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1959-03-25 第31回国会 衆議院 大蔵委員会 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年三月二十五日(水曜日)     午前十一時二十六分開議  出席委員    委員長 早川  崇君    理事 足立 篤郎君 理事 押谷 富三君    理事 小山 長規君 理事 坊  秀男君    理事 山下 春江君 理事 石野 久男君    理事 佐藤觀次郎君 理事 平岡忠次郎君       奧村又十郎君    加藤 高藏君       鴨田 宗一君    小西 寅松君       進藤 一馬君    田邉 國男君       竹下  登君    西村 英一君       濱田 幸雄君    福田  一君       福永 一臣君    細田 義安君       毛利 松平君    山本 勝市君       石村 英雄君    春日 一幸君       久保田鶴松君    竹谷源太郎君       廣瀬 勝邦君    松尾トシ子君       山下 榮二君    横山 利秋君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 佐藤 榮作君  出席政府委員         大蔵政務次官  山中 貞則君         大蔵事務官         (主税局長)  原  純夫君         国税庁長官   北島 武雄君  委員外出席者         議     員 平岡忠次郎君         大蔵事務官         (主税局税制第         一課長)    塩崎  潤君         大蔵事務官         (主税局税制第         二課長)    吉國 二郎君         専  門  員 抜井 光三君     ――――――――――――― 三月十五日  所得に対する租税に関する二重課税の回避及び  脱税の防止のための日本国デンマーク王国と  の間の条約の実施に伴う所得税法特例等に関  する法律案内閣提出第一八二号)(参議院送  付)  所得税法の一部を改正する法律案平岡忠次郎  君外六名提出衆法第五九号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 三月二十四日  揮発油税等引上げ反対に関する陳情書  (第四五七号)  同  (第四八九号)  高級織物物品税新設反対に関する陳情書  (第四六  二号)  同(  第五〇八号)  同  (第五〇九  号)  同(第五一〇号)  同(第五七九号)  同(第五八〇  号)  同(  第五八一号)  砂糖消費税法の一部を改正する法律案反対に関  する陳情書  (第四八  八号)  為替貿易に関する陳情書  (第四九〇号)  鹿屋市に国民金融公庫支所設置に関する陳情書  (第五二七号)  室内装飾品及び茶道具に対する物品税反対に関  する陳情書  (第五二九号)  砂糖消費税撤廃に関する陳情書  (第五五九号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  所得税法の一部を改正する法律案内閣提出第  六八号)  租税特別措置法の一部を改正する法律案内閣  提出第一四八号)  所得税法の一部を改正する法律案平岡忠次郎  君外六名提出衆法第五九号)      ――――◇―――――
  2. 早川崇

    早川委員長 これより会議を開きます。この際、酒税保全及び酒類業組合等に関する法律の一部を改正する法律案について、税制並びに税の執行に関する小委員会における審査の経過報告を聴取することといたします。税制並びに税の執行に関する小委員長山本勝市君。
  3. 山本勝市

    山本(勝)委員 この際、御要求に従いまして、酒税保全及び酒類業組合等に関する法律の一部を改正する法律案について、税制並びに税の執行に関する小委員会における審議状況を御報告申し上げます。  この法律案内容につきましては、さきに本委員会政府から説明がありましたので、すでに皆さんも御承知のことと存じます。ここではごく簡単にその要点に触れることにいたしますが、すなわち、この法律案は、現在酒類については物価統制令に基く最高統制価格、俗に言うマル公がありまして、それは法律最高統制価格ではありますけれども酒税確保のために、政府当局においても、これが最高価格であると同時に、最低価格となるように指導してきた関係もありまして、事実上酒税確保並びに業界の秩序に貢献をいたしてきたことは事実でありますが、それが、経済情勢の変化に伴いまして、幾多矛盾を生じて参りましたのみならず、いわゆるそのマル公そのものも、ややもすればその維持が困難なような情勢が現われて参ったのであります。  それで、政府としては、国家財政に重要な地位を持つ酒税保全に支障を来たすことのないように、また酒類内容に、酒類価格制度についてあらかじめ法律的な準備を整えておこうとするとともに、酒類業組合等の運営に関しても若干の改正を加えることとしようとするものであります。まず第一に、酒類価格制度として、協定価格のほかに基準販売価格制限販売価格及び再版売価格制度を設けることといたしております。第二に、最近における立法例及び現行法実施状況に顧みまして、酒類業組合についてて理事会制度を設けることとするとともに、合理化のためのカルテルを締結することができることとするなど、規定の整備をはかることとしております。  本案につきましては、去る五日にこの大蔵本委員会において政府側より提案理由説明があって、次いで十日に小委員会にその審議をゆだねられたのでありますが、小委員会におきましては、翌日の十一日以来熱心に審議を重ねて参りました。前例のないほど熱心にやりまして、時間と場所の許す限り、正直に申しましてやって参りました。場所のないときは委員長室までも使ってやり、夕方までやってきたような次第であります。いろいろ問題は質疑を重ねるにつれてだんだんと明らかになってきております。実態も明らかになってきております。  そういう次第でありますが、問題点の若干を申しますと、まあ詳しいことは速記録についてごらんを願うことにいたしますが、大きな問題点といたしましては、この価格マル公というものが非常に不都合な矛盾を生ずるのでありますが、しかし、価格の自由を認めることによって経済正常化をはかろうというねらいは、同時に生産が自由ということでなければほんとうの機能を果し得ないのではないか。ところが、米の統制があって自由取引が禁じられておる。その他いろいろな理由から生産の方が縛られておるために、たとい価格屈伸性を与えましても、ほんとう正常化はむずかしい点がありはしないか。生産の方の統制をどうしても続けなければならぬという実情ならば、価格の方も、最高とか最低とかいうのではなくて、定価といいますか、むしろ一定の値段にきめた方が筋が通るのじゃないか。価格屈伸性を与えるならば、生産の方も同時にこれにアダプトできるようにしないと、その間にかえって矛盾を多くしはしないかというような点が一つ問題になりました。それから、もう一つ大きな問題になりましたのは、独禁法とこの法案内容になっております再販売価格維持の問題でありました。これは御案内のことで、詳しくは申し上げる必要はありませんが、酒税確保という一つの大きな使命を持っておりますので、独禁法の例外としてこの法案が認められておるという公取の説明でありましたが、しかし、競争というものは、これは経済生命でありますから、その生命を失うような独占を認めるということは、単に酒税確保するといったような小さな理由では認むべきではないのではないか。むしろ独占というものを認めさせてまで酒税確保するというのは軽重を誤まっていはしないか、というような点が大きな問題になったのであります。私はだんだん問題が明らかになってきておることは喜んでおり、これは現在の状況では幾多矛盾があることは事実であり、このまま放置できないということを考えておりますけれども審議の過程で問題になったこれらの問題は、かなり重要な問題であるというふうに考えたのであります。それで、特に今の独禁法関係について不明の点が残っておるからということで、実はなお六名ばかりの委員諸君から質疑の申し込みがありまして、本日も実は私は午前中からその審議を継続するようにすでに委員諸君にも知らしておったのでありますが、何分小委員会のことでありますので、本委員会予定外に出て参りますと、いつでも時間も場所もとられてしまうのでありまして、やむを得ず午後に回しておるような次第であります。  そういうわけで、簡単ではございますけれども中間報告と申しますか、経過の御報告をいたした次第でございます。御了承を願います。
  4. 早川崇

    早川委員長 これにて小委員長審議経過報告は終りました。  午後一時再開することにし、暫時休憩いたします。     午前十一時三十九分休憩      ————◇—————     午後四時七分開議
  5. 早川崇

    早川委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  本二十五日付託になりました平岡忠次郎君外六名提出にかかる所得税法の一部を改正する法律案議題といたします。  提案者趣旨説明を求めます。平岡忠次郎君。     —————————————
  6. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 ただいま提案されました所得税法の一部を改正する法律案提案理由説明を申し上げます。  最近、鳥取、徳島などを中心として農業法人化の問題が惹起し、本委員会においても重要な問題として論議されましたが、この問題の発端は、農業並びに中小企業者などの租税が比較的に過重であるところに原因していると存ずるのであります。この法律案は、このような租税負担現状にかんがみ、所得税法第十条第二項中「使用人給料」を「使用人給料納税義務者と生計を一にする配偶者その他の親族(その年一月一日現在において年令十五歳未満である者を除く。)で、当該納税義務者の経営する事業不動産所得事業所得または山林所得を生ずべきものに従事するものが当該事業から支給を受ける給与を含む。ただし、その給与金額が、労務に従事した期間、労務の提供の程度労務の性質並びに当該事業の種類及び分量等に応じ通常受くべき給与金額に比して著しく多額と認められるときは、その著しく多額と認められる部分を除く。)」と読みかえ、農家中小企業など当該事業から支給を受ける親族給与を総収入金額から控除すべき経費とすることを主眼とするものであります。  農家中小企業者などの租税負担の過重な現状を御賢察の上、慎重審議され、一日も早く可決されることをお願い申し上げます。  右、提案常説明といたします。
  7. 早川崇

