運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1959-03-09 第31回国会 衆議院 地方行政委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年三月九日(月曜日)     午前十時二十一分開議  出席委員    委員長 鈴木 善幸君    理事 亀山 孝一君 理事 纐纈 彌三君    理事 渡海元三郎君 理事 丹羽喬四郎君    理事 吉田 重延君 理事 阪上安太郎君    理事 門司  亮君       相川 勝六君    飯塚 定輔君       加藤 精三君    金子 岩三君       津島 文治君    野原 正勝君       中井徳次郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣 青木  正君  出席政府委員         総理府事務官         (自治庁財政局         長)      奧野 誠亮君         総理府事務官         (自治庁税務局         長)      金丸 三郎君  委員外出席者         参  考  人         (秋田県知事) 小畑勇二郎君         参  考  人         (熱海市長)  小松 勇次君         参  考  人         (千葉小見川         町長)     山本 力蔵君         参  考  人         (公営企業金融         公庫理事長)  三好 重夫君         参  考  人         (立教大学教         授)      藤田 武夫君         参  考  人         (日本中小企業         政治連盟広報局         長)      久保田正英君         参  考  人         (大和運輸株式         会社専務取締         役)      小沢  輝君     ————————————— 三月六日  国有資産等所在市町村交付金増額に関する請  願(小牧次生紹介)(第二〇七三号)  農地法による地方公共団体経費負担改正に  関する請願小牧次生紹介)(第二〇七四  号)  特別区の組織及び運営に関する請願中垣國男  君紹介)(第二一五四号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方税法等の一部を改正する法律案内閣提出  第一五三号)  地方交付税法の一部を改正する法律案内閣提  出第一六六号)  地方税法の一部を改正する法律案内閣提出第  一七七号)      ————◇—————
  2. 鈴木善幸

    鈴木委員長 これより会議を開きます。  地方税法等の一部を改正する法律案地方交付税法の一部を改正する法律案及び地方税法の一部を改正する法律案の三案を一括して議題といたします。  本日は、三案について参考人より意見を聴取することといたします。  ただいま御出席参考人は、秋田県知事小畑勇二郎君、千葉小見川町長山本力蔵君であります。なお熱海市長小松勇次君は間もなく御出席になるとのことであります。  この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  地方税関係法律案につきましては、各界において一般的な関心を有せられる重要な法律案でありますので、目下委員会において審査を行いますると同時に、特に小委員会を設けて慎重審議を重ねておるのでありますが、本日はここに地方自治担当者であり、地方財政に御造詣の深い方々、また本案に利害関係を有せられる方々等地方自治団体代表者及び学識経験者の御出席をわずらわし、各案について御意見を拝聴し、もって本委員会審査に万全を期することにいたした次第であります。つきましては、それぞれのお立場から、忌憚のない御意見の御発表お願いいたします。  なお議事の進め方につきましては、参考人の方に御都合がおありになりますので、まず小畑参考人から御意見の御発表を願い、同参考人に対する委員側質疑を終了し、次に小松参考人山本参考人の順序で御意見の御発表を願った後、両参考人に対する委員側質疑を行うごとといたします。  なお参考人の御意見発表の時間は、お一人当り二十分程度お願いいたします。  それでは、まず小畑参考人より意見の御発表お願いいたします。参考人小畑勇二郎君。
  3. 小畑勇二郎

    小畑参考人 それではお示しのございました三つの法案に対しまして、知事会立場から意見を申し上げたいと存ずる次第であります。  まず地方税法の一部改正法律案でございますが、これは現行の制度明治時代に定められたものでありますが、その後の経済の発展とか戦後の租税体系の変化の実情からいたしまして、今回の改正は当然と存じます。また改正の要点であります地方税優先権を、私債権に対する立場を尊重しながら確保して参るという点、あるいは徴収制度合理化につきましても、災害や疾病等徴収猶予期間を延長し、また譲渡担保及び仮登記によって担保される債権地方税との調整につきましても、これを明確化されておりますし、また担保財産譲渡地方税譲渡につきましても明確化されておりますし、また地方税につきましても保全差し押え制度を設けられましたことも、しごく当然でありまして、この改正につきましては、知事会といたしましては全面的に賛成でありまして、ほかに意見はございません。  次は地方税法等の一部を改正する法律案でありまするが、この根本の趣旨でありまする、国民負担軽減するために、低額所得者税負担軽減するという趣旨につきましては、われわれ賛成でございますが、その主体でありまする事業税減税につきまして意見を申し上げますと、今回の事業税改正によりますと、全国の都道府県の税収においては三八%程度減収になります。また納税義務者数につきましては四三%程度の減になるのでございまして、法人事業税の比較的少い、いわゆる弱小府県におきましては、相当の影響でございます。  これを一例をとりまして、私の県の秋田の場合を申し上げますと、従来一万八千の事業税納税義務者がございましたが、これが八千五百人に減少するわけでございます。御承知通り地方税応益税原則とするということでございますが、このように極度に納税義務者減少するということは、そして実際の担税者が非常に少くなって、しかも偏在するということは、地方税体系立場からいって、非常に問題があるのではなかろうかと思います。これも本県の場合を申しますと、全県で二十二万世帯ございます。県民税納税義務者は三十六万人になりますけれども、事実上の税の負担者は約一万一千くらいになるわけでございます。そのほか事業税以外に、遊興税自動車税等がございまするが、やはりこれも事業関係者が納付をいたしておるのでございますからして、平等割百円の県民税以外に、実質的に税を負担する層は、全世帯二十二万のうち約一万、二十分の一になるという状態につきましては、これは非常に考えなければならない状態ではなかろうかと思います。従いまして、このような主体であります事業税減税する場合に、他の税体系整備しないで、これだけに手をつけたということにつきましては、われわれ非常に遺憾に存じている次第でございます。また、府県主要財源事業税でございまするが、自主財源確保という建前からいたしまして、なるほど交付税等補てんはしていただくことはけっこうでございまするが、やはり税の減少は、税以外の自主財源をもって補うという形をぜひともとっていただきたかったと思います。従いまして、今回の減少趣旨そのもの賛成でございまするが、これと並行して、やはり抜本的な税体系整備にも手をつけていただくべきではなかったかと思うのでありますが、その点につきましては遺憾であると存ずる次第でございます。  一例を申し上げますと、県民税のごときは、一世帯百円になっております。各府県現状——農業県が特にそうでありましょうが、均等割を納める者は五〇%でございます。言いかえますと、県民の五〇%は、ただ百円の県民税だけを納めている形になるわけであります。その県民税も、昭和二十九年度に標準額百円が定められたのでありますが、国民所得からいたしましても、昭和二十九年度と昭和三十四年度の推定国民所得とを比較いたしますと、約五〇%の増になっております。それから公共事業も、二十九年度と三十三年度の実績を比較いたしますと、二十九年度に対して三十三年度は七三%の増になっております。従いまして、所得からいたしましても、また応益原則からいたしましても、一世帯百円といったような県民税をこのまま存置してよいかどうかという問題であります。ことに事業税のような実質的な収入目的に沿った税を減税する場合には、やはり県民税に対しても収入目的というものを加えてよい段階ではなかろうかと思うわけでございます。また県民税等につきましては、これは徴収とも関連いたしますが、現在府県におきましては、市町村から滞納報告をとって直接整理するというわけには参りませんので、市町村からある一定の期間を限ってだけ徴収し得るのでありますから、あの税金はほとんど九九%まで入っておりまするが、県民税徴収率が非常に低下しておるという現状から、こうした徴収方法につきましても、やはり改善を加えていただかなければならない段階だと思います。従いまして事業税減少はけっこうでありまするが、やはり総体県税税体系整備して、その一環として減税をはかるという姿をぜひともとっていただきたい、またとっていただきたかったと思うわけであります。  それからこの中に、軽油引取税の五割増の問題かございまするが、これは道路財源確保するために、ぜひとも実行していただきたいと思うのであります。現在これに対して減額の強い要請等もあるようでありまするが、御承知通り軽油バスとかトラックとかという重量車が使用いたしております。従って道路損傷率も非常に大きいわけでございまするし、また小売価格に含まれておりまする税の負担の占める割合にいたしましても、ガソリンはこのたびの改正によりまして税負担が五六・八%になっておりまするが、軽油は今度五割上げましても三八・七%にしかなりませんから、このような比較から申しましても、軽油引取税の五割増というものは、ぜひともこのまま御実行をいただきたいと思う次第でございます。  次は事業税に対する補てんの問題でございまするが、これは交付税の方の改正とも関連をいたしますので、交付税法改正について申し上げたいと思うわけでございます。  交付税改正の第一点は、税率を一%引き上げるということでございます。この一%の引き上げにつきましては、国税三税の減税入場税減収を計算して逆算いたしますと、二八・七一八%になるわけでありますが、これを二八・五というふうにされたと承わっておるのであります。従いまして事業税減収等につきましては、交付税としては補てんの道が率の引き上げには入ってないとわれわれは承知いたしておるわけであります。これにつきましては、財政計画とも関連いたすので、税の自然増あるいは三十二年度分の繰り越し百四十四億の加算がありまして、それらによって地方財政計画の、端的に申しますと、つじつまを合せておるように思うのでありますが、地方財政計画自体にも大きな問題があるように思うのでありまして、一番問題は、給与費の問題でございます。昭和三十二年度の財政計画には四千五百五十億となっておりまするが、三十二年度の決算を児ますと四千九百三十三億になっておりまして、事実上三百八三十億の超過支払いになっておるわけであります。この中には、もちろん義務教育費の年度内のたてかえ払いの分も入っておるわけでございまするが、とにかくも三百八十三億というものが実際の地方負担になっておるわけであります。そこでもちろん地方財政計画交付税その他の基準になるわけでありますから、国の基準をこえて地方団体の払っている分に対しては、これはあり得べからざる姿として見ないということは、一応建前としてわかるのでありますけれども、事実上そういうふうになっておるわけであります。これに対して規制を加えることのない現在におきましては、事実問題としてこれは一つ抜本的な検討余地がありはしないかと思う次第でございます。  また地方財政総体を見ますと、今申し上げたように、百四十四億の三十二年度分の加算はございますが、これはわれわれの立場から言いますと、当然の繰り入れでございまして、三十四年度の財政を達観的に見ますと、そうした国税減少に伴う減、それから地方税自体の減、これに公共事業費地方負担も現在の政府予算に計上されておるのを計算いたしますと、二百八十一億の増加負担になるわけであります。このように税は減少になり、地方負担がふえ、これに対してさらに公共事業費に対する補助金臨時特例が廃止になる。またかてて加えて、この起債につきましても、一般公共事業債増加はわずか五億である。こういうような現状からいたしまして、地方財政計画は一応立ったではございましょうが、先ほど申し上げました通り給与費その他で抜本的な検討余地がございますので、交付税の繰入率一%につきましては、われわれ遺憾ながら不満であると申し上げざるを得ないのでございます。  それから第二は、基準財政需要額算定でありまするが、今回の改正は、われわれ知事会の特に後進県行政水準引き上げということを念慮に置かれて、いろいろ御配慮になっておることにつきましては、われわれ非常に感謝をいたしております。その内容は、測定単位面積を加えております。この金額は二十九億になりまするが、これもわれわれはしばしばお願いして参りました特別態容補正というものの形を変えたものであろうかと存じまして、これは賛意を表する次第であります。しかしながらその配分につきましては、政令によってきまるでありましょうけれども、単なる面積そのものによる改正ではなく、この面積を可住地人口の密度によって補正をしていただくべきが至当ではなかろうかと思うのであります。また態容補正につきまして、十三種地以下の計数につきましては同一標準にされたということも、これは至当な措置かと存じます。また小規模の府県経費が割高につくという現状からいたしまして、段階補正計数を上げたという点、あるいは徴税費引き上げ、あるいはわれわれ財政力補正と申しておりますが、公債償還費に対して、基準財政収入の少いところに対して補正をするという措置も七億増加になっております、これもけっこうだと存じます。また農業行政分増加も六億増加をいたしておりますが、これも大へんありがたいことに存じております。  ただこれにつきまして、二つの点だけ特にお願いを申し上げたいと思いますが、財政力補正は七億増加いたしまして、これで二十億になると承知をいたしておりますが、まだまだ現在の公債費償還の非常な過重負担になっておるという現状からいたしまして、この二十億では足らぬではないかと私は思う次第でございます。これは総体におきまして公債償還費は三十四年度は減ってはおります。減ってはおりますが、個々の県の実情考えますと、非常に累増を来たしておる県が多いのでありまして、それは多くは後進県でございます。これはあとで資料を差し上げたいと存じまするが、秋田県の場合を申し上げますと、明年度公債元利償還費が十一億一千万になります。しかして秋田県の税収入はどれだけあるかと申し上げますと、十二億八千万であります。十二億八千万の税収入に対して過去の償還費か十一億一千万になるということは、非常な奇形でございまするし、これは秋田県だけではなくて、隣県の岩手県におきましては、三十五年度の公債償還費税収入をはるかに上回るという状態になっております。なぜこんなに急激にふえたかというと、結局交付公債元利償還が開始されるので、特に三十五年度から増加をするような状態でありまするが、後進県ほど直轄事業が多いので、交付公債に対する措置がきまりません以上は、もっと財政力補正というものを増加をしていただきたい。どの程度がいいかということは、金額では私資料がございませんので申し上げられませんが、大ざっぱな見方といたしましては、少くとも過去の公債費償還税収入の三分の一程度でとどまるように、一つ財政補正を強化していただきたい、これがお願いの第一点でございます。  次の点は、農業行政費増額六億、これはけっこうでありまするが、現在の自治庁のお考えといたしましては、この六億を耕地面積に半分、それから農家戸数に半分、これを対象に見る計算のようでありまするが、しかし単なる耕地面積配分をいたしますと、貧弱な農業県、特に米作単作地帯農業県財政の緩和ができないのでありますから、これは農林省にはっきりした統計がございまして、年々土地利用度というものが出ております。畑作の非常に多いところ、裏作の非常に多いところ、その他耕地をフルに活用しておるところにつきましては、やはり米作一本の土地利用度の少いところと比較いたしまして、行政費もかかりませんし、農業指導費もかからないという観点に立ちまして、これは出ました耕地面積土地利用度補正していただくべきではなかろうかと思います。また農家戸数につきましても、やはり専業農家兼業農家区分をいたしまして、専業農家の多いところはなお行政費がかかるし、指導費もかかるという観点に立って、一つ専業農家兼業農家区分をして補正をしていただきたいと思う次第でございます。  なお、以上は今回の算定についての希望でありまするが、総体からいたしまして、多年われわれが主張して参りましたことをよく取り入れていただいておるという点につきましては、感謝を申し上げております。交付税全体の問題につきましては、なおいろいろ問題がございまするが、ここでお願いを申し上げたいと思いますことは、補正方法も相当合理化されて、やや交付税配分方法も安定化して参ったように思いますので、一つここで交付税配分方式というものを安定化させていただいて、できますならば府県予算編成をするに当って、府県自体が大体明年度交付税はこれだけは来るだろうということが推定される、その推定があまり実行予算と違わないような方法を確立していただきたいと思うのであります。大へんめんどうな問題だと思いまするが、お願いを申し上げたいと思います。  なお最後に、これは今全部交付税にたよっておるわけでありまするが、交付税はいわゆる財源調整でありまするからして、すべてにこれを求める行き方というものは、抜本的に改めなければならぬ問題だと思いますので、交付税制度を安定化させますと同時に、この中央地方を通ずる税体系整備につきましても、手をつけていただきたいと思います。端的に私の意見を申し上げまするならば、もう減税の一途であります。減税もけっこうでありまするけれども、われわれといたしましては、行政水準引き上げもいたして参らなければなりません。また国民年金等大衆に対して非常な恩典を与える場合に、大衆課税ということはやはり考えていいではないかと思うのであります。これをこのままにすると、一戸当りの百円だけ納めるということは、金銭に対する関心も非常に薄くなりますので、そうした見地からも、一つ勇を鼓していただいて、この税体系整備をしていただきたいと思うわけであります。急に地方から出て参りましたので、資料もございませんので、はなはだ不備な意見だと思いますが、以上をもちまして私の意見を終りたいと思います。
  4. 鈴木善幸

    鈴木委員長 小畑参考人に対する質疑を許します。渡海元三郎君。
  5. 渡海元三郎

    渡海委員 お忙しいところをわざわざ御説明賜わり、まことに参考になりました。ありがとうございます。簡単に一、二点お伺いいたします。  まず地方税等改正について、事業税のことでお話がございましたが、現在非常に個人事業税等納税者負担であるということも事実でございますが、他面これを改正いたします際には、他の自主財源とにらみ合せて税体系改正考えるべきであるということは、私たちももっともであると思います。しかしながら現在の税負担考えますと、これを行うことができないために、今回一応事業税に手をつけまして、このような方法をとったのでございますが、将来個人事業税につきまして、これを存続すべきであるかどうかというふうな点について、非常に議論になっておると思いますが、今回この程度のことをやりまして、個人に対する負担は相当軽減されたと思うのでございますが、これの将来に対する見通し等につきましてお考えがございましたら、御参考のためお漏らし願いたい。
  6. 小畑勇二郎

    小畑参考人 今回の事業税軽減の仕方は、いわゆる足切り減税でございまするから、われわれとして望ましいことは、軽減の仕方は率の軽減主体を置いていただきたかったと思います。東京都においては、現在三十万以下のものは免税をしておると聞いております。富裕県では二十万円以下のものを免税にしてもさしたる痛痒がないと思いますが、弱小県におきましては、二十万円のものを足切りにすることは、先ほど申し上げた通り非常に影響が多いわけであります。そこでこれは知事会全体の意見でないから、私はきょう省略をさせていただきましたが、お尋ねがありましたので、私の方の県内議論一つ申し上げたいと思いまするが、二十万円で切られますと、半分以上が免税になる。一つ特例を設けていただいて、二十万円以下について、特殊事情のある県は法定外課税でもさせていただいていいではないかという議論県内にあるわけでございます。従って、営業税のみでなく、足切り減税をやるということにつきましては、われわれなるべく率の減少をしていただいて、地方税におきましては、できるだけ過重な負担でないものを広くやっていただきたいということを考えておるわけであります。従って、負担軽減をしたことはけっこうでありますが、これはできるだけ率の軽減にしていただいて、免税点引き上げといったようなことは、現在の弱小県税負担分布状況から見ますと、よほど考えていただかなければならないのではなかろうかと思います。  お答えになるかどうかわかりませんが、今回の事業税についてわれわれの感じておりますことを申し上げたわけでございます。
  7. 渡海元三郎

    渡海委員 なおもう一つお聞きしたいのでございますが、先般来地方におきましては、遊興飲食税免税点引き上げということが強い要望になって、当委員会におきましても、国会の附帯決議としてつけられておるような次第でございますが、本年度事業税減税をやりまして県税収入に及ぼす大なるものがあろうと思いましたので、今回政府当局も割愛されたものであろうと考えておりますが、これは当然税の地方財源、特に府県財源の充実と見合って、近き将来におきまして要望通り免税点引き上げなくちゃならぬ問題であると思いますが、この点についていかに考えておられるか、お聞かせ願いたいと思います。
  8. 小畑勇二郎

    小畑参考人 遊興飲食税の問題でありまするが、飲食三百円、それから宿泊五百円、八百円というものが、一体妥当であるかどうかという問題、これを引き下げるという問題であります。これは中央地方とは一律にいくかどうかという問題かございますが、われわれ地方におきましては、今主張されておるような免税点引き上げをされますと、特殊な高級旅館を除いては、ほとんど該当するものがないような状態になりはしないかと思います。従って、これはやはり他に有力な財源補てんをしていただくならばけっこうでありまするが、地方といたしましては、減税趣旨はけっこうでありまするが、やはり慎重に一つ考えをいただきたい、こう思うわけです。
  9. 渡海元三郎

    渡海委員 税法についてもう一点。軽油引取税のことにつきまして、ぜひ五割を確保していただきたい、この御要望は、地方府県におけるところの道路財源確保という点から、私たちもよくわかるのでございます。しかし他面今も申されました通りバストラック等がおもにこれを使っておるのでございますが、現地の営業状況を見ると、しろうと考えですが、おもにガソリンを使っておりますところのハイヤー等はまだ幾分か余裕があり、これが直ちに料金に転嫁されるというふうな点はないと考えるのでございますが、他面バスとかトラック等は、引き上げによって直ちにこれが運送料金あるいは乗車料金にはね返ってくるのではないかという点を考えますときに、五割という引き上げに対する強い反対、下げてほしいという要望があるのも、ごもっともな点があるんじゃないかと私たち考えておるのですが、この点について、他に道路財源を求めて一般財源の中から繰り入れていただいて、道路の充実もあわせてやっていただきたい、こうも考えておるのですが、この点いかがですか。
  10. 小畑勇二郎

    小畑参考人 軽油引取税の問題は、軽油引取税だけの問題ではなくて、地方立場からいたしますと、軽油引取税地方道の改良に向けるし、今度道路予算が相当ふえまするが、これに見合う財源といたしましては、ガソリン税は従来その三〇%は地方にいただいておったわけであります。今度五千五百円増加するので、当然その三〇%は地方にいただいてよいのではないか、こう思っておるわけでありまするが、これが三〇%いただけないということは、われわれ非常にへんぱに思っております。そういういきさつからいたしまして、さらに軽油引取税を引かれるということになりますと、一体地方道路財源をどこから求めたらいいかという問題になるわけであります。もちろんトラックバス等は相当の負担になりましょう。しかしあの五トン積みのトラックに七トンも満載し、三十人の定員に四十人も五十人も詰めて走っているバス現状を見まして、あの道路の減損度を見まして、なおまた先ほど申し上げましたように、実際の小売価格に占める税負担の割合から見まして、私はやはり地方立場からいいますと、五割の増を決して過重なものではないと思うのであります。これはガソリン税の配分とも関連する問題でありますので、かわり財源が与えられますならば決して固執をいたすものではございませんが、道路をこわされる立場から見ますと、もう少し多くてもよいくらいに思うわけであります。
  11. 渡海元三郎

    渡海委員 次に、財政計画にも関連する問題でございますが、一方で減税され、しかも交付税率は、主税の分と入場税の分との見合いだけの一%しかない。しかも臨時特例が廃止され、起債のワクは一般会計の起債において五億の増資しかない。従って、国その他公共事業の増のために非常に苦しいというお話でございましたが、私たち財政計画をながめ、本年度の府県財政につきまして相当の配慮もしておるのでございますが、臨時特例を廃止されましたあの姿で、各県におきまして、国が計画しておりますところの公共事業を完全に消化し得るかどうか、その見通しについて一つお漏らし願いたいと思います。
  12. 小畑勇二郎

    小畑参考人 これは各県によっていろいろ違うと思うのであります。財源の豊かな県はあるいは消化できるかもしれませんが、総体を通じましては、知事会等で、三十四年度の予算編成をいたした実績等を話し合っておりまする結果から総合いたしますと、骨格予算を組んだところもございます。私の方は年間予算を組みましたが、交付税の見方を現行制度通りに見まして、そうして昇給費と初任給の引上げを見ないでどの程度に消化できるかということを申し上げますと、昇給費を全然見ない、それから初任給の引上げも見ないで、三十三年度並みに公共事業費を予算を計上いたしましたが、そうなりますと、県単事業はほとんど施行できない現状であります。従いまして、県単事業も従来の通りやっていく、昇給もさせるし、初任給の引上げもするし、政府に計上されました予算の通りかりにやるとした場合に、私の方の現状を申し上げますと、ちょうど昨年度の増加額の倍額だけ交付税をふやしてもらわなければならないというような計算になるようてあります。大体各県ともそのような現状でありまして、県単事業も公共事業もやるとすれば、公共事業費は、三十三年度の実績を確保することが、もう精一ぱいの現状ではなかろうかと思います。大体の県は八割程度組んでおるところが非常に多いようであります。
  13. 渡海元三郎

    渡海委員 重ねてお聞きするのでございますが、私先般、この件もあろうと思いましたので、建設省へ参りまして、関係局のお話を聞いたのですが、大体建設省関係では、道路は臨特を認められた、その他の大きな問題は治水関係でありますが、治水関係のお話では、現在予想される公共事業費のこちらの割当に対する返上というものは、二、三の県にとどまるのではないかと考えておる。しかもこの二、三の県の返上は、他の県が必ず消化してくれるし、臨時特例をやめて事業量がむしろ減るという点について考え合せると、あながち賛成もしかねるというような意向も聞いたのでありますが、県当局もまだ検討中でございますし、また土木部関係等が将来に対する考慮もおもんぱかって、そういうふうな姿がまだ現在では現われておる程度にすぎないのじゃないかとも考えるのでございますが、この点知事さん、率直な御意見としてどうお考えになるか、御意見を承わりたい。
  14. 小畑勇二郎

    小畑参考人 ただいまお尋ねがございましたが、おそらく各県ともそうだろうと思いますが、事業費の割当につきましては、関係県の関係部課長とそれから建設省の係同士の折衝にとまっておりまして、どれだけ引き受けるかというようなことは、知事なり財政当局の段階までは至っておらないと思うのであります。おそらく関係の土木部長なり河港課長なりは、仕事をしたいから、くれるならこれだけは引き受けてもよろしいというような程度のことは、申し上げておると思いますが、財政当局と話し合った結果、これだけ引き受けられるという決意を表明している県は、おそらくまだなかろうと思うわけであります。従って繰り返して申し上げるようでありますが、大体の府県は三十三年度の事業量をやるのが精一ぱいでありまして、三十四年度の事業計画を、公共事業の計画をそのまま実行するといたしますれば、県単事業というものは極度に圧縮されるではないかと思います。従って知事の施策に基く県単事業というものは、ほとんど皆無にひとしい状況になるではなかろうかと思います。これは大体他の県も同じだろうと思いますが、私の方の県の事情を申し上げますと、そういうことであります。
  15. 渡海元三郎

    渡海委員 給与費の問題につきまして、三十二年度の決算を基礎といたされまして、三百八十億の実際の支払い超過額が決算面で出ておる。この実際面を考えろということでございますが、財政計画におきましては、もとより国家公務員の給与単位を基礎とする。この点について、地方公務員が多いところもあり、少いところもある。総額において違いが出てくるのは当然と思います。財政計画の性格上違いが出てくるのも当然だろうと思いますが、その意味からいいまして、私は、ただ国の予算に盛られておるものが補正される場合、地方財政はこれを補正されないというところから、過去において差が出てくる、これは当然最初に補正されないように見積るべきではないかというように考えますが、その程度補正をやれば、財政計画としてこれが当然のことであり、これが正しい姿じゃないかと思いますが、今年度それらの点とにらみ合せまして、財政計画からどの程度の超過か出る、このようにお考えになりますか。もし概数でも計算しておられましたら、お知らせ、願いたいと思います。
  16. 小畑勇二郎

