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1959-02-26 第31回国会 衆議院 地方行政委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年二月二十六日(木曜日)     午前十一時三分開議  出席委員    委員長 鈴木 善幸君    理事 亀山 孝一君 理事 纐纈 彌三君    理事 渡海元三郎君 理事 丹羽喬四郎君    理事 吉田 重延君 理事 阪上安太郎君    理事 門司  亮君 理事 安井 吉典君       相川 勝六君    天野 光晴君       飯塚 定輔君    加藤 精三君       金子 岩三君    津島 文治君       富田 健治君    山崎  巖君       太田 一夫君    加賀田 進君       佐野 憲治君    下平 正一君       北條 秀一君    矢尾喜三郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣 青木  正君  出席政府委員         国家消防本部長 鈴木 琢二君         総理府事務官         (国家消防本部         総務課長)   横山 和夫君         総理府事務官         (自治庁行政局         長)      藤井 貞夫君         総理府事務官         (自治庁税務局         長)      金丸 三郎君  委員外出席者         大蔵事務官         (管財局管理課         長)      三浦 道義君     ————————————— 二月一十六日  委員天野光晴辞任につき、その補欠として野  澤清人君が議長指名委員に選任された。 同日  委員野澤清人辞任につき、その補欠として天  野光晴君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 二月二十五日  地方自治法の一部を改正する法律案内閣提出  第一三四号)(参議院送付)     ————————————— 本日の会議に付した案件  国有提供施設等所在市町村助成交付金に関する  法律の一部を改正する法律案内閣提出第七四  号)  地方自治法の一部を改正する法律案内閣提出  第一三四号)(参議院送付)  消防組織法の一部を改正する法律案内閣提出  第一一八号)      ————◇—————
  2. 鈴木善幸

    鈴木委員長 これより会議開きます。  昨二十五日本付託になりました地方自治法の一部を改正する法律案議題とし、政府より提案理由説明を求めます。国務大臣青木正君。
  3. 青木正

    青木国務大臣 ただいま議題となりました地方自治法の一部を改正する法律案提案理由とその要旨を御説明申し上げます。  現行地方自治法においては、国と都道府県の聞及び都道府県相互間にあっては、退職年金制度上その基礎となる在職期間通算することとなっておりますが、この際、市町村立日制高等学校教員等についても、恩給並びに都道府県及び市町村退職年金及び退職一時金の基礎となるべき在職期間通算措置を講じようとするものであります。  現行地方自治法規定によりますと、都道府県退職年金条例適用を受ける市町村立義務教育学校教職員及び市町村立定時制高等学校教職員につきましては、国と都道府県との間及び都道府県相互間は在職期間通算されることになっているのでありますが、市町村退職年金条例適用を受ける市町付立の大学、全日制の高等学校及び幼稚園の教員並びに市町村教育事務に従事する職員等につきましては、市町村一般職員の場合と同様に、都道府県市町村との間及び市町村相互間は在職期間通算措置をするように努めなければならない旨の規定があり、通算措置を講ずるかどうかは、都道府県及び市町村の自主的な判断にゆだねられているのであります。  このように、市町村退職年金条例適用を受ける者について、強制通算措置を講じなかったのは、都道府県退職年金制度恩給法に準じて統一されているのに対し、市町村退職年金制度は国及び都道府県制度と比較して、内容において相当の相違が見られ、在職期間通算に伴う調整が技術的に困難があったからであります。しかしながら、全日制高校職員等についてこのような取扱いとすることは都道府県市町村相互間に人事交流の必要が強い教育職員取扱いとしては適当でないばかりでなく、義務教育職員及び定時制高校職員との均衡の点においても適当ではないと考えられ、その是正について、各方面から要望されていたところであります。政府としてもその取扱について慎重に検討を続けて参ったのでありますが、ここに成案を得ましたので、地方自治法の一部を改正し、市町村立の全日制高等学校教員等につきまして、市町村教育職員としての在職期間を、その市町村教職員適用される退職年金条例規定恩給法に準ずるような基準に従って定められている場合には、義務教育職員の場合と同様に在職期間通算措置を講じなければならないものとしようとするものであります。  以上が、この法律案提案理由及びその要旨であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  4. 鈴木善幸

    鈴木委員長 次に、国有提供施設等所在市町村助成交付金に関する法律の一部を改正する法律案議題として審査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。門司亮君。
  5. 門司亮

    門司委員 ちょっと聞いておきますが、大蔵省管財の方は見えておりますか。
  6. 鈴木善幸

    鈴木委員長 三浦管理課長がお見えになっております。
  7. 門司亮

    門司委員 ちょっとお聞きをしておきたいのですが、この国有資産国有提供施設の所在地の交付金の問題ですが、御承知のようにこれのできた経緯は、一方において国有資産等固定資産税の問題が出て参りまして、そういうものとの均衡を保つ上の市町村財政関係から出てきたものである。こういう経緯を持っておりますので、できるだけ価格等評価といいますか、査定については厳正にすることが望ましいことだと思う。昨年来の状態を見ておりますと、大蔵省管財で定めた価格というものは、非常にでこぼこがあって、必ずしも実情に沿っていないようなものがたくさんあると思います。こういうものについての是正は、自治庁の方にお伺いすると、ことしは何か改めてはっきりしたものにするというお話ですが、大蔵省側意見はどうなんですか。ことしどういう処置をとって公平を期せられるという方針が定められておるのか、その点を一つ伺っておきたいと思います。
  8. 三浦道義

    三浦説明員 私、国有財産台帳関係に携わっておりますが、国有財産台帳価格が、提供施設所在市町村交付金基礎として定められております国有財産台帳価格は、初めどういうふうに定められて、何を基礎に定められておるかということを最初にまず申し上げたいと思います。台帳価格は、原則といたしまして、その財産取得いたしました場合の価格を、そのまま価格として登載するという建前になっております。すなわち、買収いたしました場合は買収の価格、あるいは交換によって取得いたしました場合は交換価格租税物納等によって取得した場合でしたら収納価格、あるいは収用による場合でしたら補償価格といったそれぞれの取得時における価格によって台帳価格がきめられておるわけでございます。従いまして、かりに非常に古い年度取得いたしましたものでございますと、現在の実際の価格から見ますと、非常に開きがあるという実情にあることはいなめないところでございます。その場合におきましても、土地と、その他たとえば建物工作物の場合では、その開きにおきまして若干異なる点がございます。いずれにいたしましても、昔から台帳に登載されております価格というものが、そのまま現在も続けられております限りは、実際の価格と遊離しているということは避けがたいことでございます。しかしながら、それに伴いますいろいろな不合理が発見されましたので、これに対しましてはある程度時価を参酌いたしまして、もう少し実際的な価格に改むべきであるという意見になりましたので、昭和三十一年三月三十一日現在をもちまして、価格改定という措置を初めてとった次第でございまして、この場合の定めといたしましては、国有財産台帳価格の改訂は、自今五カ年目ごとにこれを行うということになっておりますから、次の価格改定が行われます時期は、昭和三十六年三月三十一日現在におけるそれであるということに相なるわけでございます。  ところで、三十一年——三十年度末でございますが——におきまして価格改定を行いました場合の考え方、やり方を簡単に申し上げます。大体土地の場合でございますと、土地に関する価格の指数といったようなものが、信憑性のあるものがございます。それを地域別あるいは土地の宅地、田畑その他による種目別によりまして、それぞれの地域に妥当と認められます倍率というものを決定いたしまして、それによって一律に価格修正を行なったわけでございます。もちろん取得年産ごと倍率が異なっておるわけでございます。それから建物工作物におきましては、地域別の差は考えませんが、少くとも建物等の構造によりまして、例年償却の率あるいは残存率というものが異なるので、それぞれ種類に従いまして倍率というものを決定いたしまして、これによって当初の価格修正するという措置をとって参ったわけでございます。  一応ただいま申し上げましたように、三十年度末におきまして、少くとも当時の時価にやや近いところに台帳価格というものが歩み寄ったという形ができておったわけでございます。その後、具体的の個々事例に当ってみますと、いわゆる時価と必ずしも権衡がとれていないという事例が見受けられるようになったわけではございます。特に本国有提供施設等交付金に関しまして、その著しい事例がたびたび指摘せられるようになった次第でございます。そこでその前に、時価という考えでございますが、これはいわば取引上の価格というふうに考えられます。国有財産取引価格と申しますと、これを処分する場合の価格ということに相なるかと思いますが、土地を売り払う場合と、建物工作物を売り払う場合では、台帳価格との間に異なった開きが出て参りますという点だけをちょっと申し上げておきます。と申し上げますのは、土地でございますと、実際年年相当値上りをいたしておりまして、三十年度末できめました価格というものが、当時ですら時価よりも若干低かった。ところが最近におきましては、土地価格相当上っておりますから、実際に売り払われます場合の価格というものが、台帳価格相当上回るという結果になりますが、これに反しまして、建物工作物等の場合でございますと、取得時の価格というものが、人件費その他を込めて綿密な計算をいたしまして、かなり高くなっておりますにかかわらず、これを処分いたします場合は、すでに相当減耗いたしておりますばかりではなく、実際はこれを利用する価値が相当減じております。特に米軍に提供されておりました建物工作物等は、これを一般利用に供します場合は、利用効率という面から相当価格上の減を認めざるを得ないということにもなりまして、台帳価格を下回って処分されるということがむしろ通常の場合でございます。このようにいわゆる時価ということと比べて参りますと、土地の場合は非常に低いという例がございます。反面建物工作物等におきましては、時価よりもむしろ台帳価格の方が高くなるという面があるわけでございます。かりに交付金関係考えてみますと、そういったような土地を主として持つ場所におきましては、交付金決定におきましては相対的に不利になります。これに反しまして、建物等を多く持っております市町村におきましては、交付金決定に当り相対的に有利に決定されるというようなこともあるかと思います。全国的にこれを見ますると、土地同士の間あるいは建物工作物同士の間におきましては、少くとも不均衡が一応ないということで、台帳がこの交付金基準として採用されておるというふうに考えております。  それからただいま御指摘のございましたように、実際の価格あるいは時価と、これらの台張価格が非常に異なっておって不適当だという場合に、それではどういう対処策があるのかという点でございますが、最初に申し上げましたように、台帳価格を改めるということは、非常に慎重な手続を経て行なっておりまして、それも毎年あるいは常時価格時価に直しておるというようなことはいたしておりません。またそれは事務手続といたしましても非常に煩瑣でございまして、とうてい不可能なことでございますので、一応建前は、先ほど申し上げましたように五年ごと改定をするのだということで参っております。しかしながら、現在台帳で採用いたしております価格が、実際上そのまま維持するのが著しく不適当だと認められる場合でございましたら、それを個別的に検討いたしまして、随時適正な価格修正をするという道は開かれておるわけでございます。従いまして、個々のケースにつきまして、自治庁の方と十分御協議申し上げました上で、特にこれを維持するのが不適当だと考えられます場合は、これを修正するにやぶさかではございません。
  9. 門司亮

