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1959-03-03 第31回国会 衆議院 運輸委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年三月三日(火曜日)     午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 塚原 俊郎君    理事 簡牛 凡夫君 理事 木村 俊夫君    理事 長谷川 峻君 理事 堀内 一雄君    理事 井岡 大治君 理事 久保 三郎君    理事 土井 直作君       宇田 國榮君    川野 芳滿君       小枝 一雄君    關谷 勝利君       高橋 英吉君    羽田武嗣郎君       池田 禎治君    菊川 君子君       島口重次郎君    杉山元治郎君       館  俊三君  出席政府委員         運輸政務次官  中馬 辰猪君         運輸事務官         (大臣官房長) 細田 吉藏君         運輸事務官         (海運局長)  朝田 靜夫君         運 輸 技 官         (港湾局長)  中道 峰夫君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      山内 公猷君  委員外出席者         運輸事務官         (港湾局管理課 園田 圭祐君         長)         日本国有鉄道副         総裁      小倉 俊夫君         専  門  員 志鎌 一之君     ————————————— 本日の会議に付した事件  国内旅客船公団法案内閣提出第八七号)  特定港湾施設整備特別措置法案内閣提出第一  四三号)  日本国有鉄道経営等に関する件  海運に関する件      ————◇—————
  2. 塚原俊郎

    塚原委員長 これより会議を開きます。  国内旅客船公団法案議題とし、審査を行います。  質疑通告がありますので、これを許します。井岡大治君。
  3. 井岡大治

    井岡委員 法案に対する大体の質問同僚委員から行われましたので、私はただ一点だけお尋ねをいたしたいと思います。  今度の公団によって老朽船代替建造をされていくわけですが、その建造された船、いわゆる所有が共有ということになっておりますが、これに対する固定資産税関係はどうなるのか、その点を一つお伺いをいたしたいと思います。
  4. 朝田靜夫

    朝田政府委員 固定資産税負担につきましては、ただいまのところ私ども共有船舶につきまして船舶管理人というものを指定するわけでございます。その船舶管理人と申しますのが大体事業者という方が実務に便利なものでありますから、運送事業者船舶管理人になりまして固定資産税負担するという方法をとって参りたいと思うのであります。しかしながら、理論的には共有持ち分に応じて税の負担をしていくべきであります。固定資産税公団負担をいたしましても、使用料を通じてまた事業者から取り立てる、こういう形になるものでありますから、初めからそれを取らないで、使用料の中に含めないで事業者がそれを負担していく、こういうのが戦後創設を見ました船舶公団でも従来からとっておった方法であります。理論的には七割、三割おのおのその持ち分に応じて負担をして参る、こういうことがその底にあるわけであります。
  5. 井岡大治

    井岡委員 そうしますと、その使用料を徴収する場合、七、三という割合を考慮して徴収するのかどうか、この点をもう一度伺います。
  6. 朝田靜夫

    朝田政府委員 使用料の中では、すでに税金を引いて取り立てないというふうにいたしたい、こう考えております。
  7. 塚原俊郎

    塚原委員長 他に御質疑はございませんか。——他にないようでございますので、本案に対する質疑はこれにて終局いたしました。  これより討論に入りたいと存じますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたしたいと存じます。御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 塚原俊郎

    塚原委員長 御異議なしと認め、これより採決いたします。  国内旅客船公団法案について採決いたします。本案に賛成の諸君起立を求めます。     〔総員起立
  9. 塚原俊郎

    塚原委員長 起立総員。よって、本一案は原案の通り可決いたしました。  この際、井岡大治君より発言を求められておりますので、これを許します。井岡大治君。
  10. 井岡大治

    井岡委員 私は、ただいま可決されました国内旅客船公団法案に対し、自由民主党並びに日本社会党を代表して、附帯決議を付する動議提出いたしたいと存じます。  まず附帯決議の案文を朗読いたします。    国内旅客船公団法案に対する附帯決議案   政府は、老齢船一掃海上旅客運送事業の健全な発展を図り民生の安定に必要な航路維持改善のため速かに左記措置を講ずべきである。  一、政府出資金を増額するとともに、資金運用部資金融資を充分に確保すること。  二、海上旅客運送事業の健全な発展を期するため   1 航路補助金の増額を図ること。   2 海上旅客運送事業の業態にかんがみ、事業税固定資産税等の軽減を図ること。  三、船員の福利厚生施設整備を図るよう指導すること。   右決議する。  政府は、さき離島航路整備法を制定して、国内旅客航路維持改善努力いたして参りましたが、その成果は必ずしも十分でなかったことは、今回提出されました国内旅客船公団法資材等によっても明白な事実であります。幸い今回国内旅客船公団法を作り、老齢船一掃努力し、もって海上旅客運送事業の健全な発展をはかり、民生の安定に寄与されんとしたことは、当委員会がしばしば論議いたしましたことで、まことに当を得たものといわなければなりません。  しかしながら、元来海上旅客事業、すなわち、離島航路そのもの公共性を持つものでありますから、商業採算の見地からは、必ずしも十分でないことは申すまでもないのでありまして、さらに特段努力を払う要があろうかと存じます。そのためにこそ、ただいま提出いたしました動議趣旨政府は十分尊重されることはもちろん、進んで航路調整等を考慮されることは海難防止の一助かとも存じます。いずれにいたしましても、海上運送事業整備するため、今後一そうの努力と工夫をこらして、すみやかに航路維持改善に万全を期せられんことを要望いたしまして、提案の理由を終りますとともに、各位の御賛同をお願いいたします。
  11. 塚原俊郎

    塚原委員長 ただいま井岡君より提出されました動議のごとく、国内旅客船公団法附帯決議を付するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  12. 塚原俊郎

    塚原委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  この際、政府当局より発言を求められておりますので、これを許します。中馬政務次官
  13. 中馬辰猪

    中馬政府委員 国内旅客船公団法案につきまして、ただいま御決議が採択されましたが、本公団業務円滑化老朽旅客船早期一掃のため、政府出資金を増額いたしますとともに、今後資金運用部資金融資を十分に確保できますよう、大蔵省当局とも協議の上、御決議趣旨に沿って努力いたしたいと存じます。また、海外旅客運送事業の健全な発展を期しますためにも、ただいまの御決議趣旨を十分尊重いたしまして、努力いたしたいと存ずる次第であります。
  14. 塚原俊郎

    塚原委員長 なお、ただいま可決されました法案報告書作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  15. 塚原俊郎

    塚原委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。     —————————————
  16. 塚原俊郎

    塚原委員長 次に、特定港湾施設整備特別措置法案議題とし、審査を行います。  質疑通告かありますので、これを許します。井岡大治君。
  17. 井岡大治

    井岡委員 わが国の貿易伸張をはかるために港湾施設整備拡充を急がなければならぬことは、しばしば当委員会において論議されたところであります。今回、政府においてもその重要性を認識されて所要の措置をおとりになったことは、まことに御同慶にたえません。しかしながら、現行港湾法と今回御提出特定港湾施設整備特別措置法関係について、世論は必ずしも一致いたしておりません。すなわち、さき政府港湾組織並びに運営について御研究なさったようでありますが、その結論として、現行港湾法制定当時の経緯に幾つかの背反する意見が述べられているのであります。     〔委員長退席簡牛委員長代理着席〕 そのために、東京初め名古屋、横浜、大阪、神戸等からかなり強い反対の陳情かわれわれの手元に参っております。そこで私は、本法案の真の意味と申しますか、精神というものについて、若干順を追うて質問をいたしたいと思います。  ます最初に、特定港湾施設整備特別措置法といいますから、特定港湾整備か完了いたしますと当然本法案は任務を終了する、このように解釈してよろしいかどうか。特に、特定港湾施設工事港名別施設別に政令で定めることになっております関係上、非常に大事なことでありますから、この点をお伺いいたしたいと思います。
  18. 中道峰夫

    中道政府委員 お答えいたします。今回の港湾整備に関する特別措置でございますが、これは、ただいまお話のように、計画いたしております特定港湾施設整備が完了をいたしますれば、一応この措置は完了するものと考えております。
  19. 井岡大治

    井岡委員 そうしますと、一部で伝えられておるように、港湾法を改正する、あるいは改正をしなければならぬ、こういうような議論は成り立たないと思いますが、この点はどのようにお考えですか。
  20. 中道峰夫

    中道政府委員 港湾法を改正する問題と、今回提案をいたしておりまする港湾特別措置とは別個の観点に立っておるものと私は考えております。それは先ほどお話がございましたように、日本港湾経済の進展に順応しておりませんために、重要な港湾施設について特に今回特別会計を設けまして、これを急速に整備するというために今回の特別措置を見ておるわけでございます。この特別整備につきましては従来の港湾法精神によりまして施設するのでございまして、ただこの特別措置を講ずるために必要な程度の措置法提案しておる次第でございます。
  21. 井岡大治

    井岡委員 もう一度お伺いいたしますが、この法案はあくまで特定港湾整備を急速にやりたい、そのための法律だ、こういうことでありますから、当然その特定港湾整備をされればこの法案は、簡単な言葉で言いますと用をなさないということになるわけであります。従って港湾法との関係は全く別個のものだ、こういうように今御答弁をいただいたわけであります。しかし一部で、この特定港湾整備するために特別会計制度を設けた、このことによって、現在の港湾法を改正すべきだという意見かなり強く述べられております。たとえば行政管理庁港湾対策小委員会においてもこの趣旨が盛られております。従って東京都を初め七大港がこぞって現在の管理権というものを取り上げられてしまう、こういうことで反対をなさっておることは局長も御存じのはずだと思うのです。従って私が先ほどからお尋ねをいたしておりまするのは、港湾法をいじる意思がないかどうか、別個のものであるからあくまでいじる必要がないのじゃないか、こういうように申し上げているのですが、この点を一つ明確にお答えいただきたい。
  22. 中道峰夫