    早川委員長 これにて提出者趣旨説明は終りました。     —————————————
  8. 早川崇

    早川委員長 次に、内閣提出にかかる所得税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案の両法律案を一括して議題といたします。  質疑の通告があります。これを許します。横山利秋君。
  9. 横山利秋

    横山委員 所得税法及び租税特別措置法はきわめて重要な法案でありますから、大臣出席委員部にお願いしておいたのですが、どうなりましたか。
  10. 早川崇

    早川委員長 再三委員部から出席を要求したのですが渉外事項がありまして、渉外事務のためにちょっと出られませんので、御了解を得てもらいたい、こういうことでございますので、政務次官主税局長がかわって御答弁いたします。
  11. 横山利秋

    横山委員 決して次官及び局長に不服を申し上げるわけではないのですが、この二つの法案は今まで審議を特にいたしておりませんし、きわめて重要な法案で根本的な点をただしたいと思っているのです。本日法案を上げるということならば、当然、どういう渉外関係があるか知りませんけれども……。
  12. 早川崇

    早川委員長 なお、出席をあらためて渉外事務が終り次第要求してありますから、それまで政務次官主税局長に御質問願います。
  13. 横山利秋

    横山委員 それでは、しばらく大臣がいらっしゃるまで政務次官にお尋ねをいたしたいと思います。  所得税法並びに租税特別措置法は、今度の税制改正の中で、直接税の中では大きな柱になっているわけです。今大蔵委員会で問題の中心になっておりますのは間接税です。けれども、だからといって、この直接税関係法案国民生活に及ぼす影響からいって、重要でないとはだれしも思っておりませんし、これこそ将来をトするものとして一つはっきりしなければならぬ点が多々あると思います。それで、政務次官にお伺いしたい第一のことは、一体今度の減税について、特に直接税、間接税を通じてでありますが、どういうお考えでこれが上程されておるのか。ことさら今ごろ聞いてはおかしいのですけれども、しかしもう一ぺんこの際ただしておきたいと思うのであります。今度の税制改正はどういうところをねらってなされておるのかという点であります。
  14. 山中貞則

    山中政府委員 広範なる御質問でありますが、私どもは、国税地方税を含めまして、平年度七百億を減税するという党としての公約国民にいたしておる立場もありまするし、反面また、租税負担国民現状から顧みまして、所得税あるいは地方税物品税入場税等、今提出されております品目個々減税程度を定めていったわけでありますが、基本的には、予算の構想から見まして、七百億円の平年度減税は可能であるということを前提といたしまして、初年度必要額減税として計上いたして参りました。
  15. 横山利秋

    横山委員 私の申し上げている点がはっきりしていないかもしれませんけれども、どこに今度の税制中心があるかということを聞きたいゆえんのものは、これから一体どうなさるのかというところへつないでいくわけです。今度の税制中心が、うたい文句としては、低額所得者減税中小企業経営改善というふうに、私は大臣からいつかの本会議でありましたか聞いたことがあるわけであります。ところが、審議を重ねていくに従って、幾つかの矛盾が出てきたわけであります。第一の矛盾は、公約の額が実行されていないということです。今政務次官は七百億とおっしゃいましたが、何回も本委員会で明らかにいたしておりますように、公約は八百億であります。そして今回実施をされる初年度減税額はわずか五百数十億円にしかすぎない点が第一に指摘される。第二番目には、地方税減税予定通り実行できなかったということが矛盾として出てきております。第三番目の問題点として、予算委員会なり本委員会指摘をされましたことは、水増しの見込みがある。自然増が相当多く含まれておって、苛斂誅求のおそれありという点について問題にされています。第四番目は、約束されなかった増税が行われておるということです。これはガソリン税でありますし、それから織物消費税もあるわけです。この四つの問題を分析してみますと、政府が今回減税をするに当って考えたことが少しはっきりしなくなってきているわけです。そこで、私はあらためて、先ほど、今度の減税はどういうつもりでなさっておるのかということをお伺いしておるのでありまして、そのことは、これからどういうふうになさろうとするのかということをお伺いしたい前提として聞いておるのですから、私の質問説明が足りなかったら、以上のことを御勘案の上御答弁を願いたい。
  16. 山中貞則

    山中政府委員 第一点にお答えをいたします。私ども公約いたしました減税年度七百億というものは、初年度五百数十億で話にならぬじゃないか、実際は少いじゃないかということでありますが、これは当然私ども減税額は平年度ということを前提に申し上げておるのでありまして、初年度としてはそれがフルにいかないことは、これは税法上仕方がないことでありまして、これは国民了解も私は得られ得るものと信じて、私ども減税の総ワクにおいて公約を果したと考えております。  なお、その中身の問題で、第二点として、地方税が当初の約束通り減税が実行されなくて、大いに少くなったのじゃないかという御指摘でありますが、これはその通りでございまして、これは、一つには、私ども成長の計算をいたしました当初の公約中身に、ある程度急いだために慎重を欠いたきらいがあったことも、私は否定できないと思います。たとえば、固定資産税等のごときは、百数十億の一応の予定をいたして減税中身としてうたったのでありますが、実際に資産評価等が統一されておりませんで、減税を行いましても、評価をいじる者は町村長でありますので、そこらの点等が非常な論点となりまして、結局御承知のような少額の固定資産税減額に落ちつかざるを得なかった。そういうような点の不備が伴いまして、私どもの予期いたしました内容としての地方税は大幅に減額をしたということは、私は率直に認めたいと思います。  なお、国税の方面におきまして減税を一方にやるようにしておるが、実際は水増し等を行なっておるから、それは徴税強化等の要素も反面に含むものであるというような話でございますが、これは、私ども部内におきまして、企画庁その他で、政府で示しました経済成長の伸び並びに今年度徴税実績とそれに立った見通し等を十分勘案いたしまして、来年度はこの程度で、徴税強化前提としなければ決して消化できないようなものでないということを、それぞれ徴税当局あるいは主税当局その他首脳部におきまして十分検討をいたしまして定めたつもりでございまして、大臣からも累次申し上げておりますように、そういう水増しをやったために、徴税強化をやる意思はございませんし、そのおそれもないと考えております。  なお、公約々々と言うが、約束以外の増税をやっているじゃないか、増税の方は公約しておらぬじゃないかという点でございますが、これは、私どもといたしまして、御指摘ガソリン税につきましては、反面におきまして一兆円の道路五ヵ年計画というものを作成いたしまして、これを公約いたしておりますので、この公約を果しまするために、その財源措置といたしまして、今日まで議論され質疑応答で明らかになりましたようないろいろの経過考え、環境を考えまして、その財源ガソリン税に仰いだ、従ってガソリン税増税という結果になったのでありまして、これは基本的な公約実現のための財源措置であると私ども考えております。  なお、織物課税につきましても、御指摘の点はあるいはごもっともかとも思いまするが、私どもが提案いたしました際におきましては、物品税課税されておりまする千品目近くの品目を見まして、やはり織物の中で高級なものに対しても、一応の高級織物課税というものが課税されていかなければ、税体系上おかしいではないかというような議論等がありまして、これも踏み切ったわけでありますが、しかしながら、党の方において、今いろいろと社会党も含めまして御相談になっておる傾向もありますので、この先行きにつきましてはまたあらためてお話し申し上げたいと思います。
  17. 横山利秋

    横山委員 少し議論になるので避けたいと思うのですが、山中さん個人に、私は少し、そうおっしゃるならば、ただしたいと思うのです。それは、減税公約というものは、別な角度増税を伴っても、何ら選挙民に対する気持の上で矛盾を感じないのかということであります。減税をするということと別な角度増税をするということについて、あなたも国会議員として矛盾をお感じになりませんか。少くとも七百億ないし八百億の減税をすると天下に約束した際に、ほかのことで増税するのだから、何ら選挙民に対して公約違反にならぬというふうに、ほんとにあなたはお考えでありますか。
  18. 山中貞則

    山中政府委員 私が大蔵政務次官に就任いたしまして第一回の質問横山委員であり、その内容間接税をどう扱うつもりかということから出発いたしました因縁等もありまして、横山委員の御指摘される点について私も率直にお答えしたいと思いますが、私ども公約いたしましたものは、減税の平年度総額幾らということを公約いたしまして、それは実行したということを申し上げました。また、他面におきましては道路公約をしておる。従って、その財源措置については、公約の中で全部国の一般財源でまかないますということも言っていないのでありますから、公約の基本を果しますために、やむを得ず財源措置ガソリン税の増徴に求めたということであって、このことは道路公約を果さんとする政府立場国民に訴えます際に、その了解を得られる範囲のものであると考えておるのであります。
  19. 横山利秋

