司さんが言われたように、個人営業に伴う非常な長所、また個人営業でない会社なりそういう団体営業による欠点を是正することができるという点には、非常な長所があるかと思います。しかし、個人営業に伴う問題点もあると思います。これらについても警察庁としても、いろいろ研究はいたしておりますけれども、所管省は陸運系統あるいは運輸省の系統でありますので、結論を申し上げるわけにはいきませんけれども、警察としては、まだどっちがいいということは、結論としては出ておりません。
  71. 門司亮

    ○門司委員 もう一つ聞いておきたいのは、そういう御議論だと私は一つ調査を頼みたい。またもしはっきりしておれば言っていただきたいのだが、事故はどっちが多いかということです。車の数にも比例いたしましょうが、雇われた運転手の事故が多いのか、あるいは自分の車で動かしている者の方が事故が多いのか、その辺の調査はできていますか。
  72. 木村行藏

    木村(行)政府委員 今のところ手元に正確な数字がありませんので、調査してまた後刻御報告申し上げたいと思います。
  73. 門司亮

    ○門司委員 私は、そういう具体的な事実調査がなくて、抽象論で、許可するがいいか悪いかなどという議論をすることは誤まりだと思うのです。もう少しはっきりした数字を出しておいていただきたいと思います。われわれの考えておることは、一つの考え方でございますから、そういう考え方でやったらどうかということを考えるのですけれども、あたな方の方は、一つの商売、——商売というと語弊がありますが、仕事ですから、それくらいのことがわかっていなければいけないと思う。きょうでなくてもよろしいですが、この問題は、交通全体の問題として一応取り上げるべき問題です。ですから、一つぜひ調査をしてはっきりしたものを出していただきたいと思います。
  74. 木村行藏

    木村(行)政府委員 ちょっと言い足りなかったかと思いますので申し上げますが、調査した資料はございますけれども、あいにく手元に持っておりませんので、また整えて御連絡申し上げたいと思います。
  75. 門司亮

    ○門司委員 それから選挙取締りのことについては、大体太田君から聞かれたと思いますが、法定費用の額はきまっておるのに、何百万円、何千万円というものが使われておるということが平気で言われておる。一件警察側はそれに対してどう対処していこうというのですか。もちろん犯罪はいろいろありましょう。ありましょうが、事実において言われておる以上は使っておるに違いない。ポスターを張ったとか、どういう文書を出したとかいう形式犯は、表に出てくるから容易にわかるのです。そういうものは実際は大したものではない。一番悪いのは、そのほかにいろいろのことに利用されておるものがたくさんある。従って、そういう世間のうわさと警察の態度というものについて、私どもこのごろ少し不信の念を抱いておるのです。警察側は一体どういう態度で臨まれるつもりなのか、その辺のお考えがもしあるならばはっきりしておいていただきたい。
  76. 中川董治

    中川(董)政府委員 選挙界は大へん公明選挙から道が遠い。数々の問題があろうと思うのですが、選挙費用がたくさん要る、こういう問題が一番大きな問題だと思います。われわれは、公明選挙が行われるということの根本は有権者の御自覚だと思うのですけれども、現行法で罰則としてきめている事柄を、警察がなまけておってあまりやらぬということでは申しわけない。そこで各種の制限の違反行為に対しましてそれぞれ警察措置を講じておる。ことに金の問題になりますと、結局は、形式的に言いますれば、各出納責任者が選挙管理委員会に届け出られる選挙費用は全部法定額以内だ。ところが、その届け出られる金以外のものを関係選挙運動に従事する者が使っておる。こういうことが想像されるわけでありますので、個々のケースごとに、たとえば具体的に金が動いた、具体的に金が支払われた、こういうことを克明に発見して、それに基いて刑事手続を進めて参りませんと、刑事手続が進行いたしませんので、いろいろ当節の選挙界においては金がたくさん要るといううわさをわれわれも聞いておりますが、そのうわさを個々の行為によって証明していくべく努力するほかに方法がございません。全国の警察官は大へん苦心をしておると思うのでありますが、大へんな苦心のもとにそういう個々のケースを個々ごとに積み重ねていって、罰則という面からも公明選挙に寄与いたしたい。こういう努力を、いろいろほかの仕事もたくさんありまして苦心が多い警察官諸君にも期待をして、この面からも寄与して参りたい。根本は皆さんのお力によりまして公明選挙運動が進展することを期待し、われわれの責任の分野としてはばく然と金が動いておるとかなんとかいっても刑事手続が進行いたしませんから、個々のケースをたんねんに立証していくように努力して参る。こういう方法が一番普通の方法でありますけれども、この方法しか手はないというふうに理解して、それを熱心に努力して参りたいと思うのであります。
  77. 門司亮

