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1959-02-05 第31回国会 衆議院 議院運営委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年二月五日(木曜日)     午後三時開議  出席委員    委員長 江崎 真澄君    理事 荒舩清十郎君 理事 松澤 雄藏君    理事 三和 精一君 理事 山村新治郎君    理事 池田 禎治君 理事 佐々木良作君    理事 山本 幸一君       安倍晋太郎君    佐々木盛雄君       長谷川 峻君    山口六郎次君       木下  哲君    小林  進君       下平 正一君    八木  昇君  出席政府委員         内閣官房長官  赤城 宗徳君         大蔵政務次官  山中 貞則君  委員外出席者         議     長 加藤鐐五郎君         副  議  長 正木  清君         事 務 総 長 鈴木 隆夫君     ――――――――――――― 二月四日  国会各種委員会会議録無償配布に関する陳情書  (第三二九号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  世界平和アピール七人委員会から国会に対する  世界平和宣言に関する勧告取扱の件  裁判官訴追委員会委員派遣承認申請の件  決議案取扱の件  国会法第五十六条の二による本会議における議  案の趣旨説明聴取の件  緊急質問取扱の件  昭和三十四年度一般会計予算補正(第1号)の  取扱の件  次回の本会議議事等に関する件      ――――◇―――――
  2. 江崎真澄

    江崎委員長 これより会議を開きます。  まず、裁判官訴追委員会委員派遣承認申請の件についてでありまするが、昨日、裁判官訴追委員長から、裁判官訴追審査事案実情調査のため、同委員福井盛太君及び菊地養之輔君を二月十一日、一日間、埼玉県浦和市に派遣いたしたい旨、議長あて承認を求めて参りました。本件は、これを承認すべきものと答申するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 江崎真澄

    江崎委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。     —————————————
  4. 山本幸一

    山本(幸)委員 この際、議長さんにちょっと御質問申し上げたいのですが、実は、議長さん御承知だろうと存じますが、過ぐる二十六日に、世界平和アピール七人委員会、これは下中弥三郎さんを含めて七名でありますが、そこから、衆議院参議院及び政府に向って、平和宣言と、さらに世界秩序達成の二つを骨格にいたしました勧告文を決定せられまして、二十七日かあるいは二十八日か存じませんが、衆議院議長参議院議長あるいは政府に向って、その勧告文要請書が届いておるはずです。私は、実は新聞で拝具いたしまして、早くこの問題について議長さんに御質問申し上げたいと存じておりましたけれども、その機会を得ませんでしたので、今日になったわけですが、この勧告文は、おそらく議長さんもごらんになったと存じます。要するに、科学兵器の異常な発展に伴って、今、国際的に対立緩和の活動が各地で行われておりますけれども、なおこの脅威を除去する必要がある。従って、この際、国会並びに政府は、世界平和日本宣言を発しまして、世界平和を求めるところの日本の自主的な基本方針を宣明してもらいたい、これが主として両院並びに政府に向っての、平和七人委員会勧告文内容であります。そこで、私ども常識的に考えましても、これらの問題は、最近の科学兵器の発達によって、国民はもちろんでありますが、全世界のあらゆる人類が、きわめて重要な関心を持っておることだと思います。一歩誤まれば、人類破滅の状況にも至るのでありますから、従って、この勧告は、名は平和七人委員会という規模的には小さな委員会でありますけれども、その持つ内容というものは、きわめて重要だと思っております。まだ、不幸にして今日に至るも、政府がこの勧告に対する意思表示、あるいは両院がそれぞれ意思表示をしたということを聞いておりません。私はむしろ、この際、この種の勧告については、それぞれ国民的な関心のある事項でありますので、政府また国会ともに何らかの意思表示をすべきだ、こう考えておるのですが、この点について、議長さんはどういう御意見をお持ちであるか、この機会に御質問申し上げたいと思います。
  5. 加藤鐐五郎

    加藤議長 ただいま山本君からお話のありました通り下中弥三郎さん外一名の方が先月末に私を御訪問になりましたことは事実でございます。しこうして、その内容に至りましても、ただいまお話のごとき内容でございまして、世界平和の宣言一つやったらどうかというお話でありまして、御趣旨はごもっともでございますと言っておきましたが、これは政府及び参議院議長にもその意見を申し述べるつもりであるというお話でございましたので、私は、いずれ議運皆さんにも御相談をし、そうして参議院議長の方にもお話をいたして、皆さんのいろいろのお考えを伺ってみたいと思っておりましたわけでございます。急に急いでということでもなかったのでございまして、きょうまで延びておりましたが、適当な機会皆さんの御意見を承わりたいと思っております。     —————————————
  6. 江崎真澄

    江崎委員長 次に、日本社会党河野密君外十二名から提出されました、国際労働条約第八十七号批准に関する決議案取扱いについてでありますが、本決議案取扱いにつきましては、前回委員会において留保となっておりましたが、いかがいたしますか、御協議願います。
  7. 山村新治郎

    山村(新)委員 このILO条約批准の問題につきましては、今政府としては労働問題懇談会にこの問題を諮問いたしております。この労働問題懇談会は、御存じのように、総評並びに総同盟の方も入っておりまして、この結果は十九日出されることになっております。従って、国権の最高機関でございまする国会が、労働問題懇談会の結果がまだ発表されないうちに、いろいろな議決をいたしますことは、見方によっては、労働問題懇談会を規制するといいますか、チェックするようなおそれもございますので、むしろ、その後におきまして慎重に取り扱った方がよろしい、こう考えております。従いまして、本日は、これを留保願いたいと思います。
  8. 八木昇

    八木(昇)委員 そういった御意向だとすれば、これは、労働問題懇談会結論が出てきた場合には、労働問題懇談会結論通りにそれを措置しよう、そういうお考えがあるように理解してよろしゅうございますか。
  9. 山村新治郎

    山村(新)委員 政府は、たびたび労働問題懇談会の結果につきましては尊重すると言明しております。従いまして、その結果を見なければわかりませんが、それが尊重されまして、その精神は十分くまれるものと考えております。
  10. 池田禎治

