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1959-03-05 第31回国会 衆議院 地方行政委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年三月五日(木曜日)     午前十時三十八分開議  出席委員    委員長 鈴木 善幸君    理事 亀山 孝一君 理事 纐纈 彌三君    理事 渡海元三郎君 理事 吉田 重延君    理事 阪上安太郎君 理事 門司  亮君    理事 安井 吉典君       天野 光晴君    飯塚 定輔君       加藤 精三君    金子 岩三君       田中 榮一君    津島 文治君       富田 健治君    太田 一夫君       加賀田 進君    佐野 憲治君       中井徳次郎君    北條 秀一君  出席国務大臣         国 務 大 臣 青木  正君  出席政府委員         警察庁長官   柏村 信雄君         警  視  監         (警察庁刑事局         長)      中川 董治君         国家消防本部長 鈴木 琢二君         自治政務次官  黒金 泰美君         総理府事務官        (自治庁財政局         長)      奧野 誠亮君         総理府事務官        (自治庁税務局         長)      金丸 三郎君     ————————————— 三月四日  消防法の一部を改正する法律案内閣提出第一  四七号)(参議院送付) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方税法等の一部を改正する法律案内閣提出  第一五三号)  地方交付税法の一部を改正する法律案内閣提  出第一八六号)  地方税法の一部を改正する法律案内閣提出第  一七七号)  消防法の一部を改正する法律案内閣提出第一  四七号)(参議院送付)  警察に関する件      ————◇—————
  2. 鈴木琢二

    鈴木委員長 これより会議を開きます。  地方税法等の一部を改正する法律案地方交付税法の一部を改正する法律案及び地方税法の一部を改正する法律案の三案を一括して議題とし、審査を進めます。  質疑の通告がありますので順次これを許します。安井吉典君。
  3. 安井吉典

    安井委員 地方財政計画は、言うまでもなく地方自治基礎であるわけです。地方住民にとりましては、国の予算も大へん大きな関心の的であり得るわけでありますが、しかし、それよりも自分の身近な地方公共団体予算の費目の動きというようなものに、より深い関心を持つわけで、単にそれだけではなしに、国の施策というものも、都道府県から市町村へとその財政の網の目を通ってから、初めて実現されたと言うことができるぐらいきわめて重要であるわけであります。新しい地方自治制度がしかれましてから、わが国の各地方団体では、住民福祉を増進し、郷土の発展を念願しながら、地方自治体関係者によりまして営々たる努力が続けられて今日に来ておるわけであります。しかしながら、この十年余りの地方財政あり方を振り返ってみますと、歴代の保守党政府によりまして、国の経済財政の全体的な立て方の中で、大企業への資本集中というような方向が可能になるように、あるいはまた再軍備費用がまかないのつくようにと、中央政府が当然やらなければならない仕事までが地方押しつけられてき、あるいは地方のよい財源中央に取り上げられる。そういうようなことから、国家財政のしわが地方財政に寄せられて、地方財政に対する圧迫が一そう高まってきているというふうな感じがするわけであります。さらに、補助金助成金というふうなひもがつけられることによりまして、財源的に中央依存、あるいはまた中央集権化というような方向が強化されてきたというふうな気がするわけでありますが、そのような考え方に対しまして、政府はどういうふうにお考えになっておられますか。
  4. 黒金泰美

    黒金政府委員 今お話がございましたように、私は決して地方財政か楽だとは考えておりません。楽だとは考えておりませんけれども、今お話しのように、再軍備強化であるとか、大資本に奉仕するために国が全部財源をとってしまって、地方にやらないのだ、これも少しひがみじゃないかというような感じがいたします。やはり中央地方と両方通じまして、ともどもに乏しきを分ちながら、国も地方も立っていくように、相互財源相互事務の配分をよく考えまして、そうして改善をはかっていくというような方向でいくべきじゃないか。昨日もいろいろ御議論がございまして、ある程度お答えいたしましたが、なかなかこれは簡単に一気に参りませんので、やはり既存の状態を、また現状をも十分尊重しながら、漸進的に進んでいく以外にないのじゃないか、このように考えておる次第でございます。
  5. 安井吉典

    安井委員 ただいまお答えがございましたけれども、現実昭和三十四年度の政府地方財政計画をながめてみますと、ことしこそは、今のような地方財政の中から強く立ち直りが行われるべきだという期待がまさに裏切られまして、むしろ地方財源は奪われるし、あるいはまた、国の事業が無理やりに地方押しつけられるし、さらに一時のがれはできましても、将来は必ず悪い結果になろうと思われるような種が随所にまかれておりますし、これでは地方公共団体は、三十四年度の地方予算を現在すでに組み、審議をしつつあるという段階だと思いますし、ことに今年は理事者や議会の改選が一斉に行われる年でもあるわけでありますが、その改選後に予算が組み直されるというような段階に至りましても、いざ編成に取りかかってみると、さてこれは大へんだ、というようなことになることはもう必定だと思うわけであります。それらの点につきまして、以下若干お尋ねを続けていきたいと思います。  一番初めに、義務的な経費激増という問題でございますが、この財政計画を一通り拝見いたしますと、地方がどうしても負担しなければならないような費用が急激な増加を見ておる、こういうことに気がつくわけであります。全体的な増が千十八億円、そのうちの大部分がいわゆる義務的の経費増加だということに気がつくわけであります。この中でも給与費の方は四百十八億円の増というようなことで、これはもう動かしがたい。むしろ少な過ぎるくらいの額でありますが、その他国庫補助金を伴う消費的な経費あるいは投資的な経費が合計五百十八億円もふえておるわけであります。つまり今度の増加の半分以上はそういったひもつき増加だという姿が見られるわけであります。そのほかでも、国の政策地方財政を通して行われるという姿の中から、非常な無理がこの財政計画の中に寄せられておる。こういうような事情が見受けられるわけであります。そういう半面におきまして、国庫補助を伴わない投資的な経費の方はたった七十五億円の増でしかないわけであります、これだけ見ましても、いかに国のひもつき的な押しつけ地方財政の本来の仕事圧迫しておるかということが知れるわけであります。まさにこの義務経費増大は前代未聞の数字でないかと私考えるわけであります。特に道路なんかにつきましては、今度道路の一兆円五カ年計画が正式にきまるようでありますが、それにいたしましても、従来九千億円計画でありましたのが、一兆に引き上げられる。その場合におきましても、結果的には一兆円のうち地方単独事業が千九百億も盛り込まれ、そのほかに有料道路が二千億、ですから国の本来の仕事は六千百億くらいになるわけですが、このうち地方負担期待いたしておる額が千六百億円もあるわけです。だから一兆円といいますけれども、有料道路を除いて二千億、そうすると残りの八千億、そのうちさらに三千五百億をも地方負担させるというふうな格好であります。しかも国の負担の方は一切がっさいガソリン税の値上げを充てておる。こういうようなことで、これで一兆円の道路五カ年計画の公約の実現だというふうに誇っておられるわけでありますが、こういうような中から、地方財政は非常に大きな圧迫を受ける。こういうような事情がここにあるわけであります。これは道路だけでなしに、ほかの問題についても同様であります。つまり、国の政策に対する地方の隷属を今度の財政計画の中において強化しつつあると言うことができると思います。申すまでもなく、地方自治住民の自由な創意によるところの福祉向上のためのものでなければなりません。行政水準向上という言葉もそこで意味を持ってくるわけであります。ところが、国の一方的な押しつけ、これでは大へんだと思います。何もかもやめて国の言うことだけを聞け、特にこれからは道路だけやっていればいいのか、そういうような反問をしたくなるわけであります。このような義務的な経費地方財政への圧迫の激化という問題につきまして、十分政府側のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  6. 黒金泰美

    黒金政府委員 数字その他の詳しい点はあとでお答えするにいたしましても、今承わっておりまして、私どもが率直に申して非常にふに落ちないと思いますのは、補助金がついておる経費でありますれば、いかにも押しつけのようにお考えになる、これは少し無理じゃないかしら。地方福祉を増進いたします場合に、たとえば道路について考えてみましても、やはり国道を一番利用いたしております。あるいはまた地方道の県道なり何なりも使っておりましょうけれども、やはり一番メイン・ストリートは国道でございましょう。国道をよくすることがやはりその地方福祉を増進する道だろうと思います。こういうものにつきまして、国道の整備のために地元負担も若干はふえ、また地方道路をよくするために補助金も出てくる。従いまして、こういうような国庫補助負担金を伴うものは押しつけであるということは少しおかしいのじゃないかしら。やはり国と両々相待ちまして地方福祉も増進するし、国の福祉も増進する。こういうふうにお考え願うのが筋じゃないかしら、こんなふうに考えまして、苦しいことは私も認めますが、地方財政に無理に押しつけている、必ずしもそうばかり言えないのじゃないか。こんなふうに考えている次第であります。
  7. 安井吉典

    安井委員 東大の鈴木教授がおもしろいことを言っているのですが、今の政府地方財政へのやり方は割勘政治だというわけです。つまり補助金というものをつけて地方仕事がおりてくれば、政府の方も自分の支出が少くて仕事ができる。地方の方も、全額負担するよりも幾らか楽だからそれに飛びついていく、そういう意味であります。つまり一ぱい飲みにいかないかというふうな話になりましても、全額自分でおごる気で言うのではなしに、誘ったけれども半分だけは一緒に飲んだやつに払わせよう、いわばそういうさもしい根性がいわゆる補助金行政だ。こういうふうな批判をいたしておるわけであります。それはもちろん地方公共団体にいたしましても、道路を十分にやりたくないということではないと思います。道路の問題も非常に大切でありますし、いなかにおきましては道路の問題が大へんおくれております。そういうようなことから道路予算増高、それに対する期待はきわめて大きいわけではありますが、しかしながら、それぞれの地方公共団体におきまして、それよりももっと——この間学校が火事で焼けてしまった、消防車がボロだったから、消防ポンプを何をおいてもまず買わなければいけない、そう思っている町村もあるかもしれません。そういうものすべてが国の施策のままに引きずり回される。そういう行き方は困るのではないか。だから地方公共団体創意というものがどんどん生かされるような地方財政計画あり方政府は指導していかなければいけないのではないか、かように考えるわけであります。もっとも、いかに義務づけはいたしましても、地方ではできないことはできないということだと思います。つまりやろうと思いましても、補助だけはさまったけれども、それに対する見合う財源が十分ない。こういうような場合が今度のような義務経費の膨大な激増の際においてはありがちだと思います。もっともらしく数字は一応計上されておるようでも、十分な財源がなければできないと思いますが、そういうような場合はどういうふうになりましょうか。
  8. 奧野誠亮