    門司委員 非常に異なった価格等については訂正してもらうことはけっこうだ思いますが、もう一つこの際、今の御答弁で明らかになったと思いますが、御承知のように地方税法関係からくる固定資産税価格査定が三年に一回ずつ行われております。ところが、今のお話では大体五カ年に一回ずつ大蔵省では行われております。その間に、私は食い違いが起りはしないかと思う。市町村の方では自分たちの直接の関係のある固定資産税評価が之を三年に一回やっている。大蔵省はこれに関係のあるこういう交付金査定基準は五年に一回しか変らぬということになるとその辺に多少のギャップが出てくることは当然だと思うのですが、この調整も今のお話のようなことで行政的に調整がされるというように解釈してよろしゅうございますか。
  10. 三浦道義

    三浦説明員 ただいまの、一方では三年ごと改定が行われるのに対しまして、国有財産の方だけ五年ごと価格改定ということになりますと、時期のずれが若干その間にあるから不適当ではないかという点でございますが、国有財産台帳に表示されます価格といいますのは、本来は国有財産を適正に管理いたしますための価格ということでございまして、交付金基準として最も適当であるような価格ということと必ずしも直接の関係はないわけでございます。また三年ごとにするのか、五年ごとが適当かということになりますと、なるほど五年目ごと価格改定を行います限り、その三年目におきましては、相当開きが実際の価格とできておるということも当然でございます。しかしながら、そのつど改定するということは、必ずしも国有財産台帳制度そのものといたしましては必要なことではないというふうに考えるわけでございまして、ただ全体の間のバランスを失しない、価格改定のときに十分そういう考慮を盛り込みまして、一定時点におきまして評価がえをいたすわけでございます。その後情勢が変りまして、若干の値上りがそれに当然加わって参りますといたしましても、それがあまりはなはだしい大差を生じない限りは、中途でこれを改める必要はないのではないか。かりに時価よりも全般的に二割前後下回る価格ということに結果として相なった場合でございましても、これは一定の資金を交付いたします場合の按分基準としては別に差しつかえはないのではないか。ただし、その場合に、その後の情勢の変化というものが地域によって非常に異なっておりまして、台帳上の価格の比較におきましてアンバランスが生ずるといった場合は、そういう観点から台帳価格改定するということは必ずしも適当ではないように考えます。そのような場合は、むしろ自治庁の方におかれまして別途の財源の運用その他において調整をお考えいただく方が筋道ではないかというふうに考える次第でございます。
  11. 門司亮

    門司委員 今のお話が問題の焦点に実はなるわけなんです。御承知のように税法の方は、その年度に属する時価固定資産税算定基礎はなっていますね。そうして三年ごとに更正するというような形をとっております。大蔵省の方では、買い取りのときの台帳基準になっておって、それから五年目ごとにかえられる、こういうことです。従って必ずしも時価ではないということなんです。そうなって参りますと、町村の方では、普通の民間あるいは国有資産に対します提供財産でないもの等につきましては、やはり固定資産評価基準から大体割り出したものつが一つ交付金のような形で出てくる、税金はむろんそれを基準にして税率をかけている。こういう形になってきて、提供財産だけがその辺があいまいと言うよりも、むしろはっきり言えば、時価よりもはるかに安い価格算定されておるというようなことになりはしないかと考える。こういう点等いろいろからみ合せて、結局現在では、時価のきめ方が十分でなかった、十億なら十億という頭打ちをこしらえて、それからいろいろなものを勘案して、逆算してこれを配分する、こういう形になっております。従って配分算定基礎というものはきわめて脆弱なもものだということがあるいは言えるかもしれない。はっきりした基礎を持っているものではないということが言えるかもしれない。これは固定資産相当額として固定資産税一つ身がわりとして出されている以上は、やはり法律ではっきりしたものをきめて、算定基礎が明らかになるように、これで市町村予算を組む場合も、そう間違いのない収入を得られるような方法にしないと、——われわれは今までの状態を見てみますと、二年これを配付いたしておりますが、五億であった最初の年の配付状態と、十億の年の配付状態と、かなり大きな食い違いがあることは、大蔵省御存じ通りです。しかし、それが違ってきているということは、そういうところに私は原因がありはしないかと思いますが、五億のときにたくさんもらって十億のときに減ったという、こういう事実がたくさんある。はなはだしいのは、大蔵省御存じのように十五分の一に減っているところがある。これは実にばかばかしい話で、同じ五億であったならば三十分の一に減らされるということになる。そういう算定基礎がはっきりしておらないところに間違いの原因があると思うので、自治庁としては、大蔵省台帳をやはり一応の目安としてお考えにならないと、各市町村の自由にまかして申告その他を集めているということになりますと、かなり不適当なものができようかと思います。だからどうでしょう。これはもう少しはっきりすることのために、地方税法課税基準に合せるように大蔵省考えられませんか。あるいは自治庁がそういうふうに考え配分方法考えることにするか、どちらかにしてもらわぬと、この金を受ける地方団体は、もらってみなければわからない。政府で適当にきめてもらわなければわからないということで、かなり予算の編成上に困りはしないかと思うのです。自治庁の方がそういう地方税法の形でその年度の属する一月一日の時価だということでおきめを願うか、あるいは大蔵省がそういうものを承認して、それを算定基礎にされるか、どちらかにしてもらわなければ困ると思うのですが、両方の省の考え方はどうですか。
  12. 三浦道義

    三浦説明員 最初に、台帳価格一般的に時価より下回っている例が多い、それによって他の地方税関係バランスがとれないという点でございますけれども台帳価格はなるほどおっしゃいます通りに、時価よりその価格改定時点から離れますとだんだん開いていくことは避けがたいことでございます。現在の交付金制度との関連で考えますと、かりに時価より下っておりましても、全体として十分な権衡がとれております限りは必ずしも不適当ではない。それから提供資産以外の固定資産関係交付金におきましても、結局各地域間のバランスが特に失われているということでございません限りは、台帳価格基準とされることに何らおかしい点はないのではないかというふうに考えます。しかしながら、ただいま門司委員の御指摘ございましたような著しく不適当な事例というものは、国有財産台帳を適正な価格——厳格に価格も維持したいという大蔵省考えといたしましてもはなはだ遺憾な点でございまして、このような場合は、もちろん事務上の何らかの手違いがあったとか、そういった場合でしたら直ちにその誤まりを訂正するにやぶさかではございません。そういった点を御指摘をいただきますと——もちろん御指摘を受けるまでもなく、こちらで調査して確認いたしました限りにおきましてこれをどんどん改めて参りまして、台帳価格というものが全体としてバランスを失しないような形に常に維持し、国有財産台帳あるいはその台帳価格の権威を十分維持するように努めたいと考えております。
  13. 金丸三郎

