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1959-01-30 第31回国会 衆議院 地方行政委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年一月三十日(金曜日)     午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 鈴木 善幸君    理事 亀山 孝一君 理事 渡海元三郎君    理事 吉田 重延君 理事 阪上安太郎君    理事 門司  亮君 理事 安井 吉典君       相川 勝六君    天野 公義君       天野 光晴君    飯塚 定輔君       金子 岩三君    山崎  巖君       加賀田 進君    佐野 憲治君       北條 秀一君    下平 正一君       中井徳次郎君    本島百合子君  出席政府委員         総理府事務官         (中央青少年問         題協議会事務官         長)      深見吉之助君         警察庁長官   柏村 信雄君         警  視  監         (警察庁刑事局         長)      中川 董治君         警  視  監         (警察庁保安局         長)      木村 行藏君  委員外出席者         参  考  人         (東京青少年         問題協議会委員、         東京地域婦人         団体連盟副会         長)      田崎とし子君         参  考  人         (神奈川児童福         祉審議会委員) 佐竹  昇君     ————————————— 一月三十日  委員中島茂喜君及び矢尾喜三郎辞任につき、  その補欠として天野公義君及び本島百合子君が  議長指名委員に選任された。 同日  委員天野公義君及び本島百合子辞任につき、  その補欠として中島茂喜君及び矢尾喜三郎君が  議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  風俗営業取締法の一部を改正する法律案(内閣  提出第一七号)(参議院送付)  警察に関する件      ————◇—————
  2. 鈴木善幸

    鈴木委員長 これより会議を開きます。  風俗営業取締法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本日は、まず本案について参考人より意見を聴取することといたします。御出席参考人はお手元に配付いたしました名簿の通りであります。  この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。風俗営業取締法の一部を改正する法律案は、御承知通り近年の実情にかんがみまして、喫茶店バーその他設備を設けて客に飲食させる営業で、客席における照度を暗くして営むもの及び他から見通すことが困難な狭い客席を設けて営むものを新たに本法の風俗営業に含ませることとし、また客席を設けて客に飲食をさせる営業で、その深夜における業態善良風俗を害すると認められるものについて、都道府県公安委員会が必要な処分をすることができるようにする等、これらの営業に関し善良風俗保持のための規制を加えることができるように措置せんとするものでありまして、本委員会におきましては、昨年来慎重審議を重ねて参ったのでありますが、本日は、特に児童福祉並びに青少年問題に御造詣の深い各位から本案に対して御意見を拝聴し、もって本委員会本案審査に万全を期することといたした次第であります。つきましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見の御発表をお願いいたします。  なお、議事の進め方につきましては、田崎君、佐竹君の順序で、お一人当りそれぞれ十五分間程度において順次御意見の御発表を願った後、委員側参考人に対する質疑を行うことといたします。  それではまず田崎とし子君より御意見の御発表をお願いいたします。田崎参考人
  3. 田崎とし子

    田崎参考人 ただいま御紹介にあずかりました田崎でございます。私は、お手元に上っておりますように、都の青少年問題協議会委員東京都の地域婦人団体連盟副会長とする母親立場としても今日参ったわけでございます。  深夜喫茶青少年においては悪の温床であるということは、もうすでに先生方は御承知のことと思いますのでくだくだしくは申しませんですが、実はこの問題につきましては、約六、七年前から非常に私どもが悩んでおったわけでございます。何かこれについて対策はないものか、とにかく母親の手で何とかしたい、善良なる青少年が深夜喫茶においてたまたまそういう不良少年に巻き込まれていく、そういうケースを幾つも見せられた場合に、私どもは非常に悩んでおったわけでございます。たまたま昨年でございましたか、五月に、東京都の各地域下部組織といたしまして青少年問題の地区委員会の方から、何とか対策はないものかという声が上ったわけでございます。それと同時に、やはり地域婦人団体お母さん方からも何とかならないかという声が上りまして、そこで都の青少年問題協議会では、この問題に真剣に取っ組んできたわけでございます。そのときに、これは何とか都条例でというような案も出たわけでございますけれども都条例では何か踏み切れない面もありまして、これは一日も立法化を急がなければと、立法措置をお願いするよりほかに手がないのではないか、そこで主婦連のおかあさん方もお寄りになりまして、青少年法律で何もかも縛ってしまうということは私たちの本意ではない、けれどもこの問題もほんとうに限界に来ているんじゃないか、私たちの手でこれ以上どうにもしようがないのではないか、こういうお母さん方踏み切り方でございました。そのために私どもも実地の踏査もいたしました。また警視庁へ参りまして、一々不良青少年の問題、転落のケース、それから現在収容されている人たちの数、その他深夜喫茶調査などいろいろ研究されたわけでございます。そのときに都内ではキャバレーとか、バーとか、あるいは喫茶店、お好み焼き、そういったものをみな合せまして一万三千軒あるうちの、深夜営業をいたしておりますのが約四千二、三百軒ということを警視庁で出したわけでございます。そのときに、特に青少年出入りする深夜喫茶はどれくらいであろうかと調べてみましたが、やはり青少年が特に出入りする深夜喫茶は、新宿だとか、渋谷だとか、池袋とか、そういったところが多いわけでございます。そういう業態は約千七百軒くらい警視庁で調べて出しております。そこで補導された青少年は、昨年の一月から六月までの上半期において約四百三、四十名ということをうたっております。これはたまたま補導された数でありまして、私たちが実際見ました面では、それは実はほんとうに運悪くひっかかったもので、あとはほとんど上手に逃げている方でございます。この逃げている数はほんとうにつかめないのでございますけれども、おそろしい数であるということをみんな見ているわけでございます。  そこで昨年の八月から、都条例によって取り締ることもいろいろ要望書を出したのでございますが、これはやはり立法化でやっていただかなければというので、そこで私ども青少年問題協議会も、都の地婦連も、同時に八月から九月へかけまして各関係官庁国会総理府、それぞれのところに一日も立法化を急いでいただくようにという要望書を出したわけでございます。おかげで法務省、それから警察庁におかれましても、この立法化の研究をなさっていただいております。大へんども喜びまして、今度は全国の各都道府県にありますところ地域婦人団体連絡協議会に通知を出しまして、また各都道府県からも、婦人会の名において、その都道府県から選出されておられます国会議員さんにそれぞれ請願を出していただいているわけでございます。これは全部お手元へ届いていると私は信じております。こういうわけで万全の措置をとりまして、私どもは一日も早く立法化をお願いしているわけでございます。特にお願いしております焦点は、時間の問題でございまして、午前一時以後の営業はやはり禁止していただきたい。あるいは設備は、今までのようなああいったボックスを高くするとか、ロマンスシートを置くとか、小部屋を置くとかいうことは全部なくしていただきたい。それから照度の問題でございますが、これはやはり十ルックス以上はほしい。それからやはりこれは立法措置において許可制にしていただきたい。今までは届出制だけで深夜喫茶は営まれたのでございますが、全部許可制にしていただきたいということをお願いしておったわけでございます。  幸いに今日こうして私は呼ばれたのでございますが、どうぞ母親の切なるお願いを皆さんに御了解いただきまして、何とか一日も早くこの立法化を急いでいただきたい。そういたしますれば、都の方の都条例もすみやかになされるのではないかと思いますので、特に先生方にお願いするわけでございます。  大へん簡単でございますが、これで終ります。
  4. 鈴木善幸

    鈴木委員長 次に佐竹昇君に御意見の御発表をお願いいたします。佐竹参考人
  5. 佐竹昇

    佐竹参考人 佐竹であります。神奈川県の児童福祉審議会委員を長らくしております。  神奈川県におきまするところのこの深夜喫茶に対しましては、神奈川県の各層の方々から、この問題は非常に真剣に取り上げられまして、何とかしてもらいたいということで、神奈川県におきましては青少年保護条例を作りまして、前から青少年保護のことにつきましては十分注意いたしておりましたが、この深夜喫茶が問題になりましてから、昨年の七月以降におきまして、十分その実態調査する必要があるんではないかということで、まず警察それから福祉審議会委員が手分けいたしまして、数回にわたり、深夜喫茶を営んでおるところ横須賀地区川崎地区横浜地区というような、おもにそういう店の多いところ実態調査をいたしました。  この調査の結果、委員意見といたしましては、どうしてもこれは何とか対策を講じなければいかぬではないかというような——現実のいろいろな照度の問題、そこに夜おそくまで十八才未満少年少女が入っておるというような状況を見まして、どうしてもこれに対するところ対策を立てる必要があるんではないかという段階に至りまして、大体九月に至りましてから、その問題につきまして、何とか現在ありまするところの県の青少年保護条例の一部を改正して、そしてそれの取締りに当るようなことにしてはいかがかという話になりました。けれどもこれは非常にむずかしい問題でありまして、どこまでも業者に迷惑をかけない、業者自体が十分に自粛していただくというような持って行き方でないとまずいんではないかということで、その点は非常に考慮いたしました。ですから神奈川県におきましての実情といたしましては、業者になるべく迷惑をかけない、みずから自粛していただくような方途を講じたいということで、かような配慮のもとに条例改正をして、これを公布いたしましたのが十月の十六、十七日でありました。これを一応新聞に掲載いたしまして、こういうふうなことで取り締ることになるから十分に自粛してもらいたいということを公告したわけであります。  その次の段階になりまして、しかしそれを規制するに当りましては、他の府県でやっておられるところ実態実情も知りたいというようなことで、大阪府、兵庫県に参りまして、現在施行されておりまする状況を視察して参りました。その結果、神奈川県におきましても慎重審議を重ねて、この規制をしようということで、まず最も問題になっておるような照度の暗い、設備の非常に悪いというように、だれが見ても工合が悪いところだけを約二十三軒を指摘しようということになりましたが、この二十三軒に出します前に、一応あなたのところはこういう点においてどうもまずいと思うが、改善できるならばぜひ一つ改善をしてもらいたいということのあらかじめの勧告をいたしました。しかしそれは勧告でありまして、なお指令を出しまして十分に注意してもらいたいということを申しましたところ、それでは私のところはぜひその指令を取り消していただきたい、設備の不完全なところ、いわゆる照度の暗いところは明るくいたし、またいろいろな障害がありまして見通しのつかない、あるいはいす席の高いところというような、こちらの指摘しましたことにつきまして、直す、改善いたしますということで、さっそくにその取り消しを申し出てくるところもあるというような状態で、施行しまして大へんよかったということであります。引き続いて、照度の点におきましては不平も出て参りまして、あそこの店で指摘されておるのにほかの店ではまだやってないではないかというようなことがありまして、第二回、第三回というように回を重ねて指摘いたしております。その反響といたしましては、あまり業者の方からは苦情も出ておりませんし、むしろ改善をして注意してやっていこうというような傾向が見えておるということは、大へんにうれしく思っておるわけであります。  しかしながら、これはどうもやむを得ない臨時の措置として神奈川県におきましていたしましただけのことで、ぜひこれはやはり国としましてこの法律の制定をしていただき、その実施が全国的になされるということは、私どもが切望いたしておることでございますので、ぜひこの問題は十分に御審議いただきまして、なるべくすみやかにこの実施が行われますように切望いたして、私の参考意見といたしたいと思います。
  6. 鈴木善幸

    鈴木委員長 これにて両参考人の御意見の御発表は終りました。  参考人並びに政府に対する質疑に入ります。質疑の通告がありますので順次これを許します。加賀田進君。
  7. 加賀田進

    加賀田委員 お二人の参考人経過等の御報告を伺ったのでありますが、今御報告いただきました田崎さんにちょっとお尋ねいたしたいと思います。深夜喫茶規制をするための大体の条件として、時間は午前一時まで、以後は禁止してもらいたい。こういう御意見と、設備照明等について特段の点は考慮してもらいたい、こういう点がありましたが、これは現在深夜喫茶と指摘されている喫茶店に対しての御希望であるか、あるいは喫茶店全部に対して午前一時以後全部を中止するように要望されておるのか、その点を伺いたいと思います。
  8. 田崎とし子

    田崎参考人 ただいまの御質問にお答えいたします。実は私ども婦人団体全体の願いは、あらゆる飲食物を提供する店は、一部深夜の勤労者に対する飲食物を提供する店は別といたしましても、そういう店は十一時で取り締ってほしいところなんでございますが、これは現段階ではいろいろな情勢を見まして無理だと思いますので、現在ほんとう青少年のために悪の温床になっている設備構造照度の問題で、なかなか取締りが強化できなくて違反を続々やっているというようなところを、ぜひ十一時で、こちらに上っております風俗営業の一部改正で取り締ってもらいたい、このように考えております。
  9. 加賀田進

