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1958-10-31 第30回国会 参議院 本会議 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年十月三十一日(金曜日)    午前十時三十五分開議     —————————————  議事日程 第十二号   昭和三十三年十月三十一日    午前十時開議  第一 国務大臣演説に関する件  第二 日本国とラオスとの間の経済及び技術協力協定の締結について承認を求めるの件(衆議院送付)  第三 臨時生鮮食料品卸売市場対策調査会設置法案内閣提出)  第四 日本放送協会昭和三十一年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書     —————————————
  2. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。      ——————————
  3. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) これより本日の会議を開きます。  議員井村徳二君は去る二十七日逝去せられました。まことに痛惜哀悼の至りにたえません。  大和与一君から発言を求められました。この際、発言を許します。大和与一君。    〔大和与一登壇拍手
  4. 大和与一

    大和与一君 本院議員井村徳二君は、去る十月二十七日午後、にわかに病を得て急逝せられました。まことに哀惜の情にたえません。私は、ここに諸君の御同意を得て、議員一同を代表して、つつしんで哀悼の辞を述べたいと存じます。  井村君は、明治三十二年金沢市に生れ、現在、石川道路協会会長石川観光連盟会長石川消防協会会長の公職にあられますが、また戦時中より株式会社大和社長として、また戦争直後より北陸鉄道の社長として、なお、四、五年前よりは加越能鉄道の副社長として、石川県の産業交通向上発達北陸開発に、不断の努力を続けておられまして、広く県下及び北陸地方信望を集めておられました。  井村君は、昭和二十八年多数の信望をになって本院に議席を有せられたのでありますが、すでに第一国会におきましては、衆議院議員として、わが国再建の重要な国政審議に参画せられ、政治家としての卓越せる識見を高く評価せられておりました。再度議員として本院に議席を有せられるや、経済企画政務次官の重責を担当せられ、また内にあっては、自由民主党総務参議院自由民主党政策審議会会長及び観光事業特別委員等の要職につかれ、その手腕と識見とを遺憾なく発揮せられて、日夜国政に精励せられておったことは御承知の通りであります。  亡くなられた当日は、日没まで日本海岸港湾整備会議に出席せられておりまして、有益な意見を開陳せられておったのでありますが、帰宅後数時間にして突然病に倒れましたことは、夢のようでありまして、井村君の平素強健な姿に接しております者は、だれもその訃報を信じられぬようでありました。あるいは平素御精励の結果かとも思われ、まことに痛恨の情にたえぬものがあります。その人となりは、御承知の通り重厚篤実な性格の持ち主でありまして、事を処理するに当っては、明晰な頭脳と豊富な実行力を持って、信ずるところに従って公正なる裁断をされましたことは、およそ、君とともに仕事をした人のひとしく認めるところであります。  なお井村君は、文化向上教育振興については非常に力を注がれ、特に後進指導養成には熱心でありまして、再建日本の将来をになう青年育成には、産業経済の各分野において合理的かつ組織的にこれを行うの要あることを力説されておられました。井村君の関与せられた事業には、それらが具現せられておると思いますし、現にその関与せられている出版所からは、優秀な数多くの名著が公けにされ、後進教育指導に役立っております。井村君の文化事業に対する理解とその功績は、万人の認むるところであり、さきに北国文化賞を受賞されましたが、井村君が御生存ならば、多年、君が直接間接に国民文化生活に与えた偉大な功績に対し、必ずや重ねて栄誉ある最高の受賞を受けられることは、既定の事実であると存ずるのであります。  井村君は公人として経済人として得がたい人物であり、時局多端の現在、政界、実業界は、こぞって君のような政治家に期待するところ多く、その前途を嘱望しておったのでありましたが、卒然として不帰の客になられましたことは、本院にとり、また国家にとっても、この上なき不幸でありまして、返す返すも残念でなりません。  ここに井村君の功績を追懐し、君の御冥福を祈り、哀悼言葉といたします。(拍手)      ——————————
  5. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) お諮りいたします。井村徳二君に対し、院議をもって弔詞を贈呈することとし、その弔詞議長に一任せられたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 御異議ないと認めます。  議長において起草いたしました議員井村徳二君に対する弔詞を朗読いたします。   参議院議員正五位勲三等井村徳二君の長逝に対しましてつつしんで哀悼の意を表しうやうやしく弔詞をささげます  弔詞贈呈方は、議長において取り計らいます。      ——————————
  7. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 日程第一、国務大臣演説に関する件。  大蔵大臣から昭和三十三年度補正予算に関し発言を求められております。これより発言を許します。佐藤大蔵大臣。    〔国務大臣佐藤榮作登壇拍手
  8. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ここに昭和三十三年度補正予算を提出するに当りまして、わが国当面の経済情勢と、これに対処すべき財政金融施策大要を申し述べるとともに、補正予算の概要を御説明いたします。  私は、先般、国際通貨基金及び国際復興開発銀行の総会に出席いたしました。その際、わが国経済に対する国際的な評価がきわめて高いことを強く感じて参った次第であります。すなわち、国民各位の御努力により、国際収支は昨年十月以来引き続き黒字基調を続けて参りまして、本年度上半期における外国為替収支受取超過は、実に二億五千万ドルに及んでおります。このような情勢におきまして、昨年夏、外貨減少に備えて国際通貨基金から借り入れました一億二千五百万ドルも、本年中に返済の運びに至りました。私は、このようにわが国経済が信を海外に博し得ましたことを、国民各位とともに心から喜びたいと存じます。  今日までのわが国経済情勢は、一部の産業において、過去の投資活動行き過ぎ反動として、なお若干の問題が残ってはおりますが、大勢としては、生産面雇用面等さしたる困難もなく推移しているのでありまして、昨年来のわが国経済調整過程は、今日ようやくその仕上げの段階に入りつつあるものと考えます。  私は、大蔵大臣に就任以来、鋭意経済活動の円滑な調整に努めて参りました。すなわち、日本銀行公定歩合の再度にわたる引き下げにより、金利水準異常高は是正され、金融正常化方向に進んで参りました。また、財政面におきましても、公共事業を繰り上げ実施して雇用推進に資する等、各般の情勢に応じ、臨機の措置をとって参ったのであります。今後におきましても、中小企業に対する金融措置を拡充し、重要部門資金を確保する等、財政投融資弾力的運用を中心といたしまして、経済調整過程より起る諮問題には慎重に対処して参る考えであります。  他面、世界経済及び貿易の状況は、ただいまのところ、なお停滞を続けておりますものの、アメリカ経済はすでに立ち直りの様相を示し、また各国も、国際通貨基金及び国際復興開発銀行の増資の方向に踏み切るなど、互いに協力して世界貿易拡大をはかろうとする機運にあるのでありまして、わが国経済を取り巻く国際環境にも、ようやく好転のきざしが見えつつあるやに思われます。  私は、このような内外の情勢に際して、いわゆる不況対策等、目先の有効需要動向のみを問題として、一時的に刺激を与えるような対策を講ずることは適当ではないと考えるのであります。今後における財政金融の諸施策は、通貨価値の安定を中核としつつ、長い目で見て経済の健全な成長をはかることにその基本を置くべきであり、今日のわが国経済が、来年度以降にわたって着実に伸び続け、しかもその間に経済の体質をより強いものに仕上げていくことが重要であると考えます。明年度予算編成につきましても、国民各位に公約いたしております中央地方を通ずる減税、国民年金制度の創設、経済基盤強化充実等の諸施策を実行いたすことはもとよりでありますが、その考え方につきましては、以上申し述べましたところを基本といたしたいと存じます。  