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門司委員 そういうことであなたは言いのがれをしますが、それではさらに突っ込んで聞きますが、今
政府が
考えております——私はあえて
政府と言っておきますが、たとえば学校の問題にしても、一坪当り二万八千円から三%を引いた額ですが、それであなた方はできると
考えておられるのか。これは
法律上は半額
負担ですよ。その差額を一体だれがどういう形で
負担すればよろしいのか。もし、文部省というよりは
政府が、国がきめた単価だけで学校を建ててみようといったって、できますか。その他の問題でできますか。私は、事実上の問題を言っているのですよ。あんた方が幾ら規格をおきめになったところで、規格通りにいくものではありませんよ、価格が統制されているわけではございませんから。今日の
補助金の中で
ほんとうに満足なものは、学校の教員
諸君に払っている給与ですよ。これは実支出額と書いてありますから、私は大体間違いないと
考える。それ以外のものは国で査定した額なのですよ、実支出の額ではない。従って実質価格とそれとの開きが一体どれだけあるかということをあなた方はお調べになったことがありますか。二十八年に出された茨城県の統計を見てごらんなさい。あの当時の茨城県の、
政府の単価と実質単価との開き、従ってその
地方の持ち出し分の数字を見てごらんなさい、どういう数字が出ているか。これを全国的にずっと
補助金の割合から引き伸ばしていきますならば、少くとも五十億ないし六十億を
地方が持ち出している数字が明らかに出てくる。こういうものが現実にある。そういう差額をどうするかということ。
いま
一つは、実例を申し上げておきたいと思いますが、この間、奄美大島の古仁屋で大火事があった。消防の施設その他については当然
自治体で行われる。これは
法律ではっきりきめられておる。古仁屋の消防施設はどうであるかといえば、あの町には腕用ポンプが二、三台あっただけですよ。今日少くとも
一つの市街地を形成している古仁屋です。腕用ポンプが二、三台ぐらいで一体消防施設が完備されているかどうかということです。それも財政が行き詰まっているからであります。金がないからであります。もしあなた方がそういうことを言われるならば、そういう問題の基準を一体どこに置くかということである。こういう基準を一体どこに置いて算定されているか。今日の
地方の実態というものは、あなた方がお
考えになっているようななまやさしいものではない。消火の施設は当然やらなければならないことは、
法律で定められている。またやらなければならぬことは
地方の
住民は知っている。しかし、財政力がないからというのでそういうことをしているときに、ああいう火事が起って全部焼いてしまった。しかも奄美大島は建築用材を持っておりません。山自身建築用材がはえていない。従って、全部鹿児島から木を切り込んで送らなければ家が建たない始末です。そういうところでありながら、消防施設はまことに貧弱である。やはり財政力がないからである。これを
負担しようとすれば、
地方や
住民の税外
負担か何かでまかなうより以外にないのであります。従って今日の
地方の
自治体の税外
負担というものは、そういう
幾つかの
要素を含んでいる。当然国が財政
処置をしておけばそういうことはなかったであろうと
考えられる。また
地方の
自治体の財政
処置が十分であったらそういうことはなかったと
考えられる。しかし、結果はそういうことになっている。私は、こういうことを
考えて参りますと、今の
大蔵省のものの
考え方、財政
負担を全部しているのだといううぬぼれたものの
考え方であってはならないと思う。どこからどこまでが一体学校の教育かという基準とものさしというようなことを言われておりますが、このものさしをこしらえようとするには一体どのくらいの仕事になりますか。道路
一つを見ても、今の一兆円の計画を立てても、第一国道が六〇%から八〇%くらいしか舗装ができないでしょう。第二国道ならばもっと下って三〇何%といっているでしょう。同時に主要
都道府県道あるいは
市町村道というようなところまで完全な道路にしようとするには、一体どのくらいかかりますか。道路の
行政水準というものは、それらの問題が全部完備されるのが
行政水準だと思う。教育
行政は不正常授業が全くなくなるならば、これが教育基本法なり学校教育法で定めておるところの
行政水準だと思う。給与の実態は少くとも人事院の勧告に基いた全部の給与が支給されるときでなければ、給与の水準が正しいとは言えないと
考える。労働法で定められておる超勤その他が支給される給与の実態でなければ、正しい
行政水準ではないと
考える。こういうものを
幾つか
考えて、たとえばずっと
法律であげてごらんなさい。今日の
地方の
自治体の
行政水準というものは、まごまごしていればコンマ以下かもしれない。そういう理屈をこの際言っておったのでは、ものは片づきませんよ。もしあなた方がそういうことを言われるのなら、私がさっき申し上げている人事院勧告に基く
