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1959-03-18 第31回国会 衆議院 大蔵委員会税制並びに税の執行に関する小委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年三月十八日(水曜日)     午前十時十五分開議  出席小委員    小委員長 山本 勝市君       奧村又十郎君    押谷 富三君       鴨田 宗一君    川野 芳滿君       小山 長規君    濱田 幸雄君       古川 丈吉君    細田 義安君       毛利 松平君    春日 一幸君       久保田鶴松君    田万 廣文君  出席政府委員         大蔵事務官         (主税局長)  原  純夫君         国税庁長官   北島 武雄君  小委員外出席者         大蔵事務官         (主税局税制第         二課長)    吉國 二郎君         大蔵事務官         (国税庁間税         部長)     泉 美之松君         大蔵事務官         (国税庁協議団         本部長)    田宮 良策君         専  門  員 抜井 光三君     ————————————— 三月十八日  小委員山村庄之助君同月十七日委員辞任につき、  その補欠として川野芳滿君が委員長の指名で小  委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  酒税保全及び酒類業組合等に関する法律の一  部を改正する法律案内閣提出第一七八号)  税の執行に関する件      ————◇—————
  2. 濱田幸雄

    濱田委員長代理 これより会議を開きます。  税の執行に関する諸問題について調査を進めます。  質疑通告があります。これを許します。山本勝市君。
  3. 山本勝市

    山本(勝)小委員 たびたびお伺いいたしました物品税法第六条第四項の解釈の問題であります。すなわち、今回の改正で、販売業者が「自己ミノ商標表示スベキコトヲ指示シテ第二種若ハ第三種ノ物品製造セシムルモノハ」これを製造業者とみなして、そこへ税をかけるという点であります。その「自己ミノ商標表示スベキコトヲ指示」する、そして「製造セシムル」という意味でありますが、これから私が一、二、三といろいろな場合をあげて、こういう場合は適用されるか、されないかということをお伺いしたいのであります。かりにその販売業者の方を甲といたします。それからその品物を作った者を乙といたします。  第一の場合は、零細業者メーカーである乙が、自分物品製造して、見本を持って甲のところにやってきて、これをぜひ一つ買うてもらいたい、こういうことを懇願する。これは実際に行われることであります。これは物品製造を命ぜられて製造したのではない。自分製造して見本を持ってきて、これを買うてくれと頼んだ。そこで甲は、それを見て、よかろうということで承諾をして、一定量注文した。そこで乙は、甲は指示しなかったのですけれども、その品物へ甲だけの商標表示して甲に納入した場合に、これが適用になるかならぬか。ここで疑問になりますのは、表示指示していない。これは一般の今日の商慣習をいろいろ調べてみますと、注文しますと、メーカーの方で勝手にというか、気をきかしてというか、商標をつけろということを言わないでも、ちゃんとつけてくる。この場合は、今の自己のみの商標表示すべきことを指示して製造せしめるという文字の中へは、どうしてもはまらないのでありますが、この場合どういうことになりますか、まずお伺いします。
  4. 吉國二郎

    吉國説明員 ただいまお尋ねの、まず「自己ミノ商標表示スベキコトヲ指示シテ」「製造セシムル」という意味でございますが、これは、先般も御説明申し上げましたように、販売を業とする者が、製造者に対しまして、他の商標指示せずに、つまり商標として指示すべきものは自分のものだけという条件製造をさせ、また従いましてその販売責任自己が負うという意味で、その製品を納入させる。もちろん、製品を納入させると申しましても、物理的な意味ではございませんで、指示をして倉庫から発送させるということをもちろん含みますけれども販売責任自己が引き受ける、つまり商標をつけてある者がその販売責任全体を負う、あたかもその製造という事実行為は販売者一定製造部門で行われたと同様な結果になるという場合を考えておるわけでございます。そこで、「自己ミノ商標表示スベキコトヲ指示シテ」「製造セシムル」という法文解釈でございますが、これはその契約全体の中からこの趣旨が出てくるということを意味するわけでございまして、その指示の形式はどうかということになりますと、これは実際にはいろいろな形があると思います。契約に明確に書く場合もありましょうし、契約に付属した条件としてきめておる場合もございましょうし、どうも契約やり方自体につきましては千差万別だと思いますので、契約解釈の問題がからんで参ると思います。これは従来の原料、労務、資金等を供給して製造を委託するという場合の製造委託ということにつきましても同じ問題がございまして、それだけに慎重に事実を判断して、この法文趣旨に合致するかどうかを判定する必要がある。先般も申し上げましたように、そういう意味では、この条文適用するためには、十分に事前に事実を分析いたしまして、一定結論に基いて通知をした上で適用する必要があると申しましたのも、こういう契約内容についての解釈がいろいろ千差万別であり得るということから申し上げたわけであります。  それで、ただいまのお尋ねの、乙が見本を作って甲に提示をして、そうして甲がそれを注文をした、ところが甲は全然その商標表示指示を命じなかった、しかるに乙が勝手に甲の商標を付したという場合、純粋にそういう形態で甲は関知をしなかったという場合は、多分にこの条文には該当しないおそれがあると思います。ただ問題は、結果においては甲は商標指示された以上販売責任も負う、もちろん自分一手買付をいたしますから販売責任も負います。事故があればその責任も負わなければならないという立場で、おそらく通常の場合にはその間に暗黙の契約があるだろうと思います。その点が全くないという場合には、この条文からは今の御設例ははずれて参る、個人的には私そう思いますが、さらに検討いたしたいと思います。
  5. 山本勝市