次に、昭和三十三年度補正予算について御説明いたします。  先般来の台風により各地に災害が発生いたしましたことは、まことに遺憾に存じます。災害を受けられた方々に深く御同情申し上げるとともに、被災者各位復興の御努力に対し、深甚の敬意を表すものであります。政府といたしましては、すでに関係法令及び予備費の範囲内において応急の対策を講じて参ったのでありますが、今回さらに一般会計予算補正して、これが対策に万全を期することといたした次第であります。また、特に被害の激甚な地域につきましては、農地、公立義務教育学校災害復旧のための補助率引き上げ起債ワク拡大その他特段の配意を加えることとし、近く関係法律案を提出して御審議を願うことといたしております。  今回の予算補正による一般会計歳入歳出追加額は九十億九千八百万円でありまして、歳出追加の内訳は、風水害、干害、凍霜害等被害対策費として八十億九千八百万円、災害対策に充てるための予備費として十億円となっております。  以上の歳出追加に必要な財源は、日本銀行納付金増加等、いわゆる税外収入増加によって全額これを支弁することといたしておりまして、そのうち貴金属特別会計からの受け入れの計上に関連して、同会計予算補正を行うことといたしております。また、政府は、かねてより電源開発事業等推進をはかるため、国際復興開発銀行からの借款につき努力を重ねて参りましたが、今般この借款計画とあわせて、産業投資特別会計貸付財源の一部に充てるため、百八億円に相当する外貨債を募集いたしたい考えであります。これがため、別途「産業投資特別会計貸付財源に充てるための外貨債の発行に関する法律案」を提出するとともに、産業投資特別会計及び国債整理基金特別会計予算について、所要の補正を行うことといたしております。  なお、この際、中小企業金融対策について一言申し述べたいと存じます。政府といたしましては、従来とも中小企業対策に意を用いて参ったのでありますが、今回さらに、年末資金及び災害復旧資金需要等を考慮して、百億円の資金を手当することといたしました。すなわち、国民金融公庫中小企業金融公庫及び商工組合中央金庫に対しそれぞれ二十億円、日本不動産銀行に対し十億円、計七十億円の政府資金追加するとともに、必要に応じて三十億円の繰り上げ使用を認めることといたした次第であります。  以上、当面の経済情勢と、これに対処すべき財政金融施策についての考え方を明らかにし、補正予算大要について御説明いたしました。  国民経済の望ましい姿は、その安定的な発展であることは申すまでもありません。国民の創意と工夫とを十分に生かしつつ、国民経済の規模を着実に拡大し、国民生活向上雇用の増大をはかることが私の念願であります。国民各位も、政府の意のあるところを了とせられ、一そうの御協力を賜わるように切望いたす次第であります。
  9. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) ただいまの演説に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。戸叶武君。    〔戸叶武登壇拍手
  10. 戸叶武

    戸叶武君 私は日本社会党を代表して、政府提出昭和三十三年度予算補正案に対しまして質問を行うものであります。  今回の政府案内容は、第一に、災害対策関係歳出追加でありまして、これらの財源は、いわゆる税外収入増加分をもって充てております。第二は、百八億円に相当する外債募集措置であります。政府案内容については、すでに衆議院においてわが党の同僚諸君が鋭く追及したのであります。それによって明らかにされた政府側の見解は、わが国経済情勢は、一部の産業において、過去の投資活動行き過ぎ反動として、なお若干の問題が残っているが、大勢としては、生産面雇用面、さしたる困難もなく推移している。それにわが国経済を取り巻く国際環境にも、ようやく好転のきざしが見えつつあるやに思われる、との楽観的観測であります。政府は、かかる見地から、わが党の主張を無視し、経済不況に対して有効需要を促す財政措置を認めないのであります。災害対策予算もこれで十分であるとの独断的解釈を行い、国民を納得せしむるだけの誠意を示さないのであります。  私の総理大臣並びに大蔵大臣に対する質問の第一点は、今回の補正予算編成に現われた財源難政府一体どう処理する方針なのか、それを承わりたいのであります。  わが党は、本年六月の特別国会において、不況対策補正予算編成するよう提案したのであります。しかるに、政府並びに自民党はこれに応じなかったのであります。その後、六月から今日までの経済の推移を見ると、政府がいかに詭弁を弄しても、不況は依然として継続しているのであります。通産省が先般発表した本年七月から九月に至る産業動向調査によりますと、  一、最終需要は、個人消費を除いて、投資輸出も横ばいに推移し、中間需要停滞し、そこで鉱工業出荷は伸び悩んでいる。  二、鉱工業生産減産体制を続けているので、依然として横ばいしており、在庫調整は一進一退を続けている。  三、操短が長引いたので、企業採算は悪くなる一方で、企業経営のよい悪いの格差が広がってきた。  四、そのため、人員整理など、人件費削減に着手する大企業も現われてきた。  五、今後かりに財政支出輸出季節的増加があったとしても、新しい需要が大幅に喚起されない限り、生産調整は引き続き行われて、企業内容はさらに悪くなるだろう。  右のように通産省当局は予測しておるのであります。  佐藤大蔵大臣楽観的放送とは逆に、一流会社企業採算の悪化は予想外に激しく、繊維中小鉄鋼メーカー化学肥料等、表面の収支と異なり、実態は資本の食いつぶしと、滞貨赤字融資で持ちこたえているのであります。大蔵大臣は、過剰設備過剰在庫の圧迫にあえぐ企業に対して、無理に在庫調整を急がなくとも、米国の景気が上昇すれば、わが国経済好転するから、滞貨金融でつなぐことを期待する、と言っておりますが、果してこの言葉に対して大蔵大臣としての責任が持てるでありましょうか、この点を承わりたい。  不況の風当りは特に繊維にひどく、十月に入ってから十六日までに、負債一千万円以上の倒産総数二十三件、六億八千万円、十一月末から十二月の冬枯れ期には、さらにこれに拍車がかかるでありましょう。このような経済後退停滞影響は、本年度租税収入にも現われております。大蔵省発表の本年八月末の租税印紙収入額調査によれば、法人税収入の伸びは減退しております。このような経済状態が続く限り、本年度の税収に大きな自然増収は期待されないばかりか、明年度も憂うべき状態が想像されるのであります。また、本年度財政投融資計画の運営を見ますると、不況影響がこの面にも明らかに現われております。原資調達の面では、郵便貯金の集まりが昨年度ほど伸びておりません。本年度貯金目標額からすると、この面の原資不足が三百億円見込まれております。また、世界銀行よりの借款が予定通り成立しないため、電源開発道路公団は、資金計画のそごを来たしております。開発銀行は、未曾有の海運不況回収予定金回収が悪いし、国鉄は、貨物輸送減少収入減等、いずれも八方ふさがりであります。これらは、いずれも財政資金による補てんを期待しているのであります。  このように、一般会計予算財政投融資計画財源が極端に窮屈になっているという情勢のもとに、政府は、心ならずも、突発的災害のために、今回の補正予算を提出せざるを得なかったのであります。政府は、かくのごとく財源上の制約を受けて苦悶しながら、なおかつ、不況対策予算の必要なしとして、国民をあくまでもごまかさんとしているかどうか。この点を、私は、総理大臣並びに大蔵大臣から明瞭に聞きたいのであります。  せっかく提出した災害予算についても、公共土木施設農業水産施設関係復旧事業費干害霜雪害関係費が、合計してわずか九十億円ほど計上されているだけであります。大蔵大臣は、一体、本年度災害被害総額をどのくらいに見積っておられるのか。また、建設省、農林省その他の関係各省大臣は、これをいかなる計画で、どれだけの経費で災害復旧ができると考えておられるか、それをも承わりたいのであります。ついで、農林大臣から、施設災害以外の一般的農産物被害に対する対策をも具体的に示していただきたい。また、防疫、災害救助失業対策事業その他の厚生労働関係について、政府はいかなる対策費を計上するつもりか、それをも承わりたい。  今回の第二十二号台風災害で明らかにされた災害救助の欠陥は、気の毒な死亡者負傷者等に対する措置の問題でありまして、この措置費についても新たなる解決の道を示すべきであります。  今回の補正予算案には、若干の国の負担率補助率引き上げ特別措置を行うとのことでありますが、これらの措置は、昭和二十八年度災害当時の特別立法並びに特別行政措置に比べると、少しく後退しているようであります。