    金丸政府委員 門司委員からお尋ねの点でございますが、基礎になりますのが国有財産で、それが府県税なり市町村税対象になるわけでもございませんから、やはりこの交付金配分いたします基礎国有財産台帳価格によることが適当ではなかろうかと思います。ただ御質問の中にございましたように、また私どもも実際に非常に不合理と思われる点もございますので、府県市町村の方からだんだんとそのような資料も実は集まって参っております。できるだけそれに基きまして、不合理な面は是正をしていただきまして、それによってできるだけ合理的な配分ができるようにいたして参りたい、かように考えております。
  14. 門司亮

    門司委員 これは大蔵省考えてもらいたいと思います。こういうことのできました最大の原因は、先ほど申し上げましたように、やはり国有財産に関しまする課税の問題が出てきて、それから起ってきた問題であって、当然私どもはこういう交付金——金はなるほど交付金という性格は持っておるかもしれませんが、その起ってきた理由というのは、やはり何といっても固定資産税の変形したものだと解釈することが私は正しいと思う。そうするなら、やはり固定資産税に近づけていくということがどうしてもとられなければならないと思う。ただ頭から、ことしは財政上の都合で五億でよろしい、ことしは財政上の都合で十億あげましょうというような大蔵省考えで、つまみ金でいいんだという不見識なことではいけないと思うんです。やはり固定資産税にだんだん近づけていくという形で、特にこれを固定資産税相当日額になどということは、これはどうかと思いますが、しかし、そこまでいかなくても、大体それに近づけていくという方針でこれはいくのが私は妥当だと思う。従って、今の大蔵省の御意見では、私どもそのままこれを承服するわけにはいかない。やはりそういう形でいきたいと思う。  従って、もう一つ聞いておきたいと思いますことは、自治庁でも大蔵省でもどちらでもよろしゅうございますが、わかった方がお答え願えばけっこうだと思いますが、現在のこれらの国有財産で提供しておりまするものについて、これを普通の固定資産税相当額に引き直していった場合に、一体十億で足りるか足りないかという問題が出てくるのですが、引き直したときにどのくらいの税額になるかということの算定されたものがあるなら、この際示しておいていただきたいと思います。
  15. 金丸三郎

    金丸政府委員 昭和三十四年度交付金対象となります対象財産国有財産台帳価格がおよそ一千百億程度でございます。それを基礎にいたしますと、その一・四%で十五、六億程度地方税に換算いたしますとなろうかと思いますが、これは台帳価格でございまして、これをほかの一般固定資産と同じように評価いたしました場合、その金額が幾らになるかは、私どもにはただいまのところわかっておりません。台帳価格をもとにいたしまして固定資産税標準税率を乗じますと、先ほど申しました約十五、六億程度になろうかと思う次第であります。
  16. 門司亮

    門司委員 これ以上聞きませんが、あまり明らかになりませんが、そうすると十億という金も、大負けに負けて今の政府の言いなりに、大蔵省台帳のままで計算してまだ五、六億損をしておるというような形が出てくるかと思うのですが、これらにつきましては、特に大蔵省自治庁の方でも考慮を払っていただきたいと思うのです。駐留軍関係の、あるいは自衛隊も同じような性格を持っておりますが、土地は必ずしも地方の財政をプラスしていないということでありまして、その基地のことのためにかなり大きな負担を地方自治体でもかけられておる。ことに駐留軍の関係等につきましては、駐留軍がもしいなければ、一部分のものはとっくに民間に払い下げを受けておると思うのです。払い下げができておれば、民間等は固定資産税というものをやはり納めなければならないことになっている。ところが、これがたまたま軍が使用しておるということで結局そのままになっておる。そうしてそれが日本では御承知のようにこういう制度を設けましたのはことしで三年目であって、約十年というものは基地の財政というものは苦しかったと思うのです。大きな土地をかかえておりながら苦しかったと思うのです。多少遊興飲食税その他でカバーできるといたしましても、基本の財産からといいますか、税法上の固定資産税の方から出てくる財源というものは非常に少なかったと思うのです。基地財政というものは、ここに詳しく申し上げる必要はないと思いますが、絶えず一つの不安に襲われております。  それからもう一つは、さっき申しましたように必ずしも地方自治体にプラスになっておらない。仕事は非常にふえておるが、実際上の収入というものは非常に少いのでありまして、駐留軍が駐留しておることのために地方自治体が特別に持ち出した数字等も一応計算したものもございますが、かなり大きく地方の自治体は迷惑しておる。そのことが十年も続けられておって、そうしてやっと二年前からこういう制度が設けられて、多少地方の自治体の財政にプラスすることができるようになったのでありますが、しかし、それもなお今の数字から見ますと、さっき申しましたように政府台帳によるもの、いわゆる税法上の基礎になっておる一月一日の時価というものとはかなり開きがあると思うのであります。もし時価でこれが換算されるものとすれば、これをはるかに上回る大きな数字が出てこなければならないと思います。そういう点から検討してみますと、少くとも十億という数字は妥当な数字ではないと思っております。さっき申しましたように、固定資産税の性格に近づけていくという考え方のもとにこの金の増額が当然必要だと思う。そういう点について、ここで大蔵省の課長さんに、どうするかということを御答弁を求めましても、私は無理かと思いますが、この点については一つ政府当局の間で十分お考えを願って、やはり地方の自治体の希望でもありますし、また税法上から見てもおかしいのです。片方は時価でどんどん取るが、国からの方はこういう形で台帳によるのだということであって、その台帳は五年に一ぺんずつ変える。しかも、さらにその先は買い取る金が大体台帳基準になっているということでは、どうしても適正なものとは考えられない。従って、これを適正な固定資産税にできるだけ近づけていくという価格一つ直していただきたいということをこの際——きょう大蔵省の次官か大臣においでを願っておればはっきりお聞きしたいと思うのですが、課長さんでは無理と思いますが、一つ十分当局でお考えを願いたいと思います。
  17. 鈴木善幸

    鈴木委員長 他に御質疑はありませんか。——別に御質疑もないようでありますから、本案に対する質疑はこれにて終局することといたします。  この際、門司亮君より本案に対し附帯決議を付すべしとの動議が提出されておりますので、その趣旨弁明を聴取することといたします。門司亮君。
  18. 門司亮

    門司委員 それでは今委員長からお諮りのございましたように、この委員会に両党を代表いたしまして附帯決議をいたしたいと思います。  まずその附帯決議の案文を朗読をいたします。     附帯決議   本法の施行に当り、政府は、本制度創設の趣旨と経緯にかんがみ、特に左記事項に留意して、財政上特殊の事情に在る関係市町村助成のため、遺憾なきを期すべきである。   一、本交付金対象資産の評価の適正化を図り、もつて交付金配分の公平均衡を期すること。   一、政令で定める弾薬庫及び燃料庫の範囲は、これら施設の用に供する土地の外、アメリカ合衆国軍隊が使用した場合との均衡等を考慮して建物及び工作物をも対象に加える等対象資産範囲の拡大を図り、実情に即するよう措置すること。   一、本法制定の際、本委員会が行つた附帯決議の線にそい、特に交付金総額予算の増額に努めること。  右決議する。  こういう決議案文でございます。案の内容は、かなりこまかく今朗読いたしましたものの中に記載がされておりますので省略をいたしたいと思いますが、この決議案につきましては、もとより両党共同の提案でもございますので、委員長におかれましては直ちにこれをお取り上げ願いまして、御採決を諮っていただきたいと思います。
  19. 鈴木善幸

    鈴木委員長 次に討論に入る順序でありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔総員起立〕
  20. 鈴木善幸

    鈴木委員長 起立総員。よって、本案は全会一致をもって原案の通り可決せられました。  次に附帯決議を付すべしとの動議について採決をいたします。これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔総員起立〕
  21. 鈴木善幸

    鈴木委員長 起立総員。よって、附帯決議を付することに決しました。
  22. 鈴木善幸

    鈴木委員長 次に、地方自治法の一部を改正する法律案について審査を進めます。  質疑に入ります。質疑の通告がありますのでこれを許します。渡海元三郎君。
  23. 渡海元三郎