    中道政府委員 行政機構の統一に関しまして行政審議会答申が出ておりまして、それにつきまして関係の各港湾管理者あるいは自治体におきましてこれに関する意見あるいは反対が出ておりますことは承知いたしております。この問題は内容的に見ますと、いろいろ港湾行政複雑化、特にいろいろな手続事務、あるいは国の公用事務煩瑣等が現在港湾を利用する関係の方面で非常に不便、不利であるということから起っておると考えております。従来とも港湾行政簡素化するということについては努力をして参っておりますし、港湾法によりまして港湾管理者が指定されまして、この主なる目的もやはり港湾行政簡素化する、そうして港湾能率的に活用するというのが主眼であったわけでございます。これにつきましては現在の情勢から考えまして非常に複雑な問題を包含しておると考えます。ただいま私が申し上げました事務的な手続の問題、あるいは国の公用事務問題等につきましても、これはやはり今日の情勢考えますと、さらにもっと簡便、簡素にいたしまして、港湾の利用をさらに能率的にすべきであると考えております。また港湾管理運営の主体をどうするかという根本的な問題につきましては、戦後港湾法を制定いたしました際に、それらの点は相当に検討を尽したと私は考えております。また現在の港湾法が一応最も進歩的な港湾管理経営の方式であるというふうに承知をいたしておるわけでございます。それと今回の特定港湾整備の問題との関係でございますが、これはそれと直接関係があるというふうには考えておりませんので、これは先ほど申しましたように、あくまで現在の港湾法に準拠いたしまして港湾に特別の措置をするために必要な点だけをやるための措置であるというふうになっておると私は考えております。またこの内容をごらんいただきますれば、そういうふうにできておると私は考えておるわけであります。
  23. 井岡大治

    井岡委員 港湾業務簡素化をはからなければならない、このことは私自身も必ずしも反対するものではないわけです。しかし私がお尋ねしておるのは、ややもすれば、政府法案提出のときにはかなりりっぱなことを申されるわけですが、制定してしまってからいろいろなことをお考えになる。たとえば、これは港湾とは別でございますけれども、国鉄の志免の炭鉱の問題でも、これは絶対に売らないのだ、こういうように言っておる。もし売るとするならば現在の成績が悪いからこれをもっと改善するならばよろしいのだ、こういう行政管理庁勧告が出た。勧告が出たために志免諸君は一生懸命になって合理化に協力し、そうしてかなり成績を上げてきた。そうなってくるといつの間にか変ってしまって、これは分離するのだ、これは行政管理庁勧告なんだ、こういうように言われてくるわけなんです。ですからこの際明確にしておかなければならないことは、港湾が非常に荒れておる。しかも日本経済の基盤を確立するためにも貿易伸張をはかるためにも港湾をよくしなければならない、こういう点については私は全く同感なんです。同感なんですが、一方において行政管理庁の小委員会では、一元化という美名のもとに現在の港湾を改正して、そうして国が直接管理をやるべきだという答申案を出しておいでになる。従ってこの特定港湾整備が終ったころには、ぼつぼつそういうようななにを出してきはしないかと思うのです。ですからこの際明確に運輸省港湾管理というものは現在のままでいいんだ、そうして港湾業務簡素化というものは別に考えるんだ、こういう態度をはっきり出しておかないと、今後いろいろな問題が起ってくる、こう思うのです。ですからこの点をお尋ねしているわけです。もう一度お願いいたしたい。
  24. 中道峰夫

    中道政府委員 この特別会計に関しましての要占と申しますのは、要するに港湾整備のために一般財源を財政の許す限り増強する点のほかに、政府資金を借り入れまして、また要すれば受益者等からの民間資金をも活用し、さらにこの経理のために特別会計を設けて、国が現在てもやっておりますような直轄工事でこれを進めるための特段措置を講ずるというのがこの趣旨でございます。従いまして、この計画を今後あるいは四年あるいは五年の間に一応完了したいというふうに考えておるわけでございますが、この特別会計措置に関しましては、趣旨はそのようなことでございます。この特別会計が終了いたしました後に、港湾行政の問題がいろいろ出てくるのではないかという御趣旨と思いますが、これにつきましては現在行政審議会答申が出ておるわけであります。従いまして、これに対する対策と申しますか、それについては私どもといたしましても現在慎重にいろいろ検討をいたしておるところでございます。ただ先ほど申しましたように、現在の港湾法は、戦後ではございますが、最も進歩した能率的な港湾管理運用をはかる施策であるとしてきめられておりますし、今回一の港湾特別整備につきまして、また一一般港湾整備につきましても、現在の港湾法にのっとりましてこれを遂行していくという考えでございます。
  25. 井岡大治

    井岡委員 まだ少しわかりにくいところがありますが、それではその次にお尋ねします。  運輸省においてもこの特定港湾すなわち貿易港の管理運営についての一つ試案を出しておられる。その試案の中に、「最大限に港湾機能を発揮するという統一的な行政目的のもとに、港湾関係組織を再編成することにより、各種の港湾行政運用円滑化と相互の調和をはかり、その能率化を促進する」こういう一項があるわけです。その次に「このためには、港湾建設計画港湾施設運用管理とが一体性をもって遂行されることが望ましい」運輸省としてこういう論文を発表されておるわけです。これによりますと、今申されておることと若干意味が違うのじゃないか、私はこう思うのです。ですから再編成をするというこの再編成というものはどういうふうに考えておられるか、この点をまずお伺いいたしたい。
  26. 中道峰夫

    中道政府委員 ただいまの運輸省考え方でございますが、御承知のように港湾の中で行われておりまするいろいろな業務、その中には一般港湾関係荷役業務もございますし、国の行なっておりまする運輸取締り関税というふうな業務もございます。関税業務につきましては、大蔵省が税関を設けてやっておるわけであります。そのほか農林省、厚生省あるいは法務省等におきまして、動植物検疫あるいは入国管理等の、国のいわゆる公用業務が行われております。そのほか港内の取締り港湾運送関係、あるいは倉庫関係というふうな運輸関係業務もございます。運輸省として所管いたしておりまするこれらの運輸関係業務をできるだけ簡素にし、能率的に行いたいというふうに考えておるのが、運輸省考え方主眼だと考えるわけです。つまり運輸省として現在行なっておりまするこれらの一般業務、すなわち、運輸関係した港湾運送倉庫関係あるいは海上保安庁の業務、そう、いったものができるだけ簡素、強力に、しかも能率的に行われることが主眼であるというふうに考えております。それからそのほかの港湾行政審議会が申しておりますのは、一般の国の公用業務、つまり動植物検疫入国管理その他の一般港湾業務も、場所的な問題もあり、あるいは港湾指定地の問題もあり、港湾施設の問題もございます。これをできれば集約して一ヵ所に集めて、これに関係する向きで便利なやり方にしてもらいたいというふうに考えておるわけでございます。
  27. 井岡大治

    井岡委員 私は行政管理庁の見解なり何なりを聞いておるのではないのです。私のお聞きしておるのは、運輸省が、今言うように、「統一的な行政目的のもとに、港湾関係組織を再編成する」こういっておいでになる。その「統一的な行政目的のもとに、港湾関係組織を再編成する」というなら、これはどういうことをお考えになっておるか、これを聞いておるのです。行政管理庁のお考えは、私は行政管理庁答申案を持っておるからお伺いしなくてもわかっている。運輸省のにはこういう文章だけしか表われていないから、これは具体的にこうするのだということになっていないから、この点を一つ明確にお聞かせ願いたい、こう言っておるのです。     〔簡牛委員長代理退席委員長着席
  28. 細田吉藏

    細田政府委員 その問題につきましては、港湾局だけの問題ではございませんので、私からお答え申し上げたいと思います。  運輸省港湾行政に対する意見を出しておりますが、これは国の行なっております仕事港湾管理者が行なっておる仕事、そういうもの全部を何でもかんでも一本にした方がいいということを申しておるわけではございません。国がやっております行政仕事は、でき得べくんば一本でやることが望ましい、こういうことで、それでは具体的にどうするのかということでございますが、はっきり申し上げまして、具体的にどういう形にするかというところまでの検討はいたしておりませんが、何らかの形で一本化した方が能率が上るということを考えたわけでございます。
  29. 井岡大治

    井岡委員 まだ具体的に検討してないということですが、そうすると国の業務を統一的な行政のもとに再編成する、こういうふうに理解していいのですか。
  30. 細田吉藏

    細田委員 さようでございます。
  31. 井岡大治

    井岡委員 そうすると、その次に、「港湾建設計画港湾施設運用管理とが一体性をもって遂行されることが望ましい」こういわれておる。これは管理ということになりますと、現在港湾管理権港湾管理者が持っているが、これとの一体性というものはどういうことになるのですか。
  32. 中道峰夫

    中道政府委員 この問題は簡単に申しますと、設備と管理運営というものが一体的に活用されるということは申し上げるまでもないわけでございますが、現在でも港湾施設につきましては、重要港湾については国の直轄でやっております。その他の港湾につきましては国の補助事業等港湾管理者がやっております。港湾管理者がやつ一ております分は、管理者港湾法によって開発整備の責任を負うことになっておりますので、施設管理運営というものが一体的に行えるという建前でございます。国が直轄でやっております重要港湾につきましては、施設は国が直轄できる、そうしてできたものは、これを港湾管理者譲渡委託管理をやるという建前になっております。そういう意味で、国の直轄工事港湾管理者との間の施設管理運営というものを一体的に行いたいというのが趣旨でございます。
  33. 井岡大治

    井岡委員 どうもわからないのです。一体的にという、その一体的という言葉を使っておいでになるのですが、この一体的というものはどういうものか私にはわからない。
  34. 中道峰夫

    中道政府委員 これはこういう面が考えられると思います。それは運輸省機関として、地方建設管理運営というものを一体的につかさどるような機関考えるべきではないかというふうにも考えるわけでございますが、建設業務はただいま申しましたように、地方港湾建設局がやっておりますし、それから管理運営の面は港湾管理者がやっております。それからその他のいわゆる港湾倉庫関係は、やはり海運局がやっておるわけでございます。これらを一緒にまとめて、一つ組織にして運営をしたら最も能率的ではないかというふうな考え方にもとれるかと思いますがそれにつきましては、先ほど来申しましたような行政管理庁答申もございますので、運輸省といたしましては、ただいま官房長が申しましたように、現在いろいろ検討をしておるわけでございます。
  35. 井岡大治

