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1959-03-05 第31回国会 衆議院 決算委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年三月五日(木曜日)     午前十一時十八分開議  出席委員    委員長代理 理事 高橋 英吉君    理事 井原 岸高君 理事 鹿野 彦吉君    理事 鈴木 正吾君 理事 小川 豊明君    理事 神近 市子君 理事 山田 長司君       保岡 武久君    淡谷 悠藏君       櫻井 奎夫君    西村 力弥君       松平 忠久君    森本  靖君  出席政府委員         検     事         (刑事局長)  竹内 壽平君         文部政務次官  高見 三郎君         文部事務官         (大臣官房会計         参事官)    天城  勲君         文部事務官         (体育局長)  清水 康平君         文部事務官         (監理局長)  小林 行雄君         厚生政務次官  池田 清志君         厚生事務官         (大臣官房会計         課長)     山本 正淑君         厚 生 技 官         (公衆衛生局         長)      尾村 偉久君         厚生事務官         (児童局長)  高田 浩運君         厚生事務官         (保険局長)  太宰 博邦君  委員外出席者         会計検査院事務         官         (第二局長)  保岡  豊君         会計検査院事務         官         (第三局長)  白木 康進君         専  門  員 黒田 久太君     ————————————— 三月四日  委員片島港君及び横山利秋辞任につき、その  補欠として上林與市郎君及び神田大作君が議長  の指名委員に選任された。 同 日  委員神田大作辞任につき、その補欠として横  山利秋君が議長指名委員に選任された。 同月五日  委員横山利秋辞任につき、その補欠として櫻  井奎夫君議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和三十一年度一般会計歳入歳出決算  昭和三十一年度特別会計歳入歳出決算  昭和三十一年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和三十一年度政府関係機関決算書      ————◇—————
  2. 高橋英吉

    高橋(英)委員長代理 会議を開きます。  委員長病気のため出席されませんので、委員長指名により、私が委員長の職務を行います。  昭和三十一年度決算を議題とし、審査を進めます。  この際、鈴木正吾君より質疑があります。これを許します。鈴木正吾君。
  3. 鈴木正吾

    鈴木(正)委員 会計検査院の方にお尋ねしたいのですが、会計検査院検査書類を見ますと、大体金の使い方が不正であるとか不当であるとか、そういう点に重点を置いた検査をせられておるようでありますが、私は、予算款項目と分れておる、その流用日本会計を紊乱する一つの原因になっておると思っておるのです。その項目流用というようなことについて、検査院はお調べになっておるのでございましょうか。
  4. 保岡豊

    保岡会計検査院説明員 ただいまおっしゃいました移用、流用のことにつきましては、財政法に規定してあります通りに行われておるかどうかということを十分調べておりまして、流用のつど会計検査院の方に、大蔵省の方で承認したということの書類が回って参ります。それにより台帳を作っておりまして、それでやっております。大蔵省承認を得ないで流用したということがある場合には、十分こちらで注意を与えております。
  5. 鈴木正吾

    鈴木(正)委員 その大蔵省承認を得て流用したというような件数が、一年間にどのくらいあるものですか。
  6. 保岡豊

    保岡会計検査院説明員 ちょっと、その担当の局といたしましてどのくらいあるか——私のところの局には、文部以外に郵政、防衛庁調達庁、警察庁、法務省、裁判所等が回って参ります。それで相当数流用承認が参りますが、一年間に私たちのところに参りますものは、全体で百通ぐらいのものだと思っております。
  7. 鈴木正吾

    鈴木(正)委員 委員長にお願いして、資料として出してもらいたいと思いますが、その款項目流用承認を得た件数各省別に一年間にどのくらいあるかということを、昭和三十一年度、三十二年度くらいのものを資料として提出していただきたい。
  8. 高橋英吉

    高橋(英)委員長代理 承知しました。委員長の方で適当に手続いたします。
  9. 鈴木正吾

    鈴木(正)委員 それからもう一つお尋ねしますが、今、大蔵省承認を得ない流用については会計検査院の方で注意するとおっしゃいましたけれども注意するというのは是正させることなんですか。もうその年度が過ぎたあとでそれを是正するということも、できるのでございましょうか。
  10. 保岡豊

    保岡会計検査院説明員 過ぎたあとで是正するということはできませんから、一応不当事項になるわけでございますけれども、今のところそういうものは不当事項として掲記しておりませんで、今後の注意にとどめておく次第でございます。
  11. 鈴木正吾

    鈴木(正)委員 私、今のお話を聞いておって、当然これは不当な金の使い方として、会計検査院がこういう書類の中に含ませておくべきものだと思います。今後そういう問題は、不当支出として会計検査院報告の中に入れてほしいということをまずお願いしておきます。  それから、今、各省別件数だけのことを言いましたけれども、どういう項目をどういうふうに流用しておるか、その金額ども資料の中に加えて御提出願いたいと思います。
  12. 保岡豊

    保岡会計検査院説明員 流用のあれはお手元にいっておると思います。決算書がございまして、それに流用のあれと理由も書いてございますが、先生のおっしゃいましたように、よくわかるように、担当の一局長に伝えまして、作って差し上げることになると思います。
  13. 鈴木正吾

    鈴木(正)委員 これも資料としての御注文ですけれども年度末になりますと、予算を余しては来年度予算を減額せられるというような心配で、とっただけの予算は全部使わなければならぬというのが、大体今の官庁慣例のようになっておるそうです。そのために年度末になりますと、いわゆる視察旅行というような無用の旅行がたくさん出る。それから年度末に金を使い切るために、不用のもの、急を要しないものをむやみに買い込む。そういうことが長年の慣例になっておると聞いております。それで私は、昭和二十八年の決算委員会において、時の大蔵大臣にこのことを注意したことがございます。そうしたらば、そういうことは厳重にやらせぬようにするというようなことを言っておりましたけれども、今でもそういうことがあると私は思っておるのです。何月何日からが年度末かということはわかりませんけれども、少くとも第四・四半期に入って普通の状態よりも旅行の数が多くなったとが少くなったとか、そういうことは会計検査院の方じゃおわかりになりましょうか。
  14. 保岡豊

    保岡会計検査院説明員 その点はわかります。計算証明も出て参りますから、全部の官庁出張がどの月にどれだけ出たかということはわかります。
  15. 鈴木正吾

    鈴木(正)委員 それがおわかりならば、あまり古くさかのぼっても仕方がありませんから、昭和三十一年、二年、三年くらいにわたって、各省のいわゆる出張旅行と称するものの回数。私がそれを要求するのは、つまり年度末になって特にそういう旅行がふえておるかどうかということを見たいことが一つ。それを月別に各省出張旅行というものがどういう状態になっておるかという資料一ついただきたい。  それからもう一つは、年度末に急を要しないもの、もしくは無用なものを買ったという事実は幾らもあると思うのです。たとえば防衛庁決算などを見ましても、そういうことが私ども疑われる点がたくさんあります。その各省物品購入について、特に年度末に多く買い入れたというような品目及び金額、そういうものはお調べになればわかりますか。
  16. 保岡豊

    保岡会計検査院説明員 それも調べておりますが、そういうことは一応やむを得ない場合にはそのまま検了してしまいますから、われわれの方の記録にはとどまっておりません。そこで先ほどおっしゃいました旅行計算証明証拠書類でございますね、これがすでに検了いたしました三十二年度のものは倉庫——今、倉庫が非常にございませんので、遠くの方の飛び地の倉庫に持っていってしまっておりますから、私ども今やっております三十三年度のものならばすぐ出ますけれども、私引き受けて帰りましても、各局に伝えなければなりませんし、各省各課を手分けをしてやることになると思いますから、ちょっと時間がかかるかと思います。三十二年度のものは、検査報告関係のある書類だけはとってありますけれども、そのほか検了いたしました書類は全部倉庫に片づけてしまっておりまして、また倉庫から出してこなければなりませんから、非常に時間がかかることも御承知おきを願いたいと思います。
  17. 鈴木正吾

    鈴木(正)委員 私、それは大事な問題だと思って、そういうことをやるために、会計検査院の今の機構じゃ手薄じゃないかということをこの間ちょっと申し上げたつもりなんですけれども、この資料は必ずしも今急に必要じゃない。私はこの国会の終りに当って、総理大臣大蔵大臣等にそういう事実を示してちょっと問いたいことがあります。それまでに問に合えばけっこうなんですから、お手薄のところごめんどうと思いますけれども一つその資料を整えていただきたい。  それから今申し上げた年度末における、予算を使い切るために要らぬもの、もしくは急を要せぬものを買い込んだという点、できるだけそういう点を、金額品目等についてお調べの上、御提出を願いたいと思います。
  18. 保岡豊

    保岡会計検査院説明員 最後におっしゃいました年度末にものを買い過ぎるということは、一応検査報告にいたしております。防衛庁にもその類のものがございますから、それはさかのぼりまして、三十一年度、三十年度ぐらいはその検査報告から拾い出すことができます。
  19. 鈴木正吾

    鈴木(正)委員 検査報告というのは、この中にあるんですか。
  20. 保岡豊

    保岡会計検査院説明員 はい、そうです。
  21. 鈴木正吾

    鈴木(正)委員 この中にある程度のものですか。私は、この中にあるものは、ほんのきわ立ったものの一部分にすぎない。たとえば防衛庁年度末に包帯をうんと買い込んだという話も、ほうきを買い込んだという話も聞いておりますけれども、そういうような不当、もしくは当を得ない支出というような、きわ立ったものでなしに、各省年度末の会計の中で買い込んだものが普通のときよりもずっと伸びておるのじゃないか。そういう点を私は政府、特に総理大臣あたり注意しなきゃならぬ、そういうふうに思って資料を要求しておるわけなんです。
  22. 保岡豊

    保岡会計検査院説明員 今、先生のおっしゃいました意味が、調達年度末にしわ寄せになって、第一・四半期、第二・四半期よりも年度末の方で、ずっとこうなっているんじゃないか、こういうことであれば、そういうことになっております。その資料も出すことができますけれども、特に予算を消化するために、年度末にいって……、こういうふうに私、先ほど承わったものですから、そういうものでありますと、年度末に要らないものを買った、こういうことになりますと、検査報告以外にはないと思いますが、年度末にしわ寄せになって、ぐっと年度末の支出がふえたという資料なら作ることができると思います。
  23. 鈴木正吾

