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1959-03-03 第31回国会 衆議院 決算委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年三月三日(火曜日)     午前十時四十三分開議  出席委員    委員長 田中 彰治君    理事 井原 岸高君 理事 鹿野 彦吉君    理事 鈴木 正吾君 理事 高橋 英吉君    理事 小川 豊明君 理事 神近 市子君    理事 山田 長司君 理事 山本 猛夫君       淡谷 悠藏君    西村 力弥君       松平 忠久君    森本  靖君  出席政府委員         法制局参事官         (第一部長)  亀岡 康夫君         総理府事務官         (調達庁総務部         会計課長)   鐘江 士郎君         法務政務次官  木島 虎藏君         検     事         (大臣官房経理         部長)     大澤 一郎君         検     事         (訟務局長)  濱本 一夫君         大蔵政務次官  山中 貞則君         大蔵事務官         (大臣官房会計         課長)     牧野 誠一君         大蔵事務官         (主計局次長) 佐藤 一郎君         大蔵事務官         (主計局司計課         長)      末廣 義一君         大蔵事務官         (管財局長)  賀屋 正雄君         大蔵事務官         (国税庁次長) 篠川 正次君  委員外出席者         検     事         (民事局附)  住吉 君彦君         大蔵事務官         (管財局国有財         産第二課長)  市瀬 泰蔵君         建設事務官         (計画局総務課         長)      國宗 正義君         会計検査院事務         官         (第一局長)  上村 照昌君         会計検査院事務         官         (第二局長)  保岡  豊君         専  門  員 黒田 久太君     ————————————— 二月十八日  委員上林與市郎君及び森本靖辞任につき、そ  の補欠として岡田春夫君及び小松幹君が議長の  指名委員に選任された。 同日  委員岡田春夫君及び小松幹辞任につき、その  補欠として上林與市郎君及び森本靖君が議長の  指名委員に選任された。 同月十九日  委員南條徳男君及び片島港君辞任につき、その  補欠として保岡武久君及び小松幹君が議長の指  名で委員に選任された。 同月二十四日  委員小松幹君及び森本靖辞任につき、その補  欠として片島港君及び島上善五郎君が議長の指  名で委員に選任された。 同日  委員島上善五郎辞任につき、その補欠として  森本靖君が議長指名委員に選任された。 同月二十六日  委員森本靖辞任につき、その補欠として日野  吉夫君が議長指名委員に選任された。 同月二十七日  委員片島港君、上林與市郎君、西村力弥君及び  横山利秋辞任につき、その補欠として西村榮  一君、淡谷悠藏君、永井勝次郎君及び島上善五  郎君が議長指名委員に選任された。 同日  委員島上善五郎君、永井勝次郎君及び西村榮一  君辞任につき、その補欠として横山利秋君、西  村力弥君及び片島港君が議長指名委員に選  任された。 同月二十八日  委員片島港君及び西村力弥辞任につき、その  補欠として島上善五郎君及び今澄勇君が議長の  指名委員に選任された。 同日  委員澄勇君及び島上善五郎辞任につき、そ  の補欠として西村力弥君及び片島港君が議長の  指名委員に選任された。 三月三日  委員日野吉夫辞任につき、その補欠として森  本靖君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 二月十七日  昭和三十二年度物品増減及び現在額総計算書 は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和三十一年度一般会計歳入歳出決算  昭和三十一年度特別会計歳入歳出決算  昭和三十一年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和三十一年度政府関係機関決算書  昭和三十一年度国有財産増減及び現在額総計算  件  昭和三十一年度国有財産無償貸付状況計算書  昭和三十二年度一般会計予備費使用総調書  (その2)  昭和三十二年度特別会計予備費使用調書  (その2)  昭和三十二年度特別会計予算総則第十三条に基  く使用調書  昭和三十二年度特別会計予算総則第十四条に基  く使用調書  昭和三十三年度一般会計予備費使用総調  (その1)  昭和三十三年度特別会計予備費使用調書  (その1)  (承諾を求めるの件)  昭和三十二年度 一般会計国庫債務負担行為総  調書      ————◇—————
  2. 田中彰治

    田中委員長 決算委員会を開会いたします。  まず昭和三十二年度一般会計予備費使用総調書(その2)、昭和三十二年度特別会計予備費使用調書(その2)、昭和三十二年度特別会計予算総則第十三条に基く使用調書昭和三十二年度特別会計予算総則第十四条に基く使用調書昭和三十三年度一般会計予備費使用総調書(その1)、昭和三十三年度特別会計予備費使用調書(その1)、以上六件について承諾を求めるの件、及び昭和三十二年度一般会計国庫債務負担行為調書を一括して議題とし、審査を進めます。  各件について質疑があればこれを許します。
  3. 小川豊明

    小川(豊)委員 三十二年度予算を見ますと還付加算金が九億計上されていますが、これはすぐ足らなくなって予備費から一億出しておるわけです。ところが三十三年度予算還付加算金の方は五億に減っております。従って足りなくなって予備費の方から十月に一億、十二月に三億支出しておるわけです。三十四年度になるとまた十億になっている。これは十億という還付加算金が当然要る、必要だということがわかっていながら、どうして三十三年度にはこれを五億に減らし、そして予備費の方からそういうふうに出しているか。これは当然予算として十億必要なら十億を計上しておくべきでなかったか、こう思うのですけれども、この点についての御答弁を願いたい。
  4. 篠川正次

    篠川政府委員 ただいまの御質問にお答えいたします。三十二年度の実績の十億の中には、きわめて特殊なものが含まれておったわけであります。たとえば日米租税条約に基く還付加算金、それから大法人の欠損繰り戻しが非常に多かったというような関係で、その実績の十億の中にそういった特殊なものが含まれておりました関係上、三十三年度の予算を見込みます場合にはそれらのものを除外したことと、それからもう一つは、還付加算金というのは、これは還付金がおくれるためにつく利息でございますので、方針といたしまして還付金をなるべく早く返すという方針を打ち立てました関係上、その関係加算金は相当節約し得る、かように考えまして五億と見込んだわけでございます。
  5. 小川豊明

    小川(豊)委員 私のお聞きしたいのは、三十二年度にも還付加算金予算は九億であって、それが足らなくて予備費から一億支出しておる。今度三十三年度にはこの予算は五億であるにもかかわらず、十月には一億、十二月に三億、すでに四億予備費から支出しなければならぬ。三十四年度の予算を見ると十億の予算になっておるのだから、千億というのはあなたの方では当然必要であったのではないのか。それを三十三年度は五億に減らして予備費の方からそういうふうに出すということはどういうわけであったか、当然必要なものなら計上しておくべきではないのか、こういうことをお尋ねしたわけです。
  6. 篠川正次

    篠川政府委員 小川先生のまことにごもっともな御意見でございますが、ただいま申し上げますように、三十三年度の予算を見込みます場合には、三十二年度の実績の中に特殊なものがあったという関係で、それは減らしていいのではないかということで予算としてはそういうふうに組んだわけでございます。大へん遺憾なことで、実績がその見込み通りに参りませんでしたことは私どもとしても大へん遺憾に存ずる次第でございますので、三十四年度予算におきましては、その意味でどうしても支出しなくてはならぬものは当初から十分見込むべきである、かように考えまして、十億という積算をいたしたわけでございます。
  7. 小川豊明

    小川(豊)委員 了解。
  8. 田中彰治

    田中委員長 他に御質疑がなければ直ちに討論に入る順序でありますが、申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。  まず、昭和三十一年度一般会計予備費使用総調書(その2)、昭和三十二年度特別会計予備費使用調書(その2)、昭和三十二年度特別会計予算総則第十三条に基く使用調書昭和三十二年度特別会計予算総則第十四条に基く使用調書昭和三十三年度一般会計予備費使用総調書(その1)、昭和三十三年度特別会計予備費使用調書(その1)、以上六件について承諾を求めるの件について採決いたします。各件をそれぞれ承諾を与えるべきものと議決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 田中彰治

    田中委員長 御異議なきものと認め、そのように決しました。  次に、昭和三十二年度一般会計国庫債務負担行為調書について採決いたします。本件につきましては異議がないと議決すべきものと決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 田中彰治

    田中委員長 異議なしと認め、そのように決しました。  なお本日議決いたしました各件についての委員会報告書の作成については、委員長に御一任願いたいと存じます。     —————————————
  11. 田中彰治

    田中委員長 次に昭和三十一年度決算法務省所管議題とし、会計検査院当局説明を求めます。なお審査は便宜上会計検査院決算検査報告に従って進めたいと存じます。会計検査院検査第二局長
  12. 保岡豊

    保岡会計検査院説明員 四十八ページ、法務省の部をごらん願います。法務省不正行為は一件でありまして、山形地方法務局で、三十年四月から三十一年十二月までの間に、歳入歳出外現金出納官吏補助者であった者が、供託金日本銀行への預け入れ、供託金還付、下げ戻しの事務従事中、ほしいままに出納官吏の小切手を振り出しまして預入金を引き出したり、供託金日本銀行に預入しないで、合計三百六十万九千百七十五円を領得した件であります。
  13. 田中彰治

    田中委員長 質疑がありますれば許します。神近市子君。
  14. 神近市子

    神近委員 昨年の法務省決算報告は、非常に不当事項不正行為が多かった。不当事項は五件、不正行為も非常に多かったのですが、今年はただ一件しかあがってこないということは、法務省行政管理が非常によくなったのか、ほめていいことなのか、あるいは会計検査院の御調査が昨年ほど行き渡らなかったのか、どっちなのかというようなことを私どもはこれで感じたのです。たった一件しか出てこなかった。会計検査院の御調査は、昨年と同様に忠実にお当りになったのか、それを伺って、それから私どもの感想を申し上げたいと思います。
  15. 大澤一郎

    大澤(一)政府委員 法務省所管会計検査は前年度同様、それぞれ検査院検査官に各地に御出張いただきまして、厳重に検査をいただいたはずでございます。特にお目こぼしをいただくとか、お手心を加えていただいたというようなことはないと確信いたします。
  16. 神近市子

    神近委員 そうすると、法務省の綱紀は非常に厳正に行われたと見ていいと思うのですが、ただちょっと伺いたいことは、二十六日に検察官の合同会議ですかがあって、法務大臣から脱税取締りを強化するようにという御指示があったように思うのです。これは普通の例でございますと、よほど多くの共通の案件が出ないと、こういう御指示があることはないと思うのです。会社設立に関するもの、あるいは貿易、外貨の扱いに関するものというように限定されているようですが、どういう案件がこの二項には含まれているのでしょうか。
  17. 大澤一郎

    大澤(一)政府委員 法務大臣が過日の財政経済会同係検事指示いたしました事項は、いわゆる最近の経済情勢にかんがみまして、悪質な脱税事件あるいは外国為替管理法違反事件その他商法のいわゆる自己株取得事件等が、最近目立って世間の耳目を聳動するような事件がございまして、経済界の正しい発展のためにかような事犯については厳正に今まで通り検事取締りに当るようにという趣旨指示したものと考えます。
  18. 神近市子

    神近委員 この商法四百八十九条ですけれども、私どもこういう方面実情についてあまり関係のない者にも目に余るほどこの事実が出ておるように思うんですけれども、この悪質なものというのは一体どういうことを意味するのですか。
  19. 大澤一郎

    大澤(一)政府委員 自己株取得会社の資力の保持を全うすることができませんから、さような資本の充実の原則に反するような違反については取り締りたい、かような趣旨であります。
  20. 神近市子