    小畑参考人 私も、今回出て参った全国的な資料を、まだ三十二年度の決算しか私は持っておりませんので、実際三十四年度の給与費が、どれだけ財政計画より超過するかといったようなことについては、資料は持っておりません。あとで知事会で調べまして、お届けしたいと思います。
  17. 渡海元三郎

    渡海委員 時間の都合がおありのようでございますので、急いであと二点だけお聞かせ願いたいと思います。実は本年度の交付税算定のとき、態容補正金額を上げろ、特別態容補正金額を上げろという要望がございました。また他方面から、基準財政収入額の税の収入算定率を九割あるいは八割に引き上げろという説がございます。一方私は非常に不合理な制度であると思います。基準財政収入額を引き上げるということは、また他面地方自治を損するものではないかと思いまして、今回されました態容補正係数によるところの財政需要額の算定の仕方において調整をやるというのは当然の姿である、このような方向で進まなければならない、こう考えておるのでございますが、知事会におきましてもこのようなお考えでございましょうか、この点お伺いいたします。
  18. 小畑勇二郎

    小畑参考人 態容補正につきましては、三十二年度では五十五億ございました。三十三年度は三十億になりまして、二十五億減っております。三十三年度は全般的に単位費用が上ったわけであります。単位費用が上った場合は、補正係数も上げなければならないのが当然だと思います。補正係数というものは、単位費用の欠陥を補足するものでありますから、主体が大まくなった場合には、補正係数も大きくするのが常識上当然だと思いますが、単位費用を上げて補正係数を二十五億下げたところに、三十三年度の交付税に対していろいろな不平が出た大きな根本原因があると思うのであります。従って単位費用を下げない現在におきましては、われわれの立場からいたしますと、特別態容補正は五十五億にしていただきたい、こう思うのでありますが、しかし面積補正において態容補正にかわるべきものが相当出されておりまするが、これが合理的に配分されますと、やはり態容補正の役割を果すべきものではなかろうかと思います。ただ先ほど申し上げましたように、それがうまく実情に合うように一つ政令できめていただきたい、こう思うわけであります。  それから基準財政収入を九割に引き上げろ、十割に引き上げろという論、これは実は東北の貧弱県の仲間では、引き上げてもらいたいということを申し合せをいたしております。しかし全国知事会立場といたしましては、交付税配分が少い、また財源が少いからそういう議論が起るわけでありまして、純粋な議論といたしましては、やはり二割の余裕財源を持って民選知事として自由な施策をする姿が望ましい姿でありまして、結句足りないからこういう議論が起るのでありましてそういう論に傾きやすいのでありますけれども、知事からいたしますと、十分財源が付与されまして、基準財政収入は八割——できるなら七割くらいにいたしまして、自由な財源を付与していただきたい、こう思うわけであります。
  19. 渡海元三郎

    渡海委員 知事さんは秋田県でございますので、あるいはこの点御無理かと存じますが、ただいまの基準財政収入額に対する八割、九割の算定とにらみ合せまして、もう一つ例のたばこ消費税を人口割にしろといったような話も出たのでございますが、私らはこれもただいま申されたような純粋な地方財政論のもとにおいて、入れるべきでないということで、この説をとらなかったのでありますが、この点についてもあわせていかなるお考えであるか、お答えができましたならばお答え願いたいと思います。
  20. 小畑勇二郎

    小畑参考人 たばこ消費税で貧弱財政府県に対して調整をはかるということは、非常に魅力がございます。しかし性質からいたしまして、あれをもって財源調整をはかるということは、知事からいたしますと、私は当を得ていない措置だと思いますので、むしろあれを交付税に入れてやるならばけっこうだと思いますので、あの交付分を交付税に入れてこれで財源調整に使うとう建前に立つならば、交付税に入れてやるべきでありまして、あれを消費税の姿でもって調整するということにつきましては、建前上これは賛成できません。しかもこれも非常に苦しいのでありますから、手をあげろと言えば賛成の方に手をあげたくなるわけでありますが、建前といたしますと、調整するなら、一歩進んで交付税に入れてしまって調整すべきじゃないか、これは私見にわたりますが、そう思っております。
  21. 渡海元三郎

    渡海委員 最後に三品だけお聞きしたいのでございますが、国、地方を通ずる税制の今日の段階におきましては当然のことでございまして、政府もこの考えのもとに法律を提案いたしまして、その審査を進めるということにしておりますのですが、国、地方を通ずる税制の体系におきまして、今まで減税その他の措置をとって参りました場合、あるいは地方財源の充実すべて交付税の率を引き上げるということに求められてきたのでございますが、ただいまの御意見発表の中で、何もかも交付税に求めるという行き力は好ましくないということを言われておりましたが、私たちも率の引き上げの最高限度というものは、三〇%程度でとどめなければならない、このように考えておるのでございますが、この点最後に一言御意見を承わりたい。
  22. 小畑勇二郎

    小畑参考人 三〇%がいいかどうかでありまするが、交付税には交付税の性質上一つの限界があると思う次第であります。従いまして問題は、シャウプ税制の手直しということになると思いまするが、シャゥプ税制におきましては、基本的な考え方としては、市町村主体を置くということでありまするが、今日の状態を見ますというと、そういう考え方にかかわらす、市町村の仕事もふえておりまするが、府県の仕事というものはますますふえる一方でございます。従ってシャゥプ税制の改革というものの考え方を抜本的に一つ変えていただいて、国と府県との関係、それから県と市町村の関係、こういうものはやはり整理すべきではなかろうかと思います。一例を申し上げますと、鉱産税というものは市町村の税金になっております。鉱区税というものは府県の税金になっております。税の建て方から言いますと、鉱区税としいうのは一つの物件でありまするかり、これは市町村に移して、鉱産税というものは事業税から振りかわったものでありまづるからして、これは県に移すべきものではなかろうか。この財源の多い、少い、損得は別といたしまして、やはり一つの非常な税収でありますが、現在では非常に矛盾かございます。でありまするから、一つ地方税の大原則に立って、恩恵を受けるものが広く税を負担をするというような従来の建て方に帰っていただいて、中央地方を通ずる抜本的な税制改正をしていただきたい、こう思うのであります。
  23. 鈴木善幸

    鈴木委員長 加藤精三君。
  24. 加藤精三

    ○加藤(精)委員 非常に時間が制限されておりますので、どうも当初の質問計画通りできないのですか、二、三お尋ねしまして、全体の質問の意味を響かせていこうと思っております。  知事さんは、県独自の施策に基く県単事業なんかは三十四年度はほとんど皆無になるかもしれぬ、こういうお話を承わって、私の県なんかもそうでございますが、全国の後進府県は非常に著しいだろうと考えております。きょうはそういうふうなことを考えまして、現在こういう苦しい事態に立ち至るということは、やっぱりこれは遠きをおもんばからなければ近き憂いありで、従来のマンネリズムの地方行政財政をやっておったのでは、世界各国に対抗する日本の国力を上げていくというようなことは、どうもできないんじゃないかというような気がするのでございますが、それに関連いたしまして、国の行政財政地方的設備としての府県ということ、この役目を完全にやるためには、むしろ自主財源なんかを少くしても、全部計画の中に財政需要を繰り入れてまで東北の知事さんがやりたくなったというのは、実に涙ぐましいことなんです。大体国で予定している仕事というものは、どうしてもやらなければいかぬということをお考えになっておるという面があるのでございまして、しかも地方自治独自の行政も編み出したい、その御苦心はさることながり、何か考えなきゃならぬものがあるんじゃないか。なお現在の地方財政の立て方でありますが、国庫補助制度、それから地方交付税制度というようなものも、これは繁栄県はますます繁栄させる一つのてこになっているんじゃないか、どうも私はそう思われてしょうがないのであります。これに関する知事さんの御感想を伺いたいと思います。  第二に、交付税の見通しの問題でございますか、私も地方団体の市長をしておりまして、財政計画を立てますのに、明年度の予算をどう組めばいいかということは、事実上見通しが非常に困難で、計画を誤まったり、不必要な損をするのでございますが、今回三十三年度の市町村交付税の激減というものは非常なものだ、こういうことを考えまして、地方交付税を二つに分けて、そうして府県の計画と市町村の計画とを別々に立てる、そうすればよほど見通しがよくなるのじゃないか、少くとも府県に対する地方交付税市町村に対する地方交付税とは別々に計画を立てたらどうか、こういうことを考えるのでありますが、それに対する御意見はいかかでありますか。  第三番目は、負担分任の精神の問題、これは、理念上非常に大事なことだと思うのです。たとえば学校給食でもって、今度児竜一人当りについてふえる手持ちの負担額は、住民税の均等割と同額になるのじゃないか、三人おればこれは三倍くらいにふえるのしゃないか。そういうことがあまり問題にならないで、そうしてピースのたばこ二、三個くらいの交付税で一戸の住民が市町村負担をなにするということは、非常におかしなことである。それから、なお考えてみますと、遊興飲食税のごときは、大都市ではほとんど負担していない、これはもう脱税になっている。それが地方では苛斂誅求になっている。つまり小さな飲食店に対しての税率の引き下げ、控除額の引き上げをすると、財政か小さくなってしまうということから考えまして、これらの全国的な税の均衡というものが、非常に必要しゃないかと考えるのであります。また住民税でも、東京都では実質的に非常に低い。地方では非常に高い。こういう不公平をなくして、国の行政財政地方的設備である府県に対しては、その事務に十分なる財源を与えるという形に転じていかなければならぬのじゃないか。そういうことを考えるのでありますが、以上の三点に対する知事さんの御意見をお伺いいたしたいと思います。
  25. 小畑勇二郎

    小畑参考人 自主財源確保については、全く御意見通りでありまして、予算の編成をいたしましても、今回私の方は百三十一億の予算を出しましたが、税収入が十二億というので、一〇%にも足らない、こういうことで自主財源が非常に減っておりますので、お話のごとく、これは一交付税だけにたよらないで、何らかの形で自主財源をふやしていただきたい。そうして自治体としての実情に合った仕事をぜひさせていただきたい、こう思うわけであります。  それから交付税算定市町村府県とに分くべきかどうかということでありますが、その内輪の計算がどういうふうになっておりますか、私もよく勉強はいたしておりませんけれども、やはりこれは税の体系も違いますし、またおのずからやります仕事も違いますので、市町村分の積算、府県分の積算というものは、一つ余裕をもってはじいていただいて、計算するときはけっこうですか、まあこれは大へん不平になりますけれども、たとえば非常に切迫して計算をされます結果、市町村分と府県分の計算をいたしまして、どちらかに欠陥ができますと、府県市町村の両方に減額調整がかかるといったような、そういう事情が過去にもございました。たとえば計算してみましても財政需要が非常に多かったといいますというと、市町村財政需要が非常に超過した場合でも、あわせてその減額調整府県にもかかるといった例が、過去にはあったわけであります。でありまするから、そういうたとえば、府県分が非常に足りなかったので市町村に減額調整がかかってくることも好ましくございません。これは一つお話のように、市町村と総まとめの計算はけっこうでありまするが、内輪の計算は個々に計算をしていただきまして、そうして府県の計算は府県間で減額調整をする、市町村の欠陥は市町村間で欠陥を減額調整をするということにできないものたろうかということを、府県立場から常々そう思っておるわけでございます。  なお第三の点も、自主財源の強化ということでございまするが、やはりわれわれといたしましては、先ほどから繰り返し申し上げましたように、このままの状態ではだんだんと委任事務、国家の機関としての事務だけで、県自体の施策というものはほとんどてき得ない現状でございます。またPTAの寄付にいたしましても、県立学校の寄付にいたしましても、若干は減っておりまするがまだまだ相当の負担過重をしいているという現状でございますのでこれもせひ別個に考えてもらわなければならぬことだろうと思います。特にお考えをいただきたいことは、高等学校の設備費の問題でありまして、高等学校の就学率はもう五〇%になっております。半ば義務化をいたしております。どこの県でも老朽校舎をかかえて困っておるわけでありますが、これを府県の行政だけに放置をしておいてよいかどうかという問題であります。これは一つ何らかの——高等学校の行政費に対しては、やはり準義務的なものとして文部省でもお考えをいただいてよい段階ではなかろうかと思いますが、一例を申しますとそのようなことでありまして、まだまだ財源が非常に足りないということを申し上げて差しつかえないと思います。
  26. 鈴木善幸

  27. 阪上安太郎

    ○阪上委員 大へんお急ぎのようですから、簡単に一つ御答弁を願いたいと思います。先ほどガソリン税について、増加分は建前としては当然これは欲しいのだ、これはごもっともだと思うのです。ところか自民党さんの方では、今度のガソリン税の増加分と臨特と取引をして、そうしてガソリン税の増加分を譲与するということになると、臨特の延長がのまれないということでもって、いろいろ考えた結果、やはり今のような行き方をした、こういうことなんですが、一体どうなんですか。こういったものがそういうものとの関係においてやられたということなんですけれども、知事さんとしてはどういうふうにお考えになりますか。
  28. 小畑勇二郎

    小畑参考人 ガソリン税の三〇%を、従来の例でありまするというと、交付になる分が交付にならなかったので、あるいはそういうものと振りかえられたのではないかとわれわれも勘くっておるわけであり、まするが、われわれといたしましては、臨特の存置についてなかなか困難ではあろうと思いますけれども、知事会といたしましては、ぜひともこれは存続させたいという建前に立っておりまするからして、臨特はぜひとも存置させていただいて、やはりガソリン税の三〇%は交付していただきたい。これは大へん勝手でありまするが、さように考えております。
  29. 阪上安太郎

    ○阪上委員 次に軽油引取税ですが、先ほどせひこれは一つ考慮してもらいたいということでありますが、考慮の範囲がわかりませんので、どの程度にお考えになっておりますか。
  30. 小畑勇二郎

    小畑参考人 軽油引取税は、今八千円を一万二千円に上げる案でありまするが、これは一つこの額上げるように実施していただきたい。先ほど申し上げましたことは、高いじゃないか、五割ということは上げ過ぎるじゃないか、また大衆に転嫁されはしないかといったようなことで、引き下げの御主張もあるように聞いておりましたので、地方財源がこれ以上減っては困りますので、もうこれは当て込んでわれわれも予算を組んでおりますので、これはぜひとも一つこの案の通り実行をいただきたい、こういう意味でございます。
  31. 阪上安太郎

    ○阪上委員 さっきから、減税とか、あるいは起債の不足、臨特の廃止、その他税外負担の問題もありますが、そういったものが交付税に見込まれているということはなかなか考えられない。従って交付税率を上げてもらいたいという意味のことがあったようであります。どの程度繰り入れをやってもらいたいとお考えになっておりますか。現在の財政規模でどの程度に持っていけばいいとお考えですか。
  32. 小畑勇二郎

    小畑参考人 これはどの程度交付税率を引き上げるべきかどうかという問題でありまして、これは財政計画の問題もありまするが、われわれといたしましてお願いを申し上げたいと思いますることは、今度の財政計画が相当の自、然増を見ております。また三十二年度の繰り入れ百四十四億もございます。これはしかし給与費の増、初任給の引き上げ等、その他自然に増高いたしまする行政費に充当する当然の財源でありますので、国の施策によって減税になりました事業税分の八十五億、初年度は八十五億でございまするが、これはちょうどやや交付税率一%に相当いたしまするので、交付税法にもその趣旨は書かれておりまするが、国の施策によってやはり地方税減少した場合には、交付税は自動的に引き上げられるべきものだとわれわれは思いまするし、それが交付税の本旨だろうと思います。重ねて申し上げるようでありまするが、今回一%引き上げになりましたことは、国税の主税の減少と、それから入場税減少に伴う分がちょうど一%でありますので、国の施策によってこの地方税の解消された八十五億に相当する一%、八十二億でありまするが、その分は当然これは交付税法建前からいたしまして、増率していただいてよいのではなかろうかと思うわけでございます。
  33. 阪上安太郎

    ○阪上委員 多少本論からはずれますが、過般来小委員会等で、税外負担の問題か非常に問題になっております。それで市町村府県への税外負担がかなりあるだろうと思いますが、この機会に知事さんの御意見を伺っておきたいと考えます。これは府県立場で独自の考えで何とかするというお考はないものでしょうか。
  34. 小畑勇二郎

    小畑参考人 現在府県負担市町村に転嫁しておりますることは、警察官の駐在所の費用、こういうものは漸次各県とも軽減をしております。それからいま一つは、この道路に対する負担金でございまするが、これも漸次軽減をされております。今軽減になっておりません大きなものは、県の場合は高等学校の増改築、学級増に対する負担でありまして、当然授業料を徴収しておりますので、県費負担になるのでありますが、施設の増強はほとんど町村負担になっております。これが相当過重な負担になっておりますので、市町村のPTAその他は別といたしまして、府県の大きな負担というものは、このようなものでありますけれども、一番大きなものは、この定時制を含めました高等学校の設備費、これが大きな問題であろうと思います。これに対して先ほど申し上げましたように、高等学校教育はもう半ば義務化しているのだという建前で、交付税のほかに何らか一つ文部省として財政の支出を考えていただきたい、こう思うわけであります。
  35. 鈴木善幸

    鈴木委員長 これにて小畑参考人に関する議事は終了いたします。  小畑君には御多用中のところ御出席をわずらわし、有益な御意見発表をいただき、ここに厚くお礼を申し上げます。これにてお引き取りを願います。  次に小松君に御意見の御発表を願います。参考人小松勇次君。
  36. 小松勇次

    小松参考人 私、小松でございます。意見発表するに先だちまして、昨年、減税問題に関しましては、大へんに皆さん方から御理解ある御措置をいただきましたことを、厚く御礼を申し上げます。  なお、地方税財政措置に対する意見を申し上げるのでございまするが、この策定されました三十四年度の財政計画は、一面には国の方針に基く減税政策、他面には公共事業の増強という要素を含むため、きわめて不安定のものとなり、ようやく立ち笹らんとする地方財政は再び悪化の様相を示す傾向にあることは、まことに憂うべきことだと存じております。従いまして、以下申し上げまする本会の意見につき、適切なる御措置を講ぜられるよう強く要望をするものでございます。一つ一つはお手元に印刷物を差し上げてございまするが、これについて意見を申し上げたいと存じます。  一つは、地方財政計画についての一の問題でございまするが、昭和三十四年度の地方則改計画は、三十三年度に比し、公共事業費が約一五%、四百十三億円の増加に伴い、投資的経費の伸びが消費的経費の伸びを上回っていることは、行政水準の維持向上のために好ましい傾向でありまするが、反面公共事業費増額に比し、単独事業はきわめて圧縮され、さらに公共事業費の補助率あるいは補助単価等が現実から遊離しているために、地方負担分は財政計画を上回ることが予想される結果、単独事業費等はさらに減少を余儀なくされ、ひいては地方行政水準の低下をもたらすものでありますから、公共事業に伴う過直な地方負担分に対しては、将来補助単価等を是正するとともに、明年度においては特別地方債の発行等により補てん措置を講ぜられたいのでございます。  二、公共事業に係る国庫負担等の臨時特例に関する法律の適用期限は、地方制度調査会の答申通り昭和三十八年度まで延長されたいのであります。  三は、住民の税外負担の解消に関しては、さきの地方制度調査会の答申もあり、自治庁調査による昭和三十二年度市町村における住民の税外負担は約二百五十億にも達しております。しかしながら、市町村はこれら税外負担を課することを余儀なくされている現状でありまするから、これが相当額の財源賦与をはかられたいのであります。  四は、国の委任事務にかかる経費は、全額国庫負担の建別でありますにもかかわらず、国の財源措置は不十分である現状にありまするので、的確な算定に基く財源賦与のなされるようお願いしたいのであります。  五は、地方団体間、特に市町村における府県経費に対する法令に基かない巨額な負担額は、地方財政法の趣旨により当然規制すべきでありますが、実際上は慣習的に負担を余儀なくされておりまするから、これらの経費については財政計画上、市町村財政需要として保障措置を講ぜられたいのでございます。  六は、消費的経費は年々若干ずつ増加の傾向にあり、特に給与費については、国の施策に伴う職員の増加、あるいは臨時職員の定員化等により、今後さらに増加するし、地方財政圧迫の一因ともなっておりまするから、この際、地方公務員の定年制についての法的措置をすみやかに講ぜられたいのでございます。  七は、地方債は公債費対策の一環として漸減するとともに、その対象事業を厳選されてきたのでありますが、行政水準を向上させるためには、さらに増額することが好ましく、さしあたっては地方債の許可に当り、都市的施設事業に対し積極的に充当をはかるとともに、利率の引き下げあるいは償還期限の延伸について考慮し、また既発行高利債については、政府資金その他により地方債、のワク外としてその低利借りかえ措置を講ぜられたいのでございます。  第二に、地方税法改正案についてであります。その第一は、わが国の租税制度は根本的改革を必要とする事態にあるにもかかわらず、年々国、地方を通じての弥縫的な税制改正にとどまっており、しかも国の減税政策は必然的に地方税に多大の影響を及ぼし、ために地方自治体は長期の見通しに立脚した財政運営に支障を来たしている実態にあります。さらに国、地方を通ずる租税総額の実質的分配を見ますると、地方独立税源か三〇%であるのに対し、地方団体が最終的に使用する額は六三%を占めていることは、地方行政の重要性を示すものであって、自主税源強化の見地から、地方税の拡充強化をはかる必要かあるのであります。従いまして明年度に発足を予定されておりまする税制調査会においては、現行租税制度について抜本的再検討を加え、恒久的税制度を確立し、地方自治の基盤である地方財源の充実強化されまするよう期待しておるものであります。  二、明年度税制改正案において相当大幅な地方税源の減少となりますが、これが補てん措置が十分でないので、当面本改正案の審議に当りましては、次の点について十分御留意の上、修正を加えていただきたいのであります。  三、所得減税に伴い、住民税は平年度百十八億円の減収となりますが、これは昭和三十四年度住民税所得割額の約二割に達する額であります。国は健全政策と称して公債を発行していないのに対し、地方団体地方債により辛うじて事業の施行に当っているのにもかかわらず、減税を断行しております。住民税の減収は、これに伴って生じた独立税の減税であるから、これによる減収は独立税源の拡充によって補てんすることが適当であり、たばこ消費税の税率を四・五%引き上げることを本改正案において明確に規定されたいのでございます。  四、固定資産税の制限税率引き下げに伴う補てんについて、明年度に限り元利補給の特例債で措置されるごとにしておりますが、当該自治体の財政影響を考慮して、三十五年度以降においては恒久的な特例債の規定を設けるか、または補給金制度を確立することであります。  五、地方税法の減免規定各は税目について設けられ、その額は約三百七十億円にも及び、地方財政を圧迫しており、かつまた、地方制度調査会においても答申されているところでありますので、減免規定は極力整理されたいのであります。  六、地方道路譲与税については、道路整備計画に伴い、揮発油税及び軽油引取税の増率が予定されておりますが、その一部を一般市町村にも譲与し、市町村道の整備充実をはかられたいのでございます。  第三に、地方交付税法改正案についてであります。  一、地方交付税自主財源としての性格を明確にするためには、各地方団体においてそれぞれの交付税額を的確に把握できる算出方法をすみやかに確立すべきてあります。特に国の施策に伴う地方経費地方交付税への算入については、実態に即した算定を期せられたいのでざいます。  二、今回の改正により、その他の諸費の中に、新たに面積測定単位として新設し、投資的経費の一括算入をはかったことは、従来の減価償却方式による各行政費への算入に比し有効でありますが、特に都市的施設の整備拡充は、新市町村の建設をも含め緊急を要するので、さらに投資的経費の算入を強化する方法検討されたいのでございます。  三、新市町村建設促進法に基く地方交付税の特例計算の適用期間は、新市町村建設の実態にかんがみ、さらに延長するとともに、特にいわゆる合併算定がえによる交付額については、建設事業費に重大な影響がありますので、その特例期間の適当な延長をお願いしたいのでございます。  以上であります。
  37. 鈴木善幸

