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1959-03-04 第31回国会 衆議院 地方行政委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年三月四日(水曜日)委員長の指名で、 次の通り小委員及び小委員長を選任した。  地方税法等改正に関する小委員       天野 光晴君    亀山 孝一君       纐纈 彌三君    津島 文治君       渡海元三郎君    丹羽喬四郎君       吉田 重延君    佐野 憲治君       阪上安太郎君    中井徳次郎君       安井 吉典君  地方税法等改正に関する小委員長                 渡海元三郎君     ————————————— 昭和三十四年三月四日(水曜日)     午前十一時一分開議  出席委員    委員長 鈴木 善幸君    理事 亀山 孝一君 理事 纐纈 彌三君    理事 渡海元三郎君 理事 丹羽喬四郎君    理事 吉田 重延君 理事 阪上安太郎君    理事 門司  亮君 理事 安井 吉典君       相川 勝六君    天野 光晴君       金子 岩三君    田中 榮一君       津島 文治君    山崎  巖君       太田 一夫君    佐野 憲治君       中井徳次郎君    北條 秀一君  出席政府委員         自治政務次官  黒金 泰美君         総理府事務官         (自治庁財政局         長)      奧野 誠亮君         総理府事務官         (自治庁税務局         長)      金丸 三郎君  委員外出席者         総理府事務官         (自治庁税務局         府県税課長)  大村 襄治君     ————————————— 三月三日  遊興飲食税減免に関する請願田中伊三次君紹  介)(第一八四九号)  同(五島虎雄紹介)(第一九二二号)  質屋営業法の一部改正に関する請願外五十九件  (關谷勝利紹介)(第一八七〇号)  大規模償却資産に対する固定資産税課税改正  に関する請願纐纈彌三君紹介)(第一九九六  号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  小委員会設置並びに小委員及び小委員長選任に  関する件  地方税法等の一部を改正する法律案内閣提出  第一五三号)  地方交付税法の一部を改正する法律案内閣提  出第一六六号)  地方税法の一部を改正する法律案内閣提出第  一七七号)      ————◇—————
  2. 鈴木善幸

    鈴木委員長 これより会議開きます。  地方税法等の一部を改正する法律案地方交付税法の一部を改正する法律案及び地方税法の一部を改正する法律案の三案を一括して議題として審査を進めます。  質疑の通告がありますので順次これを許します。北條秀一君。
  3. 北條秀一

    北條委員 私は、今の問題につきまして全般的にきわめて常識的な質問をいたしますが、第一に昨日地方税法の一部を改正する法律案についての説明がございまして、これについて二、三質問したいと存じます。  この法律案の名称の問題でございますが、法律案の名前は内容を一言でもってよくわかるようにするというのが戦後のならわしでございますが、昨日の税法改正内容を聞いておりますると、税制調査会云々の話が出て、全面的に改正するというふうな説明があったと思うのでありますが、一体全面的な改正をしようと考えておるのか、あるいは地方税法の一部を改正するというふうに考えておるのか。一部ということをどういうふうに考えてよろしいのか、はなはだ私きのう聞いておって理解しにくいのであります。たとえば三十三年の三月三十一日まで有効な法律を一年間延ばす、単にそれだけの話でありまして、三十三年を三十四年にするということでも一部を改正する法律案、こういう法律案がたくさんあるわけであります。全部を改正する重要な法律案であるならば、一部を改正するというようなことになると、羊頭を掲げて狗肉を売るということになって、私どもの目をごまかす、国民の目をごまかすことになるのだが、なぜそういうことになったのか。むしろ地方税法を全面的に改正するなら、地方税法改正に関する法律案にすべきではないか、こういうふうに考えるが、御所見を伺いたいと思います。
  4. 黒金泰美

    黒金政府委員 ただいまの御疑問でございますが、この地方税法をごらん願いますと、第一章が総則であり、第二章が道府県普通税であり、第三章が市町村の普通税、第四章目的税、第五章都等及び固定資産税の特例、こういろいろあるわけでございます。この中で今度変えます点は、今御指摘がありましたように、特に徴収関係あるいは府県との優先関係、こういった点がいわば全面的に変ったのでありまして、そのほかのいろいろな税金税率でありますとか、そういう点につきましては、別途地方税法等の一部改正法律案でお願いしておるような次第であります。全面的という言葉が少し言い過ぎといいましょうか、表現がきつかったかと思いますけれども徴収関係の点につきましてはほとんど全面的に改正になっておる。しかも、一々何を何に改めるという書き方をいたしますると、かえって理解しにくいものでありますから、条文全部書きおろした点もございます。そういう点で徴収関係については全面的と申し上げたのでありますが、御説明の仕方が多少特徴を生かしますために言い過ぎの点があって誤解を招いたかもしれませんが、やはり地方税法全体として見ますれば、一部の改正にすぎませんもので、その題名はそのようにつけてある次第であります。
  5. 北條秀一

    北條委員 大体政府行政態度がいつでもなまはんかな態度をとられるので、こういうことについても言わざるを得ないのであります。昨日も佐野委員お話にもありましたように、政府法律案を出すときには、その提案説明の中に最後につける文句がある。慎重審議をされ、すみやかに可決あらんことをお願いします、ということを必ずつけるのだ。何とかの一つ覚えで、自分の方から出すのはすみやかと言っておりながら、わが方の方には慎重審議——昨日の黒金さんの御説明でも、検討中であるとか、調査中であるとか、こういうことになっておる。幸いに黒金政務次官はきわめていいお方でありますから、黒金でなしに実際は白金でございますが、どうかその点は、黒金でなしに白金でやっていただきたいと思うのです。そこで今のお話でも私がやはり懸念するのは、法律の趣旨についてはなかなかいい。いいけれども、それが政令となり、施行されるということになると、換骨奪胎されるのが今の日本の行政のあり方だ。きわめてばくり然たる質問でありましたが、そういう質問をまず第一にいたしたのであります。  そこで昨日税務局長は、法律改正の技術的な問題でございますが、なるべくわかりやすいように、こういうような話がございまして、みんなが理解しやすいように今回の改正案は気を配ったということでございます。そこできのう甲乙丙丁とか、あの算術方式のようなことで御説明があったのでありますが、あの際に問題になりました換価ということです。売り買いのときに現物を金にかえる。換価ということは法律用語でありますが、大衆が法律を理解する際に、換価という言葉を使うのは適当じゃないじゃないか、むしろそれだけならば金にかえるというふうに、簡単に換金するというふうにしたらいいのじゃないか、こういうふうに考えるのだが、この点はどうですか。
  6. 金丸三郎

    金丸政府委員 その点は従来の法律用語を踏襲いたしたわけでございます。法律用語一般の社会の常識で若干違っておるかもわかりませんけれども、古くから慣例的に常用いたしておりますので、私ども立場から見まして、しいて変える必要はないのじゃなかろうか、かように考えた次第でございます。
  7. 北條秀一

    北條委員 その辺がいけない、こう私は思うのです。結局、わかりやすくすると言いながら、自分の方に都合のいいところは古い慣習だとかいうふうにおっしゃる。だからあえて僕は追及いたしませんけれども、いつでも大上段に提案理由を振りかぶって、そうしてやっておることは、窮すると、要するに調査研究であるとか、検討であるとか、古い慣例による、こういうような御答弁が困るということなんであります。  そこで第三番目にお聞きしたいのは、きのう算術方式で御説明がございましたが、今回の法の改正によって私法秩序を守っていくのだということでございますが、この法律改正中心は第一には租税徴収を確保するということ、第二は地方自治の尊重ということでございますが、きのうの算術方式によりますと、たとえば乙が自分所有物を丙に対して売る。そうすると甲はそれに対して担保権を設定しようという際に、物が処分されると、乙は国に対して税金滞納という債務を負うことになります。従ってきのうの方式によって百二十万円に売れた。そうするとそのうち甲が百万円の担保を設定しておる、私権は侵害しない。従って甲は百万円取る。国があとは二十万円取るのだということになるのでありますが、国の税金が六十万円あるとすれば、六十万円のうち二十万円だけとられて、あとの四十万円は乙の税金滞納になってくるわけでございます。そうなると、きのうのああいうふうな方式説明を聞いておりますと、いかにも百二十万円の物を処分して甲が百万円取って、その物件についての国の税金は六十万円あるのだけれども、二十万円だけしか払う金がないのだから、二十万円を国に納めれば、あとの四十万円の滞納分は免除してくれるというふうに聞えるのですが、それはどうなんですか。
  8. 金丸三郎

