運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1959-03-04 第31回国会 衆議院 大蔵委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年三月四日(水曜日)     午前十時五十九分開議  出席委員    委員長 早川  崇君    理事 押谷 富三君 理事 小山 長規君    理事 坊  秀男君 理事 山下 春江君    理事 佐藤觀次郎君 理事 平岡忠次郎君       荒木萬壽夫君    奧村又十郎君       加藤 高藏君    鴨田 宗一君       小西 寅松君    竹下  登君       西村 英一君    濱田 幸雄君       福田  一君    古川 丈吉君       細田 義安君    毛利 松平君       山村庄之助君    山本 勝市君       久保田鶴松君    田万 廣文君       竹谷源太郎君    中村 時雄君       廣瀬 勝邦君    松尾トシ子君       山下 榮二君    山花 秀雄君       山本 幸一君    横山 利秋君  出席政府委員         大蔵政務次官  山中 貞則君         大蔵事務官         (主税局長)  原  純夫君         国税庁長官   北島 武雄君         農林事務官         (蚕糸局長)  大澤  融君         食糧庁長官   渡部 伍良君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計局法規課         長)      小熊 孝次君         大蔵事務官         (主税局税関部         長)      木村 秀弘君         専  門  員 抜井 光三君     ————————————— 三月四日  委員横路節雄君辞任につき、その補欠として中  村時雄君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 三月三日  高級織物物品税新設反対に関する請願外二件  (河本敏夫紹介)(第一八三三号)  同(上林榮吉紹介)(第一九九八号)  同外一件(床次徳二紹介)(第一九九九号)  同(内藤隆紹介)(第二〇〇〇一号)  同(江崎真澄紹介)(第二〇三〇号)  揮発油税等引上げ反対に関する請願本名武君  紹介)(第一八三四号)  同(宇都宮徳馬紹介)(第一九二三号)  同(植木庚子郎君紹介)(第一九二四号)  同(臼井莊一君紹介)(第一九二五号)  同外十一件(木村武雄紹介)(第一九二六  号)  同(菊池義郎紹介)(第一九二七号)  同(始関伊平紹介)(第一九二八号)  同(夏堀源三郎紹介)(第一九二九号)  同(天野光晴紹介)(第二〇〇一号)  砂糖税引下げに関する請願小林絹治紹介)  (第一九三〇号)  ガス器具物品税減免に関する請願廣瀬勝邦  君紹介)(第一九一二号)  畑作改善及び麦作対策としてビール税率引下げ  に関する請願上林榮吉紹介)(第一九九  七号)  特許権譲渡及び分権に対する課税撤廃に関する  請願黒金泰美紹介)(第二〇三一号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  糸価安定特別会計において昭和三十三年産の生  糸及び繭を買い入れるための経費支払財源の  一部に充てるための一般会計からする繰入金に  関する法律案内閣提出第三七号)  糸価安定特別会計法の一部を改正する法律案(  内閣提出第三八号)  産業投資特別会計法の一部を改正する法律案(  内閣提出第四一号)  日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案(内  閣提出第四二号)  法人税法の一部を改正する法律案内閣提出第  八二号)  砂糖消費税法の三都を改正する法律案内閣提  出第一二七号)  関税定率法の一部を改正する法律案内閣提出  第一二八号)  関税定率法の一部を改正する法律の一部を改正  する法律案内閣提出第一三八号)      ————◇—————
  2. 早川崇

    早川委員長 これより会議を開きます。  連合審査会開会の件についてお諮りいたします。ただいま本委員会において審議をいたしておりまする揮発油税法の一部を改正する法律案につきまして本日の理事会において御協議願ったのでありまするが、運輸委員会より連合審査会開会の申し入れかありました場合、これを受諾し、連合審査会開会することといたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 早川崇

    早川委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。  なお、連合審査会開会することになりました場合、開会の日時は両委員長の協議に御一任願いたいと存じますが、一応来たる九日を予定しておりますから、御了承願います。     —————————————
  4. 早川崇

    早川委員長 次に、糸価安定特別会計において昭和三十三年産生糸及び繭を買い入れるための経費支払財源の一部に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案糸価安定特別会計法の一部を改正する法律案産業投資特別会計法の一部を改正する法律案法人税法の一部を改正する法律案砂糖消費税法の一部を改正する法律案関税定率法の一部を改正する法律案関税定率法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案及び日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案の八法律案を一括して議題といたします。  質疑の通告があります。これを許します。佐藤觀次郎君。
  5. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 蚕糸局長お尋ねいたしますが、糸価安定の問題は農村の経済に非常に影響が深いので、ほんとうは農林大臣お尋ねしたいのですが、予算関係上出られませんから、お尋ねいたします。この前の特別融資をされて、繰越金の問題とかいろいろありますが、今一体現状はどうなっておるのか。三十三年産繭財源のことなどについて、知られる範囲のことを御説明願いたいと思います。
  6. 大澤融

    大澤(融)政府委員 三十三年度の春、それから夏秋蚕について特別会計関係はどうなっているか、あるいは保管会社関係はどうなっておるか、こういう御質問だと思います。御承知のように、三十二年から十九万円で買い始めまして、特別会計では約四万九千俵を買っております。そこで、この資金はと申しますと、三十億の基金がございまして、借入金が七十億、それから三十億の基金がしばらく使われてなかった間に浮いてきました五億、これでやっておるわけです。それから、三十三年の春になりまして十九万円、千四百円ということで臨時措置法を出しまして、糸にいたしまして百億を限度とし、繭といたしましては五十億を限度として保管会社は買い入れる、こういうことになっております。そこで、この資金では、繭の方は約百二十万貫を五十億で買っております。それから糸の方は約四万五千俵程度でございますが、百億のワクで処理しているわけです。そこで、これらの保管会社で買いましたものは、今御審議を願っております特別会計法資金の増ということで来年度処理して参りたい、こういうことはなっておるわけであります。
  7. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 きょうの新聞を見ると、アメリカがまた日本繭の買い入れの制限をやるというようなことを聞いておりますが、やはり三十四年度にも同じようにこういうような買い上げをしなければ、繭の値段が下るという状態になるかと思いますが、そういう点についてはどういうような見解を持っておるのか、局長お尋ねしたいと思います。
  8. 大澤融

    大澤(融)政府委員 昨年度十九万円、繭一貫目千四百円、こういうことを期待して夏秋蚕についてもやったわけでございますが、需給市場と全く乖離した値段であるために、実際に生産した繭が糸になり、糸がさらに織物になるために売れていくということでなくて、むしろ糸がどんどん政府の倉庫の中へしまい込まれてしまって、今お話ししたような数量になったわけです。そこで、こういうことを背景として売れる糸、売れる繭にしなければいかぬということで、昨年の末に最低価格改定をいたしたわけです。そこで来年度の最低価格はどうするかということは、この三月から五月の間に来年度のための価格安定審議会を開いてきめるべきことでありますが、ただいまのように、ことしの生糸年度最低価格は千円と十四万円に改定したわけであります。そこで、来年度も、これも御審議願っているわけでありますが、臨時措置法の一連として、五十億のワクでいざという場合には買いささえるという準備をいたしておりますけれども、私どもは、そういう買い始めるというようなことのないことを期待して、糸価対策をやっているわけであります。
  9. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 私たちも選挙区にこういうような繭の生産農家をたくさん持っておりますが、いつも言われることは、繭の将来はどうなるであろうかということが絶えず問題になるわけでございます。おそらく局長御存じだと思いますが、私たちも、現在人絹その他の代用品がたくさんできまして、昔のような自然の蚕に桑を食わしてやる、いわゆる原始的な農業はだめになるだろう、というようなことを言っておるわけであります。けれども現実には桑畑をこわしてしまってほかのものに転換するということはなかなかできない面がありまして、いろいろな苦労をしておるわけです。そういう点に対して、これは農林大臣の所管でありますけれども、一体蚕糸局長としてはどういうようなお考えで指導されるのか、その点について伺いたいと思います。
  10. 大澤融