政府は何ゆえに、厚生労働、文教その他国民生活全般にわたる財政措置についての特別措置を講じないのか、その理由を承わりたい。  また、今回の一般会計予算補正における財源措置として、税外収入のみを充当しておりますが、一体政府は、たな上げ資金二百二十一億三千万円に何ゆえ手をつけないのでありますか。たな上げ資金異常災害復旧使用すると明記してあるではありませんか。  今回の補正予算で、政府は、国民金融公庫中小企業金融公庫商工中金にそれぞれ二十億円、日本不動産銀行に十億円の政府資金追加を行い、必要に応じ三十億円の繰り上げ使用も認めております。しかしながら、中小企業庁で要求しておるのは、昨年度並みの資金供給水準を維持するには、中小企業金融公庫九十億円、国民金融公庫四十億円、商工中金三十億円、合計百六十億円の政府資金追加が必要であると説明しております。わが党は合計二百四十億円を要求しております。今回の措置は、これをはるかに下回っております。果して通産大臣は、大蔵大臣は、これで差しつかえないと思っておられるのでありましょうか。中小企業家が当面必要なのは、低利かつ長期の財政資金であって、これの供給増がなくては、いたずらに負債の重圧に倒産せざるを得ないのであります。民間金融の緩和では、この難問題の解決は不可能であります。  政府はまた、輸出振興を通じて不況打開をやり、内需刺激策をとらないと断言しております。しかるに、年度内輸出総額は二十八億ドル前後で、前年度を下回るものと予想され、上半期外国為替受取額は十七億四百万ドル、総支払額は十四億七千万ドルで、差引二億三千四百万ドルの黒字であります。しかし、これを前年度と比較すると、輸出は一〇%減、輸入は四〇%減で、実際には、国際収支予想を上回る好調の陰に、貿易不振の実体が暴露されておるのであります。(拍手通産大臣に承わりますが、この調子だと、輸出の伸長によって不況を克服するどころか、輸出の不振によって不況はいよいよ深刻化せざるを得ないのではないでしょうか。  三木経済企画庁長官は、先ほど、失業者予想した六十五万に達せず、五十八万にすぎないと言われました。しかし、実体官庁統計では把握が困難であります。英国のエコノミストの記者が、日本失業者並び潜在失業者を合せると一千万人ありと推定しておりますが、ここに日本経済の暗い面が隠されているのではないでしょうか。この際、特に政府に配慮していただきたいのは、明春卒業する学生諸君就職難であります。今日就職期でありまするが、戦後最悪の状態が導かれております。(拍手青少年は絶望的な心境に陥れられておるのであります。青少年を口にする岸総理大臣から、この面から青年に希望を具体的に与えることが必要だと思うのであります。  政府は、国内有効需要の喚起による積極策をとらず、貿易面では中共貿易に背を向けております。これが今日、岸内閣の政治的経済的な立往生の状態をかもし出しているのであります。(拍手)西ドイツ経済復興最高のリーダーである副首相エアハルト氏は、西独が戦後の復興に成功した理由の一つは、国内有効需要育成であった。日本の場合も、もっと賃金引き上げなどによって国内需要振興をはかるべきではなかろうか、と警告しております。エアハルト氏の、日本の低賃金と安売りが貿易の正常なる発展を阻害しているとの警告は、彼の血のにじむような体験に基いての警告であります。しかるに、政府経済閣僚並びに財界人は、この声を率直に聞くだけの謙虚さと見識を持ち合せていないということは、日本の今日にとって何たる不幸なことでありましょうか。  岸総理大臣並びに青木国務大臣は、警職法の改正によって、経済恐慌下反動攻勢として、勤評闘争労働争議に対して、公共安全秩序を害する事態抑制を名とし、警察官の権限を拡大して、弾圧を試みようとしております。岸首相は、社会秩序警察権によって守ることによってのみ、社会のすべての人の基本的人権が尊重されると思い詰めているようであります。これは、上杉慎吉流の全体主義的な、憲法に対する誤解であります。現行憲法は、個々の国民国権力によって侵されないだけの強い基本的権利を持っておるところに特徴があるのであります。岸首相のような基本的人権の軽視は、現行憲法根本精神をじゅうりんするものであります。(拍手)  私は、去る二十八日の朝、エアハルト氏と親しく二時間余り会談する機会を得ましたが、そのとき彼は、「自由には一定の拘束があるが、強制を伴うものであってはならない。強制は混乱を導く。強制でない拘束によって、自由への新秩序は作り上げられる。」と言っております。そして言葉を継いで、「秩序は、次から次に法律を出して作るものではなく、あるときは右に、あるときは左に傾いても、それが自然にもとに戻ってくる。そこに本来の姿としての方向を見出し得る。」すなわち、個人々々が自由になる形でベストを尽し、国家社会に最大の貢献をする、その自覚に基いて自由な社会市場経済が築かれた、と彼は説いているのであります。  私は、一九二九年、思えば昭和四年、あの世界経済恐慌のさなかに、第一次欧洲大戦後十一年目のワイマール時代の絶望に瀕したドイツをこの眼でながめ、一昨年は、第二次世界大戦後十二年目のドイツ復興の姿に接することができたのであります。私は、この二つのドイツをこの眼で見て、感慨無量なものがあったのでありますが、この奇跡について、エアハルト氏と行を共にした国会議員フォーゲル博士は、「私たちのワイマール時代におけるところの失敗というものは、そこにカイザー時代からの旧時代の勢力を色濃く残し、それを取り除くことができなかったのが失敗の原因である。」と言っておるのであります。私はあえて東条内閣に席を列した岸首相に皮肉を言うつもりはないのでありますが、岸首相は、数日前、郷土の生んだ先覚者吉田松陰先生の百年祭に、その霊を弔っております。私は岸首相に対して、この際、安政の大獄を起した井伊大老のごとき冷酷な権力断圧の役割を果さないようにと要望し、戦争への道を開いたワイマール時代政治家の誤まった轍を踏まないことを期待し、これをもって私の質問を終る次第であります。(拍手)    〔国務大臣岸信介登壇拍手
  11. 岸信介

    国務大臣岸信介君) いろいろと御意見を拝聴いたしまして、また、私自身に対するお考えも承わったのでございますが、私に対する御質問の要旨は、政府が何ゆえ不況対策について特別の補正予算を出して対策を講じないか、いわゆる内需刺激するような政策をとらないのか、という点であったと思います。この点に関しましては、すでにしばしば、本会議におきましても、あるいはその他の機会におきましても申し述べておりますが、私どもは、現在の経済の沈滞は、過去におけるところの行き過ぎから来ておるところのものであって、これに対する調整策としては、すでにいろいろな対策を実行しておる。また、あるいは公共事業費の繰り上げであるとか、あるいは輸出振興の問題であるとか、いろいろな点においてわれわれがとっておる対策が、これで十分であって、特に内需刺激するような政策をとることは、この際、将来の日本経済発展の基礎を作り上げる上から言ったら望ましくないという、こういう見解の上に立っておるのであります。今回出しましたところの補正予算が、最近の災害に対する処置に限られておるのも、そういう意味であります。(拍手)    〔国務大臣佐藤榮作登壇拍手
  12. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) お答えをいたします。  ただいま、今日の国内経済情勢に対しての見方についての総理からのお答えがございましたが、私から少し補足してお答えをいたしてみたいと思います。御承知のように今日の経済は、ただいま調整過程に入っているという表現が一番当っていると思いますが、先ほどの補正予算の提案理由でも説明いたしましたように、この調整の段階も、だんだん仕上げの状況に進んできているように思うのであります。その見方は、物価にいたしましても、大体落ちついてきたような気がする。あるいはまた、失業の問題にいたしましても、社会党の諸君は特に大きく取り上げておられますが、三十三年度予算編成の際に、完全失業者六十五万人ベースで予算を組んだのでございます。しかし、最近の月々の完全失業者の状況等を見ますと、これが五十七、八万の数字を示している。かような数字であります。それをもって満足すると申すわけではございません。かような失業者が出ていることは、これは何と申しましても経済不振の結果でございまして、私どもはこういう状況が一日も早く解消することを心から願い、また、そういう方向努力を続けてはおりますが、申し上げたいことは、三十三年度予算編成当時にすでに予見されたような状況であった。その予見された状況よりも、ややその数が下である。