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1959-03-12 第31回国会 衆議院 大蔵委員会 第21号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
三十四年三月十二日(木曜日) 午前十一時二十二分
開議
出席委員
委員長
早川
崇君
理事
足立 篤郎君
理事
小山
長規
君
理事
坊 秀男君
理事
山下 春江君
理事
石野 久男君
理事
佐藤觀次郎
君
理事
平岡忠次郎
君
荒木萬壽夫
君
奧村又十郎
君 加藤 高藏君 鴨田 宗一君 小西 寅松君 進藤 一馬君 西村 英一君 濱田 幸雄君 福田 一君 古川
丈吉
君 細田
義安
君 山本 勝市君 石村 英雄君 春日 一幸君
久保田鶴松
君 田万
廣文
君
竹谷源太郎
君 廣瀬
勝邦
君
松尾トシ子
君 横山 利秋君
出席政府委員
大蔵政務次官
山中
貞則
君
大蔵事務官
(
主計局給与課
長) 岸本 晋君
大蔵事務官
(
主税局長
) 原 純夫君
大蔵事務官
(
理財局長
) 正
示啓次郎
君
委員外
の
出席者
議 員
八木
一男
君
大蔵事務官
(
主税局税制
第 二課長) 吉国 二郎君
大蔵事務官
(
主税局税関部
長) 木村 秀弘君 専 門 員 抜井 光三君
—————————————
三月十二日
委員小沢貞孝
君及び
高田富之
君
辞任
につき、そ の
補欠
として
山花秀雄
君及び
竹吉源太郎
君が議 長の
指名
で
委員
に選任された。 同日
委員山花秀雄
君
辞任
につき、その
補欠
として大
西正道
君が議長の
指名
で
委員
に選任された。
—————————————
本日の
会議
に付した案件
一般国民年金税法案
(
八木一男
君外二十七名提 出、
衆法
第二三号)
労働者年金税法案
(
八木一男
君外二十七名
提出
衆法
第二四号)
国民年金特別会計法案
(
八木一男
君外二十七名
提出
、
衆法
第二五号)
交付税
及び
譲与税配付金持別会計法
の一部を改 正する
法律案
(
内閣提出
第三六号)
国家公務員共済組合法等
の一部を改正する
法律
案(
内閣提出
第一五一号)
関税法
の一部を改正する
法律案
(
内閣提出
第一 四二号)
国税徴収法案
(
内閣提出
第一六二号)
国税徴収法
の
施行
に伴う
関係法律
の
整理等
に関 する
法律案
(
内閣提出
第一七一号) ————◇—————
早川崇
1
○
早川委員長
これより
会議
を開きます。 去る二月十二日
付託
されました
八木一男
君外二十七名
提出
にかかる
一般国民年金税法案
、
労働者年金税法案
及び
国民年金特別会計法案
の三案を
一括議題
といたします。
提出者
より
提案理由
の
説明
を求めます。
八木一男
君。
—————————————
八木一男
2
○
八木一男
君 私は、
日本社会党
を代表して、ただいま
議題
に相なりましたわが
党提出
の
一般国民年金税法案
、
労働者年金税法案
、
国民年金特別会計法案
の三案を一括して、
趣旨理由
並びにその
内容
の
大綱
を御
説明
申し上げるものであります。 本三
法案
は、本三
法案
か
大蔵委員会
に
付託
されると同時に、
社会労働委員会
に
付託
になりましたわが
党提出国民年金法案
、
国民年金法
の
施行
及び
国民年金
と他の
年金
との
調整
に関する
法律案
の二
法案
と一体をなすものでございますので、御
説明
中右の
内容
にも及びますことを、あらかじめ御了承いただきたく存じます。
福祉国家
を作るため、まず第一には、
生産年令
にある者か働いて、家族とともに人間として
生活
できること、すなわち、
労働者
がすべて職場とよい
労働条件
をもって量質伴った
完全雇用
ができ上ること、
農業
、
工業
、商業、
自由業等
、すべての
自営者
の
経営
が成り立つことが必要であり、それとともに、
生産年令
にない者、あるいは、
障害
、
遺族
というような
条件
で
労働能力
の少ない者が、完全な
所得保障
を得て、人間らしく、暮していくことができるようになることが絶対に必要であります。このために、
所得保障
の
制度
、すなわち
年金制度
が
医療保障
と相並んで、
社会保障
の最も大きな柱でありますことは申すまでもございません。ところが、
わが国
の
年金制度
は、一部
勤労階級
に
適用
されているのみで、大
部分
の
国民
は、そのらち外に放置されております。
勤労者
の場合も、
恩給資格者
と
公共企業体共済組合適用者
のうち
高級者
である者を除いては、
厚生年金等
すべてがはなはだ
程度
の低いものであり、また、
通算
がほとんどないという不備なものでありまして、老後を安心させ得るものではありません。 このような
状態
にかんがみまして、
昭和
二十五年
社会保障制度審議会
の勧告が出たわけでありますが、自後歴代の
保守党内閣
が何らの推進もしなかったことは、まことに怠慢きわるものといわなくてはなりません。 わが党は、以前より
年金制度
の必要を痛感し、その
完成
を主張して参りました。
昭和
三十一年呼び水の意味で
慰老年金法案
、
母子年金法案
を
提出
したのでありますが、一昨年全
国民
のための総合的な根本的な
年金制度
を研究決定し、その
基本法
として
国民年金法案
を昨年の第二十八、第二十九、第三十
国会
に
提出
いたしたのでありまして、さらに幾分の修正をなし
提出
いたしましたのが本
国民年金法案
であり、即時実行し得るよう手続上の具体的な
内容
を決定しているのが
関係
四
法案
であります。 本
国民年金法案
を作るに当りまして、私どもは、
国民年金制度
が
完成
までに長期時間を要する性質のものであることにかんがみ、創設当時より完全な
目標
に向って進まなければならないと考えました。そして、その
目標
は、すべての
国民
に憲法で保障された健康で文化的な
最低限度
の
生活
を維持出来るようにすることに置いたわけではあります。 以上の
目標
を達成するため、具体的には、ます第一に、
制度
の
完成
した場合の
老齢給付
の
最低限度
を現在の
貨幣価値
の月七千円、すなわち年八万四千円と決定いたしました。第二に、この
年金
を、すべての
国民
が
支給
されるものとするため、
拠出
困難あるいは
不可納
な
期間年金税
を
減額
あるいは
免除
することとし、
減免
を何回受けたものでも
年金額
は完全に全額
支給
すべきだと考えました。第三に、
過渡期
のものもできるだけ早く月七千円の線に近づくようにし、第四に、無
拠出年金
については必要の度の多い人に対する
年金
に厚みをかけ、また
生活保護
と併給することにして、その
目的
に沿うよういたすべきものと考えたわけであります。このような完全な
考え方
で
国民年金制度
を作ることによって、
所得保障
という本来の
目的
を果すとともに、他の重要な面に非常に大きな影響を与え得るものと考えております。
国民年金制度
を通じての
所得
再配分によって、
国民生活
の不均衡が相当
程度
是正され、これによって継続的な
有効需要
が確保されることによって、諸産業の振興安定に資するところ大なるものがあると考えられます。このことは
雇用
の増大と安定を招来するものでありますが、さらに完全な
所得保障
によって
不完全就労
が減少し、
労働力率化
の低下という好ましき
効果
の面を加えて、
完全雇用
への道を進めるものと信じます。さらに十分な
年金制度
は、
雇用労働力
の新陳代謝を促進し
工鉱業生産力
を増大せしめるとともに、
農業
、
中小企業
の
経営権
を若き世代に移すことによってその
近代化
への原動力と相なります。 以上のごとく、完全な
国民年金制
は、
取得能力
少なき
国民
に完全な
所得保障
とすることによって
国家
がその責任を果すという本来の
効果
のほかに、
現代わが国
における内政上の
重要課題
のほとんどすべてに解決の道を進める
制度
であると断言しても、あえて過言ではあるまいと信ずるものであります。 以上の観点から立派な
国民年金制度
を作り上げることに決心したわけでありますが、現在の
国家財政
、
個人経済
の
状態
から、そのことの実現のため多大の工夫を必要といたしました。その結果、
国民年金
には
積立金方式
のほかに
賦課方式
を取り入れることに踏み切ったわけであります。現在
年金
を必要とする
人々
に無
拠出年金
を
支給
し、現在
生産年令
にある
人々
の
年金
を
完全積み立て方式
とすれば、現在のゼネレーションが二重
負担
になり、
年金
のための
負担
は限界に達します。この障壁を乗り越えるために、われわれはわれわれの
親たち
に
親孝行
をする。そのかわり、その分だけ
子供たち
に
親孝行
をしてもらうという
考え方
で一部
賦課方式
を採用して、この困難を乗り越えることにいたしました。そのほか
収入
の多い者に
年金税
を多く
負担
させること、
累進課税
で取る分の多い
一般財源
からできるだけ多くの
国庫支出
をすること等に踏み切って、この
法案
ができたわけであります。 以下膨大な
内容
を要点を抽出して御
説明
いたしたいと存じます。 本
法案
は、大分けにして
特別年金
と
普通年金
の
二つ
の
部分
で構成されております。
特別年金
は、現在直ちに
年金
を必要とする、老人、
母子家庭
、
身体障害者
に対して、無
拠出
、すなわち一切の掛金、
負担金
なしに
年金
を
支給
して、これらの
人々
の
生活
を援助する
制度
であり、
養老年金
、
母子年金
、
身体障害者年金
の三
制度
に分れております。
普通国民年金
ば、現在の青壮年、さらに以後続く
国民
に対して、
拠出
すなわち
国民
か
年金税
を納入して
特別会計
に積み立てる資金と
一般財政
よりの
賦課方式
による大幅な
国庫負担金
とをもって、その
老齢
、
廃疾
あるいは
遺族
に対する完全な
生活保障
をする
制度
であります。
特別年金
は本
委員会付託
の三
法案
とは直接
関係
はございませんのでこれ以上の御
説明
は省略し、
普通年金
の
制度
について御
説明
を進めたいと存じます。この
制度
は
一般国民年金
と
労働者年金
に大別され、それぞれ
老齢年金
、
障害年金
、
遺族年金
の
給付
があります。主として
老齢年金給付
につき御
説明
申し上げることとし、まず、
一般国民年金
より御
説明
申し上げます。 この
制度
は、
農漁民
、
商工業者
、医師、
弁護士等
のすべての
自営業者
と
労働者
の
家庭
も含めた全
家庭
