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1959-04-01 第31回国会 衆議院 建設委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年四月一日(水曜日)     午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 堀川 恭平君    理事 瀬戸山三男君 理事 二階堂 進君    理事 上林與市郎君 理事 三鍋 義三君       逢澤  寛君    井原 岸高君       川崎末五郎君    砂原  格君       橋本 正之君    服部 安司君       板川 正吾君    北山 愛郎君       東海林 稔君    武藤 武雄君       山中 吾郎君  出席政府委員         建設政務次官  徳安 實藏君         建設事務官         (大臣官房長) 鬼丸 勝之君         建 設 技 官         (河川局長)  山本 三郎君         建 設 技 官         (道路局長)  佐藤 寛政君  委員外出席者         日本国有鉄道常         務理事     大石 重成君         専  門  員 山口 乾治君     ————————————— 三月三十一日  委員砂原格辞任につき、その補欠として灘尾  弘吉君が議長指名委員に選任された。 同日  委員灘尾弘吉辞任につき、その補欠として砂  原格君が議長指名委員に選任された。 四月一日  委員辻原弘市君、本島百合子君及び山中日露史  君辞任につき、その補欠として北山愛郎君、山  中吾郎君及び板川正吾君が議長指名委員に  選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  道路に関する件  河川に関する件      ————◇—————
  2. 堀川恭平

    堀川委員長 これより会議を開きます。  まず道路に関する件につきまして調査を進めることにいたします。  質疑の通告がありますから、これを許します。二階堂委員
  3. 二階堂進

    二階堂委員 私は、道路事業促進に関連して、国道地方道等交差する鉄道立体交差事業促進の問題について、ごく簡単に二、三の問題をお尋ねいたしたいと思います。  私は、先般のこの委員会におきまして、鉄道との立体交差工事促進の件につきまして、建設大臣に私の意見を申し上げて、善処してもらいたいということを申し上げたのでありますが、遠藤建設大臣も、この件については特に国鉄当局とも話を進めて遺憾なきを期したい、こういうような御意見の開陳があったわけであります。本日大臣は、病気のために欠席しておられましてお見えになっておりませんが、政務次官が見えておりますから、一言政務次官にさらにお尋ねをいたしておきたいと思います。  先般私が大臣お願いを申し上げた通りのことでございますが、建設省とされましては、この立体交差事業促進のことに関しまして、その後、国鉄当局、総裁なりあるいは理事の方とお話し合いをされておるかどうか、またどういう方針でこの問題を解決されるお考えであるかということを、政務次官に一点お尋ねいたしておきます。
  4. 徳安實藏

    徳安政府委員 踏み切りの問題につきましては、本委員会で与野党からしばしば御注意もございまするし、いろいろの問題を現実にお示しになって、御意見等も承わっておりますので、両者間ですみやかにそうした問題を解決したいと思いまして、昨年の末ごろから建設省国鉄関係等協議会を作りまして、話し合いをいたしております。その結果、だんだんに過去における不愉快な案件解決を見つつありますが、しかし、まだ抜本的な解決には達していないと思いますので、先般大臣からお話もございまして、運輸省並び国鉄側建設省事務的にはどんどん折衝を進めていただきながら、政治的な意味からも、また事務を離れての立場から腹を割って話し合って、どこに未解決の問題に対する原因が残されておるかというようなことを露骨に話し合って、そうして少しでも早くこうした問題を明朗にしようではないかということで、私が使いに出まして話をいたしたのでありますが、何しろ国鉄運輸省も私どもの方も、ただいま毎日々々委員会ばかり開かれまして、話し合いをするいとまがございませんので、事務的にはどんどん進めておりますが、そうした会合はまだ持っておりません。しかし大体委員会等のめどもつきましたから、近いうちに三者の会合を開きまして、事務的に障害になっておるような問題は政治的に解決しよう、かように考えておりますから、三十四年度の私どもの持っております予算の施行につきましては、そう支障のないようになろうかと期待をしておるわけであります。
  5. 二階堂進

    二階堂委員 そういう御方針で進んでいただきたいのでありますが、私は、個々の立体交差について、きょうはいろいろとお尋ねする用意もありませんが、まず最初に道路局長お尋ねをいたしておきます。  三十四年度においては、相当な道路事業をやられるわけでありますが、特に交通緩和あるいは事故防止、ひいては大きな目的としては、やはり交通経済道路管理という面から、なるたけ立体交差道路鉄道との交差を持っていって、経済あるいは輸送増強等に資するということがねらいであろうと思っておりますが、三十四年度において、鉄道国道なり地方道立体交差をお考えになっておる個所はどのくらいあるのか、また五カ年計画において、そうした大きな交差をぜひやらなければならぬ個所がどのくらいになるのか、事業量として何十億くらいになるかということを、大体の見当でいいですが、一つお知らせいただきたい。
  6. 佐藤寛政

    佐藤(寛)政府委員 踏み切り交通安全を期しますために、現在平面交差をいたしております道路鉄道との交差を改善いたすということを、来年度事業におきましても相当重要視いたしておるわけでございます。ただいまのところは予定でございますが、どのくらいの規模かという御質問でございますから申し上げますと、大体国道関係で二十一、二カ所になろうかと思っております。それから地方道路で約十カ所ほどのものを予定しております。このほかに踏み切りといたしましては、計画局関係のものがあろうかと存じますが、これは私ただいま来年度予算は把握しておりませんけれども道路局、私どもの方で取り扱いますものは、合計いたしまして三十一カ所の予定でございます。それから聞くところによりますと、計画的関係踏み切り個所が約十カ所という話でございます。来年度は合計いたしまして四十一カ所、そういたしますと、三十三年度、本年度に比べまして——本年度も相当やっておるのでございまして、本年度は三十六カ所になっておりますが、三十三年度よりもさらに数多い踏み切り交差事業実施することに予定いたしております。問題は、これを実施します際に、事業が円滑にいくようにいたさなければならないのでございますが、これにつきましては、ただいま政務次官から御答弁がございましたように、かねて国鉄運輸省踏み切り問題について、おのおの両方の都合がございますから、よく打ち合せしようということで、協議会を設けております。それぞれ分科会を持っておりますが、これに相談いたしまして、とりあえずのところはもうすでに話をしてございます。これから先、こまかい点につきまして御相談いたしまして、三十四年度事業を円滑にするようにいたしたいものと努力しておるのでございます。
  7. 二階堂進

    二階堂委員 この昭和三十四年度計画ですが、これも、まあ相当な個所に上るようですので、事業量にしても相当な額に上ると思っております。こういう立体交差事業実施されるに当っては、やはり国鉄との交渉等も相当時間もかかることと思っております。また、従来のいろいろな立体交差実施状況資料によって見てみますと、簡単に片づくものも中にはあるでしょう。が、しかし相当な時間を要しておる個所がほとんどであると申しても過言ではないと、私は資料を見て考えざるを得ないのであります。具体的にはいろいろな例もありますが、平均いたしまして、少くとも六カ月以上かかっておる。長いのは昭和三十一年度から始めてようやく最近協議がまとまったというような個所もあるわけであります。何と申しましても、本年度は、あるいは本年度以降相当な道路事業実施されるわけであります。その大きな事業を遂行されるについて、この立体交差等個所について国鉄との協議がうまくまとまらないために、事業が繰り越しになっていく、ひいては所期の道路事業計画の推進がなかなか促進されないというようなことになりますと、せっかくわれわれもこの道路事業に大きな期待をかけておる、その期待に沿わないという結果が出てくることは明らかであります。このことは、ひいては道路輸送緩和ということについても非常な支障を来たすわけであります。そこで、やはり何としても、今後はもちろんでありまするが、従来未解決になっておる立体交差等実施交渉につきましても、何とかしてこれを早く解決して、事業が一日も早く実施できるように促進してもらわなければいけないと思っています。今日までいろいろな個所について、一年ないし二年、あるいはそれ以上もかかったところもあろうかと思っておりますが、こういうふうな時間のかかった理由は、私は単に国鉄当局に全部の責任があるとは考えてはおりません。また道路局の方においても、あるいは地方自治体においても、いろいろな事情等がからみ合ってきて、また用地等の問題ももちろん中に介在してくると思っておりますが、そういうようなことでおくれてきたことも、私は認めるわけであります。ですが、先ほど申し上げましたような理由で、少しでも早くこの事業ができるようにしていくためには、両当局の真剣な協議、あるいは具体的な解決策というものが見出されなければならないわけであります。私は先ほど申し上げましたように、そういうような見地に立って事を運ぶならば、一そう事業促進されるのではないかと思っておりますが、とりあえず昭和三十四年度考えられておりまする立体交差個所については、予算編成ともからんでくるわけであります。特に道路局においては、五カ年計画というものを具体的にお立てになっておるわけであります。従って、この個所について、予算編成と並行して国鉄の方と話し合いをされておるものかどうかという点であります。道路局の方で勝手に道路計画をお立てになって、自分の方はこういう計画立体交差考えておるのだということで、あとで国鉄の方に申し入れをされておるのかどうか。私は、やはりこの五カ年計画なるものをお立てになっておるのですから、当然事前国鉄の方にも正式に申し入れをされておらなければならぬと思っておりますが、従来そういうような方法をおとりになってきておるか。あるいはまた三十四年度については、特に大きな事業でございますが、予算折衝と並行して国鉄とそういうふうな交渉をされておるのかどうか、この点をちょっとお伺いしておきたいと思います。
  8. 佐藤寛政

    佐藤(寛)政府委員 鉄道道路交差につきましては、従来話し合いをするのになかなか手間をとりまして、かなりおくれておったものが相当あるということは事実でございまして、この点は、先生の御指摘を待つまでもなく、非常に遺憾に存じておったわけであります。これを私もいろいろ注意して調べてみますと、鉄道側にもなかなか理由があるようでございます。何せ鉄道輸送の重大な責任を持っておられるお立場なので、いろいろ理由もあるようでございますが、それにしても、ずいぶんひまがかかって困っておった状態でございます。これは何とか促進方法考えたいもの、こう思いまして、先ほど申しましたように、地方にまかしておかないで、本省と国鉄あるいは運輸省というもとでよく御相談をしようということで、昨年関係機関相談をする協議会を持ったわけでございます。その協議会に対しまして、私も出席いたしましたが、第一回のときに、さしあたり私ども考えておる踏み切り個所というものを提示いたしました。それからまた国鉄の方でも、鉄道輸送立場からお考えになっているものを私ども伺いました。そうしてその両者をつき合せて、優先順位をきめて、それぞれ予算の手当をしていこうというお話を第一回の打ち合せではしたわけであります。その後各線ごと分科会によって研究をしていこうという段取りで進めているわけでございます。従いまして、私どもの方といたしましても、まだ予算も成立しない先でございますが、いろいろ御相談も要りますから、予定ということで個所をお見せして、そうしてその後お打ち合せをしている状態でございます。これは、それぞれ工事を担当しております地方建設局なり、あるいは各府県なり、これらの現場当局にいたしましても、おおむね来年度はこうしたいという意向であるということを知らせまして、現場現場同士相談をさせております。しかしながら現場同士の話では、従来そうでございましたが、特に国鉄方面担当部門が多岐に分れているようでございまして、なかなかお話もむずかしいので、本部でも、東京でもこれをやろうということで、ただいま申しましたように、個所を提示いたしまして御相談をしているわけでございますが、具体的の交渉につきましては、もうすでに新年度に入ったことでございますから、さっそく話を進めまして、本年度からは、従来のようにそう長く日がかからないで話がまとまるように、それぞれ単年度事業でございますから、それに応じて予定計画通り仕事が進むように努力いたしたいと思います。
  9. 二階堂進

