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1959-03-09 第31回国会 衆議院 大蔵委員会運輸委員会建設委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年三月九日(月曜日)     午前十一時二十九分開議  出席委員  大蔵委員会    委員長 早川  崇君    理事 足立 篤郎君 理事 小山 長規君    理事 石野 久男君 理事 佐藤觀次郎君    理事 平岡忠次郎君       内田 常雄君    奧村又十郎君       鴨田 宗一君    進藤 一馬君       西村 英一君    濱田 幸雄君       福永 一臣君    藤枝 泉介君       細田 義安君    山本 勝市君       田万 廣文君    廣瀬 勝邦君       山下 榮二君    山本 幸一君  運輸委員会    委員長 塚原 俊郎君    理事 天野 公義君 理事 簡牛 凡夫君    理事 長谷川 峻君 理事 久保 三郎君    理事 土井 直作君       川野 芳滿君    菅家 喜六君       關谷 勝利君    永山 忠則君       前田  郁君    三池  信君       菊川 君子君    杉山元治郎君       館  俊三君  建設委員会    理事 木村 守江君 理事 瀬戸山三男君    理事 南  好雄君 理事 中島  巖君       逢澤  寛君    荒舩清十郎君       井原 岸高君    大久保武雄君       川崎末五郎君    島村 一郎君       砂原  格君    橋本 正之君       服部 安司君    松澤 雄藏君       村瀬 宣親君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 佐藤 榮作君  出席政府委員         大蔵政務次官  山中 貞則君         大蔵事務官         (主計局長)  石原 周夫君         大蔵事務官         (主計局次長) 佐藤 一郎君         大蔵事務官         (主税局長)  原  純夫君         通商産業事務官         (鉱山局長)  福井 政男君         運輸政務次官  中馬 辰猪君         運輸事務官         (自動車局長) 國友 弘康君         建 設 技 官         (道路局長)  佐藤 寛政君         建設事務官         (道路局次長) 関盛 吉雄君  委員外出席者         総理府事務官         (自治庁税務局         府県税課長)  大村 襄治君         通商産業事務官         (鉱山局石油課         長)      宮城 恭一君         大蔵委員会専門         員       抜井 光三君         運輸委員会専門         員       志鎌 一之君         建設委員会専門         員       山口 乾治君     ————————————— 本日の会議に付した案件  揮発油税法の一部を改正する法律案内閣提出  第七五号)      ————◇—————     〔早川大蔵委員長委員長席に着く〕
  2. 早川崇

    早川委員長 これより大蔵委員会運輸委員会建設委員会連合審査会を開催いたします。  私が議案の付託を受けました委員会委員長でありますので、連合審査会委員長の職務を行いますから、御了承願います。  それでは、揮発油税法の一部を改正する法律案を議題といたします。
  3. 早川崇

    早川委員長 質疑を行います。永山忠則君。
  4. 永山忠則

    永山委員 この揮発油税並び軽油引取税引き上げ関係は、事務当局の突き上げもさることながら、大蔵大臣指導的立場でお進めになっておるようにわれわれは思うのであります。語をかえて言えば、院議を無視し、党議を無視して、そして大幅増税を強引に進められておるということでございます。従って、この合同委員会は、大蔵大臣中心質疑を続けなければ、実際上の意義がないのでございます。審議の時間がないとかいうようなことで、この合同委員会が、大蔵大臣に対してわずか一時間や二時間でこの合同審議を終るというようなことがあれば、さらに、事務当局並び大臣をして、院議を無視し並び党議を無視した強引なやり方を一そう拍車づけることにもなると思うのでございます。この場合、大蔵大臣出席が、時間が少いようでございますれば、時間のあるとき、引き続いて本合同委員会を継続してやられるというように委員長に申し述べたいのでございます。委員長の御意見をお伺いいたします。
  5. 早川崇

    早川委員長 本日午後一時より引き続き合同審査をやりますから、十分御審議願いたいと思います。
  6. 永山忠則

    永山委員 なお、ただいまの理事会では、大蔵大臣への質問時間は、わが自由民主党が二十分、社会党の方四十分というようなお話でございましたが、それは、本日大臣出席関係上、その時間しかないというならばやむを得ないでございましょうが、しかし引き続いて大臣が他の日をもってでもおいでいただいて、続いて質疑をするような取り計らいを願わなければ——ただいま委員長十分審議をさせるというお言葉でございますので、私はそれを深く信じておるのでございますが——ということは、わが党がこの案を出す場合において、絶対に賛成の意を表してはいないのでございます。総務会におきましても、この引き上げの幅その他については、十分検討した上で、さらに十分練ろう、すでに予算提出されておるし、その裏づけの法案であるから、一応議会提出することは認める、予算数字影響しないような点においても十分検討余地があるではないか、すなわちガソリン使用量、その伸びの状態あるいは五カ年計画政府一般会計より出すべき金額の比率の問題、それらの点は、道路一兆円の計画には影響せずして、十分検討する余地があるのではないかというような議論のもとに、総務会では一応提案を認めておるだけでございまして、十分論議を尽し審議を尽すことになっておるのでございますから、私は、さらに委員長及び理事にこの点を十分御研究の上、論議を尽してもらう、そういうことができなければ、結局われわれは、予算法律案が出る事前審議の際に一応審議はいたしておりますが、議会へ出ましてあらゆる角度で審議してみたが、この点はどうも不合理である、社会党さんの御意見ももっともな点があるというようなことで、互いに審議を尽して法案修正なりあるいは予算修正をするということが、今日の民主的運営のあり方でございます。それを、原案を強引に通していこう、このことがわが党の権威であるというような考え方を持つならば、これはもう時代錯誤の観念であるというようにも考えますので、私は、重ねて、委員長並びに各理事十分大臣中心審議されるようにここに要望をいたしまして、質疑に移りたいのでございます。  院議を無視しておるということに対しましては、参議院運輸委員会が三十三年十二月二十二日にすでに決議をいたしておるのでありまして、「道路整備計画財源揮発油税等大幅増徴に依存しないよう要望する。」というような決議をいたしておるのでございます。さらにまた、軽油関係の問題に対しましては、参議院地方税法の一部を改正する法律案のときに附帯決議がございまして、軽油引取税については、これが取扱いについて将来適当な考慮をして、引き下げるような処置をやらねばならぬということを強く要望しておるのであります。また、衆議院の方におきましても、昭和三十一年十二月三日の衆議院運輸委員会におきまして決議をいたしまして、税負担の均衡を失しないように、揮発油税増徴に対して絶対に反対をするということを、強く要望をいたしておるのでございます。さらに、三十一年四月二十三日に、地方税法の一部改正法律案に対する附帯決議で、参議院地方行政委員会は、軽油引取税については、税率の軽減その他適切な措置を講ぜよというように、強く要望しておるのであります。さらに、地方税法の一部を改正する法律案に対する附帯決議は、三十一年四月六日に、衆議院地方行政委員会におきましても、軽油引取税については、軽油消費状況の推移を見て負担の緩和をはかれというように、強くこれを要望いたしておるのでありまして、さらに党といたしましても、いろいろ決議をしておるのでございますが、しかし、とりあえず本年度の問題につきまして、わが党の中にある自民党の間接税部会中間答申が、昭和三十三年十二月十八日におきまして、これは党内だけではなしに、党外の権威者も入れましていろいろ懇談をいたし審議をした中に、どういうように党へその間接税部会が答申しておるかといえば、一般財源投入額をできるだけ増額するとともに、担税力限界を十分に考慮して増徴問題は考えなければいかぬというような工合に、直接予算編成前に申し入れておるのであります。さらに、自由民主党有志議員も、一兆円の道路予算は絶対にわれわれは推進をすべきである、しかしこれに対してガソリン税のみでやろうという考え方が間違っておるから、この増徴を避けて他に財源を求めるべきであるということを、強く要望政府へいたしておるのでございまして、その論議が十分尽されないうちに予算提出をされたような状態でございますので、この場合、どういうわけで院議を無視して、しかも国民がすべてこの大幅増徴反対だというものを、強引に押し切ってこれをお進めになろうとするのであるか、この政治的の信念といいますか、また事務当局はどういうわけでそういうことを強く大臣の方へ突き上げていかれたのであるか、お聞きしたいのであります。
  7. 山中貞則

    山中政府委員 大臣参議院予算委員会に行っておられますので、かわって基本的な問題について私から御答弁申し上げますが、永山委員お話の中に、大臣事務当局から突き上げられたのかどうか知らぬが、諸般の情勢を全く無視して、これを強引にやろうとしておるというようなお説があったのでありますが、私は、大臣の忠実なる政務次官といたしまして、そういう表現はどうもいただき得ないのでありまして、これは、御指摘の中にもありましたように、党が、選挙に当りまして、国民経済基盤強化の基本としての道路整備必要性にこたえるために、一兆円の経費を投じての五カ年計画というものを公約をいたしました。その公約の実現を、三十四年度予算当りましては、初年度としての計画予算化を実ははかるというところに、その基本的な要請があったと思います。これを現実に予算化されます場合に、いろいろの方法は永山さんお触れになりませんでしたけれども公債発行論等も中にはございました。いろいろと財源について御心配をいただいたのでありますが、財政主管省といたしましては、もちろん責任者大臣中心にいたしまして種々検討をいたしました結果、諸外国道路事業に対するガソリン税その他の財源充当状況をよく参考等にもいたしますし、また日本の置かれておりまする課税現状等からも判断をいたしまして、大体において道路整備財源ガソリン税増徴に求めるということを決意をいたしたわけであります。しかしながら、全く一般財源投入なしに、そういうものだけに頼ってやるのだということも、実は一がいにはそう言えないのでありまして、幸いにして財政基盤強化資金といたしまして、経済基盤強化資金のうちの百億も来年度くずしてこれに投入をいたしまして、発足をはかっていくわけでありますが、各関係委員会等におきまして、二、三年前より行われました附帯決議もしくは申し合せ等について御指摘のありましたものは、もちろん主管委員会としての十分の御意思の結論といたしまして尊重はいたして参ったのでありますが、その当時においては道路一兆円五カ年計画というような具体的なものを前提としておらなかったのでありまして、純粋に税制上もしくは課税能力負担限界等議論から、そういうことも行われたと思うのであります。今回はそういうことも念頭にもちろん置きますが、院議と申しましても、最終的に二院のいずれかでガソリン税増徴をしてはいかぬという決議までなされてなおかつそれを押し切るということを実はいたしておらないのでありまして、もちろん常識でわかりますように、政党政治でありますから、与党とは予算を作りまする過程において幾たびかの具体的の折衝をいたしまして、最終的にもちろん全員が賛成したと私が断言できるものではありませんが、最大公約数をもって与党としての意向を入れて予算を組んでおるだけの自信と、またそれだけの過程における折衝等は私どもは体験いたしておりますので、永山委員の御指摘のような大臣一人が悪いのだということはあり得ないのだと私は考えます。  なお、具体的な御指摘につきましては、今後主管局長もしくは課長より数字その他の点について御説明をいたしたいと思います。
  8. 永山忠則

    永山委員 院議というのは、本会議決議せぬものは無視してもいいという意味ではないのでありましょうが、運輸委員会衆議院参議院も、あるいは地方行政委員会衆議院参議院も、委員会決議しただけじゃ効力が薄い、本院で決議しろということでなければ院議ではないような意味であるならば、これは非常な大きな間違いでありますので、決議をせなくても、議論をした中に正しいものがあれば取り入れるという考え方で、すべて議会意見を尊重するという態度であってほしいのであります。われわれは、ここで、とりあえず果して担税力があるかどうかという問題に対して、その次に質疑を移したいと思うのでありますが、今回の私鉄ストバス運賃影響するのはどういうようになるかという点をお伺いしたいのであります。
  9. 國友弘康

    國友政府委員 今回契約されております揮発油税法改正につきましては、もしこれが増徴になります場合には、運賃原価にある程度の影響は免れないと存じますが、このために今直ちに運賃値上げを行うというようなことは考えておらないのでございます。今後輸送状況及び原価経費変動等を総合的に勘案いたしまして、慎重に検討していかなければならないと考えます。  私鉄ストにつきましては、バス運賃につきましても、私鉄関係従業員バスも運営しておりますので、ベース・アップにつきましては、幾分かのべース・アップはございますが、今直ちに運賃影響するということはわれわれとしては考えておりません。
  10. 永山忠則

    永山委員 まことに残念ですが、よく一つ御研究されなければいけないことであります。ということは、たとえば、今広島県で鞆鉄もストライキに入っておるのであります。もちろん岡山中鉄も、鳥取の日の丸も、島根の石見交通も、広島県の備北交通、にこにこバス尾山鉄道等も、その組合員の一部は私鉄総連に入っているのでありまして、これらの会社は必ずべース・アップをやるのであります。大体大手筋が千二百五十円でありますれば、千円ぐらいな妥結をするのでございますが、これによってバス関係人件費がはね上る率は、大体われわれは一・二%から二・二%になるというように計算をしておるのでありますが、この点に対して十分御調査をされなければいけないのであります。従って、さらに大幅のガソリン税及び軽油引取税値上りが、どれだけパーセンテージからいって経営費引き上げをするかという点について、その率をお示し願いたいのです。
  11. 國友弘康

    國友政府委員 ちょっと永山先生にお伺いいたしますが、ガソリン税引き上げについて運賃に及ぼす影響でございますか。——今回計画されておりますガソリン税につきまして、私どもの方といたしましても、運賃にどれほど影響するかということを計算いたしましたが、大約二%から三%の影響があると考えております。
  12. 永山忠則

    永山委員 そこで、二%から三%引き上げられ、また人件費で二%内外引き上げられるということになりますれば、大蔵省等のお示しになりました収支率から見まして、トラックは完全に赤字になりますし、その他のタクシーハイヤーバスも五%ないし六%はね上ることになりますれば、ほとんど収益を見ない。もちろん無配状態へみな陥る情勢になるのであります。平均ですから、特殊のいい大手筋のものは黒字が出ますが、一般の九割九分までは全部赤字という状態に、完全に数字的にも出てくるのでありますが、これに対して値上げをしようというのでありますか。どういうように運輸省はやるつもりなのでございますか。
  13. 國友弘康

    國友政府委員 運賃値上げにつきましては、先ほど申し上げましたのでありますが、私どもといたしましては、個々の会社の申請を待ちまして、その運送原価計算いたしまして、改定の必要がありと認められました場合には改定をすることになっておりまして、今後、たとえばガソリン税引き上げになります場合には、ガソリン税値上げもその中に考慮が入ると思いますが、全体的に検討いたしまして、原価計算して決定いたすわけでございまして、今直ちにこのガソリン税値上げについてだけ値上げを敢行するということは、今は考えておらないわけであります。総合的に計算をして考えるということでございます。
  14. 永山忠則

    永山委員 事実上において赤字経営に追いやられるということは、計数的にはっきりしているのでありますが、それは時間の関係がありますから申し上げませんけれども、今申しました全体の数字でわかるのであります。特に運輸省が出されておりますところの昭和三十一年度の利益関係、これは三十二年も三十三年も大体同じ傾向であるとされておるのでありますが、その際において、バスは、これは一年間車両関係でありますが、三十一年度の利益は、バス車両年間十万六千九十三円、タクシーハイヤーが十二万一千六百八円、トラックが二万七千九百五十三円、こういうような数字が出ているのであります。これがガソリン税が五千五百円引き上ることになりますと、揮発油年間一両当り消費量バスは十キロリットル、タクシーハイヤーは十二キロリットル、トラックは十キロリットル、これは全国平均ですが、これを計算に入れますと、トラックは完全に二万七千四十七円の赤字になるのであります。さらに、これは大蔵省が出されておる昭和三十三年度の統計基準でありますが、これに対してトラック収支率が九六・四%ということになっておるのであります。今度この値上りを入れましても、利益率はほんとうの一・二%、全く利益を見ることができないようになるわけでありまして、完全にトラック業者——もちろんバスタクシーハイヤーもそうでありますが、トラック業者はもう完全な赤字経営に追い込められておるのであります。しかも、運輸省の方では、今日神風トラックの解消をやるために、経営健全化を主張されて、そうして労務の管理をよくし、退職金制度労務、厚生、それらに対して十分な施策をもって神風トラックを解消しようということになっているのですけれども、そういうようなことなんかは、ほとんど実行しようとしても実行できない、ますますダンピング労務へ追いやるという結果になるのでありまして、これはゆゆしき問題でございます。この間のラジオで言いましたトラック運転手座談会をお聞きになったら、涙をもってでなければわれわれは聞くことのできないことを言っておったのであります。すなわち、われわれはどういう人生か。家族に対しても、ほとんど一カ月に四、五時間しか面会する時間はない。すぐ出発して、目的地へ立って、とんぼ返りに帰ってくる。そうして一カ月の超過勤務は実に二百五十時間である。こういうような重労働であって、そうして各所においてトラックが倒れておるのを見れば、われわれも、結局労務過重のため、こういうようにたんぼの中へ再び自分のトラックも横倒れになってしまうのではないかということさえも身に感じておる状態である。さらに、違反をせなければ、スピード違反積み荷違反をせなければ会社経営できないのだから、その一切の責任運転手が背負ってやっておるのだ。この悲惨なる言葉現状を物語っておるのでございます。こういうような決定的に経営ができない状態に追い込まれておるものを、さらにこの大幅な増税によってこれらを窮地に追いやるというようなことについては、もう担税力の問題は限界を越えておることは言うまでもないのでありまして、私は十分この点は御考慮を願いたいと思うのでございますが、この場合、税負担の問題で、五千五百円に引き上げた場合においては、世界で一番高い水準——イタリアをのけたら、日本が一番高い水準になるのであります。どういうわけで、日本だけがそう一番高い水準に持っていかねばならぬか。なお、バス運賃燃料費を比較したならば、日本が一番不利な率になっておるのでありまして、イギリスは、バスの一人のキロ平均運賃が五円七十五銭、そして揮発油の一リットル平均価格が四十六円七十銭、アメリカは、七円四十二銭がバス一人キロ平均運賃でありまして、揮発油は一リットル平均価格が三十円であります。日本は、バスの一人のキロ当り平均運賃が三円三十六銭、これは最近少し上りましたが、そして揮発油一リットル平均価格が三十円、これは大蔵省が当時非常にガソリン小売価格は安いといっていたときに出された計数で、そのときの状態比率にしてみると、実際上のガソリン運賃のみを比較した収益率は、アメリカは、その比率からいえば五〇・六%、イギリスは一八・八%、日本は一一・一%でございまして、いかに日本運賃に対するガソリン比率が非常に営業上収益に不利な立場に置かれているかということがわかります。このようなことは少しも考えず、さらにまた、日本道路は今から整備をしようというわけでありますが、外国道路は非常に整備ができておる。従って、日本は、外国に比し一キロ走るのに、ガソリン使用量が少くとも二〇%ないし三〇%多いのであります。その多い使用量計算に入れたならば、実際上、ガソリン価格は、運賃比から見ましても、あるいは使用量比率から見まして計算しても、日本が一番高い情勢であるということは、もう議論余地はないのでありまして、その他、自動車が受けておりますところの諸税というものは、他国に類例を見ない各種の税金が十種類もございまして、実に三十三年度でも一千億円からのいろいろの課税を受けておるのでございますから、他国に比して、これが軽いなどというような——全く増徴するためにいかにしてこれをごまかして理論づけるかということだけに最も有利な分、これを一つ取り上げて、その他の諸条件を一切無視して、しかも、たばこの税金よりも、酒の税金よりも、ゴルフの税金よりも、貴金属の税金よりも一番高い税率をもって、しかも、血の一滴で輸送関係の最も動脈といわれるところのこのガソリンへの重税をかけていくという考え方は、われわれは大いに反省されねばならぬと考えるのでございますが、大蔵当局の御意見を承わりたい。
  15. 原純夫

