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1959-03-12 第31回国会 衆議院 大蔵委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年三月十二日(木曜日)     午前十一時二十二分開議  出席委員    委員長 早川  崇君    理事 足立 篤郎君 理事 小山 長規君    理事 坊  秀男君 理事 山下 春江君    理事 石野 久男君 理事 佐藤觀次郎君    理事 平岡忠次郎君       荒木萬壽夫君    奧村又十郎君       加藤 高藏君    鴨田 宗一君       小西 寅松君    進藤 一馬君       西村 英一君    濱田 幸雄君       福田  一君    古川 丈吉君       細田 義安君    山本 勝市君       石村 英雄君    春日 一幸君       久保田鶴松君    田万 廣文君       竹谷源太郎君    廣瀬 勝邦君       松尾トシ子君    横山 利秋君  出席政府委員         大蔵政務次官  山中 貞則君         大蔵事務官         (主計局給与課         長)      岸本  晋君         大蔵事務官         (主税局長)  原  純夫君         大蔵事務官         (理財局長)  正示啓次郎君  委員外出席者         議     員 八木 一男君         大蔵事務官         (主税局税制第         二課長)    吉国 二郎君         大蔵事務官         (主税局税関部         長)      木村 秀弘君         専  門  員 抜井 光三君     ————————————— 三月十二日  委員小沢貞孝君及び高田富之辞任につき、そ  の補欠として山花秀雄君及び竹吉源太郎君が議  長の指名委員に選任された。 同日  委員山花秀雄辞任につき、その補欠として大  西正道君が議長の指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  一般国民年金税法案八木一男君外二十七名提  出、衆法第二三号)  労働者年金税法案八木一男君外二十七名提出  衆法第二四号)  国民年金特別会計法案八木一男君外二十七名  提出衆法第二五号)  交付税及び譲与税配付金持別会計法の一部を改  正する法律案内閣提出第三六号)  国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律  案(内閣提出第一五一号)  関税法の一部を改正する法律案内閣提出第一  四二号)  国税徴収法案内閣提出第一六二号)  国税徴収法施行に伴う関係法律整理等に関  する法律案内閣提出第一七一号)      ————◇—————
  2. 早川崇

    早川委員長 これより会議を開きます。  去る二月十二日付託されました八木一男君外二十七名提出にかかる一般国民年金税法案労働者年金税法案及び国民年金特別会計法案の三案を一括議題といたします。  提出者より提案理由説明を求めます。八木一男君。     —————————————
  3. 八木一男

