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1959-03-12 第31回国会 衆議院 大蔵委員会専売事業に関する小委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年三月十二日(木曜日)     午後三時十九分開議  出席小委員    小委員長 濱田 幸雄君       奧村又十郎君    西村 英一君       山下 春江君    石村 英雄君       大西 正道君    廣瀬 勝邦君  出席政府委員         大蔵事務官         (大臣官房日本         専売公社監理         官)      村上孝太郎君  小委員外出席者         日本専売公社総         裁       松隈 秀雄君         日本専売公社塩         脳部長     小林  章君         専  門  員 抜井 光三君     ————————————— 三月十二日  小委員田廣文君同日小委員辞任につき、その  補欠として大西正道君が委員長指名で小委員  に選任された。 同日  小委員中原健次君二月二十五日委員辞任につき、  その補欠として石村英雄君が委員長指名で小  委員に選任された。 同日  小委員廣瀬勝邦君同月六日委員辞任につき、そ  の補欠として廣瀬勝邦君が委員長指名で小委  員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  専売事業に関する件      ————◇—————
  2. 濱田幸雄

    濱田委員長 これより会議開きます。  本日は、まず塩業整備に関する件について調査を進めます。  質疑の通告があります。これを許します。奥村君。
  3. 奧村又十郎

    奧村小委員 私は先日来当委員会でいろいろ質問申し上げましたが、本日は、この塩業整備措置法について、なるべく実際に効果が上るように修正すべきところがないかとか、あるいは公社としてもお考え願う点はどういう点かというふうな、むしろひざを突き合わして御相談申し上げるような思いでお伺い申し上げます。私のそういった提案を申し上げるための一つ材料としてお尋ねを申し上げるわけでありますから、どうか、政府委員におかれても、なるべくひざ突き合せて相談する、適当な結論を見出すというような思いで、一つ答弁をわずらわしたいと思うのであります。  大体二点ありますが、一点は、専売公社の従来のやり方に反省すべきところがあるではないかという点です。専売公社性格からして、もともと専売公社のできたときは、いわば商売に割り切っていこうというのでなさったでしょうが、今では、専売公社職員役員の方は、商売人であるか役人であるか、両方二またかけて非常に不明確なお立場であるから、専売公社運営がまことに非能率、不経済無責任——私悪い性質で、すぐ言葉が激しますが、これは私が申し上げるまでもなく、やはり世間の声もほかにありますから、世間の一部の声を反映しておると思ってお聞きを願いたい。そういうことを一つ反省せられて、しかも、今度の塩業整備措置法というものは、多分に行政的な問題ですから、補償金を出すとかあるいは交付金を渡すとかいうものは行政的な仕事、それを国家公務員でもない専売公社職員役員にさせるということにも、非常な矛盾を感ずるので、こういう点何とかもう少しすっきりしたものにできぬか、これが一点。  第二点としては、この法案の一番の目的は、過剰生産力を整理して、なるべく早く、せめてトン一万円に食用塩塩価を引き下げよということでありますが、法案だけを見てみますと、どうも政府のお考え専売公社のお考えでは、そのねらいが確実に実現できるという保証が得られぬ。その保証を得るには、法案をどう取り扱うか、こういうふうななるべく建設的な方途を見出すべく、その一つ材料としてのお尋ねでありますから……。  そこで、まず第一点でお尋ねいたしますが、先日専売公社の方から資料をいただいたのですが、食用塩の国際的な価格比較をしてみたのです。そういたしましたところ、アメリカでもイギリスでもあるいはフランスなどでも、大体食用塩は、日本の金に直してっ一キロ五円ないし六円です。日本においては、専売公社が独占してやっておられるが、それの一番高いのは一キロ二十円、それからかますで五十キロ売られるのでも、小売価格になると、一キロが十九円ですか、トン一万九千円、そうすると、同じ食用塩外国が五円か六円、外国の三倍以上の価格。これでは専売のためにいかにも高くなっておるような感じがする。少くとも、塩の専売は、国民生活に必須の塩をなるべく良質で安くというのがその目的でしょうが、実際はあまりにも高い。この反省は専売公社もずいぶんしておられるでしょうが、今度の塩業整備特別措置法を実施するについては、よほど反省していただかなければならぬと私は思う。もしこれができぬのならば、塩専売制度の基本から出直して、場合によってはむしろ専売をやめた方が、自由にした方が、消費者の手に塩が安く渡るのじゃないかという印象を与える。また、続いては、専売制度を今直ちにはずすことができないのならば、専売制度を数歩後退いたしまして、指示価格制度のような程度までしたらどうか、こういうことにもなってくるわけです。しかしどうも私の持論があまり過ぎるといけません。食用塩価格外国との比較は、これは公社から資料をいただいたのだから、私の申し上げることは間違いないと思うのですが、監理官はどうですか。大蔵省としてあなたは専売公社を監督しておられる以上は、常にこれは調べておられることと思うが、私の調べた資料で間違いありませんか。
  4. 村上孝太郎

    村上(孝)政府委員 食料用で作られております塩の中にもいろいろの種類がございまして、直接にものに振りかけるとか、そういう直接に実体を摂取する場合の塩と、それから食料品を作る工業原料としての塩とに分れるかと思うのでありますが、食料品工業原料としての塩につきましては、外国の塩と日本の塩とが非常に価格差があるということ、これは私もその通りだと思います。それから食卓におきまして振りかけるような、非常に高度に精製されました塩につきましては、必ずしもそうでもないのでありまして、先ほど一キロ二十円とおっしゃいましたけれども、こういう高度の塩は、現在日本で売っておりますものでも一キロ五十円とか六十円とか、もっと高いのがたくさんあります。また、こうした食卓塩につきましては、日本の塩が必ずしも外国に比べて高いというわけではないようであります。その点に着目しまして、できるだけこの塩の輸出ということも塩脳部では研究をいたしておるようでございますが、まだそれが具体的になるまでにはなっておりません。しかし原料としましたときの塩が日本の方が高い、これはお説の通りであります。たとえば、この高い塩ということから、専売制度についてどう考えるかというふうな御質問のようでありまするが、この問題は、純理論の問題と、それから単なる塩の販売ということだけではなくて、大きな国策とし、外貨を節約するためにどう考えるとか、あるいは万一の場合どう考えるとかというふうなことも考慮に入れなくてはならぬかと思うのであります。あるいはまた、現在の塩の産業というものが、現在施行されております専売制度をはずすことによってどうなるか、この場合にはいろいろ社会的なあるいは経済的な秩序の混乱ということも、これはやはり政治の問題として考えなければならぬかと思うのでありまして、そこらのところを彼此勘案されて、この前、当小委員会におきまして、大蔵大臣も、ここ当分の間塩専売制度を廃止する意思はないということの意見を表明されたのだろうと私は思うのでありまして、いろいろな価格差だけを考えますと、奥村委員のおっしゃるような問題もございますけれども、現在の問題としてこれを取り上げますと、私から軽々に将来はどうするかということはちょっと申し上げかねる、すなわち大蔵大臣のこの前当委員会で表明されました意見を繰り返して申し上げて御答弁するよりほかなかろう、こう考える次第であります。
  5. 奧村又十郎

    奧村小委員 どうですか、私はなるべく議論はしたくないが、外国との食料塩価格比較は、塩業審議会答申案の塩の需給対策要綱に、これははっきりと、国内塩原価は漸次低下の傾向にはあるが、国際的には依然としてきわめて高く、しかも各企業間における原価開きは大きいと、ちゃんと審議会がすなおに言うておるんだから、政府委員もそのくらいはすなおにおっしゃった方がいい。それから先はどうしようかということは一つお互いに相談しましょう、こう言った方が政府委員としての答弁がすなおでいいと思うんだが、村上さんも私にこの上議論をさせようとおっしゃるならまたここでやろうと思うけれども、その辺にしておきましょう高いからこれを安くしょうといえば、いろいろな方法があるが、専売公社の機構や仕事やり方には、商売人であって一方で役人である。商売なら商売に徹すればまた安くなるんだが、商売徹底もできず、役人仕事である、そこにまずい点もある、ここをまずその次に反省していかなければいかぬと思うその問題と、もう一つは、特に今度は交付金あるいは補償金、八十数億の金は二年のうちに査定して渡すという国家行政事務公社がなさる。こういう行政事務というものは国家公務員がすべきことである。ところが専売公社役員及び職員国家公務員でない。ここに私は大きな矛盾があると思うのです。役人仕事はやはり役人がなさるべきである。その点矛盾するとお考えになりませんか。その質問の前に、現在公社役員職員国家公務員でない、こういう規定であるが、そうなると、国家公務員専売公社役職員とどこが違うということをここで明確にしておいていただきたいのです。私の調べた範囲では私企業との関連性、もう一つ政治運動公社役職員はできる、こういった点が大きな違いだろうと思うのです。その点どう考えておるか、監理官お尋ねします。
  6. 村上孝太郎

