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横山委員 ただいま議題となりました
揮発油税法の一部を
改正する
法律案につきまして、
社会党を代表して
反対の
意見を表明いたしたいと思うのであります。
もう本
委員会で何回も議論を重ねて参りましたから、同僚の
諸君は十分御存じでありましょうから、多くを申そうとは思いませんが、一番やはり問題となります点は、
委員会の
審議で明らかになりましたように、過ぐる十カ月前に、私どもが、イデオロギーの違い、党派の違いはございましょうとも、減税を約束してきた。この間も減税をすると約束はしたけれども、減税をしないと約束した覚えはないかのごとき
意見をなさった方がありましたが、これは選挙民を愚弄するもはなはだしい話であります。当時、与党並びに
政府は道路をよくするという公約をなさった。しかし、もし増税をするとなれば、道路をよくいたします、ただし
ガソリン税はこれだけ増税いたしますということを天下に明示されて、初めて私は良心的な公党であるということができようかと思うのであります。いわんや、この
ガソリン税は、今回一キロリットルについて一万四千八百円から一挙に五千五百円引き上げ、二万三百円にしようとするものでありまして、全くの大増税であります。こういう大増税というものが、減税公約、減税公約、公約の実施、公約の実施と言っておるかたわらに、
国会なりあるいはまた国民の中を横行をいたしますならば、民主政治というものは何をもって主権者たる国民に約束をすることができるのでありましょう。民主政治は主権者たる国民になさんとする政策をよきにつけあしきにつけ訴えて約束をし、これを正しく実行するところにあるのでありますが、今の岸内閣はそうではありません。選挙で約束したことについては、なるべく形だけは整えて、実際は適当にごまかせないものかときゅうきゅうとし、そうして約束をしなかったことに主力を集中して実行をしようとしておるのであります。早い話がそれは警職法であります。そうしてまた、この
ガソリン税法案であるのであります。私は、このような
ガソリン税につきまして一番基本的に
反対するゆえんのものは、実にその
意味で民主政治の名において
反対をするのでありますし、岸内閣の国民と政治に対する不誠実きわまりない態度に対して
反対をいたすのであります。
本来、この増税は、道路整備財源確保の必要からというようにいわれております。けれども、実際問題として、二十九年以来
ガソリン税あるいは地方道路税あるいは軽油引取税を、減税の時代に毎年々々増税はいたしましたものの、実際に果して道路がよくなっておるものであるかどうか。またかりに受益者がこれを負担するからといって、税金を出す人と受益者というものが現実に一致しておるものであるかどうか。思いをここにいたしますならば、これはとうてい説得力を持つ話ではないのであります。これは小学校の子供も知っております。かさというものは天から降ってくる雨よけに上にさすもの、自動車が通ったらはねを飛ばされないようにかさを横にさすものと、二つの
意味があるものと思っている。風が吹けば砂漠の野を彷徨するがごとき黄塵におおわれる。そういうような道路の状況の中で、この税金を取ったならばたちまち道路がよくなるがごとき幻想を抱かせつつ、こうして三割の大増税を行わんとするがごときは、許すべからざることといわざるを得ないのであります。
道路は、言うまでもなく国の産業の動脈であり、道路をよくすることは国家の長期
経済計画の一環として行われるのでありますから、何もひとり道路利用者、しかもその中の自動車
関係の人々のためにのみ道路がよくなるのではないことは言うまでもないことです。そういうようなことでありますのに、今回こういう大増税が行われるということは、いわゆるあなた方の言う受益者の今の状況について
政府の認識が不十分であるか、あるいはまた
反対運動が大きくならないだろうと甘く見ているかどちらかでありまして、要すれば弱い者に対してはずうずうしい
政府の考え方が如実にここに現われていると私は思うのであります。港湾の拡張は何の金でまかなわれています。飛行場は何の金まかなわれています。ひとり
一般に開放されておる道路の整備ばかりが、ガソリンの目的税で、お前が通るんだからお前がまかなうべきだといって行われるということについては、どうしても納得がいきません。私はけさほども申したのですが、もしも増税をされるというのであるならば、これに匹敵する以上の
一般財源からの投入があって、初めてこの
関係の人々に対する説得の力を持つでありましょうのに、
昭和二十四年を例に引いてみますと、実に九百九十一億の中に
一般財源はたった百億にしかすぎないのであります。全く圧倒的な数字がその目的税であり、受益者と称せられる人々の負担であるということは、これは考え直しをどうしても要求せざるを得ないところであります。
本来、
政府のうたい文句は、
中小企業のための減税であり、
中小企業の擁護という政策にございましたが、今回の初年度百九十三億を一体だれが負担するかと問い詰めてみますと、結局ハスの業者、タクシー、トラックの業者ないしはそこに働いておる人、しかも他の半数以上は左官屋さんとか、あるいは八百屋さんとか、げた屋さんとか、三輪トラックを主人が自分で運転して飛び回るような零細