    原政府委員 お答え申し上げます。  便宜お話の一番最後のところからお答え申し上げたいと思います。自動車運賃の中に占める燃料費割合が国際的に見て一番高い。これはおっしゃる通り道路もまだ悪いというようなことから、どうしても燃料費がかさむということはあると思います。各国の比較をいたしてみましても、どうも日本産業全般にそうでありますけれども、原料あるいは材料費に比べまして、労賃の占める割合英米その他に比べますとはるかに低い。これは最初お話のこの労働が非常に苦しいという点に響くと何でございますけれども、まあ全般の現象としてそういうことがあるように私ども見ております。どうも、アメリカあたりに比べますと、日本ははるかに少い。イギリスに比べても、やはり六、七割ぐらいの労賃になっておるように思います。そこで、最初お話に帰りまして、ガソリン税を上げる、そのために運輸業者収益関係で困窮してくる、それが運輸労働者の生計に響き、非常につらい目にあわすというあたりの問題は、今回の措置を考える場合にも一番核心的な点であると思いますが、私ども考え方はこうであります。これはやはり間接税でありますので、決してこれを、揮発油の製造業者なり、あるいはそれを運送業に使う人たちが、その利益で吸収して下さいという筋合いのものではない。やはり最終消費者に転嫁されるべきもので、また理論的に見ましても、当然そうなると私は思います。そうならなければ、お話のように、この運輸業者、あるいはその前に揮発油の製造業者がこれを負担するということもあり得る。これはもちろんないとは申すのじゃありませんけれども、こういう相当高率な増税がある場合に、それを自分の利益で出せというようなことをいうたら、その業態は利益がすっ飛んでしまうというようなことになって、だれもやり手がないということになる。まあいわゆる利潤率は各業種に共通な利潤率ができるところにならないと、経済は落ちつかないというようなことで、これはなかなか、そういうところで吸収されることは、摩擦的な現象としてはあるけれども、終局的には私はないだろうと思います。やはり最終運賃にいく。先ほど来運輸省からもお話のありましたように、運賃にいくにしても、二%、三%の原価の増があったからというて、さあすぐあしたからそれだけ上げるというわけにはとてもいかぬだろうと思います。やはりほかのファクターで上るものがあり下るものがあり、今ベース・アップの問題——お話しになりました私鉄は、べース・アップに先だってといいますか、国民の払う運賃が上っちゃっているものですから、それとの関係もあろうと思いますが、いずれにしましても、これはそうすぐには上らない。先日大蔵委員会で公述人のお話を伺っておりましても、ちょうどその問題を聞かれましたのに対して、やはり摩擦が一年くらいはあるだろう、つまり一年くらいの間にだんだん織り込まれてくるだろう、織り込まれなければ私どもはやれませんというお話でありました。その結果、運送業者の利益というものは、実は前回三十二年にかなりな引き上げがありましたときにも、ずいぶんお話がありましたが、あまり増税によって利益率は下っていないと、私どもは統計では承知いたしております。これは、法人企業統計の数字で見ましても、自動車運送業全体で三十一年の上期が五・一五%という収入に対する純利益割合であった。下期が五・二五%であります。この間には、上期が単純平均で、下期が加重平均——これは統計のとり方が、下期のも単純平均はありますが、一応加重平均の方がよろしいというので、加重平均で申し上げますと、上期が五・一五、下期は五・二五になっておる。三十二年の上期は六・五三になっておりますが、加重では四・七五と若干下っております。三十二年の下期はさらに六・一四というふうに上っておるというようなわけで、若干フラクチュエーションはありますが、大きく増税で運送事業の収益が減るということは、過去の実績から見ますと、必ずしもないのじゃないかというふうに考えます。そうなると、最終運賃の問題というようななにが出て参ります。われわれは、冒頭に申しましたように、やはり道路が悪い、それで費用がかさむ、それをいい道路にして国民経済の血脈がよく血を流すようにという考えが、要するにこの増税の取り柄だろうと思います。そういう角度から言いますと、たとえば、本年は増税になるのだけれども、昨年やった道路整備費でやはり受益が出てくる。受益の計算をいたしますと、もう百億円くらいの受益は私ども計算では出てくるわけであります。確かにこれは受益がすぐ出るとは申しませんけれども、二十九年に始めた五カ年計画の受益がだんだん出てきているわけですから、一方でやはりコストを減らすファクターというものが相当強く働いておるという点も、運賃をお考えになる際にさらにお考えをいただきたい。こまかい数字は御要求がないので申し上げませんが、かなり大きなファクターだということを最後に述べさしておいていただきます。
  16. 永山忠則

    永山委員 今言われましたように、法人企業統計から見ましても、トラック収益率も無に近く低いのですが、タクシーハイヤーでも収益率は五・一五だ、こういわれるが、そのうちの三%はすでにガソリンの今回の大幅増徴収益率を縮め、またいわゆる企業の健全化で、人件費を二%くらいはどうしても増加しなければ、神風トラックも神風タクシーもどうもならぬというところに追い込んでおるのでありますから、全く経営不可能な状態に追い込まれるということだけははっきりしたのであります。従って、今、原主税局長の言われるように、やはり最後は国民に負わして運賃を上げざるを得ないのだろうというようなことになるでございましょうが、私鉄運賃を上げてやったのであります。そうして先金をやって経営の改善をやる。そして今、いよいよ経営に悩んでおるトラック業者タクシーハイヤー、あるいはバス業者に対しては、これを増税して、収入を減らして、経営健全化をやってサービスをやれという。こういったような、弱い者には先金を取って経営健全化をさせ、強い者には金をくれてやって経営改善をやれというふうなやり方を強引にお進めになる。もう大蔵省は法王で、強引に各省に君臨して、そうして各省の意見を聞かずに、ただ健全財政主義ということですが、その言葉だけにとらわれて、民意を無視したやり方をされるというところに、われわれは遺憾の意を持つものでございますが、もう論議余地はない。負担力のない者にしいて増税するより、もし必要ならば、道路をよく直してから増税をすればよいのであって、そのときに増税をするなら、幾らでも計算を立ててすべき道はあると思うのであります。ことに、今度のガソリン税引き上げによりまして、大蔵省が出されました、国民所得に換算した場合における各国の揮発油価格及びその税額が、日本は五三・八二%である。これが英国は五九・五二%である。これらから見て低い、こう言われるのですが、今度上げられたら七〇%以上になるのでありまして、イタリアに次ぐ日本でありまして、一番高いものに持ってこなければ列国に比較して承知できぬというような感覚を、われわれは一つ御反省願いたいのでございます。  さらに、時間の関係がありますから、私は大蔵当局に申し上げるのでありますが、大体この計算の伸び率を非常に低く押えておる。すなわち常に予算をお立てになるときの消費の標準量を低くしてある。そうして実質はこれを絶えず多く取っておるということは、大蔵省の出された数字に出ておるのであります。これは、衆議院大蔵委員会の横山利秋委員の要求でお出しになりました揮発油税関係資料によっても、絶えず当初見積りより実績が多くなっております。すなわち、ガソリン税あるいは揮発油税の税額の方、それから課税の標準数量の方でいつでも多く取っておられるのであります。すなわち、この表の終りごろのAでCを割った「見込、実績対比」というところでは、これは大蔵省数字ですが、二十八年は一一〇、二十九年は一二三、三十年は九八、三十一年は一〇六、三十二年は九九、三十三年は一〇二、こういうようになっておるのであります。これを二十八年から三十三年までの間を平均いたしますと一〇七であります。予算よりは実質収入が平均〇・〇七多く税額を取り過ぎておるのであります。さらにこれを数量で申しますと、これが最後にありますが、二十八年は課税標準数量からいえば一一四であります。二十九年は一二一であります。三十年は一〇八であります。三十一年は一〇八であります。三十二年が九六であります。二十三年が一〇二であります。これを平均いたしますと結局一〇九でございます。すなわち、税額において〇・〇七%、数量において 〇・〇九%、これだけ絶えず予算よりも実績が多いのであります。さらに、この下に、実際上ガソリンがどういうように仲びてきておるかという「課税標準数量の対前年度比及び対前年度増加数量」というところがありますが、これによりますと、二十九年は一一七%、三十年は一一二%、二十一年は一一八%、三十二年は一一四%、三十三年一一一%、三十四年一一一%というようにずっと下げておりますが、この二十九年から三十二年までにガソリンの伸びておる実績は一一五になっておるのであります。こういうように、ガソリンの延べ実績は一一五と伸びており、さらに予算との関係では絶えず多くとっておるのでございます。しかるに、本年度の政府の五カ年計画で出されましたところの伸び率は、三十四年が一一一・三、三十五年が一一一・六、三十六年が一一一・六、三十七年が一一一・六というように、実際は伸び率は一一五でなければならぬものを、このように昨年度の一番低い率を標準にして五カ年計画をお立てになっておるのであります。こういうような率で絶えず伸びの率や計算を下げて、そして実際収入を多くとるということが、今日までこういうようにずっと行われておる。これは大蔵省の出された数字でございますから、われわれはこの数字検討することによって、五カ年間では莫大に多くとり過ぎるということが考えられるのでございますが、一応ここに今お出しになりました数字に間違いないかどうか、お聞きしたいと思います。
  17. 原純夫

    原政府委員 最初に国際比較の数字でイタリア並みに一番高くなるというお話でございましたが、私どもの最近計算いたしました数字とちょっと違いますので、先に申し上げさせていただきます。お話は、揮発油小売価格のうち揮発油税の占める割合がどうかということであろうと思いますが、これは日本は現在五〇・七%、それから今回の引き上げ後は五七・二。各国の例を言いますと、米国は三〇でありますが、イギリスが六〇、フランスは七七、西独は五四、イタリアが七〇ということで、これからいきますと、日本はイタリア、フランス、英国よりも低くて、まん中よりちょっと下だ、アメリカ、西独なんかよりも高いということだけを申し上げておきます。  次に、揮発油の数量の伸びの問題でありますが、ただいま私ども提出した資料をもとにしてのお話で問題になりました数字は、いずれも間違いございませんが、それをどう読むかということにつきまして、まず一番最後におっしゃった二十九年からの伸びを見ると、年平均一五%になっているではないか、それを今回の五カ年計画で一一%ないし一一%と見ているのは、いかにも低いじゃないかというお話でございます。もちろんそういうお考えもあるかと思いますが、やはり、ちょうど日本の経済が戦後あれだけ目ざましい発展をしたというのは、これは低くなり過ぎた、いわば非常にノーマルな状態より低い、そこに持ってきて、その低さを埋めるという意味で、いろいろな戦前への復元といいますか、そういうような意味で、設備があったり何かするのをどんどん動かしてやっていくというので、戦後の経済の発展の比率は毎年非常に大きいものであります。それがだんだん低くなってきて、近ごろでは、六・五という長期五カ年計画の見込みが、なかなかそのままには達成できない年が出てくる。三十四年度も、初めは、四、五%といっておったのが、やっと六・一%になるというような状況で、これはやはりそういう経済の基本的な条件が変ってくれば、そう高い伸びというものはいつまでも続くわけじゃない。自動車関係でもそういうことはまさにあると思うのです。戦後自動車というものが戦前の状態に復し、かつこれが非常に伸びていくというのについて、お話の二十八年、九年あたりは、そういう戦後的な特殊な伸びが続いた時期でありますが、これはそういつまでも続くものじゃない。私どもにしますれば、お読みの資料の対前年度比率が、三十一年度は一一八たったのが、三十二年度は一一四に下り、三十三年度は一一二に下ってきている勢いを見ますと、これはもう少し下るのじゃないかというような心配もなきにしもあらずのわけであります。いずれにしましても、それらのことは、他のいろいろな経済の発展の目標を考えましたのと調和して、昭和三十七年度における長期計画の目標をここということを定めたわけであります。これは私どもじゃございません。むしろ政府部内でそういう担当のところが中心になって定めているので、決して低過ぎるということはないというふうに私は確信いたします。また、見ようによっては、ただいまのような趨勢を見れば、なかなかおっしゃるような一五の平均になるというようなことはとうてい考えられない。いずれにしても、これは政府のとっております長期計画の裏腹になっている数字でありまして、しからば、三十三年度までの実績をずっと見ていただきましても、なるほど二十八年と九年とはなかなかよけい入っておりますが、やはり税収でありますから、税の収入実績のところを見ますと、三十三年度は予算に対して九八%、三十一年度は一〇六、三十二年度は九九、三十三年度は一〇二、この中で三十一年度というのは、どなたも御承知の通りいわゆる神武景気で、すべてのものが予算のときではとうてい予想もつかなかったほど伸びてしまったわけであります。このときに、初めの予算でぴったり当てろというのは、ちょっと無理だったと思います。むしろ次の三十二年度あたりを見ていただくと、これは前回の増税の話のときで、こういう委員会でもずいぶんきつく御糾問があり、伸ばせ、伸ばせというお話があったわけです。私どもはこれは責任を持って伸ばせませんと申し上げたのが、ぴたりときたといいますか、ちょうど一%欠けたというようなところで、決して私どもは当時も不当に低いものを申し上げたのじゃない。むしろ、実績は、それより欠けた数量べースでいくと、この年は課税標準数量の方は四%減っておるというような状況であります。私どもの見込みが少な過ぎるというお話は、もうおやめいただきたいとお願いしてもいいような実績が最近出ているのじゃないかと思うのでありますから、どうぞよく御検討願いたいと思います。
  18. 早川崇

    早川委員長 午前の会議はこ程度にとどめ、午後一時十五分より再開することとして、暫時休憩いたします。     午後零時二十九分休憩      ————◇—————     午後一時三十二分開議
  19. 早川崇

    早川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。永山忠則君。
  20. 永山忠則

    永山委員 揮発油税並び軽油引取税引き上げに関しまして、最初この道路整備に関する臨時措置が出ました当時におきましては、大体一般国費を四八%、結局半分に近いものを充てるということで道路計画が進んだのでございますが、その後政府が国会で説明をされ、また議員もそれを了承して、この道路整備に関する財源措置を認めたわけであります。そうして、政府は金を出さずにおいて、その次にまた大幅な増税をいたしましたので、その際にも、党の方でも、委員会におきましても、せめて増徴する分くらいは出してもらおうじゃないか、一般財源をもって充てようということで、最初道路整備に関しては国費を半分に見合うだけ出すといったのを、うんと後退しまして、増税分に見合うだけは出そうということなのであります。ところが、今度は、それも出さずにおきまして、時間がありませんから数字は申し上げませんが、ほとんど政府から出さずに、今度また大幅な増税をやるということでございます。しかも、道路整備五カ年計画では、結局政府は三百十七億しか出さないのでございまして、五千三百億円からの揮発油税を取って、わずかに三百十七億しか出さない。しかも、本年は百億出すが、来年は五十億、再来年は五十億というように、本年はたな上げ資金があったから出すんだ、五十億増したんだということでありますが、道路整備しようというのに、経済成長率は六・五%見ておるけれども道路に投ずる金はことしよりもさらに半分にしていこうというような国費の投入計画では、どうしても了承することができないのであります。しかも、公団への出資が三百十二億でございますから、結局公団へ出してしまうことになるのであります。その公団の道路五カ年計画を見ますと、建設利息が百三十五億五千七百万円あるわけであります。この建設利息の分までガソリン税で充てるというような考え方、さらにまた一般管理費その他の支出、いわゆる現実に道路へ使わない一般管理費等のものが、これが三十四億と十三億、約五十億の金がことし組んであるのであります。こうやって、一般道路に使わずに、そういう利子や一般管理に使う方の金を出していく。さらに、失対事業は約十五億と八十億、百億近く特別失対事業等へ出しておるのでありまして、この失対事業の能率は二、三〇%低下をしておるのでございます。そういう失業対策の能率の悪い分までガソリン税をもってやっていこうという、こういうような考え方の五カ年計画予算編成に対しては、どうしても承服できかねるのでございまして、われわれは、経済成長率と見合いまして、五カ年計画には政府はもっと一般会計から出していくという考え方になっていただかなければならぬというように感ずるものでございます。ことに、われわれが絶えず政府要望いたしましたのは何であるかといえば、今年度は散超約二千数百億円といわれております。その散超を政府が吸収をして一般公共事業へ持っていくという施策こそ、経済の安定、成長、健全なる経済計画でございまして、御母衣ダム等の外債を政府がこれを受け入れるというような問題等もございますけれども、われわれは、何としても、道路関係において、民間にダブついておる金を吸収してやることが一番必要であるという点をも、強く要望いたします。これは赤字公債ではないのだ。道路がよくなって、そしてガソリン税引き上げていく。あるいは引き上げなくてもよくなることによって、自然に見合い財源として十分ガソリン税を持っていくことができるものである。決して赤字公債ではないのでございまして、西ドイツのごときも、政府は金を持っておりましても、民間側に金がダブつく場合においては、それを公債へ吸収して、そして軍需産業へやっておるのでございます。このオペレーション的経済政策を強く推進をして、そして真に政府——現在持っておる蓄積資本を今くずすべきではない、蓄積資本はむしろこういう場合においてはくずさずに、政府は民間側にダブついておる金を吸収いたして、それで一般公共事業をやってこそ、初めて健全財政の実が上るのであるという点について、わが党は内部で強くこれらの点を当局へ進言をいたして、国費をもっと投じなければいけない、あるいは必要に応じては道路公債でいくべきであるというような点を、強く要望いたしたのでございますが、この点に対しての大臣のお考えを承わりたいのであります。
  21. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 きょうは午前中参議院予算委員会出席いたしまして、せっかく合同審査をお開きになりましたのに、私出席しませんで、大へん失礼をいたしました。また、こうして出席はいたしましたものの、引き続いて参議院予算委員会がございますので、きわめて短時間しかこの会議出席ができない。これを一応冒頭に御了承賜わりたいと思いまして、御披露いたします。  ただいまいろいろ御意見を交えてのお話がございました。私どもも、道路整備することの国家的要請と申しますか、国民全部が心から希望しておられることは、この点についてはもう異存はないのであります。問題は、道路を建設する場合に、その費用をどういうところから生み出すかというところで、いろいろの御議論があるのだと思います。ことに、わが国の運輸業者といいますか、石油消費の面、その方の方々は業態としてもなかなか弱い、その弱い者に対してそういう課税をすることは、まだ時期的に困るのではないかという議論もあるのではないかと思います。基本的にガソリン税道路を作るのはいかぬというお考えならば、これはまた別ですが、おそらく、消費の部門の業態も非常に弱い、そういう意味で高額の引き上げ負担として困る、こういうような御意見ではないかと思うのであります。しこうして、私どもは、今回この一兆円道路整備計画に際しまして、財源をいろいろ工夫いたしたのであります。先ほど来ガソリン税を目的税にした経過等についての御意見の開陳もございました。また一般財源との比率をいかにするかというようお話もございました。私どもは、今の業界自身が十分の負担力ありやいなやという点、また外国の例等も参酌し、その他わが国一般財源道路にどの程度分け得るかということも十分工夫いたしたつもりでありまして、そこで、今回は、所要の五千三百二十二億に対して四千六百二十一億、これはガソリンでまかなう、残りの分を国費にするということにいたしたのであります。この点永山さんから国費負担が非常に少いという御指摘のようございますが、先ほども申しますように、できるだけ国費で負担もしたいとは考えておりますけれども、事実国の財源措置から見まして、なかなか多額のものを道路の方に回すわけにいかない。今回ガソリン税引き上げに見合う程度の国費の増額は当然すべきではないかということで、これもなかなか困難がございましたが、一応ガソリン税引き上げに見合う三割程度の引き上げを国費の方においても採用いたしまして、財源の確保をはかっておる次第であります。  そこで、問題は、今の公債発行論でございます。私ども、公債発行についての問題も、予算編成当りまして十分検討いたしました。しかし、今日の通貨の価値を維持する上から見ますと、なお非常に危険があるということを痛感いたしておりますので、公債はただいま実は採用いたさなかったのであります。御承知のように、通貨価値がもし変動するというようなことになりますならば、基本的に計画自身も変更せざるを得ないことになりますし、こういう事柄はいかがかと思う。ことに、もうすでに御了承のことだと思いますが、公債を発行いたしました場合の元利償還等のことを計画の中に上せて参りますと、このことは現実の問題として非常な危険を伴うものでございますので、私どもは採用いたさなかったのであります。今回はガソリンを三割引き上げ、所要の財源を確保する、こういう処置をとっているのでございます。  問題は、消費の面において果してそれだけの高率のものを負担し得る力ありやいなやということに、結局議論が集中するのではないかと思いますが、過去のガソリンの税の引き上げ状況等から見まして、しばしば計画が変更された、こういうところにも、道路整備計画が蹉跌を来たした原因があるのではないかと私は思いますし、今日、各方面のデータ等を見ましても、この程度の引き上げは一応負担可能ではないかというのが、私どもの見るところでございます。
  22. 永山忠則

