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1959-02-19 第31回国会 衆議院 運輸委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十四年二月十九日(木曜日)     午前十時五十三分開議  出席委員    委員長 塚原 俊郎君    理事 天野 公義君 理事 簡牛 凡夫君    理事 木村 俊夫君 理事 堀内 一雄君    理事 井岡 大治君 理事 久保 三郎君       川野 芳滿君    關谷 勝利君       高橋清一郎君    原 健三郎君       前田  郁君    三池  信君       池田 禎治君    杉山元治郎君       山田 長司君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 永野  護君  出席政府委員         運輸政務次官  中馬 辰猪君         運輸事務官         (大臣官房長) 細田 吉藏君         運輸事務官         (海運局長)  朝田 靜夫君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      山内 公猷君         運輸事務官         (自動車局長) 國友 弘康君         運輸事務官         (観光局長)  岡本  悟君  委員外出席者         大 蔵 技 官         (主計官)   鹿野 義夫君         日本国有鉄道副         総裁      小倉 俊夫君         専  門  員 志鎌 一之君     ————————————— 二月十六日  委員三木武夫君及び河野正辞任につき、その  補欠として高橋英吉君及び伊藤卯四郎君が議長  の指名委員に選任された。 同月十七日  委員小枝一雄辞任につき、その補欠として犬  養健君が議長指名委員に選任された。 同日  委員犬養健辞任につき、その補欠として小枝  一雄君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 二月十六日  日本観光協会法案内閣提出第一五四号)(  予)  自動車ターミナル法案内閣提出第一五五号)  (予) 同日  飯田線強化促進に関する請願鈴木正吾君紹  介)(第一四一四号)  信越本線改良及び中央線電化に関する請願(羽  田武嗣郎紹介)(第一四四三号)  軽自動車登録事務市町村移管に関する請願(  池田清志紹介)(第一五〇三号)  原町田駅の西口駅設置に関する請願岩本信行  君紹介)(第一五〇四号)  中札内村、芽室町上渋山間バス路線免許に関す  る請願正木清紹介)(第一五〇五号)  鍛冶屋、梁瀬両駅間鉄道敷設に関する請願(堀  川恭平紹介)(第一五六二号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国内旅客船公団法案内閣提出第八七号)  日本国有鉄道法の一部を改正する法律案内閣  提出第一三三号)  日本観光協会法案内閣提出第一五四号)(  予)  自動車ターミナル法案内閣提出第一五五号)  (予)      ————◇—————
  2. 塚原俊郎

    塚原委員長 これより会議を開きます。  日本観光協会法案及び自動車ターミナル法案一括議題とし、審査を行います。  まず政府当局より提案理由説明を聴取いたします。永野運輸大臣。     —————————————
  3. 永野護

    永野国務大臣 ただいま議題となりました日本観光協会法案提案理由について御説明申し上げます。外国人観光旅客わが国への来訪がしげくなり、これら観光客国内において消費する金額の増加することは、わが国にとって国際収支改善に資し、ひいては経済基盤強化に資するところはなはだ大なるものがあると存ずるのであります。そのため政府は、従来財団法人国際観光協会補助金を交付し、外国人観光旅客わが国への誘致宣伝外国人観光旅客接遇向上等に関する業務を実施させ、もって国際観光振興に努力してきたのであります。他方社団法人全日本観光連盟は、観光関係者会員となり、日本国有鉄道地方公共団体等援助を受けて観光関係機関従業員の研修、観光資源の開発及び国民旅行健全化等に関する事業を実施してきたのであります。  本来、観光振興に関しては国際観光国内観光とを区別して論ずることは妥当でなく、観光を総合的に論じ発展させていくことが必要であり、かくすることによって外客の来訪も活発となり、また国民健全旅行にも寄与することとなると存ずるのであります。こういった観点から現在においても、国際観光協会全日本観光連盟相互連絡協調を密にして行動しているのでありますが、この際さらに一歩を進めて両者を統合して一本化をはかり、この一本化された法人において観光振興に関する事業を総合的に実施すればさらに多大の効果が期待されるのであります。また従来日本国有鉄道財団法人日本交通公社東京都を初めとする地方公共団体並びに運輸業者観光関係業者及びこれらの関連団体等から、国際観光協会及び全日本観光連盟に対し、事業に要する資金を拠出しているのでありますが、これらの拠出金については国際観光協会全日本観光連盟とにそれぞれ拠出している例が多く、両者が一本化されれば、この一本化された法人充実合理化に伴い、その額の増加も期待されるのであります。  以上は観光振興に関する事業を同一法人のもとにおいて総合的に実施されなければならない理由として申し上げたのでありますが、さらにこれら観光振興に関する事業が、企業者別及び地域別利害得失にとらわれず、国家的見地からなされなければならないこと、事業実施の経費として政府から多額の補助金を交付すること、観光事業多種多様性にかんがみ、民間の援助及び意見を必要とすること等の理由から、特別法により日本国有鉄道地方公共団体運輸業者観光関係業者及びこれらの団体などを会員とする日本観光協会設立し、運輸大臣監督のもとに観光振興に関する事業を積極的かつ総合的に実施させる必要があるのであります。  次に、この法案の要旨について御説明申し上げます。  まず第一に、日本観光協会は、日本国有鉄道地方公共団体旅客運送業者ホテル業者旅館業者旅行あっせん業者及びこれらの団体等会員とする法人といたしました。  第二に、協会の役員といたしましては、会長、副会長理事及び監事を置くこととし、会長、副会長及び監事運輸大臣が任命し、理事会長運輸大臣認可を受けて任命することといたしました。  第三に、協会に、会員会員のうちから選挙する運営委員三十人以内をもって組織する運営委員会を置き、定款の変更、会費の額及び徴収の方法及びその他定款で定める事項を議決するとともに、会長の諮問に応じ、業務運営に関する重要事項を調査審議することといたしました。  第四に、協会業務は、外国人観光旅客誘致宣伝外国人観光旅客に対する接遇向上、その他観光事業に関する業務改善に関する指導、観光に関する調査及び研究、観光に関する出版物刊行等を行い、政府はその事業の円滑な運営のため、予算の範囲内において補助金を交付することとし、協会事業遂行の万全を期しました。  第五に、協会の財務及び会計については、協会は毎年予算及び事業計画を作成して運輸大臣認可を受けなければならないこととしたのを初めとして、協会の財務諸表及び借入金についても承認または認可を受けなければならないこととし、また余裕金の運用については一定の制限を付し、協会会計適正化をはかった次第であります。  第六に、協会運輸大臣監督に服するのでありまして、運輸大臣協会に対し監督上必要な命令を発し、または報告を徴し、所属職員に立ち入り検査をさせることができることといたしました。  最後に、協会設立に関する事務は、運輸大臣が任命する設立委員に処理させることといたしておりますが、設立に当りまして国際観光協会及び全日本観光連盟の一切の権利及び義務を包括承継し、従来行なってきた観光振興に関する事業の継続に支障を来たさないようにいたす所存であります。  なお右のほか、協会に対する税を減免するため、各種税法の一部改正を行いまして、協会業務運営に遺憾なきを期した次第であります。  以上がこの法律案提案する理由であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決下さるようお願い申し上げます。  次に、自動車ターミナル法案につきまして、その提案理由を御説明いたします。  最近における自動車輸送発展はきわめて急速かつ顕著なものがありますが、なかんずく路線バス事業及び路線トラック事業は年々向上の一途をたどり、昭和三十二年度の実績より見ましても、その輸送量は、路線バスにおいて四十六億三千万人、路線トラックにおいて千四百二十万トンを示しているのでありまして、鉄道輸送のそれと比較した場合、路線バスにおいて約一・一倍、路線トラックにおいて鉄道小口貨物の約四・四倍に及んでおるのであります。御承知の通り輸送機関と申しますものは、いずれも幾つかの幹線と、これより分岐する数多くの支線とがあたかも網の目のように相互に交錯して発達していくものでありますが、自動車輸送におきましても、たとえば路線バスについて見ますと、東京大阪等大都市においてはもちろんのこと、地方都市におきましても、それぞれその都市繁華街官庁街または鉄道駅等中心として四方八方へ多数の路線が広がり、いわゆる路線網を形成しておるのであります。従いまして、輸送需要に最も適合した自動車路線網を積極的に形成して参りますことは、利用者公衆の便益を促進することはもとより、自動車輸送発達をはかっていきますためにも重要な課題となるわけでありますが、そのために大きな役割を果すものと考えられますのが、本法案対象とする自動車ターミナルであります。  すなわち、航空輸送における空港、あるいは鉄道輸送における停車場のごとく、多数の自動車路線が集中する地点に、旅客の乗りかえあるいは貨物の積みかえ等のための施設設置して利用者利便を増進していくことがかねてから広く要望されておったのでありますが、従来このような機能道路その他の一般交通の用に供せられる場所において、あるいは単独の事業者施設として行われてきました関係上、利用者利便を阻害し、ひいては自動車運送事業者自体の健全な発達にも少からざる支障を及ぼして参っておったのであります。さらに近き将来高速自動車道が建設され、都市間交通がますます活発になりますれば、幹線交通都市交通との総合的な発展を期しますためにも、この種自動車ターミナル施設整備促進が格段に要望されるものと予想されるのであります。政府といたしましては、数年来自動車ターミナル整備促進に関する法的措置について種々検討を加えて参ったのでありますが、ようやく成案を得るに至りましたので、ここに提案いたしました次第でございます。  本法案は、第一に、自動車ターミナルについて明確な概念を定めますとともに、自動車ターミナル事業はこれを免許事業といたしまして、その事業安定性確保することといたしました。他方これに対応して、その使用料金につきましては認可制としてその適正化をはかり、さらに供用義務構造設備維持義務等を課して使用者利便確保することといたしております。  第二に、自動車ターミナルとしての機能の完全な発揚を期するため、ある地区において自動車ターミナル設置されているにもかかわらず、それを使用しないことによって公衆利便を阻害していると認められる自動車運送事業者に対しては、当該自動車ターミナルを使用するよう命じ得るものといたしております。  第三に、自動車運送事業者がその事業の用に供する自動車ターミナルにつきましては、主として道路運送法の定めによって運営するものとしたほか、その構造設備その他の面について自動車ターミナル事業と同様に取り扱うことといたしたのであります。  第四に、大都市等において多数のバス路線が集中している場所バスターミナルが存在しない場合、その地区路線を有するバス事業者に対し、共同してバスターミナル設置に関し必要な措置をとるべきことを指示することができるものとし、これによって路線網中心地点としての機能確保することといたしております。  第五に、運輸大臣は必要により自動車ターミナル設置または改善のための用地及び資金確保に関する措置を講ずるよう努めるものとし、さらに土地の収用につきましても、関係法規の一部改正を行なって自動車ターミナル整備を促進いたすよう配慮しております。  右の五項目を骨子といたしまして、自動車ターミナルの適正な運営及び管理確保並びに公衆利便の増進をはかるものといたした次第であります。  以上が自動車ターミナル法案提案理由であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決下さるようお願いいたします。     —————————————
  4. 塚原俊郎

