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1958-12-16 第31回国会 衆議院 大蔵委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日昭和三十三年十二月十日)(水曜 日)(午前零時現在)における本委員は、次の通 りである。    委員長 早川  崇君    理事 足立 篤郎君 理事 小山 長規君    理事 綱島 正興君 理事 福田  一君    理事 坊  秀男君 理事 石野 久男君    理事 佐藤觀次郎君 理事 平岡忠次郎君       荒木萬壽夫君    内田 常雄君       奧村又十郎君    押谷 富三君       鴨田 宗一君    進藤 一馬君       田中 角榮君    竹下  登君       夏堀源三郎君    南條 徳男君       西村 英一君    濱田 幸雄君       福永 一臣君    藤枝 泉介君       古川 丈吉君    細田 義安君       毛利 松平君    山下 春江君       山村庄之助君    山本 勝市君       春日 一幸君    久保田鶴松君       田万 廣文君    竹谷源太郎君       廣瀬 勝邦君    松尾トシ子君       山下 榮二君    山花 秀雄君       山本 幸一君    横路 節雄君       横山 利秋君     ————————————— 昭和三十三年十二月十六日(火曜日)     午前十一時十一分開議  出席委員    委員長 早川  崇君    理事 足立 篤郎君 理事 小山 長規君    理事 綱島 正興君 理事 福田  一君    理事 坊  秀男君 理事 石野 久男君    理事 佐藤觀次郎君 理事 平岡忠次郎君       荒木萬壽夫君    押谷 富三君       鴨田 宗一君    進藤 一馬君       田中 角榮君    西村 英一君       濱田 幸雄君    古川 丈吉君       細田 義安君    毛利 松平君       山下 春江君    山本 勝市君       石村 英雄君    春日 一幸君       久保田鶴松君    田万 廣文君       竹谷源太郎君    廣瀬 勝邦君       山下 榮二君    山花 秀雄君       山本 幸一君    横山 利秋君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 佐藤 榮作君  出席政府委員         大蔵政務次官  山中 貞則君         大蔵事務官         (理財局長)  正示啓次郎君  委員外出席者         大蔵事務官         (大臣官房日本         専売公社監理         官)      村上孝太郎君         日本専売公社総         裁       松隈 秀雄君         日本専売公社塩         脳部長     小林  章君         専  門  員 抜井 光三君     ————————————— 十二月十三日  委員田中角榮辞任につき、その補欠として纐  纈彌三君が議長指名委員に選任された。 同日  委員纐纈彌三君辞任につき、その補欠として田  中角榮君が議長指名委員に選任された。 同月十六日  委員久保田鶴松辞任につき、その補欠として  石村英雄君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 十二月十日  賠償等特殊債務処理特別会計法の一部を改正す  る法律案内閣提出第七号)  産業投資特別会計貸付財源に充てるための  外貨債発行に関する法律案内閣提出第八  号)  公共企業体職員等共済組合法の一部を改正する  法律案内閣提出第一六号)(予)  接収貴金属等処理に関する法律案内閣提出  第二五号)(予) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国政調査承認要求に関する件  小委員会設置に関する件  賠償等特殊債務処理特別会計法の一部を改正す  る法律案内閣提出第七号)  産業投資特別会計貸付財源に充てるための  外貨債発行に関する法律案内閣提出第八  号)  接収貴金属等処理に関する法律案内閣提出  第二十五号)(予)  専売事業に関する件  印刷事業に関する件      ————◇—————
  2. 早川崇

    早川委員長 これより会議を開きます。  国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。本委員会におきましては、毎会期議長承認を得て国政に関する調査をいたして参りましたが、今国会におきましても、税制に関する事項金融に関する事項外国為替に関する事項国有財産に関する事項専売事業に関する事項印刷事業に関する事項造幣事業に関する事項及び補助金等にかかる予算執行適正化に関する事項の各事項につきまして、国政に関する調査を行いたいと存じますので、議長に対し承認方要求いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 早川崇

    早川委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。  なお、要求書の作成並びに提出等手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じます。     —————————————
  4. 早川崇

    早川委員長 次に、小委員会設置の件についてお諮りいたします。国政に関する各事項調査のため、税制並びに税の執行に関する小委員会金融及び証券に関する小委員会国有財産に関する小委員会及び専売事業に関する小委員会の四小委員会を設置いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 早川崇

    早川委員長 御異議なしと認めます。よって、設置することに決しました。  なお、小委員の数、小委員及び小委員長の選任につきましては、本委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 早川崇

    早川委員長 御異議なしと認めます。それでは、後刻公報をもって御指名いたします。     —————————————
  7. 早川崇

    早川委員長 次に、去る十日付託されました賠償等特殊債務処理特別会計法の一部を改正する法律案産業投資特別会計貸付財源に充てるための外貨債発行に関する法律案、及び同日予備付託されました接収貴金属等処理に関する法律案の三案を一括して議題とし、提案理由説明を聴取することといたします。佐藤大蔵大臣
  8. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 ただいま議題となりました賠償等特殊債務処理特別会計法の一部を改正する法律案外二法案につきまして、提案理由を御説明申し上げます。  まず、賠償等特殊債務処理特別会計法の一部を改正する法律案について申し上げます。  ラオスは、昭和三十二年三月十一日、わが国に対し、ラオスが戦争によりこうむった損害に対する賠償請求権を放棄する旨を通告してきましたので、政府は、今回、ラオスの好意ある措置を考慮して、日本国ラオスとの間の経済及び技術協力協定を締結し、無償経済及び技術援助を供与することといたしました。この協定につきましては、すでに前国会において承認を経ているところでありますが、政府におきましては、この無償経済及び技術援助のための債務処理に関する経理を賠償等特殊債務処理特別会計において行うことが適当であると認め、この法律案を提出した次第であります。  次に、産業投資特別会計貸付財源に充てるための外貨債発行に関する法律案について申し上げます。  政府は、かねてより、電源開発事業等の推進をはかるため、国際復興開発銀行からの借款につき努力を重ねて参りましたが、今般、この借款計画とあわせて、産業投資特別会計貸付財源の一部に充てるため、昭和三十三年度において、三千万ドル、邦貨換算百八億円を限り、外貨債発行し、またはこれにかえて外貨借入金をすることができることとした次第であります。  なお、右金額のうち、昭和三十三年度において発行または借入金をしなかった金額があるときは、当該金額を限度として、昭和三十四年度においても、外貨債発行または外貨借入金をできることとしているのであります。  しかして、本公債の消化を円滑にするために、その利子等に対する租税その他の公課については、国際慣行にならった非課税措置を講ずることとしているのであります。  以上のほか、本公債発行による収入金産業投資特別会計の歳入に受け入れる等、同特別会計法に所要の改正を講ずることといたしておりますとともに、その他本公債発行について必要な事項大蔵省令を以て定めることとしているのであります。  以上法律案の大要を申し上げた次第でありますが、本法案は第三十回臨時国会に提出いたしましたものと全く同一であり、本法案に関する予算はすでに国会の御審議を経ておりますので、本法案につきましても、何とぞ、御審議の上、すみやかに賛成せられるよう切望する次第であります。  最後に、接収貴金属等処理に関する法律案について申し上げます。  終戦後、連合国占領軍は、本邦において政府及び民間から金、銀、白金ダイヤモンド等貴金属等を接収したのでありますが、講和条約の発効とともに、これらの貴金属等政府に引き渡したのであります。そこで、政府といたしましては、さきに、接収貴金属等数量等報告に関する法律によって、貴金属等を接収された者から必要な報告を徴し、その内容調査を進める一方、連合国占領軍から引き渡された貴金属等調査を実施し、その状況もおおむね明らかになりましたので、これらの接収貴金属等について返還その他の処理をいたしますため、この法律案を提出した次第でございます。  なお、接収貴金属等処理に関する法律案は、御承知通りさきに、第二十六国会において衆議院を通過し、第二十六国会から第三十国会にわたって参議院において御審議願いましたが、今回提出いたしました法律案内容は、前回御審議願いました法律案内容と同じでございます。  以下、この法律案概略を御説明申し上げます。  まず第一に、貴金属等を接収された者は、この法律施行の日から五カ月以内に、大蔵大臣に対してその接収された貴金属等返還請求することとし、接収された者がその請求をしない場合には、接収された貴金属等所有者が、法律施行の日から七カ月以内に、返還請求を行うことを認める等、返還請求手続を定めることといたしております。  第二に、返還請求に対しまして、大蔵大臣は、その接収貴金属等種類形状品位個数及び重量等を、証拠に基いて認定することとし、認定された貴金属等につきましては、それが大蔵大臣の保管している貴金属等のうちで特定する場合には、そのもの返還し、特定しない場合には、大蔵大臣の保管している貴金属等から特定するものを除いた残りの貴金属等を、認定にかかる貴金属等種類形状品位及び重量のそれぞれの明確度に応じて、その個数または評価額の割合により按分して返還することといたしております。  第三に、この法律により返還される貴金属等につきましては、国、公共企業体地方公共団体及び日本銀行所有にかかるものを除き、連合国占領軍から政府が引き渡しを受けて以来返還されるまでの間の管理費用に相当する額として、返還を受けた貴金属等の価額の一割に相当する金額を国に納付させることとしております。  第四に、接収された貴金属等のうちには、1、交易営団社団法人中央物資活用協会または社団法人金銀運営会が、戦時中、政府の金、銀、白金またはダイヤモンド回収方針に基き、政府の委託によって民間から回収したもの、2、金属配給統制株式会社が、政府指示に基いて、交易営団または中央物資活用協会の回収した貴金属を買い入れたもの、3、金銀運営会が、戦時中、政府指示に基き、旧日本占領地域における通貨価値維持等の目的をもって金製品を輸出するため、旧金資金特別会計から払い下げを受けたもの、及び、4、軍需品製造に従事していた者が、軍需品製造または修理するため、その材料として、戦時中、旧軍または軍需省から買い入れたものがありますが、これらのものはすべて国に帰属させるとともに、これらの者に対しては、貴金属等の取得の代金及びその手数料または加工費に相当する金額を、それぞれ交付することといたしております。  第五に、接収貴金属等処理を慎重かつ適正に行うため、認定返還、不服の申し立ての処理その他の重要事項につきましては、接収貴金属等処理審議会に付議し、その議決に基いて処理することとするとともに、大蔵省管財局臨時貴金属処理部を設けてその事務を専担させ、処理の万全を期することといたしております。  第六に、国に帰属または返還された貴金属等一般会計に所属するものは、無償貴金属特別会計の所属に移して管理することといたしております。  なお、百円銀貨製造の用に供する等のためこの法律施行前に返還した貴金属につきましては、この法律施行後すみやかにその明細を公告することといたしております。  以上が賠償等特殊債務処理特別会計法の一部を改正する法律案外二法律案提案理由及びその内容概略でございます。何とぞ、御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願い申し上げます。     —————————————
  9. 早川崇