    大澤(融)政府委員 蚕糸業のこれからの非常に重要な御指摘だと思います。昨年のような、ある意味では混乱が起きましたのは、需給事情と申しますか、需給構造というか、そういうものが非常に変ってきたということに根底があると存じます。何と申しますか、供給がふえてきたけれども需要の方はそう伸びてこないということが、ああいう事態を招いたものと思います。そこで、今後の見通しの問題ですが、これは非常にむずかしいと思います。むずかしいと思いますが、ここ一、二年の見通しとしては、御承知のように、昨年は混乱はいたしましたけれども、十月ごろからはやや価格も安定し、輸出も、あるいは国内需要もやや落ちつきを見せておるわけであります。ですから、その程度状態が今後続けば、どのくらいの規模の蚕糸業が維持されていくであろうかというようなことも大体の見当はつくかと思いますけれども、それにいたしましても、先ほど申しましたように供給は増ということで需要がそう伸びない。供給の増も、一番大きな点で申し上げますと、やはり桑畑がふえるとか、糸量がふえるとか、反当収量がふえるとかいうことがございますが、やはり桑畑は少し多いのじゃないか。そこで、農民自体も、そういう事態に対応して桑畑の整理をするというようなことで、国もこれに対して補正予算と来年度は通常予算考えておりますが、補助を出してやるというようなことをやっておるわけであります。そうしたことをやりながら、先ほど申し上げました臨時措置法の一年延長とか、さらに値段が下るということに対応いたしまして大いに合理化をしていく。よい生糸が安くできるということでこれに対応していくということが、第一番に必要なことかと考えております。
  11. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 もう一、二点お伺いしたいと思います。  大体生糸外国輸出するのが専門でありましたが、これを国内で消費する面もあると思うのです。ところが、今度原さんの方では、御承知のように高級織物課税考えておられる。国では、蚕糸業が不振であるためにいろいろ考えて、国の莫大な金を蚕糸買い上げにやっておるのに、一方においては、せっかく国内生産されるような反物に高い税金がかかるということになっておるのですが、こういうようなことについては蚕糸局長はどのようにお考えになっておるのか。せっかく国内生産されておるのだから外国に出なければというので、国内需要を満たすようなことが考えられておるのであります。そういうものに対して、今度は高級織物だということで税金がかかるわけですが、そういうのには悪い影響があるかないか。あるように思われますが、どのようにお考えになっておられるのか、その点もあわせて御意見をお伺いしたいと思います。
  12. 大澤融

    大澤(融)政府委員 もちろん、生糸から織った織物について、全然税金がなくて売れていくということは望ましい事態かと思います。生糸あるいは繭の立場だけから考えれば。しかし、今考えられておりますような非常に高級な織物になります糸あるいは繭としては、全体の糸、繭の生産額からしますれば、そう大きな量にはなりません。非常によく売れるような安いものについても税金がかかるというようなことですと、これは重大な問題でございますけれども、今考えられておりますような高級なものについてある程度のものが考えられるということは国全体の立場からすれば、あるいはまた、ほかの物品税と申しますか、ほかのものにかかっておるものとの均衡を考えれば、これはいけないのだということは言えないのじゃないかと私は思います。
  13. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 もう一度お伺いしますが、生糸国内でもう少し販路をふやすような方法考えられないものであるかどうか。
  14. 大澤融

    大澤(融)政府委員 消費拡大需要拡大と申しますか、これについては私どもも非常に力を入れているわけです。業界も対応しまして、従来ありましたものよりもさらに大きな新しい宣伝機関を作って、養蚕者も入り、あるいは織物の方も入り、生糸製造者はもちろん、こういうものが集まって、四月から発足しようということで準備をしております。従来、御承知のように、生糸と申しますと輸出ということに大きなウエートがかかっておったわけですけれども、昔と違って国内需要も非常に割合が伸びてきております。ですから、私ども生糸需要考える場合には、国内ということを今までより以上に力を入れて、需要拡大ということをやらなければならない、こういう気持でおります。
  15. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 御承知のように、繭は桑を植えてやる仕事でありまして、農村においても非常に影響のあることでもあり、しかも、わが国は、今言われたように、長い間生糸輸出の国として、今まで非常に大きな足跡を持っておりました。今ほかの繊維産業が盛んになりまして、いろいろ危機が伝えられ、また繭を生産しておる農民気持は忍びがたいような状態に追い込まれておると思うのです。そういう点について、将来農民が安心をして——最低限度の収益があれば、長い間の伝統がありますから、好んでやる仕事でありますので、どうかそういう点について総合的に考えられて、ぜひとも農民の不安を解くような対策を講ぜられることをお願いいたしまして、私の質疑は終ります。
  16. 早川崇

  17. 中村時雄

    中村(時)委員 実は、この大蔵委員会に出ておりますところの砂糖税制改訂の問題と、農林委員会に出ておりますところの日本てん菜糖振興会法案臨時てん菜糖製造業者納付金法案と、国際砂糖協定のかかっておる外務委員会の、三つの委員会連合審査をお願いしたがったのでありますが、本日はその主管大臣である大蔵大臣参議員の方に行かれており、また農林大臣も行っていらっしゃるので、本日最後の決定的な問題のお話し合いをするに至らないことが残念なんでありますが、それはまた次の機会に譲るといたしまして、まず第一に砂糖税制改訂の問題から入っていきたい、このように考える次第であります。  そこで、まず第一にお尋ねしておきたいのは、この砂糖税制改訂に伴いまして、どういうところからこの基準態勢をとったのか、これをお聞きしたい。——わからなければ、もうちょっと具体的に言いましょう。たとえば、現行砂糖税によるところの徴収税額というものは、関税におきまして一キロ十四円であります。それから消費税が四十六円六十七銭であります。それが、改訂によりますと、今度は関税におきまして四十一円五十銭、消費税におきまして二十一円、すなわち、以前におきましては合計いたしまして六十円六十七銭であったものが、今度は六十二円五十銭となっているわけであります。少くとも、この基準をきめられる場合に、どういう基準のきめ方をして、いかなる建値によって日本のこの値段というものは打ち出されてこられたのか、これをお聞きしたいのであります。
  18. 原純夫

    原政府委員 基本的には今回の振りかえは、テンサイ生産ないしはテンサイ糖生産、広くは沖縄産糖までも含めての視野においてでありますが、これが個々の工場原価買い上げるというような、いわばかなりぎくしゃくする態度でいくのでなくて、安定したベースで伸びるようにということであります。従って、ただいまお話し税額振りかえも、将来の見通し得る限りにおける日本砂糖のノーマルな値段というようなものを想定いたしまして、そのノーマルな値段においてテンサイ生産ないしテンサイ糖生産が立っていくには、どういうような振りかえをしたらいいかという考え方をしたわけであります。そのスタートとなりましたのは、実は斤当り七十一円という数字であります。これは、最近といいますか、昨年後半にかけてのニューヨーク市場における砂糖相場、それから運賃からはじいてきますと、七十一円というような数字になるわけであります。しかも、この数字は、相当長い間の経過をたどってみましても、大体国内相場における一番底値に匹敵するようなレベルであったわけです。大体そういうようなレベルにおいて、国内テンサイ糖外国砂糖と競争し得るということであるならば、場合によってそれより下ることはあろうけれども、多くの場合は、スエズ動乱あるいはその他外貨割当の原因による場合で、外国砂糖日本における値段はもっと高いという場合が多かったので、そういう七十一円というようなところで振りかえをすれば、ただいまの条件は満たされるであろうというふうに考えておるわけであります。七十一円の内訳は、もし後刻お尋ねがあればお答えいたしますが、そういう前提考えまして関税を上げる。砂糖消費税振りかえる。関税を上げましても、御案内の通り、輸入糖数量は全数量の九割ぐらいで、一割ぐらいが国内産糖だということになりますから、関税を上げたのを一としますと、国内産糖でその九割の分を取り返すのには、どうしても二円ぐらいよけいかかるというので、ただいまお話しの、厳密には一円九十六銭という数字でありますけれども砂糖消費税の方はそれだけ乗っかったというわけです。これは、関税の増徴による増収額と、砂糖消費税の減税による減収額との総額をひとしくするという前提に立ったためであります。この点はお尋ねがなおあると思うので申し上げておきますが、すっぱりと関税を上げただけ砂糖消費税を下げて、歳入は減っても、それでいくべきだという議論もあろうと思います。しかし、私どもあえてそういたしましたのは、一つはやはり財政全般が相当苦しいということ、もう一つには、今回の措置国内産糖保護政策である、国内産糖を育成しようということであるから、そのために財源が要るのなら、砂糖をなめる人たちにそれを負担してもらってやるというのも一策であろうということを考えたわけです。財政全般が苦しいということ、砂糖のための政策であるから、そういうことも許されるのではないかということを考えまして、約二円のこぶが出ることをお願いしておるというわけでございます。
  19. 中村時雄

    中村(時)委員 原主税局長によく言っておきたいことは、私の質問骨子と、あなたが答えようとする問題のズレというのは非常に大きいですから、よく聞いておっていただきたいと思うのです。私のお尋ねしたのは、あなたがおっしゃったように、安定した価格、あるいはノーマルな価格によってその方法をきめていきたいんだ。この骨子というものは、常識的にはよくわかる。そこで、常識からもう一歩——あなたのような専門家がいらっしゃるのだから、私の聞いていることは、もう一歩それを突っ込んだ話です。たとえば、今あなたはニューヨークとおっしゃいましたけれども、その当時における価格を決定された場合のニューヨーク定期第四号の現物ポンド当り値段幾らになっておるか、これを逆算していって現在の糖価というものを幾らにきめたのか、そういうことをお聞きしているのであって、少くとも、あなたがあっしゃっているような常識論を聞いているわけじゃないのであります。
  20. 原純夫

    原政府委員 それは詳細にわたるので省略いたしたわけでありますが、それでは申し上げます。まずニューヨーク相場は三セント四十五——委員長、これは非常にこまかい計算でありますので、税関部長からお答えいたします。
  21. 木村秀弘