    奧野政府委員 お話しになります点は、住民多数に関係いたします仕事を国と地方とでどう責任を分ち合っていくか、分ち合った責任に基きまして必要となりまする財政需要をどのような財源でまかなっていくか。地方財源を与えます場合にも、どういう形で財源を与えていくかというような問題に帰着するのじゃないだろうか、こう考えておるわけでございます。割勘政治だとおっしゃったわけでございますが、地方財政法でも、国民経済全体に関係を持ちますような公共事業でありますと、国全体で計画を立てて仕事を進めていく。従って国もその経費の一部を分担するのだ、こういうような方式を定めておるわけであります。それを具体化するに当りまして、もっと今の考え方改善を加える点がないかどうか、確かに検討を要する点が多々あるだろうと思うのでありますけれども、現在のところ、地方財政法に規定されましたような精神に基いて運営されているものだ、こう考えておるわけでございます。一応現在の国の予算に基きまして地方負担増大を来たします部分、そういうものも合せまして地方財政計画を立てておりますので、私たちは、全体としては今の公共事業費を消化していくことができるのじゃないか、こう思っておるわけでございます。ただ個々の団体が、自分のところで積極的にその公共事業費を引き受けてやっていきたいと考えましても、なかなかゆとりがございませんので思うようにはいかないのじゃないか、こう思っておるわけでございます。従いまして、国の計画によります公共事業をどのような団体にどのように消化さしていくかということにつきましては、今後なおいろいろ検討していかなければならない、工夫していかなければならないと思うわけでございます。しかし、全体としては、地方財政計画に示しておりますようにつじつまが合っているわけでございまして、消化は可能だ、こう思っておるわけでございます。
  9. 安井吉典

    安井委員 もちろん地方財政計画は、この一枚目の歳出と二枚目の歳入とで収入とで収支ぴたり合っているわけであります。しかし、この地方財政計画は、もうすでに幾度も御説明がありましたが、きのうおひな祭は終りましたけれども、人形みたいなものであります。つまり現実地方財政と同じように、目鼻がついておりますし、手足もついて、きれいな顔もしているわけでありますけれども、あくまで抽象的なものでありまして、現実財政というものは毎日々々呼吸をしながら生きているわけであります。従いまして、たとえばここで計上はされておりましても、果してこれの基礎的な計算になる単価の問題にいたしましても、現実通りのものがここに出ているかというと、決してそうではないと思います。たとえばこれは北海道の調べでありますけれども、学校建築にいたしましても、標準単価は木造で三万円、ところが実際は三万二千円かかります。鉄骨ブロックで四万二千円の標準が、実際は四万五千円かかる。鉄筋ブロックで五万四千円が標準だそうでありますが、実際は七万円がかる公営住宅にいたしましても、第一種の鉄骨ブロックか、単価が三万九千七百円のものが、実際は四万六千六百円もかかります。第二種のブロック住宅につきましては、三万四千三百円のものが、実際は四万四千百円もかかる。こういったような実際の姿がありますし、あるいはまた建物を建てる敷地の問題にいたしましても、その一部が対象になる面もあるのかもしれませんけれども、しかしながら、実際必要な買収費とそれとはおそらく合っていないだろうと思います。よけいかかっていると思います。工事が終れば大工さんにも一ぱい出さなければいけないし、あるいは落成式費用や設計の費用なんかもかかっているわけであります。そういうようなものが一部は事務費というような計上はあるかもしれませんが、しかし、こういったようなものはおそらくこの財政計画の中には入っていないわけであります。落成式の話が出ましたけれども、これは地方公共団体仕事でもそうでありますが、国の直轄事業でありましても、担当の役所が、この橋ができたんだから一つ地元がお金を出して竣工式をやってくれないか、中央の方にだいぶお世話になったので、役人の人も呼ばなければいけないし、そういうような負担もかかってくるわけであります。そういうようなものは、一体この財政計画の中にあるのでしょうか。特にこの単価の問題は、現実単価標準単価との大きな狂いの問題は、坪当りというものは少くても、これは総額にいたしますと大きな財政計画狂いに発展してしまうわけであります。国庫補助人件費にいたしましても、あるいはまたその他の公共事業失業対策生活保護費、こういうようなものでも、全体的に多くの見積り不足があると思います。おそらく全国で相当な額に上ると思うわけでありますが、そういうふうな問題につきまして、現在の財政計画ではどう措置されているか。あるいはまた今後においてどういうふうな処理のお考えを持っていらっしゃるか、一つそれをお聞かせいただきたいと思います。
  10. 奧野誠亮

    奧野政府委員 御指摘になりましたように、国庫補助関係の算定の基礎になります単価に十分でないものがある、あるいはまた当然に用地買収等を伴うにもかかわらず、そういうものが含まれていない場合があるとおっしゃいましたことは、その通りでございます。でありますので、数年来その点を指摘いたしまして是正を求めて参ったわけであります。幸い国予算編成に当りましても、逐年改善がはかられて参ってきている、かように考えてきておるわけでございます。今度の地方財政計画の策定に当りまして、歳入の面におきましては、地方税あるいは地方交付税等増収額歳出の面に当りましては、公共事業費あるいはまた給与費財政需要増加額、そういうものが果してバランスがとれるかどうか、こういうようなことを中心に見て参ったわけでございます。従いまして、従来から考えられております歳出、その中には当然超過負担分もあるわけであります。それはそのままにして積み上げ計算を行なっておりますので、従来以上に超過負担がふえてくる場合には、そのようなものはその財政計画に見込んでおりませんけれども、従来超過負担しておりましたものは、今申し上げましたような計算方式をとっておりますとネットに入っているのだ、こういう言い方もできょうかと思います。私たちはこれで十分だと思っているわけではございませんけれども、ただ、そういうものは全然地方財政計画考えておらないかと言われますならば、積み上げ方式をとっていきますので、従来負担しておりました程度のものは入っておる、こう答えることができるのではないかと思います。
  11. 安井吉典

    安井委員 今のような見積り不足は概算どれくらいあるというようにお考えになっていらっしゃいますか。
  12. 奧野誠亮

    奧野政府委員 従来私たち指摘しておりましたのが三十億程度数字にいっておったというふうに見ております。
  13. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 関連して……。今の御答弁、三十億というような御認識のようだが、どうかと思うのだ。あなたも正確にはかっておられると思うが、これは一つ調べを願いたい。学校関係道路関係補助金と実際の建設費との差額、これは私は数百億あると思います。一つ調べて下さい。たとえばPTAの一年の何がどれだけあるかというようなこと、ああいうものとの関連もありますが、それは大へん数字になると私は思います。三十億というのはちょっとひどいように思う。これは別にあげ足をとるわけではないが、一つ厳格に調べて下さい。そうして報告して下さい。これをお願いします。どうですか、私の見通しは過大かね。あなたは三十億と言われたが、その根拠を一つ聞かして下さい。
  14. 奧野誠亮

    奧野政府委員 超過負担といいます場合に、対象外工事地方団体単独でやった、こういうものを加えていきますと莫大なものに上ると思います。しかし、そうでなしに、今御指摘になっておりましたように単価が低過ぎる、それを本来の単価に引き直した場合に差額がどれくらいになるかといってきた場合には、それほど大きな金額にはならない、こういうふうに思うわけでございます。  なお、もう一つ非常にむずかしい問題はたとえば河川の改修工事などの場合に、土地買収費基礎というものは非常に少いけれども、かなり大きなものを地元から寄付の形においてまかなっている例が多いわけでございます。土地買収費になりますと、地元民自身がもう相当のものを寄付してしまって、地元民自身がそれほど大きな金を受け取っていない。しかし、現実時価で買収するということになりますと、非常に大きな金額に上ってくる。こういうふうな例もあるわけであります。従いまして、どういう角度で御指摘になりました点を計算するかという点によって非常な違いがある、こう私は思うわけでございます。しかし、せっかくのお話でもございますので、私たちの方でさらに計算基礎を明らかにしたもので一応調査をいたしてみたいと思います。
  15. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 その場合に、今おっしゃったように、学校を建てるにしても、国の規格以上のものを入れたらどうなるかというが、国の規格だけに沿ってやっても相当な金額に上ると私は思う。公共事業費の総計を計算してちょっと考えてみましても、そんな三十億というような数字には絶対にならないと思うのだけれども、もしほんとうにそういうことを信じておられるならば、これは大へんな問題であります。そこで、たとえば三十二年度がわからなければ三十一年度でもけっこうですが、これもまた一週間や二週間かかってもいいですから、一つ厳格にやってみて下さい。道路関係教育関係交通関係、特に一般会計以外の住宅公団等地方団体が建てております公営住宅その他、これは一般会計に入っている面もありましょうし、家賃の関係だとか、特別会計としているところもあると思いますが、そういうものを計算してもらいますというと、三十億なんていう数字はちょっと及びもつかぬと思います。ですから、せっかく詳しく調べて下さい。
  16. 安井吉典

    安井委員 私も全く同感で、それどころの数字じゃない、相当な数字に上ると思います。今日までの補助行政あり方の中におきましては、実際工事をやりまして、標準工事費よりも若干安く工事が仕上りましたら、それはまぎれもなく国は取り上げていってくれるわけであります。それを残して使いますと、これは補助金適正化違反というようなことで大へんなことになるわけでありますが、その反対に、実際に指示されました標準費用よりもよけいにかけてりっぱなものができたら、これは国はちっともめんどうを見ない。これは全くの片手落ちだと地方公共団体がいうのは無理はないと思うわけであります。ですから、そういうような資料を十分おとりになりまして御検討をいただき、また地方財政計画ほんとうに活の入るような方向にお進みをいただきたいわけであります。  そこで、今のように義務的な経費補助事業という格好で下の方におりて参ります。その上に今度の財政計画の中では、いろいろな悪要素がさらに積み重なっているような気がいたします。特に私不思議に思いますことは、これだけ大きな地方負担を押しかぶせておきながら、一般補助事業にいたしましても、あるいは一般単独事業にいたしましても、地方債計画伸びというものがさっぱりないということであります。これは地方負担が減ったなら、あるいはまた横ばいなら、これは何とも文句の言いようがないわけでありますが、これだけ膨大な用意をしておきながら、ちっとも伸びていないのであります。この間の表で拝見いたしましても、一般補助で去年よりもたった五億円の伸び一般単独事業では十億円の増です。しかもこの十億円の増のうちの六割までは下水道オンリーであるわけであります。ですからこういうようなことから言いますと、一体地方負担方向ほんとう政府が力を入れてやるという気持があるのかどうかということが疑われます。さらに問題は、同じくこれだけ負担伸び地方負担を多くしておきながら、例の地方財政再建のための国庫負担の臨時特例法、これを社会党は今後とも一そう存続すべきだという主張にもかかわらず、政府はことし限りでやめてしまおうとしておるわけです。だからそういうことから言いましても、この間の説明でお聞きいたしたところでも、地方団体側の負担補助事業で五十五億、直轄事業で三十二億の負担金あるいは分担金の増というふうな、これもまたおまけでついているわけであります。これはその補助金が減るという、それだけであればけっこうでありますけれども、結局補助金が減れば起債にみんな飛びついていくわけでありますが、その起債の方が今のように減っているわけですから、結局一般補助事業でことしは五億円ふえまして、起債計画額が百五億になったといいましても、実際上は地方負担に対する起債の充当率というものは去年よりもまたぐっと下ったんじゃないか、かように考えられるわけであります。だから私は、こういうところから言いますと、補助事業も実際は消化し切れずに国へ返上しようという動きが起るのではないかというふうな心配をいたします。単独事業伸びが七十五億あるというようなことをここでは説明されておりますが、これはうそだと思います。実際は、さっき言いましたような単価の増やその他が結局まかない切れないわけで、そういうものもこの単独事業費の方の伸びを食ってしまうよりほかはない。あるいはまた公共事業の中の維持補修というようなものは、昨年通りのような計上で、全然増額の措置もありませんし、私はおそらくこういうようなものまでも補助事業負担のために食われてしまいまして、維持補修という面も、むしろ昨年あるいは一昨年以下に落ちてしまうのではないか、そういうようなことを大へんおそれるわけであります。この問題についてのお答えを一つお聞かせ願いたいと思います。
  17. 奧野誠亮

