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1959-03-17 第31回国会 衆議院 大蔵委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年三月十七日(火曜日)     午前十一時十六分開議  出席委員    委員長 早川  崇君    理事 押谷 富三君 理事 小山 長規君    理事 坊  秀男君 理事 石野 久男君    理事 佐藤觀次郎君 理事 平岡忠次郎君       奧村又十郎君    加藤 高藏君       小西 寅松君    進藤 一馬君       西村 英一君    濱田 幸雄君       福井 順一君    福田  一君       福永 一臣君    細田 義安君       毛利 松平君    山本 勝市君       石村 英雄君    春日 一幸君       久保田鶴松君    田万 廣文君       竹谷源太郎君    廣瀬 勝邦君       山下 榮二君    山花 秀雄君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 佐藤 榮作君  出席政府委員         総理府事務官         (公正取引委員         会事務局長)  坂根 哲夫君         大蔵政務次官  山中 貞則君         大蔵事務官         (主税局長)  原  純夫君         大蔵事務官         (理財局長)  正示啓次郎君         大蔵事務官         (為替局長)  酒井 俊彦君         国税庁長官   北島 武雄君  委員外出席者         大蔵事務官         (財務調査官) 大月  高君         大蔵事務官         (理財局証券課         長)      松井 直行君         専  門  員 抜井 光三君     ————————————— 三月十三日  委員大西正道君辞任につき、その補欠として山  花秀雄君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 三月十三日  接収貴金属等処理に関する法律案内閣提出  第二五号)(参議院送付) 同月十六日  所得に対する租税に関する二重課税回避及び  脱税防止のための日本国デンマーク王国と  の間の条約実施に伴う所得税法特例等に関  する法律案内閣提出第一八二号)(予) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  所得に対する租税に関する二重課税回避及び  脱税防止のための日本国デンマーク王国と  の間の条約実施に伴う所得税法特例等に関  する法律案内閣提出第一八二号)(予)  税制に関する件  金融に関する件  外国為替に関する件      ————◇—————
  2. 早川崇

    早川委員長 これより会議を開きます。  昨十六日予備付託になりました所得に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための日本国デンマーク王国との間の条約実施に伴う所得税法特例等に関する法律案議題といたします。  政府より提案理由説明を求めます。大蔵政務次官山中貞則君。     —————————————
  3. 山中貞則

    山中政府委員 ただいま議題となりました所得に対する租税に関する二重課税回避及び脱税防止のための日本国デンマーク王国との間の条約実施に伴う所得税法特例等に関する法律案について提案理由及びその内容を御説明いたします。  政府は、今回デンマークとの間に所得税及び法人税に関する二重課税回避及び脱税防止のための条約を締結し、その批准について承認を求めるため別途御審議を願っているのでありますが、この条約規定されている事項のうち、特に法律規定を要すると認められるものについて所要の立法措置を講ずるため、ここにこの法律案を提出することとした次第であります。  以下この法律案内容について申し上げます。  まず第一に、利子所得等に対する所得税法特例を定めることとしております。すなわち、今回の条約によりますと、わが国及びデンマーク両国とも、国内恒久的施設を有しない非居住者等に対して支払われる利子所得等につきましては、百分の十五をこえる税率課税をしてはならないこととなっておりますが、わが国所得税法では、これら利子所得等に対する税率は百分の二十となっておりますので、条約適用のある場合には、所得税税率を百分の十五に軽減することとしているのであります。  第二に、特許権等譲渡により生ずる所得に対する所得税法及び法人税法特例を定めることとしております。今回の条約によりますと、わが国及びデンマーク両国とも、国内恒久的施設を有しない非居住者特許権等譲渡による所得に対する租税は、収入金額の百分の十五をこえてはならないこととなっておりますが、わが国所得税法及び法人税法では、この種の所得につきましては、一般所得と同様に、個人については累進税率により、法人については一般法人税率により課税することとなっております。従って、条約適用のある場合で、これら所得に対するわが国税法による税負担収入金額の百分の十五をこえることとなるときは、その負担収入金額の百分の十五に軽減することとしているのであります。  最後に、今回の条約実施に関して必要な手続その他の事項は、条約規定趣旨に従い、大蔵省令でこれを定めることとしているのであります。  以上がこの法律案提案理由及びその内容であります。何とぞ、御審議の上、すみやかに御賛成下さいますようお願いいたします。
  4. 早川崇

    早川委員長 これにて提案理由説明は終りました。本案に対する質疑次会に譲ります。     —————————————
  5. 早川崇

    早川委員長 税制に関する件、金融に関する件及び外国為替に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。春日一幸君。
  6. 春日一幸

    春日委員 私は、証券行政全般について、大臣所見をお伺いいたしたいと思います。  当面いたしておりまするわが国株式市場は、全くその破天荒なダウ相場にも示されております通り産業資本調達という本来の任務はまるきり二の次にされてしまいまして、何だか過当投機の場として堕落し去った気配があるのでございます。そこで、わが国証券市場がこういうような形であって果してその機能を十分遂行しておるかどうか、この際徹底的に国政調査メスを加えて、わが国証券政策及び証券行政に改善をはかりたいというのが、私の本旨であります。従いまして、以降その重要なる二、三の問題について、特に責任のある大臣の御答弁を願いたいのでありますから、一つ明快にかつ具体的に御答弁を願いたいと思うのであります。  第一にお伺いをいたしたいことは、政府はまず証券業界現状を何と見ておるかという点についてでございます。言うならば、大証券独占強化、そしてまた著しい中小証券の衰退といいましょうか、没落ということが、すでに大きな社会問題にもなりつつあり、単なる社会問題、経済問題ばかりではなくして、法律的なまたは政策的な技術上の大きな問題にもなっておると思うのであります。さらにまた、この大証券市場独占から来たるところの結果といたしまして、証券相場の不公正な、作為的な騰落というものを見のがすことができないと思うのでございます。これらこの証券取引法精神に違反する行為、それからまたこの法律の制限の外で行われておる脱法的な行為、ようやくそのような弊害が露呈せんといたしておるのでございます。これはもとより一朝一夕にして一刀両断に解決することはなかなか困難ではありましょうけれども、今においてこの委員会政府、特にあなたの責任においてこの問題を抜本塞源的に解決をする、問題を克服するにあらざれば、近き将来におそるべき破綻、おそるべき恐慌が予想されるのでございます。従いまして、私がこの際特にお伺いをいたしたいことは、こういうような諸現象に対して、政府は今まで何らかの改革案について検討したことがあるかどうか、また何かそれに対する腹案があるのか、まずこの点についてお伺いをいたしたいのであります。
  7. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 証券業界は、ただいま御指摘になりますような重大な意義、また価値のあるものでございます。これがあやまちまするならば、多数の国民に迷惑を及ぼすばかりでなく、経済界に及ぼす影響もまたきわめて甚大でございます。こういう意味におきまして、政府においては証券業界あり方について絶えず注意をいたし、また基本的な考え方についてもいろいろ構想を研究いたしておるものでございます。しこうして、ただいまあげられました点が証券業界の欠点である唯一のものだとは思いませんが、何といたしましても、大証券中小証券との関係等を見ました場合に、あまりにも力の強弱がはっきりいたしておりますし、そういう意味から、大証券による独占的な価格構成なりあるいは経営方針が、非常に証券業界影響を与えるのではないか、こういう意味で、この辺を何かためる方法はないかという点が一つあるわけでございます。この大証券中小証券との関係は、ただいまは技術上の面から御批判でございましたが、事柄が信用関係する問題でございますだけに、力のあるもの、いわゆる大証券というものが一般国民からの信用を博しておる。これは実はどうすることもできない現状でございます。従って、金融界、ことに証券扱いの上において一番大事なことは、その扱い業者信用度というものが非常に高く大衆から評価される、こういうことで、今までのような地歩のできている証券会社が優位に立っている。この現状は、実はなかなか一朝一夕にその地位を変えるわけには参らないものがある、かように実は思うのであります。しかしながら、大証券が力を得た結果、作為的に株の値段を左右するということがありましては、それこそ、証券業界あり方から見まして、非常な混乱した状態を引き起す危険をも包蔵するのでございますから、この点につきましては、私どもも絶えず注意をいたしておるのであります。  そこで問題になります最近の株価そのものが、この証券業界企業組織の上からいろいろ左右しておるのではないか、こういうことで、私どももいろいろ絶えず注意をして参りました。しかしながら、今日の株価そのもの高騰高騰を続けておるこの状況は、いわゆる作為的なものだとはどうも考えられないのです。ただ問題は、非常な急激な株価変動がありますと、一面もうかる人もありますが、非常に損する人がある。同時にそれが経済界にも大きな波動を及ぼす危険がありますから、これはつとめて避けなければならないということで、適正なる株価ということを絶えず念願して努力をいたして参っておるのであります。  そこで、もう一つの問題といたしまして、従来の証券取引実態が、戦後、戦前の姿とは非常に変って、証券業界が取扱いを限定されて参っておるのでございますが、こういうような状況で果して正しい株価が形成されるかどうか、これも一つ研究課題だと実は思っておるのであります。同時にまた、今問題になっておりますのは、何と申しましても証券業者投資信託その他の業務形態というものが一体どういうように運営されておるか、果して本来の制度を作りましたその趣旨に沿うような十分の働きを持っておるかどうか、こういう点が私どもがただいま検討しているポイントでございます。そういうようなわけで、いろいろ問題を包蔵いたしておりますが、株価だけの点について申しますならば、非常な急激な変動はとにかく避けたい。しかしその株価一役所で自由になるものではございません。もし自由になるものでございましたら、私も今大蔵大臣などしていないかもわかりません。また株式界の非常な通であられる春日君にしても、理論的にはお話しになりますけれども、なかなか株価は左右できない。問題は、ただいま申し上げるような弊害を除去するということに特に注意をいたしております。  それから、同時にまたもう一つつけ加えさしていただきますが、その点は、中小企業等が、その信用を誇示するというような意味において、過大広告その他をし、なかなか業績の思わしくないものもございます。こういうものは私どもも検査を厳重にいたしまして、大衆に迷惑のかからないように、常時これを指導すると同時に、不幸にして非常な不都合なことがありますならば、この大衆の迷惑が最小限度でとどまるようなあらゆる工夫をいたしておるというのが現状でございます。
  8. 春日一幸