    池田(禎)委員 きょう私は労働大臣に御出席を願うつもりでおりましたところが、予算委員会において、わが党の委員から労働大臣出席要求しておるということでありますので、きょうはやむを得ません。私は、すみやかな機会労働大臣に本委員会に御出席を願って、そうして誠意のある御回答を願いたいのであります。わが党の提出しておるこの決議案の案文の一節を見ても、これは一九四八年国際労働機関において可決されておる。自来十年の歳月をけみしておるのであります。それを、今に至って、労使懇談会結論をまって政府態度をきめたい、そういうことを言うことは、まことに私は不可解千万なことだと思う。現に、ここにおられる佐々木君のごときは、労働省の高官であった。そのころから十年もたっておる。それがいまだに解決しない。日本政府は、国際条約はこれを大いに尊重し、これを順守しなければならぬと対外的には言っておるけれども、事実は誠意がない、口先だけの答弁であって、その誠意は認められない。実は非核武装決議案についても、総理大臣は進んでこれに賛成するということを予算委員会発言されておるけれども、一たび両党の共同提案にしようとすると、大へんなことになってしまって、政府総理大臣閣僚答弁は、実際の行動に移すというときには、全然逆なんです。口先では、八方美人、だれにも好かれるようなことを言っておるが、腹の中では全然逆になっている。そういうことは今日許されない。ILO条約批准については、口先だけの宣言では、私どもがまんなりません。従って、私は、今八木君の質問のごとく、この結論が出たら直ちに実行に移すやいなやの誠意ある答弁を、与党だけでなく、政府からも聞かなければならぬ。立法機関たるものは、いか与党といえども、やはり独自の見解に立って立法府の責任を果さなければならぬ義務があると思う。従って、政党政治といえども政府がそういう間違った国際的不信行為を見のがしてはならないということを、立法機関与党が進んで国会議決をするならば、政府としても、これはおせじばかりでなくて、実際上の行為をもって示さなければならぬ、こういうことになろうと思う。私は、与党のただいまの発言に対しまして非常に不満でありますと同時に、与党ももう一歩踏み切ってもらって、そのためには、意見を聞かないというのでなくて、労働大臣出席を得て、政府態度をもっとただした上で、立法府としての使命を果してもらいたい、こういうふうに私は思います。
  11. 山村新治郎

    山村(新)委員 ただいまの池田君の御発言は、社会党立場では一応ごもっともだと思います。御存じのように、国内法規相当関連が深いものがあります。従って、単純にこれを皆さんの御要求のように結論を出すことをいたしますと、それに伴いまして、国内法規万般影響を及ぼすところが大きいと思います。なお、日本日本の特殊の事情もございまして、もちろん国際間の条約は尊重しなければなりませんが、どこの国にもやはりそれぞれの特殊の事情があって、あながち全世界の国が守っておらないという現状でございますから、やはり日本国民の幸福を考えますと、われわれ与党という政府を持っておるものといたしましては、軽々しい行動は実はとれない実情でございます。従って、この労働問題懇談会の結果が十九日に発表されますので、これに対する労働大臣意見を聞くことにつきましては、賛成いたします。適当な機会に、委員長が善処されんことを望みます。
  12. 八木昇

    八木(昇)委員 今の国内法規関係については、これは若干の時日を要するといわれる根拠が、あるいはあるかもしれないと思うのです。しかし、ILOの八十七号の批准それ自体については、これは何ら遅疑逡巡するところはないはずです。われわれの方があまりにもおくれておるから、そこで促進決議案を出したというわけです。その点に関して、態度をやや遷延しておられるという印象をわれわれはどうしても持つのですが、その点どうですか。
  13. 山村新治郎

    山村(新)委員 ただいまの八木君のお話は、社会党さんとしての見方でございますが、われわれとしては、いやしくも日本国会として法律を制定し、あるいは条約批准する場合におきましては、日本国民の幸福を念頭に置かずして実際の行動はとれないわけであります。従って、一応この国際間の条約批准につきましては、慎重な取扱いをいたしまして、軽々しく決議をするということは、実際日本の国情に合わないようなことがあっては、ひいては国民を不幸に陥れるわけでありますから、あらゆる角度から考えて、慎重にやって参りたいと考えております。
  14. 池田禎治

    池田(禎)委員 与党として政府態度を弁護されることについては、事情はわかりますけれども、慎重々々といって何年かかっておるか。十年かかっておる、しかも歴代保守党閣僚は、労働大臣であろうが総理大臣であろうが、ILO条約については尊重いたします——そういうものは日本反対です、こういうことを言ったことは一つもない。尊重し、すみやかに所要の処置を講じますということを言っておる。口先では、賛成します、尊重しますと言いつつ、十年です。そういうことは、慎重にもほどがある。慎重というのは、どのくらいかかるのか、五十年かかってやるのが慎重というのか、百年かかってやるのが慎重というのか。あまりにものの見方が百八十度も違っておる。そういう表現の仕方というものは、私どもは、社会党だけの立場でなくして、これは許されないと思う。根本的にこれは反対ですというならば、わかるのです。それなら、遷延することも、十年かけることも、二十年かけることも、ある意味において、保守党としてはやむを得ない。そういう結論においてこれを主張するならば、わかる。しかし歴代総理大臣歴代労働大臣が、賛成します、尊重します、しかし、国内における所要法規整備を伴うことでありますから、いましばらく慎重に考究したい、こういう、いましばらくいましばらくということで、今日まで十年間経っ過しておる。これはいかに何でも、弁解なさるにしても理由としては薄弱——というよりも、理由が成り立たない、私はこう思うのです。ですから私は、この点については、もはやだめならだめで、場合によれば社会党単独提案して、あなた方は否決する、そういうものはできないのだ、多数党の力をもって否決するというなら、これはやむを得ません。残念ながら、今明日あるいは来週中に、社会党が三百人になるということはできません。院においては、そういうことはできませんから、多数決をもって否決する、そういうことは政府与党としてはできないというならば、私はけっこうです。けっこうというより、やむを得ない。ただ慎重に慎重にということで十年を経過されておることは、私は、まことに言葉としては、社会党の主張に対して侮辱を加えるもはなはだしいと思う。そういう言葉は、決して弁疏にならないと思いますから、私はきょう来られないというならば、あらためて労働大臣出席できる日においで願って、そうして政府見解を根本的にただしたいと思います。
  15. 山村新治郎

    山村(新)委員 さっき申し上げましたように、われわれといたしましては、十九日の結果を見たいと考えておるわけでございます。労働行政についてのことは、いずれ労働委員会なり、あるいは労働大臣とおやり願いたいと思います。ただ、先ほど申しましたように、占領政策時代から今日まで十数年経過しておるのですが、その間片山内閣時代もあったのでありまして、その間においてもやはりなかなかできなかった微妙な問題でございます。この点もお含みを願いまして、御善処を願いたいと思います。
  16. 池田禎治

    池田(禎)委員 それは違います。これは一九四八年の国際労働機関会議において決定されたことでありまして、片山内閣のときではありません。それは誤まりであります。これは、吉田内閣のときに、結社の自由及び団結権の擁護に関する条約批准を求められたわけでありまして、この点は十分誤まらないようにしていただきたい。
  17. 山本幸一

