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1959-02-19 第31回国会 衆議院 大蔵委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年二月十九日(木曜日)     午前十一時十八分開議  出席委員    委員長 早川  崇君    理事 足立 篤郎君 理事 押谷 富三君    理事 小山 長規君 理事 坊  秀男君    理事 山下 春江君 理事 石野 久男君    理事 佐藤觀次郎君 理事 平岡忠次郎君       荒木萬壽夫君    奧村又十郎君       加藤 高藏君    鴨田 宗一君       小西 寅松君    進藤 一馬君       西村 英一君    濱田 幸雄君       毛利 松平君    山村庄之助君       山本 勝市君    廣瀬 勝邦君       松尾トシ子君    横山 利秋君  出席政府委員         大蔵政務次官  山中 貞則君         大蔵事務官         (主税局長)  原  純夫君         国税庁長官   北島 武雄君  委員外出席者         大蔵事務官         (国税庁間税部         長)      泉 美之松君         専  門  員 抜井 光三君     ————————————— 二月十九日  委員福田一君及び福永一臣辞任につき、その  補欠として山田彌一君及び大石武一君が議長の  指名委員に選任された。 同日  委員大石武一君及び山田彌一辞任につき、そ  の補欠として福永一臣君及び福田一君が議長の  指名委員に選任された。     ————————————— 二月十七日  国有財産法第十三条第二項の規定に基き、国会  の議決を求めるの件(内閣提出議決第一号) 同月十八日  日本国アメリカ合衆国との間の安全保障条約  第三条に基く行政協定実施に伴う関税法等の  臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案  (内閣提出第一五六号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  連合審査会開会に関する件  揮発油税法の一部を改正する法律案内閣提出  第七五号)  物品税法の一部を改正する法律案内閣提出第  一一七号)  砂糖消費税法の一部を改正する法律案内閣提  出第一二七号)  入場税法の一部を改正する法律案内閣提出第  一三九号)  国有財産法第十三条第二項の規定に基き、国会  の議決を求めるの件(内閣提出議決第一号)  日本国アメリカ合衆国との間の安全保障条約  第三条に基く行政協定実施に伴う関税法等の  臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案  (内閣提出第一五六号)      ————◇—————
  2. 早川崇

    早川委員長 これより会議を開きます。  連合審査会開会の件についてお諮りいたします。ただいま本委員会において審査中の物品税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案の両案について、科学技術振興対策特別委員会より連合審査会開会の申し入れがありました。これを受諾して連合審査会を開会するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 早川崇

    早川委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決定いたしました。  なお、連合審査会開会の日時につきましては、科学委員長と協議の結果、明二十日午後一時半より開会することといたしております。御了承願います。     —————————————
  4. 早川崇

    早川委員長 去る十七日付託されました国有財産法第十三条第二項の規定に基き、国会議決を求めるの件及び昨十八日付託されました日本国アメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定実施に伴う関税法等臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。  政府より提案理由の説明を求めます。大蔵政務次官山中貞則君。     —————————————
  5. 山中貞則

    山中政府委員 ただいま議題となりました国有財産法第十三条第二項の規定に基き、国会議決を求めるの件及び日本国アメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定実施に伴う関税法等臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及びその内容を御説明申し上げます。  まず、国有財産法第十三条第二項の規定に基き、国会議決を求めるの件につきまして、提案理由及びその内容を御説明申し上げます。  まず第一は、皇居内の路面舗装工事でございます。皇居内の新坂から内廷庁舎西口までの道路並びに内廷庁舎西口広場、元北御車寄付近及び義宮御殿玄関広場は、現在砂利敷となっておりますので、これを舗装しようとするものであります。  第二は、正倉院第二新宝庫の新営工事でございます。千二百年の長きにわたって収蔵保存してきた正倉院宝物を永久かつ完全に保存するため、さきに校舎にかわる新宝庫を新築いたしましたが、さらに、宝物をことごとく収蔵し、保存管理の万全をはかるため、第二新宝庫を新築しようとするものであります。  以上御説明申し上げましたものは、いずれも皇室用財産として取得する必要があるわけでありますが、そのためには、国有財産法第十三条第二項の規定により国会議決を経る必要がありますので、ここに本案を提案した次第であります。  次に、日本国アメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定実施に伴う関税法等臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を御説明申し上げます。  この法律案は、合衆国軍人軍属等による免税輸入物品国内における転売の実情等に顧みまして、譲受物品に対する関税課税価格決定方法を改めて、課税適正化をはかろうとするものであります。  以下、改正内容につきまして簡単に御説明申し上げます。譲受物品に対する課税価格は、現在は原則として同種物品通常輸入により輸入された場合の輸入到着価格基準として決定することになっておりますが、通常輸入に対して為替及び貿易管理上の制限を行なっております結果、実際の譲受価格同種物品通常輸入の場合の輸入到着価格よりもかなり高いのが多いのが実情であります。このような実情に即した課税適正化をはかるため、譲受物品に対する関税課税価格国内における通常取引価格から税額等を控除して逆算した価格基準として決定することとしようとするものであります。  以上が、この二件の提案理由及びその概要であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛成賜わりますようお願いいたします。     —————————————
  6. 早川崇

    早川委員長 次に、内閣提出にかかる物品税法の一部を改正する法律案砂糖消費税法の一部を改正する法律案入場税法の一部を改正する法律案揮発油税法の一部を改正する法律案の四案を一括して議題といたします。  質疑の通告があります。これを許します。山村庄之助君。
  7. 山村庄之助

    山村(庄)委員 この間の質問の続きを申し上げます。大蔵大臣に時間がないといって途中で逃げられ、きょうはまた政務次官に逃げられましたが、大体は事務的のことが多いと思いますので、主税局長にお尋ねいたします。  物品税のうちの骨董に関する税ですが、一〇%を五%に下げるという案が出ております。五%でも、下げるという意思は非常にけっこうです。しかし、私は、書画骨董というものはその性質無税にすべきものだ、物品税なんかかけるべき性質のものじゃない、こういう信念を持っておる。特に、この書画骨董は、店屋で買うと税金がかかる。本人直接やあるいはお互いしろうと同士売り買い、やったり取ったりするときは、一銭も税金はかからない。またかけようがない。しかも書画骨董は大部分がそういうようなことで動いておる。また、店屋を通ったとしても、単にちょっと口をきいたというだけで、ほんの手数料で、利益をとって売り買いしたというものは、実態の上から少い。特に物品税性質というものは、一ぺん新しい品物にかけたら、それが古くなってあっちこっち売り買いしたからといって、二度も三度も税金がかかるというようなものじゃない。書画骨董というものは、一ぺんや三べんや五へんではなく、何べんでも回れば回るほど税金をかけておる。しかも、平均せずして、はなはだ不公平な、かかるやつは何ぼでもかかるが、かからぬやつは一向にかからぬで動いておる。特にこれには、世間並みにだれが考えても一定した価格というものはないのです。ほしい人は一万円でもほしい。けれども、人によったら、そんなものよりか、あしたの米一升の方がいい。こういうようなことで、価格というものはこれはないのです。価格のはっきりわからぬようなものに、お前は何ぼで売り買いしたから、税金を何ぼかけるというような、こういう不特定な課税対象に対して五%の税金をかける。これは一切無税にしてしまう方がいい。こんなものを無理無体に五%残さなければならぬということが、私にはわかりにくいのです。話を聞いてみますと、仲立手数料は一割ぐらい。ところが、その一割の仲立料をもらって五分の税金をかけると、差し引くと残り五分、それから店の営業費、あるいは番頭があちこち飛び歩いたり、品物を見てきたり、諸経費を差し引くと、一向思うようにいかぬと言うておるんです。ただし、私は、陳情がありますと、そんなこと言うたって、君ら国民として税金払わぬと、うまいこと商売だけやろうというようなことは勝手過ぎるやないか、だからまあ三分くらいの税金にしたらほんとに全部払うか、それも無理な税金だから全部まけてもらいたいが、三分くらいにしたら、脱税せぬように組合お互いに協力して、大体政府の予定する予算額くらいは全国協調提携して喜んで納めるようにする、そうしたら、ごたごたと、ややこしい税務署と言い合いやけんかや申しわけばかりする必要はない、予定税額は納める、こう言う。これは私が業者に説得したときの話ですよ。ただし、私の趣旨は、これは免税にすべきだ、こういう考えを持っておりますが、当局の方でこの五%にしたのは減税のやかましいときだから、ちょっとついでに半分に——何でもかんでも五%、一〇%、一五%というような様式でいっているように思うのですが、そういう意味でこれをなさったのですか。免税にする意思はないか、あるいはまた三分にしたらきれいにトラブルなしでやれるという申し出があるが、こういうことに対してどういう意見を持っているか、一つ承わりたい。
  8. 原純夫

