○石野
委員 外貨ドルをどれだけ持つか、あるいは金準備がどれだけあるかということにかかわらず、国内
経済の態勢がどれだけ実勢力を持っているかということの方が大事だと思います。これは私も同感だと思う。しかし、それだからといって、外貨ドルあるいは金準備が皆無であっていいというわけではございません。おのずからそこには相関的な
関係としての実際の所要の額が必要になってくると思う。欧州の場合は、先般いわゆる通貨の交換性が回復されたことによりまして、従来持っていた決済同盟というものが通貨協定の形に変ってきている。通貨協定の形の中で、これらの諸国はおのおの国内の体質改善を要請されるような事態も出てきているし、しかもそれを相互に援助し合うという体制が出ているわけであります。
為替局長が言っているように、
日本は今日の場合そういう体制を持っておりません。しかも、
経済の場にしましても、
日本の
経済の実態がほんとうに底力のあるものであるかどうかということについては、非常に不安があるわけです。輸出の面では若干の安定性は出てきているかに見えますけれ
ども、輸入の面ではまだまだ不安定なものがあるといわなければならぬ。特に昨年来の輸入の実態を見ますと、多分に国内
経済の政策的な面においてこれを抑制されたという傾向、これは
政府自身もよくおわかりだろうと思う。本年度の
経済の動きの中で輸入がどう動くかという問題は、非常に重要になってくると思います。私はやはり
日本の
経済の実態というものは、欧州十四カ国諸国が置かれているような環境とは非常に違っている型で、非常に困難な道を歩んでいるのではないかと思います。従って、そういうような輸出の面、特に輸入の面におきまする不安定性というものに対するどれだけの確信を持つかということと、それからそれと連関して
日本がやはり通貨の交換性に踏み切っていく、貿易の自由化の
方向へ踏み切っていくという問題との関連性は、非常に緊密であります。
政府は、先般来、世界もそういう動きになっているのだから、
日本もそういう
方向にいきたいということを言っておるけれ
ども、実勢としては、そういうことはできないような事態がそういう
経済の内包的な
事情の中で出てくることも、懸念しなければいけないわけであります。やはり言葉の上でやるのだ、やるのだと言っても、実際に力がなければできっこありませんから、そういう問題についてどうするかということになってこようと思うのです。そこで、私が先ほどから言ったように、大体
日本経済の実態からいって、どの程度の金準備の高が必要であり、また外貨ドルの
必要性があるか。また、今日われわれが見るところでは、本年の二月末におけるところの外貨の保有高は八億三千五百万ドルだ。それから金準備は一億ドルちょっとこえておる程度であって、十億に満たないわけであります。しかも、先ほど言ったように、輸入の面では非常に不安定なものがあって、国際収支の上に非常な影響がくるかもしれないという懸念があるということになりますと、どうしても、
大臣が言うように、金準備はどれだけあるかとか、あるいはドルがどれだけあるかというよりも、むしろ
経済の実態の方に力があるのだ、というふうに逃げてしまうことはできないのです。実際問題を言うと、逃げるだけの体質を持っていないのです。むしろ西欧諸国よりは一そう強く金準備あるいはまた外貨保有の側に依存しなければ、通貨の交換性とかあるいは貿易の自由化ができないというような実態にあるとするならば、むしろこの外貨保有あるいはまた金準備というものに非常に重点を置いて考えない限り、
日本の
経済の実態からは貿易自由化とか通貨の交換性とかいう問題は出てこないのではないか、こういうふうに思うので、
大臣の先ほどの答弁は非常に巧妙に逃げていこうとするけれ
ども、逃げる道はないと思う。もう一度
一つ……。