    奧野政府委員 御指摘のように、事業分量がふえていくのだから、地方債ももっと増額してよろしいのではないかという問題、これは問題としてはあるわけであります。しかし、地方財政計画に掲げております地方債は、交付公債を含んでいないわけです。三十三年度の当初計画が四百三十億円、それに対しまして三十四年度の計画が四百九十五億円でありますから、六十五億円の増加にとどまっております。しかし直轄事業がかなり増加いたしておりまして、それに伴う地方負担分もまた七十八億円増加しております。この部分はやはり資金運用部資金あるいは国庫金なりでまかなっていくわけでありまして、地方団体は交付公債として将来も債務を負っていくわけであります。この増額の方の七十八億円を加えますと百四十三億円の増加ということになるのであります。三十三年度の四百三十億円に交付公債百三十三億円を加えますと五百六十三億円となります。この五百六十三億円で、実質的な地方債増加の百四十三億円を割りますと、二五%の増加ということになっておるわけであります。この一両年普通会計分の地方債は漸減させながら、地方財政の健全化に向って努力して参っておりますので、私たちとしては、地方債を増額して、将来にこの問題を送っていくというやり方はできる限り避けたい、こう思っておるわけであります。今申しますように二五%の増加というものは、かなり大幅な増加だというように存じておるわけであります。従いまして、地方債をさらに増額するということにつきましては、相当懸念を持たざるを得ない。こういう考え方でございますが、なお維持補修費が減ってくるのではないだろうかという御心配がございます。昨年の地方財政計画におきましては、大幅に維持補修費を増額いたしております。これはそのままにしておるわけでありまして、別に減額はいたしておりません。ただ全体が窮屈でありますので、その間一方でふえたり、あるいは他方でふえたりいろいろするわけでございましょうが、今度公共事業費が非常にふえたからといって、従来予定されておった維持補修の財源までもそちらに回すようにしておりませんことを御理解願っておきたいと思います。
  18. 安井吉典

    安井委員 交付公債をワクの中に入れて計算すればというお答えがございましたけれども、交付公債というのは国が当然やるのをおっかぶせてきているというだけで、地方公共団体財政にはちょっともプラスになる要件ではないわけであります。ですから、積極的な仕事伸びということからいいますれば、交付公債の問題はむしろこれは打ち切るというふうなことで、全額国費で見ていくのが当然なんで、そういうような考え方に立ちますれば、起債の総額というものがもっと伸びをすることによりまして、積極的な地方財政への助けになるという方向でなければいかぬわけであります。あるいはまた先ほど来問題にいたしておりますように、つじつまが合っているように見えても、実際上は義務負担によりまして、何もかも財源が食われてしまうのではないかというおそれ、こういうものにつきましては、交付公債の存在は無関係なわけであります。だからそういうような意味から、起債の増額というものはもっと進められなくてはならない、かように考えるわけでありますが、今後の段階におきまして、補正予算あるいは今後の財政当局との折衝の中におきまして、起債の増額の見通しは全然ないものですか、どうですか。この点一つ……。
  19. 奧野誠亮

    奧野政府委員 先ほども申し上げましたように、たとえば公営企業のように償還財源が予定されているというようなものにつきましては、積極的に充実をはかっていきたい、こう思います。しかしながら、普通会計分の地方債につきましては、将来に債務を負っていくだけのことでございますので、私たちは、できる限り一般財源の充実をはかりまして、地方債で一時を糊塗するというふうなことは避けていきたい、こう思っております。そういう意味で三十四年度内におきましても、公営企業に属しまする地方債につきましては、今後なお積極的に増額するような方法で話し合いを進めていきたいと思っております。なお交付公債の増は地方債増加と同じように考える必要はないではないかというような意味のお考えがあったようでございます。しかし、直轄事業特別会計でやっていく。その場合に地方の分担金収入が入ってくるのだけれども、さしあたりは交付公債の形でしか地方から金をもらわない。その部分特別会計が直接資金運用部の資金から金を借りて仕事をやっていく。こういうものがあるわけであります。言いかえれば特別会計をクッションにして地方団体地方債を発行しているわけでございますので、これはやはり私たちは同じように考えていただきたい、こう思うわけでございます。そういう意味で、特別会計が資金運用部から借りておりました資金が、三十四年度でさらに六十三億四千五百万円ふえております。これは地方団体が直接は借りておりませんけれども、特別会計をクッションにして借りた金でございます。現に資金運用部資金をこれだけよけい借りておるわけでございまして、このことが大体直轄事業分担金の交付公債が七十八億円ふえてきているというような数字と深いつながりを持っておるものでございます。
  20. 門司亮

    ○門司委員 ちょっと関連して。今の問題だが、大体財政局長の話との関連性だが、今度は非常に特別会計がふえてくるのだ、実際は。港湾整備その他で、これは港湾法によると三割が起債で、残りの分についての二割五分が交付公債の形であと払いになっている。これは港湾法にそう書いてあるのだからどうしようもない。そこで問題になってくるのは、今度の予算で、港湾整備が失業救済を含むと国の説明書には書いてあるけれども、昨年度より約五〇%ふえている。非常にふえている。いわゆる七大港の整備をする、従って七大港がそれに当てはまるわけだが、七大港の所在地はいずれもそういう形で今年度は三割の起債を、たとえば十億程度仕事をすれば三億の起債でいい、あと七億の分は国がこれを施行するが、その中の二割五分は交付公債のような形で分担して、あとで払わなければならぬ、こういう形になってくる。今の特別会計——これも特別会計なのだが、港湾整備特別会計でやることになっているのだが、そういうもののにらみ合せが、やはり地方の自治体では交付公債に対するものの考え方政府がはっきりしてもらって、単なる普通の交付公債と、別の特別会計によるそういう一つの法律に基く交付公債の形が、いやがおうでも出てくるのです。そういうものについては、何か先ほどからいろいろ議論があったと思うのだが、たとえば利息だけでも今の六分五厘というような利息をやめて、なくするとか、安くするとかいうふうな取扱いができないかどうか。これは必然的に生まれてくるのです。ことしは港湾整備の問題が十億やれば三割だから三億、公債費が当然出てくる。公債を当然持たなければ政府はやらない。この公債を入れて十億で政府仕事をする。そうすると、その十億の中から三億を差し引いた残りの七億についても、二割五分は地元負担だということになっている。四分の一負担しろということになっている。いやがおうでもこれは交付公債の形で出てくる、こういう仕組みなのだ。これは港湾法が悪いといえば、港湾法が悪いのかもしれないが、とにかくそういう仕組みになっているので、政府が大幅に港湾整備の計画を立てて特別会計でやるという方針をとっておる。従って、この政府の方針に基いていやおうなしに法律的に義務を背負わされる仕事についても、利息の問題をどうするのですか。これは大蔵省も来てもらって一つ相談しようと思うのですが、交付公債の利息というのは特に考える必要があると思う。自治庁の考え方はどうなんですか。
  21. 奧野誠亮

    奧野政府委員 交付公債制度は、私たち地方財政の危機を乗り切るための一時の便法にすぎなかった、こう思っております。従いまして交付公債制度は早晩廃止されるべきものだ、こう考えております。そういう気持もございますので、私たち事務当局としては、特別会計が資金運用部から金を借りないでも、地方団体が直接資金運用部から金を借りて、そうしてそれを現金で特別会計に納付したい。もとより借金をしないで一般財源から分担金を直ちに納付できればそれはそれに越したことはございません。それ相当の地方債はやはり残っていくだろうと思うのであります。そのかわり、前に発行した交付公債につきましては利子を減免していただきたい。こういう気持をもって大蔵省といろいろ話し合いをいたして参ったわけであります。しかしながらいろいろな問題がそこにございまして、三十四年度できれいさっぱり解決するということには至りませんで、将来に問題が送られたわけであります。どのような方法がよろしいか。なお検討を要すると思うのでありますけれども、予算折衝に当りまして私たちが持っておった考え方は、今申し上げた通りでございます。国としては、交付公債の形でいった方が、自分考えておる事業自分の思っておるところでずばり実施していくことができ、大へん便利な制度だろうと思うのであります。そのことは逆にまた地方団体においてその工事を十分に批判していくという場合には、非常にやりにくい制度だろうと思うのであります。どういう考え方でこれを決定することがよろしいか、なお私たち自身にも研究を要する問題が多々あるだろうと思っておるのでありまして、一年間十分に検討を続けていきたい、かように考えております。
  22. 安井吉典

    安井委員 交付公債の問題につきましては、やめてもらって、全額国費で見るか、あるいはまた地方財政計画の中でしっかり見てもらいたい。こういう要望は、地方公共団体にも非常に強いし、地方制度調査会の中でもしばしば話題の出たところであったわけであります。少くとも過去のものの利子免除くらいは、これはできない相談じゃないと思うのです。今門司さんからの御発言もございましたが、十分に御検討をいただきたいと思います。  先ほども起債の問題の中で、地方公共団体を強くするという意味から、あまり起債にばかりもっていくのは適当な策じゃないというふうなお話もあったわけでありますが、そういう事柄にからみつけて申し上げるわけではありませんけれども、今の交付公債にしても何にしても、大体国の便宜で、地方財政の方はあと回しという格好で現在扱われているような気がするわけであります。大きな財政全体の立て方からいいましても、国は財政をあくまで健全財政だという建前で非募債主義で現にいっておるわけです。先日も予算案が本会議で決議の行われる際の討論の中で自民党の代表の人が、今度の政府予算は積極的安定成長の健全予算だというので、与党の方々の拍手を浴びられたわけでありますけれども、しかし、国の方は健全財政かもしれませんけれども、地方は相変らず起債起債で明け暮れしておるというふうなわけであります。何も起債にそんなに期待をしていかなくても、たとえば交付税も、けちなことをいわないで三〇%ぐらい繰り入れをするようなところに踏み切っていただければ、そういうような考え方も出てこなかったんじゃないかというふうな気かするわけであります。だから、ことしの地方財政は普通会計におきましても、地方債が前年から六十五億ふえた。四百九十五億円ですか、そこへ今の交付公債の二百十一億円がプラスされるわけですから、前年から七十八億円増、両方合せまして七百六億円で、前年から百四十三億円も増加するわけです。こういうことから地方財政の方はむしろ不健全への方向に追いやられるというふうな姿であります。こんなやり方は私ないと思うわけであります。このほかに、準公営企業の方に追いやられました下水道関係の起債も、これは一般会計の一部と考えられてもいいというふうな性格を持っていると思うわけでありますが、そういうものを全部合せますと、地方公共団体の起債額というものは膨大なものに、ことしはふえていくわけであります。国だけがいい気になって、しわだけを地方団体に寄せていくという姿がここにも見られるわけでありますが、少くも全部国が借金を背負って、地方公共団体は健全財政でいけという姿にならなくても、少くとも借金は半々ぐらいの割合で、国の会計と地方財政とで分けてもいいんじゃないかと思うのであります。地方財政の問題についての責任の衝に立っておられる自治庁といたしまして、どういうふうにこの点をお考えですか。
  23. 奧野誠亮