この状態は、すでに私どもが考えておる面から申しましても、非常に一部で取り上げられているような深刻さを示しているものではないということでございます。  同時にまた、戸叶君は、いろいろの産業について、調整の必要から困難な状況に当面しているものを、具体的に御説明になりました。私もさような状況のあることをすでに提案理由の中にも指摘いたしておりますように、こういう事柄が起っている。特殊の産業において、失業者が出るとか、あるいは減配であるとか、あるいは事業の縮小をするとか、こういうような事態の起きていることは、まことに遺憾に存じまするが、経済大勢といたしましては、私どもが予想したような大筋で歩んでおる。ここにわが国経済の底力というものが一つあると思いますが、同時に、一部で指摘されるような、非常に悲観すべき状況にあると、こう断じてしまうわけにはいかないと思います。私はしばしば楽観論者だと言われておりますが、別に現状について楽観的な観測をしておるものではございませんが、特にこれを誇大に悲観的な見方をすることには賛成しないのでございます。特に、消費の面につきましては、依然として強いものが感ぜられておる。これは数字の上から見ましてもはっきりいたしておるのであります。同時にまた、今年は何と申しましても豊作でありまするし、農村経済はそれによって非常に力を得ていることも、これももう申し上げるまでもないことであります。この農村が、ただいま申すように恵まれている、わが国経済をささえる力は、やはり農村にあるということを考えて参りますると、社会党の諸君のように、非常にこれを悲観すべき状況ではないと、かように思うのでございます。さらにまた、わが国経済をめぐる国際環境も、先ほど来御説明いたしましたように、順次好転しつつあるということも看取されるのでございます。私どもは、問題は、長い不景気の状況から、今後の施策により、また、国民の御協力によりまして、一日も早く立ち上るようにいたしたいものだと念願いたしておるのであります。その場合に、私どもが特に強く主張して参りますことは、景気が非常に下降し、不景気になるという場合におきましては、もちろん、ささえが必要である。しかし同時に、非常な急激な膨張を来たすようなことがあるならば、これにブレーキをかけて、どこまでも堅実な健全な財政のあり方、しかも、それを非常に短かい期間で見ないで、長期間にわたる経済の見通しを立てて、その健全性というものを確保していきたい、これが私どもの念願でもございます。こういう点から、今日の経済に対する対策等も講じて参っておるのであります。この調整面から起りますそれぞれの摩擦の問題に対しましては、過去におきましても、それぞれ対処して参りました。そういう際におきまして、財政投融資並びに民間資金との一体的運用、弾力的な運用によりまして、経済的な摩擦面には対処して参ったのでございます。設備投資あるいは生産過剰等に対して、ただ滞貨金融だけで、それで事足りるように考えておるのではなかろうかという御指摘であったと思いますが、私どもは、この滞貨金融あるいは金融措置によりまして、一時的に経済が耐え忍ぶというような、こういうようなささえはいたしますが、やはり基本的には、過去においてとって参りましたように、どこまでも輸出振興していく方策をとって参る考え方でございます。  次に、災害につきましてお尋ねがございました。今回の災害につきましては、過去の災害の発生の、すでに私どもが報告を受けましたものは、七百二十二億という数字になっておりますが、まだ全部の調査は終っておるわけではございません。三十三年度予算予備費使用と、また今回提出いたしました補正予算と合せて、今日まで起りました災害なり、あるいは今後発生するであろうと考えられる災害等に対処して参りたいと思います。大蔵当局といたしましては、災害対策費、これはひとり公共事業費だけを申すわけではございませんし、また、風水害などを申すわけでなくて、干害やあるいは凍霜害、その他の発生した災害、並びにまた今後の期間に備えるという意味におきまして、災害対策として使い得る金といたしましては、大体百三十億円を予定いたしておるのであります。この百三十億円の見積りによりまして、私は今日まで起りました災害に対して万全の対策を講じ得る、かように確信をいたしておる次第でございます。  また、この災害対策予算につきまして、その財源に、なぜ、たな上げ資金を使わないのか、たな上げ資金については、すでに法律で、こういうような異常災害に使うように明記してあるではないか、こういう御指摘であったと思います。しかし、過去におきましても、補正予算財源といたしましては、その年度内における税外収入をもって充てる、それも確定的なものを充てるということが先例でもあり、そういうような処置をとって参っておるのであります。今回もそういう意味で、税外収入確実済み、あるいはすでに納入済み、そういうものをこれに充てるということにいたしておるのであります。  中小企業金融に対しまして、特に百億円を今回手当いたしましたが、その金額が少いではないかという御指摘であったと思います。この夏、中元、盆の時分から、中小企業に対する金融措置といたしまして、いろいろ御要望も承わったのでございますが、当時におきましては、三公庫等の資金状況並びに貸し出し状況等から見まして、特に手当をする要はないと考えて参りました。今回、年末金融に特に備える意味におきまして、先ほど来申すような百億円を手当いたしたのであります。中小企業に対しての特別な公庫の財源増加すると同時に、いわゆる重要産業部門である電力、石炭、鉄鋼、製鉄、こういういわゆる重要産業部門に対しましては、特に財政資金並びに民間資金等の弾力的運用によりまして、それぞれ対処して参っており、一体的運用、これを構想の中に置きまして、それぞれ対処して参ったのであります。いわゆる重要産業に対しての資金を確保することが、これにつながる系列産業なり中小企業に対しましても効果のあることを特に考えて、今日まで処置して参っております。これらの面におきましては、ただいまのところ順調に推移しておる、かように考えておる次第でございます。(拍手)    〔国務大臣三浦一雄君登壇拍手
  13. 三浦一雄

    国務大臣(三浦一雄君) 私に対しまするお尋ねは、この災害復旧予算をもって所期の目的を達し得るか、同時にまた、他の農作物等に対する被害等には、いかような措置をとるかということにあると考えます。今回の農業施設の災害復旧費につきましては、農地あるいは林道等につきましては、従来の助成率をもってしては不十分だと考えまして、これを改正し、所要の予算を計上いたしております。同時にまた、農作物の被害に対しましては、共済金の支払い、また、これを裏づけるところの再保険の早期支払い等の措置をとっていきますると同時に、金融等の問題につきましては、天災法の数次の発動をいたしたのでありますが、二十一、二十二号台風につきましても、ただいまこの準備をいたしております。さらに、自作農創設資金、さらに災害復旧等の営農に欠くべからざる資金を供給いたしまして、そうして災害復旧並びに今後の営農の措置に十全の努力をいたしたい、こういう考えでございます。(拍手)    〔国務大臣高碕達之助登壇拍手
  14. 高碕達之助

    国務大臣(高碕達之助君) 戸叶さんの御質問に答えますが、戸叶さんのおっしゃるごとく、今日の経済の不振の原因は、これは設備の拡大の結果、在庫品が増加した、その結果、生産制限をしているのだ、こういうことが不振の原因だと存じますが、在庫の増加をいかにして減ずるかということは、今日緊迫しております重大な問題であります。それがために政府といたしましては、輸出振興をまず第一としてやっているわけなんであります。その輸出振興が、お前らの予定通り伸びぬじゃないか、こういう御意見でございます。これは輸出の目的というものは、在庫の調整ということが一つありますが、同時に、国際収支のバランスをどうするか、つまり外貨を獲得するというのが目的でありますが、幸い外貨の獲得は、戸叶さんのおっしゃるごとく、上半期におきましては予定よりも非常に増加いたしまして、二億五千万ドルの外貨の黒字が出ておる。これで目的を一つ達したのであります。しからば在庫調整はどうなっておるか、こういう問題でありますが、最初政府が予定いたしておりましたことは、本年度三十一億五千万ドル、それが二十八億五千万ドルになったじゃないか、こういう御質問でございますが、これはまことに予定が減ったということは残念でございますが、実際の数量から申しますれば、物価は七%ないし一〇%減っております。その点から申しますというと、大体、数量的に申しますれば、最初の予定の数量は輸出しておるというわけでございます。しかしながら、これをもって政府は決して満足いたしておりません。さらにさらに、今後、下半期におきましてはもっと輸出を増進したいというので、延べ取引、円クレジットと、いろいろな方法を講じまして、逐次輸出振興いたしておりますから、この努力をさらに一そう継続いたしたいと存じております。(拍手)     —————————————