    井岡委員 まだわからないのですか、先ほどこの御答弁では、政府機関を統一的な行政のもとに置くのだ、そういうふうに再編成するのだ、こうおつしやったわけです。たとえば港湾建設一局と海運局とを一緒にするというようなことは、これは政府機関ですからけっこうなんです。しかし管理ということになると、これは政府機関ではなく地方公共団体が持っている権利なんですから、これは一体化した方が望ましいのじゃないか、こう思うのですが、先ほどの御答弁と今度の御答弁と食い違いがあるような気がしてならないのですがこの点をもう少し明確にお答え願いたいと思います。
  36. 中道峰夫

    中道政府委員 お話の点は政府機関港湾管理者管理運営業務とを一体的にするというようなことが考えられるのではないかということだと思います。これは港湾審議会答申によりますと、六大港管理運営業務を国に委任をするというふうな線が出ているわけでございます。運輸省といたしましては、現在の状況から考えますと、大体三本立になっているのではないかと思います。それは今の港湾管理者の行なっております港湾管理業務、それと国が行なっておりまする公用業務、その公用業務でございますが、それが先ほど申しましたように、いろいろ内容があるわけでございます。現在の状態では運輸省といたしましても、これを全部一本にするということはいろいろ議論がございます。それで現在の港湾管理者業務と国の業務というものを別々に考えまして、そういった線が現在の状態では妥当ではないかという考え方をしております。ただ先ほど申しましたように、行政審議会答申が出ておりますので、それらについてはさらに十分に検討するという段階と承知しているわけであります。
  37. 井岡大治

    井岡委員 もう一度尋ねますが、行政管理庁のは初めから一元化となっているのですから、これはいい。その内一容等につきましては私は別に意見を持っておりますが、国の諸機関も、それから管理も、すべて国がやるのだ、そうして一元化するのだ、この筋は通っている。ところが運輸省のおっしゃるのは、港湾法は現在の港湾法の範囲内においてやるのだ、従って「統一的な行政目的のもとに、港湾関係組織を再編成する」ということは、政府機関だけを統一的にするのだ、そして管理の方は今まで通りにやるのだ、前段ではこういう御答弁だったわけです。ところが、その後段の方で「港湾建設計画港湾施設運用管理とが一体性」というのですから、これは考え方によっては港湾建設と諸施設管理という、いわゆる政府機関だけを一体化するのだ、この管理を一体化するのだ、こういうようにもとれないことはないのですが、しかし管理という言葉が使ってある。その管理というのは、いわゆる政府機関管理なのか、港湾全体の管理なのか、この管理ということがまず明確ではないわけです。そうして「一体性をもって遂行されることが望ましい」こういっておられるのですから、この辺がぼやけて筋が通ったような通らないようなことになっているからこの点はどうなんですかと聞いているのです。
  38. 細田吉藏

    細田政府委員 先ほどのお答え若干誤解を招くおそれなしといたしません。私こもの方で六大港における港湾行政の一元化に対する案を二つ出していることは御承知かと思います。前段のほうは、実は私どもはっきり申しまして、実現は非常にむずかしいことでございますが、何でもかでも一本にするという考え方に立ったものでございまして、おっしゃいますように、この文章によりますと、「運輸省の出先機関を中核として、これに港湾行政機関各出先機関を凡て統合することとすべきである。」これに対しまして私どもはより現実的な案を持っておるわけでありまして、それが案の第二でございます。先ほど答弁は第二の方の答弁を私申し上げたような形になっておりますが、第一のような大理想は実情から考えて非常にむずかしいということで、より実際的な案として第二案を出しておるわけであります。第二案におきましては、港湾施設管理行政、徴税行政、その他のものを三つに分けてやることが適当である。これをもう少しはっきりもとの案で申し上げてみますと、こういうことでございます。「港湾行政港湾建設計画港湾施設運用管理とが一体性をもって遂行されると同時に、関税検疫、動物及び植物検査、出入国管理等の人又は物に規制行政を併せて行わしめることとする必要があるので、運輸省の出先機関を中核として関係各出先機関を凡て統合するのが理想と考えられておる。然しながら前述の諸行政港湾営造物管理行政は、港湾法制定以来港湾管理者がこれを行い着着その実績を挙げつつあるので、理想は前述のとおりであるが、現実問題としては従来通り港湾管理者に行わせるのが現実に則する措置考えら九る。一こういう意見でございまして、それをこの通9の意味に表わしたつもりでございますが、第一の方が非常に強く受け取られておるのではないかということを実は心配しておる次第でございます。一体としてお読み願えれば、ただいまあとで申しましたような真意で出しましたものでございます。
  39. 井岡大治

    井岡委員 そうしますと、先ほどお話から大体わかってくるわけですが、あくまで現在の港湾法のもとで行うのであるから、現実的な考え方をすることの方がより効果的である、こういうように理解してよろしいのですか。
  40. 細田吉藏

    細田政府委員 港湾行政機構は長年の非常に重大な問題でございます。私どもとしては、港湾管理行政については港湾法制定以来港湾管理者が行なって実績を上げつつありますので、現実に即してはこれがいい方法であると考えておりますが、その後、実は行政審議会からの答申も出ておりますように、各省いろいろな事情もございますので、それらの点につきましては、行政管理庁を中心にして今後検討いたすということになっておる次第でございます。
  41. 井岡大治

    井岡委員 そこで私は先ほど申し上げたのです。最初は決してそういう考え方はないのだ、こう言いながらも、だんだん行政管理庁答申が出て参りますと、そちらの方に重点が移ってしまって、そして最初の考え方とはおよそ違った結果が生まれてきている。これは改革をするのですから、少々の違いの出てくることは当然でありますが、単に検討するというのではなくて、運輸省はこうあるべきだ、こういう態度を明確にしないと、これはいつまでたっても出先の機関なり港湾管理者というものを不安定のままに置いておく。そのために所期の目的が十分果せないということでは、私は大きな間違いだと思うのです。こういう特定港湾整備しようというこの際ですから、運輸省はこうあるべぎだ、これでなければほんとうの港湾行政はやれないのだ、こういう態度を明らかになさる必要があるんじゃないか、こう思うのです。
  42. 細田吉藏

    細田政府委員 そういう意味でただいま前段に申し上げたつもりでございましたが、不明確なようでございます。港湾営造の管理については港湾管理者が行うことが現実に即しておるということを申し上げました。そういう意味でございます。ただ、これは審議会の答申が出ておりまして、各省に非常にまたがっておる問題でございますから、私どもの方だけがどうこうということは、政府としてはお答えになりません。従いまして後段の、行政管理庁を中心にいたしまして今後検討を進めることにいたしておりますと、かように申し上げたつもりでございますが、言葉が足りなかったと思いますので、補足いたしておきます。
  43. 井岡大治

    井岡委員 そこで第二条の特定港湾施設工事、この点については現在の港湾法でもやれるわけですが、しかし、緊急を要するから運輸大臣が直轄工事をやるんだ、こういうように御規定なさったと思うのですが、この点はどうなんですか。
  44. 中道峰夫

    中道政府委員 今回の港湾整備に関しまして特別の措置を講ずるに至りました理由でございますが、これは現在の港湾行政の推移と港湾施設の改良の間につきましては密接な関係がございまして、その両者が一定のバランスを保って進まないと、順調な発展が期し得られないわけでありす。量的に見ましてこの港湾を経由する貨物、また質の面から見まして港湾に出入する船舶が、今後どうなるかということを見きわめる必要があるわけであります。この新長期経済計画によりまして、昭和三十七年度は、二千一年度に比べて輸出では約八〇%、輸入では約六四%、外国貿易では約五〇%の増加が予想されておるという状況でございます。さらに最近の世界的な趨勢といたしまして、船舶が大型化し、かつ専用化する傾向が著しいわけでございます。従いましてこのように急激な経済情勢から考えまして、関係港湾施設を大幅に増強いたしませんと、貨物の円滑な流通を阻害し、国民経済発展を妨げるということになると考えられるわけでございます。右のような事情でございますので、写回特に国民経済上重要と考えられます港湾施設、すなわち、特定の輸出港湾あるいは石油港湾、鉄鋼港湾及び石炭港湾施設につきまして、これらを急速に整備増強をはかるというのが主眼でございますが、この公共施設整備に要します費用を最小限見積りましても、全体で約二百九十億の費用を要する見込みでございます。毎年度といたしましても、約七十億円程度を必要とするわけであります。この全部を一般財政の収入による一般会計予算でまかなうということは、現在の港湾施設整備の状況から考えまして、非常に困難だと考えられるわけであります。従って何らかの特段措置をしなければならないということでございまして、そのために一般財源を財政の許す限り増強するということはもちろんでございます。それ以外に政府資金を借り入れましてこれを財源とするということが一つ。それから受益者の分担金をとってこれを財源にする。つまり民間資金をも活用いたしまして、これらの財源に充てるという点、そういう措置によりまして、これを経理いたしますために特別会計を設けるということにいたしておるわけであります。それからこれが港湾管理者、つまり港湾法によります港湾管理者との協議の上やることでございますけれども、工事は国が直轄でやるという建前をとっています点が、この特別措置を必要としておる点でございます。  以上のような理由によりまして、今回一般会計によらずに特別会計を設けて、港湾施設の急速な整備を行う、それに伴います特別措置法を提案いたした次第でございます。
  45. 井岡大治

    井岡委員 私の言い方がまずかったので、何か誤解をなさっているのじゃないかと思うのですが、私の申し上げたのは、第三条で特定港湾施設工事ということで特に定義を付せられておるわけであります。いわゆる港湾の埠頭を作るとか、あるいは岸壁を作るとかいうのは、現在の港湾法でもやれるわけです。ただ港湾管理者と大臣が協議をして、ここをやるとか、この次はここをやるとか、そういう手続のあることは、もう御存じの通りであります。従って非常に急いでおることであるから、大臣が直轄にやるのだ、こういうようになさったのではないか。こういうように御質問申し上げておるのです。いわゆる一部例外を設けられておる、こういうように理解するのですが、そのように理解していいかどうか、こう聞いておるのです。
  46. 中道峰夫

    中道政府委員 先ほど申しましたように、第二条にございますが、港湾法の五十二条によりましてこの直轄工事をやります。これは港湾管理者と協議をいたしまして、協議がととのった上でやるということでございまして、あくまで港湾法によりましてこれを行うということであります。
  47. 井岡大治