の
主婦等
、すべての
無職者
に
適用
されるものであり、言いかえれば、
労働者本人
以外の全
国民
が
対象
となるものであります。
年金額
は全部一律で、六十歳から、一名につき、本
制度
が
完成
された暁には年八万四千円ずつ一生涯
支給
されます。従って、老夫婦の場合は十六万八千円に相なるわけであります。この場合、もし
本人
が六十歳より早くまたはおそくから
支給
を受けたいと希望する場合は、五十五歳から六十五歳までの間において、希望の年からそれぞれ
減額
あるいは増額した
年金
を
支給
できることにいたしております。 国は、この八万四千円の
年金給付
の五割を
一般財源
より
負担
し、
支払い
の年に
特別会計
に払い込みます。また、別に
特別会計
に積み立てておくため、
対象者
の属する
世帯主
より
目的税
として
一般国民年金税
を徴収いたします。
拠出期間
は二十歳から五十四歳までの三十五年間、ただし
労働者
である
期間
を除きます。
税率
は
一般国民年金税法案
第十条に
規定
してございますが、大体一名
平均月
百六十六円に相なる
計算
であります。
国民健康保険税
の場合と似た方法で、
均等割
五、
所得割
三、
資産割
二という
割合
で徴収することになっておりますので、
収入
の少ない人はずいぶんと少くなる見込みであり、さらに納入困難あるいは不能の人については、
減額
あるいは
免除
をすることにいたしております。何回
減免
を受けた人にでも、
年金
を
支給
さるべき際には、無
条件
で他の人と同じ
年金支給
をするという
社会保障
に徹底した
考え方
に立っていることを重ねて明らかにいたしておきます。
障害年金
の場合は、一級は
老齢年金
と
同額
、二級はその四分の三、三級は二分の一に相当する
金額
を
支給
することといたしております。
遺族年金
は、
老齢年金
の半額、
子供
一名につき一万四千四百円の加給をつけることにいたしております。 以上で、特に申し上げておかなければならないことは、
年金
については、
課税
の
対象
としないこと、並びに
年金額
が
スライド
すなわち
物価変動
に応じて改訂されることであります。この場合
一般国民年金税
も
スライド
されることは当然であります。 次に、
労働者年金
について申し上げます。 本
制度
は、あらゆる職種の
労働者本人
に
適用
されるものであって、五人未満の
事業所
の
労働者
、日雇、
労働者
、
山林労働者等
にも
適用
されます。
老齢年金
は六十才から
支給
されることが原則でありますが、
炭鉱労働者
、
船員
、
機関車労働者等
は五十五才
開始
といたしておりますことは、
現行厚生年金
と同様であります。
老齢年金額
は、
制度
が
完成
した場合、
一般国民年金
と
同額
の八万四千円を
基本額
とし、それに
標準報酬額
に比例した
金額
が付加されます。その
金額
は、現在の
賃金水準
で
平均
六万三千円になる
計算
でありまして、
合計平均
十四万七千円に相なります。従って、将来
賃金水準
が上った場合には、この
平均額
は上昇いたします。この
労働者年金支払い
のため、国が
国庫
より
支払い
の年に
特別会計
に払い込むほか、また別に
特別会計
で積立てておくため、
労働者年金
の
受給資格者
を使用する
事業所
の
事業主
に対し、
目的税
として
労働者年金税
を徴収いたし
労働者
はその半額以下を
負担
することに相なっております。
労働者年金法案
に
規定
されている
労働者年金税
は、もちろん
標準報酬
の高低に従って定めらられております。
一般国民年金
の場合より
年金額
が多いのでありますから、
年金税
は当然高額に相なりますが、この場合
使用主
が半分以上
負担
することに相なっておりますので、
労働者負担
はあまり多くなく、
平均
して月額二百円
程度
であります。低
賃金労働者
は、
標準報酬
が少いため、右の
平均額
よりはるかに少額に相なることは当然であります。
拠出期間
は、
一般国民年金
と同様、二十才より五十四才までの三十五年間であります。この
労働者年金
の特徴は、異なる
事業所
間はもちろん、
農林漁業
、
商工業
、
家庭
の
婦人等
、
一般国民
との間にも
完全通算
をすることでありまして、
基本額
の八万四千円は、何回職業が変っても完全に確保され、
平均
六万三千円の
標準報酬比例部分
は、二十才から五十四才までの間に
労働者
であった
期間
だけの
割合
で、それがたとい一年であっても加算されるわけであります。
労働者年金
への
国庫負担率
は二割であります。これは十四万七千円に対する二割でありますので、八万四千円に対する
割合
に換算いたしますと三割五分になり、将来
賃金水準上昇
を考えると、
完成
時には大体五割
程度
となり、
一般国民年金
と実質上同
程度
のものと相なるわけであります。 その他、繰り上げ
減額年金
、繰り下げ
増額年金制度
、
非課税年金
及び
年金税
の
スライド
、
免除
、また
廃疾遺族給付
については
一般国民年金
と同様の
内容
あるいは仕組みに相なっております。 以上、
一般国民
、
労働者
、両
制度
について申し上げましたか、その
年金額
は、
完成
時のことを申し上げたわけであり、
該当期間
が三十五年に満たない人は、その
期間
に応じて
年金額
が定められていることは申すまでもありません。御参考に途中の
年金額
を申し上げますと、
施行
時三十五才の人の
年金額
は、
一般国民年金
では、年四万八千円、
労働者年金
では年八万四千円になる
計算
でりあます。 本
国民年金制度
の
内容
の
大綱
であります。実施に当っての
既存年金
との
関係
は
国民年金法
の
施行
及び
国民年金
と他の
年金
との
調整
に関する
法律案
に
規定
いたしておるわけでありますが、
既得権
、
期待権
の尊重に十分の配慮を払うとともに、完全なる
持分移管方式
を採用して、途中で
制度
が変る人、あるいは途中
転職者
の利益を完全に保護することにいたしました。
制度
の上では、
厚生年金保険
、
船員保険
の
年金部分
、
農協役職員共済年金等
は直ちに
労働者年金
へ統合、
恩給
、
国家公務員
、
地方公務員
、
公共企業体等共済組合等
は
新規採用者
より
労働者年金
を
適用
することに相なります。
施行期日
は
昭和
三十四年四月一日、
年金
の
支払い開始
並びに
年金税
の
徴収開始
は同年十月一日からであります。
国民年金法施行
に要する
一般会計
よりの
経費
は、平年
計算
にいたしまして、その第一
年度
約一千二百十三億円であり、
うち養老年金
約七百九十八億円、
母子年金
約三百十六億円、
身体障害者年金
約四十五億円、
国民年金税減免補てん分
約四十四億円、
労働者年金
の
国家公務員
並びに
地方公務員
に対する国の直接、間接の
負担額
、これは二十歳以上の
新規採用者分
のみでありますが、約一億円、
年金支払い
に要する
事務費
約八億円と相なっております。別に
労働者年金税法
、
一般国民税法施行
に要する
経費
、すなわち
年金税徴収事務費
はそれぞれ約八億七千万円、約四十三億四千万円、計約五十二億一千万円であります。以上のごとく
国庫支出
は想当額に達しますが、
国民年金制度
に対する全
国民
の非常なる
期待
、前段に申し述べましたように完全な
国民年金制度
のきわめて大きな意義より見まして、断固として踏み切るべき
金額
であると信じます。
国庫支出
は
賦課方式
でありますので自後漸増いたしまして、本
年金制度完成
時すなわち三十五年後には、約四千二百億になるものと推定されますが、それ以上は、増加を停止し、平準化するものと推定せられます。このことに対して、私共は心配はないものと考えております。その
理由
は
わが国
の
経済
が逐年拡大し得るからであります。かりに最もひかえ目に考えて、明治以後の
わが国
の
平均経済成長率
四%と
同率
をもって今後の
経済
が拡大するものとすれば、二十五年後には四倍に相なります。同じ率で
財政
が拡大し得ることは当然でありまして、
同率
と見て五兆六千億と仮定が成り立ちます。そのうち実際には四割が減税に回されたといたしましても、なお、三兆三千億以上の
財政規模
に相なるわけでありまして、そのうち四千二百億
程度
の
支出
は、この
制度
が全
国民
に対する完全なものであります以上は、
国民
も双手をあげて賛意を表されるものであるとかたく信ずるものであります。 以上で
社会党国民年金制度
の大要を申し上げたわけでありますが、これより、三
法案
の
内容
の
大綱
について御
説明
申し上げます。 まず、
一般国民年金税法案
より申し上げます。この
法案
は、
国民年金法案
第四十条第四項の
規定
に基きまして、
一般国民年金税
の
賦課徴収
その他
一般国民年金税
に関する
事項
を定める
法律案
であります。 まず第一に、
一般国民年金制度
は、毎年、
世帯主
より、
世帯主
及びその
世帯
に属する
一般国民年金
の
受給資格者
につき
均等割額
、
所得割額
、
資産割額
の
合計額
により課するものでありまして、
均等割額
は、
一般国民年金
の
受給資格者
一人につき年一千円であります。
所得割額
は、
世帯主
及びその
世帯
に属する
一般国民年金
の
受給資格者
の前年の
合計所得金額
の
合計額
を
課税標準
とし、それに百分の〇・二八を乗じて算定いたします。
世帯主
が
労働者
である場合、その
状態
に見合うべき
程度
の
控除
をいたすことにいたしております。
資産別
割は、
世帯主
及びその
世帯
に属する
一般国民年金
の
受給資格者
が所有する
固定資産——
これは
居住用
の財産を除きます。その
固定資産税台帳
に登録されたものの
合計額
に百分の〇・二四を乗じた
金額
であります。この場合
世帯主
が
労働者
である場合はその
状態
に見合う
程度
の
控除
をいたします。 右は普通の場合でありますが、徴収不能あるいは困難な
世帯
では、
減免
、すなわち
税控除
あるいは
非課税
といたしますことは前に述べた
通り
であります。
税額控除
は
世帯
の
所得合計
を
世帯員数
で除した
金額
、すなわち一人
当り平均収入金額
が三万五千円以下になると
適用
され、その
控除率
は、百分の十から始まり、九段階に分れ、一番多いところは百分の九十に達します。一人
当り金額
が二万四千円以下あるいは
生活保護法適用家庭
は
非課税
に相なります。この税金はもちろん
申告納税
