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1959-03-24 第31回国会 衆議院 運輸委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年三月二十四日(火曜日)     午前十時四十九分開議  出席委員    委員長 塚原 俊郎君    理事 天野 公義君 理事 長谷川 峻君    理事 堀内 一雄君 理事 井岡 大治君    理事 久保 三郎君       宇田 國榮君    川野 芳滿君       菅家 喜六君    關谷 勝利君       高橋 英吉君    羽田武嗣郎君       前田  郁君    山田 彌一君       菊川 君子君    久保田 豊君       杉山元治郎君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 永野  護君  出席政府委員         運輸事務官         (大臣官房長) 細田 吉藏君         運輸事務官         (海運局長)  朝田 靜夫君         運輸事務官         (自動車局長) 國友 弘康君  委員外出席者         運輸事務官         (海運局次長) 辻  章男君         専  門  員 志鎌 一之君     ————————————— 三月二十日  委員宇田國榮辞任につき、その補欠として賀  屋興宣君が議長指名委員に選任された。 同日  委員賀屋興宣辞任につき、その補欠として宇  田國榮君が議長指名委員に選任された。 同月二十四日  委員小枝一雄君及び中崎敏辞任につき、その  補欠として山田彌一君及び久保田豊君が議長の  指名委員に選任された。 同日  委員山田彌一君及び久保田豊辞任につき、そ  の補欠として小枝一雄君及び中崎敏君が議長の  指名委員に選任された。     ————————————— 三月一十日  木材類特別等級編入及び遠距離割引存置等に  関する請願今村等紹介)(第二六五九号)  城東貨物線の電化及び客車運行に関する請願(  阪上安太郎紹介)(第二六六〇号)  大隅地方国鉄バス路線延長に関する請願(前  田郁紹介)(第二七七四号)  国分、古江間国鉄バスの鹿屋駅乗入れに関する  請願前田郁紹介)(第二七七五号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  自動車ターミナル法案内閣提出第一五五号)  (参議院送付)  海運に関する件      ————◇—————
  2. 塚原俊郎

    塚原委員長 これより会議を開きます。  内閣提出参議院送付にかかる自動車ターミナル法案を議題とし、審査を行います。  質疑通告がありますので、これを許します。井岡大治君。
  3. 井岡大治

    井岡委員 政府法案に関する参考資料の中で、自動車運送事業者に対して当該自動車ターミナルを使用するように命じ得るものである、こういうように御説明をいただいておるわけですが、しかしこれは運送事業者に対しての命令であるわけなんです。しかし今一番道路上における輻湊原因をなしておるものは、道路上に駐車をしておる自家用車、これらがかなり事故原因を誘発しておりますし、同時に交通輻湊をかもしておるわけです。従ってこれらの取扱いはどういう処置をとられるのか、この点を一つお伺いしておきたいと思います。
  4. 國友弘康

    國友政府委員 一般乗合旅客自動車運送事業者に対しまして、設置等について必要な措置をとるべきことを指示することができる条文が第二十九条でございます。駅前広場その他道路上におきまして、確かに現在自動車駐車その他で輻湊いたしておりますが、自家用その他の乗用車の、あるいは一般トラック駐車につきましては、駐車場法を制定いたしまして、駐車場法によりまして、現在駐車場整備地区を指定しておりますところがございます。これはたとえば東京駅の周辺とか銀座あたりでございますが、それにパーキングメーターを作りまして、これらの方に持っていく、及び地下駐車場を現在丸ノ内の丸ビルと新丸ビルの間に作っております。そういうパーキングメーター地下駐車場を作ることによりまして、その方向乗用車を入れる。バスにつきましてはバスターミナル設置する方向に持っていく。そうして道路上なり駅前広場なりの混雑を緩和する、そういうふうに考えておる次第でございます。
  5. 井岡大治

    井岡委員 なるほどその駅前広場であるとかあるいは銀座あたりでそういう方法がとられておりますが、主として自動車輻湊しておるところは、そういうところもその通りでございますが、現実道路の幅員が非常に狭い裏町等が非常に輻湊している。しかもその方面における事故というものはかなり大きな件数を占めておりますし、同時にそこらに起る事故というものは、非常に事故が大きいと言うか、何かわれわれの言葉で言うと大きい、こういうことになるのですが、そういう点を考慮いたしますならば、単に今の考え方だけでは足らないのじゃないか。一方においては事業者に対してはこのターミナル法を作って、これで命令をしていく、片方の方は野放しにしていく。しかも自動車自家用免許というものは、車庫を持たなくてもよいということになっておりますから、ここに大きな原因があると思うのです。ですから、この点を明確にこの際規定をするなりあるいは将来の指導なりを明らかにしておかなければ、業者だけに適用したターミナル法では、私は用をなさないのじゃないかと思うのですが、この点もう一度お伺いしておきます。
  6. 國友弘康

    國友政府委員 自家用車車庫を持たせるという件につきましても、私どもの方としても検討いたしておるのでございますが、道路上の駐車その他に関しましては、道路交通取締法警察庁の所管にもなっておりますので、現在警察庁の方と連絡をとっておるのでございます。車庫の点でありますが、車庫につきましては、現在トラックにつきましては車庫登録の場合に届け出るような措置を講じておりますが、実はその車庫の点で非常にむずかしい問題がございますのは、たとえば一キロ離れておるところに車庫を持つといたしますと、車庫はありましても、その車庫自動車を入れますよりはむしろ自分の自宅の前に自動車を置いた方が、翌日の利用等には便利であるというようなことで、実は車庫がありましても道路上に置く場合があるのでございます。それで実は消火せんのまわりとかそういうところで、自動車駐車さしてはいけない個所が道路上には指定してございますが、そのほかにおきましても、できるだけ道路通行自動車通行を阻害しないように、警察の方と連絡をとって、道路自動車の置いてありますのをできるだけ整理していきたいということを考えておりまして、これは警察庁運輸省両方共管になっておりますから、今後問題点として、実は警察庁の方も積極的でございますので、検討を加えて参りたいと思っておるのでございます。
  7. 堀内一雄