    塚原委員長 次に、国内旅客船公団法案議題とし、審査を行います。質疑の通告がありますので、これを許します。井岡大治君。
  5. 井岡大治

    井岡委員 この法案は三十八国会に当委員会国内旅客船整備と拡充をはかるための決議案を私たちは出しました、それに基いて提案をなさった、こういうことでありますが、第一条の目的について少しお伺いをいたしたいと思います。「国内旅客船整備について、その資金調達が困難である海上旅客運送事業者等に協力することにより、」こういうようにうたっておいでになるわけですが、資金が困難でないという認定をどういう方法でなさっておるか、この点一つお伺いしたい。
  6. 朝田靜夫

    朝田政府委員 資金調達が困難でないというものをどういうふうに考えておるかという御質問でございますが、具体的に申し上げることはきわめて困難であります。と申しますことは、資本金が何百万円以上とかあるいは利益率が何%以上、こういうようなことで形式的に基準をきめまして線を引きますことははなはだ困難である、こう思うのであります。そこで社会通念上、市中金融機関融資ベースに乗り得るものは存在するのでございますから、そういうものはできるだけあと回しにして、全体の国内旅客船経営規模から見まして、非常に零細な企業形態というものが多いのであります。しかも民生安定の航路維持するという要請と両方勘案いたしまして、そういうものを先にいたしたい、こういうことが第一条の趣旨でございます。
  7. 井岡大治

    井岡委員 今のお話ですと、市中金融ベースに乗る業者あと回しにして、乗らない業者、そうして目的である民生の安定に必要な航路維持及び改善をやるのだ、こういうお話ですが、その通りに解していいのですね。
  8. 朝田靜夫

    朝田政府委員 その通りでございます。
  9. 井岡大治

    井岡委員 そうしますと、参考資料として御配付いただきました四ページの表を見てみますと、耐用命数を過ぎた船がかなりあるように思うわけです。そこでその耐用命数を過ぎて、言いかえますならば償却をしないで、いわゆる普通の市中金融から受けるとするならば、配当であるとかあるいは信用等で行われるのだろうと思うのですが、いわゆる償却をしないで、無理に配当している、こういうような業者もあろうかと思うのですが、こういう点についてはどういうようにお考えになっておりますか。
  10. 朝田靜夫

    朝田政府委員 事実御指摘のような会社もあろうかと存じます。償却を十分しないで配当をしているというようなことは好ましくない状態ではありますけれども、事実はあろうかと存じますが、そういうものにつきましては、まず三カ年間くらいの企業実績を検討いたしまして、それが金融ベースに乗るかどうかという判定をしなければならぬ、こういうふうに考えております。
  11. 井岡大治

    井岡委員 事実そういうこともあろうかと思うということですが、これは、見てみますと、鋼船はたしか法定命数は二十年だったと思うのですが、二十年までと二十年以降と比べてみますと、二十年以降の方が多いように思うのです。しかもこれは昭和三十二年八月一日現在でございますから、今日ではすでに一年半を経過いたしております。あるいはこの十五年から二十年のクラスの十二隻の中にも、こちらのクラスに入るものがあると思う。さらにまた木船の場合は、これは十二年ですから、これまた見てみますと、十年以降のものの方が多くて十年以前のものが少い、こういうことですね。そういうように考えて参りますと、そういうものがあろうかと思います。こういう海運局長の御答弁でございますが、大体、いわゆるその法定償却というようなことを度外視してやっておいでになるのじゃないか。ですから政府はさきに離島航路整備法を作って、民生の安定のために努力をなさったのだろうと思う。これでもまだいかないから、今度新たに国内旅客船公団をお作りになって、根本的な解決をなさろう、こういうようにお考えになられたのだろうと思うのですが、この点、私の見解は間違っているのですか。
  12. 朝田靜夫

    朝田政府委員 仰せの通りでございます。
  13. 井岡大治

    井岡委員 そうしますと、この資金調達が困難であるというのは、もうほとんどが困難だ、こういうように理解してよろしゅうございますか。
  14. 朝田靜夫

    朝田政府委員 先ほども申し上げましたように、老齢船の多いという現状は御指摘通りでありまして、しかもその原因が、零細な企業であるということと、運賃がある程度認可制をとっておりますので、コマーシャル・ベーシスに乗るほど運賃の値上げというものが自由にいかない、いろいろそういう事情から老朽船が多いのでありますし、今申し上げましたように零細な企業というものが大半を占めておりますので、調達の困難なものが非常に多い。一般的に申し上げますと、調達が容易である企業というのはほとんど少ないと申し上げて差しつかえない、こう思います。
  15. 井岡大治

    井岡委員 だいぶわかってきたようですが、さらにもう一点、その問題でお伺いしたいのですが、同ページの弟二表のところに、資本金千万円以上の会社が四十六社、五百万円以上が十八社、百万円以上が六十四社、百万円未満が九十社、こういうことになっておりますが、船を作るのに市中銀行はどのくらいお金を貸してくれるのですか。たとえば船を担保にしたらトン当りについてどのくらいお金を貸してくれるのですか。
  16. 朝田靜夫

    朝田政府委員 普通の市中金融機関でやっております多い例を申し上げますと、本船担保を提供いたしました場合には大体七割くらいが限度であろうと思います。
  17. 井岡大治

