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奧野政府委員 お
手元にお配りしております
昭和三十四年度
地方財政計画の
概要といたしました六ページの印刷物がございますので、その二ページ目から御
説明さしていただきたいと思います。
歳出規模は全体で一兆三千三百四十一億円、前年度に比して千十八億円の
増加でありますが、先ほど御
説明のありました
下水道関係の
部分で四十九億円を三十三年度の分から減額いたしておりますので、これに四十九億円を加えました千六十七億円の増というのが実質的な
増加でございます。
歳出の主要な増減は右のところに掲げてある
数字の通りでございますが、カッコにいたしておりますのは、
経費総額から
国庫支出金を差し引きました純
地方負担額を示しておるものでございます。
消費的経費の
総額では五百三十七億円の
増加でございますけれども、
国庫支出金を差し引きますと、純
地方負担額では三百九十一億円の
増加となっております。その大きなものは
給与関係経費でありまして、
総額では四百四十一億円、純
地方負担額では三百五十七億円であります。
給与費のうちで
人事院勧告に基く
初任給の
引き上げ及び
期末手当の
増額、いずれも
国家公務員についてその通り採用されて参るわけでございますので、
地方公務員につきましてもこれに準ずる
措置がとられると予定いたしまして、これだけの
財源を見込んでいるわけであります。
総額で百五十七億円、純
地方負担額では百三十一億円ということになっております。このうち
期末手当の
増額〇・二五カ月分につきまして、十二月において
〇・一カ月、六月において〇・一五カ月ということでございまして、十二月に支給する分は、すでに昨年から
増額が行われて参っておるのでございます。
次が
すし詰め教室解消のための
義務教育職員の
増員の問題でございます。
学級編成及び
教職員の標準を定めますところの
法律ができて参るわけでありまして、その
施行令をもちまして、漸次
法律本来の趣旨に沿ったところに
学級編成等の
適正化をはかっていくということにいたしているわけでございます。三十三年では、一
学級の暫定的な
最高員数を六十人にしておったわけでありますが、三十四年度においては、それを五十八人に引き下げる。中
学校におきましては、五十五人にいたしておったわけでありますが、それを三十四年度においては五十四人に引き下げる、こういうように予定されておるわけでございます。そういたしますと、
教職員を七千三十人増強するということになって参るわけでありますが、
児童生徒数が減って参りますので、それらの
自然減を差し引いて
計算をいたしますと、三千二百七十一人の純
増加ということになるわけでございます。
その次が
法律制度の
改正等に基く
増員でございます。
交通警察の
拡充等の
関係から、
警察職員を二千五百人
増員したい。国の
予算におきましても二千五百人に対応いたします装備の
費用等が掲げられておるわけでございます。
給与費は
全額地方の
負担でございますので、それらの
経費をこの
計画に見込んでおるわけでございます。また、近来
公民教育の
充実が唱えられておるわけでありまして、別途
社会教育法の
改正も予定されており、市及び
人口三万以上の
町村には
社会教育主事を置かなければならないというような
考え方が打ち出されておりますので、それに伴いまして、市及び
人口三万人以上の
町村に一人ずつ
社会教育主事が
増員できるような
財政計画にいたしたいということを考えたわけでございます。また、
消防法等の
改正で、
府県における
危険物取締りの
事務等が追加されましたり、あるいは
消防職員の
訓練の
強化というようなことも考えられたりいたしておりますので、
府県の
消防関係の
職員を一
県当り三人ぐらいは増強しなければならないだろうというようなことを見込んでおるわけでございます。なお
職員の振りかえ等によりまして、若干の
増加がはかられるものというように期待をいたしているわけでございます。また、
職業訓練法が制定されまして、三十四年度から、庁県におきまして
技能検定を行わなければならないことになっておりますので、その
関係の
職員を一
県当り二人ずつ見込んで、九十二人は
増加できるような
財源措置をいたそうといたしているわけでございます。これらの
部分は
地方交付税を
計算いたします場合に、
基準財政需要額に算入いたしまして、各
地方団体を通じてそれだけの
財源を保証するというようなことを別途に予定をいたして参っておるわけでございます。
その次が
臨時職員の
定数化の問題でございます。
臨時職員ではありますが