    堀内委員 関連質問。ただいまの自家用車車庫の問題につきましては今、自動車局長答弁のように、各省に関連しておるようでございますが、私が今お伺いしようと思っておるのは、いわゆる乗用車でなくて、そうして大都市でもなくて、地方の小都市の場合でありますけれども、いわゆる三輪トラックとかいうような式のものがこのごろ非常に多くなって、しかもあまり道路の広くないところでみな道路へ出ておるというようなことが、交通事故の重要な原因になっておるのですが、考えてみれば、今の三輪車程度のものは昔の荷馬車なり手車といったような程度運送をやっておるように思うのでございますけれども、そういうような程度のものは、昔は相当取り締っておった。ところが、自動車になってその方がほとんど野放しになっておるということが、今の少くも地方における小都市自動車事故のおもなる原因になっておるようでございますが、ただいまのお話で、運輸省として免許の場合には、いわゆる乗用車でない自家用車の場合にどんなふうになっておりますか、いま一度お伺いしたい。
  8. 國友弘康

    國友政府委員 自家用に関しましては登録をいたしますだけで使用ができるわけでございます。登録の際に、トラックにつきましては、今お話のございました車庫等につきしても届出をさせるということで規制しておりまして、自家用につきましては単に登録をいたしますれば使用できるという形になっております。
  9. 堀内一雄

    堀内委員 ただいま御答弁のように、これは警察なり道路管理者なりいろいろな方面関連があると思いますが、一つこの問題については運輸省が中心となりまして、すみやかにその方面の法制その他を整備してもらいたいと思いますが、大臣の御意見をお伺いしたい。
  10. 永野護

    永野国務大臣 私も堀内委員のお感じになりましたのと同じような感じを持っております。ほとんど野放しに無制限にふえる自家用車道路を占用しまして、一般交通を阻害していることは事実でありますから、これをこのままに放任しておいていいとは思っておりません。従いまして、警察の方と連絡をとりまして、その対策を研究中でございます。何らかの対策を講じなければいかぬということは御同感でございます。
  11. 長谷川峻

    長谷川(峻)委員 関連。今オート三輪とか自家用車の話が出たが、たとえば池袋のかいわいには、バスが十台、二十台と朝車庫なしに並んでいるのです。それをわれわれが追い越したり何かするところを見ますと、ターミナル法案発着所のいろいろな設備ですけれども、今バスがあの通り野放しに、しかも営業で野放しにされていることはこれは私は前から疑問に思っておるのですが、この法案とああいう関係はどうなりますか。
  12. 國友弘康

    國友政府委員 この自動車ターミナル法につきましては、たとえばバスで申しますと、「旅客乗降のため、同時にバス二両以上停留させることを目的として設置した施設であって、道路の路面その他一般交通の用に供する場所停留場所として使用するもの以外のもの」という規定になっておりまして、これは旅客乗降のために発着をする目的でございまして、車庫自動車ターミナルとは違うわけでございます。車庫につきましては、ことに乗合バス車庫につきましては、道路運送法の方で車庫設置することを規定しておりますので、今仰せられましたようなことにつきましては、具体的にその会社ごとについて調べまして、もしそれを路上にいつも放置してあるようでございましたら、車庫設置を慫慂なり命令なりをする形に持っていきたいと考えております。
  13. 長谷川峻

    長谷川(峻)委員 今のは国際興業です。これは何十台となく並んでいる。中野の駅とか池袋の駅に。僕はいつでも、あれは許可する場合にそういう車庫手当をしたはずなんだから、東京のようなところで、あんなにバスが並んでいるのはおかしいと思うのですよ。具体的の話を一つの例として申しましたが、そういうふうにほかのところもお調べいただければけっこうだと思います。
  14. 井岡大治

    井岡委員 そこでこれは単に警察共管であるからということで放置をしないで、今都市交通で一番輻湊しており障害になっておるのは、自家用車届出だけでありますから、しかもそれらの人は単に荷扱いをするとかあるいは御主人を待つとかいうものであるならば今の局長お話のように私はやむを得ないと思うのですが、一日中そこに置いておくというのがかなりあるのじゃないか、こう思うのです。それらについて何らの手当をしないために起る事故というものは非常に多い。これが今日の都市交通の一番の隘路じゃないか、こう思うのです。そういう点を考慮していただいて、早急に対策を立てていただかなければ、せっかくこの自動車ターミナル法を作ったり、あるいは自動車産業というものをよくしようとしても、そこからくる行き詰まりというものが出てくるのではないか、こう思うのです。従ってこの点特に、大臣も今同僚の堀内さんの御質問に対して御答弁がありましたようですから、私は重ねてお伺いしようとは思いませんが、一つお願いをしておきたい。
  15. 塚原俊郎

    塚原委員長 他に御質疑はございませんか。——他にないようでございますので、本案に対する質疑はこれにて終局いたしました。  これより討論に入りますが、別に討論の申し出もございませんので、これより採決いたしたいと存じます。御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 塚原俊郎

    塚原委員長 御異議なしと認め、これより採決いたします。  自動車ターミナル法案賛成の諸君の起立を求めます。     〔総員起立
  17. 塚原俊郎

    塚原委員長 起立総員、よって、本案は原案の通り可決いたしました。  この際、長谷川峻君より発言を求められておりますので、これを許します。長谷川峻君。
  18. 長谷川峻

    長谷川(峻)委員 ただいま可決されました自動車ターミナル法案に対して、附帯決議案をこの委員会として出しておきたいと思います。  その案文を朗読いたします。   政府は、自動車ターミナル公共性に鑑み、その整備を促進するため、国有及び公有地の貸付並びに道路都市公園駅前広場等地下占用等につき特別の配慮をするとともに、財政援助及び税の減免につき必要な措置を考慮すべきである。   なお、大都市におけるバスターミナル設置緊要性に鑑み、都心においてバスターミナル事業を経営する特殊法人の創設及びこれに対する政府出資につき早急に検討すべきである。   右決議する。 こういう決議案でありますが、御賛成を得たいと思います。
  19. 塚原俊郎