    原政府委員 書画骨董課税についてお尋ねでございますが、ただいまのお話は、主として扱います業者がなかなか利益のさやが少い、あるいはいろいろな形の取引があるというような角度を中心にいろいろ議論が出ております。そういう筋に乗ってのお話が多いようでございます。私どもも、そういう角度での問題がいろいろあることは十分承知し、また本件を解決するについて考えなければならぬ点だとは思っております。しかしながら、物品税税率なり負担なりを調整して参ります本筋は、やはり国民が直接税だけでは税金がとてもぎくしゃくしてかなわぬ。間接税に相当持ってもらわなければならぬ。間接税の中でもやはり負担力の多い消費にはよけいかける、負担力少い消費には少くかけるということをいろんな資料から十分観察して、税負担厚薄を盛るという大筋を通さなければならないという角度があるわけであります。間接税でいろいろ議論が出ますのは、実はただいまの業界的な立場でのまことに不都合がいろいろあるわけでございますが、そういう角度からの線は声が非常に大きく出ますけれども、ただいま申しましたもう一つの面、つまり間接税を五千億なら五千億負担していただくとすれば、どういう消費によけい負担していただくかという角度からの議論は、問題が非常に大きいものですからあまり出ない。私ども、一昨年の春この委員会の御決議で御要望になりまして以来、じっくりそれを検討しているわけです。まだこれで満点だという結論まではきておりませんが、その角度からいろいろ考えますと、書画骨董は、いろんな消費の中で——消費と申しますか、いろんなそういう購買の中で一番担税力がある種類の支出であろうと、だれしも常識的に考えます。たびたび申し上げております消費支出弾力性の値にいたしましても、一コンマ幾らという通常のものよりも、所得の多い人によけいこういう支出が多いというのは、はっきり出ておるというようなことがございますので、これを単に取引形態が複雑であるから無税にするという極端なことはできないという考えでございます。それはやはり両者を勘案して妥当なところにきめるという角度でいかなければならぬと思ったわけです。そこで、今回御提案しました場合に、その点でどういうことを考えたかと申しますと、ただいまも言及がありましたように、本人同士ならかからない。これを純粋に言えば、本人同士であっても、書画骨董を買うんだからかけるのが論理的に当然ですが、これは執行上とうていできない。やはり業者を通じてする場合に限ってかける。これは執行上の理由であります。ただいま、業者を通じましてもいわゆる委託である、これは業者が間に入っているが、法律上の売り手は本人なんだというようなことで言われますと、どうもそれは法律的に課税しにくいような状態にあります。これはいわば業者が間に入っておるのですから、負担をしてもらってもいいと私は思うのですが、それが、そういう法律上の形をとることによって、いわば回避されることになる。そうしますと、こういうものにどうしても税を負担してもらおうと思えば、そこの穴をふさがなければならぬということになるわけです。今回お願いして、おります物品税法の五条第一項の改正規定には、そういう場合に、委託であるからといって、課税にならぬ、本人販売だというのでなくて、それは業者販売とみなしますというふうにお願いしてありますが、やはり物品税消費性質に従って負担してもらうものは負担してもらう、課税の方式がそのために能率が悪いものは改めるようにするということで、今日全般を考えております。従いまして、この点ではきつくなるわけです。それも考え、またかたがたお話のように書画骨董は何回でも回転する。そうぐるぐる回転もないと思いますが、何回か回転するということも考えて、従来の一割を五%に下げたということで、五%というのはもちろん達観の数字でありますけれども、私どもとしては諸般のバランスから考えますと、これをさらに下げるということはいかがかというふうな感じを持っております。そういう気持でおります。
  9. 山村庄之助

    山村(庄)委員 これは書画骨董性質から言うて、無税を主張し、かつこの点はどうか、この点はどうか、この点はどうかと私がここにちょっと書いてきたものでも七つか八つある。そんなことを一々こまかく言うて、一間一答で当局者をやっつけるというような考えはないのです。しかし、大体めんどうくさい、それから趣旨に合わぬようなものだけは、一応御注意のためにただしてもおきたい。それから、業者なんか、今度は税の問題についてはあっちこっちからたくさん陳情に来ておりますが、私は今まで税を取る方の親方をしておった。その立場があるから、お前ら勝手なことばかりぬかしたってだめじゃないかと、みんなしかりつけておるのです。納税義務の大切なことがわからぬか。けれども、あまり無理だと思うようなやつは……。だから、業者から無税にしてくれとぎやあぎやあ言うてきておるけれども、ちっともかけぬで国民義務が果されるか。それならこれを三分ぐらいにしてくれたら、われわれが自発的に協力して、そうして業者全体がよう税金を納まるように絶対にやりますから。それはどうするか。納税組合を作ってそれから先税額一切引き受けます。東京と大阪の業者が主体となってやったら、大ていのことはきけますから、税務署とけんかするようなことはしたくない。気持ようやる。けれども、その一面、納めておる者があっても、ずるい業者がたくさんおって、これは脱税してしもうては、せっかくきめても何もならぬことになるというような結果になるから、気持よう納められるような方法をとれというので、私は三分案というものを出しておる。この点について山本先生から関連質問をやらせいと言いますが、私時間の都合もありますので、関連質問はしてもらいますが、先生十分くらいでよろしいか。それなら私の方から十分くらいということで……。
  10. 山本勝市