    永山委員 公債論は、すでに政府は公団債等で八百億円から民間資金を吸収しているのですから、要するに道路公団債を発行して利子補給をやっていけばいいわけでございまして、現実にやっているのをそのまま、理論の問題でなくして、ワクを広げるということでいくのではないかということも、強くわれわれは言ったのでありますが、その問題は、時間がございませんから、そのくらいにしておきます。  次に、実際上担税能力がないということについて、すでに前の時間に当局と懇談いたしております。運輸省が出された数字でも、トラックはもう全く赤字になっております。今度のべース・アップバス方面に織り込まねばどうにもならぬ。トラックだけではない。バスタクシーハイヤーもどうにもならない苦しい赤字経営になる情勢になっております。そこで当局は、運賃に転嫁せざるを得ないだろうという主計局長お話までが出ております。なお、諸外国に比べまして、主計局長数字を間違っておられますが、主計局の出した分でも、この値上り小売価格税金の比が七〇%になるのでありますから、イタリアに次いで世界中で大きな此の数字になりますが、負担力の問題はあとで数字的にお話しいたします。  なお、実際この課税標準は、経済の伸びとガソリンの伸びとの交差線の弾性というものは全然入れずに、一番不景気のどん底にある今の伸び率でこれを持っていく。すなわち五カ年計画ですから、不景気の次には必ずこれが伸びてくるわけですから、この伸びたものを入れた平均でいったならば、現在のままの増税でも、半額でもって所要財源が五カ年間で得られるということを、われわれ党の方では計数的に政府へ進言いたしております。  さらに、本年度の計算自体におきまして、政府予算当時の計画と現在のガソリンの実際上の使用量とは、政府の統計さえも一割方から違っているという数字もあとから説明いたしますが、こうやって基本的数字が違っておって、五カ年計画の点を押え、そしてカーブを切って計算されているということに、根本的な間違いがあるのでありますから、ここにさらに私は声を大にして大臣にお聞きしなければならぬのであります。ガソリン税の問題を見ると、自動車業者の関係が一番負担に困るのではないかというように言われておるのであります。運輸省の管轄においては自動車業者を管轄しておりますから、そういう数字が出るのですが、さらに重大なることは、中小商工業者、農村関係が非常に大きな負担を受けるのでありまして、これらの点について当局はまだ十分な資料をお出しになっていないのであるが、この点に関して、どれだけ中小商工業者が過重なる負担を受けるかということについて申し上げますと、小型三輪、すなわちダイハツを一台持っておって八百屋が買い出しに行って、営業をやるのに、大体においてダイハツ一台のものの負担増が一万一千二百五十円になるのであります。それから、今年ダットサンの貨物自動車を使っておるのが一万九千八百円、これが一年間値上りになるのでございましてタクシーハイヤーの大企業者すなわち三十台以上のものは一〇%しかないのです。ですからガソリン使用の大部分というものは、ほんとうの中小企業の零細企業者がこれを使っておるのであります。乗用車用の関係というのは、これは自家用を入れてわずかに二六・九%、あとの七三・一%というのはトラック関係その他の貨物関係でございます。そのうちで一番多くガソリンを使っておるのは、自家用の小型三輪で三六・四%、これが一番多く使っておる。あとは自家用の普通車で一四・一%、あとは自家用の小型四輪が一二・八%でございまして、ほんとうに零細企業者が一番多くこの値上りによって負担を受けることになるわけでございまして、これを何か大企業だけを頭に置いて、いろいろ論議をされておる向きもないことはないのでございますけれども、その自動車がどんどん伸びる。率から申しましても中小企業の自動車は大へんな伸び率でございまして、この小型二輪車あるいは軽二輪、これらはみんな農村の方で野菜を持って行きましたりあるいは牛乳を運んだり、こういうような関係の小型二輪の関係の年平均の伸び率は二〇%なのであります。それで、小型四輪貨物の伸び率は実に五一・七%になっておるのであります。小型四輪貨物の営業用が八四・五%、自家用が五〇・八%、そこで実際上はタクシーハイヤーの方の伸びは少いのです。だから、この中小企業や農村方面がどんどん伸びてガソリンを使っておるのでありますから、これらの階級に非常な大きな負担になるのでございまして、政府は、個人事業税六十五億、法人税で二十億、計八十五億というものを減税されましたが、このガソリンで零細企業者が負担するところの金額は実に二百億になんなんとするのであります。要するに、減税をされた事業税の分は、トラックを一台持っておったり、あるいはダイハツを持っておったり、こういう人々に全部しわ寄せをして、そしてこれらの人々は、事業税の減税を受けながら、実際上は一万円内外の負担増を事業税が減税されてもなお増税を受けるという、全く零細企業者に対してひどいしわ寄せをするというような結果に陥っておるのであります。われわれは、この営業自動車負担にたえない情勢にあるという点については、十分あとで数字をもって問い詰めますが、さらに、この中小企業の関係がいかに苦しい経済状態増税を受けていくかということについて、政府の方で検討を続けられなければならない。ことにまたひどいのは、農村関係におきましても、農耕作業の軽自動車すなわち千馬力未満、あるいは四馬力か七馬力、あるいは七馬力以上の農業用小型トラック、あるいは営業用のトラック、それに農協が持っておる自家用トラック、こういうものが実に三十三万一千六百五十七台あるのでございまして、この農耕関係の千馬力未満の関係のもので、年間一台当り増税が千九百八十円になります。そして四馬力と七馬力が一台当り三千三百円の増税になるのでございまして、結局……。
  23. 早川崇

    早川委員長 ちょっと永山君に申し上げますが、お約束の二十分がもう過ぎておりますから、あとの質問者の関係で……。
  24. 永山忠則

    永山委員 農村関係で十二億からの増税になる。これらの点を深く御検討されまして、ほんとうに担税力がそういう層にあるかという点を、いま少しく御検討願わなければならぬのでありますが、これらの点に対して大臣の方は十分御検討済みなんでございますか。御所見を承わりたい。
  25. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 ただいま御指摘になりました、中小企業の八百屋であるとか魚屋であるとかあるいはまた農耕用のトラック、その他のものについても一応検討いたしております。こまかな数字でございますから、後に事務当局から詳細に御報告させたいと思います。私どもは、その結論から申しますと、いわゆる所得に対する割合というものは、比較的軽微だという結論でございます。それらの数字も後ほど詳細に御報告いたさせます。
  26. 早川崇

    早川委員長 中島巖君。
  27. 中島巖

    ○中島(巖)委員 非常に制約された時間で数字的のいろいろな質問をしたいのですが、省くことにいたしまして、政府は、今回の揮発油税並び軽油引取税によりまして、百九十三億と四十二億、計二百三十五億の増税をしたわけであります。これはもちろん道路整備五カ年計画の一兆億予算、この点は本会議劈頭における総理の施政方針演説にも強く打ち出し、また大蔵大臣の財政演説にも強く打ち出してあるわけです。ところが、道路整備五カ年計画というものは本年に始まったわけではない。昭和三十三年からすでに一カ年経過しておる。そのときは九千億予算であった。それが今回一兆億予算に変更されたわけなんですが、ごく簡単に、その変更したいきさつ、そしてその差額の一千億の財源をどこから持ってくる構想であったか、この点をごく簡単に御説明願いたい。
  28. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 道路の実情はまことに悪い状況であります。私どもは、財源が許しますならば、もっと巨額な道路計画にいたしたい、かように考えておったのでございます。御指摘になりますように、三十三年に九千億の五カ年整備計画をし、これをさらに一千億ふやしまして、一兆円の五カ年計画にいたしたのであります。その際に、国費の負担ももちろん増加を予定をしてありますが、大部分はガソリン引き上げということによって、この計画の遂行を期そう、こういうことで、ただいま一兆円道路計画のための財源として、ガソリン税引き上げの御審議をいただいておる次第でございます。
  29. 中島巖

    ○中島(巖)委員 順次お聞きしてみたいのですが、時間がございませんから、私の方で政府案を申し上げると、結局、三十三年度に道路整備五カ年計画に入ったときには、ガソリン税増徴の問題はなかった。一兆予算になって、この問題が今回の予算に出てきたわけであります。従って、あと四カ年間に、今回の揮発油税並び軽油税の引き上げは、揮発油税において一千六十八億引き上げ軽油税において二百十九億増徴をすることになっておる。政府案だと合計一千二百八十七億の増徴になるわけです。従って、九千億予算を一兆予算にしたのは、ガソリン税引き上げによって全額補てんして、なお二百八十七億が九千億予算に食い込む。こういう数字になるのだから、九千億を一兆予算にしたのは、全額ガソリン税にかけるというお考えでやったものであると思うが、どうであるか、その点が一つ。それから、今大蔵大臣一般財源を入れるということを言われたが、一般財源は何割程度一般道路事業に入れるというお考えか、この二つの点をお伺いしたいと思います。
  30. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 ただいまのガソリン並び軽油引取税の合計としての金額は一千億以上になっておるのではないかという点でございますが、臨時特例をそのまま存置いたしておりますので、そういうことからの影響だと思います。なお、私どもが考えております九千億の差異は、二百五十億の国費負担ということであったと思います。初年度実施いたしておりますので、四カ年間あと二百億の問題でございますが、それに対してガソリン税増徴が三割でございますので、三割程度は当然引き上げるということで、六十億ふやして、従って最初二百五十億の国費の予定のものが三百十億になる、こういうことでございます。お話のように全然国が負担しないというものではございません。
  31. 中島巖

    ○中島(巖)委員 それで、政府一般国費を導入する、現在も一般国費を導入しておる、国が全然負担せぬというのではない、大蔵大臣は、いつものらりくらりと、つかみどころのないそういう御答弁をされておるわけです。そこで、もうちょっと具体的に、一般道路財源に対しまして、ガソリン税と、そのほかに国がどの程度持つような方針を立てておられるか、こういうことをお伺いするのです。たとえば三割程度持つとか、一割程度持つとか、そういう基本的な——大蔵大臣ですからこまかい数字のことは申しませんけれども、大体一割くらい持つつもりだとか、二割くらい持つつもりだとか、こういう御方針はあるはずと思うのです。それをお伺いしたい。
  32. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 基本的な問題になって参りますと、先ほど永山君のお尋ねにお答えいたしたのでありますが、私は、外国の例等を考えてみますと、やはりガソリン消費によって道路税を負担する方が望ましいことだと思います。私自身も、運輸については過去において長い経験を持っております。業界自身が負担力があるとかないとか、これはなかなか問題がございますけれども、将来の問題としての建前からいきますと、やはりガソリン消費で道路整備することが望ましいのではないかと思います。最近の情勢外国の例にとってみますと、アメリカにおきましても、ドイツにおいても、フランスにおいても、またイギリスにおいても、道路費以上のガソリン税をただいまとっておるようでございます。これはその国の経済力にもよることでございますから、一がいにその率に引き上げるというようなことは申しません。申しませんが、道路に関しては、ガソリンを目的税にいたしました当初から、やはりガソリンでまかなうということが望ましいのだ。ただ問題は、日本の場合において、ガソリンを消費する業態、あるいは自家用の部面、あるいは先ほど来議論のある中小企業なり農家なり、そういうものが高率のガソリン税負担し得るかどうかという問題だろうと思うのであります。そういう今日のような状況のもとにおきましては、一般国費で道路費を持つこともやむを得ないというふうに考えまして、先ほども申しますように、二十三年の五カ年計画の際に予定いたしました国費負担を、今回はガソリン税引き上げに見合うように三割金額をふやした、こういうことでございます。
  33. 中島巖

    ○中島(巖)委員 大蔵大臣の答弁は、この時間がなくて忙しいときに、よけいなことばかり言って、要点に触れておらぬのです。私のお聞きしているのは、一般道路財源に、国費はガソリン税に対してどのくらい投入するお考えだか、あるいは全然投入しないお考えだか、あるいは一割なら一割、投入せぬなら投入せぬ、ずばり一言言ってもらえばいい。
  34. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 現状におきましては三百十七億ですから、この五カ年計画においてはそれだけ投入する計画でございます。
  35. 中島巖

    ○中島(巖)委員 こまかい数字が出たから、私の方でもこまかい数字を申し上げますが、一般道路の五カ年計画は、国費で五千三百三十二億入れることになっておる。このうちガソリン税は四千六百三十一億円、交付公債で三百八十四億になる。一般財源で、今あなたの申した数字は五億違っておるが、三百十七億になっておる。いいですか。それで、交付公債は別になりますから、三百十七億の中で、三百十二億というものは有料道路に持っていくのですよ。公団へ持っていっちゃうのですよ。それを、大蔵大臣は、一般道路と有料道路との区別がおわかりにならぬとも思いますけれども——実際の話が、下僚の書いたものを見て言われておるのですから、おそらくおわかりにならぬでしょう。有料道路に三百十二億持っていって、一般道路——一級国道とか、二級国道とか、重要府県道とか県道とかが国の補助事業なんですが、これに対しては五億しか入らぬのです。従いまして、総体の金額から言うと、ガソリン税が四千六百三十一億で、一般財源から五億しか入らぬ。そうしますと、この五カ年計画の率は、ガソリン税で九九・九%——千分の九百九十九がガソリン税で、千分の一が一般財源だ、こうなってきますから、運輸委員会などで、幾たびか、これ以上ガソリン税を上げちゃ無理だ、一般財源をつぎ込まなければ無理だ——あなたの方の政調会でも幾たびか言われている。さっきの永山君もこの点を非常に強調しておる。これに対してどういうお考えだか承わりたい。
  36. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 先ほども申しますように、五千三百二十二億、そのうちガソリンは四千六百二十一億ということでございます。それはもう御指摘の通り、その数字に間違いございません。観光道路というか、有料道路に三百十二億つぎ込んだ、こういうことを言われますが、予算を総体としてごらんを願いたいのでございます。この金が、三百十七億のうち三百十二億そのままいっておるというわけのものじゃございません。そこで、先ほど冒頭の問題といたしまして、外国の例通りを申すわけじゃございませんが、アメリカ自身、アイゼンハワーの道路十三カ年計画ということで、ガソリン税引き上げをいたしております。この場合——各国の例についての数字は多分御披露いたしたことと思いますが、その国の揮発油税道路費との関係を見ますと、アメリカにおいては揮発油税が一三四%、道路費以上のものを取っておる。イギリスにおきましては実に五一七%、五倍以上のものを取っておる。またフランスにおいては一一八%、これは一八%多い。ドイツにおいては三二六%、三倍以上のものを取っておる。日本の場合は、今日道路費との関係においては八二・二%程度ということでございます。これはもちろん米英独仏というような経済力に相当相違がございますから、私は一律に申し上げませんが、将来の方向としては、やはりガソリンの消費税によりまして道路整備することが望ましい。その道路整備のあり方としての方向をお話しいたしておるわけであります。
  37. 中島巖

    ○中島(巖)委員 今の大蔵大臣の答弁は、大蔵官僚がこしらえた都合のいいところだけを言っているんですよ。こんなものは答弁になりませんよ。それから、あなたは、今、三百十七億のうち三百十二億について一般財源から持っていったのではない、総体のバランスだと言いますけれども、とにかく道路整備費というその項目によって、軽油引取税ガソリン税も使わなければいかぬということが法律で規定されているわけだ。従って有料道路ヘ持っていくという理屈はない。もし政府一般財源が有料道路に行くとすれば、揮発油税がそっちヘ行っておるわけだ。そんな理屈があるわけはない。つまり総理大臣の施政演説にもこういうことを言っておるんですよ。「産業経済発展の基盤を強化するため、総投資額一兆円に及ぶ道路整備五カ年計画を強力に推進するほか」ない、こういうように言って、産業経済発展の基盤を強化するという点において、その有料道路ガソリン税を持っていくという理屈はない。従いまして、それはあなたの一つの数字の魔術であって、五億しか入っておらぬことは、どうしても確実です。  それから、もう一つの点は、あなたは、アメリカはこれだけのガソリン税が上ると言うて、そういうことを非常に強調されるでしょう。アメリカ自動車の台数と日本自動車の台数くらいは、三つ子でもわかるじゃありませんか。三人に一台とか、一人半に一台とかいうような率でしょう。自分の都合のいいことばかりをあげて、その反面の都合の悪いことは一つもあげずに、自分でもおかしいでしょう。今の私の指摘に対して、どういうようにお考えですか。
  38. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 一兆円道路計画を作りまして、その場合は、御承知のように国道の整備、さらに有料道路、また地方単独事業というので、三本立にしておることは御承知の通りであります。この三本立の総予算をどういうように工面して財源を確保するか。一面において揮発油税引き上げる、一面において国費もふやした、こういうことなんです。先ほど来お話しになりますように、一般国費の方は有料道路へ持ち込むのはけしからぬ、こういう言い方をしておりますけれども、これは国費でなく、ガソリン税でまかなったとお考えになってもちっとも差しつかえない。総体の財源の問題です。また、先ほど来外国の例をとりましたのは、一体、道路費のうちで、一般財源で幾らをまかなうつもりでおるか、こういうお話をなさいますから、将来の方向としては消費税でまかなうという方向でございますということを申し上げた。アメリカやドイツやイギリスの例を直ちにとってくることが不適当であることも私も重々承知しておりますから、その通りにならないということはお断わりして申し上げておるわけであります。
  39. 中島巖

    ○中島(巖)委員 今あなたは、道路整備計画のことについて、基本構想とかなんとか述べられたけれども、このことは大蔵大臣より僕は相当詳しいつもりなんです。従って、実際の話がおかしくてしようがないんですよ。数字の上から見てはっきりしているのであります。  そこで問題をしぼって申しますが、あなたは、この間、予算委員会において、私の質問に対する答弁で、ただいま申されたような三つの点をあげて、ガソリン税値上げの根拠にしておりました。これを一々反駁せねばならぬのでありますが、時間がないので反駁しませんけれども、この三つは何ら根拠にならぬものです。自分の都合のいい、勝手なことだけを取り上げて、悪い面は言わずに、ちょうど今の自動車の台数を申し上げたようなことばかり言っておられたわけです。そこでこれらを時間のないところで言っておってもしようがありません。ところが、運輸委員会において、幾たびか、ガソリン税増徴はこれ以上してはいけないということを議決している。この院議を尊重するかどうかということが一つ。もう一つは、あなたの自民党においてこういうように意思決定がなされて、途中においてはいろいろなことがあったけれども、最後に意思決定がなされた、こうあなたはこの間の予算委員会において御答弁なさいましたけれども、先ほど永山君たちの大臣のお見えになる前の質問からいくと、そうではない。二つのトップ・レベルできめただけで、そこまで党の意見が決定しているのではないということをはっきり言われている。速記を見ていただけばよくわかる。この二つの点についてもう一度明確に御答弁願いたい。
  40. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 今回の一兆円道路計画をいたしますについては、党におきましても数回会議を開きまして、一兆円道路計画を推進すると同時に、その財源をどういう点に求めるかということも、数回にわたって会議を重ねて、結論を出したものでございます。  御承知のように、過去におきまして、運輸委員会においてしばしば決議のあることは私どもも承知いたしております。もちろん国会の附帯決議でございますから、十分尊重する考え方でございますが、私どもは、今回のガソリン税引き上げに際しまして、この附帯決議を解釈いたしますのに、過去の状況そのものから見ると、これは計画に変更がないにかかわらず税を上げるということは、これは申しわけない。しかしながら、実情も相当変ってきているし、計画自身も拡大されている、かような場合におきましては、十分御審議を賜われば御賛成がいただけるだろうということで、ただいま申し上げたような結論を出しているのであります。私も、運輸行政に長く携わりましたから、業界の方々の苦しい立場についても、もちろん人並み以上の理解を私自身持っているつもりでございます。今日の状況のもとにおきまして道路整備されるということは、なるほど自分たちの負担において整備をするまでもない、国自身がやるべきだ、こういう御意見もあることだと思いますが、利益を最もたくさん受けるところにおいてこれを負担していくことがやはり望ましいことではないか、結局運輸業者に関連されてくるわけであります。そういう点を考えますと、この際は、過去のように、せっかく政府自身が計画いたしましたものにそごを来たすような減額などなさらないで、やはりこのままやり通していただきたい、そうすることが最も望ましい状態にもなる、実はかように考えて、今回も本案の審議をしていただいておるわけでございます。  かような状況でございまして、党において十分方針を審議をし、そうして結論を出した。これには間違いはございません。しかしながら、もちろん事柄が運輸業界にも重大な影響を与えますし、また私生活においていろいろの影響のあることは当然でございますので、そういう意味合いにおいて国会において十分御審議を賜わりますことは、私は、日本社会党の諸君であろうが、またわが党の方であろうが、これは当然のことだろうと思います。これは、党の意思決定ということは別に、国会の審議という観点に立って、十分の御意見の開陳があることは当然だと思います。しかし、私この際に重ねて申したいのは、党の議がきまらなかったというような状況ではない。十分審議いたしまして、そうして本案を提案していることは、そのまま一つ御了承いただきたい。
  41. 早川崇