    横山委員 大きにそこは議論のあるところであります。少くとも、総選挙に当って、私ども立場は違ってもお互いに減税公約した。あるいは道路をよくすることも確かに公約したでありましょう。あるいはまたそのほか諸般の点について公約した。しかし、減税公約した者が、選挙民増税をもたらすことを、これを言うと損だからといって黙っておるということが、ほんとうに良心的なことであろうかどうか。それから、第二番に、少くとも減税を訴えて選挙民の支持と協力を得る者が、おれは増税をしないと約束しなかったから増税しても差しつかえないのだという理屈というものは、民主政治の中で正当に評価し得られるものであろうかどうか。少くともあなたが道路をよくすると公約をしたことが、一方における減税公約と相待って、一般財源の中で道路をよくすると選挙民に印象を与えておることは当然なことではないか。私はあなた個人を追及するようでありますが、これは自由民主党の立場が当然そうであってこそ、初めて民主政治というものが守られ得るのではないか、そう考えます。それとも、あなたは、今おっしゃるように、減税公約をしたけれども増税しないと公約した覚えはないと言って、てん然となさるおつもりですか。
  20. 山中貞則

    山中政府委員 私は今日までの政党政治を振り返りまして、あるいは戦後だけでもいいのですが、公約というものが、場合によっては半年で解散になったとか、あるいは一年の短期だったとかいうようなことで、なおざりにされた観がなしとしないということを考えております。しかし、二大政党対立が発足いたしまして、以来、政権がそう短時日、半年、一年のうちに交代して選挙になるということは大体考えられないのでありまするし、従って、政党がそれぞれ国民公約をいたしまする際には、必ず実行するものであり、また実行しなければ、その次の機会においては必ず信を失うものであることを覚悟してやらなければならない、こういう新しい時代になっておると考えます。従って、政党公約いたしましたものは、もちろん相当な抵抗がかりにあるものでありましても、覚悟の上で公約しなければなりませんし、その実現にも努力しなければならぬと思います。従って、選挙のときにはいい面だけを公約して、その悪い面は隠しておいて、あとで爪を現わしたというようなことは、少くとも私は今日の国民の前には通らないと思うのです。従って、私どもといたしましては、そういうような増税の方は黙っておってやったということではなくして、あるいはまた増税しないとは言っておりません、だから増税して差しつかえないのだ、そういうような裏返し的な議論ではなくして、私ども減税しようと言った内容の七百億に相当するものは、実際上国税地方税の若干の変動はありましたが実現をしたということであり、一方また一つを三取り上げて言えば、それはあるいはガソリン税増税ということでありましょうが、私どもがなぜそういう措置をするかといえば、それは公約をいたしました一兆円の五ヵ年計画による道路整備である、そのための財源を全部一般財源から投入することは不可能であるから、公約実現のために増税をお願いせざるを得なかった。これは財源措置であるから、私が申し上げたのは決して隠しておったものではなく、こういう措置をもって公約を、実現いたしましたと申し上げれば、国民に御納得がいく、こういうことを申し上げたわけであります。
  21. 横山利秋

    横山委員 あなたは公約を実行したという立場に立っていらっしゃるのですが、私ども公約は実行されてないという立場に立っているのです。決してそれは水かけ論で言うわけではありません。本委員会で昨年の九月十五日、参議院で八月十五日、七月十五日、ともに佐藤大蔵大臣が明らかにせられましたことは、そばにいらっしゃる原さんがよく御承知のはずであります。平年度八百億、初年度七百億と参議院の大蔵委員会予算委員会で明らかになっておる。ただ、その勘定が、あのときはああであったけれどもこうであったと弁解はなさるけれども、そのときには厳然として速記録の中にあるわけであります。そうなんですよ。そういうことは当らないのです。
  22. 早川崇

    早川委員長 横山君、大臣が見えましたが、五時から閣議があるそうでありますから、一つそのおつもりで御質問願います。
  23. 横山利秋

    横山委員 わかりました。  それでは、今の続きでありますが、私が質問を始めたことは、要するにこれからの税制をどうなさるおつもりですかということを聞きたいために、今提案をされておる税制についての矛盾点を指摘をしたのであります。その矛盾点の第一は、公約の額が実行されてない、第二番目は、地方税減税が所期通り実行されなかった、第三番目は、約束されなかった増税が行われた、第四番目には、水増し課税の憂いがあって苛斂誅求が行われるおそれがあると、予算並びに大蔵委員会議論になつたという四つの点を指摘いたしましたところ、公約は実行されたとおっしゃるから、私はそうではないという議論をいたしておるわけであります。少くとも大蔵大臣が参議院においておっしゃった初年度七百億、平年度八百億という数字は速記録にあるのであるから、これを公約は完全に実行されたんだという言い方をなさったのでは、僕らも黙っているわけにいかぬといって、今議論が行われておるわけでございます。これは大臣もお認めでございましょうね。
  24. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 一番最初の参議院における答弁の数字がいろいろ問題を起しておりますが、その後たびたび七百億減税ということを申し上げておりますから、過去の点は修正されておる、私はかように理解いたしております。いろいろ当時の点についての誤解もあったやに私は考えますし、言葉の不足等もございまして、一たん公表されました各費目の合計などが、あるいは八百億になるとか七百億になるとかいう御議論があり、それらの点についても後の答弁でその点は修正をいたした、かように私ども考えております。当時その点いろいろ追及されまして、私ども過去の点については十分御説明申し上げて御了承願えた、かように考えておるのでございます。
  25. 横山利秋

    横山委員 修正をされたという点については、これは裏返していえば、あの当時言われたことはあったというふうになると私どもは思うわけであります。本来お伺いしたいところがそこにあったわけではありませんから、時間もありませんから次の問題へ進んでいきたいと思います。  私が聞きたいのは、今われわれの目の前にある所得税法なり、租税特別措置法なり、この間上った法人税法なり、あるいは今問題になっておる間接税法なり、それらを通して見て、これからどうなさるつもりであるかということが伺いたいのです。今提案をされ、通った法案のそれぞれの欠陥が明らかにされ、それぞれの長所が明らかにされました。政府は今税制審議会を新たに法制的に設置をして、そして聞くところによれば中央地方を通ずる税制の体系を立てる、企業課税をやるとか、あるいは耐用年数を考えるとかということを言われておりますが、これらの三つの問題は、私に言わせれば枝葉末節の問題だと思うのです。税制がいかにあるべきかという根本理念に少しも触れていない。今ここに与党の要望をいれられて初めて法制化をされる税制審議会を発足させるに当って、大蔵大臣としてこれからの税制についてどういうことをお考えであるか、根本的なものの考え方をこの際明らかにしてもらいたいのであります。
  26. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 今回は、皆様方の御批判もいただきましたので、法律に基いて税制審議会を設け、権威のある税制審議をお願いする考えでございます。ただいま基本的な問題についてどう考えるかというお尋ねでございますが、申すまでもなく国民負担が適正であること、またその間に不公正、不公平があっては相ならないと思います。そういう意味においての基本的な税のあり方というものについて十分御考究願うことは当然でございますが、今日まで、あるいはまた所得税法等については、しばしば過去の機会等におきましても種々考究され、基本的な問題としてだんだん軽減の方向で研究はされております。同時にまた、いろいろ税のあり方から見まして、産業育成の面に支障があったり、あるいは地方財政財源確保という点において欠くるところがあったり、あるいはまた徴税の段階においてもいろいろ問題があったりいたしまして、ときに公平あるいは不公平あるいはまた政策的に十分目的を達しないとか、こういうふうなことが考えられますから、そういう点を特に過般の税制懇談会におきましては指摘をいたしたのであります。その指摘いたしましたものが、今後特に研究を要するものとして、企業課税のあり方であるとか、あるいは間接税のあり方であるとか、あるいは国、地方の税源の分配の問題であるとか、こういう点を特に指摘はいたしておりますが、これのみを取り上げるのではなくて、どこまても基本的に税としてのあり方、また国民負担という観点に立ってあるべきかということを基本的に考え、その点からこの税制審議会が権威のあるものを生み出していただく、こういう実は考え方でございます。さように考えて参りますと、過去の税制改正というものが、これは御指摘になりますように部分的な改正でありますし、またときに非常に急いだ等の点もございまして、それぞれの効果は上っておりますが、税全般から見ますと、ときに御批判も残っておる、かように考えますので、今回は、そういう点をもあわせて、基本的な問題として十分この税制調査会において御審議願おう、こういう実は考え方であります。
  27. 横山利秋