    村上(孝)政府委員 公社職員が一方に企業を遂行する性格を持ちながら、他方行政的な性格を持っておるために、その結果ヌエ的な形で、従って非常に公社業務運営が非能率になっておる、こういうお話でございました。それは確かに私もそれを認めるのでありまして、公社、これを公共企業体と言っておりますけれども、公共企業体というこの事業体の組織というものが、一方に公共性を追求しながら、他方にまた企業性を追求し、ようとするいわば矛盾した目的、これを何とか解決しようというのが、本来の公社という形を考え出しましたそもそもの理由であるとしますと、これは公社という制度の宿命的な問題ではなかろうかと思うのであります。この公共的性格企業的性格のいずれがどの程度徹底さるべきかということは、それぞれの時代における要請もございましょう。しかし、少くとも最近における公社業務運営につきまして、特にその能率性といいますか、企業的性格の面の非能率性といいますか、性格徹底さが不十分であるという点から、世論におきましても相当の批判があるということは御承知通りでございまして、過般開かれました公共企業体審議会におきましても、また数年前の公共企業体合理化審議会におきましても、いずれもその問題が取り上げられておるわけでございます。これにつきましては、御存じのごとく公共企業体審議会答申にもございまして、もっとよく掘り下げてくれということで、昭和三十四年度におきまして調査機関を作りまして、もっと徹底した公社形態というものの合理的なる面、不合理的なる面というものをわれわれは研究いたしたいと思っております。その結論が出ない現在におきまして、私としましては結論的なことを申し上げるわけにいかぬのでございますが、現在の運営において公社業務が非能率的であるということにつきましては、私も奥村委員と非常にその感を一にするのでありまして、そういう立場からしょっちゅう公社に対してわれわれはアドヴァイスをしておるわけでございますが、私の能力が非常に不十分なために、いまだに運営の仕方が皆さんからごらんになってほめていただける程度にまで至っておらぬというのは、まことに申しわけないと思っております。ただ、問題は、この公社という企業形態そのものの中にこの矛盾というものが胚胎しておるとすれば、これは公社という形態をそのままにして解決できない問題であるかもしれない。そういう根本問題については、先ほど申し上げた公共企業体審議会答申に基きまして、その基本的な調査をいたしたいと思っておるのであります。  それから、整備措置法に基いて八十七億という大きな金を今度は公社が出すわけでございますが、そうした金の交付業務というふうなものは、行政であるから公社がやるべき問題ではないじゃないかというふうな御質問のようであります。確かに、そういう交付行為というものが、公社本来のいわば事業的な性格を持つ企業公社本来の仕事ではないということはその通りかと思うのでありますが、御存じのように、専売公社というのは、そういう企業的な性格を持ちながら、持っておりまする権限というのは非常に官庁に類似したものでございまして、専売権というもは行政権の中でも相当色彩の強い権限でございます。これは公社に委任されておる以上、公社行政的な作用というものを全然行なってはいけないのだという考え方は、これは私どもは成り立たぬのじゃないか、こう思うのでございまして、この今度の補償金あるいは交付金交付行為に類するようなものとしましては、従来いろいろな補助金交付とかあるいは災害補償の場合の補償金交付とかいうようなことも、公社は営んでおります。そうした場合に、公務員でない公社がそうした行為を行うために、何らか問題が起るのではないかという御心配もあろうかと思うのでありますが、そのためには予算執行職員責任に関する法律という——これは公務員が金銭の支払い行為その他を行う予算執行の場合を規制する法律でございますが、これも公社の類似の職員に適用になるようになっております。従って、そういう意味においては、私は今度の交付金交付行為というようなものを公社に行わせても、あまり問題はないのじゃないか、こういうふうに考えております。もちろん、現在は公社職員身分というふうなものが、現在公社が行なっておりますあらゆる業務のために最も適切な形になっておるかどうかということにつきましては、いろいろ問題もございましょう。私は、公務員公社職員との身分、資格について十分な資料を持っておりませんので、先ほどおっしゃいました選挙運動ができるとかできないとかいうこと、これははっきりしておりますが、その他の点でどういうふうに両者の差異があるかということについては、今直ちに申し上げかねまするが、身分につきましても、日本専売公社法にいろいろ規定がございまして、現在の公社行為を行うについての最低限度の諸規定というものは備わっておるのではないか、こういうふうに考えております。
  7. 奧村又十郎

    奧村小委員 国家公務員法には、国の行政には特別職一般職国家公務員でなければ携われないという趣旨の規定があるのであります。専売公社行政的なことをなさるということは、これは国家公務員法の大きな例外規定、従って国家公務員身分責任専売公社役職員身分責任と十分比較なさって、ここはこうというふうなことは十分御研究のことと思ったので、私はお尋ねしたのでありますが、他の委員の諸君も質問がたくさんおありでありましょうから、この点は、私も実ぱ法律を調べてお尋ねしたつもりですが、あとでまたよく条文のもとに何か表にして、どこがどうかということを研究しておられるはずだから、資料でお出しを願いたいと思います。  それから、専売公社総裁責任です。たとえば、錦海湾塩業許可ということ、これは公社総裁責任また権限であるが、どうも公社総裁権限責任というものはあいまいになって、実際はロボット化しておるのではないかという見方もある。というのは、この前も申し上げましたが、三十二年の五月に錦海湾塩業組合許可総裁がなさった。その約十ヵ月以前にすでに大蔵省省議でもって許可の方針を副総裁に出しておるというふうなことは、どうも専売公社の後にまた大蔵省がどっかり乗っかっている、こういうふうな印象を持たれる。監督すべき大蔵省か、監督されるまた権限を持つ専売公社総裁にあんまり指図をしたのでは、これは総裁がロボット化するのは間違いないんで、そういう点からして、もう少し責任権限を明確にしていかなければならぬ。  これはこの前議論したところですが、第二点に入りまして、昭和三十七年度になって収納価格を一万円にするということですね。それで承知ならいいが、そういう自信がなければおやめなさいということなのだが、それが法文上はっきりしておらぬ。この法文を読みますと、政令に基づく基準価格を発表し、それに沿うように合理化計画を出さなければならぬ、こういうのです。しかし、それよりもはっきりしておるのは、一万円で買うんだ、それで引き合わない方はやむを得ませんぞと、はっきり言い表わした方が話がはっきりするんで、これが普通の企業ならその手でいきますよ。けれども、どうも専売公社が今まで業者に甘く見られておるから、この法律書き方なら、そうは言うけれども、やっぱりまた多少は何とか見てくれるだろう、こう業者が甘く見ると、これは結局は業者のためにもならぬと思うだからその点法文書き方が明確でない。昭和三十七年度に一万円で買う、それ以上には買えぬということをもう少し明確に法律に表わすことはできませんか。
  8. 村上孝太郎

    村上(孝)政府委員 最初に、錦海湾に関する省議大蔵省がやったのは、公社総裁権限を制約しているのだという問題でございまするが、これについては少し誤解があるようでありまするから、申し上げておきますが、大蔵省は自発的に錦海湾省議をしたのではございません。公社からこのことを頼まれて、そうして何とかこれについて大蔵省意向も明らかにしてくれということで、そこで大蔵省もいろいろ研究をした結果、その三十一年の五月にはすでに内認可も与えているというふうなことなので、万やむを得ざるものと認める、こういうふうに、しかも口頭で話しているわけでございます。これは、これによって決して公社総裁権限がロボット化したのではないのであって、大蔵省としては、いわば公社総裁の御意向に従って大蔵省意見を表明したというにすぎない、こういうふうに御了解願いたいと思います。  それから、法文の十一条に、基準価格につきまして政令で定めると書いてある、ここに一万円の基準価格と書かなかったのはなぜだ、こういう御質問のようでございまするが、実はここに一万円と書きたかったし、われわれもそういうふうに希望したわけでございまするが、ただ、昭和三十七年という数年先の経済事情というふうなものにしんしゃくなく、ここで三十七年は一万円だ、こういうふうに法律で書くということはいかにもその法律の表現として生硬になりまするので、そういうことも考えまして、もちろんここで政令で定める基準価格というふうに書けば、政令で定めた一万円が、法律の上に書きましたと同じような効果を持ち、また塩業者の方々も、政令で定められた以上、ほんとに自分のおなかの中でそろばんをはじいていただいて、一万円でいくかいかぬか、公社は三十七年度には現在と著しく違ったような経済事情でない限りにおいては一万円にするのだということを、はっきり覚悟していただく、そういう効果は私はあると思っております。従って、ここでこういうふうに書きましたのは、奥村委員のおっしゃいますようなことを法律的に表現したということにすぎないのじゃないかと思います。
  9. 奧村又十郎

