○平岡
委員 かなり私の見解をお認めになっての御答弁ですが、もう少しその点を徹底的に大蔵大臣としては認識してもらわなければならないと思うのです。たとえば、あなたのおっしゃることですと、ヨーロッパで主権国家としての各国々の政策が大体同じような立場にあるから、偶然に一致したというふうにもとられないことはない。しかし、一七・何%かのフランの切り下げもさして、共同歩調でこうした体制に踏み切ったというところが、非常に意義があることであろうと思うのであります。レッセフェールなそんなフランスの市場なんかかまうことはないですから、じゃんじゃんやりますよ。そうでないところに問題があると思う。われわれヨーロッパを回ってみましても、少くとも
経済指導者エアパルトとかフォッケとか、こういう人は、年配からいえばフランスに対してうんと敵意を抱いていた人であろうと思いますけれ
ども、そういう人たちがえらくヨーロッパの共同基盤ということを主張いたしております。ですから、そういう国の指導者たちは、いわゆる狭い
意味の愛国的な
考えよりも、ヨーロッパ自体を運命共同体としてやっていくという気概にも燃えておるし、その方途をとってきておることは事実です。それだけに、今回の自由化
措置、交換性の回復
措置は、ヨーロッパの決意を表明したものとして受け取るべきであろうと私は
考えております。
これは一応議論になりますから、その
程度でとどめておきますが、ただここでやはり補足的に触れておかなければならないことは、すでにヨーロッパの六カ国におきまして、鉄鋼と石炭に関する限りは共同体を作る——共同体を作ったというのは
関税を撤廃したということです。このヨーロッパの共同体は、一回におきまして多少現在の利害
関係があるので、イギリス等はいわゆるウエーティング・メンパーという格好で、一応アドヴアイザー的な立場に立つわけであります。しかし、OEECの十七カ国がやがてこの六カ国に参加して、共同体それ自身の参加国がふえていくであろうことも、私は必然のコースであると思っておる。それから、品目それ自身は、石炭と鉄鋼だけに限らずに、商品、
原料の全品目にわたって、十三年ないし十五年の後には一切
関税障壁を撤廃するという計画が立てられ、
条約の批准がなされ、本年はこの第一年度目としてそこに踏み切っておるわけです。ですから、十四、五カ年後におけるヨーロッパというものは、やはりヨーロッパ統合体としての機能を果してくるということ、これは私の独断ではないと思うのです。そういたしますれば、
日本との利害
関係は、東南アジアとか、アラブ諸国とか、そういう点におきましてえらく競合的な立場を展開します。そういうときは、単なるイギリスとかフランスとかの一国相手ではなしに、ヨーロッパが
関税障壁を全部撤廃するということは、
原料が安くなることです。それによって、一番得意なところで、一番得意な
生産をしてくるのですから、
生産コストがうんと下るわけです。今つま立ちをしてアジア市場で競争しておる
日本というものは、その体制ができてくれば一たまりもないわけであろうと思うのです。そういうところから、お題目的にはちょいちょい近ごろ
言葉に出されております円為替の導入ですか、こういう円貨をもって決済し得る地域というものを、少くとも
日本の戦前くらいには回復しなければならぬと思う。戦前は中国もそうです。インドもそうであります。それから東南アジアも円為替をもって自由に取引されました、ですから、そういう問題が当然次の対策として出なければならぬ。しかし、イギリス自体をとらえましても、イギリスが今度の交換性に踏み切るためには、金ドル準備というものは約六十億なければならなかったはずであります。しかし、イギリスは現在為替のパランスにおける黒字が約三十二億ドルです。それから、IMFと世界銀行のスタンドパイ・クレジットがまだ十億ドルほど残っておる。それから、昨年大蔵大臣自身が御参加になったインドの
会議においてそれぞれ五割、十割増の増資をいたしまして、それから期待できる十数億のドル、それを合せますと約五十億ドルになった。そこで六十億ドルなければ困るのだけれ
ども、五十億ドルなら大体いいだろうということで踏み切っておるわけであります。
日本におきましても、円為替の導入ということを実行する前提として、
日本の保有外貨の問題、そういうことが当然大きなファクターになります。
そこで、今ここでお伺いしたいのは、この
日本の為替の自由化をどういうステップを踏んでやっていこうとするか。それから、今私の後段に
指摘しました
日本として使い得るドルというもの、今イギリスについて私が
説明した五十億ドルに相応するようなものが、
日本の立場において計算されるはずです。IMFにこの間一億二千五百万ドル返しましたね。そうすると、それは使い得るのだろうと思うんですよ。そのほか今度は増資によるところの
日本国として使い得る分、そういうものを合せましてどれだけの金ドル保有、と申しましょうか、保有ではちょっと行き過ぎですが、まあ金ドル保有と同じ
程度の効果を上げ得る金額は幾らになるか、その点も
一つ。これは
為替局長からでけっこうです。