○岩武
政府委員 たびの問題は御
指摘がありましたように、消費者の需要構造が変ってきた問題でありますが、なかんずくたびの
生産の過半数を占めておりました行田地区の
関係業者に与える
影響は、かなり大きいものだと思っております。実は前々からそういうふうな需要構造の変化等を見合いました上で、一面において
中小企業としましては、その転換を早目に指導するために、一昨々年でありましたか、
企業診断を行なっております。縫製加工業に、この行田地区の
業者の一部を軟換さすには、どういうふうにしたらよいかということにつきましても、若干の結論を得て指導して参ったわけであります。
それからもう一つは、普通の繊維
関係の
輸出廃業と違いまして、消費者の需要構造の変化でありますれば、これは一時の不況ということと違いますので、その転換と同時に
業界がうまくしのげるようにということで、当時の
中小企業安定法に基きまする調整組合を作り、
生産制限あるいは設備制限といったことの指導もして参ったのでございます。不幸にしまして、あとの方の調整措置は、行田のみでございませんで、全国的な問題でありますから、
業界内部の
意見不一致のためにその成果を見ませんで、現在に至っております。そこで縫製
関係の方はかなり現在まで成果をあげているものと見受けられております。
生産金額にしましても、年間約二十億円近いものになっているようでございますので、現在におきましては、おそらく昨年あたりのたびの
生産にやや近い
生産をあげているのじゃないだろうかというふうに推測されております。しかしながらそれだけで、とても
関係業者の窮状を救うわけに参りませんので、そこでこれは一部行田地区
業者のいわば自発的な転換意欲もありましたのが、丸編み機によりますくつ下の問題であります。これにつきましても
中小企業庁の
関係者の方も、適切な計画だろうと思いましてその転換については賛意を表し、かつ転換が
関係業者全体にうまく運ぶように、つまり一部の
業者のいわば先走った抜けがけ的なことにならぬようにというふうな指導もしようと思いまして、昨年の秋以来
関係の
業者にはできるだけ早く現在ありまする協同組合を基礎として、転換の計画を具体的に作るようにということを指導して参っております。内部の利害
関係あるいは先行きの見通し難等もありまして、現在までにまとまった計画は出ておりません。他方転換先でありまするくつ下
関係の方が、必ずしも好況で
生産がどんどん伸びるという
業界でもありませんので、これはまたある程度調整措置を必要とするような
段階に立ち至っております。そこでわれわれとしましては、くつ下自体の
生産ないし設備のある種の制限ということも、くつ下
業界の安定をはかりますためには必要かと存じておりまして、そのための法令的な措置も一部緒につけたわけであります。同時にそういうことによって、せっかく行田地区の
業界がまとまって転換されるということをはばんでは困りますので、そこらあたりどの程度の規模で転換するかということを、目下両
業界でも
話し合いをしておるようでございます。またわれわれも県当局を督励しまして、早く行田地区の転換の計画をまとめてくれ、そうしないとくつ下の方の
業界の不況対策措置もどんどん進んで参るのだから、もうこれは半年以上も問題になっておりますから、いいかげんなところで早くまとめてくれということを、やかましく県当局に督励しております。情報によりますればかなり話も進んで参って、ある種の目安もつくかというふうに聞いております。いずれにしましてもこれは通常の景気変動を受けた
業界とは違いまして、いわば構造変動の犠牲
産業でありますので、もとの
生産品種でしかも昔の盛況を取り返すというわけにはとうてい参りません。この際秩序立って転換をしてもらうということが必要だろうと思います。そのためには行田地区の
関係業界の一致した
努力を特に希望したわけでございます。