○
井岡委員 ほかの
運送事業が直接
公衆の
利便を考えておる。従って
免許制をとっておる。それでは
港湾事業が直接
公衆の
利便あるいは利害に
関係がないかというと、私はほかの
運送事業と何ら異なるところがないと思う。むしろそれよりは、国家的な
見地から見るならば、
港湾運送事業の方がより国家的なものを持っておるのじゃないか。たとえば、これは最近の郵船が発表した数字でありますから、間違いないと思いますが、これは平均であります。雑貨とか
石炭とか鉄鉱とか、こういうものの
荷扱いのいわゆる
賃金をここに出しておるわけです。ニューヨークでは
トン当りに掲げ荷で
ハドル九セント、積みでは六・六九ドル、サンフランシスコでは六・五三ドル、積み荷では八・五二ドル、ロンドンでは
揚げの方が二・三〇ドル、積みでは一・〇四ドル、シドニーでは四・三一ドル、
揚げは八・九九ドル、ロッテルダムでは一・三二ドル、
揚げが一・五四ドル、マニラでは
揚げも積みも一・〇四ドル、カルカッタでは
揚げが〇・ハードル、積みが〇・九五ドル、
日本の神戸では
揚げが〇・六九ドル、積みが〇・六
ハドル、大阪は
揚げが〇・四六ドル、積みが〇・六
ハドル、名古屋は
揚げが〇・四五ドル、積みが〇・七一ドル、こういうようになっておる。これはすべて
労働力によって
外貨を獲得しておるものなのです。アメリカあるいはイギリスと比較しましたならば、
日本の労賃が安いから若干の差異のあることは私は認めますけれども、少くともフィリピンであるとか、インドであるというようなところと比較いたしまして、
日本の
労働賃金はそれほど安くないと思う。にもかかわらず、これだけの開きを持っておるわけです。しかも、これは
外貨を入れるわけなんです。国がもらうわけなんです。
政府は一方において
港湾の
整備をやって、そうして
輸出貿易の振興をはかって
外貨を獲得すると言っておりますが、こういう直接港における
外貨の吸収について何ら考慮を払われない。これはだれでもやれるから
免許制にしないんだ、こういうことでは、私は大きな国家的な
損失だと思う。単に
公衆の
利便につながっておるからというのでなくつて、国の
見地から考えて、そうしてよりこれが重要であるかどうかという比重を考えてみるならば、なぜここに
公共の
福祉ということを入れないんだ。せっかく改正しようとするならば、なぜこれを入れないか。私はその点第一点としてお伺いします。
同時に、
日本の
港湾における年間の
外国船の
荷役の取扱い、これは何トンくらいになっておるか、これを考えれば、莫大な
損失を
日本がしておるということなのです。なぜ
外国にそれだけ低廉な
労働力で作業をやらなければいけないのか。こういう点を考えれば、
外貨の獲得ということを
政府は声を大にしておるけれども、
末端組織においては、何らそういうことは考えられておらない。この点についてお伺いいたしたい。