    山本(勝)小委員 吉國君の説明をだんだん聞いておるとますますあいまいになってくるのですが、私は、法律を通すものと前提して、これをはっきりさせたいということから尋ねて、これは記録に取っておきたいと思うのです。しかし酒団法の問題もありまするし、時間を長く取るわけにいかぬが、しかし、だんだん聞いておると、販売責任消費者に対して取るというところに、メーカーと認めるか認めないかのポイントがあるのだというようなことも今ありましたけれども、この前もちょっとそういう言葉がありましたが、そういうことならば、これは商標法というものをごらんになればわかりますが、商標というものの意味販売取扱いというものの表示なんだ。これは製造表示じゃありません。ですから、ただ販売について消費者に対して責任をとるというだけなら、その人の商標を張っておれば——二つあれば連帯責任になるけれども、そういう「自己ミノ商標表示スベキコトヲ指示シテ」とかあるいは「製造セシムルモノ」とかいう条件は何も要らない。商標さえ張っておればその中に含まれるという解釈も出てくる。そこに、私は非常に疑わしい点が出てくると思う。ことに百貨店なら百貨店の場合は、この間もあなた方の意見で調べてみたけれども百貨店の場合はこれに適用されるものがほとんどないというようなお見込みのようでもありました。しかし、今言ったように、商標をつければ、品物が悪ければ、消費者文句を言ってくるのはその商標のところに行く。当りまえであります。そういうところにこのねらいがあるということであれば、これはもうほとんど全部ひっかかる、百貨店商標がついて売っているもの全部がひっかかるという結論にもなるのです。そこにあいまいな点が出てくる。そこで、いろいろお話がありましたけれども、私はこういう形でお伺いしてみたい。これは主税局長に尋ねてみたいと思うが、自己のみの商標表示すべきことを指示して製造せしめた場合はひっかかる、これはわかります。しかし、自己のみの商標表示すべきことを指示しないで、その品物注文したというか、納入させた場合は、ひっかかるのかひっかからぬのか。これは契約内容とか文字の上からはっきりすれば、疑問の余地がありません。どうも、私は、自己のみの商標表示すべきことを指示したというところに問題があるのであって、指示しないで持ってきたものを買うて、それに商標を張った。これは自分で張ったってやはり消費者に対する責任はとらなければならない。この点自己のみの商標表示すべきことを指示せずしてやった場合はどうか。
  6. 原純夫

    原政府委員 それは、今回の商標指示による規定には該当しないと私は考えます。
  7. 山本勝市

    山本(勝)小委員 そうしますと、第二に伺いますが、こういう場合はどうなりますか。乙が物品製造し、甲のみの商標表示した見本を持ってきて、たとえばこの品物高島屋に納めたいというときには、ちゃんと品物見本を作って、自分でデザインをやって、自分の資本で自分の計画でやるのでしょうが、そうしてちゃんとそこに高島屋と書いてあって——これはこすればすぐはげるようにしておくかもしれぬが、とにかく一応きれいに、そっくり品物のような形に表示して、それを持ってきて、どうぞ一つ納めさせてくれといったときに、甲がこれを委託して一定量注文して乙が納入した。これは百貨店には通例な場合です。そうしますと、これは自己のみの商標表示すべきことを指示して製造せしめたとはいえないから、どうもこれに当てはまらぬように思いますが、主税局長どうですか。
  8. 原純夫

    原政府委員 ただいまお話しの場合は、見本には高島屋としてきた、そしてこれはけっこうだからこういうものをこしらえろということで、百なり二百なり納めるという場合でございましょうが、しかし、それには高島屋という商標があるということになれば、どういう契約になるか知りませんが、それはやはり、その品物には高島屋という商標だけを表示して納めなさいという契約がありそうに私は思います。ですから、解釈上どうもこれに当ることになりそうに私は思います。
  9. 山本勝市

    山本(勝)小委員 契約に入っておるか入ってないかというようなことは、これはどっちでも契約は作れるのですが、法律文句をそのまま読んで、それではっきりすれば、これは疑問が起りません。大体通例の場合に、この法律ができたらどういうことになるかというと、契約書の中へ、この品物注文する、これには私のところだけの商標をつけてもらいたい、逆に言いますと、あなたのところの商標もつけてはいけないし、また他の店の商標もつけてはいけない、こういうふうなことを書くばかはないでしょう。そんなことを書かなくたって、納める人は、自分名前もつけてこないし、また三越注文するものに対して高島屋や白木屋の名前を入れちゃ困りますよという、そんな契約をするわけはない。そうすると、必ず三越だけのマークを入れて下さい、高島屋だけのマークを入れて下さいというようなことは、契約書に書くわけもないし、口でも言いはしません。そうすると、この文字は、自己のみの商標表示すべきことを指示した場合にはかかるけれども指示しない場合にはかからないという主税局長の話、これは文字通り解釈すればその通りです。そうすると、どれもこれもひっかからぬようになる。ですから、契約内容を見てどうとか、具体的にどうとかいうようなことよりも、これは重大な問題で、時間がないときにばたばたとやってしまって、法律はできてしまったでは困る。これは、契約書内容を幾ら見ましても、三越三越だけのマークを入れなさい、よそのものを入れては困りますなんという、そういう契約書を作るはずがない。この法律ができたら、そういうことはしないのではなくて、そんな法律があるなしにかかわらず、契約書の中にそんなことを書かなくたって、言わなくたって、向うは三越へ納めるものは三越だけのマークをつけてくるのですよ。だから、この自己のみの商標表示すべきことを指示して納入をさしたという文句法律を作ったら、あなたの考えておるものとは少くとも違った結果を生ずると思うのですが、研究の余地はありませんか。
  10. 原純夫

    原政府委員 そういうことになれば、これは私どもの意図とは非常に違って参りますが、私は、ただいまあげられました例は、やはり自己のみの商標指示して作らせるという場合に当ると思います。今おっしゃいましたように、高島屋という商標をつけた見本で見てもらって、それで二百、三百納めるという場合に、それ以外の商標をつけるなどということは、当然のこととしてそれはやらないということが含まっておるのだと私は考えます。そういう高島屋という商標をつけて、それしかつけないというものを納める、そういう見本注文をとるという場合の納品という場合には、私はこれに当てはまると解釈して一向差しつかえないのではないかと思いますけれどもお話趣旨の、本件の運用を慎重にやらなければいかぬということ、またいろんな場合について考えるということは必要なことでありますから、本日は時間がおありにならなければ、なお時間をかけて十分お聞きもいただきたいし、私どもも十分検討いたして参りたいと思います。
  11. 山本勝市

