○瀬戸山
委員 私は、自由民主党を代表いたしまして、
ただいま議題になっております
首都高速道路公団法案に
賛成の討論をいたします。
日本の
道路が先進諸国に比してきわめて劣悪である、従ってそれが日本のすべての生産、経済、あるいは文化、国民の生活等について非常な不利、不便を来たしておるということは、周知の事実であります。そういうことで、私
どもの自由民主党におきましても、この国民的要望にこたえるために、
道路政策を抜本的に切りかえて、それを推進する必要があるという方針を固めまして、前の衆議院の総選挙におきましても、この問題を
一つの大きな党の公約といたしまして、いわゆる五カ年間に一兆円の
道路投資をして、このおくれた
道路整備を大いに推進しようということを、国民の皆さんに公約をいたしました。その公約に従って今進めておりますが、
政府におきましても、この方針を踏襲いたしまして、いわゆる三十三年度から五カ年間、一兆円の投資をして、
道路の
整備をいたそうということを、先般の閣議においても
決定をいたしたのであります。
御承知のように一兆円の
計画の
内容は、一般
道路について六千百億円、それからいわゆる有料
道路について二千億円、そのほか国の
計画とは別個に、いわゆる地方の公共団体の単独
事業として一千九百億円、合計一兆円の
計画を閣議において正式に
決定いたしまして、それに応ずる資金
計画を立てて、これを着実に実行しようという政策を今進めておるわけであります。この場合、申し上げておきますが、
道路の建設、
道路の
整備をいたします場合においては、これは申し上げるまでもなく、原則としていわゆる無料公開の
道路を作るのが当然であります。しかしながら、先ほ
ども申し上げましたように、日本の
道路交通というのはきわめて劣悪でありますから、一般原則に従って、この劣悪な
道路を早急に
整備するということは、今の日本の国民経済力、従って今の
政府の財政力のみをもってしては、なかなかその
目的を達することは困難であります。従って、
一つの例外といたしまして、有料
道路の制度を設けて、国民の直接の負担、いわゆる税金以外の他の資金を導入して、そうして
一つの例外の有料
道路制度を先般から作っておるわけでありますが、それによってできるだけすみやかに
道路の
整備をいたそうという、二本立の行政を今進めておるわけであります。
そこで、問題になっておりますこの
首都高速
道路の問題でありますが、有料
道路においても、原則として、
ただいま別途にできております、現在の日本
道路公団によって、日本全国の必要なる有料
道路を建設するということが、これはまた第二の原則でございます。ところが
首都高速道路公団を作ろうというのは、その原則のうちで、もう
一つの例外を作らなくちゃならない。日本全体の
道路交通が、先ほど申し上げましたような事情でありまするが、しばしば世間でもいわれております、ま
ただれしもよく承知をいたしておりますように、最近の文化の発達とともに、いわゆる
自動車交通が非常に逼迫いたして参りました。特にその中でも、いわゆる
東京都を中心とする
自動車交通の状況は、申し上げるまでもなく専門家の推定にいたしましても、
昭和四十年ごろになりますと、ほとんど自動車の機能を発揮することができないような状態になってくる。これは、毎日私
どもが目の前に見ておる状況であります。そこで、この
東京都、
首都を中心とする
道路交通をどうするかということが大きな問題になってきたのであります。そこで、先ほど申し上げましたように、一般の財政によりましてこの
東京都の
道路整備をすることは、きわめて困難でありますから、そこで有料
道路の制度を適用いたしまして、ここに
道路の
整備をできるだけすみやかにいたそうというのが、この問題の起りであります。そこで、先般来
首都圏についての
立法がなされまして、
首都圏整備の問題が検討されておるわけでありますが、その一環といたしまして、
首都圏道路の
整備計画が、
首都圏委員会等においてなされております。現在の
計画、全体で御承知の
通り六十九キロの、いわゆる高速の自動車
道路を
整備しよう、こういう
計画がなされておりますが、それも、当
委員会においてもしばしば
議論になりましたように、これは全体の
交通問題からいたしますと、その一小