    木村説明員 ニューヨーク相場糖度九六%、ペースに押えまして、一ポンド当り三セント四十五、それをトン当りにいたしましてドルに換算いたしますと、七十六ドル六ということになります。それから、糖度が九七・三%といたしまして、さっきのは糖度が九十六度べースになっておりますので、その差額が一ドル四十三、コストがトン当り合計いたしまして七十七ドル四十九、それに運賃が十一ドル五十二セント、CアンドFで八十九ドル一セント、それから保険料が五十二セント、CIFにいたしまして八十九ドル五十三、円に換算いたしましてトン当り三万二千三百三十八円になります。それに現在の関税が一万四千円、輸入諸掛りが三千四百一円、加工費が八千四百八十三円、製造原価が五万八千二百二一十二円、歩どまり換算九五%といたしまして六万一千二百八十六円、一般管理費販売経費が八千二十九円、合計いたしますと六万九千三百十五円なります。それが行当りにいたしますと四十一円五十九銭それから現行消費税が二十八円でございます。それに借入金の金利及び利潤が一円三十六銭、これは製糖会社平均利潤で見ております。従って、工場販売価格が七十円九十五銭、さっき主税局長から申し上げました大体七十一円というところを、基準平均糖価水準として押えたわけであります。
  22. 中村時雄

    中村(時)委員 私の聞いたのは、ニューヨーク相場幾らのところを基準にしてやったのかと聞いた場合に、今おっしゃったように、三セント四十五で、ニューヨーク定期の第四号現物ポンド当りを換算しておるわけなんです。そこで、その当時において三セント四十五であったものが、現実に現在は幾らになっておりますか。
  23. 木村秀弘

    木村説明員 最近糖価が非常に値下りをいたしておりまして、ことにヨーロッパにおけるビートの豊作、キューバの反乱の落ちつき等によりまして、糖価が大へん値下りしております。現在では三セント十で横ばいをいたしておりまして、ごく最近では三セント九まで落ち込んでおります。
  24. 中村時雄

    中村(時)委員 それでは大臣がいないから政務次官にお聞きしますが、今言ったように、その当初建値として改定案では一キロ当り六十二円五十銭にしたところの基準が、当時において三セント四十五であったのです。ところが、今言ったように、現行一カ月は横ばいになって、すでにそれが価格が低落して、三セント十になっておる。ということは、三セント十で買えるものを、三セント四十五の価格をここに建値として出してきておる。当然、この問題は、もっと値が下ってこなければならぬという現状が出てきておるのにもかかわらず、そのままこれを通していくというお考えを持っていらっしゃるかどうか、その点をお聞きしておるのです。
  25. 山中貞則

    山中政府委員 それは、逆に、その後の値下りがありまして、現在の流通市場価格斤当り約六十九円から七十円あたりに行っておると思うのですが、そういうことですと、かえって、今回の措置によりまして、約二円程度末端消費者価格においての値上りが、私どもの予想いたしました七十一円あたりの線に現実に吸収されて、大体において理想的な値段でいいではないかと考えております。
  26. 中村時雄

    中村(時)委員 こんごこれは話にならぬ御答弁ですが、私の言っているのは、たとえば今言った基本的な七十三円なら七十三円にする限界のその建値が、先ほど言った三セント四十五だったのです。だから、どうしてもそれを維持しようとすれば、実際糖価を上げていかなければならぬという結果になる。事実、先日食糧庁から工業会に行って、何とかして砂糖値段を上げてくれという陳情をしておるじゃないですか。そういう現実は大衆と相反する行為なんです。そのことは逐次あなた方に質疑応答をしていきたいと思っておりますが、私の言っているのは、そういう建値を無理して作らなくとも、実際には、これからの世界的な環境からいきまして、砂糖値段がだんだんこれから高騰するとは思わない。またもちろん高騰すれば、あとで質問しますけれども、それを吸い上げるところの方法をどう取り扱うか、あるいは値が下った場合にはそれをどのような保護政策に持っていくのか、いろいろな問題が起ってくると思うのです。そこで、私の言っているのは、この建値の変動というのは、対外的ないろいろな問題があるので、それに順応していろいろ考え方を変えなければならぬ。その考え方を変えるという基準を一体どの程度の範囲にとっているかということです。
  27. 原純夫

    原政府委員 ただいまのお話のは、輸入糖のコストの一番大きな要素であるニューヨーク相場、それからフレート、これの動く幅がどの程度可能であると見ておるかということであろうと思います。これは、私がお答えするより、食糧庁長官が見えておりますから、その方がいいかもしれませんが、私が見たところの感じでは今まで七、八年の価格をずっと見ますと、国内相場でいって七十三円ぐらいが大体安定帯の中心ではなかろうか。下ったときに七十円くらいの数字も出ておりますけれども、まあ七十二、三円、それのもととなりますニュヨーク相場としては、大体最低がただいまと同じ三セント十、昭和二十八年に三セント六というのが一番低い記録であります。自余は大体三セント三十、四十というようなところにいっております。フレートについては、フレートは非常に何か大きくて、トン当り十五、トルと二十ドルの間ではなかろうかというようなところを、私としては大体考えたつもりでございますが、これはなお食管の長官がおりますから……。
  28. 中村時雄

    中村(時)委員 食管の長官には食管の長官に質疑をしなければならぬ問題が十分残っているので、一応とりあえず大蔵当局にお尋ねするのですが、あなたのおっしゃる通り、七十二、三円が歩どまりということは、国際砂糖協定の中の大体三七セント二十というところを基準にしての建値を言っていることなのです。それをあなたが現象的に取り上げて、七十三円ぐらいのところが過去十年と言っていますが、過去十年間の統計を見てごらんなさい。決してそういう方向にはなっていない。時によっては非常に人為的に値上りをし、九十円以上になるときもあれば、斤当り七十四、五円の場合もあるし、それがほとんどが工業会における独占的人為的な方向によって打ち出されている。日本砂糖行政の欠陥を最も暴露した一例なのです。そういうところも御研究願いたいと思うわけですが、そこで、話をもとに返しまして、このような現行一キロ当り十四円を四十一円五十銭にすることが、従価税に換算して原糖平均九十ドルとした場合においても、ほかの税率から見た場合に、この砂糖税率だけは一二八%になって参ります。しかも、今言った三セント十くらいになりますと、おそらく税率は一五〇%以上になるのではなかろうか、このように思われるわけですが、このようなことを考えた場合に、日本のいろいろな関税設定中において、このような大きな税率を取り扱わなければならない根拠がどういうところにあるのか。おそらくこれは必需品であり、われわれ日常生活には最も重要な問題を含んでおる砂糖税率が、ほかの奢侈品以上に大きな税率をかけておるということは、一体大蔵当局としてはどういう考え方を持ってやっていらっしゃるのか。
  29. 木村秀弘

    木村説明員 ただいまおっしゃったように、関税率の点で、従価に換算いたしてみますと、過去三カ年の平均をとってみますと、今度の改正によりまして一〇二%くらいになります。ただ、外国におきましても、国内でもってビートを生産しております国につきましては、相当高率な関税を持っておりまして、たとえばイタリアのごときは関税率が一〇五%になっております。また、フランスにおきましては、特定税率が三三〇%でありまして、これを協定によって三分の一に切り下げております。結局協定税率は一一〇%の関税率を持っております。これはもちろん国内でもってビートの生産をいたしておる国についてでありますけどれも、いずれにしても、国内関税率というものは、生産の全然ない国、また将来においても生産をあきらめておる国は別として、生産が若干あるとか、あるいは将来増産をしなければならぬというような国におきましては、今申し上げたような相当の高率関税になっておる次第であります。
  30. 中村時雄

    中村(時)委員 外国と対比されましてそういうことをおっしゃったのは、あなたのおっしゃった通りです。ビートによって自給自足できるような国々は、その保護政策の重点をそこにとっておる。ところが、日本で実際ビートによって自給自足ができるかといえば、先ほど言ったように、一割程度にしかならない。これから十年計画の問題を出して、いろいろ討議して参りますが、それにおいてすら自給自足ができないという限界がはっきりしておるわけです。そういうことを基礎にして考えた場合に、この税率というものは、対外的にこうだからこうだというのではなくて、国内的な税率の上から言って非常に高率的ではないかということを私は言っておるわけです。
  31. 原純夫