    神近委員 突然な質問なんで、あなたもおわかりにならないように思うんですけれども、私のお聞きしたいことと食い違ってるようですから、もしこういう実例がありましたら一つ資料として、どういうものが行われておるかということをお示し願いたいと思います。税金が非常に重いということも原因して、脱税の研究は大きな会社になればなるほど行われておるということはわかっておりますけれども、一体どういうような案件があがってきておるかということをお示しいただきたいと思います。それをいただいた上で、また申し上げたいと思います。
  21. 大澤一郎

    大澤(一)政府委員 ただいま手元に資料がございませんので、後日お届けいたしたいと思います。
  22. 田中彰治

  23. 鈴木正吾

    鈴木(正)委員 この際ちょっとお伺いしておきたい。これは法務省だけの問題ではない。各省の問題だと思うんです。今指摘せられておる案件は一件です。けれどもこの指摘せられた一件だけの問題にとどまらず、検査院指摘を受けずに、法務省自体で発見した不正とか不当とかいうような問題があるはずだろうと思うんですけれども会計検査院指摘したものだけがこの決算委員会の問題にいつもなっておる。けれども会計検査院指摘以外にちっとも不当不正がないというようなことはあるべきはずのものじゃなくて、各官庁において自分で発見して自分で是正した問題がなければならぬはずだと思うんですけれども、そういうことは一体あるのですか、ないのですか。もし会計検査院指摘したもの以外に、各官庁みずからにおいて発見し是正したものが何もないというようなことになると、会計検査院制度というものをもう少し拡大しなければならぬじゃないか。現在会計検査院検査する国の会計というものは全会計の何割くらいですか。私、おそらく五〇%には満たないだろうと思う。そうすると、そのあとのものは全然検査なしで済ましておる。これは法務省だけの問題でないと私は思うのです。各官庁においてこの会計検査院指摘以外の、自分のところで是正し、発見したというような問題があるべきはずだと思うのです。ここには法務省の方だけしかいないのですけれども法務省にはそういうことはあったのですか、なかったのですか、
  24. 大澤一郎

    大澤(一)政府委員 ただいま御指摘通りに、法務省部内におきましても、それぞれ各庁におきましてその庁の長が内部を監査いたします。また法務本省といたしましても、係官が全国に行きまして、全組織にわたって経理調査をいたしまして、監査をいたしておるわけであります。その間いわゆる不当経理と申しますか、帳簿の記載の誤まり、あるいはまた支出科目の誤まり等を発見いたしまして、是正を命じたことはしばしばございます。なおまた職員不正事件を発見いたしまして、直ちにそれを補てんせしめたような例もございます。なおまたさような不正事件がございました場合は、特に法務省所管では検察庁がその組織にございますので、直ちに検察庁に通報いたしまして、検察庁でいわゆる刑事事件として処理しているというようにして、罪になるものはしかるべく検察庁で処理していただくわけでございます。
  25. 鈴木正吾

    鈴木(正)委員 先ほど神近さんが法務省行政管理がうまくいった、ほめていいのか悪いのかというようなお話があったのですが、私、法務省自体でこれこれの問題があって、これこれを発見して、こういう手続を踏んだというようなことを、法務省だけでなしに各省でやっておることを、一応決算委員会会計検査院指摘以外に報告してほしいと思う。そうすると日本行政官庁がいかに国民税金を忠実に使うことに努力しておるかという事実がわかる。そうでないと、決算委員指摘せられたものだけ、そのあとは何が何だかわけがわからぬというようなことでは困る。決算委員会において、各省がみずからそういうふうに自粛していったその事実を報告してもらうことはできぬですか。
  26. 大澤一郎

    大澤(一)政府委員 われわれの方できちんとした資料を整えて提出することができると思います。
  27. 鈴木正吾

    鈴木(正)委員 法務省ではそうやってくれればけっこうですが、これは各省にわたってのことですから、各省で今申したようなことがどれだけあって、どういうふうにやっておるか、その資料決算委員会に出してもらうように委員長から要求していただきた  それから検査院の方にお伺いしたいのですが、先ほどちょっと申しましたように、会計検査院検査する件数というものは令予算の五〇%に満たないだろうと思うのです。どのくらいになっているのですか。
  28. 保岡豊

    保岡会計検査院説明員 会計検査院各省から計算証明提出することになっております。これは全部の経理を総括しておるのです。この方面から申しますと一〇〇%の検査をいたしておることになると思います。しかし、それによりまして提出された書面検査をいたしますので、それによって疑わしいもの、またここで調査すべきだと考えられるもの、またはそれ以外に計画を立てまして実地検査をいたします。実地検査件数ということになりますと、法務省関係は非常に小さな役所がたくさんございます。その個所を全部拾いますと三千カ所以上になります。それで三十一年度はそのうち百八十四カ所をやっておるというパーセンテージになっておりまして、その実地検査ということから申しますと非常に小さくなりますが、一応書面検査はいたしております。それで検了いたしておる次第でございます。
  29. 鈴木正吾

    鈴木(正)委員 書類検査を全部にわたってやっておることは私も承知しております、私の言うのは、実地検査件数とか金額からいえば全予算の非常に少い部分であろう、こういうことなんです。それで、書類検査のうちで、これはあやしいと会計検査院がにらんだものについて実地調査をしておるという実情なんですが、そうしますと、これはあやしいというにらみ方の標準というようなものがあるのですか、勘ですか。
  30. 保岡豊

    保岡会計検査院説明員 勘ということも多少はあるかもしれませんけれども、やはり書類の整っているかいないか、また判が正確に押されているか、職員の判ではないか、前の支出と同じような証拠書類がまた出てきて、二重に使ってはいないか、そういうようなことをいろいろゼミナールいたしまして、そのやり方について検討いたしまして検査をする、なるべく書面検査で不正不当を発見するように努めております。
  31. 鈴木正吾

    鈴木(正)委員 私は今の会計検査院組織というか、能力、これは今の日本の一兆数千億に上る予算を正確に吟味する機構としては微力に過ぎると思っておる。会計検査院機構をもっと充実していくことが国民税金をむだ使いさせない急所になると私は思っておるのですが、会計検査院機構拡充について予算の要求などをしておるのですか。今の状態で満足しておるのですか。
  32. 保岡豊

    保岡会計検査院説明員 私、第二局長といたしまして、ちょっとその答弁を遠慮したいと思いますけれども、私の方の予算といたしまして十分機能を満足させる、今、先生のおっしゃいましたような、できるだけやるような予算は毎年要求しております。
  33. 鈴木正吾

    鈴木(正)委員 答弁に満足はしませんが、責任を持って話のできる人の出るまで待っていましょう。
  34. 森本靖

    森本委員 法務省関係についてちょっと聞いておきたいと思いますが、まず先ほどお話がありました法務省の中におきますところの自己監査という制度は、どういう格好になっておりますか。
  35. 大澤一郎

    大澤(一)政府委員 法務本省といたしましては、経理関係係官が班を組みまして、それぞれの庁の経理監査実地検査に回るわけであります。また法務局検察庁刑務所はそれぞれ各自に、検察庁でありますと高等検察庁、また地方法務局としますといわゆる法務局、また刑務所関係矯正管区、それぞれ中間監督機関がございますので、それらの長がその職員に命じまして、その所管監督下にある各組織経理を実地監査する、そのような方法で行なっております。
  36. 森本靖

    森本委員 それで、会計検査院の方にお尋ねいたしますが、会計検査院の方からあがっておりますのはこの地方法務局不当事項一件でありまするが、会計検査院からこれ以外に、口頭指示あるいは書面指示、そういう指示事項法務省に対して行なったことはございませんか。
  37. 保岡豊

    保岡会計検査院説明員 実地検査をやっております途上におきまして、また書面検査におきましても照会をしまして回答を求め、それで検了をいたしております。
  38. 森本靖

    森本委員 そこで、その指示事項というのはどういうのが出ておりますか。大体あなたの方は各官庁に対して、この決算報告に載らぬものでも相当な指示事項をして、その指示事項がかなり各省拘束力を持つというような格好があるわけでありますが、三十一年度の決算に当ってのあなたの方の口頭指示事項というものはないのですか。   [委員長退席高橋(英)委員長代理着席
  39. 保岡豊

    保岡会計検査院説明員 あります。それは、計算証明整備の仕方がよろしくない——先ども申しましたように、それが非常に悪いので、実地検査に行って、それを微細に見ますと、それは不正不当でなくて、その職員がなれないでそういうことが起ったということで、非常に苦労してそういうことがわかるというケースが非常に多かったのです。それで、書面検査をいたします計算証明提出について注意を促すわけであります。
  40. 森本靖

    森本委員 それ以外の口頭指示事項というのはないのですか。あなたの方は、大がい各省に対して検査をして、いやというほど口頭指示事項をする建前でやっておるわけですが、法務省には口頭指示事項はこれだけしかないのですか。
  41. 保岡豊

    保岡会計検査院説明員 ほかにもありますけれども、こちらで報告申し上げる程度のものはございません。
  42. 森本靖

    森本委員 報告申し上げる程度のものはないけれども、今言ったようなこの法務局指示事項だけでございますから、どういう口頭指示事項——いろいろあったのだろうけれども、そのおもなるものをちょっと言ってもらいたい、こういうことで聞いておるわけです。
  43. 保岡豊

    保岡会計検査院説明員 ただいま申し上げました計算証明整備につきまして指示いたしました。それから国有財産管理について指示いたしました。それからあと正式に書面での指示ではございませんけれども徴収金だのが少しおくれているということにおいて指示いたしました。
  44. 森本靖

    森本委員 そのうちの国有財産管理について指示をしたというのは、どういう事項ですか。
  45. 保岡豊

    保岡会計検査院説明員 工事の残材を用いて建て増した建物国有財産台帳に無登載である、こういうことについて、相当横浜、京都など数個所においてありましたので、それについて指示したしわけであります。また土地の用途を変更したもの、また建物を交換したもので大蔵大臣に対する協議の手続をとらなかったものもございますので、これについて注意をいたしました。
  46. 森本靖

    森本委員 そのことについて、大したことはないというのですつか。
  47. 保岡豊

    保岡会計検査院説明員 決算報告に掲げまして掲記するほどのことではないと認めたわけであります。
  48. 森本靖

    森本委員 今の国有財産管理についてのあなたの注意せられた事項、それをあとで直した事項について、あと資料として御提出を願いたいと思います。  それからこの指示事項の中の責任者の処分のこころで、退職により局長は不問、供託課長は自己の不正行為もあって懲戒免職とする、こうなっておるわけですが、この自己の不正行為もあって懲戒免職になったというのは、どういうわけですか。
  49. 大澤一郎

    大澤(一)政府委員 この供託課長は、本件の不正行為に対しましては清水某よりこの領得金のうちから一万円借りておったのでございます。そこでわれわれといたしましては、これも共犯ではないかというので厳重取調べをいたしたのでございますが、共犯の事実は出ませず、犯罪としては成立いたさなかったのでございます。なおこれで本人といたしまして、本件不正行為に監督責任を怠っておる点がありました上に、職員だけで月賦購買の会を作っておりまして、月賦で品物を買ってきて、それぞれ月給からまとめて払うということをやっておりましたが、その内部の職員の金を預かっておりましたこの供託課長が、その金の中から、一万円か二万円か忘れましたが、無断で横領しておりました。さような不正行為もございました。また本件につきましての監督者である課長としての監督責任がきわめてよくなかったという理由で、懲戒免職になったわけであります。
  50. 森本靖