    塚原委員長 ただいま長谷川君より提出されました動議のごとく本案附帯決議を付するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  20. 塚原俊郎

    塚原委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  この際、政府当局より発言を求められておりますので、これを許します。永野運輸大臣
  21. 永野護

    永野国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、政府といたしましても本法案の実施に際しまして、その御趣意を十分に加味いたしまして万全の努力をいたす所存でございます。
  22. 塚原俊郎

    塚原委員長 なお、ただいま可決いたしました本案に対する報告書作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  23. 塚原俊郎

    塚原委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。     —————————————
  24. 塚原俊郎

    塚原委員長 次に、海運に関する件について調査を進めます。  質疑通告がありますので、これを許します。久保田豊君。
  25. 久保田豊

    久保田(豊)委員 私は海運、特に今雑誌や新聞等で騒がれております熱海——大島間の定期旅客航路免許問題に対して大臣に御質問いたしたいと思います。  根本から言いますと、この問題は背景が御承知通り西武並び東急という二大私鉄独占の闘争の一つの環と思われておりまして、非常に複雑な問題であります。御承知通り昭和三十一年の五月二十一日並びに二十三日、この両日にわたりまして、東海汽船伊豆箱根から両方でもってこの熱海——大島間の定期旅客航路申請が出されて、それから三十二年十二月二十七日に運輸審議会に諮問されたわけであります。それからさらに約半年以上も審議が行われまして、三十三年四月二十四日から二十六日までは、御承知通りこの運審が始まって以来の三日間にわたる大公聴会が行われて、その結果三十三年十月二十七日に運審といたしましては両者に免許をすることが適当であるという答申大臣にされ、大臣は直ちにこれに対していわゆる受納の決裁をされているわけです。こういう経過であるにもかかわらず、その後すでに約五カ月、半年近くになるわけでありますが、まだ大臣免許が実際におりておらない。こういう特異なケースでございます。  そこで私は第一に大臣にお伺いいたしますが、こういうバスなり定期航路なりの免許申請に対して、運審答申が出て半年近くも免許が実際に行われなかったという事例が今まであるのかどうか。この点でも非常に特異なものではないかと思うのであります。私ども海運局において調べたところでは、こういうふうに長引いてすでに運審答申が出てから半年以上も未決定で放任されているというような事例はどうもないようです。この点はどういうのですか。この点を第一にお伺いいたします。
  26. 永野護

    永野国務大臣 久保田委員の御説の通り海運関係ではこう長引いた例は今までないようであります。ただ、今までこういうむずかしいケースがなかったということであろうと思うのであります。今まではもっとすなおなケースでありましたために非常に決裁が早くできたのであります。私が久保田委員に説明するよりも久保田委員の方がよく御承知でございますけれども、これは非常に複雑なことになっておりますので、こういう事例は今まで前例がなかっただけに——今までの例にはないけれども、これがなぜおくれているかという御質問でございますが、これは今まで前例がなかったような複雑なケースだからおくれておる、こうお答えを申す以外に方法はございません。
  27. 久保田豊

    久保田(豊)委員 今の大臣お答えはどうも私どもには納得ができない。かりに伊豆に連関した問題にいたしましても、伊東—下田間の鉄道免許の問題は、同じように、実質的に言えば東急西武競願になり、これ以上にもっと大きな重要な背景を持ち内容を持つ複雑な問題である。ところが、これはそれよりあとに答申が出たのにかかわらず、免許は早く出ております。ところが問題の複雑さという点については、こまかい点についてはあれですけれども、重要さから見ればはるかにこれとは違ったこのケースが、特におくれたという理由については、どうも何かそこに割り切れないものを世間一般が見ておる。これはいろいろの点でもって幾らでも実証できるわけでございますけれども、こまかいことは時間がありませんから申しませんが、この点についてはどうも私ども納得ができない。もう一度大臣の御答弁を願いたい。
  28. 永野護

