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1958-10-30 第30回国会 参議院 地方行政委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十三年十月三十日(木曜日)    午前十時三十四分開会   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     田中 啓一君    理事            大沢 雄一君            小柳 牧衞君            占部 秀男君            鈴木  壽君    委員            伊能繁次郎君            小林 武治君            西郷吉之助君            館  哲二君            成田 一郎君            本多 市郎君            吉江 勝保君            加瀬  完君            松澤 兼人君   政府委員    自治政務次官  黒金 泰美君    自治庁行政局長 藤井 貞夫君   事務局側    常任委員会専門    員       福永與一郎君   説明員    自治庁行政局振    興課長     吉浦 浄真君    自治庁財政局理    財課長     山野 幸吉君    林野庁林政部長 戸嶋 芳雄君    林野庁調査課長 横尾 正之君   ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○新市町村建設促進法の一部を改正す  る法律案内閣提出衆議院送付)   ―――――――――――――
  2. 田中啓一

    委員長田中啓一君) これより委員会を開きます。  前回に引き続き、新市町村建設促進法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。質疑のある方は、順次御発言を願います。  ちょっと速記とめて。
  3. 田中啓一

    委員長田中啓一君) 速記を始めて。
  4. 鈴木壽

    鈴木壽君 せんだっての委員会で、私は、新市町村建設に対する国の補助あるいは直接的な補助金ということのほかに、財政的な問題で、多少意見めいたものも申し上げてお尋ねをしたわけなんですが、いま少しこの問題についてお尋ねしてみたいと思います。  政府も言っておるように、合併計画の進捗ということも、もう大体のめどがついた現段階では、やはりどうしても、重点というものは、新しい町村建設をいかにするか、どのように育成していくかということが最大の問題でなきゃならぬと思うのです。そういうような点からいって、私は、まあ言葉はあるいは少し過ぎるかもしれませんけれども、新町村育成ということは、国の責任においてなすべきことじゃないだろうかと、こういうふうにも考えるわけなんです。合併そのものの経過を見ましても、これは、いわば一つの国の施策としてのそれであったと思うので、もちろん、合併の結果によるいろいろな町村についての今後のよい点、こういうものは頭に描かれてのことなんですけれども、ともかく私は、町村合併というものの当初からのそういういきさつを考えてみると、どうしてもやっぱり私は、新しくできた市町村に対するその建設促進なり、あるいは育成なりというものは、国の責任においてなすべきじゃないだろうか、こういうふうにまあ考えておるわけなんです。従って、国としてのこれに対する態度というものは、私そういう面から言って、どうも本腰を入れていないのじゃないだろうかというふうにも考えられるわけなんです。これは、ただ一つの新市町村建設に対する補助金ですね、それ一つだけについて私言っておるんじゃなくて、もちろん、あれもせんだって申し上げましたように、きわめてわずかな額で、問題になりませんが、それ以外にいろんな面において、どうも国が本腰を入れて、新しい市町村建設のために、その育成のためにやるんだ、こういう大きな決意なり意気込みというものは、私は感じられないというふうにまあ思うわけなんですが、国として、この点についてどういうようにお考えになり、あるいは今後どういうふうにやっていかれるつもりなのか。黒金さんでもけっこうでございますが、一つ……。
  5. 黒金泰美

    政府委員黒金泰美君) この点につきましては、前回も、鈴木さんからのお尋ねに対して、今までなかなか思うように参りませんで、努力の結果がそれほど現実に現われていないという点について、遺憾の意を表した次第でありますが、いずれにいたしましても、これは、今お話のように、国がお勧めをしておる仕事でありますから、合併ができました結果について、りっぱな町作り村作りをするために、国が相当責任を持ってすることは当然だと思います。ただ、一面から申しますれば、その地域々々で自分の町を作る、自分の村を作る問題でありますので、この前にも御説明申し上げました通り、各新市町村において、地につた、しかも相当に夢も持った計画を作っておりますので、これに即応いたしまして、国におきましても、予算の許す限りと申しますと、これははなはだ恐縮でありますが、現実の問題といたしましては、予算の中ででき得る限り統一的に、総合的に、ばらばらにならないように考えながら、農林省なり、あるいは文部省なり、あるいは郵政省なり、いろいろ方面の省とも私ども自治庁世話役中心になりまして、十分に足並みをそろえて、そして統合していく、行政水準がなるべく早く高まり、そして地元町村の方々の御意向が一日も早く達成できるように、今後ともに努力を続けて参る、さような決意でございます。
  6. 鈴木壽

    鈴木壽君 ただいま黒金さんから決意のほどが述べられておりますが、これは今に始まった問題ではないと私思うので、ずっと前からこの委員会等においても、いろいろ論議されている問題なのですが、一つそういう面で、お話のあったような面で、強く一つやっていただきたい、こういうふうに思うわけなのです。で、この促進法の十一条、十二条、十三条には、いろいろ国がしなければならないことについて書かれてあるわけなのですが、このうちの一つ二つをとってみますと、それは、なかなかまあ一生懸命やっているようなところもないわけじゃありませんが、私は、全体に、この十一条、十二条、十三条のこういうものからしますと、どうしても現在の状態ではうまくないと思うわけなのです。何かこう、合併したから、ごほうびを上げるのだという程度考え方で、新しく誕生した新市町村に対する補助金をやる、こういうふうな考え方じゃないだろうかというふうな感じもさせられるわけなのです。今、政務次官からお話がありましたように、あくまでもやはり新しくできた市町村の住民の仕合せのために、これは国が本腰を入れてなすべきであろうと思うのです。そういう面で、たとえば農林省関係のこと、あるいは文部省学校統合あるいはそれに関連する仕事、あるいは通信施設等に関するそういう仕事も、何かこう統一された形において、ほんとうに新市町村建設のために、その育成のために、有機的に、非常に関連のある形において仕事がなされておるかというと、そうではないと思うのです、現実の面では。ここで、あなた方だけを責めるわけにもいかぬと思うのです、各省いろいろな、何と言いますか、まあ言葉の悪い表現でありましょうけれども、セクショナリズムと言いますか、そういうようなものも私はあると思うのです。それから、県の段階において、いろいろまたそこの調整において十分に配慮されておらない、こういうことも私言えると思うのです。これは、自治庁のあなた方だけを私責める意味で申し上げているのではないが、しかし、全体としての感じは、私は、どうしても今言ったようにばらばらだというような感じがするわけなのです。あとで私、農林省関係のことなり、あるいは文部省関係のことについて、あらためてお聞きしたいと思うのですが、そういう面で、自治庁でも、もっと新市町村対象とするこれらの仕事に対して、もっとこう高いところから全体を把握して、連絡を十分にとって、何と言いますか、有機的な建設促進ができるような一つ体制なり、考え方なりというものをはっきりとるべきだと思うのですが、その点どうでしょうか。
  7. 黒金泰美

    政府委員黒金泰美君) 鈴木さんのおっしゃる点は、私どもも、これは役人としてでなしに、地元におりまして、しばしば痛感をしておったことでございます。特に選挙のことなど起ると、一方の無電話部落などの解消にしましても、町の当局の意見と違った所に作りたいというようなことが起りましたり、いろいろしまして、不統一の点も今まであったと存じます。ただ、それがだんだんひどくなってくるかと申しますると、そうではなくて、この前にもある程度説明申し上げたと思いますが、県によりましては、統一的に、県と電気通信部と申しましょうか、そういうところと相談をいたしまして、順序をきめていくというようなふうに、一例として無電話部落の解消問題につきましても、だんだん改善をさせて参ったと思います。従いまして、私どもといたしましては、中央におけるいろいろな機構ももっと改善をしなければなりません。中央においては、われわれが中心になりまして各省とも連絡を十分にとり、また、地方段階におきましては、県庁の中で総合的に解決をする仕組みが漸次できて参っておりますけれども、なお一そう促進をいたしまして、今おっしゃったような欠陥を早く改善して参りたい、このように考えております。
  8. 鈴木壽

    鈴木壽君 今の言葉は果して適当かどうかはわかりませんが、国においてやる、あるいはいろいろな調整を要する、そういうことは県の段階にまかせてあるというような形なんですか。それとも、自治庁の方でそういう問題についていろいろな調整なり、統一のための方策を講じるというようなことをなさっておる段階ですか、どうですか。
  9. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 中央におきましても、そういう努力をやっておるわけでありまして、それらの体制といたしまして一つ申し上げますと、中央に新市町村建設中央審議会というものがございますことは、御承知の通りでありますが、この審議会委員には、各省関係次官委員に任命をいたしております。それと同時に、幹事各省関係局長級を委嘱いたしまして、この幹事会というものを場といたしまして、できるだけ統一のある行政施策が新市町村に対して行われるようにいたしておるのでありまして、われわれといたしましては、この幹事会というものを最高限度に活用いたしまして、所期目的にできるだけ近づくように努力をいたしたいというふうに考えておる次第であります。
  10. 鈴木壽

    鈴木壽君 これは、中央のことについては今お話通りだと思うのです。しかし、それが現在の新市町村建設計画とどのような見合いをした形でとられて、そうしてたとえば、文部省学校統合予算なり、あるいは郵政省関係通信施設、そういうものの整備計画なり、あるいは農林省の新農山漁村建設のための補助金、そういうものをどういうとらえ方をしているのか、私はちょっと疑問だと思うのです。一つの例ですが、農林省の新農山漁村に対する建設補助金というのは、これは、そもそも町村合併とは何らの関係なしに出発をいたしまして、しかも、ねらいは農林行政を推し進めていく一貫として進められていった。むしろ出発においては、これは私変なことを言うようですが、河野さんのいわゆる河野農政として、相当別の意図をもって出発したもののはずなんです。従って、もう本質的に出発点が違っておる。しかし、現段階において、それはそういうものであってはいけないというあなた方の配慮から、いろいろと接近はしてきておるようですけれども、それは十分に、農林省とあなた方との関係の中でも、あるいはまた県の段階に行っても、必ずしもこの点は、新しい新市町村建設計画というものの一つの案なり、図面なり、そういうものの上にうまくかぶさっていくようなものじゃない、私はそう思う、現実の問題として。ですから、単に各省次官や、関係課長人たちが集まって、いろいろ、おれの方からこういうものを出すのだとか、おれの方の予算の方ではこういうものが出るのだとか、あるいは出したいというようなことだけで、それを合せて新市町村建設関係予算だ、こういうことだけでは私足りないと思うのです。私申し上げてまだお聞きしたいことは、もっと突っ込んで、あなた方が中心になって、ほんとうに新市町村建設というもののポイントをあなた方が握って、そうしてそれらについてどのように予算の獲得をし、あるいはどのように配分をし、どのように末端までやっていくかという、そういう一つの見通しを持った、それが私はなければならぬのじゃなかろうか、こういうふうに思うわけですが、そういう点についてどう考えますか。
  11. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 御指摘のような方向で、われわれといたしましても、できる範囲の努力はいたしておるつもりでございまして、たとえば、新市町村建設計画というものが県を通じまして各市町村から出て参りますと、これは、われわれの方から関係各省の方にはその計画自体送付いたしまして、各省施策の上に、あるいは予算要求の上にこれを反映せしめていただくように要請をいたしておるのであります。そういう点で、十分ではございませんが、だんだんと各省施策というものも、新市村の建設ということに重点を置いてもらうような方向には向ってきておるというふうに考えておるのであります。今御指摘のございました新農山漁村建設事業関係にいたしましても、発足の動機その他は別問題といたしまして、当初は、私たち所期いたしておりまする新市町村建設というものと若干かけ離れたような方向が打ち出されておったこともあったのであります。たとえば指定をいたしまする地域選定方法等におきまして、新市町村の区域というものを全然無視した方向地域指定を行うとか、そういうような点が当初は相当ございました。そういうような点につきましては、われわれの方からも、新市町村主体ということに転換をしてもらいたいということを要請いたしまして、農林省といたしましても、いろいろ検討を加えられた結果、その方向をとることがいいのだという結論を出されまして、だんだんそういう方向に向いてきておる。最近におきましては、地域指定等につきまして、そう大した食い違いというものが出ておらないというようなところにも来ておるのでありまして、一例はそういうことでございますが、まだまだもちろん十分であるとは思っておりません。十分であるとは思っておりませんが、あらゆる機会を通じまして、新市町村建設促進ということに各省施策が総合的に、有機的に効果がある働きをいたしまするように、今後ともさらに一段の努力を続けたいというふうに考えております。
  12. 鈴木壽

    鈴木壽君 今お答えになったようなことで、こういう形にしたらいいのだ、あるいはこういう形にしたい、抽象的なことでなしに、何か腹案等がございませんか。というのは、私、中央のあなた方の各省間の連絡等については、十分、話以上にはわかりませんから、これ以上申し上げませんが、地方に行って、たとえば、新農山漁村に対する建設補助金、それから、新市町村建設補助金配分等を見ますと、お前のところには新農山漁村の方の金が行くから、まあいいじゃないか、お前の方には新市町村建設の方の金を回すのだ、極端に言えば、こういうような配分の仕方をしたのじゃないかと思われるのがあるのです、現に。新市町村建設計画に沿う、いわゆるそれのための育成なり助成なりというような見地に立つならば、場合によっては、私は、二つのものがだぶってあっても差しつかえないと思うし、またそういうことがより以上に効果を上げるということが幾多あると思うのです。何か小さな予算ですから、どの市町村にもある程度の満足を与えなければいけないという、そういう気持なり配慮なりというものはわかりますけれども、何かばらばらにお前の方はこれでがまんせい、こっちの方には農林省関係の金をやるのだ、こういうような形でやっている。従って、建設計画そのものの推進というものは、一向本質的な軌道に乗っていかない、こういうことを私、地方における現実状況としては、はっきり言えると思うのです。そういうことから、やはり地方に、府県段階に現在では大体まかせられている格好だと思います。中央審議会というものがあったりしても、大体県の地方課あたり仕事にまかせられているような点がありますから、そういうことからもう一歩先に進んで、もっと中央段階においての基本的なものの考え方なり、いろいろな方針についてのはっきりした態度というものを十分各省間においてやれるような、何と申しますか、そういう組織と申しますか、そういう一つ役割を持つ、私は新しい部局を作れというような意味じゃございませんけれども、何かそういうはっきり総合したものがやっていけるところがないと、現状の改善というものはなかなか容易じゃないのじゃなかろうかというふうに考えるわけですが、こういうふうにしたらどうか、あるいはこういうふうにしたいというような腹案でもありましたら、この際お聞かせ願いたいと思います。
  13. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 先般も御説明を申し上げましたように、新市町村建設計画につきましては、現在調整の措置を講じていただくように指導いたしておるのでありまして、その調整に当りましては、いろいろの段階を経まして、方針指示をいたしております。その方針にのっとって、建設計画というものが作られました暁におきましては、われわれといたしましては、この建設計画というものをできるだけ十全にこれを完遂できますように努力をいたしますことが、われわれの果すべき役割ではないかというふうに考えておるのであります。建設計画自体というものは、もちろん自治庁だけでもってこれを十分に果すということはできがたい問題をたくさん含んでおり、各省関係にまたがる問題が非常にたくさんあるわけであります。従いまして、これらの建設計画というものを十分に遂行をいたして参りまするためには、るる御指摘のございましたように、各省間の連絡調整をはかって参るということが最も根幹でなければならぬというふうに考えるのであります。県の指導体制というものも必要でございますけれども、またその根幹になりまする各省間の連絡調整ということが特に必要であろうというふうに考えるのであります。そのために、現在の組織なり機構なりというものが十分であるかということになりますると、その点、申し分のない働きをしておるとはわれわれも思っておりません。しかしながら、現在のわれわれが世話役になりましての各省間の連絡調整、特に新市町村建設審議会会議上における連絡調整、ないしは、実質的には審議会幹事会において各担当課長なりその他の係官とひんぱんに会合を行なっておりますが、これらの会合というものあるいはその会合の機能というものももっと十分に発揮するという方向考え方一つとっていってはどうか、これを強化することによって、だんだんと所期方向に向っていけるのじゃないか、かように考えておる次第でございます。
  14. 田中啓一

    委員長田中啓一君) ちょっと関連をして申したいと思うのですが、新市町村建設計画というものを立てろということで立てて、いろいろ合併なり何なりのことを進めるというような段取りであったと思うのですが、この建設計画内容というものは、建設計画に基く事業実施状況調というものが三十一年まで出ておりますね、先般いただいた資料に。大体こういう内容計画を立てろという指示になっておるわけですか。
  15. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) こういう内容ということで、こちらは具体的に指示をいたしておるのではございません。全体的に、やはり当該市町村についてどれが重点であり、どういう施策を推し進めることが一番いいかということは、それぞれ異なりますので、各市町村においてそれぞれの事情に応じて計画を立てておるわけであります。ここに並べておりますのは、それらの予算を一応集計をいたしまする際に、便宜上予算項目科目等に従ってこれを分類をいたしたのでございまして、こういうことであらゆる新市町村に通じてすべてのことが行われておるというわけではございません。これは、便宜上予算項目に従って一応分類をいたしてみただけのことでございます。
  16. 田中啓一

    委員長田中啓一君) さらに御質問申し上げますが、この市町村が自発的に立てました計画を、それが適当であるとか適当でないとかというようなことに対してもっぱら指導をしておるものは府県であり、従って中央の方で、自治庁で一々各村々の建設計画を見ておられるわけではないのですか。その辺をもう一つ……。
  17. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 今お話がございましたように、第一次的には、これは、新市町村の直接指導の任に当っておりますものは県でございます。従いまして、自治庁自体といたしまして、直接県を抜いて市町村対象として指導をするということは、現在やっておりません。ただ、いろいろの関係から相談を持ちかけられることがございます。個々の市町村がこちらへ参りまして、いろいろ、意見を言ってくれ、どうしたらいいかという相談を持ちかけられることはございます。そういう場合には、こちらとしては、それぞれの立場から意見は申し述べる、そういうことを通じて指導いたしておるところもございます。
  18. 田中啓一

    委員長田中啓一君) その村々の計画書というものは、自治庁までは上ってこないわけですね。
  19. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) できましたものは、県を通じて全部私の方へ参ります。参りましたものについて、これを関係各省にも送付をいたしております。
  20. 田中啓一

    委員長田中啓一君) そこで、実際的の問題になるのですが、一々相当の人が目を通しておられますか。私は、実は今まであまりこちらのことはよく知らなかったのですが、農林省のいわゆる農山漁村建設計画ですね、これを農林省まで上げてくるには上げてくるのだけれども振興課でしたか、そこらに積んであるだけのことで、どうもほんとうに一々はよくは見ておらぬのじゃないかというふうに実は思われるのですよ。もっとも予算を配付のときには、そういうものに基いて一々やっておるようでありますけれども、それだけでもうおしまいになってしまう、あとは積んである、こういうことのように、またしかもずいぶん膨大なものなんですね。実にまあ、私に言わすと、わかりきったようなことまで調書的にたくさん書かせてあるわけですよ。こちらの方はどの程度のものなんですか。あわせて一つお伺いしたいのですが。
  21. 吉浦浄真