    井岡委員 今のは少し解釈が違っておるのじゃないですか。それはおたくの説明の中に、「第二条は、「特定港湾施設工事」つまり本法で行います工事を限定して定義付けたものであります。本来港湾工事は、港湾法によって行うべきでありますが、第一条の目的達成のため例外的に本法によるのでありますから、本法の対象工事は明確に限定する必要があります。」こういっておいでになる。そうしますと、港湾法でいう工事は、その港湾管理者と協議をして、そうしてやるわけです。ところがこの限定されたいわゆる特定港湾施設工事というのは、大臣が直接おやりになる。もちろんこれは大臣がやるからといってむやみやたらにそこにくっつけてやるわけにもいきませんから、御相談なさることは当然でありましょうけれども、そういう例外を設けているのは、大体そういうように理解していいのか。提案説明にはそう書いてある。ですから、この点を間違わないように、お尋ねしたいと思います。
  48. 中道峰夫

    中道政府委員 その通りと考えております。
  49. 井岡大治

    井岡委員 そこでそのできた工事は、港湾法によりますと、たしか五十三条だったと思いますが、委譲することになっておりますが、これには帰属が書いてない。ですからこれはやはり委譲されるのかどうか、この点を承わりたい。
  50. 中道峰夫

    中道政府委員 港湾法通りに行います。できたものは譲渡あるいは管理委託を行います。
  51. 井岡大治

    井岡委員 そうしますと、もう一つお尋ねをいたしたいのですが、今言われた受益者負担あるいは等といろいろいっておいでになりますが、この割合というものは、急いでやらなければならない割に港湾管理者負担金というものが膨大なんですね。今までやれなかった理由というのは、主として現在の地方公共団体名古屋は若干違いますけれども、横浜にいたしましても、神戸にいたしましても、大阪にしても、東京にしても、これはほとんど地方公共団体がやる。それは地方公共団体の財政が非常に苦しいために思うようにやれなかったのじゃないか、こう思うのです。そこでこういう大きな割合にしますと、果してそれを地方公共団体が受けられるかどうか、こういうところに若干の疑問があるのじゃないか、こう思うのですが、この点はどういうようにお考えですか。
  52. 中道峰夫

    中道政府委員 お話の点は実はわれわれも大蔵省ともいろいろ折衝をいたしたわけでございますが、今回の措置は借入金ができるというのが一つ一つまり財源的な措置としてとつたわけでございまして、これによりまして工事が促進される。それからもう一つは、この計画を遂行いたしますにつきましては、事前に管理者と協議をいたしております。管理者は一応この案についてはこれでやっていけるというふうに相談をいたしました上でこの計画を立てておるのでございます。ただ、最初のお説のように、管理者負担が相当増額するという点は、われわれも考えておるわけでございます。
  53. 井岡大治

    井岡委員 お金を借りればやはり返さなければいけないし、利子を払わなければいけません。それから管理者はこれでやっていけるんだ、こういうこ一とを言ったから、こうきめたんだ。私はこういう局長考え方が少し甘いと思うんです。いわゆる港湾整備が国の方針として要請をされておる。従って管理者としてはかなり財政負担はあるけれども、国の要請にこたえる、こういう意味でやっていけるんだ、こういう答弁をしたものと思うんです。だからこれでやっていけるんだという考え方はいけない。やはり政府として港湾というものを整備することが第一条の目的です。輸出貿易の伸長及び工業生産の拡大に対応して、いわゆる経済基盤の強化に資することが目的だ、こういっておる。だからこの目的に沿わすために政府としてとるべき態度というものは、なるほど一方特別会計措置を講じておやりになるけれども、いわゆる地方公共団体等にあまり大きな負担のかからないようにすることの方がいいのじゃないか。貿易の伸長ということは国の繁栄になることだし、経済の基盤の強化ということはこれまた国の経済基盤をさらによくすることなんです。そういう意味でこの負担割合というものは特段の考慮を払うべきじゃないか、こういうようにお尋ねしているのです。ですから局長、向うが承認したからというような考え方で話をなさったのではこれは間違いたと思うのです。
  54. 中道峰夫

    中道政府委員 言葉が足りなかったかもしれませんが、向うが承認したからやるんだという一方的なことではなくて、この計画の立案までには財政的な、資金的な面、その他いろいろ協議をいたしまして、こういう線でいけばやれるということを意味しておるわけでございますが、実際問題といたしまして、これが確定をいたしておりまする現在におきましては、お話のような地方負担が相当苦しいという面があると考えられますので、今後これらの点についてはできるだけその負担を軽減するように努力いたしたいと考えております。
  55. 井岡大治

    井岡委員 第八条の工事の委託には「運輸大臣は、特定港湾施設工事の一部を港湾管埋者に委託する」とありますが、これはどことどこを予定なさっておるか、一つお伺いいたしたい。
  56. 中道峰夫

    中道政府委員 これは千葉と大阪と衣浦と名古屋でございます。
  57. 井岡大治

    井岡委員 なお、さらにもう一点だけお伺いいたしたいのですが、受益者負担の徴収方法はどういう方法でおとりになるか、どこがその徴収責任者になるか、この点を明確に一つ伺いたい。
  58. 中道峰夫

    中道政府委員 二つあると思いますが、民間団体から取ります直接の受益者負担、つまり鉄鋼、石油等の負担金、これは直接国が徴収するわけであります。それから石炭等の二割の特別利用料の徴収でございますが、これは港湾管理者が徴収をいたします。ただこの場合に二割の負担金は、第六条によりまして特別利用料という名目で取ることにいたしておりますか、なおこの徴収をやれるように、そのそれぞれにつきまして港湾法の第四十四条第三項及び第四項の適用をしないことにしております。これは利用料につきましては、港湾管理者がこれを利用者から徴収する場合に、利用者の方では異議の申し立て等のことがやれる規定になっておりますので、そういうことの手続を省きまして、これを港湾管理者が取れるようにいたしておるわけであります。
  59. 井岡大治

    井岡委員 「特別利用料の種類及び料率の基準は、政令で定める。」こういうことになっておりますが、その基準料率というのは二割ということですか。
  60. 中道峰夫

    中道政府委員 二割です。
  61. 井岡大治

    井岡委員 同時に、「政令で定める。」というその案は、できておりますか。
  62. 園田圭祐

    ○園田説明員 政令の案は、今、心づもりのような程度で作っております。それの概略について御説明申し上げたいと思います。まずそれよりも前に、二割の受益者負担金を取るものでございますが、これは大ざっぱに言いまして三つありますが、大部分は石炭の港湾でございます。それからもう一つは大阪の鋼材埠頭にかかるものであります。それから最後が関門における下関と門司の肥料埠頭とセメント埠頭、この三つの分類がございます。まず第一に石炭でございますが、送ります石炭は、利用いたしますのに、積荷におきましては大体荷主が特定しております。ただし揚げ港におきましては不特定多数にわたります。けれどもいずれにいたしましても、その埠頭のうしろに石炭の野積場、これかないと使えません。従いましてその埠頭を通過する貨物をつかまえますのには野積場使用料というものが必ずうしろにありますから、その野積場使用料というものにこの二割に当るものを付加いたしまして、特別野積場使用料という形で取ればいいじゃないか。ちょっとわき道にそれますが、大体計算をいたしますと、野積場使用料は一月一坪幾らというような形で出ておりますので、ちょっと単価は違うのでございますが、一トン当りの石炭に直しますと十円から十五円程度の間で済むのじゃないか。この野積場使用料の形で取るか、あるいは野積場に積む前に荷役機械にかかりますので、荷役機械の使用料というものがありますから、その荷役機械の使用料に特別荷役機械使用料という形で取ってもいい。従いまして石炭につきましては、野積場使用料の形か、荷役機械の使用料の形か、いずれか特別のものを作ったらいいのじゃないか。その額は一トン当り十円から十五円程度になれば所期の目的を達するというふうに考えております。それから鋼材でございますが、これは大阪だけでございます。鋼材埠頭の運営がどうなるかということにつきましてはまだ定まっておりませんが、あるいは坤頭会社ができるかもわかりませんし、埠頭会社ができずに直接大阪市がそのうしろの鋼材の置き場を経営されることになるかもわかりません。埠頭会社ができますと、うしろの鋼材の置き場は埠頭会社が経営するという形になりますが、いずれにいたしましても、鋼材をおろしますときに荷役機械等を使用いたしますので、その荷役機械の使用料に付加して鋼材一トン当り幾らというふうな料金で取ればいいのじゃないかというふうに考えております。これを直接計算いたしますと二十五、六円になりましてだいぶ高くなりますが、しかし鋼材自体の値段は石炭等と比較いたしまして相当高価なものでありますので特別利用料も高くなりますが、十分負担能力はあるのではないかというふうに考えております。それから下関及び門司の肥料坤頭及びセメント埠頭でございますが、これらは埠頭の荷には必ず上屋がありまして、上屋を利用しなければその埠頭を使えないというような関係にありますから、従いまして一般の上屋使用料に付加いたしまして特別上屋使用料という形で取ればいいのじゃないかというふうに考えております。政令といたしましては、以上申し上げましたようなことをそれぞれ三種類に分けて書いたらどうかというふうに考えております。
  63. 井岡大治

    井岡委員 一応これで終りますが、なおもう少し検討してみたいと思います。  この際、資料を出していただくことをお願いいたします。道路整備特別措置法が制定されてからの揮発油税並バに軽油引取税の税の徴収額、どのくらい徴収されているか。それからこの伸途。それから道路整備の予定線並びにそのキロ数、それから措置法が制定去れてから整備された線、同時にそのキロ数、これだけをお願いいたしたいと思います。
  64. 久保三郎

    ○久保委員 その資料に関連して、トラック、バス、ハイヤー、タクシー等の運賃額に占める燃料費の計算、こカを出して下さい。
  65. 塚原俊郎

    塚原委員長 ただいま井岡委員、久保委員から要求のありました資料は、なるべくすみやかに御提出を願いたいと思います。
  66. 關谷勝利

    ○關谷委員 先ほど井岡委員質問に関連してですが、二割負担、これけ国が直接取るのと港湾管理者が徴収するのとあるということですけれども、今の埠頭会社を作った場合には、港湾管理者が埠頭会社にその事務を委任する、こういうふうな格好になるのですか、これが一つ。そうしてその徴収したものを納めるその責任というものは、その場合に埠頭会社にあるのか、港湾管理者にあるのか、この点ちょっと伺っておきたいと思います。もし港湾管理者というようなことになると、埠頭会社から納めぬということになろと、港湾管理者がそれを立てかえなければならぬ、地方団体が負担せんければならぬようなことになりますが、そこらはどうなのか、ちょっと伺っておきたいと思います。
  67. 園田圭祐