であり、納期は毎年六月から翌年三月まで毎年十分の一ずつ徴収することに相なっており、農家の場合は、政令の定めるところにより、申請により七月末、十一月末に二回に分けて納入することができるようにいたしてございます。
民主的構成
による
中央国民年金審査会
、
地方国民年金審査会
を置き、不服の際に
審査
を受けることができるようにいたしてございます。
事務
は
市町村長
がつかさどることになっており、
国税局長
がこれの監督をすることに相なっております。その他
税法
上必要なことすべてにつき
細目
の
規定
をいたしてございます。 本
法案
の
施行期日
は
昭和
三十四年十月一日、本
法案施行
に要する
費用
は前に申し述べました
通り
であり、
税収入額
は、
初年度
二百五億円、平
年度
約四百十億でございます。 以上で
一般国民年金税法案
の御
説明
を終り、次に、
労働者年金税法案
について申し上げます。この
法案
は、
国民年金法案
第四十六条第四項の
規定
に従いまして、
労働者年金税
の
課税標準税率
、その他
労働者年金税
に関する
事項
を定める
法律案
であります。 まず第一に、
労働者年金税
の
課税標準
は、
事業主
の使用する
事業所ごと
の
労働者年金
の
受給資格
にかかるその月の
標準報酬
の
金額
の
合計額
といたしてございます。
標準報酬
については、
国民年金法案
第四十九条において、第一級三千円より第三十級七万二千円まで、三十等級に分けてございます。 次に、
労働者年金税
の
税率
は百分の二・七であります。ただし、
生活保護法
の
適用
を受ける
労働者
が
国民年金法
第四十六条第五項ただし書きの
規定
により同
項本文
に
規定
する
労働者負担
をしない場合は、
納税義務者
である
事業主
は、その分だけ
税額
の
控除
を受けられることに相なっております。この
労働者年金税
は、もちろん
申告納税
であり、毎月納入されるべく
規定
されております。不服のあるものが、
地方国民年金税審査会
、
中央国民年金審査会
の
審査
を受けることができますことは
一般国民年金税法案
の場合と同様であります。
事務
については、税務署が直接当り、
市町村長
に委託はいたしません。 その他
税法
上必要なことのすべてにつき
細目
の
規定
をいたしてございます。 本
法案
の
施行期日
は、
昭和
三十四年十月一日、
本法施行
に要する
費用
は前に申し述べました
通り
であり、
税収入額
は
初年度
約四百五十億円、平年
計算
して、第一
年度
約百億円であります。 以上で、
労働者年金税法案
の御
説明
を終り、次に
国民年金特別会計法案
について申し上げます。 この
法案
は、
国民年金法
による
一般国民年金事業
及び
労働者年金事業
に関する
政府
の
経理
を明確にするため
国民年金特別会計
を設置し、
一般会計
と区別して
経理
をする
目的
を持ったものであります。この
会計
は、
一般国民年金勘定
、
労働者年金勘定
の
二つ
の部門に区分され、それぞれの
勘定
においては
一般国民年金税
あるいは
労働者年金税
、
一般会計
からの
受入金
、
積立金
から生ずる
収入借入金
及び
付属雑収入
をもってその
歳入
とし、
一般国民年金
あるいは
労働者年金
の
給付金
、借り入れの
償還金
及び
利子
、一時
借入金
の
利子
、
業務取扱い費並び
に
付属諸費
をもって
歳出
とすることに相なっております。この
会計
は
厚生大臣
か法令に従って管理するものであり、
厚生大臣
は毎
会計年度
に
歳出歳入予定計画書
、
歳出歳入決定計画書
を
大蔵大臣
に送付しなければならないことといたしてございます。
内閣
は、毎
会計年度
、この
会計
の
予算
、
決算
を作成し、
一般会計
の
予算決算
とともに、
国会
に
提出
しなければならないことにいたしてございます。その他、
余裕金
の預託、
借入金等
について
規定
をいたしてございます。
厚生年金保険
、
船員保険中年金部分
、
農林漁業団体
、
職員共済組合等
は
労働者年金
に即時統合されることに相なっておりますので、従って以上の
制度
の
積立金等
の
権利義務
は本
特別会計
に承継されるべき旨を定めておるわけでございます。 本
法案
は、
昭和
三十四年十月一日から
施行
され、
昭和
三十四
年度
予算
から
適用
されることに相なっております。 以上で、
国民年金特別会計法案
の
説明
を終ります。 これで、
日本社会党
の
国民年金制度
に関する
考え方
と、それを実施するための具体的な
法律案
としての三
法案
の御
説明
を申し上げたわけでございます。なにとぞ、三
法案
を建設的に十分に御審議賜わり、一日も早く御可決あらんことを切に御要望申し上げて、御
説明
を終ります。(拍手)
早川崇
3
○
早川委員長
これにて
提案理由
の
説明
は終りました。各案に対する質疑は
次会
に譲ります。
—————————————
早川崇
4
○
早川委員長
次に、
国税徴収法案
及び
国税徴収法
の
施行
に伴う
関係法律
の
整理等
に関する
法律案
の両案を一括して
議題
といたします。 この際、税制並びに税の執行に関する小
委員長
より、両
法律案
に関する同小
委員
会における
審査
の経過について報告を求めることといたします。税制並びに税の執行に関する小
委員長
山本勝市君。
山本勝市
5
○山本(勝)
委員
国税徴収法案
及び
国税徴収法
の
施行
に伴う
関係法律
の
整理等
に関する
法律案
について、税制並びに税の執行に関する小
委員
会における審議の経過並びに結果を簡単に御報告申し上げます。 まず、
国税徴収法案
について申し上げますが、
政府
においては、明治三十年に制定されて以来すでに六十余年を経ておりますところの現行
国税徴収法案
を、租税徴収
制度
調査会が三カ年にわたり審議を重ねた結果の答申により全面的改正を行うため、今回本案を
提出
されたものであります。 本案の改正の骨子は、租税徴収の確保、私法秩序の尊重及び徴税
制度
の合理化であります。 まず、租税徴収確保の問題でありますが、租税徴収を確保することは、国の
財政
の需要をまかなう上で必要であると同時に、租税
負担
の公平を実現するためにも欠くべからざるものでありますので、この改正案におきましても、租税の優先権と自力執行権は従前
通り
維持することといたしております。 次に、私法秩序の尊重の問題でありますが、その第一に質権または抵当権と租税との
関係
であります。現行
制度
においては、抵当権または質権によって担保される債権は、その設定時期が租税の納付期限よりも一年以上前であることを公正証書によって証明しない限り、租税の方が優先することになっております。今回これを基本的に改正いたしまして、法定納期限後に設定された抵当権等によって担保される債権に対してだけ、租税を優先して徴収することにいたしております。また、質権、抵当権の証明方法につきましては、改正案では登記、登録のある抵当権等は証明を必要とせず、その他のものについても
内容
証明郵便による証明を認めるなど、私債権保護の措置を講ずることといたしております。第二は、先取特権または留置権と租税との
関係
であります。従来。租税の徴収に際しては、先取特権、留置権は何らの保護か加えられていなかったのでありますが、私法秩序尊重の見地から抵当権等との均衡も考慮して、適当な保護を加えることにいたしております。第三は、滞納処分手続における第三者の権利の保護であります。第三者が占有する滞納者の動産を差し押えるとき、従来のように直ちに差し押えることなく、その第三者に引き渡し命令を発した後に行うこととするなど、第三者の権利を害しないように措置をはかることといたしております。 次に、徴税
制度
の合理化の問題でありますが、納税者の実情に応じた徴収を行うため、徴収猶予、滞納処分の執行猶予の
制度
を拡充するとともに、差し押え禁止財産について、特に給料の差し押えは、従来は一率に七五%が差し押え禁止とされておりますものを、給料の額に応じた差し押え禁止の額を定めることといたすなどに改めることといたしております。なお、譲渡担保によって担保される債権につきましても、これらの担保が租税の法定納期限後に行われた場合に限り、譲渡担保設定者の租税をその譲渡担保の
目的
となった財産から優先して徴収できることとし、また担保の
目的
で行われておる仮登記についても同様の措置を講ずることとしております。 次に、
国税徴収法
の
施行
に伴う
関係法律
の
整理等
に関する
法律案
について申します。 本案は、
国税徴収法
の全文改正に伴い、
所得
税法
その他の国税に関する
法律
及び
国税徴収法
を準用する諸
法律
の整備合理化をはかるため、所要の
規定
の改正を行うためのものであります。 本二
法案
は、
政府
より提案の
理由
を聴取して以来、審議を重ねて参りましたが、その間
政府
側と
委員
、特に田万
委員
との間で、国税滞納の原因及び現状、並びに
労働者
の賃金債権の確保の問題、買い戻しの特約の
目的
となった財産が公売された場合の問題等について質疑応答が行われました。これらの詳細については小
委員
会の速記録に譲ります。 小
委員
会においては、以上二
法案
についてはおおむね審議を終了いたしましたので、他に質疑がありますれば本
委員
会において行うこととし、小
委員
会の審議を一応終了した次第であります。 以上をもって小
委員長
の報告といたします。
早川崇
6
○
早川委員長
これにて小
委員長
の報告は終りました。
—————————————
早川崇
7
○
早川委員長
次に、以上の二案のほか、
交付税
及び譲与税配付金
特別会計
法の一部を改正する
法律案
、
関税法
の一部を改正する
法律案
、
国家公務員共済組合法等
の一部を改正する
法律案
の五案を一括して
議題
といたします。 質疑の通告があります。これを許します。横山利秋君。
横山利秋
8
○横山
委員
先ほど、わが党の
八木
委員
から、
年金
に関する膨大な
提案理由
の
説明
がございました。折しも本
委員
会は
国家公務員
共済組合
法案
の審議をいたしておるところであります。先般の本
委員
会で私も申したのでありますが、この
国家公務員
共済組合法が、従来のいわゆる特権的な雰囲気として
国民
から見られておりました
恩給
から
年金
へという大きなスローガンで移行することについては、異存はないのであります。しかしながら、その陰で組合員諸君からほうはいとして最近沸き上りつつあることは、それはそうではあるけれども、さりとて、この
内容
