運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1959-02-13 第31回国会 衆議院 建設委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年二月十三日(金曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 堀川 恭平君    理事 木村 守江君 理事 佐藤虎次郎君    理事 瀬戸山三男君 理事 二階堂 進君    理事 南  好雄君 理事 上林與市郎君    理事 三鍋 義三君       逢澤  寛君    井原 岸高君       川崎末五郎君    砂原  格君       村瀬 宣親君    石川 次夫君       東海林 稔君    塚本 三郎君       山中 吾郎君    山中日露史君  出席国務大臣         建 設 大 臣 遠藤 三郎君  出席政府委員         建設政務次官  徳安 實藏君         建設事務官         (大臣官房長) 鬼丸 勝之君         建設事務官         (計画局長)  美馬 郁夫君         建 設 技 官         (河川局長)  山本 三郎君         建 設 技 官         (道路局長)  佐藤 寛政君         建 設 技 官         (住宅局長)  稗田  治君         建 設 技 官         (営繕局長)  櫻井 良雄君  委員外出席者         専  門  員 山口 乾治君     ————————————— 二月十一日  公共工事前払金保証事業に関する法律の一部  を改正する法律案内閣提出第一四五号)(  予)  土地区画整理法の一部を改正する法律案内閣  提出第一四六号)(予) 同月十日  宮崎県の治水事業費増額に関する請願(片島港  君紹介)(第一一八九号)  瀬田川流域直轄砂防事業予算増額に関する請  願(今井耕紹介)(第一一九〇号)  宅地建物取引業法の一部改正に関する請願(久  野忠治紹介)(第一二一二号)  同(野原正勝紹介)(第一二九七号)  同(帆足計紹介)(第一二九八号)  同(東海林稔紹介)(第一三三七号)  道路整備五箇年計画実施に伴う地方負担割合に  関する請願小川平二紹介)(第一二九六  号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  建設省関係重要施策昭和三十四年度建設省関  係予算)に関する件      ————◇—————
  2. 堀川恭平

    堀川委員長 これより会議を開きます。  建設省関係重要施策に関する件につきまして調査を進めます。前会に引き続きまして、昭和三十四年度建設省関係予算説明に対する質疑を続けます。塚本三郎君。
  3. 塚本三郎

    塚本委員 ほんとう大臣にお尋ねいたしたかったのですが、まだおいでにならないようですから、次官にお尋ねいたしたいと思います。この道路整備五カ年計画というものが完全に実施せられて、そして完成したとしても——実は現在ある主要道路国道の七割の改修、舗装という説明をたしか聞いた覚えがございますが、そういたしますと、私もあまり諸外国のことを存じませんけれども一般によく報道せられております様子から、文明国日本の国と比較いたしてみましても、なお道路の問題についてはきわめて劣っておるのではなかろうか。しかもこの計画の大部分が、現在あります道路改修、舗装することにおそらく重点が置かれておると思われるわけでありますから、そうすると、新しい道路を設置するとか、あるいは日本国土開発するという立場から考えてみますときに、もしこれが完全完了するときが三十七年だとしても、諸外国に劣っており、しかも日本資源ということから考えてみましても、きわめて不十分だと言わなければならぬと思うのです。そうするとこの五カ年計画は、日本財政から見て非常に背伸びをしたくらい大へんな、おそらく政府としては思い切った施策であろうとは存じますけれど、しかしこの思い切った施策をそのまま完全に実施いたしましても、なお文明国と比較いたしてみますときに、この道路政策というものは劣っておると言わなければならない。そうすると、三十七年までの間に、財源の問題は別にいたしまして、ほかにまた道路政策として、別に国土開発のそういうような問題等で何らか計画をせられたり、そういうことに対する考慮というものをお持ちかどうか、この点をまずお聞きしたいと思っております。
  4. 徳安實藏

    徳安政府委員 ただいまの御質問はまことにごもっともな御質問だと思います。ただ今の財政計画道路政策等から考えまして、一応めどを五カ年に限って計画を立てておるわけでありますが、これが完成いたしましても、ただいまお話しのように、全部が直るわけではございませんので、かりに一級国道にいたしましても七五%くらいしか直らないという状態で、あとまだ相当残るわけでありますが、これは、七カ年には全部完了したいという考え方で進めておるわけであります。現在五カ年で一兆億円の予算を立ててやっておりますが、この一兆億円の財源につきましても、その財源ガソリン税を上げるというようなことによって、ようやくつじつまを合せるような現状でありますので、日本財政状態が非常に好転いたしまして、そうしてこの五カ年計画より以上に道路政策の方に金をつぎ込むことができるような情勢になりますれば、これはまた違った角度からあるいは改訂もできるかもしれませんし、一兆億円が一兆二千億円になり、一兆五千億円と計画変更等もあるいは将来考えられないことはないと思いますけれども、現段階におきましては、この財政等から考えましてやはり一兆億円、五カ年計画というものの遂行が精一ぱいであろう、かように考えております。公共事業として直轄工事、あるいは地方の補助事業等合計いたしまして相当大幅にはできますが、そうしたもの以外に、御承知のように有料道路によりまして、国策の線の伸びないところは、そういう方で補っていくという形で努力しておるわけでございますが、この有料道路につきましても、三十四年度からどこどこをやるかということにつきましては、まだはっきりした見通しはついておりませんけれどもほんとうに必要な場所に限りまして、できるだけ効果的にそういう方に金を使いたい、かように考えております。  ただ消極的な改良、ほんとうの目の前に急がれるものだけをやる程度で、それ以上の国策的な国土開発という点については触れていないじゃないかというような御懸念、私どももそう思います。非常にそういう点については欠くるところがあると思いますが、これは、日本財政あるいは経済伸びによりまして、少しでも余裕ができるようになりますと、ただいま国策として考えておりますようなものが、今日より以上な伸び方において、工事を施行するような段階になるのではないか。私どもの今の見通しでは、一兆億円が限度になっておりますけれども、しかし決してこれで満足しておるわけではございませんので、もし国の財政が許すような情勢になりますれば、そうした方面計画を変更されまして、大幅に資金が導入されていくというような計画を立てねばならない。五年間に経済伸びましても、何でも一兆億円以外には決して出さぬというわけではないのでありまして、一応のめどはつけて、閣議決定は近いうちにするつもりでございますが、必ずしもこれで満足しておるわけではございませんで、将来におきましては、そうした点について、次の大臣あるいは政府で十二分にお考えになるだろう、かように考えております。
  5. 塚本三郎

    塚本委員 予算関係で非常に忙しい大切なときに、こういう空想的なことを申し上げていかがかと私自身も思うわけでありますけれど、幸い私自身政治にはしろうとでございますし、しかも青年立場からぜひ申し上げてみたいと思っておるわけですが、特に岸総理歴代総理と違って、青年対策ということだけは、特に施政方針演説等におきましても強調しておられると私は信じております。こういう立場から言いますと、日本国土が、今日わずか一五%ないし二〇%しか利用せられておらない、非常に貧乏だとは言うけれど、実はほとんど日本国土開発がなされておらないということは定説になっております。しかもこの国土開発に一番重要な問題は、何といっても道路であることは言を待たないわけでございますが、しかもその道路に対して、現実政治を振り返って参り、あるいはまた今日の政府の力ということを検討いたしますと、ただいま次官が御答弁なさったように、一兆億円という御計画は、背伸びしておるくらいだということは万人が認めておると思うのです。しかしながら、この道路一つ検討いたしましても、たとえばこれに必要なものは何々だということを検討いたしてみますと、第一に労力であり、さらにまたセメントであり、鉄鋼建設機械である。そのほかはほとんど必要でないと思うわけです。そうすると労力の点では、もう日本は今日失業者がたくさん出ておる。さらに失業救済という立場だけではなくして、今日百万ないし百五十万の農村の次三男が新しい職を求めてひしめいておるという状態にあることは、御存じだと思っております。これを今こそ大々的に国土開発に活用すべきことは、だれも主張しておられるところだと思うわけです。さらにまたセメントは、世界有数輸出国であることも、これまたはっきりと数字が示しておると思うのです。さらにまた鉄鋼等におきましては、鉄鉱石は輸入しておりますけれども鉄鋼そのものは、これまた日本の国が世界有数輸出国であることも間違いないわけです。こういう点を考えてみると、道路に対する必要なものはすべてととのっておると思うわけです。日本財政という立場からこれを検討いたしてみますと、外国から仕入れてきて、そして日本のために使わなければならないというものでありまするならば、これは当然日本の国が貧乏であるから、あるいはまた国の財政経済上許せないということは言えますけれども、すべてが国内にととのっておりながら、問題は政府財源としてないだけだということです。そうなると、財政が乏しいとか、経済がそこまでマッチしておらないということよりも、ないのは政治であって、経済がそれに伴なっておらないとか、資源が乏しいということではなかろうというふうな気が私はいたすのです。この議論は、今日の日本政治と、先ほど申し上げた政府のいわゆる国内における力ということと勘案してみますると、暴論のようではございまするけれども、しかし政治しろうと立場、あるいは理想を持つ青年立場から見ると、なぜこんなことができないか、こういう気持というものは、おそらく全国の青年が持っておるところだろうと思うのです。そうすると、ただ財源がないという今日の税法の立場からだけでは、もちろん先ほどのような一兆という形さえも、背伸びしておるという状態で、ないことはわかり切っております。しかしそれを勘案しても、なおかつ世界文明国に比して日本という国が道路においては劣っておるということならば、何らかの形でこの日本の持てる資源最高度に組み立てることによって、さらにあと眠れる八割の国土資源というものを開発するようにすることが、今日の建設当局にまかせられた最も大きな、そしておそらく大臣次官を初めとする皆様方が、おれたちの時代にこういう手をつけたんだということを、後世の若い諸君に対して自信をもって語り得るような施策とその方途だけでも示しておいていただくことが、私は大切じゃなかろうかと思います。私も建設委員会に籍を置かしていただいて、このことだけははっきりと口火だけでも切っておいていただきたいというふうな希望を持っておるのですけれども、そういうことに対して、大胆に、可能性は別にしても、口火を切って検討なさる御用意があるかどうか、この点をお聞きしたいと思います。
  6. 徳安實藏