    ○園田説明員 この特別利用料は、埠頭会社を作りました場合でも、港湾管理者が直接取らねばならないようになることと存じます。
  68. 塚原俊郎

    塚原委員長 次に、国鉄の経営に関する件につき調査を進めます。  質疑通告がありますので、これを許します。羽田武嗣郎君。
  69. 羽田武嗣郎

    ○羽田委員 信越線の輸送力増強のネックとなっておりますのは、いわゆる碓氷トンネルでございまして、この改良問題について質問をいたしたいと思います。遣輸委員の皆様方にも特に御留恵をいただきたいと切にお願いをいたす次第であります。  表日本と裏日本を結ぶ重要幹線として、明治二十六年に開通しました信越本線が、沿線及び北陸、越後方面の開発発展に寄与したことは、非常な、はかり知れないものがあるのであります。しかるに今日の信越線の現状はどうなっておるか。東海道線その他の幹線が全線電化とか、あるいは複線化するとか、複々線化するというように近代化されておるのにもかかわらず、信越線のみは明治二十六年開通以来根本的な改良かなされないで今日に至っておるのであります。そのために本線は全く時代から取り残されておるのであります。中部日本横断連絡の意義を今日は失ってしまっておるのであります。というのは、本線の現状は増大した貨客の輸送要請にこたえられないばかりでなく、すなわち今日では本線を通過すべき貨物、あるいは旅客が、距離も遠く、しかも時間もかかる上越線回りになってやっておるような状態でありまして、いわゆる表日本と裏日本との連絡の使命が非常に薄らいでおるというのが現状であります。どうしても、六十余年来放任してきた信越線の改良を余儀なくされるに至っておるのであります。それは、上越線も実は飽和状態にすでになっておりますから、従ってそれを補うためにも信越線は強化しなければならぬ、こういう運命に現在至っておるのであります。ことに近年観光事業が発達したときにおきましては、観光シーズンにおいては列車の余裕が全くなく、完全に行き詰まってしまっておる状態でありまして、長野県のような観光地におきまては非常に重大なる支障になっておるのでございます。沿線の経済、文化、観光の発達には今や信越本線の輸送力の増強とスピード・アップが先決問題になってきておると私は思っております。この信越線の輸送力増強のネックとなっておりますのは、申すまでもなく横川軽井沢間のアプト式区間の問題があるのでございます。千分の六十六・七ミリというような急勾配のところを、よちよちとアプト式でラックレールでもって、ようやくにしてよじ上っていくような今日の状態でございまして、従って、一列車当りの牽引力は電気機関車四重連で、ようやく三百六十トンの輸送力しかございません。絶対に碓氷峠の改良によって信越線のガンをまず取り除かなければならないと思うのでございます。しからば今、国鉄においてはこの改良計画を研究されておるように思いますが、その改良計画第一案、第二案、第三案というような案をお示し願って、そうして審議を進めたいと思います。
  70. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 仰せの通りに、信越線は非常に重要な路線でありますとともに、もうすでに輸送力が限界をオーバーしておりまして、加うるに明治二十五年の建設でございますから、ほとんど隧道その他が取りかえの時期に達しておりまして、何とかいたさなければならぬと考えておりましたが、ただ技術的にむずかしいのと巨額の投資を必要とするために今まで延び延びになりまして、御迷惑をおかけいたしましたことをはなはだ申しわけなく存じます。ただいまお話の通りに、この信越線は三十四年度から調査、設計あるいは一部の工事にかかって、でぎるだけすみやかにこの横川軽井沢間の増強をいたしたい、かように考えております。  それで、第一案は、現在線に並行して線路を増設する案でありまして、これは俗に張付線と申しております。第二案としては、勾配を緩和するために迂回路線を作りまして横川軽井沢聞を結ぶ線でございまして、これには勾配を千分の二十五にいたします案と千分の五十にする案とございまして、ただいまこの三案が考えられておる次第でございます。
  71. 羽田武嗣郎

    ○羽田委員 その三案のキロとかあるいは工事費とか、そういうものについて大体の見込みをお知らせいただきたい。それから牽引力ですね。
  72. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 勾配を申し上げますと、現在線張付線増案は現在の六十六・七ミリの勾配でございますが、第二案のうちで、大体勾配改良案としては二十五ミリでないと工合が悪いということで、二十五ミリ案を主として検討いたしましたが、二十五ミリ案で申しますと、勾配は二十五ミリになります。それから延長で申しますと張付案では十一・二キロでございます。これに対して、二十五ミリ案でございますと二十五・二キロになります。それから運転時分は、これは旅客、貨物の下りをとったのですが、張付案でございますと、二十二分ないし二十四分でございまして、二十五ミリ案でございますと、多少端数はございますが四十二分ないし四十四分でございます。それから牽引定数は、張付案でございましたら、大体重連で五百トンまでいくであろう、勾配改良案では、一つ機関車で五百トンいくということでござ’ます。それから線路容量は、単線の場合は、第一案では六十二本、それから二十五ミリ案では六十ないし七十九本ということでございます。  それから工事費は電気関係を含めまして、線路の施設工事費は単線の場合と複線の場合とを想定いたしましたら、概算でございますが、単線の場合張付案では七十億円、これに対して二十五ミリ案では四十億円でございます。それから複線の場合でございますと、張付案が二十六億円、これに対して勾配二十五ミリ案は七十四億円、大体そういうふうな計算になっております。
  73. 羽田武嗣郎

    ○羽田委員 この六十六・七ミリ案では二十二分から二十四分で運転ができる、片方の方は距離は二倍以上になりますから、時間は相当かかりますけれども、二十二分から二十四分というのは、横川で強力な電気機関車をつけかえる時間、それから軽井沢で取りはずすというような時間が入っておりますか。
  74. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 これは運転時分だけでありまして、そのつけかえの時分は入っておりません。
  75. 羽田武嗣郎

    ○羽田委員 つけかえに大体五分くらいはかかりますから、合せますと十分くらい、これよりもよけいになると思うのでありますが、しかし現在の六十六・七ミリ案というような急勾配のところを機関車の改良でいこうという案だろうと思いますが、この機関車の研究は、一体どの程度まで進んでおるのですか。
  76. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 仰せの通りに、この勾配改良で一つの大きな課題は、電気機関車の性能がどうなるかと’うことでございましたが、最近の電気機関車は非常に改良されて強力なものができましたので、そういう点を国鉄の技師がいろいろ研究いたしまして、大体成案を得たという報告を聞いております。
  77. 羽田武嗣郎

    ○羽田委員 将来、東京から直江津あるいは金沢、あるいは新潟まで電化された場合に、この六十六・七ミリ案では、私は軽井沢と横川で補機をつけかえなくちゃならぬと想像いたしますが、それを東京から直江津あるいは金沢、あるいは新潟までそのままで行けるというのが二十五、・・リ案じゃないか、こういうふうに思いますが、その点はどうですか。
  78. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 この横川—軽井沢間を、ただいま申し上げました張付線増案で参りますと、必ず補機を使うことに相なります。
  79. 羽田武嗣郎

    ○羽田委員 これは長野県を初めとしまして、群馬県、新潟県、富山県、石川県あるいは福井県の国会議員の期成同盟会の研究会がありますが、ここでは二十五ミリ案で絶対お願いしたいということを切に要望しておるわけなんです。二十五ミリ案でいきますと、距離は長くなりますけれども、あの妙義山の裏手を通って、景色が非常によろしいし、観光価値も非常に大きくなってきますし、それから貨車の輸送力でも、補機さえつけますれば九百トンの輸送ができる。そうすると五百トンに比べると、二倍近く輸送力が増強できる。それから客車の方は全然補助機関車というものがなくて、東京からそのままの機関車で行ける、こういう形になりますので、私はやはりこの二十五案を、この沿線の一千万大衆の意志において要望したいと思うのです、この点については、期成同盟会あるいは国会議員団としましても、かねて小倉副総裁にもよくお願いをいたし、御相談もいたしておったわけです。大体二十五ミリにということで、去年の秋ぐらいまではさまっておったように私は思います。それでまあ来年度予算に一億円の調査費をつけようというお考えで、非常に好意ある、そして国鉄として当然やるべきことをおやりになっておられるので、敬意を払っている次第であります。しかるに何かその後になってエンジンの、つまり機関車の改良でもって現在の六十六・七ミリでいけるんだ、こういうような方向転換をされてきておるように私は思うのであります。それは私どもとしてはまことに遺憾に思っておるのであります。アプト式でなくなって、急勾配で、もし機関車の事故でも起きたら、多数の人命に関するゆゆしき事態の発生も予想されるのであります。   それで、次にお尋ねをいたしますのは、昭和四年七月、鉄道省令第二号として制定されました日本国有鉄道建設規程というのがございまして、ここにおいて、勾配とか線路の種別をきめております。その線路の種別としては、高崎直江津間の信越線は乙線ということに、その規程できまっております。また勾配に関する規定は、十五条に規定がございまして、「本線路二於ケル勾配ハ左ノ限度ヨリ急ナラザルコトヲ要ス但シ乙線こ在りテ特別ノ場合ハ其ノ限度ヲ千分ノ三十、電車専用線路二在リテハ線路区間ノ種別ヲ問ハズ其ノ限度ヲ千分ノ三十五トス」甲線は千分の二十五、特別の線路は千分の十、乙線が千分の二十五、丙線が千分の二十五、こういうふうに規則がざまっておることは、私から申すまでもなく御承知の通りであります。そういうふうにきまっておりますのが、今度は国鉄としては時代の進運にかんがみまして建設規程の改正をおやりになろうとして、今運輸省の監督局の方にこういう認可の稟議をいたしておる。すなわち、その建設規程の改正案要綱を見ますと、急勾配はできるだけゆるい勾配にしようというふうの計画がなされておると思うのであります。甲線は千分の十、乙線は千分の二十五を最大勾配とするというふうに、今運輸省に御提出になった改正案は最高の勾配の限度を示しておられると私は承わっておるのでありますが、その点についてはどうですか。
  80. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 まず全体について申し上げますと、第一案、第二案、第三案を用意いたしまして、これを相当長い間比較検討いたしまして、その結論はどれがいいかということは今までわかりませんで、また申し上げなかったと存じまするが、これは、この案の決定までは国鉄としては理事会の議決も経なければなりませんし、特殊の事項で運輸省に特認も得なければなりませんですから、これがどの案にきまったと申し上げられません。  ただ張付案について長所だと思われる点を概略申し上げますと、一つ先ほど申し上げましたように、時間が勾配二十五ミリ案よりは約二十分つまる。それで先ほど機関車のつけかえを御指摘になりましたが、それが大体一回取りつけ、取りはずすのに三分くらいかかりまするが、やはり横川、軽井沢の駅で停車つけかえはしなくとも停車時間がございますから、まるまるそれが食われるというものでもないと思います。それで相当時間がつまるということが第一点と、それからもう一つは工費が非常に安い。工費が約三分の一でできる。それから工事期間が、線増案ですと約三年でございますが、二十五ミリ案ですと大体五年くらいかかるというようなことで、私どもは、これは先ほど申しましたように最後的には決定はいたしておりませんですが、なるべく御迷惑を早く片づけて、しかも信越線の強化をなるべく安くいたしたい、こういうことを考えておりますので、そういう点につきましては線増案が有利ではないかと考えておりますが、いろいろ特認の事項その他もございますので、運輸省に申請いたさなければならぬと思っております。  次にその勾配の制限でございまするが、もちろんこれは急勾配でございますから、安全保安の点を一分に考えなければなりませんので、機関車その他には特殊の保安装置、主としてブレーキでございまするが、それを設計いたしまして、それを完成の上で、もしこの張付案でいたしますれば、その設計を具して運輸大臣に特認の許可の申請をいたすことになっております。     〔委員長退席簡牛委員長代理着席
  81. 羽田武嗣郎