    山本(幸)委員 山村君のだんご理屈では困る。やはり良心的に扱ってもらいたい。党利党略とか、一方の党の立場として主張しておるのではなくて、あくまでも純粋な立場に立って主張しておるのでありまりして、国際信用にも関することでございます。このことは議運内容を審議することではないから触れませんが、しかし、この動向いかんによっては、日本の経済にも重大な影響があるという重要な問題ですから、もっとフェアに考えてもらって、一つ真剣に取り上げてもらわなければならぬ。従って、今池田君やなんかが言われたように、わが党が正式に国会に正手続してからでも相当の年月を経ておるのだから、この際、政府は、労懇労懇といって、労働問題懇談会の名前にだけ便乗して延ばされるということでなくて、——聞くところによると、これは聞くところですからほんとうかどうか知りませんが、労懇政府は圧力をかけておる。労懇人々は、これは批准すべきだという意見が強い。しかるに、政府は一、二の人を通じて、それをなるべく延ばせというような、いわゆる工作をしておるということすらも聞いておるのです。もし、それがうそであったとしても、今日まで便々と延ばした政府態度は、私は、これは絶対うそだとはいえない、やはりそういう工作があったのだとしか解されないのです。これでは日本信用にも関する問題ですから、私は、出せとは申しませんが、明日倉石大臣に来てもらって、そこでもっと明確にして、政府態度を一日も早く明らかにしてもらいたい、これが私どもの強い要請なんです。
  18. 八木昇

    八木(昇)委員 それは、十八、十九の労懇議論があって、最終結論が出るということは事実なんですけれども、十八、十九の労懇というのは、八十七号条約批准に伴って国内法規をどうするかという点だけです。論議になっておる点は、これに伴って、いわゆる国内法の地公法とかあるいは国公法とかいうのをどうするかということだけであって、国際労働条約の八十七号批准ということについては、初めから何ら異論は全然ないのです。ですから、国内法規整備のためにいろいろ慎重を要するから、十八、十九の結論を待たなければならぬという説は、私どもには理解しかねる。そこで、政府政府としてやるでしょうが、議会として八十七号批准に関する決議をやろう、こういう趣旨ですから、一つそういうふうに御理解を願って処理していただきたいと思います。
  19. 江崎真澄

    江崎委員長 だんだん御議論があるようでございますが、本日は倉石労働大臣は本委員会出席できぬということでありますので、いずれ労働大臣出席を願いまして、お話し合いを願いたいと思います。本日のところ留保することにいたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  20. 江崎真澄

    江崎委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。     —————————————
  21. 江崎真澄

    江崎委員長 次に、本会議において趣旨説明を聴取する議案についてでありますが、日本社会党所属議員から提出にかかる国民年金関係法律案については、前回委員会において、政府からの同種議案提出ともにらみ合わせて、留保となっておりましたが、日本社会党からお手元に配付の印刷物にあります通り、右五件のほかにさらに追加して、昨四日に内閣から提出された物品税法の一部を改正する法律案、及び国民年金法案の七件について、本会議において趣旨説明を聴取いたしたいと申し出があります。いかがいたしますか、御協議願います。
  22. 山村新治郎

    山村(新)委員 元来が本会議において趣旨説明を聴取する議案というものは、重要法案ということが一応の基準になっておる次第であります。従って、いずれも出される法案に軽重はございませんから、皆重要でございますが、重要中の重要な問題という意味でございます。国民年金の問題は、最も国民関心を集めた問題でありますから、これについては、ぜひ一つ会議において説明を聴取いたしたいと存ずる次第であります。ただ、これにつきましては、社会党さんからも関係の四法案が出ておりますし、政府提案として国民年金法案が出ておりますから、これが一括上程になると思うのでありますが、当方といたしましても、質問もございますし、その準備等関係もございますので、来週の火曜日の本会議において説明を聴取することにいたしたいと存ずる次第であります。なお、物品税の問題につきましては、この程度のものを一々本会議趣旨説明を聴取するということになりますと、全部の法案を本会議において説明を聴取しなければならぬということになりまして、非常に煩瑣なことにもなりますし、国会の権威のためにも、この程度のものは本会議において説明を聴取しないということにお願いいたしたいと存じます。
  23. 山本幸一

    山本(幸)委員 今、山村委員発言がございましたように、国民年金関係法案は、十日の本会議に上程して趣旨説明を聴取し、質疑をやるということで御了承になったのですが、念のために申し上げておきます。社会党から八木君の提案の五件については、八木君から趣旨弁明をやらしてもらって、自民党さんの方から御質疑があったら、遠慮なく御質疑を願う。政府提案国民年金法案については、政府側から御説明を願って、わが党から御質問をいたします。これは御承知のように、すでに新聞でPRされておる問題でありますので、できるなら早急に本会議でやってもらいたいと思うのですが、これは趣旨説明する側も、質問する側も用意もありましょう。従って、来週十日におやり下さるといたしますならば、私どもはそれで了承いたします。  次の物品税の問題ですが、この種の問題は、それほど大きな問題ではないとおっしゃる。私どもは、法律案というものは、必ずしも物品税関係する金額が少いからといって、その大小をいうべきものではないと思うのです。私は、今度国会提出せられた税法の中では、何といっても、国民が一番関心を持っているのは物品税です。これは、過去ニカ年間引き続いて審議がせられて、今回やっと政府側物品税改正法律を出して見えたんです。これについては、国内で、特に中小企業者以下の人々が、何百万人、何千万人という人々が、非常な関心を持っている法律です。従って、こういう法律こそ、私は、法案重要性を十分に認識して、本会議趣旨説明をせられ、そうして国民にこれを明らかにする、そういうやり方をすることこそが、国会の運営上必要であり、また国会正常化一つだろうと思いますから、私は、きょうとは申しませんが、来週の十日に国民年金をおやり下さることを御了承願ったのですから、少くともその前までに、自民党でも今一度御検討をいただいて、できるだけ社会党要求に応じていただけるような御考慮を願いたいと思います。
  24. 山村新治郎

    山村(新)委員 せっかくの山本さんの御要望でございますけれども、決して物品税改正をする法律案が軽いという意味で申し上げたわけではございません。この法律案趣旨説明につきましては、委員会でも堂々とされるのでございまして、これを国民皆様に周知徹底せしめることは、あながち本会議でやらなくてもよろしいと思います。大体本会議で行われますものは、政治常識的に、その当時の施政の大きな脚光を浴びたものをなるべくやろうじゃないか、という申し合わせ等もございますから、この物品税の問題だけは、一つ委員会で十分に趣旨説明をいたしまして、それによって、徹底的に国民皆様にもその趣旨を徹底していただきたいというふうに私ども考えておりますがゆえに、この問題を本会議において趣旨説明をされるという社会党さんの御要望は、自民党といたしましては了承いたしかねるということでございます。なお、よく相談はいたしますけれども、今日のところでは、ちょっと了承をいたしかねますから、あしからず御了承願います。
  25. 池田禎治

