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1959-02-17 第31回国会 衆議院 商工委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年二月十七日(火曜日)     午前十一時三十分開議  出席委員    委員長 長谷川 四郎君    理事 小川 平二君 理事 小平 久雄君    理事 中村 幸八君 理事 南  好雄君    理事 田中 武夫君       赤澤 正道君    新井 京太君       岡本  茂君    岡部 得三君       菅野和太郎君    木倉和一郎君       始関 伊平君    關谷 勝利君       中井 一夫君    野田 武夫君       野原 正勝君    渡邊 本治君       板川 正吾君    今村  等君       内海  清君    大矢 省三君       勝澤 芳雄君    鈴木  一君       堂森 芳夫君    中嶋 英夫君       水谷長三郎君  出席政府委員         通商産業事務官         (大臣官房長) 齋藤 正年君         通商産業事務官         (重工業局長) 小出 榮一君         通商産業事務官         (軽工業局長) 森  誓夫君         通商産業事務官         (鉱山局長)  福井 政男君         通商産業事務官         (繊維局長)  今井 善衞君         中小企業庁長官 岩武 照彦君  委員外出席者         専  門  員 越田 清七君     ————————————— 二月十四日  委員今村等辞任につき、その補欠として小松  幹君が議長指名委員に選任された。 同日  委員小松幹辞任につき、その補欠として今村  等君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 二月十六日  中国産生漆輸入に関する請願羽田武嗣郎君紹  介)(第一四四一号)  同(濱田正信紹介)(第一五〇二号)  同外八件(飯塚定輔紹介)(第一五四五号)  同(大橋武夫紹介)(第一五四六号)  同(秋田大助紹介)(第一五四七号)  同外十件(坂田英一紹介)(第一五四八号)  同外二件(田村元紹介)(第一五四九号)  同外二件(竹内俊吉紹介)(第一五五〇号)  同外一件(野原正勝紹介)(第一五五一号)  同外四件(平野三郎紹介)(第一五五二号)  同外三件(藤本捨助君紹介)(第一五五三号)  同外二件(南好雄紹介)(第一五五四号)  同外二件(村瀬宣親紹介)(第一五五五号)  同(村上勇紹介)(第一五五六号)  日中貿易再開促進に関する請願羽田武嗣郎君  紹介)(第一四四二号)  輸出入取引法の一部を改正する法律案反対に関  する請願外四件(中澤茂一紹介)(第一四九  五号)  小売商業特別措置法案の一部改正に関する請願  外五件(中澤茂一紹介)(第一四九六号)  小売商業特別措置法案の一部修正等に関する請  願(栗原俊夫紹介)(第一四九七号)  同外四件(東海林稔紹介)(第一四九八号)  同(中澤茂一紹介)(第一四九九号)  同(芳賀貢紹介)(第一五〇〇号)  同外二件(山中日露史紹介)(第一五〇一  号)  日中貿易再開に関する請願外十九件(押谷富三  君紹介)(第一五五七号)  同外二十四件(菅野和太郎紹介)(第一五五  八号)  同外六件(松田竹千代紹介)(第一五五九  号)  同外六件(山村庄之助君紹介)(第一五六〇  号)  同外十件(古川丈吉紹介)(第一五六一号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  プラント類輸出促進臨時措置法案内閣提出第  一〇一号)  軽機械技術提携に関する件  繊維産業に関する件      ————◇—————
  2. 長谷川四郎

    長谷川委員長 これより会議を開きます。  軽機械技術提携に関する件について、質疑の通告がありますので、これを許可いたします。勝澤君。
  3. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 私はアメリカジョンス・マンビル久保田建材社との間のドライ・プロセスによるカラベストス製造技術援助契約締結認可申請に関しまして、経過についての緊急質問をいたしたいと存じます。  まず最初に、本問題に入る前に、石綿スレート産業の今日の現況、久保田建材社の行なっているアメリカジョンス・マンビル社とのカラベストスに関する技術提携の今日までの経過、こういう点について局長の御回答をお願いいたします。
  4. 森誓夫

    ○森(誓)政府委員 日本石綿スレート業界は五十年の歴史を持っておりまして、ととに二、産年前からは、たとえばフレキシブル・ボードなどという相当技術的に進んだものも作るというようなことで、相当の発達をいたしてきているのでございます。しかしながら、建築用材のうちで特に住宅用もの等につきましては、いろいろ需要家などの意見を聞きましても、いろいろな不満が申し出されておりますが、これはまだそういう方面についての歴史が非常に浅いところからくるためだと思っておりまして、将来の石綿スレート業界の進むべき方向としては、そういう住宅不燃化を目ざした適当な材料の生産という方向に進んでいかなければならないというふうにわれわれは考えております。  ところで、この久保田建材カラベストス技術導入の問題は、昨年の初めころから、その申請がわれわれのところに提出されているのでございますが、何しろ新しい建築資材でございまして、国内にもあまり経験のないものでございますので、審査も相当困難なわけでございます。通産省としましては、これをいろいろ国立の試験所試験をするとか、あるいはこの製造技術に関してすでに日本特許で、特許の公告もされておるというふうなこともありまして、それらの内容につきましていろいろ技術的に研究をいたすということもしておりますし、そのほか学識経験者あるいは需要家、あるいは関係官庁等意見もいろいろ取りまとめるというようなことをいたしまして、現在もまだそういう意見の取りまとめの段階でございまして、今日までわれわれの研究してみたところでは、ある経度いいようなところも感ぜられるのでございまするが、まだ関連業界との関係等につきましては、さらにわれわれ今後も研究をいたさなければなりません。従って現在のところでは、われわれとしては、まだ最終的な線を出していないという段階でございます。ただこの問題は、かつて日米石綿問題として類似ケースが非常に騒がれたのでございますが、それとの違いと申しますと、前の場合には、そういうジョンス・マンビルという外国系会社が、日本における新しい会社の株を五二%持つというふうな、むしろ日本企業外国企業かわからないような経営体をとろうとしていたのでございますが、今回の場合は単なる普通の技術導入でございまして、パテント料とかあるいはノーハウの代金を払うという、単なる普通の技術導入ケースにすぎません。また入れようとする技術ドライ・システムと申しまして、日本では現在行われていないような新しい方法で着色の石綿スレートを作るのでございます。これはこの前はフレキシボード技術導入でありまして、この前のときには日本でも若干そういう同じものが生産されていた、それと同様のものについての技術導入をしようということで、政府としても既存業界への影響につきまして、大きく問題として考えなければならなかった次第であります。さらにまたこの前のときには製品種類が非常に広範にわたって、その導入技術によって作られるということになっていたのでございますが、今度の場合は、単にヵラベストス、着色された石綿スレートの板と申しますか、そういうものだけに製品が限られているというようなことで、日本既存業界に与える影響も前のと比べますと著しく小さいというふうな点が違っておりまして、この問題を前回日米石綿問題とあたかも全く同じような感じで取り扱うということは、われわれとしては注意しなければならないのじゃないかというふうに思っております。いずれにしろ、今後ともいろいろ業界なりあるいは関係官庁等ともよく打ち合せをいたしまして、その上で最終的な線を決定いたしたいというふうに考えております。
  5. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 ただいまの御説明ですと、意見を取りまとめ中でまだ未決定だ、こういうふうに言われておりますが、その通りですか。
  6. 森誓夫

    ○森(誓)政府委員 今日までの研究の結果ではこれを進めまして、関係官庁幹事会等に出し、あるいはその後の機関にお諮りするというふうにしていいのではないかというふうに思っておりますが、しかし許可条件等につきましては、まだこれからいろいろ研究しなければいけない段階でございますし、また業界との意見の調整ということにつきましても、まだいろいろ残された点がございますので、われわれとしてはまだ最終的に方針をきめたということは言えない段階にあると考えております。
  7. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 私の業界から聞いておることとちょっと違うように思うのですが、二月の五日に新田課長の方から、通藤省としては技術導入に踏み切った、こういうことで認可理由についての説明があった、こういうことがいわれ、また業界の方の石綿スレート協会からは、これに対する声明書が出されておるわけでありますが、今の御説明ですと、まだそこまで行っていなくて、十分業界意見を聞いて相談をして、それによってきめていきたい、こういうことでございますね。
  8. 森誓夫

    ○森(誓)政府委員 おっしゃるように、役所としては一応の——これを進めていこうという気持は持つに至っておるのでありますが、しかし現実にこれをどういう形で許可をするかどうか、あるいは許可する場合の条件をどうするか、具体的にどういう形でこの問題を収拾するかということにつきましては、われわれはまだ未決定でございまして、今後業界ともいろいろ話し合いをいたして、そういう最終的な姿をきめたいというふうに考えております。
  9. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 大へん通産省取扱いとしては、慎重になさっておることで、大へんけっこうなことだと思います。特にこの問題につきましては中小企業の多い問題でありますし、業界が一致をして反対をしておる、こういうものでありますから、やはり取扱いにつきましては、念には念を入れてやることの方がいいと思いますから、十分その点につきましては業界意見を聞いてやっていただきたい。  そこで、今説明の中では、昭和二十九年の四月八日あるいは二十九年五月十二日当商工委員会で問題になった日米石綿工業とは違うんだ、こういうことが言われております。そこで日米石綿工業というものと、今度の久保田建材というものとは、どういうふうに違いがあるのですか。それと、関連性はどういうふうになっておるのですか、この点について御説明を願いたいと存じます。
  10. 森誓夫