    加賀田委員 もう一点ですが、実はこういう二つ意見があるのです。今深夜喫茶風俗営業取締法ワクの中に入れて、警察監督のもとにそういう青少年不良化を防止するような諸般の指導監督をするということで、不良少年温存地帯といわれている深夜喫茶のそういう目的をなくしようという意見と、大体喫茶店というものはそういう目的のものではないのだから、深夜喫茶といわれているそういうもの全部を廃止するようにしてもらいたい、いわゆる喫茶店というものは従来の純喫茶店のような形に全部戻すべきであって、それを単なる風俗営業取締法ワクの中に入れて、たとえ時間的の問題とか、照度の問題、設備の問題を改善したって、一部の改善をしたということだけで、深夜喫茶という忌まわしいものを一応他の拘束の中に入れて存続するという事態がいけないのだという意見、こういう二つ意見が現在あるわけなんです。ただいま政府の方で出しているのは、今申し上げたように、深夜喫茶全部を完全になくして純喫茶に転化させる、もとの姿に返すということは非常に困難なので、風俗営業取締法の中に入れて指導監督をしていって、そういうものを逐次なくしていくのだ、こういうような趣旨で提案されているわけですが、田崎さんとしてはどちらの方に賛成されるか、一つ意見をお伺いしたいと思います。
  10. 田崎とし子

    田崎参考人 先ほども申し上げましたように、私は、現段階におきましては政府案の方を支持いたします。それで第四条の二でございましたかで、地方条例で相当取り締れるような面もございますので、まず今の段階では一応それでやっていただきたい、そのように考えております。
  11. 加賀田進

    加賀田委員 佐竹参考人にお尋ねいたしますが、神奈川県の方では、業者が自主的にそういう目的に沿って努力するように指導もし、要請もされたということになりますと、法の趣旨に沿うたような処置を現在とられているわけですね。従って田崎さんも、現状においてはこの程度でやむを得なかろう、将来を待つ以外にないだろうということですが、佐竹さんもそういう意見で、現在風俗営業取締法ワクの中に入れて、警察指導監督のもとにそういう姿のないような状態指導していくということで、やはり深夜喫茶そのものに対しては、現在の日本の現状からやむを得ない、除かなければならないという意見なのか。それとも第一段階としてはそういう処置をとって、将来やはり喫茶店というものは従来の純然たる純喫茶の姿に戻すべきだ、こういう御意見なのか、どちらかお伺いしたい。
  12. 佐竹昇

    佐竹参考人 お話通りで、私どもの方でもそういう段階で進んだ方がよいというようなことで、審議会の諸君の御意見もそうのようであります。私自身も、今の案で進まれた方がいいじゃないかと存じます。
  13. 加賀田進

    加賀田委員 それから喫茶店内部設備の問題です。小さな部屋を作ったり、あるいはロマンスシートにして、いろいろ問題が起っておりますが、そこに重点を置かれるのか。あるいは照度が非常に暗いので、その暗い中に犯罪温存という性格があるのか。その点どちらが比重が多いのか、研究されておるとするなら、一つどちらの比重が多いかを御意見をお伺いしたい。
  14. 佐竹昇

    佐竹参考人 設備の点もありますし、照度両方が関連しておると思います。やはり暗いということも、設備がそういうふうに、何と言いますか、不純な行為をするような設備になっておりますれば……。どうもそういうような両方が関連しておりますので、一方の暗い照度だけの問題を問題にするのではなくて、これはやはりどうしても関連性を持って心配していかなければならない。それに対するところ処置を講じていかなければならないと思います。
  15. 加賀田進

    加賀田委員 それでは犯罪温存あるいは少年不良化温存となっているのは事実だと思うのですが、それは少年がそういう施設その他を利用してみずからそういう不良化の方向にいく行為をするのか、あるいは喫茶店出入りする少年が、たまに不良少年がおって、それが誘導するとかあるいは誘惑するというような形の中で不良化していくのか、どちらの方がそういう状態が多いのでしょうか。
  16. 佐竹昇

    佐竹参考人 その原因といいますか、そういうことについてはまだよく私もわかりませんけれども、二時、三時くらいまでああいうところに十八才未満少年少女がおりまして、それから帰っていくということについては、どうも不純な行為が行われるのではなかろうかということです。普通の家庭であれば、そんなに二時、三時までもああいうところに子供を置くような家庭はない。やはり注意するのではないかと思いますが、その二時、三時までもああいうところで遊んでおるところの年若い少年たちのその後の行為につきまして、やはり憂慮すべきものがあるのじゃなかろうかと思います。そういう点で、そこ自体がそういうようなことをかもし出して、それがあれになるということと、またそこがそういうふうな行為の中継の場所というか、そこで相談し合うような場所というふうなことに利用されるような傾向は十分に見られると思います。
  17. 加賀田進

    加賀田委員 それで風俗営業取締法を適用されますと、十八才未満出入りを禁止される。そういたしますと、今申し上げた十八才未満青少年出入りはできませんから、これはもう目的は達せられると思いますが、ただそういう場合に、十八才以上の青年に対しても、やはり何かの処置を講じなければならない。そのためにはそういう内部構造照明と深夜と、三つがからんでいるわけですが、風俗営業取締法に入りますと十一時以後は営業できないという形でこれは目的は達せられると思うのですが、もっと大きな問題は、やはり照度の問題ではなかろうか。新聞が読める程度であるという希望も、われわれとしてはいろいろ論議しているわけですが、どの程度照度が適当であるかということを研究されているなら御説明を願いたいと思います。
  18. 佐竹昇

    佐竹参考人 大体暗いので三ルクスでございますね。三ルクスというのだと、もう新聞が、よほどあかりの下へ持っていかなければ見えない。先ほどお話のありましたように十ルクスになれば、これはもう十分に照明がとれると思うのでございます。また、あまり明るくするということもどうかと思いますが、十ルクスぐらいになれば、まずまず差しつかえないというように、私どもそちこちの喫茶店バーでは感じております。
  19. 天野光晴

    天野(光)委員 関連して佐竹参考人にお伺いするのですが、そうしますと、現在の改正法で参りますと、十ルクスに満たないものを各都道府県条例で定めれば可能であるというふうにできておるのですが、今の佐竹参考人の御意見でいきますと、十ルクスならばよいというので、非常にその幅が広いと思うのですけれども、各府県実情に照らして、十ルクス未満であっても、三ルクス以上という最低の線を示すことができれば了承できるのか、それとも十ルクス以上でなければいけないという考え方なのか、その点もう少し明確にしていただきたい。
  20. 佐竹昇

    佐竹参考人 県といたしましては、そう強くはできませんけれども、国としておやりになるならば、やはり十ルクス以上というふうなことの方がいいのではないかと思うのでございます。その三ルクスというのは最低の線でありまして、これは非常に暗いのですから、幅があるといっても三ルクスから十ルクスの間、やはり十ルクスぐらいになればだいぶ明るくなります。これならばまずまずというところではないかと思うのでございます。
  21. 天野光晴

    天野(光)委員 田崎参考人なり佐竹参考人にお伺いするわけですが、ただいま加賀田委員からの質問の答弁によりますと、深夜喫茶というものは非常に青少年間において悪影響を伴うので、どうしても何とか処置をしてもらいたいという考え方から、営業時間の問題あるいは照度の問題あるいは設備問題等について強力な要請をされておる。そのためかどうかわかりませんが、政府当局としては、このたび改正法律案を出して、その御期待に幾分でも沿えるような格好のものにしたいというのでこの法律案が出てきた。そこでこの現在の改正法律案に対しては満腔の賛意を表するわけにはいかないが、一応第一段階としては、この出された改正法律案によってやってみて、そうして自分たち希望の満たされなかった点は、この法律案が施行された後において、また起きるような状態においては何らか適当な措置を講ずるというようなことで、原案に御了承できるような御意向のようにただいま承わったのですが、その点いかがでございましょうか、どちらでもけっこうでございますから一つ……。
  22. 田崎とし子

    田崎参考人 お答え申し上げます。私ども願いは、先ほど申し上げましたように、ほんとう青少年は十一時ともなればそれぞれ家庭へ帰るべきもので、もっと私きびしく申しますならば、世のだんな様方も、やっぱり十一時、十二時には御家庭には帰ってもらわなければならない。(笑声、拍手)その意味におきましても、私はほんとう単独立法であらゆる飲食物提供場所は時間の規制をしていただきたいところですけれども、現段階におきましては、私は政府案を支持いたしまして、一日も早くこれを通していただきたいのでございます。そうして通りましたあとは、地方の事情に応じまして、地方条例によってそれぞれ照度の問題なんかも研究されるのではないか。また同じ風俗営業ワクの中にあります業態におきましても、業態によって、また業種によって照度がいろいろにきめられてくるのではないか。このように思いますので、どうか一つ段階は何とか早くこれを通していただくように先生方のお力をお願いしたい、このように思うわけでございます。
  23. 天野光晴

    天野(光)委員 くどいようですけれども、そうしますと、田崎さんの御意見では、とりあえずこの出ておる改正法律案を早く通して、現段階措置を一日も早くやってほしい。そして最初から考えておったことは少し隔たりがあるようだが、これをやってみて、そして予期したような問題が起きてくる場合においてはまた考慮するとしても、一応とりあえず法律案をこの原案通りすぐ通してやってもらっても差しつかえない、こういうふうに聞いて差しつかえございませんか。
  24. 田崎とし子

    田崎参考人 私は、そういうことでけっこうでございます。
  25. 鈴木善幸

    鈴木委員長 飯塚定輔君。
  26. 飯塚定輔

    ○飯塚委員 きわめて簡単にお伺いしますが、特に佐竹さんにお伺いしたい。風俗営業取締りということに関しては、それを法律できめて取り締らなければならないという世相そのものをわれわれお互いに憂慮しなければならない。これは大きな国家的な問題であって、特に現在社会的に論ぜられておる民族の興隆という点からいっても、大へんな重大な問題だと私は考えております。特に佐竹さんは、地域的に見て神奈川県の観光地帯である。そういうところでは大へんお骨折りになっておることと思います。また季節的にも大へんお困りになっておることもあるだろう。それについて、県の条例を作って、思わしからざる業者に対してはいろいろと勧告をする、大へんけっこうなことでございますけれども、私はその逆の方面からいって、たとえばPTAとか、婦人会とか、主婦会とか、そういう団体でどういう対策をやっておられるか、その点を一つお伺いしたいと思います。
  27. 佐竹昇

    佐竹参考人 それは私の方としましては、学校教育の方、社会教育の方にも関連いたしますので、そこまでのことについては、青少年問題協議会におきまするところの話し合いということになりまして、御協力をいただくという以上には、審議会の形としてはちょっとできないわけです。やはり条例を作りまして、その条例に基いて、警察その他の関係と密接に指導の面をしていく以外に、今のところはちょっとやりかねる実情でございます。
  28. 飯塚定輔

    ○飯塚委員 田崎さんが、ただいま青少年ばかりでなく、だんな様方も十一時、十二時には時間を過さないように早く帰った方がよろしいという御意見でございましたが、これはごもっともなことであります。ただ取締りの方面からばかり考えてそれを堅持するということは、その時期としては必要なことでありましょうし、やらなければならないのでありますけれども田崎さん、これは今佐竹さんにもお伺いしましたが、お母さんの立場とか、そういう団体で、それの対策としてどういうことをやっておられるか、やればいいかということを一つお教え願いたい。
  29. 田崎とし子

    田崎参考人 青少年の問題は、私ども婦人団体でも終戦直後から取り扱っておりまして、不良化防止という面と、それからほんとうに普通の家庭青少年、子供の健全育成の面と、両面をやっているわけでございます。それで健全育成の面におきましては、いろいろ映画の対策とか、あるいは不良出版物、雑誌など、それから悪い本、そういったものの対策、それから紙芝居、貸本屋、そういったものをなるべくいいものを与えるようにという対策もいたしております。それから映画の対策といたしましては、私どもの方から映倫の方へも委員を出しまして、実は私がその委員となって出ておりますが、衛生映画の審査と、それから青少年に見せてはいけない、特に見せたいという推薦と規制両方の面の対策もいたしております。  それから末端におきましては、各お母さん方の小さなグループにおいて話し合いをいたしまして、一日も早く自分たち家庭の子供たちをすこやかに育てるにはどうしたらいいかという話し合いが、PTAとか、婦人会、青年団、それから民生委員指導委員さん、そういった人たちとの話し合いは絶えず持たれているわけでございます。  それから一方、もうすでに少し転落しかけている、また転落の寸前であるというお子さんに対しての対策は、警察、また保護司の方とも連携をとりまして、なるべくそういうお子さんに対してはあたたかい手を向けるようにという意味合いから、更生保護婦人会というのを組織いたしまして、また補導連絡会とも連携をとりまして、何らかの方策をやはり考えているわけでございます。  そういった各方面との団体、あるいは関係機関と連携をとりながら、みなお母さん方の考えの落ちるところは、やっぱり家庭の問題じゃないか、まず家庭からということになりまして、最近は、家庭を明るくするにはどのようにしたらいいかというお母さん方の話し合いが行われております。そういったことでいろいろやらせていただいております。
  30. 飯塚定輔

    ○飯塚委員 大へんけっこうなお話を伺ってありがとうございました。大体夜子供が十一時、十二時までも出るというのは、一つの習慣にもなってしまうことだと思いますし、なるだけ子供のときから夜は遊びに出さないという習慣をつけることが必要だと思います。ヨーロッパでも、イタリアは日本と同じように、子供を夜おそくまで外へ連れ出たり、遊んだりするのはあまり気にしないが、ほかの国では、夜子供を家庭より出さないようにしていると伺っております。われわれも、それらの点については十分に家庭の面からも注意をいたしますし、この法案の審議には皆さんの御期待に沿うように努力をするつもりでおります。きょうは大へんありがとうございました。
  31. 鈴木善幸