    池田(禎)委員 重要であるかないかということについての見解の相違というものは生じてくるかもしれませんが、私どもとしても、物品税については非常な注目をいたしておるものでありますし、ことにこの国会においては、例年の通常国会に比較をいたしますと、政府提出案件というものもきわめて少いというように了承しております。これは、まことに多忙であって、本会議を開くだけのひまもないというなら別ですけれども、本会議を開いて、この種法案についてできるだけ国民の前に周知徹底せしめることについては、私は、政府与党の方もこだわることなくおやりになることが当然ではなかろうかと思います。大体、先般官房長官から出された提出予定法案を検討してみて、重要法案なりとして私どもが指定して本会議で正趣旨説明を求めて、質疑をやろうというものは、それほど社会党そのものとしてもない。従って、私は、こういう場合には、山村君の一存で言うことででなく、与党で十分御検討願って、社会党の希望が実現されるように、御考慮願いたいと思います。
  26. 山村新治郎

    山村(新)委員 国会正常化が両党の間に申し合されたこの国会ですから、なるべく相手の党の要望も尊重し合うことは、われわれとしても当然考えなくちゃならぬことでございます。従いまして、十分御意思のあるところは党へ持ち帰りまして相談いたしますが、大体私どもの見通しとしては、どうもむずかしいだろうと思います。念のために御参考に申し上げておきます。
  27. 江崎真澄

    江崎委員長 それでは、日本社会党所属議員提出にかかる国民年金関係法律案及び内閣提出にかかる国民年金法案は、来たる十日の本会議において趣旨説明を聴取することとするに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  28. 江崎真澄

    江崎委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。なお、物品税法の一部を改正する法律案につきましては、本日のところ留保することとするに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 江崎真澄

    江崎委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
  30. 山村新治郎

    山村(新)委員 物品税取扱いにつきましては、明日の委員会におきまして御相談願いたいと思います。
  31. 江崎真澄

    江崎委員長 承知いたしました。     —————————————
  32. 江崎真澄

    江崎委員長 次に、日本社会党の石橋政嗣君から提出されました、自衛隊の戦闘機問題に関する緊急質問取扱いについてでありますが、いかがいたしますか、御協議を願います。
  33. 山村新治郎

    山村(新)委員 この機種問題は、一つ留保して下さい。
  34. 山本幸一

    山本(幸)委員 留保という自民党意見もあるけれども参議院があしたやることに議運の正式の委員会できまったのですから、参議院がやれば、従って衆議院もやらざるを得ないでしょう。当然あなたの方もやる決意を願いたいと思います。
  35. 山村新治郎

    山村(新)委員 参議院がやるからといって、こっちもやるというのも意味がない。それは、見方によれば、やりっかすをやることにもなるから、少し留保して研究しようじゃないか
  36. 江崎真澄

    江崎委員長 それでは、本件は本日のところ留保することに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  37. 江崎真澄

    江崎委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。     —————————————
  38. 山本幸一

    山本(幸)委員 この際、私から官房長官にお尋ねを申し上げたいのですが、御承知通り今度提出の補正予算の提出手続の問題であります。すなわち国際通貨基金、世界銀行の追加増資に伴いまして、政府は補正予算提出の手続をされたわけです。たまたまこれが事務当局で自動的に予算委員会に付託をされました。ところが、どうも手続上、財政法に反するという議論予算委員会で起きまして、その結果、両党の国会対策委員長会議を開きまして、昨日の結論は、一応予算委員会付託を取り消して、あらためて議運にかけてその手続を審議する、こういうことになったわけです。そこで、私はこの際官房長官にその経緯をまず伺いたいのですが、御承知通り、財政法二十九条の規定に基いておやりになった、こういうことになっておるわけです。財政法二十九条は、私が言うまでもなく、これを要約いたしますと、次の二点だと思います。すなわち予算作成後に生じた事由に基くことが第一点、第二点は、既定の経費または国庫債務負担行為に不足を生じたとき、この二点に要約されて財政法は規定をいたしておるわけです。ところが、政府の今度の手続につきましては、当初予算が審議中であるばかりでなしに、審議に入ってまだ二日たたないうちに補正予算の提出をせられたということは、前例にございません。参議院にはございますが、参議院における取扱い方と衆議院の場合における扱い方とは、本質的に私は異なっていると思うのです。言うまでもなく、参議院の場合には、衆議院で予算が上って参議院に回ってからのことであります。こちらの場合は、それとは全く違うのであります。従って、衆議院にはそういう前例がございません。前例がないばかりか、財政法の規定に非常に反している点が多々ある、こう私ども考えておりますので、何のために当初予算が提出せられて二日たたぬうちに補正予算をお出しになったのか、これをお尋ねしたいと思います。その経緯についてお尋ねいたします。
  39. 赤城宗徳

    ○赤城政府委員 今お話のように、補正予算をあとから出した根拠は、財政法の二十九条に基いたものであります。  それから第二に、そういう慣例がないということでありますが、その通りであります。ただ、戦前はそういう例が非常に多うございました。戦後には、本予算の成立以前に出したことはあります。まだ審議中であります。しかし、衆議院の審議中に出した例はないようであります。  それから、いきさつでありますが、一般予算が閣議で決定いたしましたのは、一月二十三日であります。その日に国会提出いたしました。そこで、国際通貨基金及び国際復興開発銀行への出資の問題でありますが、これは三十三年の十月にニューデリーで総務会が開かれまして、そこで理事会の増資を検討する決議がせられまして、次いで三十三年の十二月の十九日に理事会が開かれまして、投票をしてこの出資をきめるということが決定いたしたのであります。そこで、二月の二日を限度として加盟国が投票をすることに相なったのでありますが、日本で投票をいたしましたのは、三十三年一月二十六日であります。それが二月二日までに投票することになりましたので、この投票については、国際通貨基金協定と国際復興開発銀行協定とによりまして、IMFの方では、五分の四以上の賛成がなければ、この決定は有効にならないわけであります。それから、また世界銀行の方では、四分の三以上の賛成がなければ、この決議が有効にならない。それを二月二日までに投票を求めたわけですが、一月三十一日に大体は判明いたしたのであります。しかし、最終決定は、二月二日が投票の締め切りでありますので、その結果を待ちませんと、予算を提出したり、法律を出すということの決意ができなかったのであります。そういうふうな事情でありますので、一般予算を編成する当時におきましても、国際通貨基金等への増資をするということは、ある程度予見はされておったのでありますが、予見はされておりましても、はっきり各国の賛成投票を得られた上でなければ、日本で予算に提出して増資を申し込むということには、時期が早い、こう考えておりましたので、一般予算を編成中においては、その中に入れることが非常にむずかしい。でありますので、二月二日の締め切りを待って予算を提出したい、こういうふりに考えておりましたところが、二月二日に賛成投票が法定数以上に達したので、日本としてもこれに増資をするということにするために、二月三日に補正予算の閣議決定をいたしまして、同日国会提出いたした、こういういきさつであります。
  40. 山本幸一