    春日委員 株価適正水準にとどめるためにということで、今まで大蔵省が前後七回にわたってそれぞれの勧告や措置をとったと思うのであります。そのたびごとにとにもかくにも逆検価が上っていくということは、これは異常なことであると断ぜざるを得ないのでございます。そこで、私は、この少くとも証券行政を所管いたしまする国憲の最高の機関といたしましての本委員会に課せられておる使命は、まことに重大であらんと考えて、どうしたら問題の解決ができるか。すなわち、わが国証券業界における問題点は何か。これをいろいろと分類して整理をいたしてみました。そういたしますると、大体緊急に処理をせなければならない問題点は、次の七つにしぼることができると思うのであります。これは一つ正示さんも十分御銘記を願いたいと思うのでありますが、その一つは、証券業者に関するもの、それは大証券中小証券競合の問題が一点である。それから第二は、証券業務に関するもの。それは証券業者職能分化、特に投資信託業務分離の問題、これが第二の問題である。それから第三の問題は売買仕法に関するものである。すなわちこれは定期取引の問題というものもやはり抜本根塞的にしょせんは解決をつけなければならぬ問題であろうと思う。それから第四点は、証券取引所に関する問題。これは取引所管理機構に多くの問題がございまして、申し上げるまでもなく、証券ボスの跳梁、それから証券取引所私的クラブ化、そういうようなところから来たるところの公共性の喪失、こういう問題が第四点であろうと思うのであります。それから第五点は、証券税制に関するものであろうと思うのであります。これは企業課税の問題にまたがりまして、利子所得に関する分離課税の問題と企業課税に関する総合課税の問題。これはやはりこの証券税制から来たるところのいろいろな問題がここに内在をいたしておる。それから第六点は、証券金融に関するもの。それは株式有価証券担保金融の問題でありますが、これはあとでまた詳細に論じて、なお政府所見伺いたいと思いますが、この証券金融に関するものが第六点。それから最後に、最も大きな問題点は、大蔵省の無定見な証券政策、それから正示君を頂点とするところの全くの無為無能な証券行政。大体この七つにこれを分類することができると思うのであります。  そこで、私は、本日大臣もそれから証券行政責任者でありまする正示君も参られておりますので、これは高度の政策的見地から、そうしてまた管理行政技術的な面から、この一つ一つについて、時間の許しまする限り、われわれの見解、調査いたしたところを申し述べて、大臣所見伺いたいと思うのであります。  まず第一番に、この大証券中小証券競合の問題から入っていきたいと思います。私はいろいろ調査したところもあるのでありますが、一口に言いますならば、大証券独占強化と、その結果としての中小証券没落というものは明らかなことであります。調べたところによりますと、四大証券は現在一切の社債の八〇%を引き受けておる。それから上場、非上場会社の九九%以上の管理会社は、その四大証券独占をいたしておる実態である。それから、株式売買市場では、東京市場だけについて見ますれば、その総出来高の八〇%が四大証券、わずか残りの二〇%を九十六社でひしめき合って分割し合っておる、こういうことであります。そこで、他の資料について見ますると、昭和二十四年五月に証券取引所が再開された後の経過を申し上げまするならば、この間証券業者として登録をいたしたものの累計が千四百三十六件、その後破産、倒産あるいは事業行き詰まり等登録の取り消しを申請したものが八百七十五件、実にこの六〇%強が脱落をしたのでありますが、これはそのたびごと大衆に対して大きな迷惑をかけておる、被害が及んでおるということは特に御銘記を願わなければならぬが、いずれにしても中小証券は現在の機構のもとにおいてはしょせんはつぶれなければならぬ。すなわち立ち行くことはきわめて困難である。すなわち過半数のものが現につぶれておるというこの資料から、一つ政府当局において、どこにこういう必然性があるのか、どこに原因があるのかということを十分に御検討願わなければならぬ。現在担当業者が五百六十一社ありますけれども、これは、言うてみるならば、戦前では大体においてこの大証券中小証券の力の格差は馬とシカくらいの断層ではなかったかと思う。ところが、今では、野村証券中小証券を比べてみれば、マンモスネズミくらいの大きな開きがついてしまって、もはや問題にならぬという状態になってきておる。それくらいの大きな断層がついてきた。私はこの問題について大臣に申し上げまするが、中小証券がとにかく必然的に没落をしなければならぬ運命にある、登録をしたところでやがてはつぶれるのだというこの実態を見て、あなたはこれに対してどういう対策をとったか、この点を伺いたい。それから、私は坂根事務局長伺いますが、こういう証券業界市場独占のありさまを、独占禁止法精神に照らしてあなたの方は何と判断をしておるか、またそれに対して必要なる手を打ったことがあるか、この点について大臣並びに公取からの御答弁を願いたい。
  9. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 マンモスネズミ関係ですが、とにかく私どもしろうとが考えてみましても、証券業界の力の相違が一体これでよろしいのかということをまず第一に考えるのであります。御承知のように、この事業は戦後において非常に自由な営業に移ったわけであります。ただいま御指摘になりますように登録制度で発足した、こういうところに実は非常に問題があると私は考えるのであります。かといって、直ちに登録制度をどうこうすると申すのではございませんが、非常な自由営業にし、これを登録制度にしたところに、一つの問題があるのではないか。この点は、逆に一面、これが自由な登録制度で発足するということで、業界は新味と活発さを加えて参ったわけでありますが、同時に、信用に関する問題で、大衆に甚大な影響を及ぼすものでありますから、私は条件等についてはもう少し厳重であってもよろしかったのではないか、こういうことを一つ感ずるのであります。しこうして角をためて牛を殺すようなことのないようにするためには、中小業者に対しての信用を強化してやることが必要じゃないか。そういう意味におきまして、保証制度を確立することにより中小業者の今後の発展の余地があるのではないかということで、いろいろ力をかして参っております。同時にまた、これは必ずしもいいことではございませんが、大業者とのつながりにおいて、大業者の庇護のもとに中小企業も活動している面が相当あるのでございます。また、大業者自身は非常に間口が広くて、いわゆる百貨店式経営をいたしておりますが、中小業者のうちには、いわゆる専門店としてのよさを生かしていくというような工夫も実はあるのでありまして、中小企業自身マンモスネズミだということで、当然没落、壊滅の一途をたどるのだ、こういうわけのものではない。いわゆる中小企業専門店式なよさもやはり助けてやる。組合による信用共助なり、大商店との提携だとか、いろいろ工夫をすることによりまして、今日の自由闊達な証券取引の姿を業者の多数によって堅持していきたい。そこで、私ども絶えず気をつけて参りたいことは、大衆に迷惑のかからないように、この点に特に力を置いて業界あり方をいろいろ指導いたしておるというのが現状でございます。
  10. 春日一幸