    二階堂委員 従来よりも一そうそういう点に留意して仕事をやるようにいたしたいということでございますが、協議会というものを昨年ですかお作りになって、この協議会を足場にして促進しなければならぬというお考えであるようでありますが、けっこうなことだと思っております。しかし、今承わりますというと、実施個所等については、自分の方ではこういう個所をやりたいということを協議会申し入れている、提示している、また国鉄の方の意見も、どういう個所をおやりになるおつもりかということを承わっているということでございますが、輸送力増強という点から考えてみまして、少くとも今後は国鉄におかれても、いろいろな事故防止観点、あるいは交通経済観点から考えられまして、立体交差をお考えになっていると私は思うのであります。また道路にしてもしかりでありますが、そうであるならば、やはりこの協議会に初めて自分考えている個所を持ち寄って話をするということでなくて、少くとも予算折衝と並行して、あるいはそれ以前に、具体的に自分考えている個所等事前相談して、そうしてなるたけ協議事項に持ち込まれなくて仕事を進めていくように考えられるということが当然であろうと思います。従来そういうことがなかったために、非常に仕事がおくれているということは非常に遺憾にたえないのでありますが、この協議会お作りになってから、わずか一回ばかりしかお開きになっておらないのであります。こういうことでは、何のために協議会を作っておられるのかわからない。しかもその協議会お開きになって、自分個所はこういう個所だということをお互いに話し合うだけでその会議が終るということであっては遺憾だと思っております。なるたけ早くこういう協議会を開かれて、お互いに真剣に御相談をされて、こういう立体交差実施促進されるように積極的に努力していただかなければ、単に話し合いをするだけでは何にもならぬと思っております。要は従来大きな問題になっておって、しかも交渉解決等に長時間を要しておったようなこの問題を具体的に取り上げて、この仕事促進されることが、協議会お作りになったそもそもの目的ではなかろうかと私は思っております。その目的に沿うように、一つ十分協力していただきたいと思っております。今承わりますと、道路局では、大体実施個所地建——直轄国道関係すれば地建、あるいは地方道等は県庁が主になってやるわけでしょうが、大体地建当局にまかしておる。そうして地元国鉄監理局等交渉をさせておる、こういうことであるようであります。そこで、私は国鉄の方にちょっとお伺いいたしますが、先ほど私が劈頭に申し上げましたように、実際にはいろいろな方法工事促進されるように努力をなさっておることは、私も認めるわけでありますが、やはり相当な長年月を要した個所もあるようであります。私は、ここに資料をもらっておりますから、具体的に言えとおっしゃれば申し上げてもいいわけでありますが、時間もとりますので、具体的な問題については差し控えますけれども道路局は、主として地建の方に交渉責任を置いておるということであります。私もいろいろ地建等に参りまして、地建の方だけの意見を聞きますと、国鉄の方では、一本にお話し合いをするような窓口ができていない。これはもちろんそうでしょう。国鉄には施設局があり電気局があり、あるいは通信局ですか、私はよく存じませんが、あるいは保線関係の区とかいうものがあるようでございますが、そういうふうに交渉窓口二つないし三つ、あるいは四つに分れておる。従って立体交差相談をする場合には、やはり窓口一つでないから、二つ三つにまたがる窓口交渉をしていかなければならぬ。かりに施設局の方でいろいろな話し合いがまとまっても、また電気通信その他の方でなかなか話がまとまらないために、話し合いの時間が非常にかかり過ぎておるといううらみが私はあろうと思っております。今私が手元にいただいておる資料を見てみましても、昭和三十三年度の踏切り除却実施状況でございますが、国道分が二十四カ所、地方道分が十二カ所、合計三十六カ所ということになっております。これはいつまでの決定かわかりませんが、費用分担協議が成立していないものがまだ十カ所も残っておる。それから国鉄側計画が未決定で遅延しておるものが六カ所、設計協議中のもの、または設計準備中のものが六カ所、その他で、こういうようなわけでありまして、協議が成立して済んでおるものが三十六カ所のうち十一カ所、こういうふうな実施状況であります。これは何月までの報告かわかりませんが、最近の報告であろうと思っております。費用負担協議、その他工事対象事業等についての協議というものは、御承知通り道路鉄道との交差に関する建設省日本国有鉄道との協定というものができておりまして、これも見てみますと、ずいぶん国鉄道路関係話し合いがもめて、歴史的にも相当な年月の争いを経て、ようやくまとまったのが昭和三十一年十二月十八日であります。この協定に基いていろいろお話し合いをされていかれるものと思っておりますが、今申し上げましたように、昭和三十三年度のこの実施状況を見てみましても、まだこういうような具体的な問題で協議ができていないというような状態である。なぜこのように協議の成立に時間がかかるか、これは、私は両当局責任もあると思っております。あるいは自治体との話し合いにいろいろな問題が起ってきて、そういうような結果が出てきておると思うのでありますが、やはり何と申しましても、ほんとうに両当局、特に国鉄関係窓口も多いのでございますが、それぞれの窓口を通じて折衝することは、私はなみなみならぬ努力を要する仕事であろうと思っております。従来のように長くかかっておったのではとてもいけないということで、私はきょうも当局の方にお願いを申し上げて、こうしていろいろなことをしゃべっているわけでありますが、当局方々が、道路輸送増強、あるいは交通経済立場から、国家経済の発展、繁栄立場から、もう少し真剣になってお互い話し合いをしていかれるならば、私はこんなに協議がまとまらないような件数が多く出てくるはずはないと思っております。私は、この点で国鉄当局責任を一方的に追及するわけではありませんが、このまとめ方の責任者というものが、あまりにばらばらになっているうらみがありはしないか。また言葉が過ぎてはなはだ失礼かと存じますが、国鉄一家というものは相当大きな一家をなしておって、歴史的に見ても非常な力を持っておる存在であります。国鉄優先主義と申しますか、そういうような考え方で、道路の方の話し合いというものも、請願工事というような考え方で、各局の部課の責任方々がお話し合いを進めておられるのではないかというような感じも、率直に私は持っているのであります。こういうことでは、どうしてもこの話し合いがうまくいかないのであります。  話は違いますが、私は国鉄の方になぜそういうことを申し上げるかというと、実は道路の問題とは別になりますが、土地改良組合用水路改修を長年かかってやっているところが私の郷里にありました。そこがたまたま国鉄との交差にちょうどぶつかったのであります。その交渉地元土地改良組合が約二年有半かかりました。国鉄言い分を聞いてみますと、土地改良組合は、自分の方で勝手に用水路改修計画をお立てになって仕事を進めておられるわけで、事前にそういう交渉を私どもは受けておりませんので、費用負担等については、あなた方の方でお持ちになるのが当りまえだ、こういうことを現実に聞いて、そのとき私も非常に憤慨いたしまして、当局の方にも厳重な抗議を申し入れたことがあります。ところが本社の方から、鹿児島の管理部の方に電話をしていただきましたら、一週間もしないうちにその問題が解決した。土地改良組合が二年有半もかかって仕事をいろいろ折衝しておったものが、今申し上げましたように、これはあなたの方が勝手に御計画なさったことでありますから、費用については、当然土地改良組合がお持ちになるのが当りまえだ。御承知通り、その地方は毎年災害等で洪水が出るところであります。従って用水路改修を行うこと自体災害を防ぐことである。その災害のために、鉄道自体も毎年災害を受けているような個所であります。そういうような言い分も私は聞きました。けしからぬじゃないかといって運輸省に参りまして監督局長——当時の監督局長の名前は忘れましたが、お話し申し上げましたところ、その当時、まだこの協定が成立しない前でありましたが、これは三十一年ですから、できておったと思いますが、負担金五百万以下の個所であるならば、地方監理局長の権限にまかしてあるというようなお話でありました。電話一本かけて一週間もしないうちに解決した、こういうような体験を私は持っております。  そういうことからいたしますと、先ほど申し上げましたように、国鉄一家は大した勢力を持っている。何にしても国鉄ががんばっておれば、言う通りにならなければいかぬ。用水路も言う通りになる。あるいは道路との交差の問題につきましても、たとえば鉄道が新線をお作りになる場合には、鉄道が主であって道路は従である。だから、鉄道に並行して道路も勝手にあっちに曲げろ、こっちに曲げろ、そういったような指示までしている個所もあるやに私は聞いております。こういうお考えでは私はいかぬと思う。やはりこれは、すべて国家経済繁栄交通輸送力緩和という点から考えてみて、一つ真剣に協力をしていただかなければならぬと思っておりますが、こういうようなことについて、国鉄当局はどういうふうに今後の——こういうような長年かかって、しかも今申し上げましたように、まだ三十三年分ものが未解決に終っているという個所が具体的にあるわけであります。こういう個所を早く解決するようにしていただかなければならぬと思っておりますが、こういうような考え方について、一体どういうふうに今後道路局あるいは建設省話し合いを進められていく気持があるかということを、一つお尋ねしておきます。  同時にまた、各地方監理局にその話し合い責任を持たしておくということも、これはやはりそういう手足の局を持っておられればいたし方ないと思っておりますが、しかし先ほど申し上げましたように、施設部があり、通信があり、あるいは電気があり、いろいろ設計等も相当時間がかかると思っております。この設計がまとまらないとか、あるいは負担の区分がまとまらないとか、あるいは工事対象個所がなかなかうまくいかない、たとえば立体交差を行う場合におきましても、国鉄の方はある一定の区間だけは負担に応ずるが、それ以上の範囲についてはなかなか負担をするわけにいかぬ、こういうような御意見もある個所については出ておるのであります。しかし道路の方といたしましては、たとえば立体交差をする場合に、道路を一部変更するという場合には、やはりその道路をある特定のすでに交通ができる道路まで取りつけていかなければ、道路としての役目を果さないわけであります。ところが鉄道の方では、そこまで余分に道路を持っていくとなると、自分の方の負担が多くなるというような見地から、やはり道路国鉄との道路を作る場合の話し合いがなかなかうまくまとまらないという個所もあるように私は聞いております。こういうようなことでは、これは少々の負担増になることもやむを得ませんが、やはり同じ目的のために協力していただくという真剣な気持があるならば、簡単に私は解決ができるはずだと思っております。できないところに、なかなか電気解決がついたが、施設は解決ががつかぬとか、あるいは保線の関係で問題が出てきたとかいうようなことで、地方の知事とか地方の建設局はこの折衝に非常な努力をいたしております。こういうこと、実際私も地建等に参りまして話を聞いて、非常に遺憾に考えますから、先ほどいろいろ問題外のことまでもつけ加えて御意見を申し上げましたが、私はもう少し高い見地に立って、何か窓口を一本にして、早くこういう問題が解決できるように促進していくという心がまえが国鉄当局の方にもなければならぬ、こう思っておりますが、こういうようないろいろ申し上げましたことについて、当局方々の御意見を承わっておきたいと思います。
  10. 大石重成