    山本(勝)委員 ただいま山村委員から問題を出されたものですから、関連して申し上げますが、これまでくどいほど大蔵当局に申し上げましたけれども、私の根本の考えは、取れない税だ。取れるとおっしゃっても取れない税だ。だから、税のバランスとか、担税力とか、あるいは皆さんが言う、あってもなくても命に別条のない品物であるとか、そういう点か言えば、確かにこれは大いに取るべきだ、こういう結論になるんですよ。なるんだけれども、実際問題としてああいうように音もしないし容積は小さいし、取れない。その証拠に、これまで八割以上も脱税をやっておる。実は大蔵当局も取るのはむずかしいことはおわかりだろうと思う。残りの二割はどうして取っておるかというと、これは百貨店だとかあるいは美術クラブから取るとかいったような、だれが見ても取れるところで取っておるんであって、残りは取れない。これを今度は六条に何かつけて、委託販売をした場合は、委託でなしに売買したものとみなすということで取れるとおっしゃいますけれども、私はそれではやはり取れないと思う。実情をいろいろ研究してみますと、これまでは委託の場合は取れなかった。委託とはっきりわかれば取れないが、委託とはっきりわからない場合には、国税庁の通達で委託でないと認めて取る、こういうことになっておった。ところが、委託ということを立証するためには、だれが頼んでだれに売った、その仲立ちは委託でやったということを立証しなければならぬ。ところが、実際開顕として、売った人は金が手に入ったというので、税務署からその譲渡に対する所得の問題でにらまれるから、名前を出さぬようにしてくれ。買うた方は十万なら十万で買うたその十万円の金はどこから出てきたんだということをやはり税務署からにらまれるから、これも出さぬようにしてくれ。そうすると、委託であるにかかわらず、委託ということの立証が実際問題としてできない。また法律上も、本人が頼んで名前を出さぬようにしてくれといった場合に、黙否権に似たようなものですから、言わぬという場合にはやはり商法上言わす方法はないようであります。そうすると、本人手数料を一割もらってやっておって、委託であるということを立証することが、売った人、買うた人の依頼でできないということになると、納めなければならぬ。納めて一割取られてしまう。今度は利益が全部なくなってしまうから、全部を伏せてしまう。所得税は納めることを少しもいとわぬ人が、今度は物品税のみならず所得税も隠してしまうということになって、国家としては物品税脱税のみならず、所得税もまた十分つかめないという欠陥を来たしておるのだと思う。ですから、取れるか取れないか。現に、今度の改正におきましても、直接売り買いした場合には、業者を経ないときには取らないというのであります。しかし、これも担税力ということの原理からいえば当然取るべきなんです。しかし事実上取れない。今度は仲立ちみなし税で取ると言いますけれども、たとえば、新聞記者が絵かきとも懇意であってしょっちゅう出入りしているから、新聞記者に頼むと売り買いができるという場合に、その新聞記者をつかまえて、これを業者とみなすということで一体取れるか取れぬか。新聞記者は、新聞記者が業であって、美術商ではないんですよ。ですから、これは取れないんです。だから、どうしても取れない法律をわれわれ立法府で作って、これを行政庁に押しつけることはできない。それを行政庁があくまで残せというんだったら、私がかねがね言っているように、なぜこれまで取れなかったか。会計法の第三条ですか、税は取らなければならないと書いてあるのに、取らなかったことに対しては、国税庁から責任者を二、三人出せとまで私は極論するんです。将来も結局取れないものをあくまで取れと言う。どういう方法で取るかということをいろいろ考えてみますと、われわれ民主主義生活を全部破壊して全体主義になって、このうちは大きいから持っていそうだといって、人のうちへ乗り込んで行って、押し入れをあけてひっくり返せば、それは取れる。しかし、そういうことはどうしてもわれわれ民主主義生活ではできない。だから、何とか取れる方法があれば認めようということを、私は最初から申してきた。だんだん考えてみますと、結局は、今山村さんのおっしゃったように、税率をうんと下げて、業者に監督をさせる。新聞記者なんかは取れないでしょうけれども、ボスなどは業者仲間ではわかっているのです。だから、できる限り取るということになれば、従来所得税物品税がともにだいぶん引っ込んでおったのですから、業者が大体このくらいならばみんな申し合わして出そうということになれば、税率は下げても税収額はうんとふえてくると思う。十分間ということですから、私はこれ以上申しませんが、大体担税力という考え方にも、一体担税力とは何かということで根本的な検討を要すると思うのです。所得がなくても、財産があって、財産を売って払えるというならば、担税力と言えないでもありません。しかし、もし所得の源泉である財産を売って払わせるということになれば、これは財産税になってしまう。つまり、くだものから取るのではなしに、幹を枯らすというか、水をくむというのではなくて、井戸をひっくり返すことになるから、これは所得の分配上、やはり巨大所得財産家から財産税で取るということは意味がありませんけれども、一般の中産階級財産で税を取るということは、おそらく大蔵省だって考えておられないだろう。そうすると、所得税はいろいろ納めたけれども、なお漏れがあって、残っている所得の中の残り担税力をもらう以外に意味はないと思う。だから、とにかく税が納められるのだから、担税力があるというふうには言えない。そうすると、所得の中で担税力がまだ漏れて残っているということを厳密に考えていくと、こういう物品税の場合にも果して消費者転嫁ができるかという問題であります。これは書画骨董だけの問題ではありませんけれども転嫁ができるか。今問題になっている書画骨董の場合を見ましても、転嫁ができる場合もあり、できない場合もある。つまり値段があってないようなものだということでありますが、これはできない場合もあり、できる場合もあるのであって、消費者担税力ということばかりでは割り切れぬものがある。財産税的な性質も幾らか含めての担税力というふうに考えているのではないか。とにかく税を納めさせることができるのだから担税力がある、こういうように考えておられるのではないかという疑問もあるのです。いずれにしても、根本的な問題は取れるか取れないか、取れないとすると、いかにほかの理由がありましても、取れる程度まで方法を変えないといけないというのであります。これは答弁を求めるよりも、せっかく山村さんが出されたものですから——大体書画骨董なんということをしっこく言うことは、よほど勇気のある者でなければやれない。そうでないと、あいつはくさいと言われる。だから私のような者でなければしつこくやれないのですよ。ラムネの話かそこらの農家の話ならやれますけれども、ああいう実際あってもなくてもよい——もう一つ申しておきますけれども、ことに書画骨董の場合は財産として持っている。だから、財産として持っておるもの、売ったり買うたりするような性格を持っておるのですから、これは一つ財産税のような意味を含めないと、取るという根拠は出てこぬのじゃないか。担税力という意味の中にそれを含めないといかぬのじゃないか。中にはもちろん成金で、やみをやっておって、うんと書画骨董を買うたというやつもありますけれども、例外的にはいろいろ問題がありますから、これまでの交渉の過程でも五分ということで、よほど譲ったように言われますけれども、私はまだ十分了承していないのです。追って最も妥当な、税収があなた方が予期しておる以上にちゃんと取れて、そして民主的生活を破壊しないような方法一つ提示するつもりでありますから、お考えおき願いたいと思います。
  11. 原純夫

    原政府委員 大へん理論的な先生お話で、私どもも非常に考えなければならぬ点が多いと思いますけれども、どうもこの場合、こういうことがあったわけです。東京の一流の骨董店で調べてみたら、非常に申告が少い。これはどういうものだろうと行って調べてみた。調べてみると、大部分が今の委託であるといって納められぬわけです、どうもしかし相当なスペースにりっぱなものをでんと並べておられる。売れた分も相当部分が委託である、こう言われる。これはいかにもおかしいというふうに僕らは思うわけです。こういうことは委託じゃありませんよ、委託であっても納めるのですよと言うて、私は一向差しつかえないと思う。そういうふうにすれば大部分が把握できるわけです。やはりこういうものには担税力があるということであるなら、納めるようにする。納められるようなべスを作るということにするという行き方が筋道じゃないか。お話のは、それでも本人同士でというものはむずかしい面が残る。それは税法もあきらめているのじゃないかという執行のむずかしい面を一般化して、それだから三分にして自主的にと覆われますけれども、私は、それはその際は納まるけれども、その三分もまたぐずぐずになる。よくいわれる遊興飲食税あたりのボス課税というようなことになりかねない道行きだと思うのです。私は、やはり税というものは、はっきりとした執行のできるべースを作って、公平に納めるというふうに持っていかなければならぬ。書画骨董は、品物性質からいえば、物品税を相当額納めていただかなければならぬものであるというふうに思いますので、先ほどのような方向に行かなければいかぬのじゃないかと思っております。  なお、財産税であるかどうかという点は、私ども財産税とは思わない。これを持っているからかかるというのではなくて、これを買うときにかかるという、やはり消費税の一種であるというふうに考えております。いわんや、これを売ったからかかるということはないのです。売ってかかるのは譲渡所得税の方でありまして、これの方は譲渡で昔十万円で買ったものが、今五十万とか百万とかで売れれば、そこには所得があるのだから、これから取るというわけで、財産税考え方はこれには入ってこないと思っておるのですが、それは山本先生のことですから、いろいろ深い御理論でおっしゃることと思いますので、またゆっくり伺いたいと思います。
  12. 山本勝市