    奧村小委員 それでは私は納得はできません。そうすると、またいろいろな資料が問題になってくるのですが、たとえば虚業組合中央会調査した塩の生産費調査によりますと、虚業審議会の発表した自給対策要綱にもありますが、各企業間における原価開きが大きいことがまざまざと出ておるのです。仁尾という業者があるが、これは一万円を割って九千百六十六円、しかしごく最近に施設の完備した、たとえば北陸製塩、これはトン一万七千九百二十七円、約一万八千円、それで北陸製塩資産表損益計算書を見ると、まだ莫大な欠損をしておる。これは欠損するはずです。トン一万八千円に原価がついておる。従って、収納価格が一万三千円前後なら、これは莫大な損を今やっておるのですね。しかも、北陸製塩というのは、昨年と一昨年とに農林漁業金融公庫から長期低利の金が四億円も出ておる。そのほか農林中金からも出ておるでしょう。十億円も出ておる。そのほか、ずっと虚業組合中央会調査によると、トン一万五千円、一万四千円というのはたくさんある。それから最近の、つまり機械製塩などの施設をやったとこのトン当り施設費というのは、ずいぶんまたいろいろ違う。たとえば今の北陸製塩なんというのは、年間二万五千トン製造能力に対して建設費が十一億かかっておる。そうするとトン当り四万四千円。ところが、九州にあります三菱系崎戸製塩ですか、これは同じ二万五千トン生産能力に対して建設費が四億六千万円、従ってトン当り建設費が一万八千円。そうなるとこれは非常に生産費が違う。この生産費の違ったものを一律に塩の価格で収納する、ここに根本から矛盾がある。これは商売人ならやはり安上りのところからたくさん買うので、そんな高いところから買わないでおけばいい。その高いところもどうにかかばっていかなければならぬというところに、いわゆる専売公社商売であって商売でない、行政的な素質もずいぶん持っておるので、この矛盾を今度の法律でどう解決するのか、その解決のめどが私はつかぬように思うのです。しかも、北陸製塩なんというのは、二年前に許可したのでしょう。そして急速に工事施設をして十一億も金が出たのですから、これは二年や三年先にいって、急に原価が一万円やそこらに下るというのはどうも予想がつかぬのです。これはどうしますか。
  10. 村上孝太郎

    村上(孝)政府委員 お手元にあります中央会資料については私は存じ上げておりませんから、それに即応する実態生産費公社調査をいたしましたことについて、公社塩脳部の方から御回答していただきたいと思いますが、今おっしゃいました根本的な問題になっておる点について、少しお答え申し上げますと、公社は一本価格でなぜ買うのだ、普通の商売ならば安いところから買う、それはもちろんそうかと思います。ただ安いところから買いましても、そこでおのずから需給の両曲線が合致して、一本の市場価格というものが生まれるわけであります。その市場価格からある程度損をするところもあれば、ある程度利益の生まれるところもあって、それが企業競争上の優劣の条件になるのかと思うのであります。専売制度におきましても、実はこうした自由私企業競争に類するいわば一つ能率刺激メカニズムを入れながら、価格政策をきめていっているわけでありまして、普通の自由私企業の場合におきましては、もし非常に供給価格が高ければ需要は減る、需要が減ると供給者生産が減ってきて、価格も低いところに落ちついてきて需給が合致する。こういうふうな自動調節的なファンクションがあるわけでございますが、こういう専売制度におきましては、全量政府が買い上げる。この全量政府が買い上げる場合に、政府は最も能率の悪い、最も怠慢なる生産者生産費というものを基準にして買いますと、価格あるいは品質というものが、非常に国民消費者の重荷になってくるわけであります。従ってこういう全量購入をする政府の物資の価格をきめます場合にも、そこにおのずから一つ能率を刺激するメカニズムが働きますように、バルクライン生産費をもとにしたり、あるいは平均生産費に利潤を加えたりして生産価格を決定しておるわけであります。従って、そのバルクラインの内と外では、もちろん個々の企業条件に当てはめました場合に、赤字の出るところと黒字の出るところの差が生じてくるということは当然のことでございます。そういうふうな価格決定方式を現在専売公社においても採用しておるわけでございますが、それでは三十七年において一万円にするということは、そうした価格政策とにらみ合わせた場合において、一体どういう意味を持っておるのだということになろうかと思うのであります。御指摘の非常に高いところは、昭和三十七年においても安くならぬかと思います。その場合には、それぞれの企業昭和三十七年度一万円ということを自分のおなかの中のそろばんではじきまして、やめるならやめるということを決定していただくわけでございます。ただ大数的に観察をいたしますと、三十七年度一万円というふうな価格にいたしましたときに、われわれが経済条件が非常に変動しないという前提でもって想定いたしますと、昨年の価格の決定をしましたときに根拠としました各企業実態生産費というものから、金利、償却というものが、塩業におきましては定率をとっておるところが大部分であります。これは年度を経過するに従って非常にコス・トダウンの契機になるわけでございますが、そういう要素を加味して考えますと、昭和三十七年度において百万トンの残存企業が残るといたしまして、約八割は今申し上げました一万円のバルクラインの中に入ろうかと存ずるのであります。ただ昭和三十七年度においては一万円のバルクラインの中に入らないけれども、しかし設備が非常に新しくて、従って金利、償却はかさんでおるけれども、年を経過するに従って、ほかの企業に対して自分は十分な競争力を持っておるのだという企業もあるわけでありまして、そういうふうなものが大体二割ぐらいあるとすると、一万円というふうな基準価格をまん中にしまして、そのバルクラインの内と外とに約百万トンのわれわれがねらっておりますところの事業規模が残存するであろうということを、われわれは推定をいたしておるわけでございます。一万円という基準価格が、この法案において一つの目安になっているということは、実態の企業の諸条件から申しまして、そういう意味で一つの平仄が合っておる、こういうふうに考えます。
  11. 奧村又十郎

    奧村小委員 その点はまだまだ納得できません。今はそういう答弁でいけるかもしれぬが、もう一、二年先にいったら、そういう答弁はできぬことになるでしょう。これは、具体的に、たとえば北陸製塩で申しますと、北陸製塩には農林漁業金融公庫から四億の金が出ておる。そのほかに農林中金その他から六億の金が出ておる。農林漁業金融公庫は国の金です。しかもこれは資本金がわずかに五千万、資本金の二十倍貸しておる。しかも、これが年年欠損が続いて、すでに累計で七千万円余りの欠損が出ておる。従って、資本金は欠損のために食いつぶされて、まだ欠損が償われておらぬ。急に原価は下らぬ。この先この欠損は続く。二、三年先にいって一万円にしか買えない、その上収納価格を二千円も三千円も下げたら、北陸製塩は一体どうなりますか。第一、これに融資した農林漁業金融公庫の融資はどうなりますか。また錦海湾許可はどうですか。これはやはりトン当り施設費が四万円も五万円もかかっておる。これもまた果して予定通りの工事がうまくいくかどうか、それすらわからぬ。これに十億の農林漁業金融公庫の資金が出ておる。そんなものが、昭和三十七年に一万円ということにしたら、さしずめこれはつぶれてしまう。それがわかりながらそういう答弁では、私は納得できぬ。今ここで答弁はちょっと無理かもしれぬが、私はその答弁なら、今日は小委員会で聞いておりますが、本委員会でもう一ぺんその点を重ねてお聞きします。
  12. 村上孝太郎

    村上(孝)政府委員 先ほど申し上げましたように、北陸製塩の奧村委員の持っておられます資料というものについては、私は知らないのでありまして、私は公社公社職員を使って実態生産費調査した資料に基づいて言っておるわけであります。従って私は北陸製塩を言っておるわけじゃございません。もし北陸製塩が、奥村委員のおっしゃるように、そうした高い生産費に悩んでおるとすれば、北陸製塩企業経営者が合理的に行動する限り、今回の整備によってやめられるであろう、私はそう推定いたします。しかし、やめられなければ、それは企業経営者として十分な自信があるのではないか、そこに今度の法案一つメカニズムがあるわけでありまして、北陸製塩の具体的な生産費につきましては、塩脳部長から答弁させます。
  13. 奧村又十郎