    永野国務大臣 先ほどお話のございました伊豆鉄道の問題は片がついたのに、これは片がつかぬじゃないかというお話でございますが、下田鉄道の方はほとんど超党派的に地元が結束して許可をするようにという申請をしてきておるのであります。ところがこの熱海—大島間航路の問題につきましては、むしろ超党派的に、二つに分れて一本になっておらないのであります。何も東京都がどうこう言ったからということではございませんが、東京都も二回にわたって、いましばらくこの両派の妥協がつくまで決裁を見合せてくれないか、必ず一本化するからということを公式に申し出てきておるのであります。私どももほとんど互い違いに、きょう数十人、この間は百何一人、早く免許してくれという陳情が来ると、翌日はまた百何十人、今度はこれをしばらく見合わしてくれという陳情に応接しなければならぬというのが、今の現実の姿でございます。私は個人といたしましては実はいろいろな意見があるのであります。これは公けにはお話のできないことでありますけれども、調停の労を相当とったのでございます。五島と堤とのあっちこっちのけんかの一つのように私も最初思っておったのでありますが、五島君はこの一本化に協力いたしまして、小川君に相当言ってくれたのでありますけれども小川君が言うことを聞かないのであります。そのために五島君は怒ってこの会社を辞職したことは御承知だろうと思います。つまり五島君はそれに協力する努力はしたのでありますけれども、その話がつかなかったというようないきさつもございます。従いまして、運輸省当局といたしまして決して漫然と放任しておったのではないのでございます。なおその途中で、今日は解決がつきましたけれども大島桟橋に通ずる通路に地上権を設定して、伊豆箱根の方のなには通さぬというようなトラブルもありまして、これは解決がつきましたけれども、延びました一つ理由にもなっております。  それから私は、こんなむずかしい問題でありますから、両方出発点到着点、つまり熱海大島の港の実情も数回見に参りました。熱海の方は計画はできているらしいのでありますけれども、今の、少くとも数日前までの現状では、安全とは言いがたい。予定通りあれを伸ばしまして、さらに理想を言えば、もう五十メートルも伸ばさなければむずかしいと思いますが、応急的に見ましても、今の十数メートルというものは、どうしてもあの工事が完了いたしませんと、船の一部分だけをつけるというのでは、晴天の日はいいのでございますが、それでいくと思いますけれども、それでは晴天の日だけ航海するというような定期航路という名にふさわしからざる運航をしなければならないというのが今の実情だと思っております。実はこの二日続きの休みを利用しまして、大島方面桟橋の運営が、果して両方に許して——つまり答申しておりますような両社に許してうまく使えるかどうかという実情を見たいと思いまして、すでに船の切符の手配、宿の手配もしたのでありますけれども、私が行くというので両派がまた大へんな騒ぎを起しそうなので、おそれをなして実は急に中止いたしました。そんないきさつもございます。従いまして、今東京都からも、そう手間取らぬで必ず円満にするから待ってくれ、こういう要請もございますし、そうして熱海の船着きの模様が今すぐでは無理だ。これは私、数回参りまして、静かな日、波のある日、両方を見ましたけれども、静かな日は、頭か、しりか、どっちかを突っ込んでのお客様の乗りおりはできると思いますけれども、少し波があるとこれは危険だという感じを私は持っておるのであります。従いまして、予定では三月一ぱいにその防波堤の延長ができることになっておるそうでありますけれども、数日前に行って実地を見ましたところでは、まだ全然工事に着手してはおられないように見受けたのであります。従いまして、それだけではございません、いろいろな事情を総合勘案いたしまして、いましばらくこの問題の決定は見送るべきだ、そういう行政措置をすべきだ、こう考えて目下その推移を見守っているのが実情でございます。
  29. 久保田豊

    久保田(豊)委員 どうも今の大臣答弁は私おかしいと思うのですよ。なるほど熱海—大島間は、いわゆる伊豆箱根派東海汽船派二つに分れて陳情合戦を繰り返していることは、これは私どももよく承知をしております。しかしこの問題の経過というものは、そういう経過ではないわけです。当初は町長以下が全部、町会も全員が伊豆箱根についての賛成決議をしておるわけです。それが途中からこういうふうに二つに分れてきた。しかもだれが考えたって、あそこのいろいろの状況を考えると、二つ路線熱海からの両社路線免許されることがあそこの不利益になるはずはないのです。そんなことはわかり切っている。どなたも、常識のある者が考えるならば、不利益でないことはわかり切った話だ。その裏に両社のいわゆるエゴイズムといいますか、そういった不正に二社の競願を防止しようという、ぶちこわそうという勢力が働いて、その結果がああなっていることは明らかです。この点は運審なりあるいはそれ以前の原局たる海運局十分調査をして承知しているわけです。それをその後において、そういう運動があったからといって、大臣が足踏みされる、また東京都にいたしましても、その問題について何らかの手を打っているかというと、現実に手を打っておらないじゃないですか。東京都はそうじゃない、一社をやれといって公述しているじゃないですか、東海だけで。それが調整のつくはずがないと思うのです。  もう一点。今大臣がお述べになりました熱海桟橋なり何なりが不完全だという。ではこの一年半海運局は何を調査しておったのですか。また運審は何を審議したのですか。すでにその以前にも何回か行って、そういうところは技術的な観点からも検討しております。認可がおりてからも、十一月十日には運輸省海運局定期船課長がわざわざ熱海まで行ってそういうところの調査をしているじゃありませんか。そうしてこれは大丈夫だということを言っておるわけです。大臣はどういうお立場から、技術的な見地からあれでは不十分だと言われるのか。あなたはいつもいろいろの陳情団に対しても、大島の方が二つに割れておる、だからそれでもって困るのだ——これが調整がつくはずがありませんよ。これは片方の方が、大いに東海汽船の方がいろいろな策を弄して、これは伊豆—下田の場合にもありました。東急側東急側で、金で買収した連中をいわゆる東急賛成派に仕立て、西武の方は西武の方で買収した者は反対々々で、いつまでも両方でやっている。ですからいつまでたったってけりがつきっこありませんよ。この前だって同じことです。これらの点は運審なり原局なりが、すでにこういう答申をするまでに十分認定済みの問題でありまして、それを今ごろ大臣が取り上げてやられるということは、私はどうも納得ができない。この点について、もう一回大臣のはっきりした御答弁を願いたい。
  30. 永野護

    永野国務大臣 二つの問題があります。熱海の船着きの問題と大島の政治情勢の問題と、二つの問題でありますが、熱海の問題は、おそらく昨年現地に行ったときは、三月三十一日までに防波堤を伸ばすという熱海市の設計がありますから、できるものと考えたものであろうと思うのであります。ところが、その後数ヵ月たちまして、私が参りましたのは数日前でありますけれども予定通りできておりません。でありますから一応運審の人や運輸省の現地を見に行った人が、昨年でありますから三月三十一日までにはできるであろうという想定のもとにおそらく意見を述べたのであろうと思うのでありますけれども実情がその通りになっておらないということを私申し上げたのであります。時の差があります。数カ月前のおそらくこれはできるであろう——市が責任を持って予算を組んでおるのでありますから、できると思うのもおそらくもっともだろうと思います。しかし、現在できていないことは私の目で見てきたのでありますから間違いございません。  それから今の、大島二つに割れていることは片がつかぬじゃないかというような御意見でございますが、御意見として承わりますけれども、少くも現実は御承知通りまっ二つに割れて、ちょうど半々に割れておりまして、決議が、たしか町会の決議というのを私は二つ受け取った記憶があります。おかしいじゃないか、同じ町会で正反対の決議をする、といったら、何かちょうど同じくらいなものだから、一人欠席したときに決議をとると片一方の方の派になる。今度その次にまた片一方が一人か二人欠席したときにやりますと、その方が多数でありますから、そういうきわめて妙な、正反対の決議が同じ町の決議としてできたというような実情であるらしいのであります。これが現実の姿であります。それがどうしてできたかということを、私どもはこれは自治庁と違いまして、町政の内部がどういう原因でそういうことになったであろうかということを検討する立場にございませんので、現実の姿に町が割れておるとすれば、その割れておる状態に即して問題を考慮しなければならない上に、久保田委員は何ぼ待ったって一本になりっこないのだというお話でございますけれども、少くも監督官庁である東京都の方はいずれこれは必ずまとめますから、いましばらく待ってくれということを二回も申し出てきております。従いまして私どもといたしましては、実情はあるいは久保田委員のおっしゃる通りかもしれませんけれども、われわれはその内容に入って大島町会の内部の動きというものに運輸省の見解を加えることは差し控えたいと思います。少くも現状が非常にもめておるから、それがいましばらく落ちつくまで模様を見よう、こういうのが私どもの行政の方針なのでございます。
  31. 久保田豊