    ○門司委員 私は、そういう消極的なことではだめだと思うのです。これは選挙管理委員会に言い分もありますが、犯罪行為と思われるようなものに対しては、やはり絶えず宣伝活動をしてもらうということですね。たとえば事実上の犯罪はなかなかむずかしいと思いますが、百円の会費で五百円のごちそうをしたということになれば、これはだれかが寄付をしたということになる。これは寄付行為ということを認める以上は、あるいは犯罪行為にならぬかもしれません。寄付行為を絶対にしてはならぬという規定があるならば別ですけれども、寄付行為を認めておるのですから、そのときに依頼した投票を得もしくは得しめまたは得しめない目的以外には、選挙法で取り締ることはできないかもしれません。しかし、そういうものは犯罪につながるものであるということを絶えず選挙管理委員会なり警察なりがPRされておるならば、私は国民の公明選挙に対する啓蒙がだんだんできてくると思うのです。こういうものが一切隠れておって、そしてただ犯罪だけをつかもうとしたところで、これはみんなつかめない。選挙費用などはあなた方の方に言ったって始まらぬので、実際選挙管理委員会に言うべき言葉なんですけれども、警察もやはりこれに協力して、こういうものは犯罪の疑いがあるとか、犯罪につながるとかいうようなことで、それを防止していくという考え方、さっきのお話のように、国民の自覚というものを啓蒙させる一つの運動がこの際必要じゃないか、それでなければ公明選挙にはいつまでたってもならぬと私は思う。  ところが、あなた方に言ったって始まらぬのだから、大して質問するわけじゃありませんけれども、たとえば昨年の私のところの選挙などを見てごらんなさい。あまり言うことはどうかと思いますが、藤山さんはあの大きな選挙事務所を使っても一万円の届出で済んでおる。今あなたは選挙費用は候補者の届出ということを言われましたが、これは幾らが妥当であるか適切であるかということはわかりませんけれども、少くもだれが見たっておかしい。たとえば上下三十五、六坪のうちを使って一万円の家賃でよろしいといううちが一体日本じゅうのどこにあるか。これは届出が事実上一万円になっておるのですよ。それがそのままでよろしいということになっておる。これらは選挙管理委員会責任だと私は思う。間違いじゃございませんかといって突っ返してよろしいんじゃないか。それを突っ返していないところがあると思う。そういう問題もあげて、もう少し積極的に啓蒙してもらいたい。ここまで選挙が悪くなっては、おそらく警察の方もはっきり言えば手をつけられないのだろうと思う。手をつけたらどうにもこうにもならぬから手をつけられないというのがほんとうだと思う。従って、もう少し警察自身で消極的でないように、神奈川県の場合などは、最近候補者で行き過ぎのあるところには、何か親展で警察署長から警告を発したといっておりましたが、これは候補者警告を発したってなかなかやむものではない。警告を発すると同時に、片方で、こういう行為は犯罪につながる行為だということがわかってくれば、割合にその後の道が開けると私は考える。そういう点を特に一つ御留意願っておきたいと思います。     —————————————
  78. 吉田重延

    ○吉田(重)委員長代理 次に、地方自治及び地方財政に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので順次これを許します。門司亮君。
  79. 門司亮

    ○門司委員 自治庁に伺います。これはこの間自治庁に話しておいたから、大体お調べになっておると思いますが、きょう私が自治庁に聞きたいのは、大分県の竹田市の問題でありますが、租税の滞納——市民税、固定資産税等と国保の税金だ、こういっております。そうして古いのは二十九年度からあったといいますが、これの督促と徴税について、牛馬を差し押えをして競売にするということなんです。  その内容を調べてみますと、新聞の報道によりますと、滞納の人数は七十四人で、滞納の総額が五十九万四千三百五十三円、督促手数料、延滞金をつけて、全部で大体七十万円になるということなんです。そうして一番多い滞納額が大体三万五、六千円くらいだ。差し押えをしたものが、牛が五十七頭と馬が八頭、豚が八頭、鶏が十七羽、これを事件別に勘定すると、大体七十四件になるわけです。こういうことが許されるかどうかということなんです。ことにちょうど農繁期でありますし、これから実際に牛は必要な時期なんです。農繁期の必要な時期に牛を引き揚げて、それを競売して、新聞によりますと、できるだけ滞納者の利益をはかるために一応の価格の水準をきめて、それ以下には買わせない。そうして余った金は返すから滞納者は損をしないのだ。こういうことなんですけれども、この生産手段の、農家では最も重要なものが差し押えを受けるということは、一つの社会問題だと思う。そうしてこの町では、昔、豚や馬や牛はやったことはないが、鶏はやったことがあるという事実があるそうですが、こういう処置が一体よろしいかどうかということについての自治庁の見解を明らかにしておいていただきたい。
  80. 鎌田要人