    金丸政府委員 昨日申し上げましたのはそうではございませんで、品物を買いました丙の立場と、ただいまのお話では甲とおっしゃいましたが、抵当権を設定して担保された債権を持っております人と、それから抵当権を設定いたしました納税義務者と、この三者の地位を考えつつ租税債権をどの程度に確保するかということから、抵当権付債権を持っております者は、すでに租税の方が優先するということを承知の上で担保を取ったものであるから、ある程度租税に取られてもやむを得ない。またそういうものを譲り受けました者も、一種の抵当権がついておるということを承知の上で譲り受けたものでございますから、それに対して抵当権付債権を持っておる者から抵当権に基いて財産の公売処分を受けた場合と同じように国の方がやってもかまわない、こういうような立場から租税債権をどのようなふうにして確保するかという限度を例を設けて申し上げましただけでございまして、あとはやはり滞納者が国の方に税金を納めなければならないという義務は負っておるわけでございます。これは当然なこととして昨日は申し上げませんでしたけれども、それは義務としては残るわけでございます。
  9. 北條秀一

    北條委員 この問題については、またこれから研究をいたしまして質問を留保いたしますが、最後黒金さんにお聞きしたいのですが、きのうもうすでに予算が通っている。この地方税の問題もその中に十分織り込まれておる国の方針だと思うのです。ところが、今回は地方税法の一部を改正するというが、実は徴税なんかは全面的な問題だ、国民に一番大きな関係のある問題であります。これは昨年の十二月に租税徴収制度調査会の答申が出た重要な問題である。こういうものをなぜ今ごろになって出してきたか、しかも予算が済むという日に出してきたか。私は、その点意のあるところを理解しかねるのだが、どういうわけでこれだけの重要なものを今ごろ出してきたか、その点についてのはっきりした政府態度を示していただきたい。
  10. 黒金泰美

    黒金政府委員 ただいまの御疑問はごもっともな点でございます。調査会意見も出て参りましたが、その後におきまして、これは率直に申し上げますが、租税を徴収する方の側、そういう役所側と、私権をいわば代弁する方の側の役所、この間に、こまかい点につきましていろいろ話し合いに時間がかかりますために大へんおくれて恐縮でございましたが、その間の話し合いも十分に調整ができましたのでここに提案をいたした次第であります。その間の時間がかかったような次第でございます。
  11. 北條秀一

    北條委員 ことしは四年に一ぺんの地方選挙のある年なのです。ちょうどうるう年と同じように四年に一ぺんずつ回転してくるのです。ことしはそういう特殊な年なのです。でありますから、政府も十分そのことを知っておられるはずなのです。三月に予算が通りますと、大体衆議院も閑散になって参りますし、参議院の方では選挙を控えておりますから、けさの新聞にありますように、自由民主党は予算が通ったらこれからは選挙一本でいくのだというような態度をとっておられる。そうしますと、この審議というものは慎重に審議せよと政府は言っておって、しかもすみやかに可決してくれとおかしなことを言っておるけれども、おそらく私はそうはいかないと思う。これだけの重要な法律案をこのごろになって出してきたが、それらの諸般の情勢を考えると、政府としてはこの法律案は本国会中に通らなくてもいいんだ、それだけ重要でないのだという考え方でおられるのだと私は推測されるのですがどうなのですか。
  12. 黒金泰美

    黒金政府委員 ただいまお話のございましたようなことはないでございまして、やはり慎重には御審議願いたいのでありますが、ばかの一つ覚えとさっきおしかりを受けましたけれども、ぜひすみやかに御可決を願いまして——実は国税徴収法の方でも並行して今審議が進んでおります。大蔵委員会の方の問題でございますけれども、その方がかりに通りまして、これが通りませんと、地方税国税との間にそごができます。そういう点がありますので、ぜひこの議会中に御審議御可決賜わりたいとお願いしておる次第であります。
  13. 北條秀一

    北條委員 それでは最後意見を申し述べておきます。確かに国税徴収法に付随して——付随といったらおかしいけれども、不可分の地方税徴税の問題でございますが、どうもあなたたちの考え方大蔵省中心であって自治庁大蔵省植民地だ。植民地主義的の考え方を持っておる。だから、いつか青木国務大臣が言っておられましたが、与党においては地方行政委員になり手がないのだというようなことになってくるわけであります。それは大臣がはっきりとそう言ったのです。でありますから、自治庁としては四十六都道府県を背負っておるのですから、もっとあなたの方ではほんとうに真剣な態度を持っていただかなければ、どんないいことを言ったって意味がないのだ。どうか私は、自治庁大蔵省植民地だというふうなイデオロギーを捨てて、そういうふうな卑屈な考え方を捨てて、もっと勇気を持って邁進をしていただきたいということを最後につけ加えて申し上げておきたい。  そこで今度は他の質問に移りますが、奥野財政局長が出ておられますので、第一に私は地方財政計画の問題についてお聞きしたのであります。今日三十四年度の国家予算というものはきわめて政治の花形としてデビューしておるわけであります。もちろん予算は一カ年間の政治計画でありますから、それだけ国民も大事にし、そして世論もこれに注目するのでありますが、地方財政計画というのは、いかにして地方自治体を守っていくか、その行政水準を引き上げていくかということでありますから、従って地方四十六都道府県にとっては、財政計画というものは最も重要なものでなくちゃならぬはずであります。ところが、地方財政計画というのは、現在の政治の段階においては隠花植物のようにあまり世論の脚光を浴びないというところに、私は非常に不可思議なものを感ずるのであります。もっとも、私は地方行政についてはずぶしろうとでありますから、研究は十分ではないかもしれません。しかし、そういったずぶしろうとなりに受ける感じでは、なぜ自治庁財政計画というものをもっと早く作り上げて、しかもその作り上げ方も、きのう佐野君が言っておりましたが、自治庁が一方的に自分の方で頭で考えて作り上げて、それを地方に押しつけていくというようなやり方、どうもそのやり方がはなはだ逆だと思う。地方から積み上げてきて、そして財政計画というものができ上る。これならば私は至当だと思うのでありますが、今自治庁で考えておられることは、中央で考えて大ざっぱにやる、これを地方に押しつけていくのだというようなところに、私どもは非常に遺憾の意を表せざるを得ないのでございますが、そういった一般論は別にいたしまして、問題は、こういうことになると思うのです。あなたの方で財政計画を立てる。そうすると地方財政法によって、地方自活体は国の政策に反してはいかぬ、こういうことが書いてある。だから、あなたの方で財政計画をおきめになれば、この方針地方は反対してはならぬのだ、こういう態度でもっていくわけだ。ところが、さらにその計画が果して適正であったかなかったという判断はどこでやるかというと、結局決算でやるより方法がない。ところが財政計画が果して適正であったかどうかということの決算は、翌年か、大体一年以上たたなければ出てこないということになって、結局私どもとしては、政府最初計画が適正であったかどうかということに対する政治責任を追及しようと思っても追及できないというのが現状です。  そこで私は、三十四年度の財政計画についての理解を深めるために、最初に、三十二年度の財政計画というものと地方財政決算が出ておるはずでありますから、三十二年度の当初立てられたあなたの方の財政計画決算というものはどれだけ開きがあったか。ことに三十二年度というのは神武以来の不景気のときでありますから、そういう事情も頭に入れておいていただいて、三十二年度の当初の財政計画とその決算というものの比較について、重要な点だけを一つ聞かしていただきたいと思う。
  14. 奧野誠亮