    鈴木(正)委員 年度末にしわ寄せになって、年度末にぐっと調達の物件、金額がのしてくるということのうちに、私はやはり、会計検査院指摘しないけれども、事実そういうことがあり得る、こう思いますので、その資料をやはり、できればいただきたい。
  24. 神近市子

    神近委員 関連して……。今、鈴木委員から年度末の金の使い方について御質問があっているようですけれども、これは年々出てきている現象でして、そして、すぐ次のページにもう年度末の購入が出てくるわけなんです。それと一般に、たとえば都とか、府とか、あるいは県とか、そういうところでは、年度末には非常にぎょうさんな大名旅行が行われる。これはもうみんな常識として知っているぐらいの事実なんです。それで、今鈴木委員からそのことが問題になったと思うのですけれども、私は、どうしても予算をその年度内——これは何度も問題になったことなんですけれども年度内予算を消化しておかないと来年の予算を削減されるという事実があるのだそうです。それで、あわてて余しておいたところのお金をそこで消化するということが、物品の不当な購入、あるいは非難される旅行視察旅行とか出張旅行とかになる。ある役所では、わざわざそのために出張を起すというようなこともある。そこを考えますと、これは大蔵省予算を扱う、あるいは決算を扱う態度に大いに関係があると思うのです。これは余剰金を出して、それだけ年度末に余剰金が出たときは、逆に大蔵省からほめてやって、そうしてそこの省の予算を間違いなく、あるいは正当で使い残すならば、ちゃんと余して国庫に返すという態度を逆にほめてやるということにならなければ、私は今のような状態は絶えないと思うのですけれども、一体今日まで、予算は使い切ってしまわないと来年度十分もらえないというようなことになる結果を生んだ大蔵省態度、それはどういうことだったのですか。ちょっとそこのところを伺わしていただきたいと思います。内容はわかりましたか。
  25. 高橋英吉

    高橋(英)委員長代理 今、大蔵省政府委員が出ておりませんから、出席したときにもう一度質疑をしていただきたいと思います。
  26. 神近市子

    神近委員 私、中途で入ってきて、まだ大蔵省が継続になっておると思ったものですから……。それでは、あとでけっこうです。
  27. 高橋英吉

    高橋(英)委員長代理 鈴木君の御要望は、委員長の方で適当に整理して、できる限り有益な資料を提出させることにいたします。
  28. 鈴木正吾

    鈴木(正)委員 先ほど時間がかかるとおっしゃいましたけれども、きょうあすというようなことを申すのではありません。この議会の末期に当って、私その資料に基いて、いろいろ総理大臣に聞きたいことがある、その意味ですから、それに間に合う程度の間に、申し上げた資料を出していただきたい。     —————————————
  29. 高橋英吉

    高橋(英)委員長代理 次に、文部省所管決算について会計検査院当局説明を求めます。検査第二局長
  30. 保岡豊

    保岡会計検査院説明員 六六ページ二一〇号から説明いたします。  二一〇号は、北海道大学で農学部付属演習林用米国製機械のこぎりを、従来から十台持っておりました上に、同じものをさらに九台購入いたしましたが、この九台は一度も使っておりません。使わない理由として、この機械のこぎりは故障が多く、またこれを使用するには共同作業員組み合せが必要であって、臨時人夫には向かないというのですが、これは従来の経験からわかっていたはずですから、すでに十台持っていた上に、さしあたって使用しない同じものを取り急いで買う必要はないというものであります。  次の二一一号は、弘前大学付属病院薬品購入に当りまして、前回購入時の単価を基準としたばかりで、取引の実例、価格について調査しなかったために、大口需要者としては高く買ったというものであります。三十一年度中に同一範囲の店から買っている国立弘前病院と比べますと、薬品百二十八点について百十五万問高く、また、なお書きでいっておりますように、東北大学と比べても、八十九点について七十万円高く買っておる状況であります。  次に補助金でありますが、公立諸学校施設整備に対する国庫補助金経理の実態に関しまして、北海道ほか十五都府県所在の四百七十校を実地に検査いたしました結果、交付超過と認められましたのを六九ページから七〇ページに掲げました。二一二号の静内中学校から二一六号の青山中学校までは事業主体補助金申請に当って基本となる保有坪数を過小にしたもの、このうち二一三号と二一六号は保有坪数の誤まりのほかに、実際の事業費決定事業費に達しなかったのにそのまま精算をしておるものであります。二一七号は山梨県立ろう学校寄宿舎収容児童数を過大にしたもの、二一八号、二一九号の二件は危険坪数を認定以上に過大にしたものであります。これら合計批難金額は四百万円くらいでありまして、前年度に比べて十分の一となっておりまして相当改善されていると存じます。  以上、要点の御説明を終ります。
  31. 高橋英吉

    高橋(英)委員長代理 質疑がありますればこれを許します。櫻井奎夫君
  32. 櫻井奎夫

    櫻井委員 私は、今御報告がありました問題外質問でございますが、体育局長見えておりますか。
  33. 高見三郎

    高見政府委員 すぐ来ます。
  34. 櫻井奎夫

    櫻井委員 それでは質問いたしますが、実はオリンピック後援会不祥事件、この件について私は予算委員会において直接大臣に御質問を申し上げました。しかし時間の関係上なお二、三の問題点も残しておりますので、それをさらに続けて本委員会で御質問を申し上げたいと思います。次官では御答弁ができないと思うのですが、御答弁できますか。
  35. 高見三郎

    高見政府委員 どうぞ。至急呼んでおりますから……。
  36. 櫻井奎夫

    櫻井委員 この問題は、もっと詳細にわたってわが党の中村高一君から質疑をなさるはずでありましたが、中村君は本日北海道出張のために、私はこの前の予算委員会において残しておいた問題点にだけ触れ、この問題についてはさらに追及を続けるということをここに申し上げておきます。まず、次官も大体全貌は御承知であろうと思うのでありますが、二億七千万円の募金のうちに一千数百万円にわたるところの金が不正に不当に、受取証も何もないままに流用されておる、こういう事実が今日明瞭になっておるわけであります。このオリンピック後援会の不正というものは、今日もう大ていの人は新聞等に伝えられて十分御承知のことであろうと思いますが、その後、清算人会を設けまして、この内容の検討をやりました。その清算人会においても、清算人の一人であるところの——これは特に名前を秘しておきますけれども、某清算人は、この経理が全くでたらめなのにあきれたということを、はっきり新聞に談話の形で発表しておる。こういうことは自分たちが追求していくよりも、もっと警察当局の手にゆだねて、黒白を明らかにした方がいい、こういうことまで極言をしておられる。それほどこの経理はでたらめなんです。その後、この清算人八名というものがやはり体協の中の人たちであるということから、これではこの清算人会が発表した結論というものも世間の疑惑を受けるおそれがある、こういうことで、第三者によるところのいわゆる調査委員会というものを設けて、これによって調査しようということで、早大の大浜総長委員長とするところの八人委員会がさらに調査をなさった。私が不思議に思うのは、前の体協理事等を含むところの清算人会が発表したところの不正使い込み金額と、あと大浜さんを会長とする調査委員会の発表された不正使い込み金額というものが、一銭一厘も金額の点において相違していない。こういう点はやはり今後の問題点として疑惑を残しておるのじゃないかと考えられる。この大浜委員会の出しました、後援会長にあてた報告書によっても、大浜委員会の「調査の対象となるべき資料についていえば、後援会備付帳簿受取証、諸伝票その他の文書と、理事長事務局長説明及び調査委員質疑に対する解答等基礎としてこの調査が行われた」、こういうふうに非常に局限された範囲内で大浜委員会というものは調査をなさっており、根本的にこれを調査をしていない。やはり同じ報告書の中にこういうことが書いてある。「第二に、収支の費目の建て方、これに対応する計数の整理等会計技術面については、ひとえに公認会計士職業的良心専門的能力信頼し、その作成にかかる計算書類基礎として調査を進めた」、すなわちオリンピック後援会が非常に世の非難を浴びて、あわてて公認会計士によってあとで作った帳簿、こういうものを基礎として大浜委員会調査したということが明らかにこの報告書に書かれている。そうとするならば、やはりオリンピック後援会の不正について徹底的に調査のメスが入ってない。オリンピック後援会が雇ってつじつまを合わせて作った、公認会計士がでっち上げたところの帳簿に基づいて調査をしたということでありますから、私どもとしてはこの大浜委員会結論というものにも大幅の信頼を置くわけにはいかない。もっと徹底したところの調査がなさるべきである、こういうふうに考えるわけであります。この前の文部大臣の御答弁におきましても、文部省としてはこれは任意団体であるから直接手を下すわけにはいかない、従って大浜さんを会長とするこの特別調査委員会調査というものを信頼をして、これに基づいた報告が唯一のものである、これを信頼するよりほかにない、という答弁をなさっておるわけでありますが、この問題は本来明朗であるべきスポーツ界に実にぬぐうべからざる汚点を残した。私はこれは対社会的にも大きな問題だと思う。文部省はいかに直接監督する責任がないとおっしゃっても、事実上文部省は、この後援会不離一体の形をなしておる日本体育協会にははっきり国庫補助金一千万円というものを交付しておる。その不離一体オリンピック後援会にこれだけの不正があって、これは別個な団体であるから文部省は直接関与しないんだ、こういうことはやはり私は責任のがれだというふうにしか考えられない。特に今日、体育振興スポーツ振興ということを唱えられておるところの文部省としては、私は、はなはだ態度に煮え切らないものがあると感ぜざるを得ないのでありますが、私の予算委員会におけるこの質問の後、文部省としては、体協及び、今は事実解放されてオリンピック後援会というものはないわけでありますが、しかし、これらの経理についてその後さらに調査をされたかどうか、その点をまずお伺いをいたします。
  37. 清水康平