    横山委員 問題を二つに分けましょう。一つは根本的な税に対する考え方の問題、一つは当面問題になる税の問題です。私は根本的な問題を今問題としておるわけですが、具体的にあげてこの点をどういうふうにお考えになるか、四つばかりただしてみたいと思う。  一つは、税制の中で一番重視さるべきことは何であるかということであります。私どもは生活費に課税をしない。つまり低額所得者から最優先的に減税をすべきだ。これを思っておりますが、いかがでございますか。第二番目には、間接税と直接税の比率の問題です。どうも佐藤さんが大臣になられてから、間接税中心主義というのですか、間接税へ比重を移行なさろうとする気持がほのかに見えてならない。これは場合によっては非常な大衆収奪の大衆課税に転化するおそれがありますが、どうなさるおつもりであるか。第三番目に、公平の問題です。今あなたがおっしゃったように、減税というものが公平の精神を欠くとおっしゃったのだが、ここ二、三年来租税特別措置法について私どもの激しい立場というものがあり、政府側としてはその点について善処をしてこられたようであるけれども、どうもまた最近これが逆戻りするような気がする。公平の精神を貫くならば、租税特別措置法について勇敢な措置をとらなければならぬことが一つ。それから、もう一つは、大企業、中企業、小企業のバランス、法人と個人のバランス、それから中小企業と勤労者と農民とのバランスという問題がある。この公平の精神を貫く決意をお持ちであろうか、それとも、あなたのおっしゃる政策減税の必要性ということに、今後相当重点を置いていくつもりであるか。それから、四番目に税制の簡素化ということについて、徹底したお考えをお持ちになる気持はないであろうか。今庶民が一番悩んでおるのは、税金というのはわからないということであります。だから税務署に何かしてやられたような気がする。わかりやすい税金ということについては、思い切った考え方をお持ちにならぬであろうか。以上まず根本的な問題として四つの点について御意見を伺います。
  28. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 ただいまおあげになりました四つの問題は、四つがそれぞれの特別な全然分離されるべき性質のものではなしに、全部関連性を持つもののように思います。こういう点が、基本的な問題として税制調査会において必ず取り上げられなければならない問題であることには間違いないと、私は確信をいたします、  そこで、今四つあげて言われましたことについて、税制調査会の答申を待つことは当然でございますが、個人的な意見として私自身の考え方を少しつけ加えて申し上げますならば、いわゆる低額所得者に対しての負担を軽減するという方向、これは、国税であろうが地方税であろうが、通じてそういう方向でなければならない。これはよくわかるのでございます。今までの税制改正におきましても、低額所得者についての負担の軽減ということをいつも考えて参っておると思います。一面納税者の数は減っておるが、税金の額はふえておる、あるいは今回の所得税の軽減の方法にいたしましても、低額所得者というものについて考えるわけです。そこで、いわゆる所得税など税を納めない大衆の低所得者層、これが、所得税といわないまでも、税負担としての軽減をとにかくはかるべきである。こういう観点に立って参りますと、次の間接税の問題が必ず関連をして参るのでございます。  この間接税についてはいろいろの御議論があり、私はただいま別に間接税中心を置き、直接税をそちらの方へ変えるような考え方を持っておるわけではございませんし、これこそは基本的な税のあり方で、それぞれの国において間接税中心の国もあるし、直接税中心の国もあるようでございますから、いろいろ基本的に研究していかなければならないと思うのでございますが、このあり方がときに低額所得者層に対し非常な負担になる、あるいは大衆課税になる、こういうような問題も引き起しやすいのだと思いますので、これは基本的な問題として十分御検討をわずらわすべき問題だと思うのであります。  第三点の公平、これはもう、税の問題としては基本的な第一要件というか、その基礎的な条件だと考えますが、しかしながら、ときに例外的な措置、いわゆる特別措置としての政策的なものも加味せざるを得ない。しかしそれが根本的に公平の原則をそこなうようなことがあってはならない。そういう意味ではこの扱い方がどこまでも明朗でなければならない。これは申すまでもないところだろうと思います。そういう意味におきまして、この特別措置の問題なども十分国会の御審議をいただく筋のものであろう、かように私は個人的には考えます。同時にまた、御指摘になりましたように、法人と個人、あるいは大企業と中小企業あるいはまた農民、こういうような関係においての税の調整、これは大きな問題だろうと思うのであります。もちろん十分これにも留意することが肝要だ、かように信じます。  最後に、税の簡素化の問題でございます。この簡素化の問題もいろいろ努力はして参りました。今日も非常に税制は複雑だ、私はよくそういうことを申し上げるのでございまして、あるいは皆様に失礼に当るかわかりませんが、国会の議員先生諸君にして、みずからの所得をみずから申告され得る方が一体何人おありか、これはおそらく私自身にもできないことでございますが、ときにその申告が十分できないために、当然減額さるべきものであるものもそれを控除されなくて申告なさる、あるいはまたときにはその税の扱い方について準備が不十分なために、せっかくの申告をあとで訂正する、いわゆる源泉課税の問題からいろいろ問題が起ったりする、こういうようなことで、これでは実際申しわけない。そういう意味で、この税のあり方が非常にわかりいいというようなことで、特にそれに重点など置いて参りますと、それは間接税の方がわかりいいというような議論になるかと思いますが、そういうことで大衆課税をふやすようなことがあってはならない。今の扱い方で簡素化の方向では努力して参りますが、同時に、税務署等においても、大衆といつでも相談ができるような態勢を整え、法的の不知によりまして大衆に迷惑がかからないように、これこそ徴税公務員の心がけとして特に私ども指導し注意して参るつもりでございます。それにいたしても、法制なりあるいは政令なりはほんとうによくわかるように書いて上げる、これはもう基本的な考え方で、私どもの努力すべき点だ、かように考えております。
  29. 横山利秋

    横山委員 今の瞬間は、大臣も先のことをお考えにならぬでもいい状況にありますから、率直に自分のお考えになっておることをおっしゃっておると私は思うわけです。私は割合に記憶が強い方でありまして、一年過ぎに今の大臣のおっしゃったことが確実に着実に前進をしておることを、私は強く期待したいと思うのであります。今おっしゃったことは全く私と意見の一致することでありますが、さて実行することになりますと、大へんなことだと私は思うわけです。先ほど政務次官議論をいたしましたことは、こういうことでした。それは、約束されなかった増税が行われたということは、選挙民に対して公約違反ではないかと言ったら、そうでないと詭弁をなさるわけです。私は、そういう良心的な立場というものはない、減税公約した者は増税をしないという立場において減税公約しているのだ、こういうことを申し上げたのですが、それは議論でありますから、あなたにお答えを求めようとは思いません。どうぞ一つ今おっしゃったことが一年過ぎなり次の年度予算において正確に実行されるように、期待をいたしたいと思うのです。     〔委員長退席、足立委員長代理着席〕  それに関連してお伺いしたいのは、税金というものは税法にあるものだけが税金ではないということを私は申し上げたい。それは、国民が共同社会の一員としてある限りにおいては、どうしても出さねばならぬ義理合いというものによって、国家に奉仕しているものがたくさんございます。第一はPTAの会費である。第二番目には子供の教育費であります。第三番目には勤労奉仕がまだ依然ございます。第四番目には何かの分担金なり寄付金があり、たくさんのものが税金ならざる税金としてあるわけです。大蔵大臣として、警察の庁舎の修繕なりあるいはいろいろな官庁の修繕の予算を捻出なさるときに、その予算で完全に警察署が建つとお思いになっていらっしゃるでありましょうか。また事実建っておるでありましょうか。その中に入れられておる計器なりあるいはいろいろな備品なりというものについては、税金ならざる税金というものがとほうもない額を占め、義務教育のもとにありながら、実は小学校の生徒の教育費の六割まではまだ父兄が負担をしておるということにお気づきでありましょうか。私がお伺いしたいのは、そういう税金にあらざる実質的な税金を、大蔵大臣としてどういうふうにお考えであろうか。また、初めてこの話をお聞きになったとするならば、今後どういうふうになさろうとするのか。私は具体的な数字を持っておりますけれども、時間がございませんから提示はいたしませんけれども、このことは、かつて前の大蔵大臣の際に、予算委員会で、今おかわりになりましたけれども、足立政務次官が非常に感銘をして、ぜひそれは漸減をしなければならぬといって、大蔵省から一ぺん通達を出してもらったことがあります、けれども、残念なことにこれは全く意味をなさなかった。誠意はあっても何らの効果がなかったわけであります。何としてもこの税金ならざる税金というものをこの際なくしていかなければ、ほんとうのものではないのではないかという気がいたしますので、この点について大蔵大臣の所見をお伺いしたいと思います。
  30. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 御意見はしごくもっともでございまして、私なども、寄付金あるいは名目のいかんによらない分担金、いわゆる税ならざるものが多額な出費を国民にしいている、こういうような事態につきましては、心からそういうことのないようにしたいものだと考えておるのでございまして、ただいまかって通達が出たが通達の効果がなかったということでございます。いろいろ経過的にこれを見ますと、最近はこの種の税金にあらざる国民の負担というものについて各方面の意見が非常にきびしく出ておりますので、比較的改善されつつある、かようには信じますが、なお幾多の問題が残っておるように私は感ずるのであります。もちろん限りある歳入によりまして限りのない歳出をまかなっていくのでございますから、そういう場合に、管理者の立場にあります者が、事の重要さあるいはその緊急度というものを取り違えて支出などいたしますと、後にいろいろな問題が起ったり、あるいはまた当初から寄付金や分担金を予想して建設計画を立てておるというようなことが、過去においては間々私どもも伺うところでありまして、これなどはとんでもないことだから、管理者としてはよく事の軽重なりあるいは緊急度なりを十分に考えて、この限りある歳入を使ってもらいたいし、また事前に寄付金や分担金を予定しての工事計画などは厳に戒むべきことだ、そういうことが綱紀の頽廃を来たし、また問題を引き起すのだということで、絶えず注意をいたしておるところであります。しかしながら、まだまだ今後私どもの努力しなければならない点が非常に多いように思うのであります。ただいまお話しになりましたうちにおきましても、事柄によりましては当然に税をもってまかなわるべき行政のうちだと考えられるものもあるのであります。こういうものは今後の扱い方において十分工夫をして参らなければならないと思います。御指摘の点については私どもも今後十分関係方面に対しは注意を促したい、かように考えております。
  31. 横山利秋