    井岡委員 本船担保にすると七割、こういうことですね。そうしますと、この表で見ますと鋼船トン当り三十万円、木船で十五万円、こういうことですね。それでは百万円以下の会社ですと何トンくらいの船が作れて、何トンくらい金を貸してくれるのですか。
  18. 朝田靜夫

    朝田政府委員 これは非常にむずかしい問題で、そのとき金融機関が、果して償還可能であるかどうかということと、それから収益率がどうか、こういうことで資産信用力その他を判断いたしましょうが、銀行屋さんが金を貸す場合にいろいろケースがあると思いますので、これを抽象的一般的の基準でお答えをすることは非常にむずかしいと思うのであります。その程度でお許しを願いたいと思います。
  19. 井岡大治

    井岡委員 全くわかったようなわからぬような御答弁でさっぱりわからぬわけですが、それじゃ、先ほどの七割貸してくれる、こういうことは——これも全くわからぬ話ですね。
  20. 朝田靜夫

    朝田政府委員 申し上げました七割というのは、大体本船担保を提供いたしましたときに、担保価値を七割としか踏まないのであります。踏まないというのが、大体の今のケースでは多いのであります。普通の場合、そういうようなやり方をしておるわけであります。従って増し担保を要求する金融機関もあるわけです。これは普通の金融状態を申し上げたのであります。従いましてそれ以上貸すということがあり得るかというと、それはたまにはあり得ますでしょう。またそれ以下で、資産信用力その他でそれほど必要でないというものもありましょう。しかし一般的に申し上げますと、七割くらいが限度である、こういう意味で申し上げたのであります。
  21. 井岡大治

    井岡委員 そうすると資産信用ということは、会社表面上の立場から言うと、資本金資産であって、ほかに資産はないわけなんですね。そのほかに考えられるのは、会社を構成しておる方々資産信用ということになろうと思うのです。従って百万円以下の資本金のところで鋼船を作ろうということになれば、今の段階では、特にこういう離島航路、採算のとれない航路は作れない、こういうように理解していいわけですね。
  22. 朝田靜夫

    朝田政府委員 おっしゃる通りの実例がほとんど大部分であろうかと思います。
  23. 井岡大治

    井岡委員 そうすると、先ほどの融資対象になるのは、資本金が一千万円であったとしてもわずかに三十トンの船しか作れないわけなんです。いわゆる管理費なり、あるいは操業費等を入れますと百万円くらい要りますから、作れないわけですね。そういうようになって参りますと、今までいわゆる償却をしないでどうにか維持をしている、市中銀行に無理を言っている、こういう方々に対して融資をしないということは、取り残された方々に対しては、これは全くその方からやはり困難というものが出てくるのじゃないか、不安というものが出てくるのじゃないか。瀬戸内海の近海航路をやっておるものでありますと小型でよろしゅうございましょうけれども、特に離島航路、少し遠いところに離れておる船でありますと、やはり三百トン、四百トンの船を使わなければならぬ。しかもそれは法定償却というものを無視してしまって、とにかくどうにか動かして、そうして市中銀行から金を借りないと船の部分的な修繕すらできない、こういうようなことでどうにか配当なり何なりをやって表面づらをつくろっておる、こういう人に対しては、これは与えないんだということになると、結局これは絵にかいたもちになるのじゃないか、こう私は思うのですが、この点はいかがですか。
  24. 朝田靜夫

    朝田政府委員 資金調達が困難である場合の理由としていろいろな要素があるかと思います。今御指摘のようなことも一つの場合であろうかと思いますが、先ほど申し上げましたように、一般的に申し上げますと、国内旅客船経営規模零細企業が多いということについては間違いのない事実でございますので、いろいろな事情から資金調達が困難であるという場合がほとんど大部分であろうかと思います。
  25. 井岡大治

    井岡委員 そうしますと、大部分のいわゆる業者融資対象になる、こういうように理解していいわけですね。
  26. 朝田靜夫

    朝田政府委員 全体的に見ると、会社の数あるいは航路の数という点からながめますと、そういうことが多いと思うのでありますが、ただ具体的にどの会社、どの会社ということを明示できませんが、中には市中金融機関融資ベースに乗るものがあり得るわけですから、できるだけそういうものはあと回しにして、最も緊要な航路維持という観点と、調達困難でどうしても民生安定上維持しなければならぬ、こういうのを先にしていかなければならぬ、こういう考え方でおるわけであります。
  27. 井岡大治

    井岡委員 この間、同僚の關谷さんがお尋ねになったときに、大体五カ年で四十億くらいのお金がある、そしてそれに充てたい、こういうことであったと思うのですが、間違いございませんか。
  28. 朝田靜夫

    朝田政府委員 その通りでございます。
  29. 井岡大治

    井岡委員 そうしますと、あなた方の方で調べておいでになるのは二十年以上のものが百三十九隻です。これは私の計算違いかもわかりませんが、幾ら計算しても百四十九隻になるのです。これは十隻違っている。まあこれはどっちになってもかまいませんが……。そうしてそのトン数をかけてみますと、これだけで九十九億の金がかかる。それから木船の場合であなた方の説明をされておるのが二十二億二千万円です。合せますと百二十一億六千万円というお金がとりあえず今建改造をやるとするとかかるわけです。これに公団は七割融資をして、あとの三割は業者に負担さすというのですから、七割をかけますと八十五億、これだけのお金がかかるわけです。そのうち、四十億ということになりますと、半数以上はこの融資対象にならない、こういうことになるのではないかと思うのですが、先ほどのお話の大多数かかるのだということと、半数以下だということとは、だいぶ違ってくるように思うのですが、これはどういうわけですか。
  30. 朝田靜夫

    朝田政府委員 ただいまの数字でございますが、まず第一に、調達困難であるものは非常に少いだろう、こう申し上げた。そこで計画の半分という数字を御指摘になったわけであります。これは伺いますと、建造に七割をおかけになっているのでありますが、計画のトン数は改造も含めてであります。改造の場合は御承知の通り五割でございます。それからまた少くなる原因の一つといたしまして、もっぱら遊覧並びに観光の用に供するものをこの法案は除いております。それと資金調達が困難でない企業というものを除きますと、大体われわれが申し上げておる数字に近いものになるだろう、こう考えております。
  31. 井岡大治

    井岡委員 二十年過ぎたのを改造してまた使う、それに五割の融資をするというのですが、私はその改造というのは八割もかかるのじゃないかと思うのです。それはあなたの言う通りにしますが……。そうすると観光、遊覧と普通の船との比率はどのくらいになるのですか。
  32. 朝田靜夫

    朝田政府委員 ただいま御指摘になりました数字の基礎は、鋼船の場合には船齢二十年以上、木船の場合には十年以上を対象にしておられるわけであります。私どもが考えておりますものは、鋼船が二十五年以上、木船が十五年以上で、とりあえず五カ年計画としては緊急を要するものを先にいたしました。なお十分ではありませんけれども、それを対象にいたしたのであります。
  33. 井岡大治

    井岡委員 私は何もその二十年のことをことさらに聞いているのじゃないのです。あなたの方がここで鋼船で二十年以上のものはと説明をなさっているから、これで聞いているわけです。同時にまたそれが間違いだということで二十五年以上だということになりますと、今度は二十五年以上過ぎたもの——先ほど申し上げたように、これは昭和三十二年八月一日ですから、現在では二十七年になっているのですよ。その中でいわゆる改造を行なって使えるものがありますか。私はほとんどこれは使われないと思う。同時に木船の場合だったら、こんなものは改造したって使われないんですよ。それを使うとおっしゃる。しかも五カ年計画ですから、二十五年以上になったら四カ年計画になってしまって、あとの一年はどういうふうになるのですか。あなたの方は二十年からやっているから、これは計算が立っているのだと思う。五カ年計画だと言っておられる。表通りに私は質問しているのですから、表通りに答えて下さい。
  34. 朝田靜夫