    清水政府委員 出席が大へんおくれまして、申しわけございませんでした。  ただいま櫻井先生からいろいろ御指摘がございましたが、御承知のごとく、オリンピック後援会経理調査につきましては、ただいまお述べなさいました通り大浜信泉先生中心にいたしまして、前後八回にわたりまして相当の時間をかけて調査いたしました。その結果、この委員会オリンピック後援会理事会評議員会報告し、経理内容をるる説明いたされました。オリンピック後援会理事会評議員会は、いろいろな方面から質問もし、検討されました結果、オリンピック後援会理事会評議員会は全面的にこれを了承したということになっております。しかし文部省といたしましては、ただいま櫻井先生が御指摘になりました通り、法律的には監督する団体じゃございませんけれども、何と申しましても、日本体育の本山とも申すべき日本体育協会には補助金も出しております。その台所を預かっておりまするので、それを通じて、この問題が発生しましてからは、いろいろな方法を使いまして調査もし、また調査をするように命じ、関係者にも来ていただきまして事情を聴取をいたして参ったわけでございます。そしていわゆる大浜報告とでも申しましょうか、その結論に対しましても、納得のいかないと申しますか、不明の点につきましては、数回来ていただきまして説明も聴取しておるわけでございます。
  38. 櫻井奎夫

    櫻井委員 このオリンピック後援会理事会評議員会が、大浜委員会——簡単に略称して大浜委員会と申し上げますが、大浜先生中心とするこの調査委員会、この大浜委員会報告を了承しました、こういうことでこの問題は片づいたということではございませんよ。これは自分たちの内部のことだから、不正の使い込みをやった、不正な使い込みが一千数百万円あるということは、確実に前の清算人会でもはっきり確認しておる。同時に、あとから出てきた大浜委員会でもそれを確認しておる。そういうことを報告してそれを了承しました、そのことでこの出題は何にも解決したことではない。問題は、こういうふうに国民全般から、特に学童の一人々々からまで浄財として零細な金を集めたオリンピック後援会の二億七千万円に余るところのこの寄付金を、実に不正な、待合であるとかキャバレーであるとか、こういうところで豪遊をして、その受領証もない。これは明らかな不正であると両委員会が認めておる。そういうものを内部において了承したからこの問題が片づいたということではない。この問題が投げかけた日本体育界に対する非常な悪影響、こういうものについては、文部省はもっとはっきりとした態度で、もっと責任を持って臨むべきである。オリンピック後援会任意団体であるから私は知らないのだ、直接関与していないのだから、監督権がないのだから、そんなに詳しく調査することはできないというような逃げ口上ではなくして、こういう国民の疑惑を晴らすためにも、もっと積極的に文部省はメスを入れるべきではないか。ただ大浜委員会のあれを、理事会評議員会が、しかもこれはもう解散してしまって、ないはずだが、そういうものが了承したのだから、それで問題は片づいたのだということにはならぬと私は思う。あなた方は、文部省の文教政策の一つとしてスポーツの振興ということを盛んに今日唱えておられるが、スポーツの振興を唱える裏にこういう事実があって、どうして振興ができますか。こういう問題を明快にして、スポーツ界にほんとうに明朗な新風を送るという決意のもとにおいてこそ初めて日本のスポーツというものは振興される。これは実に小さな小、中学校の生徒までかり立てて街頭募金をやらしている。そういう零細な金を集めている。その中でこういう不正が行われたということについて、文部省はもっと道義的責任を感じてしかるべきだ。私が予算委員会質問をやりました後に、文部省が打たれた手というものはたったそれだけですか。あなたが今おっしゃっただけのことですか。
  39. 清水康平

    清水政府委員 ただいま櫻井先生が御指摘になられた通り、いわゆる大浜委員会報告によって、オリンピック後援会理事会評議員会がこれを全面的に了承した、しかしそれをもって終ったのではない、これは全く仰せの通りでございます。その線に沿いまして、不当支出の分につきましては、それぞれの責任者がこれを支弁するとか、あるいは道義的責任を感じて日本体育協会の役員は総辞職するとか、また陳謝の意の声明文も出して、二度とこの明朗なるべきスポーツ界にこのような不正が起らないように戒めているのでございますが、文部省といたしまして、この点は、先般櫻井先住が御指摘になりました以前、報告書が出されてから数回来ていただき、あるいは報告を聴取いたしておるわけでございます。
  40. 櫻井奎夫

    櫻井委員 私が聞いているのは、二月の二十四日の予算委員会で私が質問をいたしたわけですが、その中に私が要求していることがたくさんあるが、そういう問題について調査をされたことがあるかどうか、こういうことを聞いているのです。たとえばこの収支計算書を見ましても、実に不明朗な点が多々ある。そういうことを指摘したはずです。そういう私が指摘したことに対して、その後あなた方は調査をされたかどうかということを聞いているのです。私の質問の前にいろいろなことをやっておられた、そういうことは私は承知しております。  それでは具体的にお聞きいたしますが、地方支部からの相当の寄付がオリンピック後援会になされているわけでありますが、この地方支部からの金額の中には、いわゆる学童募金といわれるもの、小学生、中学生を対象にした半ば強制的な寄付金というものが含まれている。清算人会及び大浜委員会報告を見ますと、こういう金で問題が発生して、その後にオリンピック後援会というものは会計士を雇い入れて、このつじつまを合わすための収支計算書を作ったとしか思えない。すでにこの清算人もはっきり言っておられることであるが、全くこの経理がでたらめで、帳簿も完全なものがなかった。だからこれはわれわれの手に負えないから、警察からはっきり手を入れてもらった方がいいくらいだということを新聞に発表しているでしょう。そういうふうにでたらめであったのです。ところが今日は、どうにかこうにか大浜委員会調査する段階にまで公認会計士経理を作っておる。そして大浜委員会報告した報告書と同時に提出されておるところの収支計算書、この収支計算書に私は問題があるというのです。これはあとで作り上げた収支計算書なんです。従って地方から寄付されたところの、地方の学童募金というようなものにも不正な使用がないとは言えない。ところが大臣はそのことは否定しておられる。「地方支部拠出金四千三百六十六万三千五百円、これは収入金を全部別途経理いたしまして、別途預金といたしまして、これはもう全額一文の不正もなくオリンピックの費用に充てられております。」こういうふうに大臣答弁しておられる。これが、ごっちゃに入れられないで、これだけの地方から出た学童募金というものは別途会計にして、一銭も不正な支出がないのかどうか、そういうはっきりした証拠を御提出を願いたい。
  41. 清水康平

    清水政府委員 地方支部拠出金は、ごらんの通りメルボルン大会が二千三百五十五万何がし、アジア大会では二千十一万、計四千三百六十六万何がしというものがございます。この問題につきましては、昨年七月三十一日の概計決算によりまして私どもが一番心配をいたしたのは、オリンピック後援会任意団体であるけれどもオリンピック後援会に寄付された金は純真なる児童生徒の金があるはずだ、それを一番心配いたしまして、昨年その問題が起きましてから調査いたしました。例を申しますと、地方支部拠出金のアジア大会の二百十一万というものは、これはオリンピッオ後援会、いわゆる本部でありますが、これで大体二千万円というものを地方募金に充てようということで、各県の人口数、それから国民所得というようなものによって割り当てまして、二千万円ほしいのだから何々県には百五十万とか、八十万とかいうふうに割り当てたというのが実情でございます。それで割り当てられた県には、それぞれオリンピック後援会何々県支部というものがございまして、何々県オリンピック後援会支部で割り当てられた金額につきまして募金をいたしました。そしてそれを本部に送ったわけでございますが、その中にただいまおっしゃいました純真なる児童生徒の募金が入っておるわけでございます。これは募金の方法といたしましては、オリンピック・マークをやりましたり、もし十円以上自分の、何といいますか、純真な気持からやられたときにはバッヂをやりましたり、それから一般民間からも募集したわけでございます。調査いたしましたところ、その中の大体四四%というものが児童生徒の純真なる拠出になっております。それならば、その金はどうなっておるかということで調査いたしたのでございますが、これはそれぞれ県が、東京にいろいろ銀行がありますが、そこへ別途普通預金として払い込んでおります。払い込んでおりまして、しかもその金は大体アジア大会ならアジア大会のまぎわ——まだ来ていないところもございますが、これは収支計算書によりますと、それが別途預金になっております。その金が、先ほど御指摘のいわゆる不当の方へ使われているんじゃないだろうかということを一番心配いたしました。ところが、それはすべて大会費用というような方へ入っておりまして、日本体育協会の方へ入っております。それならばその金はどう使われておるかということを調査したのでございますが、何と申しますか、不幸中の幸いとでも申しますか、それは体協の方へ全部行って、選手強化の方へ使われておることがわかったわけでございます。
  42. 櫻井奎夫

    櫻井委員 次に街頭募金の問題です。街頭募金は、メルボルン大会は、端数を省きまして、四百万何がし集まった。アジア大会が八十五万集まりました。街頭募金は、婦人団体とか、中学校の生徒ですか、こういうものに依頼してやるわけでありますが、その場合の手数料は、大体募金の一割というのが常識なのです。これは赤い羽根とか緑の羽根とか、募金もいろいろあるようですが、それが標準なのです。ところが、このオリンピック後援会の街頭募金を見ると、メルボルンの四百万円を集めるのに、この街頭募金の手数料が実に百二十九万四千円かかっておる。アジア大会が、八十五万円集めるのに手数料が幾らかかっておるかというと、四十八万円。半分以上のものを手数料としておる。こういうところにも非常な疑点が存在するのです。こういう点お調べにはなりましたか。こういう常識を越えた手数料を支払っておる。これはどういうわけでこういうばかな手数料の支払い方をしておるのか。この点は、いかかですか。
  43. 清水康平

    清水政府委員 これは、例をとりますと、アジア大会の方が八十五万で四十八万、御指摘通りでございます。これはだれが見てもふしぎに思うのでございまして、私どもといたしましてはさっそく調査いたしたのでございます。普通は御指摘のありました通り大体一〇%、あるいは五%のところもございます。そうすると非常に多いのじゃないだろうか、これはだれでもそう思うわけでございまして、私どももこの点を指摘いたしまして、調査をいたしたわけでございます。ところが、これにはこういう事情がございます。普通一割でございますけれども、これは価値判断の問題にもなりますけれども、大体競技団体に募金の三制をやろう。たとえば競技団体に属しておる学生を大体使っておりますが、お前がもし二千円募金したならばその三割、二三が六百円やろう。これは学生のアルバイトということもありました。それからもう一つは、これは決して弁解するわけではありません。その通り申し上げるわけですが、たとえば千円もし街頭募金すると、三制ですから三百円になるのですが、もし七百円しか集まらなかった場合はどうなるか。そうすると三七の二百十円かというと、その場合は三百円を保証しているというようなことが判明いたしたわけでございます。ですから、極端なことを申しますと、たくさん募金できればその三割だから累進で多くなりますけれども、幸か不幸かもし三百円以下だった場合は三百円を保証した、というような事情が判明いたしております。そういう関係で、これを見ますと街頭募金が八十五万であるにもかかわらず街頭募金手数料——手数料という言葉はちょっと当てはまらぬところもありますが、四十八万もかかっておるということが判明いたしております。
  44. 櫻井奎夫