でいくならば、掛金率は急激に上る。社会保険だといわれても管理、運営をまかされない、そうして資金の運用も自由にならぬ、それでは一体どういう利益があるんだ、こういう素朴な質問である。なるほど、これは、私は先般来審議を重ねてきてもっともだと思う。一体何が社会保険の本質であるか。
政府
は、
国家公務員
諸君に対して、あなた方の共済組合である、社会保険だという以上は、あなた方が、自主的に、それこそ自分の力でこの組合を努力して運営をしていく必要があるんだということを言わなくてはならぬし、またそういうふうにしむけていかなくてはならぬのではないか。それにもかかわらず、本文を開けば、もうことごとくといっていいほど
大蔵大臣
の認可が要る、同意が要る、何々が要る、何々が要るという文章で埋め尽されているではないか。さて今度は掛金が上る。そうして膨大に蓄積されるお金は資金運用部へ舞い上ってしまう。そうして自分たちで自分たちのお金をどうにもならぬというばかなことになる。一体それで、社会保険の特質である、そのお金を運用して、そのお金をもってこの組合の福祉事業をやるとか、いろんなことをやるとかいう最大の特質を一体どこへ逸してしまうのか。これじゃ組合員諸君か不満を持つのは無理からぬことではないか。これが、私どもか本
法案
のみならず——まさにのみならず、最近問題になっていますこの種の
年金
問題について、
政府
は何を一体考えておるのかということが、この際ただしたい根本的な問題なんです。その観点に立って以下私は質問をしたいのであります。 まず第一に、これは政務次官にお伺いをしなければならぬと思うのでありますが、最近
政府
が提案をしております
国民年金法案
、そうしてこの
国家公務員
共済
年金
、あるいはまた厚生
年金
、
船員保険
年金
、そうしてまた今日出されております
中小企業
退職金共済
年金
等々が、最初はすべり出しですから少いのですけれども、これが最高度に出てきましたときには膨大な掛金というものになる。その
計算
は一体どのくらいになるのか。
国家公務員
共済組合を含めてどのくらいになるのか。そうして、それらの資金運用は、あげて資金運用部に持っていこうとするのか。この一連の
政府
のものの
考え方
をここで明らかにしてもらいたい。どのくらいになるのか。それはどういうふうに運用をされるのか。そうしてそれは日本の
政府
の
経済
政策の中でどういう立場を占めようとしておるのか。これをまず御
説明
を願いたいのです。
岸本晋
9
○岸本
政府
委員
この共済組合法改正案に関連いたしまして、
年金制度
全般の
積立金
について
政府
はどういう考えをとっておるのかという御質問でございますが、現在のこの一、二年、公務員を含めまして
国民
全般の
年金制度
を、まず公務員については
年金制度
を解決していく、あるいは一般の
国民
に対しては
国民年金
を実施するということで、こうした
国民
皆
年金
の方向への第一歩をまず踏み出すということに重点が置かれておるわけでございます。これが将来三十年、四十年たちました先に、膨大な
積立金
が確保されるということは御指摘の
通り
でありますが、その
積立金
の総額がどうなるか、あるいは将来その
積立金
を
財政
の見地、あるいは
国民
経済
の見地、あるいは
国民
の福祉の見地、そうした観点からどう割り切っていくか、いかように運用して参るかという問題につきましては、なお
政府
内部におきまして、これから十分慎重な検討を続けていかなければならない問題と考えております。現在におきましては、ともかくこれについて申しますれば、
恩給
と共済
年金
を一本にいたしまして、
国民
皆
年金
への一歩に沿っていくということにまず重点を置いて、ものを考えて参りたいと考えております。
横山利秋
10
○横山
委員
私の質問に対する答弁になりません。重ねて具体的に伺います。大体この各種
国民年金
、公務員、厚生、
船員
、
中小企業
退職金等が含まって大体どのくらいの掛金の
積立金
になるのか、そうしてそれは一体どういうふうに運用される展望を持っておるのか、それを明らかにしてもらわなければだめです
山中貞則
11
○山中
政府
委員
今数字がちょと見つかりませんでしたので、課長に答弁させたのでありますが、なお積算しなければちょと御返答ができないということでありますから、資料で
提出
をさせることにいたします。その
積立金
の運用につきましては、とりあえず本
法案
では資金運用部に預託することにいたしておりますが、やはり、私どもといたしましては、資金の運用を
国家
的な立場から効率的に行いますために、一応この方向を定めたわけでありますけれども、今後想定されます諸種の
年金
その他の総合的な
積立金
の運用に関しましては、より効率的に、そしてより
国家
的に処置できますような総合的な権討を加えて参りたいと思っております。
横山利秋
12
○横山
委員
残念がら、それは政務次官、非常におざなりの答弁と言うよりほかはございません。少し御勉強が不足しておるようであります。私は、
国家公務員
共済組合法の審議において、この種の議論を尽すことが妥当であろうかどうかという点で、多少あなたの方の準備の足らない点もわかるわけではあります。
国民年金法案
の際にこれをやってもいいとは思うわけです。ただし、今度の
国家公務員
共済組合法は、昨年五現業の
恩給
公務員十五万人を共済
年金
に切りかえて、その
積立金
を資金運用部に回したことに加えて、今回は約四十五万人、地方警察の
適用
者三十万人を切りかえて、一ヵ年約百五十億円となると推定をされるのであります。全部の五つの
年金
法案
が
政府
の所期する方向に行きますならば、私の
計算
では、
昭和
三十二
年度
末において一兆三千八百億円が、十年後には大体倍になると推定される。私の推定が間違っておるなら、数字の問題でありますからどうぞ指摘をしてもらいたいのでありますが、これはまことに膨大なものであります。この膨大なものを、政務次官の言うように、とにかく一応資金運用部へ預けておきます。預けておいてその使い方は適宜それぞれ処置をいたしますというおざなりなことで済む話ではありません。現在の資金運用部の運営においてもいろいろと議論のあるところなのであります。その根幹となります今度の
法案
によって、非現業の
恩給
法
適用
者の四十五万人、しかもこの四十五万人がどういうように——共済方式になるか
国家
管掌になるかで政治的な大問題といたしましたその段階で、この
積立金
を資金運用部に預けることについてはいろいろ議論があったことだと思います。だから、この議論の過程において、資金運用部のあり方、あるいはまた今後の
年金
の
積立金
の運用についての議論がなかったというばかなことはあるはずがないのです。ですから、これがどういうふうに行われるのか、その
積立金
の総額は一体年次計画としてどのくらいになっていくのか、これを今答弁ができないようなばがげた準備のあり方というものはあろうはずがない。一つ重ねて正確な御答弁を要求いたします。
山中貞則
13
○山中
政府
委員
資金の諸種の
年金
その他を総合した見通しの総額については、おしかりを受けましても今ここにございませんので、今連絡をいたしておるところでありますから御了承を願うといたしまして、資金運用部に預託して運用することについてとりあえずきめたが、どういうふうに使うかわからないのだというようなずさんな意味ではございませんで、本法につきましてはその運用を運用部に預託をして行うということをきめたのでありまして、これについて別段運用部の預託がいけないのだというきびしい意見というものは、私の知っている範囲ではございませんでした。ただ、別途審議されておりまする
中小企業
の退職金
制度
等については、特殊な性格もありまするから、各支部あたりに運用をさせたらどうかという意見もありましたけれども、これも、地方々々で分散運用ということは、資金の効率上の運用からいっても芳ばしくなかろうというような議論は相当いたしました。議論かなかったというわけじゃありませんが、私どもといたしましては、より有効な方向は運用部の預託がよかろうということを決定した次第であります。
横山利秋
14
○横山
委員
これは驚いたことであります。この金を資金運用部へ預託することについていかぬという意見は聞いたことがないということは、都合の悪いことはあなたのお耳に入らぬのであっろうか。都合のいいことばかりあなたのお耳に入るのであろうか。まことに都合のいいあなたのお耳であるようであります。今日までこの共済組合の問題で最も中心となっておりますことは、この金はおれたちの金じゃないか、おれたちの金をおれたちに運用させずに取り上げるとは何事か、これが共済組合の問題の本質であります。これは、いかに政務次官におなりになってからまだそんなに長くはないとおっしゃりながら、いささか軽率な御議論ではないかと思うのであります。常識的に考えてごらんなさいよ。公務員百万が毎月々々自分たちの乏しい給料の中から積み立てるその金が、自分たちの金であるから自分たちに運用さしてもらいたい、自分たちの代表である連合会、そういう共済組合で運用をさせて利潤を上げて、その利潤で福祉事業をやらせてもらいたいということは常識的な観点ではありませんか。それを
国家
が取り上げて、自分の都合のいいように使うということ自体が根本的に間違いだと思いませんか。重ねて答弁をお願いいたします。
山中貞則
15
○山中
政府
委員
反対が全く私の耳に入らない、都合のいいことだけ入っておるのだと言われるのでありますが、多分反対というのは
関係
の組合の方々の反対が主ではなかろうかと思いますが、私どもの最終決定をいたします
会議
の段階において、もしくは私自身において、組合の方からこの
制度
についてこのような反対を実は聞いておりませんで、本
委員
会において取り上げられました議論の中に、なるほどそういう見解もあり得るだろうということを私は知ったのであります。 なお、この
制度
につきましては国も五五%の
国庫
補助をもって運用をするのでありますから、ただ全額が自分たちだけの金だから自分たちの運用にまかすべきだという議論には当てはまり得ないと私は考えます。さらにまた、現行の
厚生年金保険
法の
規定
による保険
給付
を行うものとした場合に、こういうことを想定して
法律
にしておるのでありますから、私どもとしては、やはり諸般の
関係
、類似
法案
の運用その他と総合的に検討いたしまして、結論を出したのです。
横山利秋
16
○横山
委員
私は先ほどから
委員
