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木村(行)
政府委員 最近の交通
状況は、ことにいろいろな悪条件が重なっておりますので、すでに御案内の通り交通事故はものすごくふえております。その概況を申し上げますと、特に昨年一年の
状況を申し上げたいと思いますが、交通事故の総
件数は十六万八千七百九十九、一昨年に比較しまして一割五分の増であります。一昨年も戦後最大の交通事故といわれておりましたけれども、それよりもさらに一割五分もふえております。非常なふえ方であります。死者は八千二百四十八名、傷者が十四万五千四百三十二名、死者のふえ方が九%、約一割でご
ざいます。傷者は一七%、二割近く一昨年よりも昨年はふえております。損害の額が三十四億に及んでおります。いろいろな物的損害あるいは車の破損による損害、これが三十四億で、一六%の対前年度比増でご
ざいます。これを一日平均にいたしますと、大体死者において一日二十三人、ですから一時間に一人どこかで交通事故で死んでおるというような
状況であります。非常に嘆かわしいことであると思います。傷者は一日平均三百九十八名、約四百名で、死傷者両方合せまして一日四百三十一名、一時間平均十八人、二十人近くの者が全国で死んだりけがをしたりというような
状況であります。
これらの事故のうち大きいものは原動機付自転車であります。最近これは非常にふえておりますし、比較的免許も取りやすいものですから、しかも乱暴に運転する若い者が多うございまして、この原動機付自転車の事故が、昨年は一昨年に比較しまして四〇%、四割増であります。非常なふえ方でご
ざいます。それから軽自動車の
関係が昨年は一昨年よりも三二%増、約三割ふえておるような
状況です。その次に多いのは貨物自動車でありまして、これが昨年は二七%増の
状況を示しております。この三つが非常に大きいのでありますが、そのほかに小型の乗用車、これが二・五%増の事故のふえ方であります。こういうふうな
状況でございまして、このいろんな事故の多い種別は、ただいま申し上げた通りでありますけれども、自動車が毎年ふえております。非常なふえ方でありまして、全国で月平均二万四千台、東京都内だけで五千台ないし六千台毎月ふえているような
状況であります。それに対応するところの道路は、必ずしもうまく整備されていない。幅員も拡張されていないというような追っつかない
状況でありますし、また交通一般の道徳も、いまだ高揚していない面がたくさんありまして、交通全体の秩序が必ずしも確立しておりません。そういう面もありまして、交通
状況は非常にむずかしい
状況にあるのではないかと思います。
これらの
状況に対しまして、
警察といたしましては、昨年特に神風タクシーを取り上げまして、
関係各省とタイアップしまして、この神風タクシーによるところの非常に悲惨な事故、また数の多い事故というものを防ぐように、
警察の面においても努力し、また
関係省とも協力して参ったのでありますが、これは昨年一年におきまして一六%の事故の
減少になりまして、ほかの面がどんどんふえているのに、神風タクシーの面においては、昨年においては一割六分事故が減っている、こういう
状況でご
ざいます。それから騒音防止運動というものを展開しまして、これも御案内の通り、最初の予定したよりもある
程度の効果を上げ得たのではないかと思います。
今後に残された問題といたしましては、現在の既設の道路の通行許容量といいますか、自動車などの通っていくところのキャパシティ、この許容量をできるだけふやしていくようないろんな措置をとっていく必要があるのじゃないか、これが比較的早手回しではないかという感じがいたすのであります。たとえば東京都内で言いますと、札ノ辻から赤羽橋に至る札ノ辻停留所、また三田二丁目の停留所で若干の犠牲を払っていただいて、あの方面の路面を撤去しますと、これは第一京浜と第二京浜が、一度に非常におびただしい数の自動車があそこに集中して都心に来ますので、あそこで非常な事故が起きています。事故の
増加率が多いわけです。あるいは銀座の路面電車というような問題も、もちろん東京都といたしまして非常に大きな問題でありますけれども、運輸省の
所管しておりますところの都市交通
審議会で何回か審議いたしまして、方向といたしましては撤去するような方向にだんだん傾きつつあるのではないかと思います。こういう道路の交通許容量の拡大というものが事故を防止する大きな問題であります。これはもちろん
警察の問題よりも、ほかの省の問題あるいはほかの庁の問題である場合が多いのでありますけれども、
警察といたしましても非常に関心が深いので、こういう面については非常に強く要望しておるような
状況でご
ざいます。それから交差点におけるところの交通規制の方法あるいは今後作られるところの道路の構造というものについても、
警察の立場からいろいろ
建設省その他に
意見を申し伝えて、事故防止の観点から、カーブの工合あるいは路面の傾きの工合、いろんな面についても
警察の立場から言える面は言っておるような
状況であります。あるいは混合交通の分離、なるべく通行の区分を合理的にいたしまして、混合交通をできれば少しずつでもだんだん減らす方向に持っていって、交通の流れがスムーズにいくようにする。そうしてその事故を防ぐというような面について、やはりいろんな会合の場合に
意見を強く申し述べておるのであります。
それから交通環境の整備という問題についても、いろいろ協力しまた推進いたしておるわけであります。たとえば都内における交通に障害を与えるような広告物の撤去という問題についても、昨年東京都で条例を作りまして、署長の許可を得て規制するということで、運転に障害を与えないような広告物のその面における環境整備ということをやって参っておるわけであります。あるいは放置物件の
取締り、あるいは自動車のパーキングの問題、パーキング・メーターが最近銀座、丸ノ内にできましたけれども、これなどもやはり路上駐車というものを合理的に秩序あるごとくにいたしまして、その面から交通事故の防止あるいは交通の流れの円滑化ということを期して参っております。それから御案内の通り、都内あるいは主要な都市において、道路の掘り返し工事が非常に多うご
ざいます。たとえば都内で言いますと、一日平均ほとんど二千カ所くらいの交通の掘り返し工事がご
ざいますが、これらについても、ガスあるいは水道あるいは道路そのものの工事、あるいは軌道の工事というものを、なるべく合理的に一括してできれば、それだけ工事の数が減らせるのでありますので、これらの工事の調整というものについても、
関係省といろいろタイアップしていたしておるわけであります。
その他交通事故の
違反の
取締りということは相当きつくいたしております。また、今後考えられる問題といたしましては、道路交通取締法というものが十年前にできまして、交通
状況が非常に変っておりますので、同法の
検討というようなこともいたしておるような
状況であります。