    朝田政府委員 改造の場合は木船の十年以上のものも含んでおるのでありまして、そういうものは改造しても使えないじゃないかということでございますが、そう多くはないのでありますけれども、十年以上のもので改造して使えるものもあるわけでありますから、それは含んでおるわけであります。二十年以上のものは、隻数、トン数において全体の比率は、仰せの通りこの資料にございません。そこで五カ年の計画が完了いたしました際の比率は、その際に、鋼船八十七隻、一万二千二百三十九トン、木船百二十六隻、三千三百六十二トンの建造と、鋼船十六隻、四千九百一トンの改造を行うという計画でございますので、この計画が完了いたしました暁には、老齢船が相当程度減少いたしまして、その当時の想定をいたしますと、現在ここに資料で御指摘通りの隻数の六〇%が三九%になり、トン数の四七%に相当するものが三七%に減少をいたします。木船につきましては、現在の隻数におきまして五五%、トン数におきまして五八%でございますが、この五カ年間の計画が完了いたしましたときには、それぞれ五二%、五六%ということになるのでございます。御指摘木船のパーセンテージがほとんど違わぬじゃないか、こういうことになろうかと存じますけれども、木船のうち鋼船に切りかえるものが半分ございますので、全体の船腹、トン数、隻数というものが少くなって参りますから、実質的には相当の船質改善が達成される、こういうふうに考えるのであります。
  35. 井岡大治

    井岡委員 その五カ年計画後の話を聞いているのじゃない。私は五カ年計画に入る前の話を聞いておるのですから、済んだこと、できてしまったことを言わないように一つお願いしたい。しかもこの間のお話では、明年度の財政裏づけはまだ行われてないのだ、こういうお話だったと思うのです。この点は間違いないですね。
  36. 朝田靜夫

    朝田政府委員 その通りでございます。
  37. 井岡大治

    井岡委員 そうしますと、今あなたの言われた五カ年計画というものは全くの青写真だ、こういうことに考えていいのですね。
  38. 朝田靜夫

    朝田政府委員 この国内旅客船公団政府出資並びに資金運用部資金融資政府部内で案を立てました際には、毎年の事業計画に対する資金の裏づけというものは仰せの通りございませんが、五カ年間の計画というものについてはほぼ打ち合せを遂げております。従いまして単なる青写真ということであるかどうか、その点のめどは一応つけておるのであります。
  39. 井岡大治

    井岡委員 せっかく鹿野さんもお見えになっておりますから、鹿野さんにも聞かないと申しわけないから一つだけお伺いするのですが、今のお話を聞いていると、この間とは違うのです。運輸省としてはこれをやりたい、こういうことだった、大蔵省とはまだ話はついてないんだ、こういうお話だったのですが、大蔵省はこれをやってやるつもりですか。
  40. 鹿野義夫

    ○鹿野説明員 三十五年度以降の計画につきましては、はっきりこの計画によってきめたというわけではございません。今後三十五年度、三十六年度と、年々国会の御審議を受けてきまっていくわけでございますが、予算としましても別に国庫債務負担行為あるいは継続事業としての性格を持たせて計画を確認しているわけではございませんが、その点は今後の問題として検討していくわけになりますが、少くとも旅客公団というものを一つ企業体として作っていこうということでございますから、当然ある程度のめどというものはなければならぬ、どのくらいの考え方でやっていくのかというようなことで、運輸省さんとしては案をお作りになって、われわれの方に、大体そんな程度でというお話はございましたけれども、大蔵省の意向といたしましては、別にそれを確定的なものとして承認したとか、あるいは協議を受けてきめたとか、そういう性質のものではございません。ただ公団が今後ともある程度のベースをもってやっていく、五年で一ぺんに今までの長い間蓄積された老朽船が一掃できるかできないかということはなかなか大へんな問題だと思いますが、できるだけのことをやっていくという気持でわれわれの方も今後の協議に応じていくという気持は変らないわけであります。
  41. 井岡大治

    井岡委員 大蔵省も全くわかったようなわからぬような話なのですが、私の聞いておるのは、大蔵省が将来のめんどうを見るのか見ないのかということなんです。お聞きになられたと思いますが、これは、海運局長がいろいろ御答弁をなさっておりますが、観光船と遊覧船は除くのだ、こう言う。ですから私が、観光船と遊覧船というものは全体の何%になっているのだ、こうお聞きしたら、御答弁がないのです。これは答弁できないのが当りまえだと思う。観光船とか遊覧船というのは、全体から見ればほとんどパーセンテージに乗らないようなものだと思う。そうすると、大多数の船はこの融資を受けなければいわゆる民生の安定ということははかれないのだ、こう思うのです。そこで大蔵省はこの法案の協議を受けたときに、ただ聞きおく程度、法案を作ったんだから何とかやってやらなければ仕方がないじゃないかというようなことでは、この法案を作ったって何の役にも立たないのだということ、これは離島航路整備法を作ったのと一緒なんだ。だからこの点をお伺いしておる。この点をはっきり言って下さい。
  42. 鹿野義夫

    ○鹿野説明員 資金的にはもちろん公団を作りましたので、今後あとはどうなるかわからないというような態度では決してない。事業をどの程度の規模にするかにつきましては、やはり年々の財政全般の問題になりますから、今ここで幾らの金額を今後ベースとして考えるのだということを明確にお答えはできませんけれども、公団として発足した目的を達成し得るように、われわれの方としては資金的にできるだけのめんどうを見るという気持には変りません。
  43. 井岡大治

    井岡委員 そうすると、これは青写真じゃないということなのですね。
  44. 鹿野義夫

    ○鹿野説明員 青写真ということの意味がよくわかりかねるのでございますが、単なる。ペーパー・プランではないかというお話かと思いますが、それは運輸省としては十分御検討の上こういう程度の規模でやっていきたいというお気持だろうと思いますし、大蔵省の方としても御相談は受けてはおりますが、今ここでその計画によって今後やるのだということをはっきり申し上げるわけにはいかないのであります。
  45. 井岡大治

    井岡委員 これ以上大蔵省にお聞きしてもなかなかそこのところはお言いにならないだろうと思いますから、また後ほど続いて聞きます。  そこでもう一ぺん運輸省に聞くわけですが、先ほどの遊覧船、観光船のパーセンテージを一ぺん出して下さい。
  46. 朝田靜夫

    朝田政府委員 どうもただいま直ちにそのパーセンテージを出すのは正直に申し上げて困難であります。
  47. 井岡大治

    井岡委員 そうするとこれは先ほど私が言った八十五億のうちに、あなたの方はこれに遊覧船、観光船が入っておるし、改造をやるのだから四十億で大丈夫だ、これは四十億になるか四十五億になるか知りませんけれども大丈夫だ、こういうお話ですが、これは私はこの点についてはあなたの御答弁をそのまま信用するわけにはいかないのです。いわゆる民生の安定ということについて、ただ単に上っつらをなで回したという程度であって、ほんとうの意味における民生の安定を考えての手だてというものじゃない。ただそういうように努力をしたいという目標にしかすぎないのだ、こう思うのです。これでは私はやはりせっかくお作りになった公団の趣旨というものを大きく減殺するのじゃないか、期待を裏切るのじゃないか、こう思うのですが、この点はいかがですか。
  48. 朝田靜夫

    朝田政府委員 毎年度の事業計画につきましては、御承知のようにこの公団資金原資は資金運用部資金に仰ぐことになっておるのが大部分でありますから、その五カ年計画も、ただいま大蔵省からお話がございましたが、確定的なものでない、これは予算の性質上当然のことであろうと思いますが、われわれの計画を達成する上においてもなお不十分であることを認めております。従いまして、これは毎事業年度におきまする財政投融資計画に盛らるべき融資資金運用部資金確保につきまして明年度以降においても万全の努力を続けて参りたい、こういうふうに考えているわけであります。
  49. 井岡大治

    井岡委員 そこで一つお願いをいたしておきたいのですが、最初に申し上げましたように今採算ベースに乗っておるとかあるいは市中銀行融資対象になるからということでその業者を除外するということになると、今度はその業者の方が落ちてきて、そうしてどうにもやっていけなくなる、こういうことになるのじゃないかと思う。従って初年度の計画として、一応私はこれを了承するとか了承しないとかいうことは別として、少くともやはり離島航路という性質上、しかも民生の安定ということを最大の目的としておる関係から考えるならば、当然それらの諸君にもこれを及ぼしてやる、こういうようにしない限り私は離島の開発なんということはできないのじゃないかと思う。ですからこの点を十分お考えいただきたい、こう思うのです。  それからこの法律の附則の十六条のところで、離島航路整備法によって作った船の利子補給を廃止する、こういうようにうたっておられると思うのですが、この点そうだったですね。この間たしか關谷さんの御質問にそういうようにお答えになったと思うのです。
  50. 朝田靜夫