    早川委員長 中島君に申し上げますが、大蔵大臣参議院との約束が二十分までということになっておりますので、あと一問でおまとめ願います。
  42. 中島巖

    ○中島(巖)委員 委員長の御注意もありましたので、簡単にいたしますが、今、大蔵大臣は、運輸行政に長く携わっておったから理解があるつもりだ。理解があるなら、こんなばかなものは出しっこないでしょう。これはおわかりでしょう。運輸行政に携わっておって理解のある者は、自動車の結束というものは弱いもんだから、これにぶっかければ通るというふうにしか思えぬのですよ。  次にお聞きしたいのは、自民党は減税を公約してあるでしょう。これは減税ですか、増税ですか。それをはっきり御答弁願いたい。
  43. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 ガソリン税増税でございます。これははっきり今まで申しております。これは政策的なものだということで、特にお断わりいたして財政演説においてもはっきり申し上げております。
  44. 中島巖

    ○中島(巖)委員 今、増税である、公約違反しておる、こういうことを裏書きいたしたわけでありますが、そこでこれは、私この前も申し上げましたけれども、自民党の中にも百四十何名かが反対の署名をいたしておりますし、それから現職大臣も二人か三人やっております。党六役の中にも三人ほど反対の署名をしておるのです。従って、こういうほうはいたる反対大蔵当局が押し切ってやるということは、私はいけないと思うのです。そこで、すでに予算の総額も衆議院で決定しておるのだから、予算の総額をいじることはできぬでしょう。しかしながら、本年度においてあなたは百億出したと言われるけれども、そのうち五十億は道路公団と首都高速道路公団、今審議中のところへ持っていくわけなんです。これは借入金でも何でもできる制度になっておるのです。従って、これを充当すれば、約三〇%程度の今度の引き上げ率を低めることができる。その他調整すれば、約半額程度に低めることができるのです。それから、例の軽油引取税にいたしましても、本年度地方が負担するのが二百九十一億なんです。それへ持ってきて、政府は、軽油引取税とか譲与税とか、それから交付公債も多少ありますが、この三つでもって三百五十九億やって、地方負担全額見てやって六十八億余っこにしてあるのです。従って、軽油税を引き上げなくても、全額地方負担したあげくに、二十六億余っこに地方にやってある。こういうようなむちゃなことをしなくても、ただいま申し上げましたような方法で幾らでも予算通過後においても処置できるのだから、こういうことを御研究願って処置されたかどうか、こういうように考えるわけでありまして、あとのこまかい数字のことは、あとに残った大蔵官僚なんかとよく打ち合せをしたいと思います。そこで、結論的に申し上げますと、岸内閣は金権内閣だ、官僚内閣だとよくいわれるのですよ。自民党内部においてすらこういう状態でおって、官僚のこしらえた数字に最終的に一緒になってしまったということは、官僚内閣で、結局自民党はこの官僚内閣の何と申しますか、支柱にすぎない、こういうように結論的になると思うのですが、これに対してお考えはどうですか。
  45. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 政治のあり方についての御意見でございましたが、なるほど事務当局は使っておりますが、政治の責任大臣自身が持っております。また金権政治だとかお話が出ておりますが、ガソリンに関するこういう施策に金権政治そのものはちっとも関係ございません。はっきり申し上げておきます。なお、事務当局が詳細な資料を持っておりますから、どうか時間の許す限りお聞きとりいただきたいと思います。
  46. 早川崇

  47. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 きょうのこの合同の委員会は、道路整備の問題と、それに基く財源措置としてのガソリン税増徴の可否について議論がされておるわけであります。そこで、私は、先ほど文承わっておりますと、ガソリン税増徴が、何と申しますか、きわめて不当である、こういう建前から、いろいろ議論が戦わされ、また質疑が行われておるように思うのです。もちろん、税金でありますから、これはできるだけ軽いと申しますか、少いのが望ましいのであります。ただ、問題は、国の政治をいたします場合に、どういう考え方で、またどういう目標でそういう政治をやるんだということの国民の理解がないと、非常に誤解を受けるおそれがありますので、そういう考え方に立ちまして、二、三の問題を明らかにするために質疑を続けていってみたいと思います。  そこで、これは今さら申し上げる必要もないかもしれませんが、しばしば問題になっておりますように、日本道路状況はきわめて劣悪である。これは、世界の先進国に比較するまでもなく、極端に道路状況が悪いということは、国民全体がよく承知をいたしております。そのために、ただ普通の便利が悪いというだけでなくて、国民経済と申しますか、産業経済の能率の問題に重大なる悪影響がある、これを解消しなければ日本の産業経済の効率的な発展は非常にむずかしいのである、こういうところに大きな問題があるわけであります。これは余談でありますが、先般の予算委員会でありましたか、わが国の経済の体質改善はどこにあるんだという質疑があったようでありますが、その際に、経済企画庁長官が、道路整備をするということが体質改善の重要なるポイントだということを言われて、何か非常に笑いの声が上りましたが、私は非常に問題の要点をついておるお答えであったと思うのであります。そういうことで、わが自由民主党が、これは非常に全体から申しますと微々たる計画でありますが、一兆円道路整備五カ年計画を主張いたしまして、政府がこれを取り上げて、先般政府が五カ年計画を策定いたしました。そこで、私は、国民に問題を明らかにするために、政府のどなたでもよろしいですから、この一兆円五カ年計画によってどのくらい日本道路整備されるのか、この点を一つこの委員会で明らかにしてもらいたいと思います。
  48. 佐藤寛政

    佐藤(寛)政府委員 私から御答弁を申し上げます。ただいま策定いたしております、そうして先日御決定をいただきました五カ年計画によりますと、昭和三十七年末に現在の五カ年計画が終了いたすわけでございますが、その際におきまして、一級国道におきましては、道路の改良で申し上げますと、全体の路線に対しまして七三%の道路整備が終ることと相なります。これを五カ年計画が始まります前と比べますと、五〇%のものが七三%程度のものになる、こういうことでございます。それから、舗装で申しますと、やはり一級国道の舗装で申しますと、五カ年計画の実施前におきましては三四%程度であるものが、おおむね六三%程度に整備が進捗する、こういうような数字に相なるようでございます。なお、二級国道について申し上げますと、改良で現在が三一%、五カ年計画実施後が四〇%、舗装で申しますと、現状が一四%、五カ年計画終了後におきましては約三五%、ごく概略でありますが、こういう改良なり整備、舗装が進捗いたす予定でございます。
  49. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 そこで、今詳細な御説明は省かれたようでありますが、この五カ年計画を完全に実施しても今の説明のような状況でありますけれども、それについて、いわゆる一兆円の道路計画において、先ほど問題になりました、一般道路について六千百億、それから有料道路について二千億、こういう計画を立てられた。問題なのは、そういう計画を実施して、先ほど私が当初に申し上げましたように、一体この計画の完成によって、日本経済と申しますか、それに対してどういう経済効果といいましょうか、国民全体に対して効果が上るか、どのくらいの利益がそれによってプラスになるか、こういう点をさらに明らかにしてもらいたい。
  50. 佐藤寛政

    佐藤(寛)政府委員 お答えいたします。道路整備によりまして、これによって受ける利益国民経済の増長でございますが、もちろん、この点につきましては、非常に及ぶ範囲が広範でございまして、計算等も非常にむずかしいわけでございます。私どもがこの五カ年計画を策定いたしますに当りまして、いろいろな考え方で試算をいたしておるのでございますが、その試算の程度を申し上げてみたいと存じます。  一級国道以下各種道路を、全国にわたります改良、舗装または橋梁のかけかえ、こうした事業を実施いたしますに当りまして、国民経済的に見ますと、いろいろな面での利益が考えられるわけでございます。まず最も端的な自動車走行費という面でもって見てみますと、私どもの勘定では、道路整備ができますと、各種自動車平均いたしまして申し上げますと、一車一キロ当り、未改良道路が改良になる場合には、大体八円見当の利益が考えられる。直接走行費でございます。それから改良し、さらに舗装を実施いたしますと、以前の未改良道路と比べまして、一台一キロ当り約十円の走行費の節約が考えられる、こういうふうに見ております。それをもとにいたしまして、この五カ年計画の事業量につきましてずっと積算いたしてみますと、昭和三十七年、この五カ年事業が終了いたしまた後におきまして、大体二千三百六十億くらいの運転費の節約が得られる見込みでございます。
  51. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 今の二千二百億というのは、走行費だけの利益になる分ということですか。
  52. 佐藤寛政

    佐藤(寛)政府委員 走行費だけで申し上げました。
  53. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 それから、各種道路の改良あるいは舗装をしますと、走行費だけではなくて、経済全般についていろいろな利益があるわけでありますが、走行費だけの節約の御説明がありました。もう一つ、ここで明らかにしてもらいたいのは、道路の改良あるいは舗装によって、各種の自動車がありますが、先ほど来中小企業等のいわゆる自家用車、あるいは三輪車等についていろいろ課税が重い、こういう議論かあるわけでありますが、そういう各種のトラック、その他の車両の種類によって、この計画を実行することによってどのくらいの節約が一体できるか。そういう点を一つ専門的な方面から明らかにしてもらいたい。道路の未改良のものを、いわゆる正規の道路に改良する、あるいはそれ以上に舗装をする、これをやるのが今度の計画の目的でありますから、それをしない場合に、現在の状態で各種の車両を運転するのと、またその後の実行された後にそういう車両を運転する場合に、走行費といいますか、あるいはガソリンだけでもけっこうであります。ガソリン消費量等において、どのくらいの利益をもたらすものか、そういう計算がなされておると思いますが、どちらからでもけっこうでありますから、明らかにしてもらいたい。     〔早川大蔵委員長退席、塚原運輸委員長着席〕
  54. 佐藤寛政

    佐藤(寛)政府委員 道路整備が実施された場合におきます走行費の節約額は、先ほどもちょっと触れて申し上げましたが、これは各種自動車平均的に考えた場合の数字を先ほどもちょっと申し上げたわけであります。これはいろいろな車について申し上げなければならないわけでございますが、たとえば普通の乗用自動車について申し上げますと、われわれの見方といたしましては、この普通自動車が夫改良道路を走っております場合には、いろいろな経費がかかりますが、つまり走行費関係を合計いたしますと、一キロ当り一台四十七円ほどの経費が要る。これが、たとえば改良し舗装された道路になりますと、燃料費も節約されますし、オイルも少くて済む、タイヤや、チューブ、それからいろいろ償却費関係ども節約されるわけでございまして、それらのいわゆるランニング・コストでございますが、その経費が、この改良をし舗装された道路になりますと、約二十五円くらいに相なることになります。従いまして、普通乗用車だけで考えてみますと、そこにざっと二十五円見当の経費の節約が考えられる。これを乗用車の場合、小型トラック、大型トラックいろいろな場合について、試算的に数字を出しておるわけでございますが、これらの自動車を全部取りまとめまして、平均的にいたしてみますと、先ほども申し上げましたように、改良、舗装によりまして一台一キロ当り十円見当の利益がある、こういうふうに見てよろしいのではないかと考えておるわけでございます。
  55. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 私は、そういう専門的なことはわかりませんので、専門家に調べてもらったのによりますと、現在の夫改良道路を走るとして、普通トラックガソリン消費量を一〇〇といたしますと、改良された道路では九一%、舗装された道路では七一%、小型トラックで改良された道路では八三%、舗装道路では六四%、ほかにたくさんありますから、これ以上申し上げませんが、そういうふうにガソリン消費量が減じ、安くて済むという計算が出ておるのです。これは自動車の所管の運輸省の方の説明を求めたいと思うのですが、どうでしょうか。
  56. 國友弘康

    國友政府委員 お答え申し上げます。道路が改良されました場合のガソリン消費量減につきましては、ただいま運輸省、建設省、道路公団等で詳細なデータを集めておりまして、それによって計算をしようと考えておりまして、今まだ正確な数字を私の方ではつかんでおりません。
  57. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 そういう問題を今ごろつかんでおらないというのは、実に私おかしいと思います。そんなことで一体、こういう道路計画をするというのに、ガソリンの消費税を上げる場合に、五千五百円を上げるにしても、その計画が遂行された後にどのくらいのガソリン消費減があるのだ、従ってどのくらいの実質負担になるのだというぐらいのことは明らかに計算してもらって、よく納税者に理解を求めるというのが、私は非常に必要なことだと思うのです。そういう意味で、私はこういう問題をここに明らかにしてもらいたいという意味でお尋ねしておりますが、せっかく御研究中であれば、すみやかに御研究をして、何も当委員会でなくてもよろしいですから、国民によく理解のいくように——ただ五千五百円を取るのだということの説明だけでは国民は納得いたしませんから、五千五百円増徴して、こうやれば国民経済にはどういうように影響がある、また従って個々の自動車使用者についてもどういう利益があるのだ、従って実質的にはこのくらいの負担であるから、まあきついところでもがまんを願うというぐらいの親切心があってしかるべきだと思います。そういう意味で私はここでもう一つ道路整備について——これは国民全体の要望であります。また、この問題については与野党も何らの異存がないのでありまして、ただ財源をどう求めるかというところに問題があり、またそれが議論されておりますが、先ほど建設省の道路局長から、五カ年計画を遂行して、走行費のみをとってみても二千数百億と言われました。私はそれはちょっと過大じゃないかと思いますけれども、二千数百億の走行費について、国民の中で自動車を使う人々の利益がそれだけ残るのだ、こういう計算が立つと言われましたが、ここで五カ年間ガソリン税増徴しようというのが千六十八億、そのほかにもちろん幾分かのいわゆる軽油引取税がありますが、とにかく五カ年間に千六十八億の増徴分を負担してもらっている。この計画を実行すると、これは個人々々によっては違いますけれども日本全国の自動車を使用される人たち利益は二千数百億に上るのだ、こういう計算になるわけであります。計算通りいくかいかないかは別問題として、一応そういう計算になる。それは間違いないですか。建設省でも運輸省でもけっこうですが、これは明確にしておいてもらいたいのです。大蔵省でもけっこうです。
  58. 原純夫

    原政府委員 最後にお話がありましたから……。これは実は建設省、運輸省、たしか建設省が中心になっておはじきになったものですが、私も手元に持っておりますから申しますが、今お話の出ました二千三百六十億といいますのは、この新しい五カ年計画によりまして毎年々々どんどん飛躍的に新しい改良、舗装が行われていく。そうすると、初めの年の三十三年度はなしとして、三十四年度には三十三年度にやったものの受益が出る、三十五年度には二年分の新しい道路費の受益が出るというふうにしていきますと、だんだん末太りに毎年の受益額はふえる。おしまいの年、完成後の三十八年度には五年分の受益がずっと出るわけですね。それを累計された額が二千三百五十九億であります。各年度でいうと、私の持っている数字では、三十四年度には九十五億円、三十五年度には二百三十八億円、三十六年度には四百二十六億円、三十七年度には六百六十一億円、三十八年度には九百三十九億円、こういう数字になっております。ここでただいまお話しのガソリン税増徴分の負担と対比しますと、三十四年度は百九十三億円の増税ガソリンである。そのほか軽油の方でもあるわけでありますが、それに対して受益は九十五億円、三十三年度分の、この五カ年計画の仕事による受益がそれだけある。翌年度になりますと、増徴分がガソリン税で二百六十億でありますが、受益が二百三十八億円、その翌年はもう平年度化して二百六十億を幾らも上回らないわけでありますが、その年になると四百二十六億というように受益が非常に大きくふえてくるということであります。これはもちろん増税分だけでやるのではなくて、今までの一般財源あるいは今までの揮発油税も全部投入してやるというように、毎年度の増税分が年々飛躍的に大きくなっていくところから出てくるわけでありますが、これは関係各省とも建設省のはじかれた数字を共通に持っておりますので、ただ大き過ぎるとおっしゃられたのは累計を言われたので、毎年度はそういうことで、終りの三十八年度には九百四十億ぐらいの受益が出る、第二次五カ年計画の分での受益がそれだけ出るということであります。
  59. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 私がこういう問題を明らかにしたいというのは、先ほども申し上げましたように、道路整備によってガソリン消費者にどれくらいの利益があるのだ、こういう点がなかなか理解がついておらないのじゃないか。ただ五千五百円の増徴分だけを問題にいたしますと、当初申し上げましたように税金は軽いに越したことはありませんが、一方においては道路整備はもう一つの国是である。世界の各国に太刀打ちするには、どうしても道路整備をしなければならない。五カ年計画を完全に遂行しても、先ほど建設省の道路局長が説明されましたように、まだまだ一〇〇%にはほど遠いのであります。そこで、そういう大事業をすることが国家的にどうしても必要であるが、その財源を求めるについていろいろ苦労をいたしております。今回ガソリン税増徴しよう、ガソリン税増徴しても、なおかつガソリン消費者の面においてのみ計算してみても、今のような莫大な利益が手元にあるのだ、こういう計算が成り立つのじゃないかということを、私は明らかにしておきたいのです。もちろん個人々々の自動車を使用される人に同じような利益が返るとは思いませんけれども、国全体においてはそういうことになります。  そこで、私は運輸省の方にお尋ねしたいのですが、先ほど永山委員から御質疑がありましたときに、あるいは業として自動車を使用しておられる人、あるいは個人で使用しておられる人、いろいろあるわけでありますが、特に問題になりましたのは、運賃に転嫁するか、あるいは小売業者等の場合においてはその商品に転嫁するか、こういう問題が議論になりました。これは、主計局長も、場合によっては転嫁すべきものである、それは合理的であるという御説明がありました。私もそういうふうに考えます。ただ、運輸省の方から御説明になりましたときに、業界が成り立たないということはやってはいけないことでありますから、各種の原価計算して成り立たないという場合には、運賃引き上げ等も考慮しなければならない。それは当然であります。当然でありますが、その際に、私が前にどうしてこういう問題を提起したかというと、今までのようにガソリン税増徴によって——主としてガソリン税財源が多いわけでありますが、これによって道路整備をすると、ガソリンを使用する人については、今説明がありましたように二千数百億の利益が完全に戻る。全体から見るとそういう計算になりますが、そういう問題を運輸省としては考えておられるかどうか、それを計算の基礎に考えておられるかどうかということをお尋ねいたします。
  60. 國友弘康

    國友政府委員 お答え申し上げます。バス運賃その他トラックハイヤー運賃につきまして運賃の算定をいたします場合には、人件費、物件費、減価償却費その他を何年かとります。その最近年度の実績によりまして、会社ごとに計算をして査定をいたすわけであります。将来の要素につきましては、その場合、明らかに考慮されます場合には、あるいは考慮する場合があるかと存じますが、大体今申し上げましたように、過去の最近年度の実績によって計算をし、将来の見通しを立てまして、運賃改定するかどうかということをきめるわけでございます。使用者が将来これくらいの利益があるというような見通しの場合には、まず直ちには算入しないということになると思います。
  61. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 もちろん将来そういう利益があるから、現在の運賃計算にしない。それはもう当然だろうと思います。これは非常に抽象的な議論で恐縮でありますが、先ほどの大蔵省主税局長からの御説明によりますと、たとえば三十三年度の道路計画を遂行したことによって、走行費が国全体で——今の自動車車両数等から計算されておるわけでありましょうが、九十五億の利益自動車使用者にあるのだ。また三十五年度において二百三十八億の利益があるのだ。これはずっと累計されてくるわけです。そうすると、非常に大まかな議論をして恐縮でありますが、それだけは運賃を引いてもいいんじゃないかという議論が成り立ちはせぬでしょうか。それだけ自動車を使用する人たち利益がずっと積み重なっていく。これはどういうことになりましょうか。
  62. 國友弘康