    横山委員 足立さんが委員長席にすわっていらっしゃるので、うっかりしておったのですが、予算委員会で足立政務次官と長きにわたって一問一答をいたしまして、わかった、それでは府府としては善処しようというお約束をあのときになさって、それからあとで書面をずっと出してもらった。けれども、その後一片の書面は何らの効果も残念ながらなかったと、私は痛嘆せざるを得なかったわけであります。今大蔵大臣が同感の意を表されて、関係の向きへ御注意をなさるという話でありますが、それはしていただくことはけっこうでありますけれども、残念ながら、その話の限りでは効果がないのではないかと私は思うわけであります。少くとも、今日の日本において、税金というものは納得づくで納められなければならぬ、これは国の方としても重要なものなんだという説得力を持たせるためには、これだけ出してもらえばもういいのですという立場が厳然としてなければならぬと思うのであります。ところが、その税と全く同じような立場で分担金があり、寄付金が存在をしておるということであります。これは決して強制ではないと言えます。しかし、村々で、町々で、これらの寄付金がどんな実態を持って徴収をされておるかということは、あるいは大臣にはおわかりにならないかもしれませんけれども、これはある意味では村八分の背景をも持って行われておるのでありますかな、それをそのままに放置することは、私は、税の適正な執行という面からいっても、この際大きく考えなければならぬことではなかろうか、こういうふうに感ずるわけであります。私は、今初めて大蔵大臣にこの話をいたしまして、すぐに具体的な回答をいただこうとは必ずしも思いませんけれども、一片のお話なり一片の御通知だけでこれが終るものでは断じてないし、またこれが放置しておいてそれでいいものでは絶対にないと私は思うのであります。その意味で重ねてお伺いをいたしますけれども、この租税にあらざる租税——日本だけではなかろうと思うのでありますが、町々村々に存在する租税にあらざる租税というものが、実は租税以上の額をしておると私は統計で知りました。現在の租税は一人当り一万七千八百円だそうでありますが、このような全く任意な寄付金まで含めますと、国民租税の一人平均一万七千八百円よりももっとたくさんの租税を払っておるという事実を、大蔵大臣はどうお考えか、どうなさろうとしておるのか、重ねて御意貝を伺いたいのであります。
  32. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 先ほど一応の経過は申し上げたので、重ねては申し上げません。問題は近代国家として租税によって歳出がまかなわれる、こういう建前でなければならないし、また近代国家におきまして国民の負担というもの、これが一番論議があるところでございますし、そういうように考えて参りますと、国民の負担が適正であるかどうかということが、国会の審議においても一番中心であられ、また、地方議会においても、当然同様の観点に立ってのきびしい議論の開陳があってしかるべきだと思うのであります。しかして、御指摘になりましたような寄付金、分担金、その他勤労奉仕、いわゆる租税にあらざる租税といわれる国民の分担が、国に関するよりも地方団体においてより大きいものがあるのではないかと実は思うのであります。もちろん国の関係においても全然皆無だとは申し上げません。これらの点については、国に関する限り私どもが十分注意し得るところでありますから、比較的容易でございますが、地方の自治体におけるこの種の支出になりますと、これは地方の古い長い間の慣行というものも実はあるのでございまして、理論的にこれは悪いことだ、いいことでないということがわかっておりましても、短期間のうちにはなかなかこれが是正されないのではないかと実は思うのであります。一面におきまして、昔ならば相互に助け合うというような感じから、比較的軽い気持でかような協力もされた向きがあるかと思いますが、少くとも近代国家として国をなし、地方団体が自治体としていわゆる行政水準を高めていく、こういう方向である現状から見ますと過去の慣行がどうあろうと、当然これは修正さるべきものであって、この点については、よほど指導も、また地方住民の方々の感覚もそういう意味においての鋭い批判を要望してやまないものがあるのであります。もちろん、政府なり責任を持つ者から、機会あるごとに、かような意味についての注意は喚起いたしますものの、これは注意だけで済むことではないように考えますので、結局この自治体としてのあり方、地方議会におきましても十分自治体としての範囲においてみずから規制さるべきものがあるではないか、かように私は考える次第であります。
  33. 横山利秋

    横山委員 少くとも、減税は、今の状態では二つの意味においてしりが抜けておる。一つは、法律減税しましても、徴税上の技術によって実効を示さない。これは庶民の声であります。ちょっと税務署の職員が、あるいは国税庁で勘案をすれば、多少の減税は実効を何ら示さない。第二番目には、減税をすれば今度は寄付金でくる。何かの形でそういうふうにくる。だから、税金と寄付金と相対的な議論をしなければいかぬというのが総体の声であります。私はその意味で今の問題を取り上げていただきたいと思うのですが、一回一つ政府、大蔵省ないしは国税庁において、租税にあらざる租税というものを御研究なさる必要があるのではないか、そしてほんとう国民所得というものに減税がされたのであるかどうかという、全体的な大きな意味の租税負担の検討をなさらぬと意味がないのではないか、私はそう思って、それの御意見を一つ伺いたいのであります。  それから、時間がありませんから、もう一つ伺っておきたいのは、これは原さんにお答え願ってもけっこうであります。具体的な問題として、今大蔵省が考えております税制の今後の具体的な問題は何があるかという点、事務的でけっこうであります。たとえば、中央地方を通ずる問題、企業課税とかあるいは間税とか話が出ておりますが、今まで審議を通じて私ども感じたこともございます。政府側としても法案作成並びに審議の過程で案じられた点もあるであろうと思いますが、これからの税制改正の具体的な問題点はどういうものを考えておられるのか、それをお伺いいたしたいと思います。
  34. 原純夫

    ○原政府委員 大きなグループと申しますか、決定項目の大きな区分けは、先ほど大臣も言われましたようなことを考えております。さてその一つ一つについてどういうことがあるか。     〔足立委員長代理退席、委員長着席〕 それからまた大きくない中小の問題がどういうものがあるか。いろいろあると思います。企業課税の中で言いますれば、まず今回の取り上げ方は、企業というものが資本、労働、経営というようなもので仕事をやっていく、それらにいろいろな税がかかる。利潤にはもちろん所得税、法人税がかかり、また事業税がかかる。ところが使っております固定資産には固定資産税がかかる。いろいろ税のからまりがあります。こういうものをまず一望のもとにおさめて、企業の総合的な負担というものを見る必要があろう。そして、その総合的な負担というものは、単に一つの総合的な負担でなくて、企業の生産諸要素のそれぞれについて、どういうふうな負担の傾斜になっているかということも見る必要があるわけでございます。固定資産に対して非常に負担が多ければ、それはそれだけの経済的な影響を持つわけでございます。そういうようなことを見て、そして半面企業というものを最も能率よく動かすということが、国の経済政策の大きな柱であろうと思います。これは何も税で動かすということではないわけであります。いわゆる自由競争による企業の促進であるとか、あるいはまた補助助成による促進というようなこともあると思います。また税制がその企業の円滑な回転に大きな影響を持つ。ただいま申しましたいろいろな生産諸要素に対する税の傾斜が影響を持つばかりでなく、さらには利潤に対する税のかけ方が、単にフットな税率でかけるかあるいは累進課税をするか、超過課税をするか、いろいろなやり方があるというような意味においても、その税のかけ方で企業の反応が違ってくる。ちょっと申し上げかけただけでも、そういう非常に広い問題があり、かつ広い範囲の中に問題は無数にあると言っていいと思うのです。私どもは、それらを、どうしたら企業が能率的に動くか、また少くともそのじゃまにならぬように、場合によっては政策的にそれを税の面で促進するとすればどういうことがあるか、この場合はもちろん特別措置的な意味で利益を与える角度は一応抜いて、やはり同じ一兆なら一兆の税を徴収するのに、どういうふうなコンストラクションにしたらいいか、こういうことも考えていかなければならぬというふうに思います。  これは申し上げるととても時間がかかりますし、二年、三年かかってやろうということですから、また一つ——きょうは大臣もおられるところで私が長講申し上げるのも何ですから、私のために時間をいただきたいと思います。ぜひ聞いていただきたいと思います。
  35. 奧村又十郎