    ○羽田委員 とにかく時代の趨勢は、低い勾配にすべきだということを前提にして、機関車の研究としては急勾配を上る研究などはやめて、スピード・アップする、牽引力を大きくすることの工夫の方にエンジニアとしての着眼をしなければならぬ。それを非常に急勾配のところを無理をしていくような機関車を作るというような研究に力を入れるということは、結局労多くして効果がないことじゃないか。ことに日本全体の鉄道の状態を見ましても、乙線の場合でございますけれども、福島と米沢の間の板谷峠、そのほか一、ニカ所しか三十三ミリあるいは三十ミリというようなものはないのであります。六十六、七ミリというのは二倍以上の非常な急勾配でありまして、これは全然想像もつかないものであるわけでございますが、工事費の点が安く上り、期間が短かくていくというような着眼でもって、その場間に合せにおやりになるということは、国鉄の百年の大計、のみならず今までアプト式のために非常に工業の発達がおくれ、いろいろ不便をこうむっておりますこの沿線の地域として耐えがたいことなのです。ですから、これは何としても二十五ミリ案をおやり願いたいのであります。もし資金が二倍以上になる、こういうことであるならば、軽井沢は世界の著名な避暑地として外国人もたく去ん来ておりまして、世界においても解井沢とか箱根とか日光といえば、日本における代表的な場所ですから、軽井沢の地帯における交通を便利にするんだということの外債なら、私は非常に求めやすいんじゃないかと思う。だから特別に外債を仰いででも一そう身らくかかるわけじゃない。四十億くらいの金でございますから大した金ではないと思いますが、とにかくそういう一時の目先だけの問題としてでなく、百年の大計、今まで六十数年の間悩んできたこの沿線地帯の悲願をこの際ぜひとも達していただきたい。やはり二十五ミリにぜひとも方向を転換していただきたいということを切にお願いをいたし、かつ要望いたす次第であります。  ことにただいま申すように、建設規程の改正案は、すでに今までよりも勾配をなるくするという新しい時代に沿っての改正案になっておるわけであります。それにもかかわらず碓氷だけが今まで通りの六十六ミリの張付案でいくという行き方では、一千万の関係地方民は納得がいきません。ですから、この点については、建設規程の改正案の審議を運輸省の山内さんのところでおやりになっておられると存じますが、なお細田官房長は元は国鉄部長をされておられたので、ぜひともこの規程を改正するについては、条件としてやはり碓氷は二十五ミリ案でいくということを条件に付してお許しをいただくようにしていただきたい、こう思いますが、一つ山内さんの御意見を承わりたい。
  82. 山内公猷

    ○山内(公)政府委員 碓氷峠の改良につきましては、国鉄で現在いろいろなルートについて研究いたしておりますことは、ただいま副総裁からも述べられた通りであります。運輸省といたしましては、国鉄のこういった研究の成果によりまして、監督官庁としての立場からこの新線に対する案の可否を決するわけでありますが、今いろいろ副総裁が述べられましたように、各案とも一長一短があります。ことにこの張付案につきましては、機関車の動力を強めるということてございますが、まだ技術的にブレーキの点でございますとか、いろいろ安全の点からも十分今後検討しなければならないものである、かように考えております。それらの点につきましては、運輸省としては慎重に検討の上、どの案がいいかを決定をいたしたいと思います。  ただいまの規程の関係でございますが、これは全般的な問題でございまして、現在鉄道の技術が日とともに進んで参りますので、常に新しい様式を取り入れなければならない。これは単に勾配だけではなくて、全般的に今検討しておるわけでありますので、これらはまた別途新しい時代に即応する規程にいたしたい、かように考えております。
  83. 羽田武嗣郎

    ○羽田委員 とにかく規程の認可というか許可というか、それらをされる場貧においては、一度この委員会局長から認可をしたということを一つ御報告をいただきたいと特にお願いをしてわく次第であります。とにかく、この建設規程の改正案からいっても、これはやはり二十五ミリというものを原則しすべきである、こういうふうに私は思うのであります。特例といたしましL六十六ミリ案をそのまま張りつけていくというような考え方は私はとらないのであります。碓氷が二十五ミリに改正されますならば信越線も田口関山間が二十五ミリでありますから、このニカ所。碓氷と田口関山問が二十五ミリになっていますと、あとはもう十、・・りとかそういうようなゆるい勾配でありますから、貨物の牽引力も現在の三百六十トンから一躍九百トンになるというふうに考えるのでございます。そしてここに初めて面目が一新されて参るのであります。なお将来電化された場合においては、先ほど申しますように上野から直江津あるいは新潟、金沢に、一つ機関車をつけ九ままで、どちらへも行けるというような便宜がございまして、特別に横川軽井沢間で機関車をつけかえるというようなことはなくて、済むと思うのであります。  一体アプト式を採用したのが明治二十五年でございますか、開業は三十六年でございますが、今から六十何年前の話でございますが、この碓氷トンネルにアプト式を採用したというのは、そのときの土木屋さんが、一つ日本のわれわれの技術の高さを示そう、すなわち現在のようなスピード・アップとか牽引力とかそういうようなことは全然考えないで、とにかく最高の六十六ミリというような、山の高いところまでアプト式という特別なラックレールを利用して引っ張っていくのだ、こういうところでもって、一つの技術屋の自己満足というか、そういう見地からあれは敷かれたということを私は承わっております。ところで、世界においてアプト式をやっておるのは全部で八つございます。スイスのユングフラウ登山鉄道とか、その他七カ所ありますが、いずれも、最低が二千二百四十九メートル、最高が四千三百二メートルというような高いところへ上っていく登山鉄道、観光鉄道がいわゆるアプト式を活用しておるのでありまして、軽井沢のごとく九百三十九メートルという、その何分の一の高さのところにやったということは全く六十何年も前の日本の土木技術屋の自己満足が、ついに今日まであの沿線の工業やその他のものをおくらせ、輸送力の増強をおくらせたという点にかんがみて、今度はエンジニアの方が六十六・七のとこス一を、われわれか発町したというか、工夫した機関車でやっていけるのだ、そういうことでまた機械屋の自己満足で改良工事がやられてしまったのでは、これはもう六十余年も前におきまして昔は土木屋、今度は機械屋の自己満足てこれをやるということであってはすこぶる重大なことだと思うのです。ところが若い土木屋の案でありますと、横川からちょっと上ったところから御代田の近くまで、十五キロという一本のトンネルで行くという理想案すら考えておる。それは東海道と同じように十ミリでもって横川から軽井沢を越して御代田のところに抜ける、それを一本のトンネルで行く。ですから、現在の日本海岸線で敦賀—今庄間でやっております日本一のトンネル十三・八五キロメートルよりも一・一五キロだけ長いトンネルの計画になる、これは机上案でございますが、そういう理想案すら若い諸君が持っておる。こういうことから考えましても、やはり国鉄の技術陣営というものは勾配力のゆるいところのものをやるというところに着眼をしなければならないのじゃないか、こういうふうに思います。この場合においては、御代田まで行きますから、軽井沢においては地下にステーションを作って三百メートルのエレベーターでもって上ろうというような、従来の考えに比べると全く夢のごとき考え方をすら若い技術陣が持っておるというようなことから考えましても、これはやはり勾配というものはなるべくゆるい勾配でやろうということが、国鉄運営の最高の方針でなければならぬ。それを、六十六・七、ミリの従来通りの張付でやっていくということは全く時代逆行の考え方である。それはエンジニアとしては、技術はどんどん進歩いたしますからやり得るかもしれませんが、しかしやり得るということを、今度はスピード・アップとか牽引力を大きくする方に着眼をして、実用の方向にエンジニアの技術陣営が力を入れなければ、私はずっと国鉄のスピード・アッープというものができるのじゃないか、一こういうふうに思うのでありまして、私は十分の一、・・リ案というような理想案も一つの参考にしながら、二十五ミリ案というのをぜひともお願いいたしたい。これは私ども関係の国会議員としましても、それから期成同盟会といたしましても、ぜひともお願いしなければならぬことである。そのための二十億から三十億くらいの金は、国鉄のやりくりでもできましょうし、あるいは先ほど申したような二千万ドルとか三千万ドルくらいの外債の募集をいたしましてもよろしいのじゃないか、こういうふうに思うのであります。そういうふうに百年の将来を考えて、百年の大計に立ってこの六十何年前の誤まりを再び繰り返さないように、ぜひとも重大なる決意を願って、また監督の山内局長においても、国鉄の案に対しては一つそういう着眼で御指導をしていただきたいというふうに切にお願いをいたすのでございます。案の決定は、一体それらの三つの案のうちのどれを決定するかということはいつごろになるのか、着手の時期はいつごろになるのか、完成の時期はいつごろになるのか、あるいは調査費の一億円は本年度においてはどんなふうにお使いになるのであるかというような具体的なこともお聞きいたしたいと思いますが、時間も迫って参りましたので私はこれはまたの機会にお尋ねをいたすのでございますが、とにかくそんなふうに関係六県といたしましてはすこぶる重大に考えておる改良案でありまして、従いましてこれはこの運輸委員会といたしましても、四、五月のころにでもなりましたならば、運輸委員会の国政調査として一度確氷峠の現場をごらんになって、そして国鉄当局の計画に誤まりなからしめるように御指導をいただきたいというふうに切にお願いをいたすのでございます。時間もおくれましたし、長くなりましたから、大体きょうはこの程度でやめたいと存じますが、小倉副総裁に最後にもう一同所感をお尋ねいたします。
  84. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 国鉄の輸送力には常に勾配区間が降路になって参りますが、それが上り下り両方の勾配の場合には、その問をトンネルで抜くとか迂回するとかいうことで非常に効果的でございますが、片勾配のときにはどうも勾配緩和というのが非常に距離が延びますために、いろいろ難点がございます。しかしながら私どもは、これからきまる案ではございまするが、技術者といたしましても、あるいは国鉄の責任者といたしましても、なるべく工費を安く、所要時間を短かくということを心がけておるのでございまして、これは先生おっしゃいましたが、決して野望でも何でもないように存ずる次第でございます。しかしこの問題は、そういう点は除きましても、できるだけすみやかに着手をいたしまして、長年の地元の関係方面の方々の御不便を一刻でも早く解消いたしたい、そのためにはどういう案をとるかをできるだけすみやかに理事会にも上げて決定いたしセいと存じますが、その節ぱ光圭が今マお述べになりましたようなことは私からしさいに理事会にも報告いたしたい、こう考えております。
  85. 山内公猷