    徳安政府委員 ただいま国土開発、あるいは道路政策の積極的な進め方につきましてお話をいただきましたが、これは、私どもほんとうにその点については同感でございまして、気持の上におきましては、一つも異なっておりません。ただ財政を預かっておる今の責任立場に一面置かれておりますために、無造作な叫びができず、また無責任なことが言えないだけでございまして、気持においては今のお話と同様でございます。ただ、国内にそういう資材も全部そろっているではないか、だから、外国から持ってこなくても国内でできるんだからという御議論も、非常にこうした工事を進める上において有力な示唆になると思いますけれども日本経済は、私が申し上げるまでもなく、鋼材にいたしましても、セメントにいたしましても、国内で全部消費してしまうようではいけないので、海外へ輸出して向うの金をとってこなければ日本経済が成り立たないような貧弱な態勢であることも、一面考慮しなければならないのでありまして、外へ売らないで国内で全部消費して、なおかつ国の経済が豊かだというような富める国に早くなりたいと思うのですけれども、今ではそういうものを海外に出して相当量向うの金をとってきませんと、国内経済事情は成り立たないというような点も、あるいは相当強く響いているのではないかと思います。しかし国の事情が許しますならば、国内で、鋼材にしてもセメントにしても、今お話しのように労力にしても余っているわけでありますから、これをふんだんに使用し得るような国内経済力伸びというものを望むのは当りまえのことでありまして、私どもは、全力を傾注してそういう方面に努力はいたしたいものと考えております。ただ責任のある立場から申しますと、それが無造作に叫ばれないというだけでございまして、気持の点におきましては、ただいまお話しのような点と全く私の気持も一致いたしております。どうぞ御協力をいただきまして、そうした真の叫びが国政の上に早く実現いたしますように、御援助いただきたいと思います。
  7. 塚本三郎

    塚本委員 資源の点は、もう一度次官がおっしゃった点を、私も知らないわけではございませんが、そういたしますと、まず私は手っとり早くなし得るところからということで、過日これも次官から御答弁いただいた覚えがありますけれども、今日農村の次三男産業開発青年隊というものを組織いたしまして、今度は直轄キャンプを三キャンプふやして努力なさっておられることについても、青年諸君は非常に共鳴いたしておるわけでございますが、これをもう少し具体的に前進させる立場から考えてみまして、特に御承知のように、産業開発青年隊といいますのは、事業が個々の小さな事業を行なっておりますから、青年諸君調査班まで設けて、燎原の火のごとくという言葉がありますが、それくらい大々的に各町村に青年建設作業をするところの班が設けられて、自発的に国土建設のために——だれに頼まれるのでもなくて、自分たちのそういう燃える希望でもって今やりかけておるのに対して、授業料があまりにも少いということと、さらにまた将来の就職の問題ということから、つまずきに来ておるところがたくさんあると思うのです。幸いその点、ただいま行われております国土開発縦貫自動車道建設法でございますが、この法を実施するということになりますと、この作業は非常に長期計画であるということ、この点では、就職の点に全く心配がないといってもよいくらい、おそらくこれは十年や二十年では終らないと思うのです。さらにまた作業量というものも、これもどんどんと入札等で、小牧—神戸間においても行われつつあり、さらにまた第二期計画、ただいま調査しておられるところの東京—小牧間においても、続いて工事はおそらくなさるであろうと思うわけです。そうすると、これに対する建設省直轄隊というもの、これは経済ベースに合うかどうかということは、もっと具体的に検討いたしていただかなければならぬとは思いますけれども直轄隊を設けるような御意思があるかどうか。この点はすぐ即答はむずかしいと思っております。この点、私も事情はわかっておりますが、将来設けるような構想——かって第一次大戦後においてヒトラーが、あのトット建設隊を設けましたが、あれは直轄隊でなくて、実は請負の中に失業者を繰り入れてやり、しかもまた失業対策ということよりも、国土建設という方に重点を注いで、それは成功いたしております。そういう点を見習って参りますと、この青年隊というものは、失業者よりも行ってみると質もよいし、建設意欲に燃えておりますし、しかも自発的な意思を持っておる。こういう点からいきますと、もしこれが成功すると、ややもすると——これはちょっと口幅つたい言い方かもしれませんけれども日本建設作業に従事する人は、一般の人よりも気風が悪いという風聞が立っておりますが、そういう建設仕事が最もとうとい仕事だ、建設業界自身を立て直す大きなバックボーンになるのではないか、こういうふうな希望があるわけでありますけれども、こういう点で、建設省の中に将来直轄隊を設けるような、そういう検討をしていただく意思があるかどうか、それをお尋ねしたいと思っております。
  8. 徳安實藏

    徳安政府委員 非常に有益なお話を伺いましたが、先般来から実はそういうお話はしばしば承わっておりまして、大臣にもその話をして、非常に賛成をしておるわけであります。できるだけ近い機会に、そうしたお気持をお持ちになっている青年幹部諸君話し合いをしようということも、大臣承知いたしておりまするし、またただいま有料道路でやっております道路公団でも、その青年隊との提携等につきましては、いろいろ研究もし、岸総裁も非常に賛成のように承わっておりますので、有料道路等につきまする長期にわたる計画等につきましては、公団等青年隊等話し合いをしていただきまして、そうして公団の方でも、従来は請負工事は多いようでありますけれども、やはりものによりましては、直轄工事で差しつかえないものも相当あるだろうと思いますし、長期にわたる工事には、そうした方法があり得るかと思われますので、近いうちに、そうした会合も持ちたいというようなお話も先般来からあったわけでございますから、そうした点につきましては、今後切り開いて話を進めるようにいたしたいと思っております。今建設省当該事務当局の話を聞きますると、ことしの計画には、今お話しのような程度までは織り込んでいないようでありますけれども、しかし直轄工事につきましては、進んで今お話しのような趣旨を織り込んでいくような計画検討している、こう申しておりますから、いずれその検討の結果は、不日当該当局から御説明を申し上げる機会があろうと思います。ただいませっかく検討して立案しているそうでありますから、しばらくお待ちをいただきたいと思います。
  9. 塚本三郎

    塚本委員 実は、これは青年諸君お話でございますけれども、まず早急に事を運んではいけないということから、今日小牧—神戸間に作業をいたしております。この作業請負一つの会社の中に、テストケースとして、京都山科地区だと聞いておりますが、ここの中にトット建設隊が行なったように、二十名でございますけれども、実際にはすでにその作業班に加わってやっておるそうでございます。これは実態をもっとよく見て、単なる人夫という形であるのか、あるいはまたほんとうにその人たち建設作業の中心になっておるのか、あるいはその効率や、またその成果というものを、今産業開発青年隊の方では検討しておるそうでございます。私も近いうちに現場を見て参りたいと思っておりますが、さらに今日御承知東京—小牧間における測量で、五千二百万円でございましたか、調査費ができておりますね。その中に、測量班として具体的にその青年諸君を、今後の直轄隊その他の構想に当ってのテストケースとして——これは半ば技術者開発隊の中におりますから、その中で、新しいいろいろなことをもっと慎重に考慮しなければならぬと思っておりますが、先ほど次官の方でも検討していただけるということであり、これには青年も協力する意思は持っておりますが、現在すでに予算化せられておるこの中に、測量班にも加わってもらって、特に非常に危険なところである、こういうところへは勇敢な青年、しかも技術等も半ば備えたそういう者が作業班の中に加わって、そうしてこれから一緒に測量工事等にも協力して、将来への構想のための布石とするようなことも、一つ方法ではなかろうか、この点も、青年諸君がきわめて積極的な意思を持っておると聞いておりますが、もしそういう場合に、そういうことを建設省が受け入れておやりになる御意思がおありかどうか。あるいはまた現在の測量というものが、あるいは調査というものが、どの程度調査なのか。その点、実は昨年は空中写真状態だということだけお伺いしたのですが、そういたしますと、ことしは地上測量ということになるんじゃないか。地上測量ならば、この役にはある程度間に合うし、そういう意味で将来の構想からいきますると、これが入るということは、きわめて有望ではなかろうかというふうに思いますが、その点、今日の東京——小牧間の測量の中に、青年希望したならばそこへ加えておやりになる意思がおありになるかどうか、これをお聞きしたい。
  10. 徳安實藏