    春日委員 それに対する具体的な措置は何か。
  11. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 お答え申し上げます。  ただいま大蔵大臣からお答えになりました通りに、われわれといたしましては、四大証券、それから中小証券というものが、それぞれその特色に応じまして所を得て併存していくことが一つ考え方である、という考えで指導いたしておるわけでございます。そこで、どういうことを具体的にやったかという御質問でございますが、たとえば先般国会を通過いたしました減税目掛投資というような面につきましても、春日委員もよく御承知通りに、必ずしも大証券を中心に施行いたしたわけではございません。中小証券につきましても、その内容がよく、堅実なものにつきましては、これを認めまして、りっぱにその職責を果しておることは御承知通りであります。またあとで問題として提起されるところでございますが、投資信託にいたしましても、投資信託委託会社としましては、四大証券がまず最初に受益証券の販売をいたしたことは御承知通りでありますが、その後に至りまして中小のものにも許可をいたしまして、今日では十四の会社売買及び委託会社としてやっておるわけであります。将来におきましても、大証券中小のものとにおきまして、それぞれ特色を発揮いたしまして、いわばお客様の好みに応じて商品を売るという仕組みでりっぱに信用を博し、また経営の堅実を期していける、こういうふうに考えておるわけであります。
  12. 春日一幸

    春日委員 公取の御答弁あとでまたいただくことにいたしまして、ただいまの御答弁によりますと、これはやはり末梢的な施策であって、問題の根幹そのものメスを加えていない。結局それはこうやくばりのことであって、それでは解決にならないのであります。解決になっておるなら、中小証券はすでに持ち直しておらなければならないが、窮状日とともに加わっておる。あなた方が中小証券のためにやっておる特別な施策としては効果がないということを、あなた方は十分御銘記なさる必要があると思うのであります。  そこで、私が特に大臣に申し上げておきたいことは、これはしょせん何らかの法的規制をしなければならぬ。たとえば、常識的に考えてみましても、マンモスネズミが同じおりの中で同じえさばちによって飼われておるということなのです。えさばちが一つであれば、マンモスがその体力にものを言わせて、より多く食べる、そしてネズミたちが食べに来たときには、もうなくなっておるというのが実情なのです。ですから、取引の八〇%以上のものが四大証券独占されておるという現象現実のデータが証明して余りある。そこで、その対策としては、言うならばおりを分つ、マンモスマンモスおりにこれを分つ、あるいは分つことができなければ、せめてはそのえさばちを分ける。これはマンモス用えさばち、これはネズミ用えさばち、これを分けることによって共存共栄の態勢を作るということが、必要にして欠くべからざることであると思問う。私は、ただひとり中小証券業界ばかりについて言うのではなくて、私は、中小企業政策特別委員会事務局長として、党においてかって中小企業総合政策を作ったことがある。その中で作りましたところの一案は、大企業中小企業の弱肉強食的な弊害を除去するための策は何か。これに答える法律案として中小企業産業分野の確保に関する法律案といって、言うならば、このえさばちを分け合う法案を国会提案いたしまして、継続審議になって今日に至っておる。じゃ、そういうえさばちを分ける具体的な方法をこの証券業界に当てはめた場合、どんな答えが出てくるか、これについて私の研究したところを申し述べます。  私ども大蔵委員会で、一昨年でございましたか、ニューヨークの株式取引所、ロンドンの取引所等を見て参りまして得た知識は、やはりそういう職能分化というものが行われておることです。われわれが傾聴いたしましたことは、アメリカなんかでは、カーブマーケットといって、第二市場がある。中小証券のために特に確保されておるところのカーブマーケットがある。日本なんかでも現実店頭売買が総取引の一割は行われておる。店頭売買雑株取引ですね。だから、これをアメリカの例にならって、中小証券独占的なと言いましょうか、彼らにのみ確保されておるところの市場として、すなわち、中小証券が生きる道を、こんな方向に活路を見出していく、そうして多数者が共存共栄の形において円滑な株の流通、ここへ参画できる態勢を確保するというのなんかは、私は一つの案であろうと思う。これは、私がここでただ端的に貿的に申し上げておるのではなくて、英米においても幾多の分類が行われておる。幾多の職能分化現実に行われておる。行われておるということは、これらの先進国においては、そういうことを分化するにあらざれば、証券業界においては、やはりこれが営利事業であります限り、資本主義の必然の結果として、こういうような過当支配というものが現われてき、それを避けることができない。それを除去するための具体的な方策として、こういうものがとられておると思うのです。従いまして、今わが国証券業界においてもようやく弊害が現われようとしてきておるときですから、こういうときには、わが国においても、ただひとり中小証券を救済するという社会政策的見地からではなくして、経済政策、特に証券行政実態的な技術的な政策として、その効果を確保するために、アメリカにならってカーブマーケット、第二市場中小証券のために確保するの策をとったらどうか、私はこういうことを考えておるのだが、これは当然政府においても相当の研究がなされておると思う。これに対する大臣所見はどうなんでありますか。
  13. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 最近、日本社会党においては、証券取引について特に検討し、結論を出し、それをもって国会でも十分その意見を述べられるやに伺っておりましたが、おそらく、ただいまのお話も、長い間研究の結果、そのまず第一のものが出ていると思います。大へんお考えとしては私どもも啓蒙されるのでありますが、その点では、先ほど非常にわかりにくい表現をいたしましたが、中小業者がやはり専門的な役割ができないかということを申したのであります。専門店式な役割というものと今御指摘になりましたものがぴったり一本ではございませんが、やはり非常に間口の広い証券業者の扱い方もさることだが、中小業者としては、やはり専門店的な扱い方で自己の基盤を作り信用を確保するということが、一つ方法ではないかと思うのであります。ただいま御提案になりました案について、わが国証券界のこれは特殊事情と申しますか、どうも実情に合わない点は、何と申しましても株の絶対量が非常に少いということであります。株の絶対量が非常にふえて、そうして証券市場というものが非常に拡大されておる欧米と一緒にはなかなかできないものがある。今日株の絶対量の非常に少い日本に、ただいま御指摘になりましたような式を直ちに考えましても、それはどうも合わないのではないかという感じがいたします。これはもう少し私ども工夫を要する問題だと思いますが、ただいまの市場状況なり、あるいは四大証券が非常に優位に立ちますことは——株自身の絶対量が少いところであり、信用そのものに重点を置いている取引実態から見まして、どうしても優位に立つ。だから、一面に組織の問題もございますが、株の数量をふやしていくことが何といっても大きな問題だ、かように私ども考えております。
  14. 春日一幸

    春日委員 株の数量をふやさなければならない問題については、あと税法その他の問題、銀行局長もお出かけ願っておりますので、そういう問題と関連をして、一つ具体的な手を打っていただきたいと思います。私の今申し上げました所見は、政府としてももっと検討してみたいということでございますから……。いずれにしても、大証券中小証券との競合の問題は、共存共栄の形と、そうして多数者を証券取引に参加せしめることによってその公共性を確保していくという、この要請から考えても、しょせんは何らかの手をあなた方の方で打っていただかなければならない問題でありますから、この点は十分一つ御検討願って、適切なる方策を講ぜられんことを強く要望いたしておきます。  次に、証券業者職能分化の問題について、特に投資信託業務の分離の問題を強調しつつ、政府の御所見伺いたいのであります。証券事業の民主化と、証券の円滑なる流通をはかり、しこうして公正なる相場を確保するために、証券業者としての職能を区分する必要があると私は思うのであります。政府はこれに対してどういうお考えをお持ちでございましょうか。私の検討いたしておるところによりますと、これは少くとも引受業務と売買業務の分離、それから二つには、委託売買業務と自己売買業務の分離、それから第三に、本来の証券業務投資信託委託会社業務の分離、この三点が、投信の証券会社兼営の問題でありますが、諸外国の例は一体どうなっておるのでございましょうか、この点を一つ伺いたいのであります。これら三つの分離が諸外国では一体どうなっておるか。アメリカの例はどうか。アメリカとイギリスだけでけっこうでありますから、この二国の例はどうなっておるか、これを伺いたいと思います。
  15. 松井直行