  15. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 三浦義男君。    〔三浦義雄君登壇拍手
  16. 三浦義男

    ○三浦義男君 私は、自由民主党を代表して、ただいま提案されております昭和三十三年度一般会計及び特別会計予算補正について、若干の質問をいたすものであります。  わが国は、戦後十三年間、国民各位わが国再建のために注がれた、たゆまざる努力と、政府の自由諸国との緊密なる連絡のもとにとられた諸施策によりまして、今日の隆盛の状態にまでこぎつけて参りました。ただ、作春以来の世界不況影響を受けて、わが国経済界にも不況の波が立ったのでありましたが、当時とられました緊急対策と、米国を初めとする西欧諸国の景気回復のきざしに歩調を合せまして、一部産業においては若干の問題を残しておりますが、一般的に見て、不況も底をつき、どうやらこの状態を切り抜けることができるのではないかというような段階にまで参ったと思うのであります。しかるに、この重大なる時期に突如として起りましたのが、本年度干害と相次ぐ台風災害であります。わが国台風禍は宿命的とも申すべきものでありますが、今次二十一号、二十二号台風は、局地的とは申しながら、伊豆地区におきましては数百の生命を一瞬にして奪い、全部落あげて罹災者となるような惨状を呈しました。また、公共事業施設の被害額、農林産、水産物の被害額等を合計いたしますというと、七百数十億にも相なる大規模のものとなって参りました。天災とは申せ、まことに、遺憾のきわみでございます。この災害復旧は一日もゆるがせにすることができないことは明らかでございますので、緊急的な処置としては十分とられて参ったのでありますが、政府はさらに補正予算を計上して恒久的の復旧をやろうというのでございますので、まことに、ただいまといたしましては当を得たるものと思うのでございます。  私は、主として災害補正予算について、具体的に質問をいたします。  まず、治山治水、国土保全の根本方策について、関係大臣に伺いたいのであります。政府は、経済基盤強化策として、道路、港湾、鉄鋼、電力、石炭等の基幹産業につき、その整備拡充に努力して参りましたが、ここ数年来、比較的天災が少かったためか、治山治水、国土保全の対策には、十分な配慮が払われなかったのじゃないかと思われる節がございます。すなわち、二十八年の大災害の後、政府は治山治水基本計画を立てて、十カ年間に一兆八千億円の事業費を投入するという計画を立てました。さらに、三十一年から三十五年度に至る五カ年計画といたしまして、この五カ年間に国費で三千三百三十億円を要するというような計画を立てたわけでありますが、三十一年度から三十三年度までの実績は、国費予算額は千百三十六億円を計上いたしたにすぎません。この三カ年間の進捗率は、わずかに三四・四%というきわめて低い率にとどまっておるのであります。また、各年度別の治山治水事業費の予算額を見ますと、三十一年度が三百六十三億円、三十三年度が三百八十七億円と、ほとんど横ばいの状態であります。一般会計予算規模が三〇%近くも膨張しているのに比較いたしまして、こんな消極的予算ではどうであろうかというふうに思われるのであります。これはもちろん、財政の都合によることとは申しながら、国土の保全、治山治水というような基本的な国策が、財政の都合だけでかくのごとく左右されることは、私は、これは政治ではない、こう思うのであります。また、政府みずから決定いたしましたこの長期計画が机上プランで終るというようなことは、政治に対する国民の信頼を失うというような結果にもなりまして、まことに、私は、今までとった策がまずかったと、こう思うのであります。よって政府は、今次の災害に顧みて、在来の観念を捨てて、経済基盤強化の一環として抜本的な総合計画を立てて、これに裏づけする財源措置については特別の工夫考慮を払わなければならないと思います。先般、多目的ダムについては特別会計による借入金の道が開かれましたが、同じような考え方が一般治山治水事業に取り入れられないものだろうか、私は取り入れてしかるべきものと思うのでありますが、関係大臣のお考えはいかがでございますか、承わりたいのであります。  次に、災害の三カ年間復旧の確実な実施について、大蔵大臣に承わりたいのであります。災害復旧は三カ年で実全復旧をするという建前であることは御承知の通りであります。しかるに、現実には、二十八年度災害はまだ復旧が相当残っております。(「利根川が残っている」と呼ぶ者あり)災害額の最も少かった三十一年度災害でさえも、本年度中に完了するということはないという状態であると思います。このたびの災害についても、在来通り、初年度三、次年度五、第三年度二というような比率で予算配賦が考えられておるのでありましょうが、この九十一億円弱という予算ではどうなるかというような気持がするのであります。聞くところによりますと、伊豆地方における災害復旧については、初年度は七、次年度は三の比率で、明年度にはあの地区の災害復旧するということを言われておりますが、さようなことになりますというと、他の地区におきますところの、先ほど申し上げた三・五・二の比率が破れるのではないかというような心配をいたしておる向きがあるのでありますが、これはいかがでございますか、伺いたいのであります。  次に、特別立法につきまして大蔵、農林、建設の諸大臣に伺いたいのであります。今回の災害は総額において二十八年度災害には及ばないのではございますが、局地的に見ますというと、人畜の被害はもちろんのこと、物的被害もきわめて甚大でございます。これら特定の災害地については特別立法を講じ、復旧、救助の万全を期すべきと思いますが、政府はこの問題に対してどう用意されておりますか、承わりたいのであります。  また、小災害復旧の助成につきまして、農林、建設大臣に伺いたいのであります。九月の台風災害は、特徴として、中小河川の部分に、大きな水害も小災害も非常に多かったのであります。ところが、現行制度におきましては、小災害、すなわち公共土木災害では、都道府県分で十五万円未満、市町村分で十万円未満、農地及び農林水産施設では十万円未満の災害復旧費については、国の直接補助はなく、地方交付税の交付団体の行う復旧事業だけに対して、これに要した地方債の元利償還額の一部を普通交付税の算定基準に算入するということになったのでありますが、前に申した通りに、今次の災害は局地的に見て非常に大きなものがございますので、この地域に対しましては、二十八年度災害の例にならって、特別に復旧補助を行うことが望ましいのであります。もし、この特別立法が非常にむずかしいという御事情がございますならば、これにかわる実質的な援助措置を講ずることが必要と思いますが、その御方策を承わりたいのであります。  次に、干拓地の問題につきまして、農林大臣に、一部は御要望を申し上げ、一部は御所見を承わりたいのであります。今次の災害が非常なる長雨と豪雨のために、在来の干拓地は湛水のために農作物の被害が非常に大きかったというのが一つの特質であります。在来の干拓地は、計画の当初におきましてのその点の地勢、あるいは降雨量の算定の過小あるいは近来、施設の荒廃もございましたでありましょうが、そういうことのために、この異常な湛水を来たしたとは存じますが、今次の災害に顧みて、恒久的な策として根本から考え直すべきものが相当あるというふうに私は現地その他において見て参ったのであります。また、応急策としては、ポンプ場を多数に作るとかいうような考えもございましょう。しかも、現在は大規模の干拓地が盛んに工事が行われております。こういうときでございますので、新しきものにつきましては、さらに構想を練って、万全の策を講じていただきたいと思うのでございますが、大臣はこれに対してしてどういうお考えを持っておりますか、伺いたいのであります。  また、この秋の収穫時におきまする長雨が在米の早場米地帯に続きましたので、罹災地の米の乾燥が非常におくれ、従って、供出もおくれて参りました。この供出のおくれましたことにつきまして、いわゆる早場米の奨励金を取ることができません。そういうことからして供出期の延長を希望する声が非常に熾烈なんであります。罹災地農民の救済にも相なることでございますから、この点はぜひ大臣考えていただきたいのでございますが、大臣はどうお考えになっておりますか、伺いたいのであります。  次に、災害地におきます中小企業者及び農漁民等に対する救援の対策として、大蔵大臣、建設大臣農林大臣に承わりたいのでありますが、それは、まず第一は、中小企業に対する問題でございます。昨春来の不況を最も端的に受けましたのは、中小企業者でございます。