    ○森(誓)政府委員 先ほどもちょっと申し上げましたが、前の日米石綿の場合には、まず第一に、日本でそれを導入する企業者性格が、今回と違っておりまして、合弁会社であったということであります。つまり、前回の場合は、ジョンス・マンビル及びその系統の会社持ち株が、日本でその導入技術をもって産業を営もうとする企業体の五二%に達しておりましたので、つまり、過半数は外国系会社持ち株であるということであります。そういうひどい姿の合弁会社で、この導入技術企業化をやろうとしておったのでございますが、今回の場合は、普通のパテント料を払い、ノーハウを払う、それだけでございまして、企業経営に関与されることもないし、利益配当を与える必要もないし、普通の技術の代価にすぎないのであります。  それから第二点は、技術導入をいたして作ろうとする製品の品目が、前回の場合は非常に範囲が広かったのでございます。たとえば前回の場合は、フレキシボード中心ですが、そのほかに、石綿セメント板類とかあるいは平板類とかいうふうないろんな種類のものがありましたので、この導入技術によって、日本石綿スレート業界は全面的に影響を受ける、有力な競争者の脅威を受けるということになっていたのでございますが、今回の場合は、カラベストスという着色された、石綿板で、しかもこれの用途は大体住宅外装用で、われわれは下見板を使って従来やっておりますが、それのかわりになる住宅外装用のものでございます。そのほかに屋根あたりに使われるというものも少数ございますが、主体は住宅外装用のものでございます。それに限られておるのでございますから、これは既存業界に与える影響というのは、前回と比べまして非常に小さいというふうに思います。  それから第三点としては、この導入しようとする技術が、日本では、今回のものは全く新しいものであるということでございます。前回の場合は、すでに国内でも同様な技術を用いて行う生産が若干見られたのでございますが、今回の場合は、そういうものが国内には全くないというものでございます。そういう点からしまして、既存業界に与える影響が非常に軽微であるというふうに考えるのでございます。そういう点で前回日米石綿問題と今回の問題とは、大へん性格が違うものだというふうに考えております。
  11. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 前回日米石綿と今回の久保田建材とは違うということを言われたのですけれども、しかし根本というりのは、アメリカの方はジョンス・マンビルだということは明確なんですね。ただこの前は、日米石綿工業を作った、今度はそれをやめて久保田建材にした、こういう違いしかないように私は思う。久保田建材というのは、今現実にこれと似たような仕事をしておるのですか、どうですか。それと、違う、違うと言われておるのですが、背後にあるといいますか、もとといいますか、根本は、ジョンス・マンビル日本にこのような技術を入れたい、こういうねらいですから、根本的には二十九年に行われた問題と何ら本質的には違いがない、こういうように思うのです。そうして本質的には、一体ジョンス・マンビルはどういうねらいを持って日米石綿でだめになって、今日久保田になってきたのか、こういう点について監督官庁としての御見解を賜わりたい。
  12. 森誓夫

    ○森(誓)政府委員 御指摘のように、技術を提供しようとするものは前回と同じであります。それから今回技術を受けようとする久保田も、まあ石綿スレート製品類似のものとして、エタニット・パイプを作っておりますが、これは一種の石綿スレート製品でございます。今回のカラベストスにも、そのエタニット・パイプの廃材、端ぎれ、そういうものをカラベストス原料にして再使用しようというふうなねらいを持っておるようでございます。そういう意味で、現在久保田建材カラベストス関係のある仕事をしているということが言えると思います。それから前回日米石綿と全く同じであるという御指摘でございましたけれども、提供者は同じでございまするけれども、その入れられる形が違うということを先ほど申し上げたわけでございまして、この入れる形の相違があることをわれわれはよく注目いたしまして、前回とは場合がやはり違っておるように思うのでございます。
  13. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 私はしろうとですから、あまり技術的な内容はよくわかりませんですけれども、国内におけるこれと同じようなスレート産業業者は、これに対してどういう意見を持っておられるのですか。
  14. 森誓夫

    ○森(誓)政府委員 そのこまかい点について一々申し上げるのはどうかと思いますが、きわめて大づかみに申しますると、第一に、今回入れようとする技術日本にとっては新しいものではない、すでに日本では試験済みのものである、そうしてだめである、ということが、まず一番大きい反対点でございましょう。それから次には、ジョンス・マンビルという会社は元来世界制覇をねらっている会社で、今回この技術導入することによって、日本石綿スレート業界を席巻しようとしているということも言っております。そのほか、この技術導入による会社を作りますと、石綿の需給上非常に混乱を来たして、既存業者石綿の円滑な配給を受けられなくなるのじゃないかというようなことも言っておりますが、そういうふうな点を中心にして反対をいたしておるのであります。
  15. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 私の手元にありますのを見ますと、石綿スレート協会あるいは石綿製品工業会岩綿工業会全国硅藻土協会東京保温保冷工業協会、この業界があげて全部反対をしておる、こういうふうに思うのですが、通産省は当然この業界行政を担当されている立場から、業界意見をどういうふうに聞いて、この反対をどういうふうに理解をされて、行政の中で今回のこの導入の中に考えられておるのか、その点について伺いたい。
  16. 森誓夫

    ○森(誓)政府委員 反対運動の中にはたくさんの団体名前が並べられておりますが、これは前回反対運動の際にも名前を連ねてきた団体が、ほとんど全部そのまま出てきております。しかしわれわれとしては、このカラベストス影響が、実際にはどの範囲業界に及ぶかということをまず明らかにいたしてみますと、必ずしも影響の及ばないような業界もあるわけです。たとえば岩綿とか硅藻土とか関係がない業界業界としての徳義上、名前を連ねている関係だと思いますが、そういうこともあります。従ってわれわれとしては実質的にこのカラベストス影響関連のある業界につきましては、よくそういうところと話し合いをいたしまして、できるだけ業界の納得を得るように努めていきたいと考えております。
  17. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 業界意見というのは大へん穏当な意見を出されておると私は思うのです。第一の問題は、品質比較試験をやってもらいたい、第二番目の問題は、技術コストに関する討論会をやっていただきたい、第三は建材に関する学識者見解を聞いていただきたい、こう言われておるのです。この問題については、まだこれから十分聞いてやる、こういうことでございますか。
  18. 森誓夫

    ○森(誓)政府委員 業界と話し合う際に、もちろん技術等の点でわれわれが今日まで研究したところを披瀝いたさなければならないと思います。そういう機会を今後も作りたいと思っておりますが、これがただ公正にまたきわめて能率よく行われるような方法を、今後ともわれわれは考えていきたいと考えております。
  19. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 そうしますと、まだこれから十分聞いていきたい、こういうふうに私は理解するのですが、それでは具体的な内容について少し、私はあまり専門家でないのですけれどもお聞きをいたしておきたいと思うのです。  この業界からの一致した意見としては、技術は新しい技術ではない、こういうことを言われておるのです。これは私は大へんな問題だと思うのです。通産省の方では、これは新しい技術だ、こう言われておる。しかし業界の方ではこれは新しい技術ではない、こういうことが言われております。それから品質の面についても日本十分品質がいいものができる、こういうことが言われておるわけでございまして、もしどうしてもこの方が品質がいいとなれば、やはりお互いが納得する立場十分品物研究して、そうしてその結果われわれの方の技術が悪い、こういうことならば考えるけれども、今言われておるように日本技術もいいということが言われておるわけであります。あるいはこの経済性の問題につきましても、これはコストが安い、こういうことが言われておるけれども、片方の業界意見によりますと、これはそうではない、こう言う。それから需要面についても同じことが言える、あるいは原料石綿についてもいろいろと問題点がある、輸出についてもある、こういう工合に、業界として意見がもう明確に対立をしているのです。ですから、この明確に対立している問題について十分な話し合いもせずに入れていくということになりますと、これは大へんな問題になるのじゃないだろうか、こういうように私は思うのですが、その点どうでしょう。
  20. 森誓夫

    ○森(誓)政府委員 ただいまいろいろ両者の技術的な比較上の問題についてお話がありましたが、これらについてわれわれとしてはここで一々御答弁いたすのはまだ尚早であろうと思いますので遠慮さしていただきますが、業界とやはり円満に事を進めていくためには、そういう点について話し合いをいたしたいというふうに考えておるのであります。ただそういう方法等につきましては、一番弊害の少い、能率のいい方法考えていきたいというふうに考えております。
  21. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 弊害の少い、能率的な方法というのが実はよくわからないのですが、その意見というのは、この業界が言っているようなことでやっていく、こういう意味なんでしょうか。
  22. 森誓夫

    ○森(誓)政府委員 そのために事柄が長引くようなあまり大仕掛なことをやるということは慎重に考えなければいけないと思うのであります。やはり業界の非常に良識ある公正な判断をせられる方々と話し合いをしていくということを、私は意味しておるわけであります。
  23. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 長引くことがいけない、こういうふうに言っておられるのですが、それは二十九年のときにこれが問題になったのです。二十九年のときには、合弁会社だからというような理由で言われておりました。今回は先ほどの御説明ですと、もう相当前からこの問題が出されておったというふうに言われておるわけです。ですから今までの経過から考えてみれば、ここ半年や一年おくれたからといって、別にどうということはない、こういうふうに思うのです。ましてや国内石綿スレート産業界としては、これは死活の重要な問題なんです。ですからそういう点でもっと一つ業界意見をくんだ誠意ある処置というものについての御見解を賜わりたいと思います。
  24. 森誓夫

