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原政府委員 今回本みりんの
税率を
改正いたしたいということで御
提案を申し上げております。これは、現在一石当り四万五百円メートル法に直して一キロリットルにいたしますと二十二万四千五百十二円になりますが、これを約三割七分
軽減いたしまして、一キロリットル当り十四万円にしたいという
趣旨の
改正案でございます。これを
改正しようと思いました
趣旨は、みりんの消費というものが、現在は御案内の
通りお正月用のおとそに飲むというのがじかにみりんを飲む——一応そのままで飲むというもののケースはほとんどそのくらいのもので、あともちろんまれにはそのまま飲む人もいると思いますけれ
ども、大部分は調味料に使われるということであります。その量の推定はなかなかむずかしいのですが、やはり一割と九割くらいではなかろうかという感じですね。そうしますと、そういう用途から考えると相当重いという御議論があるわけです。一方、しかし、やはりアルコールを含有しておる致酔飲料であることはまた間
違いないことですから、
酒税税率の体系からの要求というものもあるわけです。それで、調味料だからうんと下げてしまえ、味の素でも製造者
価格の一割ではないかというような考え方だけではいかないということであります。そこで、今回考えましたのは、いろいろな角度からこれを検討いたしまして、やはり下げないわけにいくまい、下げるについてはどうしたらよろしいかというので、いろいろな角度からの計数をはじいてみたわけであります。
一つには、みりんがあまり高いので、
清酒を使う、そうしてお砂糖を入れて同じ効用を上げるというようなことをやっておられる向きがあります。そういう消費との比較ですね。つまり
清酒の二級、これは石当り今二万五百円のものですが、これを使い、それに砂糖が加わる、そうすると砂糖には砂糖消費税が入っておる、そういうものの税金を全部合せてみたらどうだろうかというのも
一つの見方でした。それから、第二の見方とりしては、ただいま申したように、
酒税の体系の中で他の類似のものとの比較をしてみるというようなやり方もやってみました。それから、第三としては、
酒税の体系における位置づけの検討の
一つでありますけれ
ども、まあ率直に申して、戦前におけるみりんの
税率と現在の
税率との位置を比較してみたわけです。戦前はお酒
一般が一本の
税率で、たしか石当り四十円だったと思いますが、みりんもそれと同じだったわけです。戦後になって、現在では今申すように
清酒の中でも二級酒は二万五百円、特、一級はずっと高いですけれ
ども、その中にあってみりんが四万五百円、二級酒の倍のところにあるというあたりは、やはり相当反省しなければいかぬのじゃないかと思ったわけです。これはやはり、みりんというものはお米を使う。で、戦中戦後を通じてお米が足らない。そこで配給割当で非常にそういう角度からの制約が多かった。そういう際には、やっぱりみりんというものが相当上等だということが響いて、現在の体系の中でついに二級酒の倍近いような形になっておる。その辺にひずみがありはせぬか。それでは、そのひずみを直す意味で、
酒税の
税率が特、一級、二級全部を通じて戦前に対して何パーセント伸びているかという計算をいたしてみました。みりんをどの程度に置くべきかということは問題だけれ
ども、一応戦前の四十円というものに物価の変動を加味して、酒の全体の伸びくらいのところというのが
一つの目安だろうというような角度での検討もいたしました。これらの数字を出してみますと、大体石当りにして二万五千円前後のところにくるのです。そういう角度から、私
どもとして、これは率直に申して非常にむずかしい判断だと思いましたが、できる限りのそういうような研究をいたしました結論として、石当りで二万五千円余り、キロリットルに直して十四万円というものを
国会に御
提案申し上げたわけであります。なお、付言いたしますが、みりんは、こういう税の重圧もあるせいだと思いますが、戦前の
石数に比べまして現在は非常に減ってきており、戦前は年間に八、九万石出ておりましたが、現在ではその四分の一くらいというようなことになっております。