    國友政府委員 お答え申し上げます。先ほど申し上げましたように、運賃につきましては、各個別の会社原価計算いたしまして運賃を算定いたしますわけでありまして、先生の今おっしゃいましたように、たとえば昭和三十三年度の原価計算いたします場合には、物件費等におきまして昭和三十三年度に収入が減っておるわけでございまして、それを基本にして算定をいたしますわけでありまして、国全体としては大きな計算ができるかと思いますが、個々の会社につきましては、それがどの程度影響するかということが出て参りませんので、大体われわれは最近年度の実績によって計算をしておるということでございます。
  63. 中島巖

    ○中島(巖)委員 関連質問だから、ごく簡単に一つだけ申し上げますが、原局長の先ほどの答弁でも、道路整備に、これは非常に利益が上る、こういうことを言われておる。それから道路局長も、四カ年間に二千何百億の利益が上る、こういうことを言っておる。これはとんでもないしろうとの考えです。質問しておる瀬戸山さんも前身が裁判官だから無理もないと思いますけれども、とんでもないしろうとの考えなんです。この道路整備中というものは、掘り返したりいろいろいたしまして、それから利益が上りますことよりも、掘り返された道路を歩きますときのマイナスの方が非常に大きい。これが完成した暁に、これより以上の利益が出るでしょうが、道路整備期間中というものは、ひどい悪路を困難して歩いておって、このマイナスというものは少しぐらい整備したぐらいでは追っつかぬ。この間においては、この自動車業者はとんでもない被害者だ。これはとんでもない誤まりの答弁をしておられる。こういうことを一つ申し上げておきます。
  64. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 もちろん先ほどの数字は推定の数字であります。また、私が質問をいたしておりますのも、必ずそれがそれだけの利益が手元にくる、こういうふうに考えて質問しておるわけではありませんけれども、国全体としては、五カ年計画が遂行されようが、されまいが、道路の改良、舗装を毎年続けてやっておるのです。それで、道路の改良、舗装を五カ年計画で順次毎年続けておりますのは事実なんですから、そこで一キロでも道路を改良され、あるいは舗装されると、それだけガソリンにしても消費量が減っておることは事実なんです。個人々々の会社においてどのくらい滅っておるかという計算はなかなか成り立たない。これはそう簡単なものでないと、私はしろうとでも想像がつきます。国全体では、とにかくこの推定数字が必ずしも正確であるとは言いませんが、大体それに近い数字が必ず自動車を使う人々の利益になっていることは間違いないと思う。これは、この数字バス会社だけの数字ではありません。これはこのうちの何パーセントかでありましょう。あるいはトラック会社だけの数字でもありません。その何パーセントかでありましょう。ありましょうが、少くともここに計上されたくらいの利益は、国全体から見るとそういう人々の利益に帰しておる。そうすると、これは、極端な議論をいたしますと、完成された暁は二千何百億というものは利益に残すのか。それならば、国民大衆のために、その全部じゃなくてもいいから、それだけに応じた原価をずっと下げて、運賃を下げるべきではないか、こういう議論が成り立ちはせぬか。そうしなさいと言うのじゃないですが、そういう考え方はどうかということを聞くのです。その点はどうですか。
  65. 國友弘康

    國友政府委員 運賃値上げにつきましては、今直ちに運賃値上げしようということを私どもは考えておりませんのでありまて、これから何カ月かあるいは何年かの検討の上で上げるわけでございますが、その要素等はその際に考え得るのではないかと思います。
  66. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 これは今そういうふうな結論を出して下さいという意味じゃありませんけれども道路整備に携わっておる者から見ると、そういう感じがするのです。そこで、今うしろから聞いておりますと、五千五百円の増徴分が一千六十八億円ここに入っておるのだから、それは別だ。それは当然のことであります。このガソリン税を据え置いて、そうしてずっと今日まで相当に道路整備が進んでおります。それがどのくらいの計算になるか知らないけれども、少くともそういう自動車を使う人々の経費というものが少くなっておるのは当然です。少くなっておらぬということになると、道路整備はこれはほとんど意味をなさないということになってくる。少くなっておるのだけれどもバス運賃が下ったということを私は聞かないから、私はこういう議論をしておる。収入がふえたでありましょうが、もちろん収入がふえて会社その他の業界がよくなることはけっこうなんです。だから下げなさいとは言わないけれどもガソリン税を上げたから運賃も上げろという議論が出るならば、道路がどんどん直ったのだから運賃をなぜ下げないかという議論がどうして成り立たないかということです。非常にばくとしたことなんだけれども、そういうことです。これには別にお答えはなくてもけっこうでありますが、そういう点までお考え願いたいということであります。  そこで、私はこれ以上はあまり多くを言いませんが、今ガソリン税増徴の問題が議論になっております。税金は少いに越したことはありません。そこで、大蔵省のお考えを聞いておきますが、大蔵省は、先ほど大臣も出てみえまして、この一兆円計画は必ず遂行するという決意であろうと思います。これを遂行しないということであれば、これは国の経済全体から言うてもきわめて大事なことであり、また政府としても、また自由民主党としても、一兆円計画を遂行しないような状態になるということは、私はきわめて大問題だと思うのですが、この点について大蔵政務次官はどういうふうなお考えを持っておられるか。
  67. 山中貞則

    山中政府委員 もちろんお説のごとく、党の公約でもあり、また国家として経済基盤強化の基本的な条件を満たす一つでありまするし、それが国民の期待するところでもありまするから、この計画の遂行に当って、断じて行うことはもちろんでありますが、今後五カ年計画を終了しました後も、なお最も理想的な態勢への整備に向って、さらに引き続き国家としての努力をなすべきものであると考えております。
  68. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 私はこれで終ります。
  69. 塚原俊郎

    ○塚原委員長 川野芳滿君。
  70. 川野芳滿

    ○川野委員 私簡単に御質問を申し上げてみたいと存じまするが、今回のガソリン税大幅増徴はまことに遺憾なことでございまして、先に永山委員が申されました通り、運輸常任委員会、さらに地方行政常任委員会、衆参ともに反対をいたしておりました問題であります。さらに、間接税部会におきましても、大幅増徴問題については反対の申し合せをいたしておる今回の実情でございます。さらに、先般の選挙公約におきましても、減税を断行する、こういう声明をわが党は天下にいたしたのであります。しかるに、今回のガソリン税の大幅値上げによりまして、せっかく減税を断行いたしましたそのりっぱな政治というものが帳消しになっておる、こういう実情でございまして、私はまことに遺憾千万に思うのであります。私などは、道路整備五カ年計画の達成に一兆億予算をもって断行するということにつきましては、あえて異議は差しはさみません。大賛成でございます。しかしその内容でございます。この一兆億予算道路を完備する、こういうことは、もちろんその大部分の財源ガソリン税に求むることにつきましても、あえて異議を差しはさむものではございません。しかし、先ほど中島委員からも申されましたように、民業道路に振り向ける一般予算を除きますと、ほとんどガソリン税一般道路整備する。こういう点等から考えますると、非常に遺憾千万である。一般会計からの繰入金を調べてみますると、なるほど今年は百億の予算を見ておりまするが、来年度からはこれが五十億ずつに減額されておる。そこで、先ほど大蔵大臣アメリカ等の例を引かれまして、外国においても道路整備費を上回っておるガソリン税を徴収しておる、こういうお話でございましたが、日本道路外国道路とは私はある程度違うと存じます。外国道路自動車ばかり走っておりますから、当然財源自動車に求めてもけっこうでございまするが、わが国においては道路自動車だけ使用いたしておりません。自転車も使用するし自動車も使用する、こういう現状でございます。そこにおいて、この一兆億の予算を、もちろんガソリン税に求め、さらに一般予算からもう少し多額の予算を繰り入れる、こういう方法で今回のガソリン税値上げ問題を検討されておりますならば、私は問題は少かったと存じます。すなわち、道路ができますると、もちろん自動車業者等も喜ぶのでございまするが、道路がりっぱになりましたために、沿道の地価等も相当に上って参ると考えます。そこで、その沿道の人等に対する受益者負担のこと等を考えて、一般予算をもう少し来年度から大幅に繰り入れる、こういうような御計画をお立てになっておったならば、私は今回のごとき反対は少なかったであろうと考えまするが、こういう点についてどういうことを御計画になっておったのであるか、お尋ねしてみたいと思います。
  71. 山中貞則

    山中政府委員 各関係委員会でいろいろと申し合せや決議をしてあるのに、どうしてやったかということについては、午前中の永山委員の御質問にもお答え申し上げたのでありますが、予算を決定いたしまする過程において、いろいろとそれぞれの角度からの議論がありまして、お答えも一回いたしたように、最大公約数をとってきめたわけであります。その過程ないしはその閣議決定後等に、あらためて委員会がそういう値上げをやってはいけないという決定をしたような記憶が実は私はないのでありまして、そういう意味で、国会なりあるいは関係委員会の意向を全く考慮に入れないで、一方的にやったのだという考えはないのであります。なお、間接税部会の方でやらないようにというお話であったということでありますが、部会の方の表現は、道路整備のためにある程度やむを得まいが、負担についてその能力等を十分検討して措置する必要があるという趣旨のものであると思いまするし、また、税制懇談会等におきましても、道路整備財源としては一応必要やむを得ないと思う、というような答申等も実はあるのであります。そこで、年次計画に対する一般財源の投下をいま少し大きく見たならば、かような反対の気勢は幾分やわらかくなったのではないかというお説でありまして、あるいはその通りであるとも考えますが、私どもといたしましては、現在の実行年次における投資額が国庫負担五十億でございまするので、この線を下回ることはあってならないし、また下回るようでは、国の道路整備五カ年計画というものに対する情熱の度合いというものもはかられるわけでございまするから、幸いにいたしまして次年度は経済基盤強化資金のたな上げがございましたので、その中より百億をさいてこれに投下するとともに、自後三十五、三十六、三十七、三年度にわたりまして百六十七億の一般財源を投下いたしまして、政府といたしましては、既存の実行額等を十分配慮し、また政府の努力を傾け得るだけ、その範囲内において注いだつもりであります。
  72. 川野芳滿

    ○川野委員 今回のガソリン税増徴大幅増徴でございます。従って、その増徴分の半額くらいになる数字でも来年度から予算に繰り入れる、こういうような御計画になっておりますれば、これは国民喜んでこの増徴に大賛成であります。そうして道路整備計画が進行されると存じまするが、今申しましたように、非常に軽少な金が繰り入れられておるというこの計画については、非常に残念でございます。しかし、すでに予算等も通過いたしまして参議院にいっておりますることでもありますから、私は、ぜひ一つ来年度からは大幅にこれを増徴する、こういう計画に変更がえをしてもらいたいことを要望しておきます。  さらにお尋ね申し上げますが、今回の三十三年度の政府原案のガソリン推定消費量は三百八十三万二千キロリットルとなっておりますが、この根拠をお尋ね申し上げてみたいと思います。
  73. 福井政男

    ○福井政府委員 ただいまの御質問についてお答え申し上げます。  三十三年度の自動車用のガソリンの数量は三百八十三万キロと大体考えておりますが、これは従来の出荷統計なり、全体の消費量なり、生産活動の伸びなり、そういった点を関係各省でいろいろ検討して策定いたした数字でございまして、これは三十四年度にさらにまた一割前後のものが伸びるだろう、かような数字を推定いたしました。
  74. 川野芳滿

    ○川野委員 通産省の統計によりますと、上期の販売実績が百九十六万九千キロリットル、さらに十月の販売実績が三十七万五千キロリットル、十一月、十二月の販売実績が七十三万四千八百キロリットル、計約三百七万九千キロリットル、こういう数字が示されております。そういたしますと、この率で三十四年の一月から三月を平均いたした数字を出しますと、百二万六千キロリットル、これを合計いたしますと四百十万五千キロリットル、こういう数字に実はなると存じます。それから大蔵省の示されてある資料によりますと、工業用が七万九千キロリットル、航空用が七万二千キロリットル、それでこの工業用と航空用を差し引きますと三百九十五万五千キロリットルという数字が出るわけであります。これは、通産省統計に出ております数字と、さらに一月から三月までを平均した数字でございますから、私は、あえて無理な数字ではなかろうと存じますが、この点について、一つ通産当局の見通しを伺ってみたいと思います。
  75. 福井政男

    ○福井政府委員 先ほど申しました数字は、もちろん関係各省の検討いたしました推定数量でございます。従いまして、各月の実績をとってみますと、若干の数字的な開きもあろうかと思います。見通しでございますので、先ほど申し上げました数字が動くことはあろうかと思っておりますが、大体先ほど申し上げました前後であろう、かように私どもの方では推定をいたしております。
  76. 川野芳滿

    ○川野委員 三百八十三万キロリットル、これは見込み数字であると私は存じます。しかし、私の申しました十二月までの三百七万九千キロリットル、これは実績であります。そこで、ことしの一月から二月までの三カ月間を今の平均数字で推定いたしますことも、私はそう無理なことではなかろうと存じます。そういたしますと、あなた方の計算されております三百八十三万キロリットルというもの、これは間違った推定で、私が申します推定がかなり実績に近い数字であると私は考えますが、いかがでございますか。
  77. 福井政男

    ○福井政府委員 三月もまだ全部たっておりません。従いまして、お説のようにこの三百八十三万というものが相当変ることも考えられますが、今のところそう大きな開きはなかろう、かような考え方をいたしておるわけでございます。
  78. 川野芳滿

    ○川野委員 それではもう一ぺんお尋ねいたしてみたいと存じます。永山委員との質疑応答においても明らかにされた点でございますが、三十三年度より三十四年度のガソリン消費税の伸びが一一一・三%、こういうことになっております。このパーセントはもう少しお上げになってもいいではないかと思いますが、いかがでございますか。
  79. 福井政男

    ○福井政府委員 ただいま御指摘の点、仰せのような御意見も出ようかと存じますが、私どもの方で推定いたしておりますのは、先ほど申し上げましたように、企画庁、運輸省、通産省、こういうところで検討いたして出した数字でございます。
  80. 川野芳滿

    ○川野委員 三十年度が一二%増、三十一年度が一八%増、三十二年度が一四%増、こういう過去の成績等から考えますと、原案の一一・三%というのは非常に内輪に見積ったもので、もう少しパーセントをよく見てもいいではないかと考えます。そういたしますと、ただいま申しました十二月までの実績、さらに今年三月までの——これは仮定の数字でございますが、常識的に判断いたします数字等を合せますと三百九十五万五千キロリットル、こうなります。これに政府当局の今回計算されております一一一・三%と伸びを見ましても四百四十万二百キロリットルになりまして、これにガソリン税増徴分をかけますと、二十一億六千万円の金が浮いてくる、こういうことに私の計算上ではなろうかと考えます。さらに、今申しましたように、これは一一一・三%で計算しておるのでありまして、このパーセンテージを上げますと相当の剰余金額が出てくる、こういう計算になりますが、いかがでございますか。
  81. 原純夫

    原政府委員 税収見積りのことでございますので、私からお答え申し上げます。  まず、先ほどお話しの、三十三年度における実行上、予算よりもだいぶ多いじゃないかという点でございます。先ほどあげられました十二月までで三百七万九千キロリットルという数字は、確かにある時期にございました。そのうち十一月、十二月は速報の数字が入っております。十一月の速報の数字はそのときより一万三千キロリットル減った実績がその後数字が出ております。十二月も、なお速報の段階ではありますが、前のは多過ぎた、約一万キロリットル少いというような数字が出ておりますので、ただいま第一の柱に立てられました数字は、だいぶその後の実績として現われました数字で縮まってきております。従いまして、そういう新しい数字でありますと、私どもの見込みでは、三十三年度は予算とちょうどぴったりくらいなところにくるのではなかろうかというふうに見ております。これは、けさほども永山委員からお尋ねがあって、本国会に私どもから提出してあります資料をもとにしてお話し申したのでありますが、その資料によりますと、三十三年度の実績においては、われわれの見込みでは、揮発油税収入は予算の二%増しくらいがせいぜいではなかろうか、あるいはそうまでもいかないんじゃないかというような感じをむしろ今持っているところでございます。  お話の年々の伸びという第二段の柱でありますが、これもけさほど話が出ました。なるほど戦後どんどん日本経済が伸びる。それから、自動車の使用というものも、戦争中はまき自動車というようなことで、ほとんどなくなったのが、戦後ぐんぐん伸びた。伸びたのがちょうど、二十九年度、三十年度、三十一年度あたりは一一七、一一二、一一八%というように、前年度に対して揮発油消費量の伸びは大きくなっております。これは、いわば飢餓状態にまでなった、戦争によって打ちひしがれた経済が、むくむくと立ち直るという段階のことであったわけです。しかも、その時分には、朝鮮動乱の余波であるとか、あるいは二十八年度の例の、小規模であるけれどもインフレ的な傾向であるとか、三十一年度は神武以来の景気といわれた年であります。ところが、三十二年度になりますと、前年度に対して揮発油消費量は一一四と下ってきており、三十三年度、本年度はさらに一一一と下ってきております。およそこういう趨勢でものを考えるなら、長期五カ年計画で、毎年度、三十七年度までを一一一%ないし一一二%と見ていることは、あるいはどうかなという感じが——どうかなというのは、少し多過ぎはせぬかなという感じこそすれ、これが少な過ぎるということはないというふうに思います。第二の柱について経過的に申しますとそうでありますが、そういう経過は別にいたしましても、毎年度一一一、一一二%伸びるという見込みは、政府部内、関係各省みな寄って、かつ民間の学識経験者を集めました例の経済審議中心の長期経済計画で、昭和二十七年度どういう経済に持っていこう、それについて、それではその年度にはどれだけの車が走り、どれだけ揮発油が要るかということを想定いたしまして、それになるまで毎年度ふえていくであろう数字、ですから目標はきまっているわけです。毎年度ふえていく足元になる昭和三十三年度なら三十三年度の実績、あるいは三十二年度の実績というようなものは大体わかっており、それから伸ばして参るので、おのずから線が出てくるわけであります。決して少な過ぎるというようなことでなしに、これは実に虚心たんかいに、日本経済を大いによく持っていこうという長期計画の線に各省が協力一致して出した結論なのであります。けさも申し上げたのですが、三十二年度も、例の増税問題がありましたときに、ずいぶんお話のような角度でいろいろ御質問があり、御糾問的な御質問もあったのですが、私どもそう水増しをすることはできませんと申し上げて、実績においては、三十二年度は、差し上げました資料にもありますが、予算額を一%割っております。数量では四%も割っておるというようなことで、決して私ども過小に見積るなどということは、気持もございませんし、特に最近数年の実績をごらんいただけば、その辺はきわめて明らかではないだろうかというふうに思いますので、御了承願いたいと思います。
  82. 川野芳滿

    ○川野委員 大蔵当局といたしましては、税金にいたしましても、あるいは酒税にいたしましても、ガソリン消費量にいたしましても、低くお見込みになることは、これは当然かと考えます。従って、そういう答弁があろうと私は想像いたしておったのでございますが、しかし、聞くところによりますると、運輸当局におきましても、今年末ころにはある程度の自動車等の増車を認める、こういうような方針でもあるかのように承わりますので、私は、この消費量等の伸びは、まだこういう低くなく、もう少し伸びを見てもいいのじゃないか、かように考えておるが、しかしこれ以上御質問はいたしません。  さらに、もう一点だけお尋ねを申し上げてみたいと思いますが、ガソリン税の徴収上のずれでございます。これは現在二・一カ月分を認めておられるようでございますが、いかがでございますか。
  83. 原純夫