    ○森(誓)政府委員 これからいろいろと業界と円滑に事を進めていくためには、いろいろ先ほど御指摘のあったような点につきましてお互いにその考えを披瀝しまして、そうして十分言いたいことを言うということをやっていかなければならないと考えるのであります。そうしてその結果、業界意見でとるべきものはとる、捨てるべきものは捨てるということで、最終的な公正な方針決定をいたしたいというふうに考えております。
  25. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 局長の話を聞いておりますと、大へん公平なように思うのですけれども、しかし何かきめて、既定事実の中で業界に押しつけようというような感じが私はするのです。しかし最初私が確かめましたところ、これについては技術がいいという立場は持っておるけれども、まだこれを明確に認可をするということはきめておられない、こういう立場なんでしょうから、まだこの業界意見らいえば相当時間がかかる、こういうふうに私は思うのです。ですからそういう立場でものを考えていただいて、あくまでも国内産業育成する、足りない技術でもここ半年、一年かかればまだよくなるという見通しがあるならば、これはもう当然よその技術を入れる必要がありませんし、またその技術をよくするために、通産省の中でもいろいろ技術研究をされていることがあるわけですから、そういう建前でこの問題についてはお考えをいただきたいと思うのですが、どうでしょう。
  26. 森誓夫

    ○森(誓)政府委員 もちろんわれわれは国産技術育成ということに一番努力をいたさなければならないのでございますし、そういう意味通産省としてもいろんな政策を実施しておるのでございますが、ただ遺憾ながら努力最高度にいたしましても、すべての技術の面で国際水準に、短期間に到達できるというものでもないわけでございます。その場合にはやむを得ず技術導入をいたしておるわけでございます。ものの考え方といたしましては、ただいま勝澤先生のおっしゃったような考え方で、われわれは今後あらゆる技術導入の問題にも処していきたいと思っております。しかしこれは技術導入は全然しないという意味ではございません。そのように国産技術育成考えてみてもなお足りない場合には、外国技術導入によってそれが国内技術の刺激になり、ひいては国内技術の向上をはかる結果になるというような場合もある、そういう場合には技術導入をせざるを得ない、こういうふうに考えております。
  27. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 二十九年十二月の二十一国会の衆議院の大蔵委員会におきましても、この外資の導入につきましては、特に中小企業を著しく圧迫されることのないよう特段の考慮をせよということがなされておるわけでありまして、この点は十分御存じだと存じます。従いましてこの問題につきましては、先ほどから十分お話がありまして、また業界意見をこれから十分聞いて、そして納得をしてもらわねばならぬと言われておるわけでありまして、業界があげて反対をしている。こういう中では取扱いは十分慎重にやらなければなりませんし、それから新しい技術だ新しい技術だと局長は言われておるけれども、業界の方は別に新しい技術ではございませんと言っておるのですから、その点も私は大きな問題だと思うのです。もし新しい技術だというならば、なおさら、やはり専門的な立場の国の機関があるわけですから、そこで業界が納得する立場比較検討させる、こういうことを十分やっていただかなければならないと存じますし、なおかつあるいは研究や設備あるいはそのほかに対して、国内産業を優先するという立場でおられる通産省ですから、当然そういうこともやっていただかなければならぬというふうに思いますので、一つこの問題につきましては、私が先ほど申し上げました三つの業界の希望というものを十分取り入れて、そして早く許可をせねばならぬという立場でなく、やはり十分の国内産業の実態、中小企業に及ぼす影響考えられて、納得のいく形の結論というものをお出し願うようにお願いいたしたいと思います。
  28. 森誓夫

    ○森(誓)政府委員 今後の仕事の進め方につきまして、御要請を受けたのでございますが、われわれとしては、これは関係のあらゆる方面の意見を聞きまして慎重に検討を進め、公正な結論を出すようにいたしたいと思っております。そのためにはもちろん初めから何か計画を持って、ぜひその型に入れなければならないというような考え方はいたさないつもりでございます。
  29. 勝澤芳雄

    ○勝澤委員 最後に本問題につきましては、私もあまり専門的な立場でございませんし、また局長技術の問題についてはそう専門的な立場でないと思いますから、これは専門的な機関があると思いますので、また先ほどからも意見を取りまとめ中だと言われておりますから、十分業界意見をくんで、問題がまた本委員会に持ち出されることのないよう、十分な配慮をして、特に国内産業を積極的に今後助長していく、こういう立場で行われるよう強く要望いたして、一応この問題についての私の質問を終ります。     —————————————
  30. 長谷川四郎

    長谷川委員長 次に繊維産業に関する件について質疑の通告がありますので、これを許可いたします。板川正吾君。
  31. 板川正吾

    ○板川委員 私は、一地方的問題のようでありますが、実は日本のたび業界に関する問題でありますので、若干時間をいただきまして、行田市のたび産業に携わる零細企業者の転業問題について、岩武中小企業庁長官に質問をいたしたいと存じます。  御承知のように、行田市は明治の初年以来一世紀にわたりまして、たびの生産に従事をして参りました。そうして最盛期には日本の六割のたび産業を担当して、たびの町として知られておったのであります。ところが一昨年まではまあまあやって参ったのでありますが、昨年の暖冬異変あるいは国民の生活様式の変化、こういうような原因から非常に急速にたびの需要が減って参りまして、年間六千万足を出産しておったのでありますが、昨年は二千万足で間に合っている、将来の需要というものを考えた場合には、従来の三分の一程度で間に合っていく、こういう見通しが濃厚となっているので、そのために行田のたび業者の三分の二が生産を停止し、工場が相次いで閉鎖をし、失業者が数百人出ている状況であります。一時工場といたしましては三百七十工場ありましたが、現在は二百二十、転業あるいは休業、廃業は百五十工場に達しております。従業員も一時は五千七百人おりましたが現存は二千七百人ぐらいしかいない、三千人からが他に転業せざるを得ないという状態になっておりまして、行田地方及び日本のたび帝業が非常な衰退をしておることは御承知と思うのであります。幸いにいたしまして、その関係者の努力によりまして、他へ転業等の真摯な努力が行われております。その廃業は三分の二でありますが、三分の二の半分、これがくつ下産業に転換をする、あとの半分が縫製工場等に転換をする、こういうふうになっておるのであります。  そこで私はお伺いいたしたいのでありますが、この行田のたび産業、これは衰退産業でありましょうが、こういうたび産業に対して将来どういうような指導方針を持っておられるか、この点をまず中小企業庁長官にお伺いをいたしたいと思います。
  32. 岩武照彦

    ○岩武政府委員 たびの問題は御指摘がありましたように、消費者の需要構造が変ってきた問題でありますが、なかんずくたびの生産の過半数を占めておりました行田地区の関係業者に与える影響は、かなり大きいものだと思っております。実は前々からそういうふうな需要構造の変化等を見合いました上で、一面において中小企業としましては、その転換を早目に指導するために、一昨々年でありましたか、企業診断を行なっております。縫製加工業に、この行田地区の業者の一部を軟換さすには、どういうふうにしたらよいかということにつきましても、若干の結論を得て指導して参ったわけであります。  それからもう一つは、普通の繊維関係輸出廃業と違いまして、消費者の需要構造の変化でありますれば、これは一時の不況ということと違いますので、その転換と同時に業界がうまくしのげるようにということで、当時の中小企業安定法に基きまする調整組合を作り、生産制限あるいは設備制限といったことの指導もして参ったのでございます。不幸にしまして、あとの方の調整措置は、行田のみでございませんで、全国的な問題でありますから、業界内部の意見不一致のためにその成果を見ませんで、現在に至っております。そこで縫製関係の方はかなり現在まで成果をあげているものと見受けられております。生産金額にしましても、年間約二十億円近いものになっているようでございますので、現在におきましては、おそらく昨年あたりのたびの生産にやや近い生産をあげているのじゃないだろうかというふうに推測されております。しかしながらそれだけで、とても関係業者の窮状を救うわけに参りませんので、そこでこれは一部行田地区業者のいわば自発的な転換意欲もありましたのが、丸編み機によりますくつ下の問題であります。これにつきましても中小企業庁の関係者の方も、適切な計画だろうと思いましてその転換については賛意を表し、かつ転換が関係業者全体にうまく運ぶように、つまり一部の業者のいわば先走った抜けがけ的なことにならぬようにというふうな指導もしようと思いまして、昨年の秋以来関係業者にはできるだけ早く現在ありまする協同組合を基礎として、転換の計画を具体的に作るようにということを指導して参っております。内部の利害関係あるいは先行きの見通し難等もありまして、現在までにまとまった計画は出ておりません。他方転換先でありまするくつ下関係の方が、必ずしも好況で生産がどんどん伸びるという業界でもありませんので、これはまたある程度調整措置を必要とするような段階に立ち至っております。そこでわれわれとしましては、くつ下自体の生産ないし設備のある種の制限ということも、くつ下業界の安定をはかりますためには必要かと存じておりまして、そのための法令的な措置も一部緒につけたわけであります。同時にそういうことによって、せっかく行田地区の業界がまとまって転換されるということをはばんでは困りますので、そこらあたりどの程度の規模で転換するかということを、目下両業界でも話し合いをしておるようでございます。またわれわれも県当局を督励しまして、早く行田地区の転換の計画をまとめてくれ、そうしないとくつ下の方の業界の不況対策措置もどんどん進んで参るのだから、もうこれは半年以上も問題になっておりますから、いいかげんなところで早くまとめてくれということを、やかましく県当局に督励しております。情報によりますればかなり話も進んで参って、ある種の目安もつくかというふうに聞いております。いずれにしましてもこれは通常の景気変動を受けた業界とは違いまして、いわば構造変動の犠牲産業でありますので、もとの生産品種でしかも昔の盛況を取り返すというわけにはとうてい参りません。この際秩序立って転換をしてもらうということが必要だろうと思います。そのためには行田地区の関係業界の一致した努力を特に希望したわけでございます。
  33. 板川正吾