    ○渡海委員 地方自治法の一部を改正する法律案でございますが、本改正案の要旨は、市町村立教育職員恩給通算の件でありまして、本問題につきましては、技術的の問題からその困難性が認められまして、ただいままでの地方自治法におきましては義務規定としてなかったのであります。このため教育に従事する職員の中に、ひとり市町村立の職員のみが通算の恩典を受けることができず、このために給与の不均衡並びにひいては人事交流の円滑化等に支障がございましたので、長年にわたりこれが予算措置を講ぜられるよう要望して参ったのでございます。昨年の国会におきましても、この趣旨に沿いまして本委員会において附帯決議として議決されたような状態でございます。政府は、このたびこの附帯決議の趣旨に沿いまして、本改正案を提出されたのでございまして、この御尽力に対しまして深く敬意を表する次第でございます。  以下、本改正につきまして二、三お聞きしたいと思います。その第一点は、このたびの改正案につきましては、市町村に対しまして通算措置を講じなければならないということを義務規定として入れたのでありますが、そのただし書きによりまして、市町村教育職員適用される退職年金条例規定が政令で定める基準に従ってなされておる場合にのみその措置をしなければならないのであって、もしそれができていなければ通算措置を講ずる必要がない、こういうふうな規定が設けられておるのでございます。技術的に非常に困難なる問題でございまして、このただし書きをつけられた意図はよくわかるのでありますが、実際市町村がこの措置を講じていただかなければ、本改正をしていただいた実利というものがなくなるのでございますが、行政措置その他におきまして、実際において通算ができまするにはいかようにしようとするのか、この点につきまして一応政府の御見解をお聞きいたしたいと思います。
  24. 藤井貞夫

    ○藤井(貞)政府委員 通算措置法律上義務づけられる前提といたしまして、当該地方団体におきます退職年金条例の内容が政令で定める基準に適合することを必要とするということにいたしましたのは、もっぱら技術的な面からでございまして、私たちといたしましても、いろいろ御決議の要旨に従いまして研究をいたしました結果、これしか方法はないのではないかということで、採用いたしたいと思っておる方法でございます。  そこで、御指摘になりましたように、せっかくこのような道が開けますにもかかわりませず、それぞれ関係の市等におきまして、政令の基準に従って条例を制定しないということになりましては、せっかくの措置が講ぜられないということに相なりまして、まことに遺憾な結果に相なるわけでございます。これにつきましては、私たちが本法律案を立案するに当りまして、それぞれ関係地方団体等とも密接な連絡をとりながら、なお関係の職員団体等の意見も聴取しながら進めて参ったのでございまして、今までの私たちが持っております一般情勢から申しまして、本法案が審議成立いたしますならば、大体においてどこも政令の基準に従ってこれが条例を制定するという線がはっきり出て参ると思うのでございます。私たちは、その点については大して心配はいたしておりませんが、しかし、これらにつきましてはやはり強力な指導をいたす必要もございますし、法律案が確定いたしました暁におきましては、直ちに指導の通牒等の措置を講じますとともに、機会のありますたびに事務的にいろいろと周知徹底の方策を講じますとともに、具体的に条例の制定がおくれておるというようなところが出て参りましたならば、われわれの方でも個別的に指導をいたしまして、この趣旨がはっきりと統一ができますように努力をいたしたい、かように考えております。
  25. 渡海元三郎

    ○渡海委員 ただいまの答弁につきまして、大体のところは行政指導によって漏れなくこの恩典に浴し得るようにするというようなお答えでありました。この点了承するものでありますが、施行期日は公布の日から三カ月をこえない範囲内で政令で定めるということになっております。本改正に伴うところの政令の案というものは、ここに参考資料として出てきておりますので、これを見れば大体わかるのでありますが、施行期日の大体の予想というものは参考資料にはないように思うのですが、大体どの程度のことを予想しておられるか。
  26. 藤井貞夫

    ○藤井(貞)政府委員 三カ月と一応きめておりますのは、いろいろ政令についての準備期間、あるいは周知徹底の期間等をしんしゃくをいたしまして三カ月にいたしておるのでありますが、大体政令案の内容につきましては、事務的には準備を進めておりまして、大体でき上っておる状況でございます。従いまして、三カ月を待たず、幸い御議決をいただきますならば、できるだけすみやかに公布の手続をとって公布するというふうにいたしたいと思っております。
  27. 渡海元三郎

    ○渡海委員 現在は予算措置がないかわりに、一部町村におきましては、他の恩給法その他に基くところの退職年金の場合と比べまして、受給者に非常に有利なような市町村もございまして、通算措置を受けることによって条例を変えることになり、条例を変えることによってかえって不利益になるのではないかとおそれられている部面もあると聞いておるのでありますが、これらに対する措置はどのようになされましたか、一応伺いたいと思います。
  28. 藤井貞夫

    ○藤井(貞)政府委員 市の中には、御承知のように、現在の一般公務員に適用されておりまする恩給方式よりも、若干給付内容等において上回っておるというところがあることは事実でございます。これらににつきましては、本措置によりまして通算ができるわけでございますから、通算のないときよりも、当該職員にとっては非常に有利な措置を受けることになるということで、この点は制度的にはごしんぼういただけるのではないかと考えております。事実この点につきましては、当該職員の団体等についてもいろいろ意見を徴しまして、大勢はそのように御了解いただいておるのであります。なおこの不利の点等につきましては、できまするならば、当該関係市等において、退職をいたしまする際の一時金の支給につきまして、何ら特別措置を講ずるということは当然考えられていいのではないか、そういう方法によって不利の面をカバーしていくということは、われわれとしても考えていいのではないかと思っておる次第であります。
  29. 渡海元三郎

    ○渡海委員 現在恩給制度につきましていろいろ批判もございますので、これを共済組合制度に切りかえるというふうなことでございまして、現に国家公務員におきましても、共済組合法が提案されておるというふうな状態でございますが、国家公務員がこのような姿に切りかわりましたならば、当然地方公務員に対しましても、遠からずこのような法案が提出され、制度が変るのではないか、かように考えるのでございますが、こういったことになりました場合に、本制度にいかにこれが準用されていくか、この点につきまして一つ御見解を承わりたいと思います。
  30. 藤井貞夫

    ○藤井(貞)委員 国家公務員の退職年金制慶の改正に伴いまして、地方公務員の退職年金制度をどういうふうに持って参るかということは、次の段階において当然考えられなければならぬ問題でございます。そういうような意味合いをもちまして、現在の政府といたしましても、地方制度調査会に諮問をいたしまして、現在地方制度調査会において鋭意これらについて答申案を御審議中でございます。日ならず御答申がいただけるのではないかというふうに期待をしておるのでございます。答申案が提出をされました暁におきましては、われわれといたしましては、直ちに本制度に対する改革案の準備に取りかかりたい、かように考えておる次第であります。国家公務員の場合のように、全体を共済組合方式によってやっていくということに相なりますと、この点今よりも通算は当然楽になって参りまして、地方公務員につきましても、府県職員のみならず、市町村職員も全部対象にしてこれを規制をして参るということに相なりますならば、当然国、府県市町村各相互間において通算可能になるわけでございますから、本措置も当然新制度に溶け込んで参るということになりまして、通算措置は永続的に行われるということに相なるものとわれわれは考えております。
  31. 渡海元三郎

    ○渡海委員 この制度ができたならば通算措置ができるのでございますが、共済組合制度ができましても、それに溶け込むということになると思いますが、ただ、地方公務員の共済組合制度につきましては、国家公務員と違いまして、基礎になる団体が個々ばらばらでございますので、いろいろの組合のもこれに基いてできておるような関係で、種々困難な問題もあろうと思いますから、この点慎重御考慮の上改善の方策を講じていただきたいと要望しておきます。なお、ただいま申し上げましたように、条例を政令の基準に従って町村に作っていただくことが本制度を実施する唯一の道でございますので、ただいまの御答弁にありましたような行政指導をもって万遺漏なきを期していただきたいということを要望いたしまして、私は質問を終りたいと思います。
  32. 鈴木善幸

    鈴木委員長 加藤精三君。
  33. 加藤精三

    ○加藤(精)委員 この際私からも一言この法案に関連して希望を申し上げたいのであります。  私、考えますのに、本法案が突然として提案されましたのは、これは国家公務員の退職年金制度と地方公務員の退職年金制度とが足をそろえて出発しなかったということで、仕方なしに出ているのだろうと思うのでありますが、その足をそろえて出発されなかったということに対して、私は若干の希望があるのでございます。これは地方団体側には、財政上とか、あるいは各地方団体間の不均斉、いろいろな関係があって事ここに至ったものだと思うのでありますが、国家公務員に対して、国家が強力に助成してその身分を安定するという以上は、地方公共団体に対しても、その職員に対して強力に国家が助成してその身分を安定するということが非常に望ましいことだと考えるのでございます。ある特定の団体が非常に富裕団体であるがゆえに、その身分の安定が他の地方団体より著しく有利だということは望ましいことじゃないのであります。そして一面、国家は何よりも大きな安定した団体でございますので、そういう関係で国家、各地方団体とも、職員が共通して国家の恩恵に浴した方がいいと考えるのであります。何かというと自治庁は地方制度調査会というものに隠れるのであります。たとえば府県の統合問題その他の問題でも、何か地方制度調査会というものに隠れてしまって、行方不明になることがありますので、今度は行方不明にならないように、明年度は必ず地方公務員の退職制度というものを確立させる御決心があるかどうかということを、まず関連して大臣の御意見をお伺いさしていただきたいと思います。
  34. 青木正