    久保田(豊)委員 どうもまだその点では納得がいかないわけです。熱海桟橋の問題にしましても、かりに市会の方でもって——あとで山田君がその点については詳しく質問をされると思いますから私は簡単にしますけれども、かりに三月までにいたしましても、まだできておらないにしましても、これは免許をしてから運航の技術的な問題で幾らでも片づく問題です。それから東京都の今の反対の問題も、東京都でだれが責任を持ってこれは解決するのですか。この点をはっきり大臣の方に、だれがどういうふうに責任を持ってどう解決するのか、明確なあれがあったならば別ですけれども、私どもの得ておる情報では、東京都は運輸省に対してはそういう申し出をしていないようであります。この点はどうなのですか。
  32. 永野護

    永野国務大臣 どういうふうに一本化するということは申しておりません。しかし、何とかしてまとめますから、こういうお話は二度ございました。これは正式に私も聞きましたし、それから官房長も正式に聞いております。私も口頭で聞いておりますが、ともかく正式の東京都の代表権のある人が、私ども運輸省の代表権のある者にそういうことを言っておるのでありますから、それは相当に尊重して考えるべきだ、こう考えます。
  33. 久保田豊

    久保田(豊)委員 私どもの聞いておるの、東京都の港湾局長から伊豆箱根の方は免許になったけれどもこれはつぶしてくれという、そういう意味の内容を含んだ、その前提になるものが、あそこの桟橋二つは無理だから、もう一つはあそこは伊豆大島間が二つ認可になると、要するに熱海から七島になりまして補助航路になっております。この点東海汽船の経営が非常に危険になるからやめてくれ、こういう抗議的な意味でのものを、あなたの方へは答申があったものがいっておるということは私どもの方の情報にもきております。しかしこの点はすでに海運局長公聴会その他でも明確に言って、そういう点は十分審議をせられて、この二社の免許という答申が出ておることは、この答申書の内容を見れば明らかであります。ですから東京都が明確にそれでは責任を持っていつまでに調停をするというなら、これは東京都のどなたが言ったのか、これをはっきりしていただきたい。大臣の口から、この点を東京都のだれが何日に責任を持っていつまでにこの問題を解決するか、調停をするか、その調停というのは両社免許にまとめるという意味でしょうか。そういう意味でのものがあったというなら、これはまた話は別でありますが、どうも今のお話でははっきりしない。この点はどうなのですか。
  34. 永野護

    永野国務大臣 何月何日までにどういうふうにまとめるということは言っておりません。先ほども申しましたように、こうごたごたしては調整がうまくいかぬから、両社に許したらずっと長く引き続いて町がまっ二つに割れてしまうから、それではとうてい町や村の行政ができぬから何とかして一本化したい、われわれ努力するから待ってくれと言ったのでありまして、具体的に何月何日までにどうこうするということは私ども聞いておりません。しかし、私どもは責任を持って行政を運営しておる者といたしまして、その程度のことを聞きますれば、そう一日、二日を争って急速に決定しなくても、せっかく東京都がそれだけの熱意を持っておるのならばその推移を待とうということを、私の責任でそう決定したのであります。
  35. 久保田豊