    八木一男君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題に相なりましたわが党提出一般国民年金税法案労働者年金税法案国民年金特別会計法案の三案を一括して、趣旨理由並びにその内容大綱を御説明申し上げるものであります。  本三法案は、本三法案大蔵委員会付託されると同時に、社会労働委員会付託になりましたわが党提出国民年金法案国民年金法施行及び国民年金と他の年金との調整に関する法律案の二法案と一体をなすものでございますので、御説明中右の内容にも及びますことを、あらかじめ御了承いただきたく存じます。  福祉国家を作るため、まず第一には、生産年令にある者か働いて、家族とともに人間として生活できること、すなわち、労働者がすべて職場とよい労働条件をもって量質伴った完全雇用ができ上ること、農業工業、商業、自由業等、すべての自営者経営が成り立つことが必要であり、それとともに、生産年令にない者、あるいは、障害遺族というような条件で労働能力の少ない者が、完全な所得保障を得て、人間らしく、暮していくことができるようになることが絶対に必要であります。このために、所得保障制度、すなわち年金制度医療保障と相並んで、社会保障の最も大きな柱でありますことは申すまでもございません。ところが、わが国年金制度は、一部勤労階級適用されているのみで、大部分国民は、そのらち外に放置されております。勤労者の場合も、恩給資格者公共企業体共済組合適用者のうち高級者である者を除いては、厚生年金等すべてがはなはだ程度の低いものであり、また、通算がほとんどないという不備なものでありまして、老後を安心させ得るものではありません。  このような状態にかんがみまして、昭和二十五年社会保障制度審議会の勧告が出たわけでありますが、自後歴代の保守党内閣が何らの推進もしなかったことは、まことに怠慢きわるものといわなくてはなりません。  わが党は、以前より年金制度の必要を痛感し、その完成を主張して参りました。昭和三十一年呼び水の意味で慰老年金法案母子年金法案提出したのでありますが、一昨年全国民のための総合的な根本的な年金制度を研究決定し、その基本法として国民年金法案を昨年の第二十八、第二十九、第三十国会提出いたしたのでありまして、さらに幾分の修正をなし提出いたしましたのが本国民年金法案であり、即時実行し得るよう手続上の具体的な内容を決定しているのが関係法案であります。  本国民年金法案を作るに当りまして、私どもは、国民年金制度完成までに長期時間を要する性質のものであることにかんがみ、創設当時より完全な目標に向って進まなければならないと考えました。そして、その目標は、すべての国民に憲法で保障された健康で文化的な最低限度生活を維持出来るようにすることに置いたわけではあります。  以上の目標を達成するため、具体的には、ます第一に、制度完成した場合の老齢給付最低限度を現在の貨幣価値の月七千円、すなわち年八万四千円と決定いたしました。第二に、この年金を、すべての国民が支給されるものとするため、拠出困難あるいは不可納期間年金税減額あるいは免除することとし、減免を何回受けたものでも年金額は完全に全額支給すべきだと考えました。第三に、過渡期のものもできるだけ早く月七千円の線に近づくようにし、第四に、無拠出年金については必要の度の多い人に対する年金に厚みをかけ、また生活保護と併給することにして、その目的に沿うよういたすべきものと考えたわけであります。このような完全な考え方国民年金制度を作ることによって、所得保障という本来の目的を果すとともに、他の重要な面に非常に大きな影響を与え得るものと考えております。  国民年金制度を通じての所得再配分によって、国民生活の不均衡が相当程度是正され、これによって継続的な有効需要が確保されることによって、諸産業の振興安定に資するところ大なるものがあると考えられます。このことは雇用の増大と安定を招来するものでありますが、さらに完全な所得保障によって不完全就労が減少し、労働力率化の低下という好ましき効果の面を加えて、完全雇用への道を進めるものと信じます。さらに十分な年金制度は、雇用労働力の新陳代謝を促進し工鉱業生産力を増大せしめるとともに、農業中小企業経営権を若き世代に移すことによってその近代化への原動力と相なります。  以上のごとく、完全な国民年金制は、取得能力少なき国民に完全な所得保障とすることによって国家がその責任を果すという本来の効果のほかに、現代わが国における内政上の重要課題のほとんどすべてに解決の道を進める制度であると断言しても、あえて過言ではあるまいと信ずるものであります。  以上の観点から立派な国民年金制度を作り上げることに決心したわけでありますが、現在の国家財政個人経済状態から、そのことの実現のため多大の工夫を必要といたしました。その結果、国民年金には積立金方式のほかに賦課方式を取り入れることに踏み切ったわけであります。現在年金を必要とする人々に無拠出年金を支給し、現在生産年令にある人々年金完全積み立て方式とすれば、現在のゼネレーションが二重負担になり、年金のための負担は限界に達します。この障壁を乗り越えるために、われわれはわれわれの親たち親孝行をする。そのかわり、その分だけ子供たち親孝行をしてもらうという考え方で一部賦課方式を採用して、この困難を乗り越えることにいたしました。そのほか収入の多い者に年金税を多く負担させること、累進課税で取る分の多い一般財源からできるだけ多くの国庫支出をすること等に踏み切って、この法案ができたわけであります。  以下膨大な内容を要点を抽出して御説明いたしたいと存じます。  本法案は、大分けにして特別年金普通年金二つ部分で構成されております。  特別年金は、現在直ちに年金を必要とする、老人、母子家庭身体障害者に対して、無拠出、すなわち一切の掛金、負担金なしに年金を支給して、これらの人々生活を援助する制度であり、養老年金母子年金身体障害者年金の三制度に分れております。普通国民年金ば、現在の青壮年、さらに以後続く国民に対して、拠出すなわち国民年金税を納入して特別会計に積み立てる資金と一般財政よりの賦課方式による大幅な国庫負担金とをもって、その老齢、廃疾あるいは遺族に対する完全な生活保障をする制度であります。  特別年金は本委員会付託の三法案とは直接関係はございませんのでこれ以上の御説明は省略し、普通年金制度について御説明を進めたいと存じます。この制度一般国民年金労働者年金に大別され、それぞれ老齢年金障害年金遺族年金給付があります。主として老齢年金給付につき御説明申し上げることとし、まず、一般国民年金より御説明申し上げます。  この制度は、農漁民商工業者、医師、弁護士等のすべての自営業者労働者家庭も含めた全家庭主婦等、すべての無職者適用されるものであり、言いかえれば、労働者本人以外の全国民対象となるものであります。年金額は全部一律で、六十歳から、一名につき、本制度完成された暁には年八万四千円ずつ一生涯支給されます。従って、老夫婦の場合は十六万八千円に相なるわけであります。この場合、もし本人が六十歳より早くまたはおそくから支給を受けたいと希望する場合は、五十五歳から六十五歳までの間において、希望の年からそれぞれ減額あるいは増額した年金を支給できることにいたしております。  国は、この八万四千円の年金給付の五割を一般財源より負担し、支払いの年に特別会計に払い込みます。また、別に特別会計に積み立てておくため、対象者の属する世帯主より目的税として一般国民年金税を徴収いたします。  拠出期間は二十歳から五十四歳までの三十五年間、ただし労働者である期間を除きます。税率一般国民年金税法案第十条に規定してございますが、大体一名平均月百六十六円に相なる計算であります。  国民健康保険税の場合と似た方法で、均等割五、所得割三、資産割二という割合で徴収することになっておりますので、収入の少ない人はずいぶんと少くなる見込みであり、さらに納入困難あるいは不能の人については、減額あるいは免除をすることにいたしております。何回減免を受けた人にでも、年金を支給さるべき際には、無条件で他の人と同じ年金支給をするという社会保障に徹底した考え方に立っていることを重ねて明らかにいたしておきます。  障害年金の場合は、一級は老齢年金同額、二級はその四分の三、三級は二分の一に相当する金額を支給することといたしております。  遺族年金は、老齢年金の半額、子供一名につき一万四千四百円の加給をつけることにいたしております。  以上で、特に申し上げておかなければならないことは、年金については、課税対象としないこと、並びに年金額スライドすなわち物価変動に応じて改訂されることであります。この場合一般国民年金税スライドされることは当然であります。  次に、労働者年金について申し上げます。  本制度は、あらゆる職種の労働者本人適用されるものであって、五人未満の事業所労働者、日雇、労働者山林労働者等にも適用されます。老齢年金は六十才から支給されることが原則でありますが、炭鉱労働者船員機関車労働者等は五十五才開始といたしておりますことは、現行厚生年金と同様であります。  老齢年金額は、制度完成した場合、一般国民年金同額の八万四千円を基本額とし、それに標準報酬額に比例した金額が付加されます。その金額は、現在の賃金水準平均六万三千円になる計算でありまして、合計平均十四万七千円に相なります。従って、将来賃金水準が上った場合には、この平均額は上昇いたします。この労働者年金支払いのため、国が国庫より支払いの年に特別会計に払い込むほか、また別に特別会計で積立てておくため、労働者年金受給資格者を使用する事業所事業主に対し、目的税として労働者年金税を徴収いたし労働者はその半額以下を負担することに相なっております。労働者年金法案規定されている労働者年金税は、もちろん標準報酬の高低に従って定めらられております。一般国民年金の場合より年金額が多いのでありますから、年金税は当然高額に相なりますが、この場合使用主が半分以上負担することに相なっておりますので、労働者負担はあまり多くなく、平均して月額二百円程度であります。低賃金労働者は、標準報酬が少いため、右の平均額よりはるかに少額に相なることは当然であります。  拠出期間は、一般国民年金と同様、二十才より五十四才までの三十五年間であります。この労働者年金の特徴は、異なる事業所間はもちろん、農林漁業商工業家庭婦人等一般国民との間にも完全通算をすることでありまして、基本額の八万四千円は、何回職業が変っても完全に確保され、平均六万三千円の標準報酬比例部分は、二十才から五十四才までの間に労働者であった期間だけの割合で、それがたとい一年であっても加算されるわけであります。  労働者年金への国庫負担率は二割であります。これは十四万七千円に対する二割でありますので、八万四千円に対する割合に換算いたしますと三割五分になり、将来賃金水準上昇を考えると、完成時には大体五割程度となり、一般国民年金と実質上同程度のものと相なるわけであります。  その他、繰り上げ減額年金、繰り下げ増額年金制度非課税年金及び年金税スライド免除、また廃疾遺族給付については一般国民年金と同様の内容あるいは仕組みに相なっております。  以上、一般国民労働者、両制度について申し上げましたか、その年金額は、完成時のことを申し上げたわけであり、該当期間が三十五年に満たない人は、その期間に応じて年金額が定められていることは申すまでもありません。御参考に途中の年金額を申し上げますと、施行時三十五才の人の年金額は、一般国民年金では、年四万八千円、労働者年金では年八万四千円になる計算でりあます。  本国民年金制度内容大綱であります。実施に当っての既存年金との関係国民年金法施行及び国民年金と他の年金との調整に関する法律案規定いたしておるわけでありますが、既得権期待権の尊重に十分の配慮を払うとともに、完全なる持分移管方式を採用して、途中で制度が変る人、あるいは途中転職者の利益を完全に保護することにいたしました。  制度の上では、厚生年金保険船員保険年金部分農協役職員共済年金等は直ちに労働者年金へ統合、恩給、国家公務員地方公務員公共企業体等共済組合等新規採用者より労働者年金適用することに相なります。  施行期日昭和三十四年四月一日、年金支払い開始並びに年金税徴収開始は同年十月一日からであります。  国民年金法施行に要する一般会計よりの経費は、平年計算にいたしまして、その第一年度約一千二百十三億円であり、うち養老年金約七百九十八億円、母子年金約三百十六億円、身体障害者年金約四十五億円、国民年金税減免補てん分約四十四億円、労働者年金国家公務員並びに地方公務員に対する国の直接、間接の負担額、これは二十歳以上の新規採用者分のみでありますが、約一億円、年金支払いに要する事務費約八億円と相なっております。別に労働者年金税法一般国民税法施行に要する経費、すなわち年金税徴収事務費はそれぞれ約八億七千万円、約四十三億四千万円、計約五十二億一千万円であります。以上のごとく国庫支出は想当額に達しますが、国民年金制度に対する全国民の非常なる期待、前段に申し述べましたように完全な国民年金制度のきわめて大きな意義より見まして、断固として踏み切るべき金額であると信じます。  国庫支出賦課方式でありますので自後漸増いたしまして、本年金制度完成時すなわち三十五年後には、約四千二百億になるものと推定されますが、それ以上は、増加を停止し、平準化するものと推定せられます。このことに対して、私共は心配はないものと考えております。その理由わが国経済が逐年拡大し得るからであります。かりに最もひかえ目に考えて、明治以後のわが国平均経済成長率四%と同率をもって今後の経済が拡大するものとすれば、二十五年後には四倍に相なります。同じ率で財政が拡大し得ることは当然でありまして、同率と見て五兆六千億と仮定が成り立ちます。そのうち実際には四割が減税に回されたといたしましても、なお、三兆三千億以上の財政規模に相なるわけでありまして、そのうち四千二百億程度支出は、この制度が全国民に対する完全なものであります以上は、国民も双手をあげて賛意を表されるものであるとかたく信ずるものであります。  以上で社会党国民年金制度の大要を申し上げたわけでありますが、これより、三法案内容大綱について御説明申し上げます。  まず、一般国民年金税法案より申し上げます。この法案は、国民年金法案第四十条第四項の規定に基きまして、一般国民年金税賦課徴収その他一般国民年金税に関する事項を定める法律案であります。  まず第一に、一般国民年金制度は、毎年、世帯主より、世帯主及びその世帯に属する一般国民年金受給資格者につき均等割額所得割額資産割額合計額により課するものでありまして、均等割額は、一般国民年金受給資格者一人につき年一千円であります。所得割額は、世帯主及びその世帯に属する一般国民年金受給資格者の前年の合計所得金額合計額課税標準とし、それに百分の〇・二八を乗じて算定いたします。世帯主労働者である場合、その状態に見合うべき程度控除をいたすことにいたしております。資産別割は、世帯主及びその世帯に属する一般国民年金受給資格者が所有する固定資産——これは居住用の財産を除きます。その固定資産税台帳に登録されたものの合計額に百分の〇・二四を乗じた金額であります。この場合世帯主労働者である場合はその状態に見合う程度控除をいたします。  右は普通の場合でありますが、徴収不能あるいは困難な世帯では、減免、すなわち税控除あるいは非課税といたしますことは前に述べた通りであります。税額控除世帯所得合計世帯員数で除した金額、すなわち一人当り平均収入金額が三万五千円以下になると適用され、その控除率は、百分の十から始まり、九段階に分れ、一番多いところは百分の九十に達します。一人当り金額が二万四千円以下あるいは生活保護法適用家庭非課税に相なります。この税金はもちろん申告納税であり、納期は毎年六月から翌年三月まで毎年十分の一ずつ徴収することに相なっており、農家の場合は、政令の定めるところにより、申請により七月末、十一月末に二回に分けて納入することができるようにいたしてございます。  民主的構成による中央国民年金審査会地方国民年金審査会を置き、不服の際に審査を受けることができるようにいたしてございます。  事務市町村長がつかさどることになっており、国税局長がこれの監督をすることに相なっております。その他税法上必要なことすべてにつき細目規定をいたしてございます。  本法案施行期日昭和三十四年十月一日、本法案施行に要する費用は前に申し述べました通りであり、税収入額は、初年度二百五億円、平年度約四百十億でございます。  以上で一般国民年金税法案の御説明を終り、次に、労働者年金税法案について申し上げます。この法案は、国民年金法案第四十六条第四項の規定に従いまして、労働者年金税課税標準税率、その他労働者年金税に関する事項を定める法律案であります。  まず第一に、労働者年金税課税標準は、事業主の使用する事業所ごと労働者年金受給資格にかかるその月の標準報酬金額合計額といたしてございます。標準報酬については、国民年金法案第四十九条において、第一級三千円より第三十級七万二千円まで、三十等級に分けてございます。  次に、労働者年金税税率は百分の二・七であります。ただし、生活保護法適用を受ける労働者国民年金法第四十六条第五項ただし書きの規定により同項本文規定する労働者負担をしない場合は、納税義務者である事業主は、その分だけ税額の控除を受けられることに相なっております。この労働者年金税は、もちろん申告納税であり、毎月納入されるべく規定されております。不服のあるものが、地方国民年金税審査会中央国民年金審査会審査を受けることができますことは一般国民年金税法案の場合と同様であります。  事務については、税務署が直接当り、市町村長に委託はいたしません。  その他税法上必要なことのすべてにつき細目規定をいたしてございます。  本法案施行期日は、昭和三十四年十月一日、本法施行に要する費用は前に申し述べました通りであり、税収入額初年度約四百五十億円、平年計算して、第一年度約百億円であります。  以上で、労働者年金税法案の御説明を終り、次に国民年金特別会計法案について申し上げます。  この法案は、国民年金法による一般国民年金事業及び労働者年金事業に関する政府経理を明確にするため国民年金特別会計を設置し、一般会計と区別して経理をする目的を持ったものであります。この会計は、一般国民年金勘定労働者年金勘定二つの部門に区分され、それぞれの勘定においては一般国民年金税あるいは労働者年金税一般会計からの受入金積立金から生ずる収入借入金及び付属雑収入をもってその歳入とし、一般国民年金あるいは労働者年金給付金、借り入れの償還金及び利子、一時借入金利子業務取扱い費並び付属諸費をもって歳出とすることに相なっております。この会計厚生大臣か法令に従って管理するものであり、厚生大臣は毎会計年度歳出歳入予定計画書歳出歳入決定計画書大蔵大臣に送付しなければならないことといたしてございます。内閣は、毎会計年度、この会計予算、決算を作成し、一般会計予算決算とともに、国会提出しなければならないことにいたしてございます。その他、余裕金の預託、借入金等について規定をいたしてございます。厚生年金保険船員保険中年金部分農林漁業団体職員共済組合等労働者年金に即時統合されることに相なっておりますので、従って以上の制度積立金等権利義務は本特別会計に承継されるべき旨を定めておるわけでございます。  本法案は、昭和三十四年十月一日から施行され、昭和三十四年度予算から適用されることに相なっております。  以上で、国民年金特別会計法案説明を終ります。  これで、日本社会党国民年金制度に関する考え方と、それを実施するための具体的な法律案としての三法案の御説明を申し上げたわけでございます。なにとぞ、三法案を建設的に十分に御審議賜わり、一日も早く御可決あらんことを切に御要望申し上げて、御説明を終ります。(拍手)
  4. 早川崇