    ○大石説明員 ただいまいろいろお話がございましたが、まず一点、地方におきまして、地方方々国鉄折衝する窓口が非常に多岐多様にわたっておるというお話でございますが、ただいま私たちが指導しておりますのは、鉄道監理局施設部が、この踏み切り道についての折衝窓口ということになっております。今後ただいま先生からお話のありましたような点がありますならば、施設部にまとめてお話をいただきますれば、内部の連絡は施設部窓口となりまして、まとめて外部の方とお話をする、かような組織になっております。  次に踏み切り道につきまして、国鉄が熱がないのではないかというようなお話でございましたが、私たちといたしましては、踏み切り道の安全確保ということにつきましてはできる限りの努力をし、また今後も、踏み切り事故につきまして絶滅を期したい、また踏み切りに対しまして、交通の阻害をしておるというような点につきましても、可及的すみやかにかような障害を取り除きたいという努力はしておるのでありますが、努力の仕方が不足である。もっとしっかりやれという、まことにごもっともなおしかりをちょうだいしたのであります。私たちの努力の結果が皆様の御満足にいかないということは、まことに申しわけのない次第でありますが、私たちといたしましては、決して道路交通鉄道交通との関係を無視しておる、鉄道が優先であるというような考え方は持っておりません。できる限り道路鉄道との関係をスムーズに持っていきたいというように努力しておるつもりであります。最近におきましても、三十二、三年につきましては、それ以前よりも私たちといたしましては格段の努力をした。また三十四年度につきまして、なお一そう踏み切りの改良に対して重点をおきたいというふうに考えまして、予算の編成を見ましたので、実行予算その他につきまして十分努力する覚悟でおります。いろいろ御注意をちょうだいした点、よく拝聴いたしまして、また現地につきましても、私たちの考え方があるいは徹底してないというようなおしかりもございましたので、この点につきましては、あらためて現地につきましても十分指導を確立いたしまして、御迷惑のないようにいたす所存であります。
  11. 二階堂進

    二階堂委員 今、常務の方から、その方針等についての御意見を承わったのでありますが、施設局が大体内部の話を取りまとめるということになっておる、こういうことでございますが、それがその通りうまくいっていない。これはあなたのお考え、あるいは当局のお考えが末端によく徹底してないと私は思う。私は先般九州の地建に参りまして、具体的にいろいろ意見を聞いてきましたが、鳥栖の問題等にもなかなか長い間時間がかかっておるが、施設局だけで話がまとまらないので、早く仕事をやるために請負に仕事を出した、地建の方だけの話し合いでうまくいかないから、今度は請負の会社に頼んで、電気の方にも行って話をしてくれ、あるいは保線の方にも行って話をまとめてくれということを頼んでおる、こういうことです。なかなかはかどらない。そうすると、業者はやはり仕事を早くやらなければいけないので、これはときどき引き出して話をしなければならぬということも起るわけであります。今常務は、施設局でまとめるようになっておるとおっしゃいましたけれども、これは、私つい最近聞いた話でありますが、そういうように業者まで使って、国鉄監理局方々にいろいろ話をしなければ解決ができないというようなことが現実にあるわけなんです。当局の上の方のお考えが末端に徹底しておればいいわけでありますが、なかなかその通りいってないので、このように協議がまとまらない個所が出てくる。この点につきましては皆さんから、当局の上の方のお考えが各監理局の末端にまで浸透していくように、積極的にお取り計らいをしていただかなければならぬと思います。私は、具体的にそういうどこどこの会社を使ってどういうということは申し上げませんが、私はそこまで聞いております。そういうことでは私は遺憾だと考えますので、本日ここに来ていただいて、さらに当局のお考えを末端に徹底していただくために御相談を申し上げておるわけでありますから、その点、一つ落度のないように今後処置をとられるようお願いしておきます。  さらにまた、地方の方で話がまとまらない個所が、昭和三十三年度もこのようにあるのですから、昭和三十四年度、五年度出てくると思うのです。こういうようなまとまらないものをまとめるために協議会お作りになったのではないかと思っている。なおまたこの実施計画等につき、あるいは費用の分担金の協定等については、先ほど申し上げました建設省日本国有鉄道との協定というものができておるわけですが、この協議会というものをもっと活発に、フルに活用していただきまして、そうしてやはりこの問題になっておるような個所——昭和三十三年度においても、今申し上げましたような個所がまだ未解決になっておる。もう三月の末なんですよ。新しい年度がきょうから始まったわけなんです。こういうような個所を具体的に申し上げれば時間もかかるので、私は今は申し上げませんが、そういうような個所を早急にこの協議会で取り上げられて、そうして当局と真剣に話し合いをされて解決をされる御意思があるかどうか。私が先ほどから申し上げておりますように、こういうためにこの協議会というものをお作りになったはずだと思う。この協議会は昨年お作りになって、たった一ぺん開いただけだ。しかも地方には、今も申し上げましたように、三十数件にわたる昨年度立体交差個所が、済んだのがわずか十一件、二十五件が未解決になっておる。また三十四年度事業計画についても、ことしは建設省の方にも、早く仕事をしなければ膨大な公共事業費が消化できぬじゃないかということを私どもは督励をいたしております。こういうようなものをあわせ考えますと、こういうものは、協議するのに平均六カ月といいますが、なかなか計画がまとまらない、費用負担区分がまとまらない、あるいは工事対象個所がまとまらない、かてて加えて、国鉄の方は窓口二つ三つも実際はある、そういうようなことなんです。こういう複雑な手数を省くために、しかも国家目的のために、国鉄の方も道路の方も膨大な予算を使って仕事をせられるわけであります。そのために協議会というものをうんと一つ活用して、ここで窓口を一本にしぼって、全国的に大きな問題を——小さな問題は地建にまかし、あるいは地方監理局にまかしてもいいのですが、こういうまとまらない個所は、一つまとめて取り上げていただく御決意があるかどうか。そういうようなことをおやりにならない協議会であるならば、これはあって無用なものだと思う。そういうような御決意があるかどうかということを、これは政務次官国鉄当局と両方にお尋ねいたします。
  12. 徳安實藏

    徳安政府委員 ただいまの御意見は、ごもっともだと思います。先ほど申し上げましたように、協議会はできておりまして、会合は何回開いたか私も詳しいことは知りませんけれども分科会ができまして、それぞれの分野によって折衝いたしておりますから、決して一回限り開いてほっておるわけではございません。かつまたその踏み切りの問題は、先ほど申し上げましたように、しばしば当委員会の問題になっておりますので、注意深く事務的にも話を進めるように努力をし、私どもも機会あるたびに話し合いをいたしておるわけでございますが、だんだんこう聞いておりますと、建設省の機構と国鉄の方の機構とがマッチいたしておりません。従って権限等につきましても、国鉄地方に委譲しておられます権限と、建設省地方地建の局長に渡しております権限と、非常に食い違いがあるように思います。一例を申しますと、こちらの方で、地方地建予算を配分いたしましたら、大体その大ざっぱなことは地方の建設局にまかしてあるわけでありますから、よほどの案件でない限り、本省へ持ってきて重ねて相談するということはございません。ところが鉄道の方は、監理局がございましても、これらの権限が非常に少くて、あるいは支社があって、そこへお持ちになるようですけれども、そこでも決しかねて本社にお持ちになるというような関係のものも相当ございまして、こちらの方では地方建設局長限りで処置できるものが、国鉄の方では、本社まで持ってこなければならないというような、要するに食い違いも相当あるようであります。こういう問題を解決するのには、どうしてもそうした点から一つ上同士で話し合って、私ども地建にまかせてある限りは、向うも支社限りで処理ができるようにしていただくとか、あるいは一切がっさい本省に引き上げて、本省同士の話し合いできめてしまうとか、何か機構の上においても、あるいは委譲されておる権限の点においても話をいたしませんと、趣旨はよくわかっておりましても、下の方に徹底していないことが多うございます。先ほどお話しのように、私もかつて運輸の方を長くしておりましたし、そちらの関係もございますから、今二階堂委員お話のような事態にしばしば遭遇いたしております。踏み切りの問題にいたしましても、あるいは構内の問題にいたしましても、地元でなかなか話がつかなくて、こちらの方で話をすれば二、三カ月かかっておったものが、二日、三日で解決するというような問題もあります。しかし、これはひとり国鉄ばかりではありません。私が建設省に入ってみましても、建設省でもやはりなかなか地元の要望がいれられなくて、二年、三年地建で争っていたものが、皆さんのお話によって私どもがもっともだと思ったものにつきましては、つい一日、二日で解決するものもございます。これは、やはり役所の悪いくせが両方にあるのだろうと思います。決して運輸省ばかりでもない、国鉄ばかりでもない、私どもにもあるのです。これはやはりお互い一つ御注意いただいて直さなければならぬと思います。こういう点につきまして、やはり役所の役人ばかりの話し合いではいけませんから、私ども政務的な者もこれに加わりまして、抜本的にこうした問題を取り上げて、こういうだらしのない相談がもしあったとすれば、しかしてまだ未解決のものがあったならば、どうして未解決になっておるか、それをほんとうに掘り下げて、そこに大きな障害がありますれば、これは政治的に取り上げていくより解決の道はないだろう、こう考えまして、先般来大臣相談をし、運輸省の方にも申し入れてあります。国鉄の方にも、総裁には話はしておりませんが、副総裁には話をいたしております。きょうは国鉄から見えておりますから、何か少し一段落つきましたら、急速にこの問題を解決いたしまして、この国会が閉会になる前に、皆さん方御安心ができるような案件一つお示しできるようにいたしたいと思います。
  13. 大石重成

    ○大石説明員 ただいま建設省政務次官からお話がありました通り国鉄といたしましても決して道路に関して無関心ということはないのであります。幸いに協議会もございますので、一そう協議会を活用いたしまして、懸案が早急に片づくように処理いたしたいと存じます。
  14. 二階堂進