    鈴木委員長 次に、山本君に御意見の御発表お願いいたします。参考人山本力蔵君。
  38. 山本力蔵

    山本参考人 私は、全国町村会を代表いたしまして、当委員会におきまして御審議中でございます地方税法等の一部改正法律案並びに交付税法の一部改正法律案につきまして、意見を述べさしていただくことをまことに光栄に存ずるわけであります。  まず、地方税法等の一部改正の問題は、昨年の下半期を通じまして、国の施策に基く減税と私ども自治体の財政の問題との関連で非常な関心を持ち、また、山本も各種委員会出席さしていただいて、その過程を存じておるのでありまして、特に半ヵ年の間、地方行政、委員会関係の委員の皆様方に非常な御高配を願いましたことを御礼申し上げたいのであります。結論として、われわれ自治体の立場といたしましては、税制の改正等は、そのときどきの都合によりまして手直しをすることは反対でございます。やはり国、地方を通じて税制の根本的な改革をするとき行うべきものであるという考えを持っておりましたが、今回の改正は、大きな国民要望であり、国の施策の減税方針に調和させるという点で、御苦労があったようでございます。  私ども自治体といたしましては、このような減税はやむを得ないではないかという工合に考えるわけでございますが、ただ、地方自治体の財政上の減収に対する補てんの問題が、非常に大切なことでございます。これらにつきましても、皆様方に非常な御高配を賜わっておるのでございますが、問題は、交付税率を一%引き上げておりますが、これはすでに前に御意見がございました通り、県の専業税の減税の穴埋めにも足りないところで、所得税の減税に伴い自動的に二七・五%減額になるが、これに対する地方交付税の裏づけをしていただけないことであります。三十四年度の財政を見ますと、交付税関係はもう県へ行ってしまいまして、町村といたしましては、事務的経費その他財政需要の増大の裏づけができません。さらに、町村等におきましては、税源の自然の伸びもきわめて少い。そこへ持ってきて、交付税が少いという非常な不安があるわけであります。これらにつきまして、さらに格段の御高配をいただきたいのでございます。  次に、最も大きな問題でございます。これは昭和三十四年度でなく、三十五年度の問題でございますが、所得税の減税に伴うところの住民税のはね返りの百十八億の問題でございます。これらにつきましては、われわれ地方六団体におきましても、たばこ消費税の四・五%の引き上げを強く御要望しておるわけでございますが、これは今回の改正案によりましては、次の問題として、お取り上げがないのでございます。お話を伺いますと、本年度は法に基くところの税制調査会が発足いたしまして、これらの問題についてもお考えを願えることと存じますが、しかしわれわれといたしましては、今度の税制の改正に際しまして、三十五年度の住民税の穴埋めということにつきまして、ぜひ法的な御処置をしておいていただきたい。これは無理がと存じますが、私どもは非常な大きな問題でございます。  話は逆になりますが、固定資産税の問題につきましては、非常な御高配によりまして、税率の一律引き下げがなくなりましてありがたいわけでございますが、三十五年度は住民税の大きな穴ができるという点が非常な心配でございますので、今回の税法改正のときに、一つ何とか附帯決議等でもしていただきまして、安心ができるように御高配を賜わりたい、こうお願いする次第でございます。  さらにまた先ほどの御意見にもございましたか、固定資産税の税率の引き下げに伴う東北並びに北海道の山村の自治体の減収の六億につきましては、本年度は特別の御高配をいただきまして、特例債をもってこれを埋めていただきました。しかし、これも明年度以降につきましては何らふえておりません。これも関係の自治体といたしましては、非常に心配しておるのでございまして、ぜひ根本的な税制改革ができるまでは何とか法的な措置をしていただきたい。減税補給金等の、あるいは特例債にいたしましても法的な根拠を与えて、特別交付税等補てんでなく、国の力で御補てんを願いたいということが、私どもの懇願するところでございます。まあ税制の改正につきましては、当初申し上げましたが、減税ということは私ども賛成でございますが、何しろ地方自治体の行政水準が非常に低うございまして、ややともすると減税に伴う穴かあけっぱなしでございます。これらによって私どもは非常に心配するわけでございまして、今後は地方税改正につきましては、先ほども申し上げましたが、根本的な国、地方を通するところの税制行政等の改革ということに伴って、一、二年で動かないように、ある税度私どもが安心して行政ができるように、施策を立てるときに、一つ手をつけていただきたいということを、あわせてお願いするところでございます。  最後に、地方交付税の一部改正法案について御意見を申し上げたいと存じます。これも市側の代表が申し上げた通りでございますが、今回は県につきましては、後進県等の財政需要を伸ばす施策がございますが、市町村分につきましては従来とあまり変っておりません。今後市町村につきましても、未開発地帯、山村等の自治体にいま少し報いられるような改正をしていただきたい、こう存するわけでございます。  はなはだ簡単な意見を申し上げて、要領を得ませんでございましたが、大体私の意見要旨につきましては、お手元に印刷いたしまして申し上げた次第でございますので、よろしくお願いいたしたいと存じます。  以上をもちまして私の意見を終ることにいたします。ありがとうございました。
  39. 鈴木善幸

    鈴木委員長 これにて両参考人の御意見の御発表は終りました。  これより両参考人に対する質疑に入ります。質疑の通告がありますので順次これを許します。阪上安太郎君。
  40. 阪上安太郎

    ○阪上委員 小松参考人にお伺いいたしますが、先ほど定年制の立法化ということを要望されておりますが、これはどうなんでございましょうか。現在話し合いないし条例等によって措置することは困難でございましょうかちょっとお伺いいたします。
  41. 小松勇次

    小松参考人 定年制の問題は、条例等によってできるかもしれませんが、また一面、私どもはそこに大きな問題を考えさせられるのでございまして、単なる条例だけでそういうことができ得るやいなやという問題が残されておるのでございます。そこで職員の新陳代謝というような面を考えますと、やはりある年限で、そこを一つ国のお力によって定年制を定めていただかなければ、なかなか後進に道を開くというようなこともできかねるだろうと思います。そう申しては失礼ですけれども、お年寄りになって高給者ばかり役所に多いというと、この財政の苦しい中に高給職員ばかりかかえていては給与はますます増高するばかりでございまして、こういう面も私どもは考えておるのでございます。まあ話し合いでいろいろ勧奨退職というような道もございましょうが、どうかこの際国の方でこの点を十分御研究の上に、すみやかにこういうことができ得ましたならば、この制度を設けていただきたい、かようにお願いする次第でございます。
  42. 阪上安太郎

    ○阪上委員 その場合、定年はどのくらいの年令を考えておられますか。
  43. 小松勇次

    小松参考人 これは人によっていろいろの標準もございましょうが、市長会で一般の方々とちょっと話してみましたときには、大体五十五才が適当な年令ではないかというような意見も出ておるのであります。これは公式の意見でございませんが、そういうような空気が多いのでございます。
  44. 阪上安太郎

    ○阪上委員 先ほど御意見かございまして、臨特の延長とか、税外負担の解消というような問題を、市長会では強く取り上げておられます。御意見はごもっともだと思います。ついてはこの際奥野財政局長さんから、これに対するお考え方をお伺いいたしたい。
  45. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 公共事業に関します臨時特例法の問題は、先般来問題になっておりますように、一応政府としては、地方財政全体としてはそれを吸収していくことができるという建前に立っておるわけでございます。地方団体財源自立の見地から考えますと、臨時特例法を延長することが好ましいわけでございますけれども、他面、国民の租税負担の問題もございますし、あるいは事業分量も確保したいというようなこともございますので、現在の計画でやむを得ないところではないだろうか、こう思っておるわけでございます。しかし道路に関しましては、特例法を続けておるわけでございます。さらにまた軽油引取税増額するという措置もとっておるわけでございますし、その他もろもろの政策もあわせて講じておる点も御了承を願っておきたいと存ずるのであります。  税外負担の解消の問題も、やはり国民の租税負担軽減合理化するという建前から考えていきますと、当然とられなければならない措置だと思っております。それを特に取り上げまして地方財源をプラスする反面、税外負担を解消するという看板を掲げることはできなかったわけでございますけれども、今回たとえて申し上げますと、すし詰め教室を解消していきますために、五ヵ年計画を立て、積極的に校舎の増改築をやっていく、その裏づけ財源も用意をする、あるいはまた道路整備を促進する、こういうようなことになって参りますと、間接的ではございますけれども、そういうものが整備されていく結果、それらに関する負担を寄付金等に求めるという点は少くなっていくということはいえると思うのであります。間接的にしかやれなかったという点は遺憾でございますけれども、将来の目標といたしましては、御指摘の点について一そうの努力を払って参りたい、かように考えておるわけであります。
  46. 阪上安太郎

    ○阪上委員 熱海市長さんにさらにお伺いしますが、先ほど地方債の増額とその運用合理化、これを要求されております。現段階において地方債の額が伸びることは、必ずしも好ましいことではないけれども、財源不足からやむを得ないということで、増額の心はやはりこの際やってもらわなければならぬ、こういうお話でございましたが、さらにその運用合理化というような点でどういうふうにお考えになっておりますか。もしお考えがおありでございましたら、御開陳願いたいと思います。
  47. 小松勇次

    小松参考人 これは、地方財政の運用に対しましていろいろ合理化して参ることが理想でございますが、私ども、今申し上げました公債の問題につきましては、地方で実際に必要とするその仕事に対しまして、いろいろの公債を要するような問題が起ってくるのであります。こういう場合に対しまして、いろいろの面から考えまして、われわれがこれを合理化していく上においてやはりそれが必要であるものに対しましては、一つお認めを願いたい、かような意味でございます。
  48. 阪上安太郎

    ○阪上委員 私、最近市町村で非常に人件費が増高を来たして困っておるという実例をよく存じております。それに対する対策かなかなか出てこない、ことに先ほども、定年制の問題等が立法化されないためにますます困る、こういうようなことでありますが、今市関係で特に起債の面について、企業債をもっとふやしていただいて、そうして市町村の特別会計的な企業を起して、それに職員を配置していくことによって、この人件費の増高の問題を解決していこうというような方法があろうかと思うのですが、こういったことについて市長さん万はどういうふうにお考えになっておりますか、一つ伺っておきたいと思います。
  49. 小松勇次

    小松参考人 全般の各市の御様子はよく私も申し上げかねますが、私どもの市におきましては、お説のように、この公営企業のワクにおきましてこれを独立会計とし、独立事業として、そういう面でいろいろの人員の問題等も考慮して、そしてその収入でもってまかなう道を考えておるのでございます。
  50. 阪上安太郎

    ○阪上委員 また奥野財政局長をわずらわすわけなんですが、これはこの前から私申し上げておった問題の一つなんですか、いかがでしょうか。こういう行き方というものは、やはり自治庁としては奨励すべき事百項に入るでしょうかどうか、非常に人件費の増高で市町村は弱っておるのでございますが、何かはかに公営企業を起さして、そしてその方向へ行き晴まっておる人事問題のはけ口を見出していこう、こういうことなんであります。もしそれが奨励すべきことてあるならば、本年これに対して地方債計画としてほんとうに配慮されたかどうか、こういうことだと思うのです。これらに対して一つ伺いたい。
  51. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 私どもは、自治体活動を住民の生活に直接結びつけていく、そうすることによって、住民の自治体運営に対する関心を増大さしていく、自治運営を活発にしていく、こういう方向で公営企業の充実ということを非常に強く念願いたして参ってきております。ただ御指摘になりましたように、自治体の職員か多過ぎるから、そのはけ口を公営企業の拡充に求めていく、これは少し筋が違うんしゃないか、こういう感じを持っております。もちろん自治体の職員を合理的に配置する場合に、公営企業の拡充の問題があり、そちらの方に配置転換をしていく、そういう形で総合的な考え方で取り上げることは好ましいと思います。ただ、公営企業の拡充のみを取り上げていくということは、少し筋が違っておりはせぬかと思うのであります。
  52. 阪上安太郎

    ○阪上委員 次に、町村会会長の山本さんにお伺いいたしますが、先ほど知事さんの御陳述にもあったのですが、最近非常に府県に対するところの市町村の税外負担か大きいという問題です。その中で、特に定時制の高校の建設費の問題なんかありました。これは町村は非常に弱っておられる問題たろうと思うのです。しかも、その投入しておる建設費の負担は非常に大きい額に達しておる、こういうふうに考えておりますが、一体実情はどういうふうになっておりますか、おわかりの範囲内でけっこうですが、ちょっとお伺いしたい。
  53. 山本力蔵

    山本参考人 私の千葉県でございますが、実情を申し上げますと、県立高校の増設につきましては、五割か地元負担、この配分は大体五割の一部をPTAか負担する関係自治体の負担でございます。ところが、これが、非常に税外負担かたくさんございますか、高等学校の増設等の五割の負担か自治体にかかりますことは、財政計画が足らないわけでございます。最初計画をするときには、PTA関係と学校の先生だけで計画を立てるわけです。そして、きまってしまってから、町村に、お前のところは五十万円持ってこい、百万円持ってごいと言う。相談には乗らないで、出すときだけ相談に乗る。Aの高等学校か始めますとすぐBの方も始める、Cの方も始める。これか一巡しますと、今度は鉄筋コンクリートだということで、これで実は悲鳴を上げております。大体高等学校は五割、それから道路でございますか、公共事業道路の改修は、原則は国と県でございます。ところが、やはり舗装をやる場合には、側溝がないところは舗装かできないから、側溝は地元の自治体でやるというので、公共事業でも市町村負担かあるわけであります。さらに県単の問題でありますが、県単の舖装は大かい五割地元か負担する。三十五年度は、千葉県は道路行政に重点施策を置きまして、県単の事業を非常に伸ばしましたが、これに対してまた市町村で協力してもらうように、大体二割五分から三割くらい、私の町は二万四千はかりの町でございまして、税収が年に五千万くらいてございますか、昨年度県が当然負担すべきものを負担しましたのは二百二、三十万でございます。こういう状態でございます。さらに町村は、住民に消防とかPTAの会費を負担させるというふうにだんだんしわ寄せか参るようなわけで、まことに遺憾な実情でございますか、地方財政実情からいきまして、ある程度はやむを得ないのしゃないか、こうあきらめておるようなわけであります。
  54. 阪上安太郎

    ○阪上委員 そう簡単にあきらめてもらっては困るのです。その財源は一体何から出されておるのですか、何か財産処分でもやっておられるのですか。
  55. 山本力蔵

    山本参考人 これはやはり一般財源でやっております。やむを得す、そういうことであります。
  56. 阪上安太郎

    ○阪上委員 奥野さんにまた伺いますが、こんなはっきりしたものを、しかも府県に対しては、高校のごときはやはり交付税が配付されていると思うのですが、どうでございましょうか。こういったものを半分まで持っているような実情に対して、むしろ思い切って当該市町村にこれを交付してやるというような方法考えられないのですか。
  57. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 財政運営の問題につきましては、国なり、府県なり、市町村なりの責任を明確にいたしまして、その責任通りに守ってもらうということか非常に大切なことたと考えているのでございます。そういう意味におきまして、国費、地方費の負担、さらに積極的に申し上げますと、国費、府県費、市町村費の負担、これを明確にする必要があろうかと思うのであります。そういう心味で、もう十年以上にもなりますか、地方財政法を判定いたしまして、国費と地方費の負担区分をかなり明確に定めたつもりでございます。それにおきましても、先ほどから御指摘がありましたような問題が若干残っておりますか、府県費と市町村費の負担区分の問題につきましては、基準財政需要額を通じて私たちは明確に定めて参っておると思います。ただ基準財政需要額算定の中身ではっきりしておるだけでありまして、法律的にどちらがどの程度負担するんだということを正面切って書いておりませんので、なかなか一挙にその通りに運営されるというところには参っていないわけであります。しかし、間接的に強制されて参っておるわけでありますので、漸進的でありますが、解決に向って参ってきておると思っております。先ほど来、事例の出ております高等学校の経費は、県立でありますならば県で、市町村立でありますならば市町村で、その経費の全額を負担する建前で、基準財政需要額を計算いたして参ってきておるのであります。それにもかかわらず、経費の一部を県が市町村にしわ寄せをする、市町村はまたそれを同窓会その他の住民にしわ寄せをしていくというような姿が行われておるわけでございます。従いまして、高等学校の建築費などにつきましても、基準財政需要額の計算をもう少し多くするという問題はあるかもしれませんけれども、そういうように特定の財源を追加していくということになりますと、結局は、地方財源の総額をふやさなければならないわけであります。そういう意味で、地方財源の総額をふやしたいということが私たち年来の希望でありまして、そういうことができますならば、たとえば府県基準財政需要額増額する、そのかわり府県は、市町村に、本来自分の負担すべき経費をしわ寄せをしてはならないという強い制度、今よりももう一歩進めた強い制度をとってしかるべきだと思うのであります。そうしますと、市町村経費は浮いてくるわけでありますから、今度は市町村の住民にしわ寄せをしておりますやり方を、今以上強い強制の仕方で、やってはいけないという建前を打ち立てるべきだ、こう思うのでありまして、そういう方向で私たちは税外負担の解消に当って参りたい、こういう希望を持っておるわけでございますが、国民負担に関連する問題でありますので、なかなか一挙には進まないわけでございまして、はっきりした租税負担の形で財源確保したい、そのかわり強制的に行われている国民負担というものを解消したい、こういう形で財政秩序の筋を通して参りたいというように存じておるのでございます。
  58. 阪上安太郎

    ○阪上委員 さらに山本さんにお伺いいたしますが、この場合経常経費負担されておるように聞いておりますが、事実でしょうか。それからもしそれらを拒みました場合は、府県はその高校を建ててやらぬというようなことかあるように聞いておりますが、ほんとうでしょうか。
  59. 山本力蔵

    山本参考人 経常経費につきましては、PTAが一部負担せられる。これは国あるいは県の出先機関等におきましても、ややPTA的な性格の団体ができる、国の方は予算でしか流しませんので、私ども実際の末端でその行政に関係しておるものは、出ささるを得ないというわけでございます。  それから先ほどの、県が当然負担すべきものを町村か負担しなければどうということはございません。また一つは、私ども市町村側も恐い点があるわけでございます。国の予算が少いものでございますから、早く自分の方へ学校を建ててもらいたい、自分の方の道路をやってもらいたいというので行くという点がございます。これは非常に私どもも反省いたしまして、ただいま奥野局長さんのおっしゃる通り、大きな地方財政の問題として考えなければならぬと思いますが、一面やはり住民の要望もだしがたく、私どもから要望することもあるわけでございます。しかし、建前が五割というのですから、五割出すところから先に学校を建てていく、負担金を出すところから道路かよくなっていく、それか実情でございます。別に出さないからどうということはございません。おそくなるというわけです。
  60. 阪上安太郎

    ○阪上委員 次に、小松市長さんにお伺いいたしますが、先ほど、公共事業が伸びたのは非常にけっこうだ、だが、単独事業が圧縮されていく傾向は非常に遺憾であるとおっしゃっていましたが、それに対して特別債か何かでまかなってもらいたい、こういうようなことでございましたが、どういう意味でございましょうか
  61. 小松勇次

    小松参考人 別に特別債でということは……。
  62. 阪上安太郎

    ○阪上委員 単独事業の起債のワクをもっとふやせというわけですか。
  63. 小松勇次

    小松参考人 さようでございます。単独事業のワクをふやして、それからなお将来補助単価等も是正してもらいたい、こういうようなわけでございます。そうして、明年度はいろいろ地方債のワクも大体きまっておるようでありますが、その後におきまして、この問題につきましては特に特別のワクを一つ考えてもらいたい、こういうわけであります。
  64. 鈴木善幸

  65. 渡海元三郎

    渡海委員 これはどちらでもけっこうでございますから、お答え願いたいと思います。ただいまお二方のお話の中に、国が減税をやる、しかも公共事業増加すると、地方財政に及ぼす圧迫が多くなるから、せっかくよくなりかけておる財政が、明年度あたり苦しいんじゃないか、こういうふうに申されたわけでありますが、昭和三十四年度における減税が行われますのは、主として府県税で、市町村に及ぼす影響はそう大したことはない、御指摘になりました通り昭和三十五年度からは住民税のはね返りがございますので、相当減って参ると思いますが、これについては御要望もございました通り、別途財政から見なければならぬとわれわれも強く考えておるのでございます。昭和二十四年度に対しても、公共事業増加等の関係で、税収の伸びが足らないような圧迫を相当強く感じておられるのですか、どうなんですか。この点率直なる御意見を承わりたいと思います。
  66. 山本力蔵

    山本参考人 三十四年度は、全般的には御指摘の通りでございますが、町村を見ますると、税収の伸びはあまり期待できないわけでございます。作業税については、法人等があまりございません。特に私の町では、三十四年度の所得税の基礎控除が前年度より上っておりますので、むしろ引き下げになります。それから固定資産につきましても、これは幾らでもございませんが、免税が上りましたので、これも増収は期待できません。支出の方につきましては、人件費は義務的なものが上ります。予算は非常に青しい。ことに交付税明年度は一%上げていただきましたが、財政計山から見ましても、県の方にほとんど行ってしまいまして、町村は県の方から御示達かありまして、昨年以上は上げられない、そういう工合に予算を組めということでございます。結局事業の方が圧迫されるという現況でございます。非常に伸びるところはおもに市街地ということに考えるのでございます。さような状況であると考えております。
  67. 渡海元三郎

    渡海委員 引き続いて山本町長さんにお聞きしたいのでございますが、交付税の伸びは府県かおもであって、市町村が少いということは御指摘の通りでございますが、それでも市町村には本年度財政需要が伸びて、大体全国平均三・二という数字が出ておるのでございますが、今言われましたような関係で、ただ県の場合には非常に傾斜を大にして、後近県と先進県との間を少くしております。町村におきましても、そういった措置がほしいという御希望でごさいましたが、ことしは交付税の伸びの率が市町村に対しては少いのでありますけれども、今後もそういうようなことを強く要望されるのでありますかどうですか、さらにお伺いしたいと思います。
  68. 山本力蔵

    山本参考人 これは交付税算定のいわゆる後進地の補正の問題てございますが、今まであまりに差がございます。これを今回県につきましては、御当局におきまして、ある程度考えになったようでございますが、市町村につきましても、もう少し格差をなくしていただきたい、こう考えております。
  69. 渡海元三郎

    渡海委員 さらにお伺いいたしたいのですか、政府におきましては、わが党の政策を入れまして、このたび義務教育の施設充実五ヵ年計画を立てたのでございます。これに対しまして補助金がふえます一方、地方財政計画におきましても発行債を二十五億増加いたしまして、これが裏つけをしておるのでございます。市町村に及ぼす財政的な面におきましては、学校を建てるということか一番大きな事業であろうと思います。この政策に対しまして、五ヵ年で市町村かこれについていけますかどうか、この点の見通しと、御要望かございましたら、御要望もあわせてこの際承わりたいと思います。
  70. 山本力蔵

    山本参考人 市町村財政の裏づけができるかという御質問でございますが、この問題について私も研究が不足でございまして、あまりはっきりした御回答を申し上げられませんが、従来の文部省の予算から考えますと、現在老朽校舎の問題あるいは屋体の問題、統廃合の問題もわれわれの要望の何分のでございます。屋体等につきましても、大体普通の私どものような暖かいところは県に一つでございますが、これも要望がたくさんございますので、一校の分を七校にも八校にも分けるような状態でございます。それで、最近におきましても、中学校も戦後の中学がバラックでございますし、すでに老朽の仲間に入って参っておりますので、今回五十億が八十億近くに予算がふえまして、ありがたいわけでございますが、地方といたしましても財政的には楽でございませんけれども、これは教育施設の問題でございますから、何といたしましても国の五ヵ年計画に即応いたしましてやっていくことは間違いございませんが、さらにいま少し、まだこれで十分でないということをお考え置きを願いまして、御配慮を願えたらいいのじゃないかと思います。
  71. 渡海元三郎

    渡海委員 住民税が現在とり方が種々ございますが、これを統一せよという要望は久しい以前からございます。今回政府に設けられましたところの審査機関におきましても、これらは十分検討されることであろうと思います。この点につきましてオプション・ツーあるいはただし書き等をとっております市町村実情からながめまして、統一の方向に向かえるかいなや、これらに対する町村長会としましての御要望なり御意見がございましたら、承わりたいと思います。
  72. 山本力蔵

    山本参考人 この問題につきましては、原則といたしましては、全国的に統一すべきであると思っております。すなわち、オプション・ワンのところとオプション・ツーのただし書きのところとが境を接しておりますと、特に目立つわけでございます。しかし、実情考えますと、大体大都市がオプション・ワンでございまして、われわれ町村の七、八〇%はオプション・ツーのただし書きでございます。しからば町村のオプション・ツーのただし書きのところをオプション・ワンに変えますと、ことに農村地帯でございますと、三分の一ぐらいに住民税が減ってしまいます。都会でございますと減り方か少いわけでございます。財政の裏づけがございますれば別でございますが、このままではオプション・ワンにいたしますことはとうてい困難じゃないか。ところが都会におきましては一実際にオプション・ツーのただし書きをとりますと、事務的に相当煩雑になる割に税収が伸びないわけでございます。大体農村におきましてオプション・ワンとツーの差が大きいわけでございます。都会になりますと、経済的に見まして、せっかくオプション・ツーをとっても、そんなに税収が伸びない、採算がとれないというような問題もあるわけでございます。これで今回の税制改革につきましても問題があったと思いますが、私どもといたしましても、実はしたいのでございますが、町村側がすぐオプション・ワンにすることは、実際は困雑でございます。私の経験から申し上げますと、二十六年に私は町村合併をやったわけでございますが、そのときには周囲の農村がツーでございましたが、全部ワンにいたしました。税金を安くしょうと考えてオプション・ワンをとったのでございます。ところが農村では非常に不均衡かできまして、りっぱな農家が所得割を納めないで、月給取りの零細な者が所得割を納めるというような欠陥もございまして、不均衡が出た。均衡から見ますとオプション・ツーのただし書きの方が均衡を得ておるという点があるわけでございます。こういう点で農村はワンをとりますことになかなか問題があるわけでございます。この点確かに統一したいとは存じますが、市街地と農村地帯という違いがございますので、悩んでおるわけでございます。今後十分御検討を願いたいと思います。
  73. 渡海元三郎

    渡海委員 小松市長さんにお聞きいたしますが、新市町村に対する地方交付税の特例期間を延長せよということでございましたが、新市町村の建設がなかなか困難であるという事情はよく承知しておるのでありますが、他面あれは新市町村を促進するための一つの勧奨措置とも考えられるのでありまして、町村合併は大体完了したのでございますが、他面自主合併した地帯に対しましては、当然与えられるべき特典が与えられていないという点から非常な不均衡が生じておるのでございます。なおそれでも特例期間を延長しなければならぬというような理由がございますか、また適当な期間ということでございましたが、何をもって適当な期間基準とすると考えておられるのか、この点をお伺いしたいと思います。
  74. 小松勇次

    小松参考人 合併に伴いまして、新市建設についていろいろ計画を立てたのでございますけれども、大半のところが、その計画実行の半ばにあるようでございます。従いまして、合併されました各合併町村におきましては、この交付税が五ヵ年で打ち切られるということになりますと、その計画もここで中絶しなければならぬというような実情に置かれておるところが多いのであります。そのような意味合いからいたしまして、せっかく合併に基きまして新市建設の趣旨にのっとって進んでおる仕事を、この際なお一つ大いに完結させていたたきたい、かような意味からかような要望が強いのでございます。そうして、この年限につきましては、何年という標準もございませんが、およそ少くとも今の倍にはしていただきたい、一つなお五ヵ年間は延長して十年にしてもらいたい、かように思っております。
  75. 渡海元三郎

    渡海委員 特に今回の税制改革には関係ございませんのですが、熱海の市長さんは、従来遊興飲食税の地元還元という問題を強く要望されておると聞いておるのでございますが、シャウプ勧告によりまして、各税はそれぞれ独立してとるという方針に基きまして、遊興飲食税府県におさめられたのでございますが、かねがねの御主張でもございますので、この際一つそういった原則に対します特例として、特にそういった還元を望まれる点を端的にお聞かせ願いたいと思います。
  76. 小松勇次

