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1959-03-05 第31回国会 衆議院 運輸委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年三月五日(木曜日)     午前十時四十分開議  出席委員    委員長 塚原 俊郎君    理事 長谷川 峻君 理事 堀内 一雄君    理事 井岡 大治君 理事 久保 三郎君    理事 土井 直作君       川野 芳滿君    菅家 喜六君       小枝 一雄君    關谷 勝利君       高橋清一郎君    原 健三郎君       福家 俊一君    三池  信君       館  俊三君    杉山元治郎君  出席政府委員         運輸政務次官  中馬 辰猪君         運輸事務官         (大臣官房長) 細田 吉藏君         運 輸 技 官         (港湾局長)  中道 峰夫君  委員外出席者         運輸事務官         (港湾局管理課         長)      園田 圭祐君         運輸事務官         (港湾局港政管         理官)     見坊 力男君         専  門  員 志鎌 一之君     ————————————— 三月五日  委員小泉純也君辞任につき、その補欠として福  家俊一君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 三月三日  諌早、長崎間平坦線敷設促進に関する請願(金  子岩三紹介)(第一九八〇号)  小野駅、岡谷市間バス運行に関する請願(増田  甲子七君紹介)(第二〇一九号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  大蔵委員会連合審査会開会申入れに関する件  特定港湾施設整備特別措置法案内閣提出第一  四三号)  港域法の一部を改正する法律案内閣提出第九  二号)(参議院送付)  港湾運送事業法の一部を改正する法律案内閣  提出第一〇七号)      ————◇—————
  2. 塚原俊郎

    塚原委員長 これより会議を開きます。  この際お諮りいたします。目下大蔵委員会において審査中の揮発油税法の一部を改正する法律案は、委員各位とも御承知のごとく、最近における揮発油の消費の状況及び道路整備財源確保必要性に顧み、揮発油税の税率を引き上げるという趣旨法律案でありまするが、本委員会といたしましても関係がありますので、この際、大蔵委員会連合審査会開会の申し入れを行いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり]
  3. 塚原俊郎

    塚原委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。     —————————————
  4. 塚原俊郎

    塚原委員長 港域法の一部を改正する法律案議題とし、審査を行います。  これより質疑に入りますが、御質疑はございませんか。——別質疑もないようでございますので、討論に入りたいと存じます。  討論申し出もありませんので、これより直ちに採決いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 塚原俊郎

    塚原委員長 御異議なしと認め、採決いたします。  港域法の一部を改正する法律案賛成諸君起立を求めます。     〔総員起立
  6. 塚原俊郎

    塚原委員長 起立総員。よって、本案原案の通り可決いたしました。  ただいま可決されました本案報告書作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 塚原俊郎

    塚原委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。     —————————————
  8. 塚原俊郎

    塚原委員長 次に、特定港湾施設整備特別措置法案議題とし、審査を行います。  質疑通告がありますので、これを許します。川野芳滿君。
  9. 川野芳滿

    川野委員 本法案提出理由は、輸出貿易工業生産との関連におきまして、国家的重要な港湾特定施設を国が特別会計を設けて直轄で緊急に整備することにある、こういう一つの目的が掲げられておるのでございまするか、国家的に考えましても、重要な港湾を、国が特別会計まで設けまして、そうして緊急に整備する、こういうことをいたします以上は、国といたしましても、相当な経費を覚悟して、この整備をやるのが当然であると思うのであります。しかるに、本案を見てみますると、従来国が臨特法によりまして六割まで補助をいたしておりましたこの制度を、逆に国の出費が四割、地方管理者負担が四割、受益者負担が二割、こう考えますると、従来六割の負担をいたしておりました国が逆に四割に出費率を減らした、こういうことになるわけでございます。こう考えますと、国家的に重要な港湾特定施設を国が緊急にやるという大きな旗じるしと、実際問題として国の出費率を減らすということとは、矛盾いたしておるかのように私は考えまするが、この点についていかがでございますか。
  10. 中道峰夫

    中道政府委員 港湾整備に関しまして、今回特別の措置を講ずることに相なりました次第でございますが、お話のように、現在わが国港湾状況を見ますると、政府のきめました新長期経済計画によりまして、三十七年度は三十一年度に比べまして、輸出入貿易等におきまして相当大幅の増加が予想されておるわけでございます。また世界的な趨勢といたしましても、船舶が大型化するような傾向が著しいわけでございます。従って、大幅に関係港湾施設を増強しなければ、貨物の円滑な流通を阻害いたしまして、国民経済の発展を妨げるということになるわけでございます。従いまして、国民経済上特に重要な港湾施設、すなわち特定輸出港湾、石油、鉄鋼石炭港湾等施設につきまして、急速にこれを整備するということに相なった次第でございますが、これらの施設整備いたしまするに最小限度必要な費用といたしましても、全体で約二百九十億、毎年度約七十億程度を必要といたしますけれども、その全部を一般会計財政収入による一般会計予算でこれをまかなうということは困難なわけでございます。そこで、港湾施設整備のために、一般財源財政の許す限り増強するということはもちろんでございますが、それに政府資金を借り入れまして、また受益者負担金を投入いたしまして、この整備財源に充てようということでございまして、この経理のために特別会計を設定して、国はこれを直轄工事で進めるというのが趣旨でございます。  ただいまお話がございましたように、かように国として重要な港湾施設整備するについて、従来の港湾負担率だけでなく——この負担率でさえも一部下るのではないかというお話でございます。財源措置といたしましてはただいま申しましたように、政府資金の借り入れと、それから民間の受益者負担金財源にいたしておるわけでございますが、さらに石炭鉄鋼等々につきましては、二割の利用料徴収することにいたしております。この二割の利用料が、ただいまお話のございましたように、これを二割取りまして、残りの金額について、これを港湾法負担率で分担するといたしますと、お話のように若干地方負担率が低下するというように見えるわけでございますが、これはただいま申し上げましたように、特別利用料といたしまして港湾管理者がその財源として特別にこの施設を利用するものから徴収をするという建前でございまして、この徴収をしやすくするために、今回の特別措置法特段規定を設けておるような次第でございます。従いまして、今回の特別措置といたしましては、この重要な港湾施設を緊急に整備するという趣旨には一応沿うて措置がなされたというふうにわれわれは考えておるわけであります。
  11. 川野芳滿