    説明員吉浦浄真君) ただいまお尋ねの件につきましては、私が自身で担当をしておりますので、私からお答え申し上げますが、新市町村建設計画を改定する作業は、なかなか困難な作業でございまして、先ほども若干御説明がありましたように、基礎調査から始まりまして、基本計画、それから実施計画書という三段階作業を経て行われるわけであります。通常半年ないし一年、市町村でかかっております。その間府県各部各課指導を受けましてやっておるわけでございますが、だんだんといいものができて参りまして、当該市町村にとりましても、今までいろいろな調査がありましたが、それがそれぞれの目的から調査されておりまして、やはり総合的な調査ではなかったという点から、非常に数字のあいまいなものが多かった。なお、戦争中の統計資料等をそのまま使っておりまして、いろいろ不工合な点もございましたのを、今回全面的に直させておるわけであります。そういう結果から積み上げて参りました基本計画なり実施計画なりというものを作りまして、初めて自分の町の実態がわかったということを述懐しておるのであります。いろいろ困難な作業を経ました上で策定いたします。策定したものは、当該市町村の議会にかけまして、可決するような運びになっております。できましたものは、大ていの場合は、市町村長がこれを府県が付き添いとなりまして届けて参ります。私が部屋におります限りは、それらに面会しております。一応建設計画内容につきまして、市町村長からるる具体的な説明を承わっております。そういたしまして、われわれの方といたしましては受け取っておるのでありますが、今御指摘になりましたように、なかなかこれを全部記憶することも困難であります。何とか事業種別に、重点的に、ほんとう市町村が望むところの計画遂行上の問題を把握したいというふうに考えておりまして、問題別にこれを集計いたしまして、事業別に集計する段取りを今講じておるわけであります。だんだんとそういうふうな具体的な内容につきましての重点的な方向が打ち出されまして、各市町村が望んでいる一つの類型ができて参ります。各省との交渉の過程におきましても、今後どういうふうな点に重点を置いて予算を要求してもらうべきであるかというような方向も出て参るわけであります。そういった点に努力をいたしておるわけであります。
  22. 田中啓一

    委員長田中啓一君) なお、もう少しお伺いしますが、だいぶ調査の正確なことを期しておられるようでありますが、たとえば、田畑の面積というようなものは、これはたとえ話ですが、やかましかった供出時代などのあれは、反別の基礎にしても差しつかえないほどの正確なものでありますか、どんなものですか。
  23. 吉浦浄真

    説明員吉浦浄真君) 今お尋ねの件、特に、先ほど申し上げました戦争中の資料に若干誤りがあるというのは、その点でございます。いろいろな配給制度がございまして、統制時代にあったわけでありますが、なかなかほんとうのことを申告しておらない。今回は、むしろそういった田畑等の改良事業というものに重点を指向しておりますので、過小に報告があったような場合には、これは非常に困るわけであります。実際面も調査するようにということで進めておりまして、場合によりましては、度量調査であるとか、いろいろな科学的な調査もいたしております。だんだんと全体が把握して参ったわけであります。ただ、遺憾に思いますのは、やはり県全体、あるいは国全体の総合的な建設計画といいますか、総合開発計画というものが、すべての地域にわたってできておらないのでありまして、たとえば、道路をどのような方向に通すべきかという場合に、当該市町村では、まず環状線から考えられる、同時に、各部落を連絡する道路も考えられます。また、他の市町村との連絡道路も考えられるわけでありますが、そうなって参りますと、同じ道路を作るにいたしましても、末端に参りますと、他の市町村との道路の連絡ということが必要になってくるわけであります。従って、それぞれの市町村であまり自分だけの立場で作られてしまいますと、市町村市町村とを結ぶ道路に事欠くというふうなことにもなって参りますので、そういう場合には、やはり県全体の道路計画というものがございまして、それに即応するようなやはり市町村の道路計画というものがなければならないわけであります。われわれといたしましては、そういった県全体の計画というものを頭に入れながら作ってもらうようにということで進んでおりまして、いろいろな御指摘のような不工合な点もありますけれども、今回の計画改定に当っての考え方は、そういった総合的な立場から、他の計画との問題をもにらみ合わせて改定するようにというふうな指示をいたしまして、十分に指導いたしましたために、結局は、県全体をまとめてみましても、それぞれの新市町村建設計画が有機的にからまり合うように考えていくということにいたしておるわけであります。いろいろ統計をとってみますというと、戦争中の統計がいかに統制本位にできておるかということがよくわかるということを聞いております。
  24. 田中啓一

    委員長田中啓一君) もう一つお伺いしたいんですが、そこで、農山漁村計画の方は、あれをこれで始めましてから三年ばかりになるわけでありますが、ほとんどこれと同じような大体あれじゃないかと思うんですね。これはいささか古いんじゃないかと思いますが、そこで、向うの方も何ですね、町村ごとにあれをやって、しかも、先ほど鈴木さんからお話が出ておりました適地適産ということでやりまして、今や往生しておるのは、とうてい一市町村ごとに立てたところで、全体合したらどうなるんだというめどがつかなければ、野菜がはんらんするとか、くだものがはんらんするとか、無計画と同じになってしまう。こういうことで、これはどうしても県段階、あるいは国民経済全体の計画というものを、それがちゃんと、農村の方もそれに照応して立つような程度に、相当具体的な指導的な計画を立ててもらわなければ意味をなさない、こういう声が非常に高いのですね。それで、まあおそらくそういう段階にも入っていかなければならぬのだろうと私ども思っておるのでありまするが、そこで、まああの方は、ちょうど市町村から言いますと、産業経済というところに当る計画になるだろうと思うのですね。そこで、まあ新市町村計画の方は、この通り村民の生活全般にわたるといいますか、あるいは行政全般にわたる計画になりますし、向うは、そのうちでも特に農林水産というもので詳しく行くと、こういうことだろうと思うのですね。しかも、まあそれが住民の生業でありますから、それが発展成長しなければ、ほかの計画をやれば、結局分不相応なもの、飾りだけつけるような、中身はなくて着物だけ着ているような格好になるものだろうと思うのですね。そういった関連でございますと私は思いますが、自治庁としましては、これとの関連をどう考えられるか、農山漁村計画との関連をどう考えられるか。それからまた、こちらの方にも、ただ批評をしているのではなくて、やはり県計画なり全国計画というようなものが、この町村の方と照応してよりどころになるようなものが必要だと考えておられますか。ことに私は、合併はできないが、あまりにも区域が広いから、この上の合併はとても不便になってしまってやれないが、しかし、市の人口なり、あるいは経済力なり、租税負担力なりというものは、ほんとう合併をしなければいかぬ、いわば後進地のようなのが大体山の中あるいは海岸に相当残って、それがまあ合併計画も従って立てられなかったし、今後も合併のしようもないと、しかし、後進地だから、大いに育成はしなければならないというようなところもございまして、それらとあわせて私は今のような計画が必要であり、そしてまた、これまで合併をしたところは、鈴木君の言葉によれば、何とか当座のごほうびというようなこともあったのですが、ほんとうは大いに援助、育成してもらいたいところがありますので、それらとあわせて一つお考えを伺いたい。
  25. 吉浦浄真

    説明員吉浦浄真君) 三番目の不可能町村育成の問題につきましては、これは方針の問題でありますから、あとで局長からお答えいただくとしまして、第一の新農山漁村の振興計画と新市町村建設計画との関連の問題でございますが、地域指定につきまして、農林省との話し合いがつきまして、新市町村の区域を単位とするような地域指定をやっていただくような運びに至っておりますことは、ただいま局長からも答弁があった通りであります。問題は内容でございます。新市町村建設計画の樹立の方針に当りましても、やはり住民の福祉の増進ということをしばしば言うわけでありますが、これは抽象的な言葉でございまして、申すまでもなく、内容的に言いますと、やはり住民の所得水準の向上、それから生活水準の向上と、文化水準の向上の大体三つの水準を上げることが住民福祉の向上というふうに言えるのではないか。そのうちの住民所得の水準をどのように引き上げていくかという問題と、この産業振興策との関連性が出てくるわけであります。たとえて申しますと、一戸平均三十万円の所得水準を持っております農家等がありました場合に、これを十年間で四十万円まで持っていくということになって参りますと、やはりそれだけのいろいろな産業振興面についての増産政策というものをとってこなければならないわけであります。このことは、新市町村建設計画におきましても、新農山漁村建設計画におきましても、そういった一定の目標を立ててやっていくということについては同じことになるわけです。われわれの方の新市町村建設計画では、従来は、主として当局、つまり役場が担当いたしまする予算面に現われて参ります各種の施策のみを考えておったのでありますが、それだけでは足りないということから、農山漁村の振興計画その他いわゆる各種団体等が行います計画をも含めて、新市町村建設計画として策定するような考え方を出しまして、現在そういった体制指導いたしておるのであります。御承知の通り、新農山漁村の政策は、主として土地改良費でありまするとか、あるいは農業協同組合、漁業協同組合等の団体が行います事業をいっておるわけであります。ところが、団体の行います事業は、これは新市町村予算を通らないのが通例でありまして、そういうことになると、やはり勢いばらばらに離れて参りますので、区域内の各種の団体というものを統括的に見ることができるのは、これは市町村長でございます。市町村長のところで、そういった全体の産業振興計画、しかも、地域内の各種の団体がそれぞれ希望するような事業をばらばらにやってもらったんでは、区域全体の産業振興の達成は期せられないということになって参ります。もっとも実態は、たとえば有線放送をやりたい農協もございましょうし、あるいは土地改良をやりたいところもございます。また、集乳所とか酪農関係をやりたいようなところもあるわけでございまして、その施策についての選択は、主として地元にまかされておるわけでありますけれども、そういった全体の産業振興がうまく組み合されまして向上していくというためには、やはり地域全体の統括者である市町村長あるいはその部局が担当しなければならない問題でございます。その辺の関連性をいかに持たせるかということが非常にむずかしい問題になって参ります。新市町村建設計画では、産業振興面に新農山漁村計画の全般的推進の方策を取り入れまして、ただ、担当する団体は、これは違うわけであります。法律上違ってくるわけでありますが、その目的はやはり同じところに落ちつかせなければならないという見地から指導をいたしておるわけであります。  第二番目の問題でございます、新市町村計画というものが、やはり国なり県なりの一応全体計画というものがなければ、これはなかなか達成できないし、また、その点から言いまして、国なり県なりの中で、新市町村のみがまた他の市町村からあまりかけ離れてりっぱになっていくということにつきましても、これは考えなければならない問題でございます。  そこで、三番目の不可能町村の、いまだ手をつけられてない、建設について残されておりますものを、今後どう取り扱っていくかという問題になってくるわけでございます。われわれといたしましては、国の計画なり県の全体計画なりが策定されております場合は、その線に即応してできるだけ進んでおるわけであります。特に特定地域の総合開発計画というものが全国各地に実施されておりますので、それと新市町村建設計画とが十分に適応して行われるような配慮を現在しておるわけであります。
  26. 加瀬完

    ○加瀬完君 今御説明がありましたね。新農山漁村振興計画や、その他の団体のいわゆる町村合併に伴う振興計画に含まれるようなものも一つにして、うまく組み合せて進めるという、こういう自治庁の基本態度だと言われますが、現実にはさっぱり組み合されておらない。基本的にも、新農山漁村振興計画一つとってみても、これは、新市町村振興計画と結びついた意思の連絡の上で、それぞれの分担をになっていくという形がとれておらないということが問題だと思うのです。経過から言っても、新農山漁村振興計画と、新市町村の振興計画というものは全然別なものです。新市町村の振興計画というものを立てたときに、農山漁村につきましては、農山漁村の方の振興計画を、農林省に一翼をになわせるという形で、このワクでこの計画を進めよう、こういう計画で進めておるわけでないことは、もう御存じの通りです。特に住民所得の引き上げなどということを問題にしたって、住民所得の引き上げということを中心に、新しく作られた市町村の住民所得を引き上げるということを目的に、新農山漁村の振興計画というものが立てられておるわけではない。実際は、たとえばですね、産業投資といったものに中心を置いて立てておるわけではなくて、これが一体新農山漁村の産業振興計画かと思われるようなものにも使われているような実態です。組み合せるといったところで、たとえば、産業計画だけから見れば、各都道府県のうちで、再建団体などのところは、今まで行わっておったところの県の単独事業の土地改良などというものも全然行われず、行おうたって行い得ないわけですね。そういう実態でそのままにしておいて、町村の方がまとまりがいいからと言ったって、県の負担ですらもなかなか町村ではやり切れなかったものが、県が負担をしないという単独事業を、土地改良など、どうして市町村でやれますか。あるいは、さっき問題になった道路計画にしたところで、県道を舗装するについても、二分の一も地元に負担をかけている。これが実態ですよ。その中で、県そのものが負担をしないところの町村道なんかをどうして――県道の負担にさえもあえいでいる新市町村が、どうして独自に道路計画を立てられますか。一つも規模において有機的な総合性というものがないと思う。こういう市町村の振興計画というものをやっておっては、このいただきました、前の方から御指摘があったかと思いますが、新市町村建設計画に基く事業の実施状況調を見ても、一番必要な産業経済的な投資とか、保健衛生などの費用というものは、ほとんどパーセントが低い。これは当然、保健衛生なり産業経済なりには、新市町村建設というものを進めるならば、相当政府補助金というものがあってしかるべきなのに、それだけ流れてこないし、あるいは県も裏打ちをしておらない。それが計画そのものをこういうふうに進捗率を悪くしているもとだと思う。雑なといいますか、無計画な新市町村計画というものを、ここらできちんと自治庁が整理をいたしませんと、私は、結局新市町村建設計画の当時に言われたような、もっともあなたの今の御説明の住民所得の引き上げとか、産業構造の改革なんということは、とても今のままではできないと思う。こういう点どうです。
  27. 吉浦浄真

    説明員吉浦浄真君) 今私が御説明申し上げましたのは、従来持っておりました新市町村建設計画が、今御指摘通り、きわめて雑駁なと言えば語弊があるかもしれませんが、要するに、従来町村合併に際して、各市町村の希望条件を取りまとめてできたものともいえる計画でございまして、そういった産業振興との関連性の問題でございますとか、国の総合開発計画との関連性の問題、あるいは県が現在遂行しております各種計画との関連性が考えられてないという点から、いろいろな不工合な点が生じておりますことは事実でございます。また、その関連性を持たせるためには、今私がるる御説明いたしましたように、きわめて簡単な現状ではございません。関連性を持たせること自体が、すべて各団体あるいは国の財政力等の関係がございまして、きわめて困難な問題ではありまするけれども、そこにやはり有機的なつながりを持って、そうして一応観念的にもそういった考え方を立てて出発しないことにはいけないということでございまして、現在二千四百の新市町村のうち半分程度の新市町村におきまして、その建設計画の改定を進めておるわけでございます。その改定を進めております場合の基本的な考え方について御説明申し上げたわけでございまして、現実の新市町村建設計画がまことに不工合であって、御指摘通りの状態になっておりますために、いろいろな面でその欠点が露呈されておることは、私も決して否定するものではございません。決してそのままでいいわけではございませんので、何とかして全体としてりっぱな計画にしたいということで進めておるわけでございます。その考え方を申し上げたわけでございます。
  28. 加瀬完

    ○加瀬完君 関係市町村で新建設計画といいますか、今までの建設計画に対する改定といいますか、そういう作業が進んでいる、これは当然だと思う。しかし、その関係市町村における新建設計画というものも、もっと基本的に――一体初め町村合併促進法ができたときのような内容で、自治庁なら自治庁が主体になって、政府責任として新市町村建設計画の基本線というものを立てて、その中の、たとえば、今までお話にありました、農山漁村の産業計画の振興についてはどうするかと、それについては、こういうワクで農林省に分担させると、あるいは保健衛生の問題では、厚生省なら厚生省に、こういうワクの中で分担させると、そういう政府の基本的態度というものが、有機的な統合した基本的態度というものが出されないで、いろいろ要求した予算というのがそれほど取れなくなってくると、逃げ口上に、それは農村の産業改造なんかについては、新農山漁村の振興計画農林省が出している。それも新市町村建設計画予算のワクの中です。それから、ここにも説明がありますけれども、たとえば、中学校の統合なんかあると、中学校の統合ということは、これは、新市町村建設が進んできたからやりよくなったとは言われるけれども、それとは別個な問題なんです、基本的に。それを新市町村建設計画政府補助の新しい予算のワクですと、こういうように各省でいろいろ各省自身の基本的な問題として進めている計画を、関係のあるものはみんなここへ持ってきて、これだけ予算を出していると、こういうことではなかったはずです、初めの町村合併促進法を作ったときは。政府の基本的な振興計画というものに全然有機性がないと思う。これは、今度愛知さんが担当の大臣になられたそうですから、愛知さんに来ていただいて、みずから望んで大臣になられたわけでしょうから、この新市町村建設計画にどういう基本的態度をお持ちになっておられるか、これは聞いてみなければわからないと思うのですが、そういう点、自治庁は御不満を感じませんか、農林省なら農林省文部省なら文部省、それがいろいろやったって、それは、農林省考え方があり、文部省考え方でやることであって、こういうことで関係づければ関係はつけられますけれども、どうも初めから考えておるところの、自治庁自体政府責任として考えた新市町村建設計画というものと、そのものぴたりというわけにはいかないんじゃないですか。その点どうですか。
  29. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) われわれも、当初新市町村建設促進法というものが想定しておりました新市町村建設関係の各種の事情なり、その裏打ちをなす予算の姿なりと、ぴたりと合っている理想的な姿だというようなことよりはほど遠いということは、これはみずから認めております。ただ、農山漁村建設の問題にいたしましても、あるいは学校統合の問題にいたしましても、これまた、新市町村建設ともとよりこれは無縁ではないわけでありまして、動機のいかんは別問題といたしまして、これがやはりひとしく新市町村対象にして、新市町村の区域において行われて参る施策でございます。また、それらの計画自体が新市町村建設計画の中に織り込まれて、一体として運営をされていくということになっておりますことも事実であるわけであります。問題は、今お話のございましたように、初めから、大体国自体といたしまして、新市町村をかくかくの姿に持っていくということを描きまして、その方向に国自体も一つの具体的な計画を持ち、県自体もこれに照応する地域計画を持ち、またさらに、新市町村自体も、それを前提といたしました計画を打ち立てていくということになるのが最も望ましい姿であろうと思うのであります。しかし、この点は、現実問題といたしまして、ここ数年、あるいは十年というような姿の長期計画自体はある程度想定はされますけれども、ただいまそれの具体的裏づけをなすような確定的な予算措置その他は、これははっきりときまるわけのものではございません。そういうような点と、新市町村建設関係との有機的関連ということについては、どうもちぐはぐな点も出て参っておることは、これはお話になった通りであると思うのでありますが、しかし、まあ想定し得る可能性の範囲内におきまして、できるだけ当初所期されたような新市町建設目的に向って一歩でもまあ近づけていくという努力をわれわれとしてはいたしたい。少くとも、自治庁といたしましては、その線に沿って各省間との連絡調整をできるだけ一つ有効に進めるという努力をいたしたいと、かように考えておる次第であります。
  30. 鈴木壽

