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足鹿委員 いろいろと
お尋ねしたいのでありますが、この問題はまた後刻別な
機会で取り扱うことにいたしまして、最後に、
経済企画庁なり
農林省に伺いたい。特に私は
国土開発と農産資源の
開発問題について申し上げたいのであります。この前の前の当
委員会におきましても私はこの問題を力説したわけでありますが、台湾なり朝鮮なり、あるいはその他の
地域を失った日本としては、国内において食糧の自給自足をはかっていくという基本が、
国土開発の場合に、農産資源の
開発と
関連をしまして、これは大きな柱の
一つであろうと思うのです。ところが、
現状を見ますと、われわれの見たところでは、五百万町歩ぐらいのまだ開墾可能な
地域があり、緊急開拓の
対象になる百五十万町歩も、五十万町歩を開墾して、百万町歩はそのままに放置されておる、こういう実情であります。また、現在の農産資源の
開発並びに農業政策の根本を見ますと、水田に非常に力が入れられて、
土地改良にしましても、あるいは技術の面にしましても、あるいは農業経営の面にしましても、すべて従来日本の農政は米に重点が置かれておった。従って水田に非常に力が入れられたことは、
御存じの
通りであります。近来、
政府が畑地振興問題を取り上げて、その対策に乗り出したことは、まことにけっこうだと私
ども思いますが、その
予算たるや全く微々たるものであって、このような状態では、いつその成果が現われるのか、それすらも見込みがつかぬ、こういう実情にあるわけであります。先ほ
ども申し上げましたように、
昭和四十二年におけるところの日本の産業、経済、人口その他を見越して
計画が立てられるならば、当然食糧事情の緩和を企図すべきであるのに、農産資源の
開発についてその熱意を
政府が失い、そしてその施策も、
予算面において見ましても、
昭和二十八年、九年に比べますと、本年度は総額
予算の七・四、
昭和二十八、九年当時は一六・五、半額以下に落ちております。こういう状態であって、国土の
総合開発の面において大きな柱ともいうべき農産資源に対する
開発計画というものは、退潮の一途をたどっております。特に私が畑作問題を重視しますゆえんは、昨年青森の上北
地区、また、本年北海道の根釧
地区というような
地区を見まして感じますことは、せっかく国が巨費を投じ、また、分割償還等について、受益者である農民に多額の負担をかけるわけでありますが、せっかく大
規模な農場ができても、耕地をまた細分化して、中
規模の農家を作っている、こういうやり方がとられております。ところが、上北
地区等におきましては、相当アメリカの機械も入れられ、
土地改良の対策も最終的には講じられ、非常な成績が上っております。受益者の農民がどう償還をしていくかということは、今後の問題であろうと思いますが、少くとも現況を見ますと、非常にはつらつとやっておる。ところが、その隣の緊急開拓で入植した農家は、十二年も定住して牛の一頭も買えない。畑はやせるばかり、酸性土壌の改良をしようとしても、その費用もない。借金は三十万にも四十万にもなり、次々と山を下りていくという、持ちもささげもならぬ
現状があるわけです。開拓政策が大きな転換期にぶつかっておるということは、
現地のこの相隣した姿を見て、私
ども非常に
考えさせられたわけでありますが、少くともこれらの
地帯は水田としての
開発ではない。草なり、あるいは畑作物を
中心とする畑作
地帯としての将来を約束されておると思うのです。ところが、畑作の振興のための
基礎条件ともいうべき土地の改良、またそれに必要な
予算的措置というようなものは、水田
中心のために、大体水田一〇〇に対して畑地
予算は六という
程度になっておるようであります。これを今後どう変えていくかということは、もっと
国土開発的な大きな構想のもとに
——全耕地面積五百七十万町歩のうち二百六十五万町歩は畑地であります。従って、開田可能なところもありましょうが、将来はどうしても畑地に対する国の
国土開発の構想に基く大きな手が打たれない限り、この問題の解決はつかぬと思う。また、それなくして、米麦に依存した食糧の需給ではなくして、牛乳あるいは畜製品その他総合食糧の需給対策というものは私
どもは立たぬと思うのです。現在の
経済企画庁の
性格からして、
各省の役人が出張って、そしてそこでお互いがめいめいに
連絡をとりながら研究をしておる、一定の時がくればまた本省へ帰っていくというような
性格では、強力な施策は期待ができないのでありますが、少くとも、最近の日本における
国土開発の農産資源の面においては、畑地に対する重点施策ということがその根幹をなさなければならぬと私は思います。各地に点々と見本的なものがサンプル的に機械公団によってできておる。また試験施設も点々とできておる。しかし、全体として開拓政策はぐっと後退をしております。これには資金の問題とか、負債整理の問題とか、営農方式の問題とか、いろいろな問題の手当はなされており、またなされなければなりませんが、不徹底であります。問題は、
国土開発という立場から大きく前進していくためには、水の問題が
考えられなければならぬ。これは
建設省とも
関連がありますけれ
ども、きょうは時間がありませんから、多くは申し上げませんが、たとえば、現在行われておる深層地下水の
調査の問題を
一つとってみましても、阿蘇
地区にしましても、あるいは茨城の上総台地の成績を見ましても、相当期待が抱けるところでも、わずか六百万や七百万の
調査費がついた
程度でありまして、
全国にわたってそういう深層地下水の
調査が行われ、その
調査に基いて
一つの施設が行われますならば、開田も可能となるでしょうし、また、畑地に対する畑地灌漑も急速に発展をいたしまして、面目を一新すると思うのです。現在の既入植地を見ましても、一番困ることは、三年に二年までは冷害かあるいは旱害を受けて、三年に一ぺんの農作物がとれるかとれぬかです。それを解決するには、水の問題を解決してやれば一番いいのでありますが、水利の問題になると、既存の水利権とか、いろいろな点でなかなかむずかしい。従って、新しく水資源を大きく
調査開発して、これを合理的に
国土開発の面と
関連してその対策を促進していきますならば、面目を一新することは明らかなのです。ところが、点々と、わずかに阿蘇と茨城の上総台地と、本年は山形県と大出ろくにようやく
予算がついた
程度であって、この
程度をもってしては、いつ、この総合畑地対策というものに対する水の問題が解決するのか、とても前途遼遠だろうと思います。で、そういう問題を
一つ提起して、畑作の後進性打開と、これに伴う
国土開発的構想のもとに、思い切った施策を農産資源の
開発面に
計画を樹立される必要が非常にあると思うのです。この点について世耕
長官にお聞きしたいのでありますが、参議院で
予算があるそうでありまして、いたし方ありません。少くともそういう点について、もっとあなた方が力を入れ、本気になってこの問題を解決されなければならぬということを私は力説し、指摘をして、御所信があれば承わっておきたいと思います。