勤務の実態が常勤と変りはない、そういう
人たちにつきまして昇進の道を与えるというようなことから、昨年度二〇%だけ
定数に繰り入れる
措置を国の場合と並行して採用いたしたわけであります。ところが、昨年国会におきまして、
臨時職員の
定数化をもっと多く取り上げるべきであるというようなことから、
国家公務員につきましては二七%に
引き上げられたわけであります。それに対応いたしまして、
地方公務員についても残りの七%の
部分をさらに
定数化いたしたい、こういう
考え方で、三十二年度分の
臨時職員の七%に当ります三千六百五十三人を
定数化いたしたい、かように考えいておるわけでございます。
その次が
暫定手当の
本俸繰り入れに伴う
付加給の増でございますが、これは三十四年度から、現在二級地に対する
暫定手当一〇%でありますのを、
一級地並みの五%に引き下げる
措置がとられます。二級地一〇%、三級地一五%、四級地二〇%の
暫定手当が支給されておるわけであります。
暫定手当を整理するという方向で二級地と
一級地の率が同じになるわけでございます。同じになる機会に、その五%分は全部
本俸に繰り入れてしまう。従いまして二級地、三級地、四級地の
暫定手当は五%ずつ引き下げられるということになるわけであります。
本俸に入って参りますといろいろな
付加給の基本に算定されるわけでございますので、
給与費としては
総額においてこの
程度の
増加を来たすということになるわけでございます。
昇給財源が全体で百八十五億円、
義務教育費等についての
国庫負担金を差し引きますと、百四十九億円となるわけでございます。
義務教育職員の
給与費につきましては、別途二分の一は
義務教育費国庫負担金として国の
予算に計上されておるわけでございますので、それと
考え方を同じにいたしておるわけであります。すなわち三十三年の
予算額に一%の
増加を見込んで、それにさらに三十四年度へ持っていくために三%の
増加を見込む、こういうような算定が行われておるわけであります。これは国の
予算に合せております。
一般職員や
警察職員につきましては四・二%の
昇給財源を見込むという
計算をいたしておるわけでございます。
恩給及び退隠料は過去の実績に基いて
計算をいたしております。
その他の
経費で九十六億円の
増加、純
地方負担額では三十四億円の
増加となっておるわけでございますが、
国庫補助負担金を伴いますのが百五億円で、純
地方負担額では四十三億円であります。そこにおもなものだけを若干掲げておいたわけであります。
義務教育教材費でありますとか、
生活保護費でありますとか、
児童保護費でありますとか、
結核予防費でありますとか、
都道府県警察費でありますとかいうようなものについて
予算の
増額措置が行われておるわけでございます。
国庫補助負担金を伴わないものにつきましては、
差し引き計算では九億の
減少を示すことになっています。三十四年度は
選挙が一般的に行われるわけでございますので、二十七億円の
増加を来たす。その次は、
駐在所に
勤務しております
警察職員の
配偶者に対しまして、
配偶者もまた駐
在所勤務の
警察官の
事務に一般的に
協力するような状態に置かれておるわけでございますので、近来若干の県でとられております
報償費の給付、それを一般化したい、こう考えておるわけであります。月千円の
報償費を支給できるようにいたしたいということで、二億円
程度の額を見込んでおります。その次が
生徒増、
人口増に伴う
経費の増が十三億円、その次が
旅費及び
物件費の
節約、国の
予算編成に当りましては、
物件費等の
節約は二%、三%あるいは五%見込まれたわけでございますが、
地方財政計画の上におきましては、平均三%の
節約を期待するということで三十八億円の減をされておるわけでございます。
合併の進行に伴う
経費の
減等が十三億円あるわけでございます。これは数年来同じような
計算の仕方をずっとしてきております、経過的な
計算をしてきております
計画上の
数字でございます。
公債費では七億円の減が立っておるわけでございますが、実質的には四億円の減でございます。(3)に書いておりますように、東京都及び五大市の
下水道事業を準
公営企業に移しかえることにしたことにより三億円の減が生じているからでございます。普通
地方債の分では二十七億円の減でございますが、
直轄事業分担金にかかる
交付公債分では二十三億円の
増加となっておるわけでございます。
直轄事業の分担金を全部公債でまかなうという建前を
昭和二十八年以来とって参ってきておりますので、
交付公債にかかります元利償還分が毎年
増加する傾向をたどって参っておるのであります。反面、普通
地方債につきましては、