    森本委員 これは私は、その金を借りておったことによっての懲戒免職ということなら、当らぬと思う。これはやはり罪は罪であって、またその罪の軽重ということについてはよく判断をしなければならぬわけであって、その本人から何も知らずに一万円という金を借りておるということなら、この件について罪はないと思う。ただ、この人の監督者としての不行き届きであるという点については、相当責任を問わなければならぬ。しかし、この場合は懲戒免職ということには当らぬと思う。ただ、今言った、職員——これはどこの省でもあるわけでありまして、月賦販売の物品を購入しておるわけでもりますが、しかしその場合には、それがたとい一万円でも二万円でも、これははっきりした横領の罪に当るわけでありまして、そういう点についての信賞必罰という点については、罪状を明確にしてやらないと、何もかも一緒くたにしたような格好でこれを懲戒免職にするというようなことについては、法務省という職掌柄といたしましても、一つそういう点を明確にした処分の仕方をしてもらいたい、こう思うわけです。これは私の考え方を述べただけでありますけれども、この件についてはこれでおきます。  次に、これは法務省として、この三十一年度の決算の問題と直接関係はございませんけれども、間接には関係があります問題で、すでに内閣委員会におきまして、同僚の石橋君の方から調達庁の方にはかなり質問をいたしておりますけれども、調達庁の方では、これはもともと法務省所管であるからということで内閣委員会における論議が終りまして、あと決算委員会でやってもらいたい、こういうことで私の方が引き継いで、この決算委員会でこれを明らかにしたいといこうふうに考えておるわけであります。それは、問題になっております例の佐世保の水交社と海仁会の建物、これを法務府の解散団体財産売却理事会という機関がGHQの指令によって、昭和二十七年三月に払い下げを行なっておるわけであります。これは水交社が三千六百六十万円、海仁会が五千百五十万円、この合計八千八百十万円で佐世保土地建物株式会社が落札をいたしておるのであります。ところが、これを一般の佐世保土地建物株式会社に八千八百万円で売却をしておきながら、そのまま今度は調達庁が借り上げをしておるわけであります。調達庁が借り上げをして毎年々々いわゆる借料というものをこの佐世保土地建物株式会社に支払っておるわけであります。その支払っておるところの借料の合計が、昭和二十七年から今日まで一億八千五百二十八万円という金を払っておるわけでありまして、落札をしたときのすでに倍の借料をこれに支払っておるわけであります。そこへ持ってきて、昨年から本年にかけて今度はこれを逆に政府がもう一回一億八千万円で買い上げる、こういうことになっておるわけでありまして、まことにこれは奇々怪々なる事件ではないか、こういうように私は考えておるわけであります。調達庁の方の説明は一応内閣委員会でなされておりまして、速記録を見ると大体わかりますが、しかし調達庁の方の丸山政府委員は、これはもともと調達庁の問題ではございません、法務省が公開入札をした問題でありまするので、こういうことで終っておるわけであります。そこで、法務省の方としては二十七年にこういうふうな払い下げをしたことのいきさつを一つ詳細に説明を願いたい、こう思うわけです。
  51. 大澤一郎

    大澤(一)政府委員 この解放団体の財産の払い下げは民事局が当時所管しておりまして、私も詳細には存じませんが、一応これを民事局におきまして当時の評価をいたしまして、法規によって払い下げしたものと存ずるのでございますが、詳細は民事局の係官から説明させていただきたいと思います。今、係官を呼んでおりまので、しばらくお待ち願いたいと思います。
  52. 高橋英吉

    高橋(英)委員長代理 森本君、民事局長がおられませんので、今連絡をとっておりますから、すぐ来られて答弁いたします。
  53. 森本靖

    森本委員 では、来てからやります。
  54. 高橋英吉

    高橋(英)委員長代理 それでは、森本君の質問については民事局から適当な説明者が参られるそうですっから、これを保留いたします。     —————————————
  55. 高橋英吉

    高橋(英)委員長代理 次に、昭和三十一年度決算中、大蔵省所管並びに昭和三十一年度国有財産増減及び現在額総計算書昭和三十一年度国有財産無償貸付状況計算書を一括して議題といたします。  まず、会計検査院当局より三十一年度決算中大蔵省所管の分について説明を求めます。検査第一局長
  56. 上村照昌

    ○上村会計検査院説明員 三十一年度の検査報告の大蔵省所管について御説明いたします。  租税につきましては検査報告の四九ページに概要として記述しております通り、三十一年度における租税の収納割合は前年度より向上しており、また収納未済の金額も前年度より減少を示しております。国税収納金整理資金に対する検査は、主として所得税及び法人税の賦課並びに徴収上の処置等に重点を置いて実施しました。  検査の結果を申しますと、五一ページの一五号から一七号までの三件は租税の払い戻しに関し処置当を得ないものでありまして、これらは払い戻すべき租税の還付が遅延したため、三件で約三百九十万円の還付加算金を支払う結果となったものであります。  次は六〇ページの三三号から三五までの職員不正行為により国に損害を与えたものでありまして、これは税務署職員により国税収納金整理資金に属する現金を領得された次第であります。  次は、是正させた事項といたしまして、三六号から四一号までは青色申告書の提出の承認を取り消させ徴収不足を是正させたものであります。青色申告書を提出することの承認を受けた法人のうちで、その帳簿書類に取引の全部または一部を隠蔽し、または仮装して記載するなど、青色申告法人としての実を備えていないのに、青色申告法人としての特典を認めているものがありましたので、注意いたしました結果、青色申告書の提出の承認を取り消し法人税額を追徴しましたものが、小石川ほか九税務署において十一事項、六百十三万余円となっており、そのうち一事項五十万円以上のものは三六号から四一号に記載してある通りであります。  次は六三ページの四二号から二〇二号までの租税の徴収過不足を是正させたものでありまして、是正させましたものは過不足の税額一事項十万円以上のものを集計しますと九百十二事項、徴収不足三億四千二百四十二万余円、取り過ぎ分が七百五十五万余円となり、そのうち一事項五十万円以上のものにつきましては二六一ページの別表に記載してある通りであります。これらの原因は調査の不十分によるもの、法令の適用を誤まったもの、課税資料の通報連絡が十分でなかったことなどによるものであります。  租税の最後は、六四ページの二〇三号から二〇九号までの租税の徴収上の過誤を是正させたものであります。これは租税徴収上の処理を誤まり、租税債権確保の処置を講じていなかったもの、相当の所得または財産があるなど滞納処分の執行停止の事由に該当しないのに執行停止をせられておるものについて、検査の結果是正させましたものが三十五事項ありまして、そのうち一事項五十万円以上のものにつきましては二〇三号から二〇九号に記載してある通りであります。  次は国有財産関係について御説明します。大蔵省所管国有財産管理及び処分につきましては、検査報告の五〇ページから五一ページにかけて概要を記述してあります。国有財産の処分収入及び利用収入の徴収決定済額に対する収納状況は前年度に比べ多少よくなっておりますが、既往年度の収納未済歳入額を加えると収納未済歳入額は十億五千九百余万円となっており、そのほかにも徴収決定すべき使用料で徴収決定に至っていないものが、当局の計算によりましても三十一年度末で約八億に上っておる状況でありますので、事務の促進をはかる必要があります点と、普通財産の管理につきましても改善の跡は認められますが、その現況から見まして、なお一段の努力の要がある点を概要に記述しております。  次は、個別事項といたしまして、五四ページに機械器具の交換に関し処置当を得ないものが記述してあります。昭和三十一年度中、全国の財務局で旧軍用財産であります機械器具を、その時価から三割五分を減額して事業者の所有する老朽した機械器具と交換されましたもののうち千六百四十四事項、五千二百九十七個につきまして実地調査いたしましたところ、相手方が契約条項に違反して、他に貸し付けたりまたは転売するなどしているのに、違約金の徴収または契約解除等適宜の処置をとらないままとなっていましたものが、関東財務局ほか七カ所において十八事項、四十八個ありました。そのおもなものは一八号から二二号に記述してある通りであります。  次は、五六ページの二三号の物納財産の管理当を得ないものであります。三十二年二月、三月、検査院におきまして東京及び関東地区について、物納財産のうち土地二千三百四十二件、建物二百九十七件について実地に調査いたしました。その結果、無断占拠されているもの、使用料徴収決定未済のものなどが多数見受けられましたので、財産管理の適正を期する要があると考えられるものでございます。  二十四号は、北九州財務局長崎財務部佐世保出張所で、彦島造船所に建物を売却後三年内に解体移築する条件で、建物の価格から解体費等四十六万金円を控除して、四十万余円で売却しておられますが、契約上の移築期間を過ぎましても解体移築しないで、買い受け人の同系会社使用させている状況でありましたので、契約を解除するなど適宜の処置をとる必要があると認められるものでございます。  二十五号は、用途を指定して売り渡した普通財産に関し処置当を得ないものでありまして、関東財務局立川出張所で、二十七年、基督同愛会に土地、建物等を売却し、土地のうち二百八十七坪につきましては、売り渡し後十年間は基督同愛会の用に供し、他に転売または転貸してはならない旨の条件をつけたのでありますが、三十二年三月、その用途指定を解除せられたものであります。ところが、指定解除前・買い受け人は、三十一年六月から他に常設映画館施設として使用させておるものでありますから、用途指定違反として売り渡し契約を解除するなど適宜の処置をとるのが必要であったと考えられるものでございます。  最後は、二六号から三二号の土地建物等の使用料の徴収処置当を得ないものであります。普通財産の使用料の徴収につきましては、年を追ってよくなっておりますが、まだ正規の貸付契約のないまま使用させ、その使用料相当額を徴収決定していないものが相当ありまして、会計実地検査の結果判明しましたもののうち、三十二年九月末現在まだ徴収決定をしないおもな事例といたしまして、二六号から三二号に七件、使用料相当額千三十六万円についてその概要を記述しております。  なお指摘しました事項については、おおむねその後善後措置を講じておられます。  以上で大蔵省関係説明を終ります。
  57. 高橋英吉

    高橋(英)委員長代理 ただいまの大蔵省所管決算及び国有財産関係二件につきまして、質疑がありますれば、これを許します。質疑の通告があります。山田長司君。
  58. 山田長司

    ○山田(長)委員 前に当委員会で問題になりました二、三の事案につきまして、その後どうなっているかを実は伺いたいと思うのです。  最初に伺いたいのは、大蔵省所管による、東京都に貸し付けていた公園の問題です。東京都千代田区霞ケ関三丁目所在の元東京都公園用地であった虎の門公園のことです。あの問題につきまして、当委員会で次のような決議をされたことがございます。   政府は、ニューエンパイア・モーター株式会社において使用許可期限経過後、なお、返還に応ぜず不当使用中の東京都千代田区霞ケ関三丁目所在国有地千百三十六坪(元東京都公園用地)中六百五十坪につき、同会社の施設を撤去せしめ原状に回復の上、再び公園として公共の用に供し得るよう、具体策を樹て速かにこれが実現を期すべきである。   右決議する。  こういうことを当委員会で決定をいたしまして、虎の門公園返還方の具体策を立ててもらいたいということを昭和二十八年七月八日に要求してあるわけですが、その後虎の門公園はどんなふうになっておるか、一応このことを伺いたいと思います。
  59. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 お答え申し上げます。御指摘通り、虎の門公園の目的外使用につきましては、第十六回国会におきまして、衆参両院におきましてほぼ同様の趣旨の決議が行われたのでございます。政府といたしましては、その趣旨にのっとりまして、昭和二十九年の四月にニェーエンパイア・モーター株式会社を被告とする建物除去土地明渡し請求の訴訟を東京地方裁判所に提起いたしますとともに、占有移転の禁止及び現状不変更の仮処分の申請をいたしました結果、仮処分は同年の四月七日に執行されております。この本訴訟の方の進行状況でございますが、昭和三十年の十二月二十日に第一回の口頭弁論がございまして、それ以来本年の二月二十一日までに二十二回にわたる口頭弁論が行われたのでございます。次回は四月の十一日に行う予定になっておりますので、この問題も近く結審になる見通しと考えております。
  60. 山田長司