    早川委員長 それでは、まず印刷事業に関する事項について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、この際これを許します。佐藤觀次郎君。
  10. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 九月十日の委員会において、百円銀貨の問題について、同僚平岡委員からもいろいろお話がありましたが、その際、一万円札の問題にしても大蔵委員会に相談をしてくれという話もあったわけであります。ところが、国会の閉会中、突如として一万円札というような札を政府が勝手に——法律では勝手でありますけれども、あまりに影響の大きいこういう一万円札を出した理由はどういうところにあるのか。大蔵大臣から一つ説明をお願いいたします。
  11. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 一万円券の発行につきましては、実は相当以前からこの発行可否等について大蔵当局は検討を続けておりました。すでに御承知のように、五千円券を発行いたしました際にも、一万円券は少し時期尚早だということで、五千円券に振りかわったような事情もあったのでございます。そこで、この種の紙幣発行するといたしますと、どういたしましても準備は相当事前にかからなければならぬ。従いまして、今回発行する場合におきましても、前国会におきましてもすでに一万円券発行準備があるやのうわさが立ち、同時にまた皆様方からもお尋ねを伺ったと記憶いたしております。当時におきましてさような計画を持っておるが、政府自身発行そのものを決定していくのだ、事前国会にお諮りはしない、こういうことを一応御説明申し上げ、当時委員会等においても御了承を得たかのように、実は私ども拝承いたしておる次第でございます。私、この機会に特に権限がどうなっているかということを申し上げるつもりはございません。ただ、その経過自身がすでに皆様方のお耳にも入り、事前にこれが取扱い等についてもお尋ねのあったことを、ただいまの御質問に際しまして思い起して、お答えいたした次第でございます。御了承をお願いいたします。
  12. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 それはちょっと話が違うので、大蔵大臣はやっぱり官僚のくせがあるので困ります。この一万円札はインフレ影響もあるし、それから一般大衆も、一万円札というのはつり銭等関係で非常に困っているわけであります。実際は、週刊雑誌にも出ておりましたが、このために悲劇が起きているような状態が出てきている。大蔵大臣は金持ちだからいいけれども一般大衆は一万円札を何枚もらえますか。月給で勘定しても三、四枚、ここの人では大体そんなものです。国会議員でも六枚ぐらいしかもらいません。そういうようなものを勝手に出して、大口要求のために大衆を犠牲にするということがあり、いろいろ影響が大きいと思うのです。そういう点で、同僚議員からも、絶えず一万円札の発行については、いろいろ今まで質問もし、慎重にやってくれと言うのにかかわらず、われわれが国会に出てこないうちに突如として大蔵大臣がこういうことをやるのは、はなはだ、われわれとしては、佐藤さんに似合わない、どうも大衆無視考え方ではないかと思うわけです。少くとも大蔵委員会はそういう点でいろいろ今まで注意をしてきたにかかわらず、インフレ傾向はないという形でお話しになるかもしれませんけれども大口需要の二十万円札、三十万円札を出しても、私は決して不当だとは思いません。現にイギリスでもアメリカでももっと大きな札を出していることは、われわれも知っておりますけれども、一万円札のような、こういう紙幣が出るということは、非常に大衆生活影響がありますので、重ねて、大蔵大臣はこういう点についてどういうような認識を持って出されたのか、この点もう一度はっきりとした答弁をお願いしたい。
  13. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 今の御意見はまことにごもっともな御意見でございます。私ども、一万円札を発行することにつきまして、事前発行手続などお諮りはしないということ、これは法律的に申し上げるのでございますが、そうでなくて、内容的の問題として、御指摘になるように、あるいはインフレ助長はしないか、あるいはまた日常の用に供するにしては金額が非常に多額で使いにくいのではないかとか、いろいろ問題がある。それらの実は皆様方の御意見も伺いましたので、十分勘案したつもりでございます。と申しますのは、最近の経済情勢から見まして、インフレ傾向というか、そういう心配があるかどうかというようなことなり、あるいはまた過去におきまして百円券が出てきた当時のことも考えてみますと、今この際に一万円が出ましても、非常に多額紙幣とは言えないだろう。どういうような計算をいたしますか、過去の百円と今の一万円と比べてみまして、人によってはもっと大きいものを出してもいいじゃないかというような議論もあるだろうと思います。しかし、これはずいぶん乱暴な意見だと思いますので、私どもこれに賛成するわけではございません。今の一万円程度は、まずいわゆる取引の問題といたしましても一応納得がいくのじゃないか。一番心配されるインフレ助長ということについての懸念、それから、第二の問題は、今御指摘になりましたように、日常電車に乗るとかあるいは野菜を買いにいくとか、こういうような非常に少額の買い物にこういうものが使われるかどうか、そういう問題もあるわけでございますが、そこまで一万円札が流通はされないだろう。また現実にさようなこともあまりないように伺っております。  ただ、それならば一体どのくらい、流通過程に乗るであろうか、あるいはどの程度発行準備で一万円を通用さしていいだろうか、その辺も実はいろいろ勘案して参ったのでございます。今日もうすでに発行いたしましたが、今通用いたしております一万円札、これは大体四百三十五億程度でございます。今、年末になりまして、日銀その他においての紙幣勘定手数、これは大へんなことのように実は見受けるのでございますが、銀行間の決済等におきましては、一万円札は相当手数を省く効果を上げているやに伺っております。しかし、今佐藤委員から御指摘になりました点は、私どもも、発行の総額なり流通の数なり、こういう点に十分注意をいたしまして、実際の日常取引支障を来たすとか、あるいはまたインフレが起らないようにして参りたい、かように考えておる次第でございます。  これを発行するに際しましては、委員会の御意向等は十分検討いたしまして、まず私ども責任におきまして、今日の経済情勢のもとにおいては、また一般通貨を使われる側の国民の方の良識の点から見ても、この程度のものは支障ないのだということで、実は発行いたした次第でございます。何とぞ御了承をお願いいたします。
  14. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 正示理財局長お尋ねしたいのですが、実は、先回も、同僚平岡委員から、百円銀貨不評判をるる述べられまして、あなたが苦しい答弁をされたことは御承知通りでございます。私も実はきのう初めてもらったのでありますが、一万円札と五千円札とはほとんど達わない。少し大きいだけです。これは非常にまぎらわしいことになるわけで、めくらの人はむろんわかりませんけれども、形も意匠もほとんど同じです。こういうようなまぎらわしいものを出して、しかも先回平岡君があの不評判な百円銀貨の問題で重々注意していたのに、今度またこれが流通することになると、非常にまぎらわしい。大衆の利益をちっとも考えないでやっていられるように思うのです。たとえば、フランスの五千フランなんというのは、大きなふろしきくらいの紙でやっている。少くとも一万円札ともなれば、五千円札の倍くらいとは言わぬけれども、何かそこになければならぬ。私たちは、大きい、小さいということは問題ない。けれども意匠がほとんど同じでありまして、非常にまぎらわしい。私たちは一万円札にはあまり関係がないからいいけれども、もうちょっと工夫が必要でなかったかどうか。三年前からできておったとかなんとか言っておられますが、そういう点についてどういう責任を感ぜられておるか。一つこの際、正示理財局長にお伺いしたいと思います。
  15. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 お答え申し上げます。  ただいま大臣からお答えがありました通り、一万円券の発行につきまして、かねてからこの委員会におきましていろいろ御意見のありましたことは、できる限りわれわれとしては尊重いたして参ったつもりであります。  若干つけ加えて申し上げますと、十二月一日から発行になったのでございますが、日本銀行におきましては、十一月十九日に新聞発表をいたしまして、一万円券の発行趣旨は、多額現金を取り扱う面等需要にこたうるためであって、大口現金取引の便に資するためである、こういうことを言っております。これを私どもの方ではさらに敷衍いたしまして、たとえば、日本銀行におきまして、官庁の支払い、給与の支払い等の中にできる限り一万円券は使わないようにしてほしい。それから、民間金融機関におきましても、いわゆる小口の取引等につきましては、できる限り高額の紙幣は避けるようにという趣旨をお願いいたしておるわけであります。これがただいま大臣お答えになった趣旨であります。  そこで、それに関連をいたしまして、なお、一万円券と五千円券がまぎらわしい。これはもっと端的に日常生活においてわかりやすくする必要があるのじゃないかという御意見は、私も一つ考え方かと思いますが、われわれはまぎらわしいというふうには考えないのであります。形また模様等につきまして若干の工夫をいたしておるのでありますが、ただいま佐藤委員がおあげになりましたフランスのようなやり方、またアメリカのようなやり方というのは御承知通りでございまして、ドル紙幣というのは比較的同じような形でありますが、その中に高額のものと少額のものがあるわけであります。日本におきましては、その点につきまして、印刷技術は相当高度の水準にございまして、たとえば五千円券につきましては透かしの模様を入れるというようなことで、新しい構想を出したわけであります。もっとはっきりすべきであるかどうかという点につきましては、御意見があったわけでありますが、われわれとしましては、先ほど申し上げたような趣旨で、この高額の紙幣が取り扱われるという場合におきましては、百円銀貨と五十円銀貨というような関係とはだいぶ趣きが違って参りまして、大体この程度の相違を出しておきますれば、高額の場合でございまするから、日常取引において非常に間違う場合も少いのじゃないか、大体こういう判断をもちまして発行いたしたことを申し上げまして、御了承を得たいと存じます。
  16. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 正示さんは、この前——速記録が今そこにないと思って勝手なことを言っておられますけれども、前々から非常に注意をした問題でありまして、こういう点については、やはり官僚的なやり方をしてほしくないと、われわれは今まで注意しておりましたけれども、こういうようなことが常に繰り返されておるということは、非常に残念であります。  もう一点大蔵大臣にお伺いしたいと思いますのは、実は、五千円札の発行のときも、香港で発行と同時に出たということを伺っております。それからまた、きのうの新聞を見ると、やはり同じ日ごろに同時に香港で一万円札が出ておるということですが、こういう監督はどんなようにやっておられるのか。これは非常に不愉快な問題でありまして、われわれの目にとまらぬうちに、すでに香港で出る、こういうことが行われております。これはイギリスあたりでは絶対にありません。われわれとしても、大蔵省の非常にルーズなやり方がこういう結果になっておると思うのですが、どういう意味でこういう点をやっておられるのか。その点、その対策及びその考え方一つ伺っておきたいと思います。
  17. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 今の正示君に対するお尋ねに、ちょっと私からも敷衍してお答えしておきたいと思います。実は、私自身も、一万円券発行直後にちょっと見ただけで、あまりふところに入れておらない。まあふところにあまり入らないところに、やはりインフレという点ではあまり心配がないのじゃないかと思っております。そこで、最初見たときに非常にまぎらわしいのじゃないかということを考えたのですが、意匠の面で非常にはっきりしておる。それは、問題は、聖徳太子が中にあるのと端にあるのと、この点は五千円券は聖徳太子がまん中にでんとすわっておられます。今度は聖徳太子は横であります。これは盲人の方にはそういうわけには参りませんけれども皆様方は、まん中と端で一つお考えを願う。これは非常にわかりいいことだと実は思っております。  それから、次の問題でございます。今回は、前回のようなこともございましたので、特に注意をいたしたつもりでございます。従いまして、今回はあまり大きな弊害があるとか、あるいは香港の方の話も実は聞かないで、今日まで済んでおります。もともと、この種の問題につきましては、警察自身が取り締まるということでございます。日銀が各銀行、各支店等に回します場合の番号なども一応警察が記帳しておるとか、こういうようなことで、今飛行機その他もありますので、そう事前は困りますけれども、これが通用すると、やはり香港ですから出ていくだろうと思います。それは警察がその方を担当して取り締まっておる、かような状況でありますので、御了承を願います。
  18. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 もう一点お聞きしたいと思うのですが、一万円札が出れば、これは銀行屋さんやその他いろいろの利益があると思うのです。その反面、こういう金のために、たばこを一つ買うのに一万円札を出されるとたばこ屋が困るし、一般の小売店などでも相当こういう悩みがあるだろうと思うのです。そういう点で私たちは弊害が非常に多いと思うのです。大蔵省は、どういう利益か知らぬが、この一部の大きな金を扱う人たちの立場ばかりを考えて、大衆の利益をなおざりにするというような考えがあるのではないかということを私たちは考えるのですが、この点についての自信のある立場を、われわれが納得するように明示していただきたいと思っております。
  19. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 先ほど大口取引のお話をいたしました。これは便利であることはおわかりだろうと思います。たとえば、銀行などでは、年末ともなりますと、一日に相当多額のもの、あるいは千億だとかあるいは二千億というようなものを計算するというようなことも起るように伺っておりますが、二千億を千円券で数えるとか、あるいはさらにその五分の一で済む五千円、さらにその十分の一で済む一万円、こういうことで、その枚数を考えてみれば、二千億にしても一万円札ばかりなら二千万枚、これは非常にわかりいいことなのです。それが千円であれば、その十倍の二億枚、これなどは大へんなことだと思います。それから、中小企業等の点については、理財局長から詳しく説明をいたしますが、五千万だとかあるいは百万だというような取引単位もずいぶんあることでございまして、今言われる小売であるとか、あるいは野菜であるとか、あるいは魚屋さんの支払いだとか、こういうものについてこの一万円がどんどん使われるとしたら、これは非常に不便だと思います。しかし、さようなことは、国民の良識から見ましても、非常にレア・ケースとかいうことで、まず私どもその話は円滑に通用がされるものじゃないか、かように考えます。  今の中小企業の面についての詳細は、ここに一応どのくらいの単位のものがどうなっているかということがございますので、これは理財局長から説明をいたします。
  20. 正示啓次郎