    原政府委員 御指摘の通り、砂糖に対する税額が非常に重いということはもう通説であります。酒、たばこ、砂糖、いわばこの三つは、この間接税体系の中でいつも問題になるものであります。私ども決して軽いとは思っておりません。ただ、この間接税の体系の中で一体各品物の税負担がどうバランスすべきであるかということは、なかなかむずかしい問題であります。これは、各国とも、それを論理的に統一的なべースで説明するといいますか、作ってあるというよりも、かなり沿革的なものが多いというふうに思います。私ども一昨年以来この問題に取り組んでいろいろ勉強いたしておりますけれども、いろいろなやり方がありますので、一つにはそういう物品を消費する場合の消費者の担税力というものからアプライーしていく行き方がある。もう一つは、やはり酒やたばこは嗜好品で、なくても済むばかりではなくて、あまり飲んだりするとよくないことがあるので、各国とも重課しておるということであります。酒、たばこは、そういうことで品物の消費の性質から高いということであります。砂糖も、古くさい言葉ですが、やはり調味料ではあるが嗜好的調味料であるということで、各国とも相当課税するというのが沿革的な事実であります。これは、ちょうど今日本が立ち向っておりますように、各国とも砂糖を輸入しないで自分の国で生産したいという趣旨の国内糖の保護政策的な見地が相当に入っておったと思います。そういうこともあり、また消費の性質からいって、調味料でこれが欠けたらもう生命が危ないというものでもないというここから、両々相待って相当高い課税が各国とも行われており、日本でも長年行われておることじゃなかろうかというふうに私は思っております。
  32. 中村時雄

    中村(時)委員 今言ったように、ビートを守って国内産を保護しようという場合の建値の立て方の税率と、日本のように、何もそういうことが目的ではなくて、今まで非常に高率課税を行なっておる。その高率税ということは、一応あなたもお認めになっておるのだから、そこでこれを今後どうするかということは賢明なるあなたの頭脳にまかせましょう。  それから、もう一点の、先ほど言った三セント四十五の建値現実に現在施行されておる三セント十、その問題との較差というものが非常にある。そのあるということの認識があれば、この問題の七十三円の建値というものは、もう一度再考しなくちゃならぬという限界に来ているのじゃないか。将来においても、今後おそらく増産に増産を諸外国はしていくであろうし、対外的な問題としても、日本は、後進国との貿易においては、どうしてもそのような輸入物資を持ってくるよりほかに方法がない。農産物の輸入物資が中心になる。ケース・バイ・ケースの格好になっていくでしょう。そういうような場合のいろいろな勘案をして、国際的な糖価としてのあり方をよく考えておいていただきたい。  そこで、次に、国際的な問題ということを言いましたので、一つ国際的な問題からこの問題の一、二を取り上げてみたいと思うのです。ちょうど今度は政府の方から国際砂糖協定というものの批准を国会に求めようとされている。その中に、第一条の中にこういうことが書いてある。「この協定は、公正なかつ安定した価格で輸入国に対しては砂糖供給を及び輸出国に対しては砂糖の市場を確保し、かつ、この方法及びその他の方法により、砂糖の消費の着実な増加及びこれに相応する砂糖供給の増加を容易にすること、」云云、続いて第三条の二項に「締約国政府は、直接又は間接に自国の領域からの砂糖輸出を増加させ、又は自国の領域への砂糖の輸入を減少させる作用をする補助金(所得又は価格に対するいかなる形式の補助をも含む。)を許与し、又は継続するときは、各割当年度中に、理事会に対し、書面により、当該補助の範囲及び性質、自国の領域から輸出され、又は自国の領域へ輸入される砂糖の量に当該補助が及ぼすと予想される効果並びに当該補助を必要とする事由について通告するものとする。」云々、こうあるわけであります。そうすると、今言ったように、三セント十のものが現実にあなた方が建値をした場合には三セント四十五、そういうような較差のあるような場合には、国際的な協定に対してもいろいろな問題が将来起ってくると思うのです。必ずそういうようなものによってちゃんと条文の中にはこういうことをしたらいけないということになっているにかかわらず、勝手にその価格の変動を来たしていって国内操作をやっていくというような問題になってくると、国内砂糖建値の上からいっても、こういう問題が当然問題になってくると思う。当然このことは外務大臣がその協定に対するいかなる考え方を持っているかという外部との関係が出てくるわけなので、委員長、これは一度外務大臣を呼んでそのような質問をさせていただきたいわけでありますが、大蔵の方はどのようなお考えになっているかをお尋ねしておきたい。
  33. 原純夫

    原政府委員 ただいまのは、私も詳細は聞き漏らしましたが、やる場合は通告せいということですから、もし必要ならば通告されるのじゃないか。まあ政策として世界各国この種の政策は非常に幅広くかつ強力にやっている国が多いように承知しております。日本もやって悪いことはなかろう。私は税の方の立場でのことでありますが、悪いことはなかろう。税の方ではせいぜいはだを脱いだつもりでやっておるつもりであります。もし国際的に何か仁義を切る必要があれば、それは主管省ないし外務省で御心配になると思います。
  34. 中村時雄

    中村(時)委員 もう局長、あなたは、自分が責任を持って答弁できぬようなものは、あっさりと私にはわかりませんと言った方が利口です。そんな子供っぽい、わけのわかったようなわからぬようなことでごまかすことは、お互いにやめにいたしましょう。そういうことはあなたが実際の問題に当っての保証ができるという確約ができないつのです、あなたの中からは。そうでしょう。保証をあなたができるというのなら、おっしゃっていただきたい。そういうことはおそらく外部の問題として問題が出てくるから、私は先ほど言ったような話をしておる。そこで、あなた自身が——これは笑い話じゃないのです。大事なことなんです。あなた自身が越権行為の外務省の問題の保証ができるかどうかということがあるならば言ってもらいたい。おそらくないと私は思う。だから、そういうような答弁の仕方は一応はっきりしておいていただきたい。
  35. 原純夫

    原政府委員 私は大てい大丈夫だろうと思っておりますが、なお確かめまして、いけなかったらまた申し上げます。
  36. 中村時雄

    中村(時)委員 大てい大丈夫だろうと、わけのわからぬようなことを言って、こんな大事な砂糖の値を上げていくのに、そんなたよりないような答弁なら、実際にはしない方がいいのです。あなた方、値段がきっちりきまっているのです。きまっている以上は、確固たる一つの方式があっての話でしょう。それを大てい大丈夫だろうというようなごまかしはやめていただきたい。  そこで、次に問題として取り上げていきたいことは、現在現行法で参りますと一キロ当り十四円として、今の輸入量が大体百十五万トンと仮定した場合に、その関税が、一キロ十四円に百十五万トンかけますと百六十一億円の金になって参ります。消費税現行では四十六円六十七銭で、これを先ほどおっしゃいました九五%の歩どまりにしまして、それが幾らになるかというと、五百九億八千万円くらいになって参ります。すなわち、両方合せますと、現行砂糖税そのものは六十円六十七銭となり、続いて収入されるものが幾らかといえば、六百七十億八千万円になってくるわけなんです。ところが、今度の改訂案でやっていきますと、関税が一キロ四十一円五十銭でありますから、百十五万トンとして四百七十七億円、続いて消費税が二十一円でありますから、これが九五%歩どまりといたしまして大体二百二十九億円、そうしますと税の方そのものは六十二円五十銭となり、続いて収入の方は幾らかといったら七百六億円、こういうふうになってくるわけなのです。そこで現行法と改訂案との差引をいたしてみますと、大体三十五億円ばかりのものが増収になってくるわけです。三十五億のものが増収になるということはどういうことかといえば、すなわちこのこと自身が、だれが支払うかといえば、大衆が、砂糖をそれだけ増税にあなた方がなされたものを支払うという状態になり、完全なる大衆課税となって現われてくるわけなんです。名目は国内テンサイ糖の保護という名目を唱えながら、実質的に上ってくるものは、消費税が下ったからいかにも消費者には安いように見受けられるけれども現実には今言ったように五十億以上のものを負担していかなければならないのは消費者大衆であります。そういうことを考えた場合に、あなた方はこの税制をもう一度考え直す考えがあるかどうかをお聞きしておきたい。
  37. 原純夫

    原政府委員 その点は私は先ほどお答えいたしたつもりであります。おっしゃる通り三十億前後総体としては高くなるといいますか、つまり上に二円乗っかるというところにそれが出てくるわけです。それはやはりこういうことをやって内国消費税を下げて、関税を同額だけ上げたのではマイナスが出る。マイナスが出るということは、そういう振りかえをやるについて、そのマイナスを他の一般財源から回して、そうしてそういう保護政策をやるかという判断を要求されるわけです。一般財政需要が多くて財源が足らないという状況に考え、かつ砂糖国内で自給しようというための政策にそのくらいの金が要るということであるのだから、砂糖ワクの中で、砂糖をなめる人にこれを負担してもらおうじゃないかというふうに考えたのが、この二円の差が出る、今御計算の三十億前後の差が出るということであります。こういう国内における砂糖生産を保護し、自給度を高めるために、消費者に若干の負担をしてもらいたいということを含んでの判断であります。
  38. 中村時雄