    櫻井委員 これは内容を聞いて、ますます奇々怪々に思うわけです。そうすると、これは今までの街頭募金の慣例を破って、まるで街頭募金の請負みたいなことをやらしておる。しかも募金に応ずる人は一人でも多く日本の選手をオリンピックに送りたい、こういう純真な気持からこれに応じておるわけでありますが、募金をしておる方ではそういう請負制度のような全く不明朗な、スポーツを汚すようなことが行われている。今後の募金というような問題についても、そういうことがあるとするならばこれは重大ですよ。たくさん売れたならば幾らかやる、これは募金の請負だ。しかもこれには多数の中学生がかり出されておることは明瞭でしょう。皆さん方も街頭でオリンピックの募金をやられたと思うのですが、そういう学生生徒に対する報酬はどうなっておるのか、これもやはり三割ですか。この生徒や何かの募金は一割で、そういう競技団体員だけ三割というような、そういうことをやっておるのですか。
  45. 清水康平

    清水政府委員 今、競技団体と申しましたが、競技団体に属している学生を、まあアルバイトというか、そういう意味合いで募金にかり出した。それから私ども調査したところによりますと、地方にアジア大会で二千万円を割り当てますと、割り当てられた県では学生生徒を街頭に出して、そして零細なまた純真な金を集めたというのもございますが、そういうのはすべてその県の地方支部拠出金としてまとめまして、そして本部へ送ったわけでございまして、児童生徒のことについてはどうなっておりまするかは、率直に申し上げますと、まだ調査しておりません。
  46. 櫻井奎夫

    櫻井委員 非常に大きな問題となっておるオリンピック後援会の不正事件、それを今日まで文部省は、国会で問題にされると何かこう、ちょっとつじつまを合わしたようなことをなさるが、事実上はあれだけの問題をそのままに放置してある、そう言わざるを得ないのです。私が指摘したこのような問題も、どうも詳しくわかっていない、こういうようなことでありますが、これはもっと内容調査してもらいたい。それから、この一千数百万円の使い込みということについては、これは理事長事務局長責任をとる、弁済をする、弁償をする、こういうことで内部においては片がついたようであります。しかし、これは使い込んだ金額も私どもには非常にまだ疑点がたくさんあるわけでございまするが、一応この両人の一千数百万円の使い込み、これについては理事長事務局長が折半をして弁償をする、こういうことで内部的には片づいておる。そこで、まずこの両人は具体的にどのような弁償をやっておられるかどうか。その一千数百万円を理事長は幾らどういう方法で弁償する、事務局長は幾らどういう方法でいつ何日までに弁償をする、こういうことがはっきりなされておるかどうか、その点をお伺いします。
  47. 清水康平

    清水政府委員 今の問題の前に、先ほどの街頭募金の問題でございますが、これは地方では街頭募金はやっておらなかったのでありまして、東京が街頭募金をやった。その場合、今、櫻井先生が御指摘になりました小中学校の生徒が街頭募金をやった場合、どのくらいもらっておったかというふうに受け取ったものですから、その点は多分一〇%かどうか、その辺ちょっと申しわけありませんが、調査漏れであるということを先ほど申し上げたような次第でございます。  それから、ただいま不当支出額千九十二万六千四百十二円の弁済に関しては、どういう方法で、どういう工合にやることになっておるかというお尋ねでございます。これは当面の責任者といたしまして元事務局長、そうしてそれに対する面接の監督者としての理事長、この二人が責任を負う。事務局長の弁済に対して理事長は連帯という立場に置かれております。それでこの支払いの時期、方法につきましては、千九十二万六千四百十二円につきまして、三十四年の一月末日に百万円、それから三十四年の七月末日に三百万円、それから十二月の末日に三百万円、昭和三十五年七月末日期限として残金の三百九十二万六千四百十二円ということに相なっております。それで、この一月末日はもうきたわけでありますが、その数日前から、果してこれが履行されるかどうかということについて私どもといたしましては注視し、重大関心を持っておったのでございます。ところが、一月末日の、一月三十一日の朝、元事務局長が百万円弁済いたしたことが判明いたしたわけでございます。
  48. 櫻井奎夫

    櫻井委員 そうすると七月、十二月、それから三十五年と、こう残っておるわけでありますが、これは文部省としても十分監督を厳にして履行させる、こういうことになろうと思うのであります。いずれ、こういう不始末をなされた佐藤事務局長等は当委員会に喚問いたしまして、私はもっと疑点をただしたいと思います。あなた方は監督の立場にあるので、突っ込んで聞けない面もあると思うのです。ただしかし、これはこの使い込んだ金を何カ月かにわたって弁済をした、それで責任が解除されるという性質のものでは絶対にないと思う。それから、やはり当時の後援会会長をしておられた藤山外務大臣も、この間の予算委員会でそういうことを言っておられた。実に責任が重大であって、責任を痛感しておる。「また世間に対して、謝罪すべきものは謝罪しなければならぬという気持でおります。また私は、この問題が昨年突然と起りましたときに、私のとるべき態度として桜田日清紡社長に対しまして、私の精神的な意味における責任はむろんのこと、他に必要があれば、私が責任をとるということは伝えてございます。」会長にしてこれだけの決意をしておられる。しかもこの会長は、この規約にもあるように、今ロボット的な会長であるということをみずからも認めておられる。そういう人さえもこれだけの責任を感じておられる。特に直接の使い込みをやった本人及びその直接の監督の立場にあったところの佐藤事務局長、平山理事長、この両人は、ただ使った金を弁済したからそれで済む、こういう問題では私は絶対ないと思う。われわれはさらにこれらの当事者を呼んで、もっとただすべきことをただしたいと思うのです。  最後に、体協理事であり、同時にオリンピック後援会理事、監事、こういう職責にあった人が八名ある。こういう人たちはやはり大きな責任がある。事務局長自分たちの知らないうちに使い込んでしまったので、私どもは一向関知いたしませんというような態度では済まされないと思う。特にこれは直接文部省補助金を受けておる体協責任者であり、同時にそういう不祥事件を起したところの後援会責任の立場にある人たちとして、よほど重大な責任をとってもらわなければならないと思うのでありますが、これら八名の人は、その後どのような形をもって事後の責任の所在を明らかにされたか、その点をお伺いいたします。
  49. 清水康平

    清水政府委員 日本体育協会といたしましては、前々から道義的責任は感じておったのでございます。大浜委員会報告もあり、その報告によりますと、日本体育協会の役員でオリンピック後援会関係している役員については、というような報告がございましたけれども体育協会としては、オリンピック後援会関係した役員ばかりでなく、体育協会として道義的責任を感ずるという意味合いから陳謝の声明を出し、体育協会の全体の役員は総辞職をいたしたわけでございまして、ただいま御指摘の八人の人も全部辞職いたされたわけでございます。
  50. 櫻井奎夫

    櫻井委員 法務省関係の方は見えておりますか。
  51. 高橋英吉

    高橋(英)委員長代理 まだ見えていないようです。
  52. 櫻井奎夫

    櫻井委員 それでは私は打ち切らずに、保留いたしておきます。法務省の方が来られたら質問を続けますから、その間、関連質問があったらやって下さい。
  53. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 この問題はいろいろ深い関係があるようですが、私残念なのは、文部省が直接補助金を出しておりますのは日本体育協会、この体育協会が今度は何か募金の仕事もやるようですが、以前は募金ができないからオリンピック後援会を作った。そうなりますと、補助金を出しております体育協会と別な形において金を集めさしたように思える。しかも今になってくれば、一番末端の理事諸君が全部辞職して、それでいいだろうというような気持が多い。藤山さんがはっきりと、私は忙しくて何もやれないのだが、「少なくとも寄付金募集等につきましては、会長は適当な人が必要であるから、ほかに何も見なくてよろしいから、会長になれということであったのでありまして、」という答弁をしております通り、まるで金の看板ですよ。藤山さんを金の看板に出し、一方補助金を出させるためには東龍太郎さんを出すというような、看板だけ大きくして、そして集めた金は自分たちで使って、あとは知らぬということになれば、これはまるで誇大な広告ですよ。内容の伴わない広告をやっておる。肝心かなめの責任を関わるべき、えさを食ったカラスは逃げてしまって、ざるを見たカラスがつかまるということになって、残念なことです。私はやはりその当時の体育協会の役員の名簿、それからオリンピック後援会の役員の名簿、これを、全都お出し願いたい。それから、別の委員会に出しているかもしれませんが、決算委員会としてはやはり独自の立場からこの問題を究明したいと思いますので、清算人会で作りました経理報告言、これと、いわゆる大浜委員会の作りました計算書、これを全部出していただきたい。それから規約等も一応出してもらいたい。それから体育協会とオリンピック後援会との関係はどうも不明朗ですが、これはあとで藤山オリンピック後援会会長にも、東龍太郎体育協会の会長にも当委員会出席を願って——少なくとも看板になった以上は、あとでおれは知らぬじゃ困ると思います。天皇じゃないのだから、シンボルじゃないと思いますので、結局この二人から最終的な責任を聞きたいと思いますが、これは次会に譲りたいと思います。
  54. 高橋英吉

    高橋(英)委員長代理 淡谷君、オリンピック後援会というものは大体任意団体で、直接文部省関係でもないし、従って決算委員会としてこれを取り上げるのは、間接的には関係がありましょうから、必ずしも審議の対象にならぬこともないけれども、こういうことはやはり理事会で一応協議して、そして基本的なものをきめてからやるようにしましょう。だから、あとでよく理事会で相談しましょう。今のいろいろな書類の提出とか、今後のこの問題に対する取扱いについては、理事会で相談して……。
  55. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 ただ、体育協会には一千万円の補助を出しているのですよ。補助を出しておいて、決算委員会でこれを検討できないという委員長のお答えはおかしいと思います。
  56. 高橋英吉