    徳安政府委員 ただいますでに作業いたしております場所に、そうした模範ケースと申しますか、実施されておりますことは、ただいま初めて聞いたわけでありますが、私どもも、そうしたことが行われておるといたしますれば、ぜひ一つ現実の姿を調べまして、実績を見せていただきたいと考えておりますから、調査をいたしたいと思います。さらに五千二百万円の調査費の使い方、それには青年隊が活用できるのではないかというお話でございますが、これは、すでにそうした点につきましては、事務当局で考慮しておるそうでございます。その具体的なことにつきましては、局長から答弁させることにいたします。
  11. 佐藤寛政

    佐藤(寛)政府委員 京都山科工事につきましては、テストケースとして私どもは見ております。この実情によりまして、今後の事業相当発展していくことができることを実は期待しておるわけでございます。それから来年度の東京—小牧間の調査につきましては、これは測量調査経済調査地質調査、いろいろな調査がございます。その中で比較線等測量調査には、航空写真を使う部分がかなり多かろうと思います。しかし、その中で比較的東京近傍あたり実測調査をいたしておる面も相当ございます。これらに対しましては、ただいまのお話のような御希望にお沿いできるように、御関係方面とよく相談してみたいと思っております。
  12. 塚本三郎

    塚本委員 今の御答弁によりますと、ある部分は繰り入れていただけるような、そういう見通しがあると存じておりますが、一体この東京—小牧間の測量というものは、いつごろ終るのか、といいますのは、ある専門家の御意見を承わってみますと、まだまだ具体的な工事実施に対しては容易なことじゃない、というのは、経済調査や、あるいは航空写真段階がようやく済みかけたところであって、実際には、地上測量というのはことしあたりからやっと手をつけかけるような状態で、あんな非常にけんのんな工事をするに当っては、よほど慎重にして調査を重ねなければならぬ、こういうことをある専門の方からお聞きしたようなわけです。そういたしますると、先日来の中島委員への道路局長の御答弁によりますと、あるいはまた前々年度ですか、富樫局長の当時に調査なさった状態からいいますると、相当遅れていると思います。遅れている点につきましては、これは先日も中島委員から指摘なさったことでありますから、私はこれ以上追及することは控えますが、一体、測量が完全に終りますのは、大体いつごろになるのか、この点、東京—小牧間についての測量の終末というものはどのくらいになるのか、その見通しというものをお聞かせ願いたいと思います。
  13. 佐藤寛政

    佐藤(寛)政府委員 東京—小牧間の調査につきましては、前回も申しましたように、昭和三十三年度の調査をもって一応ごく概算的な経費が見積れる程度調査ができるわけでございます。従いまして、三十三年度の調査でございますから、三十四年の八月ごろには概算計数幾らと、こういう計数が、概略計算でございますができるかと存じております。ただ問題は、そういうふうに一応の概算経費は見積れますが、そういう調査をいたしました結果、ここのところはもう少し比較線をとって考える必要がある、比較線の状況によってはもっと安くなるかもしれないというような個所がございますために、比較線の調査を必要とする。それから隧道あたりは一応調査いたしましたが、果してそこである程度通常実施しておるような経費でもって隧道が掘れるかどうか。これは、地形測量だけでなく、地質調査をいたしてみなければ概略計算もほんとうは出ないわけでございます。そういうことを確かめていくようないろいろな調査が要るわけでございます。なおまた東京—小牧間の山の部分で、調査として最も大きな問題は、トンネルの通風問題だろうと思います。この通風問題につきましては、われわれはすでに関門隧道で経験を持っておりますので、関門隧道の方式をもってすれば、この八月以後になれば、見通しがつかないことはございません。しかしながら通風のための経費は、おおむね掘さく費の倍くらい経費がかかるものでございますので、新しく作る隧道はそこに工夫をこらして、現在の世界の状況なども調べてみて、金額が大きいだけに、少しでも安くするような方法を考えたい。それからまた気象の問題にいたしましても、詳細な調査をいたしたいと考えております。雪が降るが、どの程度に積るかどうかという問題、それから気温の状況によりましては、雪、雨、あるいは露の氷結——道路交通、特に高速交通で一番重要なむずかしい点は、この路面の氷結であります。路面の氷結を来たすようなことが、もししばしばございますとすれば、それは、高速国道としての重大な使命をかなり失うことになるおそれがございます。それらについても、大略は調査いたしておりますが、ああいう山の中でございますから、今後は資料によってそういう点を確かめておかなければならない。そうしたようなこまごました調査がございますものですから、この夏には、一応の概算経費くらいは出ますけれども、実施にかかるまでには、まだいろいろの調査が必要とされる。その調査でございますが、あと二年くらいで、経費の事情が許すならばいろいろな調査ができるかと思いますが、ただ調査でございますから、トンネルなどもボーリング調査してみたら、ここのところの地質が非常に悪くて、とてもこれでは大へんであるというような場合には、一応それでよろしいと思ったものを、もう一つ違うところに路線をまた考えて、そしてボーリング調査をしてみなければならない。こういうような工合で、調査関係は、調査を実施いたしますとさらにまた発展する場合がございますので、はっきりいつ終るということは、ちょっと申し上げかねる状態でございます。
  14. 塚本三郎

    塚本委員 もうあとわずかでございますが、そういたしますと、まだこれから先は相当長いと見なければならぬのです。これも私は非常にごもっともであり、無理のないところで、そんなに無理して急いで、あとから失敗するようなことがあっては重大だと思っております。ただ御承知のように、法を早く実施するために、調査のできた部分工事のやりやすい部分から早く実施せよということについては、中島委員も、あるいはまた先日も佐藤委員がおっしゃった通りだと思っております。ここでもう少し広い目で検討いたしてみますと、実は道路建設に当っては、実施の直前になってからあわてて調査する。そして調査ができないから工事がおくれる。さらにまた調査段階になると、土地の買収ができない。そのうちに地価が値上りする。こんなことで、実は事業を促進するに当ってロスが非常に多過ぎると思うのです。この点も、もう少しりっぱに建設ができておるところの諸外国の例というものも、できる部面からは積極的に取り入れるということが大切でなかろうか。もちろん先ほどからるる説明がありましたような財政的な立場からいいますならば、これは非常にむずかしいけれども、たとえば測量に当っては、少くとも五年くらいはどんな道路でも続けて、それから工事にかかるということが諸外国の例だといわれておるそうでございますから、そういたしますならば、事業見通しがつかないのに測量をするということは、無謀だという考え方が日本建設行政の中にはあるのです。ところが、これは諸外国の例に考えてみますと、逆だと思うのです。事業見通しのつかないうちだからこそ測量くらいはやっておくのだ、そうしてでき得べくんば、安いうちに土地の買収くらいはやっておくのだ。アメリカのごときは、十五年先のことで土地の買収をやっておるということをいわれておる。さらにまたヨーロッパの建設行政を見てみると、ほとんど工事の五カ年前には必ず測量だけは着手して、そうして五年くらいは十分調査を行なってから、それから道路建設ということがなされる、こういう状態だということも、しろうとでありますが、聞いておるわけでございます。そういたしますと、この国土開発に当って、幾多今後やっていただかなければならぬと思いますが、当面において今日の縦貫道の法律を実施するという場合におきましても、私どもで今論ぜられておりますのは、東京—小牧間ということが非常に問題になっておりますが、それとまた並行して、東京—青森間の問題もあるでしょうし、あるいはまた神戸から九州へかけての路線についても、これら調査の点については、そんなに莫大な経費ではないと思います。それらの問題も今日並行して、東京—小牧間に出された調査費と同じように、金額から言えば、建設省全体から言えばとるに足りない金額だと思います。これでも出されておきましたときには、経済が急に進展した場合に、まだ調査ができておりません、あるいは積雪、寒冷というような苦しい答弁をあわててなさらなくて済むでしょうし、さらにまた土地の買収等について、今日、小牧—神戸間で持っておりますような苦衷というものは、その何分の一かで解消することができるのじゃないかというふうなことを考えてみますと、現在その法を実施するだけの責任のがれのような仕事でなくて、将来の事業をしていただく人の立場から考えてみても、調査くらい今から調査費をもって実施していただいておくということは、日本だけがやっていないのであって、ほとんどりっぱに工事をなさっておられる外国の例から言いますならば、もはや今その調査をすることが当然の仕事のごとく感ぜられるわけですが、そういうことについて、全く空論なんだと言って一笑に付してしまわれるおつもりなのか。あるいは来年度くらいからは、多少とも手をつけてみようという御意思がおありなのか、この点をお聞きしたいと思います。
  15. 佐藤寛政