    山本(勝)委員 もう一つだけ。  今の最後の言葉ですが、これはこの秘だけじゃないのですけれども、大蔵省が、というか、国家がインフレ政策をやっておいて、そしてインフレ政策の結果価値が上った。土地の問題でもみなそうです。再評価税というものをかけておりますが、再評価税だとか、譲渡所得で云々と、前より価値が上ったと言いますけれども、一方でインフレをやっておいて、買うたときと売ったときの値段の開きを本人利益であるというようなことで税を取るという行き方も、私は考えなければならぬと思う。これは財産を持っておる人が同じものを持っておる。一番確かなことは同じものなのです。その同じものが価値が上った。なぜ上ったかという場合に、インフレのために通貨価値が下って上ったということが、これまで明治以来の急激なインフレとそうでないインフレとありましたけれども、いずれにしてもインフレで物の価値が上ったということで、そこに新しい所得を得たものとして税をかける。これは、国家が一方でインフレをやって価値を上げておいて、一方でその差を取るというのは、一つの略奪だとすら考えられる。これはこれだけの問題でないですけれども、買うたときと売るときに値が違うからというような議論、そういう問題も実際上含まれておるということでは、インフレ政策の時代には結局税金を払う者はなくなってしまう。もうけたもうけたといっても、帳面づらだけでもうけたことになって、利益があったからといって税金を納めたところが、最初持っておった品物はすっかりからになってしまったということは、もう御存じの通りです。これもあまり議論をし出すと長くなりますが、それが承服できないのです。今言った最後の点もね。
  13. 山村庄之助

    山村(庄)委員 山本先生の御高説は、私の説にきわめて近いのであります。全部私同様な考えでおりますので、一つ御考慮願いたい。同時に、書画骨董もだんだん進んで研究してみると、人によっては国宝とか文化財とかいうような点までいろいろ含んでおる。これはもちろん大事に残さなければならぬ。これは持つ人の心がまえにもよりますけれども、ときには図書館の倉庫でほこりだらけにしてそのままになっておるものも、民間に持たしておくと、非常にかわいがって丁寧にして、全国各所に分散して国民が保存しておるというようなことにもなる。その面に向ってあまり過酷に押えていくことは、これは文部省の代弁じゃないですけれども、そういうような点等も考慮していただくということを希望しておきます。  それから、次は、やはり物品税関係ですが、ズルチン、サッカリン、これはどうも取りにくい税金で、私はよく内容を知っておりますが、国税庁の方も困るだろうと思う。これはきわめて簡単な、しかも軒先のちょっとした工場でもできるのです。だから税金が思うように取れない。これは朝鮮人が下の方の実際の面はやっておる。これはほとんどが税金をなかなか払わない。日本人だけ納税義務をよく知っておって、そうしてその正直なまじめな人が税を払っておる。そうして脱税しておる人の分だけかぶっておるというようなこと。しかし、大蔵省の方でも、これはかなわぬと手をあげておりますが、こういう取り方をやったらいかぬというので、今度徴税要綱の中にもうたってありますが、この業者からはかなわぬから、今度は原料に課税する、こういうふうに納税対象者を変更しておる。そうして三百円のところを百円に下げたというような格好だが、原料はいろいろありますから、いろいろにかけるから同じようなものですが、しかし、これも対象者が困るからというて、どっちにかけてやろうというようなやり方でなしに、その人に納税義務をよく納得させて、また無理のない税金で納めやすくするような手段方法を講じてみて、それでもどうしてもいかぬというのであったら、原料課税ということを考えてもいいけれども、世の中には表と裏がみんなありますから、それで、今度原料課税になりましたら、原料製造屋は資本が大きい。原料を無理にこれがために製造しておるのじゃないが、ほかの大きなものを製造するのに副産物としてこの原料ができてくる。そのズルチン、サッカリン類の原料に課税するということになってくると、大きな資本のやつが今度はサッカリンまでこしらえてしまう。そしたらそのまま無税になる。ズルチンをこしらえる原料、サッカリンをこしらえる原料に課税するというのだったら、原料屋が製品までこしらえてしまったら税金がかからぬ。だから、そういう裏を考えてみましたか。だからして、これは百円になっておるが、百円ということにしても、これはどうしても納まらないで非常に困る。往生しておるのだから、これは三十円くらいにしてやって、そしてせめて日本人を主体にして納税組合を作らして、みんな得心して一生懸命税金を納めていくというように、納得納税に持っていくような方法考え直したらどうですか。こうむやみに税金の対象者が変えられるというと、今までこっちへかけておったのだが、こっちの方はことしは減税してもらおう、だれもかれもそう思っておるのに、これがぽかっと税の対象者を変えられるというと、これは税の体系の上からいっても、そうむやみやたらに、日本国民だったらかまわぬ、どこにかけてもいいのだというようなやり方は、ちょっとあまり軽はずみに対象者を変えるのではないか。そういう点について一つ大いに考えてもらわなければならぬ。その点はどうですかっ
  14. 原純夫

    原政府委員 この点も先ほどの書画骨董に類した執行面の問題がだいぶあるわけで、それも今お話しになったわけですが、どうも考え方の向きが、山村委員お話は、抜けるから、何というか裏があるから、結局このくらいというところで、うまくやっておけというようなお話なんですが、私どもはやはりどうにも抜けてしょうがないというものは、むしろあきらめる方向にいくべきじゃないか。公平に把握し得るような仕組みを極力作るということにまず努力すべきではないかというふうに考えるわけです。今回ズルチン、サッカリンを原料段階でとらえるならば、お話のようにそれは相当大きな製造設備が要る。そういうきちんとした大きな製造設備を持つ法人であるならば、大体常識的に脱税などということにあくせくするということはなかろうというふうに考えて、あえてこの際三百円を百円と、三分の一に税率を下げる。そのかわり把握は完全にやりたいというふうに考えておるわけです。私どもとしては、この方向で今まで正直に納めていた人の税は三分の一になる、しかし今まで逃げておった人はまるっきりこの税を取られる、それがいいんじゃないかというふうに思っております。やはりそういう方向でいくのでないと、お話のように適当なところでやっておけというようなことになりますと、これは切りのない話で、かつ、総額は幾らか取れましても、その中での不公平というものは非常に残る。やはり今後税制なり税の執行なりというものについては、今申し上げたような把握をしっかりできるような仕組みを法律的にも作って、そして公平にかけていく。今回のような場合には、それを考えて、税率も相当引き下げる。これは、それだからといって、取引だけでなくて、砂糖の負担、その他の負担等も考えて、ただいまのような事情も含んでやったわけですが、そういうような経緯で、私ども書画骨董と一連の腰がまえで、そういうふうな方向に持っていきたいと思っておりますので、ぜひこれを御了解いただきたいというふうに思います。
  15. 山村庄之助

    山村(庄)委員 今のお話によりますと、わしとあなたと目的が一緒なんです。税率を下げてやれ。本人から取るようにせよ。そうすると今まで脱税しておる連中もみんな納めるようになる。この業界の中には、高いから逃げて、逃げたから税金だけでももうかる、そういうような手合いが多い。私は、二十年ほど前にこれを扱うて、自分で商売していたことがあるのです。それだから、この内情をよく知っておるから、あなたに申し上げたのです。これは、三十円くらいにしてやると、すっきりよく納まる。そうして、文句なしに税額も入るし、みんな気持よく納められるというようになる。この業界の内容をもう一ぺんよく調べて考えておいてもらいたい。私はきょう一問一答をやって、理屈でこねて、ぴしゃぴしゃと、ようても、あかぬでも、片づけていくというような考えは持っておりませんから……。  それから、その次にもう一つ聞いておきたいの、嗜好飲料のうちで果汁について税率を引き下げる。これは非常にけっこうなんです。税率を引き下げたのは非常にいいのですが、どうやら、大蔵省の空気というか、社会党に言わしたら漏れ承わるとこそによればというような言葉を使うが、私は空気で、犬がかいできたような言葉でもっていいますと、政令でもって果汁の内容あるいは品質等に格段の強いきゅうを据える、こういう方法考えておられるように思うておる。製品の内容その他という問題は、税だけの問題じゃない。指導監督というものについては、農林省なり厚生省がやらなければならぬ問題であって、しかも、こういうような政令でやると、税の本質から、こういうふうに減税をやるんだ、これだけは大蔵省の範囲だ——それを大蔵省がまたその減税の方針に沿わないような——減税しても何にもならぬ。かえって実質はよけい高くなる。そうして業者はよけい困る。一部でちょっとばかり下げてくれても、一部でどぎつい、大きなそれ以上のきゅうを据えられる。そうしてもう一切製造しても引き合わぬ、そういうにおいがするのですが、もしそういうような政令を出されるのだったら、一つ農林省、厚生省並びに業者の代表等を呼んでよく実情を調べて、そうして大蔵省だけの勝手のようなやり方をせないで、せっかく減税をやるのだったら、まことにありがとうございますと心から礼を言わせるような減税をしてやる。減税をしてやりながら、ぶつぶつ言われて、これは何にもならぬ、えらい目にあう、インチキや、こういうふうなことになっては、せっかくこの大蔵委員会であなた方の原案に賛成して、心の底からそう思うて減税してやったぞ、こういうふうに思うておっても、本人自体、業者自体の方は何にもならぬ、えらいスカを食わされる、こういうにおいがしておるのですが、こんなにおいがあるのですかどうですか。これを一つ……。
  16. 原純夫