    高橋(英)委員長代理 それは理事会でやりましょう。     〔「それはだめだ」。「資料はいいだろう」。と呼び、その他発言する者あり〕
  57. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 資料は手配してくれますか。資料の点はいいでしょう
  58. 高橋英吉

    高橋(英)委員長代理 それも理事会で相談しましょう。
  59. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 資料はいいでしょう。補助金を出している以上は、資料は出してもいいでしょう。
  60. 高橋英吉

    高橋(英)委員長代理 田中委員長が出すと言うなら私も出しますが、代理だから……。     〔「資料の要求だけはいいだろう。」「委員長にその権限があるのだよ。」と呼び、その他発言する者あり〕
  61. 高橋英吉

    高橋(英)委員長代理 理事会で相談できるじゃないかね。
  62. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 資料の要求だけはきめておいていいでしょう。秘密書類ではなく、世間に公表したものでしょうから……。
  63. 高橋英吉

    高橋(英)委員長代理 それでは委員長としましては、一応そういう要望もありますから、資料一つまとめていただいておいて、理事会の決議によってそれを取り寄せるとか何とかいう最終的な決定をしたいと思いますので、一応そういうことで……。     〔「それはおかしい。」と呼び、その他発言する者あり〕
  64. 山田長司

    ○山田(長)委員 委員長が独断で、資料の提出を拒否するようなことはまずいと思うのです。やはり資料は、あくまで出してもらうように取り計らわなければいかぬと思います。
  65. 高橋英吉

    高橋(英)委員長代理 それは決算委員会の美しい伝統によって、理事会で円満に話し合いをして、その上で結論を出して、お互いに超党派内にこの問題を検討しましょう。資料は一応用意をしてもらっておくようにしましょう。用意をしていただいて、理事会の決定によって、通告次第なるべくすみやかに提出していただくというようなことにしましょう。
  66. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 私は、はっきりとその資料を、決算委員として要求します。
  67. 高橋英吉

    高橋(英)委員長代理 それではちょっと休憩して、理事会を開きましょう。     〔「休憩することがあるか。」「資料の要求だけはいいだろう」と呼び、その他発言する者あり〕
  68. 高橋英吉

    高橋(英)委員長代理 理事会でいいじゃないですか。それは話はつきますよ。一応伝統と形式だけは重んじておきましょうよ。形式を破ると、僕は田中委員長にしかられるよ。それではちょっと速記をとめて……。     〔速記中止〕
  69. 高橋英吉

    高橋(英)委員長代理 速記を再開して下さい。  今、西村委員のお話によると、文部省の方へその資料は参って、写しさえ提出してもらえばいいということになっているそうですから、写しを提出するようにして下さい。委員長において適当な手続をいたします。
  70. 櫻井奎夫

    櫻井委員 法務省の方にお聞きしますが、実はオリンピック後援会不正使い込みの問題について今質疑を続けております。これは法務省の方でも十分御承知と思うのでありますが、あそこに一千数百万円の使途不明な使い込みがある。これは、昨年の七月の三十一日に後援会というのが解散をいたしておるのでありますがその後、いろいろ規約等を検討してみますと、すでにこのオリンピック後援会の役員の任期は二年前に切れておる。切れていながらそのまま居すわって、役員の資格もない役員がやっておった。こういうことで、この七月三十一日の解散というものも無効である。こういう結論に達しておるわけでありますが、問題は、そういうことでこのオリンピック後援会経理に非常な不正があるというので、八人の清算人があがってこの経理についていろいろ三カ月にわたって調査をしておる。その調査をしておられた清算人の一人である田畑理事、これは体育協会の理事でもありますが、この人は実にはっきり、オリンピック後援会経理というものはずさんきわまる、われわれの手にとても負えない、これは検察当局の手によってはっきりさしてもらった方が、かえって事件ははっきりするのではないか、こういうことを新聞紙上で声明をしておられる。そういう実態であり、その後大浜委員会というのがその清算委員会の跡を受け継いで調査をいたしたわけでありますが、世間の疑惑というものは今日なお一掃されていない。しかも、オリンピック後援会が集めた二億七千万に上る金額の中には、零細な児童生徒の募金も含まれておる。大口はもちろん特別競輪によるところの収入でございますけれども、その中にはやはりそういう一般の人々あるいは学童の浄財も含まれておる。こういうものが一千数百万円に上って、実に不浄に、キャバレーとかバーとか待合とかいうところへ使われておる。そうして清算人そのものさえも、検察当局からはっきりと調査してもらった方がいい、こういわれておるにもかかわらず、今日なお多くの問題がうやむやに葬られておる。法務省は一体この問題についてどういう見解を持っておられるか。これは任意団体で、その理事会評議員会でそういう結論が出たのだから、そういうものは、たたけばもっと大きなほこりが出るのだから、このままにそっと見のがしておこうというようなお考えであるのかどうか。法務省の見解をお伺いしたい。
  71. 竹内壽平

    ○竹内(壽)政府委員 ただいま御質問のございましたオリンピック後援会の金の不当経理の問題でございますが、週刊誌やあるいは新聞等におきましても報道されておりますし、またこの委員会でも御議論がありまして、私どもその経過につきましては関心を持って見守って参ったわけでございますが、本件につきまして刑事事件として捜査をしているかどうかという点につきましては、検察庁でも捜査をいたしておりませんし、警視庁におきましてもこの問題を捜査の対象として取り上げておるというふうには聞いておらないのでございます。従いまして、捜査としてこの事件を厳格に検察的に見ていくということについての意見をここで申し上げることはできないわけでございます。新聞報道その他によって、また、ただいまも御意見の中にありましたように、千万円以上の使途不明の金がある、あるいはその使途が不当であるというような点について疑念があるようでございますが、これは決算委員会でいつも問題になりますように、経理そのものが不当でありましても、法律上これがすぐ横領になるというふうには必ずしもならないわけでございまして、果して刑事事件になる性質のものであるかどうかということは、実はわからないわけでございます。ただ、なぜ放任されておるかという点につきましては、承わるところによりますと、清算人とこの金を扱いました人たちとの間において、示談と申しますか、それが法律上不法であるかどうかは別といたしまして、とにかくその問題についての損害を弁償するということで話し合いがだんだんついておるのだというふうにも私ども聞いておるのでございまして、そういう状況からいたしまして、地検としては進んでこの問題を取り上げるというところまで立ち至っておらないのが現状でございます。
  72. 櫻井奎夫

    櫻井委員 法務省の態度はまことに煮え切らない態度だと思うのです。これは個人対個人の問題ではない、もっと大きな社会的な問題であろうと思うのです。特にこの二億七千万というのは、全国から集めた募金ですよ。一つの商社なり会社なり、法人の貸借関係というような問題ではないのです。たくさんの人の浄財をもって二億七千万という金が集まった、それが非常に不正に使われておるということがはっきりしておる。そして弁償すると言っているのでしょう。弁償するということは、そこに横領したとか、何かそういう不正な事実があったから弁償するというのでしょう。そういうものを、法務省が知らぬ顔をして、示談で済んだのだからなるたけほうっておくのだ、しかも、本来明朗神聖なるべきスポーツというものにからんでおるこういう問題を今日まで放置されておるということは、法治国というような建前からいってもはなはだ了解に苦しむのですが、示談だからそれで済ましておこう、こういう見解を今後も続けていかれるのかどうか、お聞きいたします。
  73. 竹内壽平

    ○竹内(壽)政府委員 ただいまも申しましたように、不当な使途であるとか、あるいは使途が不明であるとかいう点につきましては、これは必ずしも犯罪とは結びつかない場合もあるわけなんであります。私どもの方の所管といたしましては、犯罪の容疑があるかどうかというところからスタートをいたすわけでございまして、仰せの通り、この問題が大きな社会問題でありますことは、私どもも十分わかるのでございますが、今の御意見のように、田畑理事でございますか、そういう方が検察的にこの問題を処理してもらうべきだという御意見であるならば、進んでその衝に当った方として告発でも告訴でもなさって、検察権の発動を促すというような措置をとってしかるべき筋合いだと思うのでございます。先ほど申しましたように、不当といいましても、道義的不当の場合もありましょうし、そういうものについて金を埋めるということで話がついて、そういう告訴、告発のような措置もとらぬというふうに私は聞いておるのでありますが、そういう点については私ども捜査をしておりませんので、こまかに実情を知らないわけでございます。
  74. 櫻井奎夫

    櫻井委員 その両者の間において示談が成立しておる、こういうふうに聞いておるとおっしゃるわけですが、その示談の内容というものはつかんでおられますか。示談の内容はどういう内容ですか。
  75. 竹内壽平

    ○竹内(壽)政府委員 示談の内容につきましては私ども承知いたしておりません。(「おかしいじゃないか」と呼ぶ者あり)これは、おかしいというふうな御議論もあるかもしれませんが、犯罪を捜査しておるのじゃございませんで、捜査をしておりますればその示談の内容につきましても検討する職責を持っておりますが、まだこれは私どもの手にかかっておらない案件でございまして、ただそういうふうに聞いておるということを申し上げる程度でございます。
  76. 櫻井奎夫

    櫻井委員 これは私は予算委員会でも質問をいたしましたし、まだ非常な疑点がある。なお、本委員会等において、この問題を起した責任の人々を参考人として呼んで十分追及をいたしますが、その結果、かりにわれわれがこれを告発するというような事態が起きた場合、これは法務省としては当然取り上げられると思うのでありますが、その点いかがですか。
  77. 竹内壽平

    ○竹内(壽)政府委員 告発を受けます場合におきましては、その告発の趣旨に沿いまして捜査をいたしますことは当然でございます。
  78. 西村力弥

    ○西村(力)委員 関連して……。検察当局が自発的に行動を起さないということは、われわれとしては非常に不満であるのですが、これは示談ができたとあなたは言っておりまするが、示談というのは、当事者間の話においてその財物に損害を与えたことを埋めるということだが、その示談というのは、何と何の間において示談が生まれたのか。あなたは示談が生まれたというけれども、被害を受けたのは寄付をした多くの人々ですよ。そういう人々との問に示談が成立したというようなことはあり得ないではないかということです。そういうような一つの疑念を持つのですが、いかがですか。
  79. 竹内壽平