    ○山田(長)委員 そうしますと、この問題については、なお続行中であるというので、結論が出ておらぬようでありますから、このことにつきましては、お伺いすることをこれでやめておきます。  法務省から見えているそうですから、ただいまの問題についての見解を訟務局長の濱本さんから伺いたいと思います。
  61. 濱本一夫

    ○濱本政府委員 ただいま管財局長から概要についてきわめて正確な御報告がありましたので、私の方といたしましても、それ以上のことを申し上げる段階にないのでありますが、私の方の見解としましては、最近出しました当方の事務書面が、当方といたしましては最終に近い事務書面と心得ておりますので、先方からまたそれに対して何らかの応答があれば、裁判は次回かその次くらいに結審するのではないかと考えております。起しましてから、二十九年から今年までもう数年要しておるのでありますから、従って、本件については近く第一審の判決が得られることと考えております。
  62. 山田長司

    ○山田(長)委員 この事件は、最近の交通量等から勘案しましても、やはりあそこの場所に、小公園ではあるけれども公園があることは、東京都民の慰安の場所として唯一の場所だと思うんです。こういう点で、やはりすみやかに国有地として原形に復せまするような御努力がされますことを私は要望いたしておきます。  次に、やはり公園の問題でございますが、今盛んに東京都の日比谷公園の市政会館裏のあき地が発掘されておるようであります。このことにつきましては、これは法的な見解も伺いたいし、それからどういう経緯で、あれは建設省などでお貸しになられておるのかわかりませんが、私の調べた範囲では、都市公園法によってこれを見ますときに、公園の敷地の中に「売店、駐車場、便所その他の便益施設で政令で定めるもの」、こういうことで、これらの公園内施設につきまして使用がなされることは法律で定められておるわけですが、常識的に勘案してみたときに、駐車場というのは公園のかたわらに、公園に散歩に行く都民がそれを利用するために車を駐車させるという程度のものと私は解釈しているのです。今のようにあそこへ、何か聞くところによると大きな自動車置場ができるというような話でありますが、これは法的にどういう根拠によるものか。それからさらに、これは建設省で都市計画の上からいっても、どういう形で進められておるものか、一応伺いたいと思うのです。法の解釈を一つ……。
  63. 國宗正義

    國宗説明員 ただいまの日比谷公園地下駐車場につきましては、まず地下駐車場事業都市計画を決定いたしまして、都市計画の仕事といたしましたのは昭和三十一年の四月十三日でございます。これは都市計画法に基く都市計画決定でございます。さらにそれを都市計画の施設といたしまして都市計画事業にいたしますために、昭和三十二年三月十二日に都市計画事業決定をいたしておるわけでございます。従いまして、駐車場の事業は都市計画事業として公共性を持つ事業としての決定をいたしておるわけでございます。さらに、その事業を公共団体みずから行うのではなくて、昭和三十二年六月二十日に日本道路公団へその当該都市計画事業を特許をいたしたわけでございます。従いまして、ただいまやっております地下駐車場の事業は日本道路公団が都市計画法に基く特許を得た特許事業として行なっているわけでございます。これをお尋ねの都市公園法の立場から申し上げますれば、都市公園法第六条に基く都市公園の占用の許可をいたしておるわけでございますが、この占用いたします物件の内容といたしましては、同じく都市公園法第七条に占用物件を列挙いたしておるわけでございます。その第七条の第三号に「通路、鉄道、軌道、公共駐車場その他これらに類する施設で地下に設けられるもの」、これにございますところの公共駐車場に該当いたしますものでございますから、面積約二千八百坪を、公園管理者でございます東京都におきましてこれを道路公団に許可いたしたわけでございます。
  64. 山田長司

    ○山田(長)委員 そうすると、ただいまの御説明によりますと、この都市公園法の二条によるのではなくて、六条と七条によるものだというふうな解釈でございますが、大蔵省はこれについてどういう見解で御許可なさいましたか。
  65. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 ただいま建設省の方から経過について御説明があったのでございますが、日本道路公団があの日比谷公園の地下に駐車場を設けるということにつきましては、すでに建設大臣から都市計画事業として特許をされておるということでございます。ところがこれにつきましては、御指摘のように法律的な問題でいろいろ困難な問題が包蔵されておるのでございます。     〔高橋(英)委員長代理退席、委員長着席〕 日比谷公園は、都市公園法の附則の第九項にございます地盤国有公園に関する経過措置といたしまして、この都市公園法が施行されますときにすでに都市公園としての形をなしておったもの、その公園を構成する国有の土地物件は、国有財産法の規定にかかわりませず、この法律によりまして当然その都市公園を管理すべき地方公共団体、つまり東京都に無償で貸し付けるものとする、これが附則第九項の規定でございまして、当然これは大蔵省といたしましては東京都に無償貸付をすることになっておるのでございます。ところが、今回のように公園の地下を使用するという場合に、建設省から御説明がありましたように、この都市公園法の第七条の三号の公共駐車場、これを公園管理者の占用許可によって設け得るという根拠規定があるのでございまして、私どもその点については異存がないわけですが、ただ占用許可をいたしまして、占用料を徴収することにつきましては、この占用許可をいたしました東京都がなすべきであるか、あるいは無償で日比谷公園の土地を東京都に貸しましたのは地表だけであって、地下は別に貸しておらないんだ、地下を貸す場合は別に大蔵省がその利用者に対して貸すのである、従って貸付料も大蔵省がとる、こう解すべきか。この点に関しまして法律上の見解が対立いたしまして、大蔵省の中におきましてもいろいろ検討いたしたのでございますが、ついに結論を得ませんので、この点につきましては法制局の公式の御意見を伺おう、こういうことになりまして、昨年公文書をもちまして法制局に御意見を伺っておるのでございます。法制局の方で御検討の結果近く回答がいただけるようになっている見込みでございますので、その回答をいただきましたところによりまして処理を進めたい、かように考えております。ただし、この工事にもうすでに着手しておりますが、この工事の点につきましては、いずれにいたしましても東京都が工事中は占用を許可なすべきものと考えまして、大蔵省といたしましてもこれに同意をいたしまして、昨年九月十六日に東京都からの占用許可が出ておるわけでございまして、これに基きまして工事が行われておるわけでございます。
  66. 山田長司

    ○山田(長)委員 法制局の見解の結論も出ていないし、それからさらに地下の問題については明確な結論が出ていないままに、そのままの姿のうちにおいて東京都の公園がむやみに発掘されるという問題については、私はこれはずいぶん大胆なことをやっていると思うのです。こういう点について法制局ではどういう見解を打っておるか、法制局の亀岡第一部長が見えておりますから、この点一つ見解を伺います。
  67. 亀岡康夫

    ○亀岡政府委員 お答え申し上げます。ただいま問題にされております日比谷公園の地下駐車場につきましては、当該事件として私の方は何ら承知いたしていない次第でございます。ただ先ほど大蔵省の管財局長から御説明がありました通り、この公園の地下使用という問題についていろいろ法律上の疑問の点があるので法制局の見解を聞かしてもらいたいという照会が昨年の七月十一日にございましたので、ただいまのところあらゆる角度から法律上の問題について検討中でございまして、近く大蔵省管財局長あてにその問題についての御返事を申し上げたい、こういう事情になっておる次第でございます。
  68. 山田長司

    ○山田(長)委員 法制局からも何らの回答が出ていない、法制局は承知しない、こういうのに、都民のオアシスともいわれる公園——あそこは勤労階級の人たちに昼休みのいこいの場所としてどのくらい使用されているかわからないと思うのですね。私は最近の交通量から勘案いたしまして、別に駐車場ができることがいいとか悪いとかいうのではないのです。役所の人たちの書類一本で数寄屋橋のそばの河川が、とにかく大蔵省でもこれの明確な答えが出ないうちに埋め立てられて、しかも高速道路という名目で道路計画がされている。昨年のあらしのときには、これはおそらく都市計画上、水利の問題が検討されていないのでそういう結果が生まれたと思いますが、内幸町周辺はまるで川を越して歩くような水浸しになった。今また大蔵省の明確な回答も出ないうちに日比谷公園のあの場所が東京都知事の名において許可されたからといって、やたらに発掘されて、しかも有料駐車場ができる。その金はどこへ所属するのかわからぬ。そんなことで私は大蔵当局が公園管理の衝に当っているとすれば大へんだと思うのです。一体、この問題についてもう少し慎重を期して処理さるべきだと思う。もうすでに工事にかかっているが、法律上ここに何らの明確な結論が出ずに公園の発掘がされているというようなことは、だれでも国有財産管理がこんな形で処理されていると聞いたら驚かざるを得ないと思うのですね。一体こんなことで、大蔵当局も、何らの法的な結論を出さずにこのままほうっておくのですか。これはどういう処置をされるつもりですか。明確なお答えを願いたいと思います。
  69. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 先ほども申しましたように、日比谷公園は都市公園法の附則第九項によりまして、東京都に無償貸付をするということで、東京都が管理するのでございます。ただし先ほど申し上げましたのは、地下の駐車場ができました場合にその使用料を大蔵省との間の賃借契約によってやるべきか、あるいはその公園を管理しております東京都が占用許可をすべきか、この点について意見が分れておるわけでございます。それは法制局の意見を待って最終的に処理いたしますが、工事の関係につきましては、道路公団の方といたしましても非常に建設を急がれております関係上、工事期間中は暫定的に、東京都が管理されます公園でございますから、東京都が占用許可を与えられまして、それに基いて工事が行われておるということでございまして、以上のようなことでございますので御了承を願いたいと思います。
  70. 田中彰治

    田中委員長 管財局長、話がちょっと横なんだが、決算委員会で調べた事項なんだが、これと同じやつがある。ニューエンパイアのあの土地だが、やっぱり東京都に今のような工合で利用さしておった公園なんだ。それをとうとう黙って建物を建てちゃって、自動車一台もらって、金二百万円もらって何かしちゃって、それをそのまま雑地か何かにして払い下げたそうですね。それをあなたの方で調べて出してもらいたい。きょう来ている篠川次長なんていう税金のとり方のうまい人もおるんだから、あれは一体どういう工合にされて、どういう工合に税金をとったのか、税金はそういうことを考えてやっておるはずだから、それをこっちへ報告してもらいたい。実は国税庁の方にも手を入れてみたいと思っておる。非常に粗雑なものがたくさん出ておりますね。あれだけの値打のあるものを安く使っておったのだから、そのときの税金はどうしたか。自動車を寄付したら、その寄付したのに対し、どんな税金をかけておるのか、それは東京都の個人がもらったのか、それの税金はどうやっておるのか。その土地は今雑地か何かにしたらしい。裁判しておるという話も聞いておりますが、それらに対する書類を出してもらいたい。
  71. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 今それは御質問ございまして、お答えいたしました。
  72. 田中彰治

    田中委員長 非常におかしい。みんなそうやって土地を払い下げて、みんなとってしまう。書類にして出してもらいたい。もう一ぺん調べ直す。
  73. 山田長司

    ○山田(長)委員 ただいまのお答えによりますと、法制局の法律的見解を待って話を進めるというようなことでございますが、もうすでに工事も相当進んでいます。そういうときに、これについて何らの法的根拠がなくて工事が進んでいるということについて、  一体これはいつから工事にかかり、さらにいつまでに工事が完了して、都民の公園地にすることができるのか、そういうことの明細な書類がやはり一応出ておるのではないかと思いますが、そういうことについてはどういうことになっておるのですか。何かこれについてもう少し明確なお答えができるようなら、この際しておいていただきたいと思います。
  74. 國宗正義