    ○板川委員 問題を分けて一つ質問したいのです。まず三分の二の業者が転業せざるを得ないその原因は、需要構造の変化から来ているのだから、また景気がよくなるということは見込みがない。どうしてもこれは転業せざるを得ないと思うのであります。それで転業する場合、たとえば綿業等については繊維工業設備臨時措置法、こういう法律があって、転業者に対する織機の一台当り買い上げ幾ら、こういうふうになっておりますが、あの法律によります綿織機一台当り買い上げは幾らだったのですか。
  34. 今井善衞

    ○今井政府委員 あの法律には綿織機一台当り買い上げ幾らというふうにはきまっておりませんで、ただあの法律といたしまして紡績機械あるいは織機、それから染色の織物の幅出機、この三つの機械が指定されておりまして、将来の需給計画を検討した結果、将来においてもなお余るという場合におきましては、廃棄とか格納とか、そういう措置を共同行為としまして通産省が指示する。その結果、たとえば織機につきましては買い上げの措置を講ずることができるということになっておるわけでございまして、今まで綿スフ織物織機、絹人絹織物織機、この二つを共同行為の指示対象といたしまして買い上げをいたしておるわけでありまして、買い上げ単価等は予算できまっておるわけであります。
  35. 板川正吾

    ○板川委員 予算で調べてみますと、政府で一台当り二万七千円を出し、それから残っていく業者が一台当り一万円を負担する。スクラップとして四、五千円、大体一台当り転業者の方に四万円見当をお支払いをする、こういうふうに聞いておりますが、大体その見当でありますか。
  36. 今井善衞

    ○今井政府委員 今年度及び来年度につきましては、大体その通りであります。
  37. 板川正吾

    ○板川委員 これはどこの担当かと思うのですが、三十二年の一月に精麦業者の整理があったと思います。小麦の輸入がずっと減って精麦の規模が過剰になったからということで、過剰精麦業者の整理があり、そのときにやはり一馬力二万円とかの見当で、転業者に資金が出たと思うのですが、この間の事情がわかりましたら参考までに知らしていただきたい、これは中小企業庁の担当ではありませんか。
  38. 岩武照彦

    ○岩武政府委員 食糧管理特別会計で過剰精麦施設の処理をしたということは聞いております。具体的なことは存じませんが、食糧庁の方で処理したと聞いております。ただあれは、私もよく知りませんが、戦後の食糧事情の結果、精麦施設の設置を国として勧奨したような面もかなりあるのじゃないかと思っております。その結果かどうか知りませんが、ああいうふうな企業整理になったのだと思います。そういう特殊の事情も実はあるのではないかと思っております。
  39. 板川正吾

    ○板川委員 全体として考えてみますると比較的大企業が不況の影響を受けたり、産業構造の変更等で転業するという場合には、いろいろ国家の施策なり対策なりが加えられておるのであります。ところがこの行田地区の産業というのは、一工場平均十四人というほんとうに零細工場であります。こういうような方が組織を起して陳情したりあるいは特別な運動をするという組織的な能力というのですか、そういうものがないのであります。私は中小企業庁としては、同じ中小企業でも零細な企業ほど真剣な対策をすべきじゃないかと考えるのであります。それでこの行田の零細なたび業者が転業する、これについていろいろな要望がお手元に出ておると思うのであります。第一は、過剰となったたびミシンを買い上げしてもらいたい。綿織機の場合には、ただいまお聞きの通りに買い上げ措置が講じられておる。この行田のたび業者の過剰となったミシンを買い上げするような措置が行政的にもできないかどうか、一つお伺いをいたします。
  40. 今井善衞

    ○今井政府委員 今のお話によりますと、綿スフ織物業とか、あるいは絹人絹織物業とか、比較的行田より大きなものに対しまして買い上げ措置が講ぜられておるというふうなお話がございましたが、これは私は誤解ではないかと思います。決してこの絹人絹織物業が、たび製造業に比べて大きいというふうなことにはなっていないと思います。ところで、繊維関係におきまして、今まで絹人絹織機並びに綿スフ織機、この二つにつきまして買い上げを行なっておるわけでございますが、これは御承知のように、綿スフ織物業並びに絹人絹織物業というのは非常に大きな輸出産業でございます。従いまして、この二つの業界を健全に発達させるということは、これは輸出関係から非常に大事である。そのままほうっておきますと、輸出値段が非常に下るとか、国全体として非常に思わしくない事情が起るということで、買い上げをやっておるわけでございます。そういう意味合いからいたしまして、この法律にもその業態が指定されておると思います。一般的に申しまして、先ほど来お話がありますように、行田のたび産業が構造的な変化からいたしまして、転換を余儀なくされておる。私どもも非常にお気の毒であると思いますけれども、しかしすぐ国の金をもって買い上げたらよかろうということには通じないのじゃないかと思います。と申しますのは、申すまでもなく、企業を興す場合には、これは自由な立場でございますから、従って、原則から申しますれば、その際転換なり何なりの場合にも、国の税金の形の予算というふうなことじゃなくて、業界の共助なりいろいろなことでもってやるのが建前ではないかと思います。ところで、先ほど申しましたように、この綿スフ並びに絹人絹は非常に大きな輸出産業である、これは全国的にまたがって非常に大きな輸出産業でございます。従いまして、これを健全に発達させるという意味合いからいたしまして、しかもこの不況下において業界自体力がない、そこで、国がやむを得ず補助いたしまして買い上げておるという状態でございます。従いまして、ほかの産業が困ったからといって、それにすぐ右へなららのほどうかというふうな感じを持っておる次第でございます。
  41. 板川正吾

    ○板川委員 私は綿スフ関係を非難しようという気持じゃない。事業の規模が行田より小さいというお説でありますが、どうも私には今手元に統計がございませんからわかりませんが、一工場十四人というのは、かえって行田の方が私は小さい規模だというふうに感じておるのですが、その点は議論の目的ではありません。ただ、今のお話ですと、輸出産業だから保護をする、そうして不況のために自力で何とかやれないからやむを得ずこうやるんだと言われるが、私は同じ形式で行田のたび産業の転換に援助してほしい、こういうことを要求しておるのではない。同じ形式でなくてもいいのでありますが、そういう輸出産業比較的大規模な産業等については、ともかく政府が何らかの措置を講じてやる、しかし行田のたび産業は、これは自由な企業だから、政府は何らの対策もしてやる必要はない、こういうお話じゃどうも私は工合が悪いと思う。それで、国家で買い上げるという同じ形式でなくても、たとえば企業整備転換に対する中小企業庁の予算等の中から、これに何らかの援助をするような方法は他にないものか、行政的措置でもいいからできないものであろうか、こういうことを聞きたいのであります。
  42. 岩武照彦

    ○岩武政府委員 行田の転換問題につきましては、われわれも、今お話のように、設備の買い上げというようなことではなくて、その他の面で十分な援助をしたいと思っております。ただ、問題はこういうことでございます。われわれがいろいろ援助しようということを考えておりましても、行田の諸君が、どうもわれわれの見るところでは、うまく組合としてまとまって行動されていないように思っております。たとえば転換資金を商工中金から貸し出しをさせようと思っておりましても、組合として動かなくて、個々ばらばらに、いわば早い者勝ちというふうな格好でやっておるように思います。そういうことでは、お話がありましたような、公平な、秩序ある転換ということはなかなかできませんし、あとへしこりを残します。せっかく協同組合がありますので、何とか組合としてまとまった転換計画を立てられて、一致して、上手に、秩序立った行動をされるようにということをお願いしております。先ほど来申しましたが、実は行き先の業界である丸編みのくつ下の方も不況だということで、そろそろ設備の制限も必要だといっております。それまでに何らかの範囲で行田の諸君が転換に間に合うように、いわゆるある種の、言葉は悪いですが、ワクとかいうことについて、せっかく努力していくようにということをやっておるわけであります。それから話がうまくまとまりますれば、商工中金あるいは中小企業金融公庫等にも転換資金については、十分なめんどうを見るようにということはいたしたいと思っております。あるいは県の当局の方も、聞くところによりますれば、転換におくれてどうしたらいいかわからぬというふうな、いわば零細企業者に対して何らかの措置を講じたいということで、せっかく商工部の諸君がいろいろ案を立てられております。そういうふうに、われわれとしましてもできるだけのことをしたいと思っておりますが、ただ、ばらばらで早い者勝ちということでは、これはとてもいけません。そこらあたり、私も行田の諸君が来ますたびごとにやかましく言っておりますが、なかなかむずかしいように存じております。今後ともそういう方向努力して参りたい、こういうふうに考えております。
  43. 板川正吾

    ○板川委員 確かにお説のように、行田の業者の一部では早い者勝ちという傾向があります。これは非常に悪いのでありまして、業界として秩序ある転換をはかるべきである、それには私は県の商工部で、もっと積極的な指導をやるべきだと思っておるのでありますが、どうも県の商工部がそういう点ではあまり積極的でないと思う。これはまた機会をあらためて他方面に話をいたしますが、一つ中小企業庁としても、なお御指導をしていただきたいと思います。  それからくつ下の転業の問題でありますが、くつ下業に三分の一近くの業者が転業を希望しておる。ところがただいまお話のように、既存のくつ下業界も今のところ不景気だ、こういうようなことで、行田のたびも転業するのはいかぬ、設備規制をしてほしいという声があったということでありますが、私も前々からこれは聞いておるのでありますが、この既存のくつ下業界の状態、これはどういうような現状だか説明を願いたいと思います。
  44. 岩武照彦