部を通じて主計局長か次長の出席を要求いたしておりますから、もう一度お手配を願いたいと思います。 重ねて政務次官に私はあなたの不敏さをとがめざるを得ない。今あなたは、どういうおつもりか知らぬけれども、反対しておる組合があるからということをおっしゃいましたが、これはやはり違います。「あげて」とおっしゃらなければ正確ではない。組合ばかりではありません。各省がそれを言っておるのであります。各省といいますのは、共済組合に
関係
をいたします立場においては、すべての省がと言っても過言ではないのであります。ひとり大蔵省のみがと言った方が適当なんです。ひとり大蔵省のみが資金運用部へその
積立金
を入れることを強硬に主張しておるというのが事実なんです。あなたが事態を歪曲して御
説明
なさるということは間違いでありますから、問題の本質を本質として十分に理解をされなければいけません。私は、
国家財政
の立場から公けの金あるいは民間の金すべてを通じて資金
調整
をすべきである、という社会党の基本的な論理を逸脱しておりません。これは何か、自分たちの金だから自分たちの金を思うようにしろということが、私どものかねての主張と違うように印象を受けられるとしたならば、私は
説明
をしなければなりませんが、しかし、今日の
政府
の資金運用の情勢のもとにおいては、ひとりこの膨大な
積立金
が
政府
の思うようにされる、そうして
労働者
の掛金が犠牲を負っておるという点について、黙視することができぬのであります。だから、そのような
状態
であるならば、一つ、共済組合の
積立金
についても、これは共済組合の自主性にゆだねるべきである。本来彼らの金ではないか。
政府
が何がしかの金を出しておるにすぎないじゃないか。それをいかにも恩に着せて取り上げて、資金運用部へぶち込んで、そうしてこれをもって資本主義的な
政府
の今日の下手くそな
経済
政策の中へやって、汚職までどんどんでかしておる。そうして
労働者
には及ぶところがないじゃないかと私は言いたいのであります。そこで、少くとも今日の
状態
のもとにおいては、共済組合の零細な公務員諸君の
積立金
は、資金運用部へ強制預託をすることをやめて、そうして彼らの自主的な運営にまかすべきである。この主張に対して、政務次官は、初めて聞かれたというばかげたお話でありますが、今初めてならば、ちょうどすなおにあなたの頭の中へ私の論理か入っていくと思うのでありますが、常識的にお考えになってそうあなたは思いませんか。彼らの主張に——彼らというのは、言っておきますが、あなたの言うような一部の組合ではありません。全部の組合であり、大蔵省を除く全部の省、すべての人が言っていることについて、ひとり大蔵省だけが強制預託を主張しておる点について、どちらにこの筋があると思いますか。あなたの冷静な御判断を重ねてお伺いします。
山中貞則
17
○山中
政府
委員
各省において、そこの長もしくは首脳部と各省の組合との間においていろいろ折衝の過程があったことは、もちろんわかっております。しかしながら、私どもは、各省の責任者と大蔵省との間に、
財政
当局の見地から折衝をいたしましてまとめたのでありまして、今各省か各省庁において全部反対だという意見を公的に表明しておるものとは私は判断できませんので、横山
委員
の指摘されます点で私も納得できる点かあるのでありますが、私どもといたしましては、
法律
の運用をいたします場合には、民間の
厚生年金等
とのつり合いも考えまして、さらにわずかばかりの金を出して大きなことを言うなと言われるのですが、やはり半額以上の
負担
となりますと、
財政
当局といたしましては恩を売るわけではありませんか、やはり
財政
当局としての考えによれば、相当巨額の出資をしておるんだということを言わざるを得ないと考えます。
横山利秋
18
○横山
委員
そういうことでありましたら、
委員長
、一つきょうは私も大いに質疑応答を深くさせていただくように、最初からお願いしておきます。 一体、今の社会保険の
国庫
負担
はそれぞれ
船員
、厚生、私学、農林共済、
国家公務員
、公共企業体、それぞれの
国庫
負担
はどのくらいの
割合
ですか。それぞれ一つ例を示して御答弁を願いたい。
岸本晋
19
○岸本
政府
委員
社会保険の
国庫
負担
割合
でございますが、厚生
年金
では
給付
率額の一五%でございます。それから
船員保険
では二〇%でございます。共済組合におきましては一〇%、私学、
農林漁業
につきましては
給付
率額の一五%、かようなことに相なっております。
横山利秋
20
○横山
委員
次官、お聞きでございますか。
国家公務員
、公共企業体はたった一〇%、あとは全部一五%か三〇%なのですよ。それであなたはいかにも恩を着せるような話ができますか。
国家公務員
に対して特別な恩典があるような話ができますか。これは少し私は時間をもらって政務次官に十分きょうは御理解を願おうと思うのでありますが、
国家公務員
及び公共企業体職員のめんどうを
国庫
が見ておると大きなことをおっしゃるけれども、決してあなたがそうお考えのほどではないですよ。それに今度は
恩給
がなくなって、掛金は二倍になるのですよ。恩を売られるような筋合いのものは絶対にないと彼らは言うのです。これは筋が通っておる。掛金が倍になって、そうして組合の運営については大蔵省がやいやい言って、手続は、あろうことか、この間私が申しましたように、大蔵省だけでやると思ったら、
恩給
局が
年金
決定の
事務
はわしの方でやると口を出し、大蔵省がそれに対して頭を下げてしまった。
事務
は二元化する。かてて加えて
積立金
、掛金は
政府
に持っていかれる。こんなばかげたことがあるだろうかと言っておるのですよ。どこに一体恩を売っておるのですか。あなた、これによって恩を売ったということが言えるなら言ってごらんなさいよ。別にそう大したことではないではないですか。ですから、彼らは、先般来いろいろ事情がございまして、これだけ大もめにもめておるのです。 次に、理解を願わなければならないし、今後どうしても変えてもらわなければならないのが、今話の中に出ておる大蔵省の介入の問題です。これは、資金の運営の自主性という意味と、今度は
事務
の自主性ということになってくる。
事務
の自主性の問題で新たに今回問題になってきたのが三つある。一つは
年金
決定を
恩給
局にやらせるということです。何でそんなことをやらせなければならないのか。この間あなたはとうとう、いや、それはほんとうはまずいと思うけれども、これが政治だからかんべんしてくれというようなことを山中さんらしい言い方で言いました。あやまちを改むるにやぶさかなかれという言葉がございますが、ほんとうにこれが妥協案として
年金
決定
事務
をわざわざ
恩給
局にやらせなければならないということであるならば、迷惑を受けるのは、ひとり
国家公務員
の諸君ばかりでなくて、その担当者であります。だから、まずいど思ったら、この妥協が未来永劫に続くようなばかげたことをやってはならない。いかに政治的な妥協であろうとも、それぞれ妥協した人たちだけが頭を下げて済むものならいいが、今後
国家公務員
の職を去って野に出ていって、びんに白髪をいただく人が、さあ
年金
をもらうという段階になって、初めてそのしわ寄せを受けるのです。それに対して済まぬと思いませんか。どうしてあなた方はそんなばかげたことをするのですか。これが第一です。 第二番目は、人事院との
関係
です。この
年金
は社会保険だ。社会保険として共済方式をとった。それなら何で人事院がこれに介入しなければならないか。共済組合運営につきましては、共済組合法にちゃんと定められておる
通り
に審議会がある。あるいは評議員会がある。それぞれ
法律
を改正するには
法律
改正をするためのそれぞれの機関があり、運営するには運営するための機関がある。それにもかかわらず、人事院がこの問題について介入をしなければならないという
理由
は一体どこにあるのだろうか。なぜこれも縁を断ち切れないのであるか。そうして筋を一本通さないのか。これが二番目の問題です。 三番目の問題は、今回の改正
法案
についても現行法についてもそうでありますが、ことごとくと言っていいほど、連合会の仕事やその他の問題について、
大蔵大臣
の許可だとか、認可だとか、同意だとかあるいは協議だとかいうことが山積をしておる。これは岸本さんに率直に聞きたいが、一体なぜこんなに大蔵省の給与課がやらなければならないのですか。それほど
法律
によってできた連合会なり共済組合なりというものが信用ができないのであろうか。何か悪いことがあったのであろうか。一体どうして自主的な運営をまかすことによって大局的な監督をすることができないのであろうか。何か
法律
を作ると、お役所は自分たちの権限を介入させる。権限を持たなければ気が済まない。同意や協議
事項
が一ぱい山積しておる。こういうことはばかげたことではないか。もう少し大乗的な気持になって、この共済組合を運営する気にはならないのだろうか。 大きく言ってこの三つの点は、がまんのならないところです。筋の通らないところです。こういう点について一体基本的にどういうふうにお考えになるのか、また具体的な三点についてどうお考えなのか、一つ明確に承わりたい。
岸本晋
21
○岸本
政府
委員
第一点の御質問の、
年金
の決定
事務
の一部を総理府にお願いしておるという点でございますが、これは、先般の
委員
会でも申し上げました
通り
、当分の間過去の
恩給
法上の機関というものを尊重して新しい長期
給付
をやって参りますので、過去の
恩給
法に関する知識を持っておる
人々
の助けを借りると申しますか、誤まりをなくするためにそういう措置をとったわけであります。別に未来永劫というわけではありません。法文にありますつように当分の間という措置で考えておるわけであります。 第二点の人事院との
関係
でございますが、共済組合は確かに一つの社会保険的な性格を持っておりますが、社会保険、つまり
勤労者
全般に共通に
適用
される社会保険とはまた違うわけであります。そこに、一般の社会保険である
厚生年金保険
と違って、また特殊な
内容
を持っておるわけであります。それはやはり公務員というものの特殊性を考慮して、こうした別体系の
年金
ができておるわけでございます。そういう点から考えますと、社会保険的な性格の
部分
については、大蔵省で、共済組合審議会でいろいろ運営を考えて参りますが、公務員全体の待遇をどうするか、任用とか服務その他諸般の
制度
を総合的に考えました場合にどうするかという問題がやはり別途残るわけであります。この点につきましては、やはり人事院でも意見を申し述べる立場があるということを、今回の改正法に入れたわけでございます。要するに両者かものを見る角度が若干異なっているという結果でございます。人事院が将来これに容喙するのはけしからぬとおっしゃいますが、これは社会保険そのものではないという点から、そういう考えをとっているわけであります。 第三点の共済組合に対する
