○永井委員 私は
政府が
努力してないということを言っておるのじゃないのです。
努力は認めるのですが、
努力の具体的な積み上げ、さっきは積み上げて三十億ドルの
輸出の数字を出したんだと言うから、その積み上げた
内容を具体的に
一つ示してもらいたいという質問をしているのですけれども、今のお答えですと、
努力した
努力したという抽象論だけで、何も三十億トルの数字をはじいたその数字的根拠を、第三者をして納得せしめるような御説明ではありません。ことにアメリカが景気がいい、景気がいいと手放しでアメリカの景気に非常な依存をしておるようでありますけれども、われわれの見るところによりますと、アメリカの景気
回復というのはまだ十分でありません。過剰生産の条件もまだ相当にありますし、それから失業者も多いし、物価も
上昇ぎみである、こういったいろいろな条件の中で、私はただ、アメリカの無気がよくなって、アメリカの鼻毛をうかがって
輸出をしようというような依存的な形だけでは、対米
輸出というものはそう伸びる条件はないと思う。また品目にいたしましても、この運動目標を、あるいは精密
機械であるとか、電気計測機であるとか、あるいは化学製品であるとか、こんなところをねらっておるようにいろいろの印刷物では示されておるのでありますけれども、こういうものは、洋食器がだめだったからこっちの方の商品、あるいはカン詰がだめになったからこっち、あるいは
繊維がだめになったからこっちだ、その代替商品として品目をあげているにすぎないのではないか、向うに売り込めるだけの何か根拠が築き上げられていて、そういうものがここに計算されているという、それほどのものではないと思うのであります。中近東にいたしましてもどこにいたしましても、ことに為替の
自由化に伴う
影響というものは相当に
激化して参りまして、
輸出における競争は一そう
激化して参ろう、困難な条件が加わって参るだろうと思います。世界の各国における好況の問題は、これはこれからの
見通しの問題ですからいろいろ違いもありましょうけれども、それはそれとして現実にアメリカにおいては、
日本の商品を阻止しよう、制限しようという動きが
全般的な動きとしてある。しかも世界の各国においては
輸出競争が
激化する。その中において、
日本の商品をどんどん売り込んで三十億ドル以上
確保できるような、そういう
国内態勢が一体
産業構造としてあるのかどうか、そういう
国際競争力が蓄積されておるのかどうか、こういう問題が私は相当重要な段階に来ておると思うのであります。それについて
大臣からも答弁がなかったのでありますが、後進地域に対する借款供与の問題、これはどういう
方針であるか、それから延べ払い制度の
拡充に対して、どういう基本的な態度をとられるのか、それから清算勘定、現金決済に対してどういう考えを持っておられるのか、それから為替
自由化に対する、
日本の為替管理及び
貿易管理について相当考え直す段階に来ておるのではないか。先ほどの
大臣のお話では、姿勢だけはちょっととるが、そう具体的にはやらないのだ、もう少し、岸内閣得意の静観をするのだというようなお話でありましたけれども、そんなのんきな状態ではいられないのではないか、こう思うのであります。そういうような点で、為替管理及び
貿易管理の正面で、大蔵省と
通産省との間には相当意見が食い違っているように聞いておるのでありますが、今までの話し合いにおいてどのような食い違いがあるのか、それからどんな姿勢で、どんな経過で、この世界の
貿易情勢に対して対処していこうとしておるのか、この点を
一つ具体的に伺いたいことが
一つ。
それからもう
一つは、何といたしましても中共
貿易を再開しなければいけない、あるいは日ソ
貿易をもっと
推進しなければならない、こういうことはもう否定することができないと思うのです。これに対して今までは大きなことを言って、
国内だけで——今の
政府が障害になっていて、
民間で築いた日中
貿易というものが阻害されてきたわけでありますが、急に今度は低姿勢というのですか、外務
大臣は大使級の人で話し合いをするとか、通産
大臣はウルシを輸入するとか、ほんとうにウルシを輸入しようというならば、あんなに新聞に宣伝して、そしてはっきり向うの意向も確かめないで、一方的にああいうことをすることは、かえってこれからの日中
貿易の
正常化に対する支障にはなっても、
推進力にはならないと私は思う。ほんとうにやるなら、もう少し向うの
実情を聞いて、ある
程度の成算があるところで花火を上げるなら上げてもいいのではないか、手をこまねいて何にもしないでおいてああいうものをばんとあげる。あれは外務
大臣の意見にしても通産
大臣の意見にしても、
国内向け放送としてやっているのではないか。ほんとうに日中
貿易を
推進しようという熱意と、その手段方法において適切であるとは言えないのではないかと思うのであります。藤山さんにしても高碕さんにしても、日中、日ソの
貿易については理解もあられるし、それから非常な熱意も持っておられるし、
一つの見識も持っておられるとわれわれは期待しておるのであって、岸総理や何かはブレーキになっても、通産
大臣はこれは弱い発動力でも、まあ
推進力にはなるだろうと、こう期待しておるわけですが、この日中
貿易を今後どういうふうな方法で
推進されようとするのか。ほんとうに熱意があるならば、大使級の会談なんかでなしに、通産
大臣みずから乗り込んで話をつけてくるというだけの熱意でないと、今言ったようにアメリカの方を向いても、東南アジアの方を向いても、中近東、中南米の方を向いても、
貿易の環境というものはそんなに明るいものではない。少しでも条件の取りつけられるところは最善の
努力をして取りつけて
推進していかなければならない、こういうふうに思います。日中、日ソの
貿易推進についての通産
大臣のお考え、それから今後これを強力に
推進していく上における
一つの考え方、これを伺いたい。あわせて中共の
国内における現在の生産
体制、五カ年
計画の
推進の問題、及びソ連におけるところの七カ年
計画の評価をどういうふうにされて、その評価の中において
日本との
貿易の結びつけをどういうふうに考えられておるのかを
一つ伺いたいと思う。