    奧野政府委員 地方財政計画のような数字決算もなっていかなければならないというようなことは、毛頭考えていないわけであります。御承知のように地方財政計画の方は、地方財政におきまして標準的な税収入基礎として標準的な行政が行なっていけるように、同時にまた国がいろいろな施策をいたしまする場合におきましても、地方行政計画的に運営されることを保障していこう、こういうような建前で策定いたして参っておりますので、当然に決算とはかなり食い違って参ります。たとえて申し上げますと、標準税率超過課税といったようなものは、現実に毎年度行われて参るわけでございますけれども地方財政計画の上にはそういう数字を見込んでおりません。また給与費につきましても、国家公務員に準じた額を基礎にして算定いたして参りますけれども、若干の開き現実にあるわけでございます。あるいはまた金融を通じて地方団体がいろいろの施策を行なって参ります。特定の金融機関預託をし、その預託金を財源にして金融機関農業者商工業者貸付を行う。そういうものは決算の上では貸付金、同時にまた歳入として貸付金償還金として入ってくるわけであります。こういうものも財政計画の上では取り上げていないわけであります。そういう意味で当然に食い違いがあるのだ、そういう建前でやっておりますことを御了承願いたいと思います。  三十二年度の財政計画と三十二度の決算、この食い違いは先般門司さんからでしたか、御要求がございましたので、昭和三十二年度地方公共団体決算概況の中に一括して入れておいたわけでございまして、その冊子の三十五ページのところに比較を示しております。第五表になっております。地方財政計画の方は、当初に策定いたしましたままでその後改定を加えておりません。国の予算につきましては、当初の予算からその後補正予算も組まれております。従いまして、補正予算に伴って当然財政計画の方でも変化が生じて参ってきておるわけでありますけれども、その修正も行なっていないわけでございます。そういうようないろいろな事情がございますので、両者の間に、歳入で二千四十六億、歳出の方で千八百二十九億円の開きが生じて参ってきております。歳入で申し上げますと、地方税で六百六十七億の開きが出ております。これは御承知のように異常な自然増収があったことと、それと今申し上げますような標準税率超過課税から起って参ります数字開きであります。それから三番目の地方交付税で七十八億の開きがございます。これは国において補正予算が組まれたわけでありまして、そのため地方交付税増額が出て参りました結果、七十八億円を追加交付されたわけであります。これは財政計画を直しておりませんことから起って参ってきております。四番目に国庫支出金で二百五十三億の開きがあります。これはやはり補正予算に伴いまして義務教育関係について四十三億円の増額がその後行われ、この中には〇・一五カ月分だけ期末手当増額するという措置が年度の中途においてとられております。こういう部分についての具体的な財政計画の変更は行なっておりませんので、こういう開きを生じます場合には、当然そういうふうにして起った問題については修正を加えていった方がいいのかもしれませんが、当初の分とそのままで比較しておりますので、そういう違いが食い違いとして出て参るわけであります。あるいはまた国が委託費として交付されますものも、地方団体の方で歳入に受け入れて仕事をして参るという場合がございます。そういうものもこれに加わっておるわけであります。あるいは干拓工事その他国の工事地方団体委託を受けて行う場合がたさくんあるわけでございます。そういうものも決算の上ではこの中に出てくるわけであります。私ども計画では、国の直轄工事でありますから、国の予算で行われておるわけでありますけれども、国がその歳出を通じて地方団体工事委託する。そうしますと、この歳入国庫支出金として上って参るわけであります。その事業歳出に出て参るわけであります。こういうような問題がかなり多くございます。それから地方債では百三十四億の食い違いがあります。これは厚生年金積立金から還元融資をいたしますものでありますとか、あるいは損害保険の方で消防関係に若干融資をいたしますものとか、そういうようないわゆるワク外融資が毎年百億円内外あるわけであります。その分は従来からも財政計画には取り上げていないわけであります。そういうことから起る食い違いであります。雑収入で六百八十一億円の食い違いがありますが、これは先ほどちょっと申しましたが、預託金貸付金として経理されるというようなやり方をいたして参ってきておるものでありますとか、あるいはまた地方団体が独自に条例を設けまして、県外に移出するものについて検査を行う場合に、検査手数料を徴収していくというようなもの、歳出歳入とが見合って行われておる部分が相当数あるわけであります。そういうようなことで二千億円をこえる食い違いが出て参るわけでありまして、この中には当然食い違いを予想しておるものもありますし、税の自然増収のように当初はそれほど開きがあるとは考えていなかったものもあるわけであります。  歳出で申し上げますと、下の方をごらんいただきますれば、財政計画決算とが当然食い違うものだということを御了解願えると思いますが、地方交付税の不交付団体における平均水準を越える必要経費百六十億というものが、財政計画の上で出ておるわけでございます。これはやはり給与費でありましたり、あるいは単独事業費であったりするわけでございます。決算の際には、当然それぞれの費目で数字が上って参るわけでございます。給与費で五百十八億の開きがございます。これは財政計画を作りますときには、普通補助に入れております職員費普通補助で五、六万人の職員についての補助金があるわけでありますけれども決算の上ではこれが給与費に上って参ります。それから先ほどもちょっと申し上げましたように、実給与とそれから計画上の給与との間に相当な開きがございます。こういうものもこの食い違いに現われて参るわけでございます。それからその他の経費で二百三十二億円の食い違いが出てきているわけでございますけれども先ほども申し上げましたような自然増収の問題でありますとか、あるいは雑収入の増加でございますとか、そういうものがここで反映して参るわけであります。それから公債費で九十九億の開きがございますが、これは財政計画考え方から、たとえば財政再建団体の再建債償還費、こういうものは計画の中に入れておりません。そういうものだけでも八十一億円あるわけでありまして、そのほか繰り上げ償還の費用なども財政計画の中には上げていない結果起って参るものでございます。維持補修費は三十二億円の食い違いであります。投資的経費には九百八十五億円の食い違いがございます。これは先ほども申し上げましたように委託費財政計画の中には入れていない問題、あるいは代行工事が相当行われているという問題、代行工事は国からのものだけではございませんで、たとえば電源開発会社が電源開発の地帯に道路を設ける、そういう仕事を地方団体にやってもらうというようなものも相当たくさんあるわけでございまして、そういうものから起ってくる食い違いでございます。失対事業で五十二億の食い違い、これはある程度地方団体が、国の補助金だけでは十分でないので、ワク外でやっているものも相当あるわけであります。単独事業費については、自然増収あるいはまた雑収入等の食い違いがこれらの面に反映しているわけであります。あるいはまた地方交付税の不交付団体における平均水準をこえる必要経費というようなものも、その辺に現われて参るというようなことになっておるわけであります。決算財政計画とそう食い違いを起さない格好で財政計画を作っていくというのも一つの考え方でございますけれども、一応今まで、先ほど申しましたような考え方で積み上げをやって参ってきておりますから、こういうふうな食い違いが出て参るわけであります。
  15. 北條秀一

    北條委員 三十三年度の決算と三十三年度の当初の財政計画との比較は、これはことしの何月ごろできましょうか。
  16. 奧野誠亮

    奧野政府委員 やはり十月前後でないとできないのじゃないだろうかと思います。
  17. 北條秀一

    北條委員 もっと早くできないものかと思いますがね。というのは、十月になると三十五年度の予算の編成がほとんどでき上るわけですね。大体最後の仕上げになってくるのですが、そうなってくると、前年度の政府計画が果して適切であったかどうかという生きた批判ができるのです。ところが、それが今ごろになって私ども三十二年度の比較をしているというようなことでは、政治は死んでいるわけです。ですから、今奧野財政局長は十月と言われましたけれども、実際に地方決算が出るのは何月であるか、それが早く出ればすぐ批評ができるわけなんですが、もっと早くできないですか。
  18. 奧野誠亮

    奧野政府委員 御承知のように三十三年度の会計についての出納閉鎖の期限が五月三十一日でございます。五月三十一日に一応出納を締め切りまして、その報告を各出先から本庁が受け取って参るわけであります。従いましてそれよりもなお一、二カ月おくれませんと、県なり市町村なりの出納を締め切った結果がどういう姿になるかわかって参らないわけであります。それをさらに全国の市町村のものを集めて参るわけでございます。自然それよりもまだ若干おくれざるを得ない、こういう格好になるわけでございます。荒い推計は今申し上げました時期より若干早くすることは可能でございましょうけれども、夏にはわかってしまうというようなほどに持っていくことには非常な無理がある、こう思っております。
  19. 北條秀一

    北條委員 私、それは生きた政治をやっていくためには、やはり一日でも早ければ早い方がいいわけであります。ですから五月三十一日に出納を閉鎖して、六月、七月二カ月間で地方のやつができ上って県に集計される。そうするとそれを中央に集めるのは八月の初め、ですからせめて八月の末にでも出していただくということは、この席でお約束できませんか。
  20. 奧野誠亮

    奧野政府委員 できるだけ早くわからせるような努力をして参っておるわけでありますし、また御指摘になっている点ごもっともでございまして、でき得る限り努力して参りたいと思っております。
  21. 北條秀一

    北條委員 それでは黒金政務次官にはっきりと申し上げて、でき得る限りお約束していただきたいのですが、私、今ごろに三十二年の決算を見ているわけです。だからそうでなしに、本年は少くとも八月の末か九月の初めに出してもらうように、それこそ早急に一つやっていただきたい、こういうふうに思うのですが、どうです。
  22. 黒金泰美

    黒金政府委員 どうも私もあまり自信がないのでございますが、実は昨年も非常に急がしてみたのであります。みたのでありますが、やはり数の非常に多いものを集めますような関係で、なかなか簡単に参りませんで、やはり十月になってしまったのであります。従いまして、できるだけ急がしてみますけれども、八月の末というのは、私は今のところ少し無理じゃないかという印象を持っております。ただしかし、できるだけ早くまとまるようにいたします。
  23. 北條秀一

    北條委員 それでは十月に提出していただくということを期待してよろしいか。
  24. 黒金泰美

    黒金政府委員 そのように御期待願いたいと思います。
  25. 北條秀一

    北條委員 三十四年度の財政計画について前に御説明がございましたが、ところで、この三十四年度の財政計画で、地方自治体の行政水準を維持し発展させるのだということがわざわざ書いてある。それで私はお聞きしたいのですが、行政水準を維持し発展させるのだというきわめてばく然たる言葉でいわれておりますが、この行政水準を維持し発展させるという具体的な内容、それについてはどういうふうに考えておられるか。実は当初自治庁としてはここまで行政水準を維持しよう、またここまで発展させようと考えた。ところが、国の財政計画からいってどうしてもここまで譲歩せざるを得なかったのだという点があるかと思うのであります。自治庁自治庁としての立場からこの行政水準の向上をはかる、という点はどの点にあったか、こういう点について伺いたいと思います。
  26. 奧野誠亮