    川野委員 わが国の国策として輸出貿易を伸展せねばならぬことは論を待たない点でございますが、それについては工業生産増産をはからなければならない。工業生産増産貿易の伸展と相待って、そうしてわが国の国威を発揚したい、これには重要港湾政府直轄の手で至急に整備せねばならない、こういうような大きな目的を掲げてこの法律案が提案されたのでございます。しかるに、従来国が六割負担いたしておりましたのを、負担率を四割にして、そうして受益者負担を逆に六割にするということが、今申しました大きな旗じるしと矛盾いたしておると私は考えますから、実はこの質問をいたしておるような次第でございます。  ただいま二割の受益者負担特別利用者から取って、そして負担させる、こういう説明でございましたが、実は地元負担の四割も、やはり利用者から負担金を取って地元負担金を納める、こういうことになろうかと考えます。こう考えますと、実際問題といたしましては四割の地元負担金と二割の受益者負担金とは同じような目的のもとに徴収される、こういう結果になりますと、受益者負担特定の人からお取りになるという話でございますが、実際問題といたしましては、今後の利用者から取るということになりますから、不特定利用者から取る、こういうことになりますと、四割の地元負担金と同じような意味徴収する、こういう結果になりはしないかと考えますので、この質問を申し上げておるのでございますが、重ねて港湾局長の御答弁を求める次第であります。
  12. 園田圭祐

    園田説明員 川野先生の御質疑はまことにごもっともな御質疑でございまして、実は港湾法原則で申しますと、国が五割を持ちまして、地元港湾管理者が五割を持つのが原則でございます。それにもかかわりませず、石炭等港湾につきましては、国は四割しか持たない、地元港湾管理者が六割を持つというふうになっておるのは逆じゃないかという御質疑かと存じますが、この点につきましては、先ほどもお話が出ましたように、実は特別利用料というものを港湾管理者が取ることができる。特別利用料港湾管理者が取ることができるということにすると、計算上港湾法原則通り五割、五割になるような次第でございます。ただし、その特別利用料なるものは一般使用料と同じではないかという御質疑があったのでございますが、その点につきましては若干違いまして、一般使用料でありますと、港湾法によりまして、いろいろ使用料を取られます利用者の方から異議の申し立てであるとかいうようなことがございまして、地元港湾管理者といたしましては、取ろうと思いましても取れないような場合があるわけでございますが、この特別利用料につきましては、港湾法のそういう規定にかかわりませず、必ず取ることができるというふうにしております点が違うわけでございます。ただし、それにもかかわりませず、荷動き等関係で取れなかったような場合がございます。その場合は港湾管理者が損をするわけでございますが、そういう場合には、実はこれは法案に現われておりませんけれども、大蔵省自治庁運輸省の間で覚書を締結しまして、予定通り特別利用料による収入がない場合は、港湾管理者負担が困らないように、三年ごとに実績を見まして、もし足りない場合は港湾管理者政府に納めます借金の返済の期間を延長してやろうというような覚書等がございまして、それによりまして、なるべく予定通り取れるように、港湾管理者が困らないように、覚書によってやるということになっております。ただし、一般論といたしまして、これは国家的な要請に基く事業でもあり、港湾法原則よりももっと港湾管理者に有利にしてやったらどうかという御意見につきましては、そういう御意見もごもっともであります。本年度財政都合等もありまして、原案のようになっておりますが、将来これは研究すべきものではないかというふうに思っております。
  13. 川野芳滿

    川野委員 国の政治というものは公平でなければならないと存じます。ところが、私は建設省の道路補助率を調べてみたのでありますが、一級国道で国が直轄事業をやるという工事に対しましては、国が四分の三の経費を持っておるのです。さらに、二級国道にいたしましても、四分の三の経費を国が持って道路を作っておるというのが現在の姿であります。さらに、農林省の土地改良でございますが、これは国が直轄でやるものに対しましては、受益者負担地方二割、県が二割であります。合計四割でございますから、国が出す分が六割、あるいは県単による土地改良にいたしましても補助率が六割、あるいは干拓にいたしますると、国が直轄でやる国営工事につきましては全額国負担しておる。あるいは団体営にいたしましても、四割ないし五割の補助を出しておる。また林道を調べてみますると、一号、二号の林道は国が六割負担しておる。すなわち、国が直接工事をやっておるものにつきましては、全額国負担しておるか、あるいは六割以上の負担をしておるというのが現在の実情であります。そういたしますると、運輸省がやられまする港湾に限って、あるいは五対五、あるいは四対六、そういうことはあまりにも不公平な取扱いをこの港湾特別会計でされておるのでなかろうか、かように私は考えておりますが、この点についての御答弁を承わりたいのであります。
  14. 中道峰夫

    中道政府委員 道路整備につきましては、ガソリン税等の特別の財源が考えられておるのでございます。港湾整備につきましては、負担率についてはいろいろの種類がございまして、防波堤、浚渫等外郭施設につきましては全額国負担する、特定重要港湾につきましては、接岸施設につきましては七割五分の負担をする、重要港湾につきましては接岸設備は五割・五割というふうに、いろいろ種類があるわけでございますが、今回の特別会計によります重要港湾整備につきましては、その港湾は、特定重要港湾及び重要港湾の特に重要な施設に関するものでございますので、その負担率は比較的高額になっておるわけでございます。しかしお話がございましたように、特に国が重要な政策として取り上げ、緊急に港湾整備をするという趣旨にかんがみますときには、さらに土地あるいは荷役機械臨港交通施設等について、この施設と一体的にこれを早期整備いたしたいと考えまして、運輸省といたしましては、関係の省とも折衝をいたして参った次第でございます。従いまして、それらの点について、地方財政の問題、また国家資金の増強という点については、今後さらに努力をいたして、御趣旨に沿いたいというふうに考えておる次第でございます。
  15. 川野芳滿

    川野委員 実は私の質問大蔵当局にいたしたい、こう考えて、大蔵当局の御出席を要望しておるのでございますが、いまだに御出席がございません。委員長は本日この本案を採決する、こういうようなお考えのようでございますから、大蔵省に対する質問はまた機会がございましたらいたしたいと思いますが、私の質問の要旨については、おそらく運輸省当局としては御賛成しておられると私は考えるのであります。従いまして、今年度はすでに予算が通過しておりますので、やむを得ませんが、来年度予算編成に当りましては、従来六割国が負担いたしておった、これが臨時法の結果であるにいたしましても、六割負担しておったというこの現実の実情を、よく大蔵省に御説明いただきまして、地方負担率というものを幾分減らす、こういう方針で大蔵省に強く交渉されんことを要望申し上げまして、私の質問を終る次第であります。
  16. 塚原俊郎