    國宗説明員 今お尋ねの点でございますが、法律の根拠は、先ほど申し上げましたように、公園利用者のための施設でございますならば、公園管理者みずから駐車場等を公園内に設けるのでございますが、これは必ずしも公園利用者の利用に供するための駐車場ではなくして、先ほども申し上げましたように、それ自体都市の交通緩和に重要な役割を果します公共性のある公共駐車場として、公園に特に設置の許可をいたしておりまするところの占用物件としての処分を公園管理者であります東京都が都市公園法に基いていたしたのでありまするが、先ほども大蔵省からもお話がございましたように、地下の占用の許可をだれがするかという点について、私どもも同様そういう質問を受けておるものでございますから、とりあえずは材料置場といたしまして、昭和三十三年の十月から三カ月ごとにそれを更新し、検討するという建前にいたしております。さらに工事用地といたしますれば、九月十六日からこれまた三カ月間という暫定的な措置——先ほどの法律上の問題、大蔵省の御要望も考えまして、三カ月ずつの更新でもって一時の使用という占用の形態をとっておるわけであります。  なおお尋ねの工事でございますが、都市計画事業としましては、正確な資料は持っておりませんが、事業決定といたしまして、着手後三年間に竣工するような計画の決定になっておるはずであります。
  75. 山田長司

    ○山田(長)委員 そうすると、占用料金を東京都のものにすべきか大蔵省のものにすべきかという問題については、まだ大蔵当局も何も考えてないということなんですか。
  76. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 先ほど申し上げましたように、法制局の公式な回答をいただきましたところによりまして最終的に調整をいたしたいと考えております。とりあえずは東京都の占用許可によりまして東京都が占用料を徴収いたしまして工事をする、こういうことであります。
  77. 山田長司

    ○山田(長)委員 東京都の一等の場所に、しかも都民の健康上から考えてみても唯一の慰安の場所である公園が、何年間かこれから使えなくなってしまうわけですけれども、そういう長い歳月の間つぶされてしまうような事態が法的に何らの見解もなくして、強引に都知事あるいは公団の名前でやって、それが聞くところによると会社ができるという。占用料をとる会社ができるのじゃないですか。これが専門の会社になる。こういうものができるに当って、法的に何らの見解がなく国有財産が取り去られるということについては、これは大蔵当局ももっと厳重な立場で監視をしていかなければ、国有地というものは私はどんどん少くなってしまうのではないかと思うのです。あのニューエンパイアのところなど、だれも理解できないような坪当り五円五十銭という金額なんです。こんな今もって理解のできない金額で、しかも契約期間は切れているのですから、おそらくどこへも金は納入してないと思うのです。それと同じようなことが今、日比谷公園に行われているわけなんですけれども、こういう問題については、もっと建設当局と大蔵省では緊密な連絡が私は必要だと思うのですが、そういうことについての連絡というものは、どんなふうな連絡が国有財産処理に当ってとられているのですか。
  78. 國宗正義

    國宗説明員 まず公共駐車場の内容でございますが、駐車場法にもございますように、これ自身都市の交通を緩和するために欠くべからざる措置とわれわれは考えておるわけでありますが、今回の場合は東京の都市計画の交通上の対策の一環として、この駐車場も必要な計画一つになっておるわけでございまして、なお公園の地下を占用いたしましても、工事終了後はもちろんこれを元通りに修復いたしまして、一般公園利用者の利便に供するようにしておるのでございます。  なお大蔵省との連絡でございますが、さきにお話のありましたような問題がございましたので、大蔵省とは十分連絡を申し上げた上で、さきに申しましたように、そのような工事をいたしますのも、まず工事の必要上急がなければなりません関係上、とりあえずの暫定措置として三カ月更新、このようにいたしまして、東京都の条例できめております坪当り十円という額を暫定的には徴収いたしておりますが、将来本許可にいたします場合、徴収の主体がだれになるかという問題はございますが、金額は検討する予定にいたしております。
  79. 小川豊明

    小川(豊)委員 ちょっと関連して。今、山田委員質問に対する答弁で理解できない点があるのです。都市公園法に基いて、日比谷公園のあそこは東京都が公園の利用者のために使うということで、そこに駐車場を作る。その工事は道路公団が引き受けるのですか、それとも東京都がさらに道路公団に管理権を渡すのですか。そして今、山田さんから聞くと、それがまた民間の管理に移る、こういううわさがあるというのですが、そういうふうに一つ使用の目的というものがだんだんに変っていってしまっていくのです。どういうことなんです。都市公園法に基いて、東京都がそれを管理していく、その原則でいえばそれは変えられないのです。道路公団に移る場合には変ってしまうのではないですか。さらにまた第三者に移る場合にはどうするのですか。非常にそこは不明朗のような気がします。説明して下さい。
  80. 國宗正義

    國宗説明員 先ほども申し上げましたように、この公共駐車場の施設をやりますのは都市計画の事業でございますが、道路公団に特許をいたしておるわけでございます。従いまして、東京が管理をするのではなくて、建設、管理とも道路公団が行う、こういう建前にいたしております。なおこの管理は駐車場法という法律に基いて、公共の利便に供するように管理しなくてはならないようになっております。もっともこれにつきましては、料金を徴収することができる規定もございます。なお、今のはおうわさかと思いますが、私どもの方の聞いておりますところによりましても、道路公団が都市計画法に基く特許主体でございますから、事業の建設、管理等も行うのが建前でございますが、建設後の管理については、別の会社がそれを行いたいという申し出はございますが、ただいまのところは決定いたしておるもつのではございません。
  81. 山田長司

    ○山田(長)委員 担当の衝に当る者としては少しこれでは不勉強だと思う。もうすでに公団のあとは、これは利益があるということから会社の設立が進められておる。そういう事実があるわけです。そういう事実も何も全然知らずに、いかにも道路公団が政府機関の一翼をになって、交通緩和をするために携わっておられるかのごとくに言われるけれども、実際はもう会社ができておるという話だ。ですから、特許を持っておるから、これを公団に許したというけれども、一応公団なりあるいはその中に介在する人間、相当多額な、これが許可をもらったことによる運動がなされて、この会社に移譲するという、そういう事実がわかっていないのですか。もしわかっていないとすれば、あなたは少し不勉強ですよ。それからわかっておるとするならば、なぜここで明確に言わないのです。どうです。
  82. 國宗正義

    國宗説明員 先ほどもちょっと申しましたように、未決定ではございますが、昭和三十二年五月に道路公団より部市計画事業を特許を沿えまして申請がございました。その際に道路公団と将来設立する予定の東京駐車場会社という名前の会社を設立するつもりの競 願の申請があったわけでございます。さらに道路公団からの御意見もあり、建設、管理と両方が相待って公共駐車場ができますことは当然でございますが、建設は道路公団で行うが、管理の問題につきましては道路公団としましては、たとえばフェリー・ボートというのは購入し建設いたしますが、そういう渡し船は別会社に経営だけを委託するという前例等もございまして、この場合もそういうようにしたいという申し出は聞き及んでおりますが、いまだそういうようにするというふうな処分なり決定をいたしておらないわけであります。
  83. 小川豊明

    小川(豊)委員 もう一点お聞きしますが、これは大蔵省の管理の場所だそうですね。それを、東京都には公園用地として管理を移しておる。そうすると、東京都は公園用地として大蔵省からこの管理権の移譲を受けた。それを今度東京都は、さっきの説明でいくと、公園利用者のために駐車場は必要だからということであるにもかかわらず、その後今度は公共駐車場として必要だからというので、その施工を道路公団に委託したわけになるのですか。そして今聞くと、さらにそれが民間に移譲されていくとすると、公園の用地が公共駐車場というような名前になってきて、その次には営利を目的としておる民間会社管理に移っていく。こういうふうに、非常に巧妙に一つの段階を作りつつ、最後は民間会社の所有に帰す。こういうふうに解釈されるのですが、そういうことはあるのかないのか、ここを一つはっきりして下さい。
  84. 國宗正義

    國宗説明員 先ほども日付をもって申しましたように、これは都市計画事業として決定しておりまして、さらに駐車場を作ること自体が都市計画の事業、このように処分をきめておるわけであります。さらにそのような事業は駐車場法によりまして、道路でないところでありますので路外駐車場としてその駐車場法の規定の適用を受けるわけであります。たとえばそれの管理あるいは料金徴収等……。さらにその駐車場自身は都市の交通緩和のために非常に公益性のあるものである、あたかも有料道路に次ぐくらいの公益性のあるものである、このように考えておるわけでございまして、必ずしも料金をとるがゆえに営利を目的とするものであるとも考えておらないわけでございます。その事業に都市計画事業の特許を与えましたのはあくまで道路公団でありまして、建設し所有し管理することまでは、原則として今の建前はもちろん道路公団でございます。その後、所有する施設を委託するという申し出があるという状況でございまして、その申し出に応じてその会社に委託するとか譲渡するなんということは全然考えていないわけでございます。将来、これは想像のことをあまり申し上げましてもあれでありまして、いまだ竣工していないわけでございますが、その申し出に応じて、たとい何らかの答えをするとしても、その持っている施設の経営だけを委託することになろうかと想像されるわけでございます。
  85. 小川豊明

    小川(豊)委員 今、説明をお伺いいたしましたが、そうすると、大蔵省が東京都にこの管理を移したということは、今建設省の方の説明のようなことで、そういうふうにだんだん移っていくということをあなたの方は了解して東京都にそれを渡したのか、さらに法律上、規則上の根拠というものは、どういう点が適用されてそういうように移っていくのですか。
  86. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 先ほどからたびたびお答えいたしておりますように、日比谷公園の土地は都市公園法の附則の第九項によりまして、大蔵省は法律上いやおうなしにこれを東京都に無償貸付をする、所有権は国にありますけれども、国有の土地を東京都に無償貸付をする、こういうことになっているわけであります。ところが、その貸付をいたしました範囲について問題があるわけでございまして、昔でございますれば地下にああいった駐車場を作るというようなことは考えられなかったのでございますが、だんだん世の中が進歩し、技術も進歩いたしまして、地下を独立の目的に使用する、従って非常な経済的な地下の利用価値というものが出てくるわけであります。そういった新しい事態に対処いたしまして複雑な法律関係が出てくるということを申し上げているわけであります。公園の土地を東京都に貸したのは地表だけを貸したのか、地下も貸したのか、その貸した範囲が地下のどこまで及んでいるのか、この点が問題でございます。一つの意見としましては、大蔵省が東京都に貸したのは地表だけであって、そして地下は道路公団なら道路公団に貸す、こういう解釈をとるべきか、あるいは東京都が借りたものを又貸しする、こういうふうに解釈すべきか、その点についての意見がいろいろある、こういうことでありまして、いずれにしましても土地は国有財産としてすでに東京都に無償で貸付をいたしている、こういうことであります。
  87. 小川豊明

    小川(豊)委員 そこで、あなた方大蔵省は、東京都に無償で貸し付けたその公園の用地が他の目的に使われることを認めているのか認めていないのか、それから又貸しすることもあなたの方は認めているのか認めていないのか、その点はどうです。
  88. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 お答え申し上げます。都市公園法の七条に一号から七号まで列挙してある施設は、これは厳密には公園施設とは言えませんが、当然こういう施設を設ける必要が起ることが予想されます関係からこの規定があると思うのでございますが、その第三号に「公共駐車場その他これらに類する施設で地下に設けられるもの」というはっきりした明文がございますので、公園管理者はこのような施設を作ることについて占用許可ができる、というふうに大蔵省といたしましても解釈いたしております。  それから、又貸しということですが、それは又貸しということではございませんで、(「実際上は又貸しですよ」と呼ぶ者あり)それは当然この条文によってできるものと解釈しております。
  89. 小川豊明