    奧野政府委員 自治庁として考えて参りましたことも、結局は政府として一体になって政策を決定しておるわけでございますので、現在政府が考えておりましたことが即自治庁の考えておったものだと、こういうように御了解いただきたいと思うのであります。  御承知のように国が道路整備五カ年計画を作る、あるいはすし詰め教室解消五カ年計を作る。これはいずれもどちらかといいますと、地方に非常に大きな問題になっていることであります。従いまして、そういうような計画によってどの程度行政水準が引き上げられていくかということが即今の御質問にお答えすることになるのではないだろうか、こう思うのでございます。  道路で申し上げますと、三十三年度末の改良状況が三十四年度末でどうなるか、その数字は一級国道で五三%から五七・二%に改良済みの延長が延びます。二級国道で三二・一%から三四%に延びます。主要地方道が三七・二%から三八・二%に延びて参るわけであります。舗装状況は、三十三年度末と三十四年度末とを比較して参りますと、一級国道で二八・五%から四四・四%に延びます。二級国道で一五・五%から一七・八%に伸びます。主要地方道で一〇・六%から一一・六%に延びるわけであります。  次に学校施設の点について申し上げますと、五カ年計画を三十四年度から進行させていくわけでございまして、義務制の学校では、三十四年度に四十三万六千二百九十七坪の増改築を行う。それが補助事業分でございまして、全体の一九・一%を実施したい。単独事業分では十八万六千九百八十四坪を考えておるわけでありまして、やはり全体の一九・一%を実施したい、こういうふうに考えておるわけであります。合計いたしますと六十二万三千二百八十一坪ということになっているわけでございます。  次に、すし詰め教室を解消しようとしているわけでございますけれども、その結果、学級編制及び標準教職員の定数関係政令が改正されまして、三十三年度から大体五年間くらいの間に補足し、定数まで適正化していきたい、こういう考え方があるわけであります。小学校の教室は、本来は五十人なんだけれども、三十三年度は六十人まではやむを得ない。それを三十四年度は五十八人に引き下げますが、漸次引き下げまして五年間で五十人まで持っていこうとしております。中学校では、本来五十人でありますが、三十三年度は五十五人まではやむを得ないといっておったのであります。それを三十四年度はさらに五十四人に引き下げるわけでありまして、大体これも五年間で五十人まで持っていこうとしております。そういうような計算によりましてすし詰め教室が解消されるが、解消されるだけの教室は建てなければならぬわけでありまして、その坪数を先ほど申し上げたわけであります。同時にそれに応じて先生数もふやさなければならぬわけであります。ふやす先生数は、自然減を差引しましてもなお千七百人前後、それが財政計画に載っている数字であります。その結果すし詰め教室の解消されますものが、小学校で千八百五十五、中学校で千五百五十三、合計いたしまして三千四百八、こういうことになって参るわけでございまして、同時に定数の充足分が小学校で二千四百八十三人、中学校で千二十人、こういうことになっているわけでございます。  こういうような点が特に計数的に申し上げられます行政水準の引き上げの部類に属するもの、かように考えているわけであります。
  27. 北條秀一

    北條委員 昨日の本会議において、楢橋予算委員長地方財政の問題について触れまして、三十四年度においては財政計画に関して千十八億プラスになるんだということをかなり強調して言っておられました。私はよく内容がわからないんだが、千十八億というのが、政府としてはこれだけふやしてやったんだというふうに言っておりますけれども、そのうちで大部分が、国からそれだけの金が出ればそれに応じて当然地方も金を出さなければならぬ。いわゆる義務経費といいますか、そういうことになってくるのではないかと思うのですが、千十八億の中で地方義務として負担しなければならぬ部分というのは一体どの程度あるか。
  28. 奧野誠亮

    奧野政府委員 国が取り上げている結果、地方団体が当然に相当の経費を継ぎ足していかなければならないという顕著なものは、やはり公共事業費だと思います。公共事業費の関係でふえます額が四百十三億円でございます。それから生活保護費その他の普通補助でふえます金が百五億でございます。なお人事院勧告に伴います給与改訂、これもある意味においては、人事院が勧告をしたものではございますけれども地方公務員も国家公務員に準じて給与を支給していくという建前から申しますと、半ば義務的なものになって参ります。この部分が百五十八億くらいです。
  29. 北條秀一

    北條委員 そこで、先ほど申しましたが、ことしは四年に一ぺんの地方首長の改選の年に当るわけです。従いまして、地方首長は、三十四年度の予算を編成して今議会を開いておるわけでありますが、一昨日、昨日の都議会においてもいろいろ論議されておりますように、今回の政府方針にのっとって、各都道府県の知事は選挙を目当てにきわめてずさんな、あるいは極端にいえば無責任な予算を作っておるのではないかというふうに考えられるのであります。これについて自治庁は、一体どういうふうな都道府県に対する指導方針を持っておるのか、あるいはそういうふうな指導方針地方と論議したことがあるかどうか、この点についてお話を承わりたいと思います。
  30. 奧野誠亮

    奧野政府委員 毎年度予算編成時期になりますと、国の予算編成方針もきまるわけでございますし、国、地方一体となって政策を進めて参りませんと、有効な結果を生み出すことが困難でございますので、自治庁から地方団体に対して、やはり予算編成方針を示しておるわけでございます。その中では、特に地方選挙の年でもございますので、今御懸念になりましたようなことのないように特に注意をいたしたわけでございます。同時にまた三十四年度の地方財源の見通しにつきましても、このような形で税と交付税の増額を考えて予算を作るべきだという点についても、堅実な見方をした線で数字を示すというような態度をとったわけでございまして、多くの地方団体では、選挙の年でありますので、さしあたりむしろ骨格予算を組んでおいて、選挙後に追加予算を組みたいというふうなところがかなり多いようでございます。
  31. 北條秀一

    北條委員 最後に一つだけ、こういうことを聞いていいかどうかわかりませんが、政府において税制調査会を作られるということでありますから、むしろその税制調査会においてこの問題を、私は委員外から発言さしていただきたいと考えておるのでありますが、今非常に大きな問題になっておりますガソリン税の問題に関連いたしまして、軽油引取税の問題があるわけであります。もちろん政府としては、軽油引取税の問題を政府の既定方針通りやっていくと言われると思うのでありますが、今朝の新聞で、自由党の幹事長が、政府及び与党はさきの公約をこれで完全に果せたのだということを言われておるのであります。しかしながら、一体ガソリン税の問題については、昨年の一月の二十何日かと思いますがこれはむしろ青木国務大臣と論争した方がいいかと思うのであります。しかし青木国務大臣の補佐役としての黒金政務次官でありますから、あなたのお考えを聞きたいのでありますが、なるほど一応見た目は、政府与党は国民に対する公約を全部果したと強弁することができるかと思うのであります。ところが昨年の一月十何日かに、当時の自民党の政務調査会長の福田赳夫君は、ガソリン税の引き上げは絶対やらぬ、同時にまた軽油引取税の増税もやらないということを決定いたしまして、しかもその決定した決議案をわれわれに示しておる。こういうにとになると、自民党及び政府は公約というものと同時にまた内約——党内の約束ですね。私に言わせれば、公約であろうと内約であろうと、一国の政党が、しかも大政党が、政権を握っておるところの政党が、こうやるんだということをきめてそれを公表したからには、それをあくまでも堅持してやることが責任政治だと考える。ところが、責任政治でありながらそういった約束は全部捨ててしまって、一ぺんに軽油引取税を五割も引き上げるということは、地方の生業、文化に非常に大きな影響を与えることは当然であります。こういうことをやってはいかぬと思う。ことに自民党がいうように景気がようやくなべ底景気からはい上って、これから伸びようというときなんです。そういうときに、減税をすることはいいのでありますが、片方で軽油引取税を大幅に五割も引き上げるというようなことは、一体どうしてそういうふうに公約違反をやるのか。しかもしゃあしゃあとして、きょうの新聞では、公約を全部実行しているんだというに至っては、もはや批判する言葉がないのでありますが、このことについて、ガソリン税の引き上げをしないんだといった政調会の決議のことについて、黒金政務次官は御存じかどうか、お聞きしたい。従って、軽油引取税の問題については税制小委員会において私は発言することにいたしますが、今の点だけを一つお聞きして、私のきょうの質問を終りたいと思います。
  32. 黒金泰美

    黒金政府委員 私、不勉強のためかもしれませんが、昨年一月に政務調査会長がどういう声明をしたか存じておりません。ただ、この予算に関して公約を実現したとかりに申しておるとしますれば、それは党議として決定した公約を今度の予算に盛り込んだという意味だろうと思うのでありますが、昨年一月というのを私存じておらないものでありますから、ちょっと御答弁いたしかねるのであります。
  33. 北條秀一