    ○岩武政府委員 くつ下の業界といいますが、これはフルフアッションの方ではありませんで、まる編みのメリヤスの編立機を持っております業界のことであります。関係の事業者の数も昭和二十五年末には千百名余りでございましたが、現在ではちょうど倍ぐらいになって、二千二百名をこしております。そうして現在の団体法に基きまして工業組合を組織しております。大体組合員が千八百名、約八割五分近い数であります。それぐらい業界になっております。それで設備の関係が二十五年末には一万六千台余りであったものが、現在では三万台をこしておる、つまり倍近くになっておるということで、その結果くつ下の生産高が二十五年に四百七十万ダース余りであったものが、昨年の統計ははっきりわかりませんが、一昨年の三十二年では千九百五十万ダース、約四倍半以上になっております。なお昨昭和三十三年の一月から八月まででも千二百四十万ダースぐらいになり非常にふえておる。しかもこの状況は、景気がいいからふえておるというような状況は当初若干見られましたが、最近ではそうではありませんで、価格もかなり下って、昨年の十月あたりでは、昭和二十九年に比べて約半分というふうな状況であります。あるいは採算もかなり悪くなって、中には倒産した業者もあるようでございます。そこでそういうふうなことでは、この業界の全体の安定を阻害いたしまするから、今度団体法の規定に基きまして、そのまる編みの編立機を持っておりまする業者に対しまして、設備の増設を押える措置を講じております。これは去る二月の初めにこの規則を出したわけでございます。これはひとり工業組合員だけでなくて、アウト・サイダーにも同じように及びますので、行田関係の問題がございますから、新設つまり今から新しく始めようという人の問題はしばらく見送りまして、行田の転換ともにらみ合せましてある種の措置を講じて、時期至ればあるいはその新設の方も押える必要があるのではないだろうかというふうに見ております。その時期等につきましては、もう少し転換業者関係等をにらみ合せてからいたしたいと考えております。いずれにしましても、先ほど申しましたように、くつ下の方も決して楽ではない、この方もたびに劣らぬかどうかというほどではございませんが、かなり不況の様相を濃くしておりますので、何らかの調整措置が要るという状況でございます。
  45. 板川正吾

    ○板川委員 くつ下業界も一般的には非常な不況で、組合には増設は規制をしておる、しかし新設については行田の転換等も考慮して、まあ時期をただいま考慮中、こういうお話であります。その処置を感謝するわけでありますが、聞くところによりますと、化繊会社の大手の会社ですね、ここらの重役で会社をやめられ、あるいは幹部級で会社をやめられた、こういう人たちが傍系でくつ下工場を五百台、千台という規模で作って、そうして原料は親会社から持ってくる、こういう動きが非常にあると聞いておるのでありますが、これに対して中小企業庁は、どういうように対処をされるつもりでありますか。
  46. 岩武照彦

    ○岩武政府委員 実はそういううわさも昨年の秋以来聞いておりますので、従ってそういうものが出ないように、設備の新設を抑えようということは考えたわけでありますけれども、どうも片一方に行田の問題がございますので、まあしばらく待とうということにしております。あまり大規模な業者が自分の資本力で出てくるのはまずいかと考えております。ただいろいろこの糸の供給その他を通じまして、かなり系列的な企業形態もあるようでございますが、現にすでにたびをやっている行田の諸君のうちにも、そういうものが若干あるようでございます。まあこういうのはどうも推奨する形ではないと思いますが、やはりある程度はやむを得ないかと思っております。直接大資本によりますくつ下の製造ということは、できるだけ自省してもらいたいと考えております。
  47. 板川正吾

    ○板川委員 先ほど中小企業庁としては、既序のくつ下業者と、行田の転換しようというくつ下業協同組合ですか、ここで何とか話し合いを円満にさせていくように仲介の労をとっておる、こういうことでありますが、その後その問題はどういうふうに発展しておるのですか。
  48. 岩武照彦

    ○岩武政府委員 まだ最後の話し合いはできておらないように聞いております。ただ話の空気は割合協調的に進んでおるというふうな情報は得ております。役所が中へ立ちまして何台がいいとか、何台は多過ぎるとか、何台は少な過ぎるということは言うべきことじゃないと思います。ことに将来の業界の運底の問題もございます。転換いたしますればやはりくつ下の業界になりますので、あまりあとにしこりを残すような形で転換を無理に進めるということはまずいかと思いますから、両方が円満にいくように外からアドヴアイスする、こういう状況でございます。
  49. 板川正吾

    ○板川委員 昨日の埼玉の新聞ですか、中小企業庁長官が現地を視察したい、こういうことがちょっと新聞に出ておりました。まあほんとうに実情を調査されて、一つ具体的な対策を今後ぜひとも立てられ、また指導をしていただきたいと思うのです。中小企業庁のこの設立の趣旨からいいましても、やはり中小のうちでも零細、下の方に一つ真剣な対策と考慮を払っていただきたいということを要望いたしまして、この行田たび産業転業についての私の質問を終りたいと考えます。     —————————————
  50. 長谷川四郎

    長谷川委員長 航空機工業振興法の一部を改正する法律案及びプラント類輸出促進臨時措置法案の両案を一括して議題とし、審査を進めます。質疑の通告がありますので順次これを許可いたします。板川正吾君。
  51. 板川正吾

    ○板川委員 ただいま議題となりましたフラント類輸出促進臨時措置法について、若干の質問を申し上げたいと存じます。  まずこの法案を要約すると、どういうことを目的として、またどういうことをやろうとしてこの法案を提出されたのか、一つ簡単に要点を説明していただきたいと思います。
  52. 小出榮一

    ○小出政府委員 プラント類輸出促進臨時措置法の提案の趣旨でございますが、終局の目的といたしましては、日本輸出の中で、今後ますます重要な比率を占めると思われまするプラント類の輸出促進ということを最終のねらいといたしまして、このプラント類の輸出を促進するためには、御承知のように従来これらの輸出は必ずしも順調に業績を上げていないという、その根本的な欠陥が見られまする点を是正したいという点でございます。そのためには、第一にはこのプラント類の輸出につきまして、いわゆるコンサルティングの態勢が日本国内において非常に弱体である。従いましてできるだけすみやかに強力なコンサルティング体制を確立したいということが、一つの要点でございます。  それからもう一つは、従来プラント類の輸出をいたしまする場合に、すべてこのコンサルティングから設計、最後の製造、引き渡しに至るまで全部輸出者あるいはメーカーそれ自体の企業リスクに基いて輸出をしなければならぬ。従いまして、輸出先の相手方から、輸出者である日本のメーカーなり輸出業者に対しまして、いろいろ品質なり性能その他の点につきまして保証を要求されるわけでございますが、まだ日本技術等が海外にそれほど十分に宣伝が行き届いていないし、また信頼度が先進国に比べて少いという現状から、非常に多くの保証を要求される、従いましてそれを全部企業自身のリスクでやらなければならぬという関係から、どうしてもこの輸出意欲というもの、あるいは輸出価格というものにつきまして、それらのリスクをコストの中に織り込まなければならぬという面から、国際競争におきましても不利な条件をしいられる場合が多いわけであります。従いまして、それらの点をカバーいたしまするために、コンサルティングの欠陥に基いて起きまするいろいろな保証条項に基く違約金の支払い等につきまして、政府が補償をするということによって安心してプラントの輸出の契約ができるような道を開こう、こういう点が、ごく簡単に申しますれば、この法案のねらいでございます。
  53. 板川正吾

    ○板川委員 こういうような措置が外国に例がございますか。——なぜ日本だけこういうものが必要とされるか、その間の説明をしていただきたい。
  54. 小出榮一

    ○小出政府委員 諸外国と申しましても、要するに日本と競争関係にあります機械工業等の非常に発達しております先進国ということになるわけでありますが、米英あるいは西独、ベルギーその他の先進国におきましては、もちろん今回この法案においてねらいといたしておりますようなリスク補償制度というものはとっておりません。これは要するに、それらの先進国におきましてはコンサルティングの体制が非常に確立されておりまして、特に米国におきましては非常に強大なコンサルタントがすでに育成確立されておりまして、すべて生産あるいは輸出をいたします場合におきましては、まずこれらのコンサルタントに調査、設計を全部依頼いたしまして、工場が完成し、引き渡すところまで、全部をコンサルタントにやってもらうという慣行がすでにでき上っております。従いましてそれらの資本力あるいは信用力等におきまして、とうてい日本のコンサルタントにおいては太刀打ちできないというような趣旨からいたしまして、日本のコンサルティングがそれらの先進国と並んで競争できまするまでの体制を確立する意味におきまして、特に日本においてはリスク補償というような制度によりまして、これらのコンサルティング体制の強化に資していきたい。こういうような趣旨でありまして、それらのコンサルティング態勢確立の度合いと申しますか、それが非常に先進国とかけ離れております関係上、特に日本におきましてはこういう制度を設けたい、こういう趣旨であります。
  55. 田中武夫

    ○田中(武)委員 ただいまの局長の御答弁に関連いたしまして、御質問いたします。  局長の御答弁によりますと、先進国というか、今までプラント輸出をしている各国にあってはコンサルタントが十分に組織的にあるからこういう必要がないのだが、日本にはないから。こういうことのようですが、それではそういうことを国で補償しないで自主的にやっておる、たとえばアメリカ、イギリスといったようなところでは、コンサルタントはどういうような経過をたどって発展してきたのか、一つお伺いします。
  56. 小出榮一