    奧村小委員 答弁がありますか——私はやはりまずいところはすなおにまずいとおっしゃれば、そんなにしつこく聞きませんが、だれが考えてもこれはやはり少し公社も反省しなければいかぬということは反省してもらえばいいのです。私もこれで十何年国会議員で質問をやっておると、そう中途半端な御答弁では、とことんまでお尋ねをしたいという持って生まれたしつこい性分で、あなたが具体的資料答弁するというのなら、これはみな専売公社からいただいた資料ですからね。そこで、それでは後刻答弁を求めますが、この欠損を続け、まだでき立ての北陸製塩が、政府の資金を導入しながら、これがまだ欠損を続けて、もう休止しておる三国製塩の赤字を六千万円もぬぐうてやっておる。こんなばかなことを専売公社が一体監督しておるのかどうか。こんなことがあるということであれば、この政府資金を融資した農林漁業金融公庫責任もあるし、専売公社責任もある。これ一つだけ見ても、いかに専売公社のこの製塩業者に対する監督、指導というものがでたらめであるかということがわかる。どうですか。私はこれは専売公社からいだいた資料に基いてお尋ねしておる。きょうすぐには御答弁できぬかもしれぬけれども、塩脳部長、あなたからいただいた資料ですよ。北陸製塩から三国製塩へ六千万円の赤字しりぬぐいの資金が出ておる。これはもうまるで農林漁業金融公庫からじきじきに流したようなものであります。それに対して御答弁があったら、後刻——きょう御答弁があるなら、今承わっておきます。
  14. 小林章

    ○小林説明員 北陸製塩の問題について御質問がございました。北陸製塩の現在の生産費はどのくらいになっておるか、ちょっと失念をいたしております。一々覚えているわけにはいきませんので忘れましたが、融資の関係等その他、ただいま奧村委員のおっしゃった通りであると記憶いたしております。それは事実そういうことでありますので、今回この法案が通過いたしましたならば、あらためて、先ほど監理官が説明されましたように、それぞれの企業家が三十七年度一万円でやれるかやれないかということを腹づもりでそろばんを置かれます。またそろばんを置かれないような場合には、例の臨時塩業審議会が設けられますので、そこまでまた御相談に応ずるということで、やっていけるかやっていけないかということで御判断を願う、こういうことにいたしたいと思うのであります。
  15. 奧村又十郎

    奧村小委員 そうしますと、北陸製塩から三国製塩へ、その赤字のしりぬぐいをするために六千万円の融資をしたということは、塩脳部長は認めておられる。そうすると、三国製塩というものは、昭和二十二年の創立以来ほとんど欠損続き、これで一億ほど、七、八千万施設しておるのですが、これはやはり農林漁業金融公庫から金が出ておる。毎年赤字だ。その赤字のしりぬぐいに、初めて施設する北陸製塩が、利潤の中から融資するならまだわかるが、北陸製塩そのものが資本金を食いつぶして損になっておる、それから六千万円融資さしたということは、これはどういう事情によるのですか。
  16. 小林章

    ○小林説明員 北陸製塩から三国製塩へ六千万円融資しているというお話でございますが、公社は農林漁業資金の融資の際にあっせんはしますが、一々こまかいところまで立ち入ってやるわけではありませんし、従って、そのときどういう事情で六千万円が北陸製塩から三国製塩へ融資されましたか、私は詳しいことは存じませんが、おそらく親会社と子会社との関係があるので、そういうようなことが行われたのではなかろうかと、かように思っております。従いまして、それがよかったか悪かったかということは、その当時は公社としてはわからなかったのではなかろうかと思うのであります。なお、三国製塩が長らく赤字を続けておったというお話でありますが、これはおっしゃる通りそのようでございます。ただ従来、前にも申し上げますように、わが国では例の終戦前後の塩飢饉以来、塩の増産一路に進んで参りましたので、たとい赤字があろうとも、何とかこれをうまく企業として増産の線に持っていこうというのが当時の関係者の一致した意向でありましたので、その線で努力されて今日に参ったのではなかろうかと、かように考えております。
  17. 奧村又十郎

    奧村小委員 それでは、あとに質問者もおられるようですから、あと私のお尋ねしたいと思うのは、このような、赤字で休止している三国製塩のような工場に対しても、今度の臨措時置法で、交付金補償金は同じような率で計算なさるのかということ、これは大事なところだから、ちょっとお聞きしておきます。
  18. 小林章

    ○小林説明員 現在のところ工場が休んでいるか休んでいないか、まだ私どもの方に正式に報告はありませんが、聞くところによると、暫時休んでおるように聞いておりますが、いずれにしましても、今度の法律でも、また現在の専売法でも、今のところ法律上の取扱いといたしましては、休止ということにはなっておらないのであります。
  19. 奧村又十郎

    奧村小委員 まだお尋ねしたいのは今後の許可方針です。これに関連しますのは、どうも専売公社の今までの御答弁行政によると、非能率であるのも、また新技術を入れて能率的にやろうとするのも、それをある程度公社もしっかりと、塩価を下げるために許可その他においてもっと適宜適切にやられたいと思うのですが、今までの御答弁では、非能率工場を押えて能率工場を伸ばすという意欲が少いように思うから、お尋ねしたのであります。今後新しく許可される方針その他についてまだ質問が残っておりますが、他の委員に譲りまして、私はこのくらいで終ります。
  20. 濱田幸雄

    濱田委員長 西村英一君。
  21. 西村英一

    ○西村(英)小委員 私のお尋ねしたいことは、奧村君とダブるようなところがあるかもしれませんが、大体今回の整理はやはり公社生産目標を誤まったのだという非難が世間にあります。私たちも、百パーセントそうでないとしても、かなり長期の見通しを誤まったつのだというふうに感じております。しかし、それは過去のことでありますから、とがめてもいたし方がないといたしまして、先般そのために公社総裁は、塩業審議会に対して、今後の塩業政策の根本方針いかんという諮問をされまして、それに対し本年になりましてから答申案が出たのです。答申案答申案でありまして、総裁がその答申案のどういうところをどういうふうに取り上げるかということは、まあ今回の法律案で一部のことを明らかにしておられまするが、明らかでない点があるのであります。私の想像いたしまするところで、やはり虚業も、科学技術の非常な進歩で、相当に変化があるように見受けられます。従って、今総裁に長期の見通しを立てようと言っても、かなり無理なことをしいるように思われますが、しかし、やはり何と申しましても長期の見通しを立てないことには、これは将来に向って誤まることは明らかでございます。  そこで、答申案を拝見いたしますると、大体四つの柱について答申が行われておるように思うのであります。その第一点は、現在の塩の状況に、塩価と塩の品質との点から見まして、相当程度整理しなければならぬ、こういうことが第一点。第二点は、あまり高い塩ではいかぬ。価格政策から考えて、その価格を将来に向って予定して、それに近づけるようにしなければならぬ。またさらに進んで国際価格にまでそれを接近させなければならぬのじゃないか。これが将来の虚業の行き方じゃないか。これが第二点。第三点は、整理中あるいは残存の施設をどういうふうにして合理化していくか。この合理化の問題。第四点は、情勢によっては専売公社専売制度をやめてもいいんじゃないか。再検討しよう。大体大ざっぱにいってこの四つの柱のように見受けられるのでございます。そこで、それらの点につきまして総裁答申を受けて、答申に対してやはりしっかりした考えを持っていただかないと、私は今回の整理がまた再び近い将来にこないとも限らないようなことを思うわけであります。  第一点でございますが、第一点の相当程度整理するということと、第二の価格政策の点は、これは互いにからみ合っていくのでありますが、そのうちで尋ねたい一点は、おそらく、公社は、初めの整理の案といたしましては、四十五万トン整理、つまり八十万トン案というこのことを考えておったと思うのであります。ところが、それは予算の関係かあるいはその他の関係か知りませんが、今度の整理案として出てきておるものは九十五万トンの残存設備を残そう、三十万トン整理しようということであります。これに多くの問題が今後残ると思うのであります。一体これは非常に肝心なところでございまして、予算の点でやむを得ずそうなったので、これは将来にやはり問題が残る。問題というのは、専売公社の赤字がなお続く。九十五万トン案であればいかに整理をしていってみても、三十七年度には塩価一万円には到達しない、こういうようなことが思われるのでございます。この点につきまして総裁が確固たる信念に基づいてやったのであるかどうか。あるいは正直なところほんとうに整理はこれだけしたかったのであるが、やはりいろいろな都合でこうなったのだがというようなことになるか。その辺まず一点お伺いしてみたいと思います。
  22. 松隈秀雄