    青木国務大臣 お話の点につきましては、御承知のように国家公務員関係が本年の十月から発足することになっておりますので、地方公務員関係につきましても、これと関連いたしまして明年度から実施すべきであるという考え方に立ちまして、実は先般の閣議におきまして、申し合せと申しますか、了解項と申しますか、地方制度調査会の答申を待って明年度から地方公務員関係につきましては実施する、こういう方針をきめておるのでございまして、御期待に沿うように必ず実現いたしたいと考えております。
  35. 加藤精三

    ○加藤(精)委員 もう一つ、非常に簡単なことでございますが、今回、定時制高校の先生と全日制の高校の先生の間の待遇上のことにつきまして均衡を得せしめるような法律案ができたことは、これは時代の進歩を物語るものだと考ええるものでございます。これに対して技術上ほとんど不可能だといって相当期間拒み続けてこられたような政府御当局も、よくその時代精神を御理解されまして、今度は市町村側の条例が恩給法のような基準を設けたならば通算してやるという新手を使いまして、そしてこれをまとめていただいたことは非常に感謝にたえないのでありますが、何か非常に大きな声が出ないと、政府は不公平をそのままにして見過ごす。めんどうくさい法律案なんか出すと、国会の委員会で非常ににうるさく言うから、なるべく出さぬ方が得だというふうなお考え政府部内にあるかのような気がしておるのでございます。また委員会の方も、大局においていいときには、あんまりやかましいことを言わずに通すということの反省も必要だと思うのでありまして、両方悪いと思うのであります。  もう一つ、この定時制の中に同じような問題がころがっておるのでありまして、五大市の中には市立の高等学校が非常にたくさんあるのです。ところが、市立の高等学校の全日制の先生は給与が市負担であります。それから定時制の夜間の方の高等学校の先生は、市町村立学校職員給与負担法によりまして、給与が府県費支弁になっております。ところがその間に非常に不公平がございまして、兵庫県のごときは、同じ年度の古参の先生なんかにおきましては年間に六、七万の給与の差があるのでございます。それからこの間、神戸市のある何十周年記念かの祝典におきましては、全日制の高等学校の先生に対してはフロックコート一着を給与したが、定時制には給与しない。その他非常な待遇上の差があるという事実があるのでございます。非常にお忙しそうでありますので、またおじやましてはいかぬと思いますが、そういうことで、一つの自治体の施設に属する先生たちに非常に待遇上の差があるということは、はなはだどうも私は悲しむべきことだと思っておるのであります。人が困ることなら百年でも二百年でもしんぼうするという態度は、われらの国会やわれらの政府はやるべきじゃないような気がするのであります。そういう問題につきましても、もっと質問を続行したいのでありますが、今理事さんから、長い質問をすることは困るという御意見がございましたので、私は、今は意見だけ述べまして質問を終ります。     —————————————
  36. 鈴木善幸

    鈴木委員長 次に消防組織法の一部を改正する法律案議題として審査を進めます。  質疑の通告がありますのでこれを許します。安井吉典君。
  37. 安井吉典

    ○安井委員 私、昨日消防組織法の改正法案に関連いたしまして、主として第十九条の法案の背骨になる問題につきましての御質問を申し上げておったのでありますが、本日続きまして消防力強化に関しまして、人的な方面の強化が必要だというような考え方からお尋ねを二、三いたしたいと思うのであります。  消防人に対する教養訓練の措置を強化していくということは、きわめて大切なわけでございますが、今度消防大学校設立の運びが法案でもきめられているわけでございます。従来の消防講習所から消防大学校への発展につきまして、内容的などのような向上があるか、そのような点からお答えをいただきたいと思います。
  38. 鈴木琢二

    鈴木(琢)政府委員 現在三鷹にあります消防講習所は、昭和二十三年の消防制度の改正と同時にできたわけでありますが、今日までの講習所の卒業生、本科生と申しますのは、消防司令補を中心とした幹部教育でございますが、この中堅幹部である司令補の本科生の卒業生が、今日まで約八百名ばかり卒業しております。それからそのほかの研究科とか、あるいは消防団長科、それら一切を含めますと、約二千二、三百名卒業しております。当初は、何といたしましても早々の間にできた講習所でございましたので、講習期間も本科生がやっと三カ月、団長科その他の研究科は、短かいので十日間、長いので二週間というような程度で不徹底を免れなかったのでございますが、だんだんと強化されまして、ことにここ二、三年来は地方の自治体の消防も教養訓練の問題について非常に熱意を示して参りました関係で、国の施策と地方の熱意とが合わさりまして、講習所の講習成績が非常に向上して参りました。それで一昨年から本科生——本科生が一番の中心でございますが、本科生の講習期間を六カ月ということにいたしまして、相当高度な技術的な教養、科学技術に関する教養、それから関係法規に関する教養、これは法規と申しましても、憲法初め一般法律概論的なものも合せまして、特に消防関係の諸法規についての研究、その上に実地訓練というようなものを重ねまして、相当高度な教養を与えておるような次第でございます。  それで、かねがねそういう空気になっておりますので、消防界一般の空気といたしましても、それをはっきりとした日本における消防関係の最高の教養機関として大学校にしてもらいたい、そして教養内容も充実してもらいたい。こういう叫びがここ数年来相当強く叫ばれておりました。われわれ国家消防本部といたしましても、従来の十年間の歩みを見まして、内容もだんだん充実して参りましたし、また消防職、団員の教養の重要性、また科学消防の発展の重要性という点から考えて、ぜひともこれを高度な教養内容にするとともに、講習所自体の設備も充実して参りたいということでやって参って、大体態勢が整って参りましたし、今回予算も特に増額されましたので、この機会に大学校にいたしたい。そして教養を徹底していきたい、さように考えておる次第であります。
  39. 安井吉典

    ○安井委員 もう少し内容につきましてお尋ねいたしたいのでございますが、あとの時間の関係もありますので、端折って次に進めたいと思いますが、消防幹部のための大学の設備もよいわけでありますが、実際現地におきまして働いております団員が大学校にそんなに行けるというわけでもないと思います。だから、そういうことから都道府県の消防学校の問題、あるいはまた各市町村における現地での団員、署員の教養訓練の向上の問題、ウエートはむしろそちらの方にこそ置いていくべきではないかという気がするわけであります。この国家消防本部の消防大学校設立趣意書によれば、たとえば「今や、消防界あげての最大関心事となったのである。今にして消防大学校の設立を見ざれば、あるいは、消防の士気にも影響あることをうれえざるを得ない状態である。」とか、あるいはまた「消防大学校の設置は、消防職、団員の士気を昂揚し、その業務運営を適正かつ能率化し、民主消防の真価を益々発揮させるのみならず、ひいては住民の消防に対する認識を深める結果ともなり、住民福祉の増進は、期してまつべきものがあるであろう。」とか、きわめて気負い込んだ表現がなされているわけでありますが、別に私はあげ足をとるわけではありませんが、これはこれとしても、やはりずっと下に下ったじかの団員の教養訓練、そういうような問題の方がきわめて大切だと思います。そういう点につきましてどういうふうにお考えになっておりますか。
  40. 鈴木琢二

    鈴木(琢)政府委員 一般消防団員の教養の重大性は全く御指摘通りでございまして、私どもも、その教養の程度についてはいろいろ腐心して参っているのでございます。消防団の教養で一番困難なる問題は、何と申しましてもそれぞれ家業に励んでおる方たちでありますので、長い期間うちを離れて学校なり教養機関に入って教養を受けるということは、非常に困難な事情にあるということでございます。それで、国の施設としての消防大学校における消防団関係の教養は団長を中心にしたものにとどめまして、それ以下の一般の消防団員並びに団の幹部の方々の教養というものは——消防団員の幹部の教養は、県になるべく学校を作ってもらって、これもそう長い期間はできないと思いますが、県でもって、土地の状況に応じて何回も繰り返してやるとかなんとかいうような方法で、県を単位にしてやってもらいたい。それから一般団員の教養、今度はたくさんの団員の教養でございますが、これは市町村自体に計画していただいて、県もこれに応援して、なるべく教養訓練の機会を数多く設けて、それで訓練を徹底していきたい。また県の方からも、消防団の一般の団員の教養を市町村にやってもらうように勧めて、また出かけて行って教養に当るということを数多くやってもらいたい。そういうことで常々指導しているような次第であります。一般団員の教養ということについては、御指摘通りわれわれも非常に重要性を認めておりますので、そういった実情に即する方法を研究いたしまして、十分徹底した教養訓練ができますように今後も努力していきたい、かように考えております。
  41. 安井吉典