    早川委員長 これにて提案理由説明は終りました。各案に対する質疑は次会に譲ります。     —————————————
  5. 早川崇

    早川委員長 次に、国税徴収法案及び国税徴収法施行に伴う関係法律整理等に関する法律案の両案を一括して議題といたします。  この際、税制並びに税の執行に関する小委員長より、両法律案に関する同小委員会における審査の経過について報告を求めることといたします。税制並びに税の執行に関する小委員長山本勝市君。
  6. 山本勝市

    ○山本(勝)委員 国税徴収法案及び国税徴収法施行に伴う関係法律整理等に関する法律案について、税制並びに税の執行に関する小委員会における審議の経過並びに結果を簡単に御報告申し上げます。  まず、国税徴収法案について申し上げますが、政府においては、明治三十年に制定されて以来すでに六十余年を経ておりますところの現行国税徴収法案を、租税徴収制度調査会が三カ年にわたり審議を重ねた結果の答申により全面的改正を行うため、今回本案を提出されたものであります。  本案の改正の骨子は、租税徴収の確保、私法秩序の尊重及び徴税制度の合理化であります。  まず、租税徴収確保の問題でありますが、租税徴収を確保することは、国の財政の需要をまかなう上で必要であると同時に、租税負担の公平を実現するためにも欠くべからざるものでありますので、この改正案におきましても、租税の優先権と自力執行権は従前通り維持することといたしております。  次に、私法秩序の尊重の問題でありますが、その第一に質権または抵当権と租税との関係であります。現行制度においては、抵当権または質権によって担保される債権は、その設定時期が租税の納付期限よりも一年以上前であることを公正証書によって証明しない限り、租税の方が優先することになっております。今回これを基本的に改正いたしまして、法定納期限後に設定された抵当権等によって担保される債権に対してだけ、租税を優先して徴収することにいたしております。また、質権、抵当権の証明方法につきましては、改正案では登記、登録のある抵当権等は証明を必要とせず、その他のものについても内容証明郵便による証明を認めるなど、私債権保護の措置を講ずることといたしております。第二は、先取特権または留置権と租税との関係であります。従来。租税の徴収に際しては、先取特権、留置権は何らの保護か加えられていなかったのでありますが、私法秩序尊重の見地から抵当権等との均衡も考慮して、適当な保護を加えることにいたしております。第三は、滞納処分手続における第三者の権利の保護であります。第三者が占有する滞納者の動産を差し押えるとき、従来のように直ちに差し押えることなく、その第三者に引き渡し命令を発した後に行うこととするなど、第三者の権利を害しないように措置をはかることといたしております。  次に、徴税制度の合理化の問題でありますが、納税者の実情に応じた徴収を行うため、徴収猶予、滞納処分の執行猶予の制度を拡充するとともに、差し押え禁止財産について、特に給料の差し押えは、従来は一率に七五%が差し押え禁止とされておりますものを、給料の額に応じた差し押え禁止の額を定めることといたすなどに改めることといたしております。なお、譲渡担保によって担保される債権につきましても、これらの担保が租税の法定納期限後に行われた場合に限り、譲渡担保設定者の租税をその譲渡担保の目的となった財産から優先して徴収できることとし、また担保の目的で行われておる仮登記についても同様の措置を講ずることとしております。  次に、国税徴収法施行に伴う関係法律整理等に関する法律案について申します。  本案は、国税徴収法の全文改正に伴い、所得税法その他の国税に関する法律及び国税徴収法を準用する諸法律の整備合理化をはかるため、所要の規定の改正を行うためのものであります。  本二法案は、政府より提案の理由を聴取して以来、審議を重ねて参りましたが、その間政府側と委員、特に田万委員との間で、国税滞納の原因及び現状、並びに労働者の賃金債権の確保の問題、買い戻しの特約の目的となった財産が公売された場合の問題等について質疑応答が行われました。これらの詳細については小委員会の速記録に譲ります。  小委員会においては、以上二法案についてはおおむね審議を終了いたしましたので、他に質疑がありますれば本委員会において行うこととし、小委員会の審議を一応終了した次第であります。  以上をもって小委員長の報告といたします。
  7. 早川崇

    早川委員長 これにて小委員長の報告は終りました。     —————————————
  8. 早川崇

    早川委員長 次に、以上の二案のほか、交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改正する法律案関税法の一部を改正する法律案国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律案の五案を一括して議題といたします。  質疑の通告があります。これを許します。横山利秋君。
  9. 横山利秋

    ○横山委員 先ほど、わが党の八木委員から、年金に関する膨大な提案理由説明がございました。折しも本委員会は国家公務員共済組合法案の審議をいたしておるところであります。先般の本委員会で私も申したのでありますが、この国家公務員共済組合法が、従来のいわゆる特権的な雰囲気として国民から見られておりました恩給から年金へという大きなスローガンで移行することについては、異存はないのであります。しかしながら、その陰で組合員諸君からほうはいとして最近沸き上りつつあることは、それはそうではあるけれども、さりとて、この内容でいくならば、掛金率は急激に上る。社会保険だといわれても管理、運営をまかされない、そうして資金の運用も自由にならぬ、それでは一体どういう利益があるんだ、こういう素朴な質問である。なるほど、これは、私は先般来審議を重ねてきてもっともだと思う。一体何が社会保険の本質であるか。政府は、国家公務員諸君に対して、あなた方の共済組合である、社会保険だという以上は、あなた方が、自主的に、それこそ自分の力でこの組合を努力して運営をしていく必要があるんだということを言わなくてはならぬし、またそういうふうにしむけていかなくてはならぬのではないか。それにもかかわらず、本文を開けば、もうことごとくといっていいほど大蔵大臣の認可が要る、同意が要る、何々が要る、何々が要るという文章で埋め尽されているではないか。さて今度は掛金が上る。そうして膨大に蓄積されるお金は資金運用部へ舞い上ってしまう。そうして自分たちで自分たちのお金をどうにもならぬというばかなことになる。一体それで、社会保険の特質である、そのお金を運用して、そのお金をもってこの組合の福祉事業をやるとか、いろんなことをやるとかいう最大の特質を一体どこへ逸してしまうのか。これじゃ組合員諸君か不満を持つのは無理からぬことではないか。これが、私どもか本法案のみならず——まさにのみならず、最近問題になっていますこの種の年金問題について、政府は何を一体考えておるのかということが、この際ただしたい根本的な問題なんです。その観点に立って以下私は質問をしたいのであります。  まず第一に、これは政務次官にお伺いをしなければならぬと思うのでありますが、最近政府が提案をしております国民年金法案、そうしてこの国家公務員共済年金、あるいはまた厚生年金船員保険年金、そうしてまた今日出されております中小企業退職金共済年金等々が、最初はすべり出しですから少いのですけれども、これが最高度に出てきましたときには膨大な掛金というものになる。その計算は一体どのくらいになるのか。国家公務員共済組合を含めてどのくらいになるのか。そうして、それらの資金運用は、あげて資金運用部に持っていこうとするのか。この一連の政府のものの考え方をここで明らかにしてもらいたい。どのくらいになるのか。それはどういうふうに運用をされるのか。そうしてそれは日本の政府経済政策の中でどういう立場を占めようとしておるのか。これをまず御説明を願いたいのです。
  10. 岸本晋