部分にすぎません。これは将来の検討を待たなくちゃなりませんが、全体の
構想から見ると、一小
部分にすぎないのであります。しかしながら、その一小
部分たりといえ
ども、今の日本の経済財政力、それと早急に
整備をするということからいえば、単に理想論だけを述べて、理想の紙上
計画だけを立てましても、実際上の
道路交通の問題は解決いたしませんから、まず着手し得る、実行可能な案を立てようというのがこの
計画であります。そこで、現在
東京都を
周辺とする高速
道路のいわゆる五カ年
計画は、その全体
計画の六十九キロのうち、まず四十三キロを五カ年で
整備をいたそう、こういうことが
計画をされておるのであります。そこで、それならば先ほど第二の原則である有料
道路、いわゆる日本
道路公団においてなぜやらせないか、これも
一つの理論でありまして、やらせることは可能であります。しかしながら日本
道路公団は、日本全国の有料
道路の方式による
道路の
整備をいたそうということで、これがいわゆる
東京都の特殊なこういう事情にありますところまでその仕事の
内容にいたすということは、理論的には必ずしも間違いではございませんけれ
ども、実際問題としては、なかなかそう簡単にいかない。と申しますのは、日本全国の有料
道路を管轄してやっております日本
道路公団が、かりにこの
首都の、
東京都の高速
道路に着手いたしますということになれば、資金の問題はどちらでも同じでありますけれ
ども、実際の仕事の上から、どうしても緊急の度が違いますので、
東京都だけにその力が集中されるきらいがないでもない。もう
一つの理由は、率直に申し上げますが、
東京都政において、この
道路交通がきわめて重大なるにかかわらず、しかも私
どもから見ると、
東京都の都政というものが、
道路交通にそれほど重大なる努力をされておらないというきらいが従来からあった。そこで、今回は第二の原則として、日本
道路公団の原則にもう
一つの例外を設けまして、一番急迫いたしております
首都の高速
道路を
整備するために、もう
一つの
道路公団を作ろうというのがこの
法案のできてきたゆえんであります。
そこで、
東京都においても、この
道路整備のために資金を出すということ、そしてみずからの
責任をこれに加えて、
首都の
道路の
整備をしようというのが、この
首都高速道路公団法を作る最も直接の原因であります。私
どもは、こういう
意味において、この
首都高速道路公団の設立は、きわめて時宜に適したものである、こういうふうに
考えております。
そこで、今申し上げました全体
計画のうちに、これが
事業費として大体一千二百二十四億円を要する
計画になっておりますが、そのうち資本金として八十億を予定しております。その八十億のうち、半分ずつ国と都で持つということ、さらにそのほかに
東京都は百七十一億の資金を、補助金と申しますか、いわゆる交付金という形で
事業費を出す。五カ年
計画においては五十億の資本金のうち二十五億ずつ、半分を
東京都が持つ、また
東京都の交付金七十九億を出す、こういう特別な組織による
道路公団であります。一般の日本
道路公団とその趣きを異にするところがここにあるわけであります。私
どもは、こういうことで
東京都の
道路交通を一日も早く完備させる必要がある、こういう
考え方であります。
そこで、社会党の諸君からしばしば当
委員会において論議を尽されまして、
首都圏全域における
道路網について、なぜそれを
目的としてこの
法律を制定しないか、これも一応の御
議論であります。御
議論でありますが、先ほど私が一般論から申し上げましたのは、第一に原則としては、
道路は無料公開によって作るべきものである、やむを得ざる事情によって、すみやかに日本の
道路を
整備するという
一つの手段として、有料
道路の日本
道路公団を作った、この原則によってやるべきものに、さらにもう
一つの特例を設けたのがこの
道路公団でありまして、これは、
首都圏全域を必ずしも
目的とすべき性質のものではございません。もちろん
道路網の
整備という
意味からいえば、先ほ
ども御
議論がありましたように、この中心地だけを
整備いたしましても、
道路交通の
整備ということにはなりませんから、
首都圏全域及びそれ以外の日本全国を通ずる
道路網の