地方債の発行額を漸減するという
方針をとって参りました
関係もございまして、三十四年度では二十七億円の減ということになっております。こういうような傾向は逆に三十五年度からは、若干ずつまた
増加していくというふうに変って参るのでございます。
維持補修費では別に増減を見込んでおりません。
投資的経費で、
国庫補助負担金を伴うものが四百十三億円という大幅な
増加になっております。
地方の純
負担額におきましても二百十八億円という非常に大きな
増加になっておるわけでございます。
公共事業を
充実することによりまして、いろいろな施設も水準が
引き上げられるということになるわけでございます。普通建設事業費では三百五十八億円の増、純
地方負担額では百八十四億の
増加でございます。最も大きいのは
道路整備事業費でありまして、五カ年一兆円の
計画の進行に伴います
増加額でございます。このほかに
直轄事業が大きく取り上げられておりますので、全体としてはさらに大きな金額になっておるわけであります。文教施設
整備事業費では四十八億円の
増加、
地方負担額では二十九億円の
増加でございます。治山治水対策事業費で四十五億円、その他で百七億円、
災害復旧事業費が三十四億円で、これらを合せまして
公共事業費が
増加いたしておるわけであります。そのほかに
失業対策事業費が二十一億円の
増加で、純
地方負担額では十億円の
増加ということになっておるのでございます。このような大きな
地方負担額の
増加になりました一つが、
地方財政再建のための
公共事業費の
国庫負担率等の特例、これが期限がきましたので、三十四年度からはもとの低い国の
負担率に下ることが大きな原因でございます。もし国費を一定いたしまして、
臨時特例法の
負担率によって事業を
計画するということになりますと、
地方の
負担は、
公共事業で五十五億円
程度を
減少し、
直轄事業で三十二億円
程度減少する、こういうように見込まれておるのでございます。それともう一つは国費そのものが相当に
増額されているからでございまして、両面から
地方負担額が非常に
増加してきたということになっておるのでございます。
国庫補助負担金を伴わない投資的な
経費は七十五億円の増、こう予定しておるのでありまして、普通建設事業費で六十二億円、
災害復旧事業費で十三億円の
増加と考えているわけでございます。これらを全部合せまして一千十八億円の
増加、純
地方負担額では六百七十七億円の
増加と考えているわけでございます。
備考に掲げましたように、東京都及び五大市の
下水道事業を準
公営企業に移しかえることに伴い、
昭和三十三年度
財政計画から、
公債費五億円、
公共事業費十五億円、国庫補助金を伴わない普通建設事業費二十九億円、合計四十九億円を落して、そして比較しやすいようにいたしたわけでございます。
歳入では、
地方税で三百四億円の
増加でございますが、普通税では二百二十四億の
増加、
現行制度による増が三百十四億、
事業税等の
減税による減が九十七億、国税の
改正に伴う増が七億、こういう
内訳になっておるわけでございます。
地方財政計画では、標準
税率に基く
税収入を計上していくという建前をとっておりますので、
固定資産税の
制限税率が引き下げられることになっておりますが、この六億円分はこの
計算に入っていないわけでございます。目的税の増が八十億、
現行制度による増が三十九億円で、
軽油引取税の
税率引き上げ一キロリットル四千円、その
引き上げによる増が四十一億円を見込んでおるのであります。
地方譲与税が十二億円の
増加で、
入場譲与税が五億円減り、
地方道路譲与税が十六億円、特別とん譲与税が一億円
増加、こういうことになっておるのであります。
地方交付税の増が二百四十六億円。
国庫支出金の増三百四十一億円のおもなものは、義務教育費
関係の
国庫負担金で八十六億円、そのうち
給与費の分が八十四億円、教材費の分が二億円ということになっております。その他の
普通補助負担金の増が六十億円でありますが、おもなものは
生活保護費、
児童保護費、
結核予防費、
都道府県警察費等でございます。
公共事業費補助負担金の増は百八十四億円で、普通建設事業費の補助
負担金が百七十四億円でありまして、最も大きなものが
道路整備事業費の百二億円でございます。その他文教施設
整備事業費、
治山治水対策事業費等がございます。
災害復旧事業費補助
負担金が十億の
増加、
失業対策事業費補助負担金が十一億円の
増加、こういうことになっております。
地方債は、別途
地方債計画をお配りいたしておりますので、それでお話しさせていただきたいと思います。
雑収入で五十億円の
増加、使用料及び手数料で四十六億円、発電の
増加等によって、