    中村(時)委員 だんだんあなた方の正体が出てきたわけなんですが、あなた方自身は国内テンサイ糖——はっきり言えばそうなんです。国内テンサイ糖を保護するためにこういうふうにしたので、消費者に一部負担をしてもらいたい、こういうことなんです。そこで、国内テンサイ糖を保護するために、消費者にそれだけつの負担をさせる必要性があるかどうかという点が一点。それであるならば、国内テンサイ糖国内テンサイ糖として、一般会計からはっきり保護対策をとっていけばよろしい。何も消費者にそれを転嫁する必要はないじゃないかという議論も、当然成り立ってくると思う。そこで、お尋ねしたいのは、私の聞くところによると、ほんとうは何も大蔵省がこうしたいという考えではなく、農林省からしりをたたかれて、そうして農林省が七十三円という線を出すために、ついにこういう関税の問題と消費税の問題を取り上げざるを得なかったということをよく聞くのでありますが、あなた方自身がこれを絶対必要なものとして取り上げたかどうかをお聞きしておきたい。
  39. 原純夫

    原政府委員 これは経過を申し上げれば明らかになると思いますが、私どもがこの問題を取り上げましたのは、一昨年の税制調査会に議題として私どもがぶつけたわけです。私個人の経験を言っては何ですが、私は主税局長になる前に、主計局で次長として農林関係もやっておりました。主計局でも、長年、このテンサイ糖の保護については税の振りかえをやってくれるといいなという気持はだいぶあったわけです。農林省方面にもそういう気持があったというように記憶しておりますが、その他のなにもありまして一昨年の調査会に諮った。実は、当時はまだ、そう言うと失礼ですけれども、農林省系統から非常に目の詰んだ御意見といいますか、そういうものは出てこなかったのです。そして一昨年は問題をペンディングのままにして、昨年の税制懇談会において再びこれを取り上げた。そのとき、こういう大きな振りかえをやろうということであるから、国内産糖保護政策ないし砂糖の管理政策といいますか、そういうものを十分きめこまかく当ってほしいということを私どもはしきりにお願いして、農林省、また国の側では、主計局というようなものがだいぶ検討されたというようなことで、率直に言いますと、私の方はかなり先にこの問題を取り上げたというような経過があります。従いまして、私どもとしてこれが必要であるという考え方でやったということは、申し上げるまでもないと思います。押しつけられてやったというほどのものではございません。
  40. 中村時雄

    中村(時)委員 私は主税局長としては非常に頭のいい人だとばかり思っていたのだが、今の答弁を聞くと、あなたは実際大衆の敵になりそうな気がして仕方がない。なぜならば、農林省からそういう建値の問題で追い込まれたというのではなく、自分みずから考えたというならば、少くとも農林省の方はテンサイ糖保護政策だけは一般会計から食管法によってきちっとできるだけの筋合いが立つと思う。それを、あなたの方は、おれの方から助けてやろうというような親分はだの気持かどうか知りませんけれども、今申したように大衆課税、一般に関係のない大衆に砂糖の値上げをさしておいて、そしてそれはテンサイ糖の一地域における保護政策でございますということは、少くとも大衆から見た場合にはもってのほかだと思う。あなたはそれに対してどうお考えですか。
  41. 原純夫

    原政府委員 御案内の通り、テンサイ糖につきます近年の状況は従来の態勢をもってしては、言葉は何でありますが、若干収拾がむずかしい状態になってきつつあると私は見ました。というのが、ああいう買上政策があり、そして工場別の原価をはじいて買い上げるというようなことになってきておるわけです。前々から、そういうことはとうていテンサイ糖の管理政策ないし保護政策の形としても健実なベースにおいて長く行えるものではないということはいわれておりましたし、また、そのゆえに、国として、これをもう少し安定した計算の基礎の上に、個々の工場原価をはじいて買うというようなことのないような方向に持っていくという必要は、識者の間に十分考えられた問題だと思います。そのゆえに私どもは、この際相当な振りかえをして、そして安定した基礎で農民生産する、砂糖会社も生産するという方向に持っていくということが必要であるというふうに考えたわけであります。
  42. 中村時雄

    中村(時)委員 あなたは今現在のテンサイ糖工場経営内においては収拾が非常にむずかしくなっているとおっしゃった。非常によく御存じだと思いますが、私は全然逆の立場考えている人間です。そこで、その問題はこの次のときに譲るといたしまして、農林省に一点だけ関連してお聞きしておきたい。  今大蔵省は大蔵省独自でそういうことをおっしゃった。大蔵省が建値の問題を七十三ときめられたのかどうかという点が一点。もしきめられたら、大蔵省に対してあなた方は協力するという立場から、先日、二月二十七日第二部長が砂糖工業会に乗り込んでいって、その他の団体には国内糖価の問題に対して斤当り七十三円まで値上げをしてもらいたいという発表をしていらっしゃる。これは一体どういう意味なのか、私によく納得のいくように説明してもらいたい。
  43. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 糖価を一体幾らにしたらいいかという問題は、砂糖消費者の側からと、砂糖と競合する農産物の価格を支持安定する側からと、両方の利害を調節したところできめなければならぬ。私の方では、農林省でありますから、国内の今問題になっております農村人日を維持するためには、どうしても畑作改善をやらなければいかぬ、畑作改善をやるとなれば、一番大きい問題はカンショ、バレイショ、麦がございますが、麦を除きますとカンショ、バレイショ、それから新しい作物としてビート、さらには大島その他の西南地方のカンショ、これは辺境地の農業の維持、そういう両方の利害を調節するところを考えなければならぬということで、最近の糖価をとりますと、過去三カ年の実績でいきますと、平均が七十五日くらいになりますから、この程度ならば消費者にもがまんしていただいて、国内の農業人口が経営収入を少しでもよくするのに役立つではないか、こういうことで、農林関係としてはそういう意見を持っておりました。しかし、一方税の方からいきますと、この際税の収入を増加することによって消費者大衆に迷惑を及ぼすことはいかがか、私の方の主張は少し生産者側に片寄り過ぎているのじゃないか、こういうことで、税収の減らない限度でというところではじいていきますと、大体現在の関税消費税振りかえということが出てくる、これでいこうじゃないかということでございます。しかし、農林省としましては、生産者の立場だけからいえば、砂糖価格は、今澱粉が売れなくて、澱粉の相場政府買い入れ価格の千五百五十円の建値が千五百円を割ろうというような事態になっておりますから、そういうところを考えますれば、先ほど二部長がどう言ったこう言ったということは、そういうふうにはっきり言ったのじゃないと思いますし、糖価七十三円をどうして維持するか、こういう質問に対して、現在の糖価の輸入相場は先ほどからお話がございましたが、最近の現象として三セント十くらいに下っている、それから運賃も最低である、これはあくまでも自由取引高でございますから、いろいろなファクターで上下する、しかし国内における砂糖の消費者価格もそう変動することは好まない、上ってもいけないし、そんなに下げる必要もない、安定するところに輸入の時期の調整あるいは洋糖の調整、こういうものをやれば、七十三円の糖価は、そう大きいフラクチューションなくして、それを中心にして動かすことができるのじゃないか、こういう説明をしたのじゃないかと思います。
  44. 中村時雄

    中村(時)委員 説明したのじゃないかとかなんとか言ったって、あなたが言ったわけではないから、あなた自身には結論が出ません。そこで、この問題は、工業会の会長である藤山勝彦並びに第二部正長を参考人なり証人として一度呼んで、私たちも十分お話をしてみたい、このように思っております。その点も一つお含みおきを願いたい。  続いて、先ほど言ったように、農林省としては、澱粉を三千万貫ほどかかえ込んで非常に困っておるから、ブドウ糖を作らう、そのときの建値はたとえば七十五円なら七十五円としていきたい、こういうような意向があることは十分わかります。しからば、その問題はその問題として、食管の中において別途それを取り上げるという方法考えられると思う。その問題に関連して、一般の何の関係もない消費者に、そのような一つ課税によってそれを収拾していこうというような考え方というものは、もう一度よく根本的に考え直してもらいたい。同時に、その第二部長が言った当時におけるところの砂糖価格幾らであったかというと六十八円七十六銭であった。ところが、その意見を出した結果七十円五十六銭に上っている。それだけ高騰しているのです。そういうふうにただ一言言ったことがその反応を呼びまして、直ちに糖価影響を及ぼしてくるというような状態になってきている。それに伴うところの責任をあなた方はどう考えているかということをお聞きしたい。
  45. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 砂糖は、御承知のように向うで買い付けまして——これは、キューバのみならず、台湾あるいは南方諸国から買い入れますが、国内で精製して市場に出るわけでありますから、相当の期間がかかるわけでございます。従いまして、現在の制度におきましては、砂糖の取引所も認めておるわけでございますから、その日その日の相場がある程度変動することはやむを得ないと思います。しかし、それはあくまでも消費者価格が非常に大きく変動するということではないのであって、消費者価格が非常に大きく変動するということは、その年に手当をした砂糖の総量とその年の需要量、これによってそう大きい変動のない小売価格が形成される。これは事実でございます。そういうことでございますから、今の局部的なお話で全体を律するというわけには参らぬのじゃないか、こういうふうに考えます。
  46. 中村時雄