    二階堂委員 道路局の方で早急に立体交差協議会が成立する要望個所を出してくれと言ったら、なるたけ早く解決できるように望むという個所が出てきております。これを個所別には申し上げませんが、一級国道関係で十六カ所くらい、地方道路関係で十二カ所くらい出ております。これは北海道から九州、ほとんど各県にまたがっておる個所であります。こういう個所等については、今お話がありましたが、政務次官国鉄当局の御決意もありましたので、こういう趣旨に沿って一つ早急に話し合いを始められて、解決ができるようにしていただきたい。私はまたこの休会明けにでも、あるいは実施の途中において、一ぺんまた来ていただきまして、どういうような解決をされたかということを重ねてお聞きいたすことを、ここに明らかにいたしておきます。  さらに国鉄当局にちょっとお願いがございます。これは具体的になりますけれども、この一級国道の十二号の千歳線、札幌市の白石。ここもまた三十二年の一月二十五日に正式にこの協議が開始されておりますが、まだこれも決定いたしておりません、これも大へん急ぐ工事のようであります。その他鹿児島本線の鳥栖の田代町、これは大体最近解決したように、先般私が九州でお伺いしたのでありますが、これも昭和三十年の十二月に開始され、ようやく最近これが協議がまとまっている、こういうような状態であります。それから米沢線の山形県の小国町、この問題も昭和三十年の二月に協議が開始になっております。昭和三十年二月に協議が開始して、まだ国鉄負担金等についての協議がまとまらないのでそのままになっておる。それから山口県の山陰本線の長門市も、大体最近解決したように載っておりますが、これなんかも、昭和三十二年の十一月に協議が始まっておる。それから二級国道で函館本線であります札幌市、これも費用の分担と協議設計について結論を得ないために、いまだにまとまっていない。これは昭和三十年の九月十九日に協議が始まっております。こういうので非常に困っておるのですよ。昭和三十年というと、ずいぶん前でしょう。こういうのをほったらかしておいて、しかも国鉄との話し合いでなかなか費用の分担、協議設計がまとまらないために、交通上非常に支障を来たしておる。こういうことをほうっておかれるのは、私は熱意がないと言われても仕方がないと思っております。むずかしい事情はあろうと思いますが、すでにこういう計画は両方とも認められて、仕事をやらなければならぬということはお考えになっておるかと思うのですが、これは、私の資料が間違っておるとするならばあやまりますけれども、私がもらった資料には、昭和三十年九月十九日に開始しておる。これはもう少しほんとうに——先ほど政務次官も言われましたように、役所側にも非常に悪い点があると言われましたけれども、もう少し国家的な見地に立って、あるいは地方の住民、あるいは経済等の面について真剣な態度を私はおとりにならなければならぬと思っております。われわれは選挙によって出てきて、絶えず陳情を受けておる。しょっちゅう地方民からしりをたたかれておる。従って国会においても、われわれはいろいろな問題に真剣に取り組んで、いろいろな話をするが、どうも役所の人たちは、切実にそういう陳情を自分のものとしてお考えにならないような気風があるように私は考えておる。これは、国民のために奉仕してお働きになっておるわけです。国民の税金をもって月給をもらって働いておるわけです。そういうふうに、役人というものはほんとうに国民のサービスのために働いているんだという考え方が、またまだまだ私は薄いと思う。こういう考え方によって、こういう問題は、国民のために地方民のために解決するんだという気風を持って当ってもらわなければいけない。そういうような気持にも欠けたところがあるので、私は熱意が云々ということもいろいろ言わなければならぬようなことになろうかと思っております。なおまた茨城県の常磐線に一カ所、それから愛知県の岡崎、半田、安城市、これなんかも、国鉄の方も設計がなかなかまとまらない。従って当初は一億二十万ですかの計画であったものが、だんだん仕事ができなくなってきたために、わずかことしですか、九百六十万というような予算にまで縮めてしまっておる。設計がまとまらぬ、仕事ができぬ、しかしほうっておくわけにいかぬ、用地の費用というものは見なくちゃいかぬというので、これだけ縮めてしまった。こういった責任はどこにあるのですか。こういう問題は、もう少し真剣になってもらえれば、私は解決すると思っております。滋賀県彦根市においても、山口県の山陽本線の柳井市、これなんかも、基本計画はまだ検討中で、これは昭和三十二年三月に開始したものです。日豊本線の大分市においても、いろいろな問題があります。こういうように個所別にいろいろ議論をしていきますと、またしてもいいと思いますが、私は時間もありませんので、おもな二、三を拾った具体的な点だけをここで申し上げたのでありますが、これはどちらの責任がどうだということを重ねて私は申し上げたくありません。しかし、私は先ほど申し上げましたように、土地改良組合用水路改修のときに、実際私が体験をいたしました言い分等を考えてみますと、何と申しますか、こういうような両方で責任を分担してやらなければならぬ仕事になると、どうも鉄道優先主義と申しますか、そういうような考え方があって、頭を下げてくれば一つ協議に乗ってやろうとかいうような考え方が、どこか当局方々の頭のすみにあるのではないかというような先入観を抱いておるわけであります。これは、私がそういうふうに、地元のいろいろな用水路等の問題でひどくけんかをしたことが頭にこびりついておるから、こう申し上げるのでありますが、私は、今日はそういう考えはないと思っておりますし、またあってはならないと思っております。どうか一つ今いろいろ申し上げましたような諸点について、もう少し両当局とも真剣になられて、そうしてこの大きな大道路事業計画促進し、さらにまた鉄道の方におかれましても、新線を作る計画もおありになるようであります。輸送増強、また輸送計画の向上ということについては、一そうの熱意を持っておられるわけでありますから、同じ国家目的のために、一つ真剣な気持を持って協議をされて、いまだにまとまっていないような個所を早急に解決していただき、さらに、できておりまするこの協議会の趣旨を、十分この国家目的のために活用して、一つやっていただきたいということを特にお願い申し上げ、なおまた私は、いずれこの協議によってまとまった個所が具体的にどういう個所に出てきておるか、どういうような促進を政府においてやられておるかということを、あらためてまたいろいろな機会においてお尋ねをすることを、一つここで申し入れをいたしておきまして、私の質問を終ります。     —————————————
  15. 堀川恭平

    堀川委員長 次に、河川に関する件につきまして調査を進めることにいたします。質疑の通告がありますからこれを許します。北山委員
  16. 北山愛郎

    北山委員 私は、ダム建設に伴う補償の問題、それから多目的ダムの管理、調査の問題につきましてお伺いをしたいと思っておりましたが、他の質問者もあるようでありますから、ダム補償の問題だけを具体的な例についてお伺いをして、あとは後日に譲りたいと思います。  第一の問題は、建設者の補償につきましては、率直に言って、昔の内務省よりは補償のやり方が民主的になってきた、率直にこういうふうに言えると思うのです。ただそのやり方が、被害者の騒いだ者が得をして、おとなしい者が損をする、正直者がばかを見るというような結果がやはりあちこちに見える。その例として、私は私の方の地域で北上水系の湯田ダムと石淵ダムの建設に伴った被害者の補償問題について一つ調査を願って、そうして適切な措置を要望したいと思うわけであります。その一つの問題は、湯田村における水没の補償の問題でありますが、これは、当初三地区に分れておりまして、六百戸というのですから、非常に大きな補償なわけです。そのうち二つの地区の方が補償が割に順調に進んで、あと一つの地区の上台野というところが残っておるわけであります。これは三十五戸だけの小さな部落でありますが、それはダムの水没にはならないのですが、ダムの満水によって町の中心がずっと道路が遮断をされまして、非常に不便になり孤立化するという地域であります。そういう問題が一つと、それからもう一つは、その地区は、将来満水したときには、水ぎわから一メートルちょっとくらいの高さしかないのであります。しかもその部落の下が、古い廃坑の跡が縦横に四段くらいにたくさん通っておるといわれております。何十年来銅を掘った跡の坑道が残っておるわけであります。数カ所陥没しておる。そういうふうな状況にありますので、もしダムが完成をして満水をするということになれば、ダムの水の変動によって陥没のおそれがある、こういう不安を住民が抱いているわけなんです。そこで建設省としては、当初この地区については補償の対象になるということで、その地域の部落民もそのつもりでおったところが、あとでこれは補償の対象にならないのだ、こういうことになりまして、非常に失望しておったわけなんです。実際に今の廃坑の状況なり、あるいは地質なり、そういうものを調査した形跡もないのでありますが、調査をしないでおいて危険がないとか、そういう判断はできないはずでありますし、今の二点の問題につきまして、その部落民が非常な不安を感じ、また当初建設省の言われた通りに、やはり適正な補償の対象にしてもらいたい、こういう要望がありますので、その問題について、これは昨年あたり当時の川俣代議士から、建設省にもお話があったはずでありますから、その後どういうふうな調査をしたか、その状況を一つ河川局長からお聞かせ願いたい。
  17. 山本三郎

    ○山本(三)政府委員 ただいまの問題は、和賀川のダムを築造する上流にあります、和賀川の左岸の川尻部落の中にある問題でありまして、この下に山本鉱山というのがございまして、そこの山本鉱山ですでに坑道を掘りまして、開発した上の人家の問題だと思います。これにつきましては、今先生のお話しのありました通りに、現地におきましてはいろいろのお話のやりとりはあったように私は聞いております。しかし、これは湛水に伴いまして、やはり坑道がありますし、あるいは今のお話にもありましたように、貯水池になりますと孤立するとか、あるいは水面から非常に近いから危ないという問題も考えられるわけでございますので、もちろん湯田ダムの補償の問題は、まだ全体といたしましては途中の問題でございますから、よく現場で地質なり坑道の状況なり、そういうものを十分調査いたしまして、現地の皆様とよく相談するようにということで目下調査をさしておりますので、その結果を待ちましてまた御報告する機会を得たいと思います。
  18. 北山愛郎

    北山委員 この点は、今申し上げた通りに、補償の対象にならぬというふうに判断をされたことは、やはり調査の結果ではなくて、十分な調査をまだしておらぬ、これから調査した上で結論を出すというお話でありますから、その結果を待ちたいと思うのです。ただこの際、湯田ダムの問題のみならず、一般的に問題になると思うのですが、ダムの補償などの場合に直接水没した被害者、それから水没した物件、こういうものに対して補償が行われて、それから水没しないものでも、今申し上げたようにその地域が孤立してしまう、あるいは道路がつけかえをしなければならぬとか、非常な迂回をしなければならぬとか、そういうように生活環境が非常に変ってきて不便になってしまうというような、これは直接の被害ではありますけれども、水没してしまうわけではない、そういったものに対する生活補償といいますか、そういう考え方建設省としてはおとりになるのかどうか、私もいろいろなダムの補償のケースを調べてみたのですが、岡山県の旭川ダム、あれは県の工事でありますが、その補償金というものは比較的適正じゃないか、と申しますのは、水没地域外の世帯移転に要するものに対する補償という項目がありまして、第一には水没満水線に近く、地盤、流水、方向等から考えてきわめて危険な位置にあるもの、二が、残存世帯がきわめて僅少となり、社会生活を営むことが困難になるもの、それから残存耕地が僅少となって転業の方途がなく、経済生活が困難になるもの、こういうような場合、今ちょうど上台野の場合にも適用すると思うのでありますが、そういう場合にも補償の対象としておる。これは岡山県の地方のダムの補償でありますが、このような補償の方法は、やり方として非常に適正じゃないか、こう思いますし、そのほかにも、発電関係でこれに類したような移転補償などの行われている例があるようであります。こういう考え方を、建設省としてはおとりになるかどうか、これを一つお聞きしておきたい。
  19. 山本三郎

    ○山本(三)政府委員 今お話しになりました、ダムを作りまして貯水いたしますと、非常に交通が不便になるという点につきましては、できるだけかえ道を都合のいい方に作るなり、あるいは橋梁を作るなり等いたしまして、全体として個々の方々に極端な御迷惑のないように処置するというのがわれわれの方針でございます。  それからまた残地、非常に土地を持っている方が半分以上の土地をとられる、あるいは三割とられるというような問題が起きまして、そこで非常に生活の根拠を失うというような方につきましては、水没する土地とか物件以外に、そういうふうな残地が非常に少くなったというようなことから生活が非常に困るというような方々に対しては、できるだけ補償を考えるというふうに考えておりますが、ただその付近が人家が非常に少くなったために営業が困ってくるというような点につきましては、なかなか判定がむずかしいのでありまして、これを考えるとなりますと、いろいろとむずかしい問題が出て参りますために、どこまでこれらを考えるかという点で非常に苦心するわけでございまして、これらの点につきましては、具体的問題で処理して参りたいというふうに考えております。
  20. 北山愛郎

    北山委員 確かにその判定はむずかしいと思うのです。直接間接の影響を全部補償するということになれば、これは大へんなことになる。しかし今のような場合は、そのダムができたことによって、直接に交通が不便になるというようなことであります。よそから来てその場所を交通するような関係者とは違うのであって、やはりこれは、直接の被害者としての賠償の対象になりはしないか、その方が常識じゃないか、こういうふうに考えるわけです。なおそういうような例は、たしか宮崎県の上椎葉のダムでも、普通の移転慰謝料といいますか、何十%というような少し段階をつけて、今申し上げたような場合の被害者に対する補償の方法考えている。そういうようなことをやった例もあるようでありますから、この点も、ただ直接どの程度の被害であるかということがわからないということによって消極的な措置をとらないようにおやりになっていただきたいと思います。この点、もう一ぺんお伺いしておきます。
  21. 山本三郎