    ○正示政府委員 簡単に付言して申し上げますと、いわゆる現金決済の取引の慣行がございまして、いわゆる小切手取引ではなくて現金で決済をいたしておりますもので、非常に大口のものをあげてみますと、たとえば比較的中小企業が多いのでございますが、機業は大体十万から百万くらいの取引単位になっております。それから鉄くず、これは五十万から百万くらい、それから雑貨が百万から五百万、そのほかに、たとえば、鉄材、繊維、水産物、農産物の問屋、これは御承知のように非常に地域的に固まっておりまして、比較的中小企業の方も多いわけでございますが、中には二百万から三百万くらいの取引単位を現金で決済しておられる。ただいま大臣からお話がございましたが、たとえば三百万の取引というような場合に、千円札でございますと、これは大へんな数でございますが、一万円札になりますと三百枚だけでいい。非常にこの点は喜ばれておるようです。しかし、どこまでも、先ほどお述べのような、一般大衆にこれを持たせまして、そして日常の小売店等でこれをどんどん使うというふうなことを考えておる次第では毛頭ございませんので、あらためてその点は御了承願います。
  21. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 もう一点最後に要求しておきますが、こういう問題は、役所の都合だけで考えず、委員会というものがあるのですから、そういう点についてわれわれの意見も十分参考にして、こういうことをやっていただきたいということが一つ。それから、今正示さんからいろいろ話がございましたけれども、それは理屈であって、実際は、銀行なんかでも、いろいろ取引すれば、一万円札なら間違いがないから、結局千円札を一万円札でくれる、こういう便宜主義になります。だから、こういうようなものが出れば出るだけ、大衆は非常に迷惑を受けるわけなんで、こういう点の大衆の苦労ということも一つ考えて、今後処理していただきたいということを希望するわけであります。平岡君からもいろいろ質問があるそうでありますが、われわれの立場も考えて、一つ善処していただきたいということをお願い申し上げます。
  22. 平岡忠次郎