    ○鎌田説明員 ただいま御指摘になられました大分県竹田市の牛馬等の差し押えの問題についてでありますが、私どもの方で、先週金曜日に門司委員から御指摘いただきまして、さっそく大分県の地方課及び竹田市の徴税課長、それから徴税課員、こういった者に対しまして、文書では間に合いませんので、電話をもって聞き取りをいたしました。新聞の報道と、時点が違っておるせいじゃないかと思いますが、若干違っておる点がございますので、そういった意味で、それを総合いたしました結果をちょっと簡単に申し述べさせていただきたいと思うわけであります。  差し押えにかかりまする滞納税額は、二十九年度から三十三年度までの分でございまして、住民税すなわち県民税及び市町村民税であります。それから固定資産税、国民健康保険税、それからこの市では国民健康保険の一部負担金を窓口徴収をしておるようでございまして、その一部負担金、全部ひっくるめまして百十四万三千円、これが差し押えにかかりまするところの滞納税額の合計でございます。それに対応いたしまする滞納者の数が六十六名でございます。それで、差し押えをいたしましたのが昭和三十三年の八月から十二月までの間でありまして、その差し押えにかかりまする物件は、ただいまおっしゃいましたのとほぼ同じでございますが、牛が五十七頭、馬が八頭、豚が同じく八頭、それから綿羊が一頭、こういう状況でございます。それで、ことしの三月十七日及び十八日の両日を公売期日と定めまして、当日公売を行おうとしたわけでございます。  前後いたしますが、この差し押えにかかります牛、馬、豚、綿羊、こういったものにつきましては、全部滞納者の飼養にその後も依然としてゆだねておったわけでございますので、公売当日になりまして、物件の引き渡しを滞納者に求めたようでございます。ところが、当日になりまして、滞納者の方は一件も引き渡しを行わなかった。その結果、事実上公売は行われておりません。それからただいま申しました百十四万三千円は、差し押えをいたしましてから公売通知までの間に二十一人、五十一万五千円というものが入っております。それから公売通知を行いましてから公売期日、すなわち三月十七及び十八日の間に二十九人、三十九万六千円という額が入っております。都合八〇%のものが入っておるわけであります。従いまして、現在の滞納は、滞納者が十六名、税額にいたしまして二十三万二千円、結局、納税義務者数にいたしまして、当初の滞納者の二四%のものが残り、税額にいたしまして二〇%のものが残っておるという状態でございます。それで結局納税が行われて参りましたので、刻々差し押えを解除いたしまして、三月十八日現在におきましてなお差し押えにかかっておりますものが、馬二頭、牛が十二頭、豚が一頭、こういうことになっております。  それで、地方課なりあるいは市の徴税課長の報告といたしましては、滞納者の資力等を調査いたしまして、分割納付の方法によって納付させることにして、早急に差し押えを解除したい。なお、どうしても最終的に納付できる見込みのない者につきましては、御存じの滞納処分の執行停止に持っていきたい、こういうことを申しておるわけであります。  以上が大体今日までの経緯でございますが、それに関連いたしまして、ただいま門司委員からお尋ねになられました牛馬の差し押えについてどういうふうに考えるかということでございます。これにつきましても、私ども一応注意して調査いたしました点は、この市の吏員が滞納処分におもむきました際に、差し押えについてどういう方針で行なったか。特に御存じのごとく牛馬につきましては、国税徴収法第十六条第一項第三号の規定によりまして、「主トシテ自己ノ労カニ依リ農業ヲ営ム者ノ農業上欠クベカラザル牛馬」、これにつきましては差し押えができない。差し押え禁止物件に該当しておるわけでございます。そういった点についてどういう配慮をもって行なったかという点について、実は特に念を入れて調査いたしたわけであります。  それに対しまする市の方の報告といたしましては、まず滞納者につきまして、牛馬二頭以上を有する者については一頭を押えた。それから牛馬を一頭しか有しない者につきましては、滞納者が田畑の差し押えを非常にきらったようでありまして、むしろ牛馬等を押えてくれということを積極的に申し出てきたのでその差し押えを行なったということを申しております。それから滞納者が何ら申し出もしない、何らの意思表示もしなかった者につきましては、結局、市といたしまして積極的に差し押えましたのが八カ月の牛馬をそれぞれ一頭のようであります。御存じの通り、農林省あたりで伺いますと、大体牛馬につきましては、労役に使用できるのは生後十八カ月というのが常識のようでございまして、一応そういった意味で労役に供することはできない未成牛と申しますか、これを押えておるようであります。  なお、滞納者の方から、差し押えにつきまして、御存じの通り異議の申し立てあるいは口頭によりまする苦情の申し立てと申しますか、そういうものは今日まで一件も出ておらない、こういうことを市の方では申しております。  私どもの考え方といたしましては、ただいま申しましたように竹田市といたしまして——前後いたしますが、実は竹田市の徴税状況を調べてみましたが、全国の市町村の徴税成績に比べまして著しく低位でございまして、徴税成績もあまりよろしくない。結局、滞納整理ということにどうしても踏み切らざるを得なかった。その場合におきまして、今の国税徴収法の十六条一項三号の規定については十分に留意をして行なったということは一応認めてもいいのじゃないだろうか、こういう感じがいたします。ただ、いずれにいたしましても、私も新聞を見て実は初めて知ったのでありますが、こういうことで、市の方に正面切って異議の申し立てなりあるいは口頭の苦情は言わないにいたしましても、やはり新聞に書かれたようなことは事実であろうと思います。こういう意味で、納税者の実情を把握してその納得のいくような滞納処分の執行について欠けるような点があったのではないか。あったとすれば、そういう点につきましては、なお今後私どもも十分に注意をして参りたい、こういうように考えておる次第でございます
  81. 門司亮