    佐藤(寛)政府委員 ただいま塚本委員の御指摘がございましたように、一般事業に対しまして調査の先行性が十分でないという点は、従来私どももそういうふうに感ずるところであります。調査が十分にいかないために、さて実施にかかっていろいろなトラブルを生ずることは、しばしば感ずるところであります。そこで最近数年におきましては、その点につきましてはかなり改善されて参りました。いろいろ調査を進めまして、たとえば用地費等に対しましても、一、二年先の予定に対しては手当をもう進めておるというように、最近この一、二年でそういう態勢にだんだんと持ってきております。今後に対しましては、さらにただいま御指摘がありましたように、そういう点をはっきり進めて参りたい、こう存じまして、実は調査費は、先般予算のときに説明いたしましたごとく、三十三年度に対しまして、三十四年度は一般道路調査費を三倍ほどに増大して要求しております。これなどは、ただいまのところでは、一年に調査できる限度に近いところまで調査一つ拡大することにしよう、こういうふうに考えておるところでございます。  それから高速自動車道路につきましても、ただいま御指摘の通り私どもは考えております。実は来年度におきまして、全国の主要な道路網について調査を開始すべきであるという見解に立ちまして、いろいろ研究いたしました結果、第一年度である点、調査能力等も考えまして、とりあえず東海道を手始めにいたそう、こういうふうに考えまして、調査予算を要求しておるわけでございます。そのほかの各地の高速自動車道路調査につきましても、おそらく来年度においては、そういう調査を進めるようにいたすように考えたい、こういうふうに考えております。
  16. 塚本三郎

    塚本委員 最後に申し上げておきますが、東海道千八百万円でございましたか、この調査費については、実は悪い見方でございますけれども、おそらくそういうことはないと思いますけれども、世上におきましては、中央道に対する対案を作るために、建設省がその予算を盛ったのだという悪い風評をする人があるようです。私は、そういうのが悪評であるのを願っておって、今局長がおっしゃったような、純粋の意味の調査費と理解していきたいというふうに思っておりますが、これは要望でございますけれども、くどいようですが、東海道案と中央道案とだけにこだわるという気持ではなくて、私ども気持からすれば、国土開発ということから考えて、この縦貫道があれほどりっぱな筋が引かれておるのだ。このために東京青森間においても、あるいは神戸—下関間におきましても、これにもやはり一般道路と同じようなつもりになっていただいて、建設省はこれをやるのだというそういう意思表示のためにも——あれは立ち消えだという気持さえ一般には見えておる。そのことが、この東京—小牧間におけるところの二つの案の形でもつれてきておるというふうに見られますが、それは、もちろんいろいろな理由があるでございましょうから、その点、現実の問題を加味していただいてけっこうだと思いますけれども、この縦貫道としての国土開発ということで、東京—青森間においても、あるいはまた神戸下関間においても、これは同様に、調査くらいはぽつぽつ手をつけていただいて、そして国土開発をやるのだ。そして日本の国がヨーロッパの国と比べて国土が使われておらない、これを手をつけていくのだ、そういう意思表示だけでもするために、先ほどの道路建設に当っての先行性という調査の点等加味しましても、これはぜひ来年度からでも、たといわずかでもこの部面にも、国土開発縦貫自動車道に限ってでもつげるという、こういうことの意思表示をしていただけたら幸いではなかろうか。そのときには、青年諸君もこぞってこれに協力して、自分たちの力をこれに注いでみたい、こういう意向を強く持っておりますから、その点、希望をなくしないようにしていただきたい。こういう意味で、一般道路についてはよくわかりましたが、この縦貫道に対しても、多少とも予算をつけてやるのだというはっきりした意思表示を、これはもちろん法ができておりますから、なさることに間違いありませんけれども、どうも打ち捨てられがちだという風評と心配、これをなくするためにも、わずかでもいいから調査費をつけられる御意思があるかどうか、縦貫道に対してなさる意思があるかどうかということをあらためてお聞きして、私の質問を終ります。
  17. 徳安實藏

    徳安政府委員 建設省は、法律できめられましたことにつきましては、決してこれを無視するなどという考えは持っておりません。従って巷間伝えられておりますような問題につきましては、これは端摩憶測で騒がれているのじゃないかと思います。大臣も私も、やはり法の精神はどこまでも守っていこうという考えには間違いございませんから、中央道につきましては、そう御懸念は要らぬと思います。法律が改正になれば別ですが、改正にならなければ、大臣も私もあの精神に沿っていくことは当りまえでございます。ただ東海道線の問題は、ちょうど国鉄がもう一つ幹線を作るというその趣旨と同様に、一応将来四十年にもなりますと、もっと東海道線が輻湊して麻痺状態になりはせぬだろうかというような疑いもございますので、それとは別個な形で調査をしてみたいというだけでございまして、その結果によりましては、施策が講ぜられるかと思いますけれども、しかしそれがために中央道が犠牲になるというようなことは、今の法の建前から申してはあり得ないことであります。ただ非常に長い線でありまして、非常にたくさんの費用を食う線でありますから、そう簡単に、明日かかって一年、半年で済む工事とは違いますから、慎重な調査と慎重な態度とがなければならぬことは当りまえでございますけれども、やはり縦貫国土開発という法の精神は、あくまでも建設省としては、従順にその精神を守り続けていくという気持を持っていることは、これははっきり申し上げてよいと思います。従って、東海道線の調査とは別個にお考えおきをいただきたい。  さらに、では調査費等についても、そうした心持を世間に知らせるためにも、他の青森の方に行く線、あるいは下関以降の線にまで手を広げて調査してはどうかというお話もございましたが、この点につきましては、おそらく来年度予算の編成に当りまして考慮されることだろうと思いますが、一応、この広範な東京—小牧間の調査すらも現在では満足にいっていないような状態でございますので、急いでその方をやらなければならぬということは当りまえでございますが、幸いにして少しでも予算がたくさんとれるようでございますれば、他の方をも調査するというようなことにつきましては、おそらく来年度予算の編成に当りましては考慮するだろうと思います。そういう点につきましても、道路局長の方から御説明をすることにいたします。
  18. 佐藤寛政

    佐藤(寛)政府委員 三十四年度予算の要求に当りましても、その点につきましては、実は十分考えたわけでございますが、先ほど申しましたように、初年度の関係予算関係で東海道にとりあえず着手するということでございます。三十五年度の予算の編成におきましては、ただいま政務次官からお話があったように、まずその着手しておる調査をまとめることを急がなければなりませんが、それと同時に、その範囲におきましては、御趣旨に沿うような調査に着手することを考えてみたいと思っております。
  19. 木村守江

    ○木村(守)委員 関連して。ただいま塚本委員から調査費の問題につきましていろいろ質問がありましたが、私も塚本委員の御質問の趣旨に賛成でありまして、これは、非常にりっぱなものを作って参りますためには、完全な調査が必要だと考えるのです。そういう点から考えまして、ただいま道路局長から去年の三倍になったというような話を聞きまして、非常に安心するものでありますが、私が見たところによりますと、どのくらいになったのか、ちょっとわからないので、実は私は、調査費が減っておるのではないかというような心配をいたしまして、質問をいたそうとしておったのであります。それは、たとえば去年の九千億から今度一兆億になった。急に金がふえたが、調査が十分でないために立ちどころに事業に着手することができないというような現況が現在の状態ではないかと思うのであります。そういう点から考えまして、これは非常に心配しておったのですが、ただいま局長説明を聞きまして安心したのですけれども、これは一例を見ますと、たとえば放射能物質利用現地調査に必要な経費というようなものも、去年よりことしは減っております。それから地すべり防止区域の調査、こういうものも去年より減っております。これはきわめて小さい例ですが、その他河川あるいは道路においても、去年と同じか、去年よりもふえていない。私の見たところではそういう感じがいたしまして、実は御質問しようと思ったのですが、どういうところがどのくらい去年よりふえておりますか、ちょっと御説明を願います。
  20. 佐藤寛政

    佐藤(寛)政府委員 先日お手元に差し上げました予算内訳書の中に、道路事業調査費というのがございます。その資料の二十四ページでございます。二十四ページの7道路事業調査費、これは内地の道路全般に対する調査費でございます。三十三年度の総額が一億二千八百五十万円、三十四年度の要求が三億八千五百万円、約三倍以上になっております。その内訳は、直轄国道測量調査費、三十三年度五千六百万円、三十四年度一億五千百万円、直轄国道調査費に対しましては、調査をできるだけ先行させるために、一応ただいまのところでは、調査能力の限度と思われる程度に三十四年度予算はお願いしてある次第でございます。  そのほかに国土開発縦貫自動車道の中央道の調査、本州四国連絡架橋調査、東海道交通処理の調査等を含めまして、調査費全体においては三十三年度の約三倍に相なっておるわけでございます。
  21. 木村守江