    ○山本(三)政府委員 道路等が非常に不便になったというような場合に関しましては、不便にならないように、かわりのかえ道を作るなり、橋梁を作るわけでございますが、今のようなお話の場合におきましては、最近におきましては、やはり慰謝料というようなものも出さなければいかぬ、ほかの方でも出している例が非常に多いわけでありますので、そういう考えの方向に進んでおりまして、具体的にそういうふうにやっている例もございますので、その場合に応じまして適切な処置を講じたいというように思います。
  22. 北山愛郎

    北山委員 それでは、今の湯田ダムの上台野の問題はよく調査を願って、適切な措置をお願いしたいと思うのです。満水に近い、しかもその岸から水ぎわ——満水線までが一メートルちょっとしかないということも、これは建設省計画ですから、間違いがあるわけはないと思うのですが、ほかのダムの場合に、たとえば猿ケ石のダムの場合でも、当初予定している湛水面積が、実際やってみるとずっとそれよりも広いという事態が出たこともあります。従って一メートルちょっとくらいの差では、これは安心がならないという点もあると思うのです。  今の廃坑の問題も複雑でありまして、山本鉱山だけでなくて数回にわたって起った。ことに戦争中は、めちゃくちゃに掘ってあるらしいのです。そういう点もよくお調べいただいて措置を願いたい。  それからもう一点伺いますが、これは石淵の問題であります。石淵のダムは、昭和二十一年ごろに補償の交渉を現地の人たちとやったわけですが、当時の補償のやり方について、現在非常な不満があるようであります。ということは、農地なんかの買収価格が非常に安かった。記録によりますと、一反歩九十円から百円くらいで買収した。当時でもやみ米の値段が七、八十円したのですから、米一升一反歩、こういうような買収価格になっておったらしいのです。しかもその補償の取りきめは二十一年ですか、そうして実際に完了したのは二十五年でありますから、その間に物価は二十倍くらい上っているわけです。移転する人は、二十一年ごろにきめた値段で補償を受け取って、それが移転をするという場合には、その金では移転もできない。ですから一部のおもやくらいを移転して、あとのものは水没したままで、建物を残しておるというような悲惨な状態のようであります。特に現在、このダムの上流のところに十軒ばかり農家が残っておるわけです。その部落の生活が非常に悲惨な状態だ。ということは、ダムの満水によって道がなくなったわけなんです。営林署の軌道があって、学校の生徒でもその軌道を歩いて、ずっとその軌道をおりてきて、トンネルをくぐって、それからダムの堰堤の上を通って、それからがけを上ったり下ったりして、そうして学校に通うというような取り残された部落があるわけなんです。従ってこういうような、そこへ十軒だけ残されてしまって非常に生活に困難をしているというようなものについては、石淵の問題は非常に古い問題でありますけれども、しかしやはり考えてしかるべきじゃないか。この点については、陳情によって、建設省もたしか三月の半ばごろに現地調査をやったようでありますが、その調査の結果がおわかりでありましたら、ここで一つお述べを願いたい。と同時に、どういうふうな措置をとるか、この点も同じような、いわば補償漏れといいますか、ばかを見た方の一つの極端な例じゃないかと思うのですが、御考慮をいただきたい。
  23. 山本三郎

    ○山本(三)政府委員 この補償の問題は、お話しのように、終戦直後に建設省のダムを作りました最初のものでございまして、その当時といたしましては、お話しのように反当の補償額も非常に少かったわけでございまして、今考えてみますと、非常にお気の毒に考えておるわけでございます。しかしこの補償につきましては、すでに建設省が水没者との間に正当の契約をやりまして、土地を使うことを御承知をいただいておるわけでございますので、国として再補償をするというようなことはなかなかむずかしい問題でございます。しかし、具体的にそのために生活に困っておられる方があるというふうなお話でございますので、地建と県の方に、この問題をよく調査いたしまして、ただいまの道路の問題であるとか、あるいは土地をとられて土地のないために困っておられるような人がおられるならば、その人たちに対しまして開墾する土地をあっせんするなり、いろいろな方法考えてやることは、話が具体的になりますればあるいはできることもあると思いますので、それらの点を具体的に県と地建と協力いたしまして調査をし、その方法考えるということで指示してございます。具体的には、まだそれらの方法等につきましては、現地から報告がございませんが、できるだけ早く報告を求めまして、具体的の方策を立てるように指導いたしたいというふうに考えております。
  24. 北山愛郎

    北山委員 まあこれも、調査をしたようでありますから、その結果でまたお尋ねをしたいと思うのでありますが、この当時の補償について、被害者の方と正式な契約をしてやったのだと言われますけれども、やはりその協議の仕方、協議書のやり方、そういうものにつきましては、従来と似たような天下り的な点があったのじゃないか。たとえば協議書を入れるのに、反別とか地目なんかの明細を出さないで、一括して判をとってしまう。農民のことでありまして、法律は知らないし、またお上のやることだからというので判を押してしまうというようなことでありますから、これはなるほどむずかしいとは思いますけれども、今の十戸の取り残された部落の問題とあわせて、一つできるだけの検討をしていただきたい。  猿ケ石の場合でも、戦争前、戦時中にやった工事、いわゆる中止以前の補償を一ぺんやったのです。それからまたさらに考慮されたわけでありますから、一つ何としても——一反歩の田が、いかに昭和二十一年ごろでも、百円足らずの金で買収されてしまう。二十二、三年ごろに田を求めるとすれば、一万円くらいはしたわけなんです。今になって言うわけでありますけれども、そういう不当なことは、何らかこれに対する補いをつけなければならぬじゃないか、こういうふうに考えますので、一つ県と協力をして、この問題を残された部落の問題と一緒に御検討願いたい。その調査の結果で、いずれまたお願いを申し上げたいと思います。  私の質問は以上であります。
  25. 堀川恭平

  26. 山中吾郎

    山中(吾)委員 同じ水没部落の問題なんですが、建設省ではダムの水没住民に対する基本的な思想として、本来はどういう考え方でやっておられるのか、まず次官にお聞きしたい。たとえば損害賠償の思想の上に立っておるものか、生活保障の思想の上に立っているのか、あるいは日本の国土開発について、水没部落民として大いに功績を持っておるわけで、これに対する功労者保護の思想に立っておるのか。戦後からずっと十年くらいあるのでしょうが、今までずっと水没部落に対して補償してきた基本的な思想、大体どういう建設省の思想に立って水没部落の犠牲者に対して考えられてきたのですか。これはむずかしいことではなくて、石淵ダムの部落民の悲惨な状況が今あるものですから、それについて一応建設省の一貫した考え方をお聞きして、それによって私も意見を申し上げるということにいたしたいと思います。
  27. 徳安實藏

    徳安政府委員 ただいまお話の問題につきましては、建設省としては在来からの方針としまして、もちろんそれによって損害を受けられるものは補償をしなくちゃならぬことは当りまえであります。同時にまた、それによって生活の根拠を失われるような場合、あるいは生活に非常に大きな被害を与えるような場合には、またこの面におきまして補償をすることも当りまえだと思います。でありますから、一方的でなくて、両面から考えて補償することが必要だと思うのです。  最後にお述べになりました、一つの誇りを持つというような気持も、これはできるだけ公共的な施策につきましては、御協力を願う意味においての気持としては考えられますけれども、必ずしも補償するときにおいて、そうしたことを深く強く勘案して査定するなんということは考えておりませんし、またそういうことの犠牲をそういう方だけに求めよう、しわ寄せをしようという考え方はないと思います。
  28. 山中吾郎

    山中(吾)委員 私は、戦争で犠牲になった人に対して、国家の功労者として勲章をやったり年金をやったりする思想を、こういう国土開発のために犠牲になって、家屋も土地も水の中に没していくという人に対しても、平和の戦士として、その功労者として、むしろプライドを与えるような行き方でないと、これからあとからあとから大きい事業をやっていくについて、そこまでものを考えていかないと、日本の国土開発行政は進まないのではないかというふうに思うのですが、その辺のお考えは持っておるのか。これは、建設関係の問題についてはおっぽり出される。だから、できるだけまたいろいろなことをして権利だけを要求するということもあるのですが、そういうことをお考え願いたいと思うのです。これは、何かお答え願えますか。
  29. 山本三郎

    ○山本(三)政府委員 土地や物件等によりまして、進んで御協力をいただきたいという方々に対しましては、現在までは感謝状等を差し上げたりしております。勲章まではいっておりませんが、役所としては、進んで御協力をいただいたような方に対しましては、感謝状等を具体的には差し上げております。
  30. 山中吾郎

    山中(吾)委員 私はまじめに、勲章でも与えるくらいでないと日本の民主政治は進まないと思う。人殺しをした人に勲章を与えている、国土開発の平和の功労者にも、そのくらいの考えを持って為政者がいかないといけないのではないか、年金を与えるというくらいにいって、私はほんとうの国土開発の百年の大計が実施できると思うので、これはまじめに一つ御検討願いたいと思います。  そこで、石淵ダムの二十一年のときのあり方というものは、今次官は単なる損害賠償でなく、その人の生活保障というところまで考えられてきた、しかし功労者まではいかないということなんです。それは今後の問題として、当時の協議書を見ますと、私との例を見ますと、非常に暗い感じがするので、一つこれからの問題としてお願いするために、読んでみたいと思うのです。協議書として「一金二万七千四百五十五円三十七銭但シ岩手県胆沢郡若柳村」云々、「此ノ地積三町四畝十一歩外二、三百十三坪(宅地)買上代金」「内務省起業胆沢川筋石淵堰堤工事用地トシテ右ノ土地前記ノ金額ヲ以テ買収致度候ニツキ御承諾相成度右ニ関スル手続ハ内務省東北土木出張所石淵堰堤建設事務所ニ於テ取扱可致候条実印携帯ノ上同所へ出頭相成度此段及協議候」、こういう文章です。昔江戸時代に代官が呼び出して、そうしてしかもこれはほんとうかどうか、三町四畝なんというもの、それから宅地の三百十三坪で三万七千円、こういってきたので、その当時の村人は手をふるわせながら、おっかながって何か判を押したという状況であったそうです。戦争直後でありますから、きっと戦争時代のいわゆる権力主義の政治が伝統として突き通っておったから、おそらくその末端では、そういう光景があったのではないか。そういうことで、現在悲惨な状況の中に——二十七戸くらいだそうですが、事実調査を今されていると思いますので、きっと調査した人は、実感を持って報告になると思いますけれども、そういう状況である。そういうことを考えて、建設省の石淵ダムの国土開発の名誉ある犠牲者、その人たちに対する考え方が非常に違っておったということなので、ぜひこういう点について、一応法律的に処置は終っておりますけれども、御検討願わなければならぬと思います。これはお答え願わなくてもけっこうであります。  もう一つ、行政上の取扱いとして公平の原則ということが、いつも法改正のときの理由に出されておるわけであります。この間の公営住宅法の改正の場合にも、家賃の高低について、公平の原則によって是正するという提案が出ているわけであります。それについて、受益者間における公平の原則というものだけが取り上げられて法改正の基礎になっておりますが、被害者についても、被害者間における公平の原則も考えなければ片手落ちではないか。水没部落の住民が、十年前に、昔の代官が呼び出して判を押させたようなあり方で、非常に少い補償をもらっておる。それから数年後の水没部落の者が、非常に有利な補償を受けているという場合についても、公平の原則という行政上の考え方を適用しなければいかぬのではないかと思うので、その点についてのお考えをお聞きいたしたい。
  31. 徳安實藏