    中村(時)委員 あなた、そんなわかったようなわからぬような苦しい答弁をするよりも、事実、値上りをしたということは——その証拠に、あなた方が日甜から一キロ当り六円の納付金を取ろうということは、少くともそれだけ値上りをしてもうけているということを意味しておるのじゃないですか。私はそう思う。そこで納付金六円を取る。まだその問題はあとにたくさん尾を引いておりますから十分話し合いをしますが、そういうわかったようなわからぬようなことでごまかさないで、納付金を取りたいために砂糖の値上りをさせたいのだと、はっきり言ったらどうですか。
  47. 渡部伍良

    ○渡部(伍)政府委員 それは非常な誤解でございまして、従来の関税消費税の建前でございますと、消費税が二十八円、関税砂糖換算八十円八十四銭でございます。かりにわれわれが予想する通りに糖価を七十三円としましても、従来の消費税ならば、関税込みの価格は七十三円から二十八円を引くと四十五円になるわけです。四十五円ということは、三十二年産の大日本甜菜糖からのテンサイ糖の買い入れ価格が四十六円十銭でございますから、現在の関税消費税の建前からいきますと、大日本甜菜糖といえども自由市場には売ることができないようなコストになっておるのであります。従って、こういう状態では、一方におきましては関税消費税合計三十八円何がしを取って、同時に食糧管理特別会計テンサイ買い上げることによっての赤字を出す。これは制度として非常におかしいじゃないか。そこで今度は関税消費税の額を逆にいたしまして、消費税斤当り十二円六十銭にする。そうしますと、糖価が七十三円ならば、六十円四十銭という価格関税込みの価格が出るわけであります。そうしますと、日甜はもちろん、相当経験を積んだテンサイ糖会社は自由に売ることができるような条件が出てくる、こういうことになっております。ところが、日甜の分につきましては、これは御承知のように新しい工場を作れば二十億あるいは二十四、五億の固定設備費がかかります。ところが、日甜は早く作りまして、しかも、その操業度は、二十八年からの買い上げにより国が三十億近くの財政負担をすることによって、償却費が一工場当り新設工場の十分の一にも満たない、こういう状態になっておりますので、たまたま制度の切りかえによって不当な利益が出てくる。特別の利益が出てくる。それは努力によってできたのではなく、この制度の切りかえによってできたということでありますから、その分を納付金として納付してもらう、こういうことでございます。
  48. 中村時雄

    中村(時)委員 これはここまでくると政治問題になるから、大臣がいないので、政務次官に伺いますが、今食糧庁長官が言ったように、自分が努力をしてそれだけもうかった金ではない、不当な利益なんだ、だから制度によってこういうようなばかげたことを作るからこそ、不当な利益が出てきた、こう今はっきりおっしゃったでしょう。それほど、この関税ということのために実際一部分においては非常に膨大な利益が出てくる。そんな利益なんか出さなくとも、関税の方を安くして、あるいは消費税の方を安くしていけば、国民は喜ぶのです。その喜ぶことがわかっておりながら、今言ったように利益をわざわざできていくようにして、そのできた利益をかっぱらってしまう。全部を取るわけにはいかないから、半分だけでも取ろう、半分だけかどうかわかりませんけれども、そういう状態になってきている。だから、そのことはやはり国民としてはよく考えてもらいたい。今あなたも政務次官ですが、野に下れば、あるいは選挙に落ちてしまえば一国民ですよ。そのような立場から考えて、このような、一応出してこられたこの関税によって不当な利潤が得られるような、そういう行政指導はやめてもらいたいと思うわけです。あなたはどうお考えになりますか。
  49. 山中貞則

    山中政府委員 僕がやめたらただの衆議院議員であることは、御指摘を待つまでもなく間違いない事実でございますが、そういうまくら言葉には、私としてはあまり賛成しかねるのであります。しかしながら、私としては、国内産糖の保護のために、消費税関税振りかえをいたし、さらにまた、農林省当局あたりの折衝過程における意向では、結晶ブドウ糖の生産まである程度考慮する措置等がとられないものかどうか、具体的な検討までも実は意向としてはあったわけでありますが、この際、いろいろ論議されましたように、関税振りかえ措置をすることによって、関係がないといえばそうですが、一般消費者大衆に迷惑をかけることについては、なるべくこれを避けた方がよろしいという考え方のもとに検討いたしました。しかしながら、関税消費税糖価振りかえということでは、保護政策にはある程度なっても、これを育成助長する政策には、国内産糖に対しては少し足りないのではなかろうかということで、いろいろ両省も折衝をいたしましたし、財政所管省として、われわれはわれわれとしていろいろと検討いたしました結果、ただいまきまっております、末端において二円程度の消費者価格の負担を余儀なくするという案に実は落ちついたわけであります。しかしながら、私どもといたしましては、それを措置することが基本的な国内産糖保護の原則として行われましたが、しからば、すでに今日まで買い上げることができるという情報のもとに、ほとんど全量買い上げによって保護されて参りました既設の日甜三工場の、今回の振りかえ措置によって生ずる、運営の非常な向上に伴う利潤というものは、本来ならば、憲法その他の法制局等の見解からいえば、自由企業に対して国が吸い上げるような措置をすることはどうかという見解もなきにしもあらずという微妙な問題ではありましたけれども、しかし、今日までの日甜三工場が、困難な条件下とはいえ、そういう今回の措置によって利潤を生ずるまでの成長をいたして参りました陰には、国がほとんど直接といっていい援助を全面的に与えてきたということがあって、初めて出てきたのでありますから、この際その国が与えてきた援助を全部取り返すことは、これは、幾ら国であっても、自由企業に対してなすべきことではなかろうと思うけれども、しかし、一応他工場が今後国策に沿って新しくいろいろ営業を開始する場合に比べてのかけ離れた好条件における利潤というものは、ある程度事業発展のために協力した国におさき願ったらどうかということでやったわけでありまして、私どもとしては、いろいろ議論の分れる点はあっても、この措置は実行したい、こういうふうに考えております。
  50. 早川崇

    早川委員長 中村君、大体約束の時間です。また明日にでも……。
  51. 中村時雄

    中村(時)委員 それじゃ一言だけ言っておきます。今テンサイ糖の問題が出ましたから、その問題に関して明日継続さしていただく。そして農林大臣大蔵大臣、外務大臣、これを要望しておきます。また、でき得ればこちらで、できなかったら農林委員会の方に今言った藤山勝彦さんらを呼び出していただきたい、このように思っております。
  52. 早川崇

  53. 奧村又十郎

    ○奧村委員 私は、本日これから本委員会で議了しようとする政府提案の法人税法一部改正案についてお尋ねいたしたいと思います。  この法人税法の一部改正案について、企業課税の問題とか耐用年数の改訂の問題とか、いろいろお尋ねしたいことがあるのでありますが、これはまた後日租税特別措置法なり所得税法の改正案の審議の際に繰り延べまして、政府の御提案になりました案の内容、及び本委員会において修正案を用意しておりますので、それに直接関連することだけをごく短時間、山中政務次官原主税局長並びに国税庁長官に、お尋ねかたがた意見を申し上げてみたいと思うのであります。  この法人税法の一部改正案の一番おもな問題は、会社法人が確定申告書を出してからあと、更正の請求をすることができるということであります。これは趣旨としてはけっこうでありますが、期限を一カ月以内に限りという条件がついておるので、せっかくの政府の親切な気持もかえって無になる、せめて期限を三ヵ月ということにしなければいかぬというのが、私の考えであります。そこで、申し上げたいのは、この法律改正をする以前、つまり現行法においては、この法律改正に該当する事項が起った場合はどうしておられるか。これはまず、国税庁長官の御答弁と、それから主税局長——つまり会社法人が確定申告書を出した、そのうち計算上誤まりがあって、申告所得が多過ぎたので、これを減額訂正したいということが起った場合、現在はこれはどうしておられるか。
  54. 北島武雄

    ○北島政府委員 現行法では、申告納税いたしました法人がみずから進んで減額修正をする、こういう規定がございませんので、実際問題といたしましては、納税者から陳情が出まして早く調査してほしいという申し出がありましてから、税務署なり国税局で調査いたして、減額すべきものには減額をする、こういうやり方をやっているのでございます。
  55. 奧村又十郎

    ○奧村委員 その減額の処置は、従来誤謬訂正という手段をもってやっておられたのですが、今度の法律改正を見ますと、更正決定をするということに規定しております。従来の誤謬訂正のやり方を改めるのですか。これは主税局長から……。
  56. 原純夫

    原政府委員 法人税法の二十九条には、申告書が提出された場合において、その課税標準または税額政府において調査したところと異なるときは、政府は更正するとなっております。異なるときというのは、調査したところより少い申告である場合もあるし、多い申告である場合もある。この第二十九条の更正は、政府が更正で税額をふやす場合も減らす場合も、この適用があるという形になっております。誤謬訂正というのは、そういう意味では俗称でありまして、制度的には区更正という形で減額をするということになっており、その形で運営をされておるわけであります。
  57. 奧村又十郎