    ○木村(守)委員 わかりました。見ておったのですが忘れてしまいました。このところ道路事業調査費がふえておったらいいのですが、たとえば東海道交通処理対策調査といったような問題は、大きな問題だと思うのです。こういう問題をどうして解決していくか。昭和四十年ごろになったならば、ほんとうに交通上も窒息状態になるというような状態なのに、去年と同じような状態です。そういう点を考えますと、どうもこういう調査費もふやしておかなければいけないのじゃないかと思うのですが、どういうふうな考えを持っておりますか。  それからさっきお尋ねいたしましたように、科学技術が非常に進歩して参りまして、そういう点から考えますと、放射能による調査、そういうものをもむしろ私はふやしていくべきじゃないかと考えるのですが、これはどういうことで去年より減っているのですか。
  22. 佐藤寛政

    佐藤(寛)政府委員 ただいまの御質問のうち、放射能関係は、私は存じませんので、東海道関係についてお答えいたします。  東海道の調査の方は、三十四年度からが初めでございまして、金は少いようでございますが、御承知のように調査事業というものは、わずかの金でございましても、非常に手数のかかるものでございまして、初年度においては、この程度でいろいろな調査をいたしたい、こう考えます。
  23. 堀川恭平

    堀川委員長 山中吾郎君。
  24. 山中吾郎

    山中(吾)委員 計画予算立場から、建設省予算の全体にわたって御質問したいと思います。大臣及び次官にもお聞きしたいのですが、先に局長にちょっとお聞きしたいと思います。  計画予算をながめたときに、私は計画局の予算に主体性がないという感じが非常に濃厚にするのです。というのは、百五十二億の計画予算のうち、街路事業が百三十五億で、残り十六億くらいが純計画予算という感じが私はするのです。百三十五億は、道路局の立案によるいわゆる五カ年計画道路事業費で、それをいただいたというふうな予算であって、純粋の計画予算が大体十六、七億じゃないか。そういうふうな意味において、建設省における計画局の立場というものが、一体どういう立場にあるのか、先にお伺いいたしたい。
  25. 美馬郁夫

    ○美馬政府委員 計画局の予算の内容につきましては、三十四年度におきまして百五十二億の予算で、大体その八割五分見当が街路関係予算になって、その他の経費は非常に少いじゃないか、残念ながら仰せの通りでございます。私ども都市計画立場といたしまして、現在いろいろ問題になっておりますのは、何と申してもやはり道路、すなわち市街地の街路の整備、これが都市計画として必要なことは申すまでもございませんが、その他、たとえば下水道の問題にいたしましても、道路に次ぎまして下水道が都市計画施設として非常に不十分であることは、御承知のようなことでありまして、私ども来年度予算におきましても、この下水道の整備という問題を非常に重点的にやったのでございます。結果的に申しますと、七割増の予算にはなりましたが、金額的に申しますと、仰せのごとく、街路事業に比べまして非常に小さいことになっております。また計画局の立場から申しまして、都市計画施設として非常に重要な施設は、公園緑地の施設でございますが、これも御承知のように、私ども公園につきましても、一つの目安を持っておりまして、現在都市の公園施設は、大体人口一人当りにいたしまして〇・七坪というふうな、非常に貧弱な施設でありまして、私どもは、これを十カ年計画を通じてその倍にしたい。少くとも十カ年計画で、一人当り一・四坪程度にいたしたいというふうな念願で、予算の要求もやったのでありますが、残念ながらこれも実現化いたさなかったのでありまして、その点、結果的には御指摘の通りのことになっております。しかし、私どもこれには決してあきたりておりませんので、さらに今後は下水道の整備なり公園緑地の整備なり、こういう都市計画方面重点的に力を入れていきたいというふうに考えております。
  26. 山中吾郎

    山中(吾)委員 私は、そういう意味において、都市計画事業が断片的に行われておるので、総合的に都市計画を担当した計画局の予算であるようには見受けられないと思ったので、実は申し上げたわけです。それは、いろいろな立場から疑問に思うのですが、建設省設置法の第三条の行うべき事務の第一号には、国土計画及び地方計画の立案調査が掲げられておるわけであって、その計画を担当する建設省、それを代表するのが計画局である。とすれば、そこにもっと建設省の中における計画局の重視というのですか、そういうものが現われてこなければいけないのですね。ところがその予算を見ると、実は忘れられた計画局というのですか、百三十五億の予算も、これはあてがい扶持である。それで、そういう姿の中に、現在の建設省が、一体現場庁なのか、あるいは日本国土計画を担当する最高官庁なのか、非常に疑問が持たれる。一方には国土省に発展すべきであるといういろいろの世論の中に、主体性をなくした現在の建設省があり、それが、計画局の予算の中にずっと現われているように思うのです。そういうことについて、これは大臣次官にも聞かなければいかぬと思うのですが、もっと計画局の予算にバック・ボーンを与えるような見識が、私は、これからの予算の中に必要だと思うのです。それは、調査研究費を見ましても、いろいろの予算書を見ても、全部合せてたった数百万円です。いわゆる計画局の国土計画費その他の調査費が合せて数百万ぐらいの予算で、なんで建設省の使命が果せるかということを、私はまず根本的に疑問に思っております。これに対して、この間からお聞きをいたしておりますと、各局長は、昨年よりも予算がこれだけ増加したと非常に誇らしげに説明をされておりますし、建設委員の方々は、満足げにお聞きになって、めでたし、めでたしという建設委員会予算審議の姿でありますけれども、私は、少しもめでたしとは思わないのです。建設省自体のあり方、そういうふうなものを確立することが、日本の保守政治の体質改造にもなるでしょうし、そこに重大な建設大臣及び当局の責任がある。そこの点について、単に昨年より予算が多くなったということで満足していいのかどうか。現在の建設省の使命の中に、この予算というものが一体どうあるべきか、このままでただ額が多くなればいいのだというお考えなのか、それをまず大臣に聞きたいのですが、次官の識見をお聞きしたいと思います。
  27. 徳安實藏

    徳安政府委員 満足な答弁大臣があとからいたしましょうが、不満足な答弁一つ御了承願いたいと思います。国土総合開発につきましては、もちろん建設省が大きな責任の一半をになっておることは、御承知の通りでございます。しかし現在の制度から申しますと、現在の建設省全部がその責任を負っているわけではありませんので、経済企画庁の中にその本部がございまして、そうしてその一半を建設省がになっておるという形でございます。将来これを一本の姿にしまして、建設省国土省にしようじゃないかという御意見のあることも、御承知の通りでございますが、これは、将来の問題だと思います。計画局の予算が非常に主体性を失っておるではないかという御意見のようでございますが、百三十五億というこの街路事業というものも、これは都市計画局における一番大きな背骨でございまして、決して道路局から余り銭をもらっておるのではございません。都市計画の面から街路事業としてこれが必要だという強い要求が出まして、その全部がかなえられたわけではございませんけれども、少くもその主体は、やはり街路事業におきましては都市計画局が主体でございます。その主体性を発揮して十二分に主張した結果が、百三十五億という金が取り得た。ほかにも、もちろん今お話しのように、公園の問題もございますれば、緑地帯の問題もございますし、あるいは下水道の問題もございます。下水道の問題にいたしましても、金額はそうたくさんふえておりませんが、しかし工事量全体から申しますと、相当主体性を発揮して、各府県にも督励をいたしまして、あるいは市町村にも督励をして、その事業量というものは相当大幅にふえております。数字的なことは局長から御説明申し上げたいと思いますが、その全体の百五十何億といううち、百三十何億が街路事業だ、これは、道路局からもらってきておるのではないかというお考えでなしに、この街路事業というのは、今のところでは都市計画局の一番大きな背骨だ。そこで、そこを各市街地や市町村からの要望をいれて主張した結果が、これだけふえましたということでございまして、決して道路局から涙金をもらったような形ではございません。これは、都市計画局が主体性を持って立案した問題でございますので、どうぞ、この点は一つ御了解を得たいと思います。
  28. 山中吾郎