    ○竹内(壽)政府委員 先ほど申しましたように、示談の内容は私ども検討いたしておりませんので、詳細わかりませんが、清算人としてその問題の当不当を議論をされました方々が、千数百万でございますか、そういうものが不当であるという判断をして、その部分について現にその基金を扱いました方方から弁償したということであって、私どもはそういうように示談のあれを理解しておるのでございますが、もとより示談書を見たわけではございませんし、明確な法律的な御答弁を申し上げるわけには参りません。
  80. 西村力弥

    ○西村(力)委員 あなたは、その集められた金はだれの占有物である、だれの所有物であるとお考えですか。他人の財産を預かっている人、それがそれを横領すれば横領罪になるわけですが、一体それはだれの財物になっているのか。横領罪のその他人に当る者はだれか。どうです。
  81. 竹内壽平

    ○竹内(壽)政府委員 オリンピック後援会というものは一体いかなる人格を持つものであるかというようなことから議論をいたさなければならぬのでございますが、そういう点につきましては、私どもは十分な情報もありませんし、ここで法律的に議論をするということになりますならば、若干の御猶予をいただきまして、研究さしていただきました上でお答えいたしたいと思います。
  82. 西村力弥

    ○西村(力)委員 これほど国会で問題になり、多くの国民が、二度とそんな募金なんかに応じない、まことにけしからぬ、こう憤激しておる。そういう問題について、単に経理上少し水増しがあったり、さまざまなことがあったりしても、必ずしも横領とかなんとかいう罪は成立しない、こういう一般論的な立場からあなた方は、検察当局にしろ、自発的行動を起さないことは、われわれは非常な疑念を持つ。その疑念を率直に申し上げますと、この会長が藤山現外務大臣だ、そういうような点からあなた方がちゅうちょしているのではないか、こういう疑念を持つのです。あれだけの問題を検察庁は検討もしないんだということは、あり得べからざることだと私は思うのです。しかもその理由一つとして、示談というものが成立したように聞いておるからなお一そうわれわれが手を加えることを控えているのだ、こう言われますが、示談の内容も何にも知らない。一体あなたの方では、告発がなければこういう事件は取り上げないのか。そうじゃなくて、自発的に行動するということは当然あり得ると思う。なぜこの問題に対して自発的に検察当局の発動を見ないのかという理由づけをもっと明確にしてもらわなければならないということが一つ。それから、かりに他人のものを勝手に横領した場合、それを弁済すればそれで犯罪は完全に解消するのかといいますと、弁償しても解消しない。犯罪はそのまま成立している。それは情状酌量の点とかいろいろありましょうけれども、犯罪そのものは解消するものではない、私はこう思うのですが、どうですか。
  83. 竹内壽平

    ○竹内(壽)政府委員 この後援会会長が藤山さんであるということによって検察庁が事件の処理をちゅうちょするというようなことは、もうたびたび私がここで申し上げておりますように、検察庁に関しましてはさようなことは絶対ございません。  それからまた、告発がなければこういうものを捜査しないのかという点でございますが、これは親告罪ではございませんので、告発がございませんでも、実体がありますれば検察庁としましては捜査する場合があるわけであります。本件につきましては弁償があったからやらないというふうに私は申し上げているのではないのでございます。私はただいままで参議院の方の予算委員会に出ておりましたが、役所に帰りますと、すぐこの委員会に来るようにということで、何の用件かと思って急遽参りましたところが、この問題だということで、私の頭の中にある知識で今お答え申し上げているのでございますが、なぜ今まで捜査をしないのかという点につきましては、検察当局の意見を聞きましたところが、まだ捜査していない。捜査していないと言っているので、捜査せぬと言っているのではございません。捜査していないというのです。その理由は何かというと、示談ができているような話だということで、そういうようなことでございまして、卒直に今申し上げた次第でありますが、もし犯罪があるならば、弁償があったということによってその犯罪が消えてなくなるものではもちろんないことは、ただいま仰せの通りでございます。
  84. 西村力弥

    ○西村(力)委員 少し答弁のニュアンスが変わったですが、あなたは先ほど、検察当局に移した方がいいということを言った清算人がおるならば告発をしたらいいだろうと、まるで挑発的な意見を出された。その陰には、検察庁当局がこの事件を事件として取り扱わないことに対する確信があるような答弁であった。ところがただいま、全然捜査しないわけではない、現在していないだけのことだというように答弁のニュアンスが変わったのである。私たちは、これは相当の期間を経ている問題ですから、しないならばしないで、これに犯罪の要素は少しもないという工合に確信ある答弁をいただきたいと思うのです。するならば告発したらどうかというようにかぶせてくるならば、よほどの確信があって、犯罪の要素は全然ないという断定だろうと私は思うが、相当の期間にわたっているのですから、その確信はどうであるかということ、それを一つ聞きたいのです。先ほどは答弁はなかったが、だんだんと弁償したというが犯罪はやはり残っているのだというようなことで、そういうようなことまで話が少しやわらかになってきましたけれども、どうなんでしょうか。
  85. 竹内壽平

    ○竹内(壽)政府委員 犯罪がないのだという確言を私がここでし得る立場でない——犯罪を捜査しておらないのでございますから、犯罪がないということを申し上げることはできないわけでございます。捜査をいたしました結果犯罪があるということは、有罪の証拠をもって裁判所に起訴するというようなことによって私どもは主張し得るのでございますが、犯罪が全くないのだということは、刑罰法令がないというような場合ははっきり申し上げられるのでございますけれども、これは、捜査をいたしましても犯罪がないのだということを御答弁申し上げることは非常に困難で、むずかしい問題でございます。いわんや本件につきましては、まだ捜査もいたしておりませんし、事件を受理して、いわゆる証拠を追っての捜査というものはいたしておらないのでございまして、全く意見を述べておるにとどまるのでございます。
  86. 西村力弥

    ○西村(力)委員 それならば、とにかくこれだけの重大問題ですから、ただ現在捜査をしていないだけであって、完全に捜査をしないという工合に決着がついたわけでもないというならば、これから直ちに協議をして、検察権の発動を最も近い機会に行われることを私は望むのでありますが、これに対する御返答はどうですか。
  87. 竹内壽平

    ○竹内(壽)政府委員 私ども、つまり検察当局がこの問題を取り上げて捜査するかどうかということは、犯罪の実体があるかないかということについての検察的な見通しを立てませんことには、やるかやらぬかはなかなか言いにくい問題でございます。しかしながら被害者というような立場、あるいはそれを取り扱いました方の告発というような形で捜査を促す手段が刑事訴訟法上明記されておりますので、そういう手続を促すような意思表示がありますれば、これは事の成否いかんにかかわらず検察官としては捜査しなければならぬ、これが刑事訴訟法の定めるところでございます。右のように私どもが手続に従って処置することは、これはもうはっきりと申し上げることができます。
  88. 西村力弥

    ○西村(力)委員 手続云々ということでございますが、とにかく私たちの期待するところは、あなた方検察当局の権威にかけての自発的な発動を願いたいということなんですが、こういうことをやるかやらないかということの検討を一つやってもらいたい。それさえもあなたたちはやっていないと思うのです。今までの答弁だとそうなんです。犯罪の要素があるかどうかということ、検察権を発動するかいなかということの、そこまでの検討もまだなされていないのです。その検討だけは一つ着手してもらいたい。どうなんです。
  89. 竹内壽平

    ○竹内(壽)政府委員 検討しろというお話でございますが、これは私どもの方の通常使っております用語で申しますと、内偵査察をすぐやるかどうかという御質問かと思いますが、これは捜査としましては秘中の秘でございまして、やっておりますというようなことをこういう公開の席上で申しましては捜査にならないのでありまして、そこは捜査官を御信頼下さっておまかせを願わなければなりませんが、それにいたしましても、いやしくも警察にせよ検察庁にせよ、捜査をやるかやらぬか、そしてその着手の時期はいつかというようなことを申します場合には、犯罪の実体があるかないかということが先決問題なんで、私、今一般論として申し上げておるわけでございますが、そういう点を一つ含んでいただきまして見ていただく以外に方法はないと思います。
  90. 西村力弥

    ○西村(力)委員 秘中の秘でけっこうですが、秘中の秘でもそれが明確に出される時期はいつか。われわれは当委員会もしくは法務委員会においてあなた方の努力の結果、結論をお聞きしなければならぬ。それは時期をいつに約束したらいいか、一つお伺いしたいと思います。
  91. 竹内壽平

    ○竹内(壽)政府委員 自発的に捜査をするかどうかということにつきましては、先ほど申し上げましたように、この実体があるかないかということを十分検察的な立場で判断をいたしました上でやることでございます。その結果やらぬということになれば、いつお答えを申し上げるといっても、やらぬというお答えしかできないだろうと思います。それからまた告発というようなことも、捜査を促された場合におきましては、犯罪のあるなしにかかわらず、捜査をして結論を出すことは当然なことでございます。もしそういう場合には、その捜査の結論をお答えする時期があろうかと思います。ただ検察当局が自発的にこの事件をやるかやらぬかというようなことはここでお答え申し上げる筋合いではございませんが、かりにやったとすれば結論を出し得る時期があると思いますが、やらぬということになれば結論を申し上げる機会はないと思います。  それからまた、告発を出された場合につきましては、いずれ結論は必ず出すものでございます。そういうのが刑事訴訟法の手続でございますので、その点は一つ御理解いただきたいと思います。
  92. 西村力弥

    ○西村(力)委員 やらぬならやらぬで、君らに責任がなければならぬと思う。告発というのを私たちも考えないわけではないのですが、そういう方式よりも、やはりあなた方自体が内偵をせられてその取扱いを決定せられる。そういう意思表示を待って、告発するのならする。こういった工合にいきたいと思うのです。だから、やったならはやったではっきりしますし、やらないにしても私たちはやはりあなた方の最後的な意思というものを聞いて、そういう告発なら告発という工合に出たいと思うのです。そういう結論をいつごろ聞かれるかということなんです。常識的に聞いているのですよ。
  93. 竹内壽平