    小松参考人 かねがねこの問題については皆さんにいろいろお訴えいたしておるのでございますが、私はこれが大体県税であるということが大いに間違って、おるのじゃなかろうかと思うのです。そういうことを申し上げてははなはだ失礼ですが、以前のように、地元と県でも、県なら県と分割徴収というような形を選ぶのが一番妥当であろうと私は考えるわけです。この税金は実は偏在した税金であります。そうして、しかもこの税金を増徴するためには、観光地あたりでは非常に努力をいたしておるわけです。たとえば、水道にしても温泉にしても下水の問題にいたしましても、その他観光施設に対してあらゆる投資をいたしておりまするが、県においては、そういうような問題に対しては何らの投資をいたしておらないのであります。これが大半だと思います。そうして、そのいろいろの施設をして、その施設によって多くのお家さんが訪れる、それによって上るこの税金一でありまするから、まずこれは地元に幾らか還元してくれてしかるべきではないか、かように思っておるわけでございます。熱海の例を申してはなはだ恐縮でございますが、われわれの市は人口四万六千でございます。しかしながら多くのお客さんを招くために——招かねば熱海が立っていかないのでありまするから、さような施設もいたしております。水道のごときも十万余の人口をまかなう水道でなければ用をなさぬのであります。ごみの始末にいたしましても、下水の問題にいたしましても、同様でございます。下水問題も今いろいろ計画を立てて今年から本格的にかかっておりまするが、これも三億くらいかかるのであります。これらもみな土地の四万六千の人口を養うだけの行政費であるならば別に問題はないのでありまして、地元だけでできるのでありまするが、そういうことも熱海の実情、観光地の実態としてでき得ないのであります。  しからば、そういう問題については、交付税算定基準に相なっておるか。交付税算定基準はやはり定着定住人口を標準にしておりますから、そういうものは入らないわけでございます。非常に多くの犠牲を払い過ぎておるわけであります。地元では苦しいわけであります。だから私は、観光施設を充実するために、観光施設充実の一つの目的税でいいと思うのです。そういう面においてこれを一つ分割徴収なり分割交付でもよろしいのですから、この道を開いて、いただきたい、かように思っておるわけであります。いろいろ理由は申し上げれば山ほどあるわけでございますが、それはもう皆さんのお耳によく通っておることと存じますので、私は一つ土地の苦しい実情をお訴えするわけであります。  熱海のごときは、交付税なんかは全然不交付団体です。熱海は交付税をもらわないから、裕福かといえば裕福ではない、今の交付税のいろいろの算定方式から参りますと、熱海は不交付団体に相なっておるが、それでは熱海は裕福かといえば一億五千万円の赤字で悩んでおる、非常に矛盾がある、そういうような実情にありますから、これは私がお訴えすることだけでなくして、皆さん進んで一つこの実態をよく御調査下さいまして、何分の御同情と御理解をいただきたいのでございます。
  77. 渡海元三郎

    渡海委員 最後に税の問題とはちょっと離れるのでありますが、いい機会でありますので、お伺いいたします。国民年金が三十四年度から実施されるということになったのでありますが、これは事務的の問題といたしまして、町村に相当大きな財源的なものも必要とするのではないか。厚生省当局の現在の立案によりましても、これらは十分考慮されておるとは思いまするが、市町村におきましても、これらに対する御要望等もまとまっておりましたならば、せっかく財政局長もお見えでございますので、この機会に伺っておきたいと思います。
  78. 小松勇次

    小松参考人 私の方では、この問題については、すでに昨年米から準備を進めておるのでございまするか、医者との関係で今まではうまくできなかったのです。今回はいよいよそういう問題も解消されたわけですから、本格に実施しようと考えております。明年から実施したいと思っておるのでございます。それらにつきましていろいろ要望したい具体的な問題もあろうかと思いますが、今ここに持ち合せがないわけでありますから、またあらためてその問題はお願いしたいと思います。よろしくお願い申し上げます。
  79. 鈴木善幸

    鈴木委員長 他に御質疑はありませんか。——別に御質疑もなければ、これにて両参考人に関する議事は終了することといたします。  参考人各位には、長時間にわたりお引きとめをし、また有益な御意見を承わりまして、ここに厚く御礼申し上げます。これにてお引き取りをお願いいたします。  この際午後一時まで休憩いたします。     午後零時三十八分休憩      ————◇—————     午後一時二十三分開議
  80. 鈴木善幸

    鈴木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  地方税関係法律案について参考人に関する議事を継続いたします。  ただいま御出席参考人は、公営企業金融公庫理事長三好重夫君、立教大学教授藤田武夫君、日本中小企業政治連盟広報局久保田正英君、大和運輸株式会社厚務取締役小沢輝君であります。  この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。地方税関係法律案につきましては、各界において一般的な関心をわせられる重要な法律案でありますので、目下委員会において審査を行いますると同時に、特に小委員会を設けて慎重審議を重ねておるのでありますが、本日はここに地方自治担当者であり、地方財政に御造詣の深い方々、また本案に利害関係を有せられる方々等地方自治団体の代表及び学識経験者の御出席をわずらわし、各案について御意見を拝聴し、もって本委員会審査に万全を期することといたした次第であります。つきましては、それぞれのお立場から、忌憚のない御意見の御発表お願いいたします。  なお、議事の進め方につきましては、参考人の方に御都合がおありになりますので、まず藤田参考人から御意見の御発表を願い、同参考人に対する委員側質疑を終了し、次に三好参考人、久保田参考人、小沢参考人の順序で御意見の御発表を願った後、各参考人に対する委員側質疑を行うことといたします。なお、参考人の御意見発表の時間は、お一人当り二十分程度お願いいたします。  それではまず藤田君に御意見の御発表お願いいたします。参考人藤田武夫君。
  81. 藤田武夫

    ○藤田参考人 立教大学の藤田でございます。実は、大学の方で三時から会合がございますので、はなはだ勝手ですが、最初に意見を述べさせていただくことにいたします。  大体五点ばかり私が今回の改正案について気づきました点を、御参考までに申し上げたいと思います。ます第一点は、事業税の、特に法人事業税軽減の問題であります。今回事業税個人及び法人を通ずる減税措置が講ぜられましたが、この減税措置が議せられたこと自体については、私もきわめて妥当な措置であろうと思うのであります。ただ、法人の減税につきまして、一般法人について、御承知のように、今回は年所得五十万円以下について従来の百分の八から百分の七、五十万円から百万円については百分の十から八、それから今までより少し刻みをこまかくいたしまして、百万円から二百万円までは百分の十二から十、二百万円以上は従来通り百分の十二、こういう軽減の率になっております。大体これでいいかと思いますが、ただ問題としたい点は、五十万円以下のところで百分の八から百分の七、すなわち百分の一だけ軽減されている。ほかの二百万円までのところでは従承知のように百分の二の軽減の割合であります。これを今かりに五十万円の所得者で見てみますと、その減税の割合は一二・五%、百万円の所得者は一六・六%、二百万円も一六・六%、三百万円の場合は少し少くなって一〇・六%になっておりますが、この五十万円以下の所得の法人というのが、実は日本のような小法人の多いところでは、法人の数でいきますと、課税法人数の六〇%以上を占めております。ところが、この五十万円以下のところの軽減の割合が、それ以上の百万円、二百万円といったような部分と比べて、今中しましたように少くなっている。この点今回主として中小企業等の擁護の立場から行われたといたしますと、問題として残るのではないかというふうに思います。  それから二百万円以上のものは一律に百分の十二、これは従来通りでありますが、負担の能力に応じた課税をするという理屈からいきますと、二百万円以上がたとい一千万円であっても、二千万円であっても、同し比例で百分の十二でいいのかどうか、もう少し累進率を考える必要があるのではないか、この点も一つ問題として残るように思うのであります。これが第一点であります。  第二点は、今回の事業税、特に個人事業税減税と、これによる各府県減収、これをどういうふうに埋め合せていくか、これが非常に大きな問題として残るだろうと思われます。御承知のように、今日道府県税というもののうちで、事業税というものは、三十三年度で見ますると、五四%という大きな比率を占めております。こういう半分以上の税収入を上げている事業税が、府県の則改に大きな影響をこれの減税によって与えることは当然でありますか、今個人事業税減税、これは基礎控除の引き上げによるわけでありますが、これをとって各都道府県等にどういう影響を与えているかということを少し例をとって見てみますると、三十三年度の個人事業税ですが、個人事業税の収入見込額に対する今度の個人事業税減税による減収見込みの比率というものを見てみますと、東京の場合には、個人事業税が二十億三千万円、そのうちで今度の減税で五億六千万円の減収にな6。その減収の割合は二八%、大阪の場合は十九億五千万円に対して減収か五億八千万円、三〇%こういう状態でありますが、方農村県と申しまするか、財政力の貧弱な県に参りますと、たとえば群馬県では、今まで個人事業税で一億九千八百万円上っておったもののうちから、一億一千万円というものがなくなる。つまりそれだけ減収になる。非常に大きいのであります。その減収の割合は五六%で、結局四四%しか残らない。長野県の場合で見ましても、その減収の割合は五二%、大分県が五六%、ほかにもいわゆる農村県にはこういう例がたくさんあるわけであります。こういうふうに見ていきますると、中小企業、個人企業の多い農村県に対しては、今度の個人事業税だけをとってみましても、事業税減税が非常に大きな打撃を財政に与えておるというふうに見なければならないわけであります。ところがこれらのいわゆる貧弱県におきましては、御承知のように、土木事業にいたしましても、教育あるいは保健衛生その他の一般の民生関係の行政施設というものは、他の富裕団体に比べてはるかに水準が低いのであります。その上に、国の今度の三十四年度予算において、公共事業費というものが非常に大幅に増加いたしまして、その公共事業費増加が三百九十二億円、そのうちで地方負担分としてふえるものも二百七億円に上っている。この公共事業費負担というのは、これは事業の性格上主として都道府県において負担がふえる部分が大きいのでありますが、今まで民生関係の行政の低いところに持ってきて、今後新しく道路整備計画の実施とかその他公共事業費か相当道府県においてふえることが予想されるのであります。こういうときに当りまして、先ほど申しましたよ)に、個人事業税だけをとってみても、今までの税収入の半分以上か減少する、こういうことで果して道府県の仕事がうまく今後運ばれ得るものであるかどうか。もちろん、一方において地方交付税を一%引き上げて、それと前年度の繰り越しで二百四十六億円はかりあるわけですが、こういうもの、その他軽油引取税等もあるでしょうが、そういうものも充てるわけではありますが、うまくこの交付税が貧弱なそういった大きな打撃を受ける府県に回されるものであるかどうか、この点が御審議を願う場合の重要な問題になるというふうに思うわけであります。現在間もなく地方選挙か始まるわけで、候補者が公約をしたり、いろいろするわけですが、こういった財政状態のもとではなかなか公約の実現もむずかしいので、この点十分に御検討を願いたいと思います。  第三点といたしまして、三十四年度において事業税と固定資産税を減税をする。それによる減収が初年度において百一億円、平年度二百三十五億円といわれておりますが、これを埋め合せる一つの大きな財源として地方交付税の繰入率が今申しましたように一%引き上げられたのであります。最近地方税を一部減税をして、それによる減収交付税によって埋める、こういうやり方がしばしば行われ、また今度の減税問題につきましても、大蔵省その他においても、たとえば法人事業税なり法人税割を低めて、そうして交付税をふやすというふうな案も出ているようでありますが、地方交付税というものの本来の役割からいたしまして、こういうやり方が特に地方自治財政という立場から見て正しいかどうかということを考える必要があると思われます。これは非常に極端な仮定なんですが、地方税をどんどん減税し、あるいは地方税の独立税を縮めてしまって、そうして交付税で全部まかなってもいい、こういうことも極端な場合は仮定されるわけですが、これでは地方団体財政自治というものは非常に拘束されざるを得ない。本来地方交付税と申しますものはシャウプがこれを唱えたときもそうでありますが、地方に適当な必要な独立税源を与える、そうしてそれでもなおかつそこに貧富団体間の税収入のアンバランスというものがどうしても生まれてくる、そのアンバランスを埋めるために地方交付税というものを使うのであって、地方の独立税源を幾ら縮めてもいい、ただそれを計数の上で埋め合せれば、交付税をふやしていけばいいのだ、こういうことは、地方自治という建前からいうと、非常に問題のあるところであります。シャウプ勧告の場合も、御承知のように、地方の独立税を約三割ふやして、そして、しかも地方財政平衡交付金というものが従来の配付税よりもかなり増額されたのであります。そういった意味からいたしまして、今度だけの問題ではありませんが、地方の独立税を減税をして、それをただ交付税で埋めればいいという考え方は、十分吟味する必要がとあろうか思います。本来の建前から申しますれば、たとえば今度の事業税減税などは、最初申しましたように、けっこうな措置だと思いますが、そういう場合には、他方できるだけ地方の独立税、なるたけ敷衍的なものがいいと思いますが、たはこ消費税というふうなものをふやして、そしてなお貧弱団体がどうしても足りないという部分を交付税で埋める、これが理論的には正しい行き方ではないかというふうに思うわけであります。次に第四点といたしまして、今出されております地方財政計画における税収入の見積りと、それから今度の減税との問題に入りたいと思います。地方財政計画で見ますると、御承知のように、地方税は三十四年度において五千四百九億円、これは昨年に比べて、これは譲与税は入っておりませんか、三百四億円の増収を見積っております。今度の減税の実施によって百一億円の減収がある。一方軽油引取税で四十一億円ばかりふえますか、差し引いても六十億円ばかりの、その税法改正だけを見ますると、減収になるわけですか、そういうものをカバーしてなお三百四億円の増収を見込んでおります、その増収の見込みの内容は詳しく発表されておりますが、たとえば道府県の場合には、道府県民税だとか道府県の不動産取得税、遊興飲食税、自動車税、こういうもので八十二億円ばかり増収がある、市町村の方では固定資産税、これが一番大きいのですが百九億円、減税を引いてなお百九億円、それから住民税など六十一億円、そのほか電気ガス税、たばこ消費税等で二百二十三億円の増収を見ております。こういう三百四億円減税も引いて、なおそれだけの増収が果して三十四年度において実現されるかどうかということに私はかなり疑問を持つわけであります。一つは、御承知のように、地方税に対する経済界の景気の動向の影響というものは一年おくれて一般に現われるわけですが、三十三年というのは御承知のように景気のよくない不況の時期であります。それが今度の三十四年度に現われるわけでありまして、境に三十三年度は、三十二年度と比べると、国民所得の伸びも、従来と比べて、企画庁の発表によりましても非常に少い。特に三十四年度は、三十三年度に比べて、農林水産所得などは、企画庁の見積りでも減っております。 こういう状態において果して三百億円以上の増収が期待されるかどうかということであります。もし計画を立てている以上、それだけの増収をもたらすということになると、いろいろな影響が現われて、たとえば事業所得を水増しをして査定をする。これは私が地方へ行ったときにある県でそういうことも聞いたことがあるのですが、これは県の財政が苦しい場合にともするとあり得ることだと思のですが、そうなると、せっかく中小企業の負担軽減措置をとっても、それが効果が上らない、あるいは固定資産の評価を引き上げる、正当な引き上げであればいいかと思いますが、そういうことによってせっかく百億円の減税が行われても、それが一方税収の過大な見積りの影響によってその効果が減殺されるようなことになりはしないか、これが指摘いたしたい第四の点であります。  それから最後に第五点でありますが、これは、地方税の減免税措置の整理の問題であります。現在地方税の固定資産税について、企業合理化促進法による機械設備あるいは電機事業関係の施設その他いろいろの条項によってその固定資産の評価を二分の一あるいは三分の二にして、それだけの固定資産税の減税をはかるとか、あるいは電気ガス税について、一定産業については営業用の電気ガスには免税をする、こういう措置が行われております。この電気ガス税の免税だけでも、こういう営業用の電気ガスの料金の総額というのは、電気上へ料金総額の約三分の一になるということが自治庁の調べでも出ておりますが、これから見ますると、おそらく減税総額は百億円をこえると思います。従って、固定資産税の方も含めますると、おそらく二百億から二百五十億、正確に計算したことはありませんが、それくらいにはなるかと思います。御承知のように、国の方においては、二、三年前から臨時税制調査会等におきまして租税特別措置の整理が行われております。まだ十分に行われたわけではありませんが、ある程度特別な産業なり特別な理由によって減免税を行なってきたものが、その必要を再検討して、これを整理するという方向で行われておるのであります。地方税の場合におきましても、今申しましたような減免税措置は、昭和二十四、五年当時の日本の経済の安定樹立をどうしてもはからなければならない、また企業の資本構成も非常に貧弱である、利潤も十分上らない、こういう時代には、そういったことをして日本経済の樹立安定をはかるということは、これは当時としては意味があったかと思います。しかし、今日では、かなり資本の蓄積も行われ、日本の経済もりっぱに自分の足で立つような状態に変ってきておるわけでありまして、国の方でそういう特別措置が再検討されれば、それとのバランスからいっても、当然こういった問題を地方税においても再検討する必要が、減免税されない人との均衡の問題からいってもあるのではないかと思いますので、ぜひそういうことをやっていただきたいというふうに思うわけであります。  以上、大体五点についてここでお話を申し上げたわけでありますが、私も今学年木で忙しいときに出てきておるわけであります。私、公聴会や参考人によく国会に呼はれるのですが、ぜひ一つ、御参考になる点があれは、十分審議で取り上げて反映させていただくことを最後に特にお願いをしておきます。
  82. 鈴木善幸

    鈴木委員長 藤田君に対する質疑を許します。渡海元三郎君。
  83. 渡海元三郎

    渡海委員 お忙しいところを、どうもありがとうございました。二、三点お伺いさせていただきたいと思います。  最初に事業税の問題であります。法人事業税の今度の減免の率につきまして、今お話を承わったのでございます。われわれも非常に疑問とし、いろいろ審議をいたしましたことにつきまして端的に御指摘をいただきましてまことに敬服したのですが、今問題として取り上げられました五十万円以下の問題、この問題は、現行法がすでに八%になりまして、前回の改正のとき引き下げされたというふうに記憶しております。それともう一つは、御承知通り個人事業税が一昨年ですかの改正のときに、所得五十万円以下のものを八%から六%に落しまして、現在六%になっております。現在法人と個人との姿が日本の税制で平等に扱われていない関係か、法人というものが、相当多く、個人事業でありながら、名儀上の税制のための法人ということになっておる姿が多いのですが、そういった点を考慮いたしまして、五十万円以下の分を個人と同様に六%にするかいなかという点と、ただいま先に五十万円の率を引き下げたために、もう切る余地がないということから、むしろ今御指摘になったようなそれ以上の分と比べまして減税率が少いのではないかというような不均衡が起ったのです。この点につきまして、個人と法人との税制制度のあり方について非常に考えなければならない点が税制制度そのものの中にあるのではないかと思うのですが、これらの点につきまして御意見を承わりたいと思います。
  84. 藤田武夫

    ○藤田参考人 お答えいたします。五十万円以下の法人について、昨年減税措置が講ぜられたことは、今お話の通りだと思いますが、たとえ昨年そういう減税措置が講ぜられておりましても、何しろ五十万円以下というのは御承知通り中小企業のうちでも非常な小企業だと思うのですが、そういう企業の負担能力ということから考えまして今度大体百分の二ずつ引き下げたわけですが、それと同じ程度の百分の二の引き下げに均霑させるといいますか、それと同じだけの税率を引き下げても、負担能力の上からいえば、決しておかしくないのではないかというふうに思います。  それから、個人と法人との関係でありますが、個人の場合には第一種所得は百分の六でありますが、今度は五十万円以下の場合は百分の七であります。なるほど日本の場合には小法人が、つまり法人成りの形で非常に多くできるわけですが、その場合に、個人の場合であれは、所得の把握が法人の場合よりも困難であるということが一般にいわれると思うのです。そういう点から見て、税率に差を設ける必要があるかとも思いますが、これはできれば、私の考えでは、個人の方の所得の把握はだんだん改められてきているようでありますが、十分正確に把握するようにして、それによって法人の方の五十万円以下の所得についても百分の六ということにする方が、負担関係からいうと妥当ではないか、そういうふうに思います。
  85. 渡海元三郎

    渡海委員 なお、法人事業税の税率につきまして、二百万円以上を一二%に置いて、それ以上についてもいま少し段階を設けるといいますか、適用してもいいのではないかということ、これはごもっともであろうと思います。私たちも、法人事業税が現在二百万円というので、制限税率を設けております関係もございまして、二百万円以上は、割愛するというふうに政府の方でせられたのだろうと思いますが、これは法人税と合せて、現在二百万円というものを制限税率の対象にすべき段階であるかどうかという点について、これは法人税とともに考えなくてはならぬ次の問題じゃないかと思いますので、この点について先生から御意見がございましたようですので、さらに詳しく承りたいと思います。
  86. 藤田武夫

    ○藤田参考人 法人事業税の二百万円以上の部分の税率の問題でございますが、今お話しのように、法人税か国の方で取られておって、それと合せた負担関係ということが当然に問題になると思います。しかし、法人税の方は累進にはなっておらないわけです。それで、この法人事業税を二百万円で抑えたというここと——これは前はおそらく百万円まででやっておったと思うのですが、二百万円で押えて、それから以後を比例制にするという、その二百万円ということに一体どれだけのサミットを置く根拠があるのか、私よくわからないのです。御承知のように、事業税というものは、最初は累進でなくて比例制で行われておったわけです。そういう関係からいってある程度累進すればそれで負担能力に応じ得るのじゃないかというふうな考え方で、累進を適用する場合にも、そんなに累進税の理屈を考えて、そう深くこの税率の刻みをやったのではないと思うのです。そういう影響で、おそらく二百万円程度で打ち切られているのだと思うのです。もし累進税率を適用するのであれば——この点は今何百万円ということはちょっとお答えいたしかねますが、もう少し高くと申しますか、二百万円から上はまた五百万円で切るとか、さらにそういう段階を設けることが、本来の累進課税建前に一致するのではないかと思います。
  87. 渡海元三郎

    渡海委員 ただいまのお話の中にも、事業税府県税において占める割合が大である。しかもこれが減税されることによって、独立財源をなくして、調整財源と思われるような交付税でいつもまかなわれる方針でございますので、地方の自治の本質が、財政面からくすされていくおそれがあるということを御指摘になっておりますが、ごもっともであると思います。他面、事業税は悪税であるという声も聞き、これが全廃論すら起きているのであります。現在の府県財政から考えまして、相当大きな比率を占めている事業税を軽々に動かすことは困雑であるという両方の理由から、非常に困雑をきわめているので、今回のような措置になったと思うのですが、独立財源を与えるということを根本的に考えなければいけないので、政府もこのたび国、地方を通ずる税制の調査会というものを法で設けまして、審議に当ろうとしているのでありますが、応益課税たる事業税にかわるような企業課税とか、あるいは前のシャウプ勧告でいわれました付加価値税とか、いろいろな問題が取り上げられるのではないかと思うのであります。これにかわるような独立財源を見つけることが、地方財政にとりまして今後重要なる課題になってくると思います。これらの点につきまして、頭に浮べられる御構想でもありましたら、この際承わらしていただきたいと思います。
  88. 藤田武夫

    ○藤田参考人 非常にむずかしい御質問でありますが、府県というのは、御承知のように、国と市町村との間にはさまつている団体で、絶えず独立税の問題では悩まされており、なかなかわれわれもいい知恵が出てこないのですが、事業税式のものを府県に置いておくということは、現在の状態ではやむを得ないのじゃないか。外国の場合にも、私、一昨年アメリカ、ヨーロッパへ参りましたが、地方団体で、日本の事業税とはだいぶ違いまして、特殊な営業に多いのですが、事業税課税している国がかなりあります。そういう意味で、事業税の比重かこんなに大きいのがいいかどうかということは問題があると思いますか、ほかに適当な財源がないという意味が主になりますと、やはり事業税は必要では大いかと思います。  それから、ほかに独立の財源でありますが、これも際上やはりむずかしいことであるのですが、一つはこれはよくだれでもあける税金ですけれども、先ほども私がちょっと申しましたようなたばこ消費税、こういうものであれば、割合に団体の財政力に左右されて偏在する。もちろん偏在はしますか、偏在の度合いが割合少いので、従って交付税の必要も割合少くなるというようなことで適当ではないかと思います。  それから、府県の性格が変らないと、すぐにそういう結論を出してはどうかわかりませんが、私は前から道府県というものは、市町村の場合のように民生関係の行政に重点を置くよりも、むしろ事業と申しますか、事業といっても民間事業とは違うわけでありますが、たとえば総合開発とかあるいは道路とか港湾、そういった事業的な行政に、むしろ市町村との区別をつけて重点を置いた方がいいのじゃないか、そういう一つ考えを持っておるのです。もしそういうことになりますと、その事業の利益によって、応益的に課税するという税金が必要になろうかと思うのです。事業税もその一つにはなりますか、ほかに現在市町村で取っております固定資産税のうちの償却資産に対する府県課税というふうなものを、現在大規模の償却資産については一部府県で収入を上げておりますが、もう少しあの考え方を拡充して、償却資産全部といっていいかどうかわかりませんが、ある一定範囲の償却資産については、府県課税して収入を上げる、そういうことも考えられるのじゃないか。これは市町村にも影響を及ぼすので、市町村の税金の立て方と同時一に考えなければいけないわけですが、そういうことも一つ考えとしては考えられるのではないかというふうに思っております。
  89. 渡海元三郎

    渡海委員 ただいま税収品見積りの点につきまして、景気の変動が地方税収に及ぼす影響という点から、むしろこれが水増し等の徴税によって行われるのではないか、かえって減収にならないのではないかという御指摘がありましたが、まことにごもっともな御意見であろうと思います。私たちもこの点非常に考慮したのでございますが、税収見積りを見てみますと、法人税割におきましては、むしろ府県税については自然増は減るのだという数字を出しておられますし、また市町村民税の力におきましての法人税割も、ほかの税率に比べたら、なきにひとしいという数字が出ておりましたので、この点を十分計算に入れて作られたのであろう、このように考えておったのでございますが、御指摘になられた点は十分心配があると思いますので、この機会に税務局長さんから、これらに対する考慮はいかに払われておるか、一応御説明していただきたい、かように思います。
  90. 金丸三郎