    山中(吾)委員 今次官が、建設省のあり方を未来の問題とおっしゃいましたが、私は現代の問題だと思うのです。それは、現行の建設省設置法に、国土計画地方計画の立案調査責任建設省にあることが明示されておる。ところが、国土調査法とか国土開発法の主管を内閣に渡してしまって、みずからあき家に住んで満足し、現行法に違反しておるのが建設省だと私は思っているのですが、率直に建設省が現行法の規定された線に沿えば、そういう最も重大な建設省の任務である背骨を規定した法律を、みなあげて総理府の方に持っていって、そうして拱手傍観しておるような建設省の首脳部に対して、私は一大異議がある、これは、未来の問題ではなくて現行法の問題だと思うのです。これは、あとで大臣がおれば聞きたいと思いますが、現行法の問題として一つ検討願いたいと思います。  それから道路局長にお聞きしたいのですが、今のお話を聞きまして、百三十五億の街路事業費というものは、もらい扶持ではないのだ、都市計画の上に自主性をもってこれを執行するのだという、次官お話にもあります。そこで、執行上のことで道路局長にお聞きしたいと思うのですが、今度下水道費が、十五億ぐらいですか、計上されておる、そして一方に百三十五億の街路事業費がある。このときに、これを執行する場合に、計画局の主体性の上に立って都市計画をやる立場に立てば、いわゆる街路事業と下水道事業というものがタイムリーに執行されなければ、私はその主体性というものは出てこないと思う、今次官の言われたことの裏づけにならないと思う。ところが道路工事が先に執行されて、あとまた掘り返して下水道事業が行われるということが各地方に繰り返されております。いわゆる道路事業が先行して、下水道事業があとについていくというふうな、日本のむだなエネルギー並びに予算の浪費というものが、今度の予算の中においては、いわゆる百三十五億がもらい扶持でなければ、下水道事業と街路事業というものが並行し、あるいは下水道事業が先行して、執行の面にも主体性をもって行われるだろうと思うのですが、その点、ここに道路局長もおられますので、街路事業が行われて、また下水道をあとで掘り返すということが絶対にないということを言い切れるなら、お聞きしたいと思います。
  29. 美馬郁夫

    ○美馬政府委員 金額の絶対から申しますと、今申しました下水道は、国費にしまして十五億でございますが、これを事業費に換算いたしますと、来年度は約百二十億というふうな事業費が想定されておりまして、今年が約七十数億でございますから、七割ぐらいの伸びになっております。道路事業は、私どもの方で街路中心にやる場合におきましては、総体で約四割の増ということになりまして、総体論で申しますと、下水道の事業量の方が街路に比べまして相当上回って伸びておりますから、この事業の実施に際しましては、従来こういう道路掘り返しの問題が非常に問題になっておったのでございまして、私どもも、この整備計画を立てるときにおきましても、この掘り返しに先行しようというふうな個所を重点的にやっておりますので、その点につきましては、遺憾のないように街路方面道路方面ともよく連絡をとりまして、国家的に見てロスがないような個所を重点的にやっていきたい、こういうふうに考えております。
  30. 佐藤寛政

    佐藤(寛)政府委員 昨年来道路整備五カ年計画を立案するに当りまして、道路事業を大いに伸展させる、その際に、ただいまのお話のような舗装の掘り返し、せっかく舗装を実施しながら、その直後において掘り返すとういう問題は、私どもといたしましては、深刻な問題として実は検討いたしたわけでございます。下水事業によりまして掘り返すことがあり得るわけでございますが、その問題につきましては、ただいま計画局長からお話のあったように、調整をとって参りたいと考えております。掘り返しは、単に下水ばかりではございませんで、電線の場合、いろいろございます。そういう場合につきましても、やはりせっかく舗装を実施したものを掘り返すということは、国家経済上非常にまずいことでございますし、また利用者に対しても非常に御迷惑のことでもございますので、実は本年度すでにその点につきましては、各県ごとに関係者が集まって相談をいたしまして、舗装を実施するところは、電纜を入れるところならば、あらかじめそのことを相談いたしまして、食い違いがないように打ち合せいたしておる次第でございます。来年度以降の事業の実施につきましても、関係方面との緊密な連絡をとりまして、そういうことを防ぐように心がけて参りたいと思います。
  31. 山中吾郎

    山中(吾)委員 今、局長お話のように、執行の立揚に当って、国費のロスのないように、住民に迷惑のかからぬようにお願いいたしたいと思います。  次に計画局長にお聞きいたしたいのですが、下水道の事業の管轄の中で、終末処理は厚生省の管轄になっておるわけですが、これについて、行政の統一化、あるいは能率化の点において、今まで厚生省と建設省がどういう論議をされてそうなったのか、建設省の見解をお聞きいたしたい。こういう下水道事業が二つの省の管轄になっておるということは、また執行上非常に支障を来たすであろうし、あるいは建設省立場からいうと、終末処理を厚生省に譲るなんというのは、私は非常に見識がないように思うのですが、その経過、あるいは現在の考え方、将来に対する努力、そういうようなことをお聞きいたしたいと思います。
  32. 美馬郁夫

    ○美馬政府委員 下水道の終末処理の問題につきましては、その前に、これは昨年でございましたか、水道行政が非常に飛躍的に伸びてきますときに、水道の各省三分割という方針をとったわけでございます。工業用水が通産省、上水道は厚生省、それから下水道は建設省と厚生省、すなわち建設省は、下水道の管渠の部分を主管して、終末の浄化装置の部分につきましては、主として衛生行政の見地からの方が強いというふうな立場から、これを二分割して厚生省の所管にいたしまして、現在まで参っておるわけでございます。しかし、この問題につきましては、ただいまの役所の所管の関係からはそういうことになっておりますが、私どもは下水道の本来の使命から申しますと、下水道は、御承知のように、汚水を集める部分と、家庭の汚水——屎尿を含んだ汚水でございますが、こういう部分も集めますし、工場汚水等も下水道が受け入れてくる建前上、どうしてもやはり終末の浄化装置という機能が必要でございます。特にまた最近、河川の水質汚濁の問題が非常にやかましくなってきております折から、私どもといたしましては下水は、浄化装置と管渠は一体であるというふうな立場をとっておるのでありまして、これは、一体としてやらなければならぬというのがわれわれの主張でございます。こういう主張のもとに、私どもは今年度の予算の編成に際しましても、厚生省当局と事務的に折衝いたしたのでございますが、この所管の問題は、なかなか深刻でございまして、残念ながら私ども希望は実現せられなかったのでございます。しかし、これは私ども建設省というふうな立場の問題からのみでなく、下水というものが本来そういうものなのだ、全体として一本の制度なのだ、各事業主体におきましても一体化を望んでおるような状況でございますから、今度の予算の問題に際しましては実現いたしませんでしたが、将来、私どもはこの方針は変えておりません、機会をもちまして、何とか実現いたしたい、こういうふうに事務当局として考えております。
  33. 徳安實藏

    徳安政府委員 ただいま下水道の終末処理の問題が出ましたが、実は、これはずっと前から問題がございまして、役所同士でずいぶん話し合いをさしておりますけれども、どうも、やはりこれは役所同士だけでは話がつきそうもございません。昨年も予算編成前にずいぶん折衝させましたけれども、どうしてもお互いのなわ張りと申しますか、そういう観点から、事務的には容易に解決し得ない情勢にございますので、そこで党の方で一つまとめて、政府ほんとうの大きな方針としてきめてもらいたいという申し入れをしておるのでございます。従って自民党の方にも、御承知のように、ただいまこうした問題を取り上げて研究いたしておる機関もございますので、そうした方面で取り上げて、役所のなわ張り争いなんというものに関係なしに、大所高所から一つきめてもらいたいという話をいたしてございますので、おそらくは適当な機会に、そうした機関によって統一ある見解と行政機構の改革案が示されると思いますから、私どもはそれを今期待しておる次第でございます。  なお先ほど掘り返しの問題がございまして、それは局長から答弁した通りでございますが、従来私どもも、しばしばこの問題につきましては方々から苦情をいただいておりまして、当局にもしばしばただしたことがございまするし、ただいまは当局の立場におるわけでございますが、事務当局から説明を聞きますと、もっともらしい説明はするのですけれども、実際問題としましては、それがやはり改められていない。そこで私は、先般も東京都の方に話をしたのでございますが、建設省といたしましては、監督の大きな立場におるわけでございまして、現実道路の掘り返し等の問題は、むしろ地方の市町村、あるいは県、こういうふうな関係が権限の関係におきましても非常に多いのでございます。先般そちらの方の諸君を招いて話を聞いてみますと、一番直接の関係者である当該関係の局でも知らなかったものがあるという話であります。つまり何で掘り返しておったのか、許可のないうちに掘り返しておるものもあるようでありまして、それを早期発見をして、そういうものをとらえて、どういうわけでこういう掘り返しをするのか、一つ一つ研究しながら、そういうことの盲点をただしていかなくちゃいけないのじゃないか。幹部は、みんな掘り返してはいけない、きょうは舗装したかと思えば、あすはまた掘り返す、また舗装して掘り返す。そういうことはいけないのだということは、みな承知しているわけです。ところが末端の方においては、それが行われていない、ここに大きな欠点がある。そこでそういうときには、一つ見つけ次第注進してもらう。そうして幹部が飛んでいって、なぜこういうことになったかという原因をきわめて、そうして法の欠点があれば直そうし、あるいは行政的に仕事の上において行き違いがあるのなら、それを正そうし、そういう工合にしてやってみなければ、幾ら上の方で口でそう言ってみたところで、管轄違いでやりましたり、連絡がなかったり、どうも思うようにいかないということでございますので、近いうちに、私どももそうした問題をもう少し掘り下げて、役人の言うことと実際実務の方のやることとマッチするようなことを一つ考えなくてはいけない。ただ責任の地位におる諸君は、みなうまいことを言いますけれども、実際はそうでない。これが現実でございますから、それを一つ掘り下げてみたいと思いますので、ぜひ一つ御協力いただきたい。
  34. 山中吾郎

