○竹内(俊)
政府委員 ただいま議題となりました三件について提案理由を御説明いたします。
まず
関税及び
貿易に関する
一般協定の新第三表(ブ
ラジルの
譲許表)の
作成のための
交渉に関する
議定書の
締結について
承認を求めるの件につきまして御説明いたします。
この
議定書は、ブ
ラジルの新
関税法制定に伴い、これに見合う新しい同国のガット
関税譲許表を
作成する必要が生じ、そのための
関税交渉会議がわが国を含む二十五カ国参加のもとに昨年ジュネーブにおいて開催され、その結果
作成されたものであります。
従来、ブ
ラジルはガット第三十五条の規定をわが国に対して援用しておりましたのでわが国は同国とガット関係になく、同国との間では
関税交渉を行なっておりませんでしたが、ブ
ラジルは一九五七年八月二十二日にこれが援用を撤回しましたので同国と
関税交渉を行うことが可能となり、前記
関税交渉会議がジュネーブにおいて開催された機会をとらえ、わが国もこれに参加してブ
ラジルと
交渉を行うことといたしました。
わが国とブ
ラジルとの
関税交渉は、ガット締約国がそれぞれの
関税障壁を除去または緩和し、もって国際通商を一そう促進することを目的として行われ、わが国は、この
交渉においてブ
ラジルから十四税目の
関税譲許を獲得するとともに、同国に対して二税目の譲許を与えておりますが、これが実施に移されますならば、
関税引き下げの面からする両国の
貿易量の増大に寄与することが期待されます。
この
議定書に掲げられているわが国の
関税譲許は、わが国がこれを適用する旨の通告をガット書記局長に対して行うことによりわが国について効力を生ずることになっております。わが国の
交渉相手国たるブ
ラジルも、近くこの適用通告を行い
交渉の結果である新たな
関税譲許をガット締約国に対して適用することが予想されており、わが国としてもすみやかにこれを行う必要があります。以上の理由によりこのたびこの
議定書を提出して御
承認を仰ぐ次第であります。
なお、この
議定書の
国会提出に際しまして、
日本語の文書としては
議定書の本文及びわが国の
譲許表のみを提出し、他の国の
譲許表については正文を配布申し上げるとともに、邦文で説明書を
作成して御
審議の参考にするという措置をとらせていただきました。これは昭和三十一年第二十五回
国会にお旧いて御
承認のあったガットの第六譲許追加
議定書提出の際の手続にならわせていただきましたものでありまして、他国の
譲許表がわが国の権利義務に直接の関係がないからであります。このように、第二十五回
国会の例にならいましてわが国に実質的に関係ある部分についてのみ、
日本語の訳文を提出させていただくことといたしました点について御了承を得たいと存じます。
以上の
事情を御了察され、御
審議の上すみやかに御
承認あらんことを希望する次第であります。
次に
日本国とカンボジアとの間の
経済及び
技術協力協定の
締結について
承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。
カンボジア王国
政府は、昭和二十九年十一月にわが国に対する
賠償請求権の放棄を通告して参りました。同国のこの好意に報いるため、
政府は同年十二月、カンボジア王国
政府に対し、同国の
経済開発の援助を目的とする技術援助を与え、かつ
経済その他の分野で協力実現のための措置をとる用意があることを通報いたしました。その後昭和三十二年六月に至り、カンボジア王国
政府は、農業牧畜の開発についてわが国の援助を受けたい旨の希望を明らかにし、また同年十一月中旬には、岸内閣総理大臣が第二次東南
アジア訪問に当ってカンボジアを訪問し、プノンペンで同国
政府首脳と会談いたしましたが、その結果
経済技術協力協定の
締結について原則的に合意に達しましたので、右に基いて引き続き現地の吉岡大使を通じ、
先方政府と
交渉を重ねて参りましたところ、このほど意見の一致を見るに至り、三月二日にプノンペンで、在カンボジア吉岡大使とソン・サン
外務大臣との間で
協定に署名調印を行なった次第でございます。
この
協定に基きまして、わが国はカンボジアに対し、総額十五億円の無償の援助を原則として三年の期間内に
日本国の生産物及び
日本人の役務の形で供与することとなります。
なお
協定の実施細目については目下折衝を続けており、近く合意に達する見込みでございますが、生産物及び役務の供与の方式は、前
国会において御
承認を得て、一月二十三日に発効いたしましたラオスとの間の
経済及び
技術協力協定の援助実施方式と同一のものであり、またこの援助の対象となる計画といたしましては、
協定の附属書に掲げてある通り、農業技術センターと種畜場の設置計画が予定されております。
よって、この
協定の
締結について御
承認を求める次第であります。何とぞ慎重御
審議の上、御
承認あらんことを希望いたします。
最後に
日本国とユーゴースラビア連邦人民共和国との間の
通商航海条約の
締結について
承認を求めるの件につきまして御説明いたします。
わが国とユーゴースラビアとの間には、現在大正十二年(一九二三年)署名の
日本国「セルブ、クロアート、スロヴェーヌ」国間
通商航海条約が復活適用されていますが、この
条約は戦後の実情に即しない点もありまして、この
条約を昭和二十七年に復活させるときに、将来新しい
通商航海条約を
締結する必要を
確認した次第であります。
かくて昭和二十八年八月ユーゴ側は新
条約の草案を提示して参りまして自来ベルグラードにおいて
交渉が続けられ、途中双方の意見が対立して
交渉が中断される
事態もありましたが、本年に至りましてユーゴ側がわが方の主張に大幅に歩み寄った結果、ようやく妥結を見ましたので、二月二十八日にベルグラードで在ユーゴスラビア加瀬大使とユーゴスラビア
代表ツルノブルニや外務次官との問に署名を了した次第であります。
この
条約は、現行の
日本国「セルブ、クロアート、スロヴェーヌ」国間の
通商航海条約を参照しますとともに、戦後わが国が
締結した
日米、日諾
通商航海条約、日印、日ソ、日波通商
協定等と類似した
内容のものであります。
この
条約によりましてわが国とユーゴスラビアとの間の通商航海関係は、現状に即した新たな法的基礎の上に置かれることとなるわけでありまして、両国間の友好関係及び
経済関係を発展させるものと
考えられますので、ここにこの
条約の
締結について御
承認を求める次第であります。
以上三件につき、すみやかに御
承認あらんことを希望いたします。