企業者に、おそらく年一万一千二百五十円と私は推定をいたしておりますが、このような増税をもたらすことになるのです。そういたしますと、どんなに
政府が法人事業税ないしは個人事業税をまけてやったと呼号いたしましょうとも、結局これに匹敵する以上の増税がこの側から行われておるのでありますから、これは問題にならぬところであります。また、
政府側が口をからして言いますのは、
ガソリン税は外国と比べて安いのだ、こうおっしゃるけれども、金持ちと貧乏人との持ちものを比較するようなことをしてはなりません。金持ちの所得と貧乏人の所得との相対的な比率の中で議論をしなければならぬわけでありますから、単純計算で比較をして外国よりも安いと言うがごときは、これは人を瞞着するもはなはだしいことであります。従いまして、もしも
政府がこの税金を単純比較をするというのであるならば、それでは国民の生活水準を比較してものを言ってもらおうではないか。賃金水準も雇用水準も、あらゆる点で外国と同じようにしてくれたならば、おそらくや受益者の
諸君、課税をされる
諸君も納得するでありましょうのに、税金を取ることだけ単純比較をされるということは、言語道断のことではないか。こういう理屈をなさるといたしますならば、将来必ずやあなた方が同じ理届で私どもの追及にあって顔面を赤らめられることが起ると私は思うのであります。従いまして、この理論もまた納税者に対する説得力を持ってはおりません。
最後に、私が
指摘いたしたいのは、
国会と与党の
責任の問題であります。
国会は、過ぐる
国会も、その前の
国会も、毎年々々
ガソリン税について慎重な討議をいたしました。あるときにおいては否決もいたしましたし、あるときには
修正もいたしました。そして両院において附帯決議が行われました。衆参の運輸
委員会でも、あるいは本
委員会でも、附帯決議ないしは
大臣の
答弁を通じて、これ以上は増税をしないと言われましたし、あるいはまた
一般財源からこれ以上の投入をするという約束もいただいているはずであります。それにもかかわらず、それは全く無視されて、堂々と百九十三億の増税がまかり通っているわけであります。今日の政権のバック・ボーンとなっておるべきはずの与党内でも、三十二年の一月に、揮発油税に対する課税は若干引き上げるが、別途これと同額以上を
一般財源から支出するものとの決定を、与党の政調と税制改革特別
委員会でなされているのでありますが、一体与党としてその
責任をどういうふうにお考えになっていらっしゃるのか。それから、昨年から今日にかけて、聞くところによりますと、三百数十名の与党の議員の諸公が
ガソリン税の増税に
反対する署名をなさったそうであります。私はこの人々の良心とその人々の政治的
責任を聞きたいくらいな気がいたします。今回のこの原案がそのまま通過するに際して、
佐藤大蔵大臣の身辺に対する疑惑なり、過去の行動に対する疑惑が集中しているところも、結局は、この増税というものに無理があり、そして世人をして納得せしめないところに問題の根本があると、私は考えるわけであります。本
委員会が呼びました参考人
諸君の
意見をここで再び詳述することは省略いたしますが、かりにあのときにたった一人の
賛成者というべき大学教授においてすら、この
一般財源の投入では苛酷過ぎるという
意味で、この
一般財源の投入をさらに倍額以上にすべきであるといって、条件付な
賛成であった。けれども、結局その条件は満たされないのでありますから、あげてこれに対して
反対をしたと考えるべきでありましょう。そう考えて参りますと、だれ一人も
賛成をせぬ。今ここで採決するに当って、手をあげよう、
賛成をなさろうとする与党の
諸君それ自体が、
反対の署名をなさった方々が多いのでありますから、一体この
法案は何を
意味するのであるか、何をもたらそうとするのであるか、これは私はまことに不可解なことだと思うのであります。
かてて加えて、先ほど午前中に追及をいたしましたが、原局長のお答えによりましても、三十四年から三十七年におけるその間の課税、消費見込みにつきましては、いろいろな疑問がございます。こういうような徴税当局の
立場に立つ数字の見込みというものが、一体何を
意味するものであろうか。その
質疑応答の中からいっても、私どもは増税の必要はないという
立場に立っておるのでありますが、かりに増税を必要とする
立場に立っても、この数字は納得がし得ないものであります。巷間新聞の伝うるところによりますと、本案は、参議院に行って
修正をされるかもしれないという話がございます。一体どういう政治的な配慮であるか知りませんけれでも、またどこから流れた話であるか知りませんけれども、私どもは、何も衆議院だから参議院だからということを言うわけではありませんが、
政府にしろ、与党にしろ、いささか良心的な
気持がありといたしまするならば、これは
一つこの際率直に、正正と、本案についての再検討をなさることこそ、私は必要なことだと痛感をするわけであります。
以上、いろいろと申し上げましたが、この
法案というものは、かつて本
委員会で私が討論に立って申しましたように、ごうごうたる国民の
反対と今後の問題を含んでおることをつけ加えまして、
反対の討論を終ることにいたします。