    ○松隈説明員 虚業政策というものが重大な転換期に参りましたので、公社といたしましても虚業の将来の基本的方針を定める必要に迫られまして、虚業審議会に将来の日本の虚業のあり方につきまして諮問をいたしまして、その答申をいただきましたことは、ただいま御指摘の通りであります。虚業審議会の審議の道程におきましても、もちろんいろいろな案が出まして、あるいは残存する企業を八十万トン程度にとどめるとか、あるいは九十五万トン程度にとどめるとかいうようないろいろな意見が出たのでありますが、答申案といたしましては、ただいまもお話がありましたように、価格の面からいきまして一応の方向を指示しまして、最終的な整理の塩のトン数を幾らにするかということを具体的に答申することは避けております。それは答申をごらんになるとおわかりになる通りであります。価格の面からは、先ほど来問題になっておりますように、昭和三十七年度以降残存する企業であれば、白塩一トン当り一万円という収納価格になってなお経理が合理化されるという合理化計画を出して、それが認められれば残る、こういうことに相なったのであります。一万円の基礎については先ほど監理官からお話がありましたが、平年度で見まして百万トンのところに線を引きまして、資本に対する一〇%の収益相当部分を認めました生産費で、一万円をわずかにこえておる、こういう数字が出ております。従いまして、残存企業百万トン程度でありますと、平年度計算であればトン当り一万円ちょっとというようなことになりますので、これに企業合同等の合理化を加えるということになると一万円を下る、こういうふうに考えられますので、一応今回提出されておりまする予算といたしましては、三十万程度を整理するということにして予算は組んでおるわけでございます。これを実行して参ります段階におきましては、まず希望整理によって整理を希望するものから整理し、続いて今度設けられます虚業整備審議会意見を聞いて、企業合理化計画が出してこられた場合に、その企業診断を行いまして、非能率、不採算的であると思われる、すなわち三十七年度以降一万円でやっていくのには非常に無理がかかるというような企業にはやめてもらう、それに対しては補償と申しますか交付金を与える、こういうふうなことにして整理を実行して参りたい。そういうことになりますれば、大体三十万トン程度の整理は行い得て、その暁においては塩価が一万円ということになって、その機会においては、塩専売事業の収支も、中間経費の節約その他によりまして、大体収支の均衡を得る、こういうような見込みを立てたわけでございます。
  23. 西村英一

    ○西村(英)小委員 そうしますと残存九十五万トンのものはやはり三十七年度には予定塩価になる、こういうふうに受け取っていいと思われます。そうすると、塩価を下げるのは一体何で下げるのでございますか。合理化して塩価を下げると申しますが、今は一万二千円、約二割の二千円塩価を下げなければならぬ。残存の九十五万トン施設くらいでは塩価が一万円に下るということですか、どういうことで下るのですか、それを一応参考のために聞いておきたい。
  24. 松隈秀雄

    ○松隈説明員 現在におきましては、先ほど奧村委員も御指摘になりましたように、生産コストに非常に大きな幅がございます。生産費の非常に高くついておるものから、企業によっては一万円程度でできておるものまで、大幅な相違があるのでありますが、今回この法律通りまして、非能率、不採算企業が自主的にやめ、あるいは企業合理化診断書を提出して、虚業整備審議会の議を経て、それの勧告と申しますか、それの診断の結果に応じてやめていくということになると、原価の高いものからやめて参る、こういうことになりますので、平均生産費というものが下ると思います。  それから、先ほど監理官からお話がありましたように、その後の新規の許可はいたしておりません。従いまして、年とともに企業者といたしましては償却が進んでいく、これは同時に償却分に当るものがやはり借入金の返済、こういう形になって参りますので、償却の進行、それによりまして借入金が返済されて利子が減って参る、こういう点からも生産費は下って参るわけであります。さらにできれば、企業の合同その他企業経費を下げるような、企業としての努力をぜひ進めたいと思っておるのであります。現在の企業者におきまして、先ほど来申しましたように、非常に生産コストの相違があります。というのは、虚業という企業が、株式会社のようなものから、組合というようなものもあり、しかも同じ株式会社なり組合なりにいたしましても、入浜から流下式に変わり、そして近代的な煎熬設備を持つという、その移り変わりの過程において、非常に合理化された企業形態もありまするけれども、その辺ただ比較的安易に従来の企業を引き継いでいるというようなことで、経費の節約の面についてかなり努力の足りない、と申しては失礼ですが、そういう向きもあるわけであります。たとえば流下式塩田一ヘクタールに従事しておりまする従事員を見ましても、整理合理化したところにおいてはかなりな人数の減少があるけれども、従来の入浜塩田時代の労務者を離職させるのは工合が悪いというので、そのまま引き継いでいるようなところは、一ヘクタール当りの人数がかなり多い。そういう点についても、できれば合理化をはかってもらいたい。どこまで合理化したらいいかという目標がなければ業者も困るというので、塩業審議会でもいろいろ資料に基づいて審議をされまして、先ほど申し上げましたように、これは線の引き方でいろいろあり、平年度生産費をとるか、あるいは経年度生産費をとるかというようなことによって違いが出て参りまするけれども、百万トン当りでありますると、資本に対する年一割の収益相当分を含む生産費で見て、一万円をほんのわずか出る程度である、こういうような一つの目安もございまするので、合理化とあわせて、三十七年度に一万円ならば大多数の企業、それは残る企業に当りますが、それはやっていけるものである。もちろんこれは今のような経済状態で大体推移すると見ての上でありまして、炭価が大いに違うとか、あるいは賃金状態が非常に変化して参る、こういうことになれば、それはそのときの事情をやはり加味しなければならないかと思います。
  25. 西村英一

    ○西村(英)小委員 三十万トンの整理ですが、これは今回の交付金でどういう見通しになりますか。これは今から言っても、やってみなければわからぬということになるかもしれませんが、希望者が三十万トンに達しなければ強制するということになっております。これの見通しがわかれば聞きたいのです。さらに三十万トンでなくて、希望者が二十万トンをこえたら、それはどういうふうな処置をとられるつもりですか。
  26. 松隈秀雄

    ○松隈説明員 将来の見通しでありますので、非常にむずかしい問題でありまするが、私の見通しといたしましては、やはり企業者にも欲もあれば、またいろいろ思惑もございまするので、むしろ進んでやめるということはなかなかやりにくい。しかし、もうはっきり引き合わないというので、この法律の通るのを待っておって申し出たいという希望のある向きも内々伺っておりますから、ある程度の申し出はあると思いますが、それから先になって参りますと、むしろ自分がきめるより、一応計算をして、塩業の整備審議会意見もあったから、それでやめる方に踏み切った方がやめやすい、こういうような向きもありはしないかと思いますので、今のところ希望だけで三十万トンに達し、さらにそれをこえるというような見通しは、少し甘過ぎると申しますか、そこまではいかないのじゃないか、かように思います。
  27. 西村英一

    ○西村(英)小委員 時間がありませんから、簡潔に申します。第三点は、残存設備を合理化する。ところが一方で整理中は施設は許さぬ。現在の九十五万トン能力施設を将来もずっと九十五万トンでいくつもりですか。これは整理中は許可しないでしょうが、どうしていくつもりですか。この辺がわれわれによくわからない。それが長期計画の重要な点になるのでありまして、かたがた、おそらく現在の九十五万トン施設を永久に九十五万トンにしていくわけではなかろうと思います。それと並行して、その間には新技術、いわゆるイオン交換樹脂膜による方法が出てくるが、これらのものを勘案して今後どういうふうに、あるいは今後五ヵ年、長くいえば十カ年後にどういう形になるだろう、こういうこと一についての見通しはどういうふうに持っておられるか、参考のために聞いておきたい。
  28. 松隈秀雄