    北條委員 それは政務調査会長が単独で公約したのでなしに、政務調査会内における決議なんです。ですから御存じなければやむを得ませんが、それならば一つあなたは党にお帰りになって調べていただいて、この次の税制小委員会において、なるほどこういうことがあったんだということだけは、はっきりして下さい。そうしなければ私どもは責任政治を進めていくわけにはいかないと思うのです。知らぬことはやむを得ませんが、知らぬからといってほっておかれては困る。税制小委員会までに一つ調べて、真相を明らかにしていただきたいと思います。
  34. 鈴木善幸

  35. 阪上安太郎

    ○阪上委員 私は、地方税国税との関係について御質問いたしたいと思います。  あなたの方からいただいております資料によりますと、国税地方税の割合は、ここ数年前までは国税が六、地方税が四というような割合が大体ずっと続けられてきております。それが昭和三十一年度あたりからだんだんと比率が変ってきております。それと同時に、租税における地方と国の実際使用しておる割合というものは、これまた今のものとは逆に変ってきておる。こういうようにこの表で見受けられるのです。昭和三十三年度の例をとりましても、御案内のように、実際に使用しておる地方の使用分というものは六三%になっておる。こういうような割合を考えて参りますると、実際地方にはそれだけのやらなければならぬ仕事があるので、当然それだけの財政というものが裏づけされなければならぬということをこれは明らかに物語っておると思います。この六三%の中には税の割合のほかに、御案内のように補助金、負担金の分とか、あるいは交付税の分とかが含まれておる。そのほかに直轄事業の差引の面が入っておると思います。こういった現実地方自治体がやる仕事の分量並びにそれに対応した財政措置というものが少くとも最低六三%以上になっておるということが考えられる。しかしながら、それが税の配分ではそういうようにはっきり現われてこない。こういうような変則の状態というものがだんだんと広がってきておりますので、その結果、国全体をながめてみました場合に、こういったいき方をいたしておりますと、何か行政全体が大きく二重行政をやっておるような感じが非常に強いのであります。このことは府県と市町村との関係においても同じことがいえるような状態になっております。これは大きく考えて参りますならば、非常に大きな行政のむだであるというふうに考えられれないことはない思うのであります。こういったことが将来このような状態で続けられていくということになりますと、これは大へんな問題じゃないかと私は思うのであります。地方自治体のその行政区域内で起っておるところのその問題、それを発生的にきわめて端的に取り上げていって、そうしてそれに対する財政措置をやっていくということになりますれば、こういう問題は起ってこない、こういうように私は見るのです。  そこで一つこの際お伺いいたしたいのは、国と地方との財源の適正な配分というものは一体どういう比率が現段階において考えられるか、こういったことについて一つ奥野局長からでもお伺いしたいと思います。
  36. 奧野誠亮

    奧野政府委員 御指摘になりましたように、国民の総租税負担が国民所得に対しましてたしか二〇・三か四ではなかったかと思います。そのうち地方団体自分の手で徴収して参りますものが三〇%、国が日本専売公社等も含めて自分の手で徴収して参りますものが七〇%。しかし、地方譲与税、地方交付税というような形で地方団体に参ります金が一六%でなかったかと思います。それから国庫補助負担金が一八%くらいであります。全体を合せまして地方団体の手に入って参りますものが六四%。地方自治というものを極端に考えて参りますならば、六四%分は地方団体自分の手で徴収すべきじゃないか、こういうことになるかもしれません。しかし、できる限り国民租税負担を有効に配分するという考え方に立って参りますと、全額地方交付税で埋めていけばよろしいじゃないか、こういうことも議論できるかもしれません。あるいはまた国の施策を徹底して行いますためには、ひもつきの国庫補助負担金を多額に出せばよろしいじゃないか、こういうことにもなってくるかもしれません。しかし、そういうことは、財源を与えなくてもよろしいところにまで財源を与えることになりまして、国の施策は徹底しましょうけれども国民負担を有効に使っていくという点については相当なマイナスになって参ると思うのでございます。一面には、地方自治立場を考えなければなりませんし、他面には、国の施策の徹底ということを考えなければなりませんし、さらにあわせまして国民負担を有効に配分していく、できる限り少い国民の負担で適切に事業分量を確保していくということについても配慮をめぐらさなければならないと思うのであります。そういういろんな角度がからみ合いまして現在のような姿になっているんだと思います。将来どこに重点を置いてものを考えていくか。多少地方自治の精神を無視しても国民負担を下げるのだという見地で考えていくということになりますならば、独立税のウエートが下って参りましょう。さらにまた、むしろ自治運営ということを重点に考えていくのだということになりますならば、国庫補助金をできるだけ少くしまして、それを交付税に振りかえるなり、さらにできますならば独立税に振りかえるなりの措置をとらなければならぬのじゃないか、こういうように思われるわけでございます。従いまして、どういう角度でものを考えていくかによってこのウエートの置き方が動いていく、ということになるのじゃなかろうか、こう思うわけでございます。地方自治を直視する者につきましては、むしろ独立税のウエートを高めたいのだ、こういう気持が強くあるわけでございますし、また国庫財政に関係する人たちにおきましては、むしろ独立税を譲与税なり交付税なりあるいは補助金に振りかえてでも国の施策の徹底をはかりたいという気持になってくるのも、またそういう立場があるからだ、こう思っているわけでございます。
  37. 阪上安太郎

    ○阪上委員 今の御答弁の中で、交付税及び譲与税等、調整財源的な役割を果しているものについてはお説の通りだと私思います。が、後段御答弁がありましたように、補助金、負担金等の問題あるいは国の直轄事業に対する府県等の負担、こういうものについてはやはり思い切って整理していく必要があるのじゃないかと私は思うのであります。そういうことが、先ほど私の言った二重行政的な傾向を持った欠陥であり、そのことによってまたかなり多くの国民負担となるべきむだが出てきているのじゃないか、こういうことを私申し上げてみたいのであります。この点につきましては、答弁の方が先にいってしまったので、質問あとからということになるのでありますけれども、そういったものも含めて交付税の中に織り込んでしまうというような行き方をこの際思い切ってとる必要があるのじゃないか。こういった補助金、負担金につながる問題は、過般問題になっておりました、最近ことに顕著に現われておりますところの、自治体におけるいろいろな不正な行為にもつながっていくのじゃないかというふうに私は疑いを持っております。でありますので、そういったことについて、もういつまでものんべんだらりとこのままの状態で放置しないで、思い切ってそういった税に振りかえ、交付税等に振りかえていく措置を自治庁としてはとられるべきじゃないかと私は思うのでありますが、この点についてさらに政務次官から所見をお伺いいたしておきます。
  38. 黒金泰美

    黒金政府委員 一番の根本は、地方の事務と国の事務の分担の問題ではないかと思います。地方制度調査会その他の御意見も伺いまして、だんだんに改善はいたしておりますけれども、しかしまだ御指摘のような点が多分に残っておるかと思います。この点については十分な検討を遂げて参りたい。また先ほどお話が出ましたそれに対する財源の問題でもございますが、御承知の通りに、やはり税収の一番の基本は所得課税に今重点を置いております。所得税なり法人税なりあるいは税の大きな収入源である酒の税金、こういうものを加えて見て参ります際に、非常に地方的な偏在がございます。私どもの記憶で誤まりがなければ、十一、二の国税局がございますが、東京、大阪、名古屋だけで約三分の二の税収を占めておる。こういうような事態にございますので、やはり独立財源を与えようといたしましてもなかなかそううまく参りません。今、どちらかと申せば理論的に割り切れない妥協案をとっておるようにお見受けになるかもしれませんが、やはりある程度の独立税に加えて、国からの交付税、譲与税というもので補完をしていくという方向をもう少し合理的に改善をはかっていく。こんな方向をたどっていくのじゃないか、こんなふうに考えております。
  39. 阪上安太郎

    ○阪上委員 そういう御答弁になるだろうと私は予期しておりましたけれども、一体どうなのでございましょうか、行政事務の再配分ないし地方制度の問題、こういうものが解決されなければ、いつまでたっても現行のこういう地方税法なりあるいは財政計画なりで進められていく、一体いつ結論が出るかということだろうと思います。今までの地方制度調査会の経緯をながめて見ましても、これが具体的に盛り上って、実際に改正を加えていくということになるまでの間、相当の日月を要するのじゃないかと思うのです。この場合、いつもこういった問題について、逃げ口上という語弊がありますが、何かこういう行政事務の再配分なり、あるいは地方税なり、あるいは一三、四府県の統合なりという一つの制度が成り立たない限りは、それに対しては財政措置を具体的につけることができないので、現行のままでやっていくというようなことをよく言われるのでありますが、こういった状態をいつまでも放置しておくということは適当じゃないだろう、私は重ねて申し上げたいのです。そこで現行の制度のままで、現実租税のうち六三%というものは地方で使っておるのです。これが譲与税の形なり、交付税の形なり、特に交付税の格好においては積み重ね方式などはとられておりませんから、従って六三%というものは実際に地方に必要なところのあらゆる行政経費としての最低のものじゃないかというふうにもわれわれ考えられるのです。そうして押えておりますので、地方ではいろいろと自己財源を獲得したいために、まことに遺憾なことでありますけれども、過般来具体的にああいう問題が出てきておる。でありますので、私はこの際自治庁として、あるいは政府として、現行の状態のまま、事務配分のままで、一つ思い切った国税地方税との再配分をやるというようなお考えで進めていただくことが必要であろうと思います。しつこいようですが、もう一度この点についてお伺いしたい。
  40. 黒金泰美