    山本(幸)委員 そうすると、この財政法二十九条に基いて手続をされるときに、財政法十八条による解釈と、それからいま一つは財政法二十一条による解釈と、二説あると思うのです。前説の十八条は、大蔵大臣が概算を作成し、閣議の決定を経なければならないと、こうしておるわけですね。それから後説の第二十一条によれば、大蔵大臣は予算を作成し、閣議の決定を経なければならない、こうなっているのですね。あなた方は、今度の手続について、このいずれが適格性であるかどうか、この点について一つお答えを願いたいと思います。
  41. 赤城宗徳

    ○赤城政府委員 補正予算につきましては、一般予算と違いまして、今まで概算予算というものを出してこなかったんじゃないかと思います。ですから、今度の場合は、この何条ですか、概算の提出はなくて、予算を編成して出された、そういう事情になっております。
  42. 山本幸一

    山本(幸)委員 あなたは専門家でないので、私はそう深く言えませんが、あなたの説でいけば、いわゆる財政法二十一条によって手続をせられた、こう解釈しておられるわけですね。二十一条というのは、大蔵大臣が、予算作成後、閣議の決定を経て行う行為ですね。
  43. 赤城宗徳

    ○赤城政府委員 二十一条に基いて、「各省の予定経費要求書等に基いて予算を作成し、閣議の決定を経なければならない。」この手続をとったものであります。
  44. 山本幸一

    山本(幸)委員 そうすると、今官房長官の御答弁にございましたように、三十三年十月に総務会で理事会案を作ることを決定した。こえて十二月十九日には、その総務会の決定に基いて、理事会はいわゆる増資案を決定した、さらに翌年、すなわち本年の二月二日に、加盟国の投票によって、先ほど御説明のあった五分の四、四分の三、それぞれの投票によって、いわゆるこの増資を理事会は決議をした。そこで二月二日が適格性がある、こう踏まれたわけですね。私はちょっとおかしいと思う。今あなたのお言葉にあったように、三十三年十二月十九日——私は二十九日と記憶しておりますが、それはどちらでもよろしい。少くとも当初予算は、三十三年の十二月三十一日に概算が決定せられて、閣議でこれを決定しております。さよういたしますと、その前々日の二十九日——あなたの説によると十九日、そうすると十二日前です。その日に理事会は総務会の決定に基いて追加払い込みの案をきめたわけです。だから、おそらくそこで予見せられるわけです。当然これはきまるものなりと予見せられる、こういう解釈は私どもでもできるわけです。あなたもまた、予見せられると今お答えになった。しかし、その予見をさらに確実にするためには、二月二日の理事会の最終決定を待つ方がよかろうというので、二月二日を待ったのだ、こうおっしゃった。ところが、十二月二十九日の理事会案の決定も、二月二日の理事会の決定も、いずれもこれはやはり単なる予見です。これは、私が説明するまでもなく、やはり確定性を認めるには、理事会が二月二日にきめた後に、九月十五日までにそれぞれ加盟国が同意をしなければならぬと思います。しかも加盟国の同意がなければだめなんです。その同意があってしかる後一カ月、十月十五日までに、その加盟国の同意に基いて、総予算の七五%に達したときに初めて効力を生ずるというように、世銀等の規定はできております。だから、詳細に言えば、少くとも九月十五日のいわゆる加盟国の同意を見なければ、確定性は判断しがたい。その間のことは、何回理事会があろうと何があろうと、それはあくまでも不確定性であります。それを、あなたの方で、十二月二十九日は不確定性であるが、二月二日は確定性であるという、そういう独断的な判断をおやりになること自体が、すでに私は財政法違反だと思います。財政法に基いておやりになるならば、やはりもっと確定性をちゃんと見込んでおやり下さるか、あるいは予見し得るものならば、すでに十二月二十九日に予見せられるのですから、当初予算に組み入れて行われるか、どちらかをやるのが正しい。その点について御意見を承りたい。
  45. 赤城宗徳

    ○赤城政府委員 先ほど申し上げました十二月十九日には、投票すべき決議案の採択をしたのであります。でありますから、投票するというだけの決議ですから、日本としては、予見はある程度されますけれども、しかし二月二日にならなければ、加盟国全部の割当を承認するという形になりませんから、二月二日まではどうしてもこれは不確定的な予見であります。しかし、二月二日に各国の賛成を得て割当額が決定した、こういうことになりますならば、賛成国はもちろん、増資を応諾することは筋からいっても当然だと思います。でありますから、最終的に増資の申し入れをしなくても、二月二日に増資の割当に賛成した加盟各国がそういう意思表示をしたというとき、日本態度としても、増資をしてもよろしいという意思決定ができると思います。そういう意味におきまして、予算を出して御協賛を受けるのが妥当だ、こういうような建前で出したのであります。
  46. 山本幸一

    山本(幸)委員 官房長官は、自分で十二月十九日は予見し得たのだということを言っておられながら、そのあとで、二月二日がより確定性があるのだ、こういう言葉で逃げておられるのでありますが、財政法の十四条は、「歳入歳出は、すべて、これを予算に編入しなければならない。」こう規定しております。これは、言葉をかえて言えば、総計予算主義を明らかにしていることですから、従って、予算作成前に予見し得るすべての歳入歳出は、これを全部当初予算に計上する必要がある、こう義務づけているわけです。予見し得るとなっている、予見し得る限りにおいては、歳入歳出の一切は当初予算に組み入れるべきだ、こう規定しておりますから、そうだとするならば、あなたの説のように、十二月十九日に予見できた、すでにそのときに予見はし得た、こういう御答弁ですから、これは御答弁通りいっても、おのずから、その予見し得た十二月十九日以後、いわゆる本予算が閣議決定せられるときに、当初予算にこれを組み入れるべきだという論理が成り立つわけです。そこで、今度は百歩譲歩して、あなたの説をかりて言うならば、十二月十九日には予見し得たけれども、その予見の状況をより強化するには二月二日の方がよかったのだ。従って、二月二日を待って手続をしたのだ、こうおっしゃる。ところが、論理的に言っても、二月二日が必ずしも確定性はない。私が今申し上げたように、決定的な確定性を見きわめるには、九月十五日までに関係加盟国六十八ヵ国が同意をして、初めてこれは確定性が承認できるわけです。それ以前の行為は、確定性とは言えないと思う。従って、あなたの説をかりて言えば、同じ予見ができるといっても、二月二日の方がやや予見が強まっているというだけであって、予見し得るという本質においては、十二月十九日だって一緒だと思う。そうだとするならば、財政法の二十九条あるいは十四条に基いて、やはり当初予算に当然組み入れてくるのが妥当だと思う。その点はどうですか。
  47. 赤城宗徳