    ○松隈説明員 残存企業が九十五万トン前後に今の案からいえばなるかと思うのでありまするが、その九十五万トンが残りましたにつきましても、先ほど申し上げましたように、企業形態が非常に原始的であって、経費を効率的に使う、節約をする、こういうような面についての合理化もございまするし、あるいは他の組合と統合をいたしまして、煎熬設備を一カ所に集中するというようなやり方考えられるわけであります。それから、お話がありましたように、イオン交換樹脂膜法によります新製塩技術の問題もございます。これにつきましては、塩業審議会の技術の専門委員会においても相当検討しまして、日本におきますイオン交換樹脂膜法による製塩技術はかなりの程度に高く評価されてよろしい、こういうようなお見込みでございますが、ただ何しろ超特急の新しい技術でございまするので、これを実施に移すに当っては十分慎重を要する。そこで一挙に大きな工場においてこれを実施するということは非常な危険を伴い、また全体の塩の生産のワクにも影響することでありまするので、答申にも、整備の期間中であれば、既許可のワクの範囲内において中間的な試験を認めるという程度にとどむべきではなかろうか。それから二カ年後に整備が済んだ後においてどうするかというわけでありまするが、二カ年後に整備された状態をよく見きわめてみたいと思います。その場合に、先ほど来お話がありましたように、非常に希望者が多くて九十五万トンをこえるという状態か、あるいはそれほどでなくて、九十五万トンよりも少しよけいなものが残るか、これは二カ年たって実施した結果によりますが、いずれにしても今回は過剰塩を整理いたしまするために、一トン当り三万円というような巨額の国庫支出をいたすことに相なりまして、その点公社としても非常に遺憾に思っておるところでありまするので、同じような事態を再び繰り返すということは、これは非常な注意と決意を要する。かように考えますと、かりに九十五万トンという残存設備があるといたしまして、新技術、イオン交換樹脂膜法を導入するとするならば、整理後におきましてもやはり、そのワクの範囲内において新技術を導入するということをまず考えるべきではなかろうか。イオン交換樹脂膜法も、ほんとうにその効果を上げるということになりますと、ある程度大きな規模でやることの方が合理的なのであります。その場合に一挙に工業塩の価格でできるということになりますれば、それはもう九十五万トン前後という食料塩のワクと関係のないことでありますから、初めから規模も大きいし、工業塩としての価格で引き取ってよろしい、こういうことであれば、その条件を厳重につけて認可することはできることであります。ところが、やはり経過的に、トン一万円より安くできるけれども、たとえば七、八千円でできるけれども、なお食用塩として買ってもらわないと困る。こういうことになりました場合において、新技術の芽をつむか、ワクをあくまで保護するかという点が非常にむずかしい点でありますが、やはり新技術は新技術として伸ばしていくべきものであり、その新技術を導入することによって、塩業の合理化を一そう高度に進められる、かように考えますので、できれば従来の既許可の方々も何らかの意味でタイアップして、そうしてそのワク内において導入していく、こういうような方向に指導して参るべきではないか。そういうときにおきまして、技術が確かであるかどうか、それからして、その見込み生産費が申請者の言う通りであるかどうかということについては、重大な問題であり、かつむずかしい問題でありますので、従来のように公社の一方的判断によって処理することなく、これを適当な機関に諮問をしまして、そしてワクの問題とのからみ合い、それからどれだけの程度合理化されて虚業の全体としての経費が低下するか、そして企業の安定に役立つか、こういう判断を十分にした上、新技術は取り入れていく方向に進むべきものだ、かように考えております。
  29. 西村英一

    ○西村(英)小委員 私もその点については多少意見がありますけれども、時間がありませんからまたにします。  最後に、情勢によっては専売制度を検討したらどうか。これは先般の小委員会で私は大蔵大臣に尋ねまして、大蔵大臣が意思表示がありましたから、あらためて尋ねませんが、これははなはだ失礼な申し分になりますが、今後はなおさら科学技術の進歩によってむずかしいことになると思うのです。従来この点を怠っておったために見通しもつかなかったでしょうが、ざっくばらんに申しまして、専売公社職員の再教育は必要だと私は考えるのです。中央におきましてはなるほどりっぱな方々がよくやられておりますし、研究員もおられるかもしれませんが、いわゆるこの答中にもちょっと触れておりましたが、専売制度に関係者が両方でもってなれているということで、私たちいろいろなことを拝見しましても非常に快く思わないことが多々ある。それでそういうことを一々例をあげて言いましたら長くなりますが、私は、少くとも今後新しい技術が入り、また新しい経営のやり方をしなければならぬと思いますから、中央地方を通じて専売公社職員の再教育が必要だ。公社型と申しますか——これははなはだ悪いのですが、世間では公社型なんて言っている。そういう点について総裁のお考えが何かあろうと思いますが、再教育の点につきまして、何か考えておるということならば、この際お聞きしておきたいと思います。
  30. 松隈秀雄

    ○松隈説明員 専売制度の将来の検討の問題と、それから公社員の心がまえの二点についてお尋ねがございました。  前段の専売制度の再検討でありますが、これは、塩業審議会答申にもございます通り塩業審議会としては、まずこの時期に第一次に取り上げるべきことは、塩の需給のアンバランスを是正することだ、それには非能率不採算の塩業を整理し、それに対しては相当の交付金を出すべきだ、それと同時に残存企業の基盤をかたくして、塩業を近代産業として合理化させる、こういう方向に持っていくべきだということでございますので、その趣旨を尊重いたしまして、今回法律並びに予算大蔵省から国会に提出して、御審議を願っておるわけであります。従って、この法律が実施された暁におきまして、塩業審議会の希望したような整理が行われ、残存業者の基盤が強固になる、そうして企業として近代化する、こういう事態になったときにおいて、もうこういうふうに民間企業として独立できる、りっぱに近代化産業としての基盤があるのだというならば、しいて専売を存置しなくてもやっていけるんじゃないか、そうして、新技術の導入もむしろ専売から離れて、民間企業として自由にやらせた方がいい、こういう事態になってはずれるか、あるいは、これをやってみたけれども、どうもまだやっぱり企業としての基盤の強化ができない、そうなるとやはり保護を続けるという状態が続く、そういう保護を国民の負担において長く継続すべきでないという見地から検討することになるか。検討ということは、おそらく二つの場合が想像されると思うのでありまするが、私といたしましては、できればせっかくこの答申の趣旨が実現いたしまして、虚業としての第一次の目標である需給のバランスを回復する、ぞして残存企業が近代化し合理化するという事態が出現して、そのときに専売制度を存置すべきやいなやということを再検討する、こういう時期の来ることを希望しておるわけでございます。  それから、公社職員一つの型にはまっておって非能率であるというようなことについては、御注意をいただきましてまことに恐縮に思っておるわけでありますが、どうしても専売局というものから移行して参りましたので、その後入りました職員もございますけれども、やはり職員の多くは役人から続いて公社というものに切りかえられておりますので、初めからの民間人というほど——企業活動の点において劣っておる点があることは認めざるを得ないと思うのであります。これをどうして企業性を発揮させるか。そうして、公社であるからただもうければいいというだけではなくて、公共性も害しないように守っていかなくちゃならぬ。そこにつらい点があるわけであります。今回塩業整備に当りまして整理されて参ります塩業者なりその従業員には、これは交付金は与えますけれども、多大の犠牲をしいるわけでありまして、従いまして、公社の方も、とうていそれと比ぶべきものではありませんけれども、やはり公社においてもできるだけの犠牲を払うべきは当然であるというので、中間経費の節約、これは答申にも、中間経費をぜひ節約して、公社の経費を大幅に減らせ、何割と書こうかという話まで出たわけでありますが、その御趣旨も承わっておりますので、御注意に従って善処して参りたいと思います。
  31. 西村英一

    ○西村(英)小委員 最後に一点。これも参考にちょっと聞いておきたいのですが、平年作百二十五万トンで、三十万トン整理しようということで、九十五万トン残るのですが、先般から問題になっております未稼働のものでございます。その未稼働のものというのは、聞くところによりますと、錦海湾、佐世保、四国開発というのでありますが、その末稼働のものの許可量は総体で幾らでございますか。
  32. 小林章

    ○小林説明員 私かわってお答え申し上げます。約十四万トンぐらいであります。
  33. 西村英一

    ○西村(英)小委員 十四万トンだとしますと、三十万トン整理するというのでありますから、それをやめてしまえばあと十六万トンでいい勘定になるのですが、そうですが、参考のために聞いておきます。
  34. 松隈秀雄

    ○松隈説明員 それをやめるかやめないかということは、業者が希望するか、あるいは企業診断書が出た場合にどういう扱いになるかということが前提になりますが、簡単な差引計算は、これも能力の中に入れてございますから、その分がやまれば他の整理する部分が減る、こういう結論になります。
  35. 西村英一

    ○西村(英)小委員 よろしゅうございます。
  36. 濱田幸雄

    濱田委員長 それでは、大西正道君。
  37. 大西正道

    大西委員 聞きたいことはたくさんあるのですが、時間を切り詰めまして、一点。法案の第三条に規定されておる交付金の問題ですが、これはこの前もお聞きいたしました。業者に対しての交付金、補償の高についてはこの際触れません。しかし、業者に対しての交付金と労務者に対しての退職金、これとの比較をしてみると、あまりにもアンバランスである。この点をこの前の予算委員会においてあなた方にも反省を促しておいたのでありまするが、その額の少いことと、いま一つの問題点は、この三条に規定されておるところの交付金は退職金を支払うための費用、こういうように規定しておる。この考え方は、各企業において使用者側と従業員との間に退職金に関するいろいろなきまりがある。その場合に、今回のような政策的な整理による人員整理でありますから、従業員に対しては、企業における退職金のほかに幾らか規定されるところの額が交付さるべきだ、こういうのでなければならぬ。こういうことについて私の見解を申し述べておいたのでありますが、その点についてその後お考え直しを願ったかどうか、御検討願ったかどうか、この点を一つ聞きます。
  38. 村上孝太郎