  32. 阪上安太郎

    ○阪上委員 両参考人にちょっとお伺いいたします。  先ほどから問題になっております時間の問題でございますが、大体お二人とも政府原案の十一時が深夜という概念だというふうに把握されているように思うのであります。しかし、いかがでございましょうか。お二人とも民間にあっていろいろ青少年保護のために御努力をなさっておられます。皆さん方の手で愛の鐘だとか、あるいはみおつくしの鐘だとかいろいろ御努力をなさっております。大体十時を限度とされていると私は思うのでありますが、この点について十一時という深夜の概念でいいのか、この法律目的がやはり青少年保護に重点をかけられているという観点から考えて、思い切って十時という限度を考えていった方がいいのか、こういったことをわれわれもひそかに考えておるのであります。御両所の御意見はどうでございましょうか。
  33. 田崎とし子

    田崎参考人 愛の鐘は、今池袋にもできましたし、荒川の方、方々でできつつあるのでございますが、それはやはり十時に鳴らしまして、もう十時でございますよ、そろそろおうちへお帰りなさいというお母さんのやさしい鐘であると思うのでございます。それを聞いた町の子供は、もう十時だから帰ろうというので、帰っていくようにしむけたいというところでございますが、この深夜喫茶の問題は、なるほど私は青少年の悪の温床であるからやめてほしいということは申し上げましたけれども先ほども申しますように現段階におきまして、これは青少年のことばかり考えているわけにもいかない特別な事情もまたございますので、まあ中をとりまして十一時ということで、やっとがまんをしておるわけでございます。
  34. 佐竹昇

    佐竹参考人 私も同感でありまして、やはり十時ということになれば、これは青少年の保護の上からいきますれば、十時の方がけっこうだと思います。しかし、営業者の立場もありますし、いろいろ今日本で問題になっておる喫茶という常識の問題もあろうと思いますし、いろいろからみまして、やはり十一時というところが適当ではないかというふうに考えておるわけであります。
  35. 阪上安太郎

    ○阪上委員 ただいまの御答弁、その通りだと私も思います。われわれといたしましても、一時間の差というものは果してどちらに軍配を上げていいかということについては、なかなか決しかねます。ことに喫茶などというものにつきましては、とかくわが国では、在来からうどん屋やそば屋ならあまり問題にしないのでありますけれども喫茶となると問題にしがちなのであります。しかしながら、喫茶という最近のこういった飲食業というものにつきましては、青少年から見れば、非常に魅力のある楽しい場所なのであります。従いまして、これをむやみやたらに規制していくということは適当ではないだろうというふうに、われわれも親心を持って青少年を見てやらなければならぬ場面もあるわけであります。ただ私といたしましては、十一時というのを、もっと思い切って皆さんの運動と合致するような時間に持っていくことが、社会通念としていいのではないか、こういうふうに考えて御質問申し上げただけであります。  そこでこれらの点を考えまして、次にお伺いしたいのは、こういうところ取締りを、警察官が権限によってのみ取り締っていくという方法が果していいかどうか。それよりもむしろそれと並行して、何か特別の府県条例等において観察員のようなものを設けて、それによって並行して取り締っていくというような行き方をした方がいいのじゃないかという考えもあろうかと思いますが、この点について御両所はどういうふうにお考えでございましょうか。
  36. 田崎とし子

    田崎参考人 私はまだそこまでは実は皆さんとも話し合っておりませんので、ここではお答えしかねるのでございますが、私個人としての考え方から申しますと、現段階では、やはり一応警察の手でやっていただく。お母さん方は、今までも補導連絡会の委員として、警察と相呼応いたしましてやはり街頭補導なんかには非常に力を尽しておられますので、現段階はそこらあたりでとどめておいて、そういう特に監視員を設けるとかで、民間からそういういわばおっかないおじちゃん、おばちゃんが出てくるということは、青少年の健全育成のためにどうだろうかと私はばく然と今考えております。これは私自身の考え方でございまして、青少年問題協議会とか、あるいは都の地婦連とか団体としての考え方についてはお答えできないわけでございます。ただ私個人としてはばく然と、青少年はやはりあたたかい手によって、家庭とその周囲の地域お母さん方の手で、そういうところに行かない前に食いとめていくべきではないか。ことに家庭で脱落したお子さんは学校で食いとめていただかなければならないし、学校で脱落した者は、地域社会のお母さんのあたたかい手で食いとめなければならない。そのためには地域社会のお母さんはグループを作って、いつもあたたかい目を向けていきたい。このような考え方でございますので、ちょっと申し上げておきます。
  37. 佐竹昇

    佐竹参考人 私も、現段階におきましては、警察官の補導というより仕方がないのじゃないか。お話のように、何かそういうふうに特別にそれにかわるところの機関ができますればけっこうだろうと思いますけれども、しかし今の行政機構の中におきまして、それをどうすべきかということはなかなかむずかしい問題であろう。むしろ警察官の中にこういう青少年補導の特別な教育を受け、訓練を受けられた方がありまして、そしてこういう問題を熱心に取り上げ、また指導していただくというようなところがいいのではないかと思います。
  38. 阪上安太郎

    ○阪上委員 次に照度でございますが、先ほどちょっと聞き漏らしたので、両参考人の御意見といたしましては、十ルクス以上の明るさがやはり必要だというようにお考えになっておったように私も記憶しておりますが、間違いございませんでしょうか。
  39. 田崎とし子

    田崎参考人 十ルクスというところで押えてほしいと思っております。
  40. 阪上安太郎

    ○阪上委員 それ以上ですか。
  41. 田崎とし子

    田崎参考人 現段階は、まず政府案の十ルクスで押えていただいて、とにかくこれをもっと明るくなどと私どもが望みましてもちょっと無理かと思いますので、一日も早くこの法案を通していただきたいというのが私の念願でございます。
  42. 佐竹昇

    佐竹参考人 やはり十ルクス以上ということでけっこうだと思います。
  43. 阪上安太郎

    ○阪上委員 大へんよくわかったのでありますが、今最後に早く通していただきたいというお言葉がございましたが、われわれも早く通そうと思って努力しておるのであります。やはり今申し上げましたような諸問題がございますので、いいものを作っていくという努力なんでございますから、一つ誤解のないようにお願いいたしたいと思います。  そこで警察庁長官にこの機会にちょっとお伺いいたします。十八才未満の者の入場を拒否する権限といったものが与えられておるのでありますが、一体この十八才というのはどの観点から規定されたものか、ちょっと伺っておきたいと思います。児童福祉法との関係で何かお考えになったのか。
  44. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 青少年問題協議会等のお考えもありますし、また各府県でいろいろ実情に応じて、経験的に判断いたしまして、大体十八才程度ということが、一般に今まで規制を行なってきた実情でございますので、そこを基準にいたしているわけであります。
  45. 阪上安太郎

    ○阪上委員 同じ年令の問題と関係するのですが、児童福祉法の三十四条の第四項の二に「児童に午後十時から午前三時までの間、戸戸について、又は道路その他これに準ずる場所で物品の販売、配布、展示若しくは拾集又は役務の提供を業務としてさせる行為」これは禁止されております。これはさせる行為ですから問題はないと思います。先ほど申し上げました十時と十一時の問題と、何かこういったものをもう少し基準に取り上げて考えられる必要があるのじゃないかと思いますが、この点お考えになったでしょうか。
  46. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 各法令についていろいろ検討もいたしたわけでございますけれども、大体十八と申しますと高等学校卒業、十八以上になれば、学生でありますれば大学生ということで、一応精神的にも相当の成長をしているというふうに考えられますし、従って未成年ということで二十才未満ということも、考えようによってはあり得るかとも思いますけれども、やはりある程度個人の人格と申しますか、青少年にいたしましても、そういうものの自由というものもできるだけ尊重していくということが必要であろうと思います。従って制限をするについては、十八才くらいが基準として考えていいものではなかろうかというふうに思っておるわけでございます。
  47. 鈴木善幸

  48. 本島百合子

    ○本島委員 だいぶ照度については御質問があったようでありますが、ただお二人の参考人の御意見を聞いておりますと、この政府案改正いたします風俗営業の中に入れられる喫茶店、これは御承知通り三ルクス以上となっておる、この区分の点について不明確な点があるのではないか、こういうふうに私承わったのですが、その風俗営業の中に入る喫茶店というものについては、その光の度合いを十ルクスまでに上げてくれという御希望なのか、現在地方できめておりますのは三ルクス程度以上というふうになっておりますが、実際は三ルクスから下になっておるというようなところが非常に多いわけなんです。そういう点はどういうふうにお考えになるのかということと、それから田崎さんにお尋ねいたしたいことは、一時という限度で制限をいたしたということでございますが、現在風俗営業の分が十一時になっておるのです。そうしますと、それから後、午前一時までが深夜喫茶店営業される、こうなるわけなんです。そうすると、一時で深夜喫茶店営業をやめてもらいたいというふうに考えていられるのかどうか、この点をお尋ねいたします。
  49. 田崎とし子

    田崎参考人 今、本島先生がおっしゃいました時間の問題ですけれども、私の方は十一時と各要望書にも書いて出しております。ただ青少年ほんとう出入りしていると思われるそういう店がやはりあるわけでございます。それから業者の自粛のないところが相当あるわけです。これはここで申し上げてどうかと思うのですけれども、第三国人によって経営されているものなどは、組合にも入っておられませんし、自粛をお願いしてもなかなかされないというところもございますので、そういう点も含めまして、いろいろ考えてみますと、やはり新宿、渋谷、池袋、あそこはどうしても十一時ということにお願いしたいと思うのでございます。ですから深夜喫茶といいますか、いわゆる喫茶店なんかは大体風俗営業の中に入れていただいて、そうして十一時で規制して、それから明りも十ルクスくらいのところで押えていただく。それからもう一つこういうのがございます。駅の周辺とかに喫茶店を開きまして、そこは二十ルクスであかあかとしておりますし、見通しもききます。ただ普通コーヒーか紅茶だけで、お酒も何もない。夜、汽車からおりてきていこいの場所もないからそこでちょっとお茶を飲んで時間を過ごそうか、青少年でもやはり旅行者はそういうところを望みますから、そういうところはやはり営業は三時、四時でもかまいませんけれども、特にそういうところは明るく、二十ルクスくらいということもやはり考慮に入れていただきたいと私は考えておるわけですが、今のこの法律案からいいますと、そういうこまかいことは国の法律ではできないということでございますから、まあまあ喫茶店のあたりは十ルクスでございますね。特に料理屋とか小料理屋で、そういう青少年も入らないというところは何とかがまんもいたしますが、それだって三ルクスじゃちょっと暗過ぎる、そういうことでございます。
  50. 本島百合子

    ○本島委員 そこのところが、この委員会に参りましてから非常に問題になっているところなんです。そこで認識を新たにしていただきたいことと、それからこちらがお尋ねしたいことは、今お話しになったように、喫茶店というものはまあ十一時以降はとめてもらいたい、これが最大の御希望なんですね。それができない諸般のものがあるから、その分については午前一時ごろまでやむを得ないと認める、こういう御希望なんですね。私どもも、大体深夜喫茶店というものは全面的に禁止してほしいという希望で、婦人の衆参議員は今まで努力して参ってきたわけなんです。本日地方行政委員会に参りまして、審議を延ばしているわけじゃなくて、どうすればこの改正案に沿ってよりよい環境を生み出していけるかということで審議しておりますから、現段階ではやむを得ないという考え方を一歩進めて、これができた場合においては、これが二年なり三年なり五年なり、これは改正することが非常に困難になるから、今この現実の問題と取っ組んで、どうやれば一番よいか、こういうことで論議されておるわけなんです。従って先ほども言われたように、青少年の年令の点でも、御承知通り、刑法上における二十才のものを十八才に下げるかということが出ておるわけなんで、それとかみ合せてこちらの方については十八才未満となってくるが、その点はどうかという御質問がただいまあったわけなんです。私ども見ておりますと、現在の青少年犯罪者の多くは、十八才から十九才にかけてが一番多いように見ております。そうすると、ちょうどこれがはずれる年令になってくるのです。ですから、青少年を守るという立場で出てくるならば、これはやはり刑法上でいう二十才で考えなければならないんじゃないかというふうに考えておるわけなんです。  それからこの環境上のことでございますが、かりに深夜喫茶店を存置されるということになるわけですから、その風俗営業に入るべき喫茶店と深夜喫茶店、この切りかえの問題が出てくるわけなんですね。現在委員会で確かめたところでは、一つの店舗が風俗営業を持っておって、今度は深夜喫茶店に切りかえるから、ぱっと光を明るくして、そのままの営業はさせない、こういうことを言われておるわけなんです。現実に調べてみますと、光は大体の店が操作ができるようになっておるのです。そうすると、この点も取締りが十分にいかないじゃないか、せっかく改正しても……。その点を私どもは非常に心配いたしまして、風俗営業におきます照度も、これを十ルクスくらいまで引き上げてもらう。それから普通深夜喫茶店といわれるものについては、それ以上の明るさを保ってほしい。田崎さんもおっしゃったように、二十ルクスくらいの明るいところでやっておる、そういうことが望ましいと言われたのですが、そういうふうにこの改正案の中へ盛り込んでもらいたいということを主張しておるわけなんですが、この点は、神奈川県の方ではだいぶゆるやかなように御説明を聞いたと思います。地方でそれぞれ事情も違うことだと思いますけれども、この深夜に営業する分については、やはり照度の点はもっと明るいということを皆さんが希望していらっしゃる。これは今の御説明の中でも私ども受け取れるのですから、それは了承できると思うのですが、その時間の程度で、深夜喫茶店は大体翌朝夜明けまでとなっておるわけです。地方においては、その地方状況においてそれまで営業は認められないということがあれば、地方条例で時間の制限を加える、こういうことになっておりますが、地方条例というものは、国のきめた法律の範囲をこえてはならないということが大体原則になっておるわけです。ですから、この改正案においてある程度の限度をきちっときめておかぬと、地方条例では、そのいろいろの状況において差が出てくるわけなんです。そういう点については、どのようにお考えなさいますかということをお聞きしたいと思います。
  51. 佐竹昇