    ○岸本政府委員 この共済組合法改正案に関連いたしまして、年金制度全般の積立金について政府はどういう考えをとっておるのかという御質問でございますが、現在のこの一、二年、公務員を含めまして国民全般の年金制度を、まず公務員については年金制度を解決していく、あるいは一般の国民に対しては国民年金を実施するということで、こうした国民年金の方向への第一歩をまず踏み出すということに重点が置かれておるわけでございます。これが将来三十年、四十年たちました先に、膨大な積立金が確保されるということは御指摘の通りでありますが、その積立金の総額がどうなるか、あるいは将来その積立金財政の見地、あるいは国民経済の見地、あるいは国民の福祉の見地、そうした観点からどう割り切っていくか、いかように運用して参るかという問題につきましては、なお政府内部におきまして、これから十分慎重な検討を続けていかなければならない問題と考えております。現在におきましては、ともかくこれについて申しますれば、恩給と共済年金を一本にいたしまして、国民年金への一歩に沿っていくということにまず重点を置いて、ものを考えて参りたいと考えております。
  11. 横山利秋

    ○横山委員 私の質問に対する答弁になりません。重ねて具体的に伺います。大体この各種国民年金、公務員、厚生、船員中小企業退職金等が含まって大体どのくらいの掛金の積立金になるのか、そうしてそれは一体どういうふうに運用される展望を持っておるのか、それを明らかにしてもらわなければだめです
  12. 山中貞則

    ○山中政府委員 今数字がちょと見つかりませんでしたので、課長に答弁させたのでありますが、なお積算しなければちょと御返答ができないということでありますから、資料で提出をさせることにいたします。その積立金の運用につきましては、とりあえず本法案では資金運用部に預託することにいたしておりますが、やはり、私どもといたしましては、資金の運用を国家的な立場から効率的に行いますために、一応この方向を定めたわけでありますけれども、今後想定されます諸種の年金その他の総合的な積立金の運用に関しましては、より効率的に、そしてより国家的に処置できますような総合的な権討を加えて参りたいと思っております。
  13. 横山利秋

    ○横山委員 残念がら、それは政務次官、非常におざなりの答弁と言うよりほかはございません。少し御勉強が不足しておるようであります。私は、国家公務員共済組合法の審議において、この種の議論を尽すことが妥当であろうかどうかという点で、多少あなたの方の準備の足らない点もわかるわけではあります。国民年金法案の際にこれをやってもいいとは思うわけです。ただし、今度の国家公務員共済組合法は、昨年五現業の恩給公務員十五万人を共済年金に切りかえて、その積立金を資金運用部に回したことに加えて、今回は約四十五万人、地方警察の適用者三十万人を切りかえて、一ヵ年約百五十億円となると推定をされるのであります。全部の五つの年金法案政府の所期する方向に行きますならば、私の計算では、昭和三十二年度末において一兆三千八百億円が、十年後には大体倍になると推定される。私の推定が間違っておるなら、数字の問題でありますからどうぞ指摘をしてもらいたいのでありますが、これはまことに膨大なものであります。この膨大なものを、政務次官の言うように、とにかく一応資金運用部へ預けておきます。預けておいてその使い方は適宜それぞれ処置をいたしますというおざなりなことで済む話ではありません。現在の資金運用部の運営においてもいろいろと議論のあるところなのであります。その根幹となります今度の法案によって、非現業の恩給適用者の四十五万人、しかもこの四十五万人がどういうように——共済方式になるか国家管掌になるかで政治的な大問題といたしましたその段階で、この積立金を資金運用部に預けることについてはいろいろ議論があったことだと思います。だから、この議論の過程において、資金運用部のあり方、あるいはまた今後の年金積立金の運用についての議論がなかったというばかなことはあるはずがないのです。ですから、これがどういうふうに行われるのか、その積立金の総額は一体年次計画としてどのくらいになっていくのか、これを今答弁ができないようなばがげた準備のあり方というものはあろうはずがない。一つ重ねて正確な御答弁を要求いたします。
  14. 山中貞則

    ○山中政府委員 資金の諸種の年金その他を総合した見通しの総額については、おしかりを受けましても今ここにございませんので、今連絡をいたしておるところでありますから御了承を願うといたしまして、資金運用部に預託して運用することについてとりあえずきめたが、どういうふうに使うかわからないのだというようなずさんな意味ではございませんで、本法につきましてはその運用を運用部に預託をして行うということをきめたのでありまして、これについて別段運用部の預託がいけないのだというきびしい意見というものは、私の知っている範囲ではございませんでした。ただ、別途審議されておりまする中小企業の退職金制度等については、特殊な性格もありまするから、各支部あたりに運用をさせたらどうかという意見もありましたけれども、これも、地方々々で分散運用ということは、資金の効率上の運用からいっても芳ばしくなかろうというような議論は相当いたしました。議論かなかったというわけじゃありませんが、私どもといたしましては、より有効な方向は運用部の預託がよかろうということを決定した次第であります。
  15. 横山利秋

    ○横山委員 これは驚いたことであります。この金を資金運用部へ預託することについていかぬという意見は聞いたことがないということは、都合の悪いことはあなたのお耳に入らぬのであっろうか。都合のいいことばかりあなたのお耳に入るのであろうか。まことに都合のいいあなたのお耳であるようであります。今日までこの共済組合の問題で最も中心となっておりますことは、この金はおれたちの金じゃないか、おれたちの金をおれたちに運用させずに取り上げるとは何事か、これが共済組合の問題の本質であります。これは、いかに政務次官におなりになってからまだそんなに長くはないとおっしゃりながら、いささか軽率な御議論ではないかと思うのであります。常識的に考えてごらんなさいよ。公務員百万が毎月々々自分たちの乏しい給料の中から積み立てるその金が、自分たちの金であるから自分たちに運用さしてもらいたい、自分たちの代表である連合会、そういう共済組合で運用をさせて利潤を上げて、その利潤で福祉事業をやらせてもらいたいということは常識的な観点ではありませんか。それを国家が取り上げて、自分の都合のいいように使うということ自体が根本的に間違いだと思いませんか。重ねて答弁をお願いいたします。
  16. 山中貞則

    ○山中政府委員 反対が全く私の耳に入らない、都合のいいことだけ入っておるのだと言われるのでありますが、多分反対というのは関係の組合の方々の反対が主ではなかろうかと思いますが、私どもの最終決定をいたします会議の段階において、もしくは私自身において、組合の方からこの制度についてこのような反対を実は聞いておりませんで、本委員会において取り上げられました議論の中に、なるほどそういう見解もあり得るだろうということを私は知ったのであります。  なお、この制度につきましては国も五五%の国庫補助をもって運用をするのでありますから、ただ全額が自分たちだけの金だから自分たちの運用にまかすべきだという議論には当てはまり得ないと私は考えます。さらにまた、現行の厚生年金保険法の規定による保険給付を行うものとした場合に、こういうことを想定して法律にしておるのでありますから、私どもとしては、やはり諸般の関係、類似法案の運用その他と総合的に検討いたしまして、結論を出したのです。
  17. 横山利秋