    平岡委員 関連して。  大蔵省の一万円札の発行は私は中途半端であるという感じがするのです。発行理由として先ほど正示さんが読み上げられたことに徴しましても、大口の商取引関係銀行金融関係の便宜のためということが明確になっておる以上は、むしろ飛躍的に十万円札の方がよかったのです。これは、庶民のふところに入るがごとく入らざるがごとく、中途半端な点が一番いけない。一万円の金額というものは、戦前の価値からいいますと三十円くらいです。現実に一万円というものは庶民の一般の人たちにも入り得ることは事実なんです。そうすると、たとえば小売屋では、日用品の買いものに対しまして、それだけのつり銭をやっぱり用意しなければならぬのです。五千円札が出てきたときにも、零細な小企業者、小売店、この人たちはよけいなつり銭を用意しなければならぬので、資金がそれだけ固着した。こういうことで非常に不便を感じておったのです。この一万円札もこうした不便を与えるのでありまして、むしろ飛躍的に大きな札の方がよかったという意見がわれわれの中にあったのです。だからこそ、この委員会一つ相談かけてくれということを申したのですが、この点が完全に無視されたことは遺憾しごくであります。しかも、私は九月の十日にこのことを正示さんにちょっと言ったのです。私自身は、その九月に言ったことが取り上げられないのがけしからぬというのじゃなしに、すでに九月より前の七月二十五日の閣議決定はひそかになさっておったのです。これはちゃんと調べてきておるわけです。そういうことを秘匿しておるということがけしからぬのです。そういうことをちゃんときめておきながら、国会に対してほおかむりでいくということ、これは官僚独善なんで、ぜひ改めてもらわなければならぬことです。大体一万円札というものは数年間たなざらしになってきた。それは世論の反撃があったからです。ですから、世論の反撃をおそれて、これを出すのに相当無理をしています。これは仄聞したことでありますけれども、このためには日銀政策委員の入れかえ等も行なった、こういうことも流布されておるわけなんです。そうして、七月二十五日に閣議で一万円札発行をきめたまま、これをずっと秘匿しておったということ、こういうことはけしからぬことであります。ですから、一万円札の形状の問題とか、あるいは香港あたりに対するやみ商人に寄与しているという問題とか、それから今まで申し上げたような小売商等に対する不便の問題とかは別として、とにかくこうした問題を委員会に相談せずに勝手にやるというようなことは今後やめてほしい。この出し方の問題につきまして特にここに警告を発しておきます。  正示さん、この前私が、この委員会で、この一万円札がおそらく十二月ごろぽんと出てきやせぬかということを懸念しましたので、相談をかけてくれということは確かにあなたに言うたはずなのですが、それに対しまして一言も委員会に諮らなかったということ、これに対してあなたの弁明を聞きたいのですが、どうですか。
  23. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 いろいろ基本的なお話が出ておるようでございます。これは、私が皆様に申し上げるまでもなく、法律の建前は実は厳といたしております。従いまして、一々委員会にお諮りをして決定するという筋のものでないことは、これだけは御了承いただきたいと思います。ただ、私ども、過去においても、五千円券を出した際の経緯等を伺いましても、委員会皆様方から、ああいう情勢のもとで一万円券を出すことは時期尚早だ、こういうお話があり、政府もその考え方を取り入れて五千円にとどめた、かように実は伺っております。もちろん、先ほど来御説明申し上げますように、当委員会皆様方委員から発表されます御意見、特に、たとえばインフレ助長しやしないかとか、あるいは流通過程において非常な不便を感ずることはないか、あるいは円の持ち出しが容易になったり、あるいは偽造、変造等の犯罪が起るような危険がありはしないかとか、いろんな御注意等を勘案いたして、今回も最終的な決定をいたした。なるほど、お諮りをして、これこれだが御賛成を願いたいというような形式ばったことはいたしてはおりませんが、そういう意味では十分皆様方の御意見を取り入れたつもりでございます。  そこで、一言つけ加えて御了承をお願いしたいと思いますことは、過去の百円券が出ていた際、いわゆる百円券は高額紙幣といわれておりますが、この百円券がどの程度流通過程に上ったか。総紙幣のうちで、まず大体二割あるいは二割をちょっとこしているというか、その程度のものではなかったかと思います。今回私ども、まことに冗談らしいことを申して恐縮ですが、今私も発行に際しての一枚だけはトラの子のように実は大事にしております。まだ流通はいたしておりません。私自身が使ってはおりません。この五千円券並びに一万円券、いわゆる高額紙幣というものがどのくらい流通に上るだろうか。大体は戦前の百円よりは少し率がふえて、三割以上にはしない、こういうような考え方をいたしておるのであります。従いまして、おそらく、都心におきまして、あるいは都市において、一万円券がいわゆる小売その他で流通しており、非常な不便を感ずるというようなことがあろうかと思いますが、国全体として見ると、流通しております紙幣のうちで、最高三割程度じゃないか、またその程度に大体とめる、こういうような考え方をいたしておりますので、いわゆる流通過程で自由に使うというようなところまではまだいかないように思うのでございます。これらの点が紙幣流通の実際でございますから、そういう点も一言御了承願い、同時に、日常流通過程における弊害等については、今後も十分注意して参る、こういう考え方でございますから、どうか御了承願います。
  24. 平岡忠次郎

    平岡委員 きわめて不満であるが、質疑を打ち切っておきます。     —————————————
  25. 早川崇

    早川委員長 それでは、専売事業に関する件について調査を進めます。  質疑の通告があります。これを許します。廣瀬勝邦君。
  26. 廣瀬勝邦

    廣瀬(勝)委員 最近の日本の塩菜を見ておりますと、どうも大蔵省並びに公社の方の指導方針は一貫性を欠いておる。終戦後、例の塩飢饉、それから増産ということになりまして、一応二十九年あたりを境にしまして、非常にこの塩の増産については力を入れ、枝条架、流下式、それから真空、ああいうふうなやつがとられまして、それには資金までを世話されてやっておった。ところが、最近になってきまして、それらの結果、大体国内塩が百十五万トンも生産されるようになってきますと、今度は国内用が過剰だというふうに言われまして、特に最近においては、塩業審議会においてその整理すら考えられている。こういう点につきまして、大蔵大臣並びに公社総裁から、根本的に日本塩業についてどう考えておるかということを、まずお聞かせ願いたいと思います。
  27. 松隈秀雄

    ○松隈説明員 先に私からお答え申し上げます。  終戦後の混乱時は別としまして、国内塩によりまする自給度を向上したいということは一貫しました塩業政策でありまして、昭和二十五年三月の閣議決定をもちまして、食料塩の全量自給を目途といたしまして、国内生産力の増強に必要な措置を講じて参ったのであります。その一つの方法といたしまして、先ほど御指摘がありましたように、塩田の流下式転換とか、あるいは海水直煮製塩の企業化というようなことによりまして、国内塩の生産量は予期以上に増大して参りました。ただ、この点も御指摘がありました通り、当時流下式に転換いたしましたときにおきましては、今日のような生産量の増大を見込んでおりませんでしたので、その点に関係者の見込み違いがありましたのは遺憾でございますが、現在に至ってみますると、生産力が予期以上に増大をいたしまして、在庫がふえておる、それから塩会計は赤字である、こういうような状態で、こういう状態を改善するということになれば、生産制限というようなことも一つの方法でありまするけれども、そうしますると、企業者全体がぬるま湯に入っておるような状態でありまして、やはり根本的な施策とはいえませんので、この際、塩需給の将来の見通し、それから塩業の合理的なあり方等について根本的な審議をしていただきたいと思いまして、従来から塩業審議会というものがございますので、塩業審議会にお諮りしまして、目下その対策の答申をいただきたい、かように考えておる次第であります。
  28. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 ただいま松隈総裁からお答えしましたような経過をたどっております。ただいま、塩の基本的な対策といたしましては、各方面の御意見を伺うという意味で、塩業審議会を設けております。この塩業審議会も、その成立以来非常に慎重に検討を続けておられる状況でございます。近くその結論が出るのじゃないか、その答申を待ちまして、私どもも態度を最終的に決定したい、かように考えておる次第であります。
  29. 廣瀬勝邦

    廣瀬(勝)委員 大蔵大臣並びに公社総裁は細部のところは御承知ないかもしれませんが、大体私たちが聞いております塩業審議会の素案なるものによりますと、公社側は八十万トンと言っておられる。大蔵省側は九十五万トンと言っておられる。こういうふうな見解の相違というものは、どういうふうなところを大体基礎にされてお考えになっておるのか。まず公社総裁からお聞きします。
  30. 松隈秀雄