    ○安井委員 都道府県の消防学校につきまして、財政的な裏づけはどういうふうになさっておられますか。
  42. 鈴木琢二

    鈴木(琢)政府委員 現在は、都道府県の消防学校ばかりでなく、一般の消防業務につきましては、それの財政的裏づけは一般的に地方交付税によっているわけでございますが、今回国に消防大学校を設け、また府県にもなるべく多くの消防学校を設けてもらいたいという趣旨から、補助金を予算に計上いたしまして、県の消防学校施設費に対しまして、国庫補助五校分として一千三百七十五万円を計上いたしております。これは毎年五校ずつ補助いたしまして、ずっと継続して毎年五校ずつの学校をふやしていきたい。現在はっきりとした消防学校のございますのは、全国で十二都道府県にとどまっております。
  43. 安井吉典

    ○安井委員 次に、消防長につきましては、今度の改正案で資格要件がだいぶはっきりしてきたようでありますが、資料で、おそらくこれは政令にきめられることを予想されるような資格要件の定めもいただいておるわけでございますが、こういうことになりますと、消防長の待遇なんかもだいぶ考えていかなければいけないのじゃないか。あるいはまた地方の町村によりますと、消防長は実際は町村長とか助役なんかが兼ねてやっているところがだいぶあるようでありますが、これらに対する措置はどういうふうにお考えになっておりますか。
  44. 鈴木琢二

    鈴木(琢)政府委員 消防長の資格制限に関する資料をお手元に差し上げてあるわけでございますが、御指摘ごとく消防長の任用資格を制限しますれば、それの待遇等についても、もちろん将来十分考慮するように取り計らっていかなければならないとは考えております。これはだんだんとそういう措置をとっていきたいと存じますが、この資格要件をきめました趣旨は、今お話もありましたように、消防長の任命を市町村長が割に気安く考えて、任命する適当な人がいなければ、市長なり助役が事務取扱いのような形でやるというようなことで、軽々しくと言っては語弊があるかもしれませんが、消防長の任用をあまり重要に考えていないような市町村長もないではないのでございまして、そういうものに対する一つの規制としての働きをする意味におきましても、こういう資格の制限ということを計画いたしたわけでございます。ただ、資格制限いたしましたために消防関係以外の者を締め出すというようなことで、非常に狭い範囲から選ばなければならないようなことになっては、これも決して消防の発展のためにはなりませんので、いろいろその点も勘案して、この案文のように、選考の範囲は比較的広くできるというような規定にいたしたわけであります。
  45. 安井吉典

    ○安井委員 ここに管理職何年というような規定がありましたね。市町村長なんかもそれに入るのですか、入らないのですか。
  46. 横山和夫

    ○横山政府委員 ここで申します管理職は、市町村長等を含むものではなくて、その他のいわゆる一般職の管理職のポストにある者、こういうように考えております。
  47. 安井吉典

    ○安井委員 そういたしますと、趣旨はよくわかりますが、ただ財政的な問題から専任の人を置きしぶっているというような向きについては、はっきりそれだけ財政支出がふえるわけですね。その点についての措置は全くなされていないわけですか。
  48. 鈴木琢二

    鈴木(琢)政府委員 実は、この消防長を初め消防職員の財政的な裏づけの問題でありますが、今日交付税で見ておりますこれらの費用というものは、実情からはうんと下回った状況にございますので、何とかして交付税等も適正なものにいたしたいということで、いろいろ自治庁とも打ち合せいたしたのでございますが、今回の予算面では十分にその措置をとるまでには至らなかったのでございます。今後も、そういった問題についての財政的裏づけの点については遺憾のないように努力していきたい、かように考えております。
  49. 安井吉典

    ○安井委員 これなども、本質的には、地方財政計画の中における消防財政の確立というものがなされていないというところに非常に大きな原因があると思う。だから、そういう面で根本的な解決をはからなければいけないと思いますし、そのような際に私はさらに自治庁の方のお考えもただして参りたいと考えております。  次に、消防団員の給与の問題でありますが、今年じゃなくてもときどき聞く話は、どうも消防団員が出ぞめ式などの飲みしろを作るために町並みを寄付を仰いで歩く。寄付もしてくれないようなうちには何かいたずらをするとか、そういうようなことがあるということをよく聞くわけでありますが、これについてどういうふうにお考えになっておりますか。
  50. 鈴木琢二

    鈴木(琢)政府委員 いろいろ消防団員のあまり芳ばしくない行為については、まことにわれわれも遺憾に存じておるのでありますが、結局この問題は、市町村の消防関係の財源措置を確立することと、それから消防団員の教養訓練を徹底すること、このことによってだんだんと改善されていくのではないかと存じますので、結局、それら二つの問題を今後十分研究いたし、遺憾のないようにだんだん措置いたしまして、そういう一般の住民からひんしゅくされるような行為のなくなるように、また寄付の強要というようなことで、せっかく喜ばれるはずの消防団員が、かえって変な目で見られるということのないように努力していきたい、かように考えております。
  51. 太田一夫

    ○太田委員 関連しましてちょっと大臣にお尋ねをいたしますが、消防団員の行動の問題です。まだあと安井さんの質問が続くと思いますが、やはり、団員の行動につきまして一番問題になるのは、地方におきましては非常勤の団員の行動、これが一番数が多いのです。団員の行動の中で非常に政治的な、不偏不党でない行動というものが顕著にあって、それが住民のひんしゅくを買っているという事実があるということを先回消防本部長に御質問申し上げました。綱紀粛正の立場として考えなければならぬというようなお答えだったのですが、非常に不徹底であると思うのです。やはり消防組織法の第一条が私は不完全ではないかと思うのですが、任務責務というものがあまりはっきりしておらない。生命、財産を守るためには不偏不党ではいけない、特定の政党を支持しなければならないとか、こういうことになっていって曲解されますと、政治活動の分野が出てくるわけです。これを見まして、不偏不党でなければならないという文字はどこにもない。それで地方においては、消防の名において制服制帽で非常勤の団員が一党一派を支持して顕著な活躍をしている。これについて、一ぺん大臣の所見と今後の対策についてずばりと一つお尋ねしておきたいと思います。
  52. 青木正

    青木国務大臣 申し上げるまでもなく、消防団員は特別職に当りますので、消防団員自体の政治活動について規制するということは、法的にはそういう規定はないわけであります。しかし、消防団ということになりますと、これは一つの行政機関でありますので、団として政治活動するということは許さるべきことではないと私は思うのであります。さような意味で、消防団員が個人として政治活動をすることに対して、自由なる活動を制肘するということは、これは不適当だというか、そうするわけには参らぬと思います。しかし、団員の集団である消防団が、団の名前において政治活動をやることは私は許さるべきものではない。その面において万一消防団として政治活動をするというふうなことがありましたならば、これは当然規制しなければならぬ、かように考えております。
  53. 太田一夫

    ○太田委員 もう一つだけ。それでは不徹底なんで、団としてやるのか、個人としてやるのかということについては外見見分けがつかないでしょう。地方から寄付をつのるのは、団としてやるのか個人としてやるのかわからない場合がある。グループが寄付をつのる場合もあるのです。だから、消防団員が消防団員であることを明らかにする身分的な表示を外装にまといつつ行う政治活動というものは、団であるのか、個人であるのか、どうして見分けるのですか。取り締る方法がないでしょう。従って、地方公務員法三十六条は、今の非常勤の団員の場合は特別職で適用できない。それならあなたのおっしゃることは、どういう標準でこれはよろしい、これはいけない——外装が消防団であることが明らかな者が特定の候補者の運動をした場合、それはよろしいのですか、いけないことだと思いますか。
  54. 青木正

    青木国務大臣 個々のケースについて検討しなければならぬと思うのでありますが、団としてでなしに、団員であるからといって、団員の何人かが集まって何らかの政治活動といいますか、やるといっただけでは、私はこれをどうするわけにもいかぬと思うのであります。しかし、消防団という名前において、もしくは消防団の決議において、あるいは消防団の役員会等において、団として意思決定を行い、それによって団員が行動するということになりますと、これは団の活動になりますので、当然規制しなければならない。それは、現実の問題としては、個個のケースについて見なければ、この場合はどうとなかなか判定しにくい点もあると思うのですが、考え方といたしましては、団員である個人の政治活動を押えるわけに参りませんので、これはやむを得ない。しかし、団という名前においてやる政治活動は許さるべきものではない、かように考えております。
  55. 加藤精三