    山中(吾)委員 一口に今の下水道の問題でも、いわゆる管渠の分は建設省で、終末処理の方は厚生省で、それはいわゆる事務当局の張り合いにまかしておるのじゃないか、大臣大臣とが都市計画立場で、たとえば建設大臣がみずから都市計画を総合性に見て、地下の土木事業というものは都市計画の本髄ですから、衛生行政だから厚生省という問題ではなしに、都市計画の中に衛生的な環境を作るということが都市計画の本質だと思うのです。そういう中にあって、建設大臣が、あるいは次官が、下水道事業については、終末処理の問題も当然に都市計画の本質的事業であるから、どこからいっても建設省に持ってくるべきだという場合に、厚生大臣がその通りだと言わないはずはないと私は思う。そうじゃなしに、事務当局にまかしておるから、私は、こういう変な予算の仕組みが出るのじゃないかと思うのです。国会新聞というのはゴシップ新聞かどうか知りません。権威ある新聞とは思っておりませんが、これを見ますと、その中に岩井建設省下水道課長と田辺厚生省水道課長とは、この問題で犬とサルとの間柄で対立しておる、課長が対立しておるので、大臣の方もその結果対立する、そういう文章の書き方になっておる。次官お話の中にも、どうも下の方でうまくいかぬとおっしゃっておられますけれども、私は大臣自身がそういう基本的な管轄の問題について消極的で、事務当局にまかしておるのじゃないか。局長答弁は、事務当局が従来事務折衝しておるけれども、うまくいかぬという答弁ばかりだと思うのですけれども、その辺の真相はいかがなんですか。
  35. 徳安實藏

    徳安政府委員 今大臣が見えましたから、大臣からあとで御説明すると思いますが、先ほどからの関連的な質問ですから、一応申し上げます。やはり大臣は、建設大臣になりますと、建設大臣の部下の言うことがほんとうに正しいようにお考えになるようです。それから厚生大臣になりますと、やはり厚生省の役人の言うことがほんとうだなと思うらしいのです。ですから事務ばかりでなしに、大臣同士でも、時によると解決のつかぬものがございます。この問題も、おそらくは大臣同士も話し合いがあったのかもしれませんが、結局予算編成期までには、意見が一致しなかったということでございますので、これは、先ほど申し上げましたように、党にもそうしたものを調整する機関もできております。そして、そういう方で調整をとってもらって、一本化しようじゃないかというような気持で持ち込んでおるわけでございます。その程度一つ御了承願いたい。あとは大臣の方から……。
  36. 遠藤三郎

    ○遠藤国務大臣 下水の終末処理施設の所管問題についてのお尋ねのようでございますが、私は、こういうふうに考えておるのであります。理論的にいいましても、下水の処理問題は最後まで一貫してやることがよろしい。しかし現実の所管問題は、御承知のように両省に分れておりまして、何かにつけて不便なことがありますので、これは、機会を見て一体にすることがよろしいというように考えております。ただその機会をいつに求めるかという問題については、事務当局もいろいろ話し合っておりますし、私どももいろいろ話し合っておったのですけれども、その解決を遂に今日まで見なかったわけであります。私は、下水問題は、建設関係としましては今後非常に大きな問題にならなくちゃならないと思う。新しい近代都市の建設を推進していく場合に、下水処理問題というものは一番大事な問題であり、これは、上水道と並んで大事な問題であります。しかも日本の都市の現状からいいますと、下水問題が一番おくれておる。これは、思い切って下水道の大建設計画を進めなくちゃならぬと私は考えておるわけであります。ただ下水道の予算の問題でありますが、三十三年度に比較いたしまして、三十四年度は相当大幅に増額はいたしましたけれども、私どもの考えている理想にはまだほど遠いのであります。そこで、願わくばこの次の機会に、昭和三十五年度におきましては大々的な下水道計画を作って、そうして下水道の整備に飛躍的な手を打っていかなければならぬ、こう思っております。その機会に、根本的に所管問題等も話し合っていきたい、こういう考えで、今回の三十四年度の予算の際には、この問題を最後まで詰めないで進めてきたようなわけであります。そういう経過でありますし、そういう考えを持ってやっておりますことを、御了承いただきたいと思います。
  37. 山中吾郎

    山中(吾)委員 大臣が来られたので、あと一、二点お伺いしたいと思いますが、建設省の各局における何カ年計画というのは、建設省からいただいている国土建設の概況というのを見ますと、非常にたくさんあります。たとえば治山治水の五カ年計画、それから例の道路五カ年計画、都市計画の十カ年、それから住宅建設十カ年計画、下水道十カ年計画、そして途中から緊急五カ年計画に変質したものもあり、この何カ年計画というものがずっと羅列されておりますが、そういう計画は、予算をとるためのいわゆる便宜的な計画なのか、日本国土開発国土保全のために絶対に必要なものとして立てられておるのか、その点について私は疑問なのであります。現実においては、計画があって予算がついてくるのではなしに、予算があって、その予算に付随しての何カ年計画ということになっておりますが、どうしてそういうふうなことが予算編成の常識になっておるのか、私は疑問なのですが、こういう建設省計画を立てるのは、各局が立てて、省議にかけて、それが決定されるという手続をとっているのか、あるいは閣議まで持ち越してこういう重要な計画というものが決定されておるのか、どういう習慣というか、慣行になっておるのか、その点をお聞きして、次に、建設省の基本的な計画というものは、最初から財源の裏づけまで確立した計画というふうなものに持っていってのみ、その計画を発表し、そうしてその計画というものは、予算によって変更されないような、そういう何カ年計画という立て方をする必要があるのではないかと思うので、その点、大臣の御意見をお聞きしたいと思います。
  38. 遠藤三郎

    ○遠藤国務大臣 いろいろな問題について五カ年計画という名称をつけて推進していることは、御承知の通りであります。ところがその五カ年計画の中には、言葉は同じでありますけれども、実質的な内容が非常に違っているものがあるわけであります。何々五カ年計画、こういうのは、建設省としては省議でもってきめております。建設省は、省議できめておりますけれども、これは、政府全体として閣議の決定を経て、従ってそうなって参りますと、財政的な裏打ちをきちっとやりまして、この計画通りやってい、こういう意味の計画と、閣議できめないで、建設省の実際に仕事を進めていく場合の目安にして、従って大蔵省の方は、これはまだ了承しておらない、こういうような意味の計画があるわけであります。道路五カ年計画は、今度間もなく提示いたす考えでございますけれども、これは、閣議で決定をいたしまして、しかも法律に裏打ちを持っておって、政府全体の方針ということになって参りますと、この五カ年計画は、必ずその計画通りに実現するということになるわけであります。これは、政府全体として責任を持つという形になってくるわけでございます。下水道五カ年計画は、閣議で決定したものではなくして、建設省が一応目安として下水道を整備していく場合には、こういう順序で、こういうふうな年々の分量を整備していく、こういう建設省限りの目標をきめてやっておったわけであります。従ってこの場合には、財政的な裏打ちがはっきりついておりませんから、予算の査定の場合に、非常に大きく削られたりするわけであります。こういう二つの五カ年計画があるわけであります。たとえば住宅について言いますと、住宅五カ年計画というのは、建設省が掲げておるところの大きな目標であります。しかし公営住宅の三カ年計画というのは、法律の基礎を持った、財政当局においても責任を持った計画であります。  それから治水五カ年計画については、建設省としては、治水事業五カ年計画をやろうということで、一応の目安を立てて参りましたけれども、先般の予算の審議の際に、財政的な裏打ちがはっきりできなかったために、一応今回は見送って、来年度三十五年の予算の編成までの間に農林関係、大蔵関係その他の関係官庁と打ち合せまして、そして閣議決定をして法律の裏打ちをする五カ年計画を作り上げよう、こういうことで、今建設省で立案しておりました五カ年計画というものを一時検討段階に置いておる、こういうことが治水五カ年計画であります。  下水道について言いますと、実は下水道の五カ年計画をきめまして、そしてこれを一挙に実現したいということでもって、大蔵当局といろいろ議論して参ったのでありますけれども、御承知程度予算伸び程度しか得られなかったものでありますから、この下水道五カ年計画を、今年度の予算を第一年度として、これでもって五カ年計画をやるのだという形にして参りますと、下水道計画というもの、非常に小さなものになってしまいまして、われわれの理想と遠いことはなはだしいものがありますから、下水道五カ年計画というものはもう一度再検討して、来年度に大きく出直していこう、こういう考えで、来年度に出直す場合には、財政当局の裏打ちのある法律のバック・アップがはっきりしておる、そういう五カ年計画に作り上げていこう、こういう考えで下水道計画検討しておるのでございます。そういうふうに御理解いただけばけっこうだと思います。
  39. 山中吾郎