    ○横山委員 私は先ほどから委員部を通じて主計局長か次長の出席を要求いたしておりますから、もう一度お手配を願いたいと思います。  重ねて政務次官に私はあなたの不敏さをとがめざるを得ない。今あなたは、どういうおつもりか知らぬけれども、反対しておる組合があるからということをおっしゃいましたが、これはやはり違います。「あげて」とおっしゃらなければ正確ではない。組合ばかりではありません。各省がそれを言っておるのであります。各省といいますのは、共済組合に関係をいたします立場においては、すべての省がと言っても過言ではないのであります。ひとり大蔵省のみがと言った方が適当なんです。ひとり大蔵省のみが資金運用部へその積立金を入れることを強硬に主張しておるというのが事実なんです。あなたが事態を歪曲して御説明なさるということは間違いでありますから、問題の本質を本質として十分に理解をされなければいけません。私は、国家財政の立場から公けの金あるいは民間の金すべてを通じて資金調整をすべきである、という社会党の基本的な論理を逸脱しておりません。これは何か、自分たちの金だから自分たちの金を思うようにしろということが、私どものかねての主張と違うように印象を受けられるとしたならば、私は説明をしなければなりませんが、しかし、今日の政府の資金運用の情勢のもとにおいては、ひとりこの膨大な積立金政府の思うようにされる、そうして労働者の掛金が犠牲を負っておるという点について、黙視することができぬのであります。だから、そのような状態であるならば、一つ、共済組合の積立金についても、これは共済組合の自主性にゆだねるべきである。本来彼らの金ではないか。政府が何がしかの金を出しておるにすぎないじゃないか。それをいかにも恩に着せて取り上げて、資金運用部へぶち込んで、そうしてこれをもって資本主義的な政府の今日の下手くそな経済政策の中へやって、汚職までどんどんでかしておる。そうして労働者には及ぶところがないじゃないかと私は言いたいのであります。そこで、少くとも今日の状態のもとにおいては、共済組合の零細な公務員諸君の積立金は、資金運用部へ強制預託をすることをやめて、そうして彼らの自主的な運営にまかすべきである。この主張に対して、政務次官は、初めて聞かれたというばかげたお話でありますが、今初めてならば、ちょうどすなおにあなたの頭の中へ私の論理か入っていくと思うのでありますが、常識的にお考えになってそうあなたは思いませんか。彼らの主張に——彼らというのは、言っておきますが、あなたの言うような一部の組合ではありません。全部の組合であり、大蔵省を除く全部の省、すべての人が言っていることについて、ひとり大蔵省だけが強制預託を主張しておる点について、どちらにこの筋があると思いますか。あなたの冷静な御判断を重ねてお伺いします。
  18. 山中貞則

    ○山中政府委員 各省において、そこの長もしくは首脳部と各省の組合との間においていろいろ折衝の過程があったことは、もちろんわかっております。しかしながら、私どもは、各省の責任者と大蔵省との間に、財政当局の見地から折衝をいたしましてまとめたのでありまして、今各省か各省庁において全部反対だという意見を公的に表明しておるものとは私は判断できませんので、横山委員の指摘されます点で私も納得できる点かあるのでありますが、私どもといたしましては、法律の運用をいたします場合には、民間の厚生年金等とのつり合いも考えまして、さらにわずかばかりの金を出して大きなことを言うなと言われるのですが、やはり半額以上の負担となりますと、財政当局といたしましては恩を売るわけではありませんか、やはり財政当局としての考えによれば、相当巨額の出資をしておるんだということを言わざるを得ないと考えます。
  19. 横山利秋

    ○横山委員 そういうことでありましたら、委員長、一つきょうは私も大いに質疑応答を深くさせていただくように、最初からお願いしておきます。  一体、今の社会保険の国庫負担はそれぞれ船員、厚生、私学、農林共済、国家公務員、公共企業体、それぞれの国庫負担はどのくらいの割合ですか。それぞれ一つ例を示して御答弁を願いたい。
  20. 岸本晋

    ○岸本政府委員 社会保険の国庫負担割合でございますが、厚生年金では給付率額の一五%でございます。それから船員保険では二〇%でございます。共済組合におきましては一〇%、私学、農林漁業につきましては給付率額の一五%、かようなことに相なっております。
  21. 横山利秋

    ○横山委員 次官、お聞きでございますか。国家公務員、公共企業体はたった一〇%、あとは全部一五%か三〇%なのですよ。それであなたはいかにも恩を着せるような話ができますか。国家公務員に対して特別な恩典があるような話ができますか。これは少し私は時間をもらって政務次官に十分きょうは御理解を願おうと思うのでありますが、国家公務員及び公共企業体職員のめんどうを国庫が見ておると大きなことをおっしゃるけれども、決してあなたがそうお考えのほどではないですよ。それに今度は恩給がなくなって、掛金は二倍になるのですよ。恩を売られるような筋合いのものは絶対にないと彼らは言うのです。これは筋が通っておる。掛金が倍になって、そうして組合の運営については大蔵省がやいやい言って、手続は、あろうことか、この間私が申しましたように、大蔵省だけでやると思ったら、恩給局が年金決定の事務はわしの方でやると口を出し、大蔵省がそれに対して頭を下げてしまった。事務は二元化する。かてて加えて積立金、掛金は政府に持っていかれる。こんなばかげたことがあるだろうかと言っておるのですよ。どこに一体恩を売っておるのですか。あなた、これによって恩を売ったということが言えるなら言ってごらんなさいよ。別にそう大したことではないではないですか。ですから、彼らは、先般来いろいろ事情がございまして、これだけ大もめにもめておるのです。  次に、理解を願わなければならないし、今後どうしても変えてもらわなければならないのが、今話の中に出ておる大蔵省の介入の問題です。これは、資金の運営の自主性という意味と、今度は事務の自主性ということになってくる。事務の自主性の問題で新たに今回問題になってきたのが三つある。一つは年金決定を恩給局にやらせるということです。何でそんなことをやらせなければならないのか。この間あなたはとうとう、いや、それはほんとうはまずいと思うけれども、これが政治だからかんべんしてくれというようなことを山中さんらしい言い方で言いました。あやまちを改むるにやぶさかなかれという言葉がございますが、ほんとうにこれが妥協案として年金決定事務をわざわざ恩給局にやらせなければならないということであるならば、迷惑を受けるのは、ひとり国家公務員の諸君ばかりでなくて、その担当者であります。だから、まずいど思ったら、この妥協が未来永劫に続くようなばかげたことをやってはならない。いかに政治的な妥協であろうとも、それぞれ妥協した人たちだけが頭を下げて済むものならいいが、今後国家公務員の職を去って野に出ていって、びんに白髪をいただく人が、さあ年金をもらうという段階になって、初めてそのしわ寄せを受けるのです。それに対して済まぬと思いませんか。どうしてあなた方はそんなばかげたことをするのですか。これが第一です。  第二番目は、人事院との関係です。この年金は社会保険だ。社会保険として共済方式をとった。それなら何で人事院がこれに介入しなければならないか。共済組合運営につきましては、共済組合法にちゃんと定められておる通りに審議会がある。あるいは評議員会がある。それぞれ法律を改正するには法律改正をするためのそれぞれの機関があり、運営するには運営するための機関がある。それにもかかわらず、人事院がこの問題について介入をしなければならないという理由は一体どこにあるのだろうか。なぜこれも縁を断ち切れないのであるか。そうして筋を一本通さないのか。これが二番目の問題です。  三番目の問題は、今回の改正法案についても現行法についてもそうでありますが、ことごとくと言っていいほど、連合会の仕事やその他の問題について、大蔵大臣の許可だとか、認可だとか、同意だとかあるいは協議だとかいうことが山積をしておる。これは岸本さんに率直に聞きたいが、一体なぜこんなに大蔵省の給与課がやらなければならないのですか。それほど法律によってできた連合会なり共済組合なりというものが信用ができないのであろうか。何か悪いことがあったのであろうか。一体どうして自主的な運営をまかすことによって大局的な監督をすることができないのであろうか。何か法律を作ると、お役所は自分たちの権限を介入させる。権限を持たなければ気が済まない。同意や協議事項が一ぱい山積しておる。こういうことはばかげたことではないか。もう少し大乗的な気持になって、この共済組合を運営する気にはならないのだろうか。  大きく言ってこの三つの点は、がまんのならないところです。筋の通らないところです。こういう点について一体基本的にどういうふうにお考えになるのか、また具体的な三点についてどうお考えなのか、一つ明確に承わりたい。
  22. 岸本晋

    ○岸本政府委員 第一点の御質問の、年金の決定事務の一部を総理府にお願いしておるという点でございますが、これは、先般の委員会でも申し上げました通り、当分の間過去の恩給法上の機関というものを尊重して新しい長期給付をやって参りますので、過去の恩給法に関する知識を持っておる人々の助けを借りると申しますか、誤まりをなくするためにそういう措置をとったわけであります。別に未来永劫というわけではありません。法文にありますつように当分の間という措置で考えておるわけであります。  第二点の人事院との関係でございますが、共済組合は確かに一つの社会保険的な性格を持っておりますが、社会保険、つまり勤労者全般に共通に適用される社会保険とはまた違うわけであります。そこに、一般の社会保険である厚生年金保険と違って、また特殊な内容を持っておるわけであります。それはやはり公務員というものの特殊性を考慮して、こうした別体系の年金ができておるわけでございます。そういう点から考えますと、社会保険的な性格の部分については、大蔵省で、共済組合審議会でいろいろ運営を考えて参りますが、公務員全体の待遇をどうするか、任用とか服務その他諸般の制度を総合的に考えました場合にどうするかという問題がやはり別途残るわけであります。この点につきましては、やはり人事院でも意見を申し述べる立場があるということを、今回の改正法に入れたわけでございます。要するに両者かものを見る角度が若干異なっているという結果でございます。人事院が将来これに容喙するのはけしからぬとおっしゃいますが、これは社会保険そのものではないという点から、そういう考えをとっているわけであります。  第三点の共済組合に対する大蔵大臣の監督権がきつ過ぎるではないかという御指摘でございますが、大蔵大臣の承認事項あるいは協議事項として法律で列挙しておりますものをちょっと具体的に拾い上げてみますと、これはたとえば共済組合連合会の定款の変更でございますとか、事業計画、予算の作成、変更あるいは連合会理事の任命、解任、決算の承認あるいは定款の承認、こうした事項でございます。これらの事項は、こうした類似のほかの特殊法人についてはすべて行われていることでございます。特に大蔵省だけがこの共済組合に対してだけ特にきびしくやっているわけではございません。ほかの国鉄の共済組合制度におきましても、専売におきましても、あるいは農協、私学、それぞれ他の共済組合制度において、あるいはさらに厚生年金保険制度、健康保険制度、そうした類似の制度において、この制度の権限はすべて監督大臣が持っておるわけでございます。大蔵大臣が特に特別な権限を国家公務員共済制度だけに行使しているというものではございません。この点は、もし御必要でございましたら、将来ほかの制度との比較表として、いかなる権限を監督大臣が持っているかということを御説明申し上げたいと思います。
  23. 横山利秋