    ○加藤(精)委員 関連。ただいま安井さんから非常に適切な御意見がありましたが、今の時代は昔のよき時代と違いまして、国民には非常に苦労が多くて……。昔は消防団員といいますと、職人衆の優秀な分子が消防団員になることを名誉として、私の町のごときも、前科ある人は消防団員には採用しない。それからよほどしっかりした人物だと認められる人を消防団員にするというような気風があったのであります。現在の意識では、前科のある人も、心がけを直せばりっぱな市民でありますから、そういうことは考え直さなければならぬと思いますが、いずれにしても人格を重んじて、そして消防団員として社会に奉仕することを非常に光栄にしておったのでございます。しかしながら国民生活は、国民経済が非常に変動が多いのと、それから時世の進歩に従いまして、住民生活上も多忙きわめてくるというような関係がございまして、消防団員として相当年間訓練その他に非常に時間を費し、また火災時の出動等に大きな犠牲を払うということは、これは昔のようにはいかないことと思うのでございます。その点から見まして、非常勤消防団員には、消防署の職員のようなわけにはもちろん参りませんけれども相当な給与もする。また、服装の統一等には公費をもって相当考えてやるという方向に進んでいただきたいと思うのでございます。その点につきまして十分でございますれば、消防団員が寄附をもらいに行くとかいうようなかれこれのことはなくなると思うのでございます。そういう点で、地方自治体の内部経営が、従来の醇風美俗、大岡越前守が消防団を始めたときのような醇風美俗にたよるということだけでなしに、もう少し近代的な考え方で、市町村にも、それだけのことができる財源を措置するというような自治庁の長官の御意思がないかということを、一つお尋ねします。  それから消防本部長さんに対しましては、かねてわれわれ消防に従事した経験のある者がお願いしておりました府県の応援命令——ある市町村が火災である場合に、隣の市町村の主要な地帯が、その隣接の火災が出ている部分に最も近いような場合、平素各市町村間には応援協定がございますけれども、その応援協定が、どうも頼まれもしないのに応援すると、あとからの謝礼が困るとか、あるいは濃霧のために火の見やぐらから火が見えなかったとか、あるいは……(「簡潔にやれ」と呼ぶ者あり)簡潔にやれという御命令がございますので簡潔にやりますが、とにかく近代の科学技術の時代になりますと、無電通信等が非常に進歩しておりますし、今度の消防組織法で県本部が相当の役割を持つわけでございまして、従来市町村だけの事務のようにされている消防が、今度府県事務としても相当の働きを持つことになりますので、そういう場合にそういう応援命令くらいは出す方が、大火を予防する上にも非常にいいじゃないか、こう思いまして要望しておったのでございます。それが今度でき得なかったことは、われわれとしては非常に残念でございますが、それはわれわれのわからない理由がありましてそういうものが採用されなかったのだろうと思いますけれども、一応その事情を教えていただきたいのでございます。  二つお伺いします。
  56. 青木正

    青木国務大臣 第一段の消防団員に対する処遇の問題、また消防団員に対する考え方の問題であります。申し上げるまでもなく、日本の消防団員というものを沿革的に見ますと、もともとその土地の有志の方々が、一種の犠牲心と申しますか、義侠心と申しますか、そういうような自発的な気持で、自分たちの郷土を守ろうという考え方に立って消防団員というものが御指摘のように発足して参ったわけであります。そういう沿革がありますので、また、その沿革につながっておる関係におきまして、現在でも、ややもすると消防団員というものは全く奉仕的な機関としての扱いを受け、また、消防団員みずからも、ある意味におきましてはそういう気持を持って任じておるという点もなきにしもあらずであります。しかし、御指摘のように今日の日本の消防の必要性から考え、また消防それ自体の業務の内容から見まして、昔のようなあり方でいいというものでないことは言うまでもないのであります。そこで私どもといたしましても、消防団員というものが昔のような考え方に立った奉仕的な団体ということでなしに、大きな任務を持っており、また大きな責任を持っておる団体でありますから、その責任に対して当然それに報ゆるだけの処遇をしなければならぬということは言うまでもないことでありますので、私どもは、漸次昔のようなあり方の消防団でなしに、もっと近代的な姿に直していかなければならぬという基本的な考え方お話しの通りであります。そこで、財源的措置につきましても、できることならば実は明年度の交付税等におきましても、消防団員の出動手当その他をできるだけ増額したいというような考え方を持って編成して参ったのでありますが、なかなか一度にというわけに参りませんので、今回は消防組織法の改正に伴いまして、府県の方の人員の増員に伴う交付税の増加というような点から改善に着手いたしたのでありまして、できるだけ早く、そしてまたできるだけ一般の御要望に沿うことができるように、消防団員の処遇改善に向ってできるだけの力を尽して参りたい、かように考えます。
  57. 鈴木琢二

    鈴木(琢)政府委員 市町村の消防の相互応援の問題につきまして私からお答え申し上げます。現在は消防組織法の二十一条に「市町村長は、消防の相互応援に関して協定することができる。」という規定がございまして、市町村の自由意思にまかされておるという状態でございますが、それを知事がもっと強力に指導して、義務的に相互応援させるようにしたらどうかという御意見でございますが、非常事態の場合に処する方策といたしましては、二十四条の二がございまして、非常事態の際の知事の指示権、相互応援の実施あるいはその他災害防止について必要な指示をすることができるということで、緊急事態における指示権は二十四条の二で可能なわけでございます。さらに今回の消防組織法の一部改正の案にありますように、国家消防本部事務といたしまして、市町村の作成する火災防御計画の基準の研究及び立案に関する事項というのが国家消防本部の任務として入っておりますし、さらに都道府県の任務として、市町村の火災防御計画の作成の指導という項が入っておりますので、この火災防御計画の作成ということになりますれば、相当規模の大きな火災につきましても計画を立てなければなりませんし、また特別な悪条件の気象下における火災の場合の対処策等も立てなければなりませんので、火災防御計画を立てるに当りましては、自然その一つの町村だけで手に負えない場合に、付近の町村から応援を求める方策等も計画に編み込まなければならないと存じますので、こういうものによってただいま御質問のありました点を十分補っていける、かように思います。
  58. 矢尾喜三郎

    ○矢尾委員 ただいまの太田君の質問に関連して一言大臣にお伺いしたいと思います。消防団員が政治活動をやるということについて、団員個人としてやることは自由である。それは消防に限らずすべての人が自由であります。団としてそういう政治運動をやるということはいけない。原則としてはそうですけれども、実際問題として、消防団員が制服制帽のままで個人的に運動をするということについて、どういうお考えを持っておられるか。たとえば警察官が警察官の職務を執行するときの制服制帽でそこいらに行くということについても、やはりそれに対してはいろいろ誤解もあれば、やはり職務を持った警察官としていろいろ扱われる。消防団が寄付を取りにいって寄付を出すという場合にも、結局、あとのたたりがおそろしいとか、あるいは何とかかんとか言われる。これから市町村の選挙が行われるのですが、消防団がずっと行くんです。そういう場合には個人の資格でやっているんです。しかし、制服制帽でやられることが一般の人に与える影響——寄付を集めにこられると、そういう感じを与えるというふうになれば、大きな弊害があると思います。そういう場合の制服制帽というのが好ましいことであるか、好ましくないかということにつきまして、一言大臣の見解を述べていただきたい。
  59. 青木正

    青木国務大臣 消防団員は特別職として政治活動を許されておりますので、その政治活動を、団服を着ておるからといって直ちにそれが法的にいかぬとは言えないと思うのであります。しかしながら、団服を着て制帽をかぶって、個人の資格においてやると申しましても、そういう姿においてやることは、ややもすれば団の活動と誤解されるおそれがお話しのようにあるわけであります。従いまして、法的にはあるいは違法とは言えないかと思うのでありますが、私は適当ではないと考えます。少くとも団の活動と誤解されるおそれが多分にあるわけでありますから、そういう意味におきまして、私は望ましいことでもなし、適当なことでもない、かように考えます。
  60. 加藤精三

    ○加藤(精)委員 組織法第二十四条の二の場合は、これは警察法の非常事態のような相当大きな事態だろうと思うのでありますが、私の言うのは、町村の一番端の方の小さな部落に火事があったような場合、そういう場合でも行けば非常にいい。無電連絡があった場合、応援出動命令を出すということは二十四条の二には規定してないと思う。そういう場合には、日本語では非常事態という言葉は使わない。それから計画樹立について応援協定を指導すると言いますけれども、それは計画とは違うのです。そうして応援命令というものは、命令を受けた消防長に対してもそれを実行する義務を負わせる。そういう効果的な応援命令のことについて御規定になるのが近代消防としては完璧なんで、無電等を十分に駆使する時代では必要だという意見を持っておるので、そういう意味でしばしばお願いしたわけでございますが、将来十分御検討願えればけっこうです。御答弁は別に要りません。
  61. 安井吉典