    村上(孝)政府委員 第一点でございますが、業者にいくところの金に比較し、労務者の退職金に充てられるものが非常に少いのではないかというような問題でございます。今回の整理の一番大きな問題は、結局企業の中で非常に非能率なものに、過剰生産力の整理という専売制度の維持のためにやめていただくわけでございますが、その場合にこの整理によって非常に得するということがあってもいけないし、またこの整理でやめたところが非常にあとで借金が残るということでも困るということで、いわばそうした憂いのないように整理を行いたいということが主眼でございまするが、その場合一番大きな問題は、結局現在の塩業というものがほとんど大部分を借入金でやっておる、こういうことではないかと思うのであります。従って、この前もちょっと御説明申し上げましたけれども、八十七億の約八割というものがいわばそういう借金の返済に充てられるわけでございまして、その八割を除いた残りがそれぞれの塩業者なりあるいは塩業から離職する労務者の新しい生活のつてを求めるための資金になるわけでございまするが、残りましたものの中で非常に労務者の退職金が虐待されておるというふうには、この前も申し上げましたように、私は思っておりません。ただそれについてもっと奮発する気はないかというお考えではないかと思うのでございます。これも検討はいたしておりまするが、われわれとしてはこういう案が適正であるというふうに思って提案をいたしました。その舌の根のかわいてないときでありますから、ここでどういうふうに検討したかということの結論を申し上げるまでには至らないことは、非常に残念だと思っております。  それから、第二点の、退職金を支払うための費用、こういう書き方になっておるが、これは企業者と労務者との間の退職金の支払い外のものではないか。その意味が私はよくわからぬのでありますが、この退職金を支払うための費用というのは、企業者が労務者の退職金を支払うための原資になるわけでありまするから、それは企業者から労務者に渡るものの一部であることはたしかであります。ただ問題は、企業がそれぞれに積み立てておる退職金の積み立てをこれから差し引くのかどうか、それからもう一つは、ここで退職金の原資を交付するということが、企業者と労務者との間の退職金についてのいろいろな協定に対してどういう意味を持っているかということであろうと思うのであります。もちろんこれは、企業者と労務者との間の退職金についてのいろいろな交渉なり取りきめについて、この交付金が拘束を与えるわけではございません。ただ前者の積立金につきましては、この前も政令の御披露をいたしましたときに、われわれとしては、今度の整備に際しまして各企業間に退職金を支払うための原資が非常にアンバランスにならないようにということが、今度の整備の精神からいっても妥当ではないか、こう考えて、その場合の交付金の計算には積立金を差し引くという構想でやっておりますということを御説明申し上げたわけであります。それに対する御意見もその後検討はいたしておりますが、まだそれについての結論的なことを申し上げかねる状態にあるのは、これも非常に残念でございまするが、現在の私としてはそれ以上は申し上げかねます。
  39. 大西正道

    大西委員 先の問題はあとから問題にしますが、あとから言われたところの、積立金が何がしかあるという場合には、この交付金の中からそれを考慮する、こういう構想であるそうでありますね。それではただいまの施行令とかあるいは実施の要綱などにそういう考えを盛っておるのですか、どうなのですか。
  40. 村上孝太郎

    村上(孝)政府委員 この前この小委員会塩業整備臨時措置法施行令案の要綱というものをお配りいたしましたが、その中に書いてございますように、施行令でもってきめたい、こういうふうに考えております。
  41. 大西正道

    大西委員 あなたは一体積立金というものがどういう性格で個々の企業において積み立てられておるかということに対しての御研究は十分されておると思うのです。ということは、私どもは、積立金というもの、すなわち退職金の積立金ですね、この退職金というものが、ただ退職金は退職金として別個なものとして、何らほかに関係なくして考えられるのじゃなくして、いわば賃金を協定する場合に、今は賃金としては上げられないけれども、退職のときに十分備えをしようじゃないかというような話し合いができまして、いわゆる平素の賃金の一部として退職金というものが積み立てられておる。その場合にはその一部を労働者の負担によって積み立てるという場合もある。そういうことをしなくても当然賃金としては上げたいのだけれども、しかしそれは一つ退職金の方でまかなっていこうじゃないか、こういうふうな退職金というものの性格は、賃金の一部であるという考え方が理論的にも現実的にも非常に多いのです。そういう場合に、政府交付金として出す金の中から、そういうものがあればこれ幸いとそれを控除する、こういう場合に、この補償というものが公平に行われるかどうかということに対して、どうお考えになりますか。
  42. 村上孝太郎

    村上(孝)政府委員 われわれが退職金の積立額をさっ引くというふうな制度考えておると申し上げましたのは、従来いろいろな、こういう補償の型と申しますか、たとえば電源開発でダムを作りまして、それで離職する労務者が出るという場合に、どういうふうな退職金の原資を補償するかというような、先例もいろいろ調べたわけでありますが、そういう場合にも、積立金というものをさっ引いております。これは今大西委員のおっしゃいましたいろいろの考え方が考えられると思うのでありますが、われわれとしましては、今度の整備は専売制度を存続するための前提条件となる過剰生産力の除去ということに協力をしていただくためでありまして、そういう大きな目的の上から申しまして、ある企業はその積立金が十分にあるから原資としては非常に豊富であるとか、あるいはある企業はそうでないから原資が乏しい、こういうアンバランスがあるということはむしろ妥当ではないんじゃないか。それの配分につきましては、企業と労務者との間にいろいろの取りきめがあるわけでございましょうけれども、少くとも原資の面である程度バランスをとり得ないということは、今度の虚業整備の貢献する目的という意味からいって、それぞれの企業にとって公平でないような結果が起るのはまずいじゃないかということから、原資においてバランスをとろう、こういう考え方で積立金をさっ引く、こういうような考え方にしておるわけであります。
  43. 大西正道

    大西委員 それは、あなたの方の考えがそうでなければこういう結論は出ないのですが、私の申し上げましたのは、あなたの退職金と賃金論からいって、私の申したようなことについてどういう御理解があるかということなんです。全然別個のものだというふうにお考えなのか、現実には退職金というものが賃金の一部としてきめられておる、こういうにお考えになるかどうかということをまず一つ。これはそういうことだけに限定してお答え願いたい。
  44. 村上孝太郎

    村上(孝)政府委員 その退職金の理論的究明においては、遺憾ながら私はあまり知識がございませんので、そういう大西委員の言われるようなお考え方、私は間違っているとは思いませんが、しかし、今度の整備というふうなものがどういう性格かといえば、これは一つの形にすれば会社の都合でやめる場合の形と同じじゃないか。その場合に会社の都合ならば積立金が原資になる。そこに今度の退職金の支払いと類似性はあるわけでありまして、その場合に勘定の中に入る積立金であるならば、今度の場合も勘定の中に入れていいのじゃないか、こういうふうに考えます。
  45. 大西正道

    大西委員 私の考えが、そういう考えも成り立つというのじゃなしに、賃金の中における退職金というようなものは、そういう性格のものなのです。そういう考えから一つ今回の問題も処理してもらうように考え直しを願いたいと思うのです。これは何も法案ではないのですから。その施行の要綱なんでしょう。ですからこれはまだまだ検討すればできるのですから、それくらいな謙虚な気持でおやりなさい。とにもかくにも今回の整備は塩の過剰生産によるところの整理による場合だからというようなことを、ぬけぬけと言われるけれども、そう言うなら、私はもっと本質的な問題を言いたいのだ。大体これまでは増産々々と言っておきながら、今回急にこういう形でもって整理をやる。それに対する責任はどこにあるかということは、私はこの前申し上げたように、これはあくまでも専売公社大蔵省の塩の増産に対する統一的な見通しの誤まりからなんです。その点をはっきり責任考えら回るならば、ただ単に塩の過剰によるところの整理だから云々ということは、これは少し反省が足りないと私は思う。一体初めからどういう計画でこういうふうな結果になったかということについては、新しく新規の設備を許可したいきさつを年次的にずっと追及していけば、当然錦海湾の問題を中心にしていろいろの不合理な問題が出てくる。この責任はあげて公社にある。業者にあるのじゃない。ましてや従業員にあるのじゃないんだ。だから、そういうようなまず第一の反省に立って、あとの補償の問題でも考えなければならぬということを私は言いたいのです。これは答弁は求めませんけれども、そういう考えを変えられないならば、やはり別な機会に、もっと年次的にいろいろな計画を追及していかなければならぬと私は思うのです。そういう意味で、一つ考え方の根本をもう一回考え直していただかなければならぬと思う。  それから、時間が五時までだそうですから、なにしますが、この積立金というものを積み立ててあるところは控除される、積み立ててないところはそのまま交付金はこれに充てるということになりますと、必ずしも経営状態がいいから積み立てておるとはいえないと思う。積立金という形でもってはっきりこれをあげておるから、だからそれが経営状態がいいんだ、こういうことは必ずしもいえないと思う。またこれは、逆な考え方をすれば、積立金というようなものを積み立てていくというようなことは、私は労使のいろいろな慣行から申してけっこうなことだと思う。ところがそういうけっこうなことをやっておるものは、こういう場合には、もうかえってさっ引かれる。そうして何にもしていないところは、まるまるもらえるということになっちゃったら、今後こういう種類のことが起きた場合に、いい先例にはならぬと思うのですよ。その点はどういうようにお考えでしょうか。
  46. 村上孝太郎