    ○横山委員 あなたのお話は顧みて他を言うというような話で、私の言うことにすなおに答えていない。ほかがそうだからこれは当然だよという御答弁は答弁になりません。ほかが悪かったら、やはりほかも直すべきじゃないですか。すなおに一つ、このようなことまでしなければ監督ができないのであろうかという私の質問に対して、このようにしなければ監督ができませんという積極的な理由を言わなければだめなんです。ほかがそうですから、こればかりじゃありませんから当然ですということではだめなんです。私は、少くとも今日のようにこれだけたくさん協議事項をやっておいて、それでもし、逆説的にいいますが、もしそれじゃ、この条文をあなた方が行使しなかったから、こういうふうになったんだ、お前らどうしたんだと追及する場合があったら、必ずあなたは何のかのと言って逃げる、そういうものなんです。だからといって、私はその方式でどうこうというわけじゃないけれども、全般的に少くとも今日のようなこの繁文縟礼な協議、同意、認可、許可というような共済組合に対するあり方については、改善をする必要があると言っている。だから、その意味において御答弁を要求します。
  24. 岸本晋

    ○岸本政府委員 政府のこうした機関に対します監督権全般についてどう取り扱うか。こういう問題が別途あることはわかるのでありますが、しかし、現在の段階で、共済組合制度に対する監督機構、運営機構をどう見るかということになりますと、やはり共済だけ特殊に監督権の薄い制度にしてやるというようなことは、これはちょっと政府内でのバランスとしてもできない問題でございます。特に私どもが非常に共済制度について困ります点は、各省に共済組合が分散いたしておるわけでございます。これの事業の統一運営ということは、あまりばらばらにまかせておきますと非常に不均衡になる。これは困ることでございます。各省にわたっている共済組合の統一運営という見地から申しましても、これは少くとも他の社会保険制度並みの監督権がございませんとやって参れないわけでございます。そうした面での各種、特殊の面からの一つの事情はあると思います。
  25. 横山利秋

    ○横山委員 次官、どう思いますね。私の言うことはおわかりですね。一ぺん次官も、十分見る機会はないかもしれぬけれども、ずっと条文をごらんになって下さいよ。全く協議とか認可とか許可とか同意とか……。共済組合という問題について世間は、また年金制度について世間は、また与党も野党も政府も最近非常に認識を新たにしてくる状態になってきました。そのときに初めてといっていいほどの問題が目の前に山積してきました。その中で一番問題となってきますのが、最初私が取り上げましたこの膨大な積立金、まさにここしばらくの間に二倍になるような膨大な積立金は一体どうなるのかという財政投融資の根本に触れる問題がある。小さくは——年金を受ける人にとっては大きいでありましょうけれども、小さくは、事務のちょこっとしたことにまで監督官庁がくちばしをいれる仕組みになっているこの問題を、根本的に考え直さなければならぬのじゃないか。私は、この問題については、大きい問題は政治の問題として今後はなばなしく論争を続けていきましょう。けれども、十年、二十年、三十年国家公務員として国民諸君からいろいろと非難も浴び、そうしてえらい人にもあまりなれないで、白髪をたくわえてやめていく人が、最後の段階になって手続が煩瑣で年金が決定できず、その間に高利の金を借りて間違いが起るというようなことも予測しかねない今日、許可、認可、同意、協議というような手続については、今まで共済組合連合会なりそのほかの各省の仕事に重大な欠陥とか重大な間違いがあったというのならいざ知らず、そういうことの予測があまりされない今日においては、この権限について大幅な移譲を行い、そうして事務の簡素化をはかる必要性がある、こう痛感するのでありますが、政務次官のお考えを承わりたい。
  26. 山中貞則

    ○山中政府委員 総体論として大蔵省が一番中心でありますが、監督官庁における事務あるいは行政面における監督の権限のあり方というものは、当然論議さるべきであり、またその責任者の立場にある者も絶えず反省を加え、改正を加えて、御指摘のような、いたずらに法律を刺激し、逆に行政の能率を低めていくようなことは避ける方向に努力をしなければならぬと思います。ただ、これも一がいに言えないのでありまして、事務上どうしても慎重を期するために、ことに資金面等の運用等ににつきましては、責任者たる国の財政当事者がこれに対して何らかの協議ないしその他の手続にあずかるということの必要な場合もあります、また、反面においては、現在証券あるいは銀行等に対する大蔵省の財政当局としての監督の仕方等については、今のままでは足りないのではいか。ことに証券業界等においてはそういう現状等もあるようなわけでございまするので、横山委員のおっしゃる基本的な考え方は私は正しいと思いまするし、そういうことは一つ次官は時間をかけて研究して参りたいと思います。
  27. 横山利秋

    ○横山委員 常識的な御答弁であります。私はあなたのその常識的な答弁に率直に期待をいたします。今後——今回は、私もいろいろと大蔵省と事務上の折衝をいたしましたが、時間的に間に合いません。この際次官の政治的な良識に期待をいたしまして——これはもちろん場合によっては権限の簡素化がはかられない面も多いかと私は考えますが、しかし、できる限り手続の簡素化をはかるという点については、あなたの良識に期待いたしたといと思いますが、それでよろしゅうございますか。重ねてあなたのお考えをお伺いいたします。
  28. 山中貞則

    ○山中政府委員 横山委員のおっしゃることについてはお答えした通りでありますが、それはわれわれ政党政治家が当然絶えず念頭に置かなければならない大きな問題の一つだと思います。従って、十分、具体的にどの問題を御期待に沿い得るということを今申し上げられませんが、そういう方向の運営に努めていく、しかもそれについては良心的な検討を重ねるということを申し上げたいと思います。
  29. 横山利秋

    ○横山委員 それでは、その問題については今後私も具体的な問題を提供いたしまして、本問題を本委員会で検討する次の機会には、具体的に検討いたしたいと思います。  さてそこで、その次は運営の問題であります。この法律の中で、評議員会あるいは運営審議会等がございますが、これらの機関を議決機関にする気持はないのであるかどうか。これはものの考えようであります。相互の関係者の良識を期待し、関係者がそれぞれその共済組合に対する利害を異にするとか、利害が対立するというのであればともかくでございますが、共済組合に対する利害を同一に持つものであるならば、その共済組合に関係をする諸団体、諸機関の構成を集めて議決機関にする、こういうお考えはないのかどうか、これをお伺いします。
  30. 岸本晋

    ○岸本政府委員 共済組合の運営審議会あるいは評議員会の性格は、現在は御指摘の通り主務大臣の諮問機関に相なっております。これはやはり共済組合制度を社会保険的なものと考えて、他の社会保険制度におけるいろいろな取り扱いとの均衡を考慮して考えた制度でございます。たとえば共済組合が行なっております短期給付は、他の健康保険法と同じでありますが、健康保険組合等では、確かにそこの全組合員の会議である組合会は議決機関でございます。これは切半負担という観念から出ておるのだと思いますか、その半面、この組合会に対します監督大臣の権限は非常に強いのであります。大蔵大臣の今回の権限の比ではないという問題がございます。あるいは長期給付に当ります厚生年金保険につきましては、国がそのままやっておる制度でございまして、それこそ、被保険者の意思を発表する機関とか、そうした制度もないわけであります。共済組合の場合におきましては、そうした二つの取扱いをいろいろ参考にいたしまして、諮問機関といたしまして、組合員の意見が、議決機関じゃないが、ともかく十分発表できるような仕組みにする、こういう形をとっておるわけでございます。現在の段階におきましては、これを議決機関まで持ち上げるということは適当でない、あるいはかえって逆効果を生ずるというような場合も起りかねないわけでございます。そういう意味におきまして、これを一応諮問機関として続けて参りたい、かように考えております。
  31. 横山利秋