    ○奧村委員 シャウプ勧告実施前後においては、これは誤謬訂正ですべて扱っておられた。このような場合、国税庁は現在更正決定として扱うておられるのですか。誤謬訂正で扱っておられるのですか。
  58. 北島武雄

    ○北島政府委員 ただいま主税局長からお答えがありましたように、ただいまの更正決定の規定によりまして減額の更正をいたしておるわけであります。
  59. 奧村又十郎

    ○奧村委員 じゃあ、現行法人税法二十四条に基いて修正申告した場合、つまり計算の間違いがあって減額更正をしてもらいたい、こういう納税者の申告があった場合、これは取り上げて更正決定をなさいますか。
  60. 北島武雄

    ○北島政府委員 現行法におきまして、お申し出がございますれば、果してそうであるかどうかできるだけ早く調べて、もし減額すべきものであれば減額をいたす、こういうことになっております。
  61. 奧村又十郎

    ○奧村委員 国税庁長官の御答弁のように、現在納税者の申し出によって減額更正決定をしておられるのならば、新たにこのような法律改正は要らぬと思うのですが、なぜお出しになるのか。三カ月の期限があるのならば、三ヵ月以内に間違いは発見できますけれども、確定申告後一カ月では、大ていの会社法人は間違いを見出すことはできぬと思う。しかも、この法律の条文を見ますと、通信、交通その他やむを得ないよほどの事情がなければ、一ヵ月の期限内でなければ減額更正の請求はできない、こう規定してあると、今まで比較的簡単に減額更正をやってきたのに、今度はこの法律を出したために、かえって、期限の一カ月を経過ししたならば減額更正の要望が取り上げられない、こういう逆の現象が現われるように思うのでありますが、この点は主税局長どうお考えになりますか。それにつけ加えて、一カ月の期限が経過してから誤まりを発見した場合は、これは従来通り国税庁でおやりになるという前提のもとになさるのですか。それなら一カ月を三ヵ月に延ばされた方が法案としてはもっとすっきりしてくる、こういうふうに思うのですが、その点の御説明を願います。
  62. 原純夫

    原政府委員 まず今回なぜこれを改正せんならぬのかという点でありますが、この問題は、実は各税法に共通なこういう形の税の課税ないし徴収についての規定がいろいろあります。更正決定以外でも、利子税であるとか、あるいは各種の加算税であるとか、あるいは異議の申し立ての争訟制度であるとか、罰則であるとか、共通的な規定がいろいろございます。私どもの仲間では、これを税に関する通則と申しますか、あるいは共通法というようなことで、各税法を見る場合に、こまかく勉強していく段になりますと、そういう共通的な規定が各税法についてどうなっているか、差があるならばどういう意味があるか、どういう合理性があるかということあたりが、きめのこまかい問題でありますが、問題になります。実はこの更正の請求は所得税にあるわけです。法人税にはない。これが年来問題になっておりましたが、実際には、そういう共通規定は、必ず初めにあるタイプがきちっとあって、各税法はそれにならって変えていくというのでなくて、やはり沿革的な発展があるというようなことで、前々から法人税法にそれがないというのは問題になっておったわけです。しかし、何分共通関係の規定というものは、オーダーは一見低いように見えますけれども、かなり、やはり納税者の権利を守り、あるいは義務を規定するという意味において、きめこまかく詰めなければならぬということで、いつも私ども改正の際に、各税法にわたって、そういう共通的な規定を統一的なべースで直すという問題があるわけでありますが、それを全般にやりますには、相当広範な検討ときめのこまかい読みをしなければならぬというようなことで、なかなか全部を改正し切るということはできなかった。今回の国税徴収法の改正のときも、その一環として問題になったが、これはできなかった。しかし、この法人税の正更正の請求がないというのは、どうもそういうふうに各税法を並べてみまして非常に欠けたような感じがするというのと、やはり法人税の更正決定というのは、かなりテクニカルではありますけれども、だんだんいろいろな所得の計算等が複雑になって参りまして、やはり納税者にもこれを権利として認める制度を置いておいた方がいいのじゃないか、現状でもそれは言っていただいて、こっちがこれは直さなければいかぬと思えば直す制度にはなっておりますけれども、やはり権利としては更正の請求申請ができる期間は認めた方がいいだろうというふうに考えて、共通法の改正はなお時期を待つとして、今回ここだけは直したいというふうに思ったわけでございます。従いまして、第二段のお尋ねである、なぜ一カ月でなくてはならぬか、三カ月ということも考えられるではないかというような点も、確かに研究に値する問題点ではあるのであります。私どもとしては、今申しました共通法、通則関係の検討は、やはり主税局としては今後何らかの機会に詰めて勉強すべきことだと思っております。その際、お話の一ヵ月でもうこれ以上延ばさぬか、あるいは三カ月にするかというような点は、やはり相当慎重に検討に値する問題だと私どもは思っております。ただ、現在においては、これだけを取り出して三ヵ月とするのは、今申しましたようなこともあって、いささか行き過ぎではないかというような感じがいたしますので、将来の検討にこの点は譲りたいということでございます。
  63. 奧村又十郎

    ○奧村委員 私もなるべく時間を短縮したいと思うから、主税局長も、そんなに御丁寧な答弁でなく、一番大事なところだけ言っていただきたい。私のお尋ねしたのは、一カ月を三カ月に延ばせぬかということと、それから期限後に計算の誤まりが生じて減額更正を納税者がしてもらいたいという場合の処置についてはこれは従来通りと変りがないかということですが、これは国税庁長官お尋ねいたします。
  64. 北島武雄

    ○北島政府委員 権利として更正の請求ができる期間が過ぎまして、そのあとで申告に誤まりを発見して、そして申告が過大だということで税務署に御陳情がありました場合においては、従来通りできるだけ早く調査をいたしまして、御要望に添いたいと思います。
  65. 奧村又十郎

    ○奧村委員 それで了解いたしましたが、ただ、大ぜいの税務官吏の中には、法律を文字通りに読んで、減額更正請求の期限は一ヵ月である、あなたは一ヵ月をこえたのだから、そういうことを言われてもだめですよと言う税務官吏が間々おりますから、そう言われた場合に、納税者として法律上からこれをあくまで政府に請求する権利は法文上はないように思う。その場合納税者をどのように救済していくか。これは一つ主税局長から伺いたい。これは一番大事な点ですから……。
  66. 原純夫

    原政府委員 更正の請求とは一体何かと申しますと、いわば申告の出し直しであります。しかも減額する場合でありますから、いわば誤謬以外にはまずあり得ないのです。取引の基本を故意によけい出したというようなことは、これはとうてい考えられない。計算間違いをしたとか、あるいは所得の算定についての事柄を考え違いしたとか、それで多くなり過ぎたというようなことしか考えられないわけです。従って、更正の請求は、納税者の側において誤謬を直させるのにどういう手段をとるかという制度であります。更正決一定の方は、減額の場合もあるけれども、これは課税標準なり税額なりが足らぬ場合が大部分です。足らぬ場合には、やはり相当課税標準や税額が抜けているということがあります。従って、これに一カ月、ニカ月というようなことはちょっとできにくいわけであります。そういうようなわけで、この更正決定の期限とそれから更正の請求とは、必ずしも歩調をそろえて、いつまでというようなことはない。やはり更正の請求には、税務事務の整理というようなことからいっても期限をつけるという、本来そういう本質を持っているのではないかと、私としては思っております。従いまして、間違ったらいつまでも直させるというのを、権利としてそういう制度を置けというのでなくて、やはりそこは申し出によって直すことを運用でやるというようなことで、制度としてはいいのではないかという感じがいたします。そこは議論の分れるところですが、これは権利として一カ月と限るというような改まったものではなくて、誤謬でしかあり得ないそういうものは、一年、二年たっても思い出すということでなくて、すぐに思い出してもらいたいということであります。
  67. 奧村又十郎

    ○奧村委員 主税局長の御答弁は、法文上からいけば期限後は権利として減額更正を請求する権利は納税者にはないのだ、そういう結論です。ただそれだけおっしゃっていただけばそれで私はわかるのですが、御丁寧におっしゃるので時間がかかる。時間がかかるのは、これは主税局長の答弁のせいですから、委員長お許しを願います。  そこで、主税局長、これは政務次官もお聞き願いたいのですが、政府は、納税者の申告に対して、これは申告が足らぬというと更正決定ができる。そこで、政府の更正決定した金額が多過ぎても少な過ぎても、また政府は更正決定ができる。それは三年以内何ぼでもできる。納税者は、申告が足りなかった場合には増額の更正決定はいつでもできるが、減額更正については期限後一月以内に要求することしかできない。政府課税の権限と、納税者の減額申告の権限と、これはずいぶん差別がある。これでは申告納税のほんとうの建前は貫けぬ。しかし、政務次官、もう少し主税当局が国税庁にとらわれずに、国税庁つまり税務当局と納税者との中間にあって、主税当局がもう少し公平な税法を立案するように、これから御指導を政務次官にお願いいたしまして、この点は時間の関係で打ち切ります。     —————————————
  68. 早川崇