    黒金政府委員 私は先ほど申し上げましたように、非常に財源関係が偏在をいたしておりますので、今かりに国税の大宗である所得税なり、あるいは法人税なり、酒税なりを地方税の方に持って参りましても、非常な不均衡ができてくる。やはり今のような建前を基本にいたしまして、交付税なり、譲与税なり、そういう補完的なもので設備、施設の改善をやっていく。決して現状をこのままいいとは思っておりませんけれども、しかし、やはり今大規模激変をすることはなかなか困難じゃないか。やはり現状に即しまして漸次に改善をはかっていくのがいいのじゃないか、今提案申し上げております地方交付税法改正におきましても、これで不十分とおぼしめすかもしれませんが、しかし今までよりはこれでもよほど改善をはかっておるのでありまして、こういうふうに逐次改善をはかっていく、あまり激変は避けるべきじゃないか、かように考えております。
  41. 阪上安太郎

    ○阪上委員 おっしゃる意味はわからぬでもありませんが、激変を避けるという考え方のもとに小手先、小細工の税制改正を続けておるということは、税制全般から見て大きな欠陥をもたらしつつあるんじゃないかというふうにも考えられないことはないと思います。そういう意味で、私はこれは希望としてこの機会に申し上げておきますが、もうぼつぼつ思い切って全体をにらんだ国と地方との配分の問題を、一つ現段階においてお考えいただくということが必要ではないかと思うのです。  そこで先ほど奥野さんに私申し上げたのですが、これは私自身もよくわからないのですが、一体諸外国でこの割合というものはどうなっておりますか。いろいろ国情により政体によって違ってくると思うのですが、諸外国でのこういった地方と国との配分、これは直ちに参考になるとはいえませんけれども、一つのめどを置くことはできると思うのですが、どのくらいになっておりますか。例がありましたら一つお示しを願いたい。
  42. 奧野誠亮

    奧野政府委員 御承知のように、事務分配が国によって非常に違っております。同時にまた国によりまして歳出内容にも非常な違いがございます。従いまして、たとえばアメリカ合衆国をとって考えますと、国の軍事的な経費が非常に大きな割合を占めておりますので、地方の方のウエートがうんと下っております。反面、また西独をとりますと、聯邦組織で、邦が所得税や法人税を徴収して、国へ逆に納付するというやり方をとっておりますので、地方税のウエートが非常に高いわけでございます。ただそういう意味で、国と地方とがどちらで徴収したにしても、財源をどう使っていくかというふうなことで考えて参りますと、日本は六四%も使っておるわけでございまして、ちょっと珍しい例だ、こう思っているわけであります。
  43. 中井徳次郎

    ○中井(徳)委員 ちょっと今のに関連してお尋ねいたしたいのでありますが、政府は税制の問題について大改正をするために委員会をお作りになるというようなことが新聞に出ておりました。三十四年度の予算の編成を終りましてからすぐそういう声明を出しているように私は記憶しておりますが、その税制大改正委員会のようなものをお作りになるのですか、どうですか、それを伺いたい。
  44. 黒金泰美

    黒金政府委員 今別途お願いしております法案で、政府調査会を設けたい。その大体の問題といたしましては、今御指摘になりました国と地方との関係租税体系の双方を通じました問題、また国税の中におきましては、間接税、消費税と流通課税との関係、あるいは直接税の中での企業課税と申しましょうか、こんなような問題を主として取り上げたい、このように考えておりますので、今後三年間の期間のうちに根本的な調査を行なって参りたい、かように考えております。
  45. 中井徳次郎

    ○中井(徳)委員 その法案は、今大蔵委員会ですか、どこですか。
  46. 黒金泰美

    黒金政府委員 内閣委員会でございます。
  47. 中井徳次郎

    ○中井(徳)委員 今、阪上委員からの質問で私は強く打たれました。ここ十数年来地方財政権ということで今日に至った。また何といいましても、国の財政と地方の財政との比較において、地方が非常に窮屈であるということは今や定説になっているわけであります。そのことについては九千万全国民が否定しないという段階にきておるわけであります。そういうことになって数年、現実にはなかなか行われぬ。ただ単にこれは地方行政委員会のエゴイスティックな意見ではないのでありまして、全国民意見だと私は思いますが、それが実際に行われておりません。そういたしまして、私どもはなはだ微力でありますが、努力をいたしましてもなかなかうまく参らない。これはどういうことなんでしょうか。やはり力関係なんでしょうかね。そこでそういうふうな税制について大変革があるというときに際して、自治庁としてはどういう決心をしておられるのか。戦前の日本の、まだ地方分権といわれて知事が官選の時代のあの予算においてさえ、たしか昭和六年から八年にかけましては、国の予算を一〇〇とすると地方予算においては一二五であった。去年は国の予算地方財政計画比較いたしますと、地方財政計画の方が少し出たということでありましたが、ことしはまた逆になっておる。そういう比較は、さっき事務配分のお話もいろいろあったが、阪上委員の御意見の中で私は傾聴すべきものがあると思う。従って、あまり台所がつらいから町村を合併したら少し浮きはせんかというので、あのときはたしか四百億という計算であります。当時の小林行政局長ですか、四百億浮かしますと言っておったが、実際はあまり減らなかった。また府県の問題にいたしましても、道州制の問題、こういうことについて私も地方制度調査会委員の一人といたしましていろいろ議論をいたしました。われわれの主張としては、そういうことのないように事務の配分ができないか、財源の配分ができないかということを言いました。しかし答申といたしまして、一応地方制度ですか、道州制というものが答申されていますが、それじゃ政府がそれをさっそく強力に推進をするかといえば、これは現実にできないです。秋山市から県庁をとれ、青森市から県庁をとって、北海道行の鉄道はトンネルでやっちゃえというようなことになりますと、青森市はどこかへ行ってしまう。大へんな問題だというので、現実の問題としてそれはなかなか今のような岸内閣ではできない。こういうことになりますと、理屈はあっても、これからやはり現状においてどうするかというこの一点にしぼって政府として真剣に考えてもらいたい。現状はどうだ、国家事務は国がやるんだなんて言ったって、大体何が国家事務か。国道は国家事務であって県道は府県の事務だ、そんなばかなことはないのです。国家事務と地方事務といったって区別はできないのです。そこで議論はいろいろあろうけれども、現状においてどうするかということを、私どもどうしても真剣にこの際考えてもらいたいと思うのだが、その政府の今度やろうという税制の調査ですか、その内容についてはつまびらかにしませんけれども、どういう構想で、そうして地方税関係のものはどういう形で入っていくのか、これを参考までに伺っておきたいと思います。
  48. 金丸三郎

    金丸政府委員 ただいま政務次官から申し上げましたように、また昨年地方制度調査会並びに税制懇談会の答申や意見等に出ておりましたように、先ほど阪上委員、中井委員からの御質問の中にも述べられておりました通り、やはり現在の国税地方税を通じまして相当に考え直すべき段階に来ておるのではないか、こういうことから調査会を設置することになったわけでございます。私どもも基本的にはできるだけ地方の自主財源をふやす、こういう方向で研究を進めたい、かように考えております。これは地方自治立場だけでなく、先ほど分析してお述べになりました通り、実際に地方に行なっておる事務——それを金額の面から申しまして国と地方の実質的な支出から見た事務と申しましょうかを見てみますと、歳入歳出関係では逆になっておるわけでございます。従いまして、できるだけ地方の自主的な財源を伸ばすという見地で国税地方税の配分を考えて参りたい、かように考ておる次第でございます。ただその基本になる事務の配分でございますけれども、今回設けようとしておるのは税制調査会でございますから、ここで事務の配分まで立ち入るわけには参らないかと思います。これは別途研究をして参りたい、かように考えておる次第でございます。なお、財政税制の問題と行政の問題とは不可分でございますので、そういう問題については地方制度調査会においても御審議をいただきまして、もう少し安定した税、今後の地方の事務のあり方に伴いまして、できるだけ弾力性や伸張性もあり、かつまた自治団体に普遍的な税源を地方の方に持っていくようにいたしたい、かように考えておる次第でございます。ただ、直接税と間接税の問題にいたしましても、また企業課税一つをとってみましても、法人税から地方では法人事業税、あるいは償却資産等にまで関連をいたしまして、これは相当大がかりと申しましょうか、腰を据えて取りかからなければならない問題でございますので、私どもといたしましても、できるだけ基本的な考え方を固めつつ、おそらく今年じゅうに結論が出るというわけには参らないかと思いますけれども、将来のことを考えて、できるだけ毎年々々いじらないで済むような安定した地方税制に持っていくようにいたしたい、かように考えておる次第でございます。
  49. 中井徳次郎