    山本(勝)小委員 時間をとりますから私もあまりきょうはやりませんが、しかし、この前にも、主税局長が、二つつけておる場合はこれは適用しないんだ、こういうことを言われ、また二つつける場合も、これまではないにしても、この法ができますと、メーカーマークをはっきりだれとわからぬよらなマークでMとかYとかいうことでつける場合も可能です。それをつけておれば、もう商標としてMというのを届けておれば、これはのがれられるということになる可能性もある。それから、追及するわけではないが、主税局部長解釈と、あなた方の解釈との間には、食い違いがあったことも事実なんです。だから、自己のみの商標というときには、こういう場合も疑問になる。この品物はよそには納めぬようにしてもらいたい、この品物へ私のだけの商標をつけてくれというのでなくて、同じ形の同じ色の品物は他の商標をつけてよそへ売っては困りますという契約をする場合もあります。そういうふうに限定すれば、非常にこれは製造者というようなことがはっきりしてきます。しかし、これまでの論議の過程では、この品物で二つついておるか一つついておるかというだけの問題になる。しかしこういう場合もあるのです。それで私も読み上げておきますが、その問題だけを一つ検討してもらいたい。  第三に、こういう場合はどうか。乙が物品製造し、甲のみの商標表示した見本を甲に示して、買い入れを甲に懇請した。甲は、黄色だけれども、色が青い方がいい、あるいは形がもう少し長い方がいいと言った。注文したのじゃないのです。そこで、乙は今度は少し青い色のを作って、これではどうでしょうといって持ってきて、そうしてそこで話がまとまったという場合はどうか。  それから、第四に、もう一つ、この右の場合に、甲の指示がないにかかわらず、乙が勝手に商標のほかにその販売業者名前を書いて、だれだれ謹製と——これはしかし甲は全然関係ないのですよ。乙が勝手につけてきたわけです。この場合にも、この法律上の条文からいって、販売業者がその表示すべきことを指示したという言葉の中に入れるのか入れないのか。  それから、第五に、もう一つ、甲が、乙の示したる見本について、色または形に若干の変更を求めた。これは色が悪い、色は青にしてきてくれといって注文した場合と、そこで注文しないで、乙が甲の意見を聞いて帰って、自発的に自分の工夫で甲が好みそうな見本を作りかえて持ってきて、そうして買うてもらったという場合との間には、取扱い上区別があるかないか。  こういう諸点について研究してもらいたい。あいまいになるのは、商標というものは、消費者に対して販売上の責任をとる、悪い点があったら、傷があったら受け取りますとかいう責任をとらすところに一つのねらいがあります。もら一つは、そうではなくて、ただ責任だけじゃなしに、製造したということが消費者にはっきりわかる場合、そのときは責任をとってもらうというのと違うのですけれども、そこが両方入っていはせぬか、こういうふうに思うんだが……。
  12. 吉國二郎

    吉國説明員 ただいまの点、十分研究いたしたいと思いますが、私さっきちょっと言葉が足りなかったのは、商標法から申しまして、商標法には、商標製造販売、保証、選択等を示すものだということになっておりますので、そこで商標単独製造物品につけた場合は、普通は製造商標考えられない。ですから、その点を二つつければ製造商標販売商標ということがわかるわけですね。そういう意味で、単独表示を命じた場合には、製造かつ販売商標として受け取られるであろうという前提があるということを申し上げるつもりで、ちょっと販売責任ということに力を入れ過ぎましたが、なお十分検討いたしたいと思います。
  13. 山本勝市

    山本(勝)小委員 一つこれは法律を出すまでに検討してもらいたいと思うのは、今まで私がくどくどしく聞きました結果、あなた方の言葉解釈のしようでは、商標をつけて売っておればほとんど全部かかるというふうな不安も持ち得るし、それからほとんどかからぬのだという安心も持ち得る。両方の解釈が成り立つということは私は争われぬと思う。そういうことにならぬように、こういうときは適用されない、こういうときは適用になるということをはっきりして、そういう形で一つ法案に盛っていってもらいたい。こういうことで留保して、きょうはこれだけにしておきます。     —————————————
  14. 濱田幸雄

    濱田委員長代理 次に、酒税保全及び酒類業組合等に関する法律の一部を改正する法律案を議題として質疑に入ります。  質疑通告があります。これを許します。川野芳滿君。     〔濱田委員長代理退席、小委員長着席
  15. 川野芳滿

    川野委員 酒税は、私が申し上げるまでもなく、わが国の歳入の大宗をなすものであります。二千億に及ぶ莫大な歳入の役をいたしておるものが酒税であります。従いまして、酒税確保という問題につきましては政府も万全を期さなければならない、かように考えておる次第であります。そこで、現在におきましては、御承知のように、物統令によるマル公制度によって酒価を保ち、酒税確保をやっておるのが現状でございまするが、突如としてマル公制度廃止する、こういう暴挙に出られました原因をまず承わりたいと思います。
  16. 原純夫

    原政府委員 マル公についての考え方でありますが、これは御案内の通り戦争の若干前から非常に物資が足らない、いろいろなものがインフレぎみで上ってくるというときに、上るままにしたんじゃいわば戦争経済がやっていけないというので、マル公制度というのができたわけで、現在においてはわずか四つか五つの品物しか残っていない。マル公というものはいわばまるきり今の世の中には合わないものだということは、もう三、四年どころじゃなくて、六、七年も前からいわれていることであります。この委員会においても、なぜこういうものをいつまでも置いておくのかというので、御質問があったのはたびたびでございます。それから、毎年のようにいたしております税制調査会その他でも、これはおかしいではないかというようなことで御意見が出ております。その際も、単に古くさいというだけでなくて、マル公というのは、今申したようにこれ以上上ると経済がこわれていく、また消費者もたまらぬというので、これより高く売ってはいかぬという限度を画したものである。ところが、実際には、現在はマル公というものがそれより安くはならぬようにという一種の価格基準のような機能をしている。これは私ども税を納めていただく立場からいうと都合がいいのです。また酒の業界の安定という意味からいっても都合がいいのです。しかし、一方消費者の側から見ますと、そのためにあるのだというと、それはひどいじゃないかというわけですね。消費者はなるべく安くいい酒を買いたいのだ、マル公をそういうたてに使うのはけしからぬじゃないかという考えがある。率直に申して、私ども気持としては、その点は、酒税の徴収ないし業界の安定というだけからいうと違うのですけれども消費者面立場、それは逆にいいますと、酒の業界の問題としては、合理化をはかってなるべく成績を上げ、安くいい酒を供給するという要請がそこに出ているわけです。その面の要請というものはやはり私どもじっくりと受けてこたえなければならないというふうに思うわけで、古くさいということと、そういう業界合理化消費者の保護という面と合わさりまして、近年相当強いマル公廃止せよというような角度での意見がありましたので、私ども、これは決して突如でもなければまた早過ぎるということもない、この所管の行政官庁としては、マル公のない体制というものを考える時期として決して早過ぎるものではない、むしろおそきに失するのではないかという考え方で、今般この法律案改正をお願いしたわけでございます。
  17. 川野芳滿