    早川委員長 この際御報告いたしますが、ただいま議題となっております法人税法の一部を改正する法律案に対しまして、各派共同提出にかかる修正案が委員長のもとに提出されておりますので、この際提出者の趣旨説明を求めます。奧村又十郎君。     —————————————
  69. 奧村又十郎

    ○奧村委員 本委員会の修正案はお手元に差し上げてございますので、朗読することは省略させていただきます。  その内容といたしましては、現行法におきましては、税務署または国税局が青色申告の承認取り消しをする場合は、ただ取り消しの通知をすればいいということになっておりますが、それでは善良な青色申告の納税者にとりましては非常に勝手が悪い。どういう理由で青色申告の承認を取り消すか、その理由を付記してもらいたい、こういう要望が強いので、本委員会としては、これは納税者の要望は当然である、この理由付記を法律に明記しなければ、この青色申告の承認取り消しの政府の処分に対して納税者が異議申し立てをする場合に、現行法ではその異議の理由付記に非常に差しつかえがある、政府が取り消しの理由を書いてさえくれれば、納税者の異議申し立てに対する理由の付記が納税者にとって非常にやりやすい、こういう意味において修正案を提案した、かようなわけであります。  そこで、もう一つ広範な理由から申し上げますと、現在の青色申告に対する政府の更正決定のやり方の実態を見てみなければならぬ、こういうことで、先般来税の小委員会で青色申告に対する更正決定のやり方の実態調査をしてみますと、実は、残念ながら、われわれとしては、現在の税務行政がこの問題についてはかなりおざなりで紊乱しておる。その証拠には、納税者から訴訟を起され、裁判所において、政府のやった青色申告に対する更正決定は違法である、無効であるという判決を昨年来しばしば受けておる。これ一つ見てもわかります。従って、政府は、青色申告に対する更正決定についてはもっと法律通り明確な理由をつけなければならぬ。ところが、政府は実はつけられない。つけられない理由としては、青色申告の帳簿そのものが実は政府としては十分信頼が置けない、従って政府はある程度推定で更正決定をせざるを得ない、こういうわけです。推定で更正決定をする、つまり青色申告の帳簿そのものが認められないというならば、まず法律に定められた通り、政府は青色申告の承認をまず取り消してかからなければならぬ。そういう順序を経た措置がなされておらぬから、裁判所で政府は負けておる。この点は、もう少し法律通りに、政府が順序を運ばれるのが当然と思う。政府としては、それは青色申告をなるべく奨励しようという親心から納税者の間違いをとがめぬのだ、こうおっしゃるのも、なるほど理由はありますが、しかし、裁判所において政府は違法であるとしかられるところまで、これは強情に押すべきではない。こういう意味において、もっと堂々とやらなければならぬ。その場合の処置としては、めったやたらと青色申告を取り消されては困りますから、今度は取り消しに対して政府は理由付記をしなければならぬ。こういうように、当委員会としては、政府当局と納税者との中間にあって、最も公平な結論を出したい。それが当委員会の修正案の趣旨であります。  これにつけ加えて、山中政務次官にも申し上げておきますが、そういう処置が非常におざなりであるから、政務次官の方も、国税庁を監督する意味において、やり方を十分きわめていただきたい。特に、はなはだしいのは、横須賀の税務署管内において、松島という納税者が青色申告の更正決定を受けました。これには更正決定の理由が全くつけられてない。これは訴訟になった。ところが、訴訟になって裁判では負けております。それは、この訴訟になるまでの政府の態度が悪かった。理由がついておらぬから納税者は不満でありますから、再調査を申し立てた。あるいは国税局長に再審査を申し立てた。ところが、政府はどういうことをやったかと申しますと、昭和二十五年分の所得税の更正決定ですが、その更正決定が昭和二十七年一月にきた。これに対する再調査あるいは再審査を申し立てたところが、再調査の決定が昭和三十年六月、従って、再調査を申し出てから三年かかっておる。それから今度は、それに異議申し立てをしたところが、再審査は昭和三十二年、だから更正決定があってから五年かかっておる。青色申告の調査に五年もかかるのです。それで五年かかって、もう裁判が始まってから再審査の決定が下る。その再審査の決定に何と書いてある。「税務署のやったことは間違いないと思いまするから却下します」、明らかに政府法律違反をやっておるのですね。青色申告の区更正決定には計算上の誤まりがあるという理由を付記しなければならぬ。その理由がつけてない。しろうとが読んだってわかる。そういう違反を政府が犯して、再調査、再審査したのに、これに対して税務署がやったことは間違いないというので却下した。こういうことを審査する税務協議団は一体何をしておる。税務協議団は政府法律執行を監督するのです。たくさんの税務協議団は何をしておるか。五年もかかっておる。法律を見ますと、再調査、再審査を受けた場合、政府は何年のうちにこれを決定しなければならない、いつまでに返事しなければならぬという法律の規定はない。だから政府はのうのうとして延ばしておる。しかも、この法律規定を見ると、再調査の申請をしてから訴訟するには九ヵ月以内の期限が付してある。納税者にはいろんな期限を付してある。原則として一カ月以内、政府がやるのは、更正決定は三年以内です。再調査や再審査は期限がない。政府にはやりたいほうだいやらしておいて、納税者は一カ月でしばるというそんな不公平な税法では、真に申告納税の制度は育たぬ、かように思って、ちょっぴり青色申告の取り消しの規定だけはここにつけた。もっとつけるつもりでありますが、それは次の所得税法あるいは租税特別措置法で審査して、その上でいたしたいと思います。  私の修正案の趣旨説明は、多少長くなりましたが、これをもって終ります。     —————————————
  70. 早川崇

    早川委員長 ただいま議題となっております八法律案中、糸価安定特別会計において昭和三十三年産生糸及び繭を買い入れるための経費支払財源の一部に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案糸価安定特別会計法の一部を改正する法律案関税定率法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案産業投資特別会計法の一部を改正する法律案及び法人税法の一部を改正する法律案の五法律案及び法人税法の一部を改正する法律案に対する修正案に対する質疑はこれにて終了いたします。  これより討論に入るのでありますが、各法律案及び修正案に対しましては、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ることといたします。  まず、法人税法の一部を改正する法律案及び同案に対する修正案を一括して採決いたします。  まず、修正案について採決いたします。本修正案を可決することに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  71. 早川崇

    早川委員長 御異議なしと認めます。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいま可決いたしました修正案の修正部分を除く原案について採決いたします。これを可決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  72. 早川崇

    早川委員長 御異議なしと認めます。よって、本案は修正議決されました。  次に、糸価安定特別会計において昭和三十三年産生糸及び繭を買い入れるための経費支払財源の一部に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案糸価安定特別会計法の一部を改正する法律案の両案を一括して採決いたします。両法律案を原案の通り可決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  73. 早川崇

    早川委員長 御異議なしと認めます。よって、両法律案はいずれも原案の通り可決いたしました。  次に、関税定率法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案及び産業投資特別会計法の一部を改正する法律案の両案について採決いたします。両案を原案の通り可決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  74. 早川崇

    早川委員長 起立多数。よって、両案はいずれも原案の通り可決いたしました。  この際お諮りいたしますが、ただいま可決いたしました関税定率法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案に対しまして、附帯決議を付したいと存じます。案文を朗読いたします。   本法案による暫定的減免税の制度は昭和二十六年以来毎年度更新されており且つその減免税額は相当巨額に達しているので、政府は従来の惰性に陥ることなく、国産保護等の見地から輸入の緊要度が薄くなったものについては極力その品目の整理を行うべきである。 以上であります。  本附帯決議案を付するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  75. 早川崇

    早川委員長 御異議なしと認めます。よって、本附帯決議を付することに決しました。  この際ただいま議決いたしました附帯決議について政府の所見を求めます。大蔵政務次官山中貞則君。
  76. 山中貞則

    山中政府委員 ただいま全会一致で決議されました関税定率法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議でございますが、その御趣旨に対しましては、私どもといたしましては全面的に決議の趣旨を尊重いたします。なお、品目の整理のみならず、合理化等についても極力努力をいたして参るつもりであります。今国会におきましても整理合理化等一部着手いたしたのでありますが、なお今後はさらに、この決議の趣旨によって、その速力を早めて、この決議の趣旨に沿いたいと思うのであります。  なお、法人税法の一部を改正する法律案に対する修正案の内容につきましては、先ほど奧村委員より趣旨の説明がございましたが、私どもといたしましては、納税者に対する政府の親切並びに納税者の納税事務に対する便宜の点から、これまた最も時宜を得た配慮であると考えまして、その趣旨はまた尊重して、十分に法を運用して参るつもりであります。(拍手)
  77. 早川崇

    早川委員長 この際お諮りいたします。ただいま議決いたしました五法案に関する委員会の報告書の作成並びに提出等の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  78. 早川崇

    早川委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。  本日はこの程度にとどめ、次会は明五日午前十時十五分より開会することとし、これにて散会いたします。   午後区零時四十五分散会      ————◇—————