しかも、罹災地におきます中小企業者は、水害に痛めつけられ、やがては年末を控えている状態でございます。この中小企業者に対する救助の手段は、先ほど来、大臣が申されましたように、金融の道がございましょう。また、税の減免ということもございましょう。こういうことが、先ほど申されました百億の金でもって、在来の中小企業のために出された金融を、この百億でもっておまかないになるということでございます。さらに水害という問題が起って参りましたので、私はこれでは十分ではないのではないかというような考えがいたしますが、この点につきましても御所見を承わりたいのであります。また、これらのものにつきましては、先ほど申し上げましたような金融の道、減免税の道でもって、法の許す限り、財政の許す限り十分な処置をとっていただきたいのであります。  また、罹災地帯の農漁民の中には、極端に申せば、明日の飯米にも困る、現金収入はないというような者が相当あるのであります。その救済の一環として、いわゆる救農土木事業というようなものを起していただいて、急場をしのぐことが私は適切じゃないかと思いますが、今度の補正予算の中には、そういうものがどんな考えでもって、どれだけのものが入っているか、承わりたいのであります。  最後に、特別会計補正予算について大蔵大臣に伺います。産業投資特別会計の歳入として百八億円に相当する外債を計上しているのでありますが、これは金額は少のうございますが、わが国の対外信用の表われとして考えてみた場合に、まことにけっこうなことだと考えます。しかし、これは、かねてわが国が希望しておりました国際復興開発銀行からの借款の外と考えるべきものでありますか、また、その内と考えるべきものでありましょうか。また、この借り入れ状況はどういうことになっているのか、承わりたいのであります。この種の外債は条件がそう悪くなく、かつ、わが国のインフレの要因とならない限度でございますれば、私は基幹産業の強化資金として充てるために重ねて募集することがよろしいのではないかと思いますが、今後このような外債につきまして、大臣は募集されるお考えを持っておりますかどうか、承わりたいのであります。  以上をもって私の質問を終りますが、どうぞ簡明直截な御答弁をお願いして、私は降壇いたします。(拍手)    〔国務大臣佐藤榮作登壇拍手
  17. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) いろいろお尋ねがございましたが、できるだけ詳しく申し上げたいと思います。  最初に、治山治水の根本対策についてお尋ねがあったと思います。今回の災害から見ましても、治山治水の非常に重要であることはよくわかるのであります。過去の予算等がまことに少額だということで、対策が十分でないという御指摘であったと思います。政府におきましては、予算の許す範囲内におきまして、あらゆる方法、たとえば直接の治山治水方法もさることですが、多目的ダムの建設等あらゆる方法を勘案いたしまして、これが対策を講じて参ったのでございます。根本的な問題として、来年度予算編成に際しましては特に意を用いる一つの問題だと、かように考えております。今回の狩野川流域、天城山のあの災害に際しましても、特に緊急砂防、緊急治山、こういう意味で応急緊急対策を講じておることは御承知だろうと思いますが、今回の災害地に対しましては、特に緊急治山費として二億三千万円、緊急砂防費として三億円、計五億三千万円を計上いたした次第でございます。  次に、災害復旧についての三・五・二の三年度計画、これがなかなか思うようにいっておらないのじゃないかという御指摘だったと思います。二十八年度災害につきましては、三十四年度分でこれを完成さしたい、かように考えて、来年度予算編成に当りましては、特に意を用いるつもりであります。三十年度災害以後のものにつきましては、三・五・二の比率によりまして、これが対策を講じていく考えでございます。また、今回の狩野川の復旧につきましては、直轄河川でありますので、普通の例によりますならば、五・五による、二カ年間による復旧ということでございますが、特に緊急を要すると考えますので、初年度七割、次年度三割、七・三の比率によりまして、特に狩野川の復旧に特別な措置を講じた次第であります。  かような措置を講じましたことが、一般の直轄河川に対する予算使用上、他の方の財源を食うということになるのではないかという御心配があったように伺ったのでございますが、今回の狩野川は十数カ所の堤防の決壊等、応急に復旧を要するというように考えますし、一般財源の上積みといたしまして特にこれだけの措置を講じたのでございますので、一般直轄河川の工事費に支障を来たすというか、その方を食うというようなことはございません。御了承いただきたいと思います。  それから特別立法についてのいろいろ詳細なお尋ねがございました。二十八年度災害に対しまして、特に特別立法等を講じた前例もございます。今回の災害が特に激甚でありましただけに、この地方につきましてもいろいろ工夫をいたしておる次第でありまして、御指摘になりました通り、あるいは起債ワク拡大するとか、あるいは罹災農家に対する米の代金を安くするとか、あるいは小災害に対しましても、扱いは起債の扱い方をいたしますが、特に元利償還につきましては、その率を引き上げるとか、その他、公立学校の復旧についても特段の処置をとるとか、それぞれの問題をそれぞれ特別に解決すべく、ただいま手配をいたしておる次第であります。近く特別立法法律案を提出いたしまして、御審議を仰ぐ考えでございます。  中小企業金融に対しましてのお尋ねでございましたが、先ほど御説明申し上げましたのは、一般中小企業に対する一般金融、こういう考え方で百億円を特に手当いたしたのでございます。災害地に対しましての中小企業に対する金融措置といたしましては、金額もさることでございますが、同時に、金利負担が過重にならないようにということで、特に地域を限りまして低利融資をいたす計画を進めておりまして、その面の資金的手当はこれは別でございます。なお、減税その他の措置につきましてのお尋ねもございましたが、これまた、従前の例によりまして、それぞれ処置していくつもりでございます。  最後に、外債発行についてのお尋ねがございました。今日までいわゆる外債発行というものは、ここ三十年来発行いたしたことはございません。世銀の融資その他の形によりまして外貨資金を導入いたしておるのでございますが、その金額もすでに五億七千万ドル、また、権利金等を見ますと六億ドルに近い資金がすでに国内に入っておるのでございます。今回、国際収支も御承知のように黒字に変って参りました。こういう、わが方にとりまして国際収支の好条件のもとにおいて外債を発行し、そうしてわが国の重要産業発展さすための資金の手当の一助にするということを計画いたしたのでございます。幸いにして、ただいま三浦議員からは賛成の意見を述べられたのでございますが、この資金の手当をいたしますに際しましては、お尋ねになりました点が大きなポイントであったのでございます。具体的に申しますならば、世銀からの借款計画、そのうちにこの外債が入る。言いかえますならば、外債を発行した結果、世銀からの借款の金額が減額されるのではないかという点を心配いたしたのでございますが、インドにおきまして、世銀の当局者と話をいたしましたところ、世銀の借款計画は従前同様とする、日本が外債を発行いたした場合でも、世銀自身は、すでに予定しておる計画である一億五千万ドル、来事業年度までの一億五千万ドルは、そのまま世銀としては日本に提供する、こういうはっきりした確約を得ましたので、しからば外債を発行することができるかどうかということで、他のニューヨーク財界の銀行筋の人に当っていろいろ打診してみた次第でございます。御心配になりますような、これを計画することによって世銀借款計画が減額されるということはないということを、この機会に申し上げておく次第でございます。ただ、今回、外債発行をいたすといたしまして、その条件はどうなるかということでございますが、ただいま政府といたしましては、外債発行の権限を持っておりませんので、具体的にこの外債発行の条件等についての話し合いはまだいたしておりません。ただ、私どもが特にこの機会に外債発行の法案を出し、補正予算をも提出いたしまして、御審議を願うことにいたしましたのは、最近の米国の金利は、きわめて最近、二回にわたって公定歩合を引き上げて参りましたし、高金利の方向に向っておるのであります。財務長官その他の方々から米国金融市場の今後の見通し等について伺ってみますと、高金利の傾向は、今後一、二年は続くだろうという見通しを立てておるのであります。