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岩武政府委員 せっかくのお話でございますので本席を借りまして、目下要求中の
中小企業庁関係の予算の概要を申し上げて御協力を得たいと思います。
重要な項目について申し上げまするが、一般会計におきまして特に力を入れておりまするのは設備近代化の補助金の問題でございます。これは三十三年度予算に六億円計上されておりまするが、この補助金につきましていろいろ実行上の問題といたしまして、会計検査院
並びに大蔵省方面で若干の誤解もあるようでございまするので、この際設備の近代化の制度を立て直してやりたいと思っております。中央で重要な
中小企業関係の輸出雇業あるいは基礎
産業等につきまして
業種を
指定いたしまして、それについて近代化の長期の計画を立てようという
考え方でございます。今までも
業種を
指定しておりまするし、ある種の設備近代化の目標を持っておりましたが、これをもう少し具体的にきめよう、そのねらいとしましては、最近御承知のように東南アジア諸国におきまする工業化、経済開発の結果、ある程度の雑貨、軽工業品等がかなり生産されつつあるようであります。勢いある程度
日本の輸出市場も狭まらざるを得なりいような状況に加えまして、有力な
競争国——中国でありますとか、あるいは香港でありますとかいう方面から
日本の輸出市場に
競争をいどまれておる。そういうことで
日本の
中小企業の
製品ももう少し新しいデザイン、高度の性能、品質等を持ったものにレベル・アップいたしませんと、こういう輸出
競争並びに需給下の
影響を受けて、将来はかなり困難になりやせぬかと思うのでございます。この際
中小企業の設備を近代化いたしまして、あとで申し上げまするが、府県市等の公設の研究機関によりまする技術
指導と合せまして体質の
改善、レベル・アップをはかりたい、こういう
考えでございます。そういうことで少し見当をはっきりさせまして、なお内容も計画的に行なって、何といいまするか
中小企業の
体質改善の一翼をになわせようと思っております。
御参考までに申し上げますると、本年度は国の補助金六億円、これに府県が六億円負担いたしまして、それからすでに貸し付けておりまするものの返って参ります金が三億五千万円、合せまして十五億五千万円の貸付を行なっております。これが大体三分の一の貸付率でございますから、現実の設備近代化の投入額は四十六億程度になる見込みでございますが、明年度は貸付率も今このような三分の一ではなかなか
中小企業者の負担も多いわけでございまするから、これを二分の一まで引き上げたいと思っております。
それから国と都道府県との負担の割合でございますが、これもでき得れば国の方の負担を多くして、都道府県の財政に
影響を与えることを少くしたいという
考え方を持っております。そういうふうなことでございまして、今年度は国からの要求を大幅に減らしたいと思いまして、金額といたしましては一応四十億円程度を要求中でございます。そういたしましてわれわれの計算
通りになりますれば、大体本年度は返って参ります金も五億二千万円程度ありますから、合計いたしますと百三十億程度の設備の近代化が行われるのではないかと思っております。これは予算の金額のことでもございますのでまだ予断は許しませんが、一応この制度の
考え方を若干しぼって
考えたいとうことを申し上げたわけであります。
その次に一般会計といたしましては今年設立されました
中小企業信用保険公庫に対しまする出資金を増額いたしたいと思っております。これは今年度融資基金といたしまして二十億、保険基金として六十五億、合計八十五億出資をいたしております。
実情を申し上げますると融資基金二十億の方は、そのまま低利長期な
条件で五十二の信用保証協会に貸し付けております。その貸付の利幅によりまして保証料を引き下げさす。大体正平均一割は下っております。それからもう
一つは保証をとりますワクをふやす。なおこの信用保証協会に貸し付けました金を、さらに
地方の
金融機関に預託しまする結果、それだけ
中小企業金融の金がふえるわけであります。いわば一石三鳥の
役割をしているのがこの融資基金でありまして、本年も引き続きまして二十億ほど出資してさらに保証料の高いところを引き下げて参りたいと思っております。現在平均しまして大体二分一厘ないし二厘くらいでございますが、中にはだいぶ高いのもございまりすので、これも少し下げてもらいたいと思っております。同時に、大体二十億といたしますと保証のワクが三百億程度よけい保証がとれるのであります。これは一石三鳥にもなりますのでぜひ実現したいと思っております。それから保険基金の方は最近操短基金その他等によりまして、若干まとまった