    小川(豊)委員 そうすると、その契約といいますか、無償で貸し付けるときには契約ができますね。その契約には又貸ししてもよろしいということをうたっているわけですね。
  90. 國宗正義

    國宗説明員 今、無償貸付で貸すとかいう話になってございますが、日比谷公園は、御承知のように半世紀前の明治三十六年旧練兵場を廃止して以来ずっと公園になっているわけでございまして、昭和三十一年に大蔵省の所管しております普通財産を新たに譲り受けたものではなくて、この附則にもありますように、すでにある公園でございまして、地盤が国有であったというものを契約を待たずして——所管がえの手続はいたしますが、これは当然貸付されることになっております。  なお、又貸しその他の約款はございませんが、当然この都市公園であるがゆえに無償に貸し付けされたものと解釈されますので、公園法に従って、貸し付けではなくて占用の許可というものは法律の許す範囲内においてのみできるものと考えております。
  91. 山田長司

    ○山田(長)委員 こういう場合にはどうなりますか。公園の都市美をそこねない範囲において、もし都民の便益をはかるために公園の一角に大きなアパートを作ったとしたらどうなりますか。
  92. 國宗正義

    國宗説明員 アパートの設置はこの法律で禁止されておりまして、先ほども申し上げますように、公園利用者の便に供する施設か、そうでなければ非常に公共性があり全くやむを得ないというものだけを法律にあげておるのでございまして、たとえば電柱とか、電線とか、変圧塔、水道管、下水道管、道路、通路、鉄道、軌道、公共駐車場、郵便の差し出し箱、そういうものでございまして、アパートはこの法律で許されないことになっております。
  93. 山田長司

    ○山田(長)委員 それはおかしいじゃないですか。アパートが公園の利用者のためであって、公園の利用者のためにその中に食堂を設け、喫茶室を設け、あるいは疲れた人を宿泊させて帰してやる。必ずしも定住しなかったという場合も、法の網をくぐることはできないことはないですよ。あなた方はだめだという見解をとるかもしれませんけれども、この公園の規則に従ってアパートに類する休憩室、そういうものであれば——もし自動車の駐車場だけが原形に復する形で公園施設であるとするならば、現在日比谷公園の中にも食堂あるいは喫茶室のようなものはありますけれども、大がかりに、都市の美観をそこねない範囲の形においてこれを申請してきたというような場合に、現在法的根拠が何もないのですから、利権の争奪のえさになる可能性が多分にあることだと思うのです。そういう点で、私は今度の事件はやはり法制局の法的見解も急いで出さなければいけないということと同時に、これから先のことでありますけれども、とにかく最近の交通量なんかから勘案いたしてみて、どんどん急いで——都市計画の場合も五年先、十年先の計画を立てなければならない場合がたくさんあると思うのです。そういうことは世の中の先を見て法律をこしらえて、ないものはあとで作ればいいのだということでは怠慢だと思うのです。どうかそういう点で、法制局におきましても、この事件に限らず、一つ急いで法律的な見解をお作りになられることを要望します。
  94. 國宗正義

    國宗説明員 法制局の回答は、大蔵省に対して出されるのをわれわれも同様待っておるわけでございますが、先ほどのお話の休憩所でございますが、便益施設といたしましては、売店その他政令で定めるもの等を列挙いたしておりまして、アパートはできないようになっております。たとい食堂におきましても、軽飲食店は認められますが、「料理店、カフエー、バー、キャバレー、旅館その他これに類するもの以外の飲食店をいう。」このように政令で定めてございます。休憩所につきましても、たとえば簡易宿泊施設というものは認められるのでございますが、簡素なもの、バンガロー、そういうものでなくちゃならないことは、これまた政令で規定いたしておりまして、公園の便益施設は法律及び政令で、公園の本来の用に供せられる簡素なもの、このようになっております。なお現状そのようなものでない場合がある場合におきましては、五カ年の期限を限りまして撤去する作業を今進めておるところであります。
  95. 田中彰治

    田中委員長 國宗総務課長にちょっとお聞きしておきますが、こういう結果になるのではないか。たとえば駐車場を作るとか、そういういろいろな休憩所を作るとか、そういうものを無償で借りた都吏員というのですか、都の職員が経営する分にはいいが、これを民間会社へ貸したり何かすればやはりそこに権利がつくから、登記面上は都のものであっても、借りて入って職業としてしまっていれば、やはり小屋の一つも建てたり家の一つでも建てて、そういうときに住まいにするとか、何にするとか、都職員がやらぬで、民間会社に経営を委託させた場合は事実上貸したことになってしまうのじゃないか。こういう場合もやはり考えないと、法律上は人の土地になっているけれども——私らも小さな家屋敷を持っている者だけれども、貸してしまうと、向うの人が家を建てて、それだけ貸した以上はいろいろなものをやっても仕方がない、これは自由になりはいたしませんね。そういう問題についてどういう考えを持っていらっしゃるのですか。
  96. 國宗正義

    國宗説明員 まあ貸す場合の話でございますが、公園につきましてはその土地自身を貸すということではなくて、占有の許可ということでありますので、条件も付しております。その条件に従ってそごのないようにいたすわけでございます。さらに公園の施設自身を公園管理者が作りまして、その経営を委託する場合も、委託条件において公園法の趣旨に反しないように委託契約して処理していきたいと思っております。  なお、この都市公園法は三十一年に成立、施行でございますが、それ以前に、こうしたことに合わない事態がないとは申し上げられないのでございますが、そのようなものにつきましては、御指摘のような困難なものはあるわけでございますけれども、逐次解決していきたい、こういうふうに考えております。
  97. 田中彰治

    田中委員長 ちょっとそこで関連してくるんだが、あなたは御存じか御存じないか知らないけれども、さっき言ったんだが、あのニューエンパイアというのは、公園であって、バラックだけ作ることを東京都が許可したのですね。そこへああいうものを建てちゃった。あなたの方は、今おっしゃったような規則とか、いろいろなものがあるはずなんです。ところが依然として彼は、決算委員会が調べてからも、まだ建物をふやしたり、ああやって経営してやっていけるでしょう。すでにもう七、八年ですよ。貸せばそうなっちゃうんだね。なるほど法律の条文はあなたの言う通りなんだけれども、こういうような場合も何か莫大な補償金を取るとか、あるいはいろいろな裁判をした場合に何かするとか、その補償金のうちから経費を引くようにするとかいうことをしないでやられると、あのニューエンパイアみたいなことになりますよ。あれなんかそうでしょう。許可しておらぬのがあんな大きな家を建てちゃって、普通なら、われわれでも家を許可を受けないで建てたらみんなこわされる。あれは、こわしも何もしやせぬ。鉄筋ですよ、あれは。それで取られちゃったでしょう。今度はあなたの方で仕方がないものだから、大蔵省へ頼んで、あれを雑地にしてもらって、あそこへ払い下げて国民をごまかそうというようなことまで今やっているらしいんだが、一方は裁判なんか、こんなものは形式的なものだ。あのときここへ来て言いわけしたのは、法務大臣が、あれしているから三カ月たったら解決つきますなんて言ったが、あれから七年もたっている。そういうことがあるのですから、やはりそういうものに対するあなた方の考え方でも変えられないと、実際上においては取られちゃうんだから、全部売り渡した方がいいです。公園なら公園のものはお前に売ってやる、こうすれば金を取れるけれども、国の設備で、国の金でいろいろして、使えるようになり、利益が上るようになると民間に貸して、もうけるのは民間会社だけだ。権利はみんな民間会社が持っていってしまう。帳面づらだけは国のものなんだというやり方なんだ。こういうものだから、よほどお考えになった方法をとられないと……。私どもも調べます。調べますが、そう簡単にいきません。たとえば高速道路でもそうでしょう。あんな坪七十万も八十万もするところを、みんなああいう工合にしてしまって、しかも都が一億の補助金をくれて埋めさしちゃって、埋めたものを高速道路の方が取っている。それで何十億というような金をまき上げて、ここを売ったり貸したりしているでしょう。今度はまた東京都が貸してあるというけれども、鉄筋で建てた建物を売ったんでしょう。だから、結局地上権を売ったことになるんです。その土地はただだということになる。そこら辺、知らないものだからうまいことを言っているけれども、そういうものもあなた方のところで、私の方もこれから調べますけれども、あなたの方も考えておいて下さい。
  98. 山田長司

    ○山田(長)委員 そこで、これは日比谷公園一カ所だけの問題ではなく、たくさんこういう問題があるわけですが、日比谷公園だけに限って一応ここで資料の要求をしておきたいと思います。それは日比谷公園に食堂あり、花屋さんあり、喫茶店あり、公園の中にいろいろだくさんの売店がございます。この売店の家賃はだれが取っておるのか。それから私の聞いておる範囲だけで何百万という金をかけてあそこへ自分で家を建てた人があるという。これはだれが建てたのか。そういうことを全部つぶさに、権利金をどういうふうに出したか、家賃はどこに納めているか、いつからいつまで家賃がどんな形で上ってきているか、そういうことを詳細に資料提出をしていただきたいと思います。委員長において一つお取り計らいを願います。
  99. 田中彰治

    田中委員長 それから、それを申し込んだ会社だね。でき上ったら営業を委託さしてくれということを申し込んだ会社の名前、それを調べておいて下さい。  それでは森本君、要求の説明員が出席いたしましたので、保留の法務省に対する質問を続けて下さい。
  100. 森本靖

    森本委員 それではもう一回初めから申し上げます。これは内閣委員会において若干取り上げられた問題でありますが、性格上決算委員会で究明してもらいたい、こういうことで決算委員会でこの問題を一応最後まで納得のいくような説明を政府当局から受けたい、こう思うわけです。最初に私が申し上げましたように、佐世保の水交社並びに海仁会という建物を八千八百万円で昭和二十七年に佐世保土地建物株式会社に払い下げをした。それから以降ずっとこれを政府が、今度は、払い下げをしておいて借り上げてきた。借り上げ料というものを二十七年四月以降から三十一年の間に一億八千五百二十八万円というものをすでに払っておる。それで、今度これを三十二年度で一億七千万円で買い上げたということでありまして、まことにこれは、いろいろ説明をいたしておりますけれども、常識で考えまして、八千八百万円で政府が払い下げる、今度は家賃として一億八千五百二十八万円というものを政府が支払った、さらにその上に今度は一億七千万円で政府が買い上げた、これはまことにおかしげな内容でありまするが、調達庁の方からは一応柏原説明員がこの間、内閣委員会説明をいたしておりますので、その速記を読んでみますと大体わかるわけであります。ただ柏原説明員とそれから丸山政府委員が言っておりまするのは、この払い下げをしたあとの問題については調達庁が一応説明ができるけれども、払い下げをした当時は、法務府の解散団体財産売却理事会という機関において、GHQの命令においてこれを売却したから、その当時のいきさつについては法務省でなければわからぬ、こういうことになっておるわけでありますが、この昭和二十七年の三月に売却をした当時の状況というものをちょっと御説明を願いたいと思います。
  101. 住吉君彦