    原政府委員 揮発油税の徴収は、税関で引き取ります場合と、そうでない場合、つまり税関で税を納める場合と税務署に申告して納めます場合とで、ちょっと納期の関係が違って参ります。精油所から出て税務署に税を納めるという場合は、毎月、一月に幾ら移出いたしましたといって、移出しました総数量に対して税率をかけて、その額を翌々月末——翌月末が正規のもので、一月徴収猶予をして翌々月末に納めるということになっております。ですから、一番長い場合は、一日に移出して約三月後に納める。一番短かい場合は、月末に移出して翌々月末ですから、約一月要する。平均すれば七十五日くらいということをよく申します。税関の方は、引き取りますとすぐ納税義務が発生するということになりますが、この方は延納を七十五日認めるということにして、大体税務署の側からいえばバランスがとれているというようなことになっております。おっしゃる通り、そういう意味では大体七十五日になっておるということでございます。
  84. 川野芳滿

    ○川野委員 ほとんど税金であるといわれておりまする酒税は、御承知のように翌月納税、こういうことになっておりまして、一番長いのが三十日ということになっておると考えますが、そういたしますると、酒税と比較いたしまして非常にこのガソリン税は恩典に浴しておる、こういうように私考えます。これをもう少し短かくしますと、かりに一カ月短かくしますると、今年の予算二十何億出る、こういうことにもなりますが、もう少し徴税を短かくするというわけには参らないものですか、伺ってみたいと思います。
  85. 原純夫

    原政府委員 各税でただいま申し上げました日数の開きがあるのは、おっしゃる通りでありますが、これは、私ども、各税の対象となっておる品物が納税義務者の手元で納税義務が発生してから、どのくらいでその納税義務者は代金を回収するであろうかというようなことをやはり常時調べて、そしてそれに合うような納期でないと、これは人に転嫁して、それに払ってもらって、それでまた国に納めるわけですから、決済期間といいますか、代金の回収期間というものを見て税法上の納期を考えるという建前にいたしております。酒と物品税とでは違うし、また揮発油税と酒は違うのですが、これらは、やはり代金の決済というような点から見ますれば、今のはそれぞれ意味があるという考えでおります。  第二段の決済期間、ガソリンについての納期を縮めれば幾らか余裕ができるじゃないかというお話は、私どもその余裕はちょっとないように見ております。同様な話が前回三十二年度でなにしましたときもありまして、そのときは、実は私ども七十五日は実情に見てまあまあということもあるが、今度は相当増税にもなるのだし、七十五日ものど元一ぱいだから、これを九十日にしたいということで、納期が十五日分延びる、従って初年度はそれだけ課税数量が少いという前提で国会にお願いいたしましたところ、そのときは、いやそれはまあがまんさせよう、九十日にする必要はないといいますか、やはり精油業者の方が強いし、ほかの関係者は弱いのだから、これは七十五日にそのままにしておけということを言われたのでございます。言われまして、その差額だけ前回は増税額を削る。そのほか歩どまりの問題もありましたが、まあそれがそのままになっておるので、七十五日がもっと短かくなるかという点は、私はむずかしいんじゃないかというふうに思います。どうも決済期間などを調べてみますと、七十五日がさてどうかな、つまりもう少し長いような数字がだいぶあるのです。今回増税だから私ども延ばすという角度で何か配慮するかということをむしろ相当研究いたしましたが、前回のこともあるし、そう申しても、そういうことを言われるだろう、やはりここは強い弱いとかなんとか考えて、七十五日そのままでいこうじゃないかということにいたしておる次第でございます。
  86. 川野芳滿

    ○川野委員 最後にお尋ねしてみたいと存じますが、実は多額なガソリン税負担しております業者に対して、現在の七十五日を短かくする、こういう点は非常に問題があると私も考えます。しかしながら、他の業界との公平論から考えますと、さっきも申しましたように、ほとんど六割税金である酒が現在ではほとんど掛で売られておる。こういうようなものに対しては翌月納税をさせ、一方においては七十数日も徴税を延期されておるということは、非常に私は不公平ではなかろうか、かように考えますが、酒のごときそういう実際問題として掛売りされておる品物に対しましては、徴税をある程度延ばす、こういうようなお考えはないでしょうか。公平論から申しますと、当然私はもう少し延ばすべきものであると思いますが、いかがでございましょうか。
  87. 原純夫

    原政府委員 私どもの調べでは、酒の場合の代金回収は六十日からせいぜい七十日こえるのがあるかないかというくらいだと思います。揮発油の場合は、私どもの調べでは、最近では九十日程度という数字が実は出てくるのです。酒とのバランスでは酒の方がずっと短かいと思います。酒は本月移出しましたものを来月末に納める。しかし、担保を入れて徴収猶予を願い出れば、もう一月延ばせるということになっております。酒の種類によって延納の割合——清酒などは延納を認められる工場が少いという御非難が多かったので、これも近年はだいぶよく見るようにしておりますが、酒も翌月の翌月、ですから平均すると七十五日くらいというようなことに相当部分なっておるということもありますし、私としては、今酒と揮発油との関係で、にわかに酒の方をさらに納期を延ばすことはいかがか、なお相当に慎重に検討してみたいと存じます。
  88. 川野芳滿

    ○川野委員 答弁に対して不満の点が多いのでございますが、永山委員の質問中でもございましたので、私はこれで質問を終ります。
  89. 塚原俊郎

    ○塚原委員長 永山忠則君。
  90. 永山忠則

    永山委員 私は、前に申しましたように、経済に因っておる自動車の所有者から先金をとって、そしてあとから利益を還元してやるというような税のかけ方は、いわゆる課税の均衡の原則から見ても、断じてこれは許すべからざるものであると思いますが、同時に、建設省がお出しになりました道路整備五カ年計画で、改良工事と舗装関係で、来年度は全国平均でどれだけのパーセンテージが上るかという点に触れてみたいのであります。     〔塚原運輸委員長退席、瀬戸山委員長代理着席〕 断わっておきますが、われわれは、一兆円の道路計画ではまだ足らない、もっともっと道路整備をしなければならぬという強い議論を持っておるのでありまして、民間側の散超を、不急産業あるいは第三産業方面、すなわちサービス方面へ流れたり思惑方面へ流れるのを防止する意味においても、本年度の散超二千億くらいは吸収してそれを公共事業へやっていく、むしろ政府の蓄積資本は、この場合こわさず、これを留保しておいて、民間の金を動員して公共事業にもっともっと力を入れて、道路だけではない、河川あるいは治山、あるいは農業公共事業など、産業の構造のびっこを是正する上において、断固この公共事業をやるべしということを強く主張いたしておるのでありますから、道路整備計画にいささかの亀裂を来たすというような考え方は断じて持っていないのでございます。しかるに、自動車を使用する業者が利益が上るから、それからとるというなら、利益が上ってからとるべきであって、今一番どん底の経済状態に追い詰められておるものから、一番金持である政府が、自分が金を出さずに、そして貧乏人の金を取り上げてやろうというような考え方に、国民は非常なふんまんを感じておるのでございます。私は、この大蔵省と一緒に歩いておれば、タヌキの泥船に乗ったようなもので、一緒にわが自民党もつぶされてしまうというくらいにまで、内部では非常に憤激をしておるのでございます。事業において道路整備が来年度どれだけでき上るか。全国平均一%くらいしかでき上らないのであります。三十三年三月に改良関係が二四・八%、三十八年三月末に二九・二%、五カ年で四・四%になるので、三十四年一年では一%くらいしかでき上らない。さらにまた、これは建設省の出された資料でありますが、舗装の延長に対するでき上る率が、三十三年三月末の状況が八・四%、三十八年三月末が一二・九%、五カ年で四・五%ですから、三十四年一年で一%くらいしかでき上らない。そのでき上る最中は、自動車も迂回しなければならないし、あるいはストップしなければならないのです。むしろ被害者は自動車を持っている人なのであります。それを、直ちに、利益が還元されるのだからそれを負担すべきが至当であるというような、全く論理の飛躍した考え方議論をすることに対しては、われわれは賛成いたさないものでございます。要するに、道路整備後における利益の還元を中心として、ガソリン税増徴問題はるやべきである、それまでは他の財源でやることが適当であろうということを、わが党の議員は署名までして政府へ申し出たのであります。さらにまた、間接税部会においても、一般財源をできるだけ多く出せということを強く要望いたしており、また強く政府へ進言をしておるのであります。われわれは、やはり一兆円予算を必ず実行する、また予算面に傷をつけてはならぬという考え方でございますが、五カ年計画でございますから、政府の方で一般財源を多く出すという計画を立てていけば差しつかえないのでございます。  そこで、私は質問を続けまして、担税力がないことについては、これは運輸委員会運輸省と十分話し合いを進めることにいたしますが、大体このガソリンの基準需要量の見方が誤まっているのだという点について、その基礎が誤まっている、そして伸び率も誤まっているという点を、もう一度十分認識をしてもらわなければいかぬ。これは川野芳滿君の質問と関連をするわけでございますけれども、二十三年度の自動車用の揮発油消費量政府の推定量というものより実際は上回っているという点でございます。これはいつでも政府予算よりは実績が上回っておる。上回っておるということは統計に出ている。課税した実績から見ても税収入が平均〇・七%上回っておる。課税数量から見ても実績が〇・九%上回っておる。このように毎年上回っておる。予算の見積りよりは必ず多く取っておる。そして見積りの基準数量はいつでも少い。これはずっと統計上出ている。先刻大蔵省の出された数字で説明したのでありますが、これが税収入で〇・七%違って多く入れば、五千億円で三百五十億多く取り過ぎの違いが出るのです。本年度かりに今回野芳滿君が言うごとく、政府の見ておる、すなわち外貨割当当時の政府原案の推定数量が三百八十三万二千キロリットル、しかし、実際は、いわゆる通産省の速報なんか入れてずっと調べて、十二月までの分が三百七万九千四百三十一キロリットルであります。されは全部政府の資料です。それで上期販売実績、これが百九十六万九千四百八十六キロリットル、十月の販売実績が三十七万五千五十八キロリットル、十一月、十二月の販売実績、これは速報で全部政府の資料なんですが、七十三万四千八百八十七キロリットルで、それを合せて三百七万九千四百三十一キロリットルである。あとの一—三月の分は推定になっておりますけれども、もし政府のいうがごとき数字でいったならば、一—三月はわずかに八十三万キロリットルしか使えないということになる。十月に一カ月で三十七万五千キロリットル使っているのに、三カ月もあるのに二カ月分ちょっとくらいしか推定数量がない。一—三月といっても二月は二十八日であるが、しかし、車のふえる竜等を総合して、旧来の実績から勘案してみれば、十二月までの分を三で割った、いわゆる三分の一が妥当な数字であります。その数字が百二万六千四百四十七キロリットルであります。そこで、結局合計して四百十万五千八百七十八キロリットルになる。それで工業用、航空用を引いたならば、三百九十五万四千八百七十八キロリットルになるのであります。これは政府の資料を中心にしたきわめて妥当な行き方でありまして、原君の言うごとく、十二月までの数字はみな政府の実績できておるのでありますが、もしそれを一—三月の分は推定だから信憑性がないということなら、一—三月はわずかに八十三万キロリットルしか使えないということになる。一カ月分でも約四十万キロリットル使っているのに、これでは二カ月分くらいしか使えないということになる。これはそういうような政府の実績に基いて計算した数字ですが、結局本年度使用量のもとが二十万キロリットルから違っている。これは本年度政府の推定しているところの分と実績とを比較すれば、一七%の開きがある。この数字だけでも計算すると、政府増徴見込みがどれだけになるかと申しますと、ことしだけでも二十一億六千万円多く取るということになる。それが四年間ですから、この率でまた増徴率の誤差を加えていったならば、これだけでも数百億よけい取るということになる。この基礎が違って五カ年計画は作られる。五カ年計画を定めて、その最終点を押えて、これは全然動かさぬようにして計数をはじき出した、その基本のはじき出し方に矛盾があるのです。この点に対して、政府の推定されたことしの推定量は狂いはないのだということを、あえてお言いになるか聞きたいのであります。
  91. 福井政男

    ○福井政府委員 ただいまのお説につきましては、私どもも、あるいは若干の変更はあるのではなかろうか、かような感じもいたすわけでございますが、先ほど申し上げましたように、企画庁、運輸省、通産省等関係各省の担当者が検討して作った数字でございまして、大体この見当じゃなかろうか、かような感じでおるわけであります。
  92. 原純夫

    原政府委員 今永山先生が言われた通りでありますが、先ほどこまかい数字を言われましたのは、実はさっき立って申し上げましたように、永山さんのお持ちの数字より、より正しい、より確実な実績が出て、それだと、すでに計算しただけで、もう年度末までいけば六万キロリットルぐらい減るような数字になっておる。少し古い数字をおっしゃっているということが一つであります。  それから、もう一つ、私どもの税の方の年度は若干違いますから、御案内の通り、一月が過ぎると、一月の末までしか三十三年度の税収になる分はないわけです。税関の方ですと、一月十五日までしか年度内収入にならない。ですから、大体一月末の概数がもう出ておりますので、それによると、予算での課税見込み三百八十二万一千キロリットルとほとんど変らない。資料にも出してある程度の一、二%の伸びがあるかないか、それもどうかなというくらいな感じであります。これは年度の二カ月ないし二カ月半のずれがあるからということになっております。ちょっと数字の基礎が、何日か知りませんが、その後精査すると若干違ってきておりますので、それをちょっと申し上げたいし、また特に申し上げたいのは、前回もこういう形でいろいろおっしゃって、責任者である鉱山局が立てた数字は決して過小なものではないということでお断わり申し上げ、その結果どうであったかというと、現実にその数字より相当低い実績しか出なかったということもあります。これを税率にからめてふやすというお話は多分に危険なのではないか。これは税収を見る上からも危険だと思いますし、またそこではずすことはいかがかという感じがいたします。前回のこともよくお考えいただいて、慎重にお願いいたしたいと思います。
  93. 永山忠則

    永山委員 この数字は通産省からとった十一、十二月販売実績の速報なのでありまして、きわめて最近の数字であります。これらを推定しても二十万キロリットルから違うわけでありまして、これに六万くらいの誤差があっても、なお多くの開きを持つのでありますから、私は、政府が絶えず予算では少く見積って実績は多くとっておるということは、政府の出された数字で説明をしておるのでございまして、大蔵省が健全に収入を確保するという意味で、絶えず峻厳な数字で臨まれるという気持はわかるのでありますが、今日のような非常に無理な課税をしようというときに、取り過ぎるぐらいな算定基準で進むというようなことは断じて許されないのでありまして、かりにずれの関係を一カ月ずれを少く見るということになりますれば、二十一億六千万円の違い、さらに実際の使用量数字が三月まで出てくる分を計算をしてみましたならば、実に四十八億五千万円多く収入見込みがある。この点だけでもキロリットル千五百円引き下げても少しも予算に穴があかずにやれるのでありまして、これを基礎にして四カ年間スライドしていくのでございますからして、大幅な税金をとらなくても、われわれは、五千五百円増徴の半分くらいな税金をとっても、道路一兆円計画に少しも支障を来たすものではないということの数字を確実に握っておるのでございますが、今原さんの言われる課税は一月までであるからとの点は、そのずれはすでにやはり計算済みになっておるのでありますから、それらの関係消費量の基準数量とは全然関係ないのでありまして、ずれはすでに見込んでちゃんと差し引いてあるのであります。そこで、私、どういうわけでこうやって政府が出された数字がいつでも平均的に上回っておるかということに対しては、このガソリン税収の伸び率をいつも小さく見積っておるからであるというように思うのでありますが、対前年比が、二十九年は一一七%、三十年が一一二%、三十一年が一一八%、三十二年が一一四%になっているのに、三十三年度は荷物の動きが悪く、赤字経営で悩んでいる会社が多く、各運輸収入にしても、みな少くなっておるときでありまして、この一番悪い三十三年の伸び率の数字の一一一というものを三十四年度も用いて、わずかに三十五年度と三十六年度だけを伸び率一一二というような工合にされておる。そこがもう全然数字に非常な無理がある、この伸び率は当然平均一一五で見てよいのである。その一一五の伸び率は五カ年平均ですから、三十四年度だけを言っておるのではない。三十七年度までこの伸び率一一五で計算すべきである。五カ年計画においては、今年のような不景気があって、それから今年は積極財政で健全財政、安定成長経済で行くというときには、もう今からどんどん荷物の動きが出ておるじゃないですか。そうして、各会社がみな赤字欠損から立ち直って、三月、四月はみなよくなっておる。こうやって荷動きがどんどんできておるときに、去年と同じ伸び率で見るということ、観念的にも間違っておる。これは、統計でも申し上げましたように、いつでも税額は多くとって、そうして基準数量の見積りも絶えず上回っておるということ、政府の出された統計で明らかになっておる。これはもう平均が出ておる。だからして、故意にやられたことじゃないでしょうが、そんな無理な苛斂誅求をやって、ほんとうに死の経営に追い込まれて苦しい経済状態に悩んでおるこの実情を、われわれは言っておるのです。それにもかかわらず、それは取り過ぎにはならぬ、強いそろばんはじきをやろうという心がまえで、いわゆる苛斂誅求的な気持から今なお抜け切らねば、悪代官的な性格を大蔵省は相変らず持っておるという非難を、ちまたに浴びることになる。だから、われわれはこの計数の誤まりについてさらに申し上げるのでありますが、国民経済の伸びと今度のガソリンの伸びとの違いがある。この弾性を見ておるかどうか。弾性はどういうことになっておるか。最近五カ年間の弾性はどういうことになっておるか。すなわち国民経済の伸びよりはガソリン使用量の伸びの方が多い。その経済の伸びとガソリンの伸びとの弾性をどういうふうにここに織り込んであるかということであります。弾性は全然織り込んでいないのじゃないですか。これが五カ年のうちでは今年のように非常に下ることがある。あるいは、政府がほんとうに健全財政で、今の財政で民間側の金を吸収しておやりになれば、経済は伸びますよ。今のようなやり方ならば、この経済はまたインフレ的要因を持って、途中でもって縮小均衡経済に変らねばならぬかもしれませんよ。今のような放漫な民間の資金をこのままに見のがしておけば、そういうことになる。しかし、これをうんと吸収する施策をとって、それを公共事業に持っていき、そうして経済構造の跛行性を直すということでおやりになれば、まだまだ経済は伸びますよ。伸びるのでありますが、大よそ経済の安定成長をねらっておる現在の財政関係から見たならば、どうしてもここにガソリン消費量と、そうして国民経済の伸びとの弾性というものを計算に織り込まねばならぬのですが、それは織り込んであるかどうか、そうしてその弾性はどういうように見ているか、聞きたいのであります。
  94. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員長代理 委員長から申し上げますが、先ほど来永山委員の御質問の前提になっておる通産省速報というものを基礎にされております。その点を大蔵省と通産省と正確にお打ち合せになった上で、今のお答えを願います。
  95. 原純夫