大蔵大臣
の監督権がきつ過ぎるではないかという御指摘でございますが、
大蔵大臣
の承認
事項
あるいは協議
事項
として
法律
で列挙しておりますものをちょっと具体的に拾い上げてみますと、これはたとえば共済組合連合会の定款の変更でございますとか、事業計画、
予算
の作成、変更あるいは連合会
理事
の任命、解任、
決算
の承認あるいは定款の承認、こうした
事項
でございます。これらの
事項
は、こうした類似のほかの特殊法人についてはすべて行われていることでございます。特に大蔵省だけがこの共済組合に対してだけ特にきびしくやっているわけではございません。ほかの国鉄の共済組合
制度
におきましても、専売におきましても、あるいは農協、私学、それぞれ他の共済組合
制度
において、あるいはさらに
厚生年金保険
制度
、健康保険
制度
、そうした類似の
制度
において、この
制度
の権限はすべて監督大臣が持っておるわけでございます。
大蔵大臣
が特に特別な権限を
国家公務員
共済
制度
だけに行使しているというものではございません。この点は、もし御必要でございましたら、将来ほかの
制度
との比較表として、いかなる権限を監督大臣が持っているかということを御
説明
申し上げたいと思います。
横山利秋
22
○横山
委員
あなたのお話は顧みて他を言うというような話で、私の言うことにすなおに答えていない。ほかがそうだからこれは当然だよという御答弁は答弁になりません。ほかが悪かったら、やはりほかも直すべきじゃないですか。すなおに一つ、このようなことまでしなければ監督ができないのであろうかという私の質問に対して、このようにしなければ監督ができませんという積極的な
理由
を言わなければだめなんです。ほかがそうですから、こればかりじゃありませんから当然ですということではだめなんです。私は、少くとも今日のようにこれだけたくさん協議
事項
をやっておいて、それでもし、逆説的にいいますが、もしそれじゃ、この条文をあなた方が行使しなかったから、こういうふうになったんだ、お前らどうしたんだと追及する場合があったら、必ずあなたは何のかのと言って逃げる、そういうものなんです。だからといって、私はその方式でどうこうというわけじゃないけれども、全般的に少くとも今日のようなこの繁文縟礼な協議、同意、認可、許可というような共済組合に対するあり方については、改善をする必要があると言っている。だから、その意味において御答弁を要求します。
岸本晋
23
○岸本
政府
委員
政府
のこうした機関に対します監督権全般についてどう取り扱うか。こういう問題が別途あることはわかるのでありますが、しかし、現在の段階で、共済組合
制度
に対する監督機構、運営機構をどう見るかということになりますと、やはり共済だけ特殊に監督権の薄い
制度
にしてやるというようなことは、これはちょっと
政府
内でのバランスとしてもできない問題でございます。特に私どもが非常に共済
制度
について困ります点は、各省に共済組合が分散いたしておるわけでございます。これの事業の統一運営ということは、あまりばらばらにまかせておきますと非常に不均衡になる。これは困ることでございます。各省にわたっている共済組合の統一運営という見地から申しましても、これは少くとも他の社会保険
制度
並みの監督権がございませんとやって参れないわけでございます。そうした面での各種、特殊の面からの一つの事情はあると思います。
横山利秋
24
○横山
委員
次官、どう思いますね。私の言うことはおわかりですね。一ぺん次官も、十分見る機会はないかもしれぬけれども、ずっと条文をごらんになって下さいよ。全く協議とか認可とか許可とか同意とか……。共済組合という問題について世間は、また
年金制度
について世間は、また与党も野党も
政府
も最近非常に認識を新たにしてくる
状態
になってきました。そのときに初めてといっていいほどの問題が目の前に山積してきました。その中で一番問題となってきますのが、最初私が取り上げましたこの膨大な
積立金
、まさにここしばらくの間に二倍になるような膨大な
積立金
は一体どうなるのかという
財政
投融資の根本に触れる問題がある。小さくは——
年金
を受ける人にとっては大きいでありましょうけれども、小さくは、
事務
のちょこっとしたことにまで監督官庁がくちばしをいれる仕組みになっているこの問題を、根本的に考え直さなければならぬのじゃないか。私は、この問題については、大きい問題は政治の問題として今後はなばなしく論争を続けていきましょう。けれども、十年、二十年、三十年
国家公務員
として
国民
諸君からいろいろと非難も浴び、そうしてえらい人にもあまりなれないで、白髪をたくわえてやめていく人が、最後の段階になって手続が煩瑣で
年金
が決定できず、その間に高利の金を借りて間違いが起るというようなことも予測しかねない今日、許可、認可、同意、協議というような手続については、今まで共済組合連合会なりそのほかの各省の仕事に重大な欠陥とか重大な間違いがあったというのならいざ知らず、そういうことの予測があまりされない今日においては、この権限について大幅な移譲を行い、そうして
事務
の簡素化をはかる必要性がある、こう痛感するのでありますが、政務次官のお考えを承わりたい。
山中貞則
25
○山中
政府
委員
総体論として大蔵省が一番中心でありますが、監督官庁における
事務
あるいは行政面における監督の権限のあり方というものは、当然論議さるべきであり、またその責任者の立場にある者も絶えず反省を加え、改正を加えて、御指摘のような、いたずらに
法律
を刺激し、逆に行政の能率を低めていくようなことは避ける方向に努力をしなければならぬと思います。ただ、これも一がいに言えないのでありまして、
事務
上どうしても慎重を期するために、ことに資金面等の運用等ににつきましては、責任者たる国の
財政
当事者がこれに対して何らかの協議ないしその他の手続にあずかるということの必要な場合もあります、また、反面においては、現在証券あるいは銀行等に対する大蔵省の
財政
当局としての監督の仕方等については、今のままでは足りないのではいか。ことに証券業界等においてはそういう現状等もあるようなわけでございまするので、横山
委員
のおっしゃる基本的な
考え方
は私は正しいと思いまするし、そういうことは一つ次官は時間をかけて研究して参りたいと思います。
横山利秋
26
○横山
委員
常識的な御答弁であります。私はあなたのその常識的な答弁に率直に
期待
をいたします。今後——今回は、私もいろいろと大蔵省と
事務
上の折衝をいたしましたが、時間的に間に合いません。この際次官の政治的な良識に
期待
をいたしまして——これはもちろん場合によっては権限の簡素化がはかられない面も多いかと私は考えますが、しかし、できる限り手続の簡素化をはかるという点については、あなたの良識に
期待
いたしたといと思いますが、それでよろしゅうございますか。重ねてあなたのお考えをお伺いいたします。
山中貞則
27
○山中
政府
委員
横山
委員
のおっしゃることについてはお答えした
通り
でありますが、それはわれわれ政党政治家が当然絶えず念頭に置かなければならない大きな問題の一つだと思います。従って、十分、具体的にどの問題を御
期待
に沿い得るということを今申し上げられませんが、そういう方向の運営に努めていく、しかもそれについては良心的な検討を重ねるということを申し上げたいと思います。
横山利秋
28
○横山
委員
それでは、その問題については今後私も具体的な問題を提供いたしまして、本問題を本
委員
会で検討する次の機会には、具体的に検討いたしたいと思います。 さてそこで、その次は運営の問題であります。この
法律
の中で、評議員会あるいは運営審議会等がございますが、これらの機関を議決機関にする気持はないのであるかどうか。これはものの考えようであります。相互の
関係
者の良識を
期待
し、
関係
者がそれぞれその共済組合に対する利害を異にするとか、利害が対立するというのであればともかくでございますが、共済組合に対する利害を同一に持つものであるならば、その共済組合に
関係
をする諸団体、諸機関の構成を集めて議決機関にする、こういうお考えはないのかどうか、これをお伺いします。
岸本晋
29
○岸本
政府
委員
共済組合の運営審議会あるいは評議員会の性格は、現在は御指摘の
通り
主務大臣の諮問機関に相なっております。これはやはり共済組合
制度
を社会保険的なものと考えて、他の社会保険
制度
におけるいろいろな取り扱いとの均衡を考慮して考えた
制度
でございます。たとえば共済組合が行なっております短期
給付
は、他の健康保険法と同じでありますが、健康保険組合等では、確かにそこの全組合員の
会議
である組合会は議決機関でございます。これは切半
負担
という観念から出ておるのだと思いますか、その半面、この組合会に対します監督大臣の権限は非常に強いのであります。
大蔵大臣
の今回の権限の比ではないという問題がございます。あるいは長期
給付
に当ります
厚生年金保険
につきましては、国がそのままやっておる
制度
でございまして、それこそ、被保険者の意思を発表する機関とか、そうした
制度
もないわけであります。共済組合の場合におきましては、そうした
二つ
の取扱いをいろいろ参考にいたしまして、諮問機関といたしまして、組合員の意見が、議決機関じゃないが、ともかく十分発表できるような仕組みにする、こういう形をとっておるわけでございます。現在の段階におきましては、これを議決機関まで持ち上げるということは適当でない、あるいはかえって逆
効果
を生ずるというような場合も起りかねないわけでございます。そういう意味におきまして、これを一応諮問機関として続けて参りたい、かように考えております。
横山利秋
30
○横山
委員
逆
効果
を生ずる場合もあるから、現在の段階ではという意味はどういう意味であるか、私には解しかねます。本件に関しては、国際的な一つの基準というものがございます。すでに御存じであろうと思うのですか、一九三三年ジュネーヴで開催された国際労働機関の第十七回総会、あそこで議決をされた「
工業
的又は商業的企業に使用せらるる者、自由職業に使用せらるる者並に家内
労働者
及
家庭
使用人の為の強制老令保険に関する条約(第三十五号)」において、「被保険者の代表者は、国内の法令又は規則に依り定めらるる
条件
に従い、保険機関の管理に参加すべく、又右の法令又は規則は、使用者及公の機関の代表者の参加に関し定むることを得。」以下多くのことが
規定
されておるわけであります。ここの「参加すべく」という文章は、文字