団体融資がふえておりまして、商工中金あたりから方々の組合等に対しまして、かなりまとまったそういうつなぎ資金を出しておりますが、それを保険でカバーする必要もありますので、保険基金の方も少しふやしたいと思っております。そうして保険基金に出資いたしまする結果、そういうような新しい保険の制度を創設いたしますると同時に、その利幅を
利用いたしまして保険料も下げたいと思っております。ただこれは御承知のように保証保険にはいろいろ種類がございますが、特に保険料の高い第二種の包括保険の保険料を引き下げたいと思っております。これもしかしこういうふうな基金の出資が少いとできませんので、実現したいと思っております。
その次に都道府県や市のやっておりまする各種の試験機関、研究所、
指導所等につきまして、今年度も補助金を出しまして設備の近代化、
改善を行わせておりますが、都道府県のこれらの機関は第一線の技術機関としまして、日常
中小企業者と非常に接触が深く、いろいろ新しいアイデアあるいはやり方等を
中小企業者に積極的に普及しておりますので、さらにこういう仕事を行わせまするために、明年度も引き続きましてこれらの機関に技術設備の
改善、それから技術
指導員の設置、それから
中小企業の技術者の再訓練、この辺の仕事を行わせたいと思いまして、一億八千万円余りの予算を要求しております。先日も大阪に参りましていろいろ
実情を見て参りましたが、
中小企業者の
利用率が非常に高いようであります。われわれのねらっておったこともむだでなかったと思っておりますが、この技術
指導の問題は先ほど申しました設備の近代化とうらはらになりまして、
中小企業者の体質の
改善に大きく役立つだろうと思っております。
それからずっと行なっておりまする先ほどもお話のございました
診断事業でございます。これは本年度一億円弱の予算を計上しておりますが、明年はさらに
診断員を若干ふやす。それから補助率等も合理的なものに改めたいと思っております。これも一億六千万円余り要求しております。
それから相談所の仕事でございまするが、これも現有全国に五百余りの相談所がありまして仕事をやっておりますが、中には財政上非常に困難になっておる相談所もありまするし、あるいは人が足らぬのでどうもうまく相談の仕事に応じていけないというのもございますので、これも相談所の内容を充実したいと思っています。補助対象の相談所の数も少しふえております。
それから輸出振興の
関係でございますが、これも先年以来輸出品の試作の補助金あるいは技術研究所の
補助金等きわめてわずかでございますが、三千万円余り計上しております。本年度はこの仕事をふやしまするほかに、特産品の輸出という問題を積極的に取り上げまして、今まで
日本に隠れておる特産品でアメリカ、ヨーロッパその他の方面の嗜好に合いまするようなものを輸出いたしまして、これをジェトロを通じて積極的に海外に宣伝し、売りさばきたいと思っています。御承知のように特産品の仕事は先方の好みに合うかどうかという
一つの問題がありまするので、この辺につきましては専門のデザイナー等も今年もアメリカから呼びましたが、こういうふうな専門家の目で見たものを選ぶということと、それからもう
一つは先方におきまする売り込みの
努力を十分させませんと、普通の商品みたいにただカタログなり、あるいは普通の規格の注文で物が売れるというものではございませんし、また展示場に展示しておけば自然にお客がつくというものでもございませんし、積極的に足を棒にして売り込んで参るという
努力も要るようでございますから、これはまず手始めにジェトロ等町の機構を通じてやりいたと思っております。
その次に、これは明年度新しい仕事でございますが、先ほどお話しがございました
中小商業の基本調査を明年度行いたいと思っています。これは
商業問題が漸次
重要性を加えて参りますので、
経営の内容その他のことにつきまして、
中小企業政策に合いまするような調査をいたしたい。昨年行いました
中小工業の方の基本調査は集計がだんだん進みまして、来月の下句には多分第一巻が出ると思っております。いろいろ各方面に期待されておりますが、明年度は引き続きまして
商業の方を行いたいと思っております。
それからその次は全国及び都道府県の中央会の
事業補助で、今年度五千万円計上しておりますが、明年度はさらに補助対象になります
事業をふやしまして、労働
関係の問題につきましても、もう少し中央会等におきまして積極的に