    ○赤城政府委員 十二月十九日に、日本として投資をしようということは予見されるわけですが、二月二日を待ちませんと、加盟国全部の割当賛成が得られるかどうかわからないわけです。ですから、もしも二月二日に五分の四とか四分の三とかの賛成を得られなければ、これは予見にならないというような結果に相なろうかと思います。そういう点から見まして、加盟国の法定数に達する賛成を得れば、これははっきりり予見できる。でありますから、同意を得なくても、何といいますか、増資の申し込みはできる態勢に入ったというのが、二月二日の法定数の各国の賛成を得たとき、こういうふうに私ども考えて予算を出すことに相なったのです。
  48. 山本幸一

    山本(幸)委員 同じことを繰り返すようですが官房長官は、先ほど、十二月十九日に予見し得たのだ、こういうお説なんです。私は、何も私の意見を言っているんじゃない。あなたのお説をとって言っている。しかし、二月二日の方が、予見し得ることがより確実だ、こういうお説にすぎない。財政法の十四条は、予見し得たものは、こうなっているのです。それは確定的にという言葉を使っているわけじゃない。従って、予見し得るならば当然当初予算に組み入れるべきだという議論が出るのは、あたりまえだと思う。しかし、ここであなたと幾ら議論しても、あなたはあなたの立場でおっしゃっているのだから、平行線をたどると思います。従って、こういう問題は専門家を呼んで聞いてみましょう。そうすれば、一番いいと思う、私は、何も予算の内容を言っているんじゃない。予算の内容には、私は不満があります。というのは、たとえば、簡単に言えば——これはこの委員会で言うべきことでないかもしれぬけれども、いわゆるこの財源というものは、接収貴金属をもって充てている。接収貴金属というのは、私は大蔵委員会に長くいるのですが、これは非常な疑問のある問題で、従って、足かけ三年間、これはあっちへ行ったりこっちへ行ったり、やっと先般の国会で継続審議になっているというわけです。うわさに聞くと——いろいろなうわさを与党内部からも聞いているが、この接収貴金属を取り巻いて、政治献金が行われたり、二十九億の銀を、当時の軍需会社の第二会社を作って、その会社に返してやるから、一割よこせ、そういう取引があるといううわさすらも聞いている。従って、あの接収貴金属は、野党ばかりでなく、与党内部においてもすっきりしないで、こんとんとして今日まできている。そういう疑問のある財源をそこに充てるというのでは、これがもっと国民にはっきりしてきて証拠がつかめると、あるいはその法律は通らないりかもしれない。もちろん、国会の運営には、法律が通る通らないは別問題にして、予算として先にやられる場合もありましょうけれども、この接収貴金属のような、非常に疑わしいものを財源に充ってるということ自体に問題があると思う。それは、今ここで議論すべきことでなくて、あくまでも予算委員会議論すべきことであって、私は、手続上財政法に反しているか、適法であるかということをあなにた聞いている。しかし、あなたに幾らお聞きしても、問題は平行線をたどるでしょう。従って私どもは独自の立場に立ってこれからやります。
  49. 山村新治郎

    山村(新)委員 今、山本君からいろいろ財政法の建前から論議がなされましたが、財政法の問題は、当該委員会においてやるべきことかもしれぬ。問題点は、この補正予算が国会提出されて、これがオートマティックに予算委員会に付託されたところに問題があると思う。その間、事務当局として、これが議運にかけられないで予算委員会に付託されたために、事務総長は、これは初めての例でもありますから、いろいろな角度から検討せられたようでございますが、その間の真相、並びにこれが財政法上果して違反であるかどうかということについて、見解を述べていただきたい。
  50. 鈴木隆夫

    ○鈴木事務総長 私といたしましては、一昨日予算補正が提出されましたので、その際に考えましたことは、本予算審議中に予算補正というものが提出できるかどうか、その提出の可否という点が一つ。もう一つ考えましたことは、こういうことは先例があるかという点について考慮を払ったわけです。私といたしましては、その内容について審査する権限はもちろんありませんし、事務的にそういう提出が当然であるかどうかということだけを検討したわけであります。そこで、その先例について調べてみましたところ、これは衆議院審議中ではございませんが、衆議院で予算が通過いたしまして、参議院審議中に予算補正が提出されましたことが、これまでに三回ございます。  それから提出時期の問題でございますが、これについては、もちろん内容についてはダッチいたしませんので、内容が合法的であり、りっぱなものと仮定した場合に、本予算と同時に提出できるかどうかという点についても検討いたしたのでありますが、なお自分一個ではいかぬと思いまして、内閣の法制局長官とも話し合いまして、手続上合法的であるかということを念を押しましたところ、手続上は何ら問題はなさそうだということでございましたので、私は、普通の法案取扱いと同じように、提出されてすぐに予算委員会に付託いたしたのであります。しかしながら、付託いたしましたあとにおいて、いろいろな問題があることを承知いたしまして、自分の至らない点がございましたので、その点は、先般理事会におきまして、今後は十分気をつけます、そうしてこのような新しい事例が出た場合には、委員長その他にも御相談申し上げましょうということを申し上げたのであります。
  51. 山本幸一

    山本(幸)委員 事務総長はきわめて率直に、手続について自分の手落ちがあったことも認められておられるし、幸いこれが運営委員会に戻されて、今審議をされていることですから、私どもはそれは了承します。自後は、事務総長が今言われたように、十分配慮して、手落ちがなければけっこうだと思います。事務総長は、事務総長としてそれぞれ法制局長官なり、あるいはいろいろな文献を調べておやりになったことだと思います。従って、私は、この問題について事務総長と議論しようとは思いませんが、官房長官の話を聞いておっても皆さんがわかるように、昨年の十月初めに、IMFの総会で増資についての議論がせられ、理事会で決定しろということにきまったわけです。その理事会が十二月十九日に行われたわけです。本来言うならば、十月初めのIMFの総会においてすでに予見できるわけです。ましてや、その後理事会が開かれるまでには、相当時間があるわけです。こういう問題は、形式的には積み重ね方式をとっておりますが、これは国際上の慣習になっている。しかし、型式的には積み重ねるけれども、その積み重ねる中間においては、それぞれの国が同意するかどうかということを、すでに先にそれぞれ大使あるいは出先を通じて調査をするものなんです。従って、十二月十九日あるいは二十九日というIMFの理事会は、これは絶対に予見し得るのです。私どもは、そういう強い確信を持っております。これが、あくまでも違うとおっしゃるなら、やはり専門家を呼んで公聴会を開いて、この事態を明らかにする以外にないと思う。これは責任をもって申し上げる。その意味において、事務総長とは議論はしませんが、私どもは、そういう見解に立っているから、この手続は誤まっているのだということを申し上げる。なお、山村君は、これは予算委員会議論すべきだとおっしゃるけれども、そうじゃない。いわゆる補正予算を提出する手続についての議論ですから、従って、財政法上適法であるかどうかという議論をしないことにはわからぬので、今申し上げているのです。その点は一つ了承していただきたい。
  52. 池田禎治