さように考えますと、外債発行として、わが方にできるだけ有利な条件にする、そういう条件のもとに外債を発行する、かように考えますと、一部ですでに批評されておりますごとく、外債の時期は失しておるのじゃないかというような御意見もあるのでありますが、ただいまの金利が今後上昇傾向をとっておるということを考えますならば、できるだけ早い時期に外債発行の権能を付与していただいて、その権能を付与していただいたところで具体的な交渉を進めることが、外債発行の上に有利ではないか、かように実は考えておるのであります。世銀の金利等も、今日までは五分七厘五毛というような金利でございますが、今後の推移によりましては、これも上向きをするのではないかと思います。本来、外債を発行いたすといたしましても、世銀の金利、これを非常に上回るような金利では、私ども外債を発行することが非常に不利をわが国にもたらす、かように考えますので、特にこの条件等につきましては、今後の問題ではございますが、わが方に有利な条件で外債を発行するように取り運んで参りたい、かように考えておる次第であります。  わが国経済について、先ほども戸叶議員からお尋ねがございましたが、私どもは、基幹産業に対しましての資金を豊富にいたしまして、これを伸ばすことにより、いわゆる経済基盤の強化をはかるということが私どもに課せられた大きな仕事だと、かように考えておるのであります。この意味におきましては、国内における民間資金をもこれにつぎ込み得るような道を開きますと同時に、国外におきましても外貨資金等の手当をする、そういうことが望ましいのではないかと思うのであります。ことに、国際収支の状況がわが方に有利になっておるこういう機会こそ、わが国といたしましても、外債発行に最もいい時期ではないか、そのことがわが国経済発展に寄与するのではないか、かように考えておる次第でございます。(拍手)    〔国務大臣遠藤三郎君登壇拍手
  18. 遠藤三郎

    国務大臣(遠藤三郎君) ただいま大蔵大臣から詳細な答弁がありましたので、特に補足をする必要もないかと思いますが、三浦さんのお尋ねの一つの問題は、この補正予算災害復旧を十分にやり得る自信があるかどうか、これが一つだと思います。もう一つは、治水事業がさっぱり進まぬではないか、今後どういう考えで進めていく考えであるか、それについての構想を示したらどうか、この二つの点だと思いますので、私の考えを申し上げたいと思います。  第一の、この補正予算で十分に復旧ができるかどうかという点につきましては、公共事業の本年の災害は大体四百七十七億円でございます。その四百七十七億円のうち、国費負担に当る部分がちょうど二百二十八億ばかりになります。これも、御承知のように、災害復旧の国庫負担法の趣旨によりまして、緊急を要するものについては、初年度三〇%、次年度五〇%、第三年度二〇%、こういう比率でやって参りますし、直轄事業については、初年度五〇%、次年度五〇%、つまり二カ年で完成する、こういう建前になっております。そこで、二百二十八億円の国費を要しますが、すでに予備費で支出をしておりますものを合わせ、かつまた、今回の三十七億の補正予算等を合算して参りますと、六十三億の予算が得られることになります。この六十三億の予算で十分災害復旧をなし得ると私は確信を持っておりますことをお答え申し上げておきたいと思います。  なお、直轄事業の狩野川の分について、七割を本年度にやるので、それが他の部分に食い込みやしないかというお尋ねでありましたが、これは、先ほど大蔵大臣から御答弁がありましたように、来年の出水期の前に堤防ができませんと、また大きな災害を来たすおそれがありますから、出水期前に心配のない程度の七割程度をやろう、こういうことで計画したものであり、しかもそれは、三・五・二の比率で割り出した予算のほかに、かさ上げした建前になっておりますから、その御心配はないことをお答え申し上げておきたいと思います。  治水事業推進の問題につきましては、御指摘のように、昭和二十八年に基本対策を立てまして、一兆八千億というような大きな構想で進めておったのであります。五カ年計画を立てて進んで参りましたが、財政事情その他の事情で、なかなか思うように進まなかった、そのことは私は、はっきりこれを認めて参りたいと思います。しかし、治水事業がいかに国の基本国策として大切であるかということについては、もう論を待たないのであります。今回私どもは、この従来の五カ年計画を再検討いたしまして、今年度は特に中小河川に非常に大きな災害をもたらしました。あるいはまた、干魃で、各地に潮どめの工事を必要とするような事態も起きておったのであります。かつまた、河川の汚濁防止の問題も非常に大きな問題になっておりましたので、そういう新しい事態に即応することを同時に考えまして、治水の五カ年計画の再検討をし、しかも、単なる計画で終らないように、でき得れば、治水事業推進法のようなものを作って、そしてはっきりした裏打ちをすることによって、この治水計画を進めて参りたい、計画的に年次別に計画を立てて進めて参りたい。私は、もし出来得れば、通常国会までに、その治水事業促進法の立案をいたしまして、そして通常国会に御審議を願うようにしたい、そういう希望を持って今進めておることを申し上げておきたいと思います(拍手)。    〔国務大臣三浦一雄君登壇拍手
  19. 三浦一雄

    国務大臣(三浦一雄君) 治山施設でございますが、御承知の通り、農林省所管の治山施設の大綱は、荒廃林地を復旧する、林地の保全をはかるというのが主要なものでございます。先年来、やはり五カ年計画をもちまして、関係面績三十二万町歩だと心得ますが、これを施行することになっておりますが、これをさらに急速に進めるということにつきましては、建設大臣と同様に、本計画をさらに検討しまして、そうして促進の措置をとりたいと考えております。今次の災害復旧予算編成につきましては、先ほど大蔵大臣、建設大臣からお話がありました通り、緊急なるものにつきましては、三・五・二の措置によりまして完成するような予算編成をいたしておりまして、これによって所要の目的を達すると思います。立法措置につきましては、生産者に対しまする米価の低減をはかり、廉価販売の道を開く。それから農地と林道につきましては助成率が低いのでございまして、この際これを改定する臨時措置をとりたい考えであります。詳細につきましては、先ほど大蔵大臣からお話がありました通り、その線に沿って進めたいと存じます。  干拓地に対します点でございますが、従来の設計等は、過去における雨量等を測定いたし、それによって定めたものでございますが、今次の災害等は特に異例でございまして、この点は将来の計画等にも十分考えなければならぬと思います。従いまして、大規模のものにつきましては、さらに設計等につきましては、再検討して適切な措置を講ずることにする。それからまた現に被害を受けますものにつきましては、遊水池を設置するとか、あるいは土地改良計画の一環として、その改良の措置をとるということに進めて参りたいと存じます。  最後に、早場米の買い上げにつきましては、第四期の期日を延期するようにという延長の要望であるが、これはどうかということでございます。実は、十月の災害の事情にかんがみまして、十月の第二期の分、それから第三期の分につきましては、特に早場米地帯につきましては五日間、それから第三期につきましては三日間の延長をいたして参ったのであります。幸いにも集荷状況は非常に順調でありまして、これを三十一年度に比較しますると一五八%、昨年の三十二年度に比べますと一〇九%でございまして、すでに集荷量は百六十一万トン、石数にいたしまして千七十三万石を超えておるような現況であります。従いまして一般的に申し上げるならば、第四期の延長をいわば必要としないと言っても過言ではないのであります。しかしながら特定の地帯におきまして、やはり災害のために冠水期が非常に長くかかる。それからまた、その後、降雨等によりまして、相当作業の延びておる地帯がございますので、これらは、天候の状況その他の事情を勘案して、ただいま検討中でございます。さように御了承を願います。
  20. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) これにて質疑の通告者の発言は全部終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。      ——————————
  21. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 日程第二、日本国とラオスとの間の経済及び技術協力協定の締結について承認を求めるの件(衆議院送付)を議題といたします。  まず委員長の報告を求めます。外務委員長青柳秀夫君。     —————————————    〔審査報告書は都合により追録に掲載〕     —————————————    〔青柳秀夫君登壇拍手