    ○竹内(壽)政府委員 明確にそういうお約束をいたしかねるのが実情でございます。
  94. 西村力弥

    ○西村(力)委員 それでは約束はいただかないにしても、いずれかの機会にその経緯、これからの進行状況をあなたにまたただしたいと思います。  それから、寄付募集の場合の制限規定はどういう工合になっておるのでしょうか。これは無制限ではないだろうと思うのですが、いかがでしょう刑事局長一つ……。
  95. 竹内壽平

    ○竹内(壽)政府委員 その点につきましても、地方自治体が寄付をするという場合につきましては、御承知のように、地方自治法に寄付禁止の規定を設けられておりますし、それからまた官庁が寄付を受けますという場合につきましては行政措置その他によりまして厳重に寄付を受けることにつきましては規制をされておるわけでありますが、先ほど申しましたように、オリンピック後援会というものの性格につきまして十分検討させていただきまして、もしお答えを申し上げる機会がありますならば、お答えを申し上げたいと思います。
  96. 西村力弥

    ○西村(力)委員 先ほどからの質疑応答で明確になった点は、あの後援会が寄付をもらった、そういう場合にその寄付募集に当りました学生に対してその三割を還付した、こういうことが出ておる。その三割が三百円に満たない場合には三百円を保証する、こういう内部取扱いをきめてやった。三割というのは、これは常識的に考えてもえらい歩合だろうと思うのですが、これが五割もよろしい、七割もよろしいといったら、寄付募集に名をかりたとんでもない行為になってしまうわけですね。だからその点から言うと、三割なんというところを手数料に見積る、こういう見積り方は計数的に見ても危険な限界に来ておるのではないか、僕はこう思うのですよ。その限界が、手数料は幾らでも自由だというならば、五割にして、集めた金をイン・マイ・ポケットでやってもよいことになる。そういう限界というものは検察当局としては考えなければいかぬじゃないか。三割なんというのは限界すれすれまで来ておると思う。寄付募集する場合は、個人の生活援助を求めて奉加帳を回すのは全部入るのですけれども、事は公共的なものに対する寄付金募集じゃないですか。そういう場合の手数料の限界というのは、一割とかなんとかです。特別の場合には突発的な問題があるから違うと思いますが、普通はそれくらいの常識をもってやらなければならぬ、こう思うのです。御見解はいかがですか。
  97. 竹内壽平

    ○竹内(壽)政府委員 ただいまの御意見等、私の方で——法務省刑事局の立場におきましても十分検討してみたいと思います。
  98. 西村力弥

    ○西村(力)委員 次に体育局長にお聞きしますが、学童が募金したのはずっとそのままになって、別口座にして手を入れなかったから不幸中の幸いだ、事務局長なるものが相当金額を浪費したのは別口の寄付金だ、こういう工合で、いかにも学童には迷惑がかからないように言われておりますけれども、募金した金は全部プールになって、一つのオリンピックの派遣資金という工合で出すはずだと思うのですが、こっちから来た金は手をつけないんだ、こっちのだけ手をつけたんだ、そういう経理というのは一体あるものかどうか。これは会計検査院担当の業務ではないのですけれども、参考意見として一つ聞きたいと思います。私は全部それはプールになっておる金であると思う。その中からの不当支出というものはやはり全体に影響を与えるものである。こういう場合についで、どうですか。
  99. 清水康平

    清水政府委員 この地方支部拠出金は、割り当てまして、実際に参りますのはあとになりまして、地方支部拠出金の二千十一万に相当するものだけは普通預金になっておりまして、それだけが別口になっておることが判明いたしたわけであります。  それからもう一つ、大へん恐縮でございますが、先ほどの街頭募金の手数料の問題は、ちょっと補足いたしたいのでございますが、先ほど三割、三百円云々と申しましたけれども内容調査いたしますと、そういう問題がございますが、そのほかに募金用の箱だとかメガホンとかポスターとか、そういうものも含まれておることだけ、ちょっとつけ加えておきます。
  100. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 ちょっと関連して尋ねますが、こういう二億という巨額な金を、一般から、ことに学童等からまで集めて募金した、そして一千数百万円が不当に使われた、こういうことを今お聞きしたのですが、そこで募金をする場合には、勝手に募金はできないはずなんで、募金には一つの制限があり、許可が要ると思うのです。こういう募金の許可は、どこの主務官庁で許可するわけですか。これはあなたの方、文部省なら文部省でこの募金等は許可しているわけですか。
  101. 清水康平

    清水政府委員 募金の許可は都道府県知事でやっております。
  102. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 そうすると、これは各都道府県から募金したんだから、各都道府県知事が許可した、こういうことでございますか。
  103. 清水康平

    清水政府委員 募金についての許可申請に対しては、許可権は都道府県にあると了解しております。
  104. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 もう一点。そうすると、さっき西村委員が触れたと思うが、募金等に対する一つの制限、募金の規定というものがあると思うのです。それはやはり都道府県によってそれぞれ違っておるわけですか。そういうものは、こういう場合には文部省なら文部省で統一はしていないわけですか。都道府県の勝手な規制でいくわけですか。
  105. 清水康平

    清水政府委員 この募金の内容、方法によりましょうけれども、たとえばこの二千十一万云々をどの県でどれくらい持ってもらいたいということにつきましては、文部省は直接何も関与いたしておりません。
  106. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 私は募金の内容を聞いているのじゃないのです。各都道府県にわたって広範にこういう募金をするからには、その募金に対してはこれこれという条件があって募金そのものも許されるのだろうと思う。私は勝手に募金はできないだろうと思う。そこで、この募金を許すのは都道府県であるということをあなたは御答弁になった。従って、そういう募金に対する一つの制限というものは、それは都道府県がそれぞれ勝手におやりになっておって、これは文部省なりというようなものはてんで関係はしないのか、こういうことをお尋ねしているわけです。
  107. 高橋英吉

    高橋(英)委員長代理 知らぬことは知らぬでいいから……。     〔「委員長がよけいな知恵をつけてはいかぬ」と呼ぶ者あり〕
  108. 清水康平

    清水政府委員 調査して報告しなければならぬと思いますが、各都道府県で条例をきめて許可しているところもあるし、ないところもあるんじゃないかと思いますが、申しわけありませんが、調査いたしまして、後刻御報告いたします。
  109. 山田長司

    ○山田(長)委員 ただいまの局長の話を聞いていると、私はずいぶんあいまいだと思うのです。たとえば、今の募金はスポーツの関係で募金がされておるかもしれぬが、四月一日からすぐに緑の羽根の募金がある。十月には赤い羽根の募金がある。こういうものに学業を放棄して子供たちは動員されておるわけです。それについて何らの規定もなく、しかも都道府県が勝手にその許可をしてもよい。こういうことの今お話のようですが、子供がそんなことにやたらに動員されて、何の規則もないということでは、どうも子供の学業のことを考えてみても、ずいぶんお気の毒な話だと思うのです。文部省はやはり統一的な形においてこれらの取り締りに当るのがしかるべきだと思いますが、そういう規定が全然ないのですか。
  110. 高見三郎

    高見政府委員 私からお答えを申し上げた方がいいだろうと思いますが、ただいまのところ募金につきましての制限規定はございません。そこで、山田委員の御発言のように、これは文部省だけの問題ではありません。たとえば緑化運動は農林省、赤い羽根は厚生省とか、しかも学校の児童を使い、生徒を使うという問題がありますので、この問題につきましては——今度の問題はまことに不祥な事件でございます。たとい文部省に監督権があろうとなかろうと、この問題は学童を使って金を集める。その金がかりに帳簿上不当に使われておらなくて体協に入っておったといたしましても、学童の純真な気持を傷つける意味においては、私ども責任を痛感いたしております。そこで、今お話の学校の生徒、児童を将来寄付金募集に使う場合の問題につきましては、御指摘もありましたので、この際十分御意見を尊重いたし検討いたしまして、何らかの措置を至急講じたいと考えております。ただいまのところ制度上どうこうという規制の道がないということを、御了承いただきたいと思います。
  111. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 今お聞きすると、これに対しては何の制限もないという御答弁なんですが、募金をするからには許可というものが必要だというのです。今はお聞きすると、都道府県知事が条例によってそれを許可している。こういうことです。しかしこれは無制限に許可しているはずがないと思う。もし無制限に許可していいというなら、募金の費用に三割使おうと五割使おうと、募金したものをみな使ってしまおうが、これは犯罪にならないわけです。犯罪になるかならないかということは、そうした許可の一つの条項を守っているかどうかというところで、犯罪になるかならぬかということが出てくる。それに対して何の制限もないというならば、さっき刑事局長が言ったようにこれは犯罪にならない。しかし、そういう許可をするからには何らかの制限がなければならないと思う。その制限を守っているかいないかということが問題になってくる。ここでは募金した者に対し三割も募金費用としてやったということになっている。また一千数百万円不当に使ってしまったということも、別に一千数百万円使おうと、二億使ってしまおうと、何の制限もなければ犯罪にならない。こういうばかげたことは常識上あるべきではない。許可があるからには必ず制限規定があると私は思う。その規定は、あなたの方ではやっておらないで、各都道府県がやっておるとすると、さっき山田委員が言われたように、赤い羽根の募金だ、何の募金だということに対しては何の制限もなしに、集めた募金をどう使おうとそれは勝手だ、こういうふうに解釈がつくわけですけれども、これは厚生省に関係があることですが、この募金に対する制限がないということは私にはちょっと考えられないのですけれども、この許可があって制限がないということについて、政務次官、どうですか。
  112. 高見三郎

    高見政府委員 私の記憶しておる範囲におきましては、この寄付募集につきましては、各都道府県ごとにそれぞれ寄付募集条例を持っておる。従いまして、お話のように寄付を募集いたします側から申しますと、かよう、かようの条件において、かよう、かようの使途に使うためにこれを募集するのだ、その経費はこういうふうにして、その収支はこういうふうにして、という願い出をいたします。その条件に従って府県の知事が許可をしあるいは不許可にするという措置を今日までのところはとっております。かように了解をいたします。
  113. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 それでわかりましたが、おそらく都道府県知事が許可をするというからには、許可願というものが、申請が出ると思います。その申請には、金額は幾ら幾ら、使用目的は何、これに対する費用はどのくらいかかるというような、それぞれの条項がついて許可されるのが私はほんとうだと思う。そうしてみると、この募金はその条項に当てはまったように募金されたか、使われたかという問題が、犯罪になるかならないかの関係にもなってくる、こう思うのです。この点、文部省の方にお願いしておくのは、どういう許可申請に基いてどういう許可をしたかということを、今すぐ御答弁ができないなら、あとで御答弁を願いたいと思います。
  114. 西村力弥