    ○松隈説明員 塩業審議会におきましては、塩の根本対策を検討いたしております。その段階におきましては、いろいろな考え方があるわけでありまして、現在の製塩設備を相当に大幅に整理をして参る、こういうことになりますれば、残った業者の合理化が一そう徹底するという点においての利益と申しますか、長所がございます。     〔委員長退席、小山委員長代理着席〕  しかし、また、その反面において、整理を受ける塩業者及び従業員の問題もございますし、またこれらの失業といったような関係もございます。さらにまた整備資金というような予算の面の関係もございます。そこで、理想的には相当大幅に非能率企業を整理する、こういうことも考えられるのでありますが、また実行に当りましては、いろいろな観点から見方を変えて案を考える、こういう余地もあるわけであります。先ほど申し上げました単に予算の点ばかりでなく、社会問題であるとか、あるいは地方産業の問題であるとか、そういう点もからんで考えれば、案の立て方は幾通りもある、こういうようなことで、審議はいろいろな観点から行われておりまするが、まだ最終段階としての結論を得て塩業審議会が答申をするというまでには至っておらない。従いまして、今日、塩業審議会の案がどの程度の整備案であるかということを申し上げる段階には、まだ至っておらないわけであります。
  31. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 今の総裁のお答えでもういいかと思いますが、今塩がどのくらいできておるか。先ほど廣瀬委員は百十五万トンというようなお話をなさいましたが、私ども、今の枝条式その他で作るのが、大体百二十五万トンくらいはできるだろうと思います。しからば、一体国内の食用塩としてどの程度のものがあるのか。工業塩というものは、また別に、これは安いものをとっておりますが、その見方がいろいろあるわけなんです。百五万トンだとか、あるいは百万トンだとか、あるいはまた九十五万トンだとか、いろいろな数字が出てくるだろうと思います。問題は、最近の製塩方法が、在来考えられなかったような非常な画期的なものだということなんです。廣瀬委員もおそらく塩業地の御出身だと思いますが、私なども山口県で、これは小学校時代の地理の本では塩田の写真が出ておるところで育ったものなんです。ああいうふうな入浜式の塩田ではどうしてもいかぬ。そうして戦後において非常に減産した。これでは大へんだということで、増産方法を考えて、あるいは枝条式だ、流下式だというようなことを申しましたが、そういうような製塩方法でなくて、この節考えられておるものは電気製塩、これが非常に発達してきておる。画期的なものに当面してきておる。そこで塩専売に対する根本的な対策を立てなければならなくなった。現在の状況のもとにおける製塩能力というもの、これを新しい製塩方法で製塩業をやらすとしたら、一体どういうことになるのか。そういうことを考えた場合に、これは、いわゆる紡績業界における機械革命、それより以上の画期的な事態に当面してきておる。そこで、根本的な対策を考えよう。これが塩業審議会の結論をただいま待っておるゆえんでございます。専売公社におきましても、また大蔵当局におきましても、塩の消費量というようなものについて、今後の見通し等もいろいろ立てておる。しかしながら、いわゆる食用塩というか、この方の数量は、人口がふえるに従って、酒やなんかはどんどんふえて参りますが、塩そのものはそんなにふえていくものじゃなさそうです。ここらにも一つの大きな問題がある。また、工業塩といたしましては、トン当り非常に安いものでないと、他国と競争ができない。国内の製塩で、その非常に需要の伸びる方向のものに、採算のとれるような状況で製塩が可能だとは考えられない。こういうことで非常な問題がある。ただいま総裁が指摘したように、一地方の産業革命の問題、あるいは企業者の問題もありましょうし、あるいは従業員の問題もありましょうし、さらにまた、製塩業者だけの問題でなく、地方の産業全体の問題としても考えていかなければならぬ、こういう意味で、非常に根本的な問題であり、大問題だということで、今取り組んでおる、こういう状況でございます。  ただいま九十五万トンあるいは八十万トンというような案があるじゃないかということを言われたにつきましても、各条件を勘案して、どういう方向で、今の製塩革命といいますか、それに対処していくか。画期的に全部を転換するというようなドラステックな考え方は、なかなか実行できない。そういう場合にどういうように最新式の製塩方法に順応していくか、そういう意味でいろいろの案が考えられるということでございます。いずれにいたしましても、こういう問題は塩業審議会が最後の結論を出されるだろう。塩の需給の問題なり、あるいはまた業界として将来伸びていくというようなことも勘案したり、あるいはまた今日までやっておられる人たちをどういうよう立をめぐりまして、特に政治的なあれがかかっている、こういうことはございませんか。
  32. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 錦海湾の製塩を許されたとき、その当時の状況をいろいろ——私なども山口県ですし、香川県同様製塩業にどういう影響があるだろうかといって実は心配した方ですが、当時の製塩状況のもとにおいては、この種のものも必要だというのが結論だったように記憶しております。別にこれが政治的にどうであったとかいうようなことは全然ございません。ただ、御承知のように、なかなか多額の出費を要するし、相当長期にわたっての工期であります。その間に相当事情が変ってきているのでございまして、この錦海湾の製塩そのものがどうこうということはないだろうと思います。  先ほど私今の状況なら大体百二十五万トンまでは製塩ができるということを申しました。この百二十五万トンという数字のうちには、現実の製塩もございますが、ただいま申すような錦海湾その他今許可をとっているトン数をも合計した数が大体百二十五万だ、こういうように私記憶いたしておりますので、この点は誤解のないようにつけ加えて説明をいたします。  ただいま総裁からるる説明されましたように、当時の情勢のもとにおいてはこれが必要であり、すでに多額のものが投資され、これが工事進行中である、そういう状況でございますし、これができ上りました後におけるコストそのものも、大へん立地条件がよろしいですから、これは相当安いところへいくんじゃないか、こういうことで公社も見ておられるように思います。しかし、全体の扱い方は、ただいま総裁が言われましたように、塩業審議会でただいま審議の過程にある、かような状況でございますので、この答申を一つ待っていただきたい、かように申し上げる次第でございます。
  33. 廣瀬勝邦

    廣瀬(勝)委員 私の出身地には鳴門があるのです。これは錦海湾にほぼ匹敵するものです。これは二十三億投下しておりますが、生産費は決して安くはならない。そういうような状態で、錦海湾についてはそれ以上じゃないかと思うんです。大体業者が全般一致して見たところでは、錦海湾一つを生かすために、そのしわ寄せが塩業界全般に及んでおる、こういうことが言われております。従いまして、今大蔵大臣が言われましたようないわゆる常識論的な答えというふうなことでは、この問題については少し慎重を欠かれるんじゃないか。こういうふうな点を大臣自身はどうお考えですか。
  34. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 先ほど来申し上げますように、塩そのものは国民生活に直結しておるものでございますし、これができるだけ安くなる方向であることは非常に望ましいことですし、先ほど来総裁からも御説明申し上げておりますように、塩専売が赤字を出しておる。一体それはどういうところにあるのか。いろいろ考えてみますと、やはり旧式製塩方法では、今後の塩価のあり方等についても、十分の自信を持ち得ないというところに、実は結論が来るように思うのであります。先ほど非常に進んだイオン交換樹脂膜のお話をいたしましたが、これなどは結果から見て非常にいいからと申しても、直ちにこれを導入するというような結論ではもちろんございません。さような乱暴な考え方はいたしませんが、それほど技術的に進歩してきておる。これが枝条式や流下式ではなかなかまかなえないようになってきておる。こういうように根本的な問題になるほどですから、やはり今後の塩業のあり方をどうするかという場合には、一つ念頭に置いていただきたいと思うのであります。おそらく塩菜の近代化ということが専売公社においても一つの目標であるに違いございませんし、私ども大蔵当局といたしましても、塩業自体がやはり近代化されていかなければならない。これは科学的な知識も十分導入していきたい。それが先ほど申しますような考え方によっては非常に画期的なものだ。しかしながら、そういうような画期的なものを、直ちに現在あるものにそういう大変更を加えるということは、これはまた大へんな問題ですから、私どもは避けていくつもりだ。それを順次近代化の方向へ導いていく。これがただいまの塩業審議会の根本的な考え方の問題でございます。これは、ただいま廣瀬君から御指摘になりましたように、新しい。それは錦海湾の問題もございましょうし、あるいは鳴門の製塩の問題もございましょうし、また私が先ほど申しましたような全然新しい電気式の問題等もあろうと思います。しかし、それが直ちに在来のものを圧迫するからといって、全部とめることになったといたしますれば、それは塩業の近代化というものはできないことになる。だから生ずる摩擦についての十分の対策を立てて、そうしてやはりおくれをとらないような近代化の方向に産業自体を持っていくということが、私どものねらいでなければならない、かように考えておる次第であります。
  35. 廣瀬勝邦

    廣瀬(勝)委員 それがいわゆる補償でございましょう。そうすると、この補償につきまして、現在のところ伝えられる範囲においては、公社側の補償、大蔵省の考えておる補償——公社側の方では、塩会計の中でこれを順次こなしていく、こういうふうに考えていらっしゃる。大蔵省の方では打ち切りを考えておる。これは根本的に違っておるのか、どうですか、まず大蔵大臣から……。
  36. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 ただいまこれも塩業審議会の答申を待たなければ結論の出ないことでございます。私どもは、何もかも塩業審議会、塩業審議会と実は申すつもりはございません。ことに、この補償の問題につきましては、過去においても塩田整理をしたことがございます。そういうような過去の経験等をも十分生かして参りたい。また今回は、塩業審議会の答申など、そういうものからどういうように対処していくべきか、それを考えて参りたい。十分誠意を持ち、また理解あり同情ある処置でこの問題と取り組んでいく決意であるということだけ申し上げますが、ただいまどういうようになっておるというまだ段階ではございません。
  37. 廣瀬勝邦

    廣瀬(勝)委員 一時的にすぱっと出してしまう、こういうようには考えていらっしゃらないのですか。
  38. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 ただいま廣瀬委員お尋ねになりましたようなことも含めて、先ほど来申しますように、審議会の答申並びに過去の経験等も生かして結論を出して参りたい、かように思っております。
  39. 松隈秀雄

    ○松隈説明員 補償の考え方でございまするが、塩業審議会の審議の過程において、先ほど申し上げましたように、塩田並びに機械製塩の整理規模をどうするかという整理規模が、まず第一の問題でありますが、それが、考え方によってなかなかいろいろな案があるために、いまだに決定しておりません。そこで決定を見ますると、大体整理される塩田なり機械製塩なりがワク的にきまって参るわけであります。それに対しまして補償をする場合において、どういう基準で補償をするか、補償の柱はどういうことかということで、塩業審議会が審議をしておるのでありまするが、大きな考え方といたしましては、設備に対する補償、それから塩業者の転業資金、それから従業員の退職金、大体こういった三本立ではどうかというようなことで、意見が交換されると申しますか、審議が進んでおるのでありまするが、これらの柱について具体的な考えを取りまとめるというところまでには、まだもう少し時間をかけなければいかぬ、こういう段階になっております。従いまして、今日のところにおいて補償の総額が何ほどになるかということが確定いたしませんので、公社の考えも、現在まとまった考えを申し上げることは、その段階でないのであります。ただ考え方の方向といたしましては、設備に対する補償のようなものは、大部分借入金によってできておりまするので、できれば借入金を公社において肩がわりをする、そうしてある期間をもって弁済していくというような考え方一つ考え方ではなかろうか。金融機関といたしましては、公社が肩がわりして、確実に年賦弁済してくれるということであれば、それで安心ができるわけであります。そういうようなことにしますと、現実支出する方の金額もかなりの金額に減って参る、そうしてまた、一方、先ほど申し上げましたような年賦的な返し方であれば、公社の塩会計において、それもすぐには黒字が出るというわけにはいきませんが、その間はしばらくタバコの益金にたよるというようなことになりますが、やはり、公社が、塩業政策上こういう事態まで立ち至って、ここに塩業の根本対策を立て、整理をし、補償を払うということであれば、できるだけ公社の会計において——これは少し別の問題になりますが、一方において間接経費の節約等ももちろんはかりまして、塩業の合理化による塩の収納代金の引き下げ、間接経費の整理等によりまして、やはりこういう金はできるだけ公社で返していくというような考え方において考えるのが、筋の当然ではなかろうか。これを、すぐに、こういう事態を巻き起した、一般会計から巨額の資金を出してしりぬぐいをしてもらいたいということでは、公社として責任の重大を非常に痛感いたしますので、公社の考え方からすれば、年賦はやむを得ませんけれども、できるだけ公社において負担するような方向において考えたい、こういう考え方を持っておりますということだけ申し上げておきます。
  40. 石野久男