    川野委員 現在のマル公制度は戦時中の物統令によってきめられた、こういう点はただいま述べられた通りでございます。しかしながら、戦前におきましては、生産加工に対する税の負担額というものは三〇%ないし五〇%であった。しかるに、今日におきましては、生産加工に対する税の負担率というものは生産価格の倍に上っておる。こういうことから考えますと、まず戦前並み税率に下げておいて、そうして後にマル公制度廃止するという施策をされたならば、万人が認めるところでございます。しかるに、税の負担率は、ただいまも申しましたように生産価格の倍以上になっている。こういう際にマル公制度廃止するということになりますると、酒業界が混乱すると私は考えまするが、この点はいかがでございますか。
  18. 原純夫

    原政府委員 お話通り戦前税率がずっと安かったというのに比べて、今は小売価格の四割五分くらいの税率になっておると思いますが、非常に重い。従いまして、マル公が営んでおります業界の安定の機能というものは、私どもは非常に大事だと思っております。そこで、おっしゃるように、まず税率を下げてということも一つの御意見だと思います。ただ、税率を下げるということは、今の財政需要、それから財源という面からいって、にわかにはなかなか思うようにいかないということになりますと、やはり御心配のような点をなるべく緩和するようなことを講じながら、マル公については廃止の方向をとっていかなければならぬということになる。今回の改正法案も、そういう意味で、相当通常品物と違うところの基準価格というようなものを設け得ることにし、その他再販売価格維持契約であるとか、いろいろな手だてを尽し得るように考えておるというわけでありまするし、またこの改正は、改正してすぐマル公廃止してしまうという性急な気持でやっておりません。単に法律の上に新しい改正手だてができるということだけでなくて、実際にマル公廃止するについては、その法律に乗っかって、どういうふうな実際上の業界の仕組みあるいは役所の方のとる行政やり方が乗っかっていくかということを、十分慎重に見きわめた上でなければできませんので、実際のマル公廃止の時期については、そういう準備態勢を練るのと並行して、十分慎重に考えていきたいというふうに思います。
  19. 川野芳滿

    川野委員 減税の問題は国家の財政等もあって、また別に減税するわけにはいかない、こういうお話でありまするが、そういたしますると、このマル公制度もそう急いでこれを廃止する、こういうような法案を出す必要がないのではないか。ことに、ただいまこの法案通りましても、今すぐマル公制度廃止するという考えはない、こういうことでございまするならば、何を好んで会期の迫った今日にこういう法案をお出しになったか。次の臨時国会等にお出しになってもけっこうでなかったか、こう私は思います。
  20. 原純夫

    原政府委員 お話のように、減税を先にするということになりますと、減税ができて昔くらいな税負担になれば、何も基準価格だなんということは要らぬじゃないかという議論になるわけです。それなら改正も要らぬ、協定価格があれば十分だというようなことに感じとしてはなると私は思うのです。しかし、そういう負まで下げるというのは何年かかるか、相当かかるのじゃないかというふうに思うわけであります、それまでの間マル公は置いておけというお話のようでありますが、私ども、先ほど申し上げましたような各界の意見、また本委員会その他国会における意見から考えましても、これをそう何年もほうっておくわけにはいかない。もう新しい自由な競争時代における態勢というものをはっきり用意をしなければならぬ時期だというふうに思いまして、今回のこの法案は税の関係で提案いたします法案としては実際上一番おそいものになって、お話のように時間がないという大へん恐縮な場面になりましたが、ここに至りますまでには過去少くとも一年有半くらいの間、この問題についてこういう法案を出すという角度で、いろいろ関係の方々からも意見を伺い、また部内においてもそれらと連携をとって議論をいたしておりますので、御審議の時間が短かいというのは大へん恐縮でありますけれども、この際従来そういう研究期間があったということもお考えいただいて、そういう期間のいろいろな論議ということも御参考いただきまして、ぜひ御審議をわずらわしたいというふうに思っております。
  21. 川野芳滿

    川野委員 現在のマル公制度はなるほど最高価格を示したものでございますが、しかし実際はこのマル公は最高価格であると同時に最低価格である、こういうことで、地方税務署の末端に至るまでそういう方針で指導されておった。そこでマル公は一部こわれておる部分もございますが、大体はマル公制度が実施されて、そしてマル公価格が守られておる、こういうのが日本全国の現在の実情であります。なるほど、東京、大阪等の大都会におきましては、一部マル公制度の値段がくずれておるところもございますが、日本全国から見ますと、大体においてこのマル公が実施されておる、こういう現実の状態のときにマル公制度廃止する、こういうことになりますと、値くずれするという心配がございますので、私は質問をいたしておるわけでございますが、原さんは、決して値くずれしない、今度の制度で大丈夫というお考えでございますか。
  22. 原純夫