    ○金丸政府委員 明年度の法人関係の税の見積りでございますが、地方税法人事業税及び法人税割は、私から申し上げるまでもなく、三十三年度におきます国税の法人税の実収の見込みによって計算をいたして参るようなわけでございます。昭和三十三年度の経済界の推移も大体固まって参り、国税の見積り等もだんだん固まって参りましたので、それに基きまして三十四年度の法人事業税及び法人税割算の見貼りをいたしたわけでございます。実は、国税におきましても、三十三年度、それから三十四年度とも法人税の伸びが少いわけでございまして、地方税におきましても、それはその通りに現われておるのでございます。  ただ地方税でも、市町村の固定資産税はすでに会社関係の投資の状況に基いて償却資産を計算いたしますし、土地は三十三年度から据置でございますが、主として家屋の新築等が相当に伸びております関係から、三十三年度の市町村税では固定資産税が相当に伸びて参っておるのであります。しかし、これは面積その他詳細な資料に基いて推定をいたしておりまして、仲びが非常に苦しいようでございますけれども、私どもはその程度は十分に徴収が可能であろう、こういうふうに考えておる次第でございます。  住民税につきましては、これは所得の伸びが国におきまして来年度初年度四百億近い減税をいたしましても、国税所得税の伸びが数行億ございます。そのように国民所得の伸びが非常にございます関係から、市町村税として非常に大きい市町村民税、従いまして、府県の住民税につきましても相当に伸びがある、かように思っておるわけでございます。  それから、電気ガス税あるいは用県市町村を通じますたばこ消費税、これらのものも、電気の消費量の伸び、ガスの消費量の伸び、たばこにつきましては専売公社の明年度におきます売り上げの見私り、そういうものを基礎にして積算をいたしておりますので、私どもの計算にさほどの狂いはないのではなかろうか、かように思っておるわけてございます。  府県ではなお自動車とかガソリン等がございますが、これも御承知のように、最近、毎年々々当初の見積り以上に非常に仲びて参ってきております。  以上申し上げましたように、府県市町村のおもな税目は、いずれも相当に伸びる力を持っております。ただ法人税だけが、国税におきましても、著しく伸びがほかの税種に比べまして停滞をいたしておりますので、藤田先生のような御心配も出て参るのではないかと存じますけれども、各税百ごとに各種の基礎資料から推定をいたしますと、私どもは、明年度減税を除きまして、三百五十数億の伸びは十分にあのではなかろうか、かように実は推定をいたしておる次第でございます。
  91. 渡海元三郎

    渡海委員 最後に一つ、租税の特別措置につきましてお話がございましたのですが、経済界の安定とともに、これらの特別整理を行うことは当然のことと思います。ただ一点、電気ガス税でございますが、電気ガス税の場合は、経済界の新規産業の育成その他というふうなことよりも、むしろ消費税として純化していくのだというふうな、電気ガス税の税の本質論のためにああいった問題も起り、このために生産費に占める率が五割以上のものを取り上げてやったのだというような法理論的根拠からこの電気ガス税を今置いておられると思いますが、この電気ガス税を消費税として純化していくのがいいかどうか、特別税法の中でも理論が少し違うと思いますので、電気ガス税に対するこの減免措置を、消費税として純化していくために、現行制度を維持する力がいいか、この際変えることがいいか、電気ガス税の本質論に戻って先生の御意見を承わりたいと思います。
  92. 藤田武夫

    ○藤田参考人 電気ガス税が純粋に消費税としての建前で設けられているかどうかということは、これが単に消費税として取られているのだというふうには今まで私は考えておらなかったのですが、一定の重要産業について、今お話のように五割以上云々で電気ガス税を免税するということには、固定資産税の場合の減免制と同じように、やはり重要産業を育成して、日本経済の——減税されているのは石炭とか鉄鋼とかそういう場合が多いのですが。そういう基礎的な産業の生産を推進する、そういった意味も十分含まれて免税されているのだというふうに私は考えております。従って、そういう意味があれは、それは国の方の特別措置の整理と同時に考えるべきである、こういう建前でお話をしているわけでございます。
  93. 鈴木善幸

    鈴木委員長 他に御質疑はございませんか。——それでは、これにて藤田参考人に関する議事は終了いたします。  藤田君には、御多用中のところ御出席を煩わし、有益な御意見の御発表をいただき、ここに厚く御礼を申し上げます。これにてお引き取りを願います。  次に、三好君に御意見の御発表お願いいたします。参考人三好重夫君。
  94. 三好重夫

    ○三好参考人 勉強が足りませんので、これからお話を申し上げますことが御参考になるかどうかわかりませんが、最初に、今回の改正案に対する全体的な問題の考察をしてみたいと思いますが、税制改正の問題につきまして、地方制度調査会あるいは税制懇談会等におきまして、しばしば論議されました言葉に、地方税に関しまして、これは押しつけ減税である、あるいは思いつき減税である、持ち出し減税であるというふうな言葉か使われたのですが、この改正案に対する総体的な立場から意見を加え、批判してくれということになりますと、勢い、押しつけ減税、思いつき減税、持ち出し減税という三つの観点からお話し申し上げる方が、都合がいいかと思うのでございます。  最初の、押しつけ減税という非難に近い言葉でありますが、この言葉から考えられますことは、主としてこれは地方自治立場から問題を見ていこうという考え方であろうと思うのであります。もし地方自治というものを極度に尊重して考えますならば、根本的に、中央の税と地方の税を入れかえるとかいうようなことをやる場合は別といたしまして、一応これが地方の税だというふうにきめました限りにおきましては、地方税減税等は地方団体に自主的にやらすのが本筋ではないか、私はこういうふうに考えるので、地方の意思にかかわらず中央から押しつけて、中央政府が国の法律一本で地方減税を行う、あるいは行わしめるということは、地方自治の、激しい言葉でいえば侵犯じゃないかと思うのです。こういうことでありますから、今回の措置でも、もし地方自治という立場を固守いたしまして考えますならば、中央でかような勧告案をおこしらえになって、中央ではこういうふうに思うから地方団体もできる限りこの線で減税をやらないかというような措置をおとりになるのが一等望ましいことじゃないか、かように思う次第であります。国の法律一本で——現在地方団体減税の必要はありません、減税できません、減税をやるのがいやであります、こう言っているのか実情であります。午前中もおそらくお聞き取りになったと思うのでありますが、それに対し、国から、そのいや、かるものを無理に減税さすというようなことは、根本的改正の場合を除いては好ましくない、かように思います。  それから、この観点から少しこまかく立ち入って考えますと、地方税は、申し上げるまでもなく、一面において国民負担でございますけれども、同時に地方自治財源でございます。この地方自治財源に対して、毎年々々かような押しつけの減税のようなことが行われる次第でありますが、これは地方団体にとりまして、将来の財政の見通しを非常に動揺せしめるものである。今日の状況から申しますならば、財政の窮乏下に、あるいは、せっかく立ち直りかけている状況を悪化させて、これに拍車をかけるものじゃないかという懸念を持つ次第であります。  先般、九州方面その他に参りまして、旅行のついでに三、四の府県に寄りまして、明年度予算編成の時期でございましたので、その状況について忌憚のない、実際に当面しておられる心情というものを、係の方から打ちあけめいた話として承わりました。相当富裕な府県もございますが、いずれも、明年度財政が非常に編成難であるということを漏らしておられる。ちょうどなべ底景気で、税の伸びは期待できない今、金丸さんから御説明がございまして、税収は相当増収があると言われますけれども、これは地方々々によりまして、その地方の経済構成いかによりましては、伸びどころか、減収になるところがもちろんございます。数字を調べておりませんからわかりませんが、繊維産業のごとき産業に大きく専業税を依存しているような県におきましては、むしろ減収、あるいは減収をそのまま維持しておるという格好になっておるのじゃないかと想像するのであります。いずれにしましても、なべ底景気で税の増収は期待できない。そこへ、これはいいか悪いか知りませんけれども、本年は選挙かあるので、どうしてもある程度経費を計上せざるを得ない、これは理屈を抜きにして実情であります。  そのほかに、給与の引き上げ公共事業の割当がうんとふやされて、地方負担がふえてくる。にもかかわらず、補助率は引き下げられて、補助金は減らされる。そのほかになお、国民の税金が高いからお前たち負担減税しろ、こういうふうなことを言いつけられておるのでありまして、予算編成が非常に困難であり、場合によっては公共事業費も返上しなけれ、はならぬのじゃないだろうか、こういう声をあっちでもこっちでも聞いたような状況であります。私冗談に、どうも泣く子にハチという言葉があるけれども、泣く子にハチではなくて、アブに刺させて、蚊に刺させて、ノミにたからせて、南京虫にたからせるようなひどいことじゃないかと言って笑い話——あまり感心した笑い話でもございませんけれども、した次第であります。地方財源としての地方税の問題はそういうことでございますが、もとより地方税国民負担でございます。しかし、この負担か高いか安いかということを見ますのは、国民負担立場よりも、やはり地方負担立場から批判さるべきである。国の方で、法律に書いてある税率を見て、高いの、だ安いのだと言うことも一つのいき方でありましょうけれども、それだけで果して実質上の高い安いがつかまれるかということにつきまして、私は疑問を持つのであります。一つは、団体々々の事情、地方々々の事情によりまして、税の負担が違うのであります。一例をあげますならば、自動車税でありますけれども、東北のようなところでは、半年の間、雪のために自動車が使えない、使える時期においてもよそほどお客さんがない、利用することも少いというような地方がございます。これは一年中使えて、大いに繁盛しておるところの地方の自動車税と比べて、率は同じでありましても、結局高いと言わざるを得ないのであります。実態によって高い安いの判断も異なってくるのじゃないかと思うのであります。これはひとり自動車税だけではございません。固定資産税についても同じことが言えると思うのでありまして、今日のごとく地価を課税標準にいたしております限りは、そういうことが起る。たとえば、雪国の家というものは、不必要に大きく、しかも不必要に丈夫にこしらえなければならぬということが考えられます。あるいは田地にいたしましても、米作の単作以外には利用のしょうがないというふうなところにおきましては、土地の価格と別個に収益力なりその他が低いわけでありますから、こういうところで、全国同じ税だからこれで公平なんだと言えるのかどうか、むしろそういうところはよそに比べて安くなければならぬのじゃないか。事業税についてもまた考えられるのであります。それからさらに経費との関係というものが、国税についてもそうでありましょうが、地方税についてはなおさら考えられなければ相ならぬと私は思うのであります。たとえば、自動車税について考えましても、道路が非常に改修されて、舖装もよく行き届いたところにおきましては、車体のいたみ方も違えば、ガソリンの減り方も違う、タイヤもそうかえなくて済むということであり、またいなかの道に行って、狭い道で、行き来するのに十分も二十分もかかるというでこぼこ道では、車も早くいたむ。かりに同じ税率でやっておりましても、道路のいいところの自動車税は安く、道路の悪いところは高い、こういうことになるのじゃないかと思うのてあります。住民税にいたしましても、学校がりっぱに整っておる、あるいはスクール・バスを使っている、消防がりっぱにできているというふうなところでは、少々税か高くてもそれはけっこうなんじゃないかと思うのでございます。ちようど宴会で、ごちそうの非常に多い宴会でございますと、少々金目がかさんでもそう高いわけじゃない。ごちそうのろくにない宴会では、会費が安くても、その程度によっては案外その方が高いかもしれないというのと同じで、公定価格のついておりますビールでも一流の料理屋へ行きますと百二十円のものが百八十円も二百円もする。しかし、高いと思って飲む人はないので、そういうところで飲めばこれは当りまえと思って飲んでおるようなわけです。ちょうど税の方もそういうふうでありまして、一がいに中央で、ただ数字の率を見て、高いのだ、安いのだと——一つの目安には違いありませんが、それだけできめ得ないというところに地方税の特質があるように考えるのであります。にもかかわらず、中央からかようなやり方で押しつけ減税をやられますと、下げなくてもいい、つまり施設その他の関係から考え、あるいは地方実情から考えて、そう高く考えられない税までも下げさせなければならぬような事態が起る。これが私は押しつけ減税一つの弊害だろうと思うのであります。  第二は、思いつき減税とよく言われておる問題でありますが、これは税制懇談会、地方制度調査会もそうでございましたが、こういうことはよろしくないという意見か、答申の中に盛られておるのであります。私は地方税制の改正というものは、今日根本的に行われなければならぬ事態に相なっておるということを認めておる。むしろ信じておる方でございますが、その理由はどこから来ているかというと、昭和二十九年にシャウプ税制というものに相当大きい改革を加えられて、すでに四、五年たってはおりますけれども、まだその程度のところで、相当思い切った改革を加えなければならぬという事態はどこから来ているかと申しますと、私の見るところでは、一つは、地方の経済事情の変遷というものに影響をされていると思うのであります。経済の跛行的発達というものがいよいよ顕著になりつつある影響一つ考えられる。同時にもう一つは、国の手によって毎年々々ちびちび地方税がいじられるということが、今日地方税制を根本的に見直さなければならぬという事態に追い込まれている一つの原因じゃないかと思うのでございます。ちょうど昨年でありましたか、自伝市税が廃止されました。私、至るところの会合で申し上げるのでありますけれども、その結果、地方全体としては、たばこ消費税をもって財源補てんは完全に行われる。しかし、実際にはどういう結果になったかと申しますと、貧弱団体においては財源を喪失する、しかもそれは交付税で十分に補われる以上に喪失してしまっている。富裕団体においては——富裕団体といっても、使いなれた言葉で言うだけでありまして、実際には幾らでも金か要るのでありましょうが、そういう団体においては、かえって増収を来たしておるというような結果になっておる。これはやはり地方税制に一つの大きなひずみを与えておるのであります。そういういろいろな改正が常にそういうことで今日まで累積してきて、改正しなければならぬ理由の一つになっているのじゃないかとも思いますので、思いつきで減税するというようなことは、できたら避けたがよろしい。幸い調査会をこしらえられまして、数年後に大改正をおやりになる御予定だそうでございますから、しごくけっこうと思うのでありますが、今度改正をやられましたら、途中で次の大改正を十年先なり二十年先なり行われますまでは、地方税についてはやらないというぐらいの御方針をおとり願った方がいいのではないか、かように存ずるのであります。  第三の点は、持ち出し減税の問題でございます。私は、この持ち出し減税の問題について、いろいろな会合で御論議を拝聴いたしておったのでありますか、地方は現在苦しいから持ち出し減税はできません、こういう御意見が圧倒的であり、ほとんどそればかり。もちろん私はこれを否認するものでも否定するものでもございません。非常に苦しいから、持ち出してまで減税はなできいということはあり得ると思うのでありますが、そのもう一つ前の問題として、私は地方自治立場から、極端なことを申しますれば、どんなに地方に余裕があっても、国から強制された減税はできませんという立場をとることが、ほんとうの地方自治を愛するものの行く道だ、かように考えておるのであります。ことに今回の改正におきましては、地方税減税のかわり財源というものは、固定資産税の税源外課税をお引き下げになった跡始末以外は、一文も穴埋めされておらないような格好じゃないかと想像するのであります。これに対しまして、交付税において一%の引き上げをやって、それが実はかわり財源だという御説明もあるのじゃないかと思うのであります。また自治庁長官の交付税法改正案の御提案の理由を拝読いたしましても、さように解釈される節があるのでございますが、私はそうは思わない。交付税引き上げというのは、実は引き上げではございませんで、税率の調整にほかならない。国が所得税の減税を行う結果として、交付税が反射的に減ってくるのでありますから、改正なかりし以前の収入を確保する意味で交付税の繰入率を引き上げる、いわば調整だ、かように考えるのであります。今回の一%の引き上げの税収は約八十二億円前後だということでございますが、国税改正による交付税減収は百十億前後と私ども聞かされております。そうすると、一%の税率の調整を行いましても、なおまだ穴埋めになっておらないような格好であります。私の言う通りであるといたしますならば、交付税でさえまだ埋め足りない、いわんや他の諸税については一文も補てんが行われておらない、かように考えるほかはないと思うのであります。ことに、多少どうかと思いますのは、この財源の剥奪、これは言葉が激しいので申しわけございませんが、ただ地方財源喪失せしめたというだけならいいのでありますけれども、帝業税の改正のごときにおきましては、たしか十億前後のそろはんになると思いますが、それが国の方の増収になる。これは金額は大したことはございませんけれども、地方税減収せしめて、そのかわりに国の方に十億の財源を移した、かような結果になるわけであります。私はかようなことが果して地方自治立場から容認し得るかどうかということにつきまして、多大の疑問を持っている次第でございます。  なお、全体的な立場から卒直にという委員長のお示しでございますので、忌憚ない意見を申し上げたのでありますが、なお個々の税について若干申し上げさせていただきたいと思います。事業税でございますが、個人事業税につきまして、私は基礎控除の引き上げについて疑問を持つものであります。藤田先生は、個人事業税をもって所得税と同一視されまして、累進税を適用すべきであるという御意見でございますが、私は今日の事業税というものは、あくまでも物税だというふうに税の理論からは考えますので、大体基礎控除をするということ自体がどうかと思うのでありまして、いわんやそれを引き上げるということについて、若干の疑問を持っております。一時試案として免税点というような考え方がおありになったようでございますけれども、それだとどうしていかぬかというと、その境目品の辺でちょっと不合理なところが起るというのでおやめになったのではないかと思うのでありますけれども、こういう基礎控除の引き上げ方によってどういうことが行われるかというと、二十万円以上の所得者につきまして、すなわち高額所得者につきまして、自治庁長官の御説明にもあります通り、軒並み四千八百円の減税を行なっておるのであります。私は何百万、何千万という収入のある者に、なぜ四千八百円の減税を行わなければならぬのかわからない。中小企業の下の方が気の毒というなら、免税点でおやりになればいい。免税点の境はところで、口立って変なところか起るというならそれは割り切ればいい。その不合理よりも、二十万円以上の所得者全部に対して四千八百円の減税をするという方がはるかに不合理であります。形式的な不合理を克服するために、実質的な不合理をあえてせられる必要はないのではないか、かように思うのであります。  それから法人事業税でございますが、これにつきましてもやはり個人事業税におけると同じような問題がございます。同時に私疑問を持ちますのは、法人の負担軽減するということでございますならば、何ゆえ地方税たる法人事業税を選ばれたのであるか。法人税において負担軽減を直接おやりになれば、もっと効果的であったのじゃないかと思うのであります。その点はどうしてこういうことに落ちつきましたのか、疑問を差しはさまざるを得ないわけであります。先ほども申し上げましたように、国へ財源地方から移譲するような格好が起るのも、そういう減税の結果だと思います。  第三に、固定資産税でございますが、制限率を二・五かり二・一に引き下げられておるのであります。この内容について何がしかの意見はございますが、まあ引き下げるならやむを得ないと思うのでありますけれども、これは財源補てん措置をせっかくお考えになっておるようでありますから、ぜひ明年度からは恒久的な補てん措置をおとりになるようにお考え願ったらいいのではないか。ことに住民税の財源補てんの問題が明後年に持ち越されております。この問題とあわせられまして、減税補給金のごとき特別の制度をおとりになりまして、根本的改正が行われるまでの暫定措置としての財源補てんをおやりになることが望ましいと思うのであります。起債によって元利補給をする、その方法財源補てんをするというようなことは回りくどい、煩頑なことだ、かように思う次第であります。  この法律を拝見いたしますと、大体非常にけっこうに書かれておるのでありますが、私ども役人くずれとして何がしかの懸念を持ちますのは、起債の許可に当りまして、どうぞその起債の許可額にやかましいことをお言いにならないように、法律に書かれておる通りにお取扱いになるようにしていただかないと、意味をなさないのではないか、言いかえますと、ちょうど減税相当額は要ろうが要るまいか起債を認めてやるという態度をおとりにならなければ、せっかくの名案が補てんにならない、往々にして私ども役人の習性で、許可の申請が出てきますと、これだけは要らぬじゃないかとか、あそこの経費がむだじゃないかとか、こんなよけいな仕事をしているじゃないか、もう少し減らせるじゃないかということを言われることがありはせぬか、自分などが平素というか、かつて悪いことをしておりましたので、そういうことの起らぬように一つお取り扱いをはっきりさせていただいた方がいいのじゃないか、こういう気がいたすものでございます。  それから住民税についてちょっと触れましたが、明後年はどうされるかわかりませんが、三十五年度で行われる減税については、今年のようにほうりつけなしで穴埋めをしないということでなしに、百何十億の扱いについては、ぜひ財源補てんをしてやるべきだ。そうして、これについては、減税補給金のような暫定的制度によって、根本的改正まで、せめて、押しつけ減税はするけれども、財源的には困らせないという措置をとっていただきたいと思います。  それから、最後に交付税でございますが、藤川先生もおっしゃったのでありますけれども、私は交付税のようなものはなるべく少額に抑えるということが、地方税制の姿からはいいのしゃないか、こういうふうに思っております。また、配分基準につきましてもいろいろ御改正があるようでございますが、私は奥野さんには怒られるかもしれませんけれども、根本的にもっと簡素化した方法考えられるのじゃないか、これは税制全般の問題として考えられるのじゃないかというふうに思いまするのて、特に立ち入った意見は吐かないつもりでございます。ただ、感じますることは、東京から大阪へ行きまするのに、仙台へ出て、青森へ回って新潟、富山を通って大阪へ行っているような中身になっていはせぬか案外、こだまに乗れば大阪まで簡単に東海道を行けるというのか、だれにもわからぬような制度で、やっている人しかわからぬような格好のむずかしいものになっているように思いますので、そういうことを今度の改正に際しては一生懸命——できるかできぬかわかりません。おそらくできないかもしれませんが、できるものならできるように一つ工夫をこらしてもらったらどうかという感じがいたすのであります。  なお、先ほど申し上げましたように、重ねての話になりますけれども、交付税が、国税改正によって常に影響を受けるのであります。その繰入率は当然調整補正されるべき性質のものでございますので、従って、できますならば、交付税法の中に、国税三税の改正があって減収を来たす場合は、減収にならないように、自動的に率は調整するのだというような一カ条を入れるならば理想的じゃないか、かように考える次第であります。  大へん端折ってしまいましたけれども、幾らかでも御参考になれば幸いだと思います。
  95. 鈴木善幸

    鈴木委員長 次に、久保田君に御意見の御発表お願いいたします。参考人久保田正英君。
  96. 久保田正英

    ○久保田参考人 私は主として中小企業の立場から、事業税の問題を中心にして簡単に申し上げたいと思います。  初めに、今回先生方の御努力によって、中小企業者が非常に負担にしております事業税が、相当程度減税されたことにつきましては、非常に感謝にたえない次第でございます。これにつきましてはかなりいろいろと御議論があったと思いますが、根本的に、税金を納める側の立場から申し上げまして、現在の事業税というものは非常に不公平な税金である、こういうように考えておるわけであります。そして事業税は、応益負担原則だとかいろいろありますけれども、現在の事業税がおもに商工業たけに沫せられていて、そうして引当な部分か中小企業にしわ寄せされている。いわばその中小法人あるいは個人事業税を払っている者はその納税者の数の中で非常に多いものでありますから、特に下の方では、同じ中小企業てある農業そのほかが非課税になっているのに、一般の中小企業へかかっているのはどうもおかしいじゃないか、こういう声か納税者の側から非常に大きくあがっているわけであります。  それからもう一つは、現在の中小企業の状況からいいますと、戦前と違いまして、戦後のいろいろの経済の発展からいいまして、大企業やあるいは総評を中心とする組織労働者が非常に生活条件か上って、いったのにかかわらす、いわば失業人口のたより場に中小企業かなっておりまして、担税力という向からいって非常に弱くなっている。また一方国の中小企業施策というものか、中小企業に対して、たとえばいろいろな補助金その他におきましても、年々わずかな補助金をもらうという程度であって、しかも中小企業から払っている税金は、これは単に事業税はかりではありませんが、全体的に非常に大きな負担をしているのにもかかわらず、行政の忠恕を受けることが非常に少い。こういうような点からいっても、先ほど申し上げましたように、非常に不公平である、同時に非常に過重てある、そしてしかも何ら国の中小企業施策の恩典がないじゃないか、こういうような考え方から、事業税に対して非常に重く、かつ不合理であるという感じを持っているわけです。  そのために私たちとしては、ぜひとも中小企業の事業税はやめてもらいたい、こういうことを強く主張しているわけであります。これに対して、いろいろ農業については固定資産税がかかっているじゃないかというような御意見もありますけれども、この前の税制調査会の答申を兄よしても、そういう点の不均衡、いわば負担分任の精神に反しているというようなことを言われておりまして、私たちとしても、現れの段階では、しわば負担分の精神からいっても不公平であるという点から、中小企業からはぜひとも事業税をやめてもらいたい、こういうふうに主張しているわけであります。  そしてこれについては、先ほどもいろいろお話がありましたように、財源の問題その他あるのでございますけれども、私たち考え方から申し上げますと、中小企業の事業税を撤廃しようというのでありまして、いわば零細層の事業税をやめてもらいたい。そういう点では、私たち考えても全体で三百億ないし四百億くらいの額になる。それによって受益する額は非常に多いのでありますが、国及び地方の全体の財政規模からいってはそう大したものではない。そういう意味で、もし国なり地方がほんとうに基本的に財政の確立という点を考えていけば、財源の面からわすか四百億程度の中小企業の事業税を撤廃することは可能である。これは地方財政だけではありませんが、国の全体を考えまして、たとえば現在の租税特別措置法によります大企業の減税というのが約八百億くらいございますが、その他いろいろな点で相当な減税をしている。中小企業の減税だというと、五十億、百億ということでも相当な問題か出ているというようなことは——もしほんとうに国の中間層である中小商工業を減税の恩典に浴させてやろうという政治の御配慮があれば可能なのじゃないか、こういうふうに考えるわけであります。以上が大体事業税についての具体的な考え方であります。  今度は、このたび現実に減税になりました率の問題でありますか、私たちは少くとも個人事業税については、三十万円までをぜひとも免税措置にしていただきたいと考えております。これはいろいろな数字がございますけれども、大体三十万円までの所得の人員というのは、個人事業税は約七六%、八〇%に近いと思います。そういう意味で三十万円までを減税ということになりますと、かなり下の層に恩典がいくのじゃないか。そして、先ほども三好先生から基礎控除のお話がございましたが、個人事業税というのはほとんど中小企業のものである。大きくなりますと、ほとんど法人に変ってしまいますから、大体四十万円までを計算してみますと、九〇%くらいになってしまいます。あと五十万円、六十万円という工合になっていきますと、ほとんど一%か二%、そういうふうな関係でありますから、基礎控除を上げるという点については、個人事業税は中小企業の税金であるという見地から賛成なのであります。  それから、法人事業税については、先ほど藤田先生からもお話がありましたように、五十万円以上がみんな二%減税になったのに、五十万円以下だけが一%であるというのは、今度の事業税減税が零細企業、中小企業を問題にしてやったところからいうと、非常に不満足なのであります。これはもちろん個人の法人成り、いわば個人と法人との均衡ということもかなり考慮されたのでありますか、この点は所得税の面で、現在個人のものは青色申告を除いては専従者控除というのがありませんから、そういう意味で所得税の面をある程度考えて、いわば法人と個人というものか税制の面で、バランスを失しないというような措置を諾することを前提にしまして、やはり法人事業税は下げるべきであるというように考えております。  私たち考え方では、大体五十万円以下を百分の四程度にしまして、五十万円から百万円を百分の六、百万円から二百万円を百分の八、二百万円から三百万円を百分の十にしまして、先ほど藤田先王もお話がありましたように、三百万円以上で百分の十二というような、現在の二百万円をもう少し進めてもいいのじゃないか。というのは、大体石刀円までの所得の法人の数というのは七〇%くらいありますから、これを二百万、三百万と小刻みにしていけは、法人事業税もはとんど下の方がなくなってしまう。なくなるというよりも減税の恩典にあすかるということで、いわば中小産工業者からは事業税をなくしていくという方向に漸進するのじゃないか、こういうように考えておるわけであります。  以上が、大体事業税に対する考え方でありますが、次にこれは私たち納税者の側から、税金は少しでも安い方がいい。特に現在の国の施策が戦後ずっと進んだところで、大企業あるいは大企業の労働者、それから特に戦後の農地改革あるいは米価の保護というような、農業の形においてかなり国の施策の恩典を受けているわけでありますが、その恩典を受けてない中小企業という面から、ぜひともその層の減税は厚くして、資本主義の中核をなしていく中小企業をもっと育てていきたい、こういうような考え方で少しでも税金を安くしたいという立場であります。しかしこれはまた中央で幾ら減税々々と言いまして率を下げましても、先ほど税務局長のお話がありましたように、この減税をぜひやってくれと言いますと、いや、とても自然増収がない、来年度の地方財政はとてもふえつこないのだということで、非常に減税額がしぼられたわけであります。しかもそれでもなおかつやってみますと、三百億以上の増収があるというような形は、いろいろ御説明もあると思いますが、一方で率は下げても下の方に行きますと所得を多く見られる、あるいは固定資産税についても評価を上げられるというような形をやられれば、結局中央減税しても実質的には減税はないのじゃないか、いわば割当課税でやられるのじゃないかという考え方を持たさるを得ないし、また地域によってはそういうところかよくある。でありますから、その意味におきまして、今回こういう減税をされましたならば、ほんとうにそれが税金を払う者に減税になるように、よく先生方に御監視願いまして、行政の面で行き過ぎて割当課税を押しつけるというようなことのないような御配慮を、ぜひともお願いしたいと思います。  それから、私たち税金の面をただ減税々々と言いますが、これは地方財政の問題になってきますと、先ほど三好先生のお話がありましたように、根本的にやはり考えなければならない段階に来ているのしゃないかと思います。この点は、国の方で一方的にやつて地方か押しつけられ、そのために地方が来年度の計画を立てようと思っても立てられないというようなことは、地方自治の面からいっても確かに問題があると思いますので、政治の全体にわたって国、地方財政をどうするか、地方自主財源を根本的に与えるという点については、やはり基本的に研究しなければいけない、またこれを早急に実行に移さなければならないというような感じを打っております。もちろん、私たちはそういう面の専門家でもありませんので、具体的な案はありませんけれども、やはりそういう時期に来ているのじゃないかということを、今度の事業税の撤廃の問題についていろいろ指先生方のお話を伺ったときに痛感したものですから、これをちょっとつけ加えておきたいと思います。  なお、その点で私たち最後に申し上げたいのは、やはり税金というのはぜひとも払いたい、そしてまじめにみんな税金を納められるような世の中にしたいと考えておりまし、決して何でもかんでも税金を払わなければいいというよう大考え方を私たち持っているわけではございません。従ってやはりこれたけの税金を払ってこういうように行政が巡んでいるのだというようなことがほんとりに納得されて、しかもその税金は、お互いに県民あるいは市町村民が共通に公平に払っているのだというようなことがあれば、税額云々と言わずに気持よく払えるのだ。その意味で、特に府県におきましては、従来商工業に対する施策が非常に弱かった。東京は別にし苦して、立法考査局の資料を見ましても、神奈川、大阪、埼玉を除いては、産業経済費の中に商工予算か二〇%以上という県はほとんどない。東京を除いてこの三県だけです。そういう点から、いわば府県農業の方面をやっていて、税金はほとんど中小商工業者から事業税でとって、実際に入ってくるものは何もないじゃないかという批判、かかなり強いわけで。もちろんこれは道路でも港湾でも教育でもひとしく受けているわけですから、商工経済費というものの率をもって、云々するわけではありませんが、全般的に市町村に比べて府県が、商工業に対する施策という点で非常に乏しかった、こういう点は率直に言えるのではないかと思うのであります。  その意味で、今後地方財政計向の中でもやはりもっと発展できるような形において、そういう施策をさらに進めていかれるように、諸先生方に御指導願えれば非常にいいのじゃないか、こういうように考えております。  非常に簡単でございますが、以上思いついた点だけを申し述べまして御参考に供したいと思います。
  97. 鈴木善幸