  22. 青柳秀夫

    ○青柳秀夫君 ただいま議題となりました、日本国とラオスとの間の経済及び技術協力協定の締結について承認を求めるの件につき、外務委員会における審議の経過並びに結果を御報告いたします。  政府の説明によりますと、ラオス政府は、昨年三月、わが国に対する賠償請求権を放棄する旨を通告するとともに、あわせて同国の経済開発のため、わが国の援助を得たい旨申し越して参りました。わが政府におきましては、このラオス政府の好意ある措置に謝意を表するとともに、援助の要請を検討する旨を約束し、自来両国間に交渉が行われました結果、本年十月十五日に本協定が署名されるに至ったのであります。  この協定に基いて、わが国はラオスに対し、総額十億円の無償の援助を、原則として二年にわたり生産物及び役務の供与の形で与えることになりますが、この援助は主としてラオスの首都ヴィエンチァンの上水道建設に充てられる見込みであるとの説明でありました。  本件の審議におきましては、この協定に基く援助計画の具体的内容、実施の見通し、協定の実施に伴う予算措置、ラオスの政情及びわが国との貿易関係等の諸点につき、熱心な質疑が行われましたが、詳細は会議録をごらん願いたいと存じます。  委員会は十月三十日採決をいたしましたところ、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  右御報告申し上げます。(拍手
  23. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより本件の採決をいたします。  本件を問題に供します。本件を承認することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  24. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって本件は、全会一致をもって承認することに決しました。      ——————————
  25. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 日程第三、臨時生鮮食料品卸売市場対策調査会設置法案内閣提出)を議題といたします。  まず委員長の報告を求めます。農林水産委員長関根久藏君。    〔関根久藏君登壇拍手
  26. 関根久藏

    ○関根久藏君 ただいま議題になりました臨時生鮮食料品卸売市場対策調査会設置法案について、農林水産委員会における審査の経過及び結果を御報告いたします。  この法律案は、生鮮食料品の流通の現況にかんがみ、その卸売市場について検討を行い、これが対策を立案するため、過ぐる第二十八回国会において、中央卸売市場法改正法律案審議に当りまして、両院農林水産委員会の付帯決議の趣旨をも考慮して、農林省において、その付属機関として、臨時生鮮食料品卸売市場対策調査会を設けようとするものでありまして、農林大臣の諮問に応じ、生鮮食料品の卸売市場について、その対策に関する重要な事項を調査審議することとし、三十人以内の委員をもって組織し、必要に応じ専門委員をも置くことができ、これら委員及び専門委員は、学識経験者のうちから農林大臣が任命し、調査審議の結果は、この法律施行の日から一年以内に答申すること等が規定されております。  委員会におきましては、まず、政府当局から提案の理由その他について説明を聞き、質疑に入り、農林当局に対し、最初、本法律案に関連して、第二十八回国会において改正された中央卸売市場法の実施状況、類似市場対策、及び東京都中央卸売市場の経営状況がただされ、特に、東京都中央卸売市場の問題については、参考人の意見が求められ、続いて法律案の審査に当っては、本調査会の調査の対象及び範囲、調査会運営の具体的方法、この種の行政調査会等の処理方針と本調査会設置の理由、調査会の運営の適正と委員の員数、構成及びその人選等の当否、専門委員の人選方法、調査会の予算並びに調査審議の範囲、及び、その内容から見てのこれが当否、生鮮食料品の生産と流通との調整、調査会の存続期間及びその答申の取扱い方等が問題になり、農林当局に対して質疑が行われ、その方針がただされ、善処が求められたのであります。  かくして質疑を終り、討論に入り、青山、清澤、島村及び千田の各委員から、本調査会の運営を適正にし、その効果を十全ならしむるため、諮問の事項、委員会の構成、委員及び専門委員の人選、調査会の運営あるいは答申の取扱い等について、政府の善処を促して賛成の意見が述べられたのであります。これらの詳細は、会議録に譲ることを御了承願います。  続いて、採決の結果、全会一致をもって本法律案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  右、御報告を終ります(拍手)。
  27. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。  本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  28. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって本案は、全会一致をもって可決せられました。      ——————————
  29. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 日程第四、日本放送協会昭和三十一年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書を議題といたします。  まず委員長の報告を求めます。逓信委員長三木與吉郎君。    〔三木興吉郎君登壇拍手
  30. 三木與吉郎

    ○三木與吉郎君 ただいま議題となりました日本放送協会昭和三十一年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書について、逓信委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  本件は、放送法第四十条の規定に基いて、会計検査院の検査を経て、内閣より国会に提出されたものであります。  日本放送協会の昭和三十一年度末の資産総額は八十九億七千八百九十七万円、負債総額は四十八億九百三万円でありまして、昭和三十年度末に比較しますと、資産につきましては七億二千七百五十二万円、すなわち八分八厘の増加となっております。また、負債につきましては五億四千六十七万円、すなわち一割二分七厘の増加となっております。  次に、昭和三十一年度の損益計算は、事業収入総額百十八億二千百四十六万円、事業支出総額百十五億五千二百四十一万円でありまして、ラジオ関係においては、差引剰余五億四千三百七十六万円、テレビジョン関係においては、差引欠損二億七千四百七十一万円となっておりますが、協会の事業収支の全体から見ますと、差引二億六千九唐五万円の剰余となっております。これらについての詳細は、説明書についてごらんを願いたいと存じます。  本件に対する会計検査院の検査の結果報告は、「記述すべき意見はない。」というのであります。  逓信委員会は、本件について郵政当局及び日本放送協会につき詳細にわたって質疑をしまして、慎重審議の結果、全会一致をもって本件については異議がないものと議決いたした次第であります。  右、御報告申し上げます。(拍手
  31. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 別に御発言もなければ、これより本件の採決をいたします。  本件全部を問題に供します。本件は、委員長報告の通り決することに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  32. 松野鶴平

    議長松野鶴平君) 総員起立と認めます。よって本件は、全会一致をもって委員長報告の通り決せられました。  次会の議事日程は、決定次第、公報をもって御通知いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十五分散会      —————————— ○本日の会議に付した案件  一、故議員井村徳二君に対する哀悼の辞  一、故議員井村徳二君に対し弔詞贈呈の件  一、日程第一 国務大臣演説に関する件  一、日程第二 日本国とラオスとの間の経済及び技術協力協定の締結について承認を求めるの件  一、日程第三 臨時生鮮食料品卸売市場対策調査会設置法案  一、日程第四 日本放送協会昭和三十一年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書