    奧野政府委員 かりに地方財政において超健全財政方針をとるといたしましても、やはり相当の地方債は予定せざるを得ないのじゃないかと思います。地方財政の特性から考えて参りますと、何分規模の小さい団体か非常に多いわけでございまして、そういうところで臨時的な建設事業をやるといたしますと、さしあたりどうしても地方債、交付財源について事業を実施せざるを得ないと思います。従いまして、地方債地方財政計画に予定しているから、国と地方との間で非常にへんぱな取扱いになっている、こうは言えないと思います。問題は、一般会計におきまして地方債をどの程度予定しなければ地方財政のつじつまが合わないか。分量の問題に帰着するのじゃないだろうか、こう思うわけでございます。そういうこともございますので、また私たち、あまり普通会計分について地方債をどんどん増額していくということは、好ましくないという気持を持っておるわけでございます。ただ現在程度の普通会計分の地方債でありますと、地方財政の健全性の上からいって不都合だというような考え方は持たない。まあ、この程度地方債はどうしても必要じゃないだろうか。少くとも、この程度以上の地方債があった方が、地方財政全体を円滑に運営していくことがしやすいのじゃないか。こういうふうに思っておるわけでございます。
  24. 安井吉典

    安井委員 今の質問は、自治庁というよりも、大蔵大臣に来ていただいたときに、一つ徹底的に考え方をただしておく問題だと思うわけでありますが、地方公共団体財政を守るという立場におきまして、自治庁も一そうの御配慮を地方財政健全化のために払っていただきたいと思うわけであります。  次に、旅費や物件費の関係につきまして、これはまあ小さな問題でありますけれども、今度の地方財政計画の中では、たしか都道府県は四・五%、市町村は二%減で三十七億円の節約という面がうたわれているわけであります。問題は小さいわけでありますけれども、しかしこのような減額でことしは問に合うというふうにお考えになっていられるのかどうか、その点一つ……。
  25. 奧野誠亮

    奧野政府委員 地方財政計画というものが、ある程度府県や市町村の財政に対して指導性を持つものでございますので、やはり地方団体にも節約の可能な限りは節約をしてもらいたい。そういう意味であえて旅費、物件費の節約という項目を立てたわけでございます。そのかわりまた地方団体で必要な項目と思われますところについては、御承知のように増加を立てておるわけでございます。
  26. 安井吉典

    安井委員 私も、この問題は先ほどから幾度もお話し申し上げておるように、国の押しつけ仕事がこういうところにもしわが寄ってきたのじゃないかというふうな気がするわけであります。実際のところ、今度の財政計画の中でも職員の定数は相当大きくなってきております。あるいはまた昨年からことしにかけての人口も非常にふえておるでありましょうし、全体的な行政水準向上もあるでしょうし、あるいはまた何よりも公共事業費の膨大な増加があります。だから、これを一々こなしていくには、旅費とか物件費は増加していく方向にあるのが当然だというふうな気がするわけであります。ですから、財政計画上は見せかけの減額にはなっておっても、実際上は相当経費は当然かかっていく。それに対する財源付与をしないというふうな格好がここに現われているのじゃないかというふうな気がするわけであります。こうなりますと、地方財政は踏んだりけたりというふうなことになるわけであります。大体におきまして仕事は人がするわけです。そういうものに対する十分な措置がなされていないということは困るものだと思うのですが、今のお話によりますと、道義的な処置ということで、実際はこれよりかかるだろうというふうなお見込みを持っていらっしゃるわけですか。
  27. 奧野誠亮

    奧野政府委員 公共事業費伸びておるから、むしろ旅費や物件費がふえるのじゃないかというふうな意味お話がございました。その通りだと思います。それらの分はやはり公共事業費の中に算入されておるわけでございます。公共事業費の中に事務費も含んでおりますので、それをも合せて財政措置がされておるというふうに御了解願いたいと思います。旅費、物件費の節約は、私たちはやはり節約するものも相当あると思っております。常に予算編成します場合には、既定経費だからといってそのまま認めてしまいませんで、既定経費についても再検討して、そうして削るものは削っていただいて、そのかわり新しい角度から積極的に取り上げるものは積極的に取り上げてもらいたい。こういう気持でおるわけであります。そういう意味において、既定経費において旅費、物件費をある程度節約するということは可能だし、やってもらいたい。そのかわり、また新しい角度から必要になってきておるものはどんどん予算化してもらわなければ困るじゃないだろうか、こう思っておるわけであります。
  28. 安井吉典

    安井委員 今、人の問題になりましたので、そちらの面を若干お尋ねいたしたいと思いますが、今度のこの計画の中で臨時職員の定数化というようなものが若干見られているようでありますが、現在のところ大体どれくらい数があって、今度どれくらい組み入れになるというふうなお見込みになっているわけですか。
  29. 奧野誠亮

    奧野政府委員 三十三年四月一日現在臨時職員数五万二千百八十五人と推定いたしておりますが、その七%に当ります三千六百五十三人を定員化することにいたしたわけであります。
  30. 安井吉典

    安井委員 大体におきまして、この臨時職員といわれる人たちは、職務内容は定数内の職員に全く変らない仕事をしておるわけであります。ところが、その半面において身分保障は十分にないし、給与は低いし、その他労働条件がいろいろ劣悪なわけであります。しかも、それが今日までずっと長期に放置されているというのが実際の姿のようであります。今のお話によりますと七%くらいの措置だけだということでございますが、その残りの人たちに対する対策はどういうふうにお考えですか。
  31. 奧野誠亮

    奧野政府委員 三十三年度で二〇%の一万四百三十七人を定員化したわけでございまして、引き続いて七%の定員化を行なったわけでございます。国につきましても同じ問題がございまして、これを定員化する問題についていろいろと検討が重ねられておるわけでございます。御指摘になりましたように、常勤の職員と全く変らざる職務実態を持っているということでありますならば、私たちはやはり定員化を進めていくべきじゃなかろうかと思うわけでございます。しかし、臨時職員の中にはそうでない性格のものもあるようでございますが、国についてもせっかく検討が進められておるわけでございますし、地方におきましても歩調を合せてこの問題の解決をはかっていきたい、かように考えておるわけであります。
  32. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 今の予算措置に関連しまして……。去年私たちはだまされた。国が二割定員化するという予算措置であるから地方もそうしょうというので、次官の通知かなんか知らぬが、臨職二割定員化を厳格に行うべし。ところが、予算が通ってみたら国は二割七分やっておったのです。それでことし七分上げるのでしょう。一年ずつ追いかけているようなことになっている。ですから私は、七分でもないよりましだと思いますけれども、金はそうしたのだが、あとは余裕があったら——国の方は予算は二割だが、どこかの予算に余裕があったと称して実績は二割七分やったのです。地方財政の方だって、余裕があればやればいいのだ。そういう点について自治庁はどういう見解を持っているのですか。折衝のときに話が出たに違いないと思うから、それをちょっと知らせてもらいたい。
  33. 奧野誠亮

    奧野政府委員 昨年、国の予算編成の当初に当りましては、国家公務員につきましても臨時職員の二〇%を定員化するということで始まったようであります。ただ、国会審議の過程におきまして、さらにその率を高めるべきだというようなことで二七%になったように聞いております。従いまして地方財政計画を作るときにはやはり国も二〇%であった。それと歩調を合せたわけであります。しかし、その後七%ふえたものでありますので、地方財政計画改訂の機会にその七%をふやす、こういうような措置を今回とろうとしているわけでございますが、国の場合には定数がありますので定員法も当然改正しなければなりませんが、地方財政計画では、地方の職員の定員をきめているわけではございませんで、地方財政一つの向うべき方向を示しているだけのことでございます。従いまして二七%をぜがひでも定数化しなければならないと考えているわけじゃございませんし、また二七%をこえて定数化する必要のあるところが、二七%をこえて定数化することも何ら差しつかえないことだと思っておるわけでございます。しかし、実態が常勤職員と何ら変りのないものについて国が定数化していきます場合には、当然地方財政計画もそれに合せましてさらに定数化の措置を進めていきたいという希望を持っているわけであります。
  34. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 今の答弁の前半はおかしい。国会の審議の経過から生じたのではありません。それからそういうことになれば、去年次官通牒か何かを出された。それを一つこの次の委員会に参考までに見せてもらいたい。どういう通牒を出されたか。私は厳格に二割に縛っておるような——それはもちろん原則で、違反をしてもどうこうというわけではありませんが、ここ十年の地方財政から、次官通牒でやられると、みんな二割にしておけというのに二割五分やったというので、あとでしかられると困るから、財政関係ほんとうに忠実に全国の自治体は二割やったのだ、国は二割七分、そんなばかばかしいことはありませんよ。だから、これはあなたの所管でないが、どういう通牒か、あした出していただきたい。委員長にお願いしておきます。
  35. 鈴木琢二

    鈴木委員長 ただいま中井君からお申し出の件につきましては、委員長より自治庁当局に対して要求しておきます。
  36. 天野光晴

    ○天野(光)委員 関連して。ただいま臨職の定数化の問題が出ましたから、もう一つはっきり聞いておきたいと思うのです。奧野局長の御答弁によりますと、臨時職員である者の中で常勤職と同じような性格を持っておる者については定数化することには自治庁も賛成でもあるしするから、末端の行政機関に対して慫慂してもいいようなお話があったのですが、その点もう少し具体的に伺いたい。
  37. 奧野誠亮

    奧野政府委員 地方財政計画の面におきましては、二七%という一つの目途を定めておるわけであります。大体その程度のものを全体から見た場合に定数として将来にわたって認めていかなければならないものだろう、こういう見通しを持っております。さしあたりは常勤の職員とあまり変りはないけれども、数年すればその仕事がなくなってしまうものだというものを定員化してしまいますと、将来やはり人事の上においても、財政の上においても困難が起ってくるのではないかと思います。従いまして、それぞれの団体の将来の姿と見合って考えていかなければならぬ。実質的に常勤職員と何ら変りがない、将来においてもその人を必要としておる、そういう仕事の実態が継続されていくというものでありますならば、あえて臨時職員としておく必要はないというふうに私は考えております。
  38. 天野光晴

    ○天野(光)委員 そうしますと、二七%という一つのワク内操作でというふうに考えておられるのか、それとも実態においてそれが三〇%であり、あるいは四〇%であるというような場合においては、それまでも実情を把握したならば了承できるという考え方なんですか、どちらですか。
  39. 奧野誠亮

    奧野政府委員 個々の団体の実態によってかなり違いがあると思います。従いまして、個々の団体の実態によって定数化をやればよろしいじゃないか。私たちが全体的ににらんだ場合には、さしあたりは二七%程度になるのではないか、こういうような考え方であります。正確に個々の団体について調べておるわけではありませんけれども、国につきましてもそういうようなことから定員法の改正が行われた、こういうように了承しておるわけであります。
  40. 天野光晴

    ○天野(光)委員 そうしますと、個々の団体の方で、自治庁が指示した二七%以上にわたって常勤職員として取り扱っても何ら差しつかえないものであるというようなものが明確にわかった場合においては、二七%のワクをこえて定数化することについても、自治庁は了承できるというふうに考えていいですか。
  41. 奧野誠亮

