○松前委員 いろいろ御
説明もございましたけれども、これは
特許庁だけでなく、従来の通産省の活動の姿を見てみますと、非常にセクショナリズムな、狭い行動範囲であったと私は見るのです。ことに
特許のごときは、これは何も通産
行政の別動隊ではなくて、
日本全体の問題でありますので、特に広い活動
計画並びにこれらの組織を通じて旺盛な活動をなすっていただいて、そうしてこの
特許行政をして畏まらしめないようにやっていただかなければならぬ、こういうふうに私は思うのであります。
そこで、今私は、
外国人特許に対して寛大であって、
日本人に対しては非常に峻厳であった。これは
外国人のは非常に精選したものというか、これだけはとりたいというのを八方から攻め立てて
特許庁攻略にやってきますから、陥落するんじゃないかと思うのであります。
日本全は、いいかげんな思いつきを、出してみようというような工合で出してくる、そういうような傾向もあるかと思いまするけれども、あまりにも従来
外国人の出した
特許の範囲が広い。大体ちょっとした着想だけでも
特許になっている。それは、真空管が初めできましたときでも、とにかくあの多極真空管というものは
日本では作れなかった、作ればちゃんと
特許料を払わなければならぬ、そういうことは
日本自体にも前からあった、あったけれども、とにかく
特許庁で
外国の
特許を
許可された以上は、どうにもならないというようなことで非常な外貨が海外に流出しておる。現在のところ
日本から
外国に出て参りまする
特許その他に対する外貨は、この間の
政府の
資料によりますと、大体二百十億円くらい出ておるようです。原力を除いた
科学技術の研究費が二百十億円、しかもその
特許料の海外に支払うやつは年々増大の一途をたどっております。ところが
科学技術の研究費というものは据え置きであります。だからして結局
日本が海外に支払う外貨というものは、すなわち頭脳資源に対する
代償である、まことにわれわれとしてはふがいないきわみであると実は思うのであります。これは研究の問題とひっかかって参りまするけれども、とにもかくにもこういう
状態である。同時にまた
日本の外貨というものが少しなりとも黒字になっているというのですね。少しずつ最近は黒字らしい。その黒字はどこからきておるかというと、そういう頭脳資源はどんどん海外から買い入れているが、
あとは
日本の労働者の低賃金その他の犠牲においてだんだんと黒字が出てきつつある、こういうような政治は私はまことにへんぱな行き方であると実は思うのです。けれどもその辺においてとにかく
特許行政というものは、経済と密接な
関係を持つものであって、特に
外国人の
特許その他に対しては重大な関心を持ってこれに対する防衛策を講じてもらう、私は何も不公平にこれを拒否せいというのではありません。
資料をできるだけ整えて、そうして
理由が立つならばあまり広範な
特許を与えないで、そうしてできるなら
日本人と同じような立場においてこれを拒否する、こういうような行き方に対して特に留意をしてもらいたいと思います。
そこでただいま
外国人に対する
特許の
出願の問題が出ましたが、今度の
改正案の「原子核変換の方法により製造されるべき物質」というものは、
特許のなにから除外するというようなことが書いてあるようであります。これは一体どういうことでありますか。「原子核変換の方法により製造されるべき物質」というのは、原子力
関係の
特許がたくさん
日本に出ているからそれを防ぐためにお出しになったのか、それとも何かほかに意図があって、こういう条項をお設けになったのか、伺いたいと思うのであります。