    朝田政府委員 離島航路整備法改正との関係でございますが、御承知のように離島航路整備法によりまする助成と申しますのは、航路補助と利子補給との二つであります。航路補助は御承知の通り航路経営上の赤字欠損に対しまして補助金を交付するわけであります。これは公団設立に伴いまして拡充強化していかなければならないものであると思います。といいますことは、老朽船にかえて新しい船舶が入って参りますので、償却等資本費の圧力がやはりかかって参ります。従いまして赤字が相当大きくなって参るだろうということは予想されるわけであります。離島航路の運航補助金というものについては相当拡充強化していかなければならぬ問題であると思いますが、新船建造に対しまする利子補給につきましてはこれは三十三年度から予算をつけておりません。といいますことは、昨年度もこの旅客公団というものの構想を持って予算の折衝をしておったわけでありますから、抜本的に計画的に老朽船の代替建造を共有制度を通じて遂行していきたいという考えでありましたので、これが助成が重複することになりますので、この際こういった公団という特殊な政府機関を創設いたしまして老朽船の計画的な代替建造に踏み切った以上は助成の重複を避けたい、こういうことで廃止をするという趣旨であります。
  51. 井岡大治

    井岡委員 そうしますと、その会社市中銀行から借りておりますと、かなりまた利子が高くなる、こう思うのです。そのために経営がさらに悪くなってくるということも考えられまするので、それらの問題等もあわせてやはり十分助成の策を講じていただきたい、こう思います。  それからこの間も言っておられましたが、この表で管理費設備費が九百万円、こういうことになっておりますが、これではとうていやれない。何か千四百万円というのは、これは利子のピンはねだとかピンはねじゃないとかいうことを論議されておりましたが、もら一度この点だけをお聞かせ願いたい。
  52. 朝田靜夫

    朝田政府委員 政府全額出資二億円ということになっており、これが片一方の融資が三億円であります。資金運用部資金の金利が大体六分五厘であります。従いまして、出資、融資を合せて事業資金として運用するわけでありますが、六分五厘はどうしても払わなければならない資金コストであります。そこに若干の安全率を見込まなければならない、これが普通の行き方でありますので、これは最終的に大蔵省と打ち合せをして決定したわけではございませんが、大体七分程度でまかなって参りたい、こういうことになりますと、全額出資二億円に対しまする七分といいますと、一千四百万円というものが公団管理費に充てられるということが大体予想がつくわけであります。一千四百万円というものでは公団維持運営がきわめて困難ではないかというふうに考えられますが、この点につきましては冗費をできるだけ節約をいたしまして、とにかく努力をして発足してみたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  53. 井岡大治

    井岡委員 開発銀行の貸し出しの利子が四千万円、貸し出し総類が四千四百億という数字の中で九〇%が六分五厘なのです。あとの一〇%が大体六分、こういうことになっておる。これはほかにもいろいろ理由があると思いますが、少くとも政府が助成をしようという立場に立って、その安全率を業者の中で見ていくのではなくして、やはりその公団の中で見ていくというようにしないと、これはやはりピンはねだと言われても仕方がないのじゃないかと思うのですが、この点はどうですか。
  54. 朝田靜夫

    朝田政府委員 開発銀行の金利は、電力と海運が特定金利として六分五厘でありますが、その他はおおむね九分であります。従いまして資金運用部等からの資金コストにやはり相当の安全率というものをかけて運用しておるのが通常の例でございます。安全率を若干見るということは、ピンはねというふうに表現をされるよりも、むしろ資金コストと考えていただきたいと私は思います。
  55. 井岡大治

    井岡委員 そこで、その管理費が千四百万円なら千四百万円でよろしいのですが、もう一つお伺いしますが、どのくらいの事務所をお持ちになるお考えですか。これは二十人ということですが、どのくらいの規模事務所ですか。それをちょっとお伺いしたいと思います。
  56. 朝田靜夫

    朝田政府委員 二十人でございますので、最小限度一人に二坪ぐらいの計算にいたしますと四十坪になるわけです。家賃も先ほど申し上げましたように非常に窮屈でございますので、それでまかない得るようなところに入らなければならぬということで、選択の自由はあまり多くありません。その予算の範囲内ででき得る限りまかなって参るよりいたし方ないと思うのであります。
  57. 井岡大治

    井岡委員 私はちょっと調べたのですが、農地開発機械公団は職員が五十八人、七千五百円、森林開発公団は百三十七人で八千万円、公営企業金融公庫は二十五人で二千五百万円、そして私のところは千四百万円、それで私は実は飯野海運さんの直系の千代田ビルの例を一つ見てきた。これは初年度ですから、いろいろな金が要ります。次年度になると若干違ってくると思いますが、これは一人二坪——特殊なものなのですから役員も三人か四人こしらえておられますから、役員室もこしらえますと、二坪ないし二坪半、これは二十五人で計算すると計算しやすいからこういうふうに考えてみた。そうすると建築協力費というのを出さなければいけない。これが坪当りにして十二万九千円、五十坪で六百四十五万円、敷金が二万一千円の五十坪分——これは家賃を坪三千五百円の割合にして六カ月分ですから——これが百五万円、それから家賃が十カ月分で百七十五万円、こうしますと合計九百二十五万円というお金がかかる。あとに残るのが四百七十五万円、二十人の職員の中で役員さんを入れてどのくらいの給料を払っておやりになろうとしておるか、おそらく私は国会の一室を借りない限り、公団は持っていかれないと思うのです。これはどうなのですか。
  58. 朝田靜夫

    朝田政府委員 ただいまお調べになりましたようなそういうりっぱなところへはとうてい入れないという前提でわれわれは考えざるを得ないと思います。従いまして建設協力費も要らないし、敷金も要らないようなところを見つけて——あるかと言われますと、ただいまあそこにありますというようなことは申し上げられませんが、できるだけの努力をして冗費を節減して、この一千四百万円程度の範囲におさまるように努力をして参らなければ、ほかに方法はない、こういうふうに考えております。
  59. 井岡大治

    井岡委員 ビルというのは悪いビルほど高いのですよ。いいビルほど安いのですよ。だからただで入るのなら、私は国会の一室を借りない限りはだめだと言っているのです。協力費がかりに要らないとしたら、片方の敷金はものすごく取られますよ。そうしたらこれは全くやれない。やれなかったら、これはどこに求めるかといえば、やはり業者に求めて何とかしなければならぬ。一方でピンはねをして、片方で協力を求めるというようなことは、これは大へんなことだと思うのです。ですからこの点はもう少し考えてもらわなければならないと思います。
  60. 朝田靜夫

    朝田政府委員 ビルディングに入るほど余裕はありませんので、先ほど申し上げました建設協力費だとかあるいは敷金の要らないところを選んで入らなければならぬということを申し上げたのでありますが、そういうところはあるかと言われますと、具体的には心当りはないわけではないのであります。そういうことで、直ちに業界にしわが寄るような運営の仕方は厳に慎しむつもりでおりますから、その点は御安心願いたいと思います。
  61. 井岡大治