    ○横山委員 逆効果を生ずる場合もあるから、現在の段階ではという意味はどういう意味であるか、私には解しかねます。本件に関しては、国際的な一つの基準というものがございます。すでに御存じであろうと思うのですか、一九三三年ジュネーヴで開催された国際労働機関の第十七回総会、あそこで議決をされた「工業的又は商業的企業に使用せらるる者、自由職業に使用せらるる者並に家内労働者家庭使用人の為の強制老令保険に関する条約(第三十五号)」において、「被保険者の代表者は、国内の法令又は規則に依り定めらるる条件に従い、保険機関の管理に参加すべく、又右の法令又は規則は、使用者及公の機関の代表者の参加に関し定むることを得。」以下多くのことが規定されておるわけであります。ここの「参加すべく」という文章は、文字通り対等の立場において参加をすべきものと解すべきであって、適当に言うだけ言わせる、きめるのはこっちの勝手だという解釈は許されてはならぬのであります。そのほかの例を引用するとたくさんございますが。少くとも私は、運営審議会ないしは評議員会、この運営に関しては、相互の良識を期待してこれを議決することに、一体どうして問題があるのであろうか、私にはこう思われるのであります。重ねて申しますが、これが利害が対立する機構である、あるいは場合によってはそれによって共済組合の運営が危殆に瀕するということが予知されるというのであるならばいざ知らず、権利があるときにはやはり義務、責任がある。ものことはうらはらの関係があるのでありますから、それらに権限を与えて責任を相互に負わせる、そうすることによって共済組合がそれぞれ自主的に運営をされる。共済組合は法律によって規定をされておるのでありますから、法律によってきめられているところをその運営審議会なりあるいは評議員会で勝手に改変することはできぬ。これはだれしも承知しているところであります。しかし、法律をもってきめたことに従って、その範囲内において、その運営についてこうあれかしと建議をする面において、実質的に評議員会なり運営審議会において議決をするということについて、どうして問題があるのであろうか、私はふしぎでならぬのであります。それについて、そうあってはならないという積極的な理由があるならば示してもらいたい。
  32. 岸本晋

    ○岸本政府委員 これは、先ほど申し上げましたように、ほかの社会保険制度におきますこうした制度運営上の機構をどうするかという点と、歩調を合せて考えておるわけであります。これを議決機関とかりにいたしますと、また監督大臣の権限の問題でありますとか、あるいは議決権の持ち方でありますとか、いろいろやかましい問題になって参ります。これがまた他の保険制度とどういう関連を持って運営したらいいかという問題があります。これは今の段階では共済組合だけで踏み切った制度に参るわけには参らないと存じております。
  33. 横山利秋

    ○横山委員 どうも御答弁にならぬです。まことにらちもない答弁というのは、そういうことであります。  それでは、理財局長が来まして先ほどから待っていますから、一ぺん角度を変えて、最初の問題に移ってみましょう。局長、私が質問しましたのはこういうことなんですよ。国家公務員共済組合法というものが通ることによって、約八十万人くらいの積立金がここでふえる。それから国民年金法案がこの国会で通過したとしてみる。それから、前からあります厚生年金船員保険、また今度の国会における中小企業退職金共済法、これら五つの法案がくつわを並べて改正法ないしは新設法通りにいったとすると、膨大な掛金ができ上ってくる。この掛金、積立金は、年次別にいうと何年にどのくらいになるかという想定があるだろうが、これを示せ。それから、この金は資金運用部へあなた方は吸い上げようとしておる。資金運用部は膨大な金をここに抱いていくことになる。私の感じておることは、昭和三十二年で資金運用部は一兆三千八百億の財源を持っておったんだが、それが十年後には二倍になるような気がする。まさに膨大ではないか。十年後に私の計算通りになるのかならぬのか。その一定の水準はどのくらいになるのか。資金運用部はそんなにたくさん持って何をしようとしておるのか。何でもいいから資金運用部はこれを集めて、あるいはこれを集めようと思っておるのだろうか。そうだとすれば、政府財政投融資計画というものはチャランポランではないか。何をしようとしておるのか。その明確な基準を示せ。こう言ったところが、だれも返事をしないのであります。そこで、あなたの登場、こういうことになる。あなたで御返事ができなければ、大蔵大臣に来てもらいたい。
  34. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 お答え申し上げます。  お示しの通りに、各種の社会保険あるいは共済組合の積立金の一部というものが今後運用部に預託されまして、これが運用されますので、私どもも、率直に申しまして、将来の資金運用部の原資といたしましては、こういう積立金が非常に大きな部分を占めるということについて、さように考えております。これは御承知のように年金その他につきましてまだ未確定の面もございますので、的確に数字をもってお示しをすることができないのでありますが、一応の想定をいたしましての計算ができておりますから、これは場合によりましては一定の想定のもとに申し上げることができるかと思うのでありますが、ただいまこの数字は手元に持っておりませんから、数字の点はあとでそういう想定のもとに申し上げることにいたします。  この基本的な考え方でございますが、もとより横山委員も御専門のように、社会保険のいわゆる拠出制あるいは国庫負担拠出金、こういうものにつきましての考え方はいろいろあろうかと思うのでありますが、およそ社会保険、いわゆる保険会計的な考え方から申し上げますれば、これらの原資を積み立てまして、それが国の経済の発展に寄与し、そのことがさらに国民の全体の生活レベルを上げていくことに寄与する、こういう考え方が基本になって参りますから、この積立金の運用というものにつきましては、有利であることと、より一そう必要なことは画一であるということが必要になってくるかと思うのであります。そういう意味から、どうしてもこれは長い期間にわたっての積み立てであり運用でございますから、最も確実な面に運用して参ることが前提の条件になって参りますので、やはり厚生保険等について前からやっております通りに、資金運用部というものに集中してこれを運用するということが、必要な要件だと考えております。  そこで、そういう考え方のもとに運用して参ります場合に、御指摘の点は、財政投融資が非常に一貫した方針を持ってないじゃないか、こういう御質問であったかと思うのでありますが、その点は、われわれとしましては、国の長期の経済計画、こういうものに即応いたしまして経済の基盤を強化拡大していくということ、同時に、そういう原資の本来の目的とする国民生活の向上というふうな面もあわせて考慮しつつ、財政投融資の運営というものは非常に公正にしかも有効に行われていかなければならぬということは、もとよりさように考えておるのであります。これらの点は、毎年予算とともに財政投融資計画というものを、国会に参考の資料でございますが、いろいろと御審議をいただいております趣旨もまた、まさにそういう本来の性質からきておる、かように考えておる次第であります。
  35. 横山利秋

    ○横山委員 正示さん、あなたのお話の中で、私は幾つものまた新たなる疑点を生じてきた。ただその疑点を解明するためには、どうしても数字が必要なんです。委員長にもお願いをしたいのですが、本日この法案が上ることに予定がされておりますが、これは党と党との約束でありますから、私はそれに対して新たなるまた継続的な疑点が生じておりますけれども、法案を上げることに同意をいたします。ただしかし、今のお話はどうしてもここで質疑をやめるわけには私は参りませんから、一つ政府側から今のここに持っていらっしゃらなかった積立金の今後の計画を一ぺん本委員会に出していただきまして、別に本委員会の問題であります諸問題に関連をしまして質問をすることを、お許し願いたいのであります。その際、私は、この国家公務員の共済組合法に関連をいたします資金運用部の問題について、あらためてあらゆる角度から追究をいたしたい。ただ、正示さんに私が申し上げておきたいのは、あなたがいらっしゃる前にくどく申したわけでありますが、この共済組合の金というものは、国家公務員諸君が零細な給料の中から積み立てた金であって、社会保険であるから、自分たちの金だから、自分たちに運用させるべきだ、またそのことが社会保険として共済組合の最大の特典をもたらす唯一最大の道だと信じておる。このことをあなたがお忘れになっては困る。これだけは後刻の審議のために強く申し上げておきたいと思うわけであります。  そこで、最後に一、二点質問をいたしておきたいのは、先日も申しましたが、これは政務次官に確認だけいたしておきたいと思うのであります。この法案がかりに国会を通過することがありとせば、主として心配をしておるのは退職した国家公務員諸君であります。その人たちの疑念を抱いておることは、恩給がなくなることによって自分たちが置いてきぼりを食うということが、常に心配をいたしておった点であります。そこで、そのようなことが実際問題として生ずるのであるかどうか、政府考え方を率直に述べていただきたいのであります。
  36. 山中貞則

    ○山中政府委員 のちほど両党の話し合いによる附帯決議等にもあるいは盛られるかと思うのでありますが、その御心配については私どももごもっともであると実は考えるのであります。これから先の運用につきましては、御指摘の通りの心配のなきょうにはからっていくつもりでありますが、しかし、遺憾ながら現実に今日までの退職公務員の取扱いにつきましては、若干のベースアップ等についていけなかった過去の実績等がございますので、あるいはそういう御心配が起るのは、実績から見ても当然だと考えるのでありますから、その点は何らかの形において政府並びに国会と確認をし合うことによりまして、より一そう不安を除き、そういうことの将来に起らざるよう処置をいたしたいと考えます。
  37. 横山利秋

    ○横山委員 同様な問題でもう一つであります。これも先刻与野党の間で話し合いをいたした問題でありますが、この法案が通過することによって、どういうことであろうかといって心配をしておるもう一つの人々に、地方公務員諸君がございます。地方公務員諸君の心配というのは、それぞれ地方自治団体における特殊性というものがありまして、あるところでは本法によりあるいは条例により、あるところでは適当な方法により、それぞれの退職年金というものが存在をしておるのであります。もしそれ、先般の地方公務員関係年金の答申なりあるいは本法によって、画一的に処理をせられるということになりまするならば、地方公務員の諸君の既得権なり、あるいは将来に対する期待権なり、これらが非常な動揺を受けあるいは不利を受けるというようなことも想起をされるといって、心配をしておるのでありますが、政府は、本法を提案するに当って、地方公務員のそれらの問題についてどういうふうにお考えになっておるか、地方自治体におけるこれらの制度の沿革なりあるいは特殊性についてどうお考えになっておるのか、この点も明確にされたいのであります。
  38. 山中貞則