    池田(禎)委員 大体、補正予算提出の経過については、あらかじめ山中政務次官から個人的に私に話があったのです。そこで、その扱い方については、国会対策委員会とも相談の結果、国会対策委員会の議を経た後に回答する、こういうことを話しておったのです。ところが、たまたま一昨日、予算員委会が終ってから、理事会において、わが党の理事からこの点を大蔵省の主計局長に話した。主計局長は、明日出すという。それは、自分の方では議論があるので、明日の国会対策委員会の議を経なければ、いかんともなしがたいから、本日はそういうことは審議することなく、明日あらためて審議したい、こういうことで、その提出の可否については異論をすでに唱えている。大蔵省の主計局長や関係官がその席におりながら、翌日無断でこういうことをしてきたということは、ここにも事務当局の重大な疎漏がある。予算委員長に一片の通告もなくして、事務当局がかってにそういうことをしてよろしいか、しかも、無風帯の事態にあらずして、すでにこれについては、社会党においては十分関係方面とも打ち合せ、書類も検討し、財政法上疑義があるので、その結論をあすまで待て、こういうことまで注意しているにもかかわらず、そういうことをやったということは、私は心外にたえない。  さらにまた、もう一点聞きたいことは、今山本君がだんだん述べたように昨年すでに予見し得たにかかわらず、これを予算書の中に盛り込まず、さらに深く予見すべく二月二日の投票の結果を待って、これを補正として提出した、こういうことを言われる。しからば、現在政府提出しているいろいろの法律案の中で、予算案を先に審議して、これに伴う法律案を自後に審議しているということは、私は不可解千万である。予見される事態のもとであるから、予算案を提出して、しかる後に法律案を審議してもらうというのが、多年の習慣でやってきているところである。一方においては、財政法上の見地に立って、予見し得るが、不確定な支出だからと言う。さようなことであるならば、私は、将来予算委員会における審議は、関係法案が出そろうにあらざれば、審議に応ずるわけに参らない。これは当然の理論である。すなわち、予見されるといえども法律案が否決される事態もあり、修正される事態もあることは、多数党を持つといえども、枚挙にいとまないほどであるわけです。しかるところ、一方においては、予見されるがゆえに、予算案を先に提出して、法律案を自後に審議しろといっておきながら、一方においては、財政法上の見地において、予見されるけれども、なお不確定な支出であるから、本予算を提出し、確定した後に補正としてこれを提出した、こういう二様の見解をとっていることは、不可解千万です。この点については、わが党としては山本君の意見と同一の見解であると同時に、こういう二兎を追うような議論をされるなら、政府において見解を統一なされない限りにおいては、私どもは予算を伴う法律案については、ことごとく審議に応ずるわけに参らない。こういうことは、将来においても慎しんでもらいたい。これは当然であろうと思いますので、あえてこの際申し上げておきます。
  53. 山村新治郎

    山村(新)委員 いろいろと御意見を拝聴いたしましたが、まず財政法との関連でございますが、問題は対外的な問題でもございまして、ただいま池田さんのおっしゃったような、国内法と同じ取り扱いをもってこれを処するということも、デリケートなむずかしい点があるのではないかと、私はしろうとながら考えておるのであります。ただ、ここでさっき官房長官からも御説明がごいましたが、官房長官としては、予算ができるにしても、なるべくある程度確実な予見ができたときを見てこれを提出したいというのが、大体の御趣旨のようであります。私どもとしては、与党立場でもございますし、同時にすでに事務当局においてもいろいろな角度から検討いたして、財政法上の遺漏がないという見解のもとに委員会に付託されたという経緯でありますから、これは、いろいろな御議論のある点については、今後十分各方面とも気をつける必要があると思いますが、今回のところはこの程度で適当にお取り計らいあらんことを、与党としてお願いする次第であります。
  54. 山本幸一

    山本(幸)委員 面子上主張せられることは別ですが、私どもは面子としてではなく、悪例を残したくないという立場に立って、ものを申し上げておる。先ほど申し上げたように、なぜそんなに急がなければならぬか、九月十五日までに同意をして、同意が終ったら、それから一カ月後に払い込みをすればいいのです。時間があり過ぎるのです。それを、こともあろうに、当初予算を出して二日たった日に補正予算を出す、なぜそんなことをされるのか、私は不思議でならない。普通ならば、もしも当初予算にそれを編入することが時間的に印刷等の関係で不可能だったとするならば、この予算が衆議院を終ってから、直ちに補正予算をお出しになっても、けっこう時間的に間に合うのです。これは世銀の規定あるいはIMFの規定を見ても、そうしてあるのです。九月十五日までに同意すればよろしい、こういうことになっておる。なぜ急がなければならぬか、そういう点からいってもおかしい。ここでは議論はしません。議論は後ほどします。今、官房長官に経緯だけをお聞きしたので、官房長官の確信のある御返答を願いたい。官房長官は、しろうとみたいな顔をしておられるけれども新聞ではくろうとみたいなことを言っておられる。わしは知らぬと言うなら、政務次官という将来の大臣も来ておられるのだから、その人に私はおきする。しかし、官房長官は何でも知っておられるような新聞談話をしておるから、お伺いしたわけです。経過さえ聞けばいいのです。議論議論として、議運としては論理的に筋の通った方を認めていきたい、こういう立場に立ってやっていきたいと思います。
  55. 赤城宗徳

    ○赤城政府委員 事務的に申し上げてみたいと思います。一般予算の閣議の決定が一月二十三日、補正予算の決定したのが二月三日であります。  それではなぜ早く出したかということであります。実は、先ほど申し上げました予算と同時に、国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案も出すことにいたしまして、実は、二月三日にこれは閣議も決定しておるのであります。法律等につきましては、再々私が申し上げておるように、できるだけ早く法律を出そうという考えでありますので、この法律と同時に——また二月二日の各国の賛成を得たその直後、法律も出さなければならないので、同時に予算の方も早く出したらよかろう、こういうことでございます。
  56. 八木昇