通り
対等の立場において参加をすべきものと解すべきであって、適当に言うだけ言わせる、きめるのはこっちの勝手だという解釈は許されてはならぬのであります。そのほかの例を引用するとたくさんございますが。少くとも私は、運営審議会ないしは評議員会、この運営に関しては、相互の良識を
期待
してこれを議決することに、一体どうして問題があるのであろうか、私にはこう思われるのであります。重ねて申しますが、これが利害が対立する機構である、あるいは場合によってはそれによって共済組合の運営が危殆に瀕するということが予知されるというのであるならばいざ知らず、権利があるときにはやはり義務、責任がある。ものことはうらはらの
関係
があるのでありますから、それらに権限を与えて責任を相互に負わせる、そうすることによって共済組合がそれぞれ自主的に運営をされる。共済組合は
法律
によって
規定
をされておるのでありますから、
法律
によってきめられているところをその運営審議会なりあるいは評議員会で勝手に改変することはできぬ。これはだれしも承知しているところであります。しかし、
法律
をもってきめたことに従って、その範囲内において、その運営についてこうあれかしと建議をする面において、実質的に評議員会なり運営審議会において議決をするということについて、どうして問題があるのであろうか、私はふしぎでならぬのであります。それについて、そうあってはならないという積極的な
理由
があるならば示してもらいたい。
岸本晋
31
○岸本
政府
委員
これは、先ほど申し上げましたように、ほかの社会保険
制度
におきますこうした
制度
運営上の機構をどうするかという点と、歩調を合せて考えておるわけであります。これを議決機関とかりにいたしますと、また監督大臣の権限の問題でありますとか、あるいは議決権の持ち方でありますとか、いろいろやかましい問題になって参ります。これがまた他の保険
制度
とどういう関連を持って運営したらいいかという問題があります。これは今の段階では共済組合だけで踏み切った
制度
に参るわけには参らないと存じております。
横山利秋
32
○横山
委員
どうも御答弁にならぬです。まことにらちもない答弁というのは、そういうことであります。 それでは、
理財局長
が来まして先ほどから待っていますから、一ぺん角度を変えて、最初の問題に移ってみましょう。局長、私が質問しましたのはこういうことなんですよ。
国家公務員
共済組合法というものが通ることによって、約八十万人くらいの
積立金
がここでふえる。それから
国民年金法案
がこの
国会
で通過したとしてみる。それから、前からあります厚生
年金
、
船員保険
、また今度の
国会
における
中小企業
退職金共済法、これら五つの
法案
がくつわを並べて改正法ないしは新設法
通り
にいったとすると、膨大な掛金ができ上ってくる。この掛金、
積立金
は、年次別にいうと何年にどのくらいになるかという想定があるだろうが、これを示せ。それから、この金は資金運用部へあなた方は吸い上げようとしておる。資金運用部は膨大な金をここに抱いていくことになる。私の感じておることは、
昭和
三十二年で資金運用部は一兆三千八百億の財源を持っておったんだが、それが十年後には二倍になるような気がする。まさに膨大ではないか。十年後に私の
計算
通り
になるのかならぬのか。その一定の水準はどのくらいになるのか。資金運用部はそんなにたくさん持って何をしようとしておるのか。何でもいいから資金運用部はこれを集めて、あるいはこれを集めようと思っておるのだろうか。そうだとすれば、
政府
の
財政
投融資計画というものはチャランポランではないか。何をしようとしておるのか。その明確な基準を示せ。こう言ったところが、だれも返事をしないのであります。そこで、あなたの登場、こういうことになる。あなたで御返事ができなければ、
大蔵大臣
に来てもらいたい。
正示啓次郎
33
○正示
政府
委員
お答え申し上げます。 お示しの
通り
に、各種の社会保険あるいは共済組合の
積立金
の一部というものが今後運用部に預託されまして、これが運用されますので、私どもも、率直に申しまして、将来の資金運用部の原資といたしましては、こういう
積立金
が非常に大きな
部分
を占めるということについて、さように考えております。これは御承知のように
年金
その他につきましてまだ未確定の面もございますので、的確に数字をもってお示しをすることができないのでありますが、一応の想定をいたしましての
計算
ができておりますから、これは場合によりましては一定の想定のもとに申し上げることができるかと思うのでありますが、ただいまこの数字は手元に持っておりませんから、数字の点はあとでそういう想定のもとに申し上げることにいたします。 この基本的な
考え方
でございますが、もとより横山
委員
も御専門のように、社会保険のいわゆる
拠出
制あるいは
国庫
負担
の
拠出
金、こういうものにつきましての
考え方
はいろいろあろうかと思うのでありますが、およそ社会保険、いわゆる保険
会計
的な
考え方
から申し上げますれば、これらの原資を積み立てまして、それが国の
経済
の発展に寄与し、そのことがさらに
国民
の全体の
生活
レベルを上げていくことに寄与する、こういう
考え方
が基本になって参りますから、この
積立金
の運用というものにつきましては、有利であることと、より一そう必要なことは画一であるということが必要になってくるかと思うのであります。そういう意味から、どうしてもこれは長い
期間
にわたっての積み立てであり運用でございますから、最も確実な面に運用して参ることが前提の
条件
になって参りますので、やはり厚生保険等について前からやっております
通り
に、資金運用部というものに集中してこれを運用するということが、必要な要件だと考えております。 そこで、そういう
考え方
のもとに運用して参ります場合に、御指摘の点は、
財政
投融資が非常に一貫した方針を持ってないじゃないか、こういう御質問であったかと思うのでありますが、その点は、われわれとしましては、国の長期の
経済
計画、こういうものに即応いたしまして
経済
の基盤を強化拡大していくということ、同時に、そういう原資の本来の
目的
とする
国民生活
の向上というふうな面もあわせて考慮しつつ、
財政
投融資の運営というものは非常に公正にしかも有効に行われていかなければならぬということは、もとよりさように考えておるのであります。これらの点は、毎年
予算
とともに
財政
投融資計画というものを、
国会
に参考の資料でございますが、いろいろと御審議をいただいております趣旨もまた、まさにそういう本来の性質からきておる、かように考えておる次第であります。
横山利秋
34
○横山
委員
正示さん、あなたのお話の中で、私は幾つものまた新たなる疑点を生じてきた。ただその疑点を解明するためには、どうしても数字が必要なんです。
委員長
にもお願いをしたいのですが、本日この
法案
が上ることに予定がされておりますが、これは党と党との約束でありますから、私はそれに対して新たなるまた継続的な疑点が生じておりますけれども、
法案
を上げることに同意をいたします。ただしかし、今のお話はどうしてもここで質疑をやめるわけには私は参りませんから、一つ
政府
側から今のここに持っていらっしゃらなかった
積立金
の今後の計画を一ぺん本
委員
会に出していただきまして、別に本
委員
会の問題であります諸問題に関連をしまして質問をすることを、お許し願いたいのであります。その際、私は、この
国家公務員
の共済組合法に関連をいたします資金運用部の問題について、あらためてあらゆる角度から追究をいたしたい。ただ、正示さんに私が申し上げておきたいのは、あなたがいらっしゃる前にくどく申したわけでありますが、この共済組合の金というものは、
国家公務員
諸君が零細な給料の中から積み立てた金であって、社会保険であるから、自分たちの金だから、自分たちに運用させるべきだ、またそのことが社会保険として共済組合の最大の特典をもたらす唯一最大の道だと信じておる。このことをあなたがお忘れになっては困る。これだけは後刻の審議のために強く申し上げておきたいと思うわけであります。 そこで、最後に一、二点質問をいたしておきたいのは、先日も申しましたが、これは政務次官に確認だけいたしておきたいと思うのであります。この
法案
がかりに
国会
を通過することがありとせば、主として心配をしておるのは退職した
国家公務員
諸君であります。その人たちの疑念を抱いておることは、
恩給
がなくなることによって自分たちが置いてきぼりを食うということが、常に心配をいたしておった点であります。そこで、そのようなことが実際問題として生ずるのであるかどうか、
政府
の
考え方
を率直に述べていただきたいのであります。
山中貞則
35
○山中
政府
委員
のちほど両党の話し合いによる附帯決議等にもあるいは盛られるかと思うのでありますが、その御心配については私どももごもっともであると実は考えるのであります。これから先の運用につきましては、御指摘の
通り
の心配のなきょうにはからっていくつもりでありますが、しかし、遺憾ながら現実に今日までの退職公務員の取扱いにつきましては、若干のベースアップ等についていけなかった過去の実績等がございますので、あるいはそういう御心配が起るのは、実績から見ても当然だと考えるのでありますから、その点は何らかの形において
政府
並びに
国会
と確認をし合うことによりまして、より一そう不安を除き、そういうことの将来に起らざるよう処置をいたしたいと考えます。
横山利秋
36
○横山
委員
同様な問題でもう一つであります。これも先刻与野党の間で話し合いをいたした問題でありますが、この
法案
が通過することによって、どういうことであろうかといって心配をしておるもう一つの
人々
に、
地方公務員
諸君がございます。
地方公務員
諸君の心配というのは、それぞれ地方自治団体における特殊性というものがありまして、あるところでは本法によりあるいは条例により、あるところでは適当な方法により、それぞれの退職
年金
というものが存在をしておるのであります。もしそれ、先般の
地方公務員
関係
の
年金
の答申なりあるいは本法によって、画一的に処理をせられるということになりまするならば、
地方公務員
の諸君の
既得権
なり、あるいは将来に対する
期待権
なり、これらが非常な動揺を受けあるいは不利を受けるというようなことも想起をされるといって、心配をしておるのでありますが、
政府
は、本法を提案するに当って、
地方公務員
のそれらの問題についてどういうふうにお考えになっておるか、地方自治体におけるこれらの
