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春日委員 それは大体私たちも、一昨年アメリカへ同僚諸君と一緒に行って、親しく現地で見学をいたして参って
おりますから、わかって
おりますが、大体あなたのおっしゃる
通り、これはちょっと異質の業務であるから、分離しても分離ができる。そしてまた
現実にやっておる。ただ
日本ではこれを全部兼営を認めておるから、大資本はその資本力にものを言わせてことごとく
独占していく。そこにようやくにして
弊害が顕著に現われてきた。ここに一切の病根がある。これをわれわれは
指摘をしておる。
信用取引の発達をいたして
おりまするこれらの先進国では、
現実にそういうような分離をし得るものは分離しておるのです。だから、われわれでも、諸外国の例をとって、分離して差しつかえない異質の業務については、これを分離してやることによって
独占支配の傾向を排除していくことは、これは当然政策として考えてしかるべきものであり、いわんや
現状においては
弊害が顕著に現われて、この先このままほうっておいてはいかなる事態が惹起するかもはかり知れないという段階においては、緊急焦眉の問題としてこれを分離しなければならぬ。そこで、今課長が、ディーラー業務とブローカー業務と分離しておるところもあるし、分離してないところもあると言っておられましたが、私
ども、
日本の
証券行政を論ずる場合には、やはり
日本の特殊事情もありますけれ
ども、これを分離しなければならぬと思う。これはなぜかならば、申し上げるまでもなく、現に往々にしてあることを申し上げるのですが、委託者の利害と自己の利害とが相対立することによって、そういうような場合は、結局
現実の問題として委託者の利益が侵害されることは人情の必然です。それから二には、また往々にして委託者から委託された金銭や株券を自己の思惑に流用する場合が起り得る。これは
佐藤君がこの間質問されたときの中外
証券の例その他の例等も、破産をした、倒産をしたような
証券会社においては、ディーラーとブローカーの業務がやはり同一になっておるものだから、同一人格にそういう兼営を許しておるものだから、委託されたものを流用したくなる場合がある。すなわち、目先に緊急の資金が必要だという場合には、委託されておる
証券を担保にして
金融をつけて、それによって決済をつける場合があるから、その
会社の破綻によって
大衆が被害を受けておる。だから、私が申し上げておるのは、投資家の保護、
取引の正常化を確保する見地から、こういうような場合においては、この両業務を分離するということが理論的に公正なやり方ではないか、こういうことを申し上げておるのです。諸外国においてもそういう例があるのだから、よくこの問題については
大臣はやはり政治的、
政策的見地において、なお正
示君は全くの
技術的な立場において、そうしなければ取締りができぬじゃないか。あなたの方が何百人の役人を持っておられても遺憾ながらできぬじゃないか。あなたが監査された中外
証券があんなような破綻をしてくる。これでは調べなければわからぬ。そしてインチキをやっておることを検査することによって是正する、摘発するというのではなくて、ほうっておいても公正、円滑に運営される、そういうコンストラクションを考るえということは当然のことだ。従って、
弊害続出の現段階においては、少くともこの第二項のディーラーとブローカーの分離ということについては、
一つ真剣にお考えを願いたい。
そこで、私は、さらに進んで本論であります
投資信託の
委託会社の業務の分離、すなわち投信兼営の
弊害について申し述べて、
所見を
伺いたいのであります。これは
証券投資信託法を一条からずっと読んでみたのですが、第一条は、「この
法律は、
証券投資信託の
制度を確立し、
証券投資信託の受益者の保護を図ることにより、
一般投資者による
証券投資を容易にすることを目的とする。」というのです。従いまして、この問題は、特に
法律の
精神と目的というものを忘れないで
一つ運営をしてもらわなければならない。目的をはき違えたり、それらの運営の
実態を通じてその方向が違ってきたりなんかしたときには、これは適切な法の改正を行うなり行政
措置を講ずるなりして、第一条の目的を達成することのために
政府は万全を尽す必要がある。そこで投信の成長をずっと見てみますと、
昭和二十六年にこれがスタートしてから三十四年一月末までの
資料を見ましたが、これによると、ユニット型が三千八百六十億、オープン型が三百二十二億、四千百八十二億の設定がなされておる。そこで償還と解約を差し引いた現存額が二千百五十二億円という膨大なものになってきておるのです。そこで私は大体投信としての効果とその
弊害とを両面見てみました。そういたしますと、まずプラス面は、あの
昭和二十六年当時におきましては、
証券処理調整協議会、これの大量放出株をこれに引き受けたことによって、株のささえをした。それから
証券貯蓄の増進発展について寄与したこともあるであろう。それからこれによって
証券市場が拡大された点等も認めなければならぬ。それから
企業の増資促進にもやや寄与しておる。こういう長点を認めるにはやぶさかではない。以上がこの
投資信託の本然の活動によってもたらしたところの成果である。ところが、兼営を許した結果の
弊害は何であるかを私が分析してみましたら、それは大体次の四つに分類できると思う。第一の
弊害は、これは
委託会社の利潤に利用された面が非常に多い。なお現に利用されつつある。それから二には、投信
会社間の
競合からその
内容には無理を生じてはいないか、これであります。第三には、これは全く重大問題でありますが、結局
取引所の中立性を脅かすに至っておる。第四には、
中小証券の存立に脅威を与えておる。むしろ存立に脅威というよりも、存立することを不可能に陥れておるといっても過言ではないと思う。こういうわけで、投信
制度はそのものとしては有益であると思うけれ
ども、しかし、これを兼営にしておる結果、不可避的にこれは
弊害が発生しておる。
大臣は、私が冒頭質問したことに対して、すなわち
株価格の作為的な騰落ということについて、それは作為的ではないであろうとかなんとかおっしゃったけれ
ども、不作為の作為ということもあるし、また悪意に基く作為ということもある。いずれにしても四大
証券が値を上げようと下げようと、意のままである。特に投信を兼営しておれば、上げなければ投信自体が維持できなくなる。これは
あとから
質疑を通じて明らかにしていきたいと思いますが、こういう
弊害がずっと出てきておる。この
弊害は
弊害としてあなたの方でお認めになるか。もう一ぺん私は言いますけれ
ども、兼営せしめておることの
弊害は、たとえば
委託会社の利潤に利用せられておるのきらいはないかどうかということです。それから投信
会社間の激烈な競争が内部的に存在をして、これはテレビを見ても新聞、ラジオ、雑誌、大へんなものだ。ブローカーの人海戦術によってずっと介入しておる。大へんなことですよ。こういうことから何か
弊害は出てこないかどうか。それから、この四つの
証券会社のそういう支配によって、
証券取引所の中立性が脅かされるに至っていないかどうか。それから
中小証券の存立の基礎が脅かされておるという問題は前に述べましたからやめますが、これらの問題について
政府はどういう工合の理解をして
おりますか、この点
一つ御
答弁を願いたい。