    ○山内(公)政府委員 私、ただま御説明した一般規程の中でちょっと言葉が足りませんので、補足さしていただきます。現在建設規程という名前であるわけでありますが、運輸省で今検討いたしておりますのは、名前を変えまして構造規程という名前で検討いたしております。これはその名前のように省令でございまして、運輸省独自で出すものでございます。ただ実際に仕事をやっている国鉄の意見というものも十分取り入れて参るわけでございますが、ただいま先生のおっしゃいました認可というようなことではなくて省令でございますので、政令の制定によりまして効力を発するものでございますが、その点、言葉が足りませんので補足さしていただきます。
  86. 簡牛凡夫

    ○簡牛委員長代理 海運に関する件について調査を進めます。  質疑通告がありますので、これを許します。久保三郎君。
  87. 久保三郎

    ○久保委員 三国間輸送の助成についてだけお尋ねをいたしたいと存じます。これは厚生施設の四千万円を除いて四億六千万が三国間輸送に対する助成のようでありますが、これは先般予算委員会でも一応質疑があったわけであります。さらにお尋ねをしたいのは、この助成というのは、いわゆる狭い意味における奨励的な性格の助成金であるか、それとも一定の、たとえば——欠損補助というような意味を持っておるのか、そのいずれであるか、まずお尋ねいたしたいと思います。
  88. 中馬辰猪

    中馬政府委員 先に申された奨励の意味でございます。
  89. 久保三郎

    ○久保委員 奨励の意味だといたしますならば、この予算措置というのは三一十四年度単年度限りのものであるかどうか。
  90. 中馬辰猪

    中馬政府委員 私どもは継続的にこれを要求いたしたいと考えておりましたけれども大蔵省の方で世界の貿易の伸展の状況、海運界の景気、不景気いろいろございましたので、さしあたり三十四年度にいたしております。
  91. 久保三郎

    ○久保委員 法制局長官の著書によれば、これは予算委員会でも指摘をいたしておりますが、特定の地域または特定の団体等に限り交付するもの及び自由競争を原則とする事業に関して交付するいわゆる助成金、そういうものは法律または条例によるのが妥当である、こういうふうに見解を述べておるわけなのです。でありますから、これが単年度のものであろうが、あるいは恒久化すべきものであろうが、一応この業態というか事業休からいけばこの見解に照らして当然立法措置を講ぜねばならぬ、こういうふうに考えているわけでありますが、今の政務次官のお話によれば、運輸省大蔵省に対して恒久化したいということであったが、それがこういうふうになったのだという意味のようでありますが、立法の手続というか、それについての交渉をしたのかどうか。
  92. 朝田靜夫

    朝田政府委員 即私どもといたしましては大蔵省に対しまして、立法の交渉をいたしたのであります。ところが法制局、大蔵省政府部内で打ち合せました結果、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律というものが補助金の交付について一般法として存在をいたしますので、それ以外に法律事項がなければ、法律を出す意味がないと一いう結論に達したのであります。
  93. 久保三郎

    ○久保委員 今、海運局長がおあげになった法律の目的は補助金の執行を適正にするということでありまして、こういう制度を作って補助金あるいは助成金を出すという法律ではない。よって先ほどの政務次官等のお考えからいけば、あるいは林法制局長官の見解によれば、これは当然立法措置を伴うものだとわれわれは思うのです。その点のお考えはどうですか。
  94. 朝田靜夫

    朝田政府委員 林法制局長官の「例正解立法技術」という著書にも今御指摘になりましたようにありますが、通常の補助金については、それが単年度限りのものであって、後年度に義務を残さないものである限り、必ずしも法律の根拠を必要とするものではない、予算が成立していさえすれば、これによって支出が可能であるという原則をうたっておられるわけであります。そこで、私どもといたしましては、後段において林長官が著書に言っておられ、かつ、今御指摘のありました特定の地域、団体に限り交付するもの及び自由競争を原則とする事業に関して交付するものについては、営業自由の原則等との関係で、法律または条例によって根拠規定を設けるのが適当だということでありますが、特定のものに対する助成ではありませんで、三国間において一定の努力をいたしましたもの、そういうた条件を具備するものに対しましては、差別をつけずに助成をいたすことが趣旨であります。この趣旨と著書の趣旨と異なるところはない、こういうふうに考えておるのであります。
  95. 久保三郎

    ○久保委員 今の御意見の前段で、単年度のものならば立法措置は要らない、こういうふうなお答えがあったようであります。そうしますと、三国間助成は今年度限りで、明年はやらぬお考えでございますね。  それからもう一のは、林法制局長官の見解に相違はないというが、先ほど読み上げた後段の、いわゆる自由競争を原則とする事業には違いない。だから、その見解は少しおかしいんじゃないか、こう思うわけです。だから本心を聞きますが、運輸省としては、海運政策からいって、三国間輸送を奨励し、外貨獲得をするんだということだと思うのであります。そうだとすれば、一応景気回復した場合には、この法律の執行を停止するということも一つの形としてあるわけです。当然後年度までやるんだということならば、立法措置をとるべきなんです。そうしますと、はっきりわかりませんが、これは今年度限り、三十四年度単年度限りのものであって、あとは一切やらぬということでよろしいんですか。
  96. 朝田靜夫

    朝田政府委員 前段に引用いたしましたものが単年度限りのもので、後年度に義務を残さないということに意味があるんだと私は解釈いたしておるのでありまして、これは来年はやらないんだということは、ここで言明はできかねるのであります。私どもといたしましては、予算が国会の御承認を得て執行ができます点については、予算の執行に属する問題である、こういうふうに解釈いたしておるのであります。
  97. 久保三郎

    ○久保委員 予算の執行ということで全体を考えれば、法律は権利義務の問一題だけで、あとはもう要らぬということになりますね。そうしますと、今ある法案の中で、あるいは法律の中で要らないものがたくさん出てくる。あとは行政措置でやっていくということになります。それでは今まである法律は何がゆえにあるのか、そういう疑問が起きる。それから単年度限りではない、いわゆる後年度に負担を負わさないんだということで法律にしないんだ、これは言い回しの相違であって、中身は同じだと思う。後年度に負担を負わさないということは、三十四年度一年限り、負担を負わすか負わさぬかではなくて、むしろ法律によって助成するということだから、助成の方針は変りがあるのかないのか、変りがないとするならば、これは恒久的な立法措置が必要ではないか、こう思う。ところが、先ほど言う通り、今年度限りのようにも聞えるし、来年もやるかもわからぬということでは、どうもはっきりしないのですが、その辺のところはどうですか。
  98. 朝田靜夫

    朝田政府委員 先ほども申しましたように、予算のほかに、予算の範囲内で補助金を交付する権限を与えるための法律は別に制定することが——補助金等の執行に関する適正化法以外に法律事項がなければ、それだけでは法律をを制定することは意味がない、こういう立法技術説を法制局でもいたしておるのであります。私どもは、その立場に立って、政府部内としては法律を出さない、こういうことにきめてあるのであります。
  99. 久保三郎

    ○久保委員 もう一つ。立法措置を単年度であっても必要とする理由は、とにかく助成でありますから、助成のきき目、いわゆる効果、そういうものをはっきりつかむのには、法律によってはっきり縛らなければいかぬ、こういうことだと思います。国民の税金を野放しのつかみ金でどんぶり勘定のように出すことが補助の建前、助成の建前ではないのであります。ましてや自由競争の企業であれば、そういうことからいえば私は立法措置でやるべきである、こう思います。あなたの見解はいかがですか。
  100. 朝田靜夫

    朝田政府委員 ただいまお話の点、私どもどんぶり勘定のようにして交付するような方針を全然持っておりません。省令を制定いたしまして、この三国間の航海助成に関する補助金の執行に当っては、公正を期しておるつもりであります。また、単年度だけであとはやらないのかということにつきましては、予算の執行に関して、法律を伴っていない場合も他に事例があるのであります。先ほど申しましたように、適正化法以外に法律もございまして、法律事項がない場合にそれを制定することは意味がないという解釈をとっておるのであります。
  101. 久保三郎