    ○住吉説明員 御説明申し上げます。御説明に入ります前にあらかじめお断わり申し上げておきたいのでございますが、実は大へん失礼でございますけれども、当時の責任者がただいま出張しております。それから記録の取り寄せをいたしましたが、何分古い記録が山積をしておりまして若干時間がかかりますので、十分な御説明ができないかとも思いますけれども、あらかじめ御了承をいただきたいと思います。  おっしゃる通りに、水交社、海仁会の佐世保市所在の財産をおっしゃる価格で売却いたしました。そのことは間違いございませんが、その売却の手続について申し上げますと、これは当時ポツダム政令をもちまして売却手続のこまかい規定がございます。大体現在の国有財産売却その他と同じような方式でやっておりまして、まず私の方で公正な評価を評価委員に評価をしていただきます。それから公開競争入札をいたしますためにあらかじめ新聞その他に公告をいたします。そして期日をきめまして入札し、最高入札者に落札いたしますが、本件のただいま御質問案件につきましても、もちろんこの手続に準拠いたしまして売却を進めたわけでございます。当時の経済事情と申しますか、御存じの通り、佐世保その他戦災地区でございまして、入札者がおっしゃる土地建物会社と、それから佐世保市との二人でございまして、おっしゃる土地会社の方が最高入札をいたしましたので、それに対して落札を決定いたしたわけでございます。現在、当時の評価額が幾らであったか、ちょっとその記録がございませんので、こまかいお話は申し上げかねますが、当時駐留軍がその建物使用いたしておりましたので、あるいはその使用しているという事実を評価の要素にいたしまして、建物自体の客観的な価格よりも若干下回った評価をいたしたかと思いますが、私の方はそのように法令に準拠いたしまして、そして売却をいたしました。後に、先ほどお話のありましたように、調達庁がこれに対して借料を払っておりますが、その地代、家賃というものは、おそらくは佐世保市のきめました当該建物の固定資産評価額を基準にして算出されておるものではないかと思います。そういう関係で、私の方の売却の手続と、その後における駐留軍をして使用せしめるために調達庁の方で所有者に支払われる家賃というものとの基準が違っていたのじゃないか、こういうふうに考えます。
  102. 森本靖

    森本委員 これは基準が違っておっても、たとえば八千八百万円で昭和二十七年にこの二つの建物を払い下げておいて、それで二十七年度の家賃としてこの土地建物株式会社に政府が支払った金が二千三百三十四万二千円、これは常識で考えても非常におかしげなやり方であるわけであります。もっとも法務省の方は、払い下げた以上は私の方は関係はないので、あとは調達庁でこういう話になろうと思います。しかし二十七年に二千三百三十四万二千円というものを払って、二十八年には三千三百十八万五千円という家賃になっている。もはや二カ年の家賃で売却してもらった金を取り戻す。あと二十九年、三十年、三十一年と家賃をもらって、家賃が全部で一億八千万円、それで買った金が八千万円ですから、すでに一億円のもうけ、それで今度は三十二年に一億七千万円で逆に政府が買い上げたわけでありますから、わずか五、六年間に約二億何千万円というものをぬれ手でアワでもうかる商売であって、これだけいい商売はまことにないわけであります。そこで私がお尋ねをしたいのは、ところがこれは建物だけの話でありまして、この土地は大蔵省のものになっておるわけであります。これはまあ、法務省に聞いてもわからぬだろうと思いますが、八千八百万円で払い下げをした。二十七年にはすでに二千三百三十四万二千円という家賃をもらっておる。それではこの土地建物株式会社が大蔵省に対して土地の借料というものはどれだけ支払っておるのか、これをちょっとお知らせ願いたいと思います。これはあまり長い年数をいっておったらまごつくと思いますので、とにかく二十七年に八千八百万円でこれを土地建物株式会社が買った。それで二十七年に二千三百三十四万二千円で、政府がこれを借り上げ料として払っておる。その場合に、今度はこの会社が逆に大蔵省に対して土地の借料としては何ぼ払っておるか。
  103. 市瀬泰蔵

    ○市瀬説明員 正確な資料をここに持っておりませんけれども、私の記憶しておる限りでは、大蔵省はその民有となりました建物に対する土地使用料を取っておりません。
  104. 森本靖

    森本委員 それはどういうわけですか。
  105. 市瀬泰蔵

    ○市瀬説明員 法務省建物を民間に払い下げましたそのときから申し上げますと、当時から、今でもそうでございますが、米軍が使用しておりますので、日本国はこの土地建物を米軍に提供しているわけでございます。この場合に、土地は大蔵省所管の国有地でございますから、大蔵省が提供する建物は調達庁が借り上げるなり、あるいは買収して——本件は当初は借り上げでございます。借り上げまして調達庁が米軍に提供するという形で、建物対土地という関係ではなくて、建物を米軍に提供する担当の調達庁、それから土地を提供する大蔵省という両方に分析されまして現在も行われているわけでございます。
  106. 森本靖

    森本委員 これは相手が駐留軍であるからということで、この時分はいいかげんなことがあったのだろうと思いますが、それでは初めにさかのぼって、その八千八百万円で払い下げを受けたときには、この入札の希望は佐世保市とこの佐世保土地建物株式会社という二つのものだけだったわけですか。
  107. 住吉君彦

    ○住吉説明員 さようであります。
  108. 森本靖

    森本委員 その場合の佐世保市の入札の価格は幾らですか。
  109. 住吉君彦

    ○住吉説明員 三千六百五十万円でございます。
  110. 森本靖

    森本委員 これはえらい値が違うわけです。土地建物株式会社が落札をしたのは八千八百万円で、片方は三千六百五十万円というのは、一つじゃないのですか、水交社かどっちか……。
  111. 住吉君彦

    ○住吉説明員 二つでございますが、建物は先ほども申し上げましたように、当初駐留軍が使用しておりましたので、たとえば一般の民家でも、借家人がございます場合には相当買主としましてそれを考えますから、そういう結果であったろうと思います。佐世保市は、将来駐留軍が出ていけば市役所の庁舎に使用するというおつもりであったのではないかと思いますが、これは想像でございます。
  112. 森本靖

    森本委員 けれどもあとでこれだけの借料を支払うものだったら、市がこれを買っておいたって全然損をしない。が、佐世保市ともあろうものが、特に駐留軍関係については非常に詳しい市が、こういうあとのやりくりというものを知らぬはずはないのですよ。それが三千六百五十万円と八千八百万と入札価格が違うということについては、それを払い下げするところの法務省としては、おかしいというふうにはお感じにならなかったですか。
  113. 住吉君彦

    ○住吉説明員 先ほども申しましたように、当時の価格で相当の価格になりましたので、おそらく、記録が今ちょっと見当りませんので確答いたしかねますが、数回これは入札はいたしております。ただ現に使用されておる建物でございますので、その辺の見込みはやはり買主の主観に相当左右されるのではないかと思います。と申しますのは、駐留軍の使用接収解除がいつになるのかという見通しの問題でございます。
  114. 森本靖

    森本委員 あなたも人を取り調べる方でありますから、内容についてはもっとよく取り調べてやってもらいたかったと思うのですが、これは非常にその土地建物株式会社とその払い下げとの間において、先に何か打ち合せがあって払い下げをやったというふうな印象を持たれてもしかたのない払い下げ方式になっておるわけです、現実の問題として。これはしかも、接収が解除せられるという今のような見通しというものを、佐世保市当局が見込みを立てないはずはないはずです。 それからもう一つお聞きしますが、そのときに払い下げを受けた佐世保土地建物株式会社というこの会社は、営業成績その他については詳しく法務省の方としては調べておりますか。
  115. 住吉君彦

    ○住吉説明員 それは調べておると思います。と申し上げますのは、ちょっと記録を探しておりますから、大へんどうも無責任でございますけれども……。
  116. 森本靖

    森本委員 それは検事さんが調べてやったんだから、大体私は間違いないと思うけれども、御記憶がないし、その資料がないということになれば、今ここで質問したところでどうにもならぬですが、しかしこれは常識で考えて、この佐世保土地建物株式会社というものが急造されたということが大体私は想像がつくわけです、私の手元に来ておる資料によりますと。しかもこの八千八百万円という金が、私の調べた範囲においては三千万円しか払ってない。あとはこの借料をあてにして、借料で払ってしまった。借料で払ってしまったから、結局八千八百万円で払い下げを受けて、全部で三億五千万円ですから、約二億五千万円程度がぬれ手でアワでこの土地建物株式会社というものがもうかった。こういう結論になったわけです。あなたの方では、もう二十七年の古いことでありますから、前の資料がないということならば、これは質問にならぬわけでありますが、会計検査院はこういうようなことをどうお考えですか。今私が説明した内容を聞いておって……。
  117. 保岡豊

    保岡会計検査院説明員 非常に今となっては、ばかばかしいことでありまして、最近の事態につきましては私ども十分検討いたしております。たとえばもう少し早く買い上げられなかったか。長く借料を払った後において買い上げておる。もっと早く買い上げるならば、見通しを早くつけた方がいいのじゃないかというようなことも検討いたしました。しかしこれは見通しの問題でございまして、初めは当局の説明によりますと、もっと早く解除されるのだという見通しであった、こう申しておるのでございます。その見通しが悪かったということは、政府部内においてあると思いますけれども、そのことについて遺憾でありましたけれども、今となっては結局そういうふうになったということで、会計検査院といたしましても見通しがその通りならなかったということについて、はなはだ遺憾に存じております。
  118. 田中彰治

    田中委員長 篠川さん、あなたはこの時分に福岡の国税庁の局長でしょう、二十七年に……。
  119. 篠川正次

    篠川政府委員 二十七年はまだです。二十七年の秋からです。
  120. 田中彰治

    田中委員長 そうですが。この税金の問題を一つ出して下さい。これだけもうけているんだから、さぞかし税金をたくさん取ってあるだろうから……。
  121. 淡谷悠藏

    淡谷委員 関連して。この問題の土地の件ですが、さっき、佐世保土地建物株式会社建物が移転されましてからも、地料は取ってないという話でございました。そう理解してよろしいんですか。その通りですか。
  122. 市瀬泰蔵

    ○市瀬説明員 先ほどお答えいたしましたように、手元に正確な資料を持っておりませんけれども、一般に考えられますのは、こういう場合に土地の使用料をとらない。米軍に提供しておりまして、建物が民有であって、土地が国有である場合に、建物だけ調達庁が借り上げいたしまして提供する。この場合に一般的に考えられますのは、その建物が、要するに借地権が伴っておらないと申しますか、建物の複成価格だけの建物と考えます。そうしまして、土地が、ある意味でさら地的な土地である、こう考えまして、建物を調達庁が借り上げる。そして国有の土地と合せて米軍に提供する。こういう筋が考えられるのでございます。なお本件につきましては、念のために、使用料を徴収しておったかどうか、民有であった間のことを調べてみることといたします。
  123. 淡谷悠藏

    淡谷委員 この問題だけですと、あと資料が出てきてからでよろしいのですが、最近官庁間に国有財産所管がえの問題がだいぶございまして、特に米軍がおった間の国有財産所管がえになった場合に、非常に不明朗な問題が大へん起っておる。あとで私、大蔵省のときにあらためてこれは質問いたします。そこで原則として、法務省建物を持っていた間は法務省と大蔵省との間の関係だと思いますが、法務省建物を入札に付して、いわば民間会社がこの建物を取得した場合に、当然土地の使用料というものは建物あっての使用料ですから、これを取るべきでないというあなたの方の基本的な考え方はどうなんです。これは米軍の手を離れて一土地会社の手に建物は移ってしまった。米軍が使おうというのは土地でなく、建物なんです。その場合に、国としては地代を取るべきでないという原則が立つということは、どうしても納得がいかないのです。
  124. 市瀬泰蔵

    ○市瀬説明員 考え方によりましては、淡谷先生の御質問通り、土地の使用料を建物所有者から取ります方法も考えられますが、この場合は、今度は調達庁が借り上げます建物使用料は高くなって参るのでございます。その土地の使用料分だけが加わるわけでございます。そこで、現在米軍に提供しております施設におきまして、国有地上に民有建物がある場合は、国有地の使用料は民有家主から取らない。そのかわり、調達庁の建物の借り上げ料がそれだけ安くなるということが考えられますので、土地は直接大蔵省から調達庁を通じて提供し、借地権のない建物、いわば建物の複成価格を基準としました建物使用料的なものを調達庁が借り上げて提供する、こういう仕組みになっております。
  125. 淡谷悠藏