    ○安井委員 私は、消防団員の綱紀粛正とでも申しますか、そういう問題に触れておりまして、だいぶ間が間遠になってしまったわけでございますが、寄付をねだるというような行為は、やはり昔からの火消しかたぎとでも言いますか、たとい火の中水の中でも飛び込んで民衆のためにその火を消す、そういったような意気込み、これは非常にいいことでありますが、そこに何か封建的な親分子分の関係とか、そういうものが生じがちであります。そんなような姿の中から今のような気のゆるみが出てくるのじゃないかと思うのであります。ですから、先ほど来お話がありましたように、あくまで犠牲的な精神を発揮して民衆のために働くという、郷土を防護するために働くという気持、これはいかなる時代にも忘れていけないし、そういうものは存続すべきだと思います。しかしながら、新しい時代においては、新しい装いを持った消防精神というものが打ち立てられなければいけないと思います。こういう面の御指導を一そうやっていただきたい。  それからもう一つは、常備の消防職員にいたしましても、まして非常勤の消防団員につきましては、その給与の面がきわめておくれてると思います。これは警察職員に比較いたしましても常備職員は低いんじゃないかという気がいたすわけでありますが、特に非常勤の団員のごときは、ふだんの自分の職業をなげうって働いてくれてるわけであります。それに対する報いがきわめて少いと思います。ですから、そういうようなことからいろいろなつながりができまして、先ほどもお話がありましたように、選挙などの場合にボスに利用されるというような余地も生じてくるのじゃないかと思われます。青木国務大臣は、国家公安委員長である半面、自治庁長官でもあられるわけでありますが、このような消防職員及び団員の市町村段階においての給与の改善につきましての御見解、御所信を伺いたいと思います。
  62. 青木正

    青木国務大臣 お話のように消防団員というものは、先ほど私が申しましたように、その沿革から見まして、現在でもまだ昔のような一面があるわけであります。その犠牲心によって郷土を防衛するというその気持はとうとぶべきものであり、どこまでも伸ばさなければなりませんが、同時にお話のように、だからといって昔のようなあり方でいいとは私ども決して考えません。また、今日消防組織法において、また自治法におきまして、消防団員というものが少くとも行政機関として責任を持たされておるのであります。それだけ責任を持たされておる限りにおきましては、当然これに対して報いる道といいますか、措置もしなければならぬわけでありますので、そういう意味から申し上げますと、法制的には一応近代的なあり方に形はなっておりますが、実態においては、まだ日本の消防は昔の通りの消防団というような一面が多分に残っておることを、私どもも率直に認めざるを得ないわけであります。この姿に対しては、これを一挙に脱皮して、急速に近代的なものに持ってくるということもなかなか困難であろうと思うのであります。また、昔の消防団のいい面もあるのでありますから、その点はもちろん残さなければならぬという問題もあるわけであります。しかし、いずれにいたしましても、御指摘のように消防団員というものが法制上近代的なあり方に規定されておる以上、その待遇等についても当然そうならなければならぬということは言うまでもないと思うのでありまして、私どもも、三十四年度予算編成に当りまして、実は内部的にはいろいろ検討して、この機会に消防団員に対する待遇改善について、交付税の面で見ることはできないだろうかということでいろいろ苦労もしてみたのであります。遺憾ながら、今回はその運びに至らなかったのでありますが、私は、何とかして一刻も早く実現いたしたい。今回は、消防組織法の改正に伴う府県の方の消防の充実という関連におきまして、府県の職員の増員等についての交付税を見るという程度にとどまったのでありますが、当然消防団員の待遇という問題を考えていかなければならぬと思うのであります。先年、消防団員が非常な犠牲心を払って郷土の防衛に当っておる、その人たちに報いるためには、少くとも災害の場合にはこれに対する何らかの処置がなければならぬというようなことで、当委員会の非常な御支援によりまして、災害の対策の法律もできたのでありますが、しかし、まだ一般的の待遇改善については所期の目的を達成することができず今日に至っておるのでございまして、私ども委員会のお考えも十分了承いたしておりますし、また私ども自体といたしましても、何とかして一日も早く消防団員というものを昔のような姿でなしに、法制的にもまた待遇の面におきましても、もっと近代的な行政機関としての消防団という実体を備えるようにいたしたい、かように考えます。
  63. 安井吉典

    ○安井委員 今のお答えで大体了解できるわけでございます。しかし、消防団員の前近代的な精神から近代消防への脱皮ということを私申し上げたわけでありますが、その精神的な脱皮を単に要請しても、その給与待遇の面は弁当代にも足りないような前近代的なものなんです。だから、精神的な脱皮を要求する反面に、われわれは裏づけとして、その人たちがほんとうに命がけで働けるような給与、待遇の改善措置を積極的に講じなければ意味がないわけです。片方に精神的な面の要求だけをして、片方そういうことでは意味がないことです。今度の場合は、自治庁長官が両方兼ねておられるわけなんですから、一つ積極的な御考慮を重ねて要望をいたしたいと思います。  なお、消防財政や災害補償の問題についてお尋ねいたしたい点がありますが、次会に保留いたします。
  64. 北條秀一

    ○北條委員 時間もありませんので、私はきわめて簡潔に往復三分ないし五分で質問いたしますから、青木国務大臣鈴木本部長からそのつもりでお答え願いたいと思います。第一は、昨日鈴木本部長から昭和三十三年度の消防関係功労者の表彰式及び伝達式の御通知をいただいたのであります。その会場は日本消防会館となっておりますが、この消防会館は、法律規則あるいは東京都の条例、これらの一切から見て適正にあの建物が建ったかどうか、その点について御答弁願います。
  65. 鈴木琢二

    鈴木(琢)政府委員 日本消防協会は財団法人でございまして、東京都知事の監督を受けておりますが、あの建物の建築は、それぞれ適法な処置をとって行われておるものと考えます。
  66. 北條秀一

    ○北條委員 これにつきましては、私は今日は責任を追及しませんが、非常にたくさん問題があるということを知っておるのであります。昔から、法は運用にあるということは御承知通りです。従って、いかなる場合においても李下に冠を正さず瓜田にくつを入れずという昔のことわざの通りに、政治の衝にある者は常に厳正な態度をとらなければならぬ。そういうふうに私は信じておりますし、政府当局においてもそうであろうと考える。ところが、今言いましたように、いろいろ問題が過去において伏在しておりました日本消防会館において、しかも貴重な功労者の表彰式あるいは伝達式をやるということは決して適切じゃない。しかも三月三日には総理大臣官邸の大会議室はあいているのです。なぜそこでやらないのか。ただの酒は飲むなということは、われわれは常に言われていることでありますが、総理大臣官邸ならば会場に別に金がかかるわけじゃない。そこでやった方が正しいと私は考えておりますが、緊急に質問したのは、一週間後に迫っておるわけでありますから、青木国務大臣にこういうことをやってはいかぬ。だから、むしろこの際に緊急に日本消防会館で表彰式をやるのをやめて、総理大臣官邸でやるべきだと私は申し上げたいのだが、いかがですか。
  67. 青木正

    青木国務大臣 私、率直に申し上げまして、表彰式をやることもまだ承知いたしていないのであります。消防本部でやることでありまして、公安委員会の方ではタッチいたしておりませんので、ただいま鈴木本部長にちょっと聞きますと、何か会場が狭いために日本消防会館を借りることにしたということだそうであります。
  68. 横山和夫

    ○横山説明員 ちょっと経緯がありますので……。御指摘のように総理大臣官邸が適当だという考えをもちまして、一昨年まで総理官邸でいたしました。ところが、参加する者が、年に一度の晴れの表彰であるのでこの際にということも手伝いまして、逐年数が多くなって参りまして、総理官邸ではもうさばき切れなくなったのであります。昨年は会場を防衛庁の講堂にお願いをしたのでありますが、これもいろいろ都合等がございまして、本年は、幸いに関係のあるこういう施設ができたのでここへということでございまして、総理官邸を思わなかったわけでもございませんけれども、今のような理由に基きまして変更した。こういう事情がありますので御了承願います。
  69. 北條秀一

    ○北條委員 こういった安易な考え方、それは今の日本の消防のだらしなさの原因だと思うのです。そういうことは次の機会に譲りますが、この際、あらためてああいうところでやらずに、ちゃんとした国家の機関の中で表彰式をやるべきものだということも、私は最後につけ加えて質問を終ります。
  70. 鈴木善幸

    鈴木委員長 本法案に対する残余の質疑は、明日の委員会に譲ることといたします。  本日議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成並びに提出手続等につきましては、先例により委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  71. 鈴木善幸

    鈴木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  本日は、これにて散会いたします。     午後一時散会      ————◇—————