○上村
会計検査院説明員 三十一年度の
検査報告の大蔵省
所管について御
説明いたします。
租税につきましては
検査報告の四九ページに概要として記述しております
通り、三十一年度における租税の収納割合は前年度より向上しており、また収納未済の金額も前年度より減少を示しております。国税収納金整理資金に対する
検査は、主として所得税及び法人税の賦課並びに徴収上の処置等に重点を置いて実施しました。
検査の結果を申しますと、五一ページの一五号から一七号までの三件は租税の払い戻しに関し処置当を得ないものでありまして、これらは払い戻すべき租税の
還付が遅延したため、三件で約三百九十万円の
還付加算金を支払う結果となったものであります。
次は六〇ページの三三号から三五までの
職員の
不正行為により国に損害を与えたものでありまして、これは税務署
職員により国税収納金整理資金に属する現金を領得された次第であります。
次は、是正させた
事項といたしまして、三六号から四一号までは青色申告書の
提出の承認を取り消させ徴収不足を是正させたものであります。青色申告書を
提出することの承認を受けた法人のうちで、その帳簿
書類に取引の全部または一部を隠蔽し、または仮装して記載するなど、青色申告法人としての実を備えていないのに、青色申告法人としての特典を認めているものがありましたので、
注意いたしました結果、青色申告書の
提出の承認を取り消し法人税額を追徴しましたものが、小石川ほか九税務署において十一
事項、六百十三万余円となっており、そのうち一
事項五十万円以上のものは三六号から四一号に記載してある
通りであります。
次は六三ページの四二号から二〇二号までの租税の徴収過不足を是正させたものでありまして、是正させましたものは過不足の税額一
事項十万円以上のものを集計しますと九百十二
事項、徴収不足三億四千二百四十二万余円、取り過ぎ分が七百五十五万余円となり、そのうち一
事項五十万円以上のものにつきましては二六一ページの別表に記載してある
通りであります。これらの原因は
調査の不十分によるもの、法令の適用を誤まったもの、課税
資料の通報連絡が十分でなかったことなどによるものであります。
租税の最後は、六四ページの二〇三号から二〇九号までの租税の徴収上の過誤を是正させたものであります。これは租税徴収上の処理を誤
まり、租税債権確保の処置を講じていなかったもの、相当の所得または財産があるなど滞納処分の執行停止の事由に該当しないのに執行停止をせられておるものについて、
検査の結果是正させましたものが三十五
事項ありまして、そのうち一
事項五十万円以上のものにつきましては二〇三号から二〇九号に記載してある
通りであります。
次は
国有財産関係について御
説明します。大蔵省
所管の
国有財産の
管理及び処分につきましては、
検査報告の五〇ページから五一ページにかけて概要を記述してあります。
国有財産の処分収入及び利用収入の徴収決定済額に対する収納状況は前年度に比べ多少よくなっておりますが、既往年度の収納未済歳入額を加えると収納未済歳入額は十億五千九百余万円となっており、そのほかにも徴収決定すべき
使用料で徴収決定に至っていないものが、当局の
計算によりましても三十一年度末で約八億に上っておる状況でありますので、事務の促進をはかる必要があります点と、普通財産の
管理につきましても改善の跡は認められますが、その現況から見まして、なお一段の努力の要がある点を概要に記述しております。
次は、個別
事項といたしまして、五四ページに機械器具の交換に関し処置当を得ないものが記述してあります。
昭和三十一年度中、全国の財務局で旧軍用財産であります機械器具を、その時価から三割五分を減額して事業者の所有する老朽した機械器具と交換されましたもののうち千六百四十四
事項、五千二百九十七個につきまして
実地調査いたしましたところ、相手方が契約条項に
違反して、他に貸し付けたりまたは転売するなどしているのに、違約金の徴収または契約解除等適宜の処置をとらないままとなっていましたものが、関東財務局ほか七カ所において十八
事項、四十八個ありました。そのおもなものは一八号から二二号に記述してある
通りであります。
次は、五六ページの二三号の物納財産の
管理当を得ないものであります。三十二年二月、三月、
検査院におきまして東京及び関東地区について、物納財産のうち土地二千三百四十二件、
建物二百九十七件について実地に
調査いたしました。その結果、無断占拠されているもの、
使用料徴収決定未済のものなどが多数見受けられましたので、財産
管理の適正を期する要があると考えられるものでございます。
二十四号は、北九州財務
局長崎財務部佐世保出張所で、彦島造船所に
建物を売却後三年内に解体移築する条件で、
建物の価格から解体費等四十六万金円を控除して、四十万余円で売却しておられますが、契約上の移築期間を過ぎましても解体移築しないで、買い受け人の同系
会社に
使用させている状況でありましたので、契約を解除するなど適宜の処置をとる必要があると認められるものでございます。
二十五号は、用途を指定して売り渡した普通財産に関し処置当を得ないものでありまして、関東財務局立川出張所で、二十七年、基督同愛会に土地、
建物等を売却し、土地のうち二百八十七坪につきましては、売り渡し後十年間は基督同愛会の用に供し、他に転売または転貸してはならない旨の条件をつけたのでありますが、三十二年三月、その用途指定を解除せられたものであります。ところが、指定解除前・買い受け人は、三十一年六月から他に常設映画館施設として
使用させておるものでありますから、用途指定
違反として売り渡し契約を解除するなど適宜の処置をとるのが必要であったと考えられるものでございます。
最後は、二六号から三二号の土地
建物等の
使用料の徴収処置当を得ないものであります。普通財産の
使用料の徴収につきましては、年を追ってよくなっておりますが、まだ正規の貸付契約のないまま
使用させ、その
使用料相当額を徴収決定していないものが相当ありまして、
会計実地検査の結果判明しましたもののうち、三十二年九月末現在まだ徴収決定をしないおもな事例といたしまして、二六号から三二号に七件、
使用料相当額千三十六万円についてその概要を記述しております。
なお
指摘しました
事項については、おおむねその後善後措置を講じておられます。
以上で大蔵省
関係の
説明を終ります。