    ○奧村委員 関連して。  税制改正につきまして、私どもは、今回の政府税制改正は、全く自民党の公約を忠実に実現しているもので、非常にけっこうだと思うのでありますが、ただ一点遺憾に思いますことは、間接税の中で酒税減税が行われていない。これは税制調査会あるいは臨時税制調査会などの答申にたびたび出ている。酒税は高過ぎるから減税しなければいかぬという答申が出ているし、また、主税局長あたりの御答弁にも、財源に余裕があれば減税したいということがたびたび言われておった。しかも、今回の税制改正において、同じ間接税の中で物品税が大福に減税されたにかかわらず、同じ種類のこの酒税について、みりんは大幅に減税になったけれども、ほかの酒類は全然省みられなかった。来年度さらに大幅な減税の機会が見込まれるのなら、もう一年待つということも考えられるが、来年果して減税の機会があるかどうか確信が持てぬとすれば、酒税だけが置き去りを食ったことについては、はなはだ遺憾に思う。しかも、政府は近いうちに酒類に対するマル公制度を廃止しようとしておられる。御承知通り、このマル公制度は戦時中から続いてきたものであり、高率な税を負担する酒類に対しては、特別の事情があるとしてマル公制度維持してきたので、マル公制度を撤廃するについては、酒税ももう少し減税してからマル公を撤廃する、これが順序であると考えておったのであります。これらの点については、とても本日は時間がなさそうでありますので、いずれ日を改めてお尋ねいたしたいと思います。ただ、最後のマル公を撤廃するために、その後の事態に対処するために、酒類業団体法の改正案を政府は今国会に提案しておられますが、この酒団法改正案に対する、特に大蔵大臣のお考えを、一つとくとここでお聞きしたいと思うのであります。  と申しますのは、本委員会において、本日所得税法、特別措置法の議了があるように思うのでありますが、なおそのほかに、物品税その他の税改正法案、あるいは参議院から送られて参りました貴金属処理の法案など、予算に直接関連する重要法案が当委員会に山積しておるのであります。これはおそらくこの月うちに衆参両院とも議了しなければならぬ。それを政府も希望しておられることと思うのであります。そこで、その際に、この酒類業団体法がかかっておるが、酒団法は四月一日に実施するという特別の理由はあるようにも思えないし、まだ会期は五月十七日まであるわけであります。また、政府のたびたびの御答弁によりましても、マル公の廃止は急ぐわけではない、来年にでも考えよう、こういうことでありますから、それならば、そのマル公廃止後対処する法律案のこの酒団法は、場合によっては継続審議にして、次の国会で議了してもいい、こういうふうにも考えるので、さしずめ今月中にこの予算関連の税制改正法案その他の重要法案の緊急なものを審議するについては、この酒類業団体法改正法案はあと回しにせざるを得ない本委員会の事情であります。政府は、さしずめ今月中に、あるいは今直ちにこれを審議通過させなければならぬというような差し迫った理由は、今までの審議では明らかにならなかった。そういう理由はなさそうに思いますが、大蔵大臣はこの点についてどうお考えになりますか。
  36. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 政府といたしましては、提案をいたしました法案は、全部が何ら修正を加えられないで成立することを心から願っております。それはいかなる法律でありましょうとも、提案いたしますまでにあらゆる研さんを遂げ、最終的結論を出しておるものでございますから、その点におきましては、今御指摘になりました酒団法も実は同様でございますし、ことにこの国会に提案をいたしましたのも、御承知のように参議院の定期的な選挙を控えておる際でございますので、特に私ども緊急を要する重要法案は全部提案いたし、これを会期中に無事成立させていただきたいというような気持で、お願いをいたしておる次第であります。先ほど来の奥村委員のお話のうちには、御意見にわたる点もあるようであります。どうか政府の意のあるところを十分御了承賜わりまして、本委員会におきましても十分御審議賜わりますようお願い申し上げます。
  37. 横山利秋

    横山委員 この際、国税庁長官北島さんがいらっしゃいますから、所得税法及び租税特別措置法が実行される段階の問題として、多少場違いかもしれませんが、前から考えておりましたことをただしておきたいと思うであります。それは国税庁における労働問題であります。私は、本委員会であなたに、もう三回か四回ばかり、国税庁における労働問題について私の率直な意見も申し上げて、あなたの善処を要望いたしておったわけでありますが、最近聞くところによりますと、少しもよくなっていないようであります。  時間節約のために私から申し上げますが、全国税の労働組合は組織がえのために人事院に登録の申請を出したところ、これがまだ登録が終ってないという理由で、あなたの方としては全国税の労働組合に一切団体交渉も話し合いもなさっていらっしゃらないそうそうであります。私は二つの点からあなたの御意見をたださなければなりません。一つは、人事院の登録がないという事実は、憲法における労働者の団結権、団体交渉権を排除するものではないということであります。この法律論争を続けようと思えば、私もこの道で十年間暮した人間でありますから、幾らでもできますが、しかし、問題は、より第二のことについてあなたにただしたいのです。それは、事実問題として、税務署に働くたくさんの労働者と、またその代表である一つの組織と一切団体交渉をしない、話をしないということで済むものであるかどうかということであります。そういうことが一体いいことか悪いことか。法律上の問題ではありません。対人間関係と申しますか、そういう意味合いで、どうお考えであろうか。これは法律上の論争をさておくといたしましても、実質上の意見も聴取し、あなたの方の立場も述べ、そうして話し合いをする、そういうことを避けてはならぬと私は思うのです。そう申す私も、実は御存じかもしれませんが国鉄労働組合におりまして、首を切られて、首を切られた私がおったのでは団体交渉しないといって、国鉄当局が騒いだことがございます。私の体験を含めて言うのですが、それでは済まぬのでありまして、最後に裁判所がまん中に入りまして、私がおりましてもやっぱり話し合いはすべきだということになりまして円満に落着をいたし、私の職員たるの職責を尽したわけでございます。私は、国鉄の特殊性もございますが、税務署の職員というものは、その人が商店へ出かけていって、話をして、そうして税額を決定する非常に重い責任がある。ある場合においては、その人個人に課せられた国の責務というものはとほうもないものである。またその人の裁量によってずいぶん違うということをも勘定に入れますならば、大へんな責任であると痛感をいたします。その人たちが胸にうっくつする気持をいつまでも内蔵して、あなた方が組織を相手にせぬということであるならば、これは一体どうしたものか。それとも、あなたは、それに対してさしあたりこうすればいいのだという解決案、つまりその解決案については組合側も説明し得る、そういうものをお持ちでありましょうか。それともこのまま放置をなさっておくつもりでありましょうか。ないしは、私の申し上げるように、法律上の問題はさておきとして、実質上の話をなさるお気持はないのでありましょうか。このまま放置さるべきではないと私は確信をいたすのでありますが、長官の御意見を承わりたいのであります。
  38. 早川崇

