○田万
委員 先ほど
同僚の
廣瀬君からちょっとお話がございましたが、塩田の整理に関して、錦海湾というものが
一つ出てきたわけです。これは総裁も聞いておいていただきたいのですが、この錦海湾が許可になったのは、私
どもの聞くところでは、三十一年度であったと思うのですが、確かそうだと思います。実は三十一年の五月二十三日に長崎で全国塩業者の大会がございまして、その際に、新製塩に対しては公社の方で許可をお与えにならぬように、既設の業者が御案内のように流下式に切りかえるのに相当たくさんの金を借り、そうして大きな犠牲を払ってやっと増産の道にいそしむことができた現状において、新たに新製塩を許可されるということになれば、既設の塩田業者が非常に迷惑をこうむるというので、反対の決議がなされておるわけでございます。これは
大蔵大臣も御
承知かもしれませんが、そういう事実があったわけです。
ところが、三十一年五月から八月の間において江迎、北陸、東海、佐世保——この佐世保はまだ工事に着手しておりません。従って製塩事業もやっておりませんが、とにかくこの四社を
承認せられたわけです。こういうことで、この後になおいまお話の出ておりました錦海というところに新塩田を作ることを認可なさった。これが十万トン、ここで、既設の業者としては大きな権利の侵害を受ける結果になって、今度の整理問題についても、おそらく錦海あるいは機械製塩で製塩を始めるという業者を四社、ほかに三社ございますが、それらの人が残って、父祖伝来三百何十年営々として塩田にいそしんできた、しかも公社の指導に従って
多額の金を借りてようやく持久態勢にまで持ってきかけたその段階において、今申し上げたような新製塩が出てきた。
そのものを残して既設の業者を整理することになった場合には、これはいわゆる中小企業者を保護するという
政府の
考え方、あるいは公社の皆さんの
考え方、政治家としてひとしくそれを考えておるとき、それを根本的にくつがえされる危険性が多分にあるということで、現在塩業者が非常に大きな問題としてやかましく言っておるわけです。
審議会に今かかっておるということでございますが、この錦海湾は、先ほ
どもお話がございましたが、三十六億くらいで完成される予定であるそうであります。十九億ほど今までに入れて、先般御案内のことと思いますが、何か工事に悪いことがあって土手がくずれてしまった、またこれに大した金が要るということでございます。私
どもの希望するところは、この錦海湾並びに機械製塩の中で、現在動いてないものもありますし、またいろいろ研究されなければいかぬ点もございましょうが、それらの塩業者が、全国の大会で、三十一年五月二十三日以降はやってもらっては困ると言うことをきめた。それを、あえて業者の意向に反して作られたこれらのもろもろの新規塩田に対し、特に錦海に対し、そのしわ寄せが既設業者に及んでおる。業者は、今申したように大きな金を借りて、借金払いをなければならない。収納価格は下げられた、生産制限も受けたで、四苦八苦になっておるときに、こういう圧迫を受けるということになりましたら、業者の死活問題です。
これは、
大蔵大臣として、政治家のお立場から、錦海湾その他のものについて、五月以降新設されたものについて整理するということにして、既設業者に対しては、従来当局の指令に従ってほんとうにまじめにやってきて、増産にいそしんできたものを相当数——やむを得ない生産能率の非常に悪いものはとにかくとして、それを温存するという方針でいかれることが、ほんとうの政治的なあり方ではなかろうか、公社としてもそれが当然のことではなかろうかと思うのです。この点について、
審議会にかけており、その結果を待ってと言われるけれ
ども、やはりこれは補償問題にも
関係するし、
大蔵大臣としてもゆるがせにできない大きな問題と思いますので、私が今申し上げた五月以降に新規塩田として許可してもらっては困るというものをやった、そのためにこういうしわ寄せが出ておるということに対する整理の仕方についての私の
考え方に対して、
大蔵大臣の御同意が願えるかどうか、これをお伺いしたいと思います。