    井岡委員 ないわけではないということですから、私はこれ以上追及はいたしませんけれども、少くともやはりこれが中小企業のサービス、センターだということですから、あまりいかめしいところに一室を借りてもらう——これは何もりっぱないかめしいというのではなくて、がたがたしてあっちに頭がつかえたり、こっちにくぎが出ているようないかめしいところを借りておったのでは、実際問題としてみな来にくくなるだろうと思うのです。むしろこういう零細企業のお世話をするというところは、みんなが入りやすいようなところを選んであげるのが実際問題として親切じゃないかと私は思うのです。ですからこの点については十分の考慮を払っていただきたいと思う。  それから鹿野さんにも今お聞きになられて、あなたはどういう予算考え方をお持ちになっておられるかわかりませんけれども、千四百万円の管理費というのはわれわれの労働組合——わずかに五人か六人の従業員でやっているものでも、千四百万円ぐらいの管理費は使っておる、使わなければ仕事はできない。全国的なものですから、職員が出張しなければならぬ、いつも呼び出すわけにいかない、あるいは造船所を見に行く出張旅費も要る、こういうふうに考えてみると、この千四百万円で何ができるかといったら私は何もできないと思うのです。ですからもう少し親切にものを考えてやるようにしないと、せっかくわれわれが一生懸命になっても、またあなた方が一生懸命今度これをこしらえましたといって業者に呼びかけてみても、業者はなかなかついてこないということでは何にもならぬと思うのです。ですからこの点については十分の御配慮をいただきたいと思います。  もう少し聞こうかと思うのですが、ほかに何かあるようですから、またあらためて聞きます。
  62. 關谷勝利

    關谷委員 鹿野主計官おいでになりますので、少しお尋ねを申し上げたいと思います。この出資で少いということは、これは井岡委員からるるお尋ねしたはずでありますし、最終の結論を聞いておりますと、これではできぬというようなことで、鹿野主計官は頭がよ過ぎて、出すことを断わることの名人だということはよくわかっておるのでありますが、そのために海運局長あたりが苦しい答弁をしなければならぬようなことになっております。この旅客公団という関係は、これは事人命に関するものでありますので、こういうふうな人の生命にかかわろうかというようなものについての予算だけは、ほかの予算等と切り離して、頭を切りかえていただいて、これから先も増額をしていただくようにお願いしたいと思います。これはあまりしぼりますと、やはり老朽船をそのままで置かなければならぬ、従って、第五北川丸のような事件も起きてきます。あまり率直に言い過ぎてしかられるかもしれませんが、大蔵省が人殺し予算を組んだといわれても仕方がないようになります。そういうことは言いもしますまいけど、これから先、出資金関係、あるいは融資関係につきましては、特別に考慮をしていただきたいと思いますが、その考えの基礎、心組みといいますか、そういう点で、将来増額するつもりでおるというふうなことでありますのかどうか、ことし融資する三億程度を年々に支出して、それでやっていくのだというような気持か、その点伺っておきたいと思います。お心がまえでけっこうでありまして、三十五年度以降の数字を示せということは申しません。
  63. 鹿野義夫

    ○鹿野説明員 御指摘の点、二つあるのでございますが、融資の問題につきましては今後問題といたしましては財政投融資全般の問題として検討していかなければならぬかと思います。ただ、旅客船に老朽船が多いということは事実でございますから、できるだけこれを早く健全なものにしていくということは当然のことと思います。ただ、今ある老朽の度合いというのは、非常に戦前からの積り積ったものだと思いますので、一ぺんにはなかなかいかないと思いますが、その点については、私といたしましてもできるだけ今後予算編成の際には努力していきたいと思います。  出資の問題につきましては、これは今海運局長からお話がありましたように、出資から浮いてくる金を事務費に充てる。事務費というものは極端に少ければいろいろ弊害があるという仰せでございますけれども、できるだけ少い金で目的を達していく方が、国民のためにもお国のためにもいい。そういう意味で、この予算海運局長、海運局としましてもやれるという御判断のもとにお話し合いがついた予算でございます。まあやってみまして、いろいろ検討すべき余地がありやいなやは今後の問題かと思いますが、決して余裕があって十分の予算だとは考えてはおりませんが、でき得ない予算ではないというふうに考えております。
  64. 關谷勝利

    關谷委員 どうやらこれでできるというふうなお話でありますが、実際問題としましてはむずかしい。しかし、これは海運局長が承知しておるのに、お前いらぬことを言うなと言われてもどうにもなりませんので、申し上げません。運用部資金関係でありますが、資金関係は、一つぜひ三十五年度からは大幅にこれが増額せられるように御配慮を願いたいと思います。  それから、これも海運局長に先にお尋ねして、鹿野さんにあとからお尋ねしたいと思いますが、公団が七割持って、船主といいますか、業者の方が三割持つということになりますが、こういうふうに新しい船を作りますというと、建造費というふうな関係、これを償却しましたり、利子も払わなければならぬ、自分の持ち分は三割だけだというふうなことでやりますと、おそらく今の運賃では私は引き合わぬのじゃないかという気がするのです。気がするんじゃない、実際そういうふうな結果が出て参りまするが、その際に赤字が出て参りますと、そういうふうなことで、今の運賃で押えていくことができないようになるかもわかりません。その際の考え方、どういうふうな考え方でおるのでしょう。運賃を値上げをするというふうな気持でおるのですか。それとも運賃の値上げはやらないで、これは離島航路であれば離島航路整備法でまかなうと仰せられて、離島航路整備を今拡充しておるということでありますので、離島航路関係は私はいいと思いますが、離島航路整備法の適用を受けられないようなところでありますと、これは別に何か離島航路の補助以外の補助を出すというふうなことを将来お考えになりますかどうか、その点一つ伺っておきたいと思います。
  65. 朝田靜夫

    朝田政府委員 まず運賃の問題でございますが、運賃の値上げは公益航路として運賃の値上げをいたしますことはあまり好ましくないと思うのでございますが、やはり公団事業を通じて船も新しくなることでもありますし、輸送原価も上って参りますし、片方において船舶が新しくなったためにより安全、迅速になって参りますので、好ましくはございませんが、場合によっては利用者がある程度負担をしなければならぬ面も出てくるかと存じます。しかし地方におきまする離島の負担能力等からして、たといそういう引き上げが行われようとしても、負担力があまりありませんので、それには大して期待はできないと思うのであります。  離島航路整備法に基きまする国の補助につきましては、現在対象航路も非常に少いのでありまするし、予算も大して多くない現状でございますから、先ほど申し上げましたように、航路補助の拡充強化ということがどうしても必要になって参ると思います。ただ、それ以外の補助というものを今考えておるかという御質問でありますが、その点につきましては、今考えておりません。
  66. 關谷勝利

    關谷委員 鹿野さんにお尋ねします。今伺うようなことでありますが、今の離島航路整備法の補助の対象になります航路というものはきわめてわずかでありますが、これをやって参りますと、赤字の出るところがたくさん出てきます。そういうふうなところに対しましては、その適用の対象——補助航路対象がふえて参ることになります。これをふやしたものに対しましては、三十五年度からはその補助金はそれに見合うように増額するというふうなことはぜひお願いしなければなりませんが、これはあなたのお気持はどうでございますか。
  67. 鹿野義夫

    ○鹿野説明員 公団が船を作ることによって各航路業者がさらに赤字がふえるというようなお話ですが、離島航路関係につきましては、御指摘通り補助金が計上されております。一般的な、離島航路以外の航路の問題につきましては、やはり補助金という趣旨よりも運賃の問題で解決すべき問題でないかというふうに考えております。離島航路補助金の問題は今後の検討に待つわけでございますが、財政との関係でどういうふうに計上できますか、担当の係官としましては十分その点検討していきたいと思っておりますが、今のところ何とも申し上げかねます。
  68. 關谷勝利

    關谷委員 離島航路整備法によるあの補助金が非常に少いので、年々これをふやしていただくように聞いておるのでありますが、なかなかふやしてもらっておらないのであります。この点は、三十四年度で建造いたしますと、それに基きまして何かその対象がふえてくる。なお、老朽船で改造を必要とする——民生安定上必要なところが優先いたしますので、そういうふうなところは離島航路整備法の適用をするようにしなければなりませんので、必ずふえて参りますから、離島航路整備法に基きます補助というふうなものにつきましては、明年度からは運賃値上げというふうなことを考えずに一つやっていただきたい、これは今からお願いしておきます。いずれまた来年の予算のときにはあなたと相撲を取らなければならぬことになりますが、よく御承知おきをいただきたいと思います。  それからこれは五カ年計画でありますが、五年たちましてもおそらくそれまでにまた老朽化してくる船もありまするので、なかなか五カ年だけでは済まないと思います。一応五カ年やってみてということになるのだろうと思いまするが、それは五年たってみて、今の数字からいいましてもわずかの数字にしかならないわけでありますが、五年間一応やってそれで効果が上るということなら、やはりその後にも期間を延長してこれをやるというふうなことも考えなければならぬと思います。これは海運局長主計官ともにお尋ねしたいと思いますが、それはどう思われますか。
  69. 朝田靜夫