制度
の沿革なりあるいは特殊性についてどうお考えになっておるのか、この点も明確にされたいのであります。
山中貞則
37
○山中
政府
委員
地方公務員
につきましては、御承知の
通り
主管省は自治庁でありまして、自治庁が責任を持ってなるべくできるならば今年内にも準じて
施行
さるべきいろいろの準備を具体的に整えて、私どもと話し合いをすることに相なると思いますが、私ども、本法を作るに当りましては、当然
地方公務員
の存在ということが考えられないで作れる問題ではないのであります。しかしながら、
地方公務員
の問題につきまして、
国家公務員
と異なる特殊なニュアンスのありますことは、御指摘
通り
であります。現在の
地方公務員
の給与水準というものは、それぞれの団体間の貧富の差もしくは行政執行の責任者の
考え方
の差等によりまして、場合によっては
国家公務員
よりも高い給与水準を維持しておるところもありましょう、あるいはまた、非常な努力を重ねてもなおかつ
国家公務員
並みの待遇を得ていない町村もまた莫大であろうかと思います。それらの点の差のありますところは、地方
財政
計画等を毎年作成するに当りましても、絶えず議論の分れるところもあります。これは恒久的な
制度
であります以上、当然その根本的な議論を今回はいたしまして、将来に悔いを残さざるよう、また地方自治体のいわゆる実情と申しますか、実態、沿革を十分尊重して研究を重ねていくつもりでございます。
横山利秋
38
○横山
委員
最後に希望だけ述べさせていただきます。いろいろと
政府
の意向をただしたのでありますが、一つには、先ほど申し上げましたように、実はいろいろな問題で質問が残っておりますので、それは後日に譲りますが、先ほどお願いをいたしました資金運用部に関する資料の
提出
をお願いいたします。 それと同時に、この
法案
が、少くとも、冒頭に申しましたように、公務員諸君に対して掛金が上ったけれども、また
恩給
はなくなったけれども、という「けれども」がついておるということについて、どうしても公務員諸君を了解し、理解をさせる説得力が乏しい。こういうことについて
政府
は十分にお考えにならなければならぬと思うのであります。およそ物事というものは、看板と中身とが同一でなければならぬ。
恩給
から
年金
へ、これは世論であり、同時にまた
国家公務員
諸君が理解し得た看板であります。大本であります。しかるところに、その世論と
国家公務員
諸君が同意し得た看板をめくってみましたら、掛金は上り、そうして権限は増大する。そうして積み立てた金は取り去られるという非難の声に対して、
政府
は十分に答えるものを持たない。もちろん私はその批判の問題だけここに列挙をいたしたのでありまして、この
法案
の中で必ずしもマイナスばかりであるとはごうも申し上げません。大いにプラスになるところもまたあることを了承いたします。しかし、そのプラスのところをおおって、マイナスの面が目につき過ぎる。そうして
政府
がそれに便乗し過ぎるという点について、わが党としてはこれを十分指摘をし、本
法案
に対し反対をせざるを得ないのであります。およそこの
恩給
から
年金
へという天下の大道とも申すべきこの問題については、
政府
としては十分に御理解を願って、間違いのないようにしていただかなければならぬ。 これを私は希望して、私の質問を終ることにいたします。
早川崇
39
○
早川委員長
石野久男君。簡単に願います。
石野久男
40
○石野
委員
非常に時間がないようですので、一つだけ
国税徴収法
の問題について
政府
にお尋ねいたします。
国税徴収法
の改正は非常におそきに失した感がありますが、今度こういう改正が出たことは一応いいと思います。ただしかし、この中で特に問題になります三つの、いわゆる租税徴収の確保、私法秩序の尊重及び徴税
制度
の合理化のうちの、特に私法秩序の尊重というものに関連して、質権または抵当権、あるいは取得権、留置権等についての考慮は十分に払われておることもわかりますが、その際、たとえば
労働者
の賃金とか、あるいは下請業者の代金等、こういうものに対する権利をどういうふうにしてこの
法案
は尊重しようとしておるかということについて、はっきりしたものが見当らないのです。これらの点については、この改正
法案
が
提出
されるについて、当然考慮されるべきではなかろうかと思っておりますが、それについて
政府
は今どういうふうに考えておるかということを、まず第一点にお尋ねいたしたいのです。それから、それらの問題が、われわれの見るところでは、この
法案
の改正では不備だと思う。それについてどういうふうに対処しようと考えておるかという点について、御
説明
願いたいと思います。
原純夫
41
○原
政府
委員
お話の賃金債権、それから下請代金の
二つ
でありますが、下請代金につきましては、この
法案
は別段の手だてをいたしておりません。一般の私債権と同様、下請代金についてもいろいろな担保を取れる場合には、その担保権については従来よりもより強い地位を与えて、税からの撹乱といいますか、じゃまが少いようにするという一般のことをいたす、賃金債権については、滞納者が賃金をもらう権利があり、その分は滞納処分で差し押えにいきましても……。
早川崇
42
○
早川委員長
原君、本
会議
の時間が迫っておりますから、簡単に願います。
原純夫
43
○原
政府
委員
御注意がありましたから、簡単に申し上げます。 賃金債権につきましては、小
委員
会でもお話がありまして、租税と競合する賃金債権について、もっと親切に考えるべきだというお話がありました。私どもこれは方向としては了承いたしました。ただし、一般私法の中における賃金債権の地位というものは、まず大前提となる問題でありますから、そういう面を法務省等と十分打ち合せと申しますか、申し上げて、そういう角度で今後検討をいたしたいと申しました。下請代金につきましては、問題がさらに広くなりますので、これについては御希望もありましたので、承わってなお検討いたしたいということを、この際申し上げるにとどめさせていただきたいと思います。
早川崇
44
○
早川委員長
これにて五
法律案
に対する質疑は終了いたしました。 これより討論に入るのでありますが、五
法律案
に対しましては、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ることといたします。 まず
交付税
及び譲与税配付金
特別会計
法の一部を改正する
法律案
、
関税法
の一部を改正する
法律案
及び
国家公務員共済組合法等
の一部を改正する
法律案
の三案を一括して採決いたします。三
法律案
を原案の
通り
可決するに賛成の諸君の御起立を願います。 〔賛成者起立〕
早川崇
45
○
早川委員長
起立多数。よって、三案はいずれも原案の
通り
可決いたしました。 次に、ただいま可決されました
国家公務員共済組合法等
の一部を改正する
法律案
に対しまして、足立篤郎君より附帯決議を付すべしとの動議が
提出
されております。この際
提出者
の趣旨
説明
を求めます。足立篤郎君。
足立篤郎
46
○足立
委員
私は、自由民主党を代表いたしまして、本
法案
に関し附帯決議を付すべしとの動議を
提出
いたします。 附帯決議に関する
提案理由
の
説明
はこの際省略しまして、直ちに案文を朗読いたします。
国家公務員共済組合法等
の一部を改正する
法律案
に対する附帯決議(案) 一、本共済組合の管理機構の運営並に
積立金
の運用を適正にし、福祉事業への
積立金
の還元利用について配意すること。 二、公務災害
給付
の
制度
的取扱及びその全額
国庫
負担
についてなお検討すること。 三、
地方公務員
の退職
年金制度
については、地方自治体における
制度
の沿革及びその特殊性を考慮し別途の措置によりその自主性を可及的尊重すること。 四、将来長期
給付
の改訂等の場合においては、退職公務員
恩給
受給者についても之が実質的均衡を失しないよう配慮すること。 五、長期
給付
の決定を
恩給
局の審理を経て行うことは、
事務
の二重化となる虞れがあるので、速かに、この決定
事務
を連合会へ一元化するよう検討すること。 以上であります。
早川崇
47
○
早川委員長
これにて趣旨
説明
は終りました。 これより足立篤郎君
提出
にかかる附帯決議案について採決いたします。 お諮りいたします。本附帯決議案を付するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
早川崇
48
○
早川委員長
御異議なしと認めます。よって、附帯決議を付することに決しました。 次に、
国税徴収法案
及び
国税徴収法
の
施行
に伴う
関係法律
の
整理等
に関する
法律案
の両案を一括して採決いたします。両案を原案の
通り
可決するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
早川崇
49
○
早川委員長
御異議なしと認めます。よって、両案はいずれも原案の
通り
可決いたしました。 次に、ただいま可決いたしました
国税徴収法案
に対しまして附帯決議を付したいと存じます。 案文を朗読いたします。
国税徴収法案
に対する附帯決議案 本案
施行
による抵当権等の保護と併行して、賃金債権及び之に関連する
中小企業
の下請代金債権について
政府
は、将来、私法秩序との
調整
を図りつつこれが保護につき特段の考慮をすべきである。 以上であります。 お諮りいたします。本附帯決議案を付するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
早川崇
50
○
早川委員長
御異議なしと認めます。よって、本附帯決議案を付するに決しました。 この際、ただいま議決いたしました両附帯決議案に対しまして、
政府
の意見の開陳を求めます。山中
貞則
君。
山中貞則
51
○山中
政府
委員
時間がございませんので、結論だけ申し上げますが、全会一致をもって可決されました附帯決議につきましては、
国会
の意思の表現といたしまして、
政府
は十分これを尊重し、積極的な検討を続けて参りたいと存じます。
早川崇
52
○
早川委員長
この際お諮りいたしますが、ただいま可決いたしました五
法律案
に関する
委員
会報告書の作成並びに
提出
等の手続につきましては
委員長
に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
早川崇
53
○
早川委員長
御異議なしと認めます。よって、さように決しました。 本日はこれにて散会いたします。 午後一時十二分散会