    原政府委員 お話の、実情を関係の所管省その他実際にやっておる人たちの意見も十分に聞いてという点は、まことにごもっともなことで、私どももその意見を十分聞いていたしたいと思います。ただ、今回この果汁関係を処置しております趣旨は、従来二十と十になっておりますのを一本の十にするということがまず大原則で、その中で天然果汁の多い果汁について特例を設けるといいますのは、これは農協なんかで実際に果物を使って果汁を作るというようなものについて、政策的に奨励といいますか、軽減をしようという趣旨なのであります。いずれにいたしましても、従来より増税になるということは考えられない。従来は二十が本則で特例が十になっておる。今度は十の本則、特例五%ということでありますつから、重くなるということは考えられないと思います。政令の中身については、なおお話のような点も十分含んで検討いたしたいと思っております。
  17. 山村庄之助

    山村(庄)委員 その次に、砂糖の消費税、関税の問題についてお伺いいたします。私は、大蔵省がこれを変えるということについては、よくよく困ったりその他の事情によって変えるのだろうと思うから聞いてみるのですが、消費税を下げるというのはけっこうです。しかし関税を上げるその上げ方が上げ過ぎておる。そして砂糖一斤について二円値上りすることに実質上なってくる。そうすると、減税調整の名に隠れて実際上砂糖一斤二円の値上りということが現われてくることになるのです。この本質は、国内産の各砂糖を指導奨励して増産する、そうして外国からくるものをできるだけ少くするという大きな政策の上から出てきておることで、これは大へんけっこうなんです。テンサイ糖や黒糖やあるいは沖縄、大島糖、またはブドウ糖の増産、改良政策を盛んに行う。これは非常にいいのです。しかし、それをやるがためには、これらの指導奨励等については、農林省やあるいは通産省あたりにおいても相当の考え方があってこういうふうに出てくるのだろと思うが、これには相当の補助金とか助成金とかいうものをその方において出しておるようである。税金、その性質上、技術上、一方を下げて一方を上げなければならぬことはある。けれども、そのどさくさにまぎれ込んで、そうしてこの際ピンはねしてやろうというようなインチキな大蔵省のやり方がここに現われてきておる。だから、消費税を下げたら、下げた分だけきっちりそれだけ関税を上げるということにしたらどうですか。関税の方をよけい上げて、事実上砂糖一斤について一円九十五銭、二円値上りすることになる。輸入の砂糖は、これは日本で精製しますと五分というものが減るのです。減りますと、減った分は再製された砂糖にまたその価格をかけていかなければならぬ。私の計算からいったら二円五十銭くらい上る。ほかの議員さんのお話を先ほど聞いたら一円九十五銭上る、こう言っておるけれども、そういう点もいろいろ考えてみますと、この際に砂糖の実質値段が二円上るというようなことになりますよ。この前に、二、三年もかかって審議会を開いて研究して、やむを得ぬとして私鉄運賃をちょっとばかり値上げしたからといって、運輸大臣の不信任というようなことがすぐ出てくる。こんなことは、大蔵省は元締めのことをやっておるので大いに考えてもらって、政務次官なんか大臣にけがさせぬようにしてもらいたい。ちょっとばかりのことで、気持がきたないじゃないか。やりかえのどさくさにまぎれ込んでさやを取るなんて、もっときれいなことをやらせて、大臣に間違いを起さないようにしてもらったらどうか。ただ、これはまだ国民は今知りません。菓子屋の業者なんかは知っているらしい。それでわいわい言っておる。しかし、菓子屋がわいわい言っておるうち、国民全体、おかみさんも子供までもみな知って、砂糖の値上りはけしからぬという世論が私は今に起ってきはしないかと心配しておる。そんなことになると大へんですからね。何も余分に取る意思がないのだったら、消費税の引き下げ分だけ関税を上げるというふうに、そろばんの上できっちり合せるようにしてもらいたい。これは、われわれ自民党は国政をあずかっておれば国民に対する一大責任があるのですから、こういう筆の先で大蔵省の名が汚れることのないように、一つ考えてもらいたい。この点のいきさつを……。
  18. 原純夫

    原政府委員 その点は私どもも確かにりっぱな御意見だと思います。そういうような考え方もあると思うのであります。ただ、今回お話のようにいたしましたのは、こういう事情でございます。テンサイ糖は、従来食管会計で実際上全部買って、それを売ってやってきた。ある程度損は出ておりましたが、大した損ではない。年に数億の損でありまして、それがやはりだんだんテンサイ糖を大いに奨励していこうということで、だいぶ奨励の角度が強くなって参りますと、企業はどんどん工場を作る。作ったら利益の出る金で買ってくれというような勢いになってきております。これをそのままやって参りますと、どうも三十億やそこいらの赤字は現在でもすぐ出るような勢いになってきておる。私どもは、この際、そういう企業が工場を作って、この工場は高くついたから高く買ってくれということを一々判定して買うということをやったら、その価格の算定や何かでえらい間違いが起りやすい。むしろ、関税を相当額上げて、その中で自由にしたいと思ったのが、今度の振りかえの根本の趣旨なのであります。その際、しからば今の二円弱の問題でああますが、これは国内の砂糖の分には関税はかからぬですから、その分だけをとんとんにするには、二円ぐらい値を上げなければならぬ。それをそういうふうにしました趣旨は、つまり国内のテンサイ糖業を保護するための振りかえ措置である。保護するために関税を上げて砂糖消費税を下げていく。その結果三十億なり何なり損が出る。これを納税者の納めた一般の税金で補てんするか、あるいは砂糖の中でこなすかということを考えたわけですが、やはりテンサイ糖に対して補助が要るのです。その場合、御存じの通り財政が相当苦しいときでありますので、テンサイ糖の保護は、結局、国内の砂糖消費の将来に対して需給という強いべースを整えるわけですから、これを砂糖を消費する人に負担していただくということも、一つ考え方としてできるのじゃないかということを考えて、今の二円、差しあたりの年度で三十億ぐらいになりますか、これは砂糖を消費する人がお互いにそれだけ負担はふえる。しかしその結果国内における砂糖の需給度は急速に高まる。御案内の通り各社がきそって工場を設けようというような勢いになっておりますので、そういうことのためにそれをがまんしていただきたいというふうに考えたわけであります。
  19. 山村庄之助

