○帆足
委員 防護措置、それから受信機の問題、必要なことは備えあれば憂いなしということでやってもらいたい。私はもちろん柳
公使の写真しか拝見しておりませんが、お人柄から見て、報復措置をするなどというようなことは、この外務
委員会などで論議をしたわけではないのです。そうではなくて、霧深くして間違って船が迷ったり、また
韓国側としてもやはり送還船問題でいろいろなことが報道されますから、下級乗組員などは興奮して、つい海賊まがいの行為に出たがる。これは人間の生物学的
傾向としてそういうことをやりたがる。そういうことのないように受信機も備えておいて、あやまちなからぬことを期す。いわんや
韓国側をこういう小さな問題で刺激するようなことはやっぱりよくないと思うのです。刺激しないで、そうしてなすべきことはきちんとしておく、こういう
意味で申し上げたのでございますから、誤解のないようにお願いいたします。
それから、最後に厚生
関係でお尋ねいたしたいことが三つございます。
一つは、
韓国に抑留されておる漁民が百四十七名と聞いておりましたが、きょうの新聞で見ますと、石五十何名ということです。何人になっておりますか。そして今日、遺憾なことですが、もしこの問題がからむということになりますと、一そう国策の犠牲ということで、外務
委員会は人道上の見地で朝鮮人の諸君に同情して正しい理解を持った。では
日本の漁民に対しては理解を持たないのかというようなお気持でも抱かれては、抑留漁民の方や、留守家族の方に対してまことに済まぬことである。われわれは、人道に対してやはり責任と義務を持ちますけれども、同時に、同胞が、たとえ一人でも二人でも不当な苦しみを受けているということに対しては、夜も寝られぬくらいの心配をするのが、議員としての務めでございますので、事ここに至りますれば、
一つ水産庁、厚生省にお願いしたいことがある。第一は、抑留漁民についての援護措置ですけれども、これは中国に抑留されている者もいるし、ときとしては、
ソ連にも航路を誤まって抑留されておる者があるから、一々それを援護すればもう限りがない。やはり画一的でなくてはならぬということをときどき聞くのですが、大体収容所というところは、どこでもそれほどいいところではない、一流のホテルじゃないのですから。しかし、生理的に苦痛を感ずるというほどの抑留所は、今のところ釜山だけなんです。釜山の抑留所で一番困っているのは、栄養失調と病気の問題です。これはたびたび申しましたが、
日本に帰ってから五カ月もたてばもう半数以上就職していると思ったら、実は三、四割はまだ腰が抜けている、六、七割はまだ病院通いをしている、やっと一年たってどうにか普通の
生活に戻れる、こういう
状況です。たとえば食事をしている間にもう腹がすいてからだががたがたふるえてくる、ちょうど
日本の戦争中の憲兵隊の地下室みたいなものです。従いまして、どこの抑留所も同じだから、画一的というのではなくて、生理的限界を越えているという以上は、第一に栄養物なり、書物なり、物心両面の栄養物を送ってもらいたい。人数が前のように二千人もあるときは、大へんな
予算で手が届きませんけれども、今百数十名ということを伺いますと、中央でも、地方自治庁でも、また中央で出されなければ
一つあっせんして、漁民団体も多少
担当するというふうにして、現在送る費用を補助していただいておりますけれども、前は汽船で送っておったのを、それでは荷物がつかないというので、飛行機で送った。飛行機賃が高いためにそれに食い込んでいるわけです。そういう特殊の事情がありますから、やはり画一的にお
考えにならずに、釜山の抑留者は栄養失調になっているという人道上の見地と、国策の犠牲に今ではなっているという特殊の問題、二つのことをあわせてお
考え下さって、援護措置を強化していく。同時に心配なのは留守家族の問題です。留守家族の援護に対しても、これは国策の犠牲になっているという面がありますし、人数も少いですから、除外例の措置を講じていただきたい。現在の抑留者の
状況、これに対して
政府が御研究なさる
意思があるかどうか、このことについては、特に
戸叶さんが留守家族のおかみさんたちと会って、詳しく事情を現場で調べてきたんです。従いまして、画一的になさらずに、この問題について特別の御配慮をお願いしたい。御答弁をお願いいたします。