    徳安政府委員 山中委員お話は、私ども非常に啓蒙される点が多いのです。むしろ私どもの党と同じような気持より以上のお気持をお持ちになっておって、非常に私どもは感激をしてお聞きしておるわけであります。ただいまの問題につきまして、私もあまりその方面には深い知識もないわけでございますが、ただいま事務当局の説明を聞きますと、すでに契約が果されておるものでございますから、厳格な意味からいえば、どうもそれを、ただいまもう一ぺんほどき直してどうこうするということは、困難かもしれません、しかしそうした現実の姿というものについては、目をおおうこともできませんから、何らかほかに政府として処置のできるような合法的な方法があるならば、できるだけ心配しなければならぬという気持を持っております、こういうことを申しておりますが、しかしそういう気持を表わし得るような案件がそのうちにあるかどうか、この点については、私どもは知らないわけでありますけれども、もしそれがありまして、政府の方が少しあたたかい気持でそうした問題を解決してくれれば、かつての損害に対しても、被害に対しても多少いけるのではないかというようなことがありましたら、これは多少の無理はありましても、政府としては、そういう方々に対してあたたかい手を差し伸べることは必要だと思います。ぜひ一つ御指示をいただきたいと思います。
  32. 山中吾郎

    山中(吾)委員 今の悲惨な状況は、北山さんからも言われましたが、とにかく学童が通学するのに、林道のトンネルを歩いていく、それから橋がない、そういうふうな関係から、非常な悲惨な状況である。それから栄養失調にかかっているものが四世帯もあるという状況です。そこから私ども申し上げておるのですが、それで一応契約済みだということになっているわけです。そこで次に何らかの方法で、いわゆる行政上やり得る範囲内というのを、やり得る方法を作って一つしていただきたいと思います。そうしてもっと根本的に、建設行政によって犠牲を受けた者に対する生活保護に関する立法くらいも考えていく必要があるのじゃないか。損害賠償という思想からいきますと、一方は取り得だ、一方の政府の方も、とにかく損害賠償をやる必要はないんだという、冷たい理屈だけでおやりになっておると思います。そうでなしに、国土建設の中における犠牲者に対する別な思想で、何か新しい角度から、そういう人々の生活を保護するという立場からやれないかということも含んで、御検討願いたい。石淵ダムの具体的な問題については、こういう悲惨な状況でありますので、他のなし得る方法を発見をして、あるいは作り出してやっていただきたいと思うのです。それはなぜかというと、現在の赤貧洗うがごとき部落民の姿と、それからダム用地による開墾のための土地の喪失ということと因果関係がある限りについては、やはりいろいろと責任があるのじゃないか。これは、因果関係がどういうことになるか、一応相当因果関係がある限りについては、やはりこちらにおいても、法的にもうきまったから知らないというようなことはいかぬじゃないかということを申し上げます。  いま一つだけお聞きしたいのですが、その当時の土地の買収について、自作農創設特別措置法に基いたということなんだそうですが、不在地主とかその他に対する場合の自作農創設に関する法案、こういう貧困な部落民の土地を取ってしまうときに、そういう法案に基いて価格を決定するというのは、私はどうもケースが違うと思うのですが、これはいかがなものでしょうか。
  33. 山本三郎

    ○山本(三)政府委員 その点も今調査をしておりますが、おそらくその法律に基いてやったということではないと思います。これはどこまでも契約でやっているんだと思いますけれども、なお詳しいお話は調査をしておりますから、その結果を御報告申し上げます。
  34. 徳安實藏

    徳安政府委員 先ほどお話がございましたように、ほんとにそうした非惨な部落がかりにお話しの通りあるといたしますれば——どもも実際を知らないわけでございますけれども、御指摘のような事実がほんとにありますれば、これは法を曲げるわけにはいきませんけれども建設省の持っておる限りにおいて、あるいは道路にいたしましても、橋にいたしましても、あるいはその他の事柄が、建設省事業関係も相当あるわけでありますから、そういうことにおいて救うことができますれば、私は決してこれはいなむわけじゃありませんので、場合によっては、一つ現場を見せていただきまして、そういう人々を救うようなことを一つ考えていきたいと思います。
  35. 山中吾郎

    山中(吾)委員 いつも次官の温情あふるるお話を聞きまして、敬意を表しながら、石淵ダムの悲惨なただ少数の部落民ですから、善処していただくようにお願いしまして、質問を終りたいと思います。
  36. 堀川恭平

  37. 板川正吾

    板川委員 私は河川改修費補助に関連しまして、目下東京都で行なっておる中川放水路工事について、若干の質問をいたしたいと存じます。建設省の本年度予算を見ますると、昨年度より四百億円ほど非常に増加をいたしております。しかしその四百億円ほど増加しておる金額をさらに検討しますと、道路整備のために三百二十億ほど使われておるのでありまして、どうも建設省予算道路重点に置かれて、河川の行政というものを軽視しておる感じがしてならないのであります。岸内閣が一兆円の巨財を投じて、五カ年で日本の道路を整備するということは、私も賛成であります。しかし道路と同じような国民生活に大きな影響を持つ河川について、これを軽視してはいかぬ、こう思うのであります。それと、道路を重点的にやることもけっこうでありますが、従来自民党として公約をしておった幾多の河川工事、こういう公約を一つまずやった上で、次の道路行政に重点を移す、こういうふうにやるべきじゃないか、こう思うのであります。  そこでお伺いしたいのでありますが、中川放水路工事についてですけれども、この中川放水路の工事は、御承知のように、昭和二十四年から三十一年までの八カ年計画であります。八キロ余の放水路を作る、六キロ余の上流の護岸工事を行う、その工費は四十二億五千万ですか、こういうことで当初計画しておったのでありますが、十年を経た今日、その八カ年計画が一体どこまで進捗しておるのか、その工事の見通し、現在の工事の完成率、こういうものについて御説明を願いたいと存じます。
  38. 山本三郎

    ○山本(三)政府委員 中川放水路の工事は、東京の東部一帯の治水上重要な工事でございまして、御承知のように、その前にちょっとやっておりましたけれども昭和二十四年から再開したわけでございます。それ以後建設省といたしましては、補助工事河川改修といたしましては、第一番目の工事として促進はして参っております。しかしおっしゃるように、画期的の増額ができなかったためにおくれておりまして、通水をするまでに、まだ三十四年度以降に十六億円くらいかかるわけでございます。三十三年度はそれじゃどのくらいの工事費かと申しますと、三億九千万円の事業費がついておるわけでございます。三十四年度はもちろんこれよりも増額いたしまして、開通を促進したいというふうに考えておりますが、現在ぐらいの予算で参りますと、やはり三十七年度にならないと通ができないというような状況でございますので、私は、これをできるだけ三十六年度には開通するようにしたい、今後予算を増額いたしまして通水するようにしたいというふうに考えておるわけでございますが、現在の予算では、もう一年どうもかかりそうだ。今後の予算の増額に期待いたしまして、三十六年にはぜひ通水したいというふうに考えておる次第でございます。
  39. 板川正吾

    板川委員 まあ私が申し上げることもないと思うのですが、この中川の水系は、上流は埼玉県で、有名な低湿地帯になっておるのです。私の関係する県でありますが、少し雨が降りますと、もう田畑が冠水してしまう。また東京都内に入りますると、これが水害の原因をなしておる。この田畑の冠水でありますが、埼玉県内では、この中川水系の上流の七万二千町歩の水田のうち、六五%が低湿地のために一毛作になっておるのです。そうしてもしこの放水路が完成して、河川改修や土地改良を行えば、その六五%の水田が二毛作になる。そうして米が十六万石増収でき、裏作の麦が五十四万石増収できる、こういう計算になっておることは御承知と思うのであります。ですから、この工事について、まず一番もとの放水路の通水が一年早く行われれば、この米の十六万石と麦の五十四万石、これを現在の価格に直しますと約四十億になる。四十億の農業生産物が沿線の農民のふところに入るのです。ですから、これは一年でも早く通水させることが一番大切だ、こう思うのです。また、これは経済的に見ても、それだけの価値のある仕事であると思うのでありますが、ただいまの局長の御答弁によりますと、現在いわゆる予算が十六億ほどある。今の割合でいきますと四年間かかって、三十七年度でないと通水できない、こういう見通しでありますが、三十六年度、あと三年後に通水したいというお話もありました。ところで二月二十三日に、この工事を請負っておる都の議会では、社会党の内田雄三議員が、すみやかに中川放水路の工事促進すべきである、都知事の今後の方針はどうか、こういう質問をしておるのであります。ところがそれに対して都知事は、三十四年度は、中川放水路工事促進のために有利な予算を組んでおります、ですから御安心を願いたい、こう答弁しております。また都の建設局長も、ただいま河川局長が言われましたように、ぜひとも三十六年度には通水をできるようにしたい、水門工事をあとにして、とにかく通水してから水門工事をする。当初の計画を若干変更すれば、三十六年度には通水できるようにしたい、こう言っております。ただ問題は、予算のことになるわけでありますが、本年度中川放水路工事に支出する河川改修補助費ですが、これは幾らくらい昨年より増額される見込みであるか、この河川改修補助費は、昨年二十六億総額で取れており、本年二十八億になりまして、一億ほど増額をしておりますが、一体中川のために本年度は幾ら予算を取る御予定か、それを一つ、わかりましたらお伺いをしたい。
  40. 山本三郎

    ○山本(三)政府委員 先ほど申し上げましたように、昭和三十三年度は三億九千万円でございますが、これを少くとも四億以上にはしたい、まだ確定はいたしておりませんが、四億以上にはしたいということで、今具体的の問題を検討中でございます。
  41. 板川正吾

    板川委員 東京都の方では、調査したところによりますと、五億五千万円のワクまでは用意をいたした、こう聞いておるのです。五億五千万というのは、これでいけば三カ年で放水路の通水が可能である、こういう計画立てて、五億五千万本三十四年度は用意した、こういうわけです。昨年度は、局長も申しましたが、特別失対費を合せて三億九千万円、昨年までは国家の補助が六割でした、ことしはこれが半額になるのですね、五割になる。そうして昨年の割で出したとしましても、本年度工事総量が、昨年の割合で金額を減らさなければ、四億六千八百万程度になろうと思うのです。六割補助したつもりで、ことしも五割補助をしたとするならば、四億六千八百万程度になる。五億五千万と、わずかでありますが、予算の総額が二億ほど昨年よりふえておりますから、東京都が用意した五億五千万の工事総量、その半分の二億七千五百万円、この程度はぜひとも御無理を願って予算を計上してもらいたいと思うのです。そうでないと、これは三十六年度に通水が完成するということは不可能である、とこう思うのでありまして、こういう予算上の措置について、河川局長として決意といいましょうか、そういう見通しといいましょうか、もう少し具体的に一つお話しを願いたいと思うのであります。
  42. 山本三郎