    ○久保委員 こういうふうに法律を作らぬでやっているものもたくさんあるのだというが、特定の形で特定の団体あるいは自由競争をもとにした事業、こういうものをやっている例は、たとえば、これはあとにしますが、今度の予算にも載っている全日空に対する五千万などであります。これも問題があるが、大きい方で海運の方をやっているわけです。そういうのがよいかどうかの問題が一つある。もしも今までそういう例がたくさんあるとすれば、これは問題だと思うのです。結局的確に助成の目的が把握できない形はいかぬと思うのです。  もう一つは、恒久性がなければ助成にはならぬという、来年は財政の都合、こういうことでも、これは続けていけるかいけないかわからぬということでは、今日の海運の状況からいっても問題だと思うのです。立法論ばかりではなくて、実情からいっても…。だから、あらためてお尋ねしますが、四債六千万でどの程度振興される見込みですか。
  102. 朝田靜夫

    朝田政府委員 ただいまの御質問に対しましては、どういう交付方針をとってどういう三国間の航海を助成するかということに問題があると思うのでありますが、私どもが今考えております交付方針といたしましては、昭和二十八年から五カ年間に三国間で輸撲をいたしました運賃収入の実績平均、これの二分の一を上回る部分について、予算をお認め願いますならば四億六千万円に一定率を乗じたものを交付いたしたい、こういうことを省令の案で考えているのであります。大体どういう程度の見込みかという趨勢でありますが、これはまだ見込みで何とも申し上げられませんが、大体二百五億程度の運賃収入額が期待し得る、こういうふうに考えているのであります。
  103. 久保三郎

    ○久保委員 二百五ト億の運賃収入増加を期待できるというのですが、大ざっぱにその積算基礎を御披露願いたいと思います。
  104. 朝田靜夫

    朝田政府委員 これは各定期船、不定期船、油送船についての最近の輸送実績をにらみ合せまして、かつまた各企業からのその後の調査をいたしました集積であります。
  105. 久保三郎

    ○久保委員 調査した集積、これは雲をつかむようなお話で、大へん困っている御答弁なんですが、おそらく大体そういうことでありましょう。だから私は少くともある程度の目標を置いて、それに近づけるための努力がこの助成金の目的でなければいけないと思うのです。ところがそういう義務負担というか、そういうものは海運会社には全然課せられない。そうしますと、何となく金を助成する。こういうことでは効果の点が非常に期待できない。的確にこの効果を上げるということにはならぬではないか。とにかく損をしているようだから、少し金を助成しよう、ある  いは助成すればそこへ船が集まってくるだろう、こういうことでは額は全体から見れば些少なものでありますが、この制度を恒久化する問題と、この効果の間脳と、二つの点から立法措置をとるのが私はほんとうだと思う。私は予算委員会で記録をちょっと読みましたが、大蔵省は、いまだかつて運輸省からそういう話はありません、あれば考えます、ということを答弁しております。大蔵省が来ればわかると思うのでありますが、そういうことで、なるほど実情はよくわかります。大蔵省に持っていったら、来年度の方までずっと恒久的な負担はちょっと困るから、それは単年度ということでやっておいてくれ、こういうことで、これは妥協の策として予算額においても方法においても出てきたのだろうと思うのであります。非常に不明確なものだと私は思うのです、ここに海連政策全体の問題点かあると思うのです。だから今まで世間を騒がすようないろんな問題も出てきた。私はこういう海運の助成策によって相当期待できるものならば、これは賛成です。ただその助成の目的がどっちかへいってしまうというようなことでは、問題があると思う。だから私はどうしても、そういう建前からいっても、あるいはその目的からいっても、立法措置をとるべきではないか、こう思うのです。政務次官、これについて運輸省として大蔵省にはどの程度御折衝になったのか、本心は立法措置をとるべきだと思ったのか、思わないのか。その点一つ政務次官からお答えをいただきたいと思います。
  106. 中馬辰猪

    中馬政府委員 大蔵省といろいろ実は私自身が折衝をいたしたのでありますけれども経済界の将来の見通しというものは、ことし景気が悪いから来年も悪いというのではなくて、毎年毎年景気の状態が変るから、一つの恒久立法を作ってやるということは、大蔵省としても望ましくない。またわれわれとしても、いつまでも今みたいに海運界の景気が悪いという現状においては、ただ単に三国間の助成費のみをもってして、海運界の立ち直りもできないということで、一応ことしは単年度ということで妥結をいたしたわけであります。
  107. 久保三郎

    ○久保委員 今のお答えで大体折衝の経過はわかりましたが、とにかく大蔵省との見解の相違は、これからまた景気もよくなることだろうし、そういうことも考えられるから、いつも不景気じゃないのだから単年度にしたということです。それは、海運界の景気がよくなったときには助成金をやらぬという条文を置きさえすればいいのであって、その見解をはっきりしておかないということに問題がある。とにかく、先ほど海運局長が述べられた三国間の輸送の運賃の五カ年平均からその実績の半分を引いて、これに。パーセンテージをかけていくのだというだけの条文では、これは野放しですからいかぬと思うのです。それはそういう経済界の状況によってなるほど波動はございますから、波動があるなら、あるときの条文を一つ設けておけば問題がないはずである。それをやらぬで、ただ単年度ということについては、運輸省においても海運政策に対して一貫したものを持っていないからこういうことになったのではないか、大へん失礼な話だが、そう思うのです。これに対してどうですか。
  108. 朝田靜夫

    朝田政府委員 ただいまの御発言の中で、法律を出して景気がよくなればやめるのだ、こういう条文を書いておけば目的が明確になり、かつ運用もいいじゃないか、こういうことでございますが、この程度の限界が非常にむずかしいと私は思うのであります。ということは、今のお説は、私どもといたしましても傾聴すべき貴重な御意見だと思いますが、今お話しになりましたように、海運市況の変動というものの振幅が非常に激しい。それを、どの程度までマーケットが回復すればやめるのだ、あるいは続けるのだ、こういうことがなかなかむずかしいのであります。それに従いまして予算の問題として毎会計年度措置をしていくということに、また事実政府内でも話になっております。こういうふうに私は考えておるのであります。ただ私どもといたしましてば、海運政策がその場限りでいろいろ変るからこういうことでありましょうが、私どもがこの三国間の航海助成金の制度を考えました上におきましては、もっと目的を明確にいたさなければならぬとも思いますが、私ども考えました趣旨は、日本海運の国際収支の現状では、御承知のように三十二年度が約二億六千万ドルの赤字でございます。この原因の一つは、世一界の主要海運国をながめてみますと、おおむね船腹の大半は三国間の活動にさいておるわけであります。しかもそれによって上ってくる運賃外貨収入というものが、自国の国際収支に十分な貢献をいたしておる。こういう事態に反しまして、日本海運というものは、自国中心の貿易に密集しておって、その余裕がない、しかもこういった今の海運の市況の現状に照らしまして、新市場を開拓し、積極的に外貨を獲得し、新しく航権の伸張をはかっていくということが、今の海運政策として最も適切有効な措置と私ども考えておるのであります。また積み取り比率をながめてみましても、遠洋二区からの積み取り率というものが近海と比べて非常に悪い。日本中心の貿易の積み取りにおきましても遠洋二区の積み取り比率が非常に悪い。こういうことはどういうことから原因するかといいますと、遠洋二区において配船をいたしております日本の船腹というものは足りない。従って適時適切にスポット物を獲得できないということでありますので、三国間の活動を促進いたしますと、そういう副次的に遠洋二区の積み取り比率も上って参る、こういうふうな考え方から私どもは三国間輸送を促進する一つの助成というものがどうしても必要だと考えておるのであります。目的がその点においては私どもははっきりいたしておると思うのでありますが、取扱いの交付の手続につきましては、今申し上げました交付の基準というもの以外にいろいろな条項を省令案で考えておるわけであります。
  109. 久保三郎

    ○久保委員 連絡が悪くて大蔵省どこかへ行っておるそうです。とにかく見つかるか見つからないか、探して下さい。短時間の間に見つかればよし、見つからなければ仕方ありません、あとで申し上げます。  大蔵省がいないので質問が中途半端になりますが、その目的は御説明でわかります。しかしその目的をやはり確実に把握して実効を上げるというのがこの助成金の目的だと思うのであります。そうだとすれば、これはやはり裏ずけとして立法措置が必要である。それからもう一つは、先ほど言った一つの理論としてこういうものは他にあるからいいんだということはどうも工合が悪い。それから恒久化するという内々の意見があって、便宜上単年度に出してきたということは少くともまずい政策だと私は思うのであります。むしろ恒久化するような暴盤が財政の中にないとするならば、これは薄めても大体恒久化する手続をするのがほんとうではないだろうか、こう思うのです。もちろん実効の点、いわゆるきき目があるかないかの点も問題があります。いずれにしましても、この予算の措置は私はどうも、不法とは言いません、妥当を欠いておると思うのです。これはあとで大蔵省が来てからまたやります。いずれにしても、こういう方法運輸省はとらないようにしていただきたい、こう思います。  それからもう一つは、四千万円の船員の厚生施設関係でありますが、聞くところによれば、船会社から同額、それから船員関係からもということでありますが、船員関係から多額のものを出してやることはなかなかこれは無理だと思うのです。この点についてはどういうふうにお考えですか。
  110. 朝田靜夫

    朝田政府委員 船員局長がおりませんから、私からかわって御答弁させていただきます。  四千万円の船員の厚生施設が三国問航海助成の一環といたしまして予算案として計上いたされておるのでございますが、これはその当時の予算の折衝の過程から申し上げますと、政府が四千万円を出しまして、労使双方からも負担をいたしまして運営をしていく。大体ただいま考えられておりますところは、ニューヨーク、カルカッタ、ハンブルグ、こういう三ヵ所を予定いたしておりますが、これが均分の割合で負担するかどうかということにつきましては、ただいまの全日本海員組合の負担力その他の問題もありましょうし、まだどういう率で負担するかということはきまっておりません。大体九千万円余りの事業費でもって、これの負担率その他についてただいま関係者一との間に打ち合せを続けておる最中であります。
  111. 久保三郎

    ○久保委員 これで終ります。
  112. 簡牛凡夫

    ○簡牛委員長代理 次会は来たる五日木曜日、午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとして、本日はこれにて散会いたします。     午後一時四分散会