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松尾(泰)
政府委員 ちょっとただいまの
お尋ねに対してお答えいたします前に、
先ほどの問題について補足さしていただきますと、現在の貿易
為替管理法におきましても、
国内産業を
保護するという
趣旨は何らないわけでございますが、
外貨の
有効利用をはかるということになっておりまして、
外貨の
有効利用の手段として
輸入為替を許可するということが認められておるわけであります。ところがその場合におきましてやはり限られた
外貨を有効に使うというふうな角度から、
必要物資を優先する、
国内産業で間に合っている
ような
物資は、かりにそれが重要
物資でありましても、若干
考え方の
順序を低くして考えるということはお認めを願えるかと思うのであります。その結果といたしまして、
輸入制限の運用が
国内産業保護的に間接的に効果を持つ場合があり得るだろうということは、
一つ御了解を願いたいと思うのでございます。
それからただいま
お尋ねの琉球パイン
産業の問題でありますが、御
指摘の
ように琉球という地域の特殊性にかんがみますれば、これは
輸入の
観点から申しますれば
外貨を支払うわけであります。ドルを支払っておるわけでありますので、
外国ではございますけれ
ども、地域的また民族的な感情から申しまして特別な配慮をいたしておるわけであります。それがために琉球からの
輸入につきましては全部無税にいたしております。またあらゆる
輸入につきまして自動承認制下において、ほとんど日本
国内と同様の扱いを貿易面ではいたしておるわけであります。従いまして琉球パイン
産業につきましては、
国内産業に準じた
考え方をいたさなければならぬかと思っておるのでありますが、他方
パイカンにつきましては、台湾
政府との協定がございまして、現在までのところ年間二百五十万ドルの
輸入をいたす約束になっておりまして、上期におきまして百万ドルの
割当をいたしましたために、下期におきましては百五十万ドルの
割当が残っておるのであります。そこで琉球側の御
要望もあり、また台湾との通商協定履行の
関係もありまして、われわれといたしましては、できるだけ両方の顔を立てると申しますか、両方の
利益を
保護するということで考えておったのであります。先般来琉球
政府代表のみならず
業界代表もお見えになりましたので、日本側の
関係省及び
関係業界等で十分議を尽しまして協議をいたしました結果、この辺ならば大体両方の利害を調整し得るのではないかという結論になりまして、百五十万ドルの台湾の
輸入割出をいたすことにいたしたのであります。
差益率も、従来の三六%を三〇%に引き下げたのであります。台湾
政府から見ると、若干不満の
ようではありましたが、沖縄問題の特殊性もあり、台湾側も了承してくれたというふうな状況であります。今後琉球パイヵンの
輸入は、先方におきまする生産の増に伴いまして、ますますふえて参るわけでございます。三十四年度におきましては、一応五十六万ケースというふうにいわれておるのであります。従いましてこれを日本で
輸入し、消化することも、われわれは考えなければなりませんし、他方日台通商協定は、本年三月で一応切れて、四月から新協定になるわけであります。実はこの三月から東京におきまして、通商交渉を開始する予定になっております。現在のところ琉球
パイカンの
価格が若干割高であります
関係もありまして、どうしてもこれを消化いたすためには、台湾側に譲歩を願って、協定上はかなり削減をいたすほか方法がなかろうかというふうに考えておるのであります。戦前におきましては、
国内においては百万ケース以上の
パイカンの消費かあったわけでありますが、現在のところは
価格の高い等の
関係もありまして四、五十万ケースくらいの消費かと思います。今後の一年間といたしましては八十万ケースくらいの消費を予想いたしております。要は
価格を引き下げまして
輸入を多くするということなんで、そのためには琉球側におきましても
価格の引き下げに御努力を願わなければいけないわけであります。琉球の
価格を
基準にしてものを考えておりますと、どうしても琉球そのものの消費すら困難であるというふうな
事情もあろう、先般も琉球
政府にその点はよく
お話を申し上げて善処を願う
ようにお願いをしておる
ような次第であります。