    淡谷委員 この建物は、佐世保土地建物株式会社がホテルにするつもりで買い取ったというのが答弁に出てきております。ところが、米軍が実際に使わないから、これをまたもう一ぺん国が買い戻してくれという要求が出まして、また国が買い戻しているのです。そうしますと、これは調達庁が米軍にその施設を提供するつもりで買ったのはよろしいけれども、一土地建物会社がホテルを経営をするつもりで法務省から払い下げを受けたものを、国有の土地にほとんど金もとらないでおくということは、どうしても筋が合わないと思いますが、どうお考えになっておりますか。佐世保土地建物株式会社建物の払い下げを受けたときには、やはり払い下げを受けたけれども、永久に米軍の方に提供するつもりであったのか、あるいは自分個人で営業をするつもりであったのか。さっきの公園とも関連がございますが、非常に不明朗なことになっておりますが、これはどう考えます。
  126. 市瀬泰蔵

    ○市瀬説明員 もし佐世保のある会社建物だけ買いまして、その後間もなく米軍から返還されたといたしますれば、まことに淡谷先生の御質問通り、その会社は何らか自分の用途に使うことでございましょうので、そのときからは国有地の土地使用料は、適正な評価をいたしまして、いただく予定でございます。その方針にもなっておりますが、本件の場合は、法務省建物だけを売り払いまして、そして四、五年たちまして、その後また調達庁において買い上げまして、そのときにまでずっと米軍に提供しておりましたので、国は建物所有者から土地使用料を取る必要がない、こう考えたのでございます。しかしその間に国としては損失はない、と申しますのは、調達庁の借り上げ料がそれだけ安くなっておる、こう考えておるのでございます。
  127. 森本靖

    森本委員 これは後日、もっとあなたの方もきちんと答弁ができるようになってから、私の方もこれは詳細に質問をして、やはりこういう問題は何らかの結論を出しておかないと、いいかげんに済ますということではいけないと思いますので、なおあなたの方では十分、これは調達庁、法務省、大蔵省、三つ関係がありますから、三つでよく相談して資料を提供願いたい。先ほど佐世保市と土地建物というふうに、落札のときには二つだけだと言われましたけれども、私が調べたところによると四つになっております。当時は山水楼、カズバ、佐世保市、それから土地建物、この四つがやったことになっております。そこで資料として要求いたしますのは、払い下げ当時までのこの建物の状況、これは所有がどうなって、どういうふうに使われておったか。それから払い下げ当時のこの建物使用状況。それからこの坪数、建物の図面、そういうものを一つ詳細にお願いしたい。それからもう一つはこの土地建物株式会社の営業成績、資本、その人的構成、払い下げ当時の入札した者の氏名、評価額についての算定の基準、あなたの方の積算の根拠。それからその後家賃も出しておるわけでありますが、この家賃の積算の根拠。それから今度買い上げの価格の積算の根拠、評価額。それからおそらくこれの不動産取得税というものがかかっておると思いますが、その税金。そういう詳細な資料をお願いしたい。その資料によって再度質問することにして、きょうは質問はこの程度にしておきます。
  128. 淡谷悠藏

    淡谷委員 ちょっとこの際資料をお願いしたいのです。これは大蔵省に関する問題ですが、石川県の小松の飛行場を近い期間に防衛庁に所管がえするというようなうわさを聞いておりますが、そういう事実があるかないかが一点。もう一つは、運輸省と防衛庁との間には、すでに飛行場併用についての取りえきめがあるということも聞いておりまするが、この運輸省と防衛庁との間に飛行場併用についての取りきめがございましたならば、この資料を至急出していただきたい。  それから、防衛庁が防衛計画の上方らこの小松に基地建設をすることが非常に緊急性があるというのですが、その防衛計画をお取り寄せ願いたい。  なお、三月六日に北陸地方の審議会を催すということを聞いておりまするが、そういうことがございますかどうか。わかっている点だけでも、口頭でかまいませんから、今お答え願いたいと思います。
  129. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 資料の御要求でございますが、お答え申し上げたいと思います。小松の飛行場につきましては、昨年の八月二十六日に開催されました国有財産の北陸地方審議会に、この飛行場の処理を付議いたしました。それは、結局防衛庁と運輸省、つまり民間航空と両方で併用する、こういうことで諮問をいたしましたのでございますが、そのときは継続審議ということになって、一時保留されておるのでございます。本年に入りまして、その間、知事の選挙もございまして、知事選が終わったら、もう一度国有財産審議会を聞いて、早急に解決する、こういう方針でおったのでごでざいます。かたがた、防衛庁におかれましても、ここに航空団を置く予定をしておられるのでございますが、それの基地としての工事を進めますために、どうしても三月中に測量、その他必要な工事に着手する必要があるという防衛庁側の要望もございまして、北陸の財務局におきましては、来たる六日に、もう一度この国有財産審議会にこの件を諮りまして、答申を求める、こういう予定でいるようでございます。
  130. 淡谷悠藏

    淡谷委員 これは審議会の時日が三月の六日に迫っておりますので、この処置いかんによっては、ほんとうは防衛庁にだまされる危険性があるのです。最近、防衛庁は土地を取得しておきたいためにさまざまな虚偽の資料を出しまして、大蔵省をだましておるような例がたくさんありますよ。たとえば、民間と防衛庁の航空機とが併用するといっていますが、現に札幌の郊外にあります千歳の飛行場、ここでは民間と分離してくれという防衛庁自体からの熾烈な要求があるのです。大体防衛計画を見ましても、ジェット機が主です。ジェット機とプロペラ機とはとうてい設備において併用はできないということを、防衛庁自体が言っておるのです。そうだと思ったら、防衛庁の山田建設本部長に聞いてごらんなさい。しかも、現在日本で使っておりますジェット機というのは非常に危険であって、十間先に立っておる人間を吸い込むというのです。飛行場に石ころ一つあっても、非常に墜落の原因となることが多いので、飛ぶ前に、千歳の飛行場などでは航空自衛隊の諸君が一列横隊を作って、ニコヨンのくず拾いみたいに木のきれや石ころを拾い集めて、山に積み上げておる。それでも危なくてしようがないから、分離してくれといっているのです。それを地元を承諾させるために、民間飛行場と併用するがごときことをいって、国有財産をかすめ取ろうというのは、同じく国の防衛庁かもしれませんけれども、全く国民を愚弄するものです。こんなものにうまうまと乗っておるような大蔵省であるならば、これは貴重なる国民の財産をまかす値打がないと思う。しかも、地元の意向等があなた方の方に来ているというようなうわさも聞いておりまするが、地元の、実際飛行場のできます周辺の農民の声は、おそらく防衛庁でとっていないと思うのです。言っても聞きません。この基地ができることによって何らかの利益が得られそうに迷信をしております小松市民の連中が、市長選挙にからんで、一挙にこれをやってしまおうという陰謀があるのです。これは百里原等においても見られますけれども、最近、防衛庁は露骨な選挙運動をやっていますよ。そういった露骨な選挙運動の一翼をかついで、大蔵省が、金持ちのお坊っちゃんみたいに、財産があり余るから、言うままにこれを所管がえしてやってやろうなんという考えであるならば、私は将来これは非常に危ないと思う。こういう点は慎重にお考え願いたいと思う。三月六日にまたやるといいますが、もう市長選挙が迫っているのです。もう事実上運動に入っている。そんなのに巻き込まれないように、慎重な御考慮をお願いしたい。民間と防衛庁とが共用の飛行場を、持つなんということは、全然うその資料ですよ。もしそれがうそでないならば、私は札幌における航空自衛隊の職員——私は当時予算委員として視察に行きましたけれども、全く間違った陳情だと思う。その点はどう理解されておりますか。
  131. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 飛行場の利用につきまして、防衛庁と運輸省が共同使用するという例はほかにもたくさんあるわけでございまして、先般名古屋の近くの小牧飛行場につきましても、両者の使用の希望が非常に熾烈でございまして、結局両者門でお話し合いをつけていただきまして、両方で使っていただく、こういうことにいたしております。お話に出ました札幌の千歳の飛行場につきましては、これは提供中でございまして、米軍から一時使用の形で、民間と防衛庁とが両方で使わしてもらっておる、こういう格好になっておるわけでございます。本件につきまして地元の意見はどうかという点につきましては、お話に出ましたように、市会、市長、市の商工会議所、これらはいずれも大蔵省の、両者で共用していただく案に賛成をいたしております。それから肝心の飛行場の周辺の部落の意見はどうかということでございますが、これにつきましては、現地に対策協議会というものができておりまして、これに地元の部落代表、村長、町長といったような方々が多数お入りになっておりまして、その対策協議会と財務局で今日までいろいろお話し合いをして参ったようでございますが、これとの話し合いもついておるようでございます。中には反対者があるということは当然予想されるのでございますが、大部分は賛成というふうに聞いておりますし、かたがた防衛庁におきましても、工事の関係から早く着工したいという御希望がございますので、われわれ決して防衛庁にだまされておるつもりは毛頭ないのでございまして、よく話を聞きまして、これは早く解決すべきであると、こういう結論に達しまして、財務局からも六日に審議会を開いて決定したい、こういって参りましたのに対しまして、それは差しつかえなかろう、よかろう、こういう指示を与えておるのであります。
  132. 淡谷悠藏

    淡谷委員 だまされない、だまされないと思って、へいの穴をのぞいていて馬にけられたという落し話がありますが、大体だまされるのは、だまされていると思ってだまされたためしはないのです。併用しております札幌の航空自衛隊がすでに分離を陳情しておるのです。一体、防衛庁の防衛計画資料を具体的にお取り寄せになりましたか。それから、地元の対策委員会というものの組織の内容をごらんになりましたか。肝心かなめの反対者は全部除外して、市長が自分の部下の町会長を集めて、めくら判を押さしておるのが対策委員会なんです。そんな一方的な資料を集めておいて、だまされないつもりでおったら、今にあなたは飛行機にけられますよ。一つ具体的に、要求しました資料を早急に出してもらいたい。三月六日までに出してもらいたい。防衛庁が果して小松飛行場を、ジェット機と民間飛行機と併用できるような形で使用するのかどうか、具体的な資料一つ委員長にとっていただきたいと思う。グラマン機の問題等を見ましても、飛行機というものは危ないものなんです。もう少し賀屋さんはぎっちり腹を据えて、防衛庁といっても、昔の軍人もたくさん入っていますが、ずいぶん人の悪いのがたくさんいますから、だまされないように、ぎっちりここで国民の財産を守ってもらいたい。まず委員長にその資料をお手配願います。
  133. 田中彰治

    田中委員長 小川豊明君。
  134. 小川豊明

    小川(豊)委員 また元へ帰るようで、何ですが、さっきの佐世保土地の問題で、お聞きしておると、政府の払い下げ価格は八千八百万円で、政府が借り上げた家賃が一億八千万円で、さらにそれを政府が買い上げるときには一億七千万円だと、こうなると膨大な二億以上の利益を佐世保土地として上げているわけですが、これに対して課税はどのようにしておるのですか。
  135. 篠川正次

    篠川政府委員 ただいま手元に詳しい資料がござごいませんので、さっそく調査いたしまして、御報告いたします。
  136. 小川豊明

    小川(豊)委員 それでは委員長に希望しますが、大蔵関係はもう一回次会に引き続いてもらって、次回の決算委員会までにその資料を出してもらいたい。
  137. 田中彰治

    田中委員長 それでは各委員資料要求につきましては委員長においてしかるべく取り計らうことにいたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後一時十一分散会      ————◇—————