    塚原委員長 ほかに御質疑はございませんか。——他質疑もないようでございますので、これにて質疑は終局いたしました。  これより討論に入りますが、別に討論申し出もございませんので、直ちに採決いたしたいと存じます。御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  17. 塚原俊郎

    塚原委員長 御異議なしと認め、採決いたします。  特定港湾施設整備特別措置法案賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  18. 塚原俊郎

    塚原委員長 起立総員。よって、本案原案の通り可決いたしました。  この際井岡大治君より発言を求められておりますので、これを許します。井岡大治君。
  19. 井岡大治

    井岡委員 ただいま可決されました特定港湾施設整備特別措置法案に対し、私は自由民主党並びに日本社会党を代表して、附帯決議を付すべしとの動議提出いたしたいと存じます。  まず附帯決議の主文を朗読いたします。     特定港湾施設整備特別措置法案に対する附帯決議案   本法案は、重要な港湾施設を緊急に整備し、もって経済基盤の強化に資すことを目的とするものであるが、港湾の機能を完全に発揮させるためには施設整備と相まって、その円滑な管理運営を図らねばならない。   よって政府は、所期目的を達成するため、左記事項につき特段措置を講ずべきである。   一、港湾管理者自主性を確保すること。   二、港湾管理者財政負担の軽減を図ること。   三、上屋埠頭用地等を本法案対象施設とすること。   右決議する。  港湾貿易の重要な窓口であることは、私が申し上げるまでもありません。従って、政府が、最近の港湾施設整備状況等にかんがみまして、本法案を御提出いただいたことは、まことに時宜に適したものと存じます。しかしながら、港湾整備に当って、ただいま申し上げましたように、従来の港湾法との関係を調整しつつ所期目的を達成しなければ、決して港湾整備することができません。従って、政府は、私が今申し上げました附帯決議案趣旨を十分尊重されて、整備並びに管理、同時に運営等に十分に配慮あらんことを切に望みまして、皆さんの賛成を得たいと存じます。
  20. 塚原俊郎

    塚原委員長 ただいま井岡君より提出されました動議のごとく、本案附帯決議を付するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  21. 塚原俊郎

    塚原委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  この際、政府当局より発言を求められておりますので、これを許します。中馬運輸政務次官
  22. 中馬辰猪

    中馬政府委員 ただいまの附帯決議の御趣旨につきましては、特にその内容における三つの措置についての御要望がございましたが、私どもといたしましても、本法案が今回初めて提案いたすものであるし、不備な点もあるように存じますから、今後十分に誠意を持って研究し、本決議趣旨に沿うように努力いたしたいと思います。
  23. 塚原俊郎

    塚原委員長 なお、ただいま可決いたしました本案報告書作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  24. 塚原俊郎

    塚原委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。     —————————————
  25. 塚原俊郎

    塚原委員長 次に、港湾運送事業法の一部を改正する法律案について審査を進めます。  質疑通告がありますので、これを許します。井岡大治君。
  26. 井岡大治

    井岡委員 港湾運送事業整備については、さきにわが党は、二十六国会に港湾運送事業法の全面的な改正を提出いたしまして、当委員会において御審議いただいたのでありますが、昨年の四月の解散によってこれが廃案になりました。そこで政府は、港湾運送事業目的を達成するために、今回本法案提出されたものと存じますが、私は、この法案に対して若干私の考えておる意見等を申し述べつつ、政府の御所信をただしたいと思います。  まず第一に、運送事業法目的でございます。ほとんどの運送事業法においては、公共福祉を増進するということが入っておるわけですが、この法案には遺憾ながら公共福祉ということが載っておりません。港湾運送事業というものは公共福祉に寄与するものでないのかどうか。私の見解から申し上げますならば、十分公共福祉に寄与しておるのだ。にもかかわらず、なぜこれをはずしたのか。せっかく改正しようとするのであるが、なぜお入れにならなかったのか。この点についてまずお伺いいたしたいと思います。
  27. 見坊力男

    ○見坊説明員 お答えいたします。第一条に公共福祉という字句は入っておりませんが、事業法ができるということの裏には、当然港湾運送を利用する利用者利便を増進するという目的が含まれておるものと考えます。他の運送法規を見ますと、公共福祉を増進するためという字句が入っておりますが、これは免許制がとられておる場合に、そういう字句が使われておるわけでございまして、その意味は、免許制公衆日常生活に非常に密接な関係があるという意味において、大衆の日常生活利便を増進するという意味が直接の目的として規定されておるものと解釈いたしております。従いまして、この港湾運送事業法規定しておりますところの港湾利用者利便を増進するということは、当然のこととして考えておるわけでございますが、ただ港湾運送事業の性格が、免許制ではなくて、登録制をとられておるといいますことは、やはり港湾運送事業が本来自由な事業であるという考え方がここにもあるものと考えております。
  28. 井岡大治