    ○松井説明員 アメリカの例で証券業者の職能分離のあり方を御説明申し上げたいと思います。  今おっしゃいました通り、引き受けと売買、それから委託と自己売買証券売買投資信託委託会社、非常に明確な区分を御指摘になっておると思いますが、一番最後証券売買投資信託会社、これは完全に分離いたしております。しかし、委託会社は、向うは主として独立の投資会社という形式をとっておりますが、その投資会社に対し投資の知恵を売るという関係における会社、それからいろんな事務を扱ってやるマネージ・カンパニーという形、それから投資会社一般に売ります受益証券日本では受益証券ですが、アメリカではこれは株式の形をとっておるのが大部分でありまして、その総元の投資と、それから一般大衆への小口販売、これは証券業者が扱っております。そういう意味におきまして、一応投資会社というものは分離はいたしておりますけれども、知恵を売る、あるいは株の売買の扱いをする、それから事務を担当してやるというようないろいろな関係において、特殊の相互共助といいますか、関連性を持っていると思いますが、日本のように証券業者が兼営しているというのはまずありません。
  16. 春日一幸

    春日委員 それは大体私たちも、一昨年アメリカへ同僚諸君と一緒に行って、親しく現地で見学をいたして参っておりますから、わかっておりますが、大体あなたのおっしゃる通り、これはちょっと異質の業務であるから、分離しても分離ができる。そしてまた現実にやっておる。ただ日本ではこれを全部兼営を認めておるから、大資本はその資本力にものを言わせてことごとく独占していく。そこにようやくにして弊害が顕著に現われてきた。ここに一切の病根がある。これをわれわれは指摘をしておる。信用取引の発達をいたしておりまするこれらの先進国では、現実にそういうような分離をし得るものは分離しておるのです。だから、われわれでも、諸外国の例をとって、分離して差しつかえない異質の業務については、これを分離してやることによって独占支配の傾向を排除していくことは、これは当然政策として考えてしかるべきものであり、いわんや現状においては弊害が顕著に現われて、この先このままほうっておいてはいかなる事態が惹起するかもはかり知れないという段階においては、緊急焦眉の問題としてこれを分離しなければならぬ。そこで、今課長が、ディーラー業務とブローカー業務と分離しておるところもあるし、分離してないところもあると言っておられましたが、私ども日本証券行政を論ずる場合には、やはり日本の特殊事情もありますけれども、これを分離しなければならぬと思う。これはなぜかならば、申し上げるまでもなく、現に往々にしてあることを申し上げるのですが、委託者の利害と自己の利害とが相対立することによって、そういうような場合は、結局現実の問題として委託者の利益が侵害されることは人情の必然です。それから二には、また往々にして委託者から委託された金銭や株券を自己の思惑に流用する場合が起り得る。これは佐藤君がこの間質問されたときの中外証券の例その他の例等も、破産をした、倒産をしたような証券会社においては、ディーラーとブローカーの業務がやはり同一になっておるものだから、同一人格にそういう兼営を許しておるものだから、委託されたものを流用したくなる場合がある。すなわち、目先に緊急の資金が必要だという場合には、委託されておる証券を担保にして金融をつけて、それによって決済をつける場合があるから、その会社の破綻によって大衆が被害を受けておる。だから、私が申し上げておるのは、投資家の保護、取引の正常化を確保する見地から、こういうような場合においては、この両業務を分離するということが理論的に公正なやり方ではないか、こういうことを申し上げておるのです。諸外国においてもそういう例があるのだから、よくこの問題については大臣はやはり政治的、政策的見地において、なお正示君は全くの技術的な立場において、そうしなければ取締りができぬじゃないか。あなたの方が何百人の役人を持っておられても遺憾ながらできぬじゃないか。あなたが監査された中外証券があんなような破綻をしてくる。これでは調べなければわからぬ。そしてインチキをやっておることを検査することによって是正する、摘発するというのではなくて、ほうっておいても公正、円滑に運営される、そういうコンストラクションを考るえということは当然のことだ。従って、弊害続出の現段階においては、少くともこの第二項のディーラーとブローカーの分離ということについては、一つ真剣にお考えを願いたい。  そこで、私は、さらに進んで本論であります投資信託委託会社の業務の分離、すなわち投信兼営の弊害について申し述べて、所見伺いたいのであります。これは証券投資信託法を一条からずっと読んでみたのですが、第一条は、「この法律は、証券投資信託制度を確立し、証券投資信託の受益者の保護を図ることにより、一般投資者による証券投資を容易にすることを目的とする。」というのです。従いまして、この問題は、特に法律精神と目的というものを忘れないで一つ運営をしてもらわなければならない。目的をはき違えたり、それらの運営の実態を通じてその方向が違ってきたりなんかしたときには、これは適切な法の改正を行うなり行政措置を講ずるなりして、第一条の目的を達成することのために政府は万全を尽す必要がある。そこで投信の成長をずっと見てみますと、昭和二十六年にこれがスタートしてから三十四年一月末までの資料を見ましたが、これによると、ユニット型が三千八百六十億、オープン型が三百二十二億、四千百八十二億の設定がなされておる。そこで償還と解約を差し引いた現存額が二千百五十二億円という膨大なものになってきておるのです。そこで私は大体投信としての効果とその弊害とを両面見てみました。そういたしますと、まずプラス面は、あの昭和二十六年当時におきましては、証券処理調整協議会、これの大量放出株をこれに引き受けたことによって、株のささえをした。それから証券貯蓄の増進発展について寄与したこともあるであろう。それからこれによって証券市場が拡大された点等も認めなければならぬ。それから企業の増資促進にもやや寄与しておる。こういう長点を認めるにはやぶさかではない。以上がこの投資信託の本然の活動によってもたらしたところの成果である。ところが、兼営を許した結果の弊害は何であるかを私が分析してみましたら、それは大体次の四つに分類できると思う。第一の弊害は、これは委託会社の利潤に利用された面が非常に多い。なお現に利用されつつある。それから二には、投信会社間の競合からその内容には無理を生じてはいないか、これであります。第三には、これは全く重大問題でありますが、結局取引所の中立性を脅かすに至っておる。第四には、中小証券の存立に脅威を与えておる。むしろ存立に脅威というよりも、存立することを不可能に陥れておるといっても過言ではないと思う。こういうわけで、投信制度はそのものとしては有益であると思うけれども、しかし、これを兼営にしておる結果、不可避的にこれは弊害が発生しておる。大臣は、私が冒頭質問したことに対して、すなわち株価格の作為的な騰落ということについて、それは作為的ではないであろうとかなんとかおっしゃったけれども、不作為の作為ということもあるし、また悪意に基く作為ということもある。いずれにしても四大証券が値を上げようと下げようと、意のままである。特に投信を兼営しておれば、上げなければ投信自体が維持できなくなる。これはあとから質疑を通じて明らかにしていきたいと思いますが、こういう弊害がずっと出てきておる。この弊害弊害としてあなたの方でお認めになるか。もう一ぺん私は言いますけれども、兼営せしめておることの弊害は、たとえば委託会社の利潤に利用せられておるのきらいはないかどうかということです。それから投信会社間の激烈な競争が内部的に存在をして、これはテレビを見ても新聞、ラジオ、雑誌、大へんなものだ。ブローカーの人海戦術によってずっと介入しておる。大へんなことですよ。こういうことから何か弊害は出てこないかどうか。それから、この四つの証券会社のそういう支配によって、証券取引所の中立性が脅かされるに至っていないかどうか。それから中小証券の存立の基礎が脅かされておるという問題は前に述べましたからやめますが、これらの問題について政府はどういう工合の理解をしておりますか、この点一つ答弁を願いたい。
  17. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 詳細は事務当局から説明させてもよろしゅうございますが、大体お話しになるように、今日の証券界の活発な一つの原因に大きく投資信託が取り上げられると思います。その非常に活発さを加えた意味においては、その功績も多大でございますが、ただいま御指摘になりましたことの表現の誇大さは別といたしまして、大体御指摘になりましたような弊害、これの傾向のあることも、これは私どもも認めておるところであります。先ほど冒頭に、特に御意見だけでございまして、私の方の意見を特に徴されなかったものに職能訓練の話がございました。松井君が最近欧米を視察して帰ったばかりでございまから、詳細お話しさせようとしたのですが、春日委員十分御承知のようですから省略させましたが、そういう意味で、この各国の情勢はさることながら、やはり一面私どもが、弁解がましくなりますが、日本証券の特質性、先ほどは株の絶対量のお話をいたしました。同時にまた証券市場の大小というか、その強弱とでも申しますか、そういう点も先進諸国とは比べものにならないものがある。そういう点で、将来の傾向は傾向として考られますが、今直ちにそういう方向だとか、今ちょうどお話しになっておる投資信託にいたしましても、時期や具体的な問題になりますと、私どももその結論についてこの席で御披露することは差し控えさせていただきたい。ただ傾向としては御指摘になったようりな傾向のあることは、十分私ども承知しております。
  18. 春日一幸

