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藤山国務大臣 御
指摘のように貿易を拡大する上においては、
アメリカだけが
輸出じゃないのでありまして、ことに金融財政的に安定しておりますヨーロッパなりあるいは豪州、ニュージーランド等の方面、そうした方面にやはり
輸出貿易の拡大をはかっていかなければならぬことは当然のことだと思います。同時に他面、東南
アジアなり
中近東、アフリカ方面に対する貿易市場の拡大をはかって参らなければならぬということも、これまた並行的に行なって参らなければなりません。ただ東南
アジアに対して
考えてみますと、御承知のように
政治的に独立したあとまだ
経済的な独立を完成いたしておりません。植民地
経済の残滓が残っておりまして、いわゆるこれらの国が主として第一次産品をもって国を立て、
世界的市場価格の変動によってその
経済が左右されるというような
状況にあるわけであります。それでありますから、やはり基本的には、これらの国々が
経済的な独立を完成するような
経済建設
計画に
協力し、その結果として、それらの人々が生活状態が改善されて、購買力も上ってくるということになりませんと、本格的には貿易の増進ということは非常に困難であろうと思います。従って東南
アジアに対する
考え方としては、
輸出貿易の促進という面とあわせて
経済協力というものを
考えて参らなければならぬ、それが私どもが今
考えておるところでありまして、岸総理が東南
アジア開発基金という構想を出されましたのも、その
考え方にのっとっておることでございます。われわれとしてはそういう
意味で、こうした構想が何らかの形ででき上っていくということを待望いたしますけれども、しかしこれらの問題につきましては、単に
経済的事情ばかりでなく、いろいろな問題もございますし、また各国のそれぞれの状態によって、急にはこうした問題が進展はいたしておらぬと思います。ただしかし、
世界的にそうした問題が考慮に上っているということは、いわゆる第二
世界銀行の構想が打ち出されてみましたり、あるいは国連におきまして後進国開発基金というようなものも
考えられてみましたり、あるいはIMFなりの増資というような問題が
考えられ、そうしたことで風潮はそこにみんな
考えてきているのではないかと思うのであります。でありますから、
日本といたしましても、岸構想そのままの原始的な形が果して適当であるかどうかは今日の
時代必ずしも判断いたしかねると思いますけれども、できるだけ、今申し上げましたような東南
アジアにおける
経済建設、そうして
政治的独立を全うしたその裏づけとしての自主的な
経済が成り立ち得るようにわれわれは
努力していかなければならない、それがやはり
経済外交の大きな線になっているのではないかと思います。またなっているべきだという
考え方で私はやっておりますつもりであります。