    佐竹参考人 御質問照明の度合いですが、これはやはり私どもは十ルクスあれば差しつかえないのじゃないか、こう考えております。それは実際に所々のあれを見まして、そう感じておるわけであります。それは明るくなれば明るくなるほどけっこうだと思います。けれども、やはり営業立場、いろいろなことを考えますと、十ルクスあれば差しつかえないのじゃないかという考えを持っております。  それから時間の問題は、やはり取締りの方からは十一時といたしておるわけであります。その他の時間延長ということになりますと、今の営業者の立場というようなものを考え、また地方におきます終夜働く——神奈川県におきまして、船員の人たちがおそく船が入ってきて、そうして夜そういうところを利用する方もあるし、職業的に夜働かなければならない、また夜そういうところに行っていこいを求めるというような方々もありますので、これを一様にただいけないという面から見て規制されるということもどうかと思いますので、今ここに出されておるところ政府案でまず差しつかえないのじゃないかと私は考えるのであります。
  52. 田崎とし子

    田崎参考人 本島先生、先ほど時間規制のときに、私は午後十一時と申し上げたと思ったのでございますけれども、何か一時と申し上げたというふうに言われましたので、私は少し上っていたんですね。ですから、十一時と訂正していただきたいと思いますから、よろしくお願いいたします。
  53. 本島百合子

    ○本島委員 そういたしますと、風俗営業に入る分は十一時と大体法律はなっているのですね。そうすると、それ以後の深夜喫茶店は認めたくない、それはやめてもらいたい、これではっきりしてよろしゅうございますか——それでは委員会でも十分慎重にこの点を審議されると思いますが、現在の状況ではなかなかそこまでいかないだろうというような御意向があって、喫茶店に、いろいろ光の点、見通しの程度、それからボックスの程度というようなことで風俗営業に入るべき喫茶店と、それから深夜、それ以後行われる喫茶店というものがあるわけですね。そうすると、あなたの御希望がそこで通らないことになるわけです。私どもは、できるだけ深夜をやめてもらいたい、こういう希望でここまで参ったのですが、この法律改正でいってもそうならないわけです。ですから、そこで青少年を守るということからこの改正案が出されるということになりますので、先ほど申し上げた年令の度合いを十八才でよろしいのか、刑法上でいう二十才ということで考えられるのかということを、もう一度聞かしていただきたい。  それからこの問題は、警察官が介入いたしましても、ひっかかる人は運が悪くてひっかかるようなもので、なかなか網にかからない人が多いと先ほど言われたように、現実にその通りで、犯罪を犯しておる子供はほとんどひっかかっていなかったという状況が多いということになるわけです。そういう点で、もしこの法律案改正された場合は、先ほど非常に予算上の御心配で、できれば望ましいが、なかなかできないでしょうからというあきらめのようなお言葉でしたから、それをもう一度念を押しますが、これを補導するに当っては、あるいは環境を整備する、子供を守るという意味合いから、この改正案が通過いたしますと、一斉に全国的に警察庁は本腰をいれて取り締る、並びにその営業趣旨が間違っておるようなところがあれば停止もされるようなことにもなるわけです。しかし、子供の場合はそれができないで別の角度からされるから、そういう場合には、やはりある程度の監視ということではなくて、補導員の増強だとか、あるいは町の婦人会の方々が今までも御協力して下さいましたが、これをもっと法制化して、ある程度子供たちとともにいろいろのことをやってあげられる方を必要とするかしないか、こういう点を皆さん方がせっかくおいで下さったのですから、意思表示をはっきりしていただいて、今、政府の予算だとか、改正案だとか、そういうことを抜きにして、あなた方こう思うんだという意見を聞かしていただきたいと思います。
  54. 田崎とし子

    田崎参考人 年令のことは十八才で、私は現段階ではよろしいと考えております。よろしいというのではない、まあ十八才で一応法律案が出されておりますから、十八才ということにしてけっこうかと思います。  それから今も本島先生のお話を伺っておりますと、警察官がこれで一応権限を持っていろいろ取り締るんだということになるのでございますが、今までもやはり都の場合は、食品衛生の面で深夜喫茶は十八才未満は入れないことになっていたわけでございます。ただそういう場合に、警察の方が補導する場合には、保健所といつも相談し合って、きょうは行くとかきょうは行けないとか、絶えずそこに連携をとるのに手間がとれて、いきなりすっと行けないという面の不自由さがあったわけです。それが立法化されてきますと、警察の方でも単独でその深夜喫茶へ行って補導ができるわけでございます。青少年の場合は、警察の方が取り締るとか検束するとかいうのでなくて、これは児童福祉の面からいいましても、あくまでも補導でございますから、やはり私服の方がいらして、そうして一応心理学などの専攻もしたような方が上手に補導されることが望ましい。私はこれは母親立場で申し上げるわけでございます。  それから今もいろいろもっと連絡員を強化してとかおっしゃっておられましたが、そのことよりも何よりも、やはり環境整備という面から青少年によい町、よい環境を与えるという面で、私は厚生省にもこの間もお願いいたしましたが、町のどこへ行きましても、そこにはちゃんと児童センターのようなもの——子供がみんなそこへ寄って、あるいは図書館に行って本も見られる、あるいはよい映画も見られる、あるいは遊び場もある、そういった児童センター式なものが各区にどうしても一つ二つはほしい。これは都の場合を申し上げておりますが、こういうことによって青少年をそこへ誘導して、なるべく夜そういうところで遊ばなくてもいいようなふうに向けていかなければならない、そのように考えておるのでございます。ですから青少年の問題は、取り締るとか検束するとかいうことでなく、もっとそこへいくまでの段階において、私は政府でもいろいろ費用を出して、環境をよくするためにいろいろな設備もほしいものだ、そのように考えておるわけです。
  55. 佐竹昇

    佐竹参考人 今の年令の問題でございますが、それは御指摘のように満二十才までというふうなことになって、あと二年間くらいはやはり危険な年令層であるから、それまでというふうなことは、まことに理想としてはけっこうだと私は思いますけれども、現実に即して見まして、十八才というと、先ほども御説明のありましたように、大体高等学校を出る、あとは大学に入るということになりますので、やはり十八才というところの年令において補導という——保護というふうな言葉も使われますけれども、それ以上になりますれば、やはり個人の人格も重んぜられるし、十分に自覚を持って行動しなければならない年に達するのであります。それでいつまでもということじゃなく、やはり十八才程度でいいのではないかと考えるのであります。
  56. 本島百合子

    ○本島委員 もう一点。実は青少年の問題でも、十時に愛の鐘を鳴らして帰れというふうに地方条例を作るときに、これは憲法違反という責めを神奈川県は受けられたと思います。そうしますと、今度の問題につきましても、こういう点の抵触があるというようなことで、先ほど田崎さんがおっしゃったように、特別立法を願ったけれども、それがうまくいかないと思って、現段階においてはという言葉が出たと思うのです。この点で非常に私どもも苦慮いたしておりますが、何といたしましても、青少年を守るということが主体となってこの改正案ということになったわけであります。その点についての不備ということは、この機会にやはりきちっと打ち立てておかなければならないという点で、参考になるべきことをお尋ねしたわけでありますが、非常に、現段階ではというあきらめの言葉が多くて、これから委員会で審議なさるときに、判定をなさる方々がそれぞれの角度においてということになるだろうと思いますが、私どもは、できるだけこの機会に青少年を夜の悪魔から守っていくというくらいの立場をとって、この改正案に臨まなければならないと思います。青少年犯罪を犯しておるケースをたどって参りますと、喫茶店犯罪を犯す率は割合に少いのです。その近所の環境とその場の雰囲気、それがたび重なってだんだんと小づかい銭がなくなるというような形から刑法上の犯罪を犯してくる、こういうケースをたどっておるようであります。喫茶店というのは、案外値段が安いものですから入りいいのです。これがキャバレーだとか、バーだとか、ダンスホールになりますと、金がかかるから、子供たちは行きません。ですから、自然にここに寄ってくるのですから、この寄り場所におけるものの考え方として、この改正案のときに、私どもはやはりもっときちっとしたものをと考えるものですから、審議がおくれておるように皆さんがお思いになったわけだと思うのです。しかし、この機会にやらなければならない。やるにはやはり先ほど言われたように、十一時以降は喫茶店は必要でないのだ。そしていろいろの職業の方々に必要なものがあるということであるならば、これは別の角度で認めてもらいたいという、この観点はお二人ともはっきりしていらっしゃるということを先ほどちょっと再確認していただいたから安心したのです。  その点もう一度念を押しますが、そういう大衆的に、どうしても深夜における労働者が必要とする場所、あるいは旅客が汽車を待つ間に必要なものというものは必要なのだから、それは食品衛生法で大体認められておるから、そういうところでは、簡単なコーヒーなどを出せるようになっておるからよろしいじゃないか。喫茶店ということになればもう十一時でよろしいのだということは、お二人とも間違いなく思っていらっしゃることでしょうが、念を押すようですけれども、もう一度聞かしていただきたいと思います。
  57. 田崎とし子

    田崎参考人 先ほども何回か申し上げておりますが、理想としては私は望ましいと思っております。
  58. 佐竹昇

    佐竹参考人 私も同感でありまして、やはりそうきめてしまうということになりますと、問題があるのじゃないかと思います。現段階とは私は申しませんで、やはりいろいろな事情で、法律でこれはいけないのだ、もう必要がないのだときめてしまうということにはまた問題があるのじゃないかと思われますので、まず十一時以後の喫茶店というものは全部廃止してしまえということは、ちょっと申し上げかねると思います。
  59. 本島百合子

    ○本島委員 それで大体焦点となっておる点の御意見を聞いたわけでありますが、こうしてお出ましいただきました機会にお願いをいたしますが、今各地区でも愛の鐘を作っております。けれども、愛の鐘だけでは子供たちが守られないということになっておりますので、そうした点は、この喫茶店だけではなくして、やはり青少年問題協議会としても、児童福祉のために働かれる立場からいたしましても、この法律だけではどうにもならない面があることも御承知になっておるわけですから、あとのいわゆる施設あるいは子供たちに対する映倫、出版というようなことにおきましても、これと並行して子供を守っていくような施策を今後やはりお考えいただくことが大切じゃないかと思います。この風俗営業取締法だけでは、どんなことをしても子供を守るということにはなって参りませんので、再確認をしていただきまして、今後とも、かりにこの改正案が通りました後におきましても御協力を願いたいと存じます。せっかくお出ましいただきましたので、お礼を兼ねましてこちらからお願いを申し上げた次第であります。
  60. 鈴木善幸

    鈴木委員長 門司亮君。
  61. 門司亮

    ○門司委員 私、きょうおいでを願いました人たちお話を伺っておりませんので、あるいは少し的のはずれたことを言うかもしれませんが、あらかじめ了承しておいていただきたい。  最初に聞いておきたいと思いますことは、青少年犯罪の統計上から見たこういう喫茶店における数字というものがおわかりであったなら、この際お示しを願っておきたいと思います。
  62. 深見吉之助

    ○深見政府委員 お答えをいたします。統計的にどういう数字が深夜喫茶において影響を受けておるかということは、明確に申し上げる材料をただいま持っておりませんが、先ほどお話がありましたように、警察等で補導いたしました数はわかりますが、その他それによって影響されたという数は、残念ながら明確にいたしかねることと考えております。
  63. 門司亮