    奧野政府委員 原則的にその点につきまして強い干渉を加える必要はないのではないかというふうに思っております。
  42. 天野光晴

    ○天野(光)委員 現在臨時職員を十年以上もやっておるというような者があるわけです。これは私の方の県の例をとってはなはだ恐縮なんですが、やむを得ず準職員という制度をとりまして、その救済を私やってきた経験を持っておるのですが、非常に不愉快だったのは、土木部長の俸給が橋梁道路費のうちから出てきたり、衛生部長の俸給が野鼠駆除費の中から払われているという実態、最近はないと思いますが、そういう実例がここ数年前まで地方団体にあったわけです。だから、その点すっきりした一貫性のある財政指導をやっていただかなければ非常に困ると思うのです。ことに、たとえば同じ府県で十年も臨時職員で働いておって、普通なら恩給のつくほどやっておっても、まだ臨時職員で少しも恩恵をこうむらないというような状態にあることは非常に遺憾であるし、その仕事の内容は間違いなく常勤職員と同じ仕事をやって、放すことができない者がある。これは一つの例ですが、土木事務所というのがございまして、そこの臨時職員には現金出納までやらしているというようなことがある。要するに機構の問題も関連してくると思うのですが、事件が起きまして、臨時職員で、責任をとる者がなくて非常に困ったという実例もないわけではないと思います。そういった点からいって、どうしても常勤職員として必要だと認める者については、機構の内容を十二分に検討をして、パーセンテージにこだわらないで、やはり昇格さして定数に繰り入れるように指導されることが望ましいと思うが、その点いかがですか。
  43. 奧野誠亮

    奧野政府委員 お話しになっております点につきましては、基本的には賛成であります。ただ、地方団体の実態を見ておりますと、むしろ条例定員をなお引き下げたい。引き下げながらも、欠員がありました場合には臨時職員であった人たちを条例定員の方に身分的に振りかえを行なっていくということで解決に当っているところも相当多いようでございます。もしそういうことが可能でありますならば、そういう方法においてでも臨時職員の人たちの身分の安定をはかっていくことが非常に必要なことではなかろうかと思っております。
  44. 天野光晴

    ○天野(光)委員 ちょっと反対の話を聞くんだが、どこかの末端の自治団体で、定数の方を減らして臨職の方に回すなどということをやっているところがあるのですか。具体的に御発表願えますか。
  45. 奧野誠亮

    奧野政府委員 財政再建団体の中におきまして、一応条例定数を年次的に計画的に下げていく方針をとっておられるところがございます。そういうところは、やはり現実に下げていっておられます。しかしながら、同時に臨職の問題の解決もはからなければなりませんので、先ほど申し上げたようなことをあわせとっているところもあるわけでございます。
  46. 天野光晴

    ○天野(光)委員 これは話がちょっとおかしくなってきたのですが、それはいわゆる赤字再建団体なるがゆえに、再建計画を立てるためにやむを得ざる措置としてとっておる。いわゆる自治庁の方の指導方針がそういう格好にあるから、そういう事態が起きてきたのであって、実質的には定数職員を減らして臨職でまかないをつける方がいいと考えておる県は私はないと思うのですが、その点は私の聞き違いですか、もう一回一つ
  47. 奧野誠亮

    奧野政府委員 私の申し上げましたのは、条例定員をふやしまして臨時職員をそちらに振り向けるということが一番端的な解決方法だと思います。しかし、条例定員をそのままにしておきましても、現在臨時職員の身分を持っておる人を欠員のあります機会ごとに定数職員に振りかえていくことも可能であります。それもどんどんやっていき、それをさらに飛び越えまして、定数を落しながらも、なおかつその方法をかなり強くやっているところさえもある、そういう極端な例において解決をはかっているところもあるという意味で申し上げたのであります。臨時職員をふやしているところがあるということを申し上げたわけではないのであります。
  48. 天野光晴

    ○天野(光)委員 もう一度わかりやすく説明してもらわないと困るのです。私の頭の働きが悪いせいかどうか……。そうすると、具体的に言いまして、定数に欠員が生じた場合に臨職から常勤職員の方に繰り入れていくのは常識なんです。もう一つのあとの問題、いわゆる定数の方を減らして、それを臨職の方に回していくというようなお話が今あったように思うのですが、それは聞き違いですか、どういうことですか。それをもう一度わかりやすく御説明願いたい。
  49. 奧野誠亮

    奧野政府委員 臨時職員の身分の安定ということについて地方団体も積極的にいろいろな知恵をしぼっておるのだ、こういう意味でいろいろな例を申し上げたわけでございます。その結果若干誤解を生んだようでございます。定数増が行われませんでも、欠員のあり次第臨時職員を優先的にそちらの方に振り向けていくということをやっているのだ、こういうことを申し上げたのでありまして、なおそれに加えて引例の問題を申し上げたものですから、誤解を生んでおるようでございます。積極的に臨時職員の身分の振りかえを地方団体がやっておるのだ、定数をふやしながらなら非常に簡単にできるわけです。そうでないもっと極端な場合でも、なおかつ非常な努力をしておるということを申し上げたものですから誤解を生んだと思います。
  50. 天野光晴

    ○天野(光)委員 それくらいでいいですが、十年以上もたちますと、頭の働きが相当鈍くなってきておる。そうしますと、定数の方に繰り入れするのには、現在公務員の試験制度というものがあって、高等学校を卒業した者とか、大学を出てきたばかりの者と一緒に、十年もたってから試験を受けて入ることはなかなか容易でないという問題がどの県でも起きておるので、そういう場合の扱い方についての指導はどのような——少しでも優先的に考慮するような扱いをしておるかどうか。これは人事院の問題になると思うのですが、自治庁当局としてはどんなお考え方でおられるでしょうか、今の定数の方へ繰り入れていくという者の扱い方ですね。年の順からいって、十三年も十四年もやっておる者があったのを無理やり救済したのがありますが、無理やりでなく、何とかもっとスムーズに持っていくような措置を講じさせる道はないでしょうか。
  51. 奧野誠亮

    奧野政府委員 今おっしゃいました具体の問題なども行政局の所管の問題でありますので、先ほどの問題とあわせまして、そちらの方から御答弁申し上げるように連絡いたしたいと思います。
  52. 天野光晴

    ○天野(光)委員 そうしますと、末端の地方自治団体の方で臨職で常勤職員と同じ性格のものであり、これはどうしても恒久的に必要であるというふうにに確認をした者が数多くあった場合においては、それをいわゆる定数増に持っていくことについて申請があった場合、その内容を検討の上、認められる場合においては二七%をこえた場合においてもある程度は認め得るというふうに了承して差しつかえないかどうか、いま一回再確認しておきたいと思います。
  53. 奧野誠亮

    奧野政府委員 条例で定数を定めております。それをどう改正するかということは地方団体が自主的に決定すべきだと思います。ただ財政再建団体でありますと、再建計画の変更という点から承認を求めて参ります。そういう場合におきましても、自治体において弾力のある取扱い方をしてよろしいものだ、かように考えておるわけであります。
  54. 安井吉典

    安井委員 地方公共団体の職員の問題につきまして、定数の問題が今まで論議されてきているわけでございますが、これは定数だけの問題でなしに、職員給与全体の問題、特に新町村建設というふうな場合におきましては、職員給与のアンバランスということが大へん問題になるわけでございますが、これは行政局長に今度来ていただけますか。
  55. 鈴木琢二

    鈴木委員長 明日の委員会へ行政局長を呼びます。
  56. 安井吉典

    安井委員 それではこの問題等につきましては、あした行政局長に来ていただいたときにお尋ねを続けていきたいと思います。  次に、今寒冷地手当の引き上げや石炭手当の増額に関する法律二百号の改正の問題が論議されているわけでございます。国家公務員につきましてその措置がもしとられるということに決定すれば、地方公務員についても当然自動的な措置がとられるものと思いますが、いかがでしょうか。
  57. 奧野誠亮

    奧野政府委員 原則として、現在の制度の建前からいきますれば、準じた措置にすべきものと考えております。
  58. 安井吉典

    安井委員 次に現在国庫の補助金あるいは支出金の交付遅延という問題が常に地方公共団体の間におきまして論議されているわけでございます。たとえば義務教育関係の金等もずいぶんおくれてくるようであります。そういうようなことで、一時借入金でつじつまを合せている。そういうような姿でございましてその金利がばかにならない額に上りまして、そういうことで地方財政への締めつけが、そういうような面からも行われているような傾向にあります。このような金利の問題は、この地方財政計画の中にはどこにも書いてないわけであります。これを一そう促進をしていくということによって地方財政を健全なものにするという措置についてのお考え一つお聞きしておきたいと思います。
  59. 奧野誠亮

    奧野政府委員 御指摘になりましたように、義務教育費の国庫負担金がかなりずれて行くという点、私たちも絶えず大蔵当局に対しまして、この是正を求めて参ってきているわけであります。三十三年度分につきましては、従来は三十四年度の補正予算で措置されるというのが例であったわけでありますけれども、三十三年度分につきまして、先ごろの補正予算で一部だけ是正が行われたということになっているわけであります。すなわち四十五億七百万円の義務教育費の補正予算のうちで、十五億五千七百万円というものが三十三年度分に関しまする不足の補てんでございます。まだ十分ではございませんけれども、若干でも是正されて参ってきている、こういうように思っているわけでございます。  なお一時借入金の利子などは、地方財政計画上では国庫補助負担金を伴わない消費的な経費といたしまして、千五百二十億円程度のものを見ているわけでございますけれども、今御指摘になりましたようなものはその中に含まれているものだ、こう存じているわけであります。
  60. 渡海元三郎

    ○渡海委員 ちょっと関連して一言お聞きしたいのです。金利の問題でございますが、国有資産等所在市町村の交付金ですか、あの法律に基きまして出されておる交付金が国有鉄道あたりの納付金が相当期限よりもずれておるというふうなことがございますが、他の税法等に基きましたら、当然延滞利子等によりまして利子を払うべきものでございますが、これを延ばしておきながら、利子もつけることができないというふうなことでは、この金利の差額というものは結局のところ市町村が負わなくちゃならないという状態になると思いますので、相当改善をしていただかなければならぬじゃないか。この点につきましては、従来自治庁といたしましても十分関係官庁と御連絡の上、善処方を要望しておられるということを聞いております。相当改善の跡もあるだろうと思いますが、現在どのようになっておりますか、一言現在の様子を伺いたいと思います。
  61. 金丸三郎

    ○金丸政府委員 過去におきまして、御指摘のような事例がございましたので、私どもの方や、関係地方団体から督促をいたしまして、最近では著しく改善をされて参ってきておると思います。今後も状況をよく見まして、あるいは特別な措置を講じなければならないようなことがあるかもわかりませんが、最近の状況からいたしまして、相当に改善をされて参ってきておる、かように考えております。
  62. 渡海元三郎

    ○渡海委員 一部の市町村につきましては、これらの金額も相当に上ると思います。市町村の財政計画上におきましても及ぼす影響大である思いますので、他の納税義務者に対するような延滞金利をとるとか、そういった措置が認められておらぬのでありますから、納付期日には完全に納付されるように私は特に励行を自治庁で厳重に監督してやっていただきたい。かように思いますので、この点御要望申し上げまして、終ります。
  63. 門司亮