    井岡委員 ほかの運送事業が直接公衆利便を考えておる。従って免許制をとっておる。それでは港湾事業が直接公衆利便あるいは利害に関係がないかというと、私はほかの運送事業と何ら異なるところがないと思う。むしろそれよりは、国家的な見地から見るならば、港湾運送事業の方がより国家的なものを持っておるのじゃないか。たとえば、これは最近の郵船が発表した数字でありますから、間違いないと思いますが、これは平均であります。雑貨とか石炭とか鉄鉱とか、こういうものの荷扱いのいわゆる賃金をここに出しておるわけです。ニューヨークではトン当りに掲げ荷でハドル九セント、積みでは六・六九ドル、サンフランシスコでは六・五三ドル、積み荷では八・五二ドル、ロンドンでは揚げの方が二・三〇ドル、積みでは一・〇四ドル、シドニーでは四・三一ドル、揚げは八・九九ドル、ロッテルダムでは一・三二ドル、揚げが一・五四ドル、マニラでは揚げも積みも一・〇四ドル、カルカッタでは揚げが〇・ハードル、積みが〇・九五ドル、日本の神戸では揚げが〇・六九ドル、積みが〇・六ハドル、大阪は揚げが〇・四六ドル、積みが〇・六ハドル、名古屋は揚げが〇・四五ドル、積みが〇・七一ドル、こういうようになっておる。これはすべて労働力によって外貨を獲得しておるものなのです。アメリカあるいはイギリスと比較しましたならば、日本の労賃が安いから若干の差異のあることは私は認めますけれども、少くともフィリピンであるとか、インドであるというようなところと比較いたしまして、日本労働賃金はそれほど安くないと思う。にもかかわらず、これだけの開きを持っておるわけです。しかも、これは外貨を入れるわけなんです。国がもらうわけなんです。政府は一方において港湾整備をやって、そうして輸出貿易の振興をはかって外貨を獲得すると言っておりますが、こういう直接港における外貨の吸収について何ら考慮を払われない。これはだれでもやれるから免許制にしないんだ、こういうことでは、私は大きな国家的な損失だと思う。単に公衆利便につながっておるからというのでなくつて、国の見地から考えて、そうしてよりこれが重要であるかどうかという比重を考えてみるならば、なぜここに公共福祉ということを入れないんだ。せっかく改正しようとするならば、なぜこれを入れないか。私はその点第一点としてお伺いします。  同時に、日本港湾における年間の外国船荷役の取扱い、これは何トンくらいになっておるか、これを考えれば、莫大な損失日本がしておるということなのです。なぜ外国にそれだけ低廉な労働力で作業をやらなければいけないのか。こういう点を考えれば、外貨の獲得ということを政府は声を大にしておるけれども、末端組織においては、何らそういうことは考えられておらない。この点についてお伺いいたしたい。
  29. 見坊力男

    ○見坊説明員 目的の中に、公共福祉という字をなぜ入れなかったかという点でございます。港湾運送事業国民経済に直接に関連しまして、また経済的にも社会的にもきわめて重要な事業であるということは、言うまでもないわけでございますが、国民日常生活に直接関係を持っておるという意味における公共性の度合いということになりますと、たとえば鉄道とか定期旅客船事業、そういう事業に比べますと、この港湾運送事業は、いわば商取引世界にある事業であるというふうに考えることができると思っております。従って、商取引世界の外にある国民日常生活に対しては、いわば間接的な関係になるわけでございます。この法律の第一条の中に公共福祉という字句を入れてはございませんが、この事業法が制定されました趣旨は、単に事業者の保護をはかるというだけではなくて、荷主、船会社等の港湾運送を利用する利用者利便を増進するということが考えられておりますことは、当然のことであると考えております。  第二点は、外国船荷役の量についてのお尋ねだったと思います。これは港運統計資料でございますが、毎月各港湾運送業者から私の方に報告が参ったものを集計いたしたものでございます。三十三年の八月分の資料によりますと、船内荷役実績のうち、汽船の輸出入貨物についての船内荷役の実績を申し上げますと、邦船が二百二十三万七千二百七十トン、外国船が百四十八万八千五百八十三トン、こういう数字になっております。
  30. 井岡大治

    井岡委員 これは一カ月の数字ですから、私は必ずしもこれを観念的に十二倍しようとは思いませんけれども、これを十二倍にして、今のいわゆる荷役量のトン当りの労賃格差を見ると、一年間幾らになりますか、私の概算によりましても、これはロッテルダムに比較しまして、少くとも三億ドルから四億ドルの違いが出てくるだろうと思う。それだけ日本が損をしておることになるのです。こういうように考えるならば、これは単にあなたの、いわゆる商取引世界の中におけるものだとして、われわれは看過できますか。私は看過できないと思う、国家的に見て。やはりこの点については、十分政府当局は目を開いて、そうしてあらゆる面においてドルの吸収をはかるようにしなければいかぬ、こういうように考える。そういう意味からも、今度港湾整備をおやりになろうと考えておられるのだと思う。あるいはまた当委員会でやがて御審議をなさるであろう観光業法のようなものも、これまた同様の考え方から出発しているものです。そうすれば、これを単に商取引として考えるということは、大きな間違いだと思う。今あなた方は、これは商取引世界のものであって、直接われわれの生活との結びつきがないから、これをやらなかったのだというお話ですが、私はそれは大きな考え間違いだと思う。日本の国は資源がないのです。すべてのものを外国から仰がなければならない。それによってわれわれは生活している。言いかえて申しますならば、汽車の荷物にしても、あるいは自動車の荷物にしても、これは自分のところで着物もできる、あるいは魚もとれる、野菜もできる、リンゴもできる、木材もあるというものではないから、国内のあるところから輸送してきて、そしてその人は生活している。これと同じではないか。たまたま日本外国との違いではないか。こういうことを考えてみますと、あなたが直接関係がないというようにお考えになることは大きな間違いだと思う。この点についてもう一度御答弁を願いたい。
  31. 見坊力男

    ○見坊説明員 関係がないということではございませんので、この事業が、先ほど申し上げましたように国民経済に直接関連し、経済的にも社会的にも非常に重要な産業であるということは、申すまでもないことでございます。ただ国民日常生活に直接関連するかどうかという点において、鉄道事業あるいは旅客定期航路事業等に比べますと、いわば間接的な関係に立つものと考えます。
  32. 井岡大治

    井岡委員 そこの考え方が私と違うというのです。直接というのと間接というのと、日本の国というものを考えた場合、これが間接でこれが直接だという区別がつきますか。私の着ているこの服にしても、あなたの着ている服にしても、日本ではできないんですね。そうすれば、これは直接関係があるのじゃないですか。私はそのように考える。あなたがそれは関係がないとおっしゃるのは、なぜ関係がないか、その理由をはっきり言って下さい。
  33. 見坊力男

    ○見坊説明員 私も関係がないということを申し上げているのではございません。非常に重要な関係はございますが、この港湾運送事業は、いわば商取引世界における事業である、言いかえますならば、荷主と船会社との間において貨物の受け渡しが行われる、その受け渡しに関する作業でございますので、一般大衆の日常生活と直接は関係がないということを申し上げたわけであります。
  34. 井岡大治