    ○西村(力)委員 法務省にちょっと検討の材料として出したいのは、三百円を保証したのはこれはアルバイトという意味で使った。募金というものが、そういうアルバイトというような形にすりかえられている。こういうために三百円の保証をした。こういう点も、これはもう募金にからんで、街頭に立って君はアルバイトで募金をやってくれ、一日四百円保証をする、というような工合でやってきたならば、明らかにそれは犯罪要素として出てくるんじゃないかと思います。目的をすりかえてしまっている。そういう点を十分検討願わなければならぬ。それから文部省には、学童の募金という問題ですが、こういう点については相当の配慮を願わなければならぬ。これは決算委員会とはちょっと違うかもしれませんが、学童は募金を喜んでいるかというと、そうではない。みんな道行く人が知らぬふりをして行く。何だ、あのやろう、と、こういう気持がずっと出てくるのですよ。あの募金の行動をさせるということは非教育的です。全然効果がない。隣人愛とかそういう思想を植えつけるのだといったって、あれはもうゼロですよ。そうしてどうしても他の者との競争で、自分の箱が入りが悪いと、母親に頼んでよけい入れてもらって何とかしてもらうとか、全くひどい。ああいうことは、もうやめさせなければならぬと私は思っておる。肉体的にもいけないし、教育上の効果も全然逆効果ですよ。それは緑の羽根でもそうです。緑の羽根をやらせることによって国土を緑化するのだというが、その緑化することが、あなた方道徳教育をやるときに、国土がこれだけ荒廃したということを教え、これを緑化しなければならぬということを教えるがこの荒廃した原因は何かというと、不当な戦争、むちゃな戦争をやった結果そういう工合になったのだ、ということを明確にしなければならぬ。ところが、そういうことを除いて、緑の羽根に協力しよう、これは道徳的に大へんけっこうなんだという教育になってくるのです。緑の羽根の募金なんかをやらせると、そう教えなければならぬ。そういうことは御考慮を願わなければならぬ。ああいうことは、僕は全部やめさせるべきだと思う。当局にこちらからそういう希望だけを申し上げておきます。
  115. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 さっきの僕の質問答弁がないんだが……。
  116. 高橋英吉

    高橋(英)委員長代理 まとめて答弁してもらおうと思ったのですが、小川君の質疑に対して答弁がありますれば……。
  117. 高見三郎

    高見政府委員 小川委員のおっしゃったように、私も地方庁の役人をやっていたことがありますが、これは条例の定め方の問題でございますけれども、寄付募集の許可願が出まして、やりますときにはそれぞれの条例の定める条件があるわけであります。そこでその寄付条件に違反をいたしておりまする場合には、直ちにそれは刑事事件になるかならぬかということは別の問題であります。行政処分として寄付行為を禁止する場合も出てきますから、別の問題でありますけれども、さような条件がついておることは、これは委員のおっしゃる通り間違いはないことであります。これは私の経験から申し上げますると、そういう条件をそろえて寄付募集の許可願を出しておる。従って、その条件に背反しておる場合、刑事事件になるか、行政事件になるかはおのずから事案の内容によりまするけれども、確かにそれが違法ないしは不当であるという場合には、それぞれの措置をとるべきものである、かように考えております。
  118. 小川豊明

    ○小川(豊)委員 それならばそれで、はっきり御答弁で明確になった。さっきあなたの御答弁では、それに対する制限は何らないが、これは一つの法のミスだというようなことであったので、僕の方では、そうではないじゃないかとお尋ねして、今の御答弁でそれはわかった。これはこれで、けっこうです。そこでお尋ねしたいのは、そういう募金の申請がどういう形でなされたか。使用の目的、金額、それからそれに対する募金費用といいますか、手数料といいますか、そういうものをおそらく列記されて許可願が出ていると思う。従ってその許可願をここでおわかりになれば御答弁願いたい。おわかりにならないならば、至急それを調べ資料としてお出し願いたい、こういうことを僕は申し上げたのですが、おわかりになるなら御答弁願いたい。
  119. 清水康平

    清水政府委員 これは手元に資料を持っておりません。調査いたしてみたいと思います。     —————————————
  120. 高橋英吉

    高橋(英)委員長代理 文部省関係はこれで留保いたしまして、次に厚生省所管の分について検査院当局の説明を求めます。検査第三局長
  121. 白木康進

    ○白木会計検査院説明員 厚生省所管について概略御説明申し上げます。  まず一般会計でございますが、ここに掲げております補助金は従来から指摘しております事項ばかりでございまして、まず保健所の経理その他公衆衛生関係補助金から申し上げます。公衆衛生関係補助金は従来とほぼ同程度の検査を実施したのでありますが、その結果は当局の是正改善の御努力もございまして、かなり減っております。補助超過となっておるものは一事項ニ十万円以上のものを見まして十七件、七百五十四万円ということになっております。その内容等も従来から指摘しておることと大体同様でございます。  次に簡易水道の関係でございますが、簡易水道の関係補助金経理及び工事の施行状況につきまして、これも大体前年度とほぼ同じ程度の検査を実施したのでありますが、その成績はかなり良好でございまして、ここに補助金の返納を要するもの一事項ニ十万円以上として掲げてございますのは二件だけでございます。その内容はいずれも精算の際に当初の計画通りに工事を実施したというように出ておりますけれども、実際には当初の設計額よりも少額で工事ができておった、あるいは工事のでき方に一部不足があったという関係でございます。  次に児童保護費の負担金の関係でございますが、これも従来から指摘してきておりますように、精算の済んでおりますものについて検査いたした結果が、国庫負担の基本額に算入してはならないような経費が入っておるというような関係から、精算済みの金額からさらに返納を要するものが相当ございまして、そのうち主要な事項が三件、百十七万円ということになっております。  なおこの児童福祉法に基づきますところの児童保護費の負担金の関係につきましては、三十二年中には特に施設のうちで数で最も大多数を占めておりますところの保育所の費用の徴収関係相当の力をさいて調査したわけでございます。なぜこのように相当検査をやりましたかと申しますと、保育所その他福祉施設の検査の際に費用徴収の関係を見ましたところが、児童福祉法並びにこれに基づいて厚生省で定めております料金徴収の基準通りに費用を徴収しているところはほとんどないというような関係から、かなり広範囲に費用を調査する必要があるのじゃないかということで調査した結果が、ここに掲げておる保育所に関する経理が適切でないものという事項でございます。新規に検査いたした事項でありますので、ちょっとその関係を申し上げますと、保育所の関係の経費は原則として扶養義務者あるいは本人から全額を徴収するのが建前になっておりますが、負担能力の関係からどうしてもその経費を負担できないという認定をしたものについては、一部市町村においてあるいは全額市町村において負担し、それに対して相当国庫補助を行うという建前になっておりますが、実際に厚生省当局におかれて徴収の基準として定められました基準がかなり実情から離れておるというような関係から、市町村においては具体的な収入認定ということをほとんどやっておりませんで、一部負担金に相当する一律な徴収金でやっておる。従って、たとえて申しますと、旅館のような場合に、旅館の経営者の児童も旅館の従業員の子供も、一様に負担金をとられておるというような関係がございまして、当局に一応御考慮を願うということで特にここに掲げたのでございます。もちろん検査の方法としましても、個人を相手でありますので、とうてい詳細な検査はできませんので、ここに掲げておりますように児童保護台帳でありますとか、あるいは市町村民税課税台帳というようなものについて、一応厚生省の基準で適正に徴収をしてどれくらいの開きが出るかという関係が、ここに掲げてあります徴収額の約七千九百万円、国庫負担金にしまして約五千五百万円のものが、かりに計算してもいわば過大交付になっておるというわけでございます。  次に、国民健康保険の助成金でございますが、この関係も従来から指摘しておりますけれども、この分は当局の指導監督もかなり強化されまして、ごらんの通り件数金額ともに前年度に比べてかなり減少しております。内容はいずれも交付金算定の基礎となる保険料収納額の算定が事実と相違するというような事案ばかりでございます。  次に、特別会計のことを簡単に申し上げます。厚生保険特別会計は三十年度までは損益計算書の上ではずっと赤字でございましたが、三十一年度から黒字に転じております。その理由としましては、ここに書いてありますように被保険者数が増加したこと、それから被保険者の標準報酬月額がかなり引き上げられた、それに対しまして保険給付費がそれほど増加はしなったというようなことがおもな原因であると思われます。なお健康勘定の貸借対照表におきまして三十七億余万円の未収金が計上されておりますが、この中には相当古い年度のものがかなりたくさんございまして、その中には不納欠損のおそれもあるというようなことでありますので、これも当局に御留意を願う、こういうわけでございます。具体的な事案といたしましては、不当事項として保険給付の関係、それから是正事項として保険料の徴収関係を掲げております。保険給付につきましては、これも先ほどの保育所の関係と同様に、相手方が個々の個人でございまして、会計検査院検査としても必ずしも適当でない面もあり、技術的にも非常にむずかしいというようなことで、徹底した検査はとうていできないのでありますが、たまたま国立療養所等は会計検査院検査をしておりますので、被保険者あるいは被扶養者で国立の医療機関を利用した者について、一応給付の状況を承知しておく必要があるということで調査を実施したわけであります。その結果は、ここに掲げてありますように、ことさらに使用関係を装って、被保険者のような形で受診をしたり、あるいは被保険者であった者が資格を喪失した後も、依然として同じ資格で受診をしておるというような関係から、検査を実施しましたほとんど大多数の府県におきまして、一応保険給付の適正を欠くと認められるものが二千四百余万円に上っております。  次に、保険料の徴収関係でありますが、この点も毎年多数指摘しておりますが、この年度におきましても、やはり実施をいたしました府県全部につきまして同じような事態がございまして、その合計額は、徴収不足で八千四百万円というものを当局に是正していただいております。  大へん大ざっぱでございますが、以上概略説明を終ります。
  122. 高橋英吉

    高橋(英)委員長代理 厚生省所管決算についての質疑は後日に譲ります。  本日はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。     午後一時三十二分散会