    原政府委員 お話通り、現在マル公は最高価格でありながら、実際には最低といいますか、あまり下らないようにという作用を営んでおります。その意味で、腹を言いますと、私ども非常に都合がいい制度だと思っております。しかしながら、ただいま申しました通り、これはあくまでも最高価格であって、値を下げるということに対して法律的には何らの拘束力がないわけであります。そこで戦争中から戦後当分の間続きましたような、酒の供給が不足している、需要の方が多いという時期には、やはりこれが相当基準価格として下値を出さないという意味で持つわけです。しかし、いよいよ供給が非常に豊富になってくる、とにかくあらゆる角度でいい酒を作り、安く売って競争しようという状態になって参りますと、マル公を二割も割っておるというような酒屋さんが出たとしまして、いかぬじゃないかと言ってみても、おれのところに対して何か法律的な拘束があるか、こう言われてしまえばそれまでです。そのときには、あなたはそんなに安く売ると、税金が払えなくなってつぶれたりしては困る、税の方も困るというようなことを税務署は言うし、業界業界で、業界が乱れるというわけですけれども、とにかく税金は納めると言ってやれば、何の文句も言えないということになるわけです。まだそれほどのケースは起りませんが、私先日ちらっと耳にしたところでは、四国のどこかで非常に安く売り値を出したという酒屋さんがあり、関係者があわててなにしたということがあるわけですが、だんだん酒の需給というものがゆるんできた。今後ますますゆるんでくるわけです。清酒あたりはまだ原料で一応押えていますし、蒸溜酒は協定で押えておりますが、この辺がさらに競争のペースに入りますと、マル公はとうてい持たないことになるわけです。ですから、そういう場合に業界を安定し酒税確保をはかるという仕組みを作るということについては、私どもはやはり非常に大きな責任を感ずるわけです。それでこういう法律案をお願いするということでございます。
  23. 川野芳滿

    川野委員 政府がきめましたマル公というものは、実施に当りましては政府責任を持ちまして、そしてマル公の維持ということに全国の税務署等におきましても努力いたしておる。酒造業界というものは、監督権が税務署にありますから、税務署の命令には非常に従っておるというのが現状です。従いまして、政府がきめましたマル公制度をゆがめるということに対しましては、全国の税務署が目を光らせておりますから、従いましてマル公制度が実行されておる。そこで、今度マル公制度廃止しますと、おそらく業界が乱れる。そうしますと、あなたは今酒税確保の見地から非常な関心を持ち責任を持つとおっしゃるが、責任を持っておられるならば、なおさらマル公制度をできるだけ維持しておくということが、責任を持たれるところの証拠になるのではなかろうかと私は思いますが、マル公制度廃止いたしまして、そうして基準価格を示して、現在通り酒価の安定というものが保たれるかどうか。私は、おそらく保たれないのではなかろうか、かように心配いたしますがゆえに、この質問をするわけでございます。この点いかがですか。
  24. 原純夫

    原政府委員 大へんごもっともな心配でございますが、結論としては、私は、今回お願いしております法律案による基準価格というもので十分やっていける、またやっていけるようにすべきだというふうに考えております。マル公が実質的に基準価格の役目を果しておりますけれども、これはマル公であるから、果しておるというのではなくて、やはり長い間業界も相協力され、また税務当局も側面的に御協力したということの結果こういうふうになっておるのでありまして、これは何もレッテルがマル公であるという場合においてのみできるとは思いません。実質は、業界の相協力一致する足並みと、それから税務当局が酒税確保と表裏する問題として業界の安定をこいねがうという立場から、はっきりした態度で業界の安定をはかるということが心棒なんでありまして、レッテルとしてはマル公というのは決していいレッテルとは思いません。むしろはっきり基準価格であるというて役所側も責任を持ってやるということを中心にして、堂々とこれを基準として、業界価格のあり方を、規制といっては言葉は強過ぎるかもしれませんが、かりに規制という言葉を使わしていただけば、規制して参るという態度でいって一向差しつかえないのじゃないか。むしろその方が堂々と足並みができるのじゃないかと思う。経過的に沿革的に御心配になるお気持はよくわかります。今まで非常に業界も協力一致してやられましたし、役所との関係も非常によくいっておりますので、気持はよくわかりますけれども、やはり新しい時代には新しい衣を着ていかなければなりません。実態は今申し上げたところが心棒で、この心棒は私は将来ともゆるぎないもの、またゆるがせてはならぬものと思っておる次第であります。
  25. 川野芳滿

    川野委員 今度の法案を見ますと、マル公制度にかわり得る最高販売価格からさらに再販売価格維持契約基準価格、これでマル公制度にかわるべき制度として価格を維持される、こういう御方針のようでございますが、最高販売価格は、大蔵省が税金を取るためにこの制度を設けられたのであると思いまして、これが価格の維持に対して役立つものとは考えておりません。さらに再販売維持価格でございますが、これはビールあるいは雑酒、こういう特殊なものにお使いになる制度であると考えますから、これを除けば、基準価格というものによってマル公制度にかわる、こういうことになろうかと私は考えます。そこで、基準価格を実行しなくても何らの罰則等がない、こういうことになっておりますが、この基準価格を守らない場合には、どういうことで酒価を維持される、どういうふうにお考えでありますか。
  26. 原純夫

    原政府委員 お話通り、今後のいわば酒の価格を役所側としてリードしていくといいますか、中心になりますものは基準価格であります。基準価格違反に罰則がないというお話でありますが、これは罰則をもって強制するというものではなかろうと考えるわけです。現在のマル公にいたしましても、マル公価格より安く売ることについては何ら罰則はないわけです。むしろマル公というものはこれより安く売りなさいという値段だから、決して安く売ることに本来なにがないわけであります。基準価格になりますと、基準価格は、これより高くてもいけないし、あまり低くてもいけない。ある程度の幅が若干できますけれども、そういうものでありますから、今度堂々と基準価格よりもあまり安く売ると、これはいかぬということが言えるのです。マル公なら言えない。そこがやはり基準価格の方がいわば正当のものでないか。今までマル公で正常取引というようなことを言っておるのは、消費者側からいうと、マル公そのもので正常取引というのはおかしいじゃないか、やはり競争があって少しずつ安く売るのがいいのじゃないかという議論が出たものなんです。今度は基準価格ですから、ぴっしゃりこれで正常取引ということも言えますし、はるかに基準として性格の強いものになるというふうに私ども考えます。重ねて申し上げますが、要は役所側の業界の安定、酒税確保を願うという意味での努力、業界一致しての協力というものにささえられて初めていい結果が出る。それのための武器としては、マル公よりはむしろ基準価格の方が論理的にもよろしいというふうな感じがいたしております。罰則という形でなくても、そういう役所側また業界の強い気がまえに乗っかりますれば、この制度はりっぱに生きて、むしろマル公よりもはるかにりっぱな運用ができるものではないかというふうに考えております。
  27. 川野芳滿