    ○小出政府委員 諸外国におきまして、特にアメリカ等におきましてはコンサルタントが非常に強力なものがすでに確立されておるということは申し上げたわけでありますが、これがどういうような経過により、そういうふうな程度にまで発展したかというお尋ねでありますが、これはもともとこういった輸出面においてのみならず、国内における工場の建設、設計というような面におきましても、これらの先進国におきましては製造業者、あるいは注文者自身が、まずそういった専門のコンサルタントに精密な設計あるいは工場の建設というようなところまで相談をするという体制が、国内的にも、すでに古くからできておりまして、従いましてこれらのコンサルタントに全部まかせて、そこの優秀な技術者の調査の結果を信頼して、あとはただ紙を回せばすぐ工場で運転できるというようなところまで、全部これにまかせたあとで工場を運転する、こういうような慣行が国内的にもでき上っておりまして、従いまして自然これらのコンサルタント相互間におきましても、できるだけ優秀な技術者を養成し、これらの要請にこたえていくということが、従来からそういう体制ができておる。従いましてそれらのコンサルタント自身の信用力、また資本力も漸次非常に強大となり、さらに進んで海外に対して輸出をする場合においても、これらのコンサルタントがまず前面に出ていくという体制ができ上っておる、こういうような経過でございます。
  57. 田中武夫

    ○田中(武)委員 私のお伺いしたいのは、いわゆる外国というか、先進国がプラント類を輸出する。それを作るメーカーといいますか、こういう工場、会社と別個にコンサルタントが発展してきたのか、あるいは最初のうちはそういった重工業関係の工場が、その会社の一つの仕事としてそういうことをやりながら逐次発展してきたのか、その点をお伺いしたい。
  58. 小出榮一

    ○小出政府委員 その点につきましては両方の場合があるわけでありまして、特にアメリカ等におきましてはコンサルタントが専門の事業として、メーカーなり輸出者とは別個に発達をしてきたようでございます。ただヨーロッパにおきましてはメーカー自身、製造業者自身の内部にコンサルティング部門を持っておりまして、それが漸次発達し独立していった、こういうような傾向をたどったように伺っております。
  59. 田中武夫

    ○田中(武)委員 関連ですからあまり時間をとってはどうかと思うのですが、なぜこういうことをお尋ねしておるかというと、この法律を見ました場合に感じることは、なるほどプラントの輸出日本の現状において振興さすことが必要であるということはよくわかる。しかしこの法律によって恩恵を受けるところはいわば一人歩きのできる大きな重工業関係のところばかりである。これが一人歩きができないところならば国の援助も必要であろうが、大きなところで一人歩きができるにかかわらず、特に政府が予算をつけて若干ではあるが補助をする、そういう点が何だか高いところへ土盛りしているような感じがするのでお伺いしているわけなんです。というのは当然そういうことはプラント類を輸出する重工業においてやらねばならない仕事ではなかろうか。そういうことに対して国が補助しているというような感じを持つので——もちろん一方において中小企業の補助等も考えておられるでしょうが、どうも一方的な大資本、ことに日本のプラント協会に名を連ねている十何社は、いわば独占的な大企業ばかりです。そういうところになおこういう必要があるのかという疑問が一つ。  もう一つはちょっと所管が違いますが、続けてお伺いします。これは今まで国がやるから補償とい言葉を使っておるが、事実は保険制度だと思うのです。そうすると従来の保険制度でこういうことがやれるのじゃなかろうか。特に国が特別な補助等をやらなくたっていいのじゃないか、こういうようなことが考えられますが、その点をお伺いします。
  60. 小出榮一

    ○小出政府委員 まず前段のプラント輸出につきまして、特に政府がこういう援助をする場合におきましては、結局大メーカーと申しますか、大企業にのみ恩恵が及ぶのではないか。さらに逆に言えば大企業自身でやれるのではないか、こういうような御趣旨であるように伺ったのでありますが、実はプラント輸出というのは御承知の通り一つの契約金額も非常に大きなものであります。一つの単体の機械輸出する場合と異なりまして、広い意味でプラント輸出といいます場合におきましても、大体一件当りの契約金額は五万ドル以上というようなものが通常の場合であります。従いましてこれらは大企業におきましても一社だけではとうてい受け切れないという場合が非常に多いわけであります。大企業はもちろん、関連の下請企業、その他部品関係で中小メーカー等全品総動員いたしまして、これらの契約の履行に当るわけであります。従いまして大企業自身が、すでにこういったコンサルティング体制が不備であるということに基いてプラント輸出が非常に伸び悩んでおるというのが実情でございます。従ってプラント輸出ということを重点として考えます以上は、やはりこういった国家的な何らかの助成措置が必要である。そのことがひいてはこのプラント輸出契約の当事者——これは大企業である場合が、契約の性質上多いかと思いますけれども、それは大企業関連する下請関係その他の中小企業にもこれらの恩恵が当然に及ぶというふうに考えるわけであります。従いましてプラント輸出ということの一つの特性からも考えまして、こういった制度が必要であろう、かように考えるわけであります。それからこのリスク補償制度はお示しの通りその性格は相互保険的なものでございまするけれども、しかし従来の為替損失補償制度とか、その他いろいろ保険制度等もございますけれども、こういったコンサルティングの結果に基く保証条項の違約金支払いに対して補償するという制度は、従来は全然ないわけであります。従ってこういったコンサルティング体制に関連する一種の保険的な運用というものは、いろいろ手を打って参りましたけれども既存の制度活用ではこれをまかない切れないということでございまして、従いましてここに新しい別個の制度としてこういう制度を確立したい、こういう趣旨でございます。
  61. 田中武夫

    ○田中(武)委員 もう一問だけお伺いします。今局長のお話では、なるほど大企業といえども一社でやるには負担に耐えかねる。従って、そういう大企業が現在では寄って日本プラント協会というものを作って、一社ではやれないけれども、そういった十数社の大企業お互いに寄ってやろうとしている。それならそれでいいじゃないか。にかかわらずなぜそれにこういういわゆる土盛りをする必要があるのか、こういう疑問を持つわけです。
  62. 小出榮一

    ○小出政府委員 お話の通り今回の法律に基く業務を委託することを予定しておりまするプラント協会は、正式会員は十九社で大体大企業が多いわけでありますが、それらが集まりまして何か共同体制を樹立することによって、先ほど来申しておりまするコンサルティング・リスクをカバーするようなことはできないかという御趣旨でございますが、現在のこの体制においては、その点がとうてい一社においてはもちろんできないし、共同いたしましてもできないというのが実情でございまして、その理由は要するにコンサルティング体制というものが日本の場合におきましては、まだ海外の十分な信用を博するまでの経験を積んでいないということもございまして、輸出先である相手国からいろいろのギャランティを求められるわけであります。そのギャランティに基きまして、起って参りまする違約金支払いのリスクというものは、全部企業自身が負担をしなければならぬというのが現状でございます。従いましてそれらの企業自身のリスクというものを、お互い同士だけでこれを負担するということだけではとうていまかない切れない。企業自身としてはそれだけでは非常に不安心でございまして、当然輸出価格の中にそれらのリスクを織り込まなければならない。従ってコストが高くなるということは、結論において国際競争入札等の場合におきまして、日本輸出が不利になる。従ってチャンスを逃がすというような結果にもなろうかと思うのであります。従いましてそれらの背後において政府自身がこれらに対して、場合によっては補償金を支払うという制度を確立しておきますれば、これらの企業は安んじて——そういった場合における企業自身が全部のリスクを負わなくて済むわけでございますので、コスト面におきましてもまた契約面におきましても、非常に円滑に輸出契約が促進されるのではないか、こういう趣旨であります。
  63. 板川正吾

    ○板川委員 大体この法律による補償契約の業務を指定機関に委託する、その指定機関はプラント協会、ただいまのお話からいってこういうことであります。そこでお伺いしたいのですが、プラント協会の現在の構成メンバー十九社とただいま申されましたが、一応十九社の社名を言ってもらいたいと思います。
  64. 小出榮一

    ○小出政府委員 この社団法人日本プラント協会が発足いたしました当時においては、会員は十一社でございましたが、その後漸次ふえて参りまして、現在十九社であることは先ほど申し上げた通りであります。その会員十九社の会社名前を申し上げますと、石川島重工業、川崎重工業、神戸製鋼、小松製作所、新三菱重工業、住友機械工業、東京芝浦電気、新潟鉄工所、日本製鋼所、日立製作所、日立造船、富士電機製造、藤永田造船所、三井造船、三菱造船、三菱電機、三菱日本重工業、明電舎及び安川電機製作所、以上の十九社でございます。
  65. 板川正吾

    ○板川委員 この協会を運営しておる責任者及び協会におる従業員の数はどうですか。
  66. 小出榮一

    ○小出政府委員 役員といたしましては、会長が三菱造船の社長であるところの丹羽さんであります。それから理事長といたしまして常勤しておられるのが井上春成さん、理事は今の会員会社の十九名、別に監事が二名でございます。これが役員及び代表者でありますが、職員といたしましては本部と、それから御承知の通り海外活動をいたしておりますので、海外事務所が七カ所ございます。本部の方には職員が三十一名おります。そのうち技術者が七名でございますが、そのほかに別に各関係会社から技術嘱託ということで十三名、その他一名、従いましてこれを含めますと職員は四十五名ということになります。海外事務所はバンコック、ニューデリー、パキスタン、カイロ、メキシコ、リオデジャネイロ、ヴェノスアイレス、合計七カ所ございますが、その職員数は、駐在員が九名、それから現地で採用しました職員が十五名、合計二十四名、現在こういうような状況になっております。
  67. 板川正吾