    石野委員 関連で一つお聞きしますが、今お話を聞いておりますると、ほとんど整理の考え方で近代化の方向に進もうというふうにやられておるようでございます。私実はまだこまかいことはなにしておりませんが、公社の方では、そういう古い設備と申しまするか、現在塩業の中で生じておりますところのいろいろな欠損と申しますか、そういう塩業会計上出ておるものを収拾するために新しいものとの入れかえをしていこうという、そういう計画はいつごろに採算的になっていくのであるかということ、その塩業単価を正規の経済のコストに乗せるのには大体何年ぐらいかかるのかという計算は、大体立っているのでしょうか。そういう点ちょっと説明していただきたいと思います。
  41. 松隈秀雄

    ○松隈説明員 塩の収納価格は、生産性の向上によりまして、漸次コストが下るのにつれて引き下げて参りたい、近い将来において一万二千円の収納価格を一万円にしたいということについては、公社もその考えであり、塩業者の方々ともお話し合いをしておりまするので、大体の方向づけとしては了承されておると思います。ただこの一万円という塩価に達するのが、二年先であるか、三年先であるかというようなことについては、多少人々によって考え方というようなものの相違はございます。今回塩業の対策を基本的に立てて、その立てまする目標は塩業の合理化にありますので、勢い生産コストの高いものから整理の対象になって参ると思います。     〔小山委員長代理退席、委員長着席〕  そうしますれば、一万円塩価というものに近づく機会が、現状でいくよりもなお一そう早く、また比較的容易に達成せられる、こういうことに相なると思うのでありまするが、先ほど来申し上げました通り、現在の設備でありますると、近い将来百二十五万トン程度の国内塩ができる。それを何トン整理して何トン残すかということによりまして、塩の限界生産費も違って参りますれば、生産費の平均価格というものも違って参ります。従いまして、将来一万円という目標は持っておりまするが、塩業の整備の規模等とも関連して、一万円という塩価の達成時期の見通しが立って参ります。そういたしますると、公社の塩会計の赤字がいつ解消できるか、それから、将来においてはどのくらいの黒字になり、その場合において、先ほど私がちょっと触れました、公社が今度の塩業整備資金を返すという建前でいくか、あるいはそれはもう一般会計のお世話になって返さないでいく、こういうようなことにするかというようなことは、やはり公社の塩会計の赤字、黒字に関連して参る、かように御了承願いたい。
  42. 石野久男

    石野委員 私は、とにかく塩価を下げていくという方向をとるということは、これはやはり考えなければならぬ問題であろうとは思いまするけれども、しかし、塩価を下げていくために、すでに企業の権利を持っておる人人が無視されて、別に出てきた人々が救われるというようなことでは、非常に不均衡が出てくるだろうということが一点あるだろうと思うのです。従って、やはりそういう問題を救済するということを含みますると、おそらく補償資金というものは相当多額なものになるだろう、そういう多額なものを一般会計の方から補てんするということは、これは考えるべきじゃないと私は思う。もちろんこれは塩価の中で操作するということでなければ、一般会計で損失を補償するということになれば、もちろんその単価の方では、塩の単価では下っておりましても、国の経済の中では結局単価がふえておるのですから、塩価の中でそういう操作をするということになれば、当然、公社の会計の上では、相当期間にわたってその補償資金がコスト高の要因になってくる。そのコスト高の要因になる期間というものがどういう期間であるかということは、相当われわれにとって重要だと思います。これが長期にわたるというようなことであるならば、既存の設備をそのまま使っておってもいいのだ、それが短期に回収されて正常な会計の状態に置かれるならば、これは既存の設備を持っておる人々に十分な補償をして、その人たちに転業させることもまたあり得ることだと思います。そういう点についての公社の考え方なり大蔵省の考え方というものがはっきりしないと、ただもう既得権者にだけしわ寄せさせて、新しい近代設備を持つ、高い、独占資本といってもいい人々だけに国家が便宜を与えることは納得できないので、そういう観点について、大蔵省なり公社の基本的な考え方は大体どういうところにめどを置いているかということを、一応聞いておきたい。これは大臣から一つ……。
  43. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 先ほど総裁からお話があったと思いますが、ただいまの既得権者と申しますか、その範囲から申すと、非常に膨大なトン数になっている際でございますから、新たなものを許すというようなことなどはもちろん考えられない。これは専売公社自身におきましても十分注意をいたしておることだと思います。現在の既得権者の中において、非常に非能率というか、コストの高いものから整理していくということにならざるを得ないという方向で、ただいまやっておるわけでございまして、こういう点につきましてどんどん新しいものができて、新しいものの成績がいいじゃないかということで、勝手に乗り変っていくというような乱暴な考え方はいたしておりません。この点はどうか誤解のないように願います。
  44. 石野久男

    石野委員 今の点を一つ確認しておきたい。今大臣がお話しになりました点で、新しい設備を持つものだけを認めて古いものを抹消するというような因業な考え方は持っていないということは大体わかりました。そうした場合に、公社としては、すでに古い設備を持っている人々に補助を与えて、新しい設備に切りかえさせるというような努力を、その前段としてやるという着意がないのかどうか、そういう点について伺いたい。
  45. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 これは私どもの地方で非常に経験をなめてきたことでございますから、それは申し上げていいと思います。石村君もおられるから多分よく御承知だと思いますが、昔の入浜式塩田をいわゆる枝条式とか流下式に変えるとかいう場合におきましては、今日まで専売公社も指導してき、力をかしてきた。これが、先ほど総裁が言われるように、相当多額借入金を持っているという状況になってきている。しかし、そういう方法をとりましても、塩価がまず目標である一万円というところになかなかいかない、一万二百円を下げていくというようなところに骨が折れておるというのが、実は現状でございます。そこで、今後の問題といたしまして、今ありますものに対して補助を与えることによってそれが立ち行くかどうかという問題が一つだが、総体の量そのものがとにかく多い。国内の消費塩の姿から見まして、これが百万トン前後、しかも、百万トン前後とすれば、一部はどうしても工業塩に回さなければならないというような状況にある。こういうことも実は考えていかなければならない。これを近代化いたしまして新しい設備にし、在来の経営者がやっていくとすれば、今度は規模の問題もございましょう。在来のような小さな規模だけで採算がとれるわけのものでもない。いろいろむずかしい問題があるわけなんです。そういう点をあわせて実は審議会が検討している。新しい経営形態でまたこれを近代化するということが果していいのか悪いのか、総体の量から見まして、この際むしろ整理の方向へ塩業者の協力を求める方が望ましいんじゃないかということで、いろいろ相談をしておる。大体、塩業審議会におきましては、業者の意見ももちろん入っておりますし、業者の中におきましてもいろいろ工夫もし、この際はそういうことならば自分も転業してみようとか、あるいは整理の方向に賛成をしよう、こういうことも実はあるのでございます。総体の量そのものの問題、また近代化の方向、こういうことと双方にらみ合せて参るというのが、今の考え方でございます。
  46. 田万廣文