    鈴木委員長 次に小沢君に御意見の御発表お願いいたします。参考人小択輝君
  98. 小沢輝

    ○小沢参考人 軽油引取税の問題につきましては、関係の業者団体や個々の業者からいろいろ国会、委員会、それから諸先生に対しましても陳情申し上げていると思いますので、撤廃の理由、それからいろいろな数字につきましても詳細御承知と思うのでございますが、私からは主として業者自身の立場から、私の考えますことを申し上げたいと思います。  先に結論を申し上げますと、現在の貨物自動車運送業界の状況から見まして、今回の軽油引取税の増徴は揮発油税の増徴とあわせて、ぜひお取りやめを願いたいということであります。  簡単にその理由を申し上げますと、第一には、貨物自動車連送業界におきましては小規模業者が圧倒的に多いということであります。また競争が非常に激しく、従って運賃のダンビンクがはなはだしいということでありまして、過去を振り込ってみますと、この業界に対しましてはまことに矢つぎばやに燃料関係の税金が増徴に相なりますので、いつまでたっても結局この弱小業者の多い業界の基礎が固まらないということが言い得ると思うのでございます。  御承知通り軽油引取税昭和三十一年の六月から始まったわけでございますが、三年目の昨年の四月には増徴になりまして、現在キロリットル当り約八千円でございますか、さらに今回は四千円増徴になりまして一万二千円になるということでございます。また揮発油税につきましても、昭和十二年の三月創設されたのでございますが、その後昨年までの間に七回増徴になっておりまして、これを二十四年以降で見ますと十年間に五回、一年置きに増徴が行われておるということであります。現在キロリットル当りの税金が一万八千三百円、さらに今回これが増徴になりますと二万三千八百円ということになるのであります、現行で見ましても、軽油におきしましてはその価額の三五%、揮発油におきましては五五%が税金ということになるのでありますが、それが今回の案が実施されますと、軽油におきましては四四%、揮発油におきましては六〇%が税金ということになるのであります。これではまことに息つく間も成長する余裕もないと申してもいいのではないかと考える次第でございます。  第二の理由といたしましては、今もちょっと申し上げましたが、この業界は非常に規模の小さい事業、か多いということでございます。運輸省の統計によりますと、昭和三十三年の三月末でございますが、貨物自動車運送事業者の総数は一万一千二百二十七業者でございまして、もちろんこの中には百数十億の資本を擁しまする日本通運も入っておるわけでございますが、この中で車両百五十両以上を持って、おります業者がわずかに二十六でございます。これに対しまして十両以下というものが九千四百六十業者で全業者の八四%になります。さらに標準を下げまして五両以下というものを見ますと、六千九百十五業者でございまして、全業者の六一%となっております。資本金は調べておりませんので、具体的な数字の資料はございませんが、日本通運が百六、七十億でございますが、その他の業者は大きいところでも一億何千万円、私の勤めております大和運輸というのは最近増資しましてようような一億に達した程度であります。一億何千万円品という会社が全国で二社か三社という程度でございます。こういう零細業者の多くはは、皆様御承知思うのでございますが、社長といいましても自分からトラックを運転しておりますし、家族総出で荷物の積みおろしをする、社長も従業員もようように最低生活をしておるというのが実情でございます。従いまして、後ほど申し上げますが、従業員の賃金その他の待遇も、他医業に比べまして非常に煙いものでございまし、労働基準法などもほとんど守られていない場合が多いのでございます。抽象的な言い方でございますが、軽油引取税ないし揮発油税が上りまして、その負担ができるということはとうてい考えられないのでございます。  第三には、申し上げるまでもございませんが、貨物自動車運送事業というものは公益に非常に重大な関係がある事業であるということてございます。御承知のごとく、路線貨物自動車運送事業、つまり路線をきめまして、定期に一定の区間を運行いたします連送事業を営みます事業は、消費者直接の零細な荷物を運ぶということか主たる目品的でございますので、労働法規の上におきましても公益事業というふうに規定されまして、簡単にはストライキができないというふうになっておりますが、その他のたとえば地場運送につきましても、これに準じて公益性かきわめて強いものであります。戦後におきましてわが国の貨物車動車運送事業は、道路がよくなり、それから車両の性能が急速に向上した、それから戦時中ございました燃料の規制が撤廃されたということによりまして、自動車の輸送上の機動性、それから鉄道に比べまして、荷作りその他の関係から見て経済性が高いというようなことから、急速に向上いたしまして、一般の荷主さんの要望であります貨物移動のスピード化、それかり貨物の取引の単位が小さくなった、それから荷作りを簡易化した、そういうような一般の荷主の要望にこたえることができるわけでございますので、その点が非常に高く評価されまして、日本の産業経済も、それから私どもの日常の生活上におきましても、きわめて重要なる役割を果しておると申しても差つかえないと思うのでございます。  経済企画の統計によりますと、昭和三十二年度におきまして、国鉄道の輸送いたしました貨物は一価七千七百八十万トンでございますが、これに対しまして貨物自動車によりまして運ばれましたものは七億三千九百二十万トン、もちろんこの中には、御承知の駅の両端の小運送と称する運送があるわけでございまして、鉄道にかかって、自動車で運ばれたものもこの中には入っておりますが、いずれにいたしましても、国鉄の約四倍半くらいの貨物を自動車が運んでおるわけでございます。これを昭和二十八年以降について見ますと、五ヵ年間で毎年平均いたしまして百五千七百万トンくらい増送を続けておるということでございます。  この貨物自動車の運送量かふえるという傾向、特に鉄道から貨物自動車に物荷が移るという傾向は、いわゆるなべ底景気の時代においても相当強いのでありますが、景気がよくなりますれば、なおさらこの傾向が強くなるものでございまして、先般の神武景気といわれた時代におきまして、御承知通り国鉄の輸送力が行き詰まりましたたので、運輸省が中心になりまして、貨物自動車とか船舶とかに、何とか荷物を述んでくれというので、いろいろ手か打たれたわけでございますが、そういう傾向は今後も相当強くなるものというふうに私ども考えておるわけでございます。従いましてこの算業というものは、申すまでもございませんが、日本の産業経済のそういう点から考えましても、また私どもの日常生活が不自由なく円滑にいくという点から考えましても、非常に重要な役割を果さなければならないというふうに考えられるわけでございます。  この点から見ましても、私ども手前勝手な言い分でございますが、業者といたしましては、むしろ現在の燃料税を引き下げてでも、この事業の育成をはかっていただきたいというふうにさえ望んでおる次第でございまして、いわんや今後この税がさらにふえるということは、とうていたえ得ないというふうに考えておる次第でございます。  第四の理由といたしましては、日本の貨物自動車運送事業というものは、きわめて利益か少い事業であるということであります。お耳にも入っておることと存じますが、この業界はいわゆる小業乱立でございまして、競争が非常に激しい。従いまして勢い運賃はダンピング、か行われておるということでございます。この事業の運賃料金は、御承知通り運輸大臣の認可制になっておるのでございますが、その運賃は全国一律であるということ、それから最高と最低を押えました幅——私どもは幅運賃と称しております——でありますること、それから戦後急速に自家用車がふえた、その家用車か、しかも免許を持たないで、きわめて低額な運賃で違法な営業行為を盛んにやっておる、そういうようなことによりまして定額運賃が守られないというのか現状でございます。不可能と申してもいいのではないかと存じます。私どもといたしましてはいろいろな機会をとらえまして、何とか定額運賃を守ろうというわけで、業者自体としましては、非常に努力をしておるのでございますが、た、だいま申しましたように、一方におきまして法律の規制を受けない自家用車がばっこしておるというようなことがおもなる理由となりまして、なかなか定額が守られないのでございます。実情は、大体定額に対しまして全国平均いたしまして三割くらいのダンピングが行われている、つまり定額運賃の七割くらいになっているということでございます。所によりましては、あるいは貨物によりましては、定額の三分の一程度で迎んでいるものもあるというふうに聞いておるわけでございます。  しかも他方におきまして、この事業に使います貨物自動準でございますが、これは御承知かと存じますが、軽油を使いますいわゆるディーゼル唯が大体一百万余円であります。それからガソリン車は百二、三十万円という、小業者から見ますときわめて高額なものでございます。加えまして最近は自動嘩の輸送距離というものが非常に延びて参りましたので、先ほどもお盾かございましたように、地方では道路か非常に悪いところもございますので、勢い車が早くいたむということになりまして、税法で普通の車は五カ年、それから先ほど申し上げました路線事業では四カ年の償却年限になっておりますが、実際は早ければ二年、相当使っても三年くらいで代替をしなければならない、こういう状態でございます。収入は思うように上らない、他方で事業の規模に不相応な高額な支出が要る、こういうようなことでございますので、利益はきわめて小さいわけであります。日本トラック協会というものかございますが、そこで最近全国標準会社八十七社につきまして調べたのでございますが、その八十七社の保有車両は、ガソリン車が千四百六十四両、ディーゼル車九百二十五両でございます。その調査によりますと、これは昭和三十二年の実績でございますか、その利益率は百平均いたしましてわすかに一・七%となっております。もし今回の軽油引取税、それから揮発油税の増徴が実施されますと、どういうことになるかといいますと、この利益が逆にマイナス一・三%ということになるわけでございます。もっともこれは三十二年度の輸送量を前提としたものでございますので、その点は御了承いただきたいと思います。  それから第五番目には、最近問題になっておりますいわゆる神風トラック、あるいは神風タクシーでございます。その原因は新聞等でも書かれておりますが、業務員の労働条件が非常に悪いこともいわれておりますが、もし今回の燃料の税の引き上げが行われますと、さらにこれを悪化させるおそれかあると言い得ると思うのでございます。先ほども申し上げましたように小企業が圧倒的に多い、しかも旅客の輸送と違いまして、貨物輸送は自分で歩きませんから、みんな人手を食うわけでございますので、旅界輸送の何倍という人手を必要とするわけでございますが、この自動車運送事業の利益が少い一番大きな理由は人手が多く要ることでございます。勢いその関係上業者といたしましては、できるだけ人をふやさないということを考えるのは当りまえでございます。給与もよほど組合でもしっかりしておりませんければ、経営者はなるべく上げることを渋る。それから休養厚生施設の整備も怠るということになりがちでございます。従いまして従業員から見れは勤務は非常に重い、賃金は安い、ろくな休養厚生施設はない、こういうことになっておるわけでございます。これも日本トラック協会が最近百三十五社、その従業員二万六千百十三人について調査いたしたところを見ますと、従業員一人当りの月間収入は、残業手当、賞与を含めまして一ヵ月一万六千六百八十五円でありまして、これを他の労働者に比較いたしますと、これは労働省の統計でございますか、昭和三十三年一月の全業種平均一万八千六十円、トラックの方は約一〇%これより低いわけでございます。また運輸通信業の平均か二万一千四百四十四円になっておりまして、これに対しますと二二%も低い計算になっております。こういう実情でございますので、先ほど申し上げましたいわゆる神風トラックに関連いたします従業員の休養施設だとかあるいは厚生施設というようなものにつきましては、新聞等にも出ておりましたように、まことにとるに足らないものであるということか言い得るのでございます。もしこの上今回の御措置か実施されますと、結果として労働者の労働条件、かどうなるかということは推測にかたくないところであろうと考えております。  これに対しましては運賃の定額がとれないか、あるいはまた近ごろはやりの作業の機械化をやって人手を減らして、一人当りの収入をよくすればいいではないか、あるいはまた増徴になる分を荷主に転嫁できないかというような御議論もあると思うのでありますが、運賃の定額をとるということにつきましては、先ほど申し上げましょうに、ほとんど不可能に近いわけでございます。従いまして荷主にこれを転嫁するということもまず不可能といっていいと存じます。また作業の機械化の問題は、私どももいろいろ考え、工夫もいたしておるのでございますか、この自動車運送の特質と申しますか、宿命と申しますか、ほんの一部分を除きましては、まずまず機械化すべき部分はないというように考えていいように存じますので、残念ながらこれによりまして経費を節約し、従業員の待遇をよくするということは、これもきわめてむずかしいように考えられるわけでございます。従いまして今回増徴されることがもし決定いたしますれば、それをどう消化するかということでございますが、これは業者それぞれによっていろいろ工夫することと思うのでありますか、どんな工夫をいたしましても、今まで申し上げましたような実情でございますので、ある程度はどうしても従業員の給与と休養厚生施設に影響を及ぼさないでは済まないのではないかというふうに考えております。  長くなりますのでこの程度にとどめたいと思いますが、なお最後につけ加えて二つばかり申し上げて御参考に供したいと思いますことは、日本のディーゼル車つまり軽油を使います車は戦後急速に発達して参ったものでございまして、燃料か非常に経済的であるということと、それから馬力が強いという技術的な利点かありますために、国内の需要か急速に増加したわけでございまして、それにつれてまた国外への輸出もかなりふえて参っておりますが、もし今回の御措置によりまして国内需要が押えられるということになりますと、年産コストの引き下げとかあるいは生産技術の向上ということにも悪い影響を及ぼしまして、輸出にも影響を及ぼすのではないかということをおそれるものでございます。また道路の改良によりまして利益を受けますものは、申すまでもなく自動車が一番大きいわけでございますが、同時にまた他の産業それから一般国民にも、直接であるか間接であるかは別といたしまして、それぞれ相当の利益かあるわけでございますので、道路改良のための財源を自動車業者に非常に重くされるということにつきましては、勝手な話でございますが、業者といたしましては納得のいかないところでございます。  以上はなはだまとまりのないことを申し上げましたが、何とぞ諸先生の御高配によりまして、今回の軽油引取税並びに揮発油税の増徴が、ぜひ取りやめになりますように御尽力をいただきたいと存じます。
  99. 鈴木善幸

    鈴木委員長 これにて各参考人の御意見の御発表は終りました。  これより各参考人に対する質疑に入ります。質疑の通告がありますので順次これを許します。中井徳次郎君。
  100. 中井徳次郎

    ○中井(徳)委員 大へん傾聴すべきお話を承わりまして恐縮でごさいましたが、まず最初に三好さんに一問お伺いいたします。三好参考人のお話の中で、私は非常に心を打たれましたことは、地方税減税等についてはもっと地方団体意見を、むしろ地方団体主体にして考えていくべきであるか、中央か勝手に仕事はやれというが、税金を勝手に減らすということは筋か合わぬじゃないか。これはごもっともで、そのものすばりおっしゃったという点に対して敬意を表するわけでございます。そこで御意見を拝聴したいのですが、こういうことになりましたのは、憲法では九十二条から九十五条まで、地方自治というものを非常に尊重しておる。しかるに財源の方では租税は法律によって国会の議を経てすべて中央できめられると思う。そのギャップをどこかで何か強力に埋める必要かあるのではないか。地方制度調査会あるいは行政調査会等でいろいろその委員の中に人を入れる、地方団体の人を入れて、強力に押してもらうということも一つ方法ではありましょうし、あるいは自治庁の長官などというものをやめてしまって、これは団体の代表者によってああいうようなものを構成するというか、思い切ったことをやりませんと、今の組織というものはなかなか困難のように思う、従ってPTAの寄付とかその他一般の寄付が全然なくならない、制度の上で何かいい方法はないかと思うのであります。同時にまた、少しこれは乱暴なことではありますが、たしか憲法の九十九条に、たとえば長崎県は国際観光都市とするというような法律か通りましてもやはり長崎に持って帰りまして、その市でもって一般投票をする、ああいうことの逆に、何か国で法律で減税だ、増税だときめましても、その地区でやるためにはもう一度地区住民のチェックをする、あるいは変な表現ですか拒否権のようなものを——しかし憲法できめた法律できめるというそれを拒否するという形もおかしいと思うのでありますが、しかしそういうことを法律でうたえば、たとえばこの事業税の二%の減税に、率を下げることについては各自治体においてこれを承認しないときには元のままに旧いておくというふうな、何かそういうふうなこの際思い切って踏み切っていくべき時期にあるのではないかと実はあなたのお話を伺い、かつは私も数年前から地方財政難という問題と減税という問題に非常に頭を悩ましておる一人といたしまして、今のような思い切った御意見参考人から伺いますのは、実はあなたが初めてのように思いますので、この点率直に御見解を承わりたい、かように思っております。
  101. 三好重夫

    ○三好参考人 大へんむずかしい問題だと思うのでございますが、制度的にどういうふうに制度をこしらえたらば、地方自治というものの確立ができるかという事柄だと思いますが、すでに憲法にあれだけはっきり書いてあるにかかわらす、今日なお単に書かれた法律といいますか、制度にすぎないのであって、それがその通りに行われておらないというのか、率直に申しまして実情ではないかと思うのであります。私はその意味におきまして、制度的にどう考えたらいいかという問題は、各方面から攻め得せて、いろいろな形のものを考えてやっていくべきだ。さしあたりお願いいたしたい気持でおりますのは、せっかく地方制度調査会などをお設けになっておるのでありますから、地方自治確立のためにどういう方策をとったらいいかというふうなことの御諮問でも政府から出されまして、研究をさせられるということが、当面一番現実性のある方法じゃないかと思うのであります。  ただ私感じますことは、かような考え方におきまして、どんな制度をこしらえましても、憲法に書いてあっても、なかなかそういかないという実情でございますので、結局一般の認識、一般人の地方自治を尊重する、育成するという気持に待たなければならないと考えるのであります。  よけいなおしゃべりになりますけれども、明年度予算の編成に当りまして、大蔵省で地方税減税の原案をお示しになりました。その原案を新聞紙で拝見いたしまして、私まことに驚いたした。それは実に、交付税百十億円前後の減に対して、わずかに四十一億円を補てんする。そのほかに、事業税減税によって地方財源を国に七十億前後移すという案であります。私はこの案について、大蔵省を非難するつもりはない。予算の編成の途中におけるかけ引きの問題もございましょうから、別にそれで非難はいたしませんが、とにかくこういう案か出されるという気持の底に、地方自治がどう考えられておるであろうかということを考えた次第であります。これに対しまして、ある大新聞は、かような大蔵省の原案か通らなんだということはまことに遺憾であるという社説を掲げられておる。また去年の暮れでありましたが、経済界、財界の人たち六人で、どこかへ意見書をお出しになったものが新聞に掲我されていたが、その中の文句を児ますと、われわれは地方自治を否認するものではないけれども、という表現があるのであります。言葉じりをつかまえるわけではございませんけれども、いかにも地方自治に対する考え方が、言葉はそうでございますけれども、否認的な感じがいたすのであります。これが一般の大勢じゃないか、一般の世論じゃないかということを考えますと、われわれ地方自治を幾ら叫んでみましたところが、地方税減税について、先ほど私が申し上げましたような意見書を申し述べしましても、こういう現在の国民地方自治に対する認識がそうである以上は、なかなか思うような制度の確立ということはできないのじゃないか、政治面におけるこれらの空気の尊重ということも考えられなければならぬでありましょう。私、意見を申し上げましたのは政治的な考慮なしに、純粋に地方税立場から意見を申し上げたのでございますけれども、しかしこれを実施に移されるについては、政治的な配慮かいろいろお入りになっておるのである。その背景をなす国民の交情がかようでございまする以上は、なかなか地方自治の確立ということはむずかしいので、この点については、政府におかれまして、また私ども民間にありますものも、平素、結局PRに力を注いで、国民大多数の認識を深めるという以外に手はないのじゃないか。こういうふうに、最近、日夜痛感いたしておる次第でございます。
  102. 中井徳次郎

    ○中井(徳)委員 御意見を伺いましたが、ちょっと私の思いつき的な意見でごさいましたが、第二にお伺いいたしました法律の中で非常に幅を持たす、これは住民税でやりまして、三つばかり方法があるというので、非常に混乱だということを言っておりますけれども、しかし、ある地区と他の地区と比へて非常に差かできる、その調節をはからなければなりませんが、一応自主的な判断力を与えたという面からは、ある意味では私は一歩前進であった。そのやり方について具体的に伺いたいし、そういうこともあり、また法定外課税については、法律できめるべき租税をとるわけですから、中央に申請をしろ、こういう制度があるわけでありますが、そういうものと、さらに、申し上げましたように、特にこれは私は非常な減税あるいは増税の場合にも、自分の市では増税はしなくてもいい、あるいは自分の村では減税はお断わりということかできるように、今の地方税というのは、たとえば百分の十八でございましても、百分の八になさってもいいわけでありますが、そういうことはそういうことができますけれども、何かもう少し自治権というものを尊重したような法律を作るというところまでどんなものでしょうかね。これは私も軽々には申し上げにくいから、御意見としてお伺いするわけでありますが、そこまで進める方がむしろはっきりとしていやせぬか。責任の帰趨も明らかになる。今はそういうふうに財政上自治権がないものですから、今度は財政に藉口しまして、努力をすればできることも、赤字だ赤字だ、これはみんな政府が悪いのだということで逃げておる自治体なきにしもあらず。もう少しそういう責任を持たすというような気持から、第二のこういう点について何か御意見がありましたら伺いたいと思います。
  103. 三好重夫

    ○三好参考人 繰り返して申し上げるようでありますか、お話のように、現行の制度におきましても、ある程度の幅は持たされておる。そこで先ほど私特に意見を申し上げなかったのでありますが、固定資産税の制限外課税を二・五から一・一に下げるという行き方自体に私は個人的に反対で、幅を縮めることになるので、反対でありますが、特に意見を申し述べなかったのでありますけれども、中井さんのおっしゃいますような御意見に私は全く同感であります。ことにある程度現在の制度で幅を持たされてあるという点も御指摘の通りでありますから、現在の地方団体ができるだけそれを活用するということを何一つ考えなければならぬが、新しい制度を御説の点までこしらえるという点については、よほど慎重な検討を要するのじゃないか。まあ政府委員の答弁みたいになってしまいますが、そういう考えでおります。
  104. 中井徳次郎

    ○中井(徳)委員 ありがとうございました。久保田さんにちょっとお伺いしたいと思いますが、先ほどあなたのお話を伺っておりますと、あなたの方は、たしか鮎川さんが総裁の組織だと思いますが、実は去年あたりまで、あなたの方の連盟では、事業税即時撤廃、こういうことで、私は社会党員ですが、去年は非常に困った。即時撤廃をずいぶん努力しましたか、地方自治体の財政現状から見て、即時はちょっとかなわぬから、まあ漸減をして、将来は撤廃だ、というのが私ども社会党の立場でございましたが、そんなものはあらへん、即時撤廃だというので、非常に困ったのです。先ほどからあなたのお話を伺うと、このごろはだいぶ変ったように思います。その辺いかがですか、率直に伺いたい。
  105. 久保田正英