    ○板川委員 このプラント協会には、希望するものはだれでも自由に加入できますか。
  68. 小出榮一

    ○小出政府委員 このプラント協会の会員でございますが、これはもちろん定款の規定によりまして、会員は正会員と賛助会員ということになっておりまして、正会員は機械輸出プラントに対し十分の実力を有する製造業者の中で、この会の目的に賛成し、協力しようとする法人でありまして、そして理事会の承認を得たものとする、こういうことになっております。従いまして理事会の承認があれば入会できるわけでありまして、すでに発足当時の十一社から十九社と漸次ふえてきておりまして、この十九社に限定をするという趣旨はございません。それから正会員のほかに賛助会員というのがございます。現在のところは賛助会員はございませんけれども、賛助会員というのは、正会員ではないけれども、この会の目的に賛成し、協力しようという法人で、やはり理事会の承認があれば賛助会員になり得る、こういう道が開いてあります。
  69. 板川正吾

    ○板川委員 理事は十九社の代表ということになっておりますね。そうしますと、現在十九社で作っておる理事会の同意がないと——プラント輸出する能力がある法人あるいは実力のあるものとかいう条件がありますけれども、輸出能力がある法人でも、理事会の同意がないと、はいれないという場合もあり得るわけですね。
  70. 小出榮一

    ○小出政府委員 形式的に申しますと理事会の承認がなければ会員になれないわけでありますから、従って実力もあり、しかも大いに協力しようと思っておっても理事会が拒否すれば、はいれないわけでございまするけれども、過去において入会の申し込みがあって、これを拒否した例は一件もございませんし、またこの会の趣旨から申しまして、できるだけこのコンサルティング体制を強化していく、それは結局業界全体の利益になるわけでございますので、今後とも門戸を十分開きまして、理事会の運営等につきましては、役所も監督しておることでございますから、それらの点については遺漏のないようにやっていきたい、かように考えております。
  71. 板川正吾

    ○板川委員 本来なら、コンサルティング体制を強化するならば、特殊法人か何かではっきりしたものを作り、しかもそれが中立的な、どこの会社にも片寄らない運営をされなくちゃいかぬと思うのです。国の業務は一切日本プラント協会にまかせる、その公正に運営さるべき協会が大手十九社だけであり、しかも入会するのには同意を得なくちゃならぬということでは、どうも運営が大企業独占的な一方的な運営をされて、せっかく国家の業務を委託するのでも、そういう条件があっては困ると思うのです。これは規約等をちょっと見たのですが、そういう点がはっきりしないので、私はプラント協会の運営は、今後この法律が実施されるとなると多々問題があると思う。そういうことで質問をしたのでありますが、一つその加盟条項については、希望者があれば、少くとも過半数とかあるいは申し込みがあれば、これこれの条件である限りはそれを拒絶しないとか、こういうようなことに変える必要があるのじゃないかと思うのですが、いかがですか。
  72. 小出榮一

    ○小出政府委員 今回のコンサルティングに伴う輸出補償制度の業務を、これは本来政府の業務でございますが、すでに経験もあり、また業界全体の協力態勢のできておる適当の機関を指定して、いわゆる指定機関と申しておりますが、これに委託をするという法律上の建前になっておりまして、その委託をする先は、すでに予定しておりますのはこの社団法人日本プラント協会であり、またこれ以外にないと思うのであります。そこでただいまお示しになりましたように、本来ならばこの法律の眼目と申しますか、コンサルティング体制の強化ということが一つの大きなねらいであります関係上、単なる社団法人でなくて、もっと強力な特殊法人と申しますか、政府も出資をしてするような非常に強力な特殊法人の方がいいのではないかという点は、まことにごもっともでございまして、私ども実はそういうことも立案の経過においては当初考えたのでございますが、やはり特殊法人ということになりますと政府出資というような関係もございまして、今回はそれらの点につきましては財政上の問題もございまして、一応社団法人のままのプラント協会で発足するということにいたした次第でございますが、その点につきましてはさらに三十五年度以降等におきましては、できるだけそういったコンサルティング体制をほんとうに強化するための別個の措置も考えていきたいと思う次第であります。  そこでとりあえずこの社団法人で発足するわけでございますが、これにつきましてはもちろんこの協会の定款なり、あるいは規約の面におきましては、今回新しく政府の業務を委託をしておるわけでございますので、その面につきましては当然それに即応するような何らかの事務的な機構なりあるいは規約面における改正を行わなければならぬ、こういうふうに考えております。従いまして協会の会長その他ともすでに内々御相談をいたしておるわけでありますが、今お示しのようにこれがごく一部の業界のみに利用されるような格好になるということは、もちろん十分配慮しなければならぬ点でございまして、ほんとうに日本全体としてプラント輸出を促進し得るような体制を作ることにつきましては、十分その点、協会の定款なり規約正面につきましても配慮をいたしたいと思っております。さらに法律面におきましても、御承知の通り特にこの業務を委託する関係につきましては、単なる民法上の監督のほかに、この法律に基く特別の監督規定を入れておるのでありまして、それらの点については十分一つ運用面においては気をつけていきたい、かように考えております。
  73. 板川正吾

    ○板川委員 プラント協会に、三十四年度事業費といいますか、活動費といいますか、どのくらい使われており、それに対して国庫の補助がどのくらいあったか、三十三年度と今度の予算と、ちょっと知らしてもらいたい。
  74. 小出榮一

    ○小出政府委員 従来の社団法人プラント協会の経理の状況でございますが、現在出資金としましては三千万円、国庫補助金といたしましては三十年度からでございますが、三十年度からずっと出て参りまして、三十三年度においては一億四千二百万円でございます。会費は三十二年度においては八千万円ございます。そのほかに事業収入、これは見込みでございますが、今年度二千八百万円というような予定でございます。これに対しまして三十四年度の国庫補助は一億五千九百万円ということでございます。海外事務所等につきましても、たとえばカイロの事務所の駐在員等も一名増員するというふうな予定であり、さらにテヘランにつきまして増設を予定しておるというようなことで、海外活動等につきましてもさらに強化をしていく、こういうふうな予定になっております。
  75. 板川正吾

    ○板川委員 この法律を一回ずらっと読みますと、先ほど局長も言いましたように、プラント輸出をどうしても伸ばさなくちゃいけない。そのために従来プラント輸出の盲点であったコンサルティングの体制が弱いからこれを強化しなくちゃいけない。強化する方法としてはコンサルティングの欠陥による損害が起きた場合には、保険制度みたいなものでこれを補償する、国家が補償する、こういうようなことが言われた通りでありますが、内容を検討いたしますと、輸出第一正義という通産大臣のもとで、非常に輸出に重点政策を置くと言っておるのですが、国家の方としては名前は出したが、実際金はあまり出さない。それから補償事業費は原則として保険料で収支まかなうという建前、コンサルティング体制の強化というが、これは通産省は、国家は何もしないで、結局プラント協会に一切まかせる。そしてまかせられたプラント協会の構成はというと、大メーカー十九社が占めておる、こういうように検討すると感じる。で、国が本気でやるならもっとしっかりしてやるべきであって、この程度のことならば行政指導でもやれるんじゃないかという疑問を一つ持つのです。さっき申し上げましたように特殊法人を作って、国も出資して、そうして公正に運営してやるようにし、プラントの輸出を伸ばす、こういうことなら話がわかるのでありますが、そうでないならば、従来のプラント協会を行政指導で強化するというようなことでもできるんじゃないか、法律であえて作らなくてもいいじゃないか、こういう疑問が起きるのでありますが、その点はどういうふうにお考えであるか。  それから第二は、この法律で利益を受ける——恩典を受けるというのですか、恩典を受けるものがもしあるなら、どこも金を大して出さないのですから、そうすると結局法的な裏づけ、権威を持つプラント協会だけじゃないか、プラント協会だけが、この法律ができて、一つの法的裏づけができ、権威を持つことができるんじゃないか、しかもプラント協会は、再三申し上げますように大手の十九社が、これが同意がない限り入れない。しかもこれが一致した運営をしておる、と考えますと、どうもこの法律案が通って、ほんとに利益を受けるのはプラント協会だけじゃないかという感じがするのですが、この点についてどういうふうにお考えですか。
  76. 小出榮一

