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奧野政府委員 地方財政計画のような
数字に
決算もなっていかなければならないというようなことは、毛頭考えていないわけであります。御
承知のように
地方財政計画の方は、
地方財政におきまして標準的な
税収入を
基礎として標準的な
行政が行なっていけるように、同時にまた国がいろいろな
施策をいたしまする場合におきましても、
地方行政が
計画的に運営されることを保障していこう、こういうような
建前で策定いたして参っておりますので、当然に
決算とはかなり食い違って参ります。たとえて申し上げますと、
標準税率超過課税といったようなものは、
現実に毎年度行われて参るわけでございますけれ
ども、
地方財政計画の上にはそういう
数字を見込んでおりません。また
給与費につきましても、
国家公務員に準じた額を
基礎にして算定いたして参りますけれ
ども、若干の
開きが
現実にあるわけでございます。あるいはまた
金融を通じて
地方団体がいろいろの
施策を行なって参ります。特定の
金融機関に
預託をし、その
預託金を財源にして
金融機関が
農業者、
商工業者に
貸付を行う。そういうものは
決算の上では
貸付金、同時にまた
歳入として
貸付金の
償還金として入ってくるわけであります。こういうものも
財政計画の上では取り上げていないわけであります。そういう
意味で当然に
食い違いがあるのだ、そういう
建前でやっておりますことを御了承願いたいと思います。
三十二年度の
財政計画と三十二度の
決算、この
食い違いは先般
門司さんからでしたか、御要求がございましたので、
昭和三十二年度
地方公共団体決算概況の中に一括して入れておいたわけでございまして、その冊子の三十五ページのところに
比較を示しております。第五表になっております。
地方財政計画の方は、当初に策定いたしましたままでその後改定を加えておりません。国の
予算につきましては、当初の
予算からその後
補正予算も組まれております。従いまして、
補正予算に伴って当然
財政計画の方でも変化が生じて参ってきておるわけでありますけれ
ども、その
修正も行なっていないわけでございます。そういうようないろいろな
事情がございますので、両者の間に、
歳入で二千四十六億、
歳出の方で千八百二十九億円の
開きが生じて参ってきております。
歳入で申し上げますと、
地方税で六百六十七億の
開きが出ております。これは御
承知のように異常な
自然増収があったことと、それと今申し上げますような
標準税率超過課税から起って参ります
数字の
開きであります。それから三番目の
地方交付税で七十八億の
開きがございます。これは国において
補正予算が組まれたわけでありまして、そのため
地方交付税の
増額が出て参りました結果、七十八億円を追加交付されたわけであります。これは
財政計画を直しておりませんことから起って参ってきております。四番目に
国庫支出金で二百五十三億の
開きがあります。これはやはり
補正予算に伴いまして
義務教育関係について四十三億円の
増額がその後行われ、この中には〇・一五カ月分だけ
期末手当を
増額するという措置が年度の中途においてとられております。こういう
部分についての具体的な
財政計画の変更は行なっておりませんので、こういう
開きを生じます場合には、当然そういうふうにして起った問題については
修正を加えていった方がいいのかもしれませんが、当初の分とそのままで
比較しておりますので、そういう違いが
食い違いとして出て参るわけであります。あるいはまた国が
委託費として交付されますものも、
地方団体の方で
歳入に受け入れて仕事をして参るという場合がございます。そういうものもこれに加わっておるわけであります。あるいは
干拓工事その他国の
工事を
地方団体が
委託を受けて行う場合がたさくんあるわけでございます。そういうものも
決算の上ではこの中に出てくるわけであります。私
どもの
計画では、国の
直轄工事でありますから、国の
予算で行われておるわけでありますけれ
ども、国がその
歳出を通じて
地方団体に
工事を
委託する。そうしますと、この
歳入の
国庫支出金として上って参るわけであります。その
事業が
歳出に出て参るわけであります。こういうような問題がかなり多くございます。それから
地方債では百三十四億の
食い違いがあります。これは
厚生年金積立金から
還元融資をいたしますものでありますとか、あるいは
損害保険の方で
消防関係に若干
融資をいたしますものとか、そういうようないわゆる
ワク外融資が毎年百億円内外あるわけであります。その分は従来からも
財政計画には取り上げていないわけであります。そういうことから起る
食い違いであります。
雑収入で六百八十一億円の
食い違いがありますが、これは
先ほどちょっと申しましたが、
預託金も
貸付金として経理されるというような
やり方をいたして参ってきておるものでありますとか、あるいはまた
地方団体が独自に条例を設けまして、
県外に移出するものについて
検査を行う場合に、
検査手数料を徴収していくというようなもの、
歳出と
歳入とが見合って行われておる
部分が相当数あるわけであります。そういうようなことで二千億円をこえる
食い違いが出て参るわけでありまして、この中には当然
食い違いを予想しておるものもありますし、税の
自然増収のように当初はそれほど
開きがあるとは考えていなかったものもあるわけであります。
歳出で申し上げますと、下の方をごらんいただきますれば、
財政計画と
決算とが当然食い違うものだということを御了解願えると思いますが、
地方交付税の不
交付団体における
平均水準を越える
必要経費百六十億というものが、
財政計画の上で出ておるわけでございます。これはやはり
給与費でありましたり、あるいは
単独事業費であったりするわけでございます。
決算の際には、当然それぞれの費目で
数字が上って参るわけでございます。
給与費で五百十八億の
開きがございます。これは
財政計画を作りますときには、
普通補助に入れております
職員費、
普通補助で五、六万人の
職員についての
補助金があるわけでありますけれ
ども、
決算の上ではこれが
給与費に上って参ります。それから
先ほどもちょっと申し上げましたように、実
給与とそれから
計画上の
給与との間に相当な
開きがございます。こういうものもこの
食い違いに現われて参るわけでございます。それからその他の
経費で二百三十二億円の
食い違いが出てきているわけでございますけれ
ども、
先ほども申し上げましたような
自然増収の問題でありますとか、あるいは
雑収入の増加でございますとか、そういうものがここで反映して参るわけであります。それから公債費で九十九億の
開きがございますが、これは
財政計画の
考え方から、たとえば財政再建団体の再建債償還費、こういうものは
計画の中に入れておりません。そういうものだけでも八十一億円あるわけでありまして、そのほか繰り上げ償還の費用な
ども財政計画の中には上げていない結果起って参るものでございます。維持補修費は三十二億円の
食い違いであります。投資的
経費には九百八十五億円の
食い違いがございます。これは
先ほども申し上げましたように
委託費を
財政計画の中には入れていない問題、あるいは代行
工事が相当行われているという問題、代行
工事は国からのものだけではございませんで、たとえば電源開発会社が電源開発の地帯に道路を設ける、そういう仕事を
地方団体にやってもらうというようなものも相当たくさんあるわけでございまして、そういうものから起ってくる
食い違いでございます。失対
事業で五十二億の
食い違い、これはある程度
地方団体が、国の
補助金だけでは十分でないので、ワク外でやっているものも相当あるわけであります。
単独事業費については、
自然増収あるいはまた
雑収入等の
食い違いがこれらの面に反映しているわけであります。あるいはまた
地方交付税の不
交付団体における
平均水準をこえる
必要経費というようなものも、その辺に現われて参るというようなことになっておるわけであります。
決算と
財政計画とそう
食い違いを起さない格好で
財政計画を作っていくというのも一つの
考え方でございますけれ
ども、一応今まで、
先ほど申しましたような
考え方で積み上げをやって参ってきておりますから、こういうふうな
食い違いが出て参るわけであります。