計画をし、それを進めなければならないのは当然でありまして、そういう場合においては、その必要性に応じ、また財政あるいはその他の資金の能力に応じて、これは原則として、第一段に日本
道路公団にやらすべきものであります。しかしながら将来の問題でありますから、その能力あるいは機能等の
関係から、先ほど
政府から御
説明のありましたように、必要があれば、場合によっては
首都高速道路公団法の
改正等によって、その管轄
範囲を広げるということも必ずしも不可能ではありませんが、
道路行政の原則として、私が今ここで申し上げましたことがわれわれは正論である、こういうふうに
考えておるわけであります。
こういう事情によりましてこの制度を作るのでありますが、残念ながら社会党の諸君は、その
趣旨自体については
賛成であるという御
意見でありますが、これに反対されるということは、私率直に申し上げますが、きわめて遺憾であるし、また残念であります。そこで、私は先ほど社会党の方から御
議論がありましたので、簡単にその点に触れて、反対をいたしておきます。
日本
道路公団のほかに、こういう
道路公団を作る必要はないではないかという御
議論に対しては、今私が申し上げたつもりであります。また
首都圏を全部含むべきではないかという御
議論に対しても、簡単に今触れておきました。
それから
東京高速
道路株式
会社、あの問題については、先般来の
委員会において、これは一部解決をされております。もちろん
東京高速
道路株式
会社の問題は、きわめて遺憾でありましたが、これは、率直に先般の
委員会においても私が申し上げておきましたけれ
ども、
道路行政を担当しておられる建設省が、ある
意味において怠慢であったことは間違いありません。しかし、これは今日各般の検討をされて、
東京高速
道路株式
会社の
責任においてその終末をつけるという話し合いができておりますので、これはこれで一応の落着をいたしたわけであります。今後の推進は、
建設大臣、建設省の監督のもとに実行されることを特に希望をいたしておきます。
それからしばしば問題になりました
管理委員会の制度についてでありますが、これに簡単に反論をいたしておきます。社会党の諸君の方で、
管理委員五人のほかに、
公団の
理事長を加えて
管理委員会を
構成するということはきわめて不合理であり、しかも
法律の明文において、
管理委員の資格要件として、
公団の
役員または職員は
欠格条項になっておるじゃないか、
公団の
理事長は、もちろんこれは
公団の
役員の大将でありますから、
欠格条項にある
理事長が
管理委員会に加わって、その
構成員となること、きわめて論理的にも不合理である、こういう
議論をされておるのでありますが、私
どもはさようには
考えません。
管理委員会の職務は、第九条に書いてありますように、
公団の
予算、
事業計画及び資金
計画、さらには決算を議決するということになっておりまして、
国会とか
政府というように、
公団の
執行当局を監督するという
趣旨のものではございません。第九条に書いてありますようなことを議決するのが、この
管理委員会の職責であります。そこで、先ほ
ども申し上げましたように、しばしば
議論になるような帝都高速度
交通営団、それから日本住宅
公団、こういうものに
管理委員会の制度が設けられておりますのは、いずれも
政府だけの資金によってやるものではありません。住宅
公団においても、
関係の都道府県がこれに資金を出して、住宅
公団の
事業をやる部面があります。さらにまた帝都高速度
交通営団においても同じであります。この
首都高速道路公団においては、先ほど申し上げましたように、
東京都の相当額の出資が行われておる。こういう場合においては、お互いその
事業に対して出資をしておる部面の
意見をこの
運営に反映させるということは当然でありまして、この場合に、
東京都の推薦により、また国の別個の
立場において任命する、こういう二つのものが相集まりまして
管理委員会というものを作るのであります。そういう
意味において、お互い双方出資をしておるものが
公団の
事業について発言をする、あるいはこれについて
意見を述べるという機関が
管理委員会の制度であります。そのほかに第三として、いわゆる
理事長その他の
公団の当事者がおるわけであります。この三者が相集まって
公団の
事業計画、資金