    ○小出政府委員 前段の、こういったプラント類の輸出促進に関連いたしまして、コンサルティングのリスクを補償するについては、特に法律による制度を設けなくても行政指導でやれるのではないかという点でございますが、これはやはり法律によりまして、また一方予算総則におきまして政府自身が、業界と補償契約を結ぶわけでございますので、その補償契約の締結の限度なり、また業界から一定の補償料をとり、またそれを一般会計に入れて運用していくという面でございますし、事故が起りました場合には、政府が最後に一定の補償金を出す。つまり業界政府とが両方でこのリスクを負担するという制度でございますので、やはり法律なり予算措置がなければできない、かように考えるわけであります。もちろん御指摘の通り、政府の側における財政上の措置が非常に不十分じゃないかという点につきましては、まず先ほどお答え申し上げましたコンサルティグン体制の強化に伴いましてその面から特殊法人を作る、政府が相当の出資をして特殊法人を作って、ほんとうに強力なコンサルタントを作るという面については、遺憾ながらまだこの法律においては、そこまで実現されておりませんけれども、将来はぜひその点も考えたいと思いますし、またリスク補償制度自身に関連する予算措置でございますが、これは御承知の通り初年度三十四年度におきましては補償金が百万円、プラント協会に対する業務委託費百万円、非常に少いようでございますが、その前の方の補償金三百万円と申しますのは、これは、表現は悪いわけでありますが、いわば見せ金と出しますか、と申しますのは、プラント輸出に伴う違約金を払うのは、実際には三十四年度における輸出契約をスタートとして考えた場合におきましては、大体二年ないし三年先になるわけでございまして、相手方に、設計をし建設をし、工場を引き渡す、そうしてその工場を運転したあとで初めて保証条項に照らして違約金を払うか払わないかという問題が起るわけでございます。従って少くとも初年度あるいは第二年度まではそれほどの金は実際には要らないという意味でございます。従って、三年目くらいからは、その間における事故の発生率等の経験値に基きまして随時予算措置をしていくわけでございます。また一方予算総則におきましては補償契約の締結限度として三十四年度には六十億円計上してございます。これによりましてこの補償料率あるいは補償価格の限度等を逆算いたしますと、三十四年度には補償契約の対象として四百億円くらい輸出契約ができるという計算になっておりまして、これによって実際上は十分まかなえると思います。ただ、このプラント協会に対する業務委託費百万円、これは確かに決して多額ではございません。私どもは非常に不十分だと思いますけれども、これも協会内部の経費のやりくりによって、できるだけこの方に力を注いでいきたいと思います。  それから第二点の、こういった社団法人のみが恩恵を受けるのではないかということでございますが、もちろんコンサルティングの体制を強化するというねらいから申しますれば、さしあたりはこの社団法人日本プラント協会が日本における代表的コンサルタントの、その意味においてはほとんど唯一のものでございますので、これを強化するということはぜひ必要でございまして、その面におきましては当然このプラント協会に恩恵がいくような措置をしなければならぬと思うのでありまするが、そのこと自体は、また同時にプラント契約をいたしまする当事者である輸出業者あるいはメーカーそれ自身に恩恵が及ぶわけでありまして、ことに先ほどもお答え申し上げましたように現在は十九社でございまするけれども、これをもって門戸を閉ざすわけではございません。特にこの関係については、政府も十分の監督をし、そのための監督規定も入れてあるわけであります。今後運用面につきましては、一つ十分プラント輸出関連をするすべての業界に、この制度が均霑するような措置をとって参りたい、かように考えます。
  77. 板川正吾

    ○板川委員 プラント協会が唯一のコンサルティングの機関だと言われる。そこで私お聞きしたいのは、外国からこういう工場を作りたいが、日本業者に一つどこがいいか、予算はどのくらいだというような引き合いが参りますね。これはこのプラント協会の窓口に一応全部入りますね。その場合、コンサルタントを海外に派遣して設計を出すにしても、たとえばそういう引き合いがきたときに、海外にコンサルタントを派遣する場合、三十一人の協会の人ではこれは間に合うはずはないですね。私きのう行って見ましたけれども、これは技術の権威者が全部そろっているわけではない。そうしますと加盟十九社の中から主として最高技術者というものを抽出して、それでコンサルタントを結成して向うへ行く、こういうことになりますね。そうしますと、どうも私の感じではやはり最初の疑問が何としても抜けないのですが、この引き合いがあったときに十九社以外には——十九社でできなければ別ですが、できるものはとにかく一応十九社でやるかやらないか理事会で諮るでしょうから、全部やってみて、じゃ君のところはここのところを、こういうことになるのじゃないか、そうしますと、どうしても十九社に片寄っていく、こう思うのです。だから政府が公正な政府の機関に委任するなら、どうもプラント協会はまずいと思うのですが、そういう十九社が利益を独占するようなことは、この場合考えられませんか。
  78. 小出榮一

    ○小出政府委員 先ほど私がお答えいたしました中に多少言葉が不十分であったかと思いますが、日本のコンサルタントとしては社団法人日本プラント協会が唯一であるという意味ではございませんで、国際的に相当信用力も将来できるであろうと思われる強力なものとしては現在ほとんど唯一のものである、こういう意味でございまして、すべてのプラント輸出に関する引き合いを、全部このプラント協会が一手にやるというわけではございませんし、またすでに既存の、弱体ではございまするけれども専門のコンサルタントも相当日本にはあるわけでありまして、それらも同時に育成しなければならぬ、こういうふうに考えるわけであります。  そこで海外からの引き合いがありまする場合でございまするが、これはプラント協会に直接引き合いがくる場合が相当ございまするし、またそれぞれの商社なり、あるいはメーカーに直接引き合いがくる場合がございます。それらの点につきましては、それらの引き合いがありました場合におきまして、政府との間に補償契約を結んでプラント輸出をしたいという場合におきましては、このプラント協会にそれらの商談が当然持ち上げられることになるわけであります。その場合におきまして、このリスク補償の運営につきましては、おそらく協会内部においても別個の組織を作るであろうと思いますけれども、会員の間だけで、それらの商談を独占するのではないかという御懸念であろうかと思いますが、それらの点につきましては、当然この事務局に本来政府の業務を委託するわけでございまして、最後は政府決定をするわけでございまするので、政府自身もその中に入りまして十分相談をして、公正にきめていきたいと思いまするし、また実際の技術者をそれらの設計なり調査に派遣いたしまする場合におきましては、その引き合いがありました契約の内容に応じまして、その一番関連のある業界から一番適切な技術者等を選びまして派遣するということになろうかと思います。協会自体の職員は三十一名でございますけれども、先ほど申し上げましたように、技術嘱託として十三名ございまするし、十九社と申しましても、先ほど申し上げましたように、この十九社というものは、プラント輸出関係のメーカーをほとんど網羅しておりまして、日本の造船あるいは重電機あるいは重機械関係の代表的メーカーは、ほとんど全部入っておるような関係になっておりまして、従ってごく一部の業界だけで独占するということは考えられませんし、またそういうことのないように運営することは十分できる、かように考える次第であります。
  79. 板川正吾

    ○板川委員 プラント輸出メーカーとしては十九社で、一応一つ網羅していく、こうおっしゃっておる、しかしこの法文の目的はプラント輸出を盛んにする、伸張する、これが目的なんですね。どんどん伸びていった場合、これは十九社だけが全部一手に引き受けるのではまずい、十九社以外のものもそのプラント輸出が盛んになれば、今までは大手じゃなかったが準大手というものがこれに入り、やがて小さいものが大きくなって、このプラント協会に加盟するという形でなければならぬ、こう思うのです。この法律が通って、プラント輸出が相当伸びてきたというような場合において、十九社以外に加盟社がどんどん出てくるのではないかと思いますが、こういう見通しはどうですか、この十九社だけで、とにかく網羅しているからそう入らぬだろうということですか。
  80. 小出榮一

    ○小出政府委員 先ほどから繰り返し申し上げておりますように、現在のところは会員は十九社であり、またこの十九社の顔ぶれは、造船関係あるいは電気機械関係あるいは重機械関係等につきましては、代表的なところはほとんど網羅しておると申し上げておるわけでありますが、もちろんこれに限定する趣旨でないことは先ほどから繰り返し申し上げております。従いまして今後会員として加入してくるであろうと予想されるものも、当然あるわけでございまして、今ここでそれがどういう会社が入るだろうかということは申し上げかねるかと思いますが、その門戸は十分開いておるわけでございまするし、また商談がありました場合には、当然その契約が一社だけでは引き受けられないような大きな契約が相当あるわけでございます。それらの場合におきましては、そのメイン・コントラクターと申しますか、主たる契約者をきめて、そこが関係のところといろいろ相談いたしまして、そして共同して受注するというような例が、すでに過去においてもございます。かりにそのメイン・コントラクターになり得るようなものがこの会の中になかったという場合におきましては、もちろんその会員外のところにまたメイン・コントラクターになってもらうという場合も当然出てくるわけでありまして、それらの点につきましては重ねて申し上げまするが、この会員を十九社に限定するという趣旨ではないということでございます。
  81. 板川正吾

    ○板川委員 その場合、私は十九社に限らずほかのこれに準ずる企業が将来数多く入ることが産業の民主化の上からいっても、当然だと思うのです。その場合プラント協会の定款を見ますると、会員になるためには加入出資を二口以上しなくちゃいけない、こういっております。一日幾らかというと五十万、二口以上ですから百万、この百万の支出というのは、プラント輸出に参加するような企業体なら、大した問題はないと思うのです。ただ年間会費ということになりますと、調べたところによりますと、二口の会員が年間三百五十万、三口の会員が四百万、それから四口が四百五十万というふうに会費を払え、こういうことになっております。もちろんこれは業者の自主的な団体で、経費自弁が原則ですからしようがないとしても、加入がどんどん口がふえてくれば、そう経費もかからないのでありますから、年間会費というのは少し高過ぎるのじゃないか、こういうことが、一般のメーカーが入りにくい、その一つのかきねをなしているのじゃないかと思うのですが、この点どうお考えになりますか。
  82. 小出榮一

    ○小出政府委員 出資金及び会費の関係は、今御調査になりました通りでございまして、出資金は別といたしまして会費は決して安いとは私も考えません。ただ問題はプラント協会の会員でなければリスク補償契約ができないというものではございません。会員でなくてもリスク補償契約は一般輸出当事者であればできるわけでございます。ただその補償契約の運営に関する業務を、この協会に委託するというだけのことでございますので、会員でなくてもこれはできるという点につきましては、その点の区別は一つ誤解のないようにお願いいたしたいと思います。  なお会費の点につきましては、こういった趣意の協会といたしましては、比較的経費も足りないような実情であることはなんでありますけれども、これらは協会内部の経理の問題でございますので、なお今後経理状況等を見まして、適正なところに運用していきたいと考えております。
  83. 板川正吾

    ○板川委員 本日はこれで質疑を終ります。
  84. 長谷川四郎

    長谷川委員長 本日はこれにて散会いたします。  次会は明日午前十時より開会いたします。     午後一時三十三分散会