○西原説明員 最近と申しますか、ここ一年くらいの株の動向、その
原因等についてのお尋ねでございますが、株は昨年の六月ごろに平均のダウが五百七十四円ということでございましたが、ことしの一月早々の平均ダウ指数が六百七十一円くらい、ごく最近、九日には八百十四円というふうに上ったわけでございまして、その間株価の自律調整とでも申しますか、反落も見られましたが、ここ一月くらいをとってみますと、ほぼ上げ続けの様相を呈しております。御指摘のように、全体として考えてみますと、テンポは少し急速に行き過ぎているような観がないでもないというふうに考えられます。このような株価の上昇の結果、株式の利回りということをやはり問題として考えなければならぬかと思いますが、その利回りの水準が、たとえば東証の二百二十五種の予想平均利回りということでとってみますと、ことしの初めが約四分八厘でございましたが、この六月八日の
数字で考えてみますと、約四分二厘くらいの利回りに下りてきているわけであります。従いまして、株価と申しますか、株価の位置自身が、いろいろな一般の金利と比較いたしまして、なかなか高水準にあるというふうに考えられるわけでございます。
このような株価の強調のおもな
原因につきましては、世間でいろいろと議論があると思いますが、一般的に考えてみますと、国際収支が過去一年非常によく続いて参りました。そういう面も特に基調といたしまして、日本経済自身として一般的に明るい
見通しがある。これは今横山先生からいろいろ御指摘がただいまあった通りでありまして、国内的に考えてみますと、特に株のもとであります会社の企業のこの三月の決算が予想よりも非常によかった。さらに現在経済は上向きの
状況でありますので、九月期の業績もあるいは一そうの伸びが見られるのではなかろうか。そういうようなことがやはり国内的には一般に基調になっている。また、国際的に考えましても、世界経済の動向は昨年の暮れくらいから上向きに転じてきておりますので、そういうような点で株価というものは最近一般的に強調を呈しているというふうに見られるわけであります。
こういうことに対しまして、政府といたしましても、この株式市況の動きについて手放しで楽観しているものではございません。できるだけこの株価の公正な形成、それから円滑な流通、投資者保護という観点に立ちまして、証券市場の健全な動きがあるように念願しているのであります。いやしくも人気的な要素が一部にでも起りまして、ひいてはこれが累積的に過当投機化と申しますか、そういうようなことにでもなるような傾向がないように、厳に慎しまなければならないと考えております、このような意味で、
当局といたしましては、今後の市況の推移並びに投資家の動向について、重大な関心を持って注視している次第であります。
そういうようなことで、私
どもとしては、一般投資家といたしましては、この不安定な短期資金によって投機的利潤を得ようとするような態度をなるべく控えると申しますか、決してそういうことをしないようにしていただきたい。どこまでも自己の責任と判断で、安定した資金で長期投資を行うという態度を堅持してもらいたいというふうに考えております。事実、株は一般の投資家が投資として買われるものでありますので、一般投資家のそういうような健全な考え方ということを、非常に私
どもとしてお願いしたいというふうに思っております。それから、この仲立ちをいたしますと申しますか、証券業の
方々に対しては、結局投資家に株式の勧誘をするという立場にあるわけでありますので、このような
事態を十分認識していただいて、健全な市場秩序の維持に心がける、また一般投資家の堅実な投資を勧奨するという、そういう勧誘と申しますか、勧め方をしてほしいというふうに考えているわけであります。
なお、証券市場の基本的なあり方につきましては、事実問題として、
一つは株が絶対的に
需給アンバランスであるというような点もあるかと思います。そういうような点で、企業の自己資本の充実とか、あるいは一般投資者の保護を一そう徹底するためにとるべき方策などについて、もう少しよく
調査審議するようにしたいと思います。近く証券取引審議会を再会することにいたしたい考えでございます。
概略でございますが……。