    ○門司委員 この機会に、財政当局に資料をたのんでおきたいと思います。それは計算の中に、実際からいうと大きなものを一つ落している。それはどこが落ちているかと申しますと、よくわからぬのだが、地方の公共団体、県や市町村の外郭団体と称するいわゆるいろいろな資金的の援助、財政的な援助をしておるような団体が相当あるわけですが、われわれの考え方、それから従来のものの見方からすると、大体七十七団体くらいあるのではないかと考えられる。これは各府県あるいは市町村に全部あるわけではありませんで、大体各団体別にこれを分けてみると、四十四、五団体くらいのものにいろいろな形で今まで財政援助をしているのがかなりあると思う。これは御承知のように国土促進協議会というものができてみたり、失業対策事業の協議会、社会福祉事業の協議会、あるいは消防であるとか警察であるとかいうような、いろいろこうした公共性を持った外郭団体があるわけであります。これらに対しての都道府県や市町村の支出というものはかなり大きな額に上っておると思います。小さい市町村、小さい県に参りますと、数字から見ますと税収の何割というものがここに出ている。これは税収がきわめてわずかであって、あとは交付金あるいは補助金などで支出しているようなところで、税収と、それから使っている金の割合から見ますと、かなり大きな額に上っている。これらの問題はある程度セーブしなければいかぬ。その使われている先というものは、およそ役人とそれからその団体の幹部との宴会費くらいに消えている程度のものがかなりある。全部合せればかなりの数字になるが、個々に分ければかなり少い数字であって、見方によってはその団体の活動費というものになっていないのではないかというふうに考えられる。こういう点については、一体財政計画の中にどう見ているか。こういうものについての自治庁の考え方はどうか。従ってそういう外郭団体はどのくらいあって、それからどのくらいのものが支出されているかということの、わかれば府県別に、これは調べればすぐわかる。市町村別におよそどのくらいのものが出ているかということが、もしわかれば一応資料を出してもらいたい。地方財政計画の中で三%経費を減らせと書いてあるけれども、これは事務費その他を減らすのではなく、減らすのはこういうところのものを減らす。こういうものの財政の健全化のためには、やはりこの際自治庁の調査で明らかにしておいてもらいたいと思う。われわれの方でも調査したのがあります。どこの県でどのくらい出していて、どこの市町村でどのくらい出しているという抜き出したものはありますけれども、一応自治庁でまとめたものを、どのくらいの数字に上るかということを一つ出してもらいたい。
  64. 奧野誠亮

    奧野政府委員 だいぶ前になりますけれども、御指摘になりましたような団体関係への補助を整理するように指導したことがございます。また若干の団体から具体の例を調査して資料を出してもらったこともございます。また再建団体につきましては、寄付金の抑制の形においてそういうものについては強い整理を求めてきたのでありますが、全国的な数字を今すぐ出せと言われますと、ちょっとむずかしいのではないかと思いますけれども、具体の団体のものについて、さしあたり調査したものをお手元にお届けいたしたいと思います。
  65. 門司亮

    ○門司委員 もう一つあります。それはそういうむだなものとは考えられないが、行政上どうかと思われるもので、事務補助費のような格好で、あるいは事務委託費のような形で町内会あるいは自治会等に相当の補助金を出している団体があります。これはいろいろな広報を回すとか、それから場合によっては赤い羽根の寄付金の何をやらせるとかいうようなことで、いろいろなことをやっているわけであります。で、やっているからといって、役所から多少の事務委託費みたいなものがやみでかなり出されておる。そういう問題等についても、やはり地方の自治体の財政の面から見れば、公けにすべきものは公けにして、そして団体等に対して出していけないものは出していけないようにして、財政計画上、あるいは財政上見て、地方財政処置がわれわれ非常に不満だといって、政府ばかり突っついているわけには参らぬと思いますけれども、自治体で実施される分は、むだなものはなるべく排除していくという建前をとっていく必要かあると思うのです。そういうものについてかなり大きなものが流れておりはしないかと思いますが、そういうものもあわせて調査ができたら一つ調査をしていただきたい。     —————————————
  66. 鈴木琢二

    鈴木委員長 この際、昨日本付託になりました消防法の一部を改正する法律案を議題とし、政府より提案理由の説明を求めます。国務大臣青木正君。     —————————————
  67. 青木正

    ○青木国務大臣 今回提案いたしました消防法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由並びにその内容の概要を御説明申し上げます。  消防法の一部を改正することにつきましては、さきに消防審議会の答申もあり、また従来より消防行政の運営に関し問題となっておりました事項につきまして種々検討して参りました結果、政府といたしましては、なかんずく、その取扱いに伴う火災発生の危険が大きく、消火の活動にも著しく困難を伴い、かつ、その火災によって生ずる被害も大きい危険物につきまして、その規制の改善と徹底をはかるべく今回成案を得ましたので、ここに提案いたした次第であります。  以下、この法律案のおもなる内容につきまして御説明を申し上げます。第一に、この法律案では、危険物に関する規制を合理的に、かつ、全国的に一そう徹底して行い、火災の防止に資する必要がありますので、危険物の規制に関する実施規定を市町村の条例にゆだねておりました点について、これを改めて法律またはこれに基く命令において規定することとし、その実施による効果を期することといたしました。  第二に、危険物に関する規制を徹底して行うため、これらの行政に従事する消防吏員を有しない市町村すなわち消防本部及び消防署を置かない市町村の区域にかかるものについては、都道府県知事をして危険物に関する行政を行わしめることといたしました。  第三に、危険物の製造所、貯蔵所及び取扱い所の位置、構造及び設備並びに危険物の貯蔵、取扱い、運搬等の方法につきまして政令で画一的な技術上の基準を定め、この基準に従ってこれらの施設を維持管理し、危険物を取り扱わしめることとして、危険物について統一的な技術処理を行わせることによって火災の防止を期することといたしました。  第四に、危険物の製造所、貯蔵所及び取扱所についての設置及び変更の許可、使用前の完成検査等につきまして規定を明確にして、許可に関する事務の整備をはかることといたしました。  第五に、危険物取扱い主任者及び映写技術者は、都道府県知事の行う試験に合格して免状の交付を受けた者でなければならないこととするとともに、都道府県に試験の事務を行わせる試験委員を置いて試験の適切な実施と円滑な運営を期するほか、受験資格、免状の交付等の取扱いその他危険物取扱い主任者及び映写技術者の職務等に関する規定を整備することにより、試験の実施、免状の効力の全国通有化及び危険物取扱い主任者等の地位等について合理化をはかることといたしました。  第六に、危険物に属するもののうち、動植物油類及び塗料類については、別表を改正することによりこれらの性状に即した規制が行われるよう合理化をはかることといたしました。  第七に、危険物取扱いに関する許可、試験等の手数料、危険物の取扱い等に伴う火災の防止のための立ち入り検査及び危険物の規制に関する実施規定が市町村条例から法律及びこれに基く命令にかわること等に伴う経過措置等を規定するとともに、その他規定の整備をはかることといたしました。  以上がこの法律案を提出いたしました理由とその内容の概略であります。何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決下さらんことを御願いいたします。     —————————————
  68. 鈴木琢二

    鈴木委員長 次に、警察に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します、中井徳次郎君。
  69. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 大へんお待たせして恐縮であります。  実はきょうお尋ねいたしたいのは、今年は選挙の年というので、近く参議院を初め各地方選挙が全国の自治体の半数ぐらい行われるわけでありますが、どうも最近の風潮を見ておりますと、選挙がだんだん派手になってきた。それからまた選挙法規無視の傾向が非常にふえて参った。具体的に言いますと、供応、宴会、買収等、中には公職の地位を利用いたしまして事前運動などをやっておる。こういうことが方々でやかましく言われており、新聞等もこの問題を毎日のように取り上げている。こういう次第でありますので、私は、きょうは少し原則的なことについて、大臣に警察の御意見なり御決心のほどを伺っておきたい、こう思うのです。  そこで、前はこういう制度ではありませんでしたが、今の公職選挙法によりますと五条の二項に「自治庁長官は、参議院全国選出議員の選挙以外の選挙に関する事務について都道府県の選挙管理委員会を指揮監督する。」となっていて、非常に大きな権限を持っておられるように私は思う。さらにまた、この第七条には「検察官、都道府県公安委員会委員及び警察官は、選挙の取締に関する規定を公正に執行しなければならない。」、そうなりますと、青木自治庁長官は、同時に公安委員長でありますから、今度の選挙については、もう最高最大の責任者というふうになるわけでありますが、長官におかれては、最近の毎日の新聞あるいは週刊誌等に出ております事態についてどういう考えを持っておるか、また近く行われる選挙についてどういう態度で臨まれるのか、まずこれを一つ伺ってみたいと思うのであります。
  70. 青木正

    ○青木国務大臣 まあいろいろ常に、選挙に関しましては往々にして事前運動が行われるということがあるのでありますが、特に今回のように選挙期日がはっきりと予定されておる、つまり地方選挙につきましては四月二十三日と三十日、それから参議院議員選挙は六月というふうに選挙期日が予定されております場合におきましては、従来でもそうでありましたが、ややもすれば事前運動が非常に活発になるということは従来の例に徹してそういうふうな傾向が出てくると私ども考えるのであります。そこで、私といたしましては、先ほど参議院の予算委員会でもお話がありましたが、いろいろ公明選挙運動を展開いたしまして、公明選挙のための啓発宣伝等をいたしましても、なかなかその効果がすぐ現われるものでもなくして、昨年の衆議院選挙におきましても、その違反件数等はその前の選挙に比べましてあまり減っていない。こういうようなことを考えますと、公明選挙運動で果して選挙の粛正ができるかという一つの疑問も出てくるのであります。しかし私どもは、やはり選挙の公明というものは不断に積み重ねていかなければならぬ、こう考えますが、選挙の期日の予定された今回の選挙でありますので、どうしても有権者の方々の協力を得て活発に公明選挙運動を展開しなければならぬという考え方に立ちまして、従来の毎年の公明選挙の委託費一億に、参議院選挙について三千八百万円ほどの公明選挙のための費用を特に計上いたしたのであります。しかし、そういう一般的な公明選挙運動だけでは、とうてい違反の防止ということはできないのでありますから、一面におきましては、取締りを強化しなければならぬことは言うまでもないのであります。そこで昨年の暮れに、最高検と法務省と自治庁と警察庁と関係省庁が集まりまして、公明選挙推進の協議会を結成いたしまして、自来今日まで、たしか六、七回かと思いますが、会合を関いて関係方面で打ち合せをいたして、選挙の公明徹底化に努力して参っておるのであります。その打ち合せによって連絡をとりつつ、各省庁におきましてはそれぞれの立場において選挙の取締りの強化を徹底いたしておるのでありまして、自治庁におきましては、公明選挙を担当する関係上、先月の二十一日に全国の都道府県の選管の委員長会議を開きまして、いろいろ打ち合せもし、公明選挙運動展開についての諸般の準備を進めて参っておるのであります。一方警察関係におきましては、昨年来、管区局長会議、あるいは本部長会議等において、それぞれ取締りの強化を徹底するほか、その他私詳しくは存じておりませんが、担当の部長の会議でありますとか、そういう会合等を何回か開きまして、取締りの強化をいたしておるのであります。さらにまた具体的な問題として、事前運動につきまして、できるだけこれは警告をする必要もあると思いますので、事前運動で犯罪のおそれのあるものにつきましては、これに対して警告をする。また明らかに違反になるものにつきましては検挙するということで、今年度は、従来のような一般的な選挙取締りと違ったもっと強い取締りと申しますか、事前運動が当然予想されるという前提に立ちまして、警察方面におきましても、これに対処して遺憾なきょうにやっておるのであります。こういうようなことをやっておるということだけで果していいのかというおしかりを受けると思うのであります。私どもも、ただ打合会議を開いて方針を示しておればいいというのではないのでありまして、われわれはこの選挙の公明違反をできるだけ防止する。そのことのためには、役所としてやるべき仕事はやらなければなりませんが、同時にまた広く一般の民間の協力を得なければなりませんので、公明選挙連盟等とも打ち合せをいたしまして、できるだけ有権者の方々の協力を願って、相ともに一致して、こういう期日の予定された選挙をいかにして明朗な選挙として執行することができるかということに全力を尽す考えでおります。
  71. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 だんだんとお話しを伺いましたけれども、お気持はわからないわけではないが、結局おっしゃることは、私は抽象論のような感じがしてなりません。今日の事態はそんなことではもういけない。たとえばあなたは公明選挙運動をよく展開してやると言われますが、現実には今年はこの公明選挙運動に対する予算は一千万円程度減っておる。あなたのおっしゃることと実際やっていることとはちゃんと違う。従いまして私は、この段階にきますと、やはり具体的なものをとらまえてぴしぴし手を打つ以外に方法はないのではないかという感じも実は持つのであります。  そこで一、二の例をあげますから、そういうことについて自治庁並びに警察当局はこれまでどういう態度でいらっしゃったか、これを一つ具体的に回答が私は願いたいと思うのであります。たくさんございますが、四つ、五つにしておきます。まず第一に、これはたしか去年の暮れかことしの初めであります。新潟県の長岡におきまして市長選挙がありました。この市長選挙の最後の二、三日のところで立会演説が行われた。この立会演説の中で、両派の応援といいますか、聴衆といいますか、そういう人たちの中に非常に暴力を用いる人がございまして、明らかに選挙法二百二十五条二号の「交通若しくは集会の便を妨げ又は演説を妨害しその他偽計詐術等不正の方法をもって選挙の自由を妨害したとき。」ばかりでなく、一号にも当ると思います。事態は、何千人という聴衆の前で、勇みはだのあんちゃんが酒を食らってきて猛烈な妨害をした。そのため演説も何も聞えないので中止になりました。そこで警察官を呼んだ。警察官も出ていったが、拱手傍観して手の施しようがないということでありまして、結局親分が出てきておさまったということであります。その妨害された人は当選はしましたが、しかし、こういうことの跡始末がどうかということを私は聞いておる。これは長岡の全市民が承知をいたしておるが、承わると、どうも跡始末が一向はっきりしておらない。これは選挙法には「四年以下の懲役若しくは禁錮又は七万五千円以下の罰金に処する。」とありまして、まあ相当なことですが、こういうことについて今どういう進捗程度でありますか、それをまず一つ伺っておきたいと思います。
  72. 中川董治