    ○門司委員 犯罪の統計上から見た数字がわかりませんと、この法律を取り扱う上の最も重要な資料が欠けておる、こういうことになるかと思いますが、いわゆる法律の重要度というものに重点を置いて考えますと、社会的にどういう大きな影響を持っておるからこの程度法律が必要だということが、この法律を見る場合の基準にならなければならない。ただ法律をこしらえただけで、実際はそういうものの必要がなかったということになりますと、これはあまり見識のあることではないと私は思う。従って、私はまずそういうことをお聞きしたかったのであります。そうしてその上に立って、どういう処置をすればよろしいかということ——もしこの深夜喫茶のために青少年犯罪が非常にふえておるというようなことがあるとするならば、これはある程度の抵抗があっても、それを押し切っても、やはり青少年のためには厳重な法律を作らなければならない。しかし、この影響が少いというならば、何もそうやかましい法律をこしらえなくてもよろしいのじゃないかということが大体基本的なものとして考えられる。ところが、その統計がないということになりますと、ばく然としたものではありましょうが、今局長さんからお話しになりました補導した数字というものがおわかりだったら、その数字だけでも一つお知らせ願っておきたいと思います。
  64. 深見吉之助

    ○深見政府委員 先ほど申し上げましたのは、それが直ちに犯罪に結びつく数がいかがという意味では非常に困難であるというように申し上げたのでありますが、深夜喫茶等において補導いたしました者は、昨年の統計でございますが、一月から七月までの間におきまして、喫茶店において補導した人員が千八百六十一人、これは警視庁管内だけでございます。それからバーにおきましてが七百八十二人、お好み焼き屋四十九人、その他二百四十八人、それから小料理屋、レストラン、酒場等が若干ございますが、総計いたしまして三千百六十九人という数字が出ておるのでございます。なお、われわれが青少年問題協議会の各地方からの報告等を総合いたしまして、深夜喫茶青少年犯罪温床になっているということは直ちには申し上げかねますが、不良化温床になっておるということは、事実各補導員あるいは児童委員等の体験から十分に報告が参っている次第でございます。その意味におきまして、深夜喫茶取締りということは当然必要である、かように考えております。
  65. 門司亮

    ○門司委員 それでもう一つそのことについてお聞きをしておきたいと思いますことは、その補導された諸君の身分上の問題でありますが、職業を持った者か、あるいは学生か、あるいは職業を持たない人たちであったかということ、年令が年令ですから、必ずしも職業にさして影響はなかったかと思いますが、しかし、いずれにいたしましても、そういうものの統計がもしおわかりなら、一つ教えていただきたいと思います。
  66. 深見吉之助

    ○深見政府委員 それは警視庁におきましての統計に基いておるものでございますが、被補導者の学生、一般の職業別というところで見ますと、四百名の中で学生が百四十人その他が二百六十人ということになっております。大体一般と申しますのは、それぞれの部門の職業についたりあるいは無職、大体無職の者その他というようなところが非常に多いようでございます。
  67. 門司亮

    ○門司委員 私がそういうことをお聞きいたしておりますのは、青少年不良化の問題は、社会現象による——いわゆる社会の実態からくる影響がかなりあると思いますことと、それからもう一つは、これの防止の最大の問題は、やはり何といっても子供のしつけが非常に大きな問題になってくると私は思う。学生と一般人との間、ことに無職の人が多いということは、これは青少年犯罪をどんなに防止しようといっても、現在のような社会で、学校を出てきても職業にありつけないという、一つの社会の機構が悪いのであって、これからくる派生的のものについて、いかに取締りを厳重にいたしましても、何をやかましいことを言っても、なかなか私は根絶はできないと思う。もともと就職の機会を与えない方が悪いのであって、就職の機会を与えずにおいて、そうして不良化するのはけしからぬといって怒ってみたところで、私は、なかなかうまくいかないと思う。そういうことが一つの原因で不良化の方向に進む子供さんが非常に多いということになると、一般の社会問題として、政治問題として取り上げて処置する面になってくるかと思いますが、この法律自体に対して、そういうことを一応考慮に入れまして、法律自体の問題として取り扱わなければなりませんのは、これはお母さん方にお聞きをしておきたいと思いますが、ただいまの御答弁の中にも、警察官による取締りはあまり好まないというようなお話があったのであります。私もその通りだと思います。これから先新しく芽ばえていこうとする者について、少くとも現在の警察制度、現在の警察官の教養のあり方、程度において、もし警察権がこれに介入する。そうして世間から見れば、警察側では補導をするのだという建前をとりますが、しかし一方においては、社会の見方というものは、警察に引っぱられたということは、何らかの犯罪行為があったような形で見受けられることは当然でありまして、かえってそのことのために、若い人たちの将来への希望を失わせるようなことがありはしないかと私は考える。そのことは青少年心理というものが、自分は不良化の道に進んでいるのだということを十分認識してやっている子供はあまりないと思う。知らず知らずのうちにそういう道の中に踏み込んでいっているのが大部分だと私は思う。犯罪を犯そうとか、あるいは意識して不良少年になろうなんという人はおそらくないと思う。知らず知らずのうちにそこに引きずり込まれていっているのが問題であって、従ってこれを防止するために照度をどうしようとか、時間をどうしようかという問題が起ってきている。そういうふうなときに、警察官の手によって、これが社会的に見ていかにも悪いことをしたような印象を本人に与える、あるいは世間もそれをそういう角度で見るということになりますと、あまり結果はいいことにならないと思う。そういう点について、先ほど御答弁は伺ったのでありますが、今度法律ができれば、いやでもおうでもこれは警察官の取締りを受けることに間違いがありません。そこで問題になりますのは、その間の処理をどういう形でとっていくかということが非常に大きな問題だと私は思いますが、さっきの御答弁だけではなかなか私は納得しがたいのであります。やはり従来のように、青少年は特別にこれを補導する機関で補導した方がよろしいのだということ、その上に立って室内の照度やあるいは時間の問題を議論した方が、少年のためにはよろしいのではないか。私はどうしても警察官の介入を排除したいという考えを持っているのですが、その点のお考えはどうでしょうか。
  68. 田崎とし子

    田崎参考人 お説の通りでございますけれども、今まで都の場合は、保健所の管轄に深夜喫茶が置かれておりましたものでございますから、なかなか母親の手によって補導していくとか、あるいはそこに近づけないようにするとか、別な面に向けてやるとか、家庭環境をよくするとか、十分なことはやったわけでございますけれども、やはりそこに限度があるので、やはり一応今の段階では風俗営業の中に入れていただいて、ああいう場がなくなれば一番いいのではないか。そして十八才未満は今まで入れなかったのでございますけれども、それは実際においては空文であった。また十八才であるかどうかの見分けがなかなかつかないし、そうして警察の方が補導にいらっしゃっても、業者の方の協力がないということによって、やはりうまくいかなかったという面もありますので、一応やはり一方はこういう強化もしていただき、また一方には先ほど申し上げたような環境の面の設備、施設をいろいろよくしていただく。青少年の問題は、あらゆる角度からみんなでやっていくよりほかにはないのだという限界にきているわけでございます。
  69. 佐竹昇

    佐竹参考人 ただいま御指摘の問題は私も同感でありまして、少年のためにそういう特別な機関ができて、根本的な対策ができるというようなことになれば、非常に理想的ですし、ぜひそういうようになっていただきたいと思いますけれども、今この問題を取り上げておりますのは、早急な問題でありまして、どうしてもこれをとりあえず何とかしなければならないというところに追い詰められておるように思われますので、そういうような観点からいたしますと、やはり今補導ということになりますと、現在の警察の方々にお骨折りをいただくというようなことが必要ではなかろうか、こういうふうに思われまして、先ほどもそのようなことを申し上げたようなわけであります。御指摘の点は、ぜひそういうふうに、国会の方でも、そういう機関ができるようにお取り運びが願えればまことにありがたいと思っております。
  70. 門司亮

    ○門司委員 警察の諸君にお聞きしておきたいと思いますが、今お聞きのようなことでございまして、私は、どう考えても、警察官の介入は必ずある部面においては行き過ぎができる。それからこの問題は非常にむずかしいのでありまして、実際はグループが一つありまして、そのグループの中に、当然喫茶店に入ることのできる、あるいは成年に達した者がいるわけであります。それに若い諸君がいつとなしにくっついて行って、不良化するつもりもなければ犯罪を犯すつもりもないのだけれども、いつの間にかそういう中に引き込まれていく場合が多いと思うのであります。そこで警察官が取り締る場合におきましても、君たち青少年の部類だからこの程度だ、君たちは成年だからこういう取締りをするのだということは、実際はなかなかむずかしいと思うのです。その辺にこの問題の取締りは、取り締るといたしましても非常にむずかしい点があると思う。そうして警察に引っ張っていっても、成年の諸君については、ある程度犯罪があれば罰則が行われる。しかし青少年の諸君は補導だけで済まさなければならない。そういうからみ合せの問題で、この問題の取締りには非常にめんどうな問題が出てくる可能性が実はたくさんあると思う。そうなると、勢い問題は、やはり強い取締りでなければ効果がないということが現実に現われてくる。強い取締りが必要だということになって参りますと、さっきから心配をされておりますように、みすみす本人の希望を失わしめて、そうして堕落していくことがありはしないかという心配がやはり出てくる。この辺に対しての警察側の見方として、一体どういうことにすればよろしいのかということ、私は、でき得れば今の環境衛生というようなことからはずして、やはり青少年の補導の機関というものを新しく設けて、そうしてこれが必ずしも警察官でないという建前の上において、青少年指導していく部面というものをもう少し警察の行政から離れたほかの機関に、今の環境衛生ということだけでなくて、もう少し強い力を持ったものがこの際必要ではないか、そうすることによらなければほんとう青少年を愛の手をもって導いていこうということはできない。少くとも警察は権力でありますから、行政権力を持っている。その権力によって導くことはなかなか困難だ。青少年である限りにおいては、やはり愛の手を伸ばしていきたい。そうするには今の環境衛生で取り締るだけでは弱い、しかし警察力では強過ぎるというのならば、その間に何らかの道が、お互いの間で協力していけば、おのずからできるのではないかという気がするのですが、その点に対する警察側の御意見一つ
  71. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 ただいま門司委員からのいろいろ該博なお話がございましたが、青少年の問題は、単にこうした環境の浄化ということ、あるいは深夜喫茶取締りというような一面だけで片づくものとは考えておりません。先ほど来いろいろ先生方からお話のありましたように、非常に広い視野に立って、総合的な施策を推進していかなければならないものと考えるわけでありますが、ただ一つ青少年についての環境浄化の一助として今度の風俗営業取締法改正を考えたわけでございます。またこれについての警察の介入という問題は、法律改正に基きましては、直接的には風俗営業なりあるいは深夜喫茶営業というものについて、取締りあるいは規制というものが行われていくということでありまして、直接的にこの改正から新しく青少年の補導ということについて警察が介入していくという問題が直ちに起るわけではないと思います。また御説のように、青少年のいわゆる継続的な補導育成というような点は、これは御指摘のように警察で担当すべきものではないと思いまするが、しかし、非常に町に多く現われておりまする青少年の非行化の傾向というものについて、身近に第一線におりまする警察官が直接タッチするという機会が非常に多いわけであります。これをそのままに放置するということができないような状況でありますので、応急的な補導というものを警察の手によってやらざるを得ないという実情に相なっておるかと思うのでありますが、これにつきましても、先ほどお話のありますように、いわゆる権力的な警察の介入ということは極力避けるべきであって、われわれといたしましても、従いまして、青少年の補導ということにつきましては、特別に警察官の中から選抜をいたしまして、そういう青少年の心理であるとか、あるいは家庭状況についての理解であるとかいうような点を十分に身につけるよう教養に努めておるわけでありまして、警察官の中で特にそういう専門的な人間を養成し、しかも、できるだけすみやかに学校であるとか家庭であるとか、あるいは特別の補導の機関というものにこれを移して、警察はできるだけ権力的な介入はしないというような態勢で進んでおるつもりでございます。もちろんまだ至らない点が多々あると思いまするが、こういう機会に、青少年の補導等について、警察の関与すべき分野というものにつきましては、さらに慎重を期して参りたいというふうに考えております。
  72. 門司亮

