○松隈説明員 残存
企業が九十五万
トン前後に今の案からいえばなるかと思うのでありまするが、その九十五万
トンが残りましたにつきましても、先ほど申し上げましたように、
企業形態が非常に原始的であって、経費を効率的に使う、節約をする、こういうような面についての合理化もございまするし、あるいは他の組合と統合をいたしまして、煎熬設備を一カ所に集中するというような
やり方も
考えられるわけであります。それから、お話がありましたように、イオン交換樹脂膜法によります新製塩技術の問題もございます。これにつきましては、
塩業審議会の技術の専門
委員会においても相当検討しまして、
日本におきますイオン交換樹脂膜法による製塩技術はかなりの
程度に高く評価されてよろしい、こういうようなお見込みでございますが、ただ何しろ超特急の新しい技術でございまするので、これを実施に移すに当っては十分慎重を要する。そこで一挙に大きな工場においてこれを実施するということは非常な危険を伴い、また全体の塩の
生産のワクにも影響することでありまするので、
答申にも、整備の期間中であれば、既
許可のワクの範囲内において中間的な試験を認めるという
程度にとどむべきではなかろうか。それから二カ年後に整備が済んだ後においてどうするかというわけでありまするが、二カ年後に整備された状態をよく見きわめてみたいと
思います。その場合に、先ほど来お話がありましたように、非常に希望者が多くて九十五万
トンをこえるという状態か、あるいはそれほどでなくて、九十五万
トンよりも少しよけいなものが残るか、これは二カ年たって実施した結果によりますが、いずれにしても今回は過剰塩を整理いたしまするために、一
トン当り三万円というような巨額の国庫支出をいたすことに相なりまして、その点
公社としても非常に遺憾に思っておるところでありまするので、同じような事態を再び繰り返すということは、これは非常な注意と決意を要する。かように
考えますと、かりに九十五万
トンという残存設備があるといたしまして、新技術、イオン交換樹脂膜法を導入するとするならば、整理後におきましてもやはり、そのワクの範囲内において新技術を導入するということをまず
考えるべきではなかろうか。イオン交換樹脂膜法も、ほんとうにその
効果を上げるということになりますと、ある
程度大きな規模でやることの方が合理的なのであります。その場合に一挙に工業塩の
価格でできるということになりますれば、それはもう九十五万
トン前後という
食料塩のワクと関係のないことでありますから、初めから規模も大きいし、工業塩としての
価格で引き取ってよろしい、こういうことであれば、その
条件を厳重につけて認可することはできることであります。ところが、やはり経過的に、
トン一万円より安くできるけれども、たとえば七、八千円でできるけれども、なお
食用塩として買ってもらわないと困る。こういうことになりました場合において、新技術の芽をつむか、ワクをあくまで保護するかという点が非常にむずかしい点でありますが、やはり新技術は新技術として伸ばしていくべきものであり、その新技術を導入することによって、塩業の合理化を一そう高度に進められる、かように
考えますので、できれば従来の既
許可の方々も何らかの意味でタイアップして、そうしてそのワク内において導入していく、こういうような方向に指導して参るべきではないか。そういうときにおきまして、技術が確かであるかどうか、それからして、その見込み
生産費が申請者の言う
通りであるかどうかということについては、重大な問題であり、かつむずかしい問題でありますので、従来のように
公社の一方的判断によって処理することなく、これを適当な機関に諮問をしまして、そしてワクの問題とのからみ合い、それからどれだけの
程度合理化されて虚業の全体としての経費が低下するか、そして
企業の安定に役立つか、こういう判断を十分にした上、新技術は取り入れていく方向に進むべきものだ、かように
考えております。