    朝田政府委員 たとい五カ年の計画が遂行されましても、先ほど申し上げたようなパーセンテージの改善しかできませんので、とうていこれだけでは十分でないことは明らかであります。従いまして次の五カ年計画ということでまた追っかけて努力を続けて参らなければならぬ問題だと思います。
  70. 鹿野義夫

    ○鹿野説明員 私も当然五カ年でこの公団が使命を完全に果して終るという形にはならない、今後相当長期にわたって目的の達成のために存続し続ける公団であると考えております。
  71. 關谷勝利

    關谷委員 これでお尋ねすることは終りまするが、とにかく人命に関する問題でありまするし、大蔵省が金を出してくれなければやれない仕事なんでありますので、大蔵省が思い切って金を出すという気持をここで起してもらいたいと思います。それだけお願いしておいて私の質問を打ち切ります。     —————————————
  72. 塚原俊郎

    塚原委員長 次に、日本国有鉄道法の一部を改正する法律案議題として審査を行います。  質疑の通告がありますので、これを許します。久保三郎君。
  73. 久保三郎

    ○久保委員 国有鉄道法についてお尋ねするわけなんでありますが、大臣おられないようでございますし、あいにく私、工合が悪くなったものでありますから、この質問は次会に回していただきたいと思います。
  74. 塚原俊郎

    塚原委員長 關谷勝利君。
  75. 關谷勝利

    關谷委員 私は簡単なことを一つだけお尋ねしておきたいと思うのでありますが、新設をせられまする個所につきましては、前に新潟と高松と広島というお話を聞いておりますので、それはもう間違いないと思いますが、その点はやはりその三カ所ということになるわけでありますか、一応念のためにお尋ねしておきたいと思います。
  76. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 その通りでございます。
  77. 關谷勝利

    關谷委員 そういたしますと、今度十六人ということになるのですが、実際に三カ所ふえてやりますと、十九人要るわけであります。そのあと三人だけがいわゆる理事代理というふうなことになると思います。しかしこの新設をされるところといいますものはみんな非常におくれておるところなんであります。そういうふうな地域だけを急速に特別に考えていただいて後進性を取り戻さなければならぬのであります。そういうふうにいたしますと、新設のところの方が私は大事であると思います。以前からあります六カ所といいますのは、これは以前からの惰力でもいけます。従いまして今度六名ふやします中で、三名だけは新設のところへ正式の理事を向けるのだ、理事代理というものは古いところで以前からやっておって惰力でやれるところへ置いていただいて、そうしてそれがまたふえて十九人になった場合に、古いところの三カ所は理事代理を理事にする、こういうふうなお考えをいただきたいと思いますが、これは副総裁のお考えはどうでございますか。
  78. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 先生の御質問の通り、できるだけ新設の支社長も理事として参りたい、こう考えておりますが、さしあたってこの法案提出いたしましたときには現在の支社制度がしかれておりまして、それで従来地域的に申しましても相当大きゅうございますので、とりあえずその六支社について理事をお願いするということになって参りましたので、あとの新設の分につきましては、また将来機会がございましたら御支援を賜わりまして、そういう実現をしていきたい、かように思っております。
  79. 關谷勝利

    關谷委員 これはふやしますのは、以前からある支社へふやすために十六人にしたというのではないので、増員をするというのです。どこへ置かなければならぬということはこれには何もないのです。私たちは新設のところこそ大事な点だと思う。ことに私が自分のところを言うては失礼なのかもしれませんけれども、四国あたりは一番おくれております。それで四国を独自に考えてもらったことがないために、まあほうっておけということになって、あの通りみじめな姿でおるのでありますが、こういうふうなところをほかと均衡のとれたところに直していこうとすると、やはり力のある理事をやっていただかなければならぬ。私は専任の理事を四国あたりへは置いていただくのが筋だというふうに考えますので、この点一つどうしてもそのお考え方は改めていただきたいと思います。六人のうち、三人だけはどうしても新設のところへ置いて、あとの六カ所のうち三カ所には理事を置いて、残りの三カ所には理事代理をやっていただく。今までやっておる仕事の惰力でいくところと、新設のところはやはり有能な——有能といってもほかの人が有能でないというのではありませんが、やはり古い経験を積んだ人をやってもらうというのが私はほんとうだと思いますが、この点はどうしてもそういうふうにお願いしたいと思います。この十六人は今までの支社に充てるために十六人にするとは書いていないと思いますが、この点はどうしてもお考えを変えていただきたいと思いますが、どういうお考えですか。
  80. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 今回増設いたしたいと考えておりますのはもちろん仰せの通りに、その地域の輸送を今までよりも格段によくしていきたいという意図のもとでございまして、たとい理事でありませんでも権限その他については現在の支社と同じようにいたして参るつもりでございます。ただ理事と申しますと、現在あります支社は、やはり規模も大きゅうございますし、歴史もございますので、まず普通常識的に考えて、それを優先的にさせていただきまして、今後増設する支社につきましては、本社でできるだけめんどうを見て、十分御期待に沿えるようにいたして参りたいと考えております。
  81. 關谷勝利

    關谷委員 今、副総裁の仰せになりました権限は同じだというのですが、権限が同じなら古いところへ持っていったってやはり同じことですから、古いところは今までに、かりに一例をあげますと、これは大阪というのは無理かもわかりませんけれども、大阪、東京はなんですが、私のところは関西支社といいまして、大阪が支社ですがね、あそこのやる仕事は従来通りのことをやって、むしろ今までよりも範囲が狭くなってくるから、それで仕事の面から見ますると、その点非常にやりやすいので、私は新設のところへ持っていくのが常識だというふうに考えます。この常識は、ちょっと副総裁のお考えと私と違うようでありますが、これはどうしても私はそういうふうにお願いしなければ、この新設のところは、これがそれなら三十五年度からでもあとの三人がふえるんだということの確約があるのなら別ですが、そうでないと私は、あとはまたどうにかいたしましても、最初の間、発足後二、三年というものは、初代の支社長といいますのは、どうしてもほんとうの理事をやっていただくのがほんとうだと思います。ほかの理事代理で違わないという話は、そのまま逆に持っていって適用ができると思います。この点はもう一回考え直す気があるかないか、それをお伺いしたい。
  82. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 新設を予定しております支社は、いろいろな関係もございまして、案を練りました結果、四国鉄道監理局、広島鉄道監理局、新潟鉄道監理局、これを支社にいたしまして、三局を持つ格好にいたさないつもりでございます。従いますと、その範囲の職員の数からいきましても、輸送量からいきましても、現在の支社よりも規模が小さいということは言えるのでございまして、しかしこれは決して最終のある姿ではなく、至急局のあり方も私ども考えまして、今後善処して参りたいと思っておりまするが、当初におきましては、比較的規模も小さい。しかし規模が小さくても、内容は非常に重大だから、理事を優先的に持ってこいという御理論も十分つくとは思いますが、この法案を出しました際には、まだ支社の増設ということは隠れておりまして、現在の六支社があるので、その支社長を理事にいたしたい、こういうことでいっておりましたので、はなはだ例が当っているかどうか存じませんが、下世話にも長幼序ありということもございますので、どうぞよろしくお願いします。
  83. 關谷勝利