    早川委員長 採決の時間が迫まっておりますから、簡潔に御答弁願います。
  39. 北島武雄

    ○北島政府委員 全国税労働組合とただいま申します——前は全国税職員労働組合であります。これが昨年の暮れに改組されまして、今までは連合体でございましたのが、全国一本の単一団体になろうということで、旧組合は解散いたしまして、新しい全国税労働組合を結成したということでございますが、それに際しまして、過去において国家公務員法違反によりまして免職された者が三人役員の中に入っておったわけでございます。この状態におきまして、全国税は人事院に登録を申請したわけであります。その登録は旧組合の解散と新全国税労働組合の登録、この二つの内容を持っておったようであります。ところで、御承知のことでございますけれども、国家公務員法におきましては、九十八条二項でございますか、及びそれに基くところの人事院規則によりまして、国家公務員法上のいわゆる交渉は、人事院に登録された職員の団体によってのみ行われなければならぬ、こういうふうなことに相なっておるわけです。そこで、新しい全国税労働組合が人事院に登録を申請いたしましたところ、人事院においては、理由を付して、すなわち今度の全国税労働組合というものは国税職員以外の者をも組合員とするような規約を含んでおるということが第一点、現にまた全国税の職員でない免職者が役員になっておるということが第二点、それから第三点は、たしか決議の方法が代議員のさらに複代理を認めておるような内容だったのでございます。そういうようなことで登録を却下された。登録を却下されますと、私どもといたしましては、現在の国家公務員法上の建前からいたしまして、国家公務員法上の職員団体との交渉は人事院に登録された団体によってのみ行わなければならぬ、こういう現在の法制のもとにおきまして、私どもとしては、遺憾ながらいわゆる団体交渉には応ぜられない、こういう態度でおるわけであります。そこで、いろいろ、あるいは全大蔵その他国公共闘会議からの私へのアプローチがございますが、私どもといたしましては、やはりただいまの原則はくずすわけにはいかない。ですから、どうか、組合員におかれまして、現在登録できるような状態にしていただきたい、こういうようなことを申し上げておるわけであります。われわれといたしましては、国家公務員法上の交渉し得る団体ということには現在なっておりませんので、はなはだ残念ながら交渉には応ぜられない、こういう状況でございます。
  40. 横山利秋

    横山委員 私が言っておることにまだ答えていらっしゃらないようですが、法律上の問題を二、三指摘いたしますと、人事院がこの問題について意見を付して組合へ回付してきたという点は、私は大いに人事院に言いたいことがあるのですが、それはここにおりませんから——私どもとしては、人事院の考え方、及び人事院の考え方を受けておられるあなたの考え方にも誤まりがあると思う。しかしそれは今言いません。  それから、第二番目に、あなたのおっしゃるように、かりに国家公務員法上の話し合いはできないとしても、百歩譲ってそうだとしても、憲法で保障されております団結権、団体行動権を奪うことはできませんよ。あなたはその矛盾に気がついていらっしゃらないのですか。公務員法上の職員の団体ではない、百歩を譲ってそうだといたしましょう。だからといって、全国税を労働組合でないということは言えないのです。これに労働大臣が、機関車労働組合のあり方について、すでに労働委員会で証言をいたしておる。公労法上の組合ではないけれども、憲法上の労働組合であるというふうに言われておる。従って、現に存在をする組織であり、法律上は今言いましたような立場をとって、なおかつあなたが全面的にこれと団体交渉の話し合いを拒否なさるということは、これは憲法違反である、そういうことになります。ただ、しかし、私は法律上の論争をあなたと大蔵委員会でするよりも、実際問題としてあなたはどうなんですかということを聞きたいのであります。ところが、単にしゃくし定木に、法律上の問題で団体交渉いたしませんというて、一体それで済むものであろうかどうか。しかも、私の知るところでは、首を切られた人は三人だという話でありますが、委員長さんは首を切られてないのですね。そうだといたしましたならば、これは明らかに代表たるの資格を備えているのですよ。もしそうなら、たとえば今の国鉄労働組合を例にいたしましょう。二十一人も首を切られた人間を抱えておるのです。それでも団体交渉が行われておるのです。その意味がわかりますか。どこにあなたの矛盾があるか、おわかりになりますか。かりに一人だって、あなたの言うところの職員でない人間を抱えておるような組合とは団体交渉はできないというならば、それじゃ現場にそういう人が一人おったらその組合は認められないということになりましたら、これは法律上の問題として非常な問題であります。問題は、その組織の代表たる資格を備えるものが、今の政治上の課題、法律上の課題になっておるのであります。  繰り返し申しますが、法律上の議論なら私は幾らでもいたします。けれども、北島さん、あなたもこの法律の番犬とかそういう労働省のお役人でもないのですから、国税庁長官として、全国の税務署に働いておる職員諸君の希望なり不満なり——またそれが形作っておる組織というものの実態なり、実際に存在しておるという事実に、目をおおうわけにはいかぬではありませんか。あなたが人と人とのつながりを主張せられる人であるとするならば、実質問題として、話し合いまで全部拒否をなさるということは、あなたにふさわしからぬやり方ではありませんか。こういう点について、私はあなたの人間的な気持を聞いておるのです。法律上の問題ならば私も幾らでもやりますけれども、そうでない立場でどうなさるおつもりですかということをお伺いしておるのです。
  41. 北島武雄

    ○北島政府委員 昨年でございましたか、ここで横山先生に、たしか当時の全国税職員労働組合の方針を御説明申し上げた。それに対して、職員組合の副委員長は、その通りだ、方針を転換したんだ、こういう説明がありました。それによりますれば、その当時から方針を転換いたしまして、いわば階級的労働組合である、こういう考えのもとに、職制、すなわち係長以上はすべて敵だという考えを持ちまして、もっぱら職場の撹乱——われわれから見ますれば職場の撹乱、徴税機構の撹乱とも見られる方面に相当動いておったかの感があったのであります。やむを得ず、私どもといたしましても、表に現われた国家公務員法違反の行動によりまして、それぞれ適切な処分をいたしたのであります。それ以後態度はやはり依然として変らないわけであります。ただ、その当時におきましては、全国税職員労働組合というものは登録された団体であったのです。その中にやはり免職者の方が役員になっておられましたが、われわれの立場といたしましては、やはり登録された団体である以上、もちろん交渉には応じます、ただし、交渉の場におきましては職員でない方の入ることはお断わりする、こういう態度で参ったわけです。  ところが、昨年の暮れに組織を改変いたしまして、今度はいわば単一化の方向に決議をもって踏み切ったのでありますが、新しく今度は全国税労働組合というものを作りまして、それには職員以外の者も組合員となり得る規約を持ち、かつまた現実に新しい役員には免職者が入っておる、こういうことで、人事院は国家公務員法上の交渉し得る職員団体でないとして登録を却下されたのであります。われわれといたしましては、こういう職員団体との交渉につきましては、やはり一定のルールがなければならぬ、一定のルールに乗った上での交渉でなければならぬという建前をとっておりますので、ただいまのような状況では、はなはだ残念ながら交渉には応じられないという態度であるわけであります。
  42. 早川崇

    早川委員長 横山さん、二法案議題外になっておりますので、大体この辺にして、またの機会に一つ……。
  43. 横山利秋

    横山委員 長官の今の御答弁を聞いて非常に残念に思います。それは、あなたの、全国税という組合が、係長以上を敵だと言う、徴税機構を撹乱しておるという表現の中に、国税庁の職員及びその組織に対するあなたらしからぬ非常な敵愾心を持っておるということが感ぜられるのであります。今偶然にそういう表現をお使いになったのかもしれませんけれども、私ども客観的にこう静かに話を進めておる者に対して、非常にふさわしいからぬ北島さんの敵愾心、こういう敵愾心から実は反射的に双方が離れ、遠のいてしまうのではあるまいか。あなたは、おれの方は正しいという観点に立っていらっしゃるようだ。組合はすべていけないという態度に立っていらっしゃるようだ。だとしたならば、こういう言葉は——あなたは首を振っていらっしゃるが、首を振っていらっしゃるとすれば、そういう言葉は、私は北島さんにふさわしからぬことだと思う。私は全国の税務署で何が行われたか、いろいろと聞いてみましたが、それを今ここであなたに一つ一つ言おうとすれば切りがないから、そういうことは取り上げずに、しかもまた法律上の論争もしないでおきますが、そうではなくして、あなたが全国の税務職員の親玉として、人間をそれだけ率いて仕事をなさっていらっしゃる方として、どうなさるのですかという態度でお伺いしているのですが、ちっともベースが今のところ合っていません。合っていないのは、合っていないだけのあなたの理由があるかもしれませんが、それでは長官としての道を少し踏みはずしていらっしゃらないかとおそれるのです。あなたのそういう敵愾心が、反射的に組合を硬化させ、またそれがあなたを硬化させるということを、私は客観的に指摘せざるを得ないのです。どう思いますか。
  44. 北島武雄