    ○田万委員 先ほど同僚廣瀬君からちょっとお話がございましたが、塩田の整理に関して、錦海湾というものが一つ出てきたわけです。これは総裁も聞いておいていただきたいのですが、この錦海湾が許可になったのは、私どもの聞くところでは、三十一年度であったと思うのですが、確かそうだと思います。実は三十一年の五月二十三日に長崎で全国塩業者の大会がございまして、その際に、新製塩に対しては公社の方で許可をお与えにならぬように、既設の業者が御案内のように流下式に切りかえるのに相当たくさんの金を借り、そうして大きな犠牲を払ってやっと増産の道にいそしむことができた現状において、新たに新製塩を許可されるということになれば、既設の塩田業者が非常に迷惑をこうむるというので、反対の決議がなされておるわけでございます。これは大蔵大臣も御承知かもしれませんが、そういう事実があったわけです。  ところが、三十一年五月から八月の間において江迎、北陸、東海、佐世保——この佐世保はまだ工事に着手しておりません。従って製塩事業もやっておりませんが、とにかくこの四社を承認せられたわけです。こういうことで、この後になおいまお話の出ておりました錦海というところに新塩田を作ることを認可なさった。これが十万トン、ここで、既設の業者としては大きな権利の侵害を受ける結果になって、今度の整理問題についても、おそらく錦海あるいは機械製塩で製塩を始めるという業者を四社、ほかに三社ございますが、それらの人が残って、父祖伝来三百何十年営々として塩田にいそしんできた、しかも公社の指導に従って多額の金を借りてようやく持久態勢にまで持ってきかけたその段階において、今申し上げたような新製塩が出てきた。そのものを残して既設の業者を整理することになった場合には、これはいわゆる中小企業者を保護するという政府考え方、あるいは公社の皆さんの考え方、政治家としてひとしくそれを考えておるとき、それを根本的にくつがえされる危険性が多分にあるということで、現在塩業者が非常に大きな問題としてやかましく言っておるわけです。審議会に今かかっておるということでございますが、この錦海湾は、先ほどもお話がございましたが、三十六億くらいで完成される予定であるそうであります。十九億ほど今までに入れて、先般御案内のことと思いますが、何か工事に悪いことがあって土手がくずれてしまった、またこれに大した金が要るということでございます。私どもの希望するところは、この錦海湾並びに機械製塩の中で、現在動いてないものもありますし、またいろいろ研究されなければいかぬ点もございましょうが、それらの塩業者が、全国の大会で、三十一年五月二十三日以降はやってもらっては困ると言うことをきめた。それを、あえて業者の意向に反して作られたこれらのもろもろの新規塩田に対し、特に錦海に対し、そのしわ寄せが既設業者に及んでおる。業者は、今申したように大きな金を借りて、借金払いをなければならない。収納価格は下げられた、生産制限も受けたで、四苦八苦になっておるときに、こういう圧迫を受けるということになりましたら、業者の死活問題です。  これは、大蔵大臣として、政治家のお立場から、錦海湾その他のものについて、五月以降新設されたものについて整理するということにして、既設業者に対しては、従来当局の指令に従ってほんとうにまじめにやってきて、増産にいそしんできたものを相当数——やむを得ない生産能率の非常に悪いものはとにかくとして、それを温存するという方針でいかれることが、ほんとうの政治的なあり方ではなかろうか、公社としてもそれが当然のことではなかろうかと思うのです。この点について、審議会にかけており、その結果を待ってと言われるけれども、やはりこれは補償問題にも関係するし、大蔵大臣としてもゆるがせにできない大きな問題と思いますので、私が今申し上げた五月以降に新規塩田として許可してもらっては困るというものをやった、そのためにこういうしわ寄せが出ておるということに対する整理の仕方についての私の考え方に対して、大蔵大臣の御同意が願えるかどうか、これをお伺いしたいと思います。
  47. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 冒頭に総裁からるるお話がございました昭和二十四、五年というか、その時分はもう塩が足らない。そういう意味で増産計画を盛んに進められたものでございます。私なども苦い経験を持っているので、当時工業誘致に最も適当であるから、この製塩業をやめて、工場敷地に提供したらどうか、こういうことではとてもいかぬがという話をしたことがあるが、当時は閣議決定その他があり、絶対にそれを許されなかった。これは当時の状況から見ると当然だと思います。そこで、ただいま言われますような具体的な名前が出ておりますが、三十年や三十一年、あるいは昨年など許可されたというようなものは、これは特許の関係があったり、いろいろなものがございますので、長い間計画をして、そうしてようやく話ができ上り、ただいま申し上げるように、許可をとり、工事を進めておるものだ、かように実は思うのであります。おそらく、錦海湾の製塩事業にしても、こつ然として三十一年に計画され、三十一年にすぐできたというようなことであるかどうか。おそらく長い間の経験であり、戦後のような状況から見まして、専売公社も非常に心配をしていたに違いない。これなどは当時の責任を云々する筋ではないし、むしろそれは、事態の推移についてわからなかったのじゃないか、こういうような非難が当るかわかりません。しかしながら、最近のような科学の進歩のことを考えますと、当時の状況では、なかなか簡単に将来どうなるかというようなことも言いにくいものもありましょう。そこで、いろいろ過去におきまして許可されて、そうしてそれぞれの権利者が計画を進めてきている、こういう事実だけは、これはやはり了承していかなければいかぬじゃないか。そういう場合に、そういうような計画中のものを全部ひっくるめてみまして、そうして今後のあり方として非能率なものはやはり廃すというような方向に賛成を願うということで、その整理の方向へいかなければいかぬのじゃないか。ただ、今田万さんの言われるように、許可をとっている、しかし現実に製塩をまだやっておらない、工場設備はできておらない、そういうものは全部打ち切ったらどうか、こういうようなお話ですが、そこまでは少し論理的な飛躍があるのじゃないだろうか、実情に合わないものもあるのじゃないかと、案は私は心配いたしておりまして、直ちに御賛成はしかねます。こういう点も含めて、おそらく塩業審議会は根本的な考え方をするだろうと思う。先ほど、私は、新規免許というものには十分注意するというか、新規免許は当分やらない、こういう気持でいることははっきり申し上げたつもりでございます。過去の権利者というもの、それは現実の製塩業者をも含めて、その実情を十分考えていくべきではないか、これが権利の尊重ということになるのじゃないかという感じがいたしております。しかし、これは私個人の考え方でございますし、田万さんの御意見なり、私のような意見なり、そういうようなものを一緒にして塩業審議会が結論を出すものである、また出してほしい、かように私は期待をいたしております。
  48. 田万廣文

    ○田万委員 大臣らしい答弁で、そつのない答弁ということでしょうが、とにかく、三十一年五月二十三日ごろに、全国の塩田業者が、それ以後において新規にやってもらっては困るということをはっきりうたっておるわけです。それはいわゆる将来の製塩の量がどれだけになるかということを見越して、こういうことを決議して公社に申し出ておるにもかかわらず、公社はその意向に反して新たに新規塩田を認めた。その結果今日のこういう問題が起きてきたということは、明らかに公社の、その無軌道なというとえらい失礼であるけれども、無計画的なあの塩業対策というものに原因があると私は考える。しかも、伝えるところによれば、百六十億に余るところの今度の整備資金が要るという。百六十億というのは莫大な金です。その金に比べれば、新規塩田として業者が反対しておったにかかわらず、あえて強行されたところの機械製塩に対する八社ですか、七社ですか、それと特に錦海塩田、これは現在までに十九億しか使っておらない。三十六億が総予算である。十九億を切り捨てて、そうしてこれで補償して済ます。百六十億の金を助けるか、百六十億の金を出して、そうしてたくさんの業者を犠牲にして錦海塩田を救うか、こういうような重大な時期に到達しておるのでございますから、私が大蔵大臣にさらに一考を願いたいことは、このプラスになるかマイナスになるかという点をよく考えて、今の御答弁では、はっきりされた御答弁であるようでないように私ども受け取りますので、この点は、やはり大きな国の台所を預かっておる大蔵大臣としては、百六十億と十九億の、八分の一の犠牲で今日の中小企業の塩田業者が助かるのだということだけは、はっきりしてもらって、どういう結果が出るか知りませんが、いずれ大蔵大臣に御相談があると思うが、一つ今からその認識を得ておいていただきたいと思うのであります。私は大蔵大臣に対してはその点で打ち切りたいと思いますが、どうですか、もう一ぺん考え直してみていただきたいと思います。一つ熱意ある御答弁を願います。
  49. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 ただいま御指摘になりましたような点を十分考えて審議会が結論を出します。ただ、今のお話では百六十億と十九億というような数字のお話が出ていますが、百六十億も私はどういうことを意味するのかわかりません。また、これが、もし百六十億はその補償の金だとおっしゃるなら、その十九億をやめれば百六十億が助かる、こんな簡単なものではないだろう。この点は少しその表現が——田万さんは非常に訴えられたと思いますが、私は、業界の犠牲というものはできるだけ小さくするようにしなければならないし、塩業の近代化にいたしましても、そう急ぐべきではないだろう。そこに漸を追うてやっていくという考え方が望ましいのだ。そういう意味では、塩業者全体が犠牲に耐えるというようなことで考えていかなければならないだろうと思います。そういうことが特に塩業審議会においても議論の中心であるだろうということは想像いたします。想像いたしますが、そういうことも十分その前提というか、基本の問題として、この審議会が答申を出されることを強く要望する次第でございます。
  50. 廣瀬勝邦

    廣瀬(勝)委員 以上できょうは塩業についての質問は打ち切りますが、明らかになりましたように、結局、問題は、大蔵省月並びに公社が日本の塩業についての見通しを誤まったというところに根本の原因があると思います。そういう観点に立って、やはりここで十分に御検討願いたいのは補償なのです。もちつろん業者の補償もございましょう。しかし業者はある程度の余力がございます。閉鎖になったときに結局困るのは労務者です。この塩田労務者の補償について十分なる御指導をお願いできますか。これは一つ総裁と大蔵大臣からここで言明願いたいと思います。
  51. 松隈秀雄

    ○松隈説明員 先ほど申し上げましたように、補償の点につきましては審議会の大きな柱の一つといたしまして、従業員の退職金という問題を取り上げております。これに対しましては、審議会の委員の方々は民間の権威者でありますので、社会通念上妥当と思われるような線でおそらく御答申が願えるだろうということを、期待しておるわけでございます。
  52. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 十分理解と同情を持って対処して参りたいと思います。
  53. 廣瀬勝邦

    廣瀬(勝)委員 この前、二十八年にやりました例のときに、いわゆる妥当なる線としまして六万円か七万円しか出されていない。今度の場合には、そういうふうな世間に通らない妥当なる線というようなことを公社はお考えにならないように、善岸処願いたいと思います。そういう意味から、塩業審議会へ塩田労務者の代表をぜひお入れ願いたいのですが、この点大蔵大臣いかがでございましょうか。
  54. 松隈秀雄