    ○門司委員 非常に時間もおそくなりますので、ごく簡単にあと二、三の点をお聞きしておきたいと思いますが、今警察側からお話もございましたように、実際上の問題として、この問題は取締りの対象にしようとすれば、非常にむずかしいのでありまして、いわゆる補導と取締りの境界というのは非常にむずかしい問題であります。法律をきめるときに、間違った取締りをするというようなことはなかなか言われないのであって、皮肉かもしれませんが、当然間違いのないように取締りをいたしますと言うにきまっておる。ところが、実際はなかなかそうはいかぬのです。また一線の警察官というものが、そういうことを十分認識しておりましても、現場に立ち至ったときの心理状態というものは、何もないときに考えておるときと、目の前にいろいろな問題が出てきたときの心理状況というものは違うのでありまして、そのときに権力を持っておる者が、往々にして権力を使いたがるということは当りまえのことであります。それを私は非常におそれるのであります。不良化の防止に資するということに大体なっておるという話でありますが、青少年の中には、時間的という言葉を使うと行き過ぎかもしれません、時期的という言葉の方が正しいかもしれませんが、不良化するような気分を持つときがある。むやみに人に反抗してみたり、世の中が半分わかって、半分わからないで、自分はわかったつもりで仕事をしてみたりする非常に危険な時代がある。その時代に、深夜喫茶等の問題がこれとからみ合ってきて、そうして不良化する道をたどっておる。しかし、その時代が過ぎれば、かなり非行のあった少年でも、一つの時期が過ぎれば、けろりとして忘れたような顔をしている。真人間というと言い過ぎかもしれませんが、正しい道を歩くようになる。そこで補導するにいたしましても、その点は十分にやはり心得てやりませんと、一ぺん警察に連れていかれた、二度警察に連れていかれた。どうも世間から見ても、あれは困る。親の方から見ても、お前は警察の厄介になって、ろくな者ではないということになると、知らずとそこに追いやる結果になってきはせぬか。私は、そのことを非常におそれるのでありまして、ぜひ今の警察庁の話のようなことでできればけっこうだと思いますが、なかなかそういくかどうかということは、私にはかなり大きな疑問があると思います。  それで、直接この法案の内容のことについて、もう一、二点、重複するとは思いますが、お聞きをしておきたいと思いますことは、時間の問題についてでありますけれども、その時間の問題の前に、こういう深夜喫茶などはなければない方がいいのだという御意見は大体わかっております。しかし、これは時間が書いてありますので、この時間を中心にして考えてみますと、大体法律に書いております考え方、十一時までくらいでよろしいという御意見のように一応承わったのでありますが、そういうことでよろしいかどうかということ。それからその次には、内部構造の問題でありますが、室内の構造は、少くとも現在ありますものの中には、往々にして見通しのきかない特別の装置をしたようなものがあるのであります。この問題はいろいろ私はあると思いますが、内部構造と時間でけじめをつけるということには実際はかなり問題があると思うのです。業者からいえば、明るくさえしておけば内部構造のことについてはそうやかましいことを言わなくても、見通しがきこうときくまいと、ある程度やれるのだ。ところが深夜喫茶のこの法律の適用を受けるような構造にしておくと、明るくしたときに、見通しがきき過ぎてどうも工合が悪いというように、構造と時間の問題が非常にデリケートな問題を業者は持っておると思います。しかし、そういう問題については業者の反省といいますか、何かを求めなければならぬと思いますが、そういう問題がありますので、内部構造については、現状のままでよろしい、ただ見通しがきくというようなことでよろしいかということ。  その次に問題になって参りますのは、室内の照明の問題でありますが、現行三ルクスといっておりますが、これはできれば、われわれもしこの法律を認めるといたしますれば、ある程度やはり明るいところで、変な気持になると言うと語弊があるかもしれませんが、何かその部屋自身が暗い感じを与えるというようなことが、心理的に青少年にどういう影響を持つかということも非常に私は大きな問題だと思います。明るいところに行けば明るい気持になるでしょうし、薄暗いところに行けば薄暗いような心理状態になることは、この年令層においてはことさらに私は敏感に感ずると思う。ここではこういうことをやってもよろしいのだ、こういうことをやっていけないのだというその見さかい等については、やはり照明の問題がかなり心理的に影響してくる。従って、この不良化を防止するということになりますと、照明の問題がかなり大きな問題になると思いますが、照明の問題は、率直に皆さんのお気持からお考えになって、どの程度のものを要求されるかということを、この機会にもう一度聞いておきたいと思います。
  73. 田崎とし子

    田崎参考人 照明の問題は、十ルクスですと、新聞も読めますし、大体銀座あたりでも、普通あそこの末広あたりですき焼などを食べていらっしゃるあの店がたしか十ルクスでございますが、あのくらいあれば、私、大体よろしいかと思っております。
  74. 門司亮

    ○門司委員 最後に、青少年の補導をやっておいでになります中央でお考えになっておりますことについてお聞きをしておきたいと思いますことは、不良化温床であるということが、大体全国的な統計で明らかであるということになって参りますと、この不良化温床をなくする一環の法律であることにこの法律は間違いがございませんが、もう一度私は突っ込んでお聞きをしておきたいと思いますことは、業者に対します一つ考え方であります。これは先ほどのお言葉の中にも、業者に対して協力を求めなければというお話がございましたが、これは非常に大きな一つの問題であると私は思う。従って照明等につきましても、暗くしたり明るくしたりすることができるような装置を持っておるところでは、これはどうにもなりません。それからもう一つは、よく私ども町を歩いて、この店には青少年の諸君は入ってはいけないんだということを明示してある店もないわけではないと思いますが、しかし、最近これが実行されておるかどうかということについては、私どもかなり疑問を持っております。こういう業者の協力というものについて、どの程度までこれをお考えになっておりますか、その辺がもしおわかりでしたらお聞かせを願っておきたいと思います。
  75. 木村行藏

    ○木村政府委員 確かに今門司委員のおっしゃったように、業者の協力というのが非常に大きな問題でございまして、法律ができましても、何でもがむしゃらにすぐに取り締るという観点だけでなしに、まず業者に、法律がかりに通過しました後の内容を十分に周知徹底させまして、また私たちの方では、防犯懇談会あるいはいろいろなこういう保安局関係の仕事についての懇談会の組み立てがありまして、これについてはお互いにざっくばらんに話し合っておりますので、こちらの考え方あるいは業者実情業者の実際の気持をお互いに話し合っております。そういうふうな懇談会あたりを通じて、実際に妥当な取締りなり指導をやって参りたい、こういうふうに考えております。
  76. 門司亮

    ○門司委員 どうも今の答弁だけでは納得できないのです。妥当な線で話し合いをするというだけでなくして、私が聞いておりますのは、業者の方にはこの法律趣旨をむろん徹底させなければなりませんが、従来からも実はかなりやかましい法律があるわけです。ないわけじゃないのです。東京都の条例を見ましても、業者がかなり協力していただければ、はっきり言えば、十八才以下は入ってはいけなければ、入れなければよろしいということになるが、なかなかそれが行われていないところ一つの問題があると思う。もう一つは、先ほど本島君から言われましたように、十八才から二十才の間をどうするかということも一つの課題ですが、その間に業者の協力というものが法律通りに得られれば問題ないのでありますが、それがなかなか得られないから聞いておる。ただ協議会だけではいけない。従って取締りの対象とすべきものが、この法律の限界からくれば、一つ青少年の補導と、一つ業者に対する取締りが相当厳重でなければならないと思う。ところが、業者に対する取締りというものは法律の中にはあまり強く出ておらないから、私はさっき少し回りくどかったが聞いたのです。それじゃ業者に対する取締りというものは、どういうことをなさるのですか。
  77. 木村行藏

    ○木村政府委員 業者に対する取締りに関しましては、たとえば法律では、今度風俗営業に入れます十ルックス以下の関係、あるいは見通しが困難な狭い個室を持ったところ、あるいは深夜にわたって営業しますもの、そういうものが今度の法律に入って参りますが、それらについて各県の条例で制限をしておるわけです。その条例なりそれぞれの法律に違反した場合には、行政処分あるいは営業停止ということも当然考えられるわけでありますが、この面において取締りを厳重にいたしまして、悪質な者に対しては厳重に措置するわけであります。それぞれの実情に応じて、場合によっては業者実態をつかんだ上で指導するものもあるかもわかりません。そういう関係で、従来、おしやったように懇談会では趣旨が徹底しないというお話がございましたけれども、確かにその点は限界があると思います。取締りの面においては、法の命ずるところ条例に従って、行政処分なりそういうものを実施していくということも考えられるわけであります。
  78. 鈴木善幸

    鈴木委員長 他に御質疑はありませんか。——別に御質疑がなければ、これにて両参考人に関する議事は終了することといたします。  参考人各位には長時間にわたりお引きとめをし、また有益な御意見を承わりまして、ここに厚く御礼を申し上げます。これにてお引き取りを願います。     —————————————
  79. 鈴木善幸

    鈴木委員長 この際、警察に関する件について調査を進めます。質疑の通告がありますので、これを許します。天野公義君。
  80. 天野公義

    天野(公)委員 この際、警察当局並びに関係の方々にお伺いをしたいのでございますが、御承知のように、先般二十七日に荒川区の三河島、町屋、尾久地区に通り魔的な凶悪事件が発生をいたしたのでございます。ただいま私もこの地区に住居いたしておる者でございまして、私自身も非常な戦慄を覚えたわけでございます。現在、この事件が発生をいたして以来、この当該地区である三河島地区や尾久地区の各地区におきましては、町ぐるみ、家庭ぐるみ非常な戦慄と恐怖の底に打ち落されておりまして、今、官民あげて協力態勢をとって、犯人の捜査、また犯罪の予防という面に邁進をいたしておる次第でございます。現在まだ捜査中であると思いますが、この問題はきわめて重大な問題でございますので、この問題を主題といたしまして、これに関連する諸問題につきまして若干お伺いしたいと思う次第でございます。  犯罪目的というものは、金を取るとか、金のために人をだますとか、人を殺すとか、また自分の欲望を満たすために犯罪を犯すとか、そういうのが大体犯罪の姿でございますけれども、今回のように、人を殺す、人を刺すということ自体、それだけを目的として行われる犯罪というものは、通常の考え方ではとうてい考えられないわけでございます。ちょうど理由なき殺人、傷害事件、このように感ずるわけでございます。そこで一つの大きな問題があるのでございます。それは二十七日に十数件の事件が起きたわけでございますけれども、その事件の発生前にすでに同様類似のことが数件あったわけでございます。この大事件の発生前において、一体いつからそういうような軽微な事件があり、それが一体どの程度警察当局に報告をされ、警察当局といたしましては、これらの軽微な類似の事件に対してどういう態度で臨んでおったか、これは、きわめて重大な問題だと思うのでありますが、この点からお伺いしたいと思います。
  81. 中川董治

    ○中川(董)政府委員 御指摘の事件は、お話もございましたように、二十七日夕刻の事件の数が大へん多いのでございますが、その以前に起った事件についての御質問でございますから、お答えいたします。  それ以前に起った事件でありまして、起った当時すでに犯罪が発覚しておりました事件は二件でございます。その後警察におきましては、また類似の事件がそれ以前にも相当起っておったのではなかろうか、こういう推定に基きまして、未発覚な事件と申しますか、被害者から警察官憲に通告されない事件、潜在している事件をずっと洗い出す努力をいたしたのでございますが、その努力をいたしました結果発覚いたしました事件が、被害者から申しますと五名、こういうことに相なるのであります。先ほどのそれ以前にすでに発覚しておりました二件と申しますのは、被害者で申せば三名に相なるのであります。お尋ねの発覚しておりました事件、すなわち二十七日夕刻以前に発覚しておりました事件に、警察としてはどのような措置を講じておったかということに対する御質問でございますので、お答えいたします。  その二件のうち、一件は二十三日午後六時ごろ起りました事件でありまして、当日外勤の係の方に被害者の申し出がございましたので、事情を聞いたのであります。その後、事情を聞くばかりでなしに、その事情を聞きました外勤係員は、こういった事件は、どういたしましても犯罪捜査に専従する職員の方がより効率的な捜査が可能でありますので、犯罪捜査に専従する職員にも連絡がありまして、その職員におきましても犯罪の捜査に努力しております。それで一部誤解等がありまして、交番の巡査が聞きっぱなしだというふうに読み取れる記事も私自身で拝見いたしましたので、私、調べて参りますと、これは荒川署員に訴えが出たのでありますが、荒川署員が十分事情を聴取いたしまして、その翌日、捜査係員、すなわち犯罪捜査の専従職員が、被害者の供述調書を作成し、現場にもおもむきまして実地に見聞いたしまして、捜査態勢として捜査を開始しておったのであります。それで関係者ですけれども、交番の巡査、防犯係の捜査員のみがこの捜査に従事しておったというふうに思われる向きがあるのでありますが、犯罪捜査になりますと、いろいろ住民の方々の御協力も大いに得なければならぬと思うのでありますけれども、そのとき起りました事件は、一件、二件ということが発覚したものですから、これは町の痴漢の徒がやったのではなかろうかという推定で、関係者の割出しを関係の向きとよく連絡してやっておった、こういうことが実際でございまして、そのときに数十名を擁する捜査員を持っていくということも一つの方法であろうかと思うのでありますけれども、今の警視庁管内にいたしましても、全国的にいたしましても、被害の程度が、被害者の申し出によりますと、傷害二週間程度の被害が一つと、傷害五日程度の被害が一つと、それから着衣が切損された事件でありますので、その事件の内容に基いて、交番の巡査だけでなしに、捜査専従員もあわせて捜査に当っておった、こういう実態でございます。それ以外に同様な事件があるのではなかろうかという推定は、実は二十九日の夕刻に殺人を含む十名の被害にかかわる事件が時を前後して起りましたので、こういう事件が起る以上は、前にもこういう事件があったのではなかろうかという推定を警察はいたしまして、ずっとシラミつぶしに洗って参りました。そうすると二十八日に五名の方々から、被害の程度は着衣を切るという被害の程度でございますけれども、そういう点が発覚した、こういう状況でございます。
  82. 天野公義

    天野(公)委員 そうしますと、二十七日の事件発生までには二件、三名の事件が起きた、それに対して警察当局では一応の捜査をやっておった、こういうわけですね。
  83. 中川董治