    山村(庄)委員 この砂糖の問題は、これはわしは根本的に悪い言うんでなく、いい言うんです。国内産を増産してこしらえるのも。しかしそういう奨励や何かにいろんな金が要る。それは要りますわ。要るのは農林省や通産省なんかが補助金や奨励金の予算を組んでそこで出すようにして、税金のために国民は砂糖一斤について二円高いものを買わにやならぬというような印象を与えるようなことでは、これは大蔵省として下手だ。それはちょっとした証拠があるんだ。ちょっとしたと言うてもきついもんです。関税上げて差引計算してみたら上げた方が金が多い、下げた方が少い、その間ピンを引いておるのや。わずかばかりピン引いて、ちょっとばかりもうかったからいうて、それを国民全体に砂糖一斤に二円というたって、わしに言わしたら二円五十銭になる。そんな下手な政治をやつとったら、わしはそれは自民党のいい政策をこわしてしまうわけだから、税金の方ではぴっちりにしてもらいたい。金が足らなんだら、農林省なり通産省の方に、砂糖の奨励費、助成費、督励費、そんなものは向うの方で予算を組んでどんどん出してもらう。大蔵大臣はわしは好きやから、かわいそうに国民から大蔵大臣が小言食うようなことやったらあきまへんで。一国の財政をまかして、国民は世帯を安心してまかしておるのや。これはよう考えてもらいたい。わしは関西弁で妙なことを言うたり、また言葉が荒いけれども、気がいいのやから。これは一つよう考えてもらいたい。政務次官どうですか。こんなちょっとのことでピンを引くようじゃだめや。
  20. 山中貞則

    山中政府委員 山村委員の御質問内容ごもっともでありまして、私ども考え方といたしましては関税振りかえ相当額を消費税としても考える。だからとんとんでいこうという考えでおったのでありますが、しかし、反面国内産糖の保護、助長、育成というような見地から考えますと、先ほど主税局長が申し上げましたようなてん菜生産振興臨時措置法に基く買い入れが、実際法文上は買い入れることができるとなっております条項によって、全量買い入れが慣例として行われて参っております。一方工場も非常に増設の傾向に現実にはなっておりますので、そういたしますと、現在のような状況のままで推移いたしますと、今後国はそれを無制限買い入れのために相当数の財源をつぎ込んでいかなければならないという趨勢が見えて参りましたので、ここらで関税等の輸入等の操作によりまして、国内産糖の保護政策というものを打ち出していくことができないだろうかというのが、そもそもの考え方であったのでありますが、いわゆる国内産糖の保護の主管省たる農林省では、もっと大幅の関税値上げを要求いたして参ったのであります。これによりまして、国内産糖の保護助長のみならず、今後育成の方向に向って、たとえばカンショを原料といたします結晶ブドウ糖の生産をも開始し得るような条件をもここで整えておこう、というような考え方も農業政策上あったようなわけであります。しかし、そのようなことは、ただいま山村委員の御指摘の通り、この段階においては、現実に砂糖消費者、すなわち一般国民大衆が斤当りにいたしましても相当大きな負担を負うことになりますので、これはやはり政策上おもしろくなかろう。しかしながら、関税に振りかえただけのとんとんでもって果して保護はできるだろうか。今後生産を促進をし、従って国内産糖の生産に今から取り組もうとする農民の直接の意欲なり、あるいは国の政策なりが助長されていくかということになると、やはり少し関税の方をかさを高めて、これに関税障壁みたいな形を少し設けてやることによって、優遇措置を講じてやらなければむずかしいのではなかろうかということが結論になりました。ただし、その幅につきましては、まさにおっしゃる通りの二円なり何なりの幅というものが議論の焦点になっておるわけでありますが、ただ幸いなことには、これは人為的な問題ではないのでありますが、砂糖の斤当り価格が今のところ予想以上の低値を示しておりまして、私どもがただいま算定いたしておりまする斤当りは七十一円が基本になっておるのでありますが、流通価格の実際は六十九円程度で回っておるようでございます。そこで、この際に二円の上乗せを七十一円の私どもの基本のところに考えて乗せるといたしましても、実際の流通の場合のはね返りといたしましては現実価格六十九円に二円を乗せるという形になるので、この時期であるならば、この程度ならばいいではなかろうかという、大臣を中心といたしまして十分に考えた上の政治的な配慮も加えての結論でございます。これが私どもといたしましては非常にいい時期に遭遇したということとともに、この程度の幅であるならば、御指摘のようなおしかりは政治的に免れ得るのではなかろうか、こういう結論でございますので、御了承を賜われば幸いであると思っております。
  21. 早川崇