    春日委員 その問題は、私も大体資料をいろいろ見て質問しておりますから、大体のところは私の言うことは間違いないのです。そこで、私は今委託会社の利潤に利用せられておりはしないかという問題が特に重大であろうと考えますので、この点について私は掘り下げてお伺いをするわけでありますが、結局証券業者が投信を兼営するということはどういうことか、どういう作業のプロセスがあるか。これは不特定多数から証券購買資金を集める。そうしてその運用権が一任される。そうして信託財産に属する。その有価証券売買する委託注文を受けて、これを執行するところにあるのです。これは間違いない。そうなりますと、この間には委託会社として受益者の利益をはからねばならぬ立場と、証券業者として自己の利益を上げる立場とが、現実の問題として当然ここで競合せざるを得ない。それで、受益者の利益そのものと、証券業者の利益、自分の利益というものが、一方をよくすれば一方には悪い。これはまさしく二律背反の原則の上に立つものです。一方がよければ一方が悪いのです。すなわちこのことはこういう二律背反の原則の上に立つものである。これは人情の必然であり、資本主義のナチュラルな流れのターミナルです。そういうようなものなんです。従いまして、同一人格の中で兼営せしめておくというところに、私は錯乱を生ぜしめる一切の原因があると思うのだが、この点についてどういうふうにお考えになっておりますか。  もう一つ、具体的に事例を設例して申し上げておきますから、お答えを願いたいのであります。巷間どういう事例があるかどうかということを調べてみると、すなわち一つには配当付の株式を仕入れておいて、配当落ちになったものを配当埋めにした相場で、あるいはときにはそれ以上の価格で投信に組み入れたことがある。そのことは調査になってはっきりあったと思うが、なかったならなかった、あったならあったでよろしい。なかったといったって、われわれの調査した結果あったことと違うと承知しませんぞ。それから優良ならざる株を安値で仕入れて値をつり上げて、投信に繰り入れる等の問題が過去の事例としてあった。しかもそれは、まれにあったのじゃなくして、往々にあった。こういうようなことだと、受益者の利益をはかる立場と、すなわち自分が営利事業である限り、自己の会社の利益をはかる立場とが背反する。二律背反のものを同一人格の中においてこれを許しておるというところに、相当大きな問題が、弊害がある、こういうふうにわれわれはそれを分析、指摘しておるのでありますが、これに対して正示さんいかがでございますか。
  19. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 お答え申し上げます。  先ほど四つの点をあげられて、特にそのうちの委託会社が自己の会社の利潤を追求するという点と、いわば受益者との利盛の関係が特に重要であるということで、重ねての御質問でございますが、私は、先ほどの御趣旨の中で、競争という面をおあげになっておる点を重視いたすのであります。すなわち、もとより会社が競争なしで独占的なものでございますれば、あるいはおっしゃるような弊害が非常に起るおそれがあろうかと存ずるのでございますがり、御承知のように、ユニット型にいたしましても、オープン型にいたしましても、他の会社がせり合っていることは申し上げるまでもありません。そこで、それぞれの投資信託につきまして、いわゆる利回りというものが明白に出ておるわけでございます。そこで、これはフェアな競争である限りは、どの会社のユニット型が有利であるとか、あるいはどの会社のオープン型がどうであるということが常に明示されまして、その間適正なる運営ということがまず外部から行われておる。いわゆる対外的にそういうことが保障されておるということが、第一点として申し上げることができると思います。  第二に、会社の内部でございますが、われわれは、投資信託の認可をする際には、幾つかの条件を精査をいたしまして、これを具備していない限り認めないことにしているのでございますが、その場合に最も大きく重点を置いております点は、いわゆる内部のチェック・アンバランスと申しますか、内部の組織でございます。いわゆるどんぶり勘定的な証券会社においては、とうてい投資信託のような複雑なる運営をやって参る能力がないのでございまして、この内部の組織がいわゆる索制と均衡といいますか、そういう関係が厳に行われるような組織を持っておることを前提にいたしております。そこで、具体的に申し上げますと、投資信託業というものと株式本部というものがございます。春日委員の御指摘の点は、会社の利益を重視するという点は、おそらく証券会社本来の仕事でありますところの有価証券売買あるいは委託という点であろうかと存じますが、これは一方投資信託本部というものがございまして、その本部の独立性を大いに重視いたしておりますから、株式の方の売買の方の利害関係によって左右されるということは非常に困難な仕組みを考えております。またわれわれの方でそれを監視いたしております。つきまして、今御指摘のような具体的な事例は、私どもはまだ承知はいたしておりませんが、具体的にさようなことがあれば、これは厳重にわれわれの方からも注意をすることは当然でございます。  なお、先ほどお話しのように、この投資信託というものが、株がどんどん上っていくことを前提にして初めて成り立つというようなお話でございましたが、これは、われわれとしましては、投資信託の本来の使命は、やはり投資である、投機ではないという考え方を持っておりますので、非常に過大な利盛を期待するということは、その前提に入っていないわけでございます。ただ、以上申し上げましたような競争が過当に行われておるという点があるじゃないかという御質問でございましたが、これらの点につきましては、過大競争あるいは過大なる広告というような面については、これまた監督を厳重にいたしておりますことは申し上げるまでもございません。
  20. 春日一幸