    井岡委員 それではもう一度お伺いしますが、この事業がなかったら積んできたものはどうして揚げるのですか。
  35. 見坊力男

    ○見坊説明員 港湾運送は他に代替性がございませんので、もし港湾運送がなければ、貨物は揚らないということになります。
  36. 井岡大治

    井岡委員 そうすると、商取引世界における事業でなくて、いわゆる海と陸との媒介の役をしておるわけです、この事業というものは。これがなかったら媒介しないのですから。これが直接に関係がないかどうかといったら、私は関係があるというのです。あなたが見解の相違だと言われればそれまでです。しかし一方において、これがなければ、日本の国の経済というものは成り立っていかないのです。日本貿易がなかったらどうなります。この小さい島で九千万をこえた人口が生存しておる。貿易というものを日本から切っちゃってごらんなさい、われわれはどうして生活するのです。この点をもう一度お伺いいたしたい。
  37. 見坊力男

    ○見坊説明員 港湾運送事業が果している機能といいますか、それの重要性については、先生のおっしゃる点と私も全く同感でございます。ただ重要性があるということと、日常生活に直接関係があるかどうかという点は別ではないかと思います。もちろん港湾運送事業がストップをしたり、あるいはそこに非常な障害があった場合には、国民経済に影響を及ぼすということは当然のことでございます。しかし、先ほど申し上げましたように、これは大衆の毎日の生活に直接つながっているかどうかという点になりますと、間接的な関係ではないかというふうに考えております。
  38. 井岡大治

    井岡委員 毎日の生活につながっておるかどうかということについては問題点がある、こういうのですね。この点もう一度はっきりして下さい。
  39. 見坊力男

    ○見坊説明員 毎日の生活と申しますのは、端的に言えば、通勤、通学とか、あるいはわれわれの家庭人がバス等の交通機関を利用して毎日の生活を営むという意味の直接性を申し上げたのであります。
  40. 井岡大治

    井岡委員 これは大へんなことを聞いたのですが、通勤、通学、まあ私はこれだけだとは思いませんよ、思いませんが、それでは通運事業法に、やはり公共福祉ということを書いてあるのはどうなんです。あれはやはり荷物を運搬しているものです。これとどこが変るのです。しかも、この港運事業というものがなければ、日本国民が生活ができないことはわかっている。だから、政府も輸出の振興のためにあらゆる努力をなされるのだろうと思うのです。そうでなければ、あんまりやる必要はないじゃないですか。造船補給金なんてこしらえて船を作るのも、そのためなんです。あるいはガソリンをよそから買うてきて、そうして荷揚げしているのも、そのためなんです。こういう点を考えるならば、直接生活につながっている。単に通勤とか通学というものだけじゃない。従って、この法案だけになぜ除いたかという理由は私には見当らない。そこで私はあなたに先ほどから、公共福祉ということに関係がないのかあるのか聞いている。もう一度この点言って下さい。私はあなたがそう言うだろうと思って、一生懸命各運送事業法を調べてみた。海上運送法、道路運送法、通運事業法と調べてみたのです。道路運送法と海上運送法、これを必ずあなたは言うだろう、こう思っていた。通運事業法はどう考えるのだ、同じじゃないか、こう考えるのです。これは鉄道という媒介によってやっている。この点はどうなんです。
  41. 見坊力男

    ○見坊説明員 通運事業法免許制がとられておりますのは、私が考えておる点を申し上げますと、通運が本来独占的な性格を持っております鉄道と一体となって運営されるという点と、それから隔地輸送でございますので——たとえば、こちらで運送を委託したところが、向うの方で到着地の方の事業者が非常にあいまいなものであるということになりますと、これは経済全般に直接関係を持って、悪影響を及ぼすということで免許制がとられておるものと考えます。
  42. 井岡大治

    井岡委員 同じことじゃないですか。船の荷物を向うから持ってくる、これが不安定だったら、日本国民経済に大きな影響を持ちますよ。どこへ揚げたらいいのだということで、船がそこらをうろうろしてごらんなさい、どうなるのです。日本国民は生活が一つもできない。日本に何が資源があるのです。すべて外国の資源によってわれわれは生活をしていっているのです。これが行き先が不明で、うろうろしておったら、どうなるのです。海運業者だって、単に荷物を船に積むだけが海運業者じゃない。これを日本の国のどこへはかすか、こういうことで鉄道と同じ媒介をしている。船というものは鉄道と同じ媒介なんだ。これは独占であるかないかというだけの違いなんです。しかし海運事業であったとしても、これは名前をかえて言えば、変った形における独占なんです。だれもが、どこへ行ってもかまわぬということになっていますか。なっていないでしょう。航路というものの免許をもらって、そうしてその航路はその船だけしか行けないのじゃないですか。私が船を作って、どこでも勝手に荒らしていいとあなたは承認しますか。これを御承認なさるのなら、そのことを言ってもいいと思う。そうでない。そうなったら、やっぱり同じじゃないですか。どうお思いになる。
  43. 中道峰夫

    中道政府委員 港湾運送事業法公共福祉に直接関係をするのではないかというお話でございますが、その前に、最近の港湾における情勢といたしましては、先ほどお話がございましたように、現在輸出入船舶がだんだん大きくなって参りますし、荷役方法も近代化して参っております。これに伴いまして、港湾運送の機能も示そうこれを発展させなければならないということでございます。     〔委員長退席、堀内委員長代理着席〕 この港湾運送事業は、港湾が海陸運送の受け渡しをする接点であるということだけでなしに、それが結局は外国貿易に関しまして、わが国の門戸というところのかぎを握るわけでございます。従って港湾運送機能が十分であるかどうかということは、わが国の経済に多大の影響を与えるわけでございます。また対外的信用にも重大な関係を持っているわけでございます。従いまして、健全な港湾運送事業の発展ということが特に要請されるゆえんでございますので、港湾運送事業というものが国民経済に重大な関係を持っておるというふうに考えるわけであります。  そこでこの港湾運送事業法の制定されております基本的な精神と申しますか、そういう点につきましては、お話のように免許制あるいは許可制、更新制、いろいろと実は考えられるわけでございますが、私たちがただいま提案をいたしております運送事業法の改正案におきましては、この運送事業法の基本的な考え方としては、国が直接この事業内容に立ち入るということはできるだけ避けまして、事業の安定、事業の民主化の基盤を築きまして、事業の合理的発展を期待し得るような環境、条件を作ろうということと考えておりまして、従って営業の開始、事業の譲渡、相続等を許可または認可というような行政庁の裁量にかからしめることは、必ずしも適当でないのではないか。しかし単なる届出制度では何らそこから積極的な効果は期待できない、運送事業法の基本的な精神が実現できないというふうに考えておるわけでございます。従いまして、ただいま提案をいたしておりますような一部改正をいたしたいというのが私たちの考えでございます。
  44. 井岡大治