    ○山本(三)政府委員 東京都議会で決議になりましたというような点につきましては、まだ正式に本省の方へ書類は参っておりません。ただ様子をお伺いいたしますると、三十六年までに通水したいという要望でございますので、私どももぜひその線に沿うようにしたいと考えておるわけでございます。東京都の話によりますと、三十四年度は五億五千万円、その次も五億五千万円、その次の年は三億だというように聞いておりますので、それだと、十四億の税額になるような感じがいたしております。それからまた東京都は、国の補助が来なければ、将来の補助を見通して立てかえ工事をやっておこうじゃないかということも考えておるように聞いております。それらの点もいろいろ考慮いたしまして、重要な工事でございますので、あるいは都で立てかえ工事をやるならば、その次の年に補助をいたすというようなことも考えられるわけでございますので、来年度にいきましても予算を増額するわけでございますけれども、いろいろの方法を極力考えまして、三十六年にはぜひ通水ができるように、そうしないと、先ほどのお話のような、上流の埼玉県内の中川改修工事、あるいは元荒川等の改修工事が、放水路ができないうちにあまり進みますと、しわ寄せがみんな東京都にくるわけでございます。何と申しましても、放水路を早く通水することが一番の眼目でございますので、上流の中小河川等も着手はしておりますけれども、まだこれを積極的に進めることができない段階にありますので、お説によりまして、極力予算も増額いたしますけれども、都ともよく相談いたしまして、三十六年に通水するにはどういう方策を立てたらいいか、あるいは水門等を一時あとに残しますならば、その十六億という工事の内容も多少は減らすこともできる。都の方では、あるいは十三億という話も言っておりますから、先ほどお話しの水門等の問題を除くと、あるいは少くて済むのじゃないかというふうにも考えておりますので、それらをよく相談いたしまして、来年度工事実施をはかりたいというふうに考えております。
  43. 板川正吾

    板川委員 確かに上流としては、中川水系の開発のために、支川の改修工事を行うのですが、肝心なのどもとが通らないために足踏み状態で、県としても非常にそれだけよけいな金がかかっておるわけです。どうしてもこれは早く通水をしてもらうことがまず第一であります。都の方では一応三十四年度六億——五億五千といいますか、六億、三十五年度が六億、三十六年度四億、これをやれば通水が可能ではないか、あとの予算上残額は、それから逆流どめの水門、そういうものを作るだろうと思うのですが、まず通水をすることが先決問題である、こう思うのであります。先ほど局長も言われましたが、都の方では、もし大蔵省が仕越し工事を認めてくれるならば、ある程度先に都の方で金を出して工事促進をはかってもいい、しかしなかなか大蔵省がこれを承認しない、こういうふうに心配しておるのですが、きょう大蔵省を一緒に呼んでおけばよかったのですが、おりませんが、従来こういうような場合に仕越し工事といいましょうか、先にやってあとから支払いを受ける、補助を受ける、こういうことが、大蔵省との話し合いで、この工事の場合にでき得ますか。
  44. 山本三郎

    ○山本(三)政府委員 その年にこういう仕事をやるから、来年度の補助の対象にしてくれということを言ってこられましても、御承知のように、予算は単年度ごとの予算でありまして、国会の承認も、要する問題でございますから、その年に約束するわけにはいきません。しかし、どうせどうしてもやらなければならぬ国の補助事業でございますので、その次の年になりまして、その工事が正当な工事であるならば、事業の内容はその年に承認しておきまして、来年度で補助の対象にするということ、事務的の了解を得ることは必要でございますけれども、そういう方法をとった例がございますので、都にそういう意思があるならば、事務的に連絡しなければならぬところはございますけれども、そういう方法もあるいはとれるのじゃないかというふうに考えております。
  45. 板川正吾

    板川委員 あとの質問者もあるようでありますから……。とにかく三十六年度東京都も通水をする、こういう熱意を持っておるのでありますから、またどうせこれはやらなくちゃならない工事でありますし、計算的に言うならば、工事をやるのに、一年早くやれば四十億の収穫がその沿川の農民に入るのですから、これはどうしてもここまできた以上は、おくれていますけれども、三十六年度には通水できるような措置を一つしていただきたい。都にもその熱意がございます。局長もぜひともそうしたいというのでありますから、その実現を私は強く期待をいたしております。  それからもう一つ最後にお伺いしたいのでありますが、政府は頻発する水害の実態にかんがみまして、治水対策の抜本的な解決をはかるのだ、治水事業の五カ年計画を作る、それで、その予算等の裏づけのために審議会を設ける、こういうことを私新聞で伺ったのでありますが、治水事業に対して非常な関心を持ち、今後熱意を持って当っていくということに対しましては、われわれ非常にそれに深く関心を持っておるわけであります。  そこで一つお伺いしたいのでありますが、埼玉県側としますると芝川の改修、綾瀬川の改修等、他府県にわたる河川、こういう改修工事は、中川ばかりではありませんが、総合的な立場から、東京都でやる、埼玉県でやるというのではなくて、国の直轄工事でやってもらいたい、こういう要望をしておるのであります。こういう特に芝川の問題とか、強くそれを要望しておりますが、この直轄工事になる見通しといいましょうか、そういう考え方について、この際明らかにできたら、お考えを次官から一つ御答弁願いたいと思います。
  46. 徳安實藏

    徳安政府委員 実は私も、芝川の問題につきましては、しばしば陳情を受けておりまして、中小河川で一億円以上つける場所というものは、あまりないのでございます。しかも、それ以上つけなければならぬという川が補助事業であるということについて、私も不思議に思っておりました。従って事務当局には、どういうわけでこれは直轄にできないのかという話をしておるのでありますけれども、何か下流の方は都でやっておるそうでありまして、過去のいろいろないきさつから、とうとう直轄にならずにおるのだそうであります。しかしせんだっての被害等から考えましても、また予算のつけ工合等から考えましても、中小河川として補助事業で妥当であるかどうかということにつきましては、相当意見もございまして、ただいま検討しておるそうでございますから、皆さんの御熱意のいかんによりましては、直轄事業に移る可能性があるのではないか、私はしろうとでございますけれども、実際をちょっとながめまして、一億円以上つけなくてはならない中小河川を補助事業でほうっておくということは、どうもおかしいのじゃないか、しかし過去におきましては、わずか三千万円くらいな金額だそうでありますから、そういう例はほかにもございますけれども、一億円以上つけなくちゃならぬということはあまりないのであります。ですから、これは一つ事務当局ももう少しよく検討いたしましょうし、私も、芝川の問題については耳にタコができるほど聞かされておりますから、十分一つ相談いたしまして、でき得るなら、やはりそうした大きな金を投入するならば、今お話しのように、総合的に直轄工事にぜひ移してやる方が適当じゃなかろうかという考えを持っておりますが、まあこれはしばらく一つ検討させていただきたいと思います。
  47. 板川正吾

    板川委員 それでは、一つ次官の今後の政治力に期待をいたしまして、私の質問を終ります。
  48. 堀川恭平

    堀川委員長 この際武藤武雄君より発言を求められております。これを許すことにいたします。武藤武雄君。
  49. 武藤武雄

    ○武藤委員 だいぶ時間がおそくなりましたが、あと二十四日まで開かないそうでありますから、今度の国会でぜひ討議しなければならぬ重要問題ですので、長くなりましたが、一つ御答弁いただきたいと思います。できるだけ簡単にいたします。  それは、定員外職員の定員化の問題であります。今国会に当初の予算が提出されましたときに、建設省予算化の中で、二百九十四名新しく職員を増員したという報告があったわけであります。事務当局でもいいですけれども、今建設省並びに地方建設局を通じまして、定員外職員は常勤、非常勤を合せまして、資料も私ありますけれども、どのくらいになっておるか、一つ正確な数を御報告願いたい。
  50. 鬼丸勝之

    ○鬼丸政府委員 定員法上の定員といたしましての職員は、本年度は一万六千七百二十二名でございます。それで、このうち本省が千八十五名、付属機関が千十二名、地方建設局が一万四千六百二十五名ということになっておりまして、これは三十三年度に比べて二百九十四名の増加でございます。そのほかに、武藤委員も御承知のように、建設省では、特に地方建設局に多いのでございますが、いわゆる予算上の常勤職員、それから常勤的非常勤という二通りの職員がございまして、これらは、その勤務の形態なり内容は、ほぼ定員内職員の者と同様でございます。この常勤職員がどのくらいおるかと申しますと、現在六千八十三名おります。このうち大部分、つまり五千九百六十一名は、地方建設局において勤務いたしております。それから常勤的非常勤、これがなかなか正確な数字は捕捉しがたいのでございまするが、最近、すなわち昨年の十一月二十日現在の調査によりますると、九千三百名おりまして、この大部分は、やはり地方建設局において働いておる者でございます。
  51. 武藤武雄

    ○武藤委員 私どものところに来ております資料と大体合っておると思います。そこで、特に地方建設局関係等も考えてみますと、実際現場事業に携わっておるものでありますから、これは、たとえば予算上の事業の増大、あるいは予算上の減少等によって事業に差ができて参りますから、これを全部定員内職員にしろということも、確かに無理であろうと思います。しかし、実際に内容を調べてみますると、非常に長年月を勤めておる常勤並びに常勤的非常勤職員の数が多いのであります。たとえば、資料によりますと、この常勤職員の場合に、三年から五年勤めておるのが千百三十八名、五年から十年というのが二千六百十人、十年以上の勤続が九百八十八人、常勤的非常勤職員の場合には、三年から五年が二千二百四十七名、五年から十年が三千四百七十一名、十年以上が七百四十七人、こういうふうに非常に長期間にわたってこの勤務をしておる者が大半を占めておるといっても過言でないのであります。そういたしますと、予算に伴う事業量によって増減されるという数は、非常に少いのでありまして、趨勢として、ほとんどいわゆる継続的勤務をしておる数だと思います。同時にまた、仕事の内容を見てみましても、定員内の職員と同じように、たとえば常勤職員の場合に、事務に千四百八十九名、技術に千二百十四名、技能に二千八百七十八名、庁務に四百二名というようになっておる。常勤的非常勤の場合もそうでありますけれども、ほとんど一般定員内職員と仕事の内容も同じであります。そういうことを考えますと、これは年度ごとに人員の増加が非常に多い場合に、事業量の増減によって違うわけでありますから、これを定員内に入れろということは無理かもしれませんけれども、こういうふうに長期に勤続をする性質であり、しかも勤務の内容、仕事の内容が定員内職員と同じだという場合には、やはり一定の年限を限って定員に入れるべきだと思うのでありますが、そういうことに対して、一体どう考えておりますか。
  52. 徳安實藏

    徳安政府委員 私どもも、同じような意見でございます。ただ、そういうことを叫んでおるのですけれども建設省だけ一人相撲できませんので、相手方がありまして、なかなかこの壁が破れないというのが実情でありまして、建設省におきましても、大臣以下私どもは、そうした点につきまして同じ意見で、極力定員化に努力しておるわけでございますけれども、思うように参らないのが現状でございます。
  53. 武藤武雄

    ○武藤委員 これは、建設省も政府だし、壁といっても、大蔵省も政府なんであります。同一の組織の中におる部門なんでありますから、いわゆる同一の職場において同一の労働をして同じような能率を上げておる者には、当然同一の待遇をしなければならぬ。それから、そういうふうにほとんど三年以上も勤めておる者が全体の八割以上も占めておるというような場合には、これは当然身分の保障もしなければならぬと思うのでありますが、その原則については、これは政府部内だから、当然意見の統一があってしかるべきだと思うのですが、いかがですか。
  54. 徳安實藏

    徳安政府委員 その問題は、すでに数年前からの問題でございまして、政府部内のことでございますから、全部が全部同じ意見であればいいのです。そうすればこういう問題は起きないと思いますけれども、結論は私どもがそう思いましても、一部では強くこれに反対される方もおりまして、この問題に関する限り、まだ全部が全部意見が一致していないわけであります。しかし公務員制度の改正等も、今のままではいけない、だから近く改正しなければならないということには意見が一致しておりまして、それを急いでやって、そうして国民も納得し、また使われておる職員も納得するような公務員制度に改正したいということで、昨年来から問題になっておりますけれども、これまた今国会において提出するまでの成案を得ない、今国会では見送りだというようなまことに情ない状態になっておりますので、そこで、また最近違った角度から、定員という問題が与党から起っておるわけであります。野党からもその話がございますので、ただいませっかく折衝中でございますが、同じ党内ですから、意見は一致しなければならぬはずでありますし、同じ政府の中ですから、全部が全部一緒にならなければならないわけでありますけれども、こうした問題につきましては、どうも私どもと大蔵省と意見の一致しないのが現状でありまして、これはまことに残念だと思いますが、なるべく意見が一致するように努力したいとは考えております。
  55. 武藤武雄