    ○中川(董)政府委員 今御指摘になりました選挙の自由妨害の罪は、各選挙犯罪中でも特に重視しておりまして、各府県でもこの自由妨害の取締りは厳正にやっておると思います。お話になりました長岡の選挙につきましては、だいぶ前の事件でございますため、ただいま私記憶がございませんので、調べましてからお答えいたします。
  73. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 今のは、この回答にもありましたごとく、新潟の県警から本部に向ってまだろくすっぽ報告をしていない。こういうことはまだ方々にあることだろう、まあいいだろう、それが私はいけないと思う。こういうふうなだれが見ても明々白々なるものは、私は真剣にやってもらいたい。まだ議論があるところならいいですが、そういうことをそれ裁判だ何だといって——私はもっと具体的な事実を知っています。何か親分を通じておさめるとか、そういう形をまだ残しておるということは、どういう根性だろうかと思うのであります。こういう形でもって地方選挙が行われるということになりますと、どうも議会主義というものについても、もう自信がなくなるということを申し上げておきたい。  それからはなはだ耳ざわりになるかもしれませんが、議会の選挙というものは議会主議を守るために最も基本的なことでありますから、与党、野党を問わず、あるいは大臣であろうが、総裁であろうが、野党の委員長であろうが、これは峻厳にやってもらわなければならぬと思う。ところが、現実は必ずしもそうでないようでございます。この点また一、二の例をあげて申しますが、この間宮城県でもって知事の選挙がございました。両派の幹部が続々行かれまして応援なさったわけでありますが、岸総理大臣が行かれて応援演説されたときに、たまたま標旗なしで演説をされておるのです。これは明白に選挙違反なんです。これは百六十四条の五ですが、こういうことについて警察はどういう処置をとられたか、私は伺っておきたい。社会党の委員長も行かれたのですが、こういう事態がありましたので、社会党の委員長は、実は標旗と委員長とのタイミングが合いませんで、演説せずにあいさつして、私は鈴木茂三郎ですということで歩いたという話を私は聞いておるのであります。こういうことについて、どういう処置を警察なり選挙管理委員会がおとりになったか。どうもあまり具体的なことで私も言いにくいのでありますけれども、これは言わざるを得ない。
  74. 中川董治

    ○中川(董)政府委員 われわれ選挙の公正を担保する方法はこういうふうに理解しております。一つは検挙していくという方法です。それから選挙犯罪中形式犯という概念で呼ばれるもの、これは検挙しないでいいというのではないのですが、法律の不知その他もあって形式犯防止の担保が非常にむずかしいということもあるわけであります。形式犯ももちろん検挙することが多いのでございますけれども、そういう形式犯については法律の趣旨を徹底して、形式犯の犯罪がない状態にするように選管も警察も考えていく、こういう考え方をとっておるわけでございます。  過般施行されました宮城県知事の選挙におきまして、候補者を支持する団体等で、ことに政党間におきまして街頭演説の制限の規定の徹底せざる向きがあったということは報告で聞いておるのでありますが、この知事選挙におきまして、こういう街頭演説の制限違反の状態があり得るということでありましたので、県の警察といたしましても、この規制を徹底するために関係の選挙運動を直接主宰される方々に対しましても警告的な措置をとって、この規定の担保を期した、こういう報告を受けておるのでございます。
  75. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 従って、個人岸信介に宮城県の県の警察が注意を喚起いたしましたのですか、それを伺っております。
  76. 中川董治

    ○中川(董)政府委員 宮城県警察からは、各種の街頭制限違反行為が相当多数あったように私報告を受けておるのでありますが、その多数あった内容において、最初の間において、そういうことが法律の不知と申しますか、あまり敏感に響かないで行われておった状態であったので、だんだんこれが多くなって参りましたので、それで警察本部でこういうことがわかるようになりました。警察本部でわかった後になりまして、事態は相当後になりましたが、そういうことは自今行わぬようにという意味におきまして、関係地方の政党の幹部たちに警察は警告を発しております。われわれは、一つの政党だけではなしに、複数の政党に対して同様な違反の事案がございましたので複数の政党の両候補者に対しまして警察は警告を発しておるのでございます。
  77. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 私は、中川君としましては非常にりっぱな御答弁だと思うけれども、この選挙のことはもっと具体的にえげつなくやらなければいけません。つい二十日ほど前に、青木さんがあなたのところの自治庁か何かの新聞記者団に、形式犯を取り締ってもあまり意味がないというふうな発言をなさって問題になったことかあります。しかし、形式犯と実質犯の区別をしたって現実に入って参りますと、なかなかデリケートである。あなた自体がそういうふうなことでは、私は、とても今度の選挙は、おっしゃることとやることがマッチしないように思えるのです。  そこで一つ伺いたいが、こういう問題について、閣議等においてお互いにもっと峻厳に自省をするというような——今の内閣になりましてからこれが一番ひどいですよ。私はまだほかの二人の大臣の実情についても知っているのです。こういうことでは、どうも私のようにあまり派閥根性一本でない男でも、少し気にかかると言いますか、議会主義が少しいやになってくるのですが、そういうことについて閣議等でほんとうに真剣にお話し合いがこれまでありませんでしたか。なければ一つどういうことをお考えになっておるか、伺いたい。
  78. 青木正

    ○青木国務大臣 形式犯をあまり取り締ってもどうかというような私の話だということでありますが、私は、そういう意味で言ったのではないのでありまして、現行法規がある以上は、これはあくまでも形式犯であろうが何であろうが、厳重に取り締らなければならぬことは言うまでもないのであります。ただ、私は選挙法のあり方について、もうこの段階にきて、お互いに選挙法について少し考えてみる必要があるのではないか。これは私の個人的な意見でありますが、これは衆議院の公職選挙法の委員の方々にもいろいろな機会にそのことを申し上げておるのでありますが、たとえば自動車は規制されている、その上に乗る人も規制されている、それからその上での連呼はいかぬ、旗は寸法が幾ら、こういうふうに非常に取り締りのしにくいような選挙運動というものは、取り締る方でもなかなか取り締ることが困難である。従って、運動をやる方でもこれを不用意に犯す。こういうような形式的な犯罪の問題、現行の公職選挙法の取締りのあり方、こういう問題についてもう少しここで検討してみる必要があるのではないか。つまり、これは将来の問題として私はそういうことを言ったのであります。選挙運動のあり方について、この段階にきて、もう日本国民の民度も高くなって参っておりますし、大衆かもう批判することでありますので、そういう点について、連呼を取り締るかどうかというような規定が今後の選挙運動の取り締り法規として適当であるかどうか、こういうことを将来の問題として私の見解を申し上げたのでありまして、私は現行法規において形式犯は軽視してもいいという考えは毛頭持っておらないのであります。あくまでも法律を守らなければならないということは言うまでもないのでありますが、今後のことは私はそういう考えを持っておるということを個人的に申し上げたのであります。  それから、閣議において選挙違反の問題について真剣に話し合ったことはないかどうかというお話でありますが、それだけを取り上げて特にこう問題を議論したということはまだないのであります。しかしいろいろな機会に選挙運動——ことに地方選挙がこれから相次いで行われるので、これに対する選挙の取締りという問題について、ときどき折に触れ話の出たことはもちろん何回かあるのであります。また前回の参議院選挙の場合のことを調べてみますと、前回の参議院選挙におきましては、参議院側で選挙の前に事前運動をお互いに防止するようなことについての決議をいたしております。これを受けて政府一つの声明をいたしておりますが、今回は、まだ参議院側にその動きはないようであります。しかし、私どもといたしましては選挙が近寄るにつれまして、必要によっては前回同様一般の注意を喚起するということも考えなければならぬ。特にことしは地方選挙と両方一緒になりますので、何らかそういう点についても、私は必要によって閣議にも諮りまして、一そう選挙の粛正について考えなくてはならぬ、かように考えております。
  79. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 そういう口先だけのお答えでは、ほんとうに私ども納得できないのであります。それでは申し上げます。今回の宮城県の知事選挙は三月一日が投票日でありましたが、二月十五、十六、十七、三日間ばかり、あなたの同僚の三浦農林大臣が仙北方面の選挙運動に歩いておられます。築館町という町に参りまして、農地改良組合、農協その他の役員を集めまして、その席で、自由民主党の反対の候補者に応援するような農業団体の陳情は一切受けないというようなことを放言しておる。これはどういうことか。憲法違反、天をおそれざるものであります。また選挙法で見ますと、二百二十五条三号、これに明々白々違反なんだ。大臣の権威をかさに着まして、選挙人、運動員等を威嚇しておる。「威迫」とここに書いてあります。その通りであります。そういう形のものを野放しにしておいて公正な選挙ができますか。自治庁に参りますと、各部屋に、法定費用を守りましよう、買収、供応をなくしましょうというふうに書き出して、主催は宮城県選挙管理委員会連合会というようなことでポスターをべたべた張ってありますが、それを大臣が、こういうことを言って、それでいいのでしょうか。事前運動をなくそうといっても、青木さんがおっしゃるだけでは、閣議の前の雑談に出るという程度ではいけない。これはだれか大臣を一人ひつくくらぬことには直らぬと思うのですが、どうなんですか。選挙の最も基本的なことですよ。しかし口をすべらしたというわけではないでしょうが、今の三浦さんの話なんかはひどいですな。これは口をすべらしたというわけにはいきません。総理大臣もときどき応援に行かれて、あの橋を作れ、この橋を作れということで、岐阜県でもありました。この間高知の市長の選挙のときにもずいぶんひどいことがあった。青木さんの話だと、選挙民の皆さんの御賛同を得てと言うが、選挙民の前に、あなたの友達、内閣の同僚連中から自粛してもらわないことには、とても公明選挙などということは言えないと思うのです。たとえば三浦農林大臣の事例について、私は答弁を願いたいと思います。
  80. 青木正