    山中(吾)委員 私希望としては、権威のある、何カ年計画というものを確立していただきたいということで申し上げたいのです。従って、その事業の性格というものをはっきりと確認をして、その中で、それに応じた財源というものについてもやはり関連してくると思うので、たとえば下水道事業は今収益事業として見るか、公共事業として見るかという論議がありますが、これも、建設省としてははっきりとした主体性を持って、そしてそういうことを確認して、下水道何カ年計画を持っていれば、当然に財源というものも伴った、確立されたものが出るのじゃないか。あるいは道路計画というふうなものは、今特別財源というものを考えておる。それに応ずるいわゆる事業の性格を確認しておるから、あそこにガソリン税というものが出てくると思うのです。治山治水などは、自然に対する人類の防衛ですから、他民族に対する防衛費よりも、国の財源としては治山治水の方がさらに優先すべきだという、治山治水事業そのものの性格を確認していけば、防衛費を削っても治山治水に財源をもっと組むべきだという、確信を持った建設省の主張も出るのじゃないかと思います。治山治水そのものを自然に対する防衛費と考えれば、そういうふうないろいろな事業の性格に検討を加えて、やはり建設省国土を守るという責任から、私は権威ある何カ年計画を出して、予算ごとに十カ年から五カ年、五カ年から三カ年とか、緊急というのを冠詞に入れたりすることのないような体質改造をしていただきたい。  それから最後に都市計画、首都圏整備という立場から、皇居のことで大臣のお考えをお聞きいたしたいと思います。それは、都市計画責任者である建設大臣としては、常に一定の意見というものを、国民に権威を持って所信を述べる時期に達してきておるのじゃないかというふうに思うのは、最近皇居の開放論を中心といたしまして、いろいろの説が出ております。遷都説が出ておるわけですが、さらに意見を述べておる者は、政治家、自民党の中の政治家もおりますし、専門家もおりますし、各階層が出ておりますし、各新聞の声の欄に、皇居についての論議というものがあとからあとから出ておるわけで、このまま国民の私語で行方不明にすべきものではないのと、内閣委員会の方でも何か出ておりますけれどもほんとうは、皇居と首都圏の建設という立場において、最高の責任をもって所信を発表すべきものは、私は建設大臣ではないかと思うのです。ことに建設関係公団の加納総裁は、皇居移転をした方がいいという説をなしておるのだし、また岸総裁の方は、慎重論を出しておりますし、すでにそういう関係の人々が一応自分の意見を述べておるのですから、建設大臣は、やはりこの機会に、皇居のあり方について所信を述べて、すっきりした、いろいろの論議を結論づける必要があるのじゃないか、こう思います。私は、天皇の地位というものを、憲法第一条の象徴の位置という以下にあってもいけないし、憲法第一条の地位以上にあってもいけないんだ。やはり憲法そのものを忠実に守る立場と、それから都市計画立場においてこれを論じなければならないし、都市計画立場というのは、科学的合理的立場であって、その立場の上において、この意見をはっきりとすべきだと私は思うのです。お考えがあればはっきりとお述べ願いたいし、それから私お聞きいたしたいのは、皇居を開放するとかいうふうなことを前提とするのでなしに、いわゆる交通緩和、それから市民の公園、そういうふうな問題を考慮して、科学的な立場に、それを含んで、皇居というものについての当面はどうあるべきであり、将来はこういうふうに考えるというふうなことを、私はイデオロギーの立場でなしに、憲法の立場の上に立って、都市計画立場からお述べ願うべき必要があるのじゃないか。公園開放の言葉もありますけれども、私は、この皇居というものを特別立法で、皇居公園法というような法律を作って、土、日曜日だけは、一般市民、国民に一定の使用規則を作って開放するというようなこともしなければ、二重橋の事件のような悲惨な事件も起るのでありますし、あるいは清掃隊を地方から派遣して、それを政治的に利用し、また古い思想を復活するような、いろいろ悪用をする悪党政治家もたくさんおります。皇居というものを、いわゆる全面的に開放するというふうな思想でなしに、特別立法で皇居公園法というようなものを持って、そうして憲法の立場というものを確認しながら、首都圏のあり方の中に皇居というもののあり方を決定していくというようなことも私は必要じゃないか、一般の国立公園とか、そういうふうな法の中に入るのでなしに、皇居を特別の立法に基いた、日曜日だけ開放するとか、朝何時から何時まででもいいと思いますし、文化財保護の文部省の立場もありますから、文化財保護を含んだ公園管理でいいと思いますが、そういうふうな構想をお持ちになれないかどうか、現在の交通難をそのまま捨てておくときには、逆に国民の怨嗟の声がますます大きくなりますし、そこに現行憲法上の天皇の地位が、行き足らずになったり行き過ぎになったり、いろいろ混乱があると思うので、その点について大臣の所信をお聞きいたしたいと思います。
  40. 遠藤三郎

    ○遠藤国務大臣 皇居の問題に関しまして、あるいは開放論あり、あるいはまた自重論があることもよく承知しております。しかもこの問題の扱い方について、憲法第一条に明記してある天皇の地位の問題と関連して、その第一条に明示してある趣旨以上であってもいけないし、以下であってもいけないという御意見に対しては、私は全く賛成であります。ただこの問題は、国民感情の上からいいましても、あるいは今までの沿革の上からいいましても、かつまた都民生活の上からいいましても、天皇の地位というような問題に関連して考えてみましても、きわめて重大でございます。この問題の処理について、特別の審議会のようなものを作って相談をしていくことになっておるのであります。もちろん建設大臣としては、重大な関係があり、ことに首都圏の委員長といたしましても、この問題を慎重に扱わなければならぬということで、いろいろの世論をこまかく精査いたしましたり、あるいはそれぞれこまかな調査をさしておるわけでありますが、今私が、これはこうした方がいい、ああした方がいいと発言することは、かえって誤解を受けるおそれがありますし、その時期でない、私は今そう考えております。私自身の個人的な意見を述べろといいますれば、私は私なりに、個人的な意見を持っておりますけれども、それを申し上げることは、かえってよくないと思いますので、正式にきまった審議会でいろいろ議論をしていく。そうしてこの問題の処理が、国民の要望、国民の声を正しく反映し、しかも憲法第一条の趣旨に合わないような結果にならないように慎重に扱っていくべきだ、こういうふうに考えておるわけであります。
  41. 山中吾郎

    山中(吾)委員 審議会というのは、例の皇居造営審議会のことだと思うのですが、あれは造営に関する審議会なので、審議の内容は、都市計画立場において、現在の皇居をそのまま現状で維持するのか、あるいは交通緩和のために、皇居のあり方を検討するのか、あるいは文化財保護の立場、そういう立場において保護と、それから皇居の都市計画立場の、いわゆるこれらの活用という言葉はいけないのですが、そういうものを含んでの審議会なんですか、どういうふうなんですか。
  42. 遠藤三郎

    ○遠藤国務大臣 皇居の造営の審議会は、今御指摘のような各方面の問題を取り上げて審議することになると思います。現場へ建てるについて、どういう建て方をするかという意味の審議会ではなくして、今いろいろ議論になっております皇居の移転問題等も、当然その中で議論される意味の審議会であると私は理解しておるわけであります。そういう意味で、都市計画の面からも議論するし、道路の面からも議論いたしますし、天皇の地位という建前からもおそらく議論が出てくる。そういう幅の広い審議会ができることを私は期待しておるわけであります。
  43. 山中吾郎

    山中(吾)委員 最後に、そういう場合に、建設大臣は首都整備委員長立場で、審議委員として参画をされるだろうと思いますが、あくまでも首都圏整備という立場の上に立って、合理的な立場における意見をお述べになる、そういう任務を持って参加されなければ、私は解決しないと思うのでありますが、そういう意味において、建設省立場における意見というふうなものは、やはりこういう都市計画その他首都圏に責任を持って国政に参与しており、われわれの意見を反映する一つの道をお持ちになっていられるんじゃないかと思うので、その点についての御検討を願って、いろいろの国民の私語に終って、いろいろの誤解、それから感情のもつれ、その他が収拾つかなくなる以前に、はっきりとした政府の態度、あり方というものを決定すべきだと私は思いますので、御要望を申し上げて、私の質問を終りたいと思います。
  44. 堀川恭平

    堀川委員長 それでは、本日はこの程度にいたしまして、次会は公報をもってお知らせいたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後零時十六分散会