    井岡委員 じゃ港湾局長にお尋ねしますが、ILOの港湾に関する決議がどれほど厳格なものであるかということを御存じですか。
  45. 中道峰夫

    中道政府委員 私、実はILOの点につきましていまだ詳細に勉強をいたしておりません。
  46. 井岡大治

    井岡委員 だからそんなことが言えるのだと思うのです。日本は幸か不幸か海に張りめぐらされているから、それでよろしいのですが、外国は川一つ隔てて国境なのですよ。ですから、港湾運送事業のいきさつのために外国紛争が幾らも起っている。だから、すべて港湾運送事業はこの国際法によってやりなさいというのが、いわゆるILO内陸委員会決議なんです。ところが、日本は一つもこれを行なっておらない。幸いにして日本は四方八方海で、国境の接点が非常に広いから、これでよろしいのです。これが縮まってごらんなさい、必ずこれをやらなければならないことになってくる。こういう点を考えるならば、あなた方は、いわゆる行政庁の裁量にまかすというようなことでは適当でないのだと、のんきなことを言っておるけれども、大きな時代錯誤なんです。そのためにこそ、ILOは日本の内陸運輸に対して何回かの決議をして、改善しなさいといってやっておる。私はきょうは調べているものを持ってこなかったのですが、どれだけ大きな、たくさんの決議がなされているか。私はきょうはILOの決議をあなたに実行しなさいというような質問をしようとしていないのだから、これはさておきますが、内陸運輸というものは、国際的にはそれだけ重要なんです。たとえば外国船日本に入ってきてどう言っているか。日本の港に入るのはこわいと言っているじゃないですか。これは私の聞いた話で、実際に見たことがございませんから、近く見に行こうと思っておる。港湾運送事業をあなた方が野放しにしておくものだから、たとえば、しんちゅうのふたを日本に入るときにはわざわざ木のふたにかえて入るというじゃないですか。ホースはみな隠してしまう。五百円、六百円の人夫賃ではやっていけないから、しんちゅうのふたり、甲板を洗うホースをみな取って、ポケットに入れて逃げてしまう。だから水上署に一年間に何件こういう事件が起きておるか、あなた方はお調べになったことがありますか。今私はこれを水上署の方に問い合せておりますから、出てきたらあなたを責めますよ。こういう国際的にも非常に重要なものを、単に商取引だから行政官庁がいわゆる行政指導だけやっておったらいいのだ、というような考え方でこの問題を取り扱われるということは、私はどうしても了解できない。この点もう一回聞きたい。
  47. 中道峰夫

    中道政府委員 この港湾運送事業法が、お話のように単に国内的だけでなく、国際的にも重要な関連を持っておることは、私も御説の通りだと考えております。ただ現在の状況におきまして、港湾運送事業法を一段と整備いたしまして、事業の健全化、内容の整備という観点から、お話がございましたような国内的また国際的な重要な点を十分考えておるわけではございますが、それらのことをこの港湾運送事業法によってその目的を達するようにわれわれは最善の努力を尽そうと考えまして、この改正案を提出しておる次第でございます。
  48. 井岡大治

    井岡委員 その善意は私認めるのです。今のままではいけない、少しでもよくしようという善意は認めておるのですが、しかし改正案をずっと見てみますと、ほとんど重要なところというのは賠償能力の規定を設けた第七条のところだけじゃないですか。ほかにどれだけ大きなことがあるのですか。はしけくらいでしょう。現在港湾運送事業というものが混乱していることをお認めになっている。しかも日本港湾運送、内陸運送というもにのついて外国からかなり批判されている。犯罪は依然として連続して行われている。こういうものを改正しよう、よくしようというのであれば、なぜもっと根本的にお考えにならないのか、こう言っている。あなた方の善意は認めますよ。しかしその善意は足らないのじゃないか、その足りないことをことさらに理屈をつけられるから、私は尋ねておるのです。もう一度その点をはっきり言って下さい。
  49. 中道峰夫

    中道政府委員 この港湾運送事業法の重要性につきましては、お話の通り、全くその通りと考えております。従いまして、その趣旨によってこの運送事業法整備しようということを考えておるわけでございます。ただ現在の運送事業の情勢等を考えまして、これらの事業が、各事業者の自主的な意欲、またさらに行政庁の一段の行政指導、あるいは監督等の点においても、なお措置すべき点が多々あるというふうに考えております。従いまして、この法律はそういった点も勘案いたしまして、現在の段階でお話趣旨に沿うようにできるだけ努力しつつ、この整備をいたしたい、そしてそれによってこの法案の改正をいたしたいというふうに考えて、提案をいたしておるような状況でございます。
  50. 井岡大治

    井岡委員 それではもう一度お伺いしますが、そのあなたのほんとうの気持は、この問題を、今のこれにとらわれずに、こういう事業免許制の方がいいのか、今の方がいいのか、どっちなのですか。
  51. 中道峰夫

    中道政府委員 先ほど申しましたように、現在の段階では、ただいま提案いたしましたようなことでございますが、お話の点につきましては十分承知をいたしておりますから、今後港湾整備が進み、港湾事業がそれに伴うて合理化し、進展をいたして参ることと考えますので、趣旨に沿いまして十分検討をいたし、その目的を達するように努力いたしたいと考えておる次第でございます。
  52. 井岡大治