    ○門司委員 大体情勢報告だけは聞きましたが、問題になりますのは、ここの町では前にも鶏をやったことがある、こういうことなんですね。ですから、一つの常習犯みたいなものだと私は思うのです。牛や馬を競売にするというものの考え方、これが——市といっても竹田はいなかの小さな市でしょうから、農家に行って結局差し押えをするということになって、新聞にもちょっと書いてありましたように、大分の税務署長かだれか言っておりましたように、家財道具や何かがなかったものかどうかということです。こういう問題を起さないで……。こういう問題については、それは滞納整理をするんだからやむを得ぬと思いますけれども、農家の立場からいいますと、牛を取られては大へんだということで、ある程度の無理が起きやしないか。残った諸君にしても、ふてくされて、やるならやってみろということになるかもしれない。しかし、形としては私はあまりいい形じゃないと思う。今のお話も、どうも法律に違反しないのだ、よろしいんだというような、手続は十分踏んであるようだというお考え方ですけれども、その考え方は一発どうも足りないと思う。聞いてみますと、大したものではない。一番大きいので三万幾らの滞納者であって、牛とか馬一匹に値するかどうかということなんですね。農村でこんなことで波乱を起したくないんだが、もう少しこういう問題について自治庁としては、今のお話のように、納得しているんだからよろしいんだという考え方自身が私はどうかと思うのです。生産手段に使わないものならやむを得ないと思いますが、同じ牛であっても、今のお話では子牛だとおっしゃるのですから、子牛だとすればそんなにばかに高いものではない。ことに男の牛では、同じものでも大したことはない。飼っておくのが厄介なくらいだ。女の牛で、ことに乳牛ででもあれば別ですが、そうでなければ大したものではない。あるいは大分の事情からいえば、大分には御承知のように物を引っ張る力の非常に強い特殊な赤い牛がいる。ですから大分の現状からいえば、牛の種類としてはいい雄牛は役に立つかもしれない。しかしいずれにしても、家畜の差し押え等については、今のようなことでなくて、自治庁としては、こういうことを起さぬように十分注意してもらいたいと思う。これ以上私は聞きません。  それからもう一つ聞いておきたいと思いますことは、これは一つ調査していただいて、この機会に早く出していただきたいのですが、各都道府県の予算編成がずっと行われております。この予算編成の実態を見ますと、われわれが最も遺憾としている交際費がずっとふえてきている。この傾向は最近著しいと思う。たとえば大阪府の交際費が大体五百万円くらい上っているというようなことを新聞は報じておりますが、東京都は大体都知事の交際費は三千万円くらいじゃないですか。議長の交際費はこれの六〇%くらいで千八百万円程度、小さな都市でも二十万、三十万というのがかなりある。交際費がふえていくということについては、私ども非常に遺憾に考えているのですが、この裏にはいろいろなものに通ずるものが必ずあると思うのです。従って調査ができたら、予算も大体終っていると思いますが、決算で見ればわかるのですが、決算でなくて、今年の当初予算における都道府県市町村の交際費の額がおわかりになるなら資料として出してもらいたいと思う。最近の地方自治体の財政の問題を見て、大蔵省に始終やかましくむだづかいがあるということを言われるのは、こういうことであって、この点やはり気をつける必要があるのではないかと考えられますので、この資料を出していただきたいと思います。
  82. 吉田重延

    ○吉田(重)委員長代理 本日は、これにて散会いたします。     午後一時三分散会