    ○武藤委員 定員化の問題がやかましくなってきたものですから、何か建設省の内部でこういう意見があるということを、これはうわさだけでデマだろうと思いますけれども、結局定員外職員を使っておるといろいろ問題が起きてぐるから、一つ従来の直轄事業を、できるだけ民間の請負事業にまかしてしまって、そうしてそういう定員外職員というようなものを、逐次整理していこうというような方針があるといううわさなのですけれども、これは、次官どうですか、建設省の管下ですから。
  56. 徳安實藏

    徳安政府委員 そうしたことは、実際おくびに出たこともありません。ときどき私どもも省議を開いて相談いたしておりますが、今仰せのような問題につきましては、ほとんど省内も定員化すべきだ、たくさんふやさなければいけない、ほんとうに気の毒だという気持については、もう局長を初め地建からも、また本省の局長も私ども意見が一致しておるのであります。ただ請負の問題は、相当事業量がふえて参りましたから、この上にそういうような、今おる職員ですらも実際取扱いに困って、私どもは何とかして上げなければならぬと思っているやさきに、どんどんそうした条件の雇い入れ方をするのもいかがかと思いますので、最小限度にとどめておいて、今のを減らそうという考えはないのです。ただふえました分につきましては、やはりある程度までは請負をやらせなくてはならないという考え方を持っておりますけれども、しかし今の職員をどうしようというような考え方は、減らそうという考え方は持っておりません。なるべく早くみんなに明朗な気分で職場に働いていただけるようにしなければならぬということに意見が一致しておりますから、どうぞ御懸念のないように一つお願いしたいと思います。
  57. 武藤武雄

    ○武藤委員 語るに落ちるという言葉を使いましては、まことに申しわけないと思いますが、私冒頭に質問しようか、あとから質問しようかと悩んでおったのですけれども、結局本年度は、建設省は、公共事業関係を中心として四百億からの予算の増大になったわけです。事業量の増大に伴って、特に地方建設局における事務あるいは技術、現場、そういうところにおける労働強化というようなものが当然要求されてくるわけでありまして、単に今おる者の労働強化では、事業量の遂行はとても困難だろうと思う。そこで建設省は、一体いかなる具体策をとるかということを質問したかったのでありますけれども、ただいまのお話ですと、これ以上常勤をふやすということは、今ですら困っておる定員問題をなお複雑にするから、請負の方にその分は回したいと考えておる、とまでは言わなかったけれども、そういうことも考えたいということでありますが、私は、特に建設省が重点に行う事業は、公共性が非常に強い事業だと思う。これは、ただ単に営利、金もうけのための事業として考えられては、とんでもないことでありまして、非常に公共性の強いものなのでありますから、これは民間の請負のワクをどんどん拡大するというよりは、やはり直轄で、責任のある、しかもそういった中間マージンというものが問題にならない格好で、こういう公共性の強い事業——しかも特に災害復旧ともなりますと、相当時間的スピードも要求されるわけでありますから、これらの請負のワクを比較的ふやして、そういった定員問題等の困難を解消していくというよりは、やはり公共性というものを認識して、できるだけやはり直轄で行うべきだと思うのでありますが、次官の先ほどの答弁だと、何か心配がふえたんですけれども、一体どうなんですか。
  58. 徳安實藏

    徳安政府委員 それは心配要りません。御承知のように、ことしも約三百名ばかり、仕事の量のふえましたことに対する定員を増加いたしております。ですから、仕事の伸びに対する事務的な問題等につきましては、政府の方も定員を増加するわけでありますが、ただ人夫のような関係の人を一体どの程度にふやし、その結果、今の仕事にどういう工合に影響するかというようなことも、いろいろ調査しておるわけでありますけれども、今の方針といたしましては、決して職員を苦しめるようなことはいたしませんし、必要な場合には、人夫のような関係の人も、仕事のいかんによりましてはふやさねばならぬかと思います。ただ現在の業界等の規制も必要でございますから、ふえました量につきましては、みずから手をおろすということに専念しないで、やはり事業の合理化と仕事の合理化というようなものも考えまして、そして請負に出してよい仕事をさせる、しかもその監督は、十二分に人をふやしてやっていこうというような考え方で、一応今進めておるわけでございまして、仕事がふえましたから、ただいまの定員をもっとうんとふやして、今おる常勤的職員といいますか、あるいは常勤的非常勤、実に聞いただけでも何だか一向わけのわからぬような名前の人をどんどんふやそうという考え方はございませんが、必要に応じては、これがやはりふえてくることもやむを得ぬと思います。ただ仕事がふえたその量だけ、すぐそういう人をふやすという考え方ではないということを、一つ御了承願いたいと思います。
  59. 武藤武雄

    ○武藤委員 建設省は、特に一番膨大な定員外職員をかかえておるわけですから、これは一番頭痛の種だとは思いますけれども、やはり先ほどからの議論等を考えて、次官の温情論をもってしても、やはり十年以上、五年以上という長い勤続をして、しかも同一の職場で同じような仕事をして、それが身分保障もなければ、いわゆる所得においても差がつけられるということは、絶対に避けなければならぬことだと思うのであります。これは、だれが考えても道理の通った話だと思います。それで、私はこの際建設省なら建設省が正式の職員として考えていく場合に、一年以内程度の者は、その年々の事業量の増減によって減らす場合もあるし、減らさなければならぬ場合もあると思うのです。それは予算のしからしむるところであるし、国の政策の左右するところですから、やむを得ないと思うのですけれども、少くとも一年以上勤続をするような場合は、これは定員に繰り込んでいくというような一つの基準を明確にして、今後はやはり行政をやっていくということをこの際根本的に考えて、そういった意味の強い態度をもって、皆さん方が行政面に使っておられるほかの職員の方々が、そういう不当な、だれが考えても道理に合わない待遇の中で労働をしいられておるということがないように、建設省は一番多くの定員外職員を持っておって、責任は一番重大でありますから、そういう意味で建設省は、本気になってこの際根本的な基準を作って、はっきりとこの問題を解決していくというお考えはありませんか。
  60. 徳安實藏

    徳安政府委員 この問題は、ひとり建設省だけの問題ではございませんで、数におきましては建設省は相当多うございます。しかし郵政省にもございますれば農林省にもございまして、始終共通の問題として話し合っておるわけでございますが、ただいまのような強い現場からの要請というものは、今耐えられない状態にまでなっておるわけであります。従って、私どもが先ほど申し上げましたように、公務員法の改正を一つの頼みにして、そうしてそういうものによってこうした苦痛が救われるものと実は期待しておったわけでありますが、それがまだ成案を得られないという関係から、ちょっと目先が暗い感じがするわけであります。しかしせめて待遇の点につきましては、何とか親心を示さねばならぬということで、これはかつてこの予算のときに説明したと思いますが、この給与等につきましては、一般の職員とそれから常勤職員と称する諸君との間の差というようなものをほとんどなくしまして、また旅費等につきましてもその通り、あるいはまた超過勤務手当等につきましてもほとんど差異のないようにいたしまして、待遇の点につきましては、ほとんど差異がないと申しても差しつかえがないくらいまで接近させたわけであります。ただ身分上の問題につきましては、同じ公務員だそうでございますけれども、いろいろな欠けるところがございますので、本人も不安でございましょうし、あるいは若い者が結婚する等の場合には、全くその履歴にも書きずらい、せめてそういうときだけでも、建設省に勤めているのだということで結婚したいというような方も、私ども地方へ参りましても、ずいぶんそうした血のにじむような訴えを聞いております。こういう問題は、何とか早く解決せねばならぬと考えておりますが、それは今申し上げましたように、ひとり建設省だけの問題でございませんで、公務員制度の根本的な改革というものを基礎にして、お説のように将来におきましては、一応ある程度の期間が済みました者は、自動的にでも職員になり得るのだ、いわゆる定員にり入るのだ、そのときには、政府もその定員のワクを自動的に広げるというくらいな、あたたかみのある人事行政というものを考えるべきではないかというように私ども考えております。これは、公務員制度の改正を待って一つ御論議を願います。私どもも、今のお話しのような趣旨によりまして、極力努力いたしたいと考えております。
  61. 武藤武雄

    ○武藤委員 私は特に建設行政みたいな部門は、大体定員をしくこと自体が間違いだと思うのです。これは、定員のワクで縛られるべき事業の性格ではないのであります。従いまして、私は定員法そのものに反対なんであります。そうでなくて、先ほど申し上げましたように、雇用の原則に従って、やはり一年なら一年以上常勤的に、あるいは非常勤的性格もありますが、とにかくこれから一年以上使っていくというようなはっきりした見通しで人を採用する場合には、やはり一定の年限を切って、それをこえる者はいわゆる職員として、ちゃんと身分保障をしてやる、こういうことを考えておくべきだと思うのです。やはり定員だということになりますと、そういう身分がはっきりしておるにもかかわらず、身分的にまた定員外だという処置をとらざるを得ないのであります。そういう点について、政府部内で意見を統一するようにお願いしたいと思います。
  62. 鬼丸勝之

    ○鬼丸政府委員 武藤さんの御意見もよくわかりますが、これは定員法の建前の根本の問題になります。私どもは定員法で定数がきめられておるから、それが非常に固定的なものであるとも考えておりません。さらばと申しまして、やはり国家の公務員という職員組織を一応はっきり確立する上におきましては、そういう定数的な考え方が今までもとられておりましたし、これが妥当であろうと思います。ただお話しのように、何と申しますか、そういう非常に機動的に一定の年限でエスカレーター式にずっと上っていくということで、定員というものをはっきりきめない方がいいのではないかというような議論も一部にはございまするが、現在の体系では、やはり定員法で定数をきめて、それが将来仕事の伸び縮みがありました場合には、その定員法上の定数を変更していく、こういうことが妥当ではないかと考えております。
  63. 武藤武雄

    ○武藤委員 雇用をする場合の政府の予算等の関係もありますけれども、特に建設省みたいな事業の進捗をする場合、伸び縮みの多い場合は、単に定員だけで縛られるということになると、これはいかなる場合でも今言ったような問題の解決が困難になると思うのです。ですから、現場的な事業が非常に多い建設省等は、そういう定員のワクに縛られることはやはり避けなければならぬと思うのです。ですから、これは全体の政府の方針等の関係がありましょうから、建設省だけの言い分はなかなか通らぬだろうと思いますが、しかし内容を見ても、一番定員外職員をかかえて悩んでおる現状から見ても、この点の不合理ははっきりしておるわけですから、次の機会などと言わずに、定員の増員の問題については、今言ったような根本的解決は困難でありましょうが、定員外定員の職員の扱いについて、今度の国会でももっともっと努力するように——今までも努力したが、ちょっと向うが強いからというのではなくて、一つ大臣も次官も局長も官房長も努力するようにお願いしたいのですが、いかがですか。
  64. 徳安實藏

    徳安政府委員 そのつもりで一生懸命努力いたします。
  65. 堀川恭平

    堀川委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は公報をもってお知らせいたします。  本日は、これにて散会いたします。     午後一時二分散会