    原政府委員 ただいま委員長から御注意の速報の問題は、私の申し上げていることが間違いないので、私ここで架空で申し上げているのじゃなくて、永山委員の御計算になっている数字を左に置き、最新の資料による数字がこうであるというのを右に置いてやっているのですから、これは通産省にチェックしていただいても間違いございません。  それから、国民所得の伸びとの関係をどう判断するかという問題に入ります前に、近年の課税数量が対前年二十九年度は一一七、三十年度一二、三十一年度一一八、三十二年度一一四と伸びている三十三年度は一一一だが、これから一一は少いというカーブでのお話、そこにちょっと大事なことがありますから申し上げておきますと、三十二年度一一四というのは、これは御記憶だと思いますが、三十二年度の増税の場合に、国会で皆さんが製造工場で百キロリットル出した場合に欠減を見ておったわけです。三・七%欠減を見ておって、九六・三キロリットルを課税標準数量にしたわけです。その欠減が多過ぎるから、その場合は欠減を一・五にしろ、九六・三キロリットルは九八・五キロリットル分にかけてよろしいと言われたわけです。そういうふうにした結果、三十二年度はその二・二%くらいは普通よりよけいふえているわけです。ですから実勢をこえて二%余りこれがふえているのだから、引いてみれば三十二年度は一一二%の実勢しか示していないということであります。それで三十三年度が一一一だということになりまして、この辺はカーブからごらんになる場合にきわめて重要な点だと思います。  それから、国民総生産と揮発油税課税標準数量との関係は、昭和二十九年度は総生産一〇五・三%の伸び、揮発油税は一一七と大幅にふえております。三十年度は一一〇・三の国民総生産の伸びに対して一一二%、三十一年度は一一二・二%の国民総生産の伸びに対して揮発油税は一一八、いずれも若干あるいは相当大幅に上回っております。三十二年度も一〇八に対して一一四、これは、今申したように、修正すれば一一二%くらいになるわけであります。三十三年度は国民総生産はなかなか伸びないで一〇一%程度でありますが、ガソリンは一一一、三十四年度は六・一%伸びるということに見込んでおりますが、これが一一一、こうなっております。いずれにいたしましても、国民総生産の伸びに比べてガソリンの伸びが大きいということは、だれでも疑わないところでありますが、われわれの見込みは、先ほども申しましたように、昭和三十七年度において、長期経済五カ年計画のゴールの年度において揮発油の消費がどうなるかということが、各般の条件からきまって参ります。それと五カ年計画が始まりますときの数字とを最小自乗法でつないで、そうして各年度の消費量を見るということにいたしております。先ほど来初年度である三十三年度が多いというお話がありますが、その数字は若干過大に出ておるということでもありますし、また政府予算というのはある点までの実績をもとにして見るもので、これは国会御審議の段階になって数カ月そのときよりもずれる。それを入れるという御議論はあり得ると思いますが、取り立てて言うほど大きな差でもなし、現に前回いろいろ言われたのをおっしゃる通り伸ばしておったら、大へんなことになったわけであります。この辺もお考えいただいて、水増し、あるいは過小に見積ると言っておられますが、近年においては予算の見積りにおいて若干過大だ——そう過大とも言えないと思いますが、三十一年度は神武景気で、ほかのいろいろな諸元はこんな程度ではないのですが、揮発油税は六%だけ伸びたというのがちょっと目につくくらいで、あとは三十年度九八、三十二年度九九、三十三年度は幾らになるかまだわかりませんが、一〇二%くらいということで、これで過小見積りを続けておる——なるほど四、五年前まではありました。しかし、それはやはり戦後の経済の伸び自体が四、五年前まではかなりイレギュラーではあるし、戦争による空白の状態を戻すという意味で相当飛躍的にふえた。そこにいろいろな朝鮮事変とかなんとかいうものもあったということもありますので、最近の三、四年の実績をごらんいただけば、揮発油消費量を過小に見て作為するというようなことをおっしゃられるのは、どうも心得ないと思うわけでございます。
  96. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員長代理 永山委員に申し上げますが、なるべく要点だけに一つお願いいたします。
  97. 永山忠則

    永山委員 今わずかな違いであると言われるのですけれども、かりに二%違っても五十億から百億違うわけです。最初の基本がそこにわずかな違いがあっても、四年先になれば非常に大きな誤差が出てくるのでありますから、これはどうしても経済の伸びとガソリン消費量の伸びとの弾性を考慮に入れなければならない。その弾性の関係で、ここに非常に伸びが出たり、あるいは大蔵省の方で計画されたものが伸びが少かったというような工合になってくることは、すなわちガソリン消費量と経済の伸長との関係の弾性の関係が交差しているからそういう結果になるのであって、だからして平面的にただ一%ずつ伸ばすというような考え方でなしに、弾性を入れた計数を出していかなければいかぬ。少くとも今申されました三十二年度の伸び率一一四が欠減率を差し引いたために二%増加しているということであるが、かりに二%引いても、過去四カ年間の伸び率一七、一二、一八、一二を加えて四で割れば一四・八になるわけでありますから、どんなに少くても伸び率は一一五もしくは一一四という数字になるので、やはり弾性を見てやらなければ正しい伸び率にならないのである。さらに、弾性を見たならば、本年度の弾性は大体どういうようになっておるか。あなたの方で計算されていますか。本年のガソリンの伸びと経済の伸びとの比率はどうなっておりますか。ガソリンの伸びがどれだけ高くなっておるかという弾性を計算しておりますか。
  98. 原純夫

    原政府委員 その数字は今申し上げました。三十四年度は国民総生産は六・一%伸びる、揮発油課税標準数量は一一%伸びるというふうに見ております。ただし、私どもは、その弾性値で揮発油課税数量を見るというのはきわめてラフな方法であって、やはりもう少し精細なやり方をしなければいかぬというふうに思います。と申しますのは、税収の全般についてもよく弾性値で見るという見方があるのです。非常にラフな見方のときはそれでよろしいですが、およそきちっとした予算なりあるいは経済計画なりを見ます場合に、単純に過去の弾性値の平均当りで見るということは、きわめて危険なことであろうと思います。やはり先ほど申しました方法、これもかなり大ざっぱではありますけれども、三十七年度の目標を立てて、それに現在から三十七年度に至る趨勢を最終需要の線にとるという方法は、ごく常識的なことであろうというふうに思います。どうも弾性値々々々とおっしゃいますけれども、弾性値で果して科学的な方法論が立つかどうか。特にこういう動きの多いものについては、私はきわめて疑問だというふうに思っております。
  99. 永山忠則

    永山委員 結局この国民所得とガソリンの伸びとの比較は、二十九年から三十三年の間の平均ガソリンの方が四・九七ほど伸びが多いのです。その平均率が出るということは、結局不景気のときはずっと伸びないが、少し景気がよくなれば、貨物の移動、人の移動がありまして、ぐんぐん伸びていく。その伸び率が非常にふえるのであります。ですから、本年のごときは、国民の実質所得は伸びていないけれどもガソリン消費量は伸びておるというような工合に、その伸び率が非常な強い弾性を持っておる。それから、五カ年計画国民総所得に、ガソリンの伸びを平面的に、自乗方式はお使いになっておりますけれども、平面的な伸び率を計算しておるというところに、基本的な数字の誤まりがあるわけであります。そういうことをおやりになるから、年々誤差が出て、この資料にあるごとく、平均税収において〇・七%、あるいは数量においては〇・九%、こういうものが五カ年平均では違ってくる。それだけの数字が違うということは、これはもう大へんに税率に響くのでございますから、私は、この弾性傾向というものを十分取り入れて、伸び率を検討されなければいけないと思うのであります。  さらに、われわれは、この三十年度の税収の見方がきわめて少な過ぎる、すなわち逆にいえば税収を強く取り過ぎるようになっておるという点を、別の角度で計算をしておるのであります。すなわち、ガソリンの総消費量というもの、非課税分をみな入れまして、そしてガソリン税の入った分をガソリンの総消費量で割るわけです。非課税というものを一切頭に入れずに、ガソリンの総消費量で今度入る税金の分を割ってみる。割ってみますと、旧来の実績平均は九五・四九%になる。これをいわゆる有効収税率と言っておるのでありますが、これが平均九五・四九%である。ところが、三十四年度予算ではこの数字が九四%にしかならぬ。予算数字でいいますと、九四%にしかならぬ。だからして、この有効収税率の差が——これまでの分は九五・四九%で、税金をとっておる。入っておる。ことしの予算の分は、九四%しか収入を見てない。これをその税収関係計算してみますと、実に三十八億二千万円やはり多くとり過ぎるという計算になるわけであります。こういうあらゆる角度で弾性の状態を入れたり、あるいは有効収税率というようなものから、横の面から縦の面から計算をいたしましても、なお大蔵省のお出しになりました数字から平面的に計算をいたしましても、ガソリン使用の伸び率一一一という数字は納得できないのでございます。こういうような平均有効税収関係については、私はすでにその計算大蔵当局にも出しておいたはずであります。これらについて御検討されたことがございますか。
  100. 原純夫

    原政府委員 もちろん検討いたしております。で、お話は、この非課税ないし免税の分が何パーセントあるかということに帰すると思うのです。従来の実績で、九五・四九%が課税された、三十四年度は九四だとおっしゃるわけですが、これは私ども当然であると思っております。一昨年上げましたときに、石油化学あるいはゴム抽出用等の分を免税にするというようなことを新たに始め、かつ、石油化学のごときは、ちょうど今ごろから実際の生産に入るというようなことで、免税の分がぐんぐんふえていくわけでありますから、この比率が一定にとどまるということは、とうていないわけです。私ども、それぞれこの非課税ないし免税の要素における数量を精細に各省から伺って、課税の分をはじいておりますから、これは従来の実績が幾らあったからというようなことですと、それこそ大へんな間違いになると思います。
  101. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員長代理 永山委員、まだだいぶ長いのですか。あとにまだ質問される方がおられるのですから……。
  102. 永山忠則

    永山委員 それじゃ今の税収見込み関係だけを質問して、またあとから続けさせてもらうことにいたします。  だから、私が述べた有効収税率関係は、石油化学の非課税分には触れてないのであります。同時に、政府の方は、これは全然のけて計算されております。その他の分は、ここにございますように、やはり同じような、一一一、一一一・七というように、航空用、工業用が大体スライドしておるのでありますから、これらの点について私は正しい計数であるというように考えておりますし、今日これほどの苦しい経済状態に追い込まれておりますので、いま一度政府の方で検討をされまして、正しい数字によって苛斂誅求にならぬようにお願いをしたいのでありますが、ただ一点、前の数字関係で、私が原主税局長の言われるのが誤まっちゃいないかと言う点は、今度五千五百円上りましたら、世界第一位はイタリアですが、それに次いで日本が七〇%になるという数字になるのですけれども主税局長はそうならないと言われるのです。これは大蔵省の出された分の計算で言っておるのでありますが、日本小売価格は一キロ当り三十四円、それで税額が十八円三十銭、このDをBで割って五三・八二%になることは大蔵省の出された数字で、それを五〇%と言われたように思いますが、それ自体間違っておる。それで、今度五千五百円上げた分の二万三千八百円で計算すると、二万三千八百円を三十四で割れば七〇%になるわけです。だからイタリアに次いで日本が大きい。すなわち他国よりはうんと高いものへ持っていかれる。半分くらいにされてようよう六二%くらいになって、他のいろいろの国との関係等に見合うものが出ますけれども、五千五百円も上げれば非常に高い。七〇%の数字になるわけですが、この点誤解があっちゃいけませんから……。
  103. 原純夫

    原政府委員 私ども永山さんとの違いは二点であります。  第一点は、小売の価格、私どもはスタンド売りの価格を調べますが、最近の私どもの調べでは、三十六円四十銭程度ではなかろうかということ。そこで、二円四十銭ばかり、おっしゃるのと違いますね。  第二点は、一リットル当り五円五十銭上るわけですが、永山さんは、上っても、三十四円という小売価格は全然動かないという計算をしておられるようです。そういうことはとうていできない。やっぱり上れば上げなければ、それは商売がつぶれちゃうわけですから……。永山さんの数字でも、三十四円に五円五十銭を加えれば四十円くらいになるだろう。四十円になれば、今お話しの二十三円九十銭くらいになりますか。これはもう七割じゃなくて六割になっちゃう。その上元が違うのですから、われわれの方では上っても五七%である、こういうふうに申し上げているわけなんです。
  104. 永山忠則

    永山委員 もう一度この点を解明しておかなければなりません。これは世界各国との比率で言っているわけで、世界各国のガソリン価格というものが算定されておるのですから、日本価格が上れば、よその分もまた価格が異動すべきであります。最近の価格じゃない。当時の価格比率で言っているわけです。そこで、やはり現在の値段で計算をするということでなしに、世界各国の比率の標準というものを参考にして検討を続けるのが至当ではないかと考えるのでございますが、他の質問者があるようですから、数字に対しての質疑は一応終りまして、その他の問題についてはあとで発言をいたしたいと考えております。
  105. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員長代理 中島巖君。
  106. 中島巖

    ○中島(巖)委員 大蔵大臣が見えないのは非常に不満でありますが、大政務次官がおりますので、大蔵大臣と同じつもりで質問いたしますが、少くとも与党の諸君だけは今度のガソリン税値上げ意見統一ができておる、僕らはこう思ってきたわけです。ところが、今の永山委員その他の委員も非常に反対だ。永山委員は、苛斂誅求をきわめるのだ、大蔵省案では、ちょうど自民党が泥舟に乗ったようなもので、自民党が壊滅してしまう、こういう極端な——極端だかほんとうだか知りませんが、御議論をこの席でされたわけなんです。従いまして、政務次官としてはこの議論を通じてどんな感じをお持ちか、この点先にお伺いしたいと思います。
  107. 山中貞則

    山中政府委員 申すまでもなく政党制の内閣でありますから、予算を作りますに当っては十分の経過を経て、前にも申し上げましたように、たくさんの党員でありますし、どの法案、どの措置にいたしましても、全員の賛成というわけにはなかなか参らないのでありますが、最大公約数ということで、基本は道路整備五カ年計画、一兆円の公約でしぼって落ちつけたということであります。ただ、私どもといたしましては、党員全部が御賛成になっておるとはもとより思いません。しかしながら、幾ら自由民主党でありましても、やはり予算が最大公約数できまりまして、国会に提案をされましたならば、与党といたしましても十分議論をお尽しになると思いますが、しかしながらやはり与党としての最終的な良識のある行動をとられるものと思いまして、今後の運用に参考にするために、非常に貴重な御意見として承わっておるという感じでございます。
  108. 中島巖

    ○中島(巖)委員 まあ与党で方針が明らかにきまっても、あなたの言う通り国会の審議過程においてはそれぞれ意見はいいでしょう。私もそれは同感です。しかし、大蔵省案のために自民党が泥舟に乗ったようなもので、つぶれてしまうというような意見が出ると、これは大問題だと思う。しかし、これ以上いろいろ言ってもしようがないから、数字の問題なんかは大蔵官僚その他についてただしますけれども、この状態は大政務次官大蔵大臣とよく打ち合せして、何とか善処していただきたい、こう思うのです。  きょうの午前、午後の審議を通じて、ガソリン税増徴に対するところの大蔵大臣並び政府委員の答弁は、二つの点に尽きておるわけです。つまり大蔵大臣ガソリン税によって道路整備をするについては、アメリカガソリン税によって一三〇%やっておる、つまり道路整備以外に三〇%もよけいにとっておるじゃないか、こういう御議論、それから主税局長も午前の答弁において二つの点を言われておるわけです。その一つはあとで質問いたしますが、一つの点は非常に自動車運送業者が利益を上げておる、こういうことを言われておるわけです。それから道路局長は、道路整備において二千二百何十億かのガソリン、タイヤその他の消耗費が節約できるんだ、こういうように言われておるわけです。そこで、この二つの点について私一々反証をあげたいと思うのです。これは予算委員会において僕も大蔵大臣に質問いたしまして、三つの点をあげましたけれども、これは全く欺瞞的な答弁でありまして、それらを一々ここで克明に私が説明する時間もありませんので、きょうの委員会を通じて、二つの点についてどういう欺瞞であるかということをはっきりと申し上げたいと思うのです。  そこで、自動車局長がお見えのようだからお尋ねいたしますが、アメリカの現在の自動車の保有台数、日本の保有台数、それから人口何人当り自動車が一台ずつあるかというその数字を、お手元に資料があったら御発表願いたいと思います。鉱山局長がおりましたら、鉱山局長には、アメリカの最近でいいですがガソリン年間の所要量、日本の所要量がわかったらお示しを願いたい。
  109. 國友弘康

    國友政府委員 アメリカの一番最近の数字でわれわれの持っておりますのは、一九五八年一月現在でありますので、それに対比いたしまして日本数字を申し上げたいと思うのでありますが、アメリカの小型車を含みます全車両数は一九五八年一月現在で七千百六十三万千六十九両でございます。日本におきますそのときの車両数は、小型車を含みまして二百一万三千三百三十八両でございます。これにはもちろんスクーター等も含まれておるわけでございます。それで、これをそのときの人口数、アメリカでは一億六千八百十七万四千人、日本では九千九十九万、これを車両数で割りますと、一車当りの人口はアメリカは二・四人、日本は四十五人、こういう数字でございます。
  110. 福井政男

    ○福井政府委員 アメリカ自動車用燃料の需給関係でございますが、幸いに手元にただいま持っておりますので申し上げますと、三十年、一九五五年でございますが、これは若干推定が入っているのじゃないかと思っておりますが、約二億キロリットルでございます。五四年を申し上げますと、一億八千九百三十二万二千キロ、これだけがアメリカの国内需要に相なっております。日本の方はちょっと三十年は手元に持っておりませんが、三十一年が自動車用で三百十五万八千キロでございます。三十二年が三百四十七万六千キロでございます。
  111. 中島巖

    ○中島(巖)委員 それで、大蔵大臣の答弁は、とにかく道路整備費に対して一三〇%アメリカではとっているのだ、従って日本では一〇〇%とってもいいとは言わないけれども、いいじゃないか、こういう口吻だった。そこで、今の政府委員からの答弁は、皆さんお聞きの通り車両数において日本は二百一万だし、アメリカは七千百六十三万だし、それから人口当り日本は四十五人に一台だし、アメリカは二・四人に一台、車両の数とガソリン消費量が正比例するとは限りませんけれども、結局二・四人に一台持っておるアメリカと、四十五人で一台持っておる日本と比較すると、約二十倍という数字になるわけです。ガソリン使用量も、今鉱山局長さんから答弁があったように、日本は三十一年でさえ三百十五万キロリットル、アメリカは二億キロリットル、こういう数字から考えれば、現在の二十倍近く今の税率でいけばガソリン税が上るわけだ。実に大蔵大臣の詭弁の答弁というものはこの数字ではっきりおわかりでしょう。こういうふうに私は考えるわけです。これは大政務次官から大蔵大臣によくお話し願いたいと思う。  そこで、今度は、道路がよくなれば非常に自動車業者が得するじゃないか、二千三百何十億得するじゃないか、こういう数字道路局長はお示しになったわけだ。そこで道路局長に質問いたしますが、舗装して初めて完全な道路になるわけなのであります。私が見たところでは、その舗装の以前に、側溝だとかなんだとか道路改良をしなければならぬ。道路改良を一年やって翌年舗装というのが通例だと思うのです。そこで、ただいま申し上げたような方法でやっているのか、あるいはその他の方法でもやるとすれば、それを二カ年でやるのと、あるいは一年でやるのとは、どんなパーセンテージになるか、この点をお尋ねしたい。
  112. 佐藤寛政

    佐藤(寛)政府委員 お答えいたします。道路工事を実施いたします際に、まず新しく用地を獲得し、盛り土あるいは切り取りをし、諸般の基礎工事を実施いたしまして、そして路面舗装工事を実施するわけでございます。通常二年程度でやる場合が多かろうと思います。しかしながら、近ごろは、なるべく実施しておりますところはできるだけ早くまとめるようにいたしておりますが、ことに現在自動車の交通に使っておるような道路に着手いたします場合には、あまり工事区間を一ぺんに広げませんで、工事に着手するところをできるだけ短期間にまとめるようにいたしておりますから、そういうふうに路床工事と路面工事と二カ年かかる場合にも——掘さくしておるようなときは別でございますけれども、一応路床工事を終えまして、路面工事にかかる場合におきましても、そうひどくないようにするように指導をいたしておるわけでございます。しかしながら、今先生の御質問のように、パーセンテージでどのくらいということは、ただいま数字を持っておりません。
  113. 中島巖

    ○中島(巖)委員 ただいま道路局長からも答弁がありましたが、わずか千メートルくらいな道路改良でも、一年において側溝をこしらえるとかなんとかして改良工事をやるのです。そうして翌年において舗装をやるのです。従いまして、道路整備五カ年計画はあと四年でしょう。四年のうちのあとの一番大量にやる二カ年間は、自動車業者にとって何にも利益がない。利益がないばかりじゃない。さんざん掘り返されて、とんでもないえらい目にあう。前二カ年間が若干利益があるにいたしましても、あと四カ年の最後の二カ年間は、道路改良の掘り返しのためにさんざんひどい目にあっただけで、少しも使えない。こういう数字を考えてみますれば、確かにでき上ったのはプラスがあるけれども道路改良をやっているうちは、自動車業者こそとんでもない被害者なのだ。従って、プラスになる面とマイナスになる面と両方プラス・マイナスしたらどんな数字が出るかというと、これは正確な数字はだれも持っておらぬでしょうが、おそらくマイナスになる面の方がずっと多い。整備したあとにおいては非常にプラスになる。これはよくわかっておる。そこで、これは政務次官にお尋ねしますが、この道路整備の緊急性ということはわれわれもわかっておって賛成いたします。賛成いたしますけれども、今申しましたようなわが国の産業基盤の基礎を強固にするための道路整備政策であって、これは総理の施政方針演説でわかっておる。われわれもそう思っておる。従って、これによって日本のあらゆる産業が盛んになってくる、そうして大きな国の将来に対する資産というものをここに残す、こういうことについてのお考えはどうか、この点一つお伺いしたい。
  114. 山中貞則