    ○青木国務大臣 ただいまの具体的な問題につきまして、私、直接報告も聞いておりませんし、またそこにおったわけではありませんのでわかりませんが、御指摘のようなことでありますれば、かりに大臣であろうが何であろうが、選挙法違反ということに関しましては許さるべきことではないのでありますので、私、そういうことにつきまして、万一違反があれば、当然検察において法に従って考慮するものと考えております。なお、閣僚のうちに選挙法違反の行動が多いというお話もありますので、私、閣議の席上十分同僚の各位にもそのことを伝えまして、今後そういうことのないように厳重に慎しんでいかれるよう、私からも特に注意する考えであります。
  81. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 まだあるのです。今度は閣僚の奥さんですが、それも法律を守る法務大臣の愛知さんで、あまり言いませんけれども、社会党はちゃんと写真を全部とってあります。そしてしょうがないから、これ以上お回りになるなら訴えますと言ったら、その日からやめられたそうです。また、行政府におられる有力な方でも放言なさる人があって、この間の前橋の市長選挙のときに、社会党のわれわれの先輩は当選されたのですが、それが当選したら県庁を前橋から高崎かどこかに持っていくという演説をした代議士があるそうですが、そういうものはごあいきょうもありましょう。たまたま大臣でもありません人ですからいいわけですけれども、とにかくひどいですね。ふまじめきわまることでありまして、法律もくそもない。ちっとも研究をされておらぬということであります。  もう一つ、今度は金のことですが、法定選挙費用を守りましょうとありますが、なかなか守られておりません。しかし、その問題につきましても少々のことならという話もありますが、最近の傾向は、小さな人口一万か一万五、六千の町長選挙で、三百万円とか五百万円使って、そしてほんとうに金を入れて戸口にまいて歩いておる。しかし、たまたま警察官は五人しかおらぬ。だれも見ておらぬのでほうっておいたというのがあるのです。これは東京の新聞に載りませんでしたから皆さん御存じないかもしれないが、総理のふるさとの田布施という町です。これは社会党は関係がないのです。私どもは負けたから、くやしいからというそういう量見からじゃないのです。岸さんと佐藤さん御兄弟の争いでありまして、一方は一万八千のところで八百万使っておる。詳しく書いてあるのです。二百円ずつ配っておる。配った人はわからぬとかわかるとか。そして現場のおまわりさんは切歯扼腕するのだけれども、山口県の警察まで行く間にどこかに消えてしまうということまで書いてある。こういうことは公安委員長としてどういうお気持であるか。おそらくこういう問題については、岸さんでも佐藤さんでも苦々しく思っていらっしゃる。思っているができないのであります。自分らが昔やったからか何か知りませんが、できないのです。あなた方が峻厳にやらぬと、これはおさまりませんよ。こういうことについて一票当り七百円という。警察官が職務質問をすると、それを尾行するそうであります。警察官が尾行されてしまうのだからどこにも行けない。こういうことです。これは箕山会、周山会というものがあるそうでありまして、その両方でやっています。今や町会議員さんは、町長選挙で大へん金が要ったので、おれたちは困ったということで大弱りというような記事であります。こういうことについて一つどうですか。警察の本部といたしまして峻厳に大掃除をなさるお考えはありませんか。私は長官に伺っておきたいのです。はっきりと天下の大新聞に書いてある。いかがです。
  82. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 最近選挙の事前運動、あるいは選挙運動に関しまして御指摘のような違反事案、また違反事案に至らなくても疑わしいものが相当多く見受けられるということは非常に遺憾に思っておるわけであります。今御指摘の具体の事実は私承知いたしませんが、方針としては、そうした選挙違反事犯、特に悪質事犯につきましては徹底的に究明する方針をとっておるわけでございます。各県々におきましてそのような方針にのっとって捜査を進めておるものと思うのでありますが、ただいまの御指摘の具体の問題は、私承知いたしておりません。
  83. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 そうしますと、私がさっきから言いました長岡の市長の問題、それからこの新聞の問題は二月の二十日に出ていますよ。朝日新聞の西部版に大きく出ています。それからさっきの標旗なしの岸総理大臣の演説、愛知大臣の御夫人の戸別訪問、みんなずいぶん前のことだが、ちっともあなたの方に通じていない。これは幾ら国会で大きな答弁をなさっても、具体的なものがちっともつかまらぬじゃ私はだめだと思うのです。この点どうですか。ただ事態がわかりませんなどということでは、これを単に自民党とか社会党とか共産党とか、そういう問題じゃありません。日本の政治の基本の問題です。警察はその点政党に片寄らず公正、中正に厳格にやる。ちゃんと二条に書いてある。なぜおやりにならないのです。公安委員長はそういう明々白々たる事実を放擲されていいのですか。今からでもちっともおそくはありませんよ。はっきり書いてある。いいかげんなところでとまってしまう。警察には少しも情報が入らない。そんなひどい違反のうわさがありますかねとというおまわりさんも中にはあるそうです。警察には中央政界から声がかかっているのでしょう、でなければあんな違反をほうっておくはずがないというのが町ぢゅうの陰口である。こういうことになる。これにはまたちょっとつけ足しの話も実はあるから申し上げるのですが、あまりひどい選挙で、社会党に来てくれというこになりました。そこでこの間、私のところの浅沼書記長が行きましたら、一万八千名の人口のところで四千名集まったというのです。そういう選挙をやるから一ぺんにいやになってしまう。私の方は逆にありがたいのですけれども、党利党略的見地からすれば……。そういうことを言うておれませんから、私は皆さんにきつく申し上げるのです。実にひどいですから。きわまれりですよ。一万八千名の町といいますと小さいものです。そういうものに八百万円の何のという金を使って、汚職、疑獄が出るのは当りまえです。しかも当選しました候補者も、私はこれにかく然としたのですが、三十一才です。これが五十、六十の人なら何んですが、三十一にしてなおかくのごとく腐敗堕落しておる。そこが私はおそろしい。どうなんです。これは具体的な事実を知らないというふうなことだけでは困りますがね。それじゃいつまでにお調べいただけますか。
  84. 中川董治

    ○中川(董)政府委員 中井先生に申し上げたいのですが、選挙違反につきまして、各警察が厳正にやるべきである、またそのように努力しておるという点につきましては、大臣及び長官から申した通りですが、御指摘の問題についてお答えいたしますが、地方の選挙違反を適正に、厳正に捜査するという立場に立ってやることなんですが、それにつきましては、その犯罪の容疑に関する証拠と申しますか、証拠とまでもいかなくても、その情報、こういうものを集めて、それに基いて積み重ねて公職選挙法に違反する疑いある事件として刑事事件を進行する、こういう立場をとらざるを得ないのであります。それで私どもは東京の新聞はいろいろ見ておりますけれども、東京の新聞以外において、地方版その他ローカル紙の記事、それもおあげになりました記事は私は見ませんが、おそらく地方におれば地方の警察職員は見ておると思います。そういうことに基いていろいろ犯罪容疑についてだんだん真相を深めていく。そうして犯罪があるという確信がつけば刑事局として進行するという立場でやっておりますので、いろいろやり方について工夫をし、証拠隠滅されないように大いに努力を傾注すべきであると思います。ところが途中で消えるとか、政治的意図とか何かによって物事が消えてしまうということにつきましては、私は、いろいろこういうことに関係しておりますが、ないと確言する自信があるのであります。ところが、能力にはいろいろ限度がございますので、いろいろな資料を積み重ねておりますと、犯罪を犯しておる疑いということにつきましての的確な証拠が集まらないで済む、こういうことはあり得る。それに対しましてわれわれがとるべき方式は、犯罪が行われました場合におきましては、百発百中すべて検挙できるまでの捜査能力を持ちたいものであると念願するのでありますが、いろいろ人員上の隘路もございますし、証拠法上の隘路もある。これを克服して公正な選挙取締りを担当して参りたいという念願で工夫しておるのであります。各府県の本部だけの工夫でもいけないので、総合警察の意味を兼ねまして管区警察局長が集まったときにそういう工夫を技術的に重ねていく。全国的な警察本部長会議におきましても、そういう技術を高めていく工夫をしておる。こういう努力は一つ御了承いただきたいと思うのであります。
  85. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 いつまでに調べて返事してくれますか。その肝心のところを返事してもらいたい。
  86. 中川董治

    ○中川(董)政府委員 ただいま申しました努力の結果やっておると思いますが、今の具体的な事案につきましては、さっそく山口県警察本部に聞きまして事情を確かめて、事情がわかりましたならば、すみやかに御報告いたしたいと存じます。
  87. 中井徳次郎

    中井(徳)委員 私も、自分で選挙を何回もやってきた男であります。それは公安委員長の青木国務大臣もそうでございます。選挙違反については程度がいろいろあることも、青木さんの言われた通りごもっともの点もあるわけであります。問題は、やはり客観的に、私どものこれまでの体験からいいますと、おのずからきまるわけです。こいつはひどい、あんまりじゃないかというのは、だれが行っても私はわかると思う。それを私は申し上げるのです。このごろの各地方の自治体の長の選挙で、社会党は八連敗とか九連敗とかいっておりますが、私は皆さんが選準違反をしたから社会党は負けたのだ、そんなことは言うておりません。そういうことではなくて、最近の傾向全体があまりひどい。そうして話してみると、結局主権者が悪い、国民がそういうものにひっかかるのが悪い、酒食の供応を受けて入れるのが悪い。確かにそういう理屈もないわけではございませんけれども、それにしてはあまりひど過ぎるのじゃないかというのが先ほどから申し上げた例であります。  まだほかにたくさんあります。警察がたるんでおるというのが私の結論であります。証拠を収集するのにどうこうする、そんなことは、あなたしろうとにおっしゃればいいので、収集の仕方その他についてはちゃんとあります。私は、こういう問題をもう少しはっきりしていただきたいと思う。きょうは選挙のことだけで、また青木さんも参議院の予算委員会もありましょうから、この程度に保留をしておきますが、長岡の市長選挙の跡始末、それから田布施町の問題、それから三浦農林大臣の言動について、これを一つ次の警察関係委員会に際して、私は明快なるあなた方の御調査の結果を期待するわけです。ごまかさぬように明らかにお答えを願いたいと思います。私どもは、はっきりした証拠をたくさん持っております。そういうことをいたしませんことには、この四月の選挙はどういうことになるか、もう全く野放図な、めちゃくちゃな選挙になると思うから申し上げておるのであります。以上の三点、長岡、三浦農林大臣、田布施町の町長選挙の実態について、この次までに詳細なる調査を私は強く要望いたしまして、本日の質問を終ります。
  88. 鈴木琢二

    鈴木委員長 本日は、これにて散会いたします。     午後一時三分散会