    久保田(豊)委員 その点は大島の町長並びに大島の町会の議長から責任を持って私どもが聞いたところでは、町会は、なるほど一部の議員はいわゆる両社免許には反対であって、東海だけには賛成だ、こう言うのです。町長並びに町会議長その他の人は両社免許賛成だ、伊豆箱根だけに賛成だというのではないのであります。両社免許をしてくれという意味でこれは賛成であって、この線ならば十分にまとまりますと、現地の町長なり町会の議長が責任を持っておるのに、あなたはそれに対して、どうもそれじゃまとまらないという判定をすることはおかしいじゃないですか。また東京都にいたしましても、現地の町長なりあるいは町会の議長なりが、なるほどこういうふうな二つの格好にはなっておりますけれども、これは内容はこうであります、ですから認可が片方になればこれは問題だ、しかし両社答申通り認可があればこれはまとまります、また私どもがまとめますということをはっきり言っております。それを東京都がまとまらないから、まっ二つになったからといってそう言うのは、私はおかしいと思う。あなたが自治体の問題については口を突っ込まないというならば、なぜ町長なり町会の議長にまかせないんですか。そうして答申通りやられたらよいじゃないですか。それを答申通りにやられないというところが、どうも私ども納得ができない。この点はこれ以上お話をしても水かけ論になろうと思いますからやめますけれども、しかしあなたはいつも、大島の町が二つに分れておるから、それでもって今まだ認可を保留をしておるのだ、免許を保留をしておるのだ、こういうことを言っておられるけれども、これは真相じゃないんじゃないですか。私どもが聞いた範囲では少くともそうではない。端的に申しますが、結局河野一郎氏、大野伴睦氏があなたに対して不当な行政干渉をしている。それにあなたが屈して、当然運輸大臣としてやるべきことを実行できないというのが今の実情じゃないですか。私どもが得た情報によりますと、十二月の八日には、ここにおいでになっている山田代議士や熱海の市長さんその他の代表があなたに応接室でもって会われております。そのときにあなたはこういうことを言っておられる。実は党の内部の問題でおくれておる、先日の私鉄運賃の値上げの党六役会議の席上、私鉄運賃値上げは認めるが、大鳥航路はだめだよと、河野一郎総務会長に言われて困っていると、あなたははっきり言っておる。これは山田君が言われますから、対決されたらよい。はっきりあなたはそう言われておる。さらに十二月の十七日には、大島町長その他がやはりあなたの応接室であなたに面談をされております。その際も——この前に大島町長以下は河野さんに会っておられます。それを受けてあなたは河野君に会ったそうですね、何しろ党の総務会というところはうるさいところで、河野君が総務会長だからね、河野君さえ了承すればすぐ免許するよ、ということをあなたは大島町長に言われております。さらに一月の十九日に、熱海議長に対してあなたは、河野と大野が反対しておってはなかなか困難だ、ただし中村梅吉が河野派であって、今調整をしておるから、その調整のできるまで待ってくれ、こう言われております。さらに十二月の十六日には、大島町長等が河野一郎氏に実際に面談をしております。その面談のときに河野さんはこういうことを言っておられる。先日東海汽船小川栄一が来て、大島に数千万円投資して、今建設の途中だ、そこへ堤が割り込んできて困っておるというので、永野大臣にちょっと待っておれ、こういうことを言っておいたからと、こういうことを大島町長に河野さん自身が明確に言っておられるのであります。ここにおられる山田さんやあるいは小松熱海市長等が河野さんに十二月の十八日に面談されたときも、それと同じようなことを河野さん自身が言っております。運審両社免許答申が出てからすでに半年間免許をされない直接の最大の原因だと、私はこう思わざるを得ないのですが、この点はどうなんですか。
  36. 永野護

    永野国務大臣 河野、大野という固有名詞をこういう公けの席では言いたくありませんが、党にはたくさんの人がおりますから、いろいろな意見のある人がおります。これよりもっと大きい問題で、もっと大きい反対のあったことを私はやり切った例がたくさんあります。それは一々申し上げませんけれども、もっと強い反対のあったことをやっておりますので、この程度のことは、ほんとうにすべての環境が熟したら——今の固有名詞は避けますが、私の行政権の範囲内でやれることはやります。また現にやっております。反対を押し切ってやった例が幾つもあります。決してある特定の一、二の人が言ったから、それだけの理由でぺちゃんこになったのではございません。これは事例がたくさんありますからお調べになればすぐわかります。まっこうから反対していることを押し切っております。従って、私が先ほどから申しますような、そういうふうな環境が熟すれば、たとい党内に一二の反対があっても押し切りますけれども、党内に反対があった方がよいか、ない方がよいかといえば、それはない方がよいのにきまっております。しかし環境が熟すれば、すべてがまとまっておるのに党の一、二の人が反対するからといって、その行政指導を曲げるというようなことを私はいたしておりません。それは御安心願いたいと思います。環境の熟するのを待っているだけであります。
  37. 久保田豊

    久保田(豊)委員 それなら、これはあとで山田君もあなたに質問されると思いますけれども、あなた自身がこういうことを陳情者に対して言うことは不謹慎じゃないですか。私どもも固有名詞はこういう国会で出したくありませんよ。そうすると、河野、大野の反対ということを、あなたは環境が熟するまで待たせるための口実に使っているのですか。まさか私はそんな不見識なことをあなたがされるはずがないと思う。おそらく河野、大野両君が反対をしておる、それにあなたは屈して、押し切ってやれない、それを正直に陳情者に言われたものとしかとれない。もしそうでなければ、河野、大野両君の反対というものを、あなたは環境の熟するまで待たせるための手段方法に使っておるという以外にないじゃないですか、どういうわけですか。
  38. 永野護

    永野国務大臣 こういう責任を持った席のあれと、そうして個人的な打ち解けた話をするときの話とを混同されると、今後一切だれにももう会わない以外に方法はなくなります。でありますから、もしもそういうふうに、いわゆる言いがかりになるなら、今後は一切だれにもお目にかかりません。私は親切に、できるだけの骨を折ってあげたいから、そういう割った話もある程度いたしましたけれども、それをすぐ今度公けの席へ取り上げてきて言われるなら、一切申し上げません、危険ですから……。しかし、先ほど申しましたように、反対してくれる方がよいか、くれない方がよいかといえば、反対してくれない方がよいにきまっています。それも一つの障害と言えば言えましょう。しかし本質は、そういう環境が熟してこない、町のトラブルが非常に多い、これはしばらく待とうじゃないかといって、しかも、待ってくれということを責任ある監督官庁の東京都から二度も二度も言われておるのでありますから、まあしばらく東京都にまかしておいてみようじゃないかということが私の責任であり、行政上の方針であります。
  39. 久保田豊

    久保田(豊)委員 いろいろあなたと陳情団との間に取り引きされたことを公けにするなら、あなたは会わないという。それもごもっともでありますが、あなたがこの免許を延ばしておる唯一の理由は、東京都が大島のごたごたの問題を責任を持って解決をするから、それの解決するまで待っておれ、こういうことですか。そうすると、東京都の責任を持つというのは、東京都の知事ですか、だれですか。私はこれを明確にしていただきたい。知事がいつどういうふうな形において責任を持つと言われたのか、はっきりしていただきたい。
  40. 永野護

    永野国務大臣 名前は知事の名前ですが、持ってきましたのは港湾局長です。しかし、文書の名前は安井知事の名前で来ておりますから、私どもは安井知事の正式の意見だ、こう了解しております。
  41. 久保田豊