発電水利使用料が八億円
程度増加するようであります。
高等学校授業料の
増加が八億円、
高等学校の生徒数が
増加して参っておるわけでございますので、
職員給与費の中でも、
高等学校の先生の
増加を見込んでおるわけでありまして、それに対応して、ここに
授業料等の
増加も見込んだわけでございます。その他で三十億円、雑入で四億円、合計して一千十八億円、こういうことになっておるわけでございます。
次に、一枚紙の
昭和三十四年度
地方債計画というのがございますので、それをちょっと見ていただきたいと思います。
三十四年度
計画額A欄の一番下を見ていただきますと、千百億円でございます。三十三年度のB欄の額が千億円でございますので、百億円の
増加ということでございます。そのうち一般会計分が四百九十五億円で、六十五億円の
増加となるわけでございます。ところが
直轄事業の分担金が七十八億円
増加いたしますので、それを加えますと百四十三億円の
増加ということになるわけでございまして、
普通会計分の
地方債が実質的には三割前後の
増加、非常に大きな
増加の
数字になっておるのでございます。一般補助事業は五億円
増額するわけでありますけれども、先ほど申し上げましたように
公共事業費の
地方負担額が非常に
増加して参っておりますので、五億円
増加いたしましても充当率は逆に下って参るということになっております。三十三年度の場合と同じように、総合開発、災害関連、住宅、港湾、都市
計画、これだけのものを対象にして起債を許可したいというふうに考えておるわけでございます。都市
計画につきましては、都市
計画税の
関係もございまして、三割
程度の充当率を従来から考えているわけでございます。その他の事業につきましては五〇%
程度の充当率であったわけでありますが、五億円
増額いたしましても、四五%
程度の充当率に起債の方は下ってくるというように見込まれておるのでございます。
災害復旧事業費で右の端を見ていただきますと、二十五億円
増加させておるわけでございますが、三十三年の災害の規模が大きかった
関係から、過年度
災害復旧事業費に相当の起債を予定しなければならないことになっておるのでございます。義務教育の施設
整備事業につきましては、二十五億円のかなり大幅な
増額を予定しておるわけでございまして、
すし詰め教室を五カ年間で
解消していこうという国の
計画に即応いたしまして、
地方債の面におきましても相当な
増額を予定いたしたわけでございます。一般
単独事業では十億の
増加でございますが、
下水道事業で六億円、その他について四億円の増を予定しておるわけでございます。別途東京都、五大市の
下水道事業は準
公営企業に切りかえるという
考え方のもとに移しかえを行なっております。2の準
公営企業分の(4)のところに、六大都市分として四十億円が上っておるわけでございます。三十三年度よりも、この分については二十億円の
増加、重点的に下水事業の
整備をはかっていきたいという
考え方を持っておるわけでございます。
準
公営企業分では、
総額が百十八億円で、前年よりも三十八億円の
増加となっておるわけで、港湾
整備事業について十一億円、簡易水道事業四億円、屠場事業はそのままでありますが、宅地造成事業で三億円の
増加というようにいたしておるわけでございます。区画整理等が行われます場合に、保留地の売却等が行われますまで、ある
程度の資金を必要とするわけでございますので、今回新たに宅地造成事業というような項目を準
公営企業に立てまして、この
程度の額を予定いたしまして、そうして区画整理等の事業の振興を助成したい、かように考えておるわけでございます。
公営企業会計分では七億の
増加、電気事業は十億円の減、水道事業では十億円の増、この中には工業用水道も入っておるわけでございまして、工業用水道は三十三年が三十億円でありましたのを三十二億円に予定をいたしておるわけでございます。交通事業が六十五億円で五億円の増、病院事業が十二億円で二億円の増、市場、国際観光、ガス、その他の
公営企業は従来通り。
退職手当債は、この
計画に掲げることをとりやめて、十億円の減にいたしております。一般的には
退職手当債を予定することは避けたい。しかし
合併町村等でどうしても必要な分につきましては、一般
単独事業のワクの中で考えていくべきものであろうというふうに存じておるわけであります。
この千百億円の資金構成は、
政府資金が八百五十億円で
公募資金が二百五十億円になっておりますが、この二百五十億円のうちで、百億円は
公営企業金融公庫から融資をし、残りの百五十億円は市中において
地方債を発行して資金を集める。その資金を予定いたしておるわけであります。以上であります。