○奧村
委員 やめる場合の今の勧告などはわかります。しかし、残存業者に対して、この提出する合理化
計画書を実行する義務というものは何も規定されておらぬので、魂が抜けておる、こういうふうに私は申し上げるのです。これはちょっと
議論にわたりますから、その次に移りたいと思います。なぜ私は強くこの点を申し上げるかというと、この法律によって先祖伝来の塩作りをおやめになる、いわばお気の毒なお方々、あるいはそれどころか、やめようかやめまいか、こういって迷うておられる全国の
塩業者がずいぶんたくさんおられると思う。残存される人にしても、もう今までのような中途半端な気持ではいきませんぞというふうなこと、そういう
判断をきっぱり業者にさせて、あとくされのないように、
塩価を下げるために涙をのんで一つきっぱりやめようという気持を起させるためには、
政府の不動の信念というものをはっきり明確になさらなければ、やめようかやめまいかというお方方、特に先祖伝来の商売をやめるお方については、今の
状態ではまことにお気の毒である。実は、かように申し上げるのは、私は
昭和二十五年まで自家製塩をやっておった人間であります。その当時の金で百万円以上の
施設をやって、それが大蔵省の命令一本でやめて、その当時はびた一文の補償金も出ませんが、しかし、これも国策とあればやむを得ぬ、こう思ってやめたのであります。今日こういう
法案を見ると、同じ業者でがんばってやっておったものは今度補償金をもらえる、同じやめるなら、わしも意地を張ってやっておればよかった、今さらながら残念に思のですが、そういうやめてからあと味の悪い思いをさせちゃいかぬということと、また消費者大衆に対して今度の法律でいよいよ塩は安くなるんだという確信を持たすために、私は特に突っ込んで言うのです。
そこで、問題は、
先ほど他の
委員からも
お話がありましたが、この
整理の方法について、過去三、四年の間に非常にたくさんの
許可をし設備をやらせ、また夫稼働の設備をやりつつある
機械製塩、こういうものに対してどうしようかということ、これに明確な御
答弁がないので、重ねて申し上げるのは恐縮でありますが、別の角度で申し上げます。現にこれは、わが
大蔵委員会において、去年の暮れ、特にこの
整理の問題について、参考人として山口県の塩業組合の連合会長、あるいは生島塩業株式会社の専務
理事、あるいは日本塩業労働組合連合会長を呼んで意見を聞いた。その人たちが口々に言うことは、ごく最近に
許可し今設備しつつある
機械製塩八工場及び十万トンの錦海湾、これを何とか善処させれば、昔からの
塩業者をそうばたばたやめさせぬでもいいじゃないかということを言うておられる。これについて
政府のもう少し明確な御
答弁がないと、おそらくどなたもみずから進んでやめますということには言い切れぬと思います。ですから、私としては与党ではあるが、やむを得ずこれだけは確かめておかなければならぬ。この点については、おそらく、
政府の
立場からいいますと、それは
機械製塩で新しい
技術を入れればどんどん
塩価は下るんだから、
塩価を下げるためにやむを得ず新規の
許可もせねばならぬと言われるが、
先ほども御
質疑があったけれども、中にはトン八千円でできるとかトン七千円でできるという
計画書を出して
許可をとりながら、実際工場ができたらその倍の一万六千円もかかっておる。それをどうするか、先般から私はお尋ねしておる。北陸製塩はようやく昨年設備が完了して、塩ができてみたらトン一万七千八百数十円もかかっておる。当然これは
整理しなければならぬ。あるいは錦海湾は今
お話しの
通り。そうすると、これも自発的にやめるということを言うてこなければ
整理の対象にならぬのですが、それならほかの普通の
塩田業者もやめる人はおそらくよけいはおらぬと思う。これを何とか
政府の明確な御方針をおっしゃっていただくわけにはいかぬでしょうか。特に現在まだ設備は作りつつあり、未稼働です。これに対してどうするのか。これだけは聞かせていただきませんと、これからやめようとする人の腹がきまらぬと思う。またこれがはっきりしなければ、
塩価一万円に下るという確信が持てぬ。現に去年できた北陸製塩がトン一万八千円近くかかっておる。錦海湾なんかは途中で
工事が失敗したのだから、これも完成したってトン一万何千円かかる。こういうものをやらせておけば、この法律を執行したってトン一万円にはならぬのです。特に問題は、北陸製塩や錦海湾や、こういう最近作らせたものは、農林漁業金融公庫や農林中央金庫、みな国の金を使っておる。あなた方、それがいやならやめさせるとか、自発的にまかせるとか言っておるけれども、資本金はごくわずかです。大かた国の金ですよ。これがうまくいかなければ、みな国の欠損です。これをどうしますか。一つはっきり御
答弁願いましょう。