    ○中井(徳)委員 僕の質問に答えてないじゃないか。僕は今度できる委員会内容を聞いているのです。そうして、そういう法律案政府からお出しになったときに、自治庁に合議があったでしょう。自治庁はどういう注文をつけられて、どういう形で地方税国税との関係をやるんだ、こういうことを僕は聞いているんです。そういうことについてはそこまで研究してないのですか。主管は大蔵省でしょうが、大蔵省から米たらそれでオーケーで内容は考えてない、こういうのですか。その辺のところを伺いたい。     〔委員長退席、纐纈委員代理着席〕
  50. 金丸三郎

    金丸政府委員 調査会は内閣の所管でございまして、国税大蔵省地方税は私どもの方で、お互いに一緒にやっていくことになっておるわけでございます。ただ基本的な方向を私は申し上げたのでございますが、企業課税にいたしましても、これを具体的にどういうふうにするか、そういう具体的な点はまだきまっておりません。今後十分に研究をしていこうということになっておる次第でございます。
  51. 中井徳次郎

    ○中井(徳)委員 先ほどから私伺ってていて、確かに東京、大阪、名古屋等に税源が偏在しているのは、こういうふうな政府でありますし、こういうふうな産業振興のやり方でありますから、そうなるのが当然でありますが、ただ所得税というふうなものと、それから消費税的な酒とかたばことかいうものについては、偏在というても相当その間に隔たりがある。実際酒やたばこにも最近——さっき黒金政務次官が言われたごとく大都市に偏重しておるのであるか、人口比率との工合などについてはどんなものですか。たとえば東京は八百万、鹿児島が二百万とするならば、酒の税金が鹿児島が東京の四分の一というのならば比例していますね。しかし十六分の一というのならば約半額ということですが、そういう程度についてちょっと参考までに私は伺っておきたい。
  52. 黒金泰美

    黒金政府委員 酒は国税の方でございますので今すぐ資料はないかと思いますが、酒はどちらかと申しますとこれは庫出でかけております製造場課税でありますから、必ずしも消費地とすぐに連絡はございません。たばこの方につきましてはこちらの所管でございますから、数字をもって御説明申し上げます。
  53. 大村襄治

    ○大村説明員 ただいまの御質問のたばこ消費税の府県別の状況でございますが、かりに東京都の例について申し上げますと、人口の千分比におきましては、昭和三十一年度において全国を一〇〇〇としました場合に東京は九一でございます。これに対しましてたばこ消費税の収入の状況は、これも同じく三十一年でございますが一四七と相なっております。それを同様に比較しまして、かりに鹿児島県の例を見ますると、人口では二三、たばこ消費税の収入額におきましては一五、そういう状況に相なっております。
  54. 中井徳次郎

    ○中井(徳)委員 それでは相当の開きはあるにいたしましても、所得税や何かの比率と比較してみますと、そう大したことがないということがいえると私は思うのですが、いかがでしょうか。
  55. 黒金泰美

    黒金政府委員 所得課税——所得税、法人税ほどの開きはないように存じます。
  56. 阪上安太郎

    ○阪上委員 先ほど奥野さんの答弁によりまして、諸外国の例が国体、政体等が違うので必ずしも基準にならぬ、これはごもっともだと思います。私は、前回二回目に西ドイツの方へ参りまして、ちょっと興味があったものですから税の関係を調べてきたのですが、率直に言うて向うは消費税は全部国税に回してしまっておる。こういうきわめて端的なはっきりしたものであります。わが国では、あなたの方から出ておる資料によりますと、直接税と間接税との割合が、現在では五八・四と三八・二くらいになっている。そのほかに三・四くらいのものがあるということなのですが、何かこういったものを、はっきりしたもので地方税制を改正していくというようなものの考え方が必要でなかろうかと私は思うのです。先ほど小出しにちょびちょびいじると、こういう結果が出るということを申し上げましたが、今回の改正によりましても、たとえば固定資産税税率の引き下げ、こういうような問題などがやっぱり考えられておるのであります。地方税としては非常に伸びのある、一番有力な税財源じゃないかと私は思うのですけれども、そういった他のいかなるものよりも伸びがあるもの、しかも自治庁としては、将来できる限り独立財源によって地方財政を安定していこうということを考えておる段階において、やはりこういったものが小出しにさわられる関係上、その結果伸びのあるものが非常に伸び悩んでしまうというような状態に置かれておるということも、私は一つの例じゃないかと思います。この場合、何か小出しにさわらないで、もっと思い切ってやっていく。税からいうと、直接税と間接税あたりをぱっと割ってしまって、一つは国税で一つは地方税、こういうような方向に持っていくというようなことも私は考えられるのじゃないかと思います。そんな考え方というものは少し無理があるのでしょうか、一つ伺っておきたいと思います。
  57. 奧野誠亮

    奧野政府委員 どちらかといいますと、従来から直接税は地方税がよろしいという考え方をとっておるわけであります。特に戦前におきまして関接税が地方税の中に占める割合は全く微々たるものでありまして、数%あるなしの問題でございましたが、戦後地方財源を非常に多量に必要とするようになってきたということもございまして、たしか現在は地方税総額の中で間接税が二十数%を占めるようになっていると思います。地方自治ということを非常に厳格に考えて参りますと、身近に直接に負担を感じて金を出してもらう。そういうことを通じて自治運営に深い関心を持ってもらいながら、みんなが知恵をしぼり合って自治を推進していくのだ、こういう態勢を期待したい。これが従来からの考え方であったと思うのでございます。しかし、それだけでは普遍的に財源が得られませんという事情と、いま一つは、直接税のウエートがかなり高いものですから、どちらかといいますと、地方財源をふやします場合に、間接税に財源を求めていこうというようになって参った結果が、現在のような姿になっているのだ、かように考えておるわけでございます。     〔纐纈委員長代理退席、委員長着席〕  この事実をどうしていくかということが一つの問題でございましょうけれども、必ずしも全部直接税を地方税に持っていかなければならないという考え方をする必要もないのじゃないか、こう思っておるわけでございます。
  58. 阪上安太郎

    ○阪上委員 非常にくどいようですが、私はこれが非常に小刻みにさわられていくことについて、実はかんにさわっておるのです。こんなことをいつまでもやっておってはほんとうにたまったものではない、こういう感じが強いのです。そこでこういう考え方が続けられていくことになりますと、先刻も申しましたように、一つはやはり二重行政の弊が出てくる。吸い上げ分配方式といいますか、そんなものをやっておるとロスが出てくるということが考えられると思うのであります。直接に発生したところへ与えてやればいいものを、一たん中央に取り上げてきて、またそこに戻していく。ちょうど水道のパイプを延長するようなものだと私は思うのであります。確かに行政的なむだが出てくる、こういうことが一つ考えられます。  それからもう一つは、補助金、負担金制度より生じて参りますところの最近のものは、実にみにくい陳情状態、陳情経費といいますか、こういうものの増高だ。あるいはそれに伴うところの不正等がなきにしもあらず。また不公平分配というようなことも考えられると私は思います。率直にいって、不公平分配があろうかと私は思うのであります。こういったことを考えて参りますと、これなどもやはり少し考えを改めていかなければいけないのじゃないか。  もう一つ大事なことは、こういう行き方で——譲与税なり、交付税はやむを得ませんけれども、そういったものが財政的にはやはり中央集権的な権力に肩がわりしていって、そのことによって地方自治が侵害されていくという結果は必ず起ってくるだろう。こういったことも十二分に警戒しなければならぬと思います。そのほかに税外負担、これがこういう行き方をやっておりますと、かなり増高するのではないか、こういうように思います。はっきりした税財源を持って仕事をやっておりますれば、そういうことはないのでありますけれども、できるだけ過大に評価されて、税収なども財政収入の面においてはかなり大きく見積られていくということになりますと、勢い地方自治体としては、その欠陥を自分の財政に適合せしめるために、必ずそこに望んではならないところの税外負担というものに期待をかけていく。そしてそれがだんだん増高していくというような結果になることは火を見るよりも明らかであります。こういった点も十二分に考えなければならぬと私は思います。また自己財源確保のための、先ほど言いましたような工場誘致に伴う、あるいは住宅誘致に伴うところのいろいろな不正流用というようなものが出てくるのではないか。最近地方自治体における非常に残念な現象、あれの大部分の原因をなしているのは人にありましょうけれども、それ以外にやはり考えなければならぬ大きな原因をなしているのは、こういった財源の国と地方との配分を誤まっているがために、ああいった問題が自然発生的にやむを得ず出てくる面も見のがしてはならない。かように考えるわけでありまして、この点につきまして、政府の方では、いや、お前はそう言うけれども、そういうようには考えられないということでございますれば、一つ御答弁を承わりたい、かように存じます。
  59. 黒金泰美