    ○中川(董)政府委員 その通りでございます。
  84. 天野公義

    天野(公)委員 そこでこの際、警察庁もしくは警視庁管内のことについてちょっとお伺いしたいのでありますが、大体軽微な犯罪、たとえば窃盗であるとか、いたずらであるとか、こういう軽微な犯罪に対しまして、一体どの程度の努力を警察当局は今までなされておるのでありますか。実は私どもいろいろ聞いてみました。また自分で体験をした立場から言いますと、軽微な犯罪は、大体警察官が聞き置く程度で、捜査とかなんとかいうことは、ほとんどされておらないというのが実情ではないか、こういうふうに感じるのであります。また認められる節が非常に多いのでございますが、そういう点は一体どういう工合になっておりますか。
  85. 中川董治

    ○中川(董)政府委員 天野委員の御指摘のように、犯罪天野先生がお分けになりましたように、二つに一応分けてみたいと思います。一つは大へん耳目を聳動ずる事件と申しますか、窃盗罪、強盗罪、言いかえれば報道関係機関等において記事をだいぶにぎわす事件ということになるのでありますが、そういう事件の捜査と、それからお互いの周辺のカバンを盗まれたとか、そういう窃盗事件を含めての事件、こういった日常相当多数起る事件と二つに分けてみたいと思うのであります。前者につきましては相当の人数の係、警視庁で申せば警視庁の本庁の課長等も現地に行きまして捜査をやっておる、こういうことが多かろうと思います。後者につきましては、全国的に申しますと、相当多数の件数に上りますので、全部本庁の課長が行くということはできませんから、これはそれに即応する捜査をしなければならぬということに相なろうと思います。それでは即応する捜査の内容でございますけれども、まずこういった事件につきましては、警察みずから発覚するように努力するということが一つでございますけれども、窃盗のごときはおおむね被害者からの申告がある。これは事例として多うございます。被害者から申告を受けますと、申告を受けた警察官は外勤勤務の警察官が多いのでありますが、外勤勤務の警察官で、被害者からその状況等をよく聞きまして、現場には外勤ももちろん行く場合もありますけれども、なるべく外勤以外の署の捜査専従者が出かけて行き、犯罪捜査はやはり現場から始まることが多いものですから、現場には署の捜査員が出かけていって捜査に当っていく。その捜査状況につきましては、その署の幹部の方でよく指導いたしまして、その捜査の徹底をはかる。こういう仕組みにしておることが一つでございます。他の仕組みは、こういう犯罪を行う問題につきましては、相関連することが他の地方において起る場合が多い。余罪によって発覚するという面もございます。それから同様の手口は、一個所で懸命にやっておるだけでは能率が上げられませんので、同様手口の窃盗罪は、甲の署、乙の署、丙の署において同様手口の犯罪が起ります場合は、共同でうまくやっていくことが効率を発揮するゆえんでございますので、被害通報票、これによる犯罪手口、私どもの方では鑑識というような組織をもちまして、被害の手口を明確に書きまして同様手口の犯罪を共同で捜査していく、こういう方法を考えておるのであります。そういう二つの方法、組織的な方法と現場から捜査を割っていくという方法を併用いたしまして、日常多く起る窃盗罪を中心とする犯罪につきましては捜査をやっておるのが現在の警察実情でございます。大野先生が御指摘になりましたようなことは、そういう日常茶飯事のものはそういうふうにして捜査をやっておるのだけれども、やはり天下の耳目を聳動ずるということが少いものですから、新聞記事にはあまり出ない。従って関心が少いので、その捜査が不徹底なように思われる向きも少くないのでありますが、私どもとしては、いろいろ人員上の問題とか、あるいは人が少いとか、警察力の少いことに基くことも確かにございますけれども、そういう日常多く起る犯罪、すなわち国民生活に最も密着した犯罪につきましては、そういう組織的な方法と現場に出かけて資料を得るという両方の方法で効率を発揮しておる、これが現状でございます。
  86. 天野公義

    天野(公)委員 そういたしますと、やはり軽微なものについてはあまり力が入らない、こういう工合になるわけであります。たとえば先般の小松川高校生殺し事件におきましても、あの犯人というものは、あの殺人をやるまでに、軽微な犯罪を二回ないし三回やって保護観察にされておったと記憶いたします。その結果がああいうような高校生殺しというような事件も引き起しておる。今度の事件にいたしましても、同じような形のものが三件前に発生をいたしておるのでありますから、もう少し迅速に何らかの措置を講じたならば、もう少し被害も少くなり、もう少しいろいろな情報もとれる態勢ができたのではないか、こういうような気がいたしてならないのでございます。そこでこの軽微な事件、特に窃盗であるとか、いたずらであるとか、そういうものの検挙率は一体どの程度でございますか。
  87. 中川董治

    ○中川(董)政府委員 検挙率についてお答えいたしますと、窃盗罪につきましてはおおむね五割でございます。そうして非常にでかい事件と申しますか、殺人といたった事件は九割ぐらい検挙されております。これが実情でございます。従って天野さんの御指摘になるように、殺人とか住民の方々に非常に不安動揺を与えるような事件につきましては、九割の検挙率を上げている。ところが、ずっと累積すると困るのだけれども、日常の事件は五割しかあげていないということが、数字の上から出るわけでございます。それでお答えするのでございますけれども両方とも重要だと思うのであります。殺人事件が起りますと、被疑者が見つからぬということになりますと、殺された被害者だけでなしに、隣り近所の方々、その他関係者の方々が不安動揺といっては言い過ぎかもしれませんが、社会生活が安穏を欠く、こういうことになりますので、殺人事件も非常に重要だと思います。ところが、犯罪はやっぱり全体関連がありますので、やはり富士のすそ野というものが富士山にあるように、すそ野があって富士山があるのが実情だと思います。すそ野をだんだんいろいろ解明するという努力を怠ってはならない、こういうことも当然でございますので、また大きい事件のすそ野という意味だけでなしに、その窃盗によって被害を受ける国民の方々が多いもんですから、その犯罪について、ある一人の巡査が聞いておくだけでは適当でございませんので、ただいま私が申し上げました方法によって努力しておるのでございます。努力目標としては、いろいろ苦心しておるはずでございますが、われわれの努力の足りない点もございましょうから、一つ御鞭撻をいただき、私どもといたしましても、教養に力を入れるとともに、そういう日常生活に非常に密接に関連関係ある一段日常の犯罪につきましては、人員の面からもいろいろな面からも工夫してみたい。従来も努力したつもりでございますが、さらに向上するように努めたい、こういうように考えておる次第でございます。
  88. 天野公義

    天野(公)委員 今回の事件はまことに戦慄すべき事件であって、現在捜査中の事件でございます。町の者も、また警察当局も全力をあげて捜査いたしておる、このように思うのでございますが、もし許されるならば、どの程度段階にきておるか、許される範囲でお話し願えれば幸いと思います。
  89. 中川董治

    ○中川(董)政府委員 これも犯罪捜査の一つの常道なんですけれども、こういう犯罪が起りますと、手取り、足取りと申しますか、基礎調査をやるのでございます。初めから思いつきでやりますと、間違いが起りますので、基礎調査をやってから、初めてだんだん被疑者を割り出していくのでありますが、現在は基礎調査が大体完了し、だんだん被疑者の範囲が狭まっている、こういう段階かと思います。
  90. 天野公義

    天野(公)委員 そこで先ほど冒頭に申し上げましたように、人を刺すだけの目的をもってこういう事件を起しておるのでございますが、これは私は完全な変質者ではないかと思うのであります。通常の感覚、常識を持った人間ではなくて、完全な変質者である、理由なき殺人、傷害事件であります。そういたしますると、変質者の事件というものは、今まで非常に捜査困難といわれております。大体変質者と目される者の捜査並びにそのいろいろな対策それからその検挙の率、こういうものは一体どういう工合になっておるかお伺いしたい。
  91. 中川董治

    ○中川(董)政府委員 これは精神衛生とか心理学で研究された問題で、変質者という概念があるのでございまして、変質者は、私ども承知しておる範囲におきましては、事前において科学的に発見する方法はない。いろいろな社会的事実を積み重ねて、すなわち犯罪についていえば、犯罪を行なって変質者ということが発覚する場合が多いのでございます。事前に発覚する方法は、科学の進歩によってだんだん出てくるかと思いますけれども、現在のところは、事実を積み重ねた結果これが変質者である、こういうことがわかる場合が多いようでございます。それで警察におきましては、変質者カードを作って保管しておけばいいじゃないかという考えもあるかと思います。ところが、人権上の問題もありますので、私どもといたしましては、変質者の行う犯罪につきましては、まず現場における資料から上っていくということを常道としたい思います。現場において遺留された指紋——指紋に限りませんが、各物件から上ってくる捜査を常道といたしたいと思います。と同時に、変質者につきましては、変質者と確定するまでに、手口というものがありまして、同様手口で過去においてやっておる場合もあるかと思いますので、犯罪手口のカードの整備によってこの被疑者に突き当っていく。こういう方法を進めて、両者でこの変質者の行う犯罪の検挙、防止に当っているのが現状であります。  さらに変質者対策として考えられる点は刑事政策全般として、刑法総則上の問題でございますけれども、刑罰としてああいった体刑、自由刑、罰金刑以外に、別の処分が相当であるという刑事政策上の問題が別にあろうかと思いますか、これは精神衛生学あるいは心理学のいろいろの研究の成果も、量刑上の問題にからんで今後の研究問題であろうと思います。これは刑事政策の問題。前者の捜査の段階におきましては、現場の捜査における資料の収集と、手口等における類似の収集の方法と、両者の併用によって被疑者を割り出すように努力して参りたい、こう考えております。
  92. 天野公義

    天野(公)委員 この問題はすみやかに解決されることを念願するわけでございますが、この不幸な事件を転じてよき方向に向けなければならないということは、だれしも思うところでございます。そういう観点からいたしまして若干お伺いしたいのでございますが、最近青少年犯罪傾向が年少者に非常に多くなってきた。しかも凶悪犯罪が非常に多くなってきた。こういうことがいわれておるのでございますが、警察当局ではどういうふうにごらんになっておられますか。
  93. 木村行藏

    ○木村(行)政府委員 最近の青少年の非行の状況を申し上げます。戦後昭和二十年を契機にしまして、二十一年、二十二年、二十三年と年々青少年の非行件数がふえておりまして、一番戦後最大の件数を示したのが昭和二十六年でございます。これが戦後一つの山であります。その後だんだん昭和二十七年から件数が減り、非行の内容も変りまして、昭和三十年にまた再び少年の非行状況が、件数その他において増加の傾向を見ております。昨年の状況を申し上げますと、問題少年として扱いましたのが、これは御承知のように犯罪少年、触法少年あるいは一連の虞犯少年という関係になりますが、これが昨年の上半期において六十四万と非常にふえております。それから内容を申し上げますと、凶悪犯、粗暴犯、それから性的犯罪が非常にふえておりまして、この傾向は戦後第一の山でありましたそのころまでの状況と比較しますと、第一の山までの状況は、大体窃盗とか、かっぱらいとか、財産犯罪というか、浮浪児その他戦争犠牲によるところの不幸な環境下にある少年が犯す財産犯が非常に多かったわけです。ところが、戦後第二の山に差しかかっているような状況に思われる最近の昨年あたりからの状況を見ますと、凶悪犯、粗暴犯、性犯がふえまして、窃盗犯はむしろ若干減少しつつあるような状況になっております。それから考えられるもう一つのポイントは少年の中でも年少層にだんだん非行事件がふえております。これは一つの大きな問題ではないかと思います。さらに都会から小都会、中くらいの都会あるいは農村へという方面に少年非行の増加が見られております。そういう面に浸透してきておるような感じがいたします。さらに今度は非行少年の内容を見ますと、第一の山まではどちらかといいますと貧困家庭の子供あるいは孤児という面が多かったけれども、最近の状況は、むしろ中産層の家庭あるいは裕福な家庭へもふえているような状況になっておりまして、これは非常に深刻な問題ではなかろうかと思っております。大体そういう状況でございます。
  94. 天野公義

    天野(公)委員 青少年犯罪のうちで再犯者が非常に多いということを聞いておるわけであります。微罪釈放というような形における再犯者が非常に多い。この対策は一体どういう工合になっておるのか。もしそういう青少年犯罪が起った場合に、性格上の科学的な分析が果して行われておるのかどうか。たとえばその人間は精神病なのか、精神薄弱者であるのか、変質者であるのか、そういう分析を現在行なって、それに対処し、また、その後の保護監察をこういう観点からやっておるのかどうか、そういう点いかがでございましょうか。
  95. 木村行藏