    春日委員 株が上らなければ投信というものの経営が維持できぬということはないというお話でありますが、それはあとで、質疑応答を通じて、数字によってその問題は明確に答えが出てくると思います。そこで、私が今申し上げました二律背反の原則の上に立つものを同一人格に許しておくことによって、弊害が現われてきた。これは現実に現われておる。そこで問題になることは、これに対する防止の保証は何か。これは結局は大蔵大臣の厳重なる監督ということが一つと、他には受益会社の監査ということ以外にはないわけです。そこで、私が申し上げることは、とにかくそういうような火災保険にしろ、生命保険にしろ、あるいは膨大な機構を持つところの四大証券の全国に何百何十とある支店を監査を監査するといったって、できはしないのです。私はかって火災保険会社のテーブル・フアイア事件の問題をここで論じたことがありますけれども現実にテーブル・フアイアなんかをやっておって、内部の密告によって刑事事件になって初めて大蔵省が知ったというようなことである。あなたの方が監査や監督をするといったところで、監督して異状ないという調査報告が出たあとで、中外証券は破産をしておる。言うならば、証券業界における大きな問題の中の第七番、しかも第七番は私は特筆大書してアクセントを強くして強調しておるのだが、それは大蔵省の無為無能ということを特に指摘しておるのですよ。大蔵省で、われわれが監督して断固として処分するといって、あなたが大ぼらを吹いても、結果というものが何であったか。何も効力がないとは言わないけれども、ほとんどこれはずさんなものであって、また人間の能力の限界を越えることです。実際あなたの方の限られた人員で何百という証券会社の支店と出張所を監査して、そして法の精神に照らして、また法の制約の範囲内においてやっておるかやっていないか、その結果を報告するなんということはできはしない。問題は、検査によって完璧を期するということでなくして、検査しなくてもインチキのできない機構を作る、そういう必要があるということを私は強調しておる。私たちが町において往々にして聞く事例として申し上げたのは、配当落ちの株を安い値段で証券会社が仕入れて、そうして募集をして、ずっとその間において配当埋めの値段で設定したり、安いあまり優良ならざる株を安い値段でたくさん仕入れておいてこれを設定したり、そういうようなことがある。そんな場合は、うんともうけるが、受益者の方は大きな犠牲を受ける。こういうことなんです。だから、こういうような機構はよろしくない。これは機構の問題として十分調査をしていただかなければいかぬ。これに対する投資者への保証は今申し上げた二つしかないけれども、受託会社の監視といったって、そんなものは民間でお互いのなれ合いで監視できるものではない。監視の効果は上りません。あなたの方の機構でもそこまではやり得ない。これはよくお考えになって、機構の問題として、監視するにあらざれば完璧が期せられないというのではなくして、何も監視する必要がない、組織としてひとりでにそういうふうに動いていかざるを得ないという態勢の確立が必要だということを強調いたしておるのであります。何でも現状がいいというのではなくして、法律みたいなものは悪ければみんなここで直しておる。きょう言ってあした直るのだから、これは機構の問題の根幹に触れて、現状維持というような考えでなくして、一つ正示さんもこの問題と取り組んでいただきたい。こういうことを強く申し上げておきます。  なお、競合の問題についてあなたは特に重視しておると言われたが、資本主義の原則は自由にして公正なる競争の原則、そんなことは私はよくわかっておる。特に私は独禁法の権威だから、この問題についてはよくわかっておる。けれども、それが過当競争にわたるときは必ず弊害が起きる。私はその過当競争について今指摘しておるのです。ノーマルな競争なら、こんなことは私は言いません。けれども、新聞やラジオそれから巡回戦術、募集人に対する歩戻し競争、まだいろいろあるのですが、そういうような経費は相当なものだということが巷間いわれておる。そして各会社営業所というものはみんなほんとにパレスみたいなオフィスです。これは大へんなことです。そういうように過当競争の形になってきて、そこに大へんな営業経費がかかっておる。そういうようなものは、しょせんは受益者に対してやはり転嫁されていかなければならない性質のものです。そのことを私は申し上げておる。この点についても、ただ単に、私が言うたから、その場限りの答弁で逃げを打つというのではなくして、十分万全を期してもらいたい。  そこで、問題の核心といたしましては、毎日株価が上っていかなければ、この投資信託というものは経営できない、こう私が指摘をしたのに対して、そうではないと言われておるけれども、なれば私はこういうことをあなたに質問したい。まず第一にお伺いしたいことは、投信の受益者に対する配当は今平均幾らになっておりますか。
  21. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 お答え申し上げます。ユニット型がただいま平均で七分五厘になっております。
  22. 春日一幸

    春日委員 それでは二つに伺いますが、投信の信託報酬というものが業務報告や何かに記されておるが、信託報齢酬は幾らでありますか。
  23. 松井直行

    ○松井説明員 千分の十八でして、そのうち千分の十四を証券業者が取りまして、千分の四を委託銀行たる信託銀行が取ります。
  24. 春日一幸

    春日委員 三つには、投信の株式売買手数料は幾らですか。大体年一同齢告があると思うのですが……。
  25. 松井直行

    ○松井説明員 これは御承知のように一単位の取引量が多い少いによって階段式になっておりますから、明確なことはわかりませんが、大体投資信託等は大口の売買ですから、やはり一円二、三十銭じゃないかと思います。
  26. 春日一幸

    春日委員 そこでお伺いしたいことは、なれば投信全体として見た現在の所有株の利回りは幾らになっておりますか。
  27. 松井直行

    ○松井説明員 これは実は投信の運用をやります責任者である投資信託委託会社自身の責任で運用いたしておるものでありまして、その内容のどういう株が単価幾らで入ってきて、その当時幾らの利回りを見込んでいたかということにつきましては、今ここでお答え申し上げる資料がございません。
  28. 春日一幸

    春日委員 大体今証券価額が上っておるから、その配当から逆算をしていけば、投信全体として見たところの現在の所有株の利回りが幾らくらいになるかということくらいは、専門家のあなたにわからぬということはないじゃないか。そんなことは、君、一厘だって五毛だって違ってどうというわけじゃない。大体において利回りというものはどのくらいか、そういうことがわからないで、どうして証券管理行政ができますか。
  29. 松井直行

    ○松井説明員 各会社によっても違いますし、各ユニットによっても違いますから、正確にお答えは申し上げられないということを申し上げたのでありまして、常識的に考えて、運用の大体の傾向といたしましては、裸利回り六分以上のものを買っているものと承知いたしております。
  30. 春日一幸

    春日委員 そこでこういうことになると思うのです。今御答弁によりますと、たとえば投信の受益者に対する配当は七分五厘と言われた。それから投信の信託報酬が一分八厘、それから投信の株式売買手数料が一分三厘ということになると、この合計が大体一割五厘と押えることができる。そうして投信全体として現在の所有株の利回りは、今あなたは六分見当だと言われたが、われわれがずっといろいろな資料で合算して計数をはじいてみますと、私はこれを五分八厘と見ているわけです。大した違いはないが、これは大体腰だめ的なものでございましょう。そうすると、これだけで検討いたしましてもすでに収支が四分七厘の赤字である。受益者に対して払うのが七分四厘、これは受益者に対する配当として確保しなければならぬ。それから投信報酬、売買手数料も払っていかなければならぬ。ところが、株式からきたところの配当は五分八厘とすれば四分七厘の赤字がここだけで出てくる。さらにこれに加えて営業経費というものがある。それから、膨大な宣伝費、外務員への歩戻し、そういうものをずっと合算して参りますと、その計算上の赤字というものは膨大なものになる。ここだけの計算でも四分七厘あるから、さらにプラス・アルフア、これはどんな見当と見ているかわからないが、いずれにしても四分七厘以上のものであって、これは膨大なものです。宣伝費、営業費等がかかっている。これを埋める財源は一体何なんですか。
  31. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 ただいま数字をあげての御質問でございまして、私の方からのお答えは、若干むずかしい資料がございましたので、はっきりいたさない点は申しわけないのでございますが、まず第一に、私が先ほど申し上げました平均利回り七分五厘の分配金の率でございますが、これは何もこれを保証していないということが第一であります。その点につきましては、最近において特に証券投資信託協会におきましては、従前の利益の分配率というものを予想される、あるいはそれを保証しておるというようなことにつきましては、これは誤まりであるから、その点について一般大衆の御理解を得るように適切に啓蒙いたしておるわけであります。そこで、御質問の趣旨は、今までのいわゆる利益率を前提にして、それを保証するためにおあげになりましたようないろいろの費用をどこから出すか、こういう御質問でございましたが、従前は御承知のように株式価格というものは大体において若干の騰落はございましたが、水準として上って参りましたから、かような利益の分配ができたわけでございますが、先ほど私が申し上げた趣旨は、そういうことを前提といたさなくとも、安定した、投資家として必ずしも高率の利益の分配が保証されなくとも、この投資信託は十分存在の意義がある、こういう趣旨でお答えを申し上げたわけであります。従来におきましては、幸いにして年々株式価格の水準が上って参りましたということが、今お話しのような有利な結果になっておったということは、私もその通り認めるわけであります。将来の問題といたしましては、先ほど大蔵大臣からもお答えになりましたように、まだまだ、日本株式の需要と供給の関係におきまして、供給が不足であることは何人も認めておるところでございますから、今後におきましても、今申し上げたような傾向というものは持続するということはあろうかと存じますが、理論的に申しまして、われわれは、安定した投資ということによって十分この投資信託の存在の意義がある、このことをお答え申し上げたわけでございます。
  32. 春日一幸