    川野委員 現在のマル公制度は最高価格をきめたものであって、それよりも安くは幾らでも売ってよろしい、こういうことはわかっておりますが、実際の問題としては、現在のマル公制度は最高価格であると同時に最低価格である、こういうことで御指導になっておりますから、国民は、最高価格であると同時に最低価格である、こういうことで、マル公制度というものが大体守られておるのです。これを、今度の基準価格では、高く売ってもよろしい、安く売ってもよろしい、こう言われますが、現在の酒造界におきましては、高く売ると申しましても、高く売るはずはございません。安く売ることにきまっておる。ここに問題があるのです。高く売る人も安く売る人もあるというのでございましたら、これはけっこうなことでありますが、とうてい高く売れるものではございません。安く売るにきまっておる。ここを私は心配いたしておるわけであります。そこで、従来マル公制度がございましても、値くずれがいたしておるというのは事実でございますが、これについて私は国税庁に責任があるのじゃないかと思う。と申しますことは、酒造界の生産方針におきましてある程度の生産数量を示す、そうしますと、国税庁は、税の面からでございましょう、もう少しうんと作れといって、業界のきめた数量よりもはるかに上回る酒を作らせておるのです。すなわち、酒がダブつくようになりますと、値がくずれるということは当然でありまして、現在の値くずれの理由というものは、国税庁が負うべきものではなかろうかと思いますが、いかがでございますか。
  28. 北島武雄

    ○北島政府委員 酒類ことに清酒の生産石数につきましては、国税庁は、業者が欲しないにかかわらず、よけい作らせているんじゃないか、現在の市場がゆるんでいるのはその点である、こういうお話でありますが、今までの経過をごらんいただけばわかることと思うのでございますが、私どもは決して私ども考えを一方的に押しつけてはおりません。御承知の通り、清酒業界の内部においても増産論あり、減産論あり、その収拾についてこの二、三年間毎年大きな苦悶を経ておった。ただし、われわれといたしまして第三者から見て、過去の消費の伸び、当該年度におけるところの消費資金の増加等、経済界の推移、国民経済の状況等を考えまして、酒造組合中央会の内部における価格案のうち、この程度が一番いいのではなかろうか、この程度作ってもまず心配はないのではなかろうか、こういう案をお示しいたしまして、結局それを御納得いただいて生産しておるわけであります。私どもは決して業者の御希望とかけ離れた生産数量を押しつけておるというようなことはないつもりでございます。
  29. 川野芳滿

    川野委員 そういう御答弁をされることを私は期待して、実は質問したのでございます。しかし、実際問題としては、それは一部にはいろいろな異論を言う人もございますが、大勢としては本年はこれだけが適当である、こういうことをきめたら、私は業界のこの意見に従って生産方針をお認め願っていいと思うのです。そこで、過去のことは言いませんが、今後はやはり酒造組合中央会等の意見を尊重して生産方針をきめる、こういう御方針でございますか、これを伺っておきたい。
  30. 北島武雄

    ○北島政府委員 私ども、もともと、できるだけ酒造組合中央会その他酒類業組合の意見は尊重して参りたいと思っております。ただ、議論の過程におきまして、明らかに現在の状況からいって無理じゃないか、それは少な過ぎるじゃないかという案が出る場合におきまして、私どもといたしましては、私どもの見方からこの程度がよろしかろうというような意見を申すのは、私ども行政官庁責任としては自然ではないかと思っております。ただし、私ども常に注意いたしておるのでありますが、業者が欲しないにかかわらず、よけい作らせて、酒税確保ができなかったということになってはかえって困るから、結局業界の方の言うことをよく承わって、業界の納得を得て実行されるようにすることを常に心がけておるつもりでございまして、決して押しつけがましいことはしていないつもりであります。また今後もいたさないつもりであります。ただし、現在の状況から見て、今の組合のやり方は将来を見通してない、これはやっぱり業界のためにならないと思います場合には、老婆心ではございますが、私どもといたしましては、やはりこうあるべきではないか、こういう意見を申し述べるのは責任であると思っております。
  31. 川野芳滿

    川野委員 現在のマル公制度におきましても値引きで売っておるじゃないか、こういうような政府御当局からの御説明がございますから、あえて私はただいまの生産方針の問題を御質問申し上げたのでございますが、現在の値引きの一面には、政府業界の欲しない石数を無理にしいておる、この事実が値引きをしておる原因の一つになっておることは、御承知おきを願いたい。もちろん、酒造家といたしましては、たくさん酒を作ることを希望することが必然であると存じます。しかし、今も申しましたように、値くずれをいたしますと二千億の税の確保が至難である、こういう観点から生産方針というものをきめておるのでございますから、今後できるだけ業界意見によって生産方針をきめる、私はこういうふうにしていただきたいと存じます。  そこで、さらに、この値くずれの原因に、私先日ガソリン税の問題のときに御質問申し上げておったのでございますが、酒は蔵出しいたしますと翌月納税である、しかし実際においてはほとんど掛で売られておる、現金売買はない、こういう実情からいたしますと、酒税の翌月払いというものは相当無理があるのじゃなかろうか。六割の税金をこの酒がとっておる。そうすると、ガソリンはこの間の御説明では七十何日でございましたか、二ヵ月以上の猶予期間がある。こういうことになりますと、税の負担率の少いガソリン税は、二ヵ月以上の猶予期間がある、酒は翌月からである、こういう無理なことをして、安売り、マル公の実施等をはばんでおる。こういうことにマル公の値段を割らせておるというようなことがあろうかと思いますが、この点いかがでしょう。
  32. 原純夫