    關谷委員 それなら百年たっても千年たっても、いつまでも追いつけないということで、先輩はいつまでも先輩でやっていかなければならぬ。どんなおじいさんでも、もうよぼよぼになっても、それを優先するということになってきますが、これは大へんなことで、こういうふうな四国のようなおくれを取り戻そうとするところを、やはり副総裁あたりも四国あたりをないがしろにしておる考え方が当りまえになってしまっておる。これは病膏肓に入ってしまっておるのじゃないか、かような気がするのでありますが、どうしてもこの点は私たちは今の御説明は納得できません。これは支社がうしろへ隠れておるというためにそれができないというのなら、私は早急に支社というものを、これは三カ所予定しておるところを早急に支社にしていただいて、この法案審議中にも支社を設直していただいて、そうして私はその三人の増員を、一つ修正してでもしたいと思いますが、そういうふうなことはできますか。一つ伺っておきます。
  84. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 会社にいたしましても、特に私どもの国鉄のような公共企業体につきましてはその理事の配置数といったようなものは非常に重要なものでありまして、今回につきましては、いろいろ各方面との御折衝の結果、この法案になりましたので、ぜひこの法案でお認め願いたいと存じますが、前々から四国はもっと輸送に力を入れなければいかぬということは、始終先生の御指摘を受けておりまするので、この機会におきまして、今後十分力を入れることにいたしますから、法案につきましてはこの原案でお願いいたしたい、こう考えております。
  85. 關谷勝利

    關谷委員 これはもう副総裁とどれだけ口相撲を取りましても、副総裁一向に譲ってくれぬようでありますが、私ははなはだ心外であります。しかしこれは私たちはこの理由を十九名以内ということでしておいて——かりにこの法案の修正をする場合でありますよ、十九名にしておいて、そしてその中でまず現在あるところの十六名を仕命して、そうして支社を設置して後あとの三名をふやす、こういうようなことに持っていけばいい、こういうふうなことも考えられますので、私たちはそういうふうなことを、これもまだどうなるかわかりませんが、あと委員長理事の方たちと御相談をして、私は修正案を出したいと思います。そうして十九人ということにしていただきたい、こう思いますので、そういうふうなこともあるいはできるかもわかりませんが、その点一つ頭に置いていただくようにお願いを申し上げまして、私の質問を打ち切ります。
  86. 塚原俊郎

    塚原委員長 川野芳滿君。
  87. 川野芳滿

    ○川野委員 日本国有鉄道法の一部を改正いたしまして支社制を強化する、すなわち支社長を理事とする、さらに大臣の権限を地方にある程度移譲して、そうして責任態勢をとらせる、こういう案を提案されましたことは私満腔の賛意を表するものであります。しかし静かに内容を検討いたしてみますると、物足りない個所が多々あることを発見するのであります。ただいま關谷委員が申されたように、従来局と申しますか監理局があって、そうして相当な成績を上げておりましたところが廃止になっておる、しかも地域的に考えましても、当然これは支社を置くべきところである、こういうところに対して今回支社を設けられないということは、まことに遺憾千万でございまするが、これは大蔵省に対しての国鉄当局の熱意が足りなかったのではなかろうかとも私は考える次第であります。支社制の問題に対しまして、今關谷委員から申されましたので、私きょうは申しませんが、今回支社制を強化いたしますると、ある程度上部組織は完備されると存じます。しかしこれに伴いまして、さらに下部組織というものがやはりこれに並行して完備することが必要ではなかろうか、かように私は考えるわけであります。すなわち、言葉をかえて申しますならば、下部組織を強化した上に立って上部組織を完備させる、これが私は穏当なやり方であると思うのでありますが、今回の改正は上部組織だけを強化され、これに伴う下部組織はそのままである、実はこういうことが認められるのでございまして、この点はまことに遺憾千万でございます。  そこで私は、時間の関係もございますから、実はもう少し突き進んでお尋ね申し上げてみたいと思うのでございますが、従来より各県に管理部というものがございました。そうしてこの管理部がある程度の責任を持って国鉄の業務の運行をやって参りましたことは御承知の通りであります。ところが行政整理の結果、管理部が廃せられたところが非常に多いのであります。しかもその廃せられた場所において、その行政区域等を一括して他の管理部に移譲されたというのでございますならば、これはある程度問題は軽いのでございまするが、県によりますると行政区域をあるいは二分しあるいは三分して、そうして地方監理局においてその運営をされておる、こういう現状であるところに実は非常に問題が多いのであります。例をとってみますると、私の県の宮崎県のごときは、実は半分は鹿児島鉄道監理局に、半分は大分鉄道監理局に所管を移されて、そうしてあらゆる国鉄の業務をやらされておる、ここに非常に問題があるわけであります。あるいは貨車を申し込むにいたしましても、実は両方に申し込まなければならないというようなこと等がございまして、非常に不便を感じておるわけであります。ことに先般宮崎県にディーゼル・カーを通すというので、利用債を引き受けてもらいたいという問題がございました。当時の折衝を鹿児島の監理局がやったのでございまするが、鹿児島監理局と宮崎県側におきましては、宮崎県全体の利用債を六千五百万円ときめ、こういうことで実は鹿児島の鉄道監理局と宮崎県の知事との話がまとまったのでございます。ところが今度はまた後日大分監理局から、さらに二千万円の利用債を買え、こういう内命が実はきたそうであります。そこで宮崎県側におきましては、利用債の二千万円を買うべきであるか、あるいはすでに鹿児島監理局との話し合いで、宮崎県全体の利用債は六千五百万円でよろしいという話があったのだから、大分監理局からの話を断わろうかということで非常に心配されたのであります。大分の監理局長は、もし二千万円の利用債を引き受けなければ今回のディゼル・カーの乗り入れは中止させる、こういうことまで実は発言されたようでございます。しかし久保常務理事等のごあっせんによりまして、実は六千五百万円の利用債で話は円満に済んだのではございますが、こういう問題等が起りますことも、行政区域を分断されておることが一つの大きな原因ではなかろうか、かように私は考えるわけであります。こう考えますると、こういう分断されておりまするところは一つの監理局にまとめるか、あるいはまた新たに管理部を設置される、こういうことにしていただかなければならないと考えまするが、これに対してのお考えを承わってみたいと存じます。
  88. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 宮崎県のディーゼル・カーにつきましては手違いもございまして御迷惑をかけましたことをこの機会におわび申し上げておきます。実は管理部が局になりましたときには、必ずしも鉄道の原案が入れられたわけではございませんで、諸般の事情でやむを得ず現在のような姿に相なったのでございます。その後いろいろ運営して参りますと、御指摘通りに局の区域と行政区域とが一致していないところではいろいろな不都合が生じて参っております。これは地元の方々の御迷惑ばかりでなく、国鉄の運営上もいろいろ不都合ができて参っております。従いましてこの局の分界あるいは局のあり方、または局の設置の数等につきましては、どうしても再検討をいたさなければならぬと考えておりまするが、何はさて全国にわたることでございまするし、それにつきましてはいろいろのむずかしい条件がございますので、これはやはり十分研究して、あやまちなきを期して参らなければならぬ。それの第一段階といたしまして、今回支社のあり姿を整備いたしまして、さらにその支社長のいろいろな意見あるいは経験等も徴しまして、この次には局の制度の改善ということを引き続いてやって参りたい、かように考えております。
  89. 川野芳滿

    ○川野委員 ただいま副総裁のお話によりまして、局の改善をするということの必要はお認めになったのでございますが、しかし、ただいま申しましたように地方としましては実は非常に不便を感じておるわけであります。これは宮崎県だけではございません。山梨県のごときは三局に分断されておりまして、従ってそういう関係で非常な不便を来たしておるということをたびたび私などは聞かされておるわけでございます。そこで、もう先日も質問いたしましたので、あまりくどくどしいことは申しませんが、やはり上部組織と下部組織というものは並行して強化していくべきものであると思いまするがゆえに、地方局の強化という問題が必要であるということをお認めになっておりますならば、どうか一つ早い機会に調査されまして、そういう不便なところだけでも地方局を設けるということにいたしていただきたいと存じます。その点に対してもう一度だけ副総裁の御意見を承わりまして、私の質問を終る次第であります。
  90. 小倉俊夫

    ○小倉説明員 国鉄は、前々から総裁が国民の国鉄と申しておりまするが、国民の皆様に御迷惑をかけておることは至急改善して参らなければならぬと思っております。それでただいま先生の仰せの通りに、監理局のあり姿について地方の方々の苦情、陳情は私たくさん受けておりますので、前々からこれは何とか急速に考えなければならぬと思っておったのでございますが、この支社設置を機会にいたしまして、急速に調査、審議に取りかかるということをここでお約束申し上げておきます。
  91. 塚原俊郎

    塚原委員長 次会は明二十日午前十時より理事会、午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後零時三十九分散会