    井岡委員 それでは私は一つの例を申し上げましょうか。門司の港で、あの関門で、サイロがあるのに、サイロを使われたのでは港湾事業者が干上りになるというので、それを使わないで、わざわざはしけを持っていって、麦の積み出しをやっておる。これは今まであなた方が届け出にして、そうしてそれをむやみやたらに認めていっているから、こういうことになっているのですよ。今もどんどんお認めになっているじゃありませんか。自主的に規制をするのだと言いながら、何が規制なのです。大阪の港に、きのうお伺いしたら、業者が四百なんぼあるというのです。こんなべらぼうなことを野放図に認めておいて、規制するなんていったって、できっこないのです。それよりは、現実のものを直視して、そうして免許制にする。しかし免許制にしたからといって、免許基準に合わないものは直ちにこれをシャット・アウトするのだということではなくて、一年なり二年なり三年の余裕期間を設けて、そうして自主的に企業合同をやらすなり、あるいはあなた方が指導してやらすという方が、より効果的であるし、より近代化を促進することになるのじゃないですか。先ほど可決いたしました特定港湾施設整備特別措置法では、四年によって日本重要港湾はみな整備されるはずですよ。そういうことであなた方は特別にこれを出しておいでになったのです。本年は七十七億という金をお使いになる。四年後のことを考えて、今から手を打たないで、どうするのですか。だから、私は必ずしも免許制にしたから、今直ちに業者をぶった切ってしまえ、こんなやぼなことは申しません。現に話によると、神戸なんかで自主的にやっている。あるいは、ここで免許制に切りかえていただけるならば、われわれは自主的に合同をして、もっと近代化をしようじゃないかという話し合いが、業者の中で進められておる。にもかかわらず、こういうなまぬるい法案を出してきて、これでまだいけるんだという錯覚を起して、そうしてどんどんやっていく。港湾整備され、港の中の設備はきれいになったけれども、港の空気というものが、どす黒い、灰色の空気になったらどうするのです。そういう点は考えになりませんか。
  53. 中道峰夫

    中道政府委員 神戸等で業者が自主的に合同しておるということは、私どもも承知いたしておるわけでございますが、ほうっておいたら、どんどんそういうふうにやっていくだろうというようなことは、毛頭考えておらないわけであります。それで今回の、先ほど可決いただきました特定港湾施設整備特別措置法によりまして、港湾がここ四、五年のうちに近代化され、その整備が進んでくるというふうに考えますが、現在のところでは、この整備はまだ若干時日を要するわけでございます。従いまして、われわれといたしましては、できるだけ早い機会に、そういった港湾の近代化された姿、そしてそれに伴って行われる港湾運送事業、そういったものを検討いたしまして、港湾が近代化され、そしてわが国の経済に貢献するような運営、あるいは港湾運送事業がそれに伴って進んでいくように考えるというふうにいたしておるわけでございます。従いまして、このままでほうっておいて、自主的に進めろということでは絶対にない次第でございます。
  54. 井岡大治

    井岡委員 ここでの答弁だけでは、それは幾らでも言えますよ。ところがこの法律、あなた方の改正を読んでみましょうか。「資産の合計金額から負債の合計金額を控除した金額が港湾運送に関して負うべき損害賠償の責任を考慮して運輸省令で定める一定の金額に達しない者」これだけを拒否するんだ、こういうのですよ。そうすると、書類の上でこの条件に適合しておれば、あなた方は通さなければならぬことになるじゃないですか。今は港政課がなくなって——どういうのですか、何人おいでになるのですか、本庁に何人おいでになり、それから全体で何人おいでになるのですか、これに携わっておる人が。あなた方、一々調べられますか。あなた方、調べられないと言っているじゃないですか。運輸省港湾整備審議会においてこのことを追及されたら、われわれはそんなことはできますまい、こう言っているじゃ、ないですか。ここでの答弁は幾らでもうまいことは言えますよ。しかしながら、現実は行われておらないということなんです。しかも、書類の上でこういう条件が満たされたものが現われてくれば、あなた方はこれを否定できますか。どうしてやるんです。お前、借金があるとかないとか、私があるかないか、あなた方聞きますか。私でもこれでやれるんだと出したら、顔と形を見て、それで通すより仕方がないじゃないですか。お前の負債と事業をやろうといういわゆるなにとが条件に適合すればいいんだ、こういうことであなた方おやりになっておる。同時に、今の港湾は十分じゃない、こう言う。十分じゃないから、四年間でおやりになろうと言っている。それに見合った施設を今考えておかないで、どうするのです。一たん法律を出したら——あなた方、この次の国会でもう一回再提案しますか。できないでしょう。それとも、あなた方、今度の臨時国会に私の言うようにすると言うなら、この質問をやめますよ。どうですか。
  55. 中道峰夫

    中道政府委員 お話の点は十分了承いたしているわけでございます。従いまして、今の行政指導の点、あるいは運輸省の内部また地方の出先におきまする指導の強化等につきましても、一段とこれを強化する方向にただいま検討いたしておるわけでございます。従ってお説の趣旨に従いまして、一段と努力してこの港湾の近代化に違反しないように、これとマッチしていくように努力いたしたいと考えております。
  56. 井岡大治

    井岡委員 了承するというのですから、じゃこの次出すのですね。出さなかったら、あなたはどうしますか。私は質問をやめるというのですから、この点だけはっきりして下さい。
  57. 中道峰夫

    中道政府委員 私の申しましたのは言葉が足らなかったと思いますが、御趣旨に沿うていきたいという意味でございます。
  58. 井岡大治

    井岡委員 そんなばかなことはないですよ。私は質問をやめる、こう言っているのですよ。あなた方がこの点をはっきりするなら、やめると言っているのです。従って、あなた方がこれでやれるという自信があるなら、こうしますということを言いなさいよ。言わぬ限りは私はやめませんよ。何日でもやりますよ。 (「それなら議員提案にすればいい」と呼び、その他発言する者あり)まじめに考えて言っていることを、そんなばかなことを言うなら、自民党だけで勝手にやったらいいじゃないか。それならこんな審議しませんよ。
  59. 堀内一雄

    ○堀内委員長代理 原健三郎君。
  60. 原健三郎

    ○原(健)委員 時間がありませんので、簡単に質問いたしたいことは、農林省の許可しておる財団法人日本穀物検定協会についてであります。これは昭和二十七年三月に創立されて、当時は内地米の検定を行なっていて、昭和二十八年四月から輸入食糧を取り扱うことに食糧庁に指定されておる。これについて聞きたい点は、この当時、農林省のやった検数の問題であるが、これは港湾局でわかっておるわけだ。それでお尋ねいたしたいのだが、今言った日本穀物検定協会というのは、運輸省と農林省との話し合いで、その場合においては政府扱いの輸入食糧及び内地米の検定を行うという趣旨でやっておるのである。その了解が両者にできておったか、できていなかったのか、まずそれをお聞きしたい。
  61. 見坊力男