    原政府委員 酒の蔵出しから決済になりますまでの期間と、それから納期との関係についてのお話でございますが、酒は蔵出ししました翌月末に納める。ただし、担保を入れて猶予をもらうという場合は、もう一月延びるわけであります。もう一月延びますと、平均すると七十五日になる。先日来話のあるガソリンと同じようなことになるわけでありますが、大体酒についても、酒の種類によって、業態によって違いますけれども、ビールであるとか蒸溜酒であるとかいうような部面では、ほとんど徴収猶予のなにを受けておる。それが七十五日だ。清酒の場合は、正確な数字をただいま記憶いたしませんが、非常に小さい業者も多いので、なかなかその辺の運びがスムーズにいかないで、割合に徴収猶予を受ける石数が少なかった。しかし、その後なるべくそういうのを実情に合わすようにという努力を国税庁側でもされまして、最近では半分以上が徴収猶予になっているというふうに私は大体記憶いたしております。そうなりますれば、それは七十五日になるということになります。お話通り決済の期間と納期というものは、やはり何らか対応関係を持つようにするということが大事でありますし、なお清酒あたりについての決済期間と、それから担保延納を受けられない事情をよく税の執行の方でも調べていただいて、検討していただくというふうにいたしたいと思います。
  33. 川野芳滿

    川野委員 ガソリン税は、担保をおとりになって、二ヵ月以上の延納を認めておられるのですか。
  34. 原純夫

    原政府委員 ガソリン税も酒と同じでございます。ある月の間に移出しました分の税額を、翌月末に納めなさいというふうにいたしております。その翌月末の納期を、担保を出してもう一月延納を認められる。一月の延納です。酒の場合も一月の延納です。
  35. 川野芳滿

    川野委員 そうしますと、ガソリンの二ヵ月の延納というのは、担保を入れた人のみが二ヵ月の延納ですが、入れない人は翌月ということになるのですか。
  36. 原純夫

    原政府委員 担保を入れませんと、七十五日じゃなくて、四十五日になってしまうわけです。担保を入れますと、四十五日が七十五日になる。七十五日をこえるというのは現在ではありませんです。
  37. 川野芳滿

    川野委員 今度のこの法案内容を見ておりますと、著しく物価が混乱に陥った場合には協定価格を認める、こういう法案内容になっておると存じまするが、この協定価格を認めるということは、過去におきましても、福岡県でしたか、山口県でしたか、協定価格を認めていただきたいということで、大蔵省に書類を出しましてお願いしたが、不許可になった、また、大阪におきましても、大阪の卸売組合が協定価格を申請したが、これまた許可にならなかった、こういう実例があるわけでございますが、協定価格を申請した場合には、どういう基準によって御許可になるのでございますか。この点をお伺いしておきたいのであります。
  38. 泉美之松

    ○泉説明員 協定価格を認可するにつきましては、酒類業組合法の四十三条に規定がございまして、大蔵大臣はこういう場合には認可してはいけないというのが三ヵ条ございます。それで、先ほど御指摘のありました大阪の卸売組合の協定の問題でございますが、これは一つは小売業者が反対しておったわけです。というのは、小売業者の利益を不当に害するということから、卸売業者のやり方に対しまして小売業者から反対が出ました。それが一つでございます。それから、もう一つ内容は、十七銘柄のものにつきまして、現在のマル公以下では売らないという協定をしようということであったわけでございますが、問題は、その十七銘柄全部についてそういう協定が守られるかどうかという点にあったわけでございます。この点につきましても、遺憾ながら卸売組合員の中にも十七銘柄では無理だという意見がありまして、そういういろいろの点から見ますと、この際協定ということでやるのはまだ適当でないから、しばらく自主的な申し合せということでやってみて、その推移を見た上で、協定としてやっていけることになれば、協定とした方がよくはないかということからいたしまして、しばらく自主的な申し合せということで実行するということで、これにつきましては、小売業者の方もそれでよろしいということでありましたので、自主的な申し合せでやってみるということでやった次第でございます。
  39. 川野芳滿

    川野委員 大阪の組合が協定を申請した場合に、許可にならなかった理由の一つとして、小売業者の反対本あった、こういうことでございまするが、今酒造界というものは、生産者、卸、小売、各人の立場において非常に複雑な関係にあることは御承知の通りであります。そこで、かりに生産者が協定をいたしますると、卸、小売が反対する、あるいは卸が出しますると小売が反対する、小売については生産者が反対する、こういうことは予想されることであります。そういたしますると、この協定という条項がございまするが、実際問題としては協定は行われないのじゃないか、大蔵省がお認めにならないようになるのじゃないか、こう考えますが、こういう点いかがでしょうか。
  40. 泉美之松

    ○泉説明員 お話のように、現在、生産業者と卸売業者あるいは小売業者の間におきましては、利害が必ずしも一致いたしておりません場合がかなりございます。従いまして、協定価格を設定するということにつきまして、その三者の間に協調が保たれるということにつきましては、かなり骨の折れる問題であることは、私ども十分承知いたしております。ただ、大阪の場合でも、あれが十七銘柄でなくて、七銘柄程度であればできるということは、各関係者が全部承知しておったのでございます。ただそれが十七銘柄ということのためにむずかしいという事態に陥ったのでございまして、今後協定価格の問題をいろいろ検討していきます際におきましては、それはいろいろ業者の間でございますから、利害の対立から反対もあろうかと思いますけれども、その反対の中に、納得できる反対とそうでない反対とあろうと思います。その利害の調整は、私ども行政官庁責任といたしまして、ある程度取り計らいましてやっていくということでありますれば、私はそういう協定を可能な範囲でできる場合が相当出てくるものと思うのであります。
  41. 川野芳滿

    川野委員 ただいま行政官庁責任を持って調停に当る、こういうお話でございますから、この点は了承いたしましたが、著しく酒価が下った等の場合にこの協定を許される、こういうことに法文がなっておったと存じますが、値くずれしたあとで、協定価格で値くずれを直そうとしても、実際問題としては値くずれが立ち直ることは不可能であると思います。そこで値くずれしない以前において協定をお認めになって酒価を維持する、こういうことにしなければ、今申しましたように、値くずれがしたあとに協定が許可になりましても、これはもとの酒価に返ることは不可能でございますが、こういう点についていかがでございますか、ある程度の場合には協定を認める、こういうことになるのでございますか、伺っておきたいと思います。
  42. 原純夫