    ○木村(行)政府委員 確かに御指摘のように、少年の非行の中に再犯者が相当多うございまして、大体申し上げても刑法犯関係だけで昭和三十年に二七%、三十一年に三〇・九%、約三一%でございます。三十二年が三〇%、刑法犯の違反者の少年の中で三割前後が再犯になっておる、こういう状況であるわけであります。この問題については、警察のわれわれの側におきましても、非常に関心を持っておりまして、その青少年問題につきましては、ことに少年の非行過程、少年が非常に軽微な非行行為、それからだんだん悪質な非常に困るような度の高い非行程度に移行していく現象があるわけでありますが、その軽微な非行過程の際においてできるだけ早期に発見しまして、そういう虞犯少年あるいは触法少年というものについて早く手を打つ。そういう手を打つためには関係方面に連絡していく、こういうことが一つのポイントであります。その軽微な非行程度の問題少年につきまして、早期発見と同時に、さらにその発見につきましても科学的に発見するために、先ほど御指摘のように科学的な判定方法あるいは検定方法というものが考えられて当然であると思います。これは警察庁に付置されておりますところの科学捜査研究所で、それほど進んでいるとは申しかねますけれども、一部非行危険度合いの科学的な判定法というものを新しい器具で実施いたしております。しかし、それだけでは十分でありませんので、今回、国会にもあるいは予算関係でも若干要求いたしておりますし、あるいは科学捜査研究所の機構についても若干検討を加えまして、防犯の関係あるいは少年の関係について、その非行過程、非行プロセスにおけるところの社会学的あるいは心理学的あるいは精神病理的な観点から科学的な研究を進めていく、あるいは実験をしていくという点について若干手だてをいたしたいということで、科学捜査研究所の機構改革についても進めているような状況であります。
  96. 天野公義

    天野(公)委員 このような青少年犯罪の増加並びに再犯者の増加、こういう点に関しまして、政府はすみやかに科学的な対策を立てる必要があると思います。科学的な犯罪の予測方法を確立して、犯罪の早期発見並びに予防、問題少年の処分の適正を期する必要があると思うのでありますが、警察庁長官、この点いかがでありましょうか。
  97. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 青少年問題につきましては、かねがねただいま御指摘のような点について鋭意検討を続けて参っておるわけでありますが、特に今回の事件等にかんがみましても、そうした科学的な検討を早急に効果的に進めることが必要だと思います。ただいま保安局長から申し上げましたように、ささやかではございますが、来年度科学捜査研究所を拡充いたしまして、少年防犯のための研究部門を拡充するということも考えておりますし、その他各都道府県警察をあげて、この問題とは真剣に取り組んで参りたいと考えております。
  98. 天野公義

    天野(公)委員 今回の三河島における加害者、犯罪者が、もし十九才であるというような場合であったならば、現行法上は当然少年法の取扱いを受けていくものと思います。ところが、今回この深夜喫茶の問題においても、十八才より深夜喫茶に入ることはおとなと同様に認められる。自動車の免許の面におきましても、十八才から自動車の免許が認められる。そして一応おとなの扱いを受けるわけでありますが、今度のような事件を起した者が、かりに十九才十一カ月何ぼというようなところでありますと、これは当然少年法のワクの中に入ってくる。ここに非常に大きな問題があるのではないかと思います。このような点について、法務省並びに警察庁長官は、今後一体このむずかしい問題に対してどういうふうな方向で進めていかれるか、この点をお伺いしたいと思います。
  99. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 少年法の問題につきましては、警察庁といたしましてもあらゆる角度から検討を加えておるわけでございますが、さらに法務省その他関係機関と十分連絡をとって、できるだけ総合的に検討した上、すみやかに改むべき点は改めていかなければならぬかと思いますが、ただ、今のいわゆる二十才未満少年法で取り扱う、これを十八才未満として、十八才からはあらゆる刑事責任をこれに持たせるようにするのがいいかどうかという点は、なお十分にあらゆる角度から検討をして結論を出すべきものだと考えますので、今ここで具体的にどういう方向ということを結論的に申し上げることは差し控えたいと考えております。
  100. 天野公義

    天野(公)委員 現行法では精神病者というものは知事の権限に基く強制収容ができることになっておるわけであります。しかしこれに近い精神異常者が犯罪を犯した場合は一体どういうふうになるのか。また先ほど問題になっております変質者というようなものが犯罪を犯した場合には一体どういう対策をとるのか。今後、普通の場合には常人であり、ときどき発作的に犯罪を犯すというようなことがなきにしもあらず、そうした場合の保護というものは一体どういうふうにお考えになっているのか。まともな者と精神異常者との間の変質者、これに対する保護監察というような点についてはどういうお考えでいらっしゃるのでしょうか。
  101. 中川董治

    ○中川(董)政府委員 これは非常にむずかしい困難な問題だと思って、研究の重要項目として、私ども並びに法務省で常に研究している項目であります。現行法についてお答えいたしますと、精神衛生法に定むる精神病者につきましては、お説の通り知事の治療措置がございます。強制処分も知事に認められているわけであります。精神衛生法による精神病者であらざる者につきましては、刑法全般をかぶりまして、現行法では自由刑と財産刑しかない。こういう問題があって、保護隔離の問題等につきましては、別段の措置がないわけであります。これは、刑法総則では、精神耗弱者につきましては、特別の刑事責任の緩和規定があるわけでありますが、刑事責任がないほど変質ではない刑事責任がある者につきまして、現行自由刑並びに罰金刑だけで十分かどうかという問題につきましては、大きな問題でございまして、刑法及び刑事訴訟法全般の問題として、法務省とともに検討中の問題でございますが、ただいまここで明確に結論を出してお答えする段階まで研究が進んでいない、これが現状でございます。
  102. 天野公義

    天野(公)委員 二十九日の読売新聞の報道によりますと、三十二年に行われた日本精神神経医学会の報告で、成人の犯罪者の精神状態、初犯の場合正常者が三三%、変質者が四四・四%もいる。こういう工合に変質者の犯罪率は非常に多い。しかもこの変質者は、日常生活は常人と全く変りない。犯罪を犯さなければその異常ぶりがわからない変質者が多いということで、非常に取扱いが困難であり、またむずかしい問題であると思います。ただし、その取扱いがむずかしい、困難であるというだけでこの変質者が放置をされておったならば、善良なる市民が非常な被害を受け、また常にその恐怖にさらされておるということがいわれるわけでございます。従ってこの変質者に対する対策というものを、当然政府としては、関係当局が相集まって十分な対策をとる必要があると思うのであります。その点に向って進まれるように特に要望いたしたいと思います。  この際、最後に一点お伺いしたい点は、青少年不良化、この問題に関しまして、深夜喫茶の問題も非常に関連を持つわけでございますが、何といっても青少年の環境をよくするということが大切ではないか、最近至るところに不良文化財がはんらんをしておる。マス・コミの中にもはんらんをしておる。週刊雑誌の中にも不良文化財と目されるものがたくさんある。いろいろなところに不良文化財があるわけであります。そこで中青協と警察庁長官にお伺いしたいと思うのでありますが、不良文化財の追放ということは、青少年の環境をよくするということと密接不離な関係にあって、きわめて重大な問題ではないかと思います。従って、これに対しては何らかの措置を講じなければならないというのが、青少年不良化の防止を考える者のひとしく一致した考え方ではないかと思うのであります。でありますから、不良文化財の追放の措置について、特に青少年に悪い影響を与える環境の改善という面からいたしまして、この問題について、現段階では一体どういうお考えをお持ちになっておるのか、将来どういう方向に向けていったならばよろしいか、こういう点お伺いしたいと思います。
  103. 深見吉之助

    ○深見政府委員 不良文化財の青少年に及ぼす影響につきましては、全く御説の通りでございまして、われわれといたしましても、常にこの問題は憂慮をいたしておりまして、特にマス・コミ関係の主宰者その他マス・コミの倫理委員会等の方々と懇談を重ね、優良文化財の発行、不良文化財の追放ということについての懇談を重ねておりますが、映画、出版——映画は別といたしまして、出版関係におきましては、とかくマス・コミ懇談会等に関係をいたしませんアウトサイダーの出版物が、青少年に非常に不良な影響を与えるものが多いのでありまして、これらの点の取締りにつきまして、適当な方法を見出し得ないといった現状でございます。これに対しましては、法律によってこれを取り締るということも考えられますが、現段階におきましては、種々地方実情に応じてこれを判断してもらうことが最も適当であろうと考えまして、地方条例等によって、青少年保護条例というようなものを作っていただきまして、これによって地方実情に応じた取締りをやってもらっておる現状でございます。  なお、文部省におきましても、優良図書の推薦をいたしておりますが、児童福祉法によりましても、優良図書等の推薦または不良文化財の排除の勧告等ができることになっておりますので、現在許される範囲におきまして、関係方面は極力総合してこれが実効の上るように努力はいたしておるのでありますけれども、御指摘の通り、現段階では、業者との関係におきましてなかなか的確な方途が確立をしておりません。しかし、今後中央青少年問題協議会といたしましても、常にこの問題は関係方面と密接な連絡をとって、よき文化財を提供し、悪い文化財による青少年の不良影響を排除するように努力いたしたい、かように考えておる次第であります。
  104. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 ただいま青少年問題協議会の方からお話がありましたのと私の考えも同様でございますが、御説のように、青少年不良化防止のためには総合的な施策が必要である。特に環境の浄化ということが大事であるというふうに考えるわけであります。警察といたしまして、不良文化財についての取締りは、直接にできます関係は、例の刑法のわいせつ文書の取締りでございますが、最近におきまするわいせつ映画、出版物等についての検挙の状況をちょっと申し上げますと、三十一年が九百一件、千二百七十六名、三十二年が千百九十八件、千五百六十九名、三十三年が、これは一月から九月まででございますが、八百六十五件、千九十名ということに相なっております。しかし、ただいま中青協の方からお話がありましたように、こういうはっきりとわいせつ文書ということで刑法上の取締りを受けるに至らないが、しかし青少年に対しては非常に害悪を流す、悪い影響を与えるというようなものが非常に多く出ておるように思うのであります。これにつきまして、国の立法によってある程度規制を加えていくということも一つ考え方かと思います。現段階におきましては、たしか十府県くらいだと思いますが、地方条例によりまして、知事のもとに審議会ようのものを設けまして、これは青少年に見せてならないというようなことを個々に調べまして、知事がこれを指定する。そういうものは青少年に見せてはならないというような条例を設けているところがあるわけであります。ただ、まだ全国的にこれが広がっておるという状況ではございませんが、ただいま中青協の方からのお話のように、地方実情に即して、それぞれの府県において極力そうした面の推進をはかっていく。同時にまた、悪いからやめるというばかりでなしに、いいもの、積極的なものを青少年に対して向けていくということも必要であろうかと思いますが、中青協を中心といたしまして、警察も、警察の関与する分野においてできるだけ御趣旨に沿うような考え方で進めて参りたいと考えます。
  105. 天野公義

    天野(公)委員 最後に、今回の三河島町の通り魔事件について、一刻も早く犯人があがって、住民が安心してもとの生活に戻れるように極力御努力願いたいと思います。  なお、青少年不良化防止、犯罪の防止等につきましては、なお一そうの御努力を要望いたしまして質問を終ります。
  106. 鈴木善幸

    鈴木委員長 本件について他に御発言はありませんか。——別に御発言もないようでありますから、本件の議事はこの程度にとどめます。     —————————————
  107. 鈴木善幸

    鈴木委員長 次に、ソ連大使館員に対する暴行事件について、渡海元三郎君から発言を求められております。これを許します。渡海元三郎君。
  108. 渡海元三郎

    ○渡海委員 時間もだいぶ経過しておりますのですが、ただ一言だけお願いしたいのでございます。  一昨日、九州方面におきまして、旅行中のソ連大使に対して、車中酔漢が暴行を加えたという事件が起りました。まことに遺憾のきわみでございますが、このような事件が国際関係に及ぼす影響、ひいては外国にも新聞紙上におきましてもおそらく喧伝されておると思いますが、このようなことから国際慣行にまで大きな影響を及ぼすのじゃなかろうかと存ずるのでございまして、このような事件の経過の概貌並びにその後とられました警察としての処置、そのようなことにつきまして詳細にお聞きしたいのでございますが、本日は相当に時間も経過しておりますので、次の機会に、お調べの上詳細に御報告賜わりたい。わかっておりましたら、今までの経過を簡単に一言だけ御答弁賜わりたいと思います。
  109. 中川董治

    ○中川(董)政府委員 一昨日夕刻、列車雲仙内において、ソ連大使が食堂車におりますときに、酔っぱらった人間が食堂に参りまして、乱暴な行為をいたしましたので、鉄道公安職員がこれを制止に参ったのですが、鉄道公安職員に対して危害を加えましたので、これを逮捕いたしまして、福岡の博多警察署におきまして、これを留置いたしまして厳重に捜査を続行いたしております。捜査の結果は、また後ほど判明した分を含めてお答えいたしたいと思いますが、ただいまのところは、単に酔っぱらってやった。そうしてその酔っぱらってやったことについては、非常に残念なことをした——背後関係その他につきましては、ただいまのところないようでございます。ただし、厳重に捜査を続行しておりますので、判明次第またお答えいたします。
  110. 渡海元三郎

    ○渡海委員 おそらく事件は、酔漢の単純なる事件であると思いますが、及ぼす影響というものは、ただいま申しました通り相当大きなものがあろうと思います。本日は時間も過ぎておりますので、次の機会に、詳細御調査の上御報告賜わりたい。この点御要望申し上げまして私の質問を終ります。
  111. 鈴木善幸

    鈴木委員長 次会は、来る二月三日午前十時より理事会、午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後一時十九分散会