    山中政府委員 たびたび申しておりまするように、国の経済の基盤の強化に資するための基本策の一つでございまするから、これが逐次完成を見るに従いまして、国の経済基盤の強化、ひいては国の経済の飛躍的な発展に大きく寄与すると考えております。
  115. 中島巖

    ○中島(巖)委員 ちょっとくどいようだが、そこをさらに重ねて質問いたしますが、将来に大きな国の財産を残すのだ、こういうお考えは持っておるかどうか。
  116. 山中貞則

    山中政府委員 御説の通りでございます。
  117. 中島巖

    ○中島(巖)委員 そこで、政務次官に申し上げますが、とにかく日本の産業の基盤をここに作って、将来永久に大きな国の財産を残すのでしょう。こういう観点に立って、この苛斂誅求をきわめたところの悪税でもって、一番弱い業者から今一ぺんに取り上げるというこの政策は間違っておるのではないか。従って、将来大きな財産を残すのであるから、何か財政投融資をぶち込むとか、あるいは公債を発行するとか、あるいは外資を導入するとか、こういうような手だてを相当講じていくべき性質のものではないか、こういうように考えるのですが、これに対するお考えを承わりたい。
  118. 山中貞則

    山中政府委員 大体そういう伏線のある御質問だと考えておったのでありますが、予算を編成いたしまする過程におきましては、御指摘になりましたような財源補てん等についていろいろと議論が取りかわされました。御指摘の通り、後世長く残り、数十年にわたってその効果の期待できますような鉄道、道路、その他の港湾等の工事をいたしまする際に、当然考えられまする一つの政策としては、その年度限りの納税者あるいはその年度関係のあるものの納税金というものだけでそういう工事をすることなく、後年度長きにわたって償却できるような公債等の発行をしたらどうか、という意見も有力になるのであります。ことしでもそういう論が非常に強く推進をされて参ったという過程もあるのでありますが、国税全般の財政金融の状況から考えまして、ことしの予算編成の際には、公債発行に踏み切ることについては、なお諸般の状況から見送った方がいいだろうという意見等が支配いたしまして、結局検討の材料とはいたしたのでありますが、ただいま御指摘のような結果の措置をすることに最終的にきめたのであります。
  119. 中島巖

    ○中島(巖)委員 そこで、大蔵事務当局にお尋ねいたしますが、これはむしろ地方庁関係のものではあるけれども、当然これは大蔵省が参画して立案したものだと思うのです。そこで、昭和三十三年度におけるところの道路事業、つまり国が負担する、補助するところの地方負担は総額で二百九十一億である。それに対する財源は、譲与税において百四十八億、軽油引取税において百三十六億、交付公債において七十五億、こうなっておりまして三百五十九億になりまして、差し引きして六十八億という余剰財源を地方庁に与えてあるわけです。それで建設委員会においてこの間質問をしたのでありますが、建設省としては、地方庁の問題であまりこまかいことがわからないというのが言い分なんです。それで、軽油引取税引き上げせぬでも、全額地方負担財源をこれでまかなってしまっても、なおかつ二十六億もの余剰金が出ておる、従って、こんな無理して軽油引取税を上げなくてもいいというふうに思うのですが、大蔵事務当局のお考えはどうか、この点を伺いたい。
  120. 佐藤一郎

    佐藤(一)政府委員 お答えいたします。ただいまのお話でございますが、純地方費におきまして、三十四年度において、これは分担金を合せて二百九十四億、そのうち純地方費と申すのが二百十九億でございます。それに対しまして、三十四年度の特定財源というものは、地方道路譲与税百四十八億円、軽油引取税が百三十六億円、これには四十二億円の増税を含んでおるわけであります。それに交付公債で七十五億円、これは見合っておるわけであります。これにはただいまの数字はいわゆる地方単独の数字が抜けております。それからこれは特別財源との見合いだけで申しておるのでありまして、地方全体のバランスというものはくずれておらないと考えております。
  121. 中島巖

    ○中島(巖)委員 質問の要点は、今お話しになったように地方負担が全額で二百九十一億なんです。そこへ三百五十九億もの、ただいま局長が言われたような各種の財源を与えてあるのです。そうすると、全額地方負担をまかなっても、なおかつ六十八億も余るではないか。これが一点と、こんな無理をして軽油引取税を上げなくても、なおかつ二十六億も余るではないか、なぜこんな無理をして軽油引取税を上げるのだ、これが問題の要点なんです。
  122. 大村襄治

    ○大村説明員 ただいま三十四年度の道路整備関係の地方負担のお尋ねでございましたので、御説明申し上げます。三十五年度の道路整備計画関係の地方団体の負担額は、国の補助事業に伴います地方団体の負担額が二百九十四億円でございますが、そのほかに地方団体の単独事業として二百五十二億円の負担が予定されております。これは、五カ年計画全体で、補助事業関係のほかに地方団体の単独事業が千九百億あります。それの三十四年度分が三百五十二億円予定されておりますので、両者を加えますと六百四十二億円の負担と相なります。それに対しまして、現行の税制で見込みます地方の目的財源が、地方道路譲与税におきまして百四十八億円、軽油引取税で九十五億円、その他四百三億円、これが目的財源以外の一般財源でまかなえるという状況でございますが、政府提案の軽油引取税の四千円の引き上げによりますと、軽油引取税が百三十六億円と相なりますので、その関係上、その他の目的財源以外の財源でまかないますものは三百六十二億円となる見込みでございまして、結論といたしまして、軽油引取税を四千円増額いたしましても、地方団体といたしましては、三百六十二億円という一般財源を充当して、この国策に協力いたさなければならぬ。こういうふうな見込みに相なっております。
  123. 中島巖

    ○中島(巖)委員 そうしますと、今の自治庁の答弁は、国の事業に対する負担額はもちろんのこと、そのほかいわゆる地方庁が単独で行うところの道路整備五カ年計画の千九百億円に対する予算に充当するのである、こういう答弁ですね。そういたしますと、交付税法によりまして、これは私が申し上げるまでもありませんが、酒税、法人税、所得税に対しまして二七・五%、今度改正案が出て二八・五%というものを交付税として地方へやるわけになっておる。地方としては、道路なんかに対しては、基準財政需要額と基準財政収入額とを見計らって、その額によって補助することが建前になって、法律にも一平方メートル幾らということがちゃんと載っておるわけなんです。その関係はどうなるのか、それが一点と、時間がないので一緒に質問いたしますが、昨年度、一昨年度において財源が若干地方庁負担道路整備に対しても回っておるけれども、ことしに限ってとんでもなく大幅に増額しておる。この数字はむしろあなたの方でおわかりだと思う。こういうことをして無理に軽油引取税を上げぬでもいいんじゃないかというのが、私が質問せんとするところなんです。今の二点について御答弁願いたい。
  124. 大村襄治

    ○大村説明員 お答えします。まず、地方交付税の点でございますが、お尋ねのように、今回一%増額されることに相なっておるわけでございますが、これによりまして地方に対して交付される交付税額がふえます分は、地方のもろもろの財政需要の増加に見合って配分されるわけでございますので、もちろんその一環としまして道路費も対象になるのでございますが、その増額分が全部地方の道路負担の増高に振り向けられるということではないと考えております。しかしながら、従来、地方団体におきましては、この軽油引取税あるいは地方道路譲与税以外のいわゆる一般財源を、三百億円を下らざる額を投入して、今後におきましてももちろんその投入は維持する考えでございますので、今回の交付税の増額とも相待ちまして、そういった点がささえになるわけでございます。それだからと申しまして、従来の目的財源税率を上回って、新たに増強されました政府計画を達成するという見通しもつかぬわけでございますので、軽油引取税につきまして今回若干の増額をお願いするようにいたしたのであります。
  125. 中島巖

    ○中島(巖)委員 この問題を突っ込んでいけば幾らでも質問をしたいのですが、要するに、私の言わんとするところは、旧来の財源から見ますれば、本年は地方負担を全額まかなっても、なおかつ六十何億という金を地方へやってしまうのだ、それに対してはいわゆる地方庁の道路整備があるからだというお話でありますけれども、これは交付税法によって、それらに対する国の補助と申しますか、交付金の規定がそれぞれ定められているわけなんです。従って、過去にやってきた程度のものは認めるにしても、本年大幅に、何も地方庁の道路整備にまでそうたくさん投入する必要はないのじゃないか、何も軽油引取税を増額しなくても、十分できるだけの財源があるじゃないか、こういうことを申し上げておるわけなんです。  そこで、もう一点だけお尋ねしますが、軽油引取税は御承知のように都道府県の収入になるわけです。そうすると、たとえばこの付近で言ったら東京都と埼玉県、中部地方で言えば名古屋市と岐阜県、どうしても港湾の設備のあるところから非常にたくさんの引き取りがあるわけで、岐阜県などは愛知県に比較して非常に少いと思う。従って道路整備事業費とは比例しておらないわけであります。こういうものはあなたの方ではどういうところで調整しているか、その点をお伺いしたい。
  126. 大村襄治

    ○大村説明員 お答え申し上げます。  まず、地方団体の道路事業費の負担額が、すでに三十三年度におきましても五百四十億円に上っておるわけでございます。そのうち地方道路譲与税、軽油引取税でまかなわれております分は、三十三年度におきましては二百四億でございまして、地方の道路負担の四割程度でございます。  この配分のやり方でございますが、地方道路譲与税の方は揮発油と合せまして国で徴収しましたものを、大体道路の面積によって按分されているわけでございます。軽油引取税の方は、徴収した団体の収入になるわけでございますので、ただいま御指摘のありましたように、取引が多く行われる方の税収が比較的多い傾向があるわけでございます。  この地方道路譲与税と軽油引取税を合しました分の団体別の傾向を二、三当ってみましたところ、昭和三十二年度の実績におきましては、いわゆる六大都市所在の府県の収入と、その他の府県の収入の割合が、大体を申し上げますと、四分の一と四分の三というような状況になっております。この二つの税の収入の四分の一が六大都市の所在の府県の収入となって参る。四分の三がその他の府県の収入となります。ところが、三十三年度の道路橋梁費の決算における地方団体の負担額の今後の割合を見ますと、ただいま申し上げました六大都市の所在する府県におきまして二割八分、その他の府県で七割二分ということでございますので、二つの税の配分の歩合と実際の道路橋梁費に充当される財源の歩合とは、おおむね同じような状況に相なっているのじゃないかと考えております。
  127. 中島巖

    ○中島(巖)委員 時間もおそいし、皆さんにお気の毒でありますから、これ以上質問は差し控えることにします。  そこで、大蔵当局に一点だけお尋ねいたしますが、質疑応答でもっておわかりだと思いますけれども、地方負担が二百九十一億要るところへ、三百五十九億の財源処置をしてあるわけなんです。これは地方道路譲与税、揮発油譲与税、それから軽油引取税がおもなものでありますけれども道路整備臨時措置法でもって本年度四分の三補助するということで非常に問題になったわけです。そんなことをしなくても、これを国税でもって吸収してしまえば、四分の三だとか、四分の二とかいってもまなくても、道路整備費の全額を国が持つことができる。さらに、その余った金は、それぞれ地方の道路に対して、ことしの計画でいうと約二五%の補助ができる。しかも、ただいま申しましたように、軽油引取税道路整備とはマッチしてはおらぬのです。こういうようなところを地ならしする意味においても、この方が適当だと思いますが、そういうことを検討したことがあるかどうか。これは事務当局でけっこうですからお答え願います。
  128. 原純夫

    原政府委員 まず国の行います、あるいは補助で行います分の地方負担に比べては特定財源が多い。しかし、地方の単独事業を入れますと、地方は道路のために相当費用を使っているわけです。これは今るるお話があったわけです。道路関係では地方は特定財源をもらっているけれども、総体としてはずいぶんがんばってやっておられると思います。従って、その点をちょっと申し上げておいて、あと道路の特定財源をどういうふうに地方団体相互の間に配るかというようなことについて、一例として全部国で取るというお話がありました。お話は、何も軽油だけでなく、地方道路税も含めてのお話になると思いますが、これはいろいろな角度から検討がいると思います。過去においてもずいぶん議論はされた問題であります。簡単に言いまして、一つにはやはり全額国費でやれ、少くとも一級国道は全額国費でやれという御要望があったことがあります。その辺は、現在の直轄事業は地方の負担はありますが、それでもとりあえずは地方は金が要らぬというようなことから、何と申しますか、やはり地方の道路でもあるということから、地方が相当要望して、全部国でやってもらおうということになると、地方の負担がない。その辺の価値判断というものが、地方団体としての価値判断がなくなるというような議論が実は伝来あるのです。この辺は両面の議論があると思います。  その次に、資金を一括してしかるべき基準で地方に渡して、そうして負担させるにしても、渡したその中から負担するというやり方もあるわけで、それは例の軽油引取税を国税に移管したらどうだという議論が一昨年の増税の際もあったと記憶いたします。これは今お話の出ましたような港のある県でよけい取るとか、そうでなくても大きな中心になる県で取ってしまって、使う車は隣や、だいぶ遠くの県を走っておると、その県には一向税金が入らぬというお話もありましたし、あるいはまた例の免税で非常にこれがかかるということで、これはいろいろ研究いたしましたが、しいて変えるまでのことはなかろう、もちろん変えるのも一つの案ですが、しいて変えることはなかろうというような程度の議論が一昨年あったように記憶いたします。
  129. 中島巖

    ○中島(巖)委員 非常に答弁がすっきりしないで、あいまいである。ただ、答弁のポイントのところは、いろいろの事情がありますがというところだけだと思う。そのいろいろの事情というのは、大蔵省と自治庁の関係だろうと思うのですが、答弁が非常にはっきりしない。納得できないのです。  そこで、これは答弁は要りませんが、申しておきますが、地方負担分が五カ年計画で千四百七十四億、これに対して財源が千九百六十六億、差し引いて四百九十二億、全額地方負担を見てやって約五百億という金が余るわけである。従って、これを国に吸収して、現在の補助事業は全額国で負担する。このように、四百九十二億というものは地方の道路に対して何パーセント補助するのだ、こうすれば非常にすっきりするじゃありませんか。これは、頭のいい原局長が非常にあいまいなすっきりしない答弁をして、いろいろな事情があるということですから、そういうふうに了承しておくことにいたしましょう。  そこで、今申しましたように、何も軽油引取税値上げをしなくても、旧来の地方道路に対する補助の率は十分いくのだから、何もこんな無理をして苛斂誅求をきわめるところの軽油引取税値上げをしなくたっていいという結論が出るわけです。これはいずれの面から見ましても、与党からもあれだけのいろいろなきびしい批判がある。今度の一兆円予算についても千億上げたのであるけれども、その財源は、先ほども大蔵大臣に申しましたように、揮発油税増徴によって一千六十八億、軽油引取税の今度の増徴によって二百十九億、計一千二百八十七億というものを、一兆円予算にしたために、ガソリン軽油に持ってきてぶっかけた。従って、九千億予算を一兆円にしたけれども、その内容は一千億をまるまる自動車業者にぶっかけて、その横になおかつ二百八十七億というものを古い九千億予算に入れるという悪法なんです。従いまして、これは与党からも反対があり、こういうように数字的なものから見ましても、先ほどの大臣の答弁に対する私の反駁資料から見ましても、道路のために利益が上るという、この四カ年間利益がむしろこれはマイナスであるということが、この質疑応答の中ではっきりしてきたわけです。しかし、すでに衆議院予算を通過したので、予算の総額においてはいじることはできないであろうけれども、たとえば本年度百億を例の経済基盤強化資金から出して、これを盛んに自慢にしているわけだが、この百億の中の五十五億というものは、日本道路公団と現在法律のかかっている首都高速道路公団の二つにやってしまうわけだ。しかし、この公団は法律でもって幾らでも借り入れができるわけです。従って、この五十五億でもガソリン税増徴の中へ持ってくれば、三〇%近く今度の増徴を減額できるわけです。その他にも持ってくる財源はあるでしょう。従って、少くともこの軽油引取税は半額、そして揮発油税は一キロリットル二千五百円ないし三千円程度にとどむべきものである。これは全廃すべきが私は理論的には当然だと思いますけれども、現在の情勢ではそういうことはできませんが、今言う内容の修正程度ならできるのであるから、これはぜひやってもらいたい、こう考えるわけでありますが、政務次官政府の所信をただしたいと思います。
  130. 山中貞則

    山中政府委員 もちろん国会は最高の議決機関であり、その権能において決定されましたことには政府は従って参らなければなりませんので、国会において意思をおきめになることについては、政府といたしまして賛否の意見を述べる以外に方法はないのであります。しかしながら、私どもといたしましては、提出いたし、参議院に参っておりまする予算の根拠ともなるものでありまするし、またそれに従っての計画を事業量、年次その他定めておりますので、私どもといたしましては、原案通りの通過をお願いしたいと考えております。
  131. 中島巖

    ○中島(巖)委員 今の政務次官の答弁は、岸さんによく似てそつのない答弁で、それ以上のことは期待できぬわけだ。どうしてもそうすることが、これは自民、社会両党を問わず、国民の納得できる線で、総予算をいじらなくても、内容によっていじられるわけですから、ぜひそう御配慮を願いたい。  そこで、ガソリン税問題についてこれ以上質疑をしても同じでありますからやめますけれども、一言これは政務次官に言っておいて、それから大蔵大臣、総理とも御研究願いたいと思うんです。つまり、道路整備の緊急性、これはおととしワトキンスを招聘して調査して、報告書その他によってはっきりしてきている。われわれの全部望むところだ。従って、これに対して自民党は九千億予算を一兆円予算にしてアピールしたわけだ。これはいいと思う。ところが、その内容に二つの重大な欠陥がある。その一つは、先ほどから討論しておる通り、その財源を、いわゆる自民党が公約しておる減税とは反対に、この二百三十何億という大増税をやって、弱いところの自動車業者にぶっかけてしまうという、いわゆる財源に対する点が一つ。もう一つの点は、これだけの予算をかけてやるんだから、つまり日本の産業経済と申しますか、産業構成というものは、東京都であるとか、あるいは名古屋であるとか、福岡であるとか、一部に固まってしまって、つまり東京都だけで九百万というような世界一の人口になってしまう。これは非常なちんばの、日本の産業構成の上から見ても、あらゆる面から見ても、実に憂慮すべき事態である。この産業構成を日本全体に普遍化するにはどうしたらいいか、人口もやはり普遍化するにはどうしたらいいか、そうして生活領域を拡大するにはどうしたらいいか、こういうようなことを政治家としてはどうしても考えなければならぬ。そういう観点から、交通政策、つまり交通上の関係でもって、現在のようなおそろしい片ちんばな産業構成になっておるのを何とかしなければならぬ。こういうことを道路政策の基本に織り込んで、そうして現在の悪い道路を直すと同時に、一面そういうような先行性のあるところの道路政策をとらねばならぬと思う。ところが、実態はどうであるかと申しますと、一兆円予算は自民党の諸君が盛ってくれたけれども、その内容はむちゃくちゃな公団ばかり作って、観光道路みたいなものに力を入れておって、そうして役人が退職したときの口探しのような公団ばかりたくさんこしらえて、乱費されてしまっておる、ただいま言ったような目的へちょっとも進んでおらぬ、こういうことを私ははっきり自信を持って申し上げるわけです。従いまして、これらの点についてもあわせて考慮願い、そして今議題になっておる問題についても十分な考慮を願って、相当の修正をしていただきたい、こういうことを希望いたしまして、私の質問を終ることにいたします。
  132. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員長代理 中島君に申し上げますが、相当論議を続けられましたし、まだ残っておるそうでありますけれども、時刻もだいぶ経過いたしましたので、他の大蔵あるいは運輸委員会等において御質疑を願うことにして、きょうはよろしゅうございますね。  それでは連合審査会はこれをもって終了いたします。  本日は、これにて散会いたします。     午後五時十四分散会