    原政府委員 非常に大事な点でございます。この法律案の四十二条第五号というところにこの協定価格を作り得る条件が書いてございます。改正案によりますと、「酒類の販売の競争が正常の程度をこえて行われ、その販売価格が第八十六条に規定する基準販売価格を著しく下廻る等の事態が生じたことにより、酒類の取引の円滑な運行が阻害され、組合員の酒類製造業又は酒類販売業の経営が不健全となっており、」という次に「又はなるおそれがあるため、」というのが入っております。「又はなるおそれがあるため」の読み方はなかなかデリケートな問題でありますけれども、どうにもならぬというようなところになって初めて協定価格ができるというのでない。全然安定しておるという場合にやるわけにもいかぬと思いますが、ある程度徴候が出てくるというようなときにおいては、このおそれがあるものとして、この協定価格を発動することができるような法文になっております。実際の運用上判断が機におくれないというようなことのために、相当むずかしい点があると思いますが、関係者が十分その辺を注意いたしまして、もうどうにもならぬということにはしたくない、そういうことは当然せぬための条文でありますので、御心配のようなことはないように私どももやっていきたいと思いますし、関係の業界にもそういうふうに御努力願いたいと思っております。
  43. 川野芳滿

    川野委員 この点は非常に大事なことでございますので、重ねてお尋ね申し上げておきたいと思います。これは国税庁長官お尋ね申し上げたいと思います。ただいま原局長から御答弁がございましたが、この「なるおそれがあると認められる場合」こういうことで協定の申請がありました場合には、早くお認め願わなければ、値くずれがしたあとにこれをお認めになりましても、これは値を立て直すということは非常に不可能でございますから、こういう場合は、これは重要な問題ですから、一つ業界の実情をおくみ取りいただいて、早く協定価格を認める、こういう方針でございますか、重ねてお尋ねしておきたいと思います。
  44. 北島武雄

    ○北島政府委員 ただいま主税局長からお答えございましたように、最悪の事態に至って初めて出るのでは間に合わないのでございまして、私ども酒税保全のためできるだけの手を打たなければならぬのでございますので、最悪の事態に至らない先に、おそれのある場合にはこの規定によりまして認可の方に持っていきたい、こういう考えでございます。
  45. 川野芳滿

    川野委員 私は、先ほど来申しましたように、このマル公廃止という問題は、減税したあとに御実行になるべきものである、かように考えるのでございますが、しかし、予算も通っておる今日でございますので、減税と申しましても本年は実行不可能であると考える。そこで、実は一級酒と二級酒の価格の間が非常に隔たりがある、この間にもう一級一つ階段を設けてもらいたい、こういう強い要望が業界にあるわけであります。今日までこの要望に大蔵省はおこたえになっておらない。これをまた税の確保の面から申しましても、やはりその間に一つの階段を設けるということが、購買力をふやすゆえんであると考えます。これは国家といたしましても一挙両得の案でなかろうかというふうに思いますが、いかがでございましょうか。
  46. 原純夫

    原政府委員 お話通り、一級酒と二級酒の間は税率が一升について二百八、九十円開いておる、倍半分以上の開きがあるという意味で、相当の開きがあります。そこで、この間に準一級というものを設けたいということを、昨年末でありますが、仕事をなさっておる方々がお申し出になりました。私どもも、なかなかおもしろい着想だ——おもしろいと言っては語弊がありますが、いい着想だと思ったわけでありますけれども、何分予算も実質上まとめた時期でございますし、また、そういうものを作りましたあとの需要がどうなるかということ、それは歳入にも相当響く可能性があるというので、研究問題に残してございます。私といたしましても今後十分研究をいたして参りたいと思っております。ただ、率直な感じを申しますと、特級、一級、準一級、二級という四段階に清酒がなるのがいいのかどうか。おっしゃられる趣旨は特級、一級の税負担が重過ぎるということだと思うのです。これは一昨年来進めております間接税体系の根本的な再検討の一環として、酒税についてはなかなか大幅の減税はできない、しかし各酒類間の税負担のバランスというものは十分検討せなければならぬというので検討いたしました。その結果、一応の中間的な結果で見ましても、私は、こう申すとちょっと俗受けはしないと思いますが、相対的に二級を基準にして考えるなら、一級と特級は重過ぎると思っております。そういう意味で、私は、特級、一級の税率を調整するということは取り上げなければならぬ問題だと思っておりますし、御要望になりました趣旨も、基本的な筋はそこにあると私は思っております。いつも減税の際は大衆酒、下級酒というものが脚光を浴びるのですけれども、やはり酒税は戦争以来税率に無理をしておりますから、特級、一級に無理があるという点を率直に認めて、そういう問題にまっ正面から立ち向って考える、準一級の問題もそういう示唆の一つとしてけっこうな示唆だと思っております。
  47. 川野芳滿

    川野委員 国鉄におきましては、近く一等車を廃止して現在の二等を一等にする、三等を二等にする、こういう案があるようですが、大蔵省といたしましても、特級を廃止して、そうして一級と二級の間にもう一級設ける、こういうことをやられたらいかがかと考えるのでありますが、いかがですか。
  48. 原純夫

    原政府委員 そういうことになれば、一級と準一級と二級になって、一つずつ名前がずり下ったというだけになるわけです。おっしゃられることは理屈があると私は思います。ただ財政収入の面から申しまして、特級、一級の税額の差で百四十億ばかりも減ってくるという状態でありますが、お気持はよくわかりますので、十分そういうお気持をくんで、先ほど申し上げたような気持で今後検討して参りたいと思います。     —————————————
  49. 山本勝市

    山本委員長 この際小委員長より申し上げますが、本委員会の小委員でありました山村庄之助君が、今朝四時二十分、狭心症のため阪大病院において死去されました。  ここに心から哀悼の意を表し、黙祷をささげたいと存じます。どうか御起立を願います。  黙祷をお願いします。     〔総員起立黙祷〕
  50. 山本勝市

    山本委員長 本日は、この程度にとどめ、次会は二十日金曜日に開会することとして、これにて散会いたします。     午前十一時三十八分散会