    春日委員 そんなものは答えになりません。私が申し上げておるのは、経費というもの、支出というものが一割五厘、そうしてインカムが五分八厘、そうすると四分七厘という赤字が出る。これを埋めなければならぬ。その埋める財源は何か。御答弁願います。
  33. 松井直行

    ○松井説明員 お答え申し上げます。  今のところの期中分配は投資信託財産に入っております株式の配当分からのみ配当するという仮定に立てば、今おっしゃった通りであろうと思います。ところが、収益の内訳は、有価証券売買益、それから株式配当、受取利息、繰越利益、株価変動準備金、有価証券評価益、計算上はこういうものに経費は全部按分いたしておりますので、たとえば千分の十八という経費も、この配当だけに当ててお考えになるとなるほど今おっしゃる通りですが、この収益源に按分をいたしてわれわれ計算しておりますことが一つと、それから信託財産が負担いたします経費は千分の十八のみでありまして、販売手数料その他これはすべてあげて販売人たる証券業者負担になっておりまして、信託財産自身が宣伝費、広告費をとっていることはありません。
  34. 春日一幸

    春日委員 ただいまの御答弁で明らかになりましたことは、利子だとか株の配当、それから準備金、いろいろなものがある。そこの中にあるものは証券売買の値上り益です。これの一番大きな要素は値上り益です。あとのものはささいなものです。いいですか。結局こういうことになっておって、今あなたが言われたものが、いろいろなことを分担し合うと言うけれども、分担し合うというのはその中の一部分でしかない。他に転嫁できるものは一部分しかない。だからこれは私はラフに言っておる。四分七厘の赤字の負担は何か。赤字の負担のほかにいろいろ営業経費、宣伝費、そういうものがプラスされてくるから、四分七厘プラス・アルフアだが、そこで、今のあなたのように、他に分担をしていくものをそこから控除しても相当の赤字というものがある。その赤字を負担するものは株の売買差益金というものでなければならぬはずです。その点はお認めになるでありましょう。それでなければ七分五厘というものの配当はできません。よろしいね。それは間違いない。——それでは答弁してくれ。
  35. 松井直行

    ○松井説明員 では、その収益源の実際の数字につきまして内訳を申し上げた方がいいと思います。昨年の十一月末現在の単位型の損益計算書の収入面の中における項目別の収入を簡単に申し上げますと、今の売買益が大部分じゃないかというお話に対しましてちょっと申し上げたいと思いますが——これはバランスではありません。損益計算面の収入面です。有価証券売買益が昨年の十一月末現在二五・五五%、それから株式配当分と配当株式合わせまして一七・四%、受取利息が八・四一%、それからこれ以下ずっと法人と同じような繰り越しの計算をいたしておりますので、前期配当せずに今期に持ち越しました繰り越し利益金が一一・七八%、それから株価変動準備金として積みました準備金が一・七八%、それからまだ実現はいたしておりませんが、有価証券の評価益としてあがっているものが三四・一五%でございます。
  36. 春日一幸

    春日委員 その数字で明確になった通り、結局三四・一五%というものは評価益ですね。これは結局は差益令ですよ。そうでしょう。何です、それは。
  37. 松井直行

    ○松井説明員 これはまだ実現いたしておりません。今この時価で売れば実現益として出るであろうというのです。
  38. 春日一幸

    春日委員 当りまえのことだ。結局は全部のトータルの分類の中で一番大きなものは三四・一五%、今処分するならばこれだけもうかる。結局はそれが一つの財源となって、三四・一五%というような圧倒的なパーセントを占めておるものが財源となって、七分四厘、七分五厘という配当をなし得ておるということ、これは実際問題として認めなければならぬ。そこで、問題となることは、大臣株価を間断なく、かつ際限なくつり上げていかなければならぬというその理由が、ここに介在をしておるのです。私は正示さんに申し上げるが、投信の受益証券の配当が一年定期と同じ程度の六分ですね。それは七分五厘でなければならぬことはない。保証してはならぬということだから、五分も三分もあるだろう。けれども、これはみな新聞、テレビのときには、六分だとか五分五厘だとか、これは保証されてないからわかりませんよということでは、大衆がそんなものに金を持ってくるわけがありません。だから、金利というものは一年定期なら六分だ。銀行に預けておくより有利です、現に七分四厘、七分五厘の配当がされておりますということを、現に新聞、雑誌、ラジオで広告しておる。だからこそ、大衆が株の購買意欲をそそり立てられて、そうしてここへずっと入ってくる。従って、もしもこの株の売買差益金というものがなかりせば、七分五厘の配当はできない。かりに損というような形になれば、また成り行きとして損というような形になれば、現実の問題としてだれもそんな投資信託なんか買うばか者はない。だから、株というものは、かつての実績を見ると、十何カ月間棒高です。わが国証券市場において八十年来ただ二回の事例だといわれている。ずっと下ることはない。上げっぱなしなんですね。エンドレスに上っている。ここに問題があるんですね。だから、これが六分だとか六分を切ったら、みんな銀行に金を預けて株を買わなくなる。だから七分五厘というこの線というものを証券業者としてはどうしても確保していかなければならぬ、そういうことなんです。そういうことになってくると、何でもかんでも現在の四大証券がこの投資信託事業というものをあくまで継続していこうというならば、これはどうしても株を上げていかなければならぬ。上げて、ここに差益金というものを収納するにあらざれば、七分五厘という受益者配当というものは確保できぬ。なお、このことは、遺憾ながら株をこの辺で下げようという形になって、かりに五分とか五分五厘になったら、おれも返すよ、おれも返すよということになるが、その場合に、二千六百億というような支払い能力が現実の問題としてありますか。銀行の取りつけと同じように、ゼネラル・パニックだ。そこにマジックがある。だから、そのマジックは不作為の作為かもしれませんけれども、どうしてもつり上げなければ、投資信託というものは経営が成り立っていかない。それが一要素なんです。これが全部の要素であるかどうかは知らない。もう少しあなた方に専門的に御検討願うべき事柄であろうけれども現実にそうなんだ。今の分類の中に明らかな通り株式売買値上り益というものはとにかく三四・一五%も占めておる。しこうしてようやく七分五厘の配当ができるのですよ。株の値上りがなかったら、七分五厘の配当はできぬ。七分五厘の配当を確保しなければ、大衆はだれも投資信託に応募意欲をそそられない。こういうようなしかけに相なっておることに対して、大蔵大臣は何と見ておるか。これは正示君答弁の限界ではない。大臣から政治的に御答弁を願いたい。
  39. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 最初に私から事実だけをまずお答え申し上げまして、あとから大臣より御方針をお述べいただきたいと思うのであります。  まず第一に、ただいまおあげになりました、評価益を前提にいたさなければ七分五厘の配当はできないじゃないかというような御趣旨は、私も先ほどお認めをいたしました通りに、売買益及び評価益というものが前提になりまして、今日の利益率というものが出ておることはその通りでございます。しかしながら、過去の実績を見ますると、二十九年、三十年におきましては、投資信託の利益率は五分五厘という時代がありました。  それから、第二に、事実との関係を見ますと、今日御承知のように株式の利回りは非常に低くなっております。にもかかわらず、株式をたくさん買っておるわけであります。そこで、私どもは、この点につきまして事実を申し上げるわけでございますが、現実の利益率というものと、いわゆる経済の将来性あるいはこれの株式の中に表現されたところのいわゆる先見性というこうなものが、やはり、大衆株式への直接投資あるいは証券投資信託を通じての間接投資というふうな形において、相当誘引されておるということを申し上げたいのであります。しかしながら、さようなことを申し上げることは、何も七分五厘を保証しておるという趣旨では毛頭ございません。また元本も保証しておるということを申し上げる趣旨ではございません。もとより株式売買は、銀行預金や金銭信託と違いまして、元本の保証はございませんから、その点については、先ほども申し上げましたように、当局といたしましても、業者といたしましても、また業者の協会といたしましても、すでに投資家の皆様方に、その本質について誤まった認識を持たれないように、絶えず御注意を申し上げておる、こういうことを申し上げる次第でございます。
  40. 春日一幸