    ○山中政府委員 地方公務員につきましては、御承知の通り主管省は自治庁でありまして、自治庁が責任を持ってなるべくできるならば今年内にも準じて施行さるべきいろいろの準備を具体的に整えて、私どもと話し合いをすることに相なると思いますが、私ども、本法を作るに当りましては、当然地方公務員の存在ということが考えられないで作れる問題ではないのであります。しかしながら、地方公務員の問題につきまして、国家公務員と異なる特殊なニュアンスのありますことは、御指摘通りであります。現在の地方公務員の給与水準というものは、それぞれの団体間の貧富の差もしくは行政執行の責任者の考え方の差等によりまして、場合によっては国家公務員よりも高い給与水準を維持しておるところもありましょう、あるいはまた、非常な努力を重ねてもなおかつ国家公務員並みの待遇を得ていない町村もまた莫大であろうかと思います。それらの点の差のありますところは、地方財政計画等を毎年作成するに当りましても、絶えず議論の分れるところもあります。これは恒久的な制度であります以上、当然その根本的な議論を今回はいたしまして、将来に悔いを残さざるよう、また地方自治体のいわゆる実情と申しますか、実態、沿革を十分尊重して研究を重ねていくつもりでございます。
  39. 横山利秋

    ○横山委員 最後に希望だけ述べさせていただきます。いろいろと政府の意向をただしたのでありますが、一つには、先ほど申し上げましたように、実はいろいろな問題で質問が残っておりますので、それは後日に譲りますが、先ほどお願いをいたしました資金運用部に関する資料の提出をお願いいたします。  それと同時に、この法案が、少くとも、冒頭に申しましたように、公務員諸君に対して掛金が上ったけれども、また恩給はなくなったけれども、という「けれども」がついておるということについて、どうしても公務員諸君を了解し、理解をさせる説得力が乏しい。こういうことについて政府は十分にお考えにならなければならぬと思うのであります。およそ物事というものは、看板と中身とが同一でなければならぬ。恩給から年金へ、これは世論であり、同時にまた国家公務員諸君が理解し得た看板であります。大本であります。しかるところに、その世論と国家公務員諸君が同意し得た看板をめくってみましたら、掛金は上り、そうして権限は増大する。そうして積み立てた金は取り去られるという非難の声に対して、政府は十分に答えるものを持たない。もちろん私はその批判の問題だけここに列挙をいたしたのでありまして、この法案の中で必ずしもマイナスばかりであるとはごうも申し上げません。大いにプラスになるところもまたあることを了承いたします。しかし、そのプラスのところをおおって、マイナスの面が目につき過ぎる。そうして政府がそれに便乗し過ぎるという点について、わが党としてはこれを十分指摘をし、本法案に対し反対をせざるを得ないのであります。およそこの恩給から年金へという天下の大道とも申すべきこの問題については、政府としては十分に御理解を願って、間違いのないようにしていただかなければならぬ。  これを私は希望して、私の質問を終ることにいたします。
  40. 早川崇

    早川委員長 石野久男君。簡単に願います。
  41. 石野久男

    ○石野委員 非常に時間がないようですので、一つだけ国税徴収法の問題について政府にお尋ねいたします。  国税徴収法の改正は非常におそきに失した感がありますが、今度こういう改正が出たことは一応いいと思います。ただしかし、この中で特に問題になります三つの、いわゆる租税徴収の確保、私法秩序の尊重及び徴税制度の合理化のうちの、特に私法秩序の尊重というものに関連して、質権または抵当権、あるいは取得権、留置権等についての考慮は十分に払われておることもわかりますが、その際、たとえば労働者の賃金とか、あるいは下請業者の代金等、こういうものに対する権利をどういうふうにしてこの法案は尊重しようとしておるかということについて、はっきりしたものが見当らないのです。これらの点については、この改正法案提出されるについて、当然考慮されるべきではなかろうかと思っておりますが、それについて政府は今どういうふうに考えておるかということを、まず第一点にお尋ねいたしたいのです。それから、それらの問題が、われわれの見るところでは、この法案の改正では不備だと思う。それについてどういうふうに対処しようと考えておるかという点について、御説明願いたいと思います。
  42. 原純夫

    ○原政府委員 お話の賃金債権、それから下請代金の二つでありますが、下請代金につきましては、この法案は別段の手だてをいたしておりません。一般の私債権と同様、下請代金についてもいろいろな担保を取れる場合には、その担保権については従来よりもより強い地位を与えて、税からの撹乱といいますか、じゃまが少いようにするという一般のことをいたす、賃金債権については、滞納者が賃金をもらう権利があり、その分は滞納処分で差し押えにいきましても……。
  43. 早川崇

    早川委員長 原君、本会議の時間が迫っておりますから、簡単に願います。
  44. 原純夫

    ○原政府委員 御注意がありましたから、簡単に申し上げます。  賃金債権につきましては、小委員会でもお話がありまして、租税と競合する賃金債権について、もっと親切に考えるべきだというお話がありました。私どもこれは方向としては了承いたしました。ただし、一般私法の中における賃金債権の地位というものは、まず大前提となる問題でありますから、そういう面を法務省等と十分打ち合せと申しますか、申し上げて、そういう角度で今後検討をいたしたいと申しました。下請代金につきましては、問題がさらに広くなりますので、これについては御希望もありましたので、承わってなお検討いたしたいということを、この際申し上げるにとどめさせていただきたいと思います。
  45. 早川崇

    早川委員長 これにて五法律案に対する質疑は終了いたしました。  これより討論に入るのでありますが、五法律案に対しましては、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ることといたします。  まず交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改正する法律案関税法の一部を改正する法律案及び国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律案の三案を一括して採決いたします。三法律案を原案の通り可決するに賛成の諸君の御起立を願います。     〔賛成者起立〕
  46. 早川崇

    早川委員長 起立多数。よって、三案はいずれも原案の通り可決いたしました。  次に、ただいま可決されました国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律案に対しまして、足立篤郎君より附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。この際提出者の趣旨説明を求めます。足立篤郎君。
  47. 足立篤郎

    ○足立委員 私は、自由民主党を代表いたしまして、本法案に関し附帯決議を付すべしとの動議を提出いたします。  附帯決議に関する提案理由説明はこの際省略しまして、直ちに案文を朗読いたします。    国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)  一、本共済組合の管理機構の運営並に積立金の運用を適正にし、福祉事業への積立金の還元利用について配意すること。  二、公務災害給付制度的取扱及びその全額国庫負担についてなお検討すること。  三、地方公務員の退職年金制度については、地方自治体における制度の沿革及びその特殊性を考慮し別途の措置によりその自主性を可及的尊重すること。  四、将来長期給付の改訂等の場合においては、退職公務員恩給受給者についても之が実質的均衡を失しないよう配慮すること。  五、長期給付の決定を恩給局の審理を経て行うことは、事務の二重化となる虞れがあるので、速かに、この決定事務を連合会へ一元化するよう検討すること。 以上であります。
  48. 早川崇

    早川委員長 これにて趣旨説明は終りました。  これより足立篤郎君提出にかかる附帯決議案について採決いたします。  お諮りいたします。本附帯決議案を付するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  49. 早川崇

    早川委員長 御異議なしと認めます。よって、附帯決議を付することに決しました。  次に、国税徴収法案及び国税徴収法施行に伴う関係法律整理等に関する法律案の両案を一括して採決いたします。両案を原案の通り可決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  50. 早川崇

    早川委員長 御異議なしと認めます。よって、両案はいずれも原案の通り可決いたしました。  次に、ただいま可決いたしました国税徴収法案に対しまして附帯決議を付したいと存じます。  案文を朗読いたします。    国税徴収法案に対する附帯決議案   本案施行による抵当権等の保護と併行して、賃金債権及び之に関連する中小企業の下請代金債権について政府は、将来、私法秩序との調整を図りつつこれが保護につき特段の考慮をすべきである。 以上であります。  お諮りいたします。本附帯決議案を付するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  51. 早川崇

    早川委員長 御異議なしと認めます。よって、本附帯決議案を付するに決しました。  この際、ただいま議決いたしました両附帯決議案に対しまして、政府の意見の開陳を求めます。山中貞則君。
  52. 山中貞則

    ○山中政府委員 時間がございませんので、結論だけ申し上げますが、全会一致をもって可決されました附帯決議につきましては、国会の意思の表現といたしまして、政府は十分これを尊重し、積極的な検討を続けて参りたいと存じます。
  53. 早川崇

    早川委員長 この際お諮りいたしますが、ただいま可決いたしました五法律案に関する委員会報告書の作成並びに提出等の手続につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  54. 早川崇

    早川委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。  本日はこれにて散会いたします。     午後一時十二分散会