    村上(孝)政府委員 大西委員の御意見はよく検討してみますが、ただいまの御質問に対しては、私どもは逆にこういう考え方をしております。ある企業においては積み立てておる、ある企業においては積み立ててない、まじめに積み立てたところは、さっ引かれるが、積み立ててないところはまるまるもらえる、不公平じゃないか、確かにそういう議論にもなろうかと思います。ただ積み立ててない、いわば将来の備えにおいて怠慢であるところが、それが企業者の責任であったのか、あるいは労務者の責任であったのか、これは問わないにしても、とにかく今度企業整備をされるという現実から見ましたときに、離職される労務者の方々には責任はない。そういう意味から、厚薄ができるというのは、むしろ逆に不公平じゃないか。従って、積み立ててなかったその経緯についてはいろいろな言い方があるかもしれませんけれども、渡せるものの原資としてはそろえたい、こういうような逆な考え方を持ったわけです。
  47. 大西正道

    大西委員 だから、私の一番言いたいことは、各企業において労使間にどういう取りきめかをして、あるものは退職金よりも当面の給与を上げる方がよかろうという考え方で、退職金は準備はしておらない、積み立てばしておらない、そういうものはそれでいいじゃないですか。またあるものは、退職金の方は厚くして、しかも積み立てておる、そういう労使間の取りきめならば、またそれはそれでいいじゃないか。それをとやかく言う必要はないというのです。今回の場合は、これは大きな政治的な整理なんです。それによってこうむるところの被害は、業者と従業員ですよ。一つ企業というようなつかみ方によって、これを一括するということは間違いだと思う。交付金の内容はいろいろとこまかく三つ、四つに分れておる。しかし、これは大別すれば業者の負担と従業員の問題です。そういうように見るときに、補償というものは、業者に対してと、従業員に対してと、こういう分け方をすべきだ。建前からいったら、その補償は業者直接に渡す、あるいは従業員直接に渡すという方式なんです。だから、従業員に渡すためには、はっきりした労働組合の組織があれば、その機関を通して渡してもいいと思うしかし、企業という一つのまとまったものの場合は、業者を通じて渡してもいい。これは手段であり、便宜的な方法なんです。だから、今回の補償の額の多寡、これは企業に対してと従業員に対しての厚薄については、もうここでは言いません。私は、従業員に対しても、これはアンバランスであると思いますけれども、たといそれは少なくても、そういうふうに考えると、それは別個なものだとして、政府の整理による責任として従業員に渡すんだ。それは補償といってもいいし、あるいは転業資金というような名前をくっつけてもいいでしょうだから、それは各企業における労使間の退職金とは別個な問題だとしてこそ、ほんとうにそういう意義があると考える。そこまで考えなければ——一括して企業者に渡してしまう、そしてしかもその中で積み立てるものを差し引くんです。何で積み立てたものを差し引くのですか。そんなこまかい、いろいろ議論のあるところの一方の議論を取り立てて、こういうことを規定しなければならないのですか。それもあとで聞きますけれども、何もそこまでしてやる必要はないじゃないか、こういうことを考えるんです。要は、私の言いたいのは、各企業における労使間の退職金の問題は、それはそれとして、多いところもあろう。少ないところもあろう。実は少ないですよ、ほかの業種に比べれば。給与においても、退職金においても、塩業労働者は他の労働者の給与、退職金にはるかに及ばない。それも業者が零細な場合もあるし、こういうふうな企業自体、塩専売というような業態のもとにおいてはやむを得ぬというあきらめがあるんです。それはよく従業員も考えておる。だから、それはそれで、この際に若干の直接従業員に渡すところのこの補償を、名前は転業資金でも何でもいい。そういうものを別個に渡すということ、これについてだれも目を立ててそいつはいかぬと言う者はないと思っておるのですが、いかがでしょうか。
  48. 村上孝太郎

    村上(孝)政府委員 なぜそういう積立金を差し引くようなこまかいことを考えたかという話でございますが、これは、それぞれ整備をします場合の補償の型といいますか、そういうものは国庫当局においてもプリンシプルがあるわけでありまして、そういう意味から、国庫当局としては、先ほど申し上げましたような電源開発の例から見ても、そういう点をはっきりさせるのが従来のやり方に似通っているのじゃないか、あるいは忠実ではないか、こういう御意見があってそうしているわけであります。いろいろ御意見もあるようでありますし、われわれの方でもよく検討いたしたいと思います。
  49. 大西正道

    大西委員 検討するということでありますが、これは一つ、実施の面については既定の方針にとらわれず、あたたかい気持でやっていただきたい。せっかく八十七億というような膨大な補償、その大半の責任公社政府にある。それだけの大へんな国民の税金の浪費だといってもいいと私は思う。このことは初めに申しました。そういう中で従業員に対して予定されるのは幾らですか。四億円余りでしょうその中で積み立てていないのはどのくらいあるのか。控除すればどれくらい返ってくるのか。これから調べると言われるかもしらぬが、おそらく調べてあるのでしょう何も大した企業の数でもないのでしょう。おわかりになっておるはずだと思う。その中で、全く微々たるものですよ。何千万円になるかわからぬ。しかし、そういうことをやることによって、せっかくこういう八十七億というような補償をやろうという、いわば考え方によってはあたたかい処置だともいえると思うが、その中でこういうことでこまかいことをほじくり返して、そうしてせっかくの処置を全くつまらぬ変な気持で結末をつけることは、政策的に考えたってまずいと私は思うのです。労働者がたくさんもらっているのなら、これはけちをつけてもいいでしょう。あなたも、公社総裁も、業者も、ずいぶんめんどうを見てあげなければいけません。しかし、ここに働いている従業員の他の労働者と比べての給与、待遇なんかをお考えになったら、いつだって機会あるごとに何とかしてやりたいということをおっしゃっているのですから、こういうときに少しあたたかい目を見せてあげて下さい。だれも怒りゃしません。私はそう思う。
  50. 村上孝太郎

    村上(孝)政府委員 何度も同じようなことを御答弁しておるわけでありますが、今度の虚業がいかなる従来の政策の間違いから今日の事態を生じたとかどうとかいう問題は、何度繰り返しても同じような議論をすることになりますから私も繰り返しませんが、従来の件は別にいたしまして、今大西委員のおっしゃいましたように、八十七億という金は国民がやはり負担するわけでございます。従って、国民が負担するという立場からいたしますと、それぞれの立場から、今度はもっと支払う方の、負担する方の国民に納得のいくようないろいろな筋を考えるということの努力をすること、これは御了解を願えると思うのでありまして、そういう意味から、われわれは、従来のいろいろな先例等から考えて、こういう構想を考えたわけでございます。いろいろの御意見もあるようでございますから、私も検討いたしてみようと思っております。
  51. 大西正道

    大西委員 これで終りますが、要は、第三条の「退職金を支払うための費用、」これが私どもは承認できない。しかし、原案として出された以上、あなた方にこれを修正せよと言っても仕方がない。これはわれわれ両党においてよく話して、いわゆる国会の審議権のもとにこの修正をはかりたいと思う。ただし、あなた方に私が今なぜこれを聞いておるかというと、いろいろと話をして、なるほどそういうことも考えられるということになれば、私どもがこういう修正をする場合に、提出者の意図もここまで考えが進歩したということになりますから、積極的な意見の開陳を望んでおるようなわけです。どうぞ一つそういう意味で、また機会あるごとに他の問題についてもお伺いしたい。監理官ばかりの答弁であったが、公社総裁いかがですか。私の申し上げたようなことについて、とにもかくにも出す交付金企業における退職金とは、一つ別個に扱うこともよろしいというふうにお考えになるやいなや。
  52. 松隈秀雄

    ○松隈説明員 前回予算委員会においても御質問があり、重ねて本日御質問がございました。公社総裁といたしましても十分検討をいたしたいと考えます。
  53. 濱田幸雄

    濱田委員長 本日はこの程度にとどめまして次会は追って御通知することにいたします。  これにて散会いたします。     午後五時八分散会