    鈴木壽君 先ほど来私も、またほかの方々からも、いろいろこう、ばらばら建設計画の推進のそれについてお話があったのですが、これはまあ一つには、私、あなた方もまた御答弁なさっておるように、現在のいわゆる新市町村建設計画そのものがまあいわば疎漏であり、ずざんなものだと、こういうところにも大きな原因があるのじゃないだろうかと思うのです。まあ今後計画調整を強く推進なさろうとしておるものですから、あるいは問題はこれからだというふうにも言われるかもしれませんが、いずれにしても、現在はそういう市町村の側の建設計画そのものの欠陥もあると、こういうふうなことは争われない事実だろうと思うのです。たとえば、開拓等の問題を、今できておる新市町村計画の中にどのようにそれを取り上げておるかというようなこと、それから、最近問題となっております酪農の地区の指定の問題ですね。こういう問題、特に酪農の問題について言えば、今までの新市町村計画の中には何ら入っておらない所に、酪農地域指定があるのだ、助成もできるのだというので、わっと飛びついてくるところから、私、全部が入っておらないという意味じゃありませんが、今度は、それができたら、おれの方にぜひ一つそれをやらしてくれと、一体それが現在の建設計画の中にどう消化されるような形ができているかというと、全然そういうことができておらないと、しかも、それが一市町村だけにとどまらず、他の町村にもまたがってある所に指定された場合に、一体これをどういう形に今後やっていくのかということが、現在まだ何ら用意されておらぬ、問題はこれからでしょうが。そういうところにもいろいろ補助金なり、あるいは国の助成措置というものが、必ずしも新市町村計画とはマッチしないという、そういういわば受け入れ態勢の上での問題も実は私あると思う。そこで、まあこれからの問題で、いわゆる計画調整という段階に入っておるわけなんですが、市町村建設のその審議会と、それから県の段階建設促進審議会、それから、国のいわゆる中央審議会と、この三つの関係というものは、非常に大きなものになると思う。まあ先ほど来中央でも、きちっとしたように統制のとれた、有機的に統一的にやれるような方途をこれから講じていく――まあ現在でも講じておるし、今後も努力を続けていくというようなお話でありますが、私は、中央各省関係のいろいろな予算の獲得なり、あるいはそういう一つ配分なりにおいてはできると思うのだが、実際計画としては、県段階までしかできないのじゃないか。あなた方が中央におって、振興課でどんなにがんばったって、全国のこまいところまで一々やっておられるわけじゃないと思いますから、そういうわけで、私は、市町村建設審議会と県の段階におけるところの建設審議会のこの関係ですね、これをもっと、あなた方のもちろん指導のもとに十分やれるような体制を作らないと、結局、今後もしばしば指摘されるような問題が残ってくるのじゃないだろうか。かりに計画調整ができても、それは一つ計画、いわゆるプランであって、実際の仕事の進め方なり、あるいはこれに対するいろいろな国の助成なりというものは、やはり依然として問題が残されていくという形になりはしないかということをおそれるのですが、この点、市町村、県段階のもの、それから中央のもの、この三つの関係について、一つ私が今申し上げましたような意図におけるあなた方のお考えというものがもし聞かしてもらえるならば、ありがたいと思うのですが。
  31. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 中央段階におきましては、先刻来若干申し上げた通りでございますが、この場合に、新市町村建設中央審議会役割というのは、たとえば、新市町村建設計画調整をやりまする際の一般的な基準というようなものにつきましては、中央審議会で御審議をいただきまして、これを地方に示達をしたというような関係に相なっておるのであります。お説のように、われわれの方でどんなにやってみましても、各市町村を具体的に取り上げて、その建設計画というものを具体的に指導して参るということは、これはとうてい事実上不可能でございます。従って、一般的な基準を示して、あとは県にこの指導をゆだねるということにならざるを得ないわけでございます。また、事実そういう方式でやっておるわけであります。現実問題といたしまして、ある町村建設計画調整を行いまする際におきましては、これは例外なく、一般的な方針をまず県当局において指示をいたしますると同時に、具体的にその計画を作ります際におきましては、県のそれぞれの専門の係官が現地に参りまして、現地でいろいろ調査もし、意見も聴取して、相談相手になる、そういう作業をやっておりまするし、そういうような過程を経まして、計画自体を作成して、素案を作りますると、これを県に持ち込みまして、県でなお、関係の部局の係官が、全体の、県自体において考えておりまする計画なり、あるいはその可能性の問題なりというようなことを、国との関係連絡もとった上で、市町村に対して、あまりかけ離れたことにならないように、これは予算面のことだけではございません。その他やはり国の総合開発計画なり、県の全般の産業振興その他の各種の計画、その調整を頭に入れながら、市町村の希望なり考え方というものの調整を、具体的に一つ相談相手になりながら、その計画調整を行なっておるのであります。最近、大体軌道に乗って参りました後において出て参っておりまする建設計画というものの内容を見ますると、著しく改善をされたあとが歴然といたしておるような姿でありまして、こういうようなやり方というものをさらに一つ徹底して行わせるように指導をして参りたいと考えております。
  32. 鈴木壽

    鈴木壽君 これは、いわゆる県段階におきましての審議会等についても、いわゆる審議会そのものでなしに、実際は、県の行政のその中での指導にならざるを得ないと思うのです。会議で何人か集まってやったにしても、その方々、審議会委員の方々が一々全部の地区についての審議をしても、なかなかつかみがたいもので、問題は、やっぱり私はこの前にも申し上げましたように、県の段階の行政指導の中に、地方課を中心とし、あるいはまた、どこか適当なそういう部局が中心になって、こういう建設計画調整をしなければいけないだろうと思うのですが、この点について、だんだんよくなってきておるというふうなせんだってのお話でございました。ぜひ一つこの点をしっかりしてやってもらわないと、幾らあなた方の中央努力をしても、結局は、実際の計画を立てる、あるいは計画の推進に当るそういうところでうまくいかないということになると思いますから、その点、一つ今後とも十分気をつけてやっていただきたいと思います。  関連して伺いますが、学校統合の問題です。これは、文部省から来なければわかりませんか。それとも一応のことを、課長さんからでもよろしいと思いますから、課長さんからでもお願いしたいのですがね。当初の新市町村計画の中には、学校統廃合を入れている所はほとんどなかったと私は思うのです。これは、学校をなくするとか、統合するということは、合併当時の大へんな問題であったのですが、ところが、補助金が出るというので、最近、各府県ともそうだと思うのですが、統廃合の、何というか、希望といいますか、非常に大きくなっていますね。これについて、政府でも全体の計画を定めておるようでございますが、全体計画というのは、たとえば、小学校の統合が、千七百八十一校を八百七十五校にする。中学校が、二千三百四十四校を一千七十九校にしていく。それに伴う学級の減少等もありますけれども、こういうものを何年計画でおやりになるつもりなのか。それについてあれでしょうか。振興課の方でお答え願えますか。
  33. 吉浦浄真

    説明員吉浦浄真君) 実は、小中学校の統合問題につきましては、鈴木委員の御指摘通り町村合併の当時におきましては、これは、自分の村、自分の町の小学校があるいはなくなるかもしれないというふうな意味におきまして、希望がないのが通例でございますが、町村合併後数カ年を経過いたしますと、やはり一定規模の学校になりませんと、正常な授業の運営ができないというふうなことから、いわゆる教育内容の向上の見地から、学校統合の機運が生じてくるのが通例でございます。最近に至りまして、小中学校の統合についての具体的な予算措置が講ぜられまして、各府県におきまして具体的な表われといたしまして、御存じの通り、鉄筋のモデル校舎の建築が田園の真中に立つというふうなことから、父兄の関心を非常に高めて参っております。今ここに、文部省で一応計画を立てましたような希望がございますけれども、まだまだ町村合併も進行の状態にございまして、今後この計画自体が若干延びてくるのではなかろうかというふうに考えております。そこで、文部省におきましても――直接担当でございませんので、責任ある答弁にはならないかと思いますが、あまりにも統合をされても困るということから、学校の比較的大きいものにつきましては、これにある程度抑圧を加える、また、通学距離の一定基準よりも遠距離にあるものにつきましても抑圧いたしまして一定の範囲内のものだけの統合を慫慂するということに今切りかえられております。その結果、一応かりに延びましたにいたしましても、この数をそう上回るものではないと考えておりますが、具体的には、各町村の希望が殺到いたしております。しかも、この程度予算措置によりますと、おそらくは十年かかるのではなかろうかと考えられるのでありますが、われわれも、全面的にこの予算の増額というものをあわせて大蔵省にも希望いたしておるのでございますが、文部省考え方としては、せめて五年くらいでこの全体計画をやりたいと考えておりますけれども、実際単年度二十億程度では、十年以上もかかるわけであります。そういうふうな関係に相なっておりますので、われわれといたしましては、統合校舎に関する限りは、いわゆる永久的な建築であってほしいというふうに考えております。  なお、この関係と相関連いたしますが、統合校舎の問題が起ります場合には、必ず敷地の購入の問題が起ってくるわけでございまして、これも、市町村長の方からは、敷地の購入費について助成措置なり、あるいは起債なりを要望する声が次第に高まっておりますので、それについても検討を加えるようにして、一部敷地の購入については、起債の対象にするというふうな措置を考えられておるわけであります。
  34. 鈴木壽

    鈴木壽君 私が言いたいのは、全体計画が立てられておりますから、今後これは、全部の合併がきちっと終ったわけじゃございませんから、多少の動きがあることは、お話のように、当然だと思うのです。それにしても、現在までの進行状況は、現段階計画したものの九四%と、こういいますから、それこそ大詰めにきたとあなた方も認めておるし、これは、そうはっきり言っていいと思うのですね。従って、私、全体計画の多少の変更はあるにしても、これはやはり全体を見通した一つ計画であろうと、こういうふうに思うわけなんです。それを何カ年計画でおやりになるつもりなのか、今、そういうことを聞きたかったわけですが、今のお話では、五年計画らしいが、どうも十年もかかるのじゃないかというふうなところのお答えですが、これは、はっきり計画は立ってませんか、年次計画は。
  35. 吉浦浄真

    説明員吉浦浄真君) 文部省と、この点につきましての打ち合せが済んでおりませんので、早急に連絡いたしまして、お答えいたします。
  36. 鈴木壽

    鈴木壽君 どうも、だから、私なりほかの方々がやっぱり言わなきゃいけない。どうも全体の、各省間の問題というものは、あなた方も十分把握しておらぬじゃないかというふうなことに、やっぱり文部省のやることは文部省農林省のやることは農林省通信施設の問題はそちら関係の機関だと、どうもばらばらだということがはっきり私露呈されておると思うのですがね。これでは私いけないと思うのです。どうですか、これは。私、初めの意図は、何もそんなことをつくつもりはなかったのですが……。
  37. 黒金泰美

    政府委員黒金泰美君) おしかりを受けて非常に恐縮でございますが、ばらばらと言われれば、ばらばらかもしれませんが、把握をしてないと言われますと、そうじゃございません。たとえば、この問題につきましても、文部省計画というものは存じております。ただ、そのことがほんとうに果してその年度でもって予算化されるかどうかということにつきまして、まだ政府内部の意見が完全にきまっておりませんので、オーソライズされた計画というものを申し上げることができない、かような関係でございます。御了承賜わりたいと思います。
  38. 鈴木壽

    鈴木壽君 そういうことをやっておりますと、今に内政省がなきゃいけないということになりますよ。だからね。私、やっぱりそういう点について、はっきりした計画は、現在の機構の上からいえば、農林省なり文部省なり、その他の機関でやることはやむを得ないにしても、そういうところははっきりあなた方が握って、予算折衝でも、単に農林省文部省にまかせておかない、あくまでも新市町村建設のためにこういうふうにやらなければいけないし、計画はこうなっているんだ、こうでなければ学校の、いわゆる教育内容の充実なり、その他いろんな面で効果を上げることができないというような、強いところをあなた方は握っておらなければいけないと思いますね。何だかこれでは……しかも、お話のように、かりに五カ年計画なら五カ年計画でよろしゅうございますが、三十一年度分の補助の額なり、あるいは補助を受けた団体なり、また従って統合された学校の数なんかから見ると、十年たったって果してできるかどうかというのは怪しいと思うのです。三十一年度では三億、三十二年度では七億一千万円、三十三年度では十億、まあ来年度は、二十億要求もどのくらいになるかわかりませんが、この調子で行って、この現在のできた数から見ると、小中学校合せて四千ですか、四千をこす統廃合をしなければいけないというような、それでは、まことに私は道遠しと言わなければいけないと思うのです。一体これは、どういうふうになさるつもりでしょうか。
  39. 吉浦浄真

    説明員吉浦浄真君) この数字は、現在校舎が六三制の実施によりまして建ちましてから、ほぼ十年を経過いたしておるのでございます。その中には、比較的長持ちのしない、パラックに近いような程度の校舎を建てたものもございますし、また、一応しっかりした、二十年ないし三十年持つような校舎を建てた所もございまして、そういった校舎の一応持ち工合というものとも関連をいたしておるのでございまして、その点、完全なる、まだ耐久力のある校舎をどんどん壊して統合するということも、実は全体の地方財政の見地から考えましても、いかがなものであろうかということで、若干足並みがおくれていることは、これは否定することはできないのでございますが、町村合併が九五%の進捗率を見たいといいましても、そこにはやはり学校統合の気運が生じて参りますのには、やはり二、三年の年月が必要となって参りまして、そういった点で、今鈴木委員お話にもありましたように、いきなりこの計画に全部現われてくるわけでもございませんし、この計画自体も、各市町村のそれぞれの意向というものが、何年度々々々に分れて統合したいということになって、おのずから当然各市町村としては計画があるわけでございます。全体の現在の希望を調べてみますと、このような数になってくるわけでございまして、ちょっとほかの問題と違いまして、そういった、現在やっております教育施設というもの自体についての考え方でございますので、そこに若干の段取りの変化があるわけでございます。
  40. 鈴木壽

    鈴木壽君 これは、そうすると、全体計画というのは、希望をただ取りまとめたものだけだということなんですか。
  41. 吉浦浄真

    説明員吉浦浄真君) 希望を取りまとめたものでございます。
  42. 鈴木壽

    鈴木壽君 私は、これは一つの例でございますが、こういう問題を、やはり一つの希望を取りまとめただけで全体計画にすると、こういうことで、ここに一つ大きな問題があると思うのですが、それから、全体計画がはっきりどのように進行していくかということは、先ほど来からいろいろ問題になっておりました市町村建設計画そのものの、何といいますか、推進に非常に大きな影響があると思うのです。計画があるから、新市町村においてのいろいろな希望に基く一つ計画があると、当然その計画の中に組み入れられているのですから、それが今度、何といいますか、補助金等の関係でできないというようなことになりますと、これは考えなければならぬ問題ですから、一どきに要求通りできないことも、私は承知していますけれども、しかしこれは、今後の問題としては非常に大きな問題だと思うのです。しかもこれは、もちろん教育そのものから、教育効果をあげるそのものから、合併のあるなしにかかわらず統合しなければいけないという問題は、当然、あなた方のお話にあったように、あると思うのであります。と同時に、合併になったから、これはそこに現実の問題として、距離その他等からして統合しなければいけないという、そういう問題も、これは当然起ってくると思うのです。そこで、今度それに対する一つの奨励みたいな態度政府の方でやって、学校統合をしなければいかぬ、この三つのものが合わさって、非常に大きな希望が出たと思うのです。ところが、現実の問題になってみますと、たくさんの希望があるにもかかわらず、府県の平均でいうと、二校ないし三校しか年にいっていない、全国で大体百校くらいですか、大体百校程度しかいっておらない、今までは。そうしますと、ある県では、十何校もぜひともやってもらわなければいけない、校舎の復旧からいっても、あるいは教育の効果を高める点からいっても、ぜひともやってもらわなければならぬという希望が十何校か出ておるにもかかわらず、実際の問題になっては二校か三校しかできない、継続のものを合せても四校か五校しかない、こういう今の状態なんです。私は、そういう意味から、計画をかりに五年なら五年、十年なら十年でもいいですが、どういうふうにやっていくつもりなのか、単なるいわゆるペーパー・プランであっては困ると思うのです。それから、先ほど申し上げましたように、新市町村建設計画そのものに大きな影響を持ってくるのですから、これは一つの例でありますよ、そういう点で私実はお聞きするわけです。  なお、これに伴う敷地の問題あるいは道路の問題、橋梁等の問題、こういう問題に対する政府補助といいますか、手当の問題等もなかなかはっきりしない。たんぼに、今までの空地に学校ができた。しかし、満足な道路もない、あるいは橋梁も不完全だという所も、私は現に見ているのです。ですから、そういう面で、私は、こういう計画そのものにあなた方がもっと本腰を入れて、単に文部省にまかせないでやらなければいけないのじゃないか、学校の補助そのものについていっても、二分の一の補助です。しかし、実際は、工事費の二分の一が出ているかというと、そうではない。単価の問題、いつも、学校統合予算に限らず、いろいろな補助金を出す場合に、単価が実際の工事費とは違ったようなことで算定されて、二分の一が出てくる。それに見合う起債が完全であるかというと、そうでない。こういう幾つかの問題があるわけですね。それを私はやっぱり何べんも申し上げますように、単に文部省だ、あるいは起債は理財課だということでなしに、どこかではっきり握っておかないと、いろいろな計画を立て、新市町村建設促進しようとしても、勢いやっぱり、しばしば指摘されるように、ばらばらのものになってしまう。効果が上らないものになってしまうというように私は考えるのです。どうです、こういうのは。
  43. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 新市町村建設という点に焦点をしぼりますならば、あらゆる施策を総合的に有機的に連係をとりまして、その百パーセントの実効をあげていく、そのためには、ある所管のはっきりした責任官庁がございまして、これがあらゆる面において全体の計画を握り、実行に当っていくというような体制になることが望ましいという点は、確かに言えるかと思います。ただ、この点は、国政運営の全般に関係する問題でございまして、現在の建前といたしましては、それぞれの所管省がございます。われわれとしては、与えられた職責の範囲内において、できるだけ当面の新市町村建設ということを有効適切に行うために、いわばまとめ役、相談役、世話役というようなことで、万全の対策を講ずるように一歩でも近づいて参りたいというふうに考えておるのであります。御指摘になりました学校統合の問題にいたしましても、なるほどもう少し十分に全体計画なりというものを把握して、その年次別の完遂をはかっていくということにしなければならぬという点は、御指摘通りでございますけれども、いろいろな事情もございまして、文部省自体といたしましても、全体計画自体というもの、さらには、年次別計画自体というものをはっきりと持っておらないようでもございまするし、また、計画自体がございましても、その実行性ということに相なって参りますると、これを受け入れる市町村側の態勢なり、あるいは年次における財政の関係、またそれぞれの市町村における財政事情というようなものがからみ合わさって参りまするために、はっきりとした年次別計画を確定的に打ち出すということは、困難な事情もあろうかと思うのであります。しかしながら、そういう難点を克服いたしまして、できるだけやはり当面新市町村建設ということに向っては、全力を尽して参らなければならぬということは事実でございまして、そういう方向に向っては、われわれ微力ではございますけれども、できるだけの一つ推進に当って参りたい、今後ともその方向努力いたして参りたいと思います。
  44. 鈴木壽

    鈴木壽君 くどいようですが、やはり私、先ほどからのお答えでは、今後の心がまえと申しますか、あるいは今後のあなた方の態度として、ぜひ一本化できるようなそういう体制なり、そういう仕事の進め方をしたいということ、これは私、こういう問題になると、どうも果してそういうことでやっておるのかどうかという深い疑問の気持を持たざるを得ないのですが、これは私、今学校の統合の問題を一つ例にあげたのですが、通信施設の整備拡充というようなことにおいても、いろいろ問題が今出ているのです。たとえば、郵便局の統廃合の問題あるいは電話局の統廃合の問題、こういう問題も、単に、合併されたから、その新しくできた町村に郵便局なり電話局なりが一つあればいいのだというようなことでやっているのじゃないかとすら思われるところがあるわけなんです。いろいろ地元で反対の運動が起ったり、動きが起ったりして、必ずしも今強行されておりませんが、これはあくまでも、そういう問題は、私、住民の利便というか、住民の生活がよりよくなるような面で考えられなければならぬと思うので、何かお役所で、たくさん郵便局があるのはうまくないから、ここにまとめて大きなものを作って、しかし、そこの郵便局に通うためには何里も行かなければいかぬ、こういうふうな結果を生むように、いわば通信なりそういうものの施設の進め方が進んでいるのじゃないだろうか、こういう問題も実はあるわけなんです。電話局の統合をやって、今まで、合併前は、ちっちゃな局が幾つかあった、それを大きなものにまとめて、新しく全部まとまった市町村においてはいわゆる市外通話というようなものをなくしよう、そういう面においては、その限りにおいてはいいのですが、さて、今言ったように、局の統廃合、普通の郵便局の統廃合ということになると、そう簡単ではない、いろいろな問題があるわけです。そういう点も、やはりあなた方、新市町村建設あるいはその育成という観点から、単に各省まかせのそういうことにしないで、しっかりしてもらわないと私はいけないと思うのです。これは、事務的な担当振興課長とか局長を私責める意味じゃございませんが、現実にはそういう問題があるのですから、これは一つの大きな政府部内の問題として、黒金さん、今後一つどうですか。
  45. 黒金泰美