地方公務員の給与というものを全部上げてもらいたい。その財政措置をしてもらいたい。同時に労働法に定めておる——これは国家公務員法あるいは
地方公務員法にも書いてある。仕事の分量とその責任に対しまする給与というものは、当然それに相当するものでなければならない。ところが、今日臨時雇は一体どのくらいおりますか。これらの
諸君の職務は常勤
諸君とどういうふうに変っておるか。もし仕事の内容、量が同じであるならば、同じ給与を支給するだけの
一つ財政措置をしてもらいたい。こういうものはなかなかできない。われわれが要求してもなかなか簡単に片づく問題ではないと
考える。
大蔵省が今のような態度でお
考えになるということなら、これらのものを全部含んだものとして
財政計画を立ててもらいたい。それを
地方の
自治体が、できるだけそういうものに近づけるように
住民の
負担によってまかなっておるのが今の税外
負担であります。従って私は、もし
大蔵省がそういうものの
考え方なら、この際そういう
意味においてはっきりしたものを出してもらいたい。かくあるべきだという
行政水準、それに達するにはどれだけの財政
負担が必要か、それを
地方でどのくらい税外
負担として補っておるか。私はそうやかましいことを言わなくても、常識的にものを
考えて、
行政水準はこの程度で十分よかろうじゃないかというようなところまで国がめんどうを見て、そうして財政が十分であるというならば、それから先はぜいたくかもしれない。私は、今大蔵
当局の話されたようなぜいたくなものがないとは申し上げません。われわれが行っても、こういうぜいたくなものを建てなくてもよさそうなと
考えられるものがあるけれ
ども、本質的にいうと、私は必ずしもそうではないと
考える。学校教育の実態というものは、少くとも環境というものがかなり大きな影響を持っておりますから、一般の
住民の生活の程度、あるいは所得の程度、あるいはその地域の環境の悪いところほど学校の環境をよくしてやらないと、子供の教育というものは満足に行えないのです。こういうことを
考えて参りますと、財政能力の低い町村にいくほど学校をきれいにして、教育施設を十分にしておかなければ、子供の知能というものは都会の子供と同じようには伸びていかないのです。そういうことが一体
考えられているかどうか。教育自体というものに対するものの
考え方がなされているかどうか。
いなかの学校は木造でよろしいのだ、こういうことであってはならないと私は思う。
従って今日の
行政水準というものの
見方については、少くとも
法律で定めている限度というものを一応限度にしてものを
考える。その上に立っての税外
負担がどうであるかということであって、今例に引かれたような問題を私は問題にしているわけではないのです。だから
一つ大蔵省にはっきり言っておきますが、
法律で定められた、今申し上げましたようなものを完全に行なっていくにはどれくらいかかるか。消防施設に対してたくさんの金を出しておりますが、消防は、消防法及び消防組織法で
地方の
自治体に約束しております。従ってこの消防についてもどのくらいの装備が必要かということは常識上およそ
考えられる。それらの問題を
一つはっきりしたものを出してもらいたい。今のようにいつ出すかわからぬというのでは
議論にならぬ、ものの解決はできぬのです。きょうの問題はきょう解決しなければならぬ。
住民はこういう税外
負担を現実にやっているのですから、この問題は現実に解決しなければならない。いつ出すかわからぬような
大蔵省の答弁では困る。片一方が間違っていると
指摘するなら、あなたの方で間違っていないものを出しなさい、それで
議論しましょう。そうすれば
地方の税は幾らということがきめられる。だから今のような答弁ではなく、この議会の終るまでに、少くともこの
税法を上げるまでに、税外
負担の問題について
大蔵省の見解というものを——私の言っているのはよけいなことではありません。繰り返して申し上げておきますが、国の
考えているものより以上のものをこしらえたから、それが税外
負担だと言われては迷惑だという
大蔵省の
意見だと思います。そういうことは私も
承知しておりますが、私
どもはそういうことを
議論しているわけではないのです。だから学校教育法なり、あるいは教育基本法なり、あるいはそれに伴う政令も出ておりましょうし、
地方自治体では条例も持っておりましょうし、そういうものに基いたもの、道路にいたしましても、
市町村がこれを補修することは当り前なんです。それはさまっておりますが、その補修について、今言ったように砂利はおれの方でやるが、人夫賃はそっちで持てということは言えた義理ではない。しかし、
地方自治体はやらなければならぬからやる。
住民たちもやはりそれに応じなければならないわけですから、
法律に基いたものでよろしゅうございますから、
一つはっきりしたものを出して下さい。重ねて言いますが、この議会の終るまでに出して下さい。