    ○久保田参考人 今先生のお話しになりましたように、私きょう申し上げましたのは、鮎川総裁の中小企業政治連盟としては、事業税即時撤廃の線は依然として変っておりません。ただよく誤解かありますのは、私どもは中小企業の事業税の即時撤廃なんで、従って事業税そのものを全部撤廃しろというわけではありません。私のきょう申し上げたのは、中小企業の事業税撤廃の線て申し上げましたから、事業税を即時撤廃するという線からいうと、何か弱いように思いますが、私どもとしては、この線で行けば、中小企業の事業税は撤廃されるじゃないかということで申し上げたわけでございます。従って先ほど大体二百万円とか三百万円とかいう数字を申し上げまして、線の引き方はいろいろございます。私も組織の立場もありますけれども、きょうは現実に基いて私の考えを申し上げますと、法人事業税については二百万円の線で押えてみますと、法人数が三十一万五千で、全体の法人の九一%になる。従ってここのところまでやってしまいますと、いわば中小企業の事業税はなくなる。残りの九%は大企業の事業税なのです。法人数は九一%でありますけれども、所得金額だと全体の一五%なのです。この税金は今の減税にならない税率で百六十億円であります。従ってそういうような格好ですから、二百万円くらいまでいきますとほとんど撤廃になってしまう。それから個人事業税は、先ほど申しましたようにほとんど中小でありますから、全部やめてもらう。それだから三百億くらいのものじゃないか。これが私の申し上げました撤廃になるわけでございます。そういう意味でございますから、ぜひともそういう線で御努力を願いたい、こういうことでございます。
  106. 中井徳次郎

    ○中井(徳)委員 だいぶ御研究なさって、この前あたりのお話よりも具体的で非常にけっこうだと思います。ただ一つこの点の御意見を私は率直に伺いたいのですけれども、これは私の持論でもあります。たとえば住民税というものの一覧表をある村、ある町で伺ってみますと、一番高いのは小学校の校長先生から村長さんというような人たちであります。そこでどうしても税金の把握の面で、勤労者が一般に一〇〇%把握されますので、中小企業者や農村との間に格差がある、こういうふうにきれいな言葉で言っておりますが、失は大へんなもので、大体ランクも何地方では大体どのくらいということがあるのてす。そこで勤労者の諸君が憤慨して税務署に行き役所に行き役場に行きますと、しかしあの人たちには事業税があるからごかんべんを願うというようなことでごまかされておるわけです。その事業税か今度なくなる。税金は単に法律のせいだけではなくて、戦後の特に混乱時期の徴税の行政でもって法律がずいぶんゆがめられている。過去の慣習もありましょう。戦前の習慣もありましょう。そりいりものとの関連でこういう血をどういうふうにお考えだろうかと私は思うのです。従いましてその裏を返しますと、たとえばあなたは四十万円以下基礎控除すると九〇%は税を免れると言いますが、査定を厳格にすると六〇%、七〇%くらいになる。一軒四、五十万円で食っていけないのはわかり切っている。大体百万円くらいある者は地方では四十万円の査定です。だか厳格にやったらどうなりますか。そういうようなことも中小企業政治連盟として御活動をなさるか、あるいは相当深く御研究あってしかるべきもののように実は思っておる。私も中小企業の出身者であります。今は国会議員などという安月給取りでありますが。そういう面から一本の税制には、まだ税制全体を見ても非常に盲点があるように思うのです。こういう点をどうお考えになっておるのですか、率直に伺いたい。
  107. 久保田正英

    ○久保田参考人 今のお話で、私、事実としていろいろ了解するのでございますが、税制が大体脱税しているのじゃないかというような形の面で押しつけられるというのはやはりよくないと思うのです。その面で、先ほどお価し申し上げましたように、やはり納税者の自覚なり、あるいはほんとうの意味の啓蒙といいますか、それをぜひともやらなければいけない。先ほど勤労者との間の問題が出ました。これは根本的にいいますと、日本の勤労所得かまだ高いということになると思います。卒直にいいまして、現在二十七万円が課税最低限ということになりますと、これは昭和十年だと大体給与所得者は六十一万円以下なんです。従ってまだそこまで行っていない。これは事業所得で言いましても、当時の計算でいきますと四十九万円です。それが現在では二十万円ですから、事業所得もやはり最低限が低い。勤労所得はもちろん低い。根本的にそこのところを面しませんと、今先生の申されましたそこだけとってみてもやはり、だめじゃないか。従いましてわれわれも、事業税の問題を考えると同時に、また日本の租税負担が非常に重いというそこのところを全体的にどう考えていくか。そこで勧めて農家所得と事業所得個人と法人との関係などが出てくるのじゃないかと思いまして、いろいろ御意見を伺ってさらによく研究したい、こういうように考えております。
  108. 中井徳次郎

    ○中井(徳)委員 その点で重ねて申し上げるようでありますが、今、日本の国内で農民と勤労者と中小企業の問に大きなみぞができておりますのは、私は実はこの税体系から来ているような気がしてならないのです。しかもそれはその三つのグループがみなこすいかというと、そうじゃないのです。みなまじめで、あなたのおっしゃるように、軽い税金であるならば国民としてみんな喜んで出したいという気持だと思うのです。あなたは戦前のことをお話しになりましたが、私は日本の税の取り方はやはり戦前でもいけなかったと思うのです。たとえば住民税はそういうことを予想しまして、見立割なんかの場合には勤労者は半分に見たものだそうですが、今は八〇%だとかなんとかいうのです。そういうことは裏を返せば、中小企業は半分の査定であった。そこに私は大きなギャップがあるように思うのです。基礎控除は五十万円でも六十万円でも正確に出して、そのかわりに率を下げていくと、全体の税収はあまり変らないと思う。私ども税制をいじりますときに、大蔵省の役人に来てもらいますと、実はあれをいじると何億円減るとか、そこまで行けぬとか、あんなものはみなうそです。徴税の最下限をちょっと変えますと、十億や二十億や百億は確かにあると思う。そこをちっとも触れておりれません。私は野党ですからなんですが、与党になれば大いにやりたいと思っているのですが、これはやはり民間団体の皆さんが声を大きくしてもらいたい。おれたちは税金をごまかしたくない、ただ過重だからそうなのであるといっていただきたい。もう日本もその辺まで来ておるように思うのですが、これを一つお願いをいたしておきます。  それから小沢さんにお尋ねするのすが、皆さんの職業も非常にお苦しいこともよくわかりますけれども、結局道の悪いのを何とかしなくちゃいけない。これをどうですか、先ほどから伺いますと、あた方は非常に困る困るというお話をなさっているか、どうしたいということはないんです。これは私ちょっと残念に思います。ガソリン税が毎年々々上るにつきましては、はっきり申し上げて皆さん業者にも私は責任があると思う。いよいよ政府が上げることを発表してから大騒ぎで、きょうこの会館から出てくると、先生読んで下さいと言うから、それはよく知っている。それなら反対か。いや、そうじゃない、僕は値上げ反対ですが、やり方がどうもあまり目先で、皆さんの運動のやり方がえげつないじゃないかしかし道はあんなに悪いじゃないか。皆さんの御意見としてはそれはどうすればいいとお考えになるのでしょうか。あの道の悪いのをほかの税金から回せと言えば簡単ですけれども、どういうふうに御判断をなすっておるのか。それからまだお話の中で、最後に押し切られたら従業員の給与に響くというようなことで、非常に簡単明瞭なことですが、今どうすればいいかということが一つのお尋ね。それから結局のところ私どもの判断では、業者の皆さんにもこういうふうな率でもって上げると大いに影響がありますけれども、結局お客の方にも必ずや転嫁してくると思うのでありますが、この二つの問題について端的な御意見を伺いたいのです。
  109. 小沢輝

    ○小沢参考人 道路をよくしていただきたいことは直接申し上げませんでしたけれども、これは先ほど車がいたむということを申し上げましたように、東京付近、それから東海道の大部分はよくなっておりますが、そのほかの道路は東北線にしましても非常に悪いものでございますから、われわれとしましては、道路は、せひよくしていただきたいのでございます。しかし先ほど申し上げましたように、非常に零細な業者が多いものですから、果して税——税というものはおかしいですが、燃料の値上りに耐え得るか、どうか。旅客関係でございますと、バスにしましてもタクシーにしましても、皆さん御利用になりましても必ず定額をとりますから、これは税がふえただけ運賃を上げていただけばいいわけですけれども、トラックの方は、先ほども申し上げましたように競争が激しいために、運輸大臣の認可運賃が上りましても、荷主さんはそれだけくれないわけです。現在もそうですから、いわんや税が上りましたからと言ったところで、とうてい荷主さんの方では応じてくれるわけのものではないわけであります。従いましてわれわれの方としましては、もしこれがどうしても実現されました暁は、やはり定額を上げていただかなければならぬ。定額が上りますれば、定額までとれないにいたしましても、私どもはこれだけ認可迎賃が上ったの、だから、ぜひこれだけ上げてもらいたいということで、交渉は非常にたやすくなると思います。従いまして、そうなれば、ぜひ運賃は上げていただかなければならない、こういうふうに考えております。  それから従業員の方の待遇の問題でございますが、私のおります大和運輸などは会社は小さいですが、ある程度まとまっておりまして、労働基準法の関係もほぼ実施いたしておまりすが、先ほど申上げましたような六〇%とか八〇%という十両以下というような零細業者におきましては、そういうことをしておりますと、変な言い方になりますが、給与も払えないということになりまして、事業はとうてい成り立たぬわけでありますから、そういう意識をしなくても、おのずからなるべく居残りは時間で切ってしまうとか、あるいはまた賞与は半カ月分出したかさらにそれを半分にしてしまうとか、あるいはまた従業員の寝るところを作ろうと思ったが、しばらくやめようとか、おのずかりそういうふうにならざるを得ないと私どもは見ておるわけであります。
  110. 中井徳次郎

    ○中井(徳)委員 小沢さんにもう少しお尋ね申し上げたいのですが、揮発油税がどんどん上りましたが、目的税になりましたのは確か昭和二十八年か九年かと思います。それにつきましては当時私は建設委員の一人としまして目的税にすることに賛成をした記憶を持っておるのであります。業者の皆さんもそのときはそうだったと思うのです。大蔵省の渡辺喜久造という主税局長が極力反対をして、一年たってみると非常にいいもんだから今度は逆に食らいついた。けしからぬといったんだが、そのときに条件があったはすですが、そういうことを業者の皆さんは御存じでしょうか。私は確かに記憶しておりますけれども、将来は道路財源はガソリン税ばっかりにたよるというようなことのないように、半分は一般財源でやれ、少くともほかの税金で半分は持てというふうな附帯条件を付しているはずだと思うのです。私は野党だからはっきり言うが、そういうことは今の政府はどっかへいってしまって、ことしの道路予算を見ると、ほとんどこれによっているから値上げをするということになっている。自民党の皆さんもこれはあまりひどいから下げようという御努力をなすっていることは私よく承知しておりますし、私どももこんなものは撤廃してもらいたいと思いますが、そういうことの前に、そういういろいろないきさつがあるということを皆さんはよく御存じの上で政府との折衝その他をやっておられるのかどうか。いよいよ出てきてからたすきをかけてわんさといらっしゃるというのも、これはどうかというふうな感じが、いたしてなりせまん。道路は直さなければならぬ、もっと徹底的に直さなければなりませんが、一兆円の予算では六七%か七三%舖装になるだけでまだまだためです。二級国道なんか二二・三%しか舗装になりゃしないんですから、うんと要るのです。私は業者の皆さんか、ただとにかく率が上るのはいかぬというのじゃなくて、もう少し知恵のある日常から御研究といいますか、そういうものがあってしかるべきじゃないか。小沢さんの御意見よくわかりまして、大和運輸のような大きな会社かほとんどありませんので、毎日毎日なりわいに追われておって、いよいよ出すようになってから騒ぐということもよくわかりますけれども、こういう点につきまして、業者としての御意見を私は伺ってみたいし、さらにまた、どうせこの国会で何とか結末をつけなければなりませんので、過ぎたらそれじまい、来年になったらまた上げるなんというようなことがなきにしもあらずです、一兆円予算では足りはせんのですから。こういうことについてどんなお考えか、これは私見でけっこうでございます。
  111. 小沢輝

    ○小沢参考人 今御指摘になりました点、前々から私もトラック協会とか自動車会議所等に出ておりましていろいろ話を聞いておりまして、今御指摘の、この前の増徴の際に、約束があるのじゃないかという話も聞いております。三十二年の一月揮発油税を上げる、しかしそれと同額程度以上のものは一般財源か出す、そういうことを自民党の政調会の方で御決定になったという話は前々から聞いております。今回問題になりましてからも会議所やトラック協会からの陳情書には、それは書いてあるわけでございます。先生、方御承知と思いまして、何億がどうなるということは御遠慮申し上げてあえて申し上げなかったわでございますが、よく存じております。われわれとしましても先ほど申し上げましたように、鮎川さんの道路調査会というものがありまして、その調査によりますと道路がよくなることによって自動車の受ける利益というものは、その調査の基礎は存じませんが、大体三四%であって、他の残余部分はその沿線の人であるとか通行者であるとか、いろいろな点が利益を受けるのであるから、従って道路改良の財源を自動車業者だけに押しかぶせるのは無理じゃないかという御議論があるわけでございますが、それを先ほどちょっと申し上げたわけでございます。われわれとしましては道路お願いしても、ぜびよくしていただきたいのでございますが、はなはだ勝手な言い分になりますが、受益の程度からいきましても、目的税を財源とされることだけでは不公平ではないというふうに考えまして、先ほどいろいろ申し上げたわけでございます。どうぞよろしくお願いいたします。
  112. 門司亮

    ○門司委員 ちょっと関連して一つだけ聞いておきたいのです。あとで資料ででも出していただければけっこうかと実は思っておるのですか、たとえば道路整備する費用と、整備後におけるタイヤの減損がどのくらいでとどまるとか、あるいはガソリンの消費量がどのくらいだとか、荷物の運搬等についての問題を積算されたものか何かありましたら一つお示しを願いたいと思うのです。この基礎がはっきり分からぬで、ただ議論だけしておってもどういうことになるかということが一向わからぬのです。私もかつてこまかい数字を持っておったのですが、その後状態が多少変っていると思いますしするから、たとえば今厚いコンクリートをやっておりますが、あの程度でどのくらい費用かかかって、それによる経費の節約が一体どのくらいできるかということ、そして、それがどのくらいの間で一体償却されればよろしいか、それから簡易舗装の場合も私は同じように出てくると思うのです。これは道路の問題。もし数字が今直ちにおわかりにならなければ、あとで資料でけっこうだと思います。  それからもう一つの問題は、道路を使っておいでになる皆さんの考え方から、日本の道路というものは大体どのくらいの強脚性を持ったらよろしいかということであります。これは道路構造の問題になると思います。御承知のように日本の戦前の道路構造というのは、最高六トン、橋梁で十二トンというのが、大体建設省の基準とした道路の構造であります。ところが最近大きな車が通ってごろごろひっかき回すからみんなこわれてしまう。京浜国道などは年百年じゅうやっている。あんなにやらなければ悪いかという疑いを私は持つのですが、あなた方から見て、一体どのくらいの強靱性を持たせておけばよろしいのか。これは地質との関係もあるのでしょうから一がいには言えないかと思うのですが、とにかく日本で一番いいといわれている京浜国道でも年百年じゅうやっているのです。あの倍の厚さにしたら水久に持つなら、思い切って倍の厚さにしたらどうかという気がするのですが、もしそういうことにした場合の費用というもののかね合いがどういうことになるのか、その辺の数字がおわかりになっておれば、一つお示しを願えればけっこうだと思います。
  113. 小沢輝

    ○小沢参考人 私技術者ではございませんし、大和運輸という小さい会社で仕事をしておりまして、こういう一般的なことは実はあまり勉強をしておりませんので、ここで数字的なことを申し上げるのを差し控えまして、あとで日本トラック協会とか自動車会議所等の権威ある人々から伺って提出したいというふうに考えておりますので、抽象的に申しますと、道路がどういう大態にあったらいいか、今先生も御指摘になりましたように、京浜国道を走りましても東京都内を走りましても、とにかく三十分走りますと、七ヵ所や十カ所修繕してないことはないのでありまして、これは交通を非常に阻害するということは申すまでもない、事故の原因にももちろんなっております。三年に一ぺんや五年に一ぺんの修繕はいたし方はないというふうに思いますが、とにかく同じところで年に二回も三回も修繕をされるというような状態は、これは常識的にお考えいただきましてもぜひ改善さるべきものではないかと思う。それではどのくらいの厚さにしたらいいかということになりますと、これはしろうとでお答えいたしかねますので、今申し上げましたように、後ほどまた資料を作りまして提出したしたいというふうに考えます。それから道路状態とタイヤその他の消耗の状態でございますか、これも数字的に非常にむずかしいかと思いますが、やはり後日トラック協会、自動車会議所にも依頼いたしまして、資料ができますれば作りまして提出いたします。
  114. 門司亮

    ○門司委員 もう一つだけ聞いておきたいと思いますか、道路の行政と運輸行政との間に私はもう一つの非常に大きな疑問を持っている問題かあります。それは道路の舗装とかなんとかいうことでなくて、幅ですが、この間自動車に関する本を読んでおったところが、九トンも積むトラックができておって、幅が二メートル六十といいますか、八尺か九尺くらいの大きなものが計画されてできているのですね。これは自動車会社の本に書いてあったからあると思うが、そういう車を走らせる道路が日本にあるのかないのかということになると疑問があるのです。そして、そういうものが走れば、これはいなかの道路なんか一ぺんにぺしゃんこになってしまってどうにもならないものができる、だろうと思いますが、やはり、そういうものについてのあなた方の御希望なり何かか私はなければならないと思うのです。これは舗装だけでなくて、道路整備の中にはおそらく幅員も考えなければならぬかと思いますが、こうなりますとかなり大きな費用が必要になってくるので、一応お伺いしておきたいと思うのですが、そういう道路行政と運輸行政というものとに対するもし御感想でもございましたら、一つこの際お聞かせ願っておきたいと思います。
  115. 小沢輝

    ○小沢参考人 お話しになりました通り、これは申し上げなくてもおわかりのことでございますか、道路状態に何倍か先行しまして車が非常に進歩してしまったというのが、日本の戦後の状態ではないかというふうに考えます。車も現在では大きい車で大体八トンでございますが、現在すでに十トン車というものが試作されておりまして、ことに例の国土開発縦貫自動車道ができますと、十五トンとか二十トンという車か考えられると思います。しかしこれは現在の普通の道路を走る車ではございませんから、差しつかえないわけでございますが、現在の普通の道路を走る車にいたしましても、御指摘になりましたように八トンなり十トンの車になりますと、現在の幅員では非常に無理だというところがほとんど全部といってもいいのではないかというふうに考えます。従いまして私どもが東海道を車で通ってみましても、大都会の付近は舗装もある程度よろしゅうございますし、幅員もいいわけでございますが、ちょっと郊外に出ますと、途中でそういう車がもう行き違いができないというところがほとんど全部と申してもいいのでございまして、御指摘の通り、舗装をよくするだけではだめでありまして、やはり必要の区間は幅員を広げていただくとか、それがむずかしければ、すれ違いの場所をたくさん作っていただくとかいうような御処置をいただかないといけないのではないかと考えております。  それから道路行政、運輸行政の関係でございます。これは私ども民間におりまして、お役所同士でどういうふうになっておりますかわかりませんかが最近も栃木県の東北線の道路が非常に悪うございまして、普通のトラックは通れないので遠回りをしておるような状態でございますが、それらの点につきまして陳情あるいはお願いするにしましても、運輸省にも行かなければならぬ、建設省にも行かなければならぬ、地方庁にも伺わなければならぬというわけで、その点につきましては、われわれとしては端的に言いまして非常にめんどうくさいし、なかなか仕事が運はないということは痛感しておるわけでございます。できますならばどこか窓口が一本になりまして、そこにお願いすれば、そこに御相談すれば、必要の個所にパイプか続いているということになればまことにありがたいということは申し上げることができると思います。
  116. 中井徳次郎

    ○中井(徳)委員 最後に小沢さんに一つ伺っておきたいのです。この前のときのは大体記憶しているのですけれども、どうも正確な記憶がありませんものでお尋ねするのですけれども、自動車の経営につきましてあなたの方は貨物自動車ですか、タクシー、貨物自動車等で大体経費を一〇〇としまして、運転手、従業員の給与関係、そういうものが何%くらいであるか、ガソリンその他今度値上げになるものはどれくらいであるか、それから自動車の価格、減価償却、そういうものがどれくらいであるか、大体何か慣門的に言いふらされておるような比率かあるようにも伺っておりますが、どんなふうでございますか。大まかなところでけっこうです。それが、私は、この税金を課すべきかどうか、税率をいかにすべきであるかということにきわめて重要ななにがあると思うのです。さらに、これは率直に申しますが、第一回のときもこういう御質問をしましたが、とうとう業者の方から御返事か来ない。そういうことだから、次にまた値上げの追い打ちをかけられる。まだまだ余裕かあるんだ、こういうことなんですね。自動車の価格も、だいぶ下りましたよ。私はどの比率がどうだということを希望したり期待したりしておるわけではありませんが、せめてその現実のある姿をお知らせいただければ非常にけっこうだと思います。それもきょうおわかりでなければなんでございますが、お調べをいただいて……。しかしこれは、金利の面もありましょうし、なるべく早い方がいいわけなんです。
  117. 小沢輝

    ○小沢参考人 大和運輸だけの数字でございますと、帰りますと実はあるのでございますが、ここでわかるだけを申し上げます。全業者の数字というのは、おそらく統計はないと思いますが、できるだけ調べまして後刻提出いたします。今持って参りました大和運輸だけの数字を申し上げますと、人件費は全体の支出の三二%程度になっております。それから燃料費は、全体の支出のうち約九%になっております。現在の価格で九%、それがもし今回税か上りますと一二・四%になります。償却の数字はここに持っておりませんから……。
  118. 中井徳次郎

    ○中井(徳)委員 あとの五九はどこへいっちゃったんです。
  119. 小沢輝

    ○小沢参考人 あとは、修繕費、それから償却費、税金、利子、そういうものが入るわけてすね。その内訳は今ここに持っておりませんので申し上げられません。
  120. 中井徳次郎

    ○中井(徳)委員 燃料費は意外に少いのですね。これはだいぶ上ってきまして、一番最初のときは私は四、五%だったと思う。なあんだということになりましてね。自動車は、鮎川さんの調査によると、道の利用は、二四だというが、道の破壊の方は八〇くらい負担をしていますよ、率直に申しますと、実はそういう議論も起ります。こういう点、もう少し皆さんの立論される数字を、早い機会に、明日にでも当委員会にお送りいただければけっこうだと思います。
  121. 小沢輝

    ○小沢参考人 今申し上げました数字は、大和運輸でやっております先ほど申し上げた路線事業、つまり経営に関係あります部分だけを摘出したものであります。  それから非常に安いじゃないかというお話かございましたが、これも私は計算しました。あるいは少しは違っておるかもしれませんが、軽油を使いますと七トン車、これが大和運輸の今までの実験によりますと一カ月に千七十リッル使っております。これは税が八円でございますから、一両で一カ月に八千五百六十八円、一カ年にいたしますと十万二千八百十六円軽油税を負担しておるわけであります。これが上りますと十二円になりますから、一ヵ月一万二千八百五十二円、一カ年に十五万四千三百二十四円、そう安いものではないと私どもは考えておるわけでございます。
  122. 鈴木善幸

  123. 阪上安太郎

    ○阪上委員 小沢さんに二点ほど伺いたいのです。先ほど、もしこの軽油引取税が増徴になった場合には、その対策としていろいろ考えられる向きを申し述べられたのですか、機械化というようなことはほとんど困難だ、従って人員の整理の方向へ向わなくちゃしょうがないじゃないか、しかしそれも軽々に行わるべきではない。それから荷主へ転嫁することも、とてもじゃないができない、結果としては、やはり従業員の給与等にしわ寄せしなければならないという悲壮な声を出しておられるのであります。これは大へんな御心痛だと私は思います。しかしなが、われわれとしてそう軽々に簡単にこの政府の原案がそのまま通るとは思っておりません。そこで、先ほどお話がありましたが、ディーゼル車の問題を取り上けられて、これが非常に輸出の花形になっておるのだ、それにも影響を来たすだろう、こういう言い方をされております。私は、この場合、今もちょっとお話がありましたが、最近超距離輸送であるとか、あるいは山岳路線であるとかいう方向へどんとんトラック輸送が進出していっている、また、バスの事業の面なんか見ておりましても、やはりディゼル車が非常に経済的であるという観点に今立っておるのじゃないかと思う。その経済的な非常に魅力のある、そして事業を豊かにしていくところのディーゼル車も、油のもとが増税されていくということになると、これは大へんな問題じゃないか、私はそういうふうにこれを理解したいと思うのですが、この点について、やはりディーゼル車というものは、これから将来もっともっと伸びていかなければならない、また業者としてもこれをどんどん取り入れたければならないという実情にあるのかどうか、こういうようなことについて一つ御答弁願いたいと思います。  それからもう一点、先ほど御発言の中に、これは相当興奮して言っておられたように私は思うのですか、道路改良のための財源としてのガソリン税の値上げにしても軽油税の値上げにしても、納得できない、こう端的におっしゃっておられるのです。この点につきましても、われわれも非常に心配いたしておりますか、自治庁あたりの御見解によりますと、世界各国のガソリン税の歴史をひもといてみても——そこまでおっしゃっておりませんけれども、諸外国において、アメリカなどは特にそうでありますけれども、多くそういった税財源道路改良等の費用を求めておる、こういう、ことで、わが国においてこれが引き上げられたってあながち不当ではないじゃないかという考え方があるようであります。あなたは、先ほど道路改良の財源としてはこんなものは全く納得できないのだと言っておられますけれども、その点、私も自治庁の言い分もわからぬではないし、あなたの言い分もわからぬではないのですが、わが国の、いくさによって非常に荒廃したところの道路という観点に立つならば、現在こういった財源のみによってわが国の道路を改良していくという考え方はあまりにも不当ではないか、こういうふうに私は思う。この場合蓄積財源等によって、そういうものに国はもっと直接費用を投下すべきだという考え方を私は持っておる。そういうふうに私は理解すべきだと思うのです。あなたのように、いきなり将来も全部だめだという言い方はちょっとおかしいと思うのですか、その点御見解をお伺いしたい。
  124. 小沢輝