    政府委員黒金泰美君) 今るるお話をいただきまして、御鞭撻を賜わることは、非常にけっこうなんでありますが、やはり申しわけではありませんけれども政府の中にも、たとえば、文部省の教育の見地から一つ問題を統合的に考える。また、私どもは私どもの方で、新市町村建設の見地からは総合的にものを考える。まあいろいろな見地がございますもので、一カ所強調して、私どもの方だけというわけにもなかなか参りませんので、各省との間の連絡を十分に密接にいたしまして、そうして今お話がありますように、電話局の統合などになりますれば、今例をお引きになりましたように、従業員の首に少し関係するかどうかわかりませんけれども、ほかにあまり異存もございませんが、郵便局となりますと、なかなか地元の方ではこれは困るというような、現地でかなりいろんな利害が錯綜して、また錯綜するおかげでもって、おのずからそこにうまく落ちつく利点もございましょうが、そういう推移を見ながら、ほんとう地元の住民の方の福祉が増進できますように、私どもちょうど県庁でいえば地方課みたいに当るのでありましょう。この関係世話役であり、責任官庁でございますから、各省との間の連絡をこの上ともに十分にとりまして、御要望といいますか、御鞭撻に沿えるようにして参りたいと思います。
  46. 鈴木壽

    鈴木壽君 これはやはりよほどやらないと、これは、教育の問題は文部省だ、どうも自治庁一本でどうのこうのと言えないと、それは確かだと思うのです。ただ、こういう学校の統廃合というものを考える場合には、今の現実の問題として起っています新市町村建設計画促進、推進というものとこれは切り離せない問題なんですよ。そういう意味で私申し上げている。何も教育の内容とか、あるいは予算の取り方とか、何かそんなことについての、まあいわば、はたからどうのこうのせいと、こういう意味ではなしに、少くともあなた方が、あるいは政府がねらっておる新市町村建設促進していく、育成していくという、そういう観点に立つ、そういう関連のある問題においては、やっぱりあなた方がもっと強い力で、あるいはまた、十分その中心になって、有機的な連絡なり、統一のとれるような、そういう体制が私ぜひ必要だと思うのです。そういうことをやらなければいけないと思うのです。くどくなりますから、この点はやめますが、そうでないと、いつまでたっても同じような問題が現地にあるまた、同じような問題をここで論議しなければいけないようなことにこれはなると思うのですよ。国がはっきり新市町村育成に踏み切る時期だ、大きな転回をすべき時期だというのであれば、私は、それだけの決意と、しかもまた、そういう仕事のできる、そういう仕組みというものがぜひなければ私はいけないと思いますので、単に自治庁があっちの権限も持ってくる、こっちの権限、ほかの省の権限も皆集めてきて、あなた方がそこでやれ、そういうつもりは私は毛頭ありませんので、どうかこの点について、一つ強く政府態度として今後やってもらわないといけないと思いますから、それを一つ要望しておきます。
  47. 田中啓一

    委員長田中啓一君) ちょっと速記をとめて。
  48. 田中啓一

    委員長田中啓一君) 速記を始めて。  午前はこの程度にいたします。午後は、一時から引き続き質疑を続行いたします。    午後零時十五分休憩    ―――――・―――――    午後一時二十一分開会
  49. 田中啓一

    委員長田中啓一君) 委員会を再開いたします。  午前に引き続き、新市町村建設促進法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
  50. 鈴木壽

    鈴木壽君 理財課長がお見えになっておりますし、時間もあまりないそうでございますから、まず、理財課長の方にお尋ねしたいと思います。  結局、今の市町村建設段階育成、いろいろな問題があることは、午前中の委員会でも申し上げましたが、まあそういう問題を一応抜きにしまして、どうしてもこの際とられなければいけない措置は、市町村の財政の確立という問題であろうと思うのです。まあしかし、財政の確立といっても、いろいろ問題はありますから、今これについて全般に触れておるひまはないと思いますが、それにしましても、今度政府で考えられておる減税の問題にからむ地方税全体の問題、あるいは交付税の問題、これはいろいろ十分な検討を要する問題だと思うのですが、一つそれに関連しまして、私、起債の問題について少しお聞きしてみたいと思うわけなんです。  起債が現在の地方債のその中で問題になるのは、いろいろあると思いますが、一つは、一般補助事業に対する起債債と、それから単独事業に対する起債と、大体こう二つにしぼってお尋ねしてみたいと思うのですが、一般補助事業についての起債も、これは、年々相当大幅な減少を来たしていることは、今さら私が申し上げるまでもないことなんで、これは、考え方としては、一応政府当局の言うこともわからないわけではないのですが、しかし、現実の面で、こういう大幅な減少が、特に事業の推進、新市町村建設計画を推進していく上において、非常に大きな隘路になっているのだろうと思うのです。起債の移り変り――まあ今さら私、詳しく申し上げるつもりもございませんけれども、どうも一般補助事業に対するそれは、年々大幅に減っている。三十一年度では二百六十八億ばかりあったものが、三十二年度では百九十億、三十三年度では百億と、こういうふうに大幅に減ってきているわけなんです。これに対して、今後の、三十四年度以降のいわゆる地方債の計画の策定に当って、この問題についてどういうふうにお考えになっておられるのか、一つお伺いしておきたいと思うのです。
  51. 山野幸吉

    説明員(山野幸吉君) 御指摘通り補助事業の起債につきましては、私ども、一般財源、税とかあるいは地方交付税の増額等と相見合いまして、地方債のワクは累年減少してきたのでございますが、そうして額を減少させると同時に、地方債の補助事業の起債の許可に当っても、その取り扱い方を、暫時、本来地方債として施行することが妥当であると思われるような事業に重点的に地方債を許可していく。これは抽象的な話ですが、投資的な事業でございましても、経営的に毎年繰り返されるような額の事業費、それからまた、その額が、額自体も当該市町村の一般財源と比較して規模の小さい場合には、これはもう将来とも一般財源でやってもらって、そうしてほんとうに臨時的な大きい事業で、しかも、地方負担が相当多額である、将来の住民の負担に転嫁してやっていくのが適当と思われるような事業を選択しまして、そういうものを中心地方債をきめて参っておるのであります。明年度以降におきましても、この補助事業の起債の考え方につきましては、従来と同じような、今年度とほぼ同じような考え方をとって参りたいと思っておりますが、ただ問題は、そうして一般会計の、なかんづく補助事業債の減少に伴います地方債の取扱い方でございますが、事業自体として、ほんとうに収益的な独立採算の可能な、あるいはまた、それに近い特別会計を設けて行えるような事業がもし補助事業の中であれば、それは、補助事業というよりか、むしろ収益的な事業として地方債を十分に見ていこう。一例を上げますと、公営住宅のようなものは、従来補助事業で考えておりましたが、公営住宅の地元負担の半額につきまして、三割とか五割の地方債を認めても、なかなか事業が進捗いたしませんので、こういうものは、明年度以降は、収益的建設事業の方に回して、地方負担は全額地方債で見るという考え方をやって参りたいと思っております。それからまた、重点的な事業に起債を集中するという考え方も、これは、府県であるとそのまま該当いたしましても、市町村の場合においては、なかなか財政力も規模も小さい関係もございますし、御指摘のように、新市町村建設事業を推進している過渡期でございますので、この重点的な事業の取扱い方につきましても、本年度よりか若干は緩和措置をとって、実情に合うような方向に持っていこうという考え方をただいまのところ持っておる次第でございます。
  52. 鈴木壽

    鈴木壽君 先ほども私申し上げましたように、一般的な考え方一つの理屈としては、私はわからないわけじゃないと思います。それからなお、収益的な建設事業に、あるいは特別会計を持っておる公営企業等に起債のワクをふやしていくというような考え方、これは、今申しますように、考え方としては、私一応の了解はできますが、じゃあ一般補助事業の場合ですね。いわゆる一般財源によって振りかえられ得る可能性の問題、こういようなものを考えていった場合、それから、性質が恒常的なものもあり、臨時的なものもあるというふうに、分けて考えておられるようでございますが、そういう事業の執行の際の現在地方におきますところの自己財源のありやなしやという問題を考えます場合には、私は一がいに、一応の筋としては、理屈としては、できるだけ起債というものが多くあっても困る問題だと思いますし、一般財源でやり得るものは、当然それに基いてやるべきだというようなことは一応了解できても、やはり現実の問題としては、なかなかそういうふうな地方市町村の財源の状態でないということは、やはりその点を一つ考えなければいかぬと思うわけなんです。確かに補助事業に対するワクがだんだん減ってくる。計画を見ますと、この前配布いただいた地方債の計画を見ますと、来年度も、今年百億のものが六十億ですか、何かその程度に減らすような計画になっているとすれば、私は、現状ですら、今言ったような意味から、地方財政の現実の問題から大きな検討すべき問題があると思う。そういうものの中に、さらに来年度は相当大幅な減額をするような計画を立てられておると、これはやはり私は問題でないかと思うのです。一方収益的な事業とか、あるいは公営企業といっても、そんなに大きくふくれ上ってきているわけでない。計画を見ますと、なるほど収益事業では、約百億近いそういうふうなものを今度見込まれておるようでございますけれども、さればといって、現在各地方で必要な仕事であり、またぜひともやらしてもらいたいという希望を持っておる収益的な仕事、そのもののトータルからいえば、許可されたところで、そんなに大きな額ではないと私は思うのですから、そういう面からいって、こういうことについての検討というものは、もっとやはり町村の財政の実態とにらみ合せて考えていかないと、理屈通りではなかなかうまくいかないし、従って、新市町村建設計画促進とか推進とかというようなことも、かけ声だけに終ってしまうのじゃないか。私は、何も無制限に一般補助事業に対する起債を認めろというような、そういう暴論を吐くつもりはございませんけれども、現状としては、三十三年度に百億では、これは足りないのじゃないか。現にあの三十一年度、三十二年度、三十三年度にわたって、あなた方のお出しになった資料からしますと、一般補助事業についての起債のいわゆる申請額と、実際起債が許可された額、これの額と、それから充当率なんかを見ますと、非常に低い度合になっているわけです。三十一年度では四九%の充当率であったが、三十二年度では三一%になり、さらに三十三年度では一五%、こう一挙に二分の一、五〇%くらいずつ下ってきているわけですね。これは私は、やはり今の市町村の財政の状況からすれば、妥当な取扱いをしておるというふうには言えないと思うのです。これは、申請したものが必ずしも百パーセントというようなことは、私、さっきも言ったように、言うわけでございませんが、さればといって、こういうものが果して不必要な仕事であり、あるいは急を要しない事業であり、あるいは一般財源によってまかなってしかるべきものだということは、私は必ずしも言えないと思う。起債のワクがあるから、やむを得ずこういう程度に切らなければいかぬ、充当率は一五%というふうに切らなければいかぬという、現実にそういう面からの制約でないだろうか、私はそう思うわけなんですが、こういう点、どうでしょう。
  53. 山野幸吉

    説明員(山野幸吉君) この一般補助事業の起債のワクでございますが、今年度の百億が、市町村の財政の実態と比較してほんとうに適正な額であるかどうかについては、私は疑問があると思います。御案内のように、この数字にもございますように、六百六十三億の地方負担に対しまして百億の起債でございますから、その額は一五%にしかならないわけでございますが、この取扱い方を、先ほど申しましたように、重点的な臨時的な地方負担の大きい事業に集約いたしまして、この六百六十三億の地方負担のうち、起債対象の事業を大体二百億前後の地方負担のものに限りまして、そうしてその二百億の地方負担のものに対して、五割の充当率で、百億を配分しておるのが現在の実情でございます。従いまして、私どもは、実はこの数字には、これがほんとうに最終的、合理的な数字だとは思っておりません。従いまして、明年度の地方計画におきましては、これは、御指摘ございました六十億になりましたのですが、それは、ちょっと御説明申し上げる必要があるかと思いますが、公営住宅が従来の百億の中に入っているわけです。で、この公営住宅の入っているのを収益事業の方に持って参りまして、そうしてそこに六十億ついておるわけです。ですから、そういたしますと、六十億を入れまして、百二十億の要求になっているわけです。大体今年度の地方計画をきめますときも、私は、幾らそういう起債の重点化をはかっても、百二十億程度は必要だということを最終的に言っておったのです。しかし、それがいれられませんで、百億になりまして、この額については、私どもは必ずしも納得をしておりませんが、明年度におきましては、ぜひとも私どもの作ります地方計画でやって参りたい。御指摘のように、地方団体は千態万様でありまして、必ずしも私どもの起債重点化という方針だけでも貫けません。従って、この起債の配分につきましては、できるだけ新市町村の事業とか、そういう市町村の実態を勘案いたしまして、市町村の方にも相当ウェートを置いて起債の配分を行なって参りたいという工合に考えております。
  54. 鈴木壽

    鈴木壽君 今の一般補助事業の来年度の分についてはわかりました。わかりましたんですが、何かあなた方が考えられておる、あるいは地方指示しております一つの一般補助事業に対する起債の許可の方針なり、考え方なりというものは、起債のワクがきまったその中でその一つの操作するためのそれじゃないかというふうに、これは悪口になるかもしれませんが、そういうふうに私には思えるのですがね。やはりこれは、地方自治体の様子は、それこそ千差万別であろうと思いますが、おしなべて、補助事業に起債を充当しなくともやっていけるというのはあまりないと思うのです。そこに私は問題があると思うのは、現に建設関係なり、あるいは農林省関係なりで補助対象にしている仕事、これは、額の大小はともかく、一応やはり起債を振り当てて事業を一般にやらせるというような一つ考え方があっていいのじゃないか。昭和三十三年度のそれを見ますと、建設関係はそんなにひどくもありませんが、一般補助事業でありながら、農林省関係のものは、起債の充当というものが各種目ごとに見まして非常に少いのですね。これは、数から見ますと、ずっと少しになっております。ここにやはり一つの問題があるんではないか、特に農村関係におきますところのいわゆる農林予算関係において、こういう傾向があるということを、私やっぱりどうしてもあなた方としても考えなきゃいけない問題があると思うのです。ですから、きめられた予算のワクの中での操作で万やむ得ないという、そういう一つの実態も、私わからないわけじゃないんですけれども考え方はこういうふうに考えてるんだと、こういうふうに、初めからそういう態度を持っていくということは、やっぱり市町村財源の実態にそぐわないし、新市町村建設なり、それの育成という国の態度からするならば、やっぱりそこに一つの誤まりがあるんじゃないだろうかと、こういうふうに私は思うのですが、どうでしょう。少し議論めきますけれども
  55. 山野幸吉

    説明員(山野幸吉君) 私どもは、起債のワクがきまったから、それにあわせて理屈を作ったと、こうおっしゃいますと、そういう工合にも見えるのかもしれませんが、私どもは、この起債のワクを要求するときには、すでに起債の許可の方針をあらかた作って、そして重点的に事業を選択していこうという考え方から、百二十億なり百五十億の予算要求を行なってきたのであります。しかし、全体としましては、もうすでに御案内通り、公債費の対策をどうするかという問題が大きい問題でございまして、それに対応して、その一般会計の地方債の取扱い方は、やはり交付税なりあるいは地方税の増と相待って縮小させていくんだという方向をとらざるを得なかったのでございます。これは事実でございます。従いまして、今年度は百億にきまりましたが、その中で農林関係等につきましては、実は、その各市町村補助事業の地方負担額を見ますと、非常に小さいものが多いのです。集めますとある程度の金になっても、比較的地方負担の額が小さいので、市町村の事業で、何といっても、大きい地方負担の事業は、この公営住宅と、それから都市計画、こういうようなものが一番大きい事業でございます。それから、この集中した問題としては、ごくまれな形式ですが、漁港の負担金の問題とか、あるいは場合によれば林道の問題もございましょが、比較的集中して行われる地方負担の大きい補助事業はそういったものになっております。従いまして、今後とも、先ほど申し上げましたように、市町村地方債のこの事業の選択の幅を、ことしよりか明年はやや緩和した形で、実態に即したような運営をしたい、そのためには、補助事業債も一般債で十億程度は広げたい、こういう工合に考えております。
  56. 鈴木壽

    鈴木壽君 農林関係補助事業で、小さいのがあることは、私も承知しております。だから、それを一々全部拾ってやらなきやいかぬというわけでないことは、先ほどちょっと大まかな表現で申しましたが、たとえば、今あなたがおっしゃったような、林道の建設事業、こういうようなものは起債の対象になっておらぬ。こういうような問題があるわけですから、やっぱりこういうものは、何といいますか、恒久的な仕事だと、あるいはそういうような理屈でははねられるのか、あるいはその町村の、何といいますか、財政状態からして負担し得るんだ、こういうのではねられるのか、おそらくは、全般的にこれを落したところを見ますと、一般補助事業の起債の対象外なんだ、こういうことで、市町村の財政の実態なしに、そういうことだろうと思うのですが、やっぱり私今言ったように、一つの例をあげてみると、問題はまだあると思う。ですから、あなた方の予算折衝をする際に、ことし百億、来年は百五十億といってもなかなか聞き入れない。十億、二十億なら何とかなるかもしれないが、こういうところで、その範囲でのものものの考え方、さっき私ワクがきめられてから考えるのは理屈ではないかと言ったが、予算要求する際にも、一つの限度というものを見通して、そういう理屈で折衝なさるんじゃないだろうと思うのですが、そういうことは、一応私憶測ですから、やめますけれども、ともかく、やはり一般補助事業に対する起債の引き当て方というものはよほど考えて、今言うように、少くとも三十三年度にやったようなこういう形でなしに、もっと前進できるような態勢で考えていかないと、私は、いろんな問題が今後残されていくのではないか。林道の問題あるいは開拓道路の問題、開拓開懇事業の問題というふうなことを考えてみても、これは今後のいわゆる新市町村建設というものに対して非常に大きな役割をするものです。ですから私、一から万事、細大漏らさず、補助事業に対しては起債を充当せよ、こういうことではもちろんありませんけれども、そういう点についての考慮が払われないと、町村としては困ると、困る結果が住民の仕合せにならぬということになってくる。もちろん、この場合考えなければいけないのは、町村における財政、いわゆる将来の返還の能力と申しますか、そういうことも十分考えられなければいけないということはわかりますけれども、ともかく一般補助事業に対する考え方は、やはりもうちょっと改めてもらわなければ、ワクの中で考えないで、もっとやはり前進した形において考えてもらわないと困ると思うのですが、これは、あなただけでない、黒金さんあとでおくれてきたようですから、私は、黒金さん、こういうことをお聞きしているわけなんです。一般補助事業に対する起債のつけ方というものは非常に不十分である。まあワクの中で操作しなければいけない苦しいところはわかるわけですが、考え方としては、一般補助事業に対しても、市町村等の引き当ての起債というものはもっと考えてやるべきだと、こういうことを意見めいたことで要望しておるのですが……。
  57. 黒金泰美

    政府委員黒金泰美君) と申しますると、今やはりおっしゃるように、補助事業債の不足のところもありますので、われわれも御陳情といいますか、御苦情といいますか、しばしば聞いておるような次第でございます。ただ、考え方全体としますれば、国全体のこういう公共団体あるいは民間関係、あらゆるものの資金が一体どうなるかという点から始まりまして、地方の方にどれくらい金を回せるか、また回せますものの中で、補助事業にどれくらい充てられるかというような方面から参ります問題と、いま一つは、先ほどもちょっと触れておられたように思いますが、結局起債によりまして後年度に負担を延ばしてしまうということよりは、幾らかでも当該年度の財源でもってやりくりつくところはやっていった方がかえって楽ではないかというような点もございまして、いろいろと考えなければならぬ点が多いかと思いますが、御指摘がありました点につきましては、できるだけ重点的に事業をしぼってやって参りたい。それにはずれましたものは困るじゃないかという点もございますけれども、今申し上げたような格好で、やはりワクができて、その金をでき得る限り効率的に使わなければならぬということですから、でき得る限り重点的に事業をしぼり、そして少くともそこのところでは完全に仕事ができるようにして参りたい、こんな考えでやっておりますが、限られた財源で配分いたしますために、往々にしてきう少しつけてやればいいのにというような点が出て参りますことは、われわれといたしましても、自分地元から始めて、そういうことをしばしば体験いたしておりますので、この上ともにいろいろと工夫もこらし、御期待に沿えるようにして参りたいと思います。
  58. 鈴木壽

    鈴木壽君 ともすれば、私がさっきから何べんも申し上げておりますように、予算がこれしか取れない、その取れたワクの中での考え方としては、まあやむを得ないと思うのですが、だから私は、いろいろ予算の折衝をなさる場合、あるいは政府態度として、あなた方の態度としての心がまえといいますか、そういうことをまあ実はお聞きしているわけなんです。で、お話のありましたように、国全体の資金の振り合いとか、そういうむずかしい問題でもちろんこれはあります。ただしかし、この場合に、地方債の一般補助事業として二十億、三十億のワクをふやすことによって、私は国全体の大きなバランスがどうのこうのという問題はないと思うのです。それから、根本的に補助金そのものをやはり検討をすべき段階だということは、私も言えると思うのです。国全体のいろいろな補助金が、もう数えてみると数限りなくあって、しかも、その補助金の事業の対象、あるいは補助金の率、そういう問題、これもまた悪口みたいになるが、各省ばらばらのような形で、困るのはおそらくあなた方じゃないだろうかと、地方自治体のことについての責任のあるあなた方じゃないだろうかと思うのですが、ともかくそういう状態についても、ほんとう本腰を入れた再検討をすべき段階であることは、私もその通りだと思うのです。と同時に、もしそういうピンチに立って、今後再検討がなさるべきだとしたならば、少くとも補助事業だったら、地方に対する起債の問題も並行してやはり考えていって、地方に対して、あまり財政の困難を理由にして事業の遂行がはばまれるというようなことのないような形にやはりやっていくべきじゃないだろうかと、そういう私は根本的な気持を持っているわけなんですから、そういう意味で、一つあなた方からも、一般補助事業に対する起債の盛り方というものを十分本腰を入れて御検討いただきたいと思うわけなんです。  それから、単独事業に対する起債ですが、これはまあ、三十二年度よりは少し三十三年度は十億ばかりふえておりますね。来年度も、現在の計画では同じような額だったと思いますが……、いやこれは、来年度は大まかにふえていますが、これは来年度のことだから申し上げませんが、まあふやしていくような傾向だと思いますが、これも私は、やはり補助事業の起債の問題とともに、もっとあなた方からふやしてやってもらう努力を続けてもらいたいと思うのですが、これについて考え方をまず最初に一つお聞きしてみたいと思います。
  59. 山野幸吉

    説明員(山野幸吉君) 単独事業につきましても、実は、この起債の対象事業については、なるべく毎年々々経営的に行う仕事は一般財源、臨時的な大きな地方負担があるものは起債という既定の考え方は、大体そういう考え方をとっておるのでございます。で、御指摘通り、ことしは前年度より十億ふえて、この中で、なかんずく下水道屎尿処理施設等の事業に重点的に地方債を持っていくということで、下水屎尿処理事業につきましては、前年度の倍額の約四十億を充当しておるのでございます。明年度におきましては、さらにその四十億を八十億程度に、下水屎尿処理施設について倍額にしていきたい。それから、一般の地方債、単独債につきましては、前年度より約十億程度のワクを広げたい、こういうことで、百六十億でございましたか、要求をしておるわけでございます。これも実は、新市町村のできた当座のことでございますから、市町村からはもう種種雑多な事業がたくさん毎年出て参っておりまして、私どもも、その取捨選択にははなはだ難渋するような場合も一再ではないのでございますが、まあこれも一挙に仕事をやるということではなく、たとえば、庁舎を建てる場合は、庁舎を重点にやる、それから、下水屎尿処理施設、環境衛生諸施設をやるところはそれを中心に、しかも計画的に、できるだけ能率的に実施させるという工合にいたしまして、この補助事業の、一般単独事業のあるいは義務教育施設の地方債を合せて、地方債の総額として、当該団体の財政力からいってほんとうに適切な規模であるかどうか、そういうこともよくにらみ合せまして、この単独事業の重点化をはかっておるわけでございます。従いまして、まあ基本的な考え方は従来と同じでありますがその事業の内容あるいはまた起債許可のこの個々的な場合におきましては、新市町村建設計画中心とする重点的な建設事業に対して地方債を認めることにいたしておるわけでございます。
  60. 鈴木壽

    鈴木壽君 私は、まあ今の段階になってきて、いろいろ地方財政の確立というような点から、先ほどもちょっと触れましたように、単に起債の問題だけでなしに、もっと根本的な、いろいろな税なりその他の問題について考え直さなきゃいけない段階に来ておると思うのですが、しかし、まあ多少これはいわば時期的なそれを要する問題だろうと思うので、今すぐ、来年から地方税を全面的にやるとか、あるいは地方におきますところの使用財源をそんなに多く持たせるとか、あるいはまた、交付税額そのものが一足飛びに多くなるというようなことは私はできないと思うのですが、ですから、ここしばらくはそういうものの検討をしながら、できるだけそういう方向に持っていきながら、とりあえずの措置として、私は起債の問題が取り上げられていいと思う。とりあえずの問題としてはですね。そこで、これは何べんも申しますように、むちゃくちゃに起債をふやせという、私はそういうことを考えているわけじゃありませんが、地方の開発なり産業の育成というような点、特に今問題となっておりますところの新市町村建設というものは、そのまま地方の開発につながり、地方産業の育成につながっていく問題であります関係上、そういう問題についてのとりあえずの手当のできる問題として、やはり地方債というものをこの際早急に再検討すべきであろう、こういうふうに私まあ考えるわけなんです。従って、単にワクの増大だけでなしに、金利の問題とか、いろいろな問題が私はあると思うのです。あるいは場合によっては、利子補給の問題というようなことも私考えなきゃいかぬと思うが、とにかくそういう一連の問題として、私は、やはり地方債は再検討を要すべき段階にある、こういうふうに考えておるわけなんですが、その点、これはまあ抽象的なものの言い方で恐縮でございますが、どういうふうに御検討なさっておるのか、お考えがありましたら、お聞きしたいと思います。
  61. 山野幸吉

    説明員(山野幸吉君) どうもその再検討の方向に……、どういう方向お話か、よく内容はわかりませんですが、私どもとしましては、単独事業を実施させます場合には、まあ新市町村建設計画を作っておられる場合でも、一つは、新市町村補助金のついた事業があるわけです。それから一つは、そうでない、補助金のつかない、しかも、建設計画に入っていて重点的な事業がある、一方のこの補助対象になっておる新市町村建設事業は、これは、計画通りやっていただかないとどうにもなりませんから、それをまず中心地方債を見ておりまして、これは一つ市町村の単独債の重点的な取扱いをしております。それから、その他のものにつきましては、先ほど申し上げましたように、ある市におきましては、建設計画で庁舎をまっ先に建てたい、こうおっしゃるところがあるし、ある所は、下水なり屎尿処理施設を作りたい、あるいは塵芥焼却場を作りたい、いろいろな事業内容がたくさんございます。従いまして、私どもは、当該団体のそういう財政状況等もことしは逐一聞きまして、一般財源でできる小さな事業については、一般財源でやっていただきたい、そしてほんとう建設計画のうち緊急な、しかも地方負担の大きい事業については地方債でいく、こういう考え方で、ある市町村には庁舎なら庁舎を、ある市町村では下水なら下水を、なるべく事業を限定いたしまして、そのかわりそれは、事業が計画的に、能率的に、経済的にできるような方向地方債を認めていく、こういう考え方で今年度は地方債の許可をいたしております。
  62. 鈴木壽

    鈴木壽君 私、先ほど申しましたように、抽象的なことですが、実はもっと具体的な、いろいうことしの一般単独事業の起債の許可にいろいろなあなた方のおやりになった、これについて実はお聞きしたいと思ったのですが、それは、山野さんの御都合もあることでございますから、きょうはやめますが、いずれ今問題の焦点をしぼって、新市町村建設計画というものは非常に大事なものであり、将来の住民の幸福につながるきわめて重大なものであり、ぜひとも推進をさせなければいかぬ、そういった場合、当然問題になるのは、地方の財源の問題ですから、そういう観点から、現在の地方の財政のままでいろいろな仕事をやれと言ってもこれは無理ですし、根本的な地方の財政のあり方というものについての、何といいますか、確立ということまでには相当な時日を私は要すると思うし、そういう観点で、何か便宜主義的なものの考え方だと言われるかもしれませんが、とりあえずそういうものによって地方財政を破壊しない程度の起債の許可なり、それによる仕事の進行というものはやっぱり当然考えていかなければいけないのじゃないかというような観点で、一般補助事業に対する起債なり、あるいは単独事業、そのほか新規事業に対するものもありますが、そういう問題について私は今後十分考えていきたい、こういうことを私は申し上げたんでございます。もちろん、今申しますように、ことしの市町村に対する起債の許可の具体的なことについては、あるいは時をあらためてお尋ねすることがあると思いますが、きょうの山崎さんに対する質問は、一応これで打ち切っておきます。
  63. 山野幸吉

    説明員(山野幸吉君) いろいろ御指摘をいただきまして、私どもよく検討いたしてみますが、補助事業、一般単独事業を通じまして、私どもは、新市町村建設計画促進されるようにできるだけの配慮をいたして参りたいと思っております。
  64. 占部秀男

    ○占部秀男君 今度のこの改正案の内容を見ますと、財政関係の問題では、先ほど鈴木さんも補助金の問題に触れておりましたが、附則中に第七項を入れて、地方交付税の算定の基礎の特例の問題だけであって、ほかの問題は出ていないようでありますので、従って、新市町村建設に要するいわゆる国からの補助金というものは、今自治庁から出た資料によると、来年度は概算要求で二十二億となっておりますけれども、従来通りの姿でこの補助がなされると、かように考えるわけですが、あれは、たしか事務関係については三分の一で、施設関係は二分の一というような形じゃなかったかと思うのですけれども、そういう点についてお伺いいたしたいと思います。
  65. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 今まで三カ年度にわたりまして、自治庁関係として特に新市町村建設のために支出をいたしておりまする補助金、これは、特に一体化を推進をするための施設整備の補助金を主体として交付をいたしておるのでありまして、この補助金は、現在までで全国で千四百二十カ町村に対して交付をして参っております。あとなお約一千余件、未交付団体が残っておるのであります。これに対しましては、一体化を推進するためのものでもございまするし、できるだけすみやかに交付を了したいということで、来年度は、残余のものにつきましては、われわれの今の考え方は、全部一つ交付済みにいたしたいということで考えております。施設整備の関係は二分の一、事務の関係は三分の一、これは、お述べになりました通りでございます。
  66. 占部秀男

    ○占部秀男君 そこで、この前いただいた自治庁資料の昭和三十一年度及び三十二年度の促進補助事業の実施状況を調べたやつがございますが、これを見てみますと、各市町村で行なっておる仕事で大きな仕事、重大な仕事は、補助の金よりもよけいかかっておるのじゃないかと思うのです。たとえば、道路整備事業については、これは三分の一しか国庫の補助がない、実際の事業費に比べて、三十一年度。それから橋梁事業についても、三十一年度も三十二年度も、これまた同じように二分の一でなく、三分の一しか国庫の補助がしてなくて、あとの三分の二は、当該市町村側の持ち出しのようになっておる。優先事業、特に庁舎の整備事業等のごときは、国からもらえた補助金というものは、実際の事業費の五分の一しかない、かような状態になっておるわけです。これはもちろん足りないので、おそらく当該市町村の方で金を出して、こういうような仕事をしておると思うのですけれども、その点はいかがでございますか。
  67. 吉浦浄真

    説明員吉浦浄真君) 大体おっしゃる通りでございまして、私どもの方といたしましては、平均約一カ村当り二百万円の補助金を準備いたしておりますが、一体化の施設につきましては、この資料の十二ページの表に掲げておりますように、道路、橋梁、有線放送、通信施設整備、連絡用の自動車の購入あるいは土木施設、これは、ブルトーザーとか、それからトレーラーのようなものでございますが、さらに渡船、スクールバス、庁舎整備等のもろもろの事業に及んでおるのであります。われわれの方としましては、ただいま平均二百万円の補助金でございますが、これを市町村の人口別の態様、それから合併関係町村の数等を勘案いたしまして、およそ最高五百万円から最低百万円ぐらいまでの間に段階を設けまして交付をいたしておるのであります。従って、それを受けて立ちます方の市町村といたしましては、実際の立場からいろいろ事業を予定いたしておりまして、たとえば、補助金がつくつかないにかかわらず、一定の一体的な立場から事業を計画しておりますところへこの補助金を、まあ言葉はいささか適当でないかもしれませんが、利用していただくというようなことに相なっておりまして、その点で、庁舎等の建設の場合には、特にそういったことが言えるわけでございまして、これは、三十一年度は、金額も少かったわけでございますのでやらなかったわけでございますが、三十二年度のごときは、庁舎を建築したいという希望は、これは補助金のつくつかないにかかわらずあったわけでございます。この際、せっかく自治庁でも補助金が出るのであるから、自分のところでは、この金を利用してぜひ庁舎を建築したいということになって参りますと、その補助金が一部の基礎になりまして、いわば誘い水というふうな形になりまして、その他は起債あるいは一般財源、自己財源等を利用いたしまして、それをやっていくという形になるわけでございます。お申し越しの通り、必ずしも二倍にはなっておらないので、三倍、四倍、庁舎のごときは、それ以上の事業費に対しまして補助金の額が限られておるというのは、そういったところに原因があるわけでございます。
  68. 占部秀男

    ○占部秀男君 私は、この法律の趣旨から言って、各市町村で、手持ちの財源を出して、よりよい庁の施設あるいはその他を整備するということは、これは決して悪いことではないと思っております。思っておりますけれども、ここで実は問題になるのは、各地を歩いてみますと、その手持ち財源を出すために、ではどこに財源を求めるかということに相当問題が起きている所があるわけであります。これは、私が統計的に調べたわけじゃありませんが、あちらこちらの新市町村をずいぶん歩きましたけれども、そこで一様に聞くところは、やはり何といっても、財源をしぼり出す場合に、今の町村の状態では、そう余裕財源というものもない。そこで、一番やりやすいのは職員の給与費ですね。給与費に手をつけるとか、あるいは給与費の上るものを上げないようにして金を浮かして、そういう方につぎ込む、こういうような点を相当あちらこちらに私は見受け、また話を聞いてきたわけでありますけれども、そういうような点について、何か調査あるいは調べたようなものでも、あるいはそういうような事情なども自治庁の方でわかっておりましたら、一つお話を願いたいと思うわけです。
  69. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 具体的に個個の新市町村について特別に調べた調書というものは、今のところ用意をいたしておりませんが、一般的な問題として申し上げますと、新市町村あるいは町村合併の効用というものは、合併によりまして共通的な経費、特に消費的な経費の節減が行われて、これが投資的経費の方に充当されていくというところに第一義的な意味がある。この点は事実だろうと思うのであります。ただ、そういう傾向というものは、できるだけこれを有効適切に発揮せしめなければなりませんけれども、そのために職員の給与費等にしわ寄せが来るということは、これは筋違いではないかというふうに考えております。事実われわれの方で毎年優良町村の表彰等をやります際に、具体的な町村等について、その財政構造その他について調査をいたしておりますが、そういうところに関する限りにおきましては、財源を捻出するために、事業を行うために積極的に職員を整理するとか、あるいは給料を上げるのを押えるとか、そういった事例はないように考えております。ただ、財政再建団体等におきましては、過渡的な対策といたしまして人件費の合理化、そういうことが行われましたために、最近はそういう点もやや是正をされて、軌道に乗ってきつつございますけれども、一時は、よく当委員会で論議されましたように、昇給の延伸その他の措置が講ぜられた事実がございます。しかしながら、一般的に、新市町村建設促進をいたしております段階におきまして、単に役資的事業というものの財源の確保のために人件費にしわ寄せをするというようなことは、われわれとしても期待はいたしておりませんし、また、そういう指導方針はとっておらないのであります。
  70. 占部秀男

    ○占部秀男君 自治庁としては、今局長がお話になったように、そういう方針をとっていないということはもちろん正しいし、また私も、自治庁としてはそうだと思いますが、事実問題としてはそう簡単ではなくして、実際問題として、町村の職員の給与というものは、まあ私、実はおとといでしたか、調査資料を要求して、この表をいただいておりますけれども、国家公務員、あるいは府県のような場合よりは非常にこれは低いのですね。低いということの内容の中には、やはりこういう点が事実問題としていろいろな形で行われているということは、それは、形の上ではすぐにどうこうというふうに出ていなくても、いろいろな形で行われているのです。また、事実そういうことも聞いているのですが、そこで、町村の職員、特に新市町村の職員の給与の問題なども、これはここのところ重大な問題じゃないかと私は思うのです。地方を歩いてみて、確かにこの新市町村の法律ができてから以来、いろいろ、庁舎もよくなるし、道路や橋なんかも相当よくなっているということも私ども見かけております。見かけておりますが、これに比べて町村の職員の給与というものは非常にやはり低いのじゃないか。どうもそれがそのままに放置されておって、施設であるとか、そういう面には相当集中するのですが、給与の面の改善については、これは放置されているような、あとでまたこの点について詳しく一つお聞きしたいと思うのですが、そういうように事実問題としては考えるわけですが、それで、これは一つの基本的な方針の問題ですから、私はむしろ大臣にお伺いしたいと思うのですが、やはり予算委員会関係もあるので、次官にそのことに関連してお伺いしたいと思うのですが、新市町村建設というこの法律に従って、りっぱな新市町村を作りあげていこうというためには、今言った施設あるいは事業面のこうした点についての効果的な建設ということも、もちろん私は必要であると思うのですけれども、それと同時に、新市町村が大きくなって、充実された新しい市町村にふさわしい職員のやはり待遇の改善ということも考えていかなきゃならぬのじゃないかと私は思うのです。そういうふうにしないと、これは、私の考えとしては、この法律の目的を達成するためには、今の二つの条件というものは、いわば車の両輪のようなものであっていずれか一つをこわしても、なかなかりっぱな新市町村というものはでき上らないのじゃないか。それは概念的な話なんですけれども、そういう工合に私は考えるのですが、自治庁としても、やはりそういう点についての基本的な考え方について、そういう考え方がそれでいいと、簡単でけっこうですから、お伺いをしたいと思うわけです。
  71. 黒金泰美

    政府委員黒金泰美君) ただいま占部さんのおっしゃいましたこと、大体それでわれわれも異存ございません。ただ、市町村おのおのいろいろな財政状況でございますし、また付近の民間会社その他におきましても給与が区々でございます。そういうところをやはりいろいろと勘案いたしまして、その自治体として適当なと申しましょうか、最もよい給与の体系になってそしてその上で――車の両輪とおっしゃいましたが、市民に対して最もサービスができるようにこれを望んでいる次第でございます。
  72. 占部秀男

    ○占部秀男君 大臣にかわっての次官お話で、やはりそういう方向に行くべきであるということが自治庁の方としても基本的な方針だということがわかって、私も非常に安心もし、満足なんですが、具体的には、実は次官が先ほど言われた問題になるのですが、非常に今町村の職員は新市町村で張り切って仕事をしたいけれども、実は、生活その他の上では、何か暗い谷間に置かれたような状態になっているわけです。で、今自治庁から、一昨日私要求して、いただいた、この「地方公務員及び国家公務員の給料額調」、これは、昭和三十年の一月十日現在になっておりますけれども、これを見ましても、その点ははっきりと出ておるのじゃないかと思うのですが、この点に関連して、私ちょっとお聞きしておきたいのですが、それは、おしまいのこのあれには、町村の一般行政職として、平均一人当りの給料額が一万九十円と出ておりますね。自治庁で、実はこの前にもう少しくわしくこれが発表されているのですが、それによると、町村関係の給与の給料月額、給与総額じゃありません。給料月額です。本俸といいますか、給料月額の平均は、三十年一月十日現在の調べで、九千六百四十五円になっているわけなんですが、これはどういうふうなことなんでしょうか。これは、黒金さんじゃなくてもけっこうです。今の点以外は、これは局長さんなり課長さんなりにお伺いしたい。ちょっとその点、先にお知らせ願いたい。
  73. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 九千六百何がしという数字は、どこの数字でございましょうか、ちょっとお伺いしたい。
  74. 占部秀男