    久保田(豊)委員 それでは、その文書の日付と内容を少し明確に言っていただきとうございます。
  42. 永野護

    永野国務大臣 十一月十二日であります。要領だけ申しますと、大島熱海間における東海汽船と箱根鉄道との両社競願となっておることについては、本年三月三十一日及び十一月一日付をもって貴職あて——貴職あてというのは私であります。貴職あて離島の福祉確保並びに港湾管理者の立場から再度にわたって本都——本都というのは東京都であります。本都の意見を具申した通りでありますが、さらに左記のごとき本部の実情を勘案の上、現状においては本航路の免許については本部の意見を最高度に尊重していただきたい。こういう前書きで、だいぶ長いのでありますけれども大島の気象状況のことなんかをいろいろ書きまして、二つは無理だということがこまかく書いてあります。
  43. 久保田豊

    久保田(豊)委員 それじゃ今まで大臣の言われたことと全然別じゃないですか。今までの東京都の港湾局長があなたの方へ出されておる文書、並びに公聴会で言われておるのは、要するに、桟橋の施設の上からいって二社は無理だということ、もう一つは、伊豆七島に対する補助航路の維持という観点から二社は無理だから、要するに東海汽船一社にやらせるということです。今の港湾なり気象の問題はいろいろあるでしょう。これらの問題は、すでにある意味においては、あなたのおっしゃった通り技術的に解決のついている問題だ。そうすると、これをやるということは、二社の免許を取り下げようということじゃないですか。やめて一社にしろということ以外にないじゃないですか。その一社という内容は、東海汽船をやれということですよ。それでもって東京都がそういう態度をとっておって、そして現地でもって騒動を起しておるのですから、それが東京都の手によって収拾のつくはずがないじゃないですか。それをあなたはどうして収拾をつけようというのですか。これは明確に言っていただきたい。同時に、委員長にお願いしますが、今のその文書を資料として写しをいただきさたい。
  44. 永野護

    永野国務大臣 御指摘のように、東京都が出しましたこの文書で一社にしてくれということは、それはすなわち東海汽船のことだと思います。それは了解しております。しかし、島が二つに割れて非常に弱っておる直接の被害者は東京都であります。従いまして、その都がもうしばらく待って下さい、何とかして話をつけますからと言っておるのでありますから、かりそめにも東京都の責任においてそういうことを言っておるのでありますから、私ども運輸省の当事者である運輸大臣といたしましては、それを相当に敬意を払って聞くということは当然やっていい処置だと考えております。いましばらくというのでありますから、三年も五年も待っておれというのじゃむろんございません。従いまして、これをごく常識的の期間待ちまして、それで何ともならなければ、そのときには運輸大臣としての責任で問題を決裁いたします。
  45. 久保田豊

    久保田(豊)委員 それじゃ私の方から、時間があまりないようですから、もう一点だけお伺いいたします。  この東京都の問題は別としまして、そうしますと、大臣は二社免許という運審答申はそのまま尊重されて、その方針で今後も進められるつもりですか、どうですか。
  46. 永野護

    永野国務大臣 運審意見は尊重すべき法律上の義務をしょっております。従いまして、私どもは法律に従って忠実に問題を処置していく決心でございます。
  47. 久保田豊

    久保田(豊)委員 なお私はあといろいろの点についてまだお聞きしたいですが、大臣の時間がないようですから、残余の質問は保留いたします。山田君が関連質問があるそうですから、私は残余の質問は次の機会まで保留いたします。
  48. 山田彌一

    山田(彌)委員 久保田君の質問関連してお伺いしたいのですが、運審答申がなされて——十一月の初旬だと思いましたが、熱海市長が大臣陳情された際に、自分も以前大島航路には関係したことがある、現在の状態においては、当時においても十分ペイできたんだから、現在は地下——地下水という言葉を使っておる。——地下水は十分あるから、二社の免許というものは近日中にいたす、というふうにわれわれは聞き及んだのでございます。従いまして、ここで運輸審議会の性格について大臣にお伺いしたい。
  49. 永野護

    永野国務大臣 運輸審議会は運輸大臣の諮問機関でございますから、むずかしく言えば、必ずしも運輸審議会に拘束はされません。運輸大臣の責任においてやります。しかし、尊重すべしというのでありますから、私は尊重いたします。それははっきり今までもそうやっておりますし、将来もそうやっていくつもりであります。性格は、決定機関ではなくて、審議機関であります。
  50. 山田彌一

    山田(彌)委員 運輸審議会大臣の諮問機関だというお答えでありますが、諮問に対する答申はどのようにして作られるか。運輸審議会が独自の調査機構を持って調査するのか、それともどのような方法をとってやるのか、お伺いしたい。
  51. 永野護

    永野国務大臣 運輸審議会一般論で、運輸審議会がどうしてやるかということでありますから、単に大島航路だけに限りません。一般論になりますから、それはケース・バイ・ケースでいろいろ違うと思いますから、事務的に答弁いたさせます。
  52. 細田吉藏

    ○細田政府委員 運輸審議会は独自にそのスタッフを使いまして調査をいたしますことはもちろんでありまして、そのために審理官という制度を持っておりまして、審理官並びに審理官を補佐いたしますところの約二十名くらいと思いますが、そういう者がおります。方法といたしましては、事案によりまして公聴会を開催いたします。あるいは聴聞会をやります。あるいは現地に参りまして調査をいたす場合もございます。なおそのほかに、原局を通しまして、原局でいろいろ調査した点を聞く、たとえば海運の問題でございますれば海運局、あるいは港の問題については港湾局といったような原局調査いたしましたものを間接にそこを通して調査をいたす、大体こういう方法をとっておる実情でございます。
  53. 山田彌一

    山田(彌)委員 ただいま御説明がありましたが、委員並びに審理官で調査審議し、必要に応じて公聴会を開いて申請者と利害関係者の意見を聞くと同時に、それでは不十分であるので原局運輸審議会にいろいろと折衝し、運輸審議会原局とが打ち合せて運輸審議会の意向というものができ上る、こういうふうに解釈してよろしいですか。
  54. 細田吉藏