    黒金政府委員 ただいま御意見を拝聴いたしまして、確かにそういう弊害も多いかと存じます。ただ先ほど来申し上げておりますように、地方団体の中にも財源の関係いろいろございまして、たとえば今おっしゃったような直接税は国に持っていく、あるいは間接税は国に持っていく、あるいは片方の方に他の税収をまとめてしまう、なかなかそう簡単に割り切るわけにはいかないと思います。私は率直に申し上げまして、これは私見にわたるかもしれませんけれども、やはりある程度なじんでおります制度を、そう急に根本的に改正して激変をさせることがいいか悪いか、こういう点も私は非常に疑義を感じている一人でございます。従いまして、今おっしゃる点、ごもっともな点も非常に多いのでありますが、そういう方向に向いまして漸進的に改善をしていくべきではないか、こんな考えを私はとっておるわけであります。
  60. 阪上安太郎

    ○阪上委員 次にちょっとこまかくなりますが、伺っておきたいと思います。現在では、たしか税制懇談会というものがあって、それから地方制度調査会の中に税関係部門があると思うのです。あの税制懇談会というのは、一体自治庁とはどういう関係にあるのでございますか、ちょっと伺っておきたいと思います。
  61. 金丸三郎

    金丸政府委員 税制懇談会は、昨年十二月の初めにいわゆる意見が総理大臣に提出されまして、それで任務を終了いたしたわけでございます。このときには内閣で庶務を扱うことになりまして、先ほど申しました税制調査会と同じように、国税関係では実質上の庶務を大蔵省が行い、地方税関係では実質上の庶務は自治庁が行う、こういう関係にございました。
  62. 阪上安太郎

    ○阪上委員 そうすると、地方税に関しては、地方制度調査会の方を自治庁としては優位に取り扱う、こういうことになるのですか。
  63. 金丸三郎

    金丸政府委員 優位と申しましょうか、地方制度調査会法律上の恒久的な諮問機関でございまして、税制懇談会はそういうものではなかったわけでありますが、税制懇談会の方は税だけを扱う機関であり、地方制度調査会は行財政全般からそれを検討するという機関の違いがございますので、優先というようなことはどういうふうに申し上げたらよろしゅうございましょうか、それぞれの機関としての使命と根拠が違っておった、こういうことではなかろうかと考える次第でございます。
  64. 阪上安太郎

    ○阪上委員 次に、今回の改正税法関係との関連があるのでございますが、まず伺っておきたいのは、昭和三十三年度の当初の税の見込額でありますけれども、これと自然増とを見込まれたところのその後の額とがあまりに大きな見込み違いになっておるのです。地方財政計画では決算との間に見込み違いが出てくることはもちろん当然でございましょうけどれも、いろいろな要素が重なっておりますが、この税の場合に、これだけ見込み違いがあってしかるべきものかどうか。しかも当初においては、昨年度税制改正も含まれて計算されたものだと私は思うのですけどれも、何か私ども考え方は間違っておるでしょうか、一つ伺っておきたいと思います。
  65. 金丸三郎

    金丸政府委員 昭和三十三年度におきましては、当初の見込みと三十三年度内に府県税、市町村税を通じましてなお徴収し得るであろうという金額との開きが約百億でございます。すなわち当初と年度内徴収の見込みの額が百億でございます。数年前には、実際の当初の見込みと、いわゆる神武景気の際にはたしか五百数十億の違いがあったろうかと思うのでございます。できるだけその違いが少いことがよろしいわけでございますけどれも、やはり税の見込みを立てますのは、御承知のようにその前年度でございまして、経済企画庁の成長率でございますとか、企業の投資状況あるいは雇用率、失業の状況でございますとか、いろいろなデータを基礎にして、前年度に、国税関係とあわせて見積りをいたします関係から、やはり若干の違いは出て参ります。また、こういうことを申し上げてよろしいかどうかわかりませんけどれも、私ども立場といたしましては、できるだけ確実な因子をとろうといたしております。あるいは若干伸びるかもしれないと思いましても、よほど確実な資料がございません限りは、歳入の欠陥になりますのをおそれます上から、できるだけ確実な資料をとろうといたしておりますので、やはり若干の伸びは出て参る、こういうことに相なるのではないかと思うのでございます。三十三年度は、当初相当に景気が悪いと思っておりましたのが、雇用率が案外にございましたり、投資の伸びがありましたりというようなことから、約百億程度当初よりも多いような見込みになった次第でございます。
  66. 阪上安太郎

    ○阪上委員 三百八十四億ほど伸びておるように思うのですが、そうじゃないのですか。
  67. 金丸三郎

    金丸政府委員 私、ただいま申し上げましたのは、ご質問が三十三年度との関係のよう受け取りましたので、上三十三年度の地方税の見積りの金額と当初の見積りの金額とをただいま提出申し上げております。三十三年度の最終徴収額の見積りとの開きが約百億、こういうふうにお答えを申し上げたわけでございます。
  68. 阪上安太郎

    ○阪上委員 もう一つ最後に伺っておきますが、ここにあります固定資産税の制限税率の引き下げによる減税額の六億円、それから法定外普通税としてのこの三億円程度の減収の見込み、それから先ほど言いました税外負担、こういったものを今後どういうふうに扱われていくのか、これは財政計画的なものですから、奥野さんから伺いたいと思います。
  69. 奧野誠亮

    奧野政府委員 税外負担の種類はいろいろあろうかと思います。特に割当寄付金のようなものは、国民の負担の合理化をはばむものでありますので、できるだけ避けていきたいと思います。先ほど質問を伺っておって、特に私も感じておったことでございますけれども、やはり地方財政を考えます場合に非常に大切な問題は、一つは国費と府県費と市町村費の負担をはっきりさせて、きめられたものを正確に守っていく、そして財政秩序に筋金を通す、それが非常に私は大切なことだと思います。国費で申しますと、超過負担の予想されるような金の出し方をしてもらいたくない。府県費について申しますと、本来府県が全額背負い込まなければならないものを市町村にしわ寄せることは避けてもらいたい。市町村が本来税収でまかなうものを、割当寄付金を住民に押しつけていくことは避けてもらいたい。そして国民の負担をほんとうに合理的にし、また財政負担も必然的に合理的なものにしていくことが必要なことではなかろうかと思っております。それにあわせまして、できるだけ府県や市町村に責任を持たせるような方向において、国も財政を考えてもらいたいし、また府県も市町村もその気持で財政を運営していくことが大切なことではなかろうか、こういうような考えでおったわけであります。税外負担の改正につきましては、そういう二つの道を通じて、できる限り努力をしていかなければならぬと考えているわけでございます。
  70. 金丸三郎

    金丸政府委員 固定資産税の制限税率の引き下げに伴います約六億の減収は、明年度におきましては起債によって措置をいたしまして、三十五年度以降におきまして、その元利償還に要します費用を国から交付するようにいたしたいと考えております。三十五年度以降につきましては、私どもはできるだけもっと本質に近いと申しましょうか、そういう措置でいたしたいと考えている次第でございます。法定外普通税の整理約三億を期待をいたしておるわけでございますが、これは総合的な府県、市町村の財政の増強をはかることによりまして、できるだけそのような負担を住民が負担いたさないで済むような地方財政計画並びに府県や市町村の財政の運営によって実現をして参りたい、かように考えている次第でございます。
  71. 鈴木善幸

    鈴木委員長 地方税三法に関する残余の総括的質疑は、明日以降の委員会においてこれを行うことといたします。     —————————————
  72. 鈴木善幸

    鈴木委員長 この際お諮りいたします。理事会の申し合せによりまして、目下審査中の地方税関係法律案の審査のため、本委員会に小委員十一名よりなる地方税法等改正に関する小委員会を設置することとし、その小委員及び小委員長の選任につきましては、先例によりまして委員長の指名に御一任を願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  73. 鈴木善幸

    鈴木委員長 御異議なしと認めます。よってそのように決しました。  それでは小委員に       天野 光晴君    亀山 孝一君       纐纈 彌三君    津島 文治君       渡海元三郎君    丹羽喬四郎君       吉田 重延君    佐野 憲治君       阪上安太郎君    中井徳次郎君       安井 吉典君を指名いたします。  また小委員長には渡海元三郎君を指名いたします。  なお、ただいま指名いたしました小委員長及び小委員につきまして、委員の異動等に伴いその補欠選任を行う必要が生じました場合におきましては、そのつど委員会に諮ることなく、委員長において指名することができまするよう御一任を願っておきたいと存じますが、これに御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  74. 鈴木善幸

    鈴木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  本日は、これにて散会いたします。     午後零時四十九分散会