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中島(巖)
委員 それから
交通量の
転換について、あなたの方でも加わった
調査資料が私の手元にあるのですが、これは
昭和三十三年の六月に、
国鉄東海道線から
高速自動車道への
貨客の
転換率について、
自動車局の
自動車道課で出しているのです。それでこの中を見ますと、
交通関係閣僚協議会(
昭和三十三年二月二十五日設置)において取り上げた
東京—大阪間陸上輸送体系整備問題の一環として
国鉄東海道線より
東京—神戸間高速自動車国道への
貨客の
転換は、いかほどであるかということが問題となり本問題を
検討するため、
経済企画庁、
運輸省、
建設省、
国鉄の
事務担当者をもって構成する小
委員会が設けられ、専門的な
検討が重ねられた。
貨物転換率に関しては、運輸、
建設両省より案が提示され、両案を基礎として企画庁において
調整案が作成され、小
委員会において結論として採択された、こういう見出しでもつて、
貨物の
転換率やいろいろなこまかい表が出ているのです。それで、基本的なものはどういう
方法で出されてあるか、中を調べてみますと、客の運賃は一キロ三円五十五銭、
急行バスの一割引き一キロ三円二十銭、こういうものを
基準にして、この膨大な
資料が出ておる。ところがこれには、基本的に大きな間違いがあるのです。これは、私自分のことを言うとおかしいですが、私は
バスを経営していますから一番わかる、それで現在の
バスの料金は、大体三円五十銭
程度でありますけれ
ども、私の方なんかは道が非常に悪くて、
中央アルプスの大平峠なんかは千四百何十メーターという高いところを越しているのです。それでも、平均して一キロの
運行に対して六十円以上のところを
採算路線というておる。六十円以下のところは不
採算路線としておる。そして山の中でありますから、人の往来も非常にまれであります。大体一日二回か四回の
運行なんです。従って、
運転手の平均一日の車を持った
キロ数というものは九十キロ
程度で、百キロ走らぬのです。そういう
状態におって、道が悪くて、三回も三回もカーブを切りかえなければ通れぬような道におって、一キロ六十円上れば十分
採算がとれるのです。ところが、この
高速自動車道路ができると、私なんかで現在使っておるハスでも、四人がけの十一段の座席シートがあるわけです。これは少くとも十五段ないし二十段になって、定員が八十人、百人という数になる。かりにその半分の四十人でありましても、一キロ一円取れば八十円になる。もうかり過ぎて困る。一キロ一円五十銭でも六十円になる。それで、これは八十キロ、百キロというスピードが出ますから、走行キロというものも一日四百キロ、五百キロに走っても、五、六時間で走れるわけです。そうしますと、ますます低くて合う。そして一キロ三円なんぼなんてこんな換算をして、人間が幾ら来る、
貨物が幾ら来るなんということを土台において、まるっきりこれは間違っておるのです。こういうものを
資料にして、
経済企画庁やあなたたちが
転換量なんかはかったって、根本のものさしが大間違いのものさしではかっているんですから、こういう
資料でもっていろいろな
計画を立ててもどうかと
考えるわけです。従って、これらの点についても、急速な自動車工業の発展と同時に、もう少しお
考え願いたいと思うわけです。
それは別としまして、今度は
公団の
関係について二、三お尋ねしたいと思います。現在
公団で手をつけておる仕事は、私の方でもらった
調査書類では、二月四日現在で三十三カ所あるわけなんです。三十三カ所と、それからほかに
中央道がある。ところで、まずこの内容を見ますと、伊東
道路であるとか、立山登山
道路であるとか、雲仙
道路であるとか、阿蘇登山
道路であるとか、北霧島
道路であるとか、高野山
道路であるとか、裏磐梯
道路であるとか、伊香保
道路、あるいは伊東遠笠山
道路であるとかいうような、まるで観光
道路ばかりだ。
公団じゃない、観光
道路株式
会社でいい。こんなところは、民間の
会社が幾らでもやれるところじゃないですか。やはりこれだけの巨費を投じて
日本の
道路整備をやらなければならぬといったら、今言ったような大幹線
道路に
公団は全力を尽して、
建設省と不離一体になって、強力に進めなければいかぬと思う。私はこの
道路公団のあり方について非常に疑問に思うんです。まるで観光
道路株式
会社だ。それから例の名神
国道につきましては、
昭和三十二
年度に三十七億三千万円の
予算をつけた。この
予算をつけるときには、
法律を制定するとき、これだけの
予算をつけてくれねば本
年度工事ができぬから
法律改正をしてつけてくれというわけで、非常に頼まれまして、そうして無条件に小牧—吹田間の
法律改正を私
どもやったんです。本
年度予算が使えぬからやってくれというから、
予算がついても使えなければ気の毒だからやりましょうというので、
法律改正をやった。そうして三十七億三千万円の
予算と、それから京都
バイパスの二億九千九百十六万七千円の
予算とを三十二
年度の
事業費としてつけたわけです。そうしますと、どういうことになっているかというと、三十二
年度に使った金は三億一千六百五十七万四千円で、一割の金も使わぬ、そうして三十七億という金を三十三
年度に繰り越してしまった。それから三十三
年度におきましては六十五億の
中央道に対する
予算を取りまして、そうしてこの三十七億の繰越額と両方で百二億一千二百五十九万三千円という
予算で始めておる。ところが現在どういう
状態かと申しますと、これは、このごろあんたの方から
資料をもらったのでありますけれ
ども、用地の
関係で五億七千八百万円使っておる、それから工事
関係で請負額が十六億七千七百万円になっておる、それから事務費
関係において一億五千五百七十二万円と、こういうわけになって、総計二十四億一千一百万円という
数字になっておる。これはごく最近の
数字なんです。そこで、さらにこの工事
関係の十六億というものの内訳を調べてみますと、つまり請負に出したのは十四件で、十六億になっておるんですが、そのうち三十三
年度、つまり去年の暮れに受け渡したのは四件で、ことしになって受け渡したのは十件あるのです。ことしになって受け渡した分なんかは、三十五
年度完成というようなものがその中に六件ある。そうしますと、この十六億の工事の受け渡しというものは、大ざっぱに見て四億か五億しか
年度内に竣工期限から見て仕事ができないわけです。そうすると、百何億という
予算をつけておいて、二十億までの金が使えぬ。三十二
年度においても一割の金が使えずにおって、また今度の三十三
年度予算においても二割
程度の
予算しか使えずにおって
——これはもちろん例の縦貫道法によりまして、
建設大臣の認可、許可によってこれはなしておる仕事でありますから、従って、この
予算執行面の上において、別に会計法でどうこうという罰則はないけれ
ども、これは
建設大臣、つまり
建設省の責任として重大な責任だと思う。これに対してどういうお
考えを持っておるか、承わりたい。