    ○見坊説明員 昭和二十八年の三月に食糧庁と運輸省の間で話し合いが行われましたことは、当時穀物検定協会が扱う作業につきまして、それが海上運送法の「船積貨物の積込又は陸揚を行うに際し、」という言葉が検数、検量の定義の中に入っておりますが、その「船積貨物の積込又は陸揚に際し、」という言葉に該当するかどうかという点についての解釈の明確化をはかったという点がございます。
  62. 原健三郎

    ○原(健)委員 それでお聞きいたしたいのは、そのときに食糧庁との話し合いにおいては、政府扱いの輸入食糧及び内地米の検定を行うというのであるから、いわゆる運輸省関係で扱っておる社団法人の検数協会というのが四つもありますが、それらとは性質も違うし、特別のそういうものを扱うのであるというように了解して話ができた、こういう了承ですね。
  63. 見坊力男

    ○見坊説明員 当時の書類を見ますと、港政課長から地方海運局運航部長に出した通牒の中にこういう点がございます。「なお、同協会が海上運送法上の検数、検量業務を行う場合には、当然同法による事業の届出及び検数人、検量人の登録が必要となるが、その場合には農林省が許可した公益法人が運輸省所管の事業を行う点と、公益法人が海上運送法上の検数、検量業務を行う点で問題があるので、事前に本省に連絡されたい。」こういう点がございます。
  64. 原健三郎

    ○原(健)委員 それでわかりましたが、その後この日本穀物検定協会というのが、話し初めの約束通り以外に逸脱して、一般民間貿易物資に対して検定の業務をやっておるという事実を知っておるか、知っていないか。
  65. 見坊力男

    ○見坊説明員 最近穀物検定協会が、民貿のトウモロコシ、ふすま等に出てきておるということを関係の業界から聞いております。
  66. 原健三郎

    ○原(健)委員 それを聞いておる場合に、いわゆる両者の了解を得てやるならいいが、勝手にやっておるのに対して運輸省はそのまま放任しておくというのは一体どういうことです。
  67. 見坊力男

    ○見坊説明員 穀物検定協会がとるべき手続もとらないで、民貿に出ておるということは、まことに遺憾な点でございます。私の方も関係の業界からその話を詳しく聞いたわけでございます。まずそういうことをやめてもらうようにということを、関係の業界で穀検の方と折衝をされておるのでございまして、その折衝の経過等については報告も受けております。今後当事者間の話し合いがどうなりますか、まだ最終的にきまってはおりませんが、やはりわれわれといたしましても、その間の法的な手続あるいはその取締り等についてさらに注意を喚起し、措置をいたしたいと考えております。
  68. 原健三郎

    ○原(健)委員 それで当然であることを、向うの日本穀物検定協会が勝手にそういう逸脱した行為をやっておるのであるから、私どもの申し上げたい点はすみやかに農林省当局とも話し合いをつけて、厳重に抗議を申し込んで、とにかくそういうことをされないようにしてもらいたい。
  69. 見坊力男

    ○見坊説明員 御趣旨に沿って十分農林省と話し合いをいたします。
  70. 原健三郎

    ○原(健)委員 もう一つお聞きをいたしたい点はこの検数協会は私は数年前に頼まれて——この頼まれた人は社団法人にしなくても、株式会社でもよろしいと言った。社団法人にするくらいなら全部免許制にでもするとか、そういう強力なものにしなければ、社団法人であろうと、株式会社であろうと何の違いもない、名前だけでは。そういうような趣旨において、運輸省の当時の港政課へも厳重にねじ込んだ。そんななまはんかなことではだめだ、もっと、免許制にするならけっこうであるが、ただ株式会社と社団法人を名前を変えただけで何の利益があるか、こういうことを私は言うたのだが、その後いつの間にかだんだん社団法人がふえて参りました。そして運輸省港湾局の意向としては、社団法人とする意向であるということを明らかにして、強引に株式会社であるものも社団法人にさした。それならそれで、それだけ——これは公益性があるから、社団法人にするという趣旨である。公益性があることは私も認める。申し上げたい点は、名前だけだとか、形式だけはそんな社団法人とかいうものになって、実質が伴わなければ何もならぬ。私の言うのは実質を伴わすようにしなければならぬ。公益性を認めるという運輸省趣旨には賛成である。それが社団法人をたくさん認めて、こしらえておきながら、現在においては、まだそんなものに入らぬ株式会社も既存のものがたくさんある。新たにまた株式会社であっても個人商店、そんなものが検数をやり出す。これに何も手を打たぬ。これでは何もならぬ。これが実情です。それはどうですか。
  71. 見坊力男

    ○見坊説明員 検数、検量、検査につきましてはその事業の持っておる公益性から、これらの事業についてさらに監督規制の法律整備すべく、以前から研究をいたしておったわけでございます。まだわれわれのところで結論を得るまでに至っておりませんが、現在関係業界等とも研究会を作りまして実態調査をし、あるいは資料を集めて検討を進めておるところでございます。
  72. 原健三郎

    ○原(健)委員 研究したり、検討するのはけっこうですが、私の申し上げたい点、社団法人にまでそういうふうに公益性を認める趣旨は、私は賛成なんだ。それなら今のようにほうっておくと、せっかく運輸省はその趣旨によってやってみたわ、民間では勝手にちっぽけな個人商店でやってみたり、株式会社で検数とか、検定をやってみたりする。これでは何もならねので、将来はこれを全部社団法人にして免許制にする意思で進んでおるかどうか。
  73. 見坊力男

    ○見坊説明員 免許制がいいか、許可制がいいか、登録制がいいか、これらも研究事項の重要な部分になっております。まだ免許制にすべきであるというほどの結論は出ておりません。それらの点も十分考えて、検討を進めていこうと思っております。
  74. 原健三郎

    ○原(健)委員 申し上げたい点は、すみやかにそういう趣旨に沿うてやってもらいたい。私がこれを聞いてから三年にも四年にもなるが、こんな調子では全く成績が上らぬだけでなく、なまはんかな中途半端では、かえって弊害が出てくるから、すみやかに出せるようにやってもらいたい。
  75. 堀内一雄

    ○堀内委員長代理 次会は明六日午前十時より委員会開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後零時十七分散会      ————◇—————