    ○細田政府委員 ちょっと違うようでございます。運輸審議会はあくまでも独自の判断をいたす機関でございます。従いまして各原局は、審議会が結論を出しますのに対しまして、独自の調査のもとに一つの結論を得ます階梯といたしましての意見をいろいろ聞くということでございまして、対等の関係において折衝いたすとか交渉いたすという関係ではございません。
  55. 山田彌一

    山田(彌)委員 そこで大臣に御質問いたします。先ほど久保田君の質問に対して大島側の桟橋並びに熱海桟橋の問題が出ておりましたが、運審答申のなされたあとに、私の聞き及ぶところでは大島桟橋東海汽船地上権が設定されている、これを町道として認定してもらうのでなければ困るということに対する回答がなされたように思います。従いまして運審答申のなされた直後に大鳥町においては満場一致でこの棧橋上の道路というものが町道に編入されておる。それをもって運審からの条件というものは完了されたのだというふうに考えますし、先ほど桟橋の問題に対していろいろと不十分だというようなことがございましたが、三日間にわたる公聴会において、東京都を代表して港湾局長が十分その問題に対しては答申しておるのでございまして、今さらそういう運審答申に対して不備な点があるというふうにおっしゃられるが、この点に対してはわれわれは納得がいかぬと思っております。
  56. 永野護

    永野国務大臣 実は大島の港のことは私は相当に詳しく知っておるのであります。熱海の方は港のことはよく存じません。そこで熱海に先般参りまして、特に何という人か名前は忘れましたけれども関係者の案内で設計図も見せてもらって、船着きの工合をよく調べて参ったのでございますけれども、計画通りにいけばりっぱなものだと思っております。しかし、その計画はただいまはそれが完了しておりません。従いまして今すぐ現実熱海の棧橋で多数の人の乗降を認めることが適当であるかどうかということについては、私は疑問を持った、こう答えておるのでありまして、決して運審答申案をかれこれ批判しておるのではないのであります。おそらく運審では、三月三十一日に熱海はこういうふうにして完成するというのを、その通りできるものとして意見を出されたものだろうと思います。
  57. 山田彌一

    山田(彌)委員 大臣大島熱海間はフェリー・ボートでも十分だと言われておるし、また運審が成規の手続を踏んで、この問題は二社を許可されたいという答申をされておるにもかかわらず、五カ月以上にわたって日を送っておるということは納得がいかないと思う。これは私はあえてこういう問題をここへ持ち出そうとは思いませんが、久保田委員の言われたごとく、十二月初旬に大臣に会われた際に河野一郎氏の名前を出された。名前を出すのみならず、堤君もよろしく河野君と妥協したらいいじゃないかという点まで言われておるのでありまして、何か私たちは割り切れないものがあるのでございまして、河野氏が総務会長であるとはいえども、運輸大臣命令する地位にあるとは私たちは思っておりません。従いまして大臣も御存じのごとく、本年一月二日か二日と思いますが、市長並びに市会議長があなたにお目にかかった直後総理大臣に会われておる。公的において大臣命令する者がもしありとするならば、それは総理大臣以外にない、このように考えまして、市長と議長が総理に熱海の別荘で会われたのであります。その際に目の前に浮んでおる伊豆箱根の船を見まして、自分は二社に許可すべきが当然だというふうに考えておる、またそのように永野大臣にも言ってあると言われたように記憶しておるのでございますが、総理は先ほど久保田君が言われたことに対して運審答申は十分尊重するということを言われておる。また総理大臣が直接熱海の市長並びに市会議長に、二社に免許が適当であるということを言われておるのであります。私も時間がありませんから質問は留保さしていただきますが、本土と大島との最短距離を一日も早く運航してもらいたいというように熱望しておる大島の島民並びに熱海——これは以前漁港だったのを昭和二十五年か六年に観光港に指定していただきました。私は漁業組合長でありましたけれども、あえて漁港を放擲してこれを運輸省の港湾に指定していただいたということはやはり観光地熱海として夏枯れ時には伊豆七島へ伸びる以外にないというような市民の要望にこたえるためにあえて漁港を放擲して運輸省の港湾にしたというような動機からいたしましても、一つ何か地方の人たちに割り切れない気持を起させるということは政治の明朗化からいっても当を得ていないと思う。大臣は今日以上の困難な問題において自分は踏み切った例があると言われたのであるから、一日も早くそういう例を私たちに示していただきたい、またそれが近日中にできないということであるならば、私たちはもっとほかの十分なる資料をそろえて大臣の反省を促したい、このように考えまして、私、きょうは久保田君同様時間がありませんから、この程度大臣の御回答を待って一応留保いたします。
  58. 永野護

    永野国務大臣 実はこういう問題は、幾ら話しても私は良心に恥じません。ことに私は何とかうまくまとめてあげたいと思うために、公けの席では言うべからざることを言ったかもしれません。それは私が好意を持ったからの熱意の現われであります。しかしその言葉を今度こういう公けの席で援用されることは、私非常に遺憾に存じております。これはむしろ好意を持ったことがいけなかったな、切り口上で淡淡として話をしておった方がよかったのかなという感じを、私に与えております。その点は非常に残念に存じております。何だか私が非常に意図を持って、伊豆箱根の航路開設に、何と申しますか、じゃまをしているというような感じを持たれることは、私のこの問題を扱います気持からいうと、非常に反する。非常に遺憾に存じております。しかしどんな資料をもそろえてさらに話をするというお話でございますので、どんな資料でもおそろえ下すってよろしゅうございますから、何べんでも何時間でも聞きます。きょうは今申しましたようなことで、まことに申しわけありませんが、これは公務なんで、はなはだ相済みませんけれども、これで失礼させていただきます。
  59. 塚原俊郎

    塚原委員長 次会は来たる二十六日午前十時より理事会、午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時一分散会      ————◇—————