    春日委員 正示さんは、シカを追う者山を見ずというか、林の中にまぎれこんでしまって、木ばかり見ておって、実際問題として山の全貌を知らぬ。私は、この点はもっとすなおに聞いてもらいたい。ほんとうですよ。なぜかというと、今あなたが問わず語らずの中にずっと言っておられるように、何といったところでこの値上り益というものがその要素にならなければ、今現物中心ですから、四大証券が八〇%を占めるというけれども現実には、証券行政というものが、そういういろいろなカテゴリーの中において現物中心という形になると、結局はやはり値上り益というところにそのウェートが圧縮されてくる。そういう意味合いで、問題は、結局新規株買い資金を集めるためには、どうしても大衆の株買い意欲をそそり立てなければならぬ。従って手段としてそういうような戦術がとられてくる。すなわち大衆の株買い意欲をそそり立てる戦術が手段としてとしてとられてくる。従って、その要請を満たすためには、みんなに魅力を持たせるためには、銀行よりよろしいぞ、七分五厘ですぞという線を引かなければならぬ。あなた方の方で法制上保証してはならぬと言ったところで、だれも買わなくなれば事業が成り立たぬから、やはりこういう事業がある限り、資本主義によって、みんなに魅力を感じさせるためには、より大きな利潤という形になれば、比較的高い金利、銀行よりも高い七分五厘にならざるを得ない。そういうふうになって参りますと、この状態が雪だるまのようにだんだん伸びていく。現に十八カ月このような状態で、なるほど先見性だとか、日本の経済の成長率だとか、あるいは世界経済の動向というようなものが明るくて、証券それ自体に対する基本的な魅力が別個に存在するということを否定するものではない。私はそれはそれとして認めておるが、それと同時にこのような要素、からくりがそこに作用してずっと棒高になってきておるが、この棒高は、ある一定の限界に達すると崩壊せざるを得ない。ダウ相場が一千円になった、あるいは一千円を割ったというようなことで、これが、先見性だ、経済の成長が健全に行われておる、世界の経済動向がこうだからといって、そのときでもあなたは楽観しておりますか。やはり株には一つ証券適正水準というものがある。けれども適正水準がいかがあろうとも、現在の投資信託の存する限り、やはりそういうような株価の差益金をここに考慮しなければ——一方において膨大な経費がかかっている。七分五厘を配当しようと思えば、やはり株の値上りを見て、そこで七分五厘を確保していかなければならぬという大きな要因があるのです。これはただ株の先見性だとか経済の成長率だとかいうことばかりであなたは逃げを打たないで、科学者のように、あるいは技術者のように、正当に分類して、そこに欠陥があるとするならば、今にしてこれに対する万全の策を講じなければならぬ。なぜかなれば、現実の問題として、これはほうっておけばゼネラル・パニックですよ。これはちょっと言い過ぎるかもしれないけれども、株の大暴落が起きたならば、大衆の損害は何とする。会社がみんなつぶれてしまえば、それに負託しておるところの大衆に一切のしわがやってくるのですから、その点は十分御考慮願わなければならぬ。  これで七つの問題の中で二つやったわけですが、そこで委員長、私もう少し続けさしてもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。
  41. 早川崇

    早川委員長 大臣は、参議院の予算委員会に一時から出席することになっておりますが、大臣答弁一つこの辺で、あと政府委員のあれでいかがですか。
  42. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 今のことについて答えておきます。  今の点は別に大臣答弁を求められなくても、もう事務当局の話でいいかと思いますが、実は今くろうとをもって任ぜられる春日さんか、私が心配したと同じようなことを言っておられる。実は私しろうとですが、株の問題で一番心配しているのは、先ほどからお話しになったようなことを、これでよろしいのかということを申し上げておるわけです。今の投資信託あり方から見て、結局株は絶えずある程度上げていかなければならないことになっている、そしてその限度に達するというような場合が来たらなかなか大へんなことじゃないか、こういうことを実は事務当局にも注意をいたして参っております。ところが、先ほど来お話がありますように、それはしろうとだからそういう話をしたのですが、どうも株の値段そのものは、売ってもうけ、買ってもうける、そこらに株の問題が実はあると思う。絶えず値上り一本でなく、先ほども言っておられるように、株価の高低によって、低ければ低くてももうかる仕組みのようなものなんです。この辺が実はしろうとにはわかりにくい。先ほど来申しておりますのは、投資信託の基本的な問題で、元本なり利息を保証しないと申しますが、広告その他の面から見ると、元本、利息を保証とまではいかなくても、絶えず資金を集める面から見ると、それを公表し、それを実施する責任を持っておる。こういうような意味で非常に無理があるのじゃないか。事務当局なりから申しますと、一般預金との相違はここにある。元本の保証はございません。また事実テレビなども時折元本の保証はしておらないということをはっきり広告もいたしております。しかしながら、とにかく商売であります限り、その元本は必ず返ってき、また約束される利回りは必ず確保されるということで、資金が集まっておるのです。そういうことを考えて参りますと、しろうとはしろうとなりに実は工夫していろいろ注意をいたしておるのであります。そこで、私どもが株の問題について一番心配をいたしますことは、非常な急激な株価変動、波の大きいことはとにかく避けなければならない。しかしながら、じりじり上っていくことが経済の実勢力から上っていくならともかくも、特殊な制度上からくるようなものでありますならば、その危険をやはり一般にも注意をしなければならない、こういうことだと思います。先ほど来のお話を伺いまして、いろいろ御研究になり、問題の所在の点は私どもも一応感じた点である。ただ、この点は非常に、先ほど来の表現をそのままとりますと、もうすでに限度に達しておる、今にもパンクしそうだ、こういうような印象を持つことは、実は私は避けていただきたい。これは御承知のように非常に鋭敏な動きをするもの、また無為無策と言われるけれども大蔵省もそれは責任を持って、こういう点については十分目を光らしておるのでありますから、これだけは御注意を願いたい。ポイントの所在だけは十分つかむ。またそれに対しての警戒も絶えず怠っておらない。無為無策と言われようが、何と言われようが、それだけのことはわかっておるということだけを御披露申し上げて、そして時期的な問題としての誇大な表現はどうか避けていただきたい。それだけをお願い申し上げておきます。
  43. 春日一幸

    春日委員 委員長のお話によりますと、大臣は参議院へということでありますが、私は、冒頭申し上げましたように、証券については本委員会昭和二十九年に確か深く論じたと思うのであります。当時委員会の決議もあって、さまざまな決議はいたしておるが、それに対する政府実施もまだことごとくというわけにも参っていない。折しも今やこのような株高なのであります。そうして中小企業が崩壊して、そこへもってきて投信の経営の問題は、大きな専門家筋においても検討されて論じられておる事柄なのであります。私は、今申し上げましたように、これを七つに分類をいたしまして、忙しい中だったけれども、ノートブック二つに整理して、いささか時間をかけて専門的に勉強してみたのです。ところが七つの中で二つやったわけです。ここでやめてしまったら問題の解決にならないと思うのです。そうかといって、参議院の予算委員会があれば、私が昼から続けてやるというわけには参りません。
  44. 早川崇

    早川委員長 非常にクライマックスに達して傾聴に値する御質問ですが、大臣が行かれたあとどういたしましょうか。政府委員に質問されますか。あらためて大臣出席の上でやられますか。
  45. 春日一幸

    春日委員 これは証券取引所に関するもの、証券税制に関するもの、それから証券金融に関するもの、それから今の証券取引法、それからいろいろな業務規定、そういうものは大臣と話しをしないと、正示君も熱心な人だけれども、どうもぴんとこないでしょう。
  46. 早川崇

    早川委員長 春日君、この次の機会にしますか。非常に核心に入っているので大臣もじっくりお答えしたいらしいですよ。きょうはこの程度にしますか。
  47. 春日一幸

    春日委員 それでは日をあらためてやりましょう。
  48. 早川崇

    早川委員長 それでは、本日はこの程度にとどめ、次会は明十八日午前十一時十五分に開会することとし、これにて散会いたします。     午後零時五十五分散会