指導して参りたいと思っております。御承知のように最低賃金法あるいは退職共済金等の制度もだんだんと整備される方向にございますし、また労働組合運動等も各地で
中小企業界にも浸透して参っております。
中小企業者が今までのような労働
関係の問題につきまして関心が薄いということでは、今後の健全な
経営はできませんので、ぜひそういう問題についての
指導を充実したいと思っております。
それからちょっとお話が前後いたして恐縮でございますが、
協同組合の
共同施設の補助でございます。これも本年度一億円計上しておりますが、明年度もいろいろ
製造工業方面あるいは
商業方面につきましても、かなり
共同施設設置の要望がございますので、この補助金はぜひ明年度も続けて参りたいと思っております。
財政投融資といたしましては、これは大きな数字でございまするが、第一番目は商工組合中央金庫の金利引き下げの問題でございます。これは御承知のように、中金の金利は現在短期のものつまり一年未満のものが日歩二銭六厘五毛でございます。それから一年ないし二年のものは一割でございます。二年以上のものが年一割五厘、ほかの
政府機関に比べますとかなり高い金利でございますが、そのほかに転貸手数料等が加算されますし、また保証等をつけまする場合には、先ほど申しました保証協会の保証料等がこれに加算されますので、末端におきましてはかなり高い金利になります。これは前々から
国会方面でもいろいろ御
指摘をいただいておりましたが、何せこの中金の資金調達のもとが、御承知のように大部分七割までが商工債券の発行によるものでございます。しかも市中の引き受けによりますものがかなり多いのでございます。そうしますと、どうしても発行者の負担が七分前後になりますので、コストは非常に高くなる。また預金の方もそう簡単に
中小企業者から集まる状況ではございませんので、この際
政府から大幅な出資を行いまして、無利子の資金によりまして金利を下げたいと思いまして、明年度三十億の出資を要求しております。三十億の出資を入れますと、大体先ほど申しました長期のものがなべまして九分八厘程度になるものと思います。短期のものが二銭六厘、これは下げる幅が低うございますが、大体その程度に下げたいと思っております。一番力を入れてやっております。
それから債券の引き受け、これは資金運用部で利付及び割引の商工債券の引き受けをいたしておりますが、これは資金需要もかなりふえて参りますので、九十億程度必要かということで要求しております。
中小金融公庫の方でございますが、この公庫の方の引き下げの問題は、積極的な
政府出資を大幅に行わなくても、貸出準備金の処理等によりまして、若干下げられる見込みでございますので、そのためには特別な手当はいたしませんが、むしろ明年は資金運用部から借りておる金を返済するのが非常にふえて参ります。今年度よりも七十億程度償還期限が来るのがふえております。従って借りかえになりますが、借りかえの元を、運用部から来ます金を、本年は二百九十五億ですが、これを少くとも三百九十億程度入れませんと、実は貸付の元が本年に比べてあまりふえないことになりますので、この際この融資の増額はぜひ実現したいと思っております。
それから、これは直接
中小企業庁の監督下にはございませんが、
中小企業対策と非常に
関係のあります国民
金融公庫の問題であります。実は国民
金融公庫の資金需要の様子を見ておりますと、非常に申し込みが多くてそれに応ずる資金にいつも苦しんでおるようでございますので、来年は融資、つまり運用部からの借り入れを、本年度に比べまして百十億程度ふやしまして三百六十三億というふうに要求しております。これは主として一般貸付の方に回る金でございます。そのほかに御承知のように国民
金融公庫では、恩給担保貸付でありますとか、あるいは帰還者の引き揚げ資金の貸付というような特別貸付の制度、これは年六分の金利でございまして、これは相当回っておりまするが、実はその方の年六分という貸し出し金利を維持しまするための原資といたしまして、五十億余りの出資を要求しております。
大体以上が財政投融資のおもな項目でございますが、御承知のように財政投融資は資金運用部の原資が足りないとか、あるいは
産業投資特別会計の方からの出資源がどうも少いとかいうようなことで、かなり難航するようでございますが、ぜひ
一つ皆さん方の御協力によりまして実現したいと
考えております。よろしくお願いいたします。
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