計画、決算あるいは
予算というものを協議して、そうして
公団の仕事をしていこうというのが、この
管理委員会の制度でありまして、
管理委員会の協議に
理事長が参加するということは、全然
矛盾をいたしておりません。
公団の
役員または職員は、第十三条によりまして、
管理委員としての資格はないのだということは、
ただいま私が申し上げましたように当然なことであります。
管理委員となるものは、出資者である国及び
東京都、これから推薦されました人々が
管理委員としてこの
事業に参画するというだけのことでありまして、
執行当局が
管理委員になり得ないのは当然でありますから、
欠格条項にいたしておる。ややくどく申し上げましたが、いかにもこの
法律が
矛盾撞着を来たしておるような
議論がしばしば行われましたから、私は明らかにいたしておきたいと思います。こういう
意味において、
法律の条文の
構成からいっても、この
首都高速道路公団法の案については、何ら
異議をさしはさむべきものはありません。
趣旨から申し上げても、私
どもはきわめて適切なるものであるというふうに
考えるわけであります。
ここで私は建設省、特に
政府に対してものを申し上げておきます。
この仕事は、今申し上げましたように、社会党の諸君といえ
ども、
趣旨においては御
賛成であります。われわれも、適切なる
趣旨であるということを申し上げましたが、実際問題として、人口稠密な
東京都においてこの仕事をするということ、きわめて困難であります。困難ではありますけれ
ども、きわめて急速に
整備をしなければならないという重要な仕事でありますから、どうか
公団の
理事長その他の役職員については、この近代的な
道路政策を推進するについて最もふさわしい人を選んで、万遺憾なきを期してもらいたい。
第二には、しばしば当
委員会においても
議論がありました、陳情等もありましたが、この仕事をいたしますについては、
関係住民との間にきわめて困難な状態が出てくると思います。国の大政策によって、また国民経済から必要だといって大
事業をするわけでありますが、その必要性と、国の力によって
関係住民を痛めつけないということが、最も政治家のとるべき態度でありますから、そういう面においても、いわゆる
関係住民の利害得失、
立場というものを十分理解をして、それを尊重しながらこの重要な仕事を進めるよう、十分なる指導と監督をしてもらいたい。
それからこの仕事をいたしますについては、しばしば問題になりますように、河川敷等を利用することになります。これは、先ほど申しました
東京高速
道路株式
会社においてもしばしば問題になったのでありますが、そういう場合においては、水害あるいは火災等の問題にも触れて十分なる注意をいたしてもらいたい。
それから
東京都の街路
整備がきわめて不満足であります。
事業の実施のやり方についても、きわめて問題を残す場合が多いのであります。現在あります街路の
整備を急速に進めるということは、この高速
道路を作る一環としてうたわれておりますけれ
ども、街路の
整備をないがしろにしておいて高速
道路を先にやるということは、本末転倒であります。どうか
一つこの点については、十分なる留意をしてもらいたい。
もう
一つ、私
どもがこの
東京都内の街路の状況を見ておりますと、これは、しばしば従来から当
委員会において申し上げておる事項でありますけれ
ども、なおそれが実行に移されていない部面がある。最近においては、駐車場等の設備が順次進められつつありますけれ
ども、こういうように国が
心配し、あるいは国民全体が
心配して貴重な投資をして
道路を作っておりますが、その
道路を、あたかも私有物のようにこれを占拠して、
道路としての機能を害している部面が
東京都内にはございます。特にひどいのは、自動車が多くなりますと、それぞれの場所において自動車修理工場が多くできておりますが、この自動車修理工場が、あたかも
道路を自分の工場敷地のように使っているところが、都内においてたくさん見受けられる。こういう点を、
道路行政を担当している建設省として等閑に付するということは、
道路政策に熱心でないということを言われても、私は過言ではないと思いますから、
一つ今後こういう点に特段の御留意を願いたい、これだけを申し上げまして、私の
賛成討論といたします。(拍手)