○白木
会計検査院説明員 厚生省所管について概略御
説明申し上げます。
まず一般
会計でございますが、ここに掲げております
補助金は従来から
指摘しております事項ばかりでございまして、まず保健所の
経理その他公衆衛生
関係の
補助金から申し上げます。公衆衛生
関係の
補助金は従来とほぼ同程度の
検査を実施したのでありますが、その結果は当局の是正改善の御努力もございまして、かなり減っております。補助超過となっておるものは一事項ニ十万円以上のものを見まして十七件、七百五十四万円ということになっております。その
内容等も従来から
指摘しておることと大体同様でございます。
次に簡易水道の
関係でございますが、簡易水道の
関係の
補助金の
経理及び工事の施行状況につきまして、これも大体前
年度とほぼ同じ程度の
検査を実施したのでありますが、その成績はかなり良好でございまして、ここに
補助金の返納を要するもの一事項ニ十万円以上として掲げてございますのは二件だけでございます。その
内容はいずれも精算の際に当初の計画
通りに工事を実施したというように出ておりますけれ
ども、実際には当初の設計額よりも少額で工事ができておった、あるいは工事のでき方に一部不足があったという
関係でございます。
次に児童保護費の負担金の
関係でございますが、これも従来から
指摘してきておりますように、精算の済んでおりますものについて
検査いたした結果が、
国庫負担の基本額に算入してはならないような経費が入っておるというような
関係から、精算済みの
金額からさらに返納を要するものが
相当ございまして、そのうち主要な事項が三件、百十七万円ということになっております。
なおこの児童福祉法に基づきますところの児童保護費の負担金の
関係につきましては、三十二年中には特に施設のうちで数で最も大多数を占めておりますところの保育所の費用の徴収
関係を
相当の力をさいて
調査したわけでございます。なぜこのように
相当の
検査をやりましたかと申しますと、保育所その他福祉施設の
検査の際に費用徴収の
関係を見ましたところが、児童福祉法並びにこれに基づいて厚生省で定めております料金徴収の基準
通りに費用を徴収しているところはほとんどないというような
関係から、かなり広
範囲に費用を
調査する必要があるのじゃないかということで
調査した結果が、ここに掲げておる保育所に関する
経理が適切でないものという事項でございます。新規に
検査いたした事項でありますので、ちょっとその
関係を申し上げますと、保育所の
関係の経費は原則として扶養義務者あるいは本人から全額を徴収するのが建前になっておりますが、負担能力の
関係からどうしてもその経費を負担できないという認定をしたものについては、一部市町村においてあるいは全額市町村において負担し、それに対して
相当の
国庫補助を行うという建前になっておりますが、実際に厚生省当局におかれて徴収の基準として定められました基準がかなり実情から離れておるというような
関係から、市町村においては具体的な収入認定ということをほとんどやっておりませんで、一部負担金に
相当する一律な徴収金でやっておる。従って、たとえて申しますと、旅館のような場合に、旅館の経営者の児童も旅館の従業員の子供も、一様に負担金をとられておるというような
関係がございまして、当局に一応御考慮を願うということで特にここに掲げたのでございます。もちろん
検査の方法としましても、個人を相手でありますので、とうてい詳細な
検査はできませんので、ここに掲げておりますように児童保護台帳でありますとか、あるいは市町村民税課税台帳というようなものについて、一応厚生省の基準で適正に徴収をしてどれくらいの開きが出るかという
関係が、ここに掲げてあります徴収額の約七千九百万円、
国庫負担金にしまして約五千五百万円のものが、かりに計算してもいわば過大交付になっておるというわけでございます。
次に、国民健康保険の助成金でございますが、この
関係も従来から
指摘しておりますけれ
ども、この分は当局の指導監督もかなり強化されまして、ごらんの
通り件数金額ともに前
年度に比べてかなり減少しております。
内容はいずれも交付金算定の
基礎となる保険料収納額の算定が事実と相違するというような事案ばかりでございます。
次に、特別
会計のことを簡単に申し上げます。厚生保険特別
会計は三十
年度までは損益計算書の上ではずっと赤字でございましたが、三十一
年度から黒字に転じております。その
理由としましては、ここに書いてありますように被保険者数が増加したこと、それから被保険者の標準報酬月額がかなり引き上げられた、それに対しまして保険給付費がそれほど増加はしなったというようなことがおもな原因であると思われます。なお健康勘定の貸借対照表におきまして三十七億余万円の未収金が計上されておりますが、この中には
相当古い
年度のものがかなりたくさんございまして、その中には不納欠損のおそれもあるというようなことでありますので、これも当局に御留意を願う、こういうわけでございます。具体的な事案といたしましては、
不当事項として保険給付の
関係、それから是正事項として保険料の徴収
関係を掲げております。保険給付につきましては、これも先ほどの保育所の
関係と同様に、相手方が個々の個人でございまして、
会計検査院の
検査としても必ずしも適当でない面もあり、技術的にも非常にむずかしいというようなことで、徹底した
検査はとうていできないのでありますが、たまたま国立療養所等は
会計検査院で
検査をしておりますので、被保険者あるいは被扶養者で国立の医療機関を利用した者について、一応給付の状況を
承知しておく必要があるということで
調査を実施したわけであります。その結果は、ここに掲げてありますように、ことさらに使用
関係を装って、被保険者のような形で受診をしたり、あるいは被保険者であった者が資格を喪失した後も、依然として同じ資格で受診をしておるというような
関係から、
検査を実施しましたほとんど大多数の府県におきまして、一応保険給付の適正を欠くと認められるものが二千四百余万円に上っております。
次に、保険料の徴収
関係でありますが、この点も毎年多数
指摘しておりますが、この
年度におきましても、やはり実施をいたしました府県全部につきまして同じような事態がございまして、その合計額は、徴収不足で八千四百万円というものを当局に是正していただいております。
大へん大ざっぱでございますが、以上概略
説明を終ります。