    八木(昇)委員 今の山本さんの御質問は、先例としては、本予算が衆議院を通って参議院で審議中に補正予算が出たという先例が三つある。そこでこのケースを考えると、そんなに急いで金をすぐ仕さなければいかぬものではない。だから、衆議院を通って後に補正予算を出すというのでは、どうして工合が悪いのか。それではおそ過ぎるというのは、一体どういうわけか、その点の質問なんですね。
  57. 赤城宗徳

    ○赤城政府委員 今申し上げたように、予算を出すと同時に法律案を出す必要があり、また法律案はなるべく早く出したい。こちらの衆議院の方の予算が上って、参議院にいくと三月になりましょうが、それでは非常に法律案がおくれる。だから法律案も早く出したい。それから二月二日に賛否の各国の結果がわかった、そういうことであれば、法律案を早く出す必要もあるので、それに伴なって予算も出したがよかろう、こういう事情でございます。
  58. 山本幸一

    山本(幸)委員 ちょっと赤城さん、あなたは何か錯覚を起していやしないか。財政法の十八条は、こう規定しておるのです。「大蔵大臣は、前条の見積を検討して必要な調整を行い、歳入、歳出、継続費、繰越明許費及び国庫債務負担行為の概算を作製し、閣議の決定を経なければならない。」従って、十八条の規定でいけば、昨年の十二月三十一日に当初予算の概算は作成せられておるわけです。これはお認めですね。そこで、この見地からいっても、当然その理事会が行われておるのですから、予算は作成でなくても、概算でやれるのだ、概算で、補正予算で出すべきものを当初予算に組み入れることができるのだ、こういう解釈が成り立つわけです。だから、この概算とか作製とかいうことは、必ずしも補正予算を指しておるのではなく、主として当初予算を指しておるものだと思う。その点を錯覚を起さないようにしてほしいと思うのです。
  59. 山中貞則

    ○山中政府委員 非常にむずかしい議論ですけれども、ざっくばらんにいって、こういうことだと思います。当初予算を編成するときに予見し得なかったかという問題ですね。これは、私は予見し得たと思います。しからば、当初予算に組めなかったか、組めば組めたと思います。しかし、組むについては、国内法律ができなければ支出ができないとかいう問題と違いまして、先ほど来官房長官がるる説明しておりますようなスケジュールで、二月二日に一応投票の形式において大体の意思決定を見るわけでありますから、そこにおいて対外儀礼上も、日本国際機関に対する出資金の支出の予算というものも、その投票が行われた後、国会にすみやかに出すのがよかろうという方法をとったわけです。従って、当初予算にも組むことは不可能ではなかったと思いますが、より私ども国会に対して確実な御説明を申し上げるためには、やはり確定後がよかろう、投票後がよかろうということで判断したわけです。しからば、八木君からのお話もありましたがまだ払い込みは先の話ではないか、だからあとに予想される参議院選挙後の臨時国会等でも当然間に合うんじゃないか、こういう議論もまた逆にあると思う。しかし、昨年のベトナム賠償のつけ落し等もございまして、ベトナム賠償IMFを走らすというような——心配も現実にありましたので、やはり予見できて、しかも、それが確定したものは、なるべく早く審議を願う。従って、支出は先であるからといって先に延ばした場合に、当初予算を審議される場合、ほとんど確定的に予見される、手続等も済んだ出資が、そのまま予算に組まれないで、今国会を通すことはけしからぬじゃないかという——逆にあつものにこりてなますを吹いたわけではありませんが、より審重なつもりで、急いで良心的な国会に出したというのが、ざっくばらんなことでありまして、御指摘になります御意見は、全くその通り意見も成り立ちますが、また、私どものやっておることも、事務的にも法律的にも別段間違いではない。だから、どっちの方法もとればとれたのだということです。しかし、私どもは、よりよい方法と思って出したのでありますから、御了解を願いたいと思います。
  60. 山本幸一

    山本(幸)委員 山中政務次官の言葉をかりると、きわめて率直です。今お言葉があったように、予見はし得た。従って、当初予算に組もうと思えば組めたのだ、こういうことをおっしゃったけれども、全くその通りです。これは財政法では、先ほど私がくどく申し上げておるように、予見し得るもの、こうなっておる。予見し得るものとは、いろいろ言葉の使い方もありましょうけれども、少くとも事物の一番最初をいうのです。その予見し得るものと財政法では規定をしておるのですから、これはめんどうであるけれども、当然山中君のお説のように当初予算に組み入れるべきであったと思うのです。その意味においても、私は、今八木君が申し上げたり、あるいは私がさっき申し上げたように、あわてる必要はないのだから、当初予算が済んだあとに出せばいいじゃないかということは、これは自後の問題であって、今論議しておるのは、手続上の問題を言っておるのですが、そういうような解釈からいっても、これは本来ならば、両方とも撤回して、修正案としてお出しになることが、一番財政法上正しいのです。それがどうしてもいけない、時間的に繁雑だし、印刷が大へんだということになれば、これは本予算が済んでから、補正予算としてお出しになることが、論理的に正しいのです。これはもう財政法上絶対正しいのです。これは、解釈は勝手にできましょう。それは自民党は多数決で、勝手にベルを鳴らして本会議を開いたり、それから議長席につかれずに、議席でわけのわからぬことを発言して会期延長をやったり、そういうことをする諸君だから、勝手にやろうと思ったらできるのだけれども、しかし、法律のある限りはやはり法律をはっきり順守してもらいたい。自民党は、なるべくという言葉かもしれないが、順守してもらいたい。そういう意味において、財政法上疑義の起きないようなやり方をやってもらいたい。私の言ったようなやり方ならば、疑義がない。山中君の説は、山中君自身が言ったように、そういうこともやれるけれども、わしの方も不適法ではない、こうおっしゃった。そこにはやはり両方の議論がある。両方の議論があるということは、言葉をかえれば、疑義がある。疑義のあるやり方をしないで、疑義のないやり方をすることが、これは一番法律的に正しいのだ、こう私は思うのです。
  61. 江崎真澄

    江崎委員長 これはどうでしょう、大蔵大臣の御出席要求もありますが、御承知通り、今予算委員会を開いておりまして、こちらの方に出席できぬということでございますので、いずれ大蔵大臣の出席を願いまして、なおあらためて御協議を願うということにして、本日は留保するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  62. 江崎真澄

    江崎委員長 御異議がなければ、さように決定いたします。     —————————————
  63. 江崎真澄

    江崎委員長 次の本会議の件についてでありますが、次回の本会議は、十日、火曜日、定刻から開会することといたします。なお、次回の委員会は、明六日午前十一時から理事会を開き、理事会散会後に委員会を開会することといたします。  本日は、これにて散会いたします。     午後四時十八分散会