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原政府委員 問題が新しい六条三項の
改正の本旨にも
関係いたしますし、また従来の四項の何が一番の本体のねらいかという点に関しますので、私から一言申し上げたいと思います。従来の
規定も、また今回の
改正も、その骨格とするところは、
経済上の実体的な製造者として世の中に存在するのはどちらかという点を見ようということであります。今回の
改正は、特に物品税につきましては全面的な見地で検討する。しかも、その検討の一つの大きな筋として、零細企業というものか非常にこれで苦しんでいるという面を十分
考えなければならぬということが、大きな筋であるわけであります。それで、本件に
関係しますいわゆる下請的な企業の場合には、いつもこの下請業者は物品税というものは転嫁ができないというような形で苦情が出る面であります。従いまして、今般も、本条の
改正のほか、ある種の品物につきましては、製造課税を廃して小売課税に持っていくというふうな工夫もいたす。また、零細な下請業といいますか、手工業的なものについては、税率あるいは政令事項でありますが、課税最低限でもいろいろ
考えなければなるまいというような、全面的な着意を持っているわけでございます。ちょうど、この場合は、従来ありました
原料、労務、資金等を供給して製造を委託するのが、今申しましたような、結局製造しているのはほんの下請であって、それは親元メーカーが
自分も作っておる、下請にも作らぜているというような場合が多いわけですね。そうして、全体としては
自分が作ったものとして、世の中にはどこどこの製品だといって出しているわけです。そういうような場合には、今申しましたような
意味で、下請にどうしても税金を納めてくれというと、かなりにそこの圧迫に苦しむというようなことがあるいでそういう場合はむしろ親企業の方に課税した方がよろしいという判断に立っているわけであります。従いまして、今
お話しの資金やり何かを供給するという
程度も、
経済社会における実体的な判断において、その商品は親企業が作っておるのだというふうに見られておるという場合を判断して、これを適用するということになろうと思います。私申しておるのは、物理的に裏長屋で作っておるか、そこが製造所だというのではなしに、
経済的な実体において、世の中には、どこの製品として出ているということだろうと思います。これは、そういうような
意味で、今回加えました商標指示というような、はっきり自己のみの商標を表示しろ、こういう場合には、親企業の商品である。例をあげるならば、ナショナルならナショナルのラジオであるといって世の中に出して、世の中では、これは松下のナショナルだといって買っておるわけです。そういうような場合は、まさに今申した
経済の実体において、下請というのはいわば世の中にはかすんでしまって、大きな松下なら松下という系列の中で働かされておるというものである。そういう場合に、その下請に、物理的にはそこが作っておるのだからといってその段階にかけるということは、今申した今回の
考え方からよろしくない。反面には、そういう場合に、やはり課税標準価額においてもかなりでこぼこができておるというのは事実であります。極端な場合には、親企業が売ります場合の値段に比べて、下請の売ります値段か非常に低い。私
ども調べました例では、五割を割るというようななにもあるようです。こういう場合には、いわば税の公平といいますか、そういうような見地からも問題があるというふうに思います。両面から
考えまして、今般こういう
改正を行なった。従いまして、ただいまお尋ねの趣旨のは、やはり
経済社会における実態的な判断において、どちらがこの主体であるかということが判断の基準になるだろう。それを具体的に資金の場合に当てはめて、ただいま泉間税部長が申し上げましたのは、この下請の方の資金の大部分を親企業がまかなっておるというときには、ほんとうに、何と申しますか、下請で払うといっても親企業の
労働者みたいなものではないかというような感覚、世の中では親企業の方が製造しておるというふうに見ておる。実際
経済の実体はそうである。そういう場合にこれを適用いたしますということを間税部長は申した、こう御理解いただきたいと思います。