    ○小沢参考人 ディーゼル車の、今後日本でどうなるかということでございますが、今先生のおっしゃいましたように、私どもも、戦後の発達の状況から見まして、今後相当伸びていくというふうに考えております。双在では、御承知かも存じませんが、大体いわゆる長距離の路線事業が主でございます。大和運輸の例を見ましても、いわゆる貸し切り輸送もかなり長距離のものか出て参りまして、貸し切り輸送につきましてもディーゼル車を使うということで、徐々に転換をいたしておりますので、おそらく他の同業におきましても、そういうふうに考えていく。従ってディーゼル車というのは今後引当需要か伸びるだろうとい)ふうに考えるのでございますが、これは一つは先ほども申し上げましたように、ガソリンに比べまして軽油の方か安い。現在大和運輸で買っておりますのが、多分一リットル当り軽油の方が二十三円でありましたか、ガソリンが三十二、三円でございます。しかも一リットル当りの走行距離は全く同じでございますので、その点からいって非常に経済的であるというので使っておるわけでございますが、それが、値段が上りますと、そろばんをとれば果してどうかということを懸念して、先ほどああいうことを申し上げたわけでございます。  それから道路をよくすることについて業者もある程度協力すべきじゃないか、これはごもっともでございまして、私どももできるだけのことを極力しなければならぬ、私どもの通る道がよくなるのですから、協力どころではない、われわれ自身でやるべきことだと思います。しかし何といたしましても先はど申し上げましたように、特にトラック事業は非常に小業者が多くて、労務者を使いましても満足な使い方もできない状態にあるわけでございますということと、それから先ほども申し上げましたように、道路かよくなることによって利益を受けるのは、自動車業者だけではない。そういう点からいきまして、応分のできる範囲の負担は、これはもちろん業者といたしましても何としてでもいたさなければなりませんけれども、重点がわれわれのところにかかってしまうのではちょっと苦しさにたえられないということを申し上げた次第でございます。ことに先ほども申し上げましたように、この十年間ばかりの揮発油税、軽油税の増加を見ますと、全く矢つぎはやに、悪い言葉でございますが、まだこれでもくたばらぬかというように言う業者もあるのではないかと私としては考えるわけでございまして、その辺も一つ御賢察をいただきたいと思います。
  125. 阪上安太郎

    ○阪上委員 私が今申し上げているのは、業者の協力、これはある程度やっていただかなければならぬと思うのですが、日本のように戦後長い間放置されておった道路、これをいきなり外国並みにそういう税財源でやっていくのは適当ではないのじゃないかという考え方を私自身は持っているのです。また一部には、道路というのはやはりそういうものでやっていかなければならぬという考え方もあるようです。特にその点、われわれこういったものを扱って審議して何とかしなければならぬと思う考え方といたしましては、やはりそういった理由というものが確立されなければいかぬと思う。その点について、ただ単に道路はもう全然やめるというのでなくして、日本の実情があまりに荒廃し切って、それをもとへ戻す、あるいはそれ以上に伸ばすためには、外国並みにそういう業者に負担させることはいけないのじゃないかという考え方として私は理解したいというのですが、その通りでよろしゅうございますか。
  126. 小沢輝

    ○小沢参考人 先ほど申し上げませんでしたが、私どももその通り考えておるわけでございます。
  127. 鈴木善幸

  128. 渡海元三郎

    渡海委員 三好さんにお聞きしたいのでございますが、ただいま地方負担立場考え減税の場合においては地方意見を自主的に求める、これは当然のことであろう、かように考えるのでございます。地方財源が目下いわゆる持ち出し減税をできるような立場でないということは、三好さんよく御承知通りであろうと思うのです。片一方、今久保田さんが述べられましたように、事業税その他地方に対する税負担の方に対しましては、熾烈なるこれが軽減要望があることも事実であります。このためにわれわれの党におきましても去る選挙におきまして、一方ではこれらの要望にこたえ減税をしていくということを求めるとともに、一方ではこれが補てんを行うのだということをいって、このたび、御不満ではございましょうが、一%のものを上げさしていただいた、こういうように考えておるのでございます。  今申しましたように地方か自主的にやるのだということになりましたならば、当然地方自主財源そのものがふえなければならぬ、こういうふうに考えるのですが、近く行われます国、地方を通じての税制の根本的な改革の際、当然考えなければならぬ問題であろうと思うのです。その際に、現在の税体系でいきましたならば、いわゆる標準税率をもう少し高く置いて、それ以下に、力があれば下げることかてきるのだという体系をとるか、あるいは独立財源をもっと数多く求めて、地方財政計画の中で占める独立財源の割振りを多くするかということは考え得るのでございますがそういったことにつきまして、制限税率を課するということはむしろ特異な場合でございまして、大ていが標準税率で押えられておるのでございますが、採準税率を引き上げる行き方でいくのか、それとも自主財源を多くするような目的税を考えなければならないのかという点にかんがみまして、もしそういう立場であればどういった方面に自主財源、独立財源を求めていったらいいか、御参考までにお話し願いたい。
  129. 三好重夫

    ○三好参考人 私、地方税減税をできるならば地方団体が自主的にやらせてもらうのが一番よろしいと申し上げたのでありますが、これは今回の減税が、国が強制されてもその減税にたえ得るだけの余裕が地方にあるというふうにお考えになって、こういう原案をおこしらえになったのじゃないかと思いますので、もしそれであるならば、団体ごとにあるいはできるところもあり、できないところもある。自主的にやらせればその減税をやることによって財政の成り立たないところは減税をやらない。余裕があれば——地方も、議会もあることであり、住民もあることでありますから、減税を希望しないものはない、能力さえあればやると思います。余裕があればおやりになったらいい、こういう意味で申し上げたのであります。しかしながら、もし地方全体に減税をやるだけの力かないという考え方に立ちますならば、お話の通りに自主的な財源をできるだけ強化するという措置を講じなければならぬのじゃないかと思います。これは、国がどのくらい税をとり、地方がどのくらい税をとり、仕事は国がどのくらい、地方がどのくらいやるという根本的なことをやられます際には、国が法律でおきめになる以外に道はないのじゃないかと思いますけれども、その場合は地方団体が何も自主的にやる必要はないので、その制度に従う。しかし、そういう制度が一たびできたら、当分の間あとは地方団体の自主的措置にまかされたい、かように考えておるのであります。将来の改正に際しまして、地方に自主的財源を強化するという方向が打ち出された場合にどういう税があるかということは、一つの問題でございますが、さしあたり考えますのは、たばこ消費税であります。あるいは酒の消費税とか、おおむね消費税系統のものじゃないかと思うのであります。これは税収の安定性の上からいっても、普遍性の上からいっても、取り上げられなければならぬ問題じゃないかと思います。学者によりましては、かような税は交付税と選ぶところがないじゃなしかという議論をなさる方がおりますが、私は必ずしもそうは思いません。むしろ今日のごとく産業、経済、交通の状況が変ってくれば、従来オーソドックス的に地方税は直接税でなければいかぬのだと唱えられておった考え方も、もう変えていい時期が来ておるのじゃないか、ある程度間接税に依存するという方向に、もっと間接税を多くするという方向に踏み切らなければならぬのじゃないか、それが理論的にも実際的にも正しいのじゃないかというふうに思います。その場合に取り上げられる税は、ただいま申し上げましたような税、これならば相当地方へ持っていける。ただし現行制度のままでそれをつけ加えるということになりますと、また富めるものは富んで、貧しきものはますます貧しくという団体ごとの格好が起りますから、そこは税の負担区分の問題でありますとか、あるいは事務の配分の問題でありますとか、それを前提にして税の配分考える、その際に地方につけ得るならばそれをつける、こういうときの候補者だというふうに現在考えております。
  130. 渡海元三郎

    渡海委員 交付税の問題でこれを簡素化し、わかりやすくせよというお話がございましたが、私はこれは各地方団体を明朗にするように、今のように奇々怪々と申しますか、複雑怪奇である制度は確かに改むべき問題だと思いますが、他面これを合理的にやろうとすれはするほど、ある程度複雑化することは免れない。むしろそれよりも私は制度を安定化して、その安定化の上に、各地方団体も安定した制度で恒久化するために、複雑であっても合理的にできたものをよく把握できるように進んでいくべきではないかと思うのです。今簡素化せよというお言葉がございましたが、どういう方向に簡素化したらよいというお考えを持っておられるのか、参考までにお聞きかせいただきたい。  もう一つこれと関連しまして、このたびの予算編成に際しまして、いわゆる財源調整という問題が起ったのでございます。たばこ消費税の人口配分による財源調整、あるいは交付税の収入、財政基準収入額の算定方法による財源、あるいは特別態容補正を非常に増額して多く見積るといったようなことが起ったのでございますが、われわれはいずれも現在の交付税制度に合わざるものであるということで、これを排撃してただいまのように改正したのですが、ただいまの御見解とあわせてお聞かせ願いたいと思います。
  131. 三好重夫

    ○三好参考人 最初の問題でございますが、私は自治庁方々と多少見解を異にしております。交付税は二千数百億という総額を寄せてみれば非常に巨額なものであり、この姿は、国税あるいは地方税制の面との関係においていいか悪いかといえば、遺憾ながら膨大に過ぎるように思うのであります。そうかといって現行制度のような形のままで少々いじったのでは独立税はつけ得ない。そこでどうしても根本的に事務の配分なりあるいは負担区分の是正なり、場合によればある種の経費を国に移す、地方か持つ経費を少くする、たとえば警察費なり消防費のごときものを、半分なら半分国庫負担にするというような方法で、地方負担する額を割合少くするならば、地方税で支弁する額もある程度少額にしほられてくる。その場合において、もしできますことならば、独立税のほか私の構想では譲与税というものをもう少しふやしていく、そうして交付税というのは直接の調整制度として、今の特別交付金制度に少し毛をはやしたようなことで済むようになればこれに越したことはない、かように思っておるのであります。実は現行の交付税制度のようなものの出発の案というものは、私自身が言い出してできたようなものでございまして、当時の情勢としては容易に世の中に受け入れられないので、これに過ぎた制度はないようなことを強調して結局実現はいたしたのでありますが、今日になってみればやや行き過ぎたようなことになっていはしないか。議論としては譲与税でも交付税でも同じではないかということがあると思いますけれども、制度が簡素化されるということと、地方団体の予測がもっとやさしくなるという点から考えるならば、根本的な改正の問題としてはそういう方向が考え得るのではないか。ただ御承知のように地方税は非常に複雑で、団体ごとのそろばんがございますから、考えはそうでありましても実際に当てはめてみると計数かなかなか合わないので、そういかぬかもしれませんけれども、考え方の方向はさようにやったらいいのじゃないか、こう思っておる次第でございます。  財源調整の問題は、私どももしばしば論議の座に引っぱり出されるのでございますけれども、根本的な改正をやる際であればこれは相当考慮に入れていい、また入れなければならぬ問題だと思うのでありますけれども、一応こういう制度で、ちびちびした改正をやる際に取り上げる問題としては非常に不似合いな、不合理なことになりはせぬか。言いかえれば、結局富裕団体と称せられるものの財源を剥奪するということが財源調整の反面の意味でありますから、そういうことをちょっとした改正の際にやるべきでないということが私の根本的な考え方でございますので、多分御意見を拝聴いたしましても結局同じことに帰するのではないかと思います。
  132. 渡海元三郎

    渡海委員 なお三好さんのお話の中に、今の固定資産税の補てんに対する特別起債の問題で、これはぜひけちな根性を起さずに全額を見よというお説、ごもっともだと思うのであります。制度の成り立ちも当然かくあるべきもの、さようされるべきものと私もあの法を読みまして思っておるのでありますが、この際奥野財政局長に記録にとどめる意味において、この点は全額政令に基いて補てんは起債を認められるものである、こう考えておるのでありますが、それに違いございませんか、この際明答賜わりたいと思います。
  133. 金丸三郎

    ○金丸政府委員 それぞれの市町村ごとに減収になります金額を全額起債で補てんをするという考えでございます。
  134. 渡海元三郎

    渡海委員 久保田さんにお聞きしたいのでございますが、ただいまあなたの団体が言われる中小企業の法人の団体としての二百万円以下、それは三十一万五千で九一%だというお計がございましたが、また片一方要望として、参考意見で述べた中に、法人事業税の税率を少くとも三百万円以下は一〇%にすべきだという御要望もございましたのですが、あなたの方の団体で考えておられます中小企業の場合、法人を三百万円以下の所得のものと見ておられるのか、二百万円以下を見ておられるのか、この点をお聞きしたいことと、もう一つこれに関連いたしまして、今三好さんのお話の中には、法人事業税は半分は法人税となって国に納めなくちゃいかぬのではないか、このために法人税との関連において考えなくちゃいかぬのではないか、こういう点から中小企業に対する法人の点を言われるのだったら、事業税よりもむしろ法人税の軽減を主張される方が端的で、しかも効果的ではないかと考えられるのでありますが、この点いかにお考えになっておられますか。なおこのたびの法人事業税の税率の引き下げにつきましては、二百万円までを一〇%に持っていきました点は、現在の法人税の制限税率の適用が二百万円で押えられておるという点にあったのじゃなかろうかと思います。この点もし三百万円までを中小企業として見ておられるのでしたら、むしろ法人税の方も制限税率を三百万円まで引き上げるべきだと考えるのでございますが、この点いかなるお考えでありますか。
  135. 久保田正英

    ○久保田参考人 お答えいたします。私の方の出した書類は実は一千万円で区分しておるわけです。中小法人と大法人ですね。これは大体九八%くらいまでそれでいきますから、それで四百六十億というように考えております。つまりそういうのを公定の数字で一応出しておるわけであります。中小企業の事業税の撤廃の額は四百六十億円、ともかく一千万で区切ってそれ以下は全部撤廃、それから個人事業税は全廃、これで四百六十億、それから今度の二百万円の問題は、非常に減税額が多くなるというものですから、実は自民党の臨時税制調査会で私の見解として、二百万円までを計算してみればそれくらいになるのではないか、二百万円までについて少くも撤廃をやったらどうだ、基本的に撤廃をやるのだが、段階的にやっていきたいのだ、撤廃には賛成たけれども、一度にやることはできないという御主張が非常に強いものですから、それなら二百万円という数字を区切ってみたらどうだろうかということを、私の見解として申し上、げたわけであります。きょうはその線で申し上げたわけであります。  それから三百万円の問題は、先ほど実は藤田先生からもちょっとそのお話が出たものですから、私のところで三百万円までというのは、実はいろいろな方面で現実策として、すなわち撤廃の段階として、ことしはこれだけやるというのを三百万まで出したわけです。ところが自民党で選挙公約を出しましたとき、率直に言いますと、百六十五億円減税するということを福田政調会長が言明したのです。百六十五億円減税の中の数字は、法人事業税軽減する、それから、個人事業税は二十万円までをやるということになりまして、二十万円を基礎控除で六十五億円という計算にしますと、法人事業税は百億円減税しなければならぬ。百億円減税の線でいきますと、三百万円をこえたものが一二%、二百万から三百万が一〇%、先ほど申し上げました百万から二百万が八%、五十万から百万までが六%、五十万以下が四%という数字にならないと、百六十五億円という数字にならない。そこで、私のところは、自民党は選挙公約に忠実に百六十五億円減税せよというのが三百万円の数字であります。そういうふうに三段階に分れておりますが、考え方としては、一千万円以下くらいのところで四百六十億円減税をやるということと、党の選挙公約に基いた三百万円まで軽減しろというのと、それからさらにそれでは地方税が非常に減税になって困るじゃないかということで、私の見解としては二百万円までやってもこのくらいではないかということを申し上げたわけであります。  それから法人税の問題は、これは全般的に日本の直接税が非常に重いという点から、御意見通りだと思います。ただ私たちが中小企業の事業税の問題を言っておりますのは、つまり公平にとってもらいたい、その面で事業税は現在事業税だけをかける、これは中小企業だけではありませんけれども、そういう論拠がだんだん失われているのではないか。つまり応益原則が成り立たない。というのは、つまり国税なり事業税本来のあり方からいきますと、今の納税者側の行き方からいって、なくなってきているのではないか。だから、とられてもいい、しかしひとしくとられるようにやってもらいたいということで、事業税は少くとも中小企業についてはなくしてもいい段階ではないかということで申し上げているわけでございまして、その意味ではもちろん法人税の方、あるいは個人所得税の方についても減税の線はさらに考えていただきたい、こういうように考えております。
  136. 渡海元三郎

    渡海委員 最後に小沢さんにお伺いいたしますが、軽油引取税がわれわれの主管するおもなものですが、これはおそらくハスとかトラックに使われまして、タクシー業者等はこれに入らないと思いますが、その場合、ただいまのお話では、もっぱらこれが給与に対するしわ寄せになるとか、あるいは施設に対するしわ寄せになるとかいうようなことで、バス料金あるいは運賃にはたのでしょうか。このくらいの程度でありましたならば、運賃あるいは料金へのはね返りというようなおそれは非常に少い。しかし、業界としてはできがたいというならば、その点をお聞か壮願いたい点が第一点。  それからもう一つ、五割の値上げということは確かに一度にしては多い、私はこのように考えておりますが、他面御意見の中には、揮発油税が一キロに占める率が、今度の増税を入れますと約五六・八%。ところが今度増税を五割やりましても、軽油税の方では三八・九%にしかならないではないか、まだ揮発油税と比べて税の負担というものは軽いのではないか、こういう御意見がございますが、これに対する御意見はどのように持っておられますか。
  137. 小沢輝

    ○小沢参考人 バスやタクシーは御承知通り、増税分を料金でそのままお客さんからとれるわけでございますね。ですから、もしバス、タクシーの方で今回の値上げによりまして経費が償わないということであれば、運輸大臣に料金の値上げを申請するだろうと思いますが、これは私は専門でございませんし、役員でもありませんのでわかりませんが、非常にむずかしいのではないかというふうに考えます。それは人のことですからよくわかりません。けれども、トラックに関しましては、御指摘の通り軽油車を使っております業者というものは非常に少いのでありまして、車の数もまだそう多くありません。ほとんどガソリン車といってもいいわけでございますが、しかし、私どもの会社のあれを見ましても、路線だけで、つまり軽油車を使うことだけで会社の経営が成り立っているわけではないのでありまして、それに付随いたしましていわゆる地場運送、貸し切り運送の車も相当持っておりますし、それから軽油車は大体七トン半とか八トンという大きい車でございますから、運んで参りました荷物をすぐその車で荷主の門口まで持っていくということは、特に東京、大阪のような道路の交通制限のはなはだしいところでは、だんだんむずかしくなって参りましたので、一定の自家用のターミナルを作りまして、そこへ荷物を全部おろして、一トン半なり一トン程度の小さい車に積みかえて運ぶわけであります。従いまして、軽油車だけの輸送というものはどんな場合においてもまずないわけでございます。従いまして、それらを込めてそろばんをとっておりますので、ガソリン税も、それから軽油税も上るということになりますと、これは両面から攻められまして経費増は非常に大きくなる。  それから運賃を、先ほど申し上げましたように競争がひどいので定額を三割くらい割っているというので、税が上ったらそれを口実にして上げてもらえないかということでございますが、競争が激しい関係もありまして、百の荷主がありましても、それに応じてくれる荷主は一つあるか二つあるか、私どものように比較的まじめにやっておりますものでもそういう感じがいたします。それから、結局運輸省の認可になりますと運賃の定額を上げていただく。そうしますと、われわれとしましては、かりにその三割を割引いたしますにいたしましても、現在よりは定額が上るわけでございますから、現在もらいます運賃よりは何がしかよけいなものをいただける、そのかわりまたマイナスの面も多くなるわけでありますから、それをどうして埋めるかということになりますと、ほかのいい産業と違いまして、現在ぜいたくな経営をしているところではございませんので、結局この程度はなくてもしようがないじゃないか。たとえば従業員の休養施設のようなもの、これを、畳を一年に一ぺんなら一ぺんかえなければならぬものを一年半に延ばすとか、あるいは制服を一年に一ぺんずつかえたものを、これも一年半に延ばすとか、居残りも、今まで自由にやつていたものを一割当でもして残業の時間を制限するとか、そういうことも当然やらなければならぬと思います。それでもなおまかなえなければ、これはもう重役であろうと労務者であろうと変りはないわけでありますが、給与を減らすわけには参りませんから、結局賞与の率を減らすとか、あるいは増給の金額を減らすとか、おのずからそうせざるを得ない。そうでなければ結局事業をつぶしてしまう。お聞き及びと思いますけれども、最近私鉄あたりがだいぶ路線事業に手を出しまして、資本を増資するとかあるいは合併するとかいうことをやっているわけでございますが、これは見方によれば事業がもうかるからであります。従いまして、われわれとしましては、自家用車は多くは、大型の自家用車は大きな工場ですから、これは負担力はあるでございましょうが、その他の小型の車は、御承知通り八百屋だとか魚屋だとか、小さな商店が品物をとりに行ったり、あるいはお得意さんに配達したりするということになりますから、やはり私どものような零細業者と同じように、自家用であっても税がふえますと非常に困るのではないか。品物に転嫁できれ、ばよろしいのでありますが、なかなかこれもむずかしいように思われますので、少くともトラックにつきましては、ゼロということができないのでございましたら、ぜひ最低限度にとどめていただきたい、これをお願いしたいわけでございます。
  138. 鈴木善幸

    鈴木委員長 他に御質疑はございませんか。
  139. 阪上安太郎

    ○阪上委員 三好先生に一つお伺いしますが、先ほど押しつけ減税という手きびしい御批判があったのですが、これを押し詰めて参りますと、結局地方税の賦課については、都道府県市町村なりが自由にきめるというような格好になっていくのじゃないか、これを自由にやらせますと、御承知のように、住民は二重、三重の負担を受けるそういうものが出てきたということもようなケースが出てこないとも限らなありますが、多くの場合は小資本ではやっていけない。ごとに戦後は労働組合が非常に強くなっておりまして、首切りも給与の引き下げも絶対できませんから、結局自分でやれなくなるから、ある貰度資本力が満沢で、しかももうかる事業を一緒にやれば何とかない。こういった場合に、何か地方税というものを画然と区別していく必要があろうと思いますが、何かそういうことについて御構想をお持ちですか、伺いたいと思います。
  140. 三好重夫

    ○三好参考人 お尋ねの点でございますけれども、現在でも地方税国税というものはできるだけはっきりさせておる。地方税については地方税法という一定のワクがありまして、そのワクの中で地方団体で自由に操作できる。地方団体が操作しなければならぬ仕組みになっておりますことは御承知通りでございます。そういう制度でありますから、根本的な改正以外の場合におきましては、こういう国税が高いから、これをどの団体も一律に下げろというような御措置を政府がおとりになることが押しつけになるのじゃないか。地方団体それぞれ下げようと思えば、また下げる力があれば下げ得る制度になっておるのであるから、地方税法の命ずるところによってその勧告をなされはいいのだ、こういうことを申し上げたのでありまして、制度自体は、もうこれで一応の形はよろしいのじゃないか、運用の問題として考えてもらう余地があるように思います。その意見を御披露申し上げた次第でございます。
  141. 阪上安太郎

    ○阪上委員 次に思いつき減税とか、あるいは持ち出し減税というこれまた手きびしいお話がございましたが、一体どうなんでございましょうか。現在租税収入の六三%くらいは地方自治体が使ってしまっておる。そこでこういった防止策といたしましては、結局国と地方との税の割合というものは、ある程度きまっていかなければならぬと思うのです。それがありませんと、ついこういう格好になってくるのじゃないかというように思っておるのですが、その場合やはり何か基準がなくちゃいかぬと思います。われわれもこの基準を求めることに非常に苦労するわけです。一口に言えば、財政規模の適正化あるいは行政事務の再配分、こんなことを言うのでありますが、実際これはどう片づけていくか、今のような状態制度の問題も出て参りましょうけれども、それも片づいておらぬというような状態で、ここ数年ずっとこうしてきておるのであります。まあ先生も非常にこの道の権威でありますが、何かそういう割合というようなことについて適当な基準というものが考えられないかどうか、考えられなければならぬと思いますが、何か御意見がございましたら伺いたいと思います。
  142. 三好重夫

    ○三好参考人 ただいまのお尋ねでございますけれども、機械的に一定の基準というふうなことはなかなか考えにくいのではないか。しかしながら個々の仕事について調べまして、現在府県がやっておるものの中で、これは国がやるのが適当だ、今府県のやっておるままにしておく、あるいは市町村に移すのが適当だとか、これは調べれば個々の仕事について解決がつく問題だと思います。  最近教えていただきまして大へん参考になったのは、愛知県庁で非常に詳細な現在の仕事の調べをこしらえております。県がやっておる仕事はこういうものだ、その仕事については市町村がどれだけ権限を持っておるとか、県の方にはどのくらいの人数をどのくらい予算で使っておるというふうに詳細な調人ができておって、私どもも大へんありがたい参考資料だと思って勉強さしてもらっておるのでありますが、そういうものから積み上げていって、そしてこれだけの仕事は国がやるのが適当だ、これだけの仕事は府県がやるのが適当だ、これだけの仕事は市町村にやらすべきだということを再検討して、その積み上げの結果、所要の数字につきまして、さらにその負担について国がどれだけ持つがいい、県があるいは市町村がどれだけ持つがよろしいというふうなことをきめる。その上でどうしてもせんじ詰めたところぎりぎり、国はこれだけの税をとらなければならぬ、あるいは府県はこれだけの税をとらなければならぬ、市町村はこれだけの税が必要だということになると、それに税を配分する、こういうやり方をやればきわめて合理的なものが一応出てくるのではないか。なかなか困難な仕事でございますから、私どもは各種の調査会等において五年くらいの日子をかけて、ゆっくり調査して、今度改正したらまあ十年くらいはいじらないで済むような、安定した制度をこしらえたらどうかということをしばしば申し上げておるのでありますが、それだけ日にちをかけてやれば、国の方でも地方の方でも納得のいくような制度が生まれる、かように存じておるので、お尋ねの御趣旨に沿いますかどうですか、そういうふうに考えております。
  143. 鈴木善幸

    鈴木委員長 これにて各参考人に関する議事は終了することといたします。  参考人各位には長時間にわたりお引きとめをし、また有益な御意見を承わりまして、ここに厚く御礼申し上げます。これにてお引きとりを願います。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時四十六分散会