    ○松隈説明員 先ほど二十八年当時の塩田労務者に対する補償のお金が少いということでありましたが、あのときは、企業の中での方式の転換というような意味で、企業合理化に伴いまして塩田労務者が余ったということで、企業の内部での解決というような考え方でありましたので、勢い金額も少かったのでありますが、今回の考え方は、塩業審議会の考え方も多分同じ考えと思うのでありますが、生産の過剰という事態に当面して企業の整備を行うのだ、それから塩業の合理化をはかる、こういう面から進んでコスト高の虚業から目標を立てて整理に向うのだ、こういうにとで、いわば、外部的原因によって当事者の意思を多少押しつけると申しますか、無理にとかいうような点があっても、塩菜の整備ということのためには、ぜひそこまで整備をして合理化しなければいかぬ、こういうような観点から出ておりますので、それによって生じます労務者に対しましては相当の補償をすべきだ、こういう考えで、その基準をいかに求むべきかということを審議会でも検討しておるので、先ほど申し上げましたような社会通念上妥当と思われるような答申がいただけるのではないか、かように思っているわけであります。  それから、塩業審議会の委員のことについてお尋ねがございましたが、塩業審議会は公社充足当時からございまして、塩菜の重大問題については一々それにお諮りしておるのであります。今回たまたま塩菜警備のことがございましたので、人数も少し増加しましたが、委員会の性格その他は変っておりません。これは、公正妥当な意見をいただきまするために、一般の学識経験者の中から委員を出していただいておる、こういうような考え方委員を選考しておりますので、御了承を願いたいと思います。
  55. 廣瀬勝邦

    廣瀬(勝)委員 大臣はどうお考えですか、今の塩業審議会へ塩田労務者の代表を入れるということは。
  56. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 ただいま総裁からお話しいたしておりますように、これはもう古くから審議会ができておりまして、重要な問題をこれにかけそるということでございます。私は、この問題については、専売公社の審議会でございますので、大蔵当局からだれだれを入れろということは、発言を差し控えさせていただきたいと思います。
  57. 廣瀬勝邦

    廣瀬(勝)委員 先ほど来はっきりしましたように、結局はこれは大蔵省並びに公社の指導方針の誤まりが今日の状態を惹起しておるのです。だから、今回に限って、こういうふうな特別の処置をとられるということも、いわゆる審議会が考えておる整理なるものがもし強行されるとしたならば、スムーズにいくのではないか、かように私どもは大きな見地から思うのです。もう一度御再考をされる意思はございませんか。
  58. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 御意見は伺っておきますが、私は、ただいま申し上げるような審議会の性格から申しますと、直接の利害関係者でない方に、十分第三者の立場において公平な判断を行うことが望ましいと思います。
  59. 廣瀬勝邦

    廣瀬(勝)委員 それでは、その点を強く大臣に要望しまして、もし入れていただけないのであれば、せめてオブザーバーとしてでも出していただくということを、強く私は要望いたしておきます。
  60. 早川崇

  61. 横山利秋

    横山委員 時間がありませんから、あしたもまた話題が出ると思いますが、簡単に問題を提起しておきたいと思います。  今の専売公社は、一方では塩が余っているのに、一方ではたばこが足らぬそうであります。どっちにしても、それは人為的に避けられそうな問題であります。私の聞くところによりますと、小売屋さんは年末に先がけて小売りたばこの買い占めをしておかなければならない、一月になったら品切れをするそうだという思惑まで手伝っておるそうであります。申すまでもなく、今日の労使の紛争から始まっております塩の問題といい、このたばこの問題といい、どうも、松隈さん、このごろあなたの知恵は税制改正の方に注ぎ込んでしまって、知恵が少し足らなくなったのではないかというような気がするのであります。もう少し本来の仕事に一生懸命になっていただいて、うまくやってもらうようにしてもらわなければ工合が悪いのではなかろうか。小売屋やたばこ愛好者が心配しておるように、たばこがどうも底をついてしまう。この間新聞の報ずるところによると、東京都内でもすでにみどりやバットは品切れで、いこい、ピースなどももう底をつき始めた、こういうようなことが伝えられておる。かつて大蔵委員会で私質問したはずです。金の話ならまあ時がくれば話はつくけれども、理屈の話というものはなかなかつかぬ。どうしても今理屈をつけなければならないという積極的な理由は何かと言ったら、あなたはそのときに答えて言ったものです。今どうしてもこの理屈の問題で、これをつけなければ専売公社がやっていけないということはないと、あなたは言ったはずです。私は、そうだったら、この際お考え直しをいただいて、時期をずらしてゆっくり相談をされるということが望ましいとわれわれは考える、こう御返事を申し上げた。あれからすでに半歳有余になっておるのではありませんか。これは私は組合に味方するわけではないけれども、客観的にいえば、まさにあなたの方の攻勢という格好においてやられておるわけです。あなたの方が攻勢に変るから、組合側も攻勢に変る。初めに今まであった労働協約をあなたの方が破棄されるという立場に立たれたことによって問題が起っておるわけですから、いいかげん総裁話を納めるお気持になったらどうですか。私は、時間がありませんから、一つたばこが底をつき始めておる点について、簡単でもいいですが、今の状況をお話し下さって、あした、当委員会に、たばこの年末の状況、年を越したときの見込み、そういうものを一つ出して下さい。それから、また、あした、この労使の紛争の問題でもう一番のガンとなっておる問題は一体何か、どうしても公社が譲れないという理由があるだろうかという点を、あなたとそれから担当のどなたかにゆっくり聞かしていただきたいと思います。松隈総裁の御所見を承わりたいと思います。
  62. 松隈秀雄

    ○松隈説明員 専売公社の労使の関係につきましては、先般も横山委員からお尋ねでありまして、大筋はお答えをしておいて、その考えは今日でも変らないわけであります。話し合いをして詰めて参れば話はつくものである、かように考えております。その場合において、やはり公社としても譲るべき点は譲りますけれども、やはり譲りがたい点もあります。しかし、それではいつまでたっても話がつかぬという場合においては、第三者のあっせん調停、あるいは場合によっては裁定までいく、こういうことによって詰めれば詰まるのではないかというふうに考えておるのでありまして、すべてを犠牲にして、この早急取りまとめ、こういうことにいきがたいことは、横山委員も御了察が願えると思うのであります。最近の情勢におきましては、一番問題がございました高松の事件のごときものも、地方の労働委員会のあっせんをきっかけとしまして、大体おさまる状態になりました。これもやはり、あそこまでいきますと、何かきっかけがないと、両方とも引きにくいというようなことであります。年末資金とそれから、労働協約、超勤、組合活動等の点に関連しての問題点が本社本部間に残っておりますることは、ただいまお話しの通りでありますが、明日も中労委でその問題についての話し合いがあり、このあっせんも依頼してでございまして、大体それらがきっかけとなって、話し合いがつくという段階に至るであろうことを希望しております。そういうことになりますれば、先般来、超勤拒否によって、たばこの製造本数が少し減っておるのでありますが、それのカバーもできると思います。今のような状態が続くといたしましても、配給面の操作その他によりまして、年末年始のたばこについては、小売業者、それから一般消費者に迷惑をかけない、こういうような配慮は十分いたしております。  なお、資料が必要であるというお話でありますので、そういうことについては追って提出をいたしたいと思います。
  63. 横山利秋

    横山委員 譲るべきところは譲るが、譲れないところは譲れません。これは常識的なお話としてはもっともだと思う。けれども、あなたも私も腹にわかっておりますように、その譲れないところは何だ。今まで譲ってきたけれども、これからは譲れません。今まで譲ってきた。それで話をやってきたけれども、これからは譲れませんというなら、今まで譲ったことがいけなかったのか、それとも譲ったことがどうなんだ。今まで譲ってきて、これから譲れない話はないのです。そこが問題なんです。私は、新しい要求を労働組合が出して、そういう要求は譲れないという話ならわかるけれども、今まで労使がやってきた労働協約を、これから譲れませんという言い方というものは、問題の本質上おかしいと思う。たとい理屈でこまかいことまで議論したところで、世間を納得させる力は公社にはないではないか。だから、どこまでも、何回も何回もやって譲れませんというあなた方の理由というものは、第三者を納得せしむる客観的要素がない。しかも、あなたの方は、協約の労働組合の活動について一方的に制限するという通達を出したり、首切ったり、処分したりということをなさっているけれども、少しどうかしていやしませんか。私は松隈さんがそういうことをなさる人とは思わないのですが、どこかきっかけが間違ったのか、どうしてこんなばかなことになったか、まことに不思議だと思っているのであります。あなたは調停を待つとか仲裁を待っていらっしゃるので、もうこまかい話はいたしません。高松の問題についても言いたいことはたくさんあるけれども、きょうは今やたばこ消費者にかかっている問題であります。あなたのように甘いことを言って、年末年始に影響させませんというふうに、あなたが責任を持っておっしゃるならば、それでもけっこうですが、明日数字を拝見いたし、そしてその数字がもしも予定通り年末年始にいかなかった場合においては、あらためて松隈さんに責任を取ってもらおうと思います。そういう点で明日数字その他の御説明を伺うことにして、私はこれで終ります。
  64. 田万廣文

    ○田万委員 要望があります。大蔵大臣、公社総裁からいろいろお話を承わりましたが、われわれにはまだ納得いかない点が多々ありますので、一つ公社から塩業審議会に出されました資料、特に塩田整備に関する資料を御提出願いたいと思います。  それから、今の中小企業の塩田業者が非常に心配している実情を皆さんに知っていただくために、参考人として、山口県秋穂町、秋穂塩業組合の藤生仕郎という方と、香川県高松市生島町、生島塩業株式会社の南原正種及び塩業労働組合の小山武次、この三人の方を当委員会に招致し、その意見を聞かれるよう、委員長においてお取り計らいを願いたいと思います。
  65. 早川崇

    早川委員長 適当な機会に理事会に諮って検討いたします。  本日はこの程度にとどめ、次会は明十七日水曜日午前十時十五分より開会することとし、これにて散会いたします。     午後一時十六分散会