    ○北島政府委員 あるいは私の言葉の使い方が悪かったかと思いますが、組合を敵視しているわけではありません。率直に申しますと、一部組合の指導者と私は思っております。しかもそれは全国税の職員五万人の総意は決して反映してない。ごくわずか一部の人の意思を反映しているにすぎない。そうすると、お前はその組織を否認するのか、こういう問題でございますが、現実の問題といたしまして、私は多くの税務職員といろいろ話をし、昔からも存じておりますので、状況はよく存じております。それによりますと、五万三百八十一人の全国税職員は、今の組合指導者の指導しているようなあり方には決して同調していないのであります。私は決して組合が悪いということは——言ったとすれば私としては改めなければいかぬですが、残念ながらやはり一部指導者のために誤まられているんだ、こういう感じは切にしております。  そこで、人間としてもう少し話し合わなければならない、こういう話でありますが、私は、こういういわば労働運動というものは、一定のルールによって、そうして一定の土俵の上で行われなければならぬのじゃないか。それには私どもとしてはやはり守るべき限界がある、こういう感じなのでありまして、ただいまのような状況では、はなはだ残念でありますが、交渉するわけにはいかない、こう考えたのであります。あるいはお前はがんこだとおっしゃるかもしれませんが、私はほんとうにそう考えています。
  45. 横山利秋

    横山委員 最後に、あなたは労働運動に対する理解が私は乏しいと思う。それは別に私が社会党の代議士だから言うわけではありません。どういう意味かといいますと、労働運動というものはあくまでその人たちの自主性によって行われているのです。その中に、あなたの言うところの一部気に入らない指導者がおるからというたところで、これは労働者がみずから選んだ役員であります。ちょうど中国は気に入らないというのと似ておるようなところがありますが、やはり経営者は経営者としての自主性があると同様に、労働者には労働者としての役員をみずから選択する自主性があります。その自主性に基いて選出をされた人が、あなたから見て気に入ろうと、あるいは気に入るまいと、そんなことは干渉することではありません。従って、その役員がどういうふうに変遷をしていくかということは、あなたが口出しすべきことではないのであります。どういう役員であろうと、あなたは組織の代表者として尊重をしなければならぬ立場にあるわけであります。その点についてあなたは誤まりを犯しておる。国税国税としてどういうふうなこれからの道を歩くかどうかは、全国税の傘下におられる労働者諸君がみずから信じみずから選んだ人を通じて、今後の道を歩くでありましょう。それが、今あなたのような考えをし、そしてその考えに基いて、もしもあなた及びあなたの部下の職員が行動をするならば、明らかにこれは不当労働行為になります。組合の人事に干渉する言動をなし、そういう行動をすることになるのであります。私はその片りんをもうすでに知っております。けれども私は今そのことを言おうとはしません。根本的なものの考え方としてあなた方が誤まりを犯しておる、そういうことを私はこの際十分に反省を願いたいと思うのであります。すべて物事がそうであるように、完全な組織というものは、労働組合にもありますまいし、あなたの力だって、先ほどお認めになったように、完全ではありますまい。不完全同士がお互いに組織を通じて話し合いをするのですから、この不完全さがあなたは気になって相手を認めない、話もしないということは、法律上の問題を離れて日ごろ尊敬をしておりますあなたの立場として、あり方として、いささかこの点について私は苦言を呈せざるを得ない。間違いを指摘せざる存得ない。これは何回も私は本委員会であなたに御忠告を申し上げました。この道ばかりは長官は間違っておる。この道ばかりはもう一度十分お考えになって、労働運動のあり方というものを本質的にお定めになって行動せられんことを、私は強く指摘をし要望したいと思います。  いずれ具体的な問題につきましては機会を改めて御意見を申し上げ、御質問いたしたいと思うのでありますが、今日は時間もありませんから、大筋の問題として私の意見を表明し、考えを述べておきます。
  46. 早川崇

    早川委員長 これにて両法案に対する質疑は終了いたしました。御報告いたします。ただいま議題となっております内閣提出所得税法の一部を改正する法律案に対しまして、奧村又十郎君外二十五名より修正案が委員長の手元に提出されております。この際提出者趣旨説明を求めます。奧村又十郎君。     —————————————
  47. 奧村又十郎

    ○奧村委員 本修正案の案文は、すでにお手元に配付してありますので、朗読は省略させていただきます。  修正の内容は、現行法においては、税務署または国税局が青色申告者に対してその青色申告の承認、取り消しをする場合には、その通知書に取り消しの理由を付記しなくともよいことになっておりますが、善良な青色申告の納税者に対し不当にその権利が侵害されることを防止するために、この修正案で、青色申告の承認、取り消しをするときは、その取り消しの理由を付記しなければならないこととしようとするものであります。
  48. 早川崇

    早川委員長 これにて修正案の趣旨説明は終りました。  これにて修正案に対する質疑は終了いたします。  これより討論に入ります。通告があります、これを許します。松尾トシ子君。
  49. 松尾トシ子

    ○松尾委員 私は、ただいま上程されました所得税法の一部改正案並びに租税特別措置法の一部改正案に対し、日本社会党を代表し簡単に反対の討論を行うものであります。  昨年の五月、総選挙における自民党の公約の大きな一つの柱は、七百億円の減税でありました。ところが、この減税の内訳は、昭和三十四年度予算において、初年度五百三十三億、平年度七百十七億円で、表面上数字のつじつまは合っておりますが、国民生活の実態の収支に照らしてその内容を検討しますと、減税の目的に反している点が多々あるのであります。すなわち、税金の問題は、それのみを切り離さず、各家庭の生計費を軽減して末端における個々の生活に実質的効果を及ぼすものなりやいなやを、厳正に判断しなければなりません。  第一に申し上げたいことは、今なお税金が生活費に食い込んでいるということであります。すなわち、昭和三十三年七月の平均世帯の四・五六人の家庭の家計支出を見てみますと、総理府統計局の統計によっても、一ヵ月二万七千六百四十円生計費がかかっている。これを標準の五人世帯の年支出を計算すれば、三十六万三千六百八十円と相なるのでございます。このたびの所得税改正によっても、課税査定額は標準世帯で三十二万七千九百円となっておりますので、税金が生活費に食い込んでいることが明確に実証されます。すなわち、日本社会党が三十六万円まで減税にせよと主張している点はこのあたりにあるのでございます。  第二に申し上げなくてはならないのは、物価の値上りと減税との関係であります。日常生活に深い関係を持っているものを取り上げてみればおわかりになりますように、私鉄運賃並びにガス料金、バス料金、公営住宅、授業料、食塩、小麦粉、入浴料、理髪代、クリーニング代というように、それらのものはすでに上ったか、あるいはこれから上ろうと予定しているものであります。減税に恩恵があるといたしましても、減税の恩恵を受ける者は百万人に満ちませんけれども、物価の値上りの影響で苦しむものは九千二百万人の全国民であるということを忘れてはならないと思うのであります。  次に、租税特別措置法改正について一言申し上げます。  今回、政府は、預貯金等に対する特別措置、配当所得に対する源泉徴収税率の軽減、証券投資信託に対する源泉徴収の税率等、十三項目にわたって改正を加えておりますが、決して大きな改革ではありません。大規模の設備投資に次ぐ設備投資を行い、企業の系列化をはかって今日の繁栄を再びほしいままにしたのは、一つ政府の財政投融資であり、もう一つはこの租税特別措置法であったと思うのであります。日本社会党は、かねてから一千億円に余る租税特別措置法による法人税等の恩恵に対し鋭いメスを加えて参りました。このごろになってから政府はようやくこれらのものに手をつけ出しましたが、これは特別措置の整理というのは名ばかりでありまして、むしろ整理、改正をする以外のものは固定化し始めたのではないでしょうか。戦後特別措置法により数千億円の租税が軽減されておりましたが、果してそれだけの効能があったかどうか疑わしいと思うのであります。これらの大金が社会保障につぎ込まれておりましたならば、りっぱな社会保障制度の確立を見たことであろうと思うのであります。私は、このような小手先の資本家本位の租税特別措置法の整理にとどめず、日本社会党の主張するような大幅な整理の段階が来たことを確信を持って言うものでございます。  以上、簡単に両案に対して反対の理由を申し述べ、私の討論を終りたいと存じます。(拍手)
  50. 早川崇

    早川委員長 これにて討論は終局いたしました。  続いて採決に入ります。  まず、内閣提出所得税法の一部を改正する法律案及び同案に対する修正案の両案を一括して採決いたします。  まず、修正案について採決いたします。本修正案を可決するに御異議あませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  51. 早川崇

    早川委員長 御異議なしと認めます。よって、本修正案は可決されました。  続いて、ただいま可決いたしました修正案の修正部分を除く原案について採決いたします。これを可決するに賛成の諸君の御起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  52. 早川崇

    早川委員長 起立多数。よって、本案は修正議決されました。  次に、租税特別措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。本案を原案の通り可決するに賛成の諸君の御起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  53. 早川崇

    早川委員長 起立多数。よって、本案は原案の通り可決いたしました。  この際お諮りいたします。ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成並びに提出等の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  54. 早川崇

    早川委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。  本日はこの程度にとどめ、次会は明二十六日午前十時十五分より開会することとし、これにて散会いたします。     午後五時四十三分散会      ————◇—————