    ○占部秀男君 これは、自治庁の出した三十年一月十日現在の調査の中の「全国町村合計表」の中、その中の給料月額の平均が、一般職として九千六百五十三円となっているのです。
  75. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) ちょっとその点、数字が具体的に出ておるようでありますれば、事務的に直ちに課の方へ照会いたしまして、お答えいたします。
  76. 吉浦浄真

    説明員吉浦浄真君) 事務的には、同じところで作った資料でございますから、数字はどちらが合っておるのか、すぐ電話で連絡いたしまして、御連絡いたします。
  77. 占部秀男

    ○占部秀男君 まあいずれにしましても、一万九十円と九千六百何がしなんで、その間は四百円くらいの違いですから、これは大差ないと思うのですが、いずれにしても、一万円前後の平均給与ということになっておるわけですが、国家公務員のあの三十年当時の給与は、お手元の同じように配っていただいたものには、一万二千八百二円となっておるわけですね。そうすると、やはり国家公務員給与と町村の方方の給与との中には、平均としても三千円からの本給の違いがあると思うのですが、その点はいかがでございますか。
  78. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 平均額といたしましては、これは数字に現われておりますので、その点、はっきりと差がございます。
  79. 占部秀男

    ○占部秀男君 そこで、この自治庁の先ほどのあの中の調べを二、三こう調べてみますと、先ほど黒金次官が言われた、他の公務員との比較あるいはその他との比較というような点について、私は、あまりに差があり過ぎるような感じがするわけであります。というのは、先ほどの自治庁の作った調査表の中でも、最高が北海道で、これが約一万三千何がしで、これはまあほぼ国家公務員の場合と匹敵する形になっておりますけれども、それ以外は、かりに東京都のような、非常に首都であって高いと言われておるようなところの町村の平均でさえ、一万一千二百五十円というような数字が出ておる。最低に至っては、長野のごときは、七千六百四十三円という、非常にこれは低い数字が出ておるわけです。黒金さんの言われたように他の公務員その他との比較ということになると、これはまあ御存じだと思いますけれども同じ町、同じ村の中に、県の職員もいるし、国家公務員の課員もいる。あるいは学校の先生、あるいは電信電話関係の国家公務員の方々も、公社の方々もおられる。あるいは農林だとか、その他の純粋の国家公務員の方々もおられる。これらの方々と比べて、同じ村に住居して、同じ町に勤務していながら、これは率直に言って、非常に権衡を失したような姿ではなかろうかと私は思うわけです。特にこの内容をこうずっと、自治庁の調べを実は調べてみますと、一都一道二府四十二県といいますか、この県の中で一万円以上の平均給与をともかくも町村職員に与えておるというのは、今言った北海道、東京、大阪というような大きなところをまぜて、わずかに十一県、それ以外はみんないずれも一万円以下で、たとえば九千何百円、八千何百円、ひどい所になると、今言った七千六百四十三円といったようなひどい平均給与になっておるわけです。こういう点については、私は、あまりにこの均衡の破れはひど過ぎやしないかというような、これはまあ本俸だけのことで感じるのでありますけれども、その点については、自治庁としてはどういうふうにお考えでございますか。
  80. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 町村職員の給与の平均額でこれは数字からも明らかでありますように、国家公務員あるいは県の職員と比較をいたしまして、明らかに低位にあるということは、これは認めざるを得ないのであります。なぜこういうふうになっておるかということでございますが、これは占部委員もよく御承知でございますように、もちろん、財政的な事情というようなものもあったかと思いますが、それにも増して、いわば沿革的な理由というものに起因するところが多いのではないかというふうに考えておるのであります。その点は、五大市その他というものは、これはまあ、一部の論者は非常に高過ぎるのじゃないかというような論議をなす人もあります。しかし、これは何も一朝一夕に、最近になって特に上ったわけのものではないのでありまして、戦前からそういう一般的な傾向があったと思います。それがだんだんベース・アップ等で、その較差が大きくなってきているという現象だと思うのです。町村の場合は、それと逆の意味において、やはり沿革的な理由に基いておるところが非常に多いのじゃないか。その場合におきまして、これは特に戦前等におきまして、町村の職員というものが、まず第一には、役場に勤めさしてもらうならば、それで非常に信用がついてけっこうだと、給料なんということは何も申しませんというような、いわば前時代的と申しますか、そういうようなことで雇用関係が結ばれておったというような事情も一つあると思います。それからもう一つは、町村職員の勤務態様というものが、場合によりましては、一般の県あるいは国家公務員等の勤務態様と異なりまして、忙しいときにはもちろん十分働いていただくわけでありますが、時としては、農繁期等の場合においては、事実上大目に見て、農事の手伝いをさせていくと、そういうようなこともあって、いわば、兼業と申しては言葉は悪いかもしれませんが、農事もやりながら、あるいは家事もやりながら公務員になっていると、そういうようなことから、切実にいわゆる生活費を得るというような考え方もないので、給料自体についても、それほど強い要請もなかったというような事情が重なり合いまして、特に戦前等におきましても、町村職員の給与というものが低位に置かれておったというふうに考えておるのであります。ただこれが、私どもの立場から見まして、それがいい態勢であったかと申しますと、それは、一般の給与理論から申しましても、給与体系の中に占める地位から申しましても、それは望ましい態勢であると申せないことは、これは申すまでもございません。そういうことから、地方公務員法等ができました後におきまして、漸次やはり公務員制度というものが期待をいたしております給与体系というものに持って参るように、われわれといたしましては、漸次指導を続けて参ったのであります。大体の給与の全体の運営というものにつきましても、軌道に乗ってきておるのじゃないかというふうに認めます。この点は、給与条例その他の点を見ましても、大体整備をされてきておるのであります。さらに給与改訂を行われた際、あるいは法律改正に従って期末手当の増額の措置が講ぜられた場合というような場合等におきましては、われわれといたしましては直ちに、これは国においてこういう措置が講ぜられたから、これにならった措置をするようにということを県を通じて指導をいたしております。大体その線にのっとってきておるように思いますけれども、なお十分でない点がある。もう一つは、今やはり沿革的な理由から全般的に低位にあるというものを、一挙にこれを国家公務員水準まで高めていくということも、なかなか財政状況も許しません。また、他の民間の事業団体におきまする従業者の給与とか、そういうようなものの均衡というものも考慮すべき建前に公務員法にもなっておりますこともございまして、一挙には参らないのであります。しかしながら、私たちといたしましては、常時この点についてはできるだけ、やはり都道府県の職員なり、国家公務員の水準というものに準じて、漸次給与体系自体が改訂されて参ることが望ましいという考え方に立っておりますし、その見地から、地方財政計画あたりにおきましても、大体そういう態勢で組み込んでやっているような次第でありまして、今後も、そういう方向に向っては強力に指導を続けて参る所存ではおるわけであります。
  81. 占部秀男

    ○占部秀男君 今、局長の言われましたように、いろいろ原因についても仰せのような原因もあるし、それから、自治庁としても、この問題については、徐々にではあるけれども、問題の改善に当っていられると、こういうような今局長のいわれた点については、私も了解し得る点があるわけであります。特に、藤井局長になってからと言っては悪いのですが、非常に藤井さんがその点についてはやって下さるということについても、われわれは知っているのですが、しかし現実の問題は、なかなかやはり、自治庁の今のような方向のままでは、相当改善というところまでいかないような実態に、私は率直に言って、置かれているのではなかろうかと感じている点があるわけです。というのは、ただいまお話しになったように、確かに町村の職員は低い給与に置かれている。これは、町村の財政事情もあり、沿革もあるし、勤務の態様もあるという点については、われわれもまあ一部うなずけないところはないわけでありますけれども、最近新市町村合併以来、特に勤務の態様については、これはもうどこでも、いわゆる新市町村、大きな市、こういうようなところとほとんど変らない勤務時間の条例もできて、それから、いろいろ執務態勢も整った態勢に置かれていることは、私が言うまでもなく、自治庁御承知の通りだと思う。これは、ここら辺で、やはり昔のままの沿革的な姿というものを打ち切っていくということが大事ではないか。といって、私これは一挙にということは申しませんけれども、沿革的な姿というものを打ち切っていくということが、やはり新市町村建設のために大事じゃないかというように、私は考えるわけです。  特に局長にこれはお伺いしたいのですが、沿革的な意味で、低賃金の問題もありますけれども、条例でいろいろな条例が作られておりますけれども、この条例の中でも、率直に言えば、給与水準というものが停滞的にくぎづけされている節が相当あるわけです。そういう意味では、やはり町村職員の給与を低くしている一つの原因になっていると思うのですよ。たとえば、初任給の場合などを調べましても、初任給自体が国家公務員の初任給のたしか――幾らでしたかね。国家公務員の初任給の、何といいますか、格づけといいますかね。
  82. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) たしか大学で九千六百円くらいだったのじゃないかと思います。
  83. 占部秀男

    ○占部秀男君 新制高校で六千三百円だと思ったが、そうですね。
  84. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 六千二百円か三百円だったと思いました。
  85. 占部秀男

    ○占部秀男君 実はそれがこの間も、私どもの党の方でですがね。兵庫県下の各市町村の方と共同で、県下の七十四ですかの町村のうち、七十二を実は調べたのです。そうしますと、初任給の格づけが、今言ったように、新制高校出が六千三百円という、国の基準からはるかに低くて、国の基準に適合したような初任給を定めておる所が泉町のほかわずかに七カ町村あとの大部分は五千円から五千五百円。ひどい所になると、神崎町という所は、四千八百円の格づけをしておる。一ノ宮町羽賀町などは四千九百円の格づけをしておる。かように、初任給の初めから非常にひどい格づけがなされておる。こういう実情があると思うのですが、そういう点については、自治庁の方で何か全国的に調べた形のものはございませんですか。
  86. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 現在各町村まではその点を調べた資料がございませんですが、先般申し上げました、このたび行なっておりまする七月一日現在の調査におきましては、その点までも全部調べるようにいたしておりまして、資料を収集いたしておるのであります。今度の調査の結果、その集計ができますると、町村の職員の給与の実態というものが今までのものよりも数段はっきりとわかって参るのじゃないか、その上で問題をわれわれとしても整理をいたしまして、一挙にということはなかなか参りませんですが、しかしながら、明らかに不合理であるというふうに認められるものにつきましては、逐次できるところから一つ是正の措置を講じたい、かように考えております。
  87. 占部秀男

    ○占部秀男君 私の方の手元にある資料は、自治庁の三十年の調査と、それからわれわれの方でやった調査ですから、従って、われわれの方の調査を押しつけるわけにいきませんので、その内容の問題については、自治庁の今度のあれは、全部の調査の結果を一つ明らかにしてもらうときを待ちたいと思うのですけれども、実は、この間兵庫県下で調べた問題でも、兵庫県の三十年の調査のときには、俸給の平均というものは約一万円ですね。自治庁のあれでは九千三百二十六円ですか。それについて、われわれがこの間調べたところでは一万四百五十一円なんです、ことしの八月一日現在で調査をいたしたのでは。そうすると、三カ年間でわずかに千円までは上ってないのですね、本給の平均が。そういうようなところから見ても、自治庁のあの当時の調査と今日では、大して待遇的な変りはないというふうに考えておるわけなんですが、特に日直、宿直だとかいうような諸手当の問題に至っては、あるいは時間外の問題に至っては、七十二の町村のうちで、時間外の手当を出しているのはわずかに二十五です。時間外の手当を出さずに使っているのが四十七です。こういうような形、それから、宿直手当も日直手当も出してある所と出してない所とありますが、出してある所では、もちろん国の基準の半分、三分の一の涙金と、こういうようなことになっておるわけです。従って、こういうような点については、今、局長のお話では、今度の調査ができ上ったことを契機にしてということでありますけれども、もちろん国家公務員の給与水準まで一挙にやれと、こういうことは申しませんけれども、やはり科学的な調査資料に立つ以上は、新市町村にふさわしいような給与の更正ができるように、これは一つ骨を折っていただきたいというふうに考えるわけです。なぜそういうことを申しますかというと、この兵庫県下の調査の中でも、生活状態というものは非常に苦しいわけでして、たとえば、勤続年数が十年で、しかも四十から四十五なんというと、これは、子供は小学校から中学に行って、高等学校にも行こうという人たちで、相当な金のかかる人ですけれども、ここで最高の生野町というところで、これは平均給与ですが、二万二千六百円を出しておるのが最高なんですけれども、最低の市島町とか浜城町なんというところは、八千円ぐらいで使っておるのです。四十から四十五才以上の人で、しかも十年間も勤続しておる。これを八千円ぐらいで使っておる。この七十二のあれを見ますと、一万円以上のところが五十三で、あとはみんな一万円以下です。こういうようなひどい使い方は、これはもう僕は、人権問題じゃないかというふうに感ずるのですが、これは全国的にそうであるかどうであるか、これは自治庁の調べによって見なければわからぬと思いますが、少くともこういうことのないように一つしていただきたい、かように考えるのですが、御意見をちょっと承わりたい。
  88. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 先刻も申し上げましたように、いかに沿革的な理由、財政的な条件等がございますにいたしましても、最近の市町村というのは、先刻お話もございましたように、その組織機構というものも大きくなってきております。また、仕事の実態というものも、戦前に比べて比較にならないほど非常に忙しくなってきておるのでありまして、片手間でこれをやるというような勤務体制では最近はございません。そういうような点から申しましても、また、給与政策自体の問題としてこれを見ましても、低賃金でも来るからいいじゃないかとか、満足しておるからいい、文句を言わないからいいじゃないかというようなことは、これは根本的に間違いであります。やはりあるべき給与水準というものは、これは、それぞれ地方公務員法でもその基準を示しておるのでありまして、実態がはっきり出て参りました上におきまして、われわれとしても、早急に対策を講じたいと思っております。また、そのための実態調査でもあるわけでございまして、できるだけすみやかに結果を出しまして、改善の措置を講ずべき点については、すみかに一つ是正措置を講じて参りたいと考えております。
  89. 占部秀男

    ○占部秀男君 局長の今のお話で、非常にありがたいと思うのですが、ちょっと私心配になるところが一つあるのです。それは、先ほど局長の言われたように、勤務体制というものは昔と違って、まあいわばほんとう地方公共団体、いわゆる自治団体の事務的な形態が漸次、新市町村の場合は特にそうでありますけれども、作られておる。こういう点については、その通り私もそう主張するわけでありますが、ただ一つ、世の中には、依然としてやはり町村の職員はいわば片手間であるという印象を非常に強く持っておる。これは、自治庁でかりにそういうふうな問題を是正すべきであるというふうに考えて、いろいろ指導して下すっても、実際の町村に行くと、なかなかそういうわけにはいかないのです。微妙な事情が、これは沿革的といいますか、歴史的といいますか、伝統的といいますか、そういう中から往々出てきがちなのが通例であると思うのです。そこで、そういう点についても、今回のこの調査に基いて、私は、はっきり一つそういう点についても、自治庁の方でそういうようなやり方についての指導といいますか、何といいますか、それをしてもらいたいと思うのですが、というのは、この間も、兵庫県下のわれわれの方の調査でありますけれども、三千二百八人の人たちについて、これは七十二カ町村の三役を除いたところの一般職全体でありますが三千二百八人の人間について、実は今心配になっておる点について調査をしたのです。そうしますと、昔と違って、今日では、この町村の給料だけで生活をしておる者がそのうちの三分の二を占めておるのですね。千九百七十一人です。それから、これは入りたての人たちだと思うのですけれども、次男、三男で、親のうちについて、そこから通っておる人たちが九百十三人、これは若い人たちですが、いわゆる昔言ったようななたまめきせる式で、兼業的にやっておるという人たちは、農業と商業との兼業とその他の兼業を合せてわずかに三百十九人です。三千二百八人のうちの三百十九人というと、十分の一ですね。これしか兼業、あるいは兼業の農業にしろ、いわゆる片手間的に農業でもって幾らか食うものを取るとか、商業でもって内職的にやって、町村の給料と合せて生活をしていく、こういう人の数はもうこれしかないのです。これは、兵庫県下の八月一日現在の私たち調査です。ですから、三分の二以上は給料生活、給料一本で生活をしておる。こうなると、たとえば東京都のような所は違うとしても、県や市の場合は、おそらく私は、これとほとんど同じような生活状態だと思います。給料生活者と同じような、似たり寄ったりの人たちが普通の市や県でも出るのじゃないか。やはり普通の市や県でも、一〇%や五%は兼業するものもあるのじゃないか、こういうことを考えてみると、特にこの町村の職員が昔農で食っていて、あとは片手間だというような考え方は、これは、自治庁が積極的にこういう点については指導していただかぬと、私はもう、新市町村は、形はできても、人的なほんとう仕事の繰り回しはつかなくなってくるのじゃないかという心配があるわけですが、そうい点についての一つ局長の御意見も伺っておきたいと思うわけです。
  90. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 今、たまたま兵庫県の実態調査の結果について御発言があったのでありますが、町村職員等の中で、いわゆる農業等と兼業をいたしておりまする者の占めまする比率というものが、これは、兵庫県におけるような実態が他の府県にそのまま出てくるかどうかは別問題といたしまして、大体一般的傾向としては、やはり減少しつつある傾向であろうかと思うのであります。しかも、その比率の減少傾向というものは、今後ますますふえていく。その比率がふえていくということに相なるだろうというふうに考えております。すなわち、勤務の実態自体が、いわば国家公務員なり、府県なり大都市の公務員とそう大差のない格好にすでになりつつあるのではないか。現在もすでにそうなっておるのではないかという想像は、これは端的に申してつくだろうと思います。そういうような面も一つございまするし、また、その他の勤務態様等から見ましても、それほど差別を設くべき理由というものはすでになくなりつつあるのじゃないかという感じがいたします。ただ、町村当局に対してこれを指導いたしまする際には、われわれといたしましては、給与改訂等が行われる場合には、そういうような点も指摘いたしまして、県当局を通じて行政指導を果しておるつもりでございますけれども、なおやはり沿革的な理由やら、あるいは財政的な問題やらございまして、思うにまかせぬというのが実情でございますから、それらのことのためには、単なる財政的な事由のほかに、今お述べになりました、一種の町村職員に対する見方というものが潜在的に世論にもあるのじゃないかというような気持もいたします。そういうような点につきましては、やはり大きく実態というものがわかりました暁には、その実態というものを一般に周知せしめる、特に町村当局にその実態をよく認識していただくという努力ももちろんやって参らなければならぬというふうに考えております。
  91. 占部秀男

    ○占部秀男君 そこで、今、局長の方から、町村職員のそうした低賃金といいますか、低給与の問題についての改善方向だけをお示しを願ったように私は了承するのですが、そこで、その改善を実際にします場合の手段方法ですね。この問題について、実は局長にこれはお伺いをし、こちらもお願いをしたい点があるわけであります。というのは、従来自治庁の立場からいうと、現在の自治法の建前からいって、確かに、直接お前の方は上げろというふうに何か命令ですか、あるいはそのあれがすぐに個々にはできないような形、いわゆる指導のような形もあると思うのでありますけれども、この指導のような形だけでは、今後はこの問題は解決はしないのじゃないかと、むしろ自治法のあれに基くところの、あの中には勧告ができるわけですね。この勧告を一つ給与の問題でもしてもらえないかというのがわれわれの考え方なんでありますけれども、こういう点はいかがでありますか。
  92. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 御承知のように、公務員の給与をきめますこと自体は、それぞれの市町村の条例で決定をいたすのであります。議会の議決を経まして、初めてそれが成立をいたすことに相なっております。ただ、地方公務員の給与制度の運営面から見まして、それが適切に行われて参りますことについては、自治庁としても重大な関心を持っておるわけでありまして、その線に沿って従来も行政指導をやって参っております。なお、地方公務員法自体につきましては、制度運営一般について、技術的な助言なり指導なりというものは行われるようなことが明文にもございます。一般的に申しまして、全般の町村に対して具体的に勧告というような点については、私は目下のところ考えておりません。やはり一般的な指導というものを強化していくという方向で是正措置というものの達成をはかりたいというふうに思っておりますが、ただ、具体的な問題としては、某々町村というものがあまりにもひどい格好になっておる。たとえば、初任給にいたしましても、国家公務員の場合の半分にも満たぬとかいうような場合、あるいは給与改訂が行われたにもかかわらず、一向給与改訂の措置も全然講じないというようなものが明らかでありまするものにつきましては、これは、第一次的には県当局にその指導の任に当らせるということに相なりまするが、しかもなお、その措置が講ぜられないというような場合におきましては、実際上の問題として、個個の町村に対しましても、われわれとしては、特に指導を強化していく措置も考慮しなければならないというものもあるのじゃないかというふうに考えております。
  93. 占部秀男

    ○占部秀男君 私はなぜかようなことを申し上げるかといいますと、これは局長もすでに御存じとは思うのでありますが、今日町村の職員のこの低い給与の状態をだれが直してやるかという問題になりますと、実は、この今までの法律と、その下で実際行われておる事実の上では、だれも直すものがなくて、やはり自治庁以外にはないじゃないかという気がするからです。と申しますのは、これは、御存じのように、町村の職員のこの給与の問題については、第一番に、人事委員会なり、あるいは公平委員会なりが、ほとんどどこの町村でもあまりないのが現実ではないかと思うのです。そこで、これらの町村の中では、たれもこの低い給与を勧告する者もないし是正に向って勧告する者もないし、指摘する者もないで置かれておるというのが、私は方々、特に低いような町村の現状ではないかと思うのですが、こういう点はいかが考えておられるか。
  94. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 各町村については、公平委員会というのがございますけれども、この公平委員会は、職員のいわゆる不利益処分の審査をいたしまする機関でございまして、国における人事院なり、あるいは府県におきます人事委員会等のように、いわゆる給与等についても、勧告その他の措置を講じていくという機関ではございません。従いまして、確かに町村等において、職員の給与関係というものが一般の関心というものから遠くはずされてしまっている傾向があるのではないかということは、私は一面の真理であろうと思っております。確かに、そういう問題があまり大きく社会的関心を呼ばないというようなことには相なっておるだろうと思うのであります。それだけに、やはり町村当局自体が本問題について適切な見通しと、それから措置を誤まらないということが大事でありまして、その啓蒙ということがやはり眼目ではないかと考えられるわけであります。
  95. 占部秀男

    ○占部秀男君 今、局長の言われた通り、この問題を解決するためには、町村当局のやはり心がまえといいますか、方針といいますか、そうしたものが非常に影響すると思うのであります。ところで、人事委員会なり公平委員会なりの問題は除きますと、町村職員の給与の問題についてやり得るのは町村の組合だけなのです。ところが、御存じのように、今、県や市はできておりますけれども町村は、なかなか組合というものは、これはもう町村の実情からできがたい、かりにできても、これはもう御存じたと思いますけれども、いろいろな町会議員なり、あるいは市会議員の方々の影響あるいはその他の影響で、町長さんや村長さんと団体交渉をやって、この給与の引き上げをやっていこうというような町村はほとんど少いわけです。そうすると、ここでも実は今、町の理事者側に給与の是正、引き上げの問題について目を開かせるというまでには、これは至らないと思うのです。さらにまた、最低賃金法の問題を今やっておりますけれども、あれがかりに通ったとしても、御存じのように、一般職にはあれは適用できない問題があると思うのです。それやこれや、あちらこちらから考えてみましても、現在の町村の職員のこうした問題について是正努力をやってくれるところは、今はもう自治庁以外に私はないと思うのです。そういうような意味合いで、自治庁のこの問題に対する指導といいますか、そういう問題は、私は非常に重大な問題になってくるのではないかと思うのです。そこで、ぜひとも自治庁指導というものを一つ指導方針もある程度具体的に明確にしたものを一つ指導方針として作っていただいて、そしてそれに合せて各町村で、これは私は、卒直に言って、現在の財政事情や何からして、国家公務員の給与までに一ぺんに飛べというのは、なかなかできがたい事情もいろいろな町村によってはあると思うのです。また、できる町村もあると思うのですが、できがたい町村もあると思うのです。そこで、そういうふうな点はやはり勘案するとしても、具体的な基準を示して、そして行政指導なら行政指導でやってもらうという、こういうことにならぬと、なかなか問題が解決しないのじゃないかと思うのです。そうした点について御意見がありましたら、お伺いしたいと思います。
  96. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 御趣旨の点は、もっともな点もたくさんあると思いますが、いずれにいたしましても、根本的な給与是正の方針に関しましては、従来から、自治庁といたしましては、地方公務員の給与というものが、国あるいは都道府県の給与というものと均衡を保っていかなければならぬという原則に相なっておるわけであります。その線から逸脱しないような、できるだけそれに合致するようなことになるように指導をして参っております。ただ、御指摘のように、それがいささかマンネリズムに陥ってしまって、大した効果が上らぬじゃないかというような御心配の点もあるかと思うのでありますが、その点につきましては、何回も申し上げますが、今度の給与実態調査というものの結果が出ました場合には、はっきりしたわれわれのやっぱり認識も得られますし、また、この場合に対処する具体的な指導の方策というものも、この結果を見ました上で、具体的に一つ考えてみたいと思います。
  97. 占部秀男

    ○占部秀男君 実は、調査がもっと早くできてくれて、もっと早くこの問題に手をつけていただければ一番いいし、また、そうしなければならぬ現在の町村の職員の給与状態ではないかと私は思うのでありますけれども、今局長からもお話がございましたので、その調査の実態ということを一応われわれも一つ資料と考えておるわけでありますが、そこで、今回の全員調査の結果というものは、およそいつごろに明らかになる予定で、現在作業を進められておるか。そういう点を一つお伺いしたいと思います。
  98. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) われわれといたしましては、できるだけすみやかに結果を得まして、間に合うならば、来年度の予算折衝あたりに資料として使いたいというぐらいに実は思っておるわけでありますが、何にしましても、悉皆調査のことでございまして、非常に膨大な調査をいたしておるわけであります。この結果の判明というものは、今せっかく督促をして進めておりますけれども、やはりなかなか簡単には出ないのじゃないか、年内一ぱいということを目途として一応考えておりますけれども、なかなかやはり、はっきりした資料が出ますのは、年を越すことになりはしないかということを危惧いたしておりますが、できるだけすみやかに結果を得たいということで、事務当局の方も鋭意督励をいたしておるわけであります。
  99. 占部秀男

    ○占部秀男君 しっこいようですが、実はこういうことは、町村の職員になってみますと、鶴首して待っているところなんですね。そこで、私は、こういうような日にちの点まで実は局長に聞くのも悪いとは思ったのですが、率直に聞いたわけなんです。  そこで、時間の関係もありますので、一つけじめをつけて伺いたいと思うのですが、そうしますと、今度の悉皆調査の結果を一つ早く出すように急いでいただいて、その結果に基いて、今までのような方式でなく、具体的な指導方針的なものをはっきりと出して、そうしてこの際、町村職員の給与是正に、内容の点はいろいろあると思うのですけれども、踏み切ってもらえるようにわれわれは考えても差しつかえないと思うのですが、その点はいかがなものですか。
  100. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) この点は、われわれといたしまして、今度の調査の結果いかんを問わず、従来もやはり、国家公務員の給与体系が変りました場合においては、それに準じた措置を講じろということで指導をしてきておるのであります。従いまして、この結果いかんにかかわらず、その態度というものはごうも変更するつもりはございませんですが、調査が今度できますると、はっきりとその資料が出て参ります。どういう資料が出るかは予断を許しませんけれども、いずれにしても、町村職員あたりについては、そう満足すべき結果というものが今度の調査に限って出てくるわけのものでもないということで、大体結果はわかると思うのであります。従いまして、そういう現実の数字が出て参ることになりますれば、やはりそれを契機として是正の措置を講ずる。また、それが調査の一種の目的でもあるわけでありまして、そういう方向でわれわれとしては努力したい。ただ、その結果が、財政事情その他もございまして、一挙に参るということは、これはやはりなかなかむずかしい問題である。そういう障害はもちろん予想はいたしておりますけれども、一歩ずつでも前進をするという方向に向って改善措置を講じたい、こう考えておる次第でございます。
  101. 占部秀男

    ○占部秀男君 重ねた申しわけないのですが、実は局長もこれは御存じの通り、この問題は、きのうきょうに起った問題ではなくて、たしかもう四、五年前のこの参議院の席上でも、当時の委員の方々の方へ、いろいろ町村の職員の方々や県、市の職員の方々から要望があって、問題になって、それ以来の問題になっておるわけです。そこで、悉皆調査ができ上った結果、何か一片の通牒で、こうなってこういう実態だからこうしろというような、一片の通牒で終るような、そういうようなことがあると、実はその町村の職員の方々としても、これはもうとうていやりきれないというような情勢が率直に言えばあるわけです。そこで、私は今重ねてお伺いしたわけでありまして、そういう点は、もちろん単なる調査ではなく、内容の点については、まあこれからの問題にはなりますけれども、具体的に引き上げ是正ができるように、やはり一歩道がそのことによって開けるのだし、また開いていくのだ、こういうことでわれわれは確認といいますか、了承をしてもよろしゅうございますね。
  102. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 三十年の給与調査におきましても、その結果はやはり相当顕著なものがあったのではないかと思うのであります。これも十分なものではございませんですが、やはりやっただけのことはあったというふうに考えておるのであります。従いまして、今度の調査の結果が出ました場合におきましては、われわれとしては、その際の実情に応じて、適切な一つ指導方針でもって進んで参りたい、かように考えております。  なお、先刻の数字の違いの点でございまするが、大へんこれは恐縮をいたしたのでございますが、実は表にございまするものは、それは文字通り実態調査の平均給与でございます。実額平均給与でございます。ここで一万九十円と出しましたのは、実は学歴及び勤務年限等それぞれ較差がございます、国家公務員の場合と。それで国家公務員の場合の尺度と同じものにならしまして、それでもって理論的に換算をしたものがこれということになりまして、従いまして、この対比で見ると、むしろはっきりとその差が出ておるということになるわけであります。
  103. 占部秀男

    ○占部秀男君 そうしますと、今のやつは、例の人事院規則かなんかの条件に当てはめて換算的のことをやった結果がこれだと、こういうことですね。
  104. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) あの通りというわけでもございませんが、大体あの方向で理論的に換算をやったというのがこれでございます。
  105. 占部秀男

    ○占部秀男君 最後に、これは希望ですが、今のお話で大よそわかりましたが、一つ実態調査をなるべく本年内に仕上げていただいて、そうして先ほど局長も言われたように、明年度のあれには間に合わせたいというやっを一つ実現してもらえるように御努力願いたいと思うわけであります。またそのときにこの質問を続けたいと思うのでありますけれども、一応私は、そういうような希望で、もちろん局長も御異議がないと思うのですけれども、お願いしたいのですが、いかがでしょう。
  106. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) われわれとしても、できるだけすみやかに結果を得たいと思っておりますので、可能な限りすみやかにやれるように善処したいと思います。
  107. 鈴木壽

    鈴木壽君 新市町村建設にからんでの国有林野の売り払いの問題でございますが、まず、いただきました資料についてちょっとお伺いいたしますが、一枚目の、売り払いの処理状況のこの表に、売払面積ですね。二万八千七百七十四町歩、これと、二枚目の局別の集計表ともいうべきこの表についてですね。この二万八千七百七十四町歩は、局別の集計表でいいますと、左から三つ目の、大きくいって三つ目の欄の、二十九年から三十三年九月末までの処分実績と、これの一番下の一万四千五百十二というこれと、その次の欄の一番左の「売払認可」、これの面積の一万一千六百十三、これとどういう関係でしょうか。というのは、二万八千七百七十四町歩になるためには、この二つを足してもまだ足りないのですが、そのほかに、「売払見込」の二千百二十三というのがずっと右の方にありますね。こういうものがみな入れてございますのですか。そういうとろがちょっと数字が合わないような気がいたしますが……。
  108. 横尾正之

    説明員(横尾正之君) ただいまの御質問になりました点でございますが、一表の「売払面積」の一万一千六百十三町歩、これは二枚目の、先ほどお話がございました「売払認可」という欄の合計が一万一千六百十三とございまして、これと合うわけでございます。一表の、その下の二千六百四十九町歩という、この数字でございますが、これは、二枚目をごらんいただきまして、「上申のあったもの」という、一番上に見出しがございますが、その中で、「相手の都合で保留」というものの一番下の合計欄を見ていただきますと、五百二十六町歩、この五百二十六町歩と、一番右側の「未上申」という欄がございますが、そのうち「売払見込」と書いてございますものの合計が二千百二十三町歩と、こう出ております。この五百二十六町歩と二千百二十三町歩とを足しますと二千六百四十九町歩と、こうなりまして、これは大体今の見込みでは承認ができる、林野庁の方で承認ができるという見通しでございますので、その二千六百四十九町歩を、すでに承認をいたしております一万一千六百十三町歩に加えまして、二万八千七百七十四町歩というものが本年度の承認の対象になる、こういうことで、一表に掲げてあるわけでございます。
  109. 鈴木壽

    鈴木壽君 そうすると、この保留になったのはあれですか、「相手の都合で保留」というのは……、
  110. 横尾正之

    説明員(横尾正之君) これは、こちらといたしましては、承認をいたしてもいいと一応考えられるのでございますけれども、「相手」とここに書いてありますが、新市町村のことでありまして、新市町村の方で何らかの内部的事情がございまして、一部を保留というようなことの意思表示が営林局または本庁の方にございまして、そういう関係で保留をしておる、そういうことであります。従って、将来見込みといたしましては、承認の対象になり得るとは一応考えていいのじゃないかということで示した数字でございます。
  111. 鈴木壽

    鈴木壽君 そうしますと、これは、こちらとしては申請があったので、調査の結果いいというふうな大体の判定を持っているのだが、しかし、相手の町村側で、たとえば財源の問題とか何か、いろいろな問題があると思いますが、そういうことでちょっと保留しておるのだ、正式にまた話が前に戻れば、これはいつでも認可はできるのだ、こういう数字なんですね。
  112. 横尾正之

    説明員(横尾正之君) 今お話にございましたように大体伺っております。
  113. 鈴木壽

    鈴木壽君 それから、ことしの一月末現在でお作りになった処理状況の調べがございますが、この前の前の国会でいただいておりますが、これときょういただいたこれとの関係で、ちょっとわからないところがあるのですが、これは、前のものは件数だけで、局別集計表のうちの一番初めの表も、件数だけでいっていますが、こちらの方は町村数等が主になっていますが、いろいろ違うのですが、それにしても何か、たとえば陳情面積ですね、陳情面積が、今いただいたこの表のナンバー二によりますと、十五万八千八百九十三になっております。それから、前にいただいたこれからしますと、十六万四千百六十九になっております。この違いはどういうのでしょう。
  114. 横尾正之

    説明員(横尾正之君) 前の資料は、実は手元に持っておりませんで恐縮でございますが、新しく作りました資料の数字は、その後の情勢が入っておりますので……。
  115. 鈴木壽

    鈴木壽君 その後の情勢が入っておるとすれば、減るはずはないと思うのだが、ふえているというのだったらわかりますが、減ってきているのだから、ちょっとそこら辺……、あるいは取り下げとか、何かそういうことがあって、最終的な整理というのかもしれませんが、ちょっと常識的に考えて、その後の……、
  116. 戸嶋芳雄

    説明員(戸嶋芳雄君) これはちょっと、なるほど理屈が合わぬようなので、はなはだ恐縮ですが、もう一度調べさしていただきたいと思います。
  117. 鈴木壽

    鈴木壽君 それでは、お調べになる機会に、もう一つお願いしたいのですが、きゃういただいた資料、私もうっかりして、そこまで申し上げませんでしたから、この前にいただいたこの処理状況の調書の局別集計表と、面積等においては比較がすぐできますけれども、件数等においては、ちょっと比較ができないようになってしまったんです。従って、もしできますならば町村数と、それから、町村によっては一件だけでなしに、二件あるいは三件というような場合もあり得ると思いますから、件数と、それから面積のそれと、こういうふうにもし表が作っていただけるならばありがたいと思うのですが、その点いかがでございましょう。
  118. 戸嶋芳雄

    説明員(戸嶋芳雄君) 承知しました。今度の表と前の表と比較できるような資料にいたしたいと思います。
  119. 鈴木壽

    鈴木壽君 その際一つ、これはちょっと私自身もはっきりしないですから、調査の表を作るときに御注意いただきたいのですが、私、ほかの方はあまりよくわかりませんが、秋田の営林局関係で、陳情の市町村の数が二十四、それからその次の欄の、今までのうち売払等の処分のできたのは四、こういうふうに市町村数がありますが、これについて、私の調べでは、二十六か七の市町村から申請が出ていると思っておりますが、その点一つ。それから、売払いの処分のできたものは、現在までに二つくらいじゃなかったか、ただ、山形関係とか、営林局全体ですから、そういうのがあるとすれば、そこら辺であると思いますが、それは、あるいは申請の件数では、秋田の市町村だけで二十六か二十七あったと、私の調べではそうなっておりますから、その点、一つ念を入れてお調べいただければありがたいと思います。
  120. 戸嶋芳雄

    説明員(戸嶋芳雄君) かしこまりました。
  121. 鈴木壽

    鈴木壽君 それでは、あとでまた資料をいただいてからお尋ねいたしたいと思いますが、実は、きょうは大まかにお伺いしたいと思います。  この前しばしば部長さんや、あるいは前の長官の石谷さん等からも、いろいろ出てきていただきましてお尋ねをして、その際、また今後の売払いのことについては最大の努力を払うというような力強い御答弁があって、喜んでおったわけですが、その後、この前の二十八国会ですか、あれからどの程度進んでおるのか、それとの比較も、もし、今でもけっこうでございますが、お答えができたら、一つお願いしたいと思うのですが、当時の状況からその後どの程度進んでおられるのか。
  122. 戸嶋芳雄

    説明員(戸嶋芳雄君) はなはだ恐縮ですが、それもそれでは、比較対照した表でそれをお示しする方がなお適切じゃ、ないかと思いますので、そうさしていただきたいと思いますが……。
  123. 鈴木壽

    鈴木壽君 私も、じゃ表をいただいてから見せていただけば、あるいはあらためて質問しなくても、数字的にはっきりすることだろうと思いますから、じゃその点は、後日に譲らしていただきますが、大体において私、その後あまり、少くとも私の見ている範囲では進んでおらないような状況がありますものですから、実はきょう早くお出まし願って恐縮でございましたが、その点について、その後どういうふうな地方の営林局等について御指示の仕方なり御指導の仕方なりやっておられるのか、一つこの機会に伺わせていただきたいと思います。
  124. 戸嶋芳雄

    説明員(戸嶋芳雄君) その点は、確かに御指撤の通り、進んでおらない営林局の中の一つとして秋田がございます。やはりその状態を見ますると、管内に合併町村が多いというようなところで、事務が滞っておるという点もありますけれども、やはりそれ以外に、事務の渋滞をしておるというような点がございますので、実は、九月の八日に全国の局長会議を開きました際に、そういう案件はできるだけ早く片づけるように、しかも、合併後五カ年以内というようなことになっておるので、早いものは二十九年というようなものがあるわけで、そういった処理がおそくなることによって、せっかく町村の希望に沿い得ないというようなことになっては済まないので、ぜひ促進するように、厳重な注意を促したような次第でございます。
  125. 鈴木壽

    鈴木壽君 実は、まあ秋田という言葉が出まして、私も秋田の者だから、秋田の局を何もここで責めるわけじゃございませんが、私、一般的に秋田のことを見ておって、全国的にもしそういう傾向がありはしないか、こういう観点から申し上げるので、また、この表を見せていただきましても、この陳情の面積等から処理の状況をずっと見ましても、そう多く進んでおらない。じゃ一切もう却下してしまって見込みのないものがどれくらいあるかというと、全部の陳情された面積からしますと、必ずしもほとんどそれだというわけではございません。まだまだ何らかの形で処理をしなければならないものが残っておりますから、そういう観点から今私お聞きしているのでありますが、何もこのことで秋田の局長がどうのこうのと、こういうつもりは私毛頭ございません。実は、もっとこの機会にざっくばらんに申しますと、秋田の前の局長さんに私は伺ったし、知事も、これは何も個人的ということじゃなしに、新市町村建設という問題にからんで、各市町村長のまあいわば切なる要望をかなえてやりたいという気持で、正式に営林局等へお願いにも行ったはずなんです。にもかかわらずなかなか、調査中とか、しかも、調査中というのも、全部の二十六、七あるうちの半分までないのです。そうすると、あとの一体残りの十二、三のものはどうするのか、こういうことを言いたくなるわけなんで、そういう観点から、どうもこれは一つ、いろいろ事情はあると思います。だから、いけなかったらいけないように、はっきり理由づけて、これは却下するなり、何かやはりそういう措置が必要じゃないだろうかと思うし、また、単なる営林局内の事務のいろいろな関係ということだけだったら、何かのまた手段を講じて促進できるような、そういうことも私はしていただくことが必要じゃないだろうか、こういうことで私まあお聞きしているわけなんですが、これは、東北では、これから冬になりますと、もう来月から――間もなく来月ですが、十一月ですが、もう雪で、調査なんて、実際のところは離れて山の姿を見る程度であって、実際中へ入っての調査なんか不可能なんです。そうすると、来年の四月以降に持ち越される。そうしている間に、あなたも今おっしゃったように、中には合併後五年を経過してしまうというようなことも、まあ心配としては出てくる可能性があるわけなんですから、そういう点について、一つできるだけ促進していただきますように、特にまたこの際要望したいと思うのですが、それについて部長さんのもし御答弁がいただければ幸いだと思います。
  126. 戸嶋芳雄

    説明員(戸嶋芳雄君) おっしゃることはごもっともな話で、特に今、東北方面のような調査期間の限られている所は、より一そう事務のやり方を考えていかないと、今おっしゃるような渋滞を来たすことになりますので、われわれも、さらにこの促進については注意を与えていきたいと思います。特に今度、九月初めに局長会議が開かれました際に、新しい局長がだいぶできましたので、それを機会に、こういう問題もできるだけ解決したいというので、特にそういう局長会議の大きな事項として示しておりますので、おそらく新局長もその線に沿ってやるとは思いますが、さらに私の方からも特に注意を与えておきたいと、こう思います。
  127. 鈴木壽

    鈴木壽君 まあこれは変なことですが、鈴木が国会で、お前のところがうまくいかないのはどうのこうのと、そんなことは、私は何もそんな気持はないのですから、一つよろしくその辺お願いします。と同時に、私もう一つ、これは秋田の申請のあった個所をできるだけ正確に、県の林務関係のそれに図面に書き込ませておいたのですが、こういうものを書いて、どうも調査にそんなに時日を要する個所でもない。それからもう一つは、林野の経営上からいって、これはいろいろ計画もありましょうし、いろいろ簡単に、はたからどうのこうのということで、簡単に解決つかない問題もあろうかと思いますが、そういうような経営上の点からいっても、さして支障があるとは思えないような個所について大体申請が出ておる。これは念のためにお見せしてもよろしゅうございますが、たとえば、秋田県は、御承知のように、林野の半分は国有林ですから、それの中の重大な、大事なところだとか、あるいはそれが市町村に払い下げられてしまえば、経営上著しく困難を来たすとかいうような所でない。むしろ飛び地だとか、あるいは町村と境を接しておる、きわめて小部分の、そういう所が大部分なんです。中には一、二カ所、国有林のまん中に、そこを払い下げてもらいたいという所があって、これはどうも、ことに経営の形態からいって、私は変なことになるだろうと思うから、これは無理であっても、あとは、これはあなた方もお調べになっていらっしゃると思うが、いずれも、私ども図面を見ても、そんなに無理な申請個所とも思えないし、また、県の林政部関係の係から見ても、これは何も新市町村に裨益するというようなことでなしに、著しい支障を与える個所とは思えない、こういうふうに見ておるのですが、どうも見ておると、何か売り惜しみといいますか、この前もちょっと申し上げたのですが、これは、大事にして今まで管理してきた所もあるでしょうし、惜しい所もあるだろうと思いますが、そういうような気持が相当あるのじゃないか。これは私の推測でございますよ。ですから、こういう点について、やはりもっと現地の局なり署あるいは担当区の方々に一々、これは今回の法の精神なり新市町村育成なりというものについての十分な了解を求めるようにして、一つぜひとも推進さしていただきたい。私何べんも申し上げますように、何が何でも市町村の言った通り全部やれというようなむちゃなことは、私は申し上げるつもりはございません。できなかったらできなかったように、やはり理由をつけて、はっきり却下なり何かのけりをつけるべきじゃないか。そのうちに来る、そのうちに調査してもらえるだろうというようなことで、二年も三年もたってしまった、こういう例も幾つもございますから、こういう点を特段と林野庁の方から話をしていただきたいと思いますが……。
  128. 戸嶋芳雄

    説明員(戸嶋芳雄君) おっしゃるように、やはり末端に行けば行くほど、何といいますか、身近な自分の管理をしておる山がどうもなくなる、何かさびしいような気持を持つ、これはあるいは中には僕はあるのじゃないかと思います。しかし、少くとも、この新市町村建設促進のためのこの制度は、その山を与えることによって市町村の方を育成する一つの財政的な基礎にしようというような関連からこういった制度ができたのでありますから、それは、われわれもできるだけ末端にもそういう趣旨をよく徹底さしていきたいと思います。確かに秋田においては、従来どうもそういう傾向が濃厚であったかとも私も考えます。従って、今後はそういうことのないように、よく注意をしたいと思います。
  129. 鈴木壽

    鈴木壽君 まあくどいようですがね。秋田、山形を一緒に営林局が管轄しておられるわけなのでございますが、秋田関係で、あなた方の方からいただいた資料では、陳情面積がわずかに三千町歩かです。山形が四千二百ですか。こういうことで、合計が七千二百八十町歩と、こういうふうになっているのですね。で、秋田県関係――自分のことを私特に言うわけではありませんが、私の見聞のできるところで例として申し上げますが、四十万町歩近い、三十八万何がしという国有林野のうちたった三千町歩です。しかもさっき申し上げましたように、その個所というものは、必ずしもその林野の経営その他からいって、無理な所ではない。とすれば、やっぱりこういうことにつきましては、もっと積極的な、何といいますか、まあ援助という言葉は当らないかもしれませんが、いずれこれは国の施策でございますから、そういうことにできるだけ努力をするという態度が私はあるべきだと思うのですね。そういう点で、一つこれは、今私何べんも申しますように、自分のただ見聞しておる区域だけについて例として申し上げるのですが、他にももしそういうことがあるとすれば、私は、全国的な問題として一つあなた方からぜひ考えていただき、また機会あるごとにいろいろな形で文書なり、あるいはまた会合等の際に、一つ十分お話していただきたい、こういうつもりで私申し上げて、念願するところは、あくまでも新市町村建設に当って、将来の新市町村の財政の基盤なり、あるいは産業の一つの大きな一翼をになわせるためのそういう仕事でございますから、ぜひとも強く推進してやってもらいたい、こういう気持でございますから、御了承いただいて、善処方をぜひ一つ、くどいようでございますけれども、申し上げておきたいと思います。
  130. 戸嶋芳雄

    説明員(戸嶋芳雄君) その趣旨については、さらに善処をいたしたいと思います。そうして機会あるごとに、末端までその趣旨を伝えるようにいたしたいと思います。
  131. 鈴木壽

    鈴木壽君 この件につきましては、あとでまた資料をいただきます場合に、その資料によってお尋ねする機会もあろうと思いますから、そのときまで保留させていただきたいと思います。
  132. 田中啓一

    委員長田中啓一君) ちょっと速記をとめて。
  133. 田中啓一

    委員長田中啓一君) 速記を始めて。
  134. 鈴木壽

    鈴木壽君 局長さん、さっきの問題に返るのですが、財政の問題でなしに、新市町村建設計画そのものについてでございますが、前の問題に返っちゃうのですが、いろいろこれは、今後の情勢に待たなければいけない問題がありまして、現在の状況について、私今あまりとやかく言っても始まらないと思いますし、これからあなた方も、いろいろな面で御指導の上に、りっぱな建設計画を立てられて、それに基いての推進をやっていくと、こういうようなお話でございますから、そこで、その建設計画をお立てになる場合に、これは、私まだ十分いただいた資料を読んでおりませんから、十分あなた方がお考えになっておられることかもしれませんけれども、ちょっと申し上げさせていただきたいと思うのですが、今、国土開発の仕事を、まあ開発計画というものをやっておって、それぞれの地方においても地方の開発計画を持っておる。これらとこれは十分な関連を持たせるように、いわゆる計画調整に当っては配慮をなされておるのかどうか、この点を一つ……。
  135. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) その点は、調整をはかりまする際の基本方針として、重要な項目として取り入れるべきだという指導方針を立てております。総合開発計画等において決定をいたしておりますもの、さらには、地域総合開発計画の問題、さらに進みましては、県独自で立てておりまする総合開発計画等もある所におきましては、そういうものとの調整というものを特段に一つ配慮しろということは、基本方針一つとして取り入れるように指導をいたしておるのであります。
  136. 鈴木壽

    鈴木壽君 それからいま一つ、都市計画との関連の問題ですね。これはあれですか。合併町村で、合併以後都市計画指定を受けた地域というものはどれくらいありますか。
  137. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 今、われわれの方で、お尋ね資料を具体的に持っておりません。
  138. 鈴木壽

    鈴木壽君 これはお調べ願えると思いますが、あとで、あしたでも……、これはあまりむずかしいものでないので、都市計画の方でわかると思いますね。
  139. 吉浦浄真

    説明員吉浦浄真君) わかります。
  140. 鈴木壽

    鈴木壽君 よろしうございますか。それでは、あしたでも一つそれをほしいと思います。私、今後の建設計画を策定する場合には、やっぱり現在までに行われている都市計画等から見ますと、非常にこの問題を安易に考えてはいけないのじゃないだろうか、こういうふうに思うのです。まあ現在までの都市計画は、どちらかというと、たとえば、駅前を中心とする道路の問題をどうするとか、あるいは区画整理の問題をどうするとかいうような、いわば部分的な、そういうものが多かったと思うのです。特に、町村なんかに指定を受けている区域がありますが、そういうものを、今までのを見ますと、町のまん中の道路と駅に出るまでの間の街路整備をする、それに伴う区画整理をするのだ、そういう程度で、その地区だけの区画整理を中心とした都市計画で認可を受けて指定区域になっている、こういうような状況なのですが、私は、やっぱりこの都市計画というものは、今の新市町村建設という一つの形の上での最終的な一つの、何と言いますか、そこに出てくるものだ、こういうふうに考えられるのですから、もっと広い見地に立って、全区域にわたるところの都市計画というものが行われなければいけないのじゃないか。それが即イコールというわけにはいかぬでしょう。一方では、主として施設とか、そういう面でございますけれども、イコールというわけじゃございませんけれども、全体のその市町村建設計画なり、あるいは開発計画につながっていくものじゃないだろうか、こういうふうに私思うので、従来の単なる区画整理事業とか、街路整備の仕事というような狭い意味でなしに、私は、現在の新しい都市計画というものは進んでいくものと思うし、そういうふうな方向に行くと思うのだが、当然、そこに建設計画というものを立てる場合に、私は、都市計画の問題というものを抜いてはいけないと思うのですが、こういう点についてのお考えなりまた、また配慮もあるとすれば、どういうふうにおやりになっておるのか一つ伺っておきたいと思うのです。
  141. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 今お述べになりました点は、その通りでございまして、先刻申し上げました総合用開発計画のみならず、いわゆるその他の都市計画等を含みまするいろいろの計画等があれば、そういうような点との調整をはかるようで努めるということを申しております。さらに、既存の都市計画というものだけでなくて、やはりこれは、純粋なる意味における都市計画の範囲をさらにこえたものでございますけれども、いわゆる町の全体の構造図というようなものについて、将来のあるべき姿というものを構想をいたして置きますことが、いろいろ施設を作っていく際、特に新しい施設等を作ります場合の基準にも相なって参ります。また、水道事業等を行いまする場合の敷設本管等の設置計画というようなものにも関係を持ってくるというような点もございますので、そういう意味の町の構造、村の構造という意味での将来の計画図というものを作るように、この点もあわせて指導をいたしておるわけであります。
  142. 鈴木壽

    鈴木壽君 まあそれをあわせて指導なさっているとすればけっこうなことですが、私は、最近二、三の地方の中流都市の都市計画を見せられたことがあるのです。こまい点まで私どもわからないところがずいぶんあるのですが、それは、新しく編入されたいわゆる農村地帯全体に対し、それを全体を含むところの都市計画になっているわけですね。ですから、それの中には、あらゆる生産、またあらゆる消費、そういう生活の全分野にわたってのいろいろな計画のもとに、今後道路をどうする、あるいは建物をどうするというふうな観点に立って作られておる。非常に今後の、何といいますか、新市町村建設というような、そういうものからしますと、さっきも言ったように、そのままイコールだとは言えないだろうけれども、ちょうど考え方にこれは一致する面が非常に多いのではないか。従って、そういうことを十分に頭に入れて、都市計画と十分なからみ合いのもとに、新市町村建設計画というものは立てられるべきであると、こういうふうに思ってお尋ねしたわけなんです。そこで、そうなりますと、都市計画審議会というのは県にある。それから、新市町村建設促進審議会というのがある。ここで一つ有機的な連絡のとれるような、そういう仕組みと申しますか、あるいは動き方、それをぜひとも私必要だと思うのですが、現在は、そういう点についての配慮があまり行われておらないようでございますが、こういう点について、どういうふうにお考えでございますか。
  143. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) これは、制度的には直接のつながりをつけるようにはなっておりませんのですが、それぞれ町村審議会等の事務局が一つ計画を立てまする際におきましては、県当局の方と密接に連絡をとり、いわゆる県の方も中に入って、この計画調整仕事に当っておるという現状でございまして、その際に、県の方も、都市計画を所管をいたしておりまする関係の課というものも当然そこに参画をして、その間にそごのないように実際面においては運営をいたしておるのが現状でございます。
  144. 鈴木壽

    鈴木壽君 私がこう言うのは、現実の問題としてそごが起っている起っていないというよりも、もっと具体的な例を申し上げますと、AならAという合併町村がありますが、その中心になる部分の道路整備をやる、この場合は、都市計画によってやった場合にはいいというような、ことに街路整備なり、従ってそれに伴なっての区画整理、あるいは進んでは舗装とか何とかということをやるのですね。その場合には、その部分についてだけやっているわけです。従って、何も、全体の計画からいうと、あっちこっちへぶつかるという問題ではないと思うがそこで、そういうことをする場合に、私がさっきから申し上げている趣旨は、実は全体のいわゆる都市計画というものを考えてやらないことには、あとで困ることができはしないか。そういう全体を見通した一連で、とりあえず駅前の区画整理をしようとか、あるいは中心街の街路整備をやろう、こういうことだったらいいのですが、全体の、合併された農村とか何とかを一切考えないで―一切考えないでと言うのは少し言い過ぎかもしれませんが、そういうことを念頭に入れないで、とにかくこの道路をよくするためには、この建物を整理しなければならない、この区画を整理しなければならないということで、まことに部分的な、従来やってこられたような、そういう形の都市計画をそこに指定を受けて仕事を始めるというのが今までの状態じゃないか。それでは、今後の問題として少し心配だという私の気持なんです。従って、そういうものを立てる場合には、もちろん町村では、いろいろ考えたと言うかもしれませんが、正式にきまる県の段階においても、そういうことの配慮がないと、これは困るのじゃないだろうか、こういうことなんです。その点……。
  145. 藤井貞夫

    政府委員藤井貞夫君) 大体の方向は、私も賛成でございまして、町作り村作りをやります際、特に具体的に新市町村計画調整を行います段階におきましては、やはり一つの長期計画というものを立てる必要がある。その長期計画を立てる場合におきまして、先刻申しましたように、やはり当該市町村の将来の構造図というものを描いておく必要があるわけであります。そういう構造図というものを描きつつ、それの一環として、毎年の事業というものを実施していく、こういう建前にならなければならないと思うのでありまして、そういう意味における構造図の設定ということは、きわめて重要な問題でございまして、それが全部が全部都市計画というもの、法的な都市計画事業ということになるわけのものでもございませんですが、しかし、それとの連関性というものを十分に考えていかなければならぬことは、御指摘通りでございます。そういった意味で、私たちといたしましても、構造図を設定して、それとの関連において毎年度の事業の実施に当っていく、こういうふうにすべきだということで指導いたしているのであります。
  146. 鈴木壽

    鈴木壽君 ですから、私が一番初めに申し上げたように、あなた方の指導について十分、どういう問題についてどうだかということは、まだよく読まないで申し上げているわけですから、あなた方のやっていることをここで何だとかかんだとか申し上げるという格好になったかもしれませんが、いずれ今後の新市町村建設計画というものをお立てになる場合には、そういう点はやはり抜かされない重要な問題だと思うのであります。たとえば、さっき課長さんのお話しになった、道路を通すということも、単に、合併するときに、この部落から部落まで道路がなければ行かれないというので入れたのだ、それは役場に行くためになければ困るから早く作ったのだということで道路を作るという、そういう現実の必要性もありますが、そういう問題であっても、全体の都市計画というような面から言って、考え直していく段階ではないだろうか。こういうことで、私お聞きしたわけなんです。都市計画のことについてですが、つまりこの法のうち、これはなかなか都市計画の古い法ですから、どうも読んでもぴんとしないようなところもあります。第一条なんか、防空の仕事に関して永久に何だかんだ、いろいろなことが書いてありますが、これは昔のそれなんでございましょうから、まあいろいろあるのでしょうが、新しい、今言ったような、これから必要な、あるいはまた、ぜひともやらなければならない、これからの都市計画というものをやる場合には、これは、本日の主題と少し離れますけれども黒金さん、一つこういう都市計画の問題なんかも、この法そのものを一つ御検討願うような何かの機会をあなた方自身にお持ちになっていただければ、私はありがたいと思います。特に私、これは、国の費用負担について、何か政令が出ておらないというような話も聞いておる。もしそうだとすれば、これはまことにおかしな話で、そういうようなことがもしあるとすれば――なかったら幸いでございますが、まだ政令が出ていないというような話もありますが、そういうようなこともありますので、一つよく御検討いただきたいと思うのです。それから、都市計画をやる場合の地元の負担ですね。こういうような問題、これは十分考えてやっていかないと、なかなか都市計画というのは進まない。地元負担の問題で手をあげてしまう。さればといって、現在のような都市計画税、これの問題だっていろいろあると思いますから、この法なり、現在ある都市計画税なり、そういう問題を一つ御検討いただいて、地元の財源というような立場から一つ御検討をいただきたいと思いますが、これは私の要望でございます。  あまり時間もないし、主題から少し離れるようでございますから、その点だけ一つ要望しておきたいと思います。
  147. 田中啓一

    委員長田中啓一君) 本日は、この程度で散会いたします。    午後四時四分散会