    早川委員長 山村君、大体午前中という約束ですから……。
  22. 山村庄之助

    山村(庄)委員 私は「はと」で帰る予定のやつを引き延ばして、四時の「こだま」で大阪に帰ろうと思っておるんですが、もう二つだけ重大な問題があります。その次は入場税、ここへ入場税の親方が来ておる。政府原案によりますると、五十円以下、一の線を全然知らぬ顔の半兵衛でほったらかしておる。それから二と三は、これはそのまん中の中間へ数字を引いて、そうして二にする。で、上は、これは三だけにして、一切全部三にしてしまう。こういう案です。それから、この間社会党の横山さんの案を聞いてみますると、現行の一も二も、またもう一つ欲ばって三のまん中ごろまで、百円まで一にしてしまえ、こういう話。それから、四の線までを二に、百五十円以上を三にせよ、こういうお話ですが、これは政府案も考えられる点もありますけれども、下の方の大衆のところを何も考えないとほったらかしでやるのだ、高い上の方だけ考えてやるのだということでは、ちょっと聞えませんで。それから、社会党さんは、ちょっと聞いたらいいことばかり言うのや、いっでも、どこでも。そやけども、実際にそろばんと比較対照したら行われぬことを、やろう、やろうと言うて、これどうや、これどうやと、ちょっと聞いたら食らいつきはいいのやけれども、実際の専門家が考えてみると、あれはちょっと無理やというようなことがよけいある。これは社会党の伝統や。こういう税の実態から考え——ここでこの間横山先生があそこへ表を張っておったから、社会党の案だと、私はこう考えておった。これも何も自民党の案だとは言わぬが、山村案として一つ出してみたいと思います。私は一と二を一つにしてしまう。それでこれを一にする。それから三を二にする。それから四以上をもって三にする。こういう考え方です。(発言する者あり)ちょっと横の方からも——一つ土びん口は黙とってもらおう。これに対して業界全体の声というものも、これも考えてやらなければならぬ。われわれは民衆の代表や。世間の声というもの、また業界の声というものを——わし率直に業界の声を伝えておきまするが、これは、三十円くらいの免税点やったら、そのくらいのものやったら、もうやってもらわぬ方がましや、名前だけ政府にいい顔さして、実質は何も得にならぬ、そんなことあかん、こう言っておる。わしは率直に言いますよ。それから、入場税の減税をしただけ今度入場料を引き下げるとかいう命令を出すとか、条例を出すとか、政令を出すとか、法律できめるとかいうことを言うておる。これは実際において、業者は、そういうふうな実情をいろいろ考えてもろうたならばでけぬ、こう言うておる。これは業者の声をそのままなまで伝えているのですよ。それで、結論として業者の連中の言うのには、大蔵省案の通りに改悪をされるのやったら、むしろ現行のままでほったらかしておいてくれ、こう言うておる。改悪と言うておる。これはどうも一つ感心せぬところがあるので、それで私は社会党の案と政府案のちょうど中間の、できそうなところを取って考えた。だからこの山村案というものは至当だと思う。これは業者の意見も何も聞いていません。一つ私の言うことを考えておいてもらいたい。  私は入場税については苦労しています。文句があります。ここでこれを一つ申しておく。この入場税というのは、これは非常にいい税金ですよ。これはもとは地方税だった。これは徴税費が要らぬのだ。税務署の役人は大ぜい要らぬ。ちょっとおったらいい。そして興行会、組合等に現実に命令しておいたらちゃんと持ってきてくれる。切符なんか判を押してちゃんとしておいたら、この税金はインチキが一つもないのです。徴税費が要らぬとよけい取れる。それで、私は、地方税のときに一生懸命になって、よし、こいつを一つふやしてやれと思うて、映画館や何かどんどんこしらえるのをむやみやたらに許可した、税金がよけい上ってくるようにと思うて。そうして大阪府で三十億ぐらい上るようになってきた。そうしたらこれを政府がぱっと取り上げた。その取り上げる取り上げぬというところで、どうしても政府が地方税をそんなに取り上げて財源をひったくるのならば、同じ税金のうちでも入場税をやめて遊興飲食税を取ってくれ。遊興飲食税は、金ばかりかかって、なかなか業者がずるいので、うまいこと上らぬのです。それも同じように二、三十億。税が一緒だから遊興飲食税を取ってくれ、入場税は大阪府は置いといてくれ、その運動をやったのです。そのときに小西君はひっかかっておるんです。よろしいか、世間では小西君が汚職だなんていうれけども、これは汚職でも濱職でもない。あのときは地方庁と政府との戦いだ。その運動を大阪は代議士に頼まなければでけぬから頼んだ。そのとき業者は全部地方税に残しておいてくれという意見だった。地方税の方がいい。国税にされるよりも地方税の方がいい。そして業界の方と地方府県、府県知事会、府県議長会を開いて、みんなが全国一致で、この入場税を取られまいとして一生懸命になって防衛策を講じた。そのとき、業界の連中やその他関係者を集めて一ぺん懇談し、事情を聞いてくれと言うた。よしそれじゃ時と場合によったら費用やったら府庁が出してもいいからと、わしのところの税務長が来て言うた。そうしたら、よしおれにまかしておけというので、柳橋かどこかへ人を呼んで相談をした。そのあとでちょっと一ぱいやった。その費用はわずか三万や五万だ。それを、業界の連中がそんなものを先生に払わせておくのはいかぬといって払ったとか、先生に渡したとかいう問題だ。府庁のために、これは公けのために小西先生は奮闘してくれた。けれども、いかなんで、税は地方税から国税に取り上げられてしもうたのや。そうして、全国の人は知らぬ顔の半兵衛で、小西君を、あいつは汚職や濱職や、こういうふうな気の毒なかわいそうな目にあわしておるのです。政府と地方とのけんかなんです。その中に入ってうまいこと調停案なりいろいろやってくれようと思ったのが、内容はそういうことでひっかかったのや。検事局あたり、あるいは裁判所あたりが僕を呼び出したら、僕はちゃんと言うてやる。こんなものは国家、国民のため、地方か国家かということのためにやった。そのときのわずかばかりの費用にすぎぬ。それから、府庁のことをいろいろと代議士さんに頼まなければならぬが、もううちのことはあかぬぞ、お前らのことを頼まれてやったらじきにひっくくられる、ばかな目にばっかりあう、あほくさい、わしは何も聞かぬぞといって府庁のことは聞かぬのや。仕方なしにわしが出てこなければならぬ。だから、わしは、この入場税というものには非常な関心を持っておる。このいきさつを話すと、あのときに、遊興飲食税を政府がめんどうくさいやつを取り上げて、入場税を地方へ置いといてくれたら、こんな小西君が縛られたり監獄へ行ったり、あんな裁判所へ行ったりすることは要らぬのです。これは公けの速記録にも載ることで、私は小西君のために言うが、彼は精神的にそんな三万や五万業者からインチキでひったくるような、あるいはざあざあするような、そんなけったくさい男とは違うのや。この入場税はこういう歴史を持っておる。だから、入場税がこんな改悪されるなら、おれが佐藤に言って、こんなものはつるし上げてやろう、こういうことを言ったが、お前はまだ入場税についてくちばしをいれるのは早い、黙つといてくれ、わしがやってやるから、こういうことなんです。  私の案はその中間をとって、できにくい案でもない。また一と二を一緒にすることがいかぬというなら、二の途中まで、まあ七十円くらいまで何か一にしてやるような工夫をしてやって下さい。上の方はどないしてもよろしい。この点を一つ考え直してもらいたい。また、小西親分が、大蔵大臣のところにどなり込みに行ったりして、妙なことをやってけがしたり引っぱられてはいかぬので——そんなことやりかねへん男だ。そういうことはしたくないから、一つよう大蔵省も考えて、ときによったらわれわれは修正案を出すかもわからないけれども、そのつもりで、今あまりかたいぴしゃっとした答弁をすると抜き差しならぬようになりますから、それだけあらかじめ御承知の上で、この点についての一つ簡明な答弁を願いたい。
  23. 山中貞則

    山中政府委員 私から、山村委員質問につき、基本的な問題についてのみ、質問も簡単でございましたから、簡単にお答えをいたします。私は御指摘の趣旨は十分わかっております。案を作るについても、もちろん入場税減税の構想そのものについても、あなたの言われたようなことを考えて当って参ったつもりでありますが、また他面、政党政治でありますから、党側のいろいろの税制委員会もしくは政策審議会等を経ました御意見等が、また入場税については今回はやるなという意見等も最初はありましたけれども、しかし、大蔵省の方で独自な整理、合理化をやりたいという意思があるならば、それは減税の公約の以外の線でやれというようなきびしいお申し付け等も公的に申し入れがございました。そういうような関係もありまして、私どもといたしましては、では入場税についてはどの点を基本方針として手をつけるか。もちろん最も基本的な問題は入場税についてはことに映画が重点でありますが、一般大衆が最も利用するものの料金を下げることがまず第一であります。次に、議員提案等によりましてすでに頭打ち三〇%に押えられております種目が演劇、純音楽その他でございますので、同じ入場税で、一方のたとえば歌舞伎座等で特等席でかりに見ても税率は三〇%の課税であるが、映画館に行けば五〇%になるということはやはり同じ入場税の中では不合理ではなかろうか。従って、議員立法の趣旨を尊重して、頭打ち三〇%の線はまず尊重しなくてはなるまい。従って、映画の場合には五〇%、四〇%というものは三〇%にそろえなければなるまい。この二点を実は中心に考えて作業を開始したわけであります。ところが、減税総ワクのなかんずく間接税の減税ワクの中の操作ということに対しまして、与党の大蔵部会あたり等からも反論等が今日まではございました経緯等もありましたので、金額の点について実は思うにまかせない結果となりました。結局金額からその内容算出を考えていかなければならないというような現状もありまして、初年度十九億、平年度二十二億という減税額の落ちつきを見たわけであります。一方また、申し上げました五〇、四〇の比率は三〇に他の費目と並べたというこの二点を果さざるを得なくなりました結果は、予算を通じて皆様のお手元にお知らせいたしてあります通りに、三〇%頭打ちの五十円以下据置、百円までが二〇%、以上が三〇%という、簡単な区分ではございますが、調整をはかるにとどまったというような結果になった次第であります。御指摘のように三十円以下の臨時興行等についての免税措置を一応加えましたが、これは御指摘される通り、確かにその程度では業者の恩典になり得ない、あるいはまた一般大衆の恩典にも全く部分的、臨時的にしかなり得ないということは十分承知いたしておりますが、何分にも以上のような制約によりましてこういう結果に落ちつきました。だから、私は大蔵省の案が最上のものだとは決して考えておりませんので、この過程においても総ワクなりあるいは比率なり条件がございますが、そのワク内ならばいかようなる党の方のお知恵が拝借できましても、そういう線さえくずしておらなければ、いつでも拝借いたすつもりでございますと申し上げて参ったつもりであります。しかしながら、今日こういうふうに提案をされておりますので、予算の修正等を伴うことについて私が今ここであらかじめ賛成かといわれましても、それは無理であることは御承知でありましょうと思いますから、私は基本的な考え方の推移の結果こういうふうになったということを申し上げるにとどめまして、今指摘されましたような山村委員なりあるいはまた皆様方の研究されました結果なり等の数字については、主税局長から答弁をさせることにいたします。
  24. 山村庄之助

    山村(庄)委員 次は、織物税について。この間大臣に、これは私は新税だと思うがどうかというたら、昔は織物消費税というものがあったんや。だから新税のようだが新税ではないという、妙な、けったいな答弁をしてもろうたんですが、これは今度の法律案の説明の要綱の中にもはっきりと書いておるのです。それは、新規課税するもの、こういうようにはっきりあなた方の方で書いておる。そうして、新税だというたら新税ではないというように、なんや持って回ったややこしいことを言わなければならぬ。昔なるほど織物消費税というものはありました。あったけれども、工合が悪いから、都合が悪いから、これはやめたんや。やめたというのは、いかぬからやめたんや。そのいかぬやつをまた新たに持ち出していこうとする。こういうことについては私は苦しい答弁を大臣から聞こうとは思っておらぬ。はっきり新税だとも言わぬ。またとにかくこう書いてあるのだから、そんな事務的なようなことに至るまで、この法律案提案の題目に書いてあることまで一々大臣に私は責める必要はなかったんや。書いてあるから私ははっきりと新税と認識しておる。  それから、でこぼこ調整をやるのだ。税の公平を期するのだ。これもようわかるのです。しかし、でこぼこ調整というものは、現在かけておる物品税なら物品税、何税でもよろしい、そのうちに、高過ぎるとか安過ぎるとか、これがいいとか悪いとか、こんなものさっぱりいかぬからちゃいしてしまえ、これはいいからもうちょっと高う上げるのだ、国民も納得するだろうというものを調整してくるのが税の調整だ。現在かけておるものの中で一番高過ぎる、無理だというやつだけをこの減税の機会に引っ込めてやったらいい。それが調整なんだ。今度の調整は、何も今までかけておらぬものを、新しい税の対象になっておらぬものを国民に対してぱっとかけるというのだから、これはでこぼこ調整ではない、こんなもの。その範囲内において高過ぎるから安くしてやる、低過ぎるから高うもらうのだというのが調整なんだ。こういう新しいものを別の観点からこういう政策をとるということは、これはもう大へんな間違いである。新しい納税義務者を別にここに初めて作り出すのだということは、これはもうその人にしてみたら大へん迷惑な話ですよ。大蔵省のお役人の諸君は、なあに書いてあったからいいのだ、おれの方はかけるのだ、公務員の義務だということをいって、あっさりこれはかけるけれども、何もかかっておらぬやつを新たにとられるとなると、その人の身になってみなさい。同じ国民ですよ。主権者ですよ、今の憲法からいうたら。その主権者に、納得もいかぬやつを勝手にぱっと、この機会に、いいときやというてかけていくというのは、これは卑怯なだまし討ちのやり方なんだ。卑怯なだまし討ちをやるから、あのうしろはち巻たすきがけで、このだまし討ちのかたき討ちに来るのだ。かたき討ちの装束でわいわいと出てくる。写真を見せてあげましょうか。そうして、しかもこれが納税対象者は何ぼあるのかと聞いたら、その納税対象者は日本国じゅう合わして千人くらいだということを、税務当局は、主税局の役人はいう。この新税の対象者は千人やという。大阪だけでも二千人からあります。どこのうちに行っても、どこの洋服屋に行ったかて、どこの着物屋に行ったかて、一メートルが五千五百円以上の洋装生地、二万五千円以上の和装生地または帯、そんなもの三枚や五枚、二本や三本店に飾っておかなければ商売にならぬ。みなありますわ。そしてわしらに説明するときは千人やという。そんなインチキいうておる。これは日本国中に何ぼあるか。これはみんな税の対象者となって、これからあのいばり散らかした税務官吏がどこどこと片っ端から行く。お前のところの帳面できておるか、お前のところの商売何ぼした、お前のとこどうや。——ことしはわしは絶対に反対という意思を表明をしておるんだが、たとえば、あんた方との相談の上で、ときによったら来年か再来年、ちょっとでも、名目だけでもという話があったから、名目だけで置いておくんだったら名目だけ公平にするというのであったら、全国の小売業者、何万人という人に恐怖心を起さして、そうして、その対象が大勢になればなるほど、税務署の役人、大蔵省の役人がふえてきて、景気はいいかもしれぬけれども国民はたまらぬ。月給だけでも何ぼ払うか。取る意思はないんや、公平のため、作文のためだけというなら、何もこんな実質的に多くの人に迷惑をかけるようなことはせぬと、ことしは減税の年だから——そのことは大蔵大臣にわしがよう言うたら、お説ごもっともだと言うた。わずかに五億か六億の金がないのか。なければわしに相談しなさい。わしが出してやる。大阪府はわずかに四百億か五百億や。その中からでも五億や六億のやり繰り算段はわしはやってきたんだ。一兆四千億の大予算を持って、こんな悪税、世間に評判の悪い、増税じゃない新税だと言われるようなことをやってもらいたくない。わが党の名折れだ。こんなものを出してくるのは間違っているが、名前だけだったら来年か再来年、どうしてもやらなければならぬのだったら、原産地の一部に向けて、今の小売価格くらいの、製造価格でかける。名前だけだったらそうしなさい。大臣は、税金はほしいことないのや、そんなやり繰りくらい何ぼでもする、お前に出してもらわぬでも幾らでもやると、おとつい言うた。それだから、これはことしは一つ真剣に考え直してもらおう。高級々々、えらい高級という名前をつけて、われわれに感心さすように言いますけれども、高級々々と言うたって、一番数の多い対象というのは、実際政務次官知っていますか。これは女給や芸者が着るのや。女給や芸者は、これは労働服ですよ。これはぜいたくなるところの高級服と違うのや。また舞台に立つ連中、団体でも演芸やるやつでも、これらの連中はこんな高いものを着ぬと映らぬし、そうやらぬとはやらへぬで、飯食うていけぬ。そやからやりよる。この点をよう考えてもらいたい。わしが女給や芸者のひいきをしたらようないと言われるかもしれぬけれども、事実そうです。そんなこと若い連中はあまり人の前でよう言わぬ、わしが言うてやらんならぬ。しかも、税金を滞納したからというて差し押え一つするにしたって、営業用什器はちょっと遠慮せんならぬ。もし差し押えしても、競売というときになますと、そう勝手にできまへんで。たとえば飲食店のテーブルとか食器は差し押えできまへんよ。そんなもんしよったら、それこそ悪税になる。そんなものまで入れて競売したら営業妨害で、飯食うていけぬ。女給や芸者や舞台に立つ連中は、こんなん着なかったら商売にならぬ。飯食うていけぬ。営業用の道具や。税の本質から考えてもらうたら、そう簡単に何でもかんでもかけさしたらいいというようなあさはかな考えでは世の中はいかぬ。これは大蔵大臣も言うておる。かけたこともあるのや。新税と言わぬけれども、文書には新たに課税するとはっきり書いて出している。新税は悪税や。増税もことしは年じゃない。それから金がないのかと言うたら、金はあるという。金ないからかけるのと違う。デコボコを是正する。体裁だけや。そんなふうな体裁や見栄を張る必要はありません。ことしはどうしても撤廃してもらいたい。こんなことでは悪名を着せられる。これから知事選挙も地方選挙も参議院選挙もやっていかんならぬ。せっかくことしは旗じるしにかかげて減税というてやってきた。それに協力しても、その舌の根もかわかぬ先から新税をかける。この減税については社会党といえども賛成している。減税反対とちっとも言わぬ。えらいことを自民党にやられたと心うちはよう思っていないかもしれぬ。せっかくよいことをやってもらいながら、ちょっとしたことから、あのアリの一穴から大きな堤防がくずれて大災害を受けるようなことがある。これは一つ考えてもらいたい。無理無体に言わぬと、きちっとした答弁せいとは言いませんが、一つ考えてもらいたい。
  25. 山中貞則

    山中政府委員 提案をしておるのでありますから、しかつめらしい答弁をせよと言われればできぬこともありませんし、提案趣旨の説明は当然しなければならぬこともありますが、山村さんは与党の委員でありますから、ものは相談じゃという程度で、その趣旨は十分拝聴いたしましたから、お互いに政党内閣として今後御相談を申し上げましょということで答弁を終りたいと思います。
  26. 早